セラフィム/IVI/ソフィア
●未知の異空間
デウスエクス『王族騎士モーゼス』は神戸を垂れたまま膝をつき、微動だにしなかった。
それが彼の忠節を示すものであったのか、はたまた彼ほどの者をしても動くことを禁じられていたのかはわからない。
だが、純然たる事実として『王族騎士モーゼス』は動かない。
「ケルベロスの強さはユーベルコードにあらず」
荘厳な声が響き渡る。
その声を微動だにせずに『王族騎士モーゼス』は拝聴するようだった。
「特務機関DIVIDEにもあらず」
然りとも否とも思い浮かべることはなかった。
この声の主は間違えない。
その知恵を借りるということは、畏敬ではなく純粋なる敬意を払わねばならないと『王族騎士モーゼス』は感じていたのだ。
質問は許されない。否定も必要ない。
あるべきなのは肯定のみ。
「全ては彼ら支えている民衆の指示によるものだ即ち地球人はひとつの群体として捉えるべきであるそう考えると彼らの最大の弱点即ち群体としての大動脈はインフラストラクチャである地球人は電力水力食料等グラビティ・チェイン以外にも様々な資源を循環させねば性おzん出来ぬ故に汝はこの動脈の一つ『湾岸の決戦都市に存在するエネルギー供給システム』をはかいせよこれは十二剣神たる我『聖賢者トリスメギストス』の命令である」
一切の余地を挟ませぬ、息次ぐことも許されぬ言葉の濁流。
それらを耳にした『王族騎士モーゼス』は、ただ首肯だけ一つ残して、未知の異空間より飛び立つのだった――。
●湾岸の決戦都市
その決戦都市は酷く傷ついていた。
数日前に襲来したデウスエクス種族『ドラゴン』たる『ダイウルゴス』と十二剣神『原罪蛇メデューサ』を手駒とした謎のオブリビオン『ドラゴンテイマー』に寄る蹴撃を受けたためである。
破壊された都市の設備は数えることなどできないほどであった。
決戦配備である自律人型戦術兵器『セラフィム』は猟兵によって再生された一騎を除いて、全てが破壊され尽くしていた。
「うーん、これはまた大変なことになってしまったね」
湾岸の決戦都市を管理する亜麻色の髪の女性『エイル』博士は、己のタブレットに表示される被害状況を確認して天を仰いだ。
人的な被害は地下シェルターなどのおかげで最低限に抑えられている。
しかし、物的損害が凄まじいのだ。
「恐るべきは、デウスエクス『ドラゴン』というわけだ。恐怖の象徴であるその名は伊達ではない、ということだろうね。加えて……」
そう、決戦配備の全てが破壊されている。
一騎残された『セラフィム』はサポートAI『第九号』が今は動かしている。
瓦礫の撤去など、大型重機が必要となる場面で活躍しているようだった。
『博士、幸いだったのは、エネルギー供給システムに損害がなかったことです。もしも、爆薬をエネルギー供給システムにも仕掛けられていたのならば、この決戦都市の命運は尽きていたでしょう』
「うん。敵が決戦配備を破壊したのは堪えたが、裏を返せばこれは敵がそれだけ『セラフィム』を脅威に感じていたからだという証明にもなる。となれば、ほれ。予算をね、引っ張り出すのも可能というわけだよ!」
転んでもただでは起きない。
それが『エイル』博士であった。
彼女はしかし、状況が芳しくないことを知っている。
如何にエネルギー供給システムが生きていても、インフラストラクチャを調えるにはいつだってマン・パワーが必要になる。
それだけではない。
多くの物資や時間というものが必要になるのだ。
だからこそ、今が湾岸の決戦都市にとって最も無防備なる時間であると言えるだろう。
「何事もなくやり過ごすことができればいいのだが……」
彼女の思考は、それが無理であるということへと行き着く。
そう、デウスエクスがこの機を逃す訳が無い。
ならばこそ、と彼女はできる限りの多くの人命を救うために動き出すのだった――。
●ケルベロスディバイド
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。前回の予知した事件において湾岸の決戦都市が酷い被害を被ったことはご存知でしょうか?」
『ドラゴンテイマー』率いる『ダイウルゴス』、『原罪蛇メデューサ』による波状攻撃に加え、決戦配備の全てが破壊されてしまったのだ。
辛くも勝利を収めることができたが、今も湾岸の決戦都市は復興に向けて多くのリソースを割かれているのだという。
この湾岸の決戦都市に間髪入れずにデウスエクスは攻勢を仕掛けるのだという予知を彼女はしたようだった。
「どうやら湾岸の決戦都市の命脈を支えているのは『エネルギー供給システム』のようです。これは火力でもなければ、水力、風力でもない『縮退炉』と呼ばれる膨大なエネルギーを生み出す装置……なのだそうです。原理は、そのよくわからないです」
きっと調べたり説明を聞いたりしたのかもしれないが、ナイアルテはちょっと難しいですね、と苦笑いをしていた。
湾岸の決戦都市は、このエネルギー供給システムがあったからこそ、デウスエクスの襲撃にあっても復興を繰り返すことができたのだ。
だが、このエネルギー供給システムにデウスエクスが目をつけたのだ。
「これを破壊されては、多くの人命が失われることになるでしょう。加えて、先日の事件です。このエネルギー供給システムを護る人員はインフラ復旧に取られ、守りが手薄になっています」
そう、このままでは湾岸の決戦都市に生きる人々の生命が脅かされてしまうのだ。
猟兵たちは急ぎ現地に急行し、デウスエクスの目論見を打破するために戦わねばならないのだ。
ナイアルテは猟兵達を送り出す。
その双肩に人々の未来がかかっているのだ――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回の事件は『ケルベロスディバイド』。この世界における湾岸都市に生きる人々のインフラストラクチャである『エネルギー供給システム』を狙って迫るデウスエクスを撃退し、守るシナリオになっています。
※『決戦配備』とは。
(https://tw6.jp/html/world/441_world25.htm)
に記されたものです。プレイングの冒頭に各々の単語を書き込むことで上記のプレイングボーナスを得ることができます。
このシナリオに登場する湾岸の決戦都市の決戦配備は『セラフィム』と呼ばれる自律人型戦術兵器です。様々なポジション効果を提供してくれますが、そこまで強くありません。
●第一章
日常です。
直近のデウスエクス襲撃事件によって市街地は損害を被っています。
日が経っていないため、復興が遅れています。
この復興支援に向かい、デウスエクスの潜入などに備えましょう。
●第二章
集団戦です。
『エネルギー供給システム』の破壊を目論むデウスエクスの集団が襲来します。
彼らは施設破壊工作に特化したデウスエクス部隊であり、直接戦闘が強いわけではありません。ですが、一体でも逃せば、そこから『エネルギー供給システム』を破壊してしまうでしょう。
逃さないように戦うことが肝要です。
●第三章
ボス戦です。
インフラ破壊作戦を指揮するデウスエクス『王族騎士モーゼス』との対決になります。
彼はこのインフラ破壊作戦を任されるほど強大なデウスエクスです。
市街地、『エネルギー供給システム』にも被害を出さぬために立ち回る必要があるでしょう。
それでは決戦都市の動脈たるインフラを断ち切り、破壊線とするデウスエクスの目論見を阻止する皆さんの物語の一片となれますように、たくさんがんばります!
第1章 日常
『市街地復興作戦』
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POW : 大量の資材や瓦礫を運ぶ
SPD : 建造物や設備を修復する
WIZ : より戦いやすい市街地を考案する
イラスト:yakiNAShU
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
湾岸の決戦都市は多くの人々による復興作業が、先日のデウスエクス来襲から続いていた。
最強のデウスエクス種族『ドラゴン』は人々の心に大きな傷跡を残したが、しかし、立ち止まっている猶予はない。
人々は傷つきながらも、立ち向かうことを決意している。
異星よりの侵略者たちに負けてなるものかという不撓不屈の意志が瞳にみなぎっていた。
「よーし、こっちは大丈夫だ。そっちのアンカーの固定を急いでくれ!」
「瓦礫の撤去は『セラフィム』に任せればいいんだろ?」
「一騎しか残ってないっていうんだよ。だから、こうして重機を俺達が動かしてるんだ!」
ああ、そうか、と人々はうなずき重機を動かして瓦礫を撤去していく。
復興するにしたって、やはりこうして破壊された建造物などを一度まとめて更地にしなければならない。
単純だが、そうした作業は多くのマンパワーを必要とするものだった。
加えて、この夏の日差しである。
「流石に堪えるな……」
人々は空を飛ぶ『セラフィム』を見上げ、空の青さと太陽の輝きを恨めしげに見つめる。
「水分補給はこまめにな」
「だがデウスエクスは待ってはくれないんだろう」
「急がず急げってこと!」
「無理難題だな。さあ、もう一踏ん張りがんばろうじゃあないか」
そう言って人々は声を掛け合って、復興への準備を進めていくのだった――。
ヴィルトルート・ヘンシェル
はぁ…何て胸を痛める光景でしょう
何処も彼処も見渡す限り、瓦礫の山
幾ら復興財源はDIVIDEより潤沢に出るとは言え、街の守護天使たるセラフィムが一機のみでは復興の足がかりとなる再開発もままなりませんですわ
この度はケルチューバー活動で得られた収益の寄附と支援物資をお届けに参りましたが、お嬢様たるもの困窮する民に救いの手を差し伸べよ
元ダモクレスという過去が私にございますが、一助となれば機械の躯体を活かした瓦礫撤去をお手伝いしましょう…私、こう見えても力持ちでしてよ?
ですが、このままでは日にちを要してしまいますわ
なので…ここは私の十八番『オーッホッ砲』でかるーく更地にしてあげましょう
オーッホッホッホ!
破壊された建造物の多くが人類の文明の結晶であった。
多くが戦うための設備であることは言うまでもない。ケルベロスディバイド世界において、人類の文明はデウスエクスと戦うために先鋭化されていくものであった。
故に栗化されるのは破壊と再生。
「はぁ……なんて胸を痛める光景でしょう」
ヴィルトルート・ヘンシェル(機械兵お嬢様・f40812)は、己が鋼鉄の胸に当てた手から伝わる痛みにアイセンサーを明滅させる。
何処を見ても破壊の痕が刻まれている。
瓦礫の山を撤去する重機を操る人々は、この夏の日差しの強烈さに呻いていた。
だが、それでも作業を止めることはできない。
こうしている間にもデウスエクスの襲来があるかもしれないのだ。
「幾ら復興財源は特務機関DIVIDEより潤沢に提供サれるとは言え……決戦都市の守護天使たる『セラフィム』が一騎のみでは復興の足がかりとなる再開発もままなりませんですわ」
ヴィルトルートは、空に飛ぶ一騎の『セラフィム』を見やる。
ただの一騎。
そう、この破壊の惨状をもたらしたデウスエクスとオブリビオンの襲来。
事件事態は猟兵とケルベロスによってなんとか撃退することに成功してはいたが、それでも敵はまってはくれない。
「お嬢様たる者、困窮する民に救いの手を伸ばさずしてなんといたしましょうか!」
彼女は『ケルチューバー』活動で得られた収益の寄付と支援物資を携えて湾岸の決戦都市へとやってきていたのだ。
元ダモクレスである己が何を、と言われるかもしれない。
それは杞憂であったのだが、しかし、過去は過去。
変えられるものではないのだ。
故にヴィルトルートは物資を邪魔にならぬところに置いて、瓦礫の撤去を手伝おうとする。
「……確かに皆様の重機による作業は素晴らしいもの。ですが、このままでは徒に日にちを要してしまいますわ」
『おっと、何をするつもりだい?』
湾岸の決戦都市の管理者『エイル』博士から通信が入る。
どうやらヴィルトルートが現地入りしたことを感知したのだろう。
「言わずとも知れたことでございましょう。瓦礫の撤去。ここは私の十八番『オーッホッ砲(オーッホッホウ)』でかるーく更地にして差し上げようというのです」
『それは助かるが、射線上に人員がいないとも限らない。勧告を出したいから、しばしまってくれるかい』
「おやすい御用でしてよ」
ヴィルトルートが待機して数分の後、『エイル』博士から通信が入る。
『射線上の人員の退避が完了したよ。じゃあ、頼むね』
「おまかせございませですわ~! お〜っほっほっほ! 口からおビームですわ〜〜っ!!」
瞬間、ヴィルとルートの掌が口に当てられ、お嬢様の如き高笑いと共に高出力のビームが解き放たれる。
笑い声が止まらない。
光条の一撃が瓦礫の尽くを吹き飛ばし、瓦礫を次々と蒸発させていくのだ。
あっという間であった。
尋常ならざる作業効率。
「うわぁ……なんだあれ」
「ずっと高笑いしとる……」
「でも、あの人が物資を運んできてくれたんだろ?」
人々はヴィルトルートの高笑いを見やりながら、物資を運んできてくれた優しさと高笑いのギャップになんとも言えないおかしみを感じて笑う。
どれだけ窮地に立たされても、笑う声があるのならば、人類はまだ負けてはいない。
ヴィルトルートは止まらぬ高飛車なお嬢様笑いのまま、しかし、そんな人びとの姿に己自身も勇気づけられながら笑い続ける。
「オーッホッホッホ!」
そう、お嬢様がいるかぎり、地球に敗北なんてないのだ――!
大成功
🔵🔵🔵
スイート・シュガーボックス
皆お疲れのご様子。
そんな時に必要なのは何か?…そうだね、お菓子だねッ!
それじゃ、【ミミックわっしょい!】
夏の日差し、こんな時は甘く、冷たく、美味しいお菓子。そう、アイスだねッ!
湾岸都市中に分身達と一緒に散らばってアイスを配り回るよ。
このアイスは、他者の技能を10レベル加算する効果もあるから復興の作業効率もアップさ。
棒アイスだ、わっしょい!
ソフトクリームだ、わっしょい!
シャーベットだ、わっしょい!
かき氷だ、わっしょい!
勿論、避難所の皆にも配り歩く。ほら子供達、パフェだよわっしょい!
エイル博士にも。頭を使ったら糖分補給。山盛りアイスカップだ、わっしょい。
わーっしょい、わーっしょい!
【アドリブ歓迎】
戦いというのはいつだって疲弊を生み出すものである。
異星からの侵略に対抗するためには戦わなければならないのは言うまでもないことだ。けれど、戦いばかりでは生きていけないのもまた事実。
人々を見れば、それがよくわかる。
夏の日差しは強烈であった。
加えて重機を用いているとは言っても復興を行うための瓦礫除去は大変な作業だ。
「……ふぅ」
人々は息を吐き出す。
額の汗が落ちて、地面に染付を作り、それでも手を止めている暇はない。
こうしている間にもデウスエクスの襲来があるかもしれないのだ。
「皆お疲れのご様子」
スイート・シュガーボックス(おかしなミミック・f41114)は、湾岸の決戦都市の人々の重労働に勤しむ姿を見て呟く。
彼らになんとかして涼を、そして癒やしを与えたい。
けれど、それがどんなものであれば喜んでもらえるのかとスイートは考えた。
いや、考えるまでもない。
彼にとって癒やしとは即ちスイーツである。
「夏の日差し、こんな時は甘く、冷たく、美味しいお菓子」
ユーベルコードが輝く。
にっこりマークのシュガーボックスは、錬金術で複製した自分自身を召喚する。
そして、夏場にもっともお似合いのスイーツを生み出す。
「そう、アイスだねっ!」
「さあ、お菓子の時間だ。わっしょい!!」
「わっしょい!」
「棒アイスだ、わっしょい!」
「ソフトクリームだ、わっしょい!」
「シャーベットだ、わっしょい!」
「カキ氷だ、わっしょい!」
次々と分身したスイートたちが、錬金術で生み出した美味しくて冷たいお菓子、アイスを配り歩く。
アイスクリーム、ラクトアイス、アイスミルク、氷菓。
まあ、分類としての細々したことはこの際良いだろう。
スイートは、その冷たい涼菓でもって人々の疲れを癒やす。どれだけがんばっても体が悲鳴を上げていては、効率的な作業なんてできようはずもないのだ。
「さあ、これを食べなよ」
「差し入れってことか? ありがたい」
「でも、食べ過ぎには注意してね。お腹を冷やしすぎてしまっては、逆に脱水症状を加速させてしまうからね!」
スイートたちは、己の体から錬金術で生み出したアイスを配っていく。
「そうだ。避難所の人たちにももっていこう!」
スイートは作業をしているものたちだけではなく、避難所で暇を持て余しているであろう子供らの元へも向かう。
働いている人だけが涼を求めているわけではないのだ。
「さあ、子どもたち。パフェだよわっしょい!」
甘味で涼味が取れるものであれば、もうこの際スイートにとっては関係ないのかも知れない。
「おや、私にも一つもらえるのかい?」
『エイル』博士の元へとスイートは赴き、彼女に山盛りアイスカップを手渡す。
「流石に多いんだけれど……」
「頭を使ったら糖分補給しなきゃだからね。さあ、アイス行列はこちらだよ!わーっしょい、わーっしょい!」
スイートは戦いに傷ついた決戦都市を練り歩き、その涼菓と共に人々を癒やしていくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友
第三『侵す者』
一人称:わし 豪快古風
ううん…こうも瓦礫が多いと、さすがに…。
この世界のお金が使い切れないので、必要なところへ寄付したりしてたのだが…今回はここだな。
あと、幾らかは経済回すためにも資材にしたと、『疾き者』が言っていた。それも運び入れて。その資材の中に、飲み物などもあったりするんだがな。
さて、デカい瓦礫は…わしのUCで叩き割る!
あと、機械触るなと言われた!
※
陰海月「ぷきゅ!」
陰海月も瓦礫に向かってパンチ!UC効果受けてるので、粉々にできるよ!
あっ、おじーちゃん、そっちはダメ!
霹靂「クエッ」
飲み物&塩分タブレットを入れた籠を背負って、配り歩き!
デウスエクスによる破壊の痕は痛々しいものであった。
無事な建造物など何一つない。
少なくとも湾岸の決戦都市においてはそうであった。
戦いの余波もあるだろう。
いずれもが危険であった。故にこうして重機が入り込み、瓦礫を撤去しているのだ。
本来ならば決戦配備に用いられる自律人型戦術兵器『セラフィム』がマンパワーの代わりを果たすものであったが、先の戦いによって一騎を除いて全てが破壊されている。
「ううん……こうも瓦礫が多いと、流石に……」
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『侵す者』はこの世界にてケルベロスと同等にデウスエクスと戦うことで賃金を得ている。
その金額は途方も無いものだった。
命がけでデウスエクスと戦うのだから安くない金額である。しかし、それを使い切ることができるのかと言われれば、また別問題であろう。
「寄付もしているが、今回は此処だな。『疾き者』が言っていたが、いくらか経済を回すために資材として復興支援に回すと言うことは……うむ」
『侵す者』は救援物資を見やる。
資材と共に運び込んだそれは、『侵す者』たちのポケットマネーで用意されたものだった。
季節は夏。
この季節の作業は重労働以上の疲労を人々に齎すだろう。
熱中症や脱水症状。
多くの危険性が潜んでいるのだ。
「これなるは差し入れなるもの。どうか役立てていただきたいのよな」
「ありがたい。少し休憩したら……」
「いいや、しばし、ここで休んでおくのだ」
「だが、それじゃ作業が進まないんだよ」
「任せておくがいい。お主たちの休憩している時間くらいは、わしが稼ぐ」
ぐ、と力こぶを作って見せる『侵す者』。
手にした黒い槍。
それで何を、と人々が問いかけるより早く『侵す者』はユーベルコードの輝き宿した一撃を叩き込む。
それは火のように(シンリャクスルコトヒノゴトク)、一撃で瓦礫を粉砕する。
「ぷきゅ!」
『陰海月』が『侵す者』が破壊する瓦礫の場所を誘導していく。
確かに彼のユーベルコードはあらゆるものを粉砕するものであったが、どうにも方向音痴に思えたのだ。
それに重機は使えない。
彼が使うと何故か壊れるのだ。
故に『陰海月』が『侵す者』を誘導している。
まるで工事現場の誘導員である。ぴっぴっぴ、と笛を吹いているところがまさしくそれに思えただろう。
それを傍目に『霹靂』が背負った籠から人々に飲み物ばかりではなく塩分タブレットといったミネラルを補給する物資を配っていく
「クエッ」
「少しでも休んでおくのだ。この区画の瓦礫の除去はわしらに任せるがいい」
そう言って『侵す者』たちは人々に休憩の時間と与え、負担を肩代わりするのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
トラスト・レッドライダー
復興に、次なる脅威、戦いに勝っても、それで全てが解決とはならない。
ままならぬものだが、目を逸らす訳には、いかないな。
『大空の機神』亡国の主と融合し、巨大化。
今の俺は巨体と【怪力】、25人分搭乗できる体内空間と飛翔能力もある。
人員や物資の運搬、瓦礫撤去、いくらでも力仕事はある…だろう?
エイル博士、勝手が分からぬ故申し訳ないが、指示か、それができる者を頼めるだろうか?
存分に、この身を使ってほしい。
それから、天候操作で雲と、そよ風を呼び込み、
人々を苛む夏の日差しと暑さを多少なりとも緩和しよう。
戦禍に会ってなお、前を向いて頑張る彼らは、
俺にとって、とても好ましく、参考になる。
戦いは連続したものである。
終わりあるものではない。例え、平和であっても仮初のものではない。次なる戦いの礎でしかないのかもしれない。
少なくともトラスト・レッドライダー(レプリカントのデスブリンガー・f43307)の生きた世界はそうだった。
争いばかりだった。
復興しても、それを壊す者がいる。
次なる脅威がそれを為すのだ。
その脅威をしりぞけても、それが訪れるとは限らない。
全て解決とはならないのだ。
「ままならないものだ。だが、目をそらすわけには、いかないな」
そう、どれだけ辛い現実が迫るのだとしても、目をそむけては何をしていいのかわからなくなってしまう。
だからこそ、目はそらさない。
自身の目で見て、自身で行動しなければ、何も得られないことをトラストは知っているのだ。
「変身」
トラストの瞳がユーベルコードに輝く。
『大空の巨神』へと変身したトラストは、立ち上がる。
それは天を衝く巨人であった。
体高にして25m。
この湾岸の決戦都市の決戦配備の自律人型戦術兵器よりも巨大であったのだ。
「な、なんだぁ!?」
「で、でっかい……!? デウスエクスか!?」
人々の声にトラストは頭を振る。
「違う」
「どうやら猟兵のユーベルコードだね。安心したまえ、味方だよ」
『エイル』博士の執り成しで人々は、なんだ、と胸をなでおろす。
「すまない。『エイル』博士、面倒をかけた」
「いいや。むしろ、手伝いに来てくれて助かった、と礼を言うのは此方のほうだよ」
「勝手がわからないんだ、こういうことは。すまないが、指示か、それができる者を頼めるだろうか?」
トラストは巨人へと変貌したはいいものの、どこから手を付けていいのかわからなかった。
故に己を重機代わりにしてほしいと頼むのだ。
「なるほどね。それならば、『第九号』くんにサポートを頼むとしよう」
『お任せ下さい』
トラストに入る通信。
それは一騎だけ残った『セラフィム』から伝えられるものであった。
最後の一騎『セラフィム』を動かしているのはサポートAIの『第九号』だった。
AIゆえの並行処理。
強みと言えば強みであったことだろう。
「頼む。存分に、この身を使ってほしい」
『それでは、こちらの区画の瓦礫除去が遅れています。瓦礫の運び出しをお願いできますか』
「ああ、任された」
トラストは眼下の人々を見やる。
夏の日差しは凄まじいものだ。どれだけ対策をしていても、しきれるものではない。
少しだけ考える。
己が変じた巨人は、天候を操作できる。
日差しが強烈であれば雲で遮ればいい。あるいは、風を呼び起こして僅かでも涼を与えることもできるだろう。
「戦禍に遭ってなお、前を向いて頑張る彼らは……」
トラストの唇の端が僅かに上がる。
どんなに困難が迫っても諦めない者たち。そんな者たちをトラストは。
「とても好ましく、参考になる」
見習わねばな、と己の巨体でもって戦禍に沈んだ決戦都市の復興に携わるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ノエル・ラーズグリーズ
ケルベロス、ノエル・ラーズグリーズ、これより現地に入ります
(……うーん、あの時(対ドラゴンテイマー戦)はあんな風に啖呵を切ったわけなんだけど、実はまだ戦闘支援以外は不慣れなんだよね…でも今後の為にも今のうち慣れておかないと。)
という訳で、こういう時の為のUC【救援準備:補修部隊展開】!修復専門の機械妖精「ブラウニー」を展開、各所に触れさせて「損傷・破損を修復」させて回ります。後、一応車体の上に載せられる程度の物資は運びます。……問題なのは、何でかわからないんだけど、ブラウニーで修復すると、何故か形状が、その、|ファンタジーっぽくな《幻想化す》るんだよね……どういう理屈なんだろう
「ケルベロス、ノエル・ラーズグリーズ、これより現地に入ります」
ノエル・ラーズグリーズ(楽園の追放者。・f40853)は可変式魔導戦闘車両『白銀』と共に湾岸の決戦都市へと到着する。
眼の前に広がるのは、先日の戦いの傷跡であった。
最強のデウスエクス種族ドラゴンとの戦いだったのだ。むしろ、この程度ですんだだけでも儲け物であったかもしれない。
それほどまでにドラゴンというデウスエクスは地球の人々にとって恐怖の象徴だったのだ。
「ああ、助かるよ。こちらは頼んでもいいかい」
決戦都市の管理者『エイル』博士からの通信にノエルは頷く。
謎のオブリビオン『ドラゴンテイマー』との戦いでは、勢いよく啖呵を切ったものであるが、未だに戦闘支援以外は不慣れである。
それをおくびにも出せない。
ケルベロスである自分の姿が人々に如何なる影響を与えるのかをノエルは知っている。
だからこそ、姿をさらして戦うことは、あまりできないと思っていたかもしれない。
でも、とも思うのだ。
いつまでも慣れない、不慣れ、と言い訳しているわけにもいかない。
今後のために今のうちに慣れて置かなければ、という向上心がノエルには遭ったのだ。
「修復部隊を出します!……ちょっと、形状が変になるけど……我慢して」
救援準備:補修部隊展開(コールメタルフェアリー・ブラウニー)によって、修復専門の機械妖精『ブラウニー』が『白銀』より飛び出す。
機械妖精たちが触れた場所は、損傷した部位分を回復させる。
しかし、形状が一部おかしなことになっているのだ。
「んんっ!?」
「あの、その、本当に……気にしないで、いえ、我慢して」
「いや、なんか、元と形が違うっていうか……」
人々の困惑した声色にノエルは『白銀』の中で縮こまる。
そう、彼女のユーベルコードは破壊されたものを修復させる力がある。
だが、機械妖精『ブラウニー』の特性からか、修復した箇所が幻想的な……有り体に言えば、ファンタジックな装飾に彩られてしまうのだ。
不評を買うところもあったので、ノエルh、我慢して、と再三にわたって念押ししていたのだ。
「なんでこんなことになっているんだい?」
『エイル』博士の言葉にノエルは、肩を震わせる。
怒られるかもしれない!
「ええっと、それは、そのぉ……」
「どういう理屈なのだろうか? ぜひとも成分を検出してみたいんだが、いいかね?」
あれ、怒られない?
むしろ、『エイル』博士は学術的な興味の方が勝り、形状がファンタジックになっていようが関係ないようだった。
「よく見たら、なんかいつもと違っていいよな。カクカクしたのよりは温かみがあるっていうか」
「うん、いい感じ」
ノエルは人々が修復された建物を見て好意的に捉えているのを見て、胸をなでおろす。
「で、これはどういう原理なのだろうか?」
「えっと、どういう理屈かは私もわかんなくって……」
「ますます興味深いねぇ!」
なら、とノエルはサンプル数を増やすために次々と機械妖精たちでもって建物を修復していく。
次はあっちも、こっちも、と引っ張りだこになって疲弊したのは別の話である――。
大成功
🔵🔵🔵
ソフィア・エルネイジェ
縮退炉…?
もし仮にブラックホールが使用された縮退炉ならば、破壊で生じる損害は多くの人命が失われる所では済まないやも知れません
この案件の危険性は語られた内容以上に深刻ともなりましょう
瓦礫の撤去に重機が求められているようですね
ではインドラと作業に従事しましょう
重機が進入出来ないほどに足場の悪い環境下ではキャバリアの走破性が特に発揮される事でしょう
人の手には余るもの…特に重く巨大な瓦礫をラースオブザパワーにて撤去します
しかし移動させられる瓦礫の大きさにも限りがございましょう
バイトファングである程度粉砕してから撤去を進めます
あちらの機体は…異なる世界で異なる運命を辿ったセラフィムなのでしょうか?
湾岸の決戦都市に存在する『エネルギー発生システム』。
それがこの都市のインフラストラクチャーを支えるものであることは言うまでもない。そして、その『エネルギー発生システム』――『縮退炉』を狙うデウスエクスの襲撃が予知されている。
ならば、護らねばならぬとソフィア・エルネイジェ(聖竜皇女・f40112)は己がキャバリア『インドラ』と共に現地に入る。
しかし、彼女には気がかりなことが一つあった。
『エネルギー発生システム』――『縮退炉』。
もし、仮に縮退されている物質がブラックホールのようなものであったのならば、破壊されることによって生じる被害は、人命が失われるどころでは済まないかも知れない。
「となれば、この案件の危険性は語られた内容以上に深刻なものとなりましょう」
だが、徒に警告を飛ばしても人々を不安にさせるだけだということもソフィアは理解していた。
為政者としての資質を持つのならばなおのことである。
なら、己が取れる択は一つ。
『エネルギー発生システム』を守り切ること。
「すまないね。そちらの方の準備は進めているよ。ご心配痛み入るよ」
『エイル』博士から機体に通信が入る。
ソフィアは『インドラ』と共に瓦礫を撤去する作業に従事していた。
獣脚であるアンダーフレームであればこそ、人々の操る重機が踏み込むことのできぬ場所まで踏み入ることができる。
そういう意味ではキャバリアの汎用性の高さが役立つ場面であったことだろう。
「いえ、これも使命というものでございましょうから」
サブアームで瓦礫を持ち上げ、重機以上の活躍をする『インドラ』に人々の喝采が飛び交う。
恐竜型ということもあって、人々には人気が高いのかもしれない。
運び出せぬ瓦礫は顎部であるバイトファングで噛み砕きながら『インドラ』は瓦礫を撤去し続ける。
「そう言ってくれると助かるよ。大助かりだ。それにしても、君の持ち込んだ重機……いや、戦術兵器かな。それはすごいね。どういう動力炉をもっているんだろうか」
「国家機密ですので」
ソフィアに語れることは多くはなかっただろう。
だが、彼女も気になることが一つあった。
先んじた戦いによって破壊された決戦配備の自律人型戦術兵器『セラフィム』。
その最後の一騎。
せわしなく飛び続けている姿をソフィアは見上げた。
見覚えがある。細部は違うが、技術系統は彼女が故郷たる世界、クロムキャバリアにて見かけたことのある機体に似通っているのだ。
「あちらの機体は……」
「ああ、『セラフィム』だ。私が開発を行っている自律人型戦術兵器さ。確かに君等ケルベロスや猟兵は対デウスエクスにおいては貴重な戦力だ。けれど、数に限りがある。だから、無人機でサポート、もしくはデウスエクスを打倒できないかと開発しているのさ」
だが、先日の事件で一騎を残して全て破壊されてしまったのだ。
「そうでしたか……」
ソフィアは、名前さえも同じ体高5m級の戦術兵器が飛ぶ様を見やる。
異なる世界で異なる運命をたどった『セラフィム』ということなのか。
それとも、世代を重ねて連なっていく果ての……末裔めいたものなのか。
『インドラ』は黙して語らなかった――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
(ステラさんの雄叫びを聞いてから、センターのサンパチマイクの高さを調整して))
はい、そんなわけで今日も頑張らないとって思っているわけなんですけども、
なんといいますか、瓦礫、すごいですね。これの撤去とか、かなりの重労働ですね。
身体使わないとってところなんですけど、身体を使うと言えばやっぱりごはん!
美味しいご飯で力出してもらわないとって思うわけですよ。
あ、『エイル』さんは指示出してもらえればだいじょぶですよ。
第九号さんはセラフィムがありますけど、
35歳の『エイル』さんに肉体労働は厳しいですからね!
飲み物は、ステラさんが用意してくれますし、
みんなに美味しいご飯を作っていきますよー♪
ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》のー!!!!
香りがしまぁぁぁぁぁぁぁすっ!!!!!
はいっ! エイル博士がお呼びと聞いて参上しましたっ
第九号様がいない今、メイドの天下ですねっ
……チッ、いましたか
それにしても縮退炉とは……
『バイ・スタンダー』の動力源ではないですか
まさか……機体が海底に眠っているのですか?
第35世代のセラフィムがこのような性質であることと何か関係が?
ところで、エイル博士の御年アッハイスミマセン
ともあれルクス様
ここはルクス様が最高に輝くタイミングではないでしょうか!
何かと言うと、炊き出しとか
水分補給に関してはメイドのサーブにお任せください
ええ、ご要望の飲み物を全て揃えてみせましょう!
『エイル』博士は、ビクッと肩を震わせた。
嫌な予感がしたからである。
虫の知らせってやつであったかもしれない。
けれど、悲しいかな。
どんなに予感を覚えても、対処方法を知らなければ意味がないのである。
「|『エイル』様《主人様》のー!!!! 香りがしまぁぁぁぁぁぁすっ!!!!!」
怒号めいた叫びが響く。
『エイル』博士は、耳鳴りがする思いであった。
「――っ!?」
「はいっ!『エイル』博士がお呼びと聞いて参上しましたっ」
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は、にっこりであった。
とてもニコニコしていた。
そして、ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)はすっかり慣れっこであると言わんばかりにステラの前のサンパチマイクの高さを調整していた。
慣れっこっていうか、スタッフかな?
いや、もしかしたら、このままサンパチマイクの前でコンビとして漫才を始めるのかも知れない。
いや、案外いいかもしれない。
戦禍に傷ついた人々に慰問。怒涛の漫才で笑かしてあげるのも心の平穏を取り戻すには必要なことなのかも。
なんて。
「はい、そんなわけで今日もがんばらないとって思っているわけなんですけども」
始まった! なんか漫才のつかみみたいな感じでルクスが始めた!
「なんといいますか、瓦礫、すごいですね。これの撤去とか、かなりの重労働ですね」
「『第九号』様がいない今、メイドの天下ですねっ」
『おりますが』
「……チッ、いましたか」
トリオだった。
いや、そもそも漫才をしているわけではない。
「それにしても『縮退炉』とは……『バイ・スタンダー』の動力源ではないですか」
ステラは星の海にて今も惑星ジェミニィにて相争い続けているであろう機械種族のことを思い出す。
何故、それが此処にあるのか。
「まさか……機体が海底に眠っているのですか?」
「いいや、違うよ。これは『セラフィム』の原型となった機体から取り外したものだ。というか、よく知っているね」
『エイル』博士の言葉にステラは、少し照れる。
「あの髭面の渋オジが言っておりましたからね。第三十五世代、と。ところで『エイル』博士のお年アッハイスミマセン」
「べつに隠しているわけではないけれどね。まあ、女にとって年齢の話っていうのは、いつだってタブーだ。そうだろう?」
にこやかな『エイル』博士の表情にステラは黙るしかなかった。
「でも皆さん、一生懸命ですね。うん、やっぱりここはご飯ですよ!」
そんなステラと『エイル』博士のやり取りとは裏腹にルクスは底抜けに明るかった。
そう、元気の源はご飯なのである。
ご飯があれば、元気が出る。そういうものなのである。
「美味しいご飯で力を出してもらわないとって思うわけですよ」
「資材ならば救援物資が多く届いているよ。活用してもらえるのならばありがたいんだがね」
食材は豊富なのだと伝えられればルクスは、よしきたと言わんばかりに腕まくりする。
「師匠の専属料理人(エヅケ・マスター)にお任せあれ! さ、ステラさんもいつまでも『エイル』博士にくっついてばっかりいないでください! 手伝ってくださいよー」
「わかっておりますとも。ですが、あともう少し『エイル』様成分のチャージを」
「何事も完璧にこなせる超有能なメイドでしょ、がんばってくださいよ!」
「……わかりました。ルクス様が最高に輝くタイミングとあれば、この超有能メイドとしての仕事ぶりをお見せする時でございましょう」
さあ、とステラは俊敏に瓦礫撤去の作業場を駆け抜ける。
人々の発汗状況を確認して、的確に飲み物をサーヴしていくのだ。
「ええ、ご要望の飲み物を、ご用命いただく前にサーヴする。この超有能メイドの活躍ぶりをご確認くださいませ。ええ、『第九号』様より役立って見せますとも!」
どこに対抗心を燃やしているのだというルクスのツッコミは炸裂しなかった。
ルクスはそんなことよりも美味しいご飯を作ることに夢中になっていたのだ。
その臭いに釣られて人々が休憩所にやってくる。
「なんか美味そうな匂いがしてると思えば!」
「すっげぇ……!」
「はーい、どんどん食べて下さいね! あともう一踏ん張りですよ!」
ルクスは笑顔とともに人々に自身の料理を提供し、この過酷な環境においても人々の英気を養うのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アルカ・スィエラ
【POW】
……正直何ができるか、と聞かれれば私自身大したことはできない訳なんだけど、【機界新生】を使ったセラフィムがその後何か異常はないかとか、そういうのはちゃんと見ておくべきだと思うから。
……それだけよ、エイル…博士(つい呼び捨てにしてしまったので後から付け足す感じで)
……けれど、手が足りてないみたいだし、『フローリア』と『ステラリッパー』を手伝いに出すし、アルカレクスで大規模作業を手伝う事にするわ。
とりあえずは、そうね、余計な瓦礫をストライクスマッシャーで破壊したり、Eフィールドの圧力で余計な瓦礫を圧縮したり、ドラグカプトを展開して……(思案)その……瓦礫とか、咥えてたくさん運んだりするわ
アルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)は自身の機体と共に湾岸の決戦都市へと降り立つ。
眼の前には破壊の痕ばかりだった。
先日の戦いの影響である。
それほどまでに苛烈な戦いだったのだ。いずれの建造物もダメージを受けている。
使い物にならないものばかりだった。
加えて、この決戦都市の決戦配備の尽くが破壊されている。
残されたのは一騎の『セラフィム』だけだったのだ。
どう考えても手が足りない。故にアルカは己の機体と共に瓦礫の撤去を手伝いにやってきたのだ。
「……正直何ができるか、と聞かれれば私自身大したことはできないわけなんだけど……」
残された最後の一騎『セラフィム』がせわしなく空を飛んでいるのを見上げる。
どうやら、彼女のユーベルコードの影響はあまり受けていないようである。
以前の経験からアルカは己のユーベルコードによって痛い思いをしていたからだ。
懸念は杞憂であったことを理解するが、ちゃんと見ておくべきだと『エイル』博士に問いかける。
「不調はない?」
「ああ、別段ね。完全に破壊されてしまった『セラフィム』たちはどうしようもないが、残った一騎だけはなんとか」
「こう、なにか別の機能が生まれているとか、そんなことは」
「流石にないよ。とは言え、機体装甲は金属細胞式装甲を採用しているからね。些細な傷であれば自己修復してくれるのでメンテンナンスフリーなのだよ!」
『エイル』博士の言葉にアルカは目を見開く。
今何と言った?
金属細胞式装甲?
「それは、どういう」
「ん? 気になるかね。『セラフィム』の装甲は金属細胞を用いた自己代謝によって大きな破損でなければ、自動修復されるのだよ。これでメンテナンスという煩雑かつ、複雑で時間のかかる作業が短縮されているんだよ」
アルカはそれ以上『エイル』博士を問いただすことはしなかった。
彼女がクロムキャバリアで『レーギャルン』に金属細胞を付与して、のちの事件に繋がったことを思い出していた。
だが、『セラフィム』にはすでに金属細胞がある?
一体どこで、どのタイミングで?
加えて、此処はクロムキャバリアではない。
ケルベロスディバイド世界だ。
如何なる理由で、金属細胞がこの世界にあるのかがわからない。
「……手が足りていなところを手伝うよ」
アルカは答えが出ないまま、己の機体と共に瓦礫撤去を手伝うべく市街地へと向かう。
わかっている。
今、己がやらねばならないことがある。
ぐるぐると頭の中で思考が巡る。
瓦礫を粉砕し、運び出しながら、己のもたらした金属細胞が変遷している経緯を考えるのだ。
「……どういうこと?」
先の事件では『ドラゴンテイマー』は『セラフィム』のことを第三十五世代と言った。
世代を経る兵器。
己のもたらした金属細胞が脈々と受け継がれているのならば。
アルカは頭を振る。
今はやるべきことがある。
それに集中するために意識を切り替えて、瓦礫の除去に務めるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ティオレンシア・シーディア
…まあ、ふつーに考えて。いくらエネルギーインフラが無事だからって、防衛設備の吹っ飛んだ裸城じゃあどの道崖っぷちもいいとこよねぇ。
今足りないのは何よりもマンパワー、それじゃあちょっと増やしましょうか。●必殺を起動、描くのは|神聖文字《ヒエログリフ》。表音文字であると同時に象形文字だから、その分種類がすごく多いのよねぇ。
粗方の状況には対応できるし、このUCの本領は築城や陣地構築。設備は粗方木端微塵とはいえ最低限の体裁を整えるくらいの時間はありそうだし、どんどん片付けてじゃんじゃん建ててくわよぉ。○罠使いに時間を与えたらどうなるか、侵略者どもにきっちり教授してあげましょ。
デウスエクスの狙いはインフラストラクチャーである。
地球人類を群体として捉えるのならば、それは命脈そのものであったことだろう。
湾岸の決戦都市の状況はよいものとは言えない。
先日の事件によって市街地は破壊されつくされていたし、決戦配備の尽くが破壊されている。
状況は最悪とも言えるものであっただろう。
だが、人々はこんな最悪など日常茶飯事であるとでも言うかのように懸命に瓦礫の除去や復興作業に勤しんでいた。
これが異星からの侵略者に人類が一致団結して立ち向かうことを覚悟した者たちの強さであった。
「まあ、ふつーに考えて。いくらエネルギーインフラが無事だからって、防衛設備の吹っ飛んだ裸城じゃあどの道崖っぷちもいいとこよねぇ」
ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)は、眉根を寄せていた。
確かに状況は最悪である。
しかし、最悪の中でもさらに悪いものではないと言える。
不足しているのはマンパワー。
本来ならば決戦配備の自律人型戦術兵器がマンパワーを底上げしていたのであろうが、それも一騎しか残っていないのだという。
「それじゃあ、ちょと増やしましょうか」
必殺(コンストラクション)――それは彼女のユーベルコードだった。
彼女が宙に描くは神聖文字。
表音文字でありながら、象形文字。
描かれる文字は、その数だけ意味があり、形がある。故に、ティオレンシアは、その表敬文字たる力の象徴をもって、時間さえ許せば市街地を元に戻すことさえできると革新していた。
「種類が多いのが助かるのよねぇ」
でもまあ、と彼女は描くのに時間がかかる、と苦笑いするようだった。
そう、描く文字が多いということは、それだけ彼女の負担が大きいということだ。
「面白い技術だね。それは」
亜麻色の髪の女性『エイル』博士が、ティオレンシアのユーベルコードを見やり、興味深げに頷いている。
「このユーベルコードの本領は、築城や陣地構築なのよねぇ」
「ふむ、だが、そんなにすぐにできるものかい?」
「それが無理なのよぉ。だから、時間を掛けないといけないの。でも、効果は抜群」
敵の襲来が予知されているのならば、余地あるはずだ。
最低限の体裁を調える時間はあるはずだ。
「ふむ。じゃあ、敵を敢えて誘導するように陣地構築も?」
「できるわよぉ。ふふ、罠使いに時間を与えたらどうなるか、侵略者共にきっちり教授してあげましょ」
ティオレンシアは笑む。
その笑みがどこか恐ろしげなものに思えたのは、人々の気のせいだっただろうか?
けれど、それは『エイル』博士の浮かべる表情もまた同様であった。
「ふふふ、ならば、そちらの方は頼んでもいいかい?」
「時間はちょっといただくけどねぇ? お任せあれよぉ?」
この二人が味方でよかった、と人々は心底安堵し、象形文字が生み出していく陣地を見上げるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ファルコ・アロー
あの爬虫類どもとその親玉のおっさん、ほんっと盛大に好き勝手やってくれたですねぇ!
また出てきやがったら、今度は引っ掴んだまま地面スレスレを最高速で飛んで跡形もなく摩り下ろしてやるですからね!
とりあえずあのセラフィムとか言うキャバリアも仲間がほぼ全滅してるみたいですし、ボクはアイツを手伝ってやるですかね。
瓦礫の撤去くれーなら、ボクのパワーが役に立つはずです。
持ち上げたまま推力移動で飛んだりも出来るですし、最短距離で動けるのは他の重機にはないボクの強みでしょう。
まぁこの仕事は時間をかければ猟兵でなくても出来る事です。
きっとボク達の本当の仕事はこの後……瓦礫運び自体は楽勝でも、気は抜けねーですね!
先日の事件はケルベロスディバイド、湾岸の決戦都市に甚大なる被害を与えていた。
人的な被害が最小限に抑えられたのは喜ぶべきことであったが、しかし、市街地へのダメージは深刻そのものであった。
いずれの建造物も使いものにならなくなっている。
それに加えて、決戦配備の自律人型戦術兵器も一騎を残して破壊され尽くしている。
「あの爬虫類どもと、その親玉のおっさん、ほんっと盛大に好き勝手やってくれたですねぇ!」
ファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)は被害の大きさに憤慨するしかなかった。
破壊の痕は、取り返しがつかないものばかりだった。
瓦礫を撤去する人々の額には日差しを受けて汗が煌めいていた。
酷暑とも言える状況であっても、彼らは休めないのだ。
いつまたデウスエクスの襲来があるかもわからない。
故に彼らは、せっつかされるようにして作業を進めなければならないというストレス、プレッシャーにも圧されていたのだ。
「……また出てきやがったら、今度は引っ掴んだまま地面すれすれを最高速で飛んで跡形もなく摩り下ろしてやるですからね!」
まったく! とファルコは来る決戦に思いを馳せる。
とは言え、ここから自分ができることを考えなければならない。
あの『セラフィム』とかいうキャバリアもどきも、一騎を残して全滅しているということだった。
となれば、ファルコはいつもどおりだと思っただろう。
自分がクロムキャバリア世界で部隊を手伝うのと同じだ。
「というわけで、よろしくですよ。てめーのお手伝いしてやりますから」
『よろしくお願いします』
サポートAI『第九号』の声にファルコは頷いて、『セラフィム』に随行する。
一騎しかない自律人型戦術兵器。
その用途は重機が入り込めない場所への瓦礫の撤去であった。
「ふ・る・ぱ・わぁぁぁぁ!」
ファルコの瞳がユーベルコードに輝き、瓦礫を持ち上げる。
明らかに体躯と見合わぬパワーに人々からは歓声が上がる。
「はいはい、てめーら下がるですよ。あぶねーですからね!」
ファルコは瓦礫を持ち上げて飛んで瓦礫を集積する場所へと運ぶ。
重機であれば、これを集めてトラックなどで運び、またこれをべつに移したりという作業があるのだが、ファルコは生身単身。
そのまま運んで、そのまま投棄することができる。
しかも空を飛ぶことができるので最速にして最短で往復することができるのだ。
とは言え、ファルコは誇らない。
これは猟兵でなくてもできることだ。
時間さえ掛ければ、という条件はあるが、いつデウスエクスの襲来があるかわからない状況においては、彼女の力は最大限に発揮されることだろう。
「さあ、どんどん行くですよ!」
ファルコは本当の仕事がこの後に控えていることを知っている。
そう、デウスエクスはインフラストラクチャー『エネルギー発生システム』を狙ってやってくることが予知されている。
瓦礫運びは楽勝そのもの。
だが、気が抜けない。
敵は抜け目なく、自分たちの目をかいくぐってくるだろう。
「どこからでも来やがれってんですよ」
瓦礫の汚れのついた手を払いながらファルコは常在戦場の心持ちで瓦礫撤去作業を進めていくのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
ぎゅいいいいいん!
がりがりがりがり!
どかーん!
ぼかーん!
●働く神さま働くくるますき
わーいわーい
もっとがーっとやるんだよーがーっと!
なになにーもうへばったのー?最近の人の子根性ないなー
昔は塩飴も空調服もなかったんだよー?
え?平均気温が全然昔と違う?そうかなー?もっともっと昔はもっとずっと暑かったよ!
んもーしょうがないなー
と空が落ちてきそうと評判なビッグサイズ[球体]くんを空に浮かべて日差しを遮ってあげよう!
あとはそうだね
願いの総量に応じてちょっとだけ涼しい風を吹かせてあげよう!(UC使用)
最近は神さまにお願いサービスも課金従量制だからね!願えば願うほど風が吹くんだよー
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は、大はしゃぎであった。
瓦礫撤去。
それはいくら破壊してもいいものであった。
もう役目を終えたものであるとも言えるし、再生の時を待つものでもあったことだろう。
「ぎゅいいいいいん! がりがりがりがりがり! どかーん! ぼかーん!」
口で全部言っているだけである。
だがしかし、彼の拳はあっという間に瓦礫を粉砕していくのだ。
下手な重機より早い。
「……なんていうか、すさまじいよな」
「あれどうなってんだろう」
重機に乗る人々はロニの姿に驚愕するしかなかった。
ある意味当然であったかもしれない。
「もっと、がーっとやるんだよー、がーっと!」
「いや、そうは言うけど、瓦礫の位置とかもあるし、崩落したら、それこそだし……」
「んもー! 時間ないよー! ノルマノルマノルマだよー!」
人々にロニは手を降って作業進捗の遅れを訴える。
瓦礫が多すぎるというのもあるが、それ以上に深刻なのが暑さである。
季節は夏。
日差しが強烈であったし、気温の上昇も凄まじいものであった。
太陽が天頂に差し掛かれば、それだけで人々はダウンしてしまいそうだった。
「なになに、もーへばったの? 最近の人の子根性ないなー」
ロニはめちゃくちゃなことを言っている。
「昔は塩飴も空調服もなかったんだよー?」
「それは認めるところだけど、気温が違いすぎるだろ……」
この神、スパルタ式である。
ロニの言葉に人々は訴えた。
「そうかなー? 昔はもっともっと暑かったよ!」
いつのことを言っているのか定かではないが、そういうときもあったのだろう。
ロニは腕組して思案する。
確かに以前と比べると人の子は環境に対応できなくなってきているのかも知れない。進化の頭打ちってやつなのかもしれない。
「んもーしょうがないなー」
そう言って球体を彼らの頭上に浮かべる。
これなら影となって日差しは遮られるだろう。
「あとはそうだね、風もあると助かるのかな?」
ユーベルコードによって夏風とは思えない涼しい風を送り込む。
「おお、涼しい。いい風が吹いてるじゃないか」
「よし、もう一踏ん張りしようぜ!」
人々が奮起するようにして立ち上がるのを見て、ロニは頷く。
最近の神様はお願いサービスも課金従量制ってやつなのである。
願えば願うほどに風が吹くのだ。
例えがどうなんだろうかと、思わないでもなかったが、しかし、ロニのユーベルコードは願いの総量に応じて叶えられるものである。
酷暑に涼風を。
それは誰もが願ったものであろう。
「さあ、がんばろーね!」
ロニは風に背中圧される人々と共に瓦礫の撤去に勤しむのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『螺心衆』
|
POW : 集団行動
レベル×1体の【螺心衆】を召喚する。[螺心衆]は【陰】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD : 薬剤投与
【催眠剤】を視界内の対象1体に飲み込ませる。吐き出されるまで、対象の身体と思考をある程度操作できる。
WIZ : 諜報活動
技能名「【情報収集】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
イラスト:ももはなだ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
それは影のようなデウスエクスたちであった。
人々によって撤去された瓦礫。
それは彼らにとっては好ましいものではなかった。影から影に飛ぶ 『螺心衆』 は、市街地の中心部に存在する『エネルギー発生システム』を破壊するために行動している。
直接戦闘に長けたデウスエクスではないが、しかし、必ずや使命を果たそうとする気概があったのだ。
「……ターゲット未だ確認できず」
「座標は合っている。となれば」
「地下か」
「しかし、先日の攻撃にまぎれよという指令であったが」
「ここまで復興が進んでいるとは想定外」
彼らは互いに意識を共有し、情報を伝達する。
破壊すべき『エネルギー発生システム』が地下にあることを突き止めたまではよかったが、猟兵やケルベロスたちによって潜むべき瓦礫を撤去され、さらには陣地のようなものまで構成されているのだ。
予想外であるが、しかし、問題はない。
「各自、行動を開始せよ。一体でもたどり着ければ、それで良し」
そう、破壊するだけならば簡単なことなのだ。
故に、と彼らはインフラストラクチャーの要たる『エネルギー発生システム』を破壊するために市街地を飛ぶように駆けるのであった――。
ヴィルトルート・ヘンシェル
●SPD
…そろそろ頃合ですわね
私が元デウスエクスの尖兵であった経験からお電卓を叩いて計算すれば、このタイミング
ええ、みるみると復興していく様を見せつけられれば、もっと厄介な事態になる前に時計の針を進めておきたいですもの
エイル博士より提供されました都市おデータと現在更新されてるおデータを適合すれば…私であれば相手の裏をお掻きされつつ、このルートでお忍び遊ばされますかしら?
私のお仕事は手早くお済ましましたので、予めスタンバってお待ち受け致しますわ
私は|機械生命体《レプリカント》
どのように睡眠剤をお飲みさせるのか興味が尽きませんが、お手付きされる前に私の研ぎ済まれた『破鎧掌』でスパーンとさせますわよ
カチャカチャ、ッターン!
電卓を弾く音が闇に響き渡る。
「……そろそろ頃合いですわね」
ヴィルトルート・ヘンシェル(機械兵お嬢様・f40812)は、お嬢様電卓を弾き、デウスエクスの襲来のタイミングを測っていた。
彼女のもつお嬢様電卓の手にかかれば、デウスエクスが襲来するタイミングを察することなど造作もないことであった。嘘である。単純に予知を知り、また同時に彼女が元デウスエクスの尖兵たるダモクレスであった経験から来る経験則というやつであった。
「それにしても、見事なものです」
彼女は猟兵やケルベロスの手伝いがあったとは言え、人々がここまで復興を成し遂げたことを知る。
デウスエクスにとって地球人は群体。
ならばこそ、インフラストラクチャーを断ち切ることが動脈を断ち切ることと同義と捉えるのは当然の帰結であったことだろう。
故に、ヴィルトルートは思う。
もっと時間を掛ければ地球人は、デウスエクスに対して厄介な事態を呼び込むであろう、と。
「となれば、強引にでも時計の針を進めておきたいと思うのもの!」
「――と、考えるであろうな」
瞬間、ヴィルトルートの背後から迫るはデウスエクス『螺心衆』であった。
ヴィルトルートの口腔部に当たる部位に流し込まれるは液体のようなものであった。
「――!?」
いつの間に、とヴィルトルートは思っただろう。
『エイル』博士あから提供された都市のデータ。
そして現在も更新され続けているデータを適合すれば、相手の裏を突けると思っていたのだ。
だが、それをかいくぐるほどの技量を『螺心衆』は持ち得ていたのだろう。
ヴィルトルートに流し込まれた謎の液体は催眠剤。
これによって『螺心衆』は諜報活動を意のままに行うことができるのだ。
「ふっ、他愛ない。貴様はこのまま我等が同胞を……ぬっ!?」
催眠剤によってヴィルトルートを操ろうとした『螺心衆』は目を見開く。
そう、ヴィルトルートは、そのアイセンサーを輝かせながら破鎧掌(ブレイクビンタ)の一撃を叩き込み、『螺心衆』をぶっ飛ばしたのだ。
「――!? な、何故催眠剤が、効かぬ……!?」
超振動するお嬢様の掌。
そう、ヴィルトルートは元ダモクレス。
レプリカントであるが、その生体部品は毒などの異物を即座に排出さえるのだ。
「私は|機械生命体《レプリカント》。まったくレディの背後を取るとは不届き千万。お嬢様たる優雅な、おビンタという制裁を甘んじて受け入れるがよろしくてよ?」
「……ッ! 貴様!」
「御免遊ばせ」
研ぎ澄まされたビンタが飛ぶ。
逃げようとする『螺心衆』の頬をまた打つビンタ。
それは容赦のないビンタであった。
スパーン! と快音が響くような、綺麗なフォームであった。
もしも、写真を取ることがあれば、それはそれは見事なフォームであり、ピューリツァー賞ものであった。
「少し震えるかも知れませんわよ? ……あら」
ヴィルトルートは絶命した『螺心衆』が壁面にめり込んでいるのを見上げる。
少々やりすぎたかもしれない。
だが、いいのだ。
レディの背後から忍び寄るだけではなく、いかがわしい薬剤を飲ませようとしたのだ。
これくらい、当然の罰である――!
大成功
🔵🔵🔵
ソフィア・エルネイジェ
予期せずして瓦礫の撤去が敵の潜む影を取り除く事に繋がりましたか
闇に忍ぶ刺客との戦いは王族の常
アイギスの装具を纏い、縮退炉に続く直線の路上で迎え撃ちましょう
我が威光差すところ、陰の潜む余地無し!
シールド・オブ・アイギスの輝きにて陰を照らし出し、刺客の所在を光の下に暴き出しましょう
私を討たぬ限り忍ぶ事叶わず!
先に進みたくばこの大盾を砕いてみせなさい!
守護聖域を展開し、後方を封鎖します
敵の数は紛れもなく脅威
故に直線の路上で待ち受けるのです
闇を跳ね除ける大盾、そして鎧で攻撃を受け止めましょう
暗き刃では我が聖雷の守護を切り裂くに能わず!
反撃はランス・オブ・アイギスにて
闇諸共に貫き打ち払います
影から影へ。
それがデウスエクス『螺心衆』の本領であった。
しかし、その影を生み出す瓦礫は猟兵やケルベロスたちによって除去されている。
故に彼らの身を隠す影は生まれることはなかった。
市街地の中心たる『エネルギー発生システム』へと向かうためには、遮蔽物のなき道を征かねばならない。
予期せぬことであったし、怪我の功名でもあったが猟兵、ケルベロスたちが為したことはデウスエクスの初手を潰すものであったのだ。
「闇に忍ぶ刺客との戦いは王族の常」
そう、だが敵はデウスエクス。
尋常ならざる力を持って、潜み迫るものである。
この影たる刺客『螺心衆』たちを迎え撃つは、光輝たる槍掲げたソフィア・エルネイジェ(聖竜皇女・f40112)であった。
彼女の手にした槍は戦旗を翻し、もう片方の手に持つ大盾は深淵を照らすものであった。
「我が威光差すところ、陰の潜む余地なし!」
構えた盾より後方は、すでに守護聖域(ディフェンスサンクチュアリ)と化した。
そう、背後に守るは『エネルギー発生システム』である。
デウスエクスの目的はこれの破壊。
しかし、それを為すための最大の障壁が此処に立つ。
「くっ……光輝く盾、だと! だが、影は光によって色濃くなるものよ! いかなる者かしらぬが、我等『螺光衆』を甘く見るな!」
彼らは分裂するようにして瞬時に無数の『螺心衆』を呼び寄せ、一斉にソフィアへと襲いかかる。
四方八方。
いや、ぐるりと全周を取り囲むような数であった。
圧倒的な数の暴威。
しかし、案ずることはない。
此処にあるは、常勝にして光輝たる皇女。
麗しき姫君たる姿なれど、その身に宿したるは武威そのもの。
ソフィア・エルネイジェは、次なる王国を率いる頂点に座す存在である。
故に彼女のユーベルコードは護るだけではない。
「私を討たぬ限り忍ぶこと叶わずと数で攻める意気や良し。されど、数のみにて我が身を屠ること能わず」
裂帛たる気合と共にソフィアの手にした大盾の一撃が迫る『螺心衆』の顔面を打ち据える。
紛れもなく数は脅威。
如何にソフィアが優れたる猟兵であろうとも、数を前にしては立ち行かぬ。
されど、知るがいい。
彼女はただの姫君ではないのだ。
護られる姫などすでに時代錯誤。
これより見せるは先陣立って戦う強き姫君の時代である。
彼女の振るう槍が『螺心衆』を薙ぎ払い、さらには迫る刃は機械鎧が全て受け止めるのだ。
「刃が通らぬだと!?」
「我が『アーマー・オブ・アイギス』、暗き刃では我が聖雷の守護を切り裂くに能わず! なれば、受けるがよいでしょう。聖なる雷は闇を払うもの。故に!」
炸裂する光は『螺心衆』を打ちのめし、全周囲にわたってほとばしるのだ。
「くっ……! やはり手練れ! ただの女と思ってはいなかったが!」
「闇諸共に貫き、打ち払わせていただきます!」
ソフィアは己が背に護るインフラストラクチャーの要、そして破壊されれば如何なる被害を齎すかもわからぬ『エネルギー発生システム』を護る最大たる防壁として、デウスエクスの前に立ちふさがり、麗しき戦う姿を示すのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
アルカ・スィエラ
そこまでよ。そこから先に通すわけには行かないわ
絵面的にどうかという気がしないでもないけど、プロトミレスをオーバーフレームを覆う追加兵装「オーバー」と、脚部そのものを推進用スラスターへと換装した「アンダー」で構成される空戦装備「コルヴィルクス・ルーナエ」装備へと換装、空中に陣取って連中を追い威圧する。
隠れたり閉所に隠れるつもりなら、(見栄えが悪いけど)『ステラリッパー』を出して狩りだすわ
これらは本来生身の時の護身用武器、これなら周辺への被害は出さない筈よ
そしていくら数で圧してこようとしても関係ない
狩りだした全敵を捕捉してそのまま【BS-BXステラ・プルウィア】、全員、一気に撃ち抜く…!!
デウスエクス『螺心衆』たちは元より戦闘に長けたものたちではない。
彼らが最も得意とするのは諜報戦。
つまりは、潜入、潜伏、工作である。
彼らが目的としたのは湾岸の決戦都市のインフラストラクチャー『エネルギー発生システム』の破壊。
そのために先日の事件により荒廃した市街地は彼らが潜むのに格好の場所であった。
しかし、猟兵、ケルベロス、人々の活躍によって瓦礫は撤去されていたのだ。
故に強攻しなければならなかった。
「地球人共め。面倒なことをしてくれる」
「だが、我らは影。影より影に飛ぶもの。我らを止められるものか」
『螺心衆』たちは、猟兵たちの防衛を突破せんとする。
そんな彼らの頭上に影が落ちる。
「そこまでよ」
声が響いた。
見上げる先にあったのは奇妙な形をした機械であった。
いや、戦術兵器であった。
この湾岸の決戦都市の決戦配備たる自律人型戦術兵器は尽くが破壊され、一騎しか残っていないという情報だった。
ならば、あれはなんだ。
「そこから先に通すわけにはいかないわ」
それは奇妙な人型であった。
いや、人型である、というのがかろうじて解ったのは、その中心たる胴故であった。
アルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)の駆る『プロトミレス』は追加兵装『オーバー』を得て、さらに脚部そのものを推進スラスターへと変えるアンダーフレームによって己が機体を空戦装備『コルヴィルクス・ルーナエ』を纏わせたのだ。
キャバリアであれば本来ありえない空中戦装備。
彼女はこの装備を見栄えが悪い、と思っているようだったが、こと世界が違えば、暴走衛生のことを気にかけなくてよい、ということを理解した装備構成でもって『螺心衆』に相対するのだ。
「無用な周囲への被害は出させない」
そう、ここまで人々が復興のために瓦礫を撤去してきたのだ。
また戦いで彼らの仕事を増やすわけには行かない。
『プロトミレス』より放たれる無数の『ステラリッパー』はキャバリア用の武装ではない。
アルカの身辺を護る装備だ。
回転する刃が『螺心衆』を襲う。
それを刃で弾きながら彼らは後退しながら、そのユーベルコードによって分身するように仲間を召喚するのだ。
「数で我らと張り合おうなど!」
「関係ない」
アルカの瞳がユーベルコードに輝く。
数には数。
そう、アルカの機体の各部結晶から無数のホーミングレーザーが解き放たれる。
「全敵ロック……天より降り注げ、|星の雨《ステラ・ぷるウィア》!」
周囲に被害は出さない。
アルカは、それだけに注力していた。
狙い研ぎ澄ます集中は途切れることはない。
そのユーベルコードの名が示すように星の雨は全てに降りしきることはない。
彼女が敵と認めた存在のみを討ち滅ぼす光となって、『螺心衆』を貫くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ファルコ・アロー
けっ、やーっぱり来やがったですね!
精々こそこそ隠れて悪巧みしてやがれです。
でもボクの気配感知を舐めんじゃねーですよ、てめーらの動きなんざお見通しです!
つーかその大人数でこっそりのつもりですか?このバカ共が!
アローアップ!チェェェンジ・アクィラ!
数の多さが厄介なのは認めてやるです。
自由に動かれたら破壊工作なんてされ放題でしょーよ。
でも誰一人としてどこにも行かせやしねーですよ!
何人いようと全員ボクの矢で、その場に釘付けにしてやるです!
せっかくボクや重機やセラフィムが頑張ってその辺片したんです。
これ以上は!もう縮退炉も!何も!壊させやしねーですからね!
戦いの気配が市街地に満ちている。
そこかしこで猟兵、ケルベロスとデウスエクス『螺心衆』たちが激突しているのが伝わってくる。
人々と協力して荒れ果てた市街地の瓦礫を撤去した甲斐があったというものである。
『螺心衆』は瓦礫を撤去されたことにより、潜むことができなくなっている。
だが、影から影へと飛ぶようにしてインフラストラクチャーの要である『エネルギー発生システム』を目指して疾駆している。
数が多すぎる。
如何に猟兵たちが優れたるものたちであっても、この大波のように迫る彼らを全て仕留め切るのは難しい。
そして、一体でもこの防衛網を抜かせれば『螺心衆』は『エネルギー発生システム』を破壊して見せるだろう。
「けっ、そんなことはやらせねーってんですよ!」
ファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)は、市街地の中心たる『エネルギー発生システム』を防衛するために飛ぶ。
どれだけ『螺心衆』が数に勝り、また隠密行動に長けているのだとしてもファルコは唇を湿らせるようにして舌を見せた。
「精々こそこそ隠れて悪巧みしてやがれです。そしてぇ! ボクの気配感知をなめんじゃねーですよ、てめーらの動きなんざお見通しです!」
ファルコの瞳がユーベルコードに輝く。
その輝きは闇を照らすものであったことだろう。
ファルコの身より発せられる静電気。
「アローアップ! チェェェンジ・アクィラ!」
炸裂するは雷霆。
否、矢そのものであった。
この場に存在するデウスエクス。
その全ての行動を妨害する雷霆の矢がファルコの全身からほとばしるようにして放たれ、一斉に『螺心衆』を捉えたのだ。
「……ぐっ! なんだこの電撃は!」
「我らの所在を的確に……!?」
「確かに数の多さが厄介なのは認めてやるです。けど、自由に動けるなんざ、思うんじゃねーですよ!」
ファルコの身よりほとばしり続ける静電気。
雷霆の矢として放たれ続けるユーベルコードの輝き。
「この程度で我らを討ち滅ぼせると思ったか!」
その言葉通りだった。
確かにファルコの放った雷霆の矢は『螺心衆』を滅ぼすには足りない。
けれど、行動を妨害することができる。彼らが何かをしようとする度に、その身を走り痛みを生み出し、妨害するのだ。
「何人いようとボクの矢でその場に釘付けにしてやるです!」
そう、ファルコは敵の行動を妨害する。
それだけでいいのだ。妨害に注力することで、他の猟兵たちが必ず『螺心衆』たちを打ち倒してくれる。
それに、と思う。
この場は自分や人々、『セラフィム』が頑張って瓦礫を撤去したのだ。
「これ以上は! もう縮退炉も! 何も! 壊させやしねーですからね!」
その思いを込めてファルコは全身からみなぎる雷霆と共に『螺心衆』を押し留め続けるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
スイート・シュガーボックス
皆の頑張りで瓦礫が撤去されて見晴らしが良くなってるね。
複数のデウスエクス達が動いてるのが見えるよ。
そんなデウスエクス達に対抗するためには何が必要か?…そうだね、お菓子だねッ!
【御照覧あれ、お菓子映像】。
見晴らしのいい空に、突然映像が流れたら思わず確認しちゃうでしょ。
流れる映像は、『絶品アイススイーツの紹介映像』
ただの食レポ映像と思うなかれ、何と映像を見た全ての人の前に映像で流れたスイーツの実物が目の前に現れるのさ。
この最高のお菓子を前にしたら思わず手に取っちゃう。炉に進む足も、薬剤投与しようとする手も、行動は阻害され、ただスイーツを楽しんでしまうのさッ!
さあ、召し上がれッ!
【アドリブ歓迎】
瓦礫の撤去は人々が頑張った結果であった。
そして、それを助けた猟兵やケルベロスたちの活躍でもあった。
それによって周囲を見渡すことができる。
敵の暗躍を防ぐ結果に繋がったのだ。
デウスエクス『螺心衆』たちは、戦闘力に長けた存在ではない。潜伏潜入に特化したデウスエクスであるがゆえに、この事態は彼らにとっては誤算そのものであったことだろう。
「皆の頑張りのおかげだね」
スイート・シュガーボックス(おかしなミミック・f41114)はお菓子ボックスの体を揺らして笑う。
頑張りが実を結ぶとは限らないが、けれど、その頑張りが報われるような結果になったことは嬉しい。
故に、市街地の中心部に存在するインフラストラクチャー『エネルギー発生システム』を護るために自分も奮闘しなければならないと思ったのだ。
「デウスエクス、見えているよ。彼らの目的は『エネルギー発生システム』の破壊だったね。そんな彼らに対抗するためには何が必要化?」
スイートはお菓子ボックスの蓋を開閉させてくるりと身を翻す。
「……そうだね、お菓子だねッ!」
『そうかなぁ?』
通信先の『エイル』博士はアイスをペロペロしながらスイートの言葉に疑問符を浮かべる。
「そうだよ! さあッ! 今日の絶品スイーツをご紹介ッ!」
お菓子ボックスの奥からエクトプラズムパワーが炸裂する。
デカデカと空に浮かび上がるのは、すごく美味しそうな絶品スイーツの紹介映像であった。
「な、なんだあれは!」
「……い、意味がわからない!」
「御照覧あれ、お菓子映像(スイーツホログラム)!」
戸惑う『螺心衆』を置いてけぼりにして、スイートは飛び出す。
先手必勝!
異物混入なんて許さない!
そう、『螺心衆』は潜入と潜伏を得意としている。
ならば、お菓子工場にだって忍び込み、異物を混入させてメーカーに大打撃を与えようとするだろう。
そんなこと断じて許せない。
スイートは、そんな思いを込めて映像の前から飛び出す。
「さあ、召し上がれッ!」
異物混入などできないほどの感動を『螺心衆』に与える。
スイートは、それだけのためにユーベルコードの映像から一気に彼らの覆面に迫り、ずり下ろす。
「何をす……もがっ!?」
「やめ、もがー!?」
スイートは容赦しなかった。
手にした絶品スイーツを彼らの口にぶち込む。
地球にはこんなにも素晴らしいものがあるのだと教えるように彼らの口にぶち込んだスイーツを咀嚼させる。
「こ、これは……!」
「なんとも甘やかでありながら、爽やか……!」
「そう、これが地球のスイーツだよ! これをなくすなんてことあってはならないと思うでしょう!」
敵を打倒するのではなく、楽しんでもらう。
それがスイートのやり方であった――!
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
えっと、蛇?
エイルさん、蛇飼ってるんですか?
あ、いえ、なんといいますか、
爬虫類に癒されるようになったらだいかなーとか……。
ごめんなさい! 偏見ですね!
勇者が偏見持ってはいけないですね!
と、それはいいとして、ステラさん。
言われていることは解るのですけど、ルビ芸ひどくないです!?
ま、まぁいいです。
今回は相手がこちらまで聴きに来てくれるんですよね。
それなら、ひきつけてー、ひきつけてー……。
必・殺・【フラワー・オブ・スコットランド】!
あ、いえ、その、必殺っていうのは言葉の綾でして、
そこはちゃんと魅了って言いますか、聞き惚れさせてですね?
衝撃波で瓦礫飛んで二次災害とか、風評被害ですからね!?
ステラ・タタリクス
【ステルク】
『バイ・スタンダー』(らしきもの)がこの世界のセラフィムの原型ですか
ならどうしてここまで弱くなったのか……
そういえばエイル博士?
博士が過去、『飛ぶ蛇』の封印の際に
開発したセラフィムは今のセラフィムとどう違うのですか?
また謎が増えました
というか、飛ぶ蛇いましたね……(遠い目
ともあれ
今回はルクス様のオールステージのようです
出番ですよルクス様
久しぶりに『人の大きさ』でほっとしております
影から影へ渡るとしても『実体』があるのならば
ルクス様の|光の奏魔法《全方位破壊音波》から逃れられるとは思わないことです
少なからず動きが止まればあとはこちらのもの
【シーカ・サギッタ】で蜂の巣にして差し上げます
『バイ・スタンダー』と『バイスタンダー』は世代が異なる。
そして、『バイ・スタンダー』らしきものが、この世界に漂着しているのならば、縮退炉が湾岸の決戦都市に存在していることも頷けるところであった。
点と点とが繋がっている。
だが、つながる過程がステラ・タタリクス(紫苑・f33899)にはわからなかった。
『バイ・スタンダー』は星の海たる世界の存在。
それがどうしてケルベロスディバイド世界に漂着しているのか。
そして、その炉たる縮退炉が今も稼働しているのか。
『バイ・スタンダー』を原型としたのならば、どうしてここまで決戦配備『セラフィム』は弱いのか。
「そう言えば『エイル』博士? 博士が過去『飛ぶ蛇』の封印の際に開発した『セラフィム』は今の『セラフィム』とどう違うのですか?」
『そりゃあ、色々だよ。もともとの機体は、解体して解析しようとしたはいいが、組み直せなくなってしまってね。解析できた情報だけで複製したものが、君らの知る『セラフィム』だ』
『エイル』博士は、あの時は私も若かった、と十数年のことを懐かしむようだった。
ということは、結構、その。
『まあ、性能は知っての通りだ。自律行動ができるのは画期的だったけれどね。肝心の性能がデウスエクスに及ばない。恐らくエネルギー源である炉の差異なんだろうね』
「なるほど。『飛ぶ蛇』とは……」
「えっと、蛇?『エイル』さん、蛇飼ってるんですか?」
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は蛇、という単語に反応していた。
食材だから?
「あ、いえ、なんといいますか。爬虫類に癒やされるようなったら」
その、と偏見かもとルクスは頭を振る。
勇者たるもの偏見を持ってはならない。
自分を戒めるのだ。
「ともあれ、ルクス様。あなた様のオールステージのようです」
「えっ、そうなんですか?」
ステラの言葉にルクスは首を傾げる。
なんで?
「ここ……『エネルギー発生システム』目指してやってくるデウスエクス『螺心衆』。お客人というわけです。つまり、ルクス様の|光の奏魔法《全方位破壊音波》の出番でございます」
「今、ルビ酷くなかったですか?」
ルビ芸である。
副音声で多分伝わっているはずである。多分。
「酷くはございません。では、ルクス様、よろしくお願い致します」
きゅぽ、とステラは耳栓をする。
万事抜かり無し。
いつでもオッケーだと言わんばかりにサムズアップをしている。
「耳栓はやめてくださいよ! まったくもう! でも、今回は相手がこちらまで聞きにきてくれるんですよね。それなら、ひきつけてー、ひきつけてー」
ルクスの瞳がユーベルコードに輝く。
「必・殺・フラワー・オブ・スコットランド!」
吸い込んだ空気が肺から送り出され、手にしたバグパイプへと送り込まれる。
炸裂するは破壊音波。あ、やべ、破壊音波って言っちゃった!
「ひどい!」
だって必殺って言ったし。
「必殺っていうのは言葉の綾でして!」
「この不快な音はなんだ!?」
炸裂した音波は遮蔽物のない現状においては、何も阻むことのできない攻撃であった。
それ故に『螺心衆』が影から影を飛ぶのだとしても、その身を打ち、その体を止めるのだ。
「う、動けない……!」
「ほ、ほら、ちゃんと魅了させてます! 聞き惚れて動けないんですよね?」
ね、と念押ししようとするルクスより早く投げナイフが『螺心衆』の額を貫く。
「ルクス様、遊んでいないで仕事をしてくださいませ」
「あ、遊んでないんですけど!?」
「いいえ、遊んでおりました。さあ、敵の真打ちに備えましょう」
恐らく、とステラは理解する。
敵がこれだけではないことを。
必ず敵は、『エネルギー発生システム』の破壊を諦めないと――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
トラスト・レッドライダー
影に潜むか……影は闇だ。
ならば『闇を越え、惑える心に、光を灯せ』
『月神の光圧』亡国の主と融合し闇を従えし月神に変身。
闇を纏い【第六感】で戦場内の陰属性を【|索敵《感知》】
【早業】速度上昇による高速移動で捉えた『螺心衆』へ接近し高周波片手半剣で【切断】
お前たちは月の姿を捉える事ができるだろう。
……月光の狂気を。
陰属性の戦闘力を持つ故に闇纏うトラストの姿を目撃できる『螺心衆』へ
【神罰】目も眩む月光の狂気を注ぎ込み錯乱、注意を引く。
奴等は互いに意識を共有し、情報を伝達できる。
故に、狂気を注ぎ込まれた者を媒介にその錯乱は全体に普及する。
直接目撃していない以上、効力は薄いが、連携はし辛くなるだろう。
トラスト・レッドライダー(レプリカントのデスブリンガー・f43307)は迫るデウスエクス『螺心衆』たちの目的を理解していた。
彼らは湾岸の決戦都市のインフラストラクチャー『エネルギー発生システム』の破壊を目論んでいる。
これが成れば、湾岸の決戦都市はどうしようもない破壊に見舞われてしまうだろう。
復興どころではないかもしれない。
故に、阻まねばならない。
「影に潜むか……影は闇だ。ならば、『闇を越え、惑える心に、光を灯せ』」
彼の瞳が輝く。
『ユミルの子』と融合を果たし、闇を従えし『月神』へと変身するトラスト。
巨人へと変貌したトラストの瞳が影を捉える。
敵が如何に数多くとも見逃すつもりはない。
「巨人……!」
「臆するな。我らが一体でも『エネルギー発生システム』にたどり着ければ、それでよい!」
『螺心衆』たちはユーベルコードでさらなる『螺心衆』を呼び寄せる。
影に潜み、また時に召喚した『螺心衆』を影として潜み、隠れる。
だが、トラストには無意味だった。
今の彼は第六感によって彼らが纏う陰属性を感知している。
数は多いが、しかし見過ごすつもりはない。
確かに猟兵、ケルベロスたちの防衛網は網目のように粗く、容易く抜けることができるように思えるかも知れない。
だが。
「天網恢恢疎にして漏らさず、という言葉がある。天地がお前達を見ているように、俺もまたお前たちを」
見ているぞ、と月神へと変身したトラストの瞳が『螺心衆』たちを捉える。
手にした高周波片手剣が『螺心衆』を捉える。
両断された体躯が一気に走り抜ける。
「お前たちは月の姿を捉えることができるだろう……月光の狂気を」
月光は影を落とす。
故に彼らは見ただろう。
『ユミルの子』と融合し闇を従えた月神の姿を。
それは目もくらむ月の光。
そして、狂気であった。
「なんだ、流れ込んでくるこの、悍ましい感情は!」
「それが月光の狂気というものだ」
狂おしいほどの感情。
理由なき狂気。
『螺心衆』たちは、理解できなかった。
月の光は捉えることができても、理解できるものではないのだ。
故にトラストの一挙手一投足は見えても、それを如何にして受け止めるかという判断ができないのだ。
彼らにできることは、振るわれるトラストの一撃を見つめることだけだった。
斬撃は、まさしく月光。
翻った残光は、『螺心衆』たちを両断する。
彼がそれを見ることはもうない。
あるのは、狂気に沈んだ心だけ。
それだけが彼らを涅槃に送り込む一刃なのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ノエル・ラーズグリーズ
できる限り交戦前にドヴェルグを配置(罠使い・武器を隠す)しておいて……
ケルベロス、ノエル・ラーズグリーズ、これより交戦します…!
多分、敵は交戦が始まればこっちの目を引きつけ地形とかの情報を集めながら、
まだ見つかってない残りの敵を先に行かせようとするはず、
だから、その裏をかく…!【簡易構築:幻想決戦都市】!
周囲に追加で幻想の「決戦都市」を構築して、決戦都市なんだから当然ある「決戦配備(クラッシャー)」での攻撃(※UCでの攻撃効果)を開始!当然そこに予め、もしくは追加で配置したドヴェルグと白銀からの追撃も追加!
相手がカラクリに気付いて幻想決戦都市が破壊される前に、一気に片を付けます!
戦いには下準備というものが必要だ。
どんな戦いにだって、戦いを支えるものがいるからこそ十全に力を振るうことができる。
ノエル・ラーズグリーズ(楽園の追放者。・f40853)は、そうした下準備を怠らないケルベロスだった。
数多くのセントリーガンを設置し、デウスエクス『螺心衆』たちの到来を待ち受ける。
敵の動きは迅速果断であった。
此方の市街地が瓦礫を撤去し、彼らが潜入潜伏する隙を与えていないと見るや、すぐさまに防衛網を突破し、中心部たる『エネルギー発生システム』を破壊せんと数でもって圧しようとしたのだ。
「……敵の動きが早い、けど、ケルベロス、ノエル・ラーズグリーズ、これより交戦します……!」
設置したセントリーガンから弾丸が放たれる。
砲火の閃光に紛れるようにして『螺心衆』たちが疾駆する。
「この程度で我らが阻めるものか!」
「舐められたものだな、ケルベロス!」
彼らは苦も無く弾丸の雨の中をかいくぐり、『エネルギー発生システム』へと肉薄しようとする。
そう、彼らにとって自身たちは駒の一つでしかない。
自身がたどり着く必要はない。
自分以外の味方、『螺心衆』の一人だけでも『エネルギー発生システム』にたどり着けば、それだけで破壊には事足りるのだ。
だからこそ、味方を盾にしようとも混乱は起こらないのだ。
「厄介……でも!」
「無駄よ! どんな仕掛けがあるのだとしても!」
情報収集によって彼らはノエルがセントリーガンを仕掛けていることは理解していた。
故に、そのセントリーガンとノエルの乗る戦闘車両さえ躱せば、あとは簡単なものだったのだ。
「だったら、その裏をかく……! 響界深度……規定値突破、これなら……っ!領域…展開ッ!!」
ユーベルコードに輝くノエルの瞳。
敵が情報を手繰るのならば、己はその情報の上書きを行う。
そう、彼女の周囲を包み込むのは幻の決戦都市。
立ち並ぶ多く障壁と防衛システム。
それを『螺心衆』たちは目を見開き、驚愕する他なかった。
「ばかな……! 情報では、こんな設備は! まやかしか!」
手にした手裏剣を叩き込む。
だが、幻であれば手応えがないはずだ。しかし、彼らの手には硬い感触が伝わっているのだ。
偽物ではない。
そう、ノエルの知能は『螺心衆』を上回っている。
ならばこそ、その幻の決戦都市は実在するものと同様の効果をもたらし、破壊されないのだ。
「決戦配備要請、クラッシャー!」
ノエルの言葉と共に砲火が飛ぶ。
『螺心衆』たちを包み込む砲火。
それは幻でもなんでもない。実在する攻撃効果を持つ、簡易構築:幻想決戦都市(ディバイドフィールド)なのだ。
「……一気に片をつけます!」
戦闘車両の砲火も、セントリーガンの銃火も、全てが『螺心衆』へと集約されていく。
如何にデウスエクスと言えど、集中砲火を浴びては無事ではいられないだろう。
ノエルの策に嵌った時点で、彼らはもう一歩も前に進めないことが確定したのだ――。
大成功
🔵🔵🔵
ティオレンシア・シーディア
うーん流石に敵も然る者、突貫工事もいいとこだったし陣地構造は全バレしてると見てよさそうねぇ。
…じゃ、そういう前提で動きましょうか。
敵の侵入をトリガーに●黙殺を起動。
このUC「基点はあらかじめ描いておいた魔術文字でも問題ない」し、「あたしがその場にいる必要もない」――つまり、条件起動型トラップとしても使えるのよぉ。
構築したときに仕込んだ「構造上絶対に通らなければいけない部屋・通路」に魔術文字を描いておいたのよねぇ。
いくら陰に潜むのが得意でも、別に物理法則を無視できるわけじゃあないようだし。バレてるならバレてるなりに、対処ってのはできるものよぉ?
諜報に長けたデウスエクスは厄介な存在である。
情報とは即ち力である。
実態がないゆえに軽視されがちなものであるが、情報を制するものが戦を制するのだということは、数世紀にわたって人類の歴史が証明している。
ただ情報を得るだけでは勝利はできない。
その掴んだ情報が本物であるか真偽を見定めることも、偽の情報をたぐり敵を誘導することも、全てが情報戦という高度な争いによって結果へと収束していくのだ。
それ故に、ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)は僅かに困った顔をしていた。
「うーん、流石に敵も然るもの、突貫工事もいとこだったし、陣地構造は全バレしていると見てよさそうねぇ」
彼女は復興作業の傍ら、敵を罠にはめるための陣地構築を行っていた。
だが、デウスエクス『螺心衆』たちの情報収集能力は、さらにその上を行っていたと言っていいだろう。
彼らは瓦礫の撤去によって遮蔽物を利用できないと判断するや否や、即座に動いていた。
影から影に飛ぶようにして移動する姿にティオレンシアは此方の誘導する陣形、陣地といったものが全て見破られていると仮定するのが最善であると判断した。
此方が妨害陣地を全て把握されている、という情報を敵は掴んでいないだろう。
彼らは自身たちの得た情報を最優先にして行動を開始したのだ。
ならばこそ、ティオレンシアは全てバレているということを前提に動く。
後の先ではない。
裏の裏、である。
彼女は敵がもしも、誘導する陣形を把握したのならば、きっとこの経路を取るであろうということを予め見越した上で、魔術文字を仕込んでいた。
「ま、こうなることは予想済みというか、想定済みということよねぇ」
控えはいつだって必要なものだ。
一つの策がうまく行かなかったのならば、さらに次の弾を放てばいいだけのこと。
つまりは、それを怠るから敗北するのだ。
最悪を想定して最善を掴む。
それがティオレンシアの為したことだったのだ。
「あたしがその場にいる必要はない、というのが肝よねぇ」
黙殺(デザイア)。
それは魔術文字より放たれる魔力の矢であった。
炸裂した矢は、こちらの警戒が最も緩まる場所へと殺到した『螺心衆』へと放たれる。
「……敵!? いや、敵の姿は……!」
「どういうことだ、罠というのか!」
彼らは混乱する。
確かに彼らの情報収集能力は素晴らしいものだった。
此方の誘導を的確に把握し、避けるだけの技量もあった。
だが、だからこそである。
「優秀すぎたのが仇となったわねぇ? いくら陰に潜むのが得意えも、べつに物理法則を無視できるってわけじゃあないのよね? なら」
ティオレンシアは笑む。
その瞳の奥にただならぬ輝きを宿したユーベルコード。
周囲に刻まれた魔術文字が次々と起動し、『螺心衆』たちを取り囲む魔力の矢。
尽く彼らの身を穿ち、魔力の奔流が身を焼き尽くすのだ。
「バレてるならバレてるなりに、対処ってのはできるものよぉ?」
ティオレンシアはそう呟き、市街地の中心部たるインフラストラクチャーに迫る敵を尽く滅ぼすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
破壊工作が得意だって!
よーしボクも負けないぞー!(ブンッブンッ)
こんなとこ30分いや5分もあれば…? …???
あちがった
ヤダナーシナイヨーソンナコト
●勘
フフーン
ボクはともかくボクの|勘《【第六感】》を掻い潜れるとは思わないことだね!
と彼らの行く先々に立ち塞がって彼らのいそうなところをUC『神撃』でドーーンッ!
それドーーンッ!
まとめてドーーーンッ!!
●投稿『闇に潜む忍者を公開してみた!』
あよく見たらニンジャだニンジャ!
写真撮ってSNSに公開してイイネ!をたくさんもらえそう!
イエーイ!
ふぅ、今日もたくさんボクへの|イイネ!《信仰》を集めてしまった…!
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は大張り切りであった。
そう、破壊工作を成さんとするデウスエクス『螺心衆』たち。
彼らに負けてはならないと思ったのだ。
「よーしボクも負けないぞー!」
ブンブンとロニは己が袖をまくりあげて腕を回す。
確かに破壊工作に長けたのが『螺心衆』たちである。
「こんなとこ30分いや5分もあれば……」
やってやれないことはない。
バンバンぶっ壊して、バンバン潰してしまえばいいのだと言わんばかりに彼は一歩踏み出そうとして、頭にクエスチョンマークを浮かべる。
「あ、ちがった」
そう、破壊工作を競い合うところではないのだ。
今回は破壊工作を目論むデウスエクスを阻まねばならないのだ。
「ヤダナーシナイヨーソンナコト」
今更取り繕ったところで遅いのである。
とは言え、ロニは己の勘所を冴え渡らせる時がきたと言わんばかりであった。
敵がどれだけ潜入と潜伏に長けたデウスエクスであったとしても、第六感があれば、いくらでも見つけることができる。
確信はないが確信をもって拳を振るうことができるのが、ロニのぶっ飛んだところであろう。
「ボクの目はともかく、ボクの勘は侮れないからね! かいくぐれるとお思わないことだね!」
ロニは己が拳を握りしめる。
敵がどんなに姿を晦ませようとも、陰の属性を持っていようとも。
「陽キャパリピのボクの放つ神々しい輝き、光を前に隠れることなんてできないんだよ!」
「げぇっ、猟兵!?」
ロニの行動は一貫性がない。
ただランダムに、なんとなくという理由だけで飛び込み、その拳を振るうのだ。
「はい、ド――ンッ!」
「それド――ンッ!」
「まとめてド――ンッ!!」
それはもう益体もない蹂躙撃であった。
拳を振るう度に叩き込まれる衝撃。
せっかく瓦礫を撤去したというのに、地面は穴だらけであった。
全てロニが振るう拳、神撃(ゴッドブロー)が単純で重い一撃を叩きつけたがためである。
直撃した地点の周辺地形は見事に破壊されまくり、このあとまた復興作業を行わねば立ち行かなくなるだろう。
そんな杞憂をふっとばすようにロニはスマホを構えてぶっ飛ばした『螺心衆』とセルフィーを撮ってキャッキャとはしゃぐ。
「ニンジャ、ニンジャだよみんなー! イイネ! してね! イエーイ!」
そう、信仰とイイネ! は同義である。
はしゃぎ倒してパリピなライフをエンジョイしてこその神性。
なにか間違っているような気がしないでもないが、それでもロニは楽しそうに次々と『螺心衆』たちをぶっ飛ばし続けるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
アンゼリカ・レンブラント
気持ちよく戦えるのも支えてくれる人達がいるからだな
そして猟兵、ケルベロス、人々
未来を望む人々の協力で瓦礫は撤去された
あとは刺客であるお前さん達を倒すのみだ
『エネルギー発生システム』を背後に護る形で
『螺心衆』たちを迎え撃とう
存在感を発揮し、覇気を全開に武器をなぎ払い、
隠れて通ることは不可能と見せつけよう
お姉さんを倒さない限り目的は達せられない
シンプルな話だな
さぁやろうか
剣を豪快に振るうが、迅速さを以て間合いの内に入る敵も見逃さない
薬剤投与を狙う忍には、すかさず投げを打つ
あるいは拳で弾き飛ばし投与されるのを防ごうかね
お姉さん、この距離の方が強いんだ、残念だったな
必殺の《断罪真拳》で無力化していこう
「チィッ! 連中め、よくもここまで我らを!」
デウスエクス『螺心衆』たちは、直接戦闘力に長けた存在ではない。
元より潜入潜伏、そして破壊工作に特化したデウスエクスなのだ。それ故に、数で圧するほか無いまでに追い込まれている事態こそが、彼らにとっての誤算だった。
「後は、刺客であるお前さんたちを倒すのみだ」
立ちふさがるのは、アンゼリカ・レンブラント(黄金戦姫・f38980)であった。
彼女はただ、ここに立っているだけでよかった。
背にあるのは『エネルギー発生システム』。
この湾岸の決戦都市を支えるインフラストラクチャーである。
敵の目論見は、このインフラの破壊。
それによって群体たる地球人たちの命脈を断つ作戦なのだ。
だが、アンゼリカはそうした錯綜するような思惑を振り切って戦うことができる。
なぜなら、戦いを支える多くの人々が彼女の背にはついているからだ。
猟兵も、ケルベロスも、人々も。
未来を望む人々の協力があればこそ、アンゼリカは此処に立っていられる。
「クッ……此処まで来て……!」
「何、簡単な話だ。お姉さんを倒さない限り、目的は達せられない。シンプルな話だな。」
アンゼリカは一歩前に踏み出す。
鍛え上げられた己の体躯。
握りしめた拳は、究極の光を宿し、一歩踏み出すだけで圧倒的な覇気とオーラを吹き荒れさせるようであった。
「さぁ、やろうか」
「敵は彼奴一人!」
踏み出した『螺心衆』を豪快にふるった剣が捉える。
斬撃は容易く体躯を切り裂くが、それは彼らにとって問題ではなかった。彼らにとって問題なのは、唯一人でも『エネルギー発生システム』へとたどり着くこと。
それが達成されるのならば、己が身が滅びようとも構わない。
アンゼリカに剣の一太刀を使わせたという隙こそが、生命を散らす目的だったのだ。
瞬時に『螺心衆』はアンゼリカの背後に回り込んでいた。
手にした薬剤。
それをアンゼリカに投薬しようするも、アンゼリカは『螺心衆』の体躯を投げ放ち、叩き伏せる。
「フッ!」
呼気。
自身のものではない。ならば、それは吹き矢。
きっと己に催眠剤が塗られた矢を放ったのだと理解した瞬間、拳で矢を掴み上げる。
なんたる絶技。
「……ッ!?」
「数を頼みにした連携か。見事なものだ。だが、お姉さん、この距離の方が強いんだ、残念だったな」
握りしめた拳。
その光り輝く一撃は、断罪真拳(ダンイシンケン)。
強烈なる輝きと共に放たれた拳は、その罪過たる戦禍望む心を打ち砕くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
引き続き『侵す者』にて
ふむ、瓦礫撤去で敵が困っとるな?
そういえば、『疾き者(忍者)』も早めに撤去すればいいと言っておったが、これか。
霹靂に乗り、機動力確保である。
では、見つけ次第、叩きのめすとしよう。ええと、たしかこっちはいってよいのだから…。
どれだけ増えようが、変わらぬ。叩きのめす数が増えただけよ!
※
陰海月「ぷ!」
誘導しつつ、自分もUCつきパンチ!
ホイッスルでぴっぴっぴーっ。
霹靂「クエッ」
おじーちゃんに乗ってもらって。自分の鼻は誤魔化せない。いる方向へスイスイ。
市街地の瓦礫の撤去は思いの外デウスエクス『螺心衆』たちにとって好ましくない状況を生み出しているものであった。
彼らは潜入と潜伏を得手とするデウスエクス。
故に隠れ潜む場所がなければ、ただ戦闘力の低いデウスエクスでしかないのだ。
それ故に彼らは数を頼みにして猟兵やケルベロスたちの防衛網を突破せんとしていた。
「だが、こうも敵の守りが固ければ……!」
突破は容易くない。
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は、そんな『螺心衆』たちの姿を認め、彼らが困窮しているのだと理解する。
「ふむ。『疾き者』が進言していたとおりであるな」
これが、とその結果であると『侵す者』は理解する。
ヒポグリフの『霹靂』に跨り空より見下ろす。敵は散発的に攻撃を仕掛けている。
しかし、これがただの散発的な攻撃でもなければ、破れかぶれの突進でもないことは言うまでもない。
敵は此方の油断、もしくは慢心を待っている。
己が生命を駒としてでも目的を達成するという気概があるように思えたのだ。
「では、見つけ次第叩きのめすのみよ!」
数が多かろうとやるべきことは変わらない。
手にした槍にユーベルコードの輝きが宿る。
『螺心衆』は戦闘力の高いデウスエクスではないのならば、己が一撃で容易く打倒できる存在でもあった。
放つ一撃は周辺地形を破壊するほどの威力。
「加減しなければの……とは言え」
難しいことであった。
『螺心衆』を一撃で打倒するためには、ユーベルコードを使わねばならない。
己が槍の一撃が直撃した周辺地形は破壊される。
「天秤に掛けるまでもないが」
そう、敵が目的であるインフラの破壊……『エネルギー発生システム』を破壊すれば、被害はこの比ではないのだ。
「まったく数の暴威であるな」
とは言え、猟兵たちの活躍によって、敵の数は減ってきている。
となれば、後に待ち受けるのは彼らの指揮官であろうデウスエクス。
その存在が如何なる強大な力を持つのかはわからない。
けれど、敵がこの機を逃すはずもない。
『螺心衆』による波状攻撃。
しかし、猟兵、ケルベロスによる防衛網は破れない。だが、僅かにたわむであろう。
その一瞬にこそデウスエクスは仕掛けてくる。
それ故に油断はならない。
敵の思惑に乗っているように思えるが、今の自身たちにできることはただ一つであった。
「クエッ!」
「ぷきゅ!」
『霹靂』と『陰海月』が鳴く。
「そうよな。やれることをやらねば。どれだけ敵がいようとも叩きのめす数が増えただけよ!」
振るう槍の一撃が周囲を破壊しながら『螺心衆』を打ちのめし、戦いの風を巻き起こす。
その旋風、衝撃の中に煌めくものがあった。
ユーベルコードの輝き。
発露する輝きは、強大な輝きとなって『エネルギー発生システム』へと振り下ろされた――。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『王族騎士モーゼス』
|
POW : モーゼスソード
【大剣】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【戦闘パターン】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
SPD : ユミルズレイ
自身が装備する【機械鎧】から【死せる巨人の吐息】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【凍結】の状態異常を与える。
WIZ : 自己進化機能
自身の装備武器を【新たな形態】に変え、【ユーベルコード吸収】能力と【範囲攻撃】能力を追加する。ただし強すぎる追加能力は寿命を削る。
イラスト:柿坂八鹿
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
それはデウスエクス『螺心衆』たちによる波状攻撃によって生み出された猟兵、ケルベロスたちの意識のたわみ、その一瞬を付いたユーベルコードの斬撃の輝きであった。
強烈な光と共に放たれた一撃は市街地の中心『エネルギー発生システム』へと叩き込まれる。
「……完全なる虚をついたつもりだったが」
デウスエクス『王族騎士モーゼルス』は、僅かに歯噛みした。
彼の放った一撃は、猟兵の張り巡らせた守りによって無為に帰したのだ。
もしも、その守りがなければ『エネルギー発生システム』には深刻なダメージが与えられていたことは言うまでもない。
痛恨なる一撃。
それを『王族騎士モーゼス』は確かに叩き込んだのだ。
だが、猟兵たちの活躍は、そんな一撃を完全に防ぎきっていたのだ。
「……ならば、直接叩くまで。我が名は『王族騎士モーゼス』。十二剣神『聖賢者トリスメギストス』の命により、この地の命脈を断つために参った。我こそと思うものは名乗るがいい。我が剣によって汝らを打ちのめしてくれよう」
彼は威風堂々たる佇まいであった。
騎士を思わせる姿。
そして気質。
致命たる一撃を防がれてなお、その気概は失せず、鎧の奥に煌々たる熾火を宿す者であった――。
スイート・シュガーボックス
【決戦配備・スナイパー】
これは、強敵の登場。
うおりゃああ、『キッチンカー』で突貫だあああッ!
俺のドライビングテクを見せてやるぜッ!
戦場を縦横無尽に爆走して、あの王族騎士の注意を引いていくぞ。
そして、隙を見て…『セラフィム』スナイパーをお願いッ!
俺が注意を引きつけて、『セラフィム』の攻撃が本命……と、見せかけてッ!
更にスナイパーで王族騎士の注意を引いたその隙に【君に届け、幸福のお菓子】ッ!
夏の日差しにその鎧は暑いだろ?機械鎧を透過して、自慢の出来のフルーツシャーベットをお届けさッ!
美味しくて戦意も喪失させちゃうねッ!
どうせならそのまま帰ってくれないかなぁ!?
【アドリブ歓迎】
スイート・シュガーボックス(おかしなミミック・f41114)は己のお菓子ボックスの体をビリビリと揺らすような重圧を放つデウスエクス『王族騎士モーゼス』の姿を認めた。
強敵。
掛け値なしの強敵であることは言うまでもない。
故にスイートは『キッチンカー』と共に爆走する。
敵の狙いは依然『エネルギー発生システム』である。
初撃は猟兵のユーベルコードによって防げたが、しかし、次もまた防げるという確証はどこにもない。
ならばこそ、スイートは『キッチンカー』のハンドルを握りしめて、吶喊するのだ。
「うおりゃああ、突貫だあああっ! 俺のドライビングテクを見せてやるぜッ!」
普段の言葉遣いが何処かに飛んでいってしまっていた。
だが、構わない。
今はそれにかまっている暇などないのだ。
それほどまでに『王族騎士モーゼス』は強敵であった。
身を包む鎧が膨れ上がっていく。
体高5mほどもあろう鋼鉄の巨人へと変貌しているのだ。
「……『聖賢者トリスメギストス』の命は絶対。故に、我が生命を掛けるに値する」
掲げた剣から発せられる光。
それは凄まじい一撃となって爆走続ける『キッチンカー』がなぎ倒すのだ。
吹き飛んだ、というのが正しいかも知れない。
それほどまでに強烈な一撃は、生命を、寿命を削るものであったことだろう。
「決戦配備、スナイパーッ!」
スイートの言葉と共にサポートAI『第九号』の搭載された『セラフィム』から熱線の一撃が『王族騎士モーゼス』へと叩き込まれる。
それこそがスイートの本命。
――であるように『王族騎士モーゼス』は思ったことだろう。
スナイパーたる援護射撃の一撃は見事に彼の意識を『セラフィム』向けさせた。
「と思うよね! けど、ね! 俺は!」
そう、スイート・シュガーボックスなのだ。
届けるのは熱線でもなければ、銃弾でもない。
甘い、甘いスイーツなのだ。
故に、瞳がユーベルコードに輝く。
お菓子ボックスの奥、その最奥にあるであろう輝きと共にスイートは『キッチンカー』から飛び出す。
「夏の日差しにその鎧は暑いだろ? だったらぁ!」
ミミックの箱、そのお菓子ボックスから飛び出すは、絶品スイーツ、フルーツシャーベットであった。
自慢の出来栄え。
今日一番最高の仕上がり。
この暑さのために涼味は最高のエッセンス。
故に、スイートは全てを透過する、美味しすぎて幸福な気分で戦意喪失さえるまでに至らしめる甘さを持ったシャーベットを巨大化した『王族騎士モーゼス』へと叩き込む。否、お届けするのだ。
「君に届け、幸福のお菓子(スイーツシュート)!」
「……美味。天上の甘味と言えよう」
「でしょ! どうせなら、そのまま帰ってくれないかなぁ!?」
スイートの言葉に『王族騎士モーゼス』は一瞬、足を翻しそうになる。
だが、そんな彼の意思とは裏腹に命令は、その足を止めさせるのだ。
「……ならぬ」
「美味しかったでしょ! ならさ!」
「……ならぬのだ、地球のケルベロス」
「わからず屋ぁ!」
スイートは美味しいシャーベットと共に吹き荒れる剣の衝撃波に舞うようにして駆け抜け、『王族騎士モーゼス』を僅かに、されど、確かに後退せしめたのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
トラスト・レッドライダー
……退くつもりは、ないのだな。
俺はトラスト・レッドライダー。猟兵だ
『変身・戦神の武芸』戦神に変身、技能レベル強化
高周波片手半剣を手に【推力移動】【急所突き】
【フェイント】突きから【なぎ払い】に、
更に【怪力】と【早業】で連撃、敵の大剣を【武器受け】
【戦闘演算】敵の攻撃パターンを【見切り】
自身は戦神と成り、得た複数の戦技と
【武器変形】高周波剣とプラズマの刃を切替【切断】
放射旋棍の【叩き割り】火炎放射【焼却】プラズマ短刀の【追撃】
決戦配備:クラッシャー、セラフィムの【火力支援】
これらを高速で織り交ぜ攻撃パターンを見切らせず
攻防の中で間隙に攻撃を刺し込み続け体勢を崩し、
【貫通攻撃】急所突きを叩き込む!
手にした大剣はユーベルコードの輝きを宿している。
戦う意志がそこにあるのだとトラスト・レッドライダー(レプリカントのデスブリンガー・f43307)は理解した。
初撃を防がれてなおデウスエクス『王族騎士モーゼス』は立つ。
「……退くつもりは、ないのだな」
「……そうだとも。我が使命はただ一つ。地球人の命脈の一つを断つこと故」
「ならば、名乗ろう。俺はトラスト・レッドライダー。猟兵だ」
「……我が剣と名に懸けて」
互いの瞳が交錯する。
トラストの姿が変貌していく。
『ユミルの子』と融合し、『戦神』へと変身したトラストは、高周波片手半剣を手にし、踏み込んだ。
一気に踏み込む。
トラストにとって、『王族騎士モーゼス』の大剣は重たすぎる一撃となるだろう。
あの『エネルギー発生システム』を襲った一撃は苛烈そのものであった。
運良く、といえばいいか。
猟兵のユーベルコードで防がれてはいたが、確実にあの一撃は『エネルギー発生システム』を粉砕する一撃だったのだ。
故に、トラストは踏み込む。
敵の一打は痛烈そのもの。
ならばこそ、フェイントを交えて突き出す剣の一撃で以て大剣を防御として釘付けにする。
烈火の如き突きに『王族騎士モーゼス』は、大剣を盾にするようにして防ぐ。
「……よい踏み込みだ。トラスト・レッドライダー」
「戦に酔えど、勝利に酔えど、心は満たされない。それが戦神の武芸(リスキル・ウォー)を得てなお、俺の心に去来するものだ。この武技は、俺の心を満たしてはくれない」
「……ならば、何を持って心を満たすか」
トラストは思う。
放たれる大剣の一撃を躱す。
躱すことができたのは偶然だ。たまたまだ。だからこそ、トラストは踏み出す。
タイミングを失えば、あの大剣に両断されるのは己だ。
故に己が手にした剣が変形し、プラズマの刃を形成する。
撃ち合う大剣とプラズマの刃。
火花が散り、互いの膂力が拮抗していることを示すように鍔迫り合いの刃は軋む。
至近距離で炎が噴射する。
だが、『王族騎士モーゼス』の鎧は、炎を寄せ付けない。さらにプラズマ短刀の一撃さえ、その膝蹴りで打ち上げられる。
「……!」
トラストは己の全てが読まれていることを知る。
「決戦配備……クラッシャー!」
その言葉とともに空中に存在した自律人型戦術兵器『セラフィム』の胸部砲口から熱線がほとばしり、『王族騎士モーゼス』を撃つ。
だが、その一撃すら『王族騎士モーゼス』は意に介さない。
視線はトラストから外さない。
「……小手先を」
「いいや、布石だ」
トラストは高速で己の戦術を組み上げた。
パターン化させない連撃。その攻防の中に間隙をこじ開けるようにして踏み込み続けたのだ。
「どんな雨だれだろうと岩を穿つこともある。俺の渇望は、俺が戦い続けるために必要なものだ。満たされぬことが俺の望み。見果てぬ夢は、誰かの平和だ。だからこそ!」
戦い続ける意義があるのだと言うように戦神の極地たる一撃が『王族騎士モーゼス』へと叩き込まれるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ファルコ・アロー
やりゃあがったですねてめー!
子分を使って撹乱してからの奇襲……誰かが守ってくれて無かったらヤバかったんですから、良い作戦だったんでしょーよ。
でもそんな手まで使ってくるんなら、騎士サマ気取りで正々堂々戦いましょーみてーな雰囲気出してんじゃねーですよ!
上等です、真正面からやってやろーじゃねーですか!
相手は打ち合う度に強くなるみてーです。
だったら最初の一発に全てを込めるのが効率的ですね。
作戦は単純です。
真正面から特攻して、剣を片手で受け止めて、もう片手でカウンターを叩き込んでやるだけです!
吹き飛ばしちまえば動けなくても何とかなるでしょう。
腕一本くらいはくれてやるです。
ここから消えやがれってんですよ!
猟兵たちのユーベルコードが煌めく度にデウスエクス『王族騎士モーゼス』の鎧が傷ついていく。
間隙を縫うような一撃に彼はよろめくが後退はなかった。
後退こそ騎士の恥であるというかのように彼は踏み堪えていたのだ。
「……難敵、強敵。やはり猟兵、ケルベロスは首級を上げるに値する強者」
「けっ、なに騎士サマ気取りしてんですか!」
そんな『王族騎士モーゼス』にファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)は、指を突きつける。
確かに武人然とした立ち振舞である。
しかし、『螺心衆』を使い、撹乱してからの奇襲たる一撃によって『エネルギー発生システム』を破壊しようとしていたのだ。
それは騎士というよりも、任務を優先する兵士のようであった。
もしも、猟兵のユーベルコードが『エネルギー発生システム』を守っていなかったのならば、『エネルギー発生システム』は破壊されて周囲に甚大なる被害が及んでいたことは言うまでもない。
その状況でまだ『王族騎士モーゼス』は己たちに正々堂々と言うのならば、彼の騎士たる振る舞いと猟兵たちの胸にある騎士道とは全く性質を異なるものであると言わざるを得ないだろう。
「確かによい作戦だったんでしょーよ。でも、失敗した。だから正々堂々という言葉を使ってボクらを引き付けているんじゃあないですか!」
「……否。我が使命のために十全を務めるは、騎士としての信条と相反するものではない。故に、我は猟兵、お前たちに戦いを挑むのだ」
失敗したのならば退いて機会を伺えばいい。
だが、それをしないということは。
「上等です! それなら真正面からやってやろーじゃねーですか!」
ファルコの瞳がユーベルコードに輝く。
敵は剣戟を経るごとに此方の戦闘パターンを読み切る。
ならば、初撃にすべてを込めるのが効率的であったし、ファルコの望むところであった。
しゃらくさいことはしない。
自分にできることを突き詰める。
それはファルコにとって常々思うことであった。
「……来るか、猟兵」
「てめーが望んだことでしょうが! なら、受けて見るですよ! 受けられるもんなら!」
ファルコの身よりエネルギーが噴出するようにして溢れ出す。
発せられたエネルギーは全て拳へと集約していく。
破壊のエネルギー。
それは己の胸から泉のように……いや、火山の噴火を思わせるほどの勢いで噴出し続けているのだ。
「ディフレクター、アサルトモード起動……」
勝負は一瞬。
この一撃に己はすべてを掛ける。
真正面から飛び込んで、己の片腕を犠牲にする。
『王族騎士モーゼス』の大剣の一撃は強烈だろう。
己の腕一本で防げるのならば御の字だ。故に、ファルコはためらわない。
大剣の一閃が凄まじい勢いでファルコに振り下ろされる。加速しているから軌道を変えることなどできない。
片腕。
ガードに使った腕が拉げる。けれど、ファルコはためらわなかった。
その瞳にユーベルコードが輝く。
「腕一本くらいはくれてやるですよ。だから! ここから消えやがれってんですよ!」
振り抜く極大のエネルギー宿した拳。
「……フルブラストォォォッ!!!」
炸裂する光。
それは『王族騎士モーゼス』の鎧を粉砕し、その体躯を吹き飛ばす。
「……みご、とッ」
ファルコは振り抜いた拳で天を衝く。
全てのパワーを使い切ったがゆえに動けない。けれど、彼女はたち続けた。
己の拳が、それを示していた――。
大成功
🔵🔵🔵
ルクス・アルブス
【ステルク】
ここにきてゴーレム戦ですか!?
今回ちゃんと準備してないですよー。
わたしはもう演奏しかできないただの可愛い勇者でしか……。
え?そういうのいい?
最近みなさま、わたしへのツッコミ雑じゃないですか?
えっフォルさん!?(びくっ
わかりました、ちゃんとやりますから咥えるのはやめてください!
それでは……かもん!【ソナーレ】!
今回こそ、ステラさんとの合体空中戦ですね!
すくらんだーくろ……いえ、どっちかというと、ぶら下げられてますね!?
あ、あのステラさん?
「止まったところをお願いします」って、もしかしてそれって……。
あああああ!? やっぱりいいいい!?
バンジーさせられるのは変わらないじゃないですかー!
ステラ・タタリクス
【ステルク】
これは……キャバリア?!
いえ、どちらかというとプラクトの仕組みですか?
どちらにしても出し惜しみは無しです!
フォル! いらっしゃい!(鳥型キャバリア呼び寄せ)
ルクス様も早く!
乗り込む間はセラフィムと『第九号』様にお願いします
決戦配備、クラッシャーを申請!
コール・プロメテウスバーン!! ……は他の世界でした
いえ、縮退炉とセラフィムがあるなら出たりしませんかね?
あ、ダメですか?
ともあれルクス様!
空から仕掛けますよ!
仕方ないのでソナーレの肩を掴んであげます(がしっ
【ル・ディアーブル・ヴィアン】で仕掛けますので!
動きが止まったところをお願いします!
これ以上の暴虐を赦すわけには参りませんので!
猟兵の一撃を受けて砕けた鎧の奥に青い熾火が煌々と灯されている。
デウスエクス『王族騎士モーゼス』は、痛烈なるユーベルコードの一撃を受けてなお、立っていた。
退くことはない。
倒れることはない。
不退転にして不屈。
それこそが『王族騎士モーゼス』の本質であったのかもしれない。
眼の前に迫る脅威を打ち払うこと。
「なんという気迫……!」
猟兵の一撃を受ける前、『王族騎士モーゼス』は、その体躯をユーベルコードによって巨大化させていた。
それはまるで体高5m級の戦術兵器キャバリアを思わせるものであった。
「あれは一体……」
どのような理屈なのか。
ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は呻く。
けれど、出し惜しみをしている暇はない。敵は脅威である。確実に此処で打倒しなければ『エネルギー発生システム』を破壊しうる術を持つデウスエクスなのだ。
故に彼女は天に掌を掲げる。
「フォル! いらっしゃい!」
空より現れるのは、鳥型キャバリア『フォルティス・フォルトゥーナ』であた。
「えっ、ここに来てゴーレム戦ですか!?」
ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)はステラがいきなりやる気を出したことに驚愕していた。
いや、やる気は元からある。
というか、ゴーレム戦があるならあるって言っていてほしいとルクスは思った。
今回準備していないのである。
「こんなの……もう演奏しかできないただのかわいい勇者でしか……」
卑屈でありながら自己評価高い勇者である。
「そういうのはいいです。ルクス様、お早く!」
「最近みなさま、わたしへのツッコミ雑じゃないですか?」
気のせいじゃないすかね。
「『第九号』様も、決戦配備要請、よろしいでしょうか」
「えっと、あの、わたしのことも、もっとー……って、あ、はい。ちゃんとやりますから、フォルさん咥えるのやめてください!」
『問題ありません。いつでもいけます』
空には『セラフィム』。
決戦配備は一騎しかいないにせよ、機能はするようであった。故にステラは頷く。
「コール・プロメテウスバーン!!」
『承認――プロメテウスバーン』
『セラフィム』の胸部砲口から放たれる熱線。
その一撃が『王族騎士モーゼス』へと空より降り注ぐ。
だが、その熱量、一撃はステラの知る『プロメテウスバーン』よりも数段劣るものであった。
しかし、目くらましにはなる。
「ルクス様、お早く。空から仕掛けますよ!」
「わっかりました! かもん!『ソナーレ』!」
ルクスの言葉とともに飛来した『ソナーレ』を『フォルティス・フォルトゥーナ』が掴む。
有り体に言って合体というやつである。
翼を得た『ソナーレ』を駆るルクスの瞳がユーベルコードに輝く。
「これが所謂、すくらんだーくろ……いえ、どっちかというと、ぶら下げられてますね!?」
「いつものことでしょう! 悪魔が来たりて。ただ飛ぶだけとお思いですか! 征きますよ、ル・ディアーブル・ヴィアン!」
『フォルティス・フォルトゥーナ』の全武装が空より『王族騎士モーゼス』へと叩き込まれる。
爆発が荒ぶ中、『ソナーレ』は上空で『フォルティス・フォルトゥーナ』よりドッキングを解除される。
「って、ああああっ!? やっぱりいいいい!?」
そう、紐なしバンジーである。
それはもうスカイダイビングではないかと言われたら、それはそうである。
「これ以上暴虐を赦すわけには参りませんので!」
「やだー! バンジーさせられるのは変わらないじゃないですか!」
ルクスの叫びと共に『ソナーレ』の拳が握りしめられる。
「……来るか。ならば討ち滅ぼすのみ」
構えた『王族騎士モーゼス』の大剣と『ソナーレ』の拳が激突する。
「重さは威力です!」
投射されるように落下した速度と重力、そして重量。
それらが加わったルクスの一撃は『王族騎士モーゼス』の体躯を大地に打ち付け、これを砕くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ノエル・ラーズグリーズ
仕掛けられた…!?白銀で急行して、敵確認!ノエル・ラーズグリーズ、これより交戦開始します!
破壊されるの覚悟でドヴェルグを適当、というか雑に置きながら白銀で迎撃弾幕はりつつ距離を取る
単にセントリーガンやドローンを複数出しても「自中心の範囲攻撃」が来ればいいカモなだけ…!
一定以上距離を取って誘い出したら真正面から迎撃態勢、クラッシャーを要請(セラフィムは白銀の背後に!)し、周囲に雑に残りのドヴェルグを展開、正面からの敵UCを誘って【機械妖精部隊展開・防護障壁】!
この位置関係なら「光の城塞」で受け止められる!そのままスプリガンの雷属性ビームと白銀の全兵装、ドヴェルグ、セラフィムで全力で反撃します!
湾岸の決戦都市のインフラストラクチャー『エネルギー発生システム』への一撃。
それは斬撃であった。
「仕掛けられた……!?」
戦闘車両『白銀』の中で、ノエル・ラーズグリーズ(楽園の追放者。・f40853)は目を見開いた。
それは予想外の一撃であったし、奇襲、強襲というものであった。
デウスエクス『螺心衆』による波状攻撃、それは此方への撹乱でもあったのだ。
本命は『王族騎士モーゼス』の大剣による一撃。
これで勝負は決するはずだったのだ。
だが、猟兵のユーベルコードによって、これが防がれた。
ならばこそ、此処が。
「分水嶺……踏み堪えるなら、今しかないです! ノエル・ラーズグリーズ、これより交戦開始します!」
眼の前には巨大化した『王族騎士モーゼス』。
胸部に穿たれた一撃は鎧を砕き、その内部にある青い熾火を煌々と輝かせていた。
「……ならば、迎え撃つ。お前たちを尽く打倒して後、この地の命脈を絶たせてもらう」
『王族騎士モーゼス』は、その鎧より白い気体を噴出させる。
まるで白い靄だった。
ノエルは戦闘車両のモニターの計器が以上を叩き出すのを見た。
周囲の気温が急激に下がったのだ。
アラートが響き渡る。
設置していたセントリーガンが動作不良を起こして停止する。
いや、違う。
急激な温度変化によって内蔵されていたバッテリーが内部電力を失ったのだ。
「……我がユミルの吐息から逃れられぬ」
「これっ……周囲を凍結させてるんです!?」
そう、それこそが『王族騎士モーゼス』のユーベルコードであった。
広がる凍結領域にノエルは歯噛みする。
己の戦闘車両も追いつかれれば凍結してしまう。
ならばこそ、彼女は決戦配備を要請する。
「クラッシャーを!」
『承認。砲撃を開始いたします』
『セラフィム』に搭載されたAI『第九号』による返答があった瞬間、熱線がほとばしる。
その熱線と共に戦闘車両よりセントリーガンが射出される。
「……無駄だ。ユミルの吐息は、死せる巨人の吐息。全てを凍結させる。例え、熱線であっても、だ」
その言葉通りであった。
凄まじい冷気が周囲にあるものを凍結させていくのだ。
「機械妖精・タイプ“スプリガン”を前に出す……! 全機防御陣形を維持、そのまま障壁を展開……!!」
機械妖精部隊展開・防護障壁(コールメタルフェアリー・タイプスプリガン)が展開される。
吐息の如き冷気を防壁となって防ぐ。
光の城塞めいたユーベルコードは、死せる巨人の吐息であろうとノエルに至らしめることはなかった。
「『セラフィム』は、『白銀』の後ろに!」
ノエルの瞳が前を見据える。
これは防御である。けれど、同時に攻撃でもある。
展開された光の城壁が折りたたまれるようにして砲身へと変貌する。
「『スプリガン』!」
ノエルの言葉と共に大型機械妖精たちの腕が砲身へ添えられる。
防御からの砲撃。
『セラフィム』から放たれた熱線が砲身を貫き、そして雷のエネルギーと共に『王族騎士モーゼス』へと放たれる。
その一撃は穿たれた機械鎧へと吸い込まれ、凄まじい爆発を巻き起こすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
アルカ・スィエラ
数任せの破壊工作…位置さえつかめればそれで良かった、って訳。
まあ、狂ってる、とは言わないけど、随分と割り切った事をするわね……!
アルカ・スィエラ、プロトミレス…行くわ
セラフィムの運用を前提としてる都市だし、一応キャバリアで動ける余裕はあると考えとく
後は…ランチャーは過剰火力だろうから封印、ライフル『RBS-X1ステララディウス』と、コルヴィルクス・ルーナエ(オーバーフレーム装備)搭載のミサイル、後は気休め程度に『ステラリッパー』で攻撃し、
相手の意識をこっちに向けさせた後、UCでの不意打ちでその機械鎧の機能不全を狙って、続けて「決戦配備:スナイパー」を要請!……隙はこっちで作ったわ!仕掛けて!!
「数任せの破壊工作……位置さえ使えればそれで良かった、って訳」
アルカ・スィエラ(鋼竜の戦姫・f29964)はデウスエクス『王族騎士モーゼス』の強襲たる一撃を見る。
デウスエクスは不滅の存在。
故に生命を省みることはない。
どんな存在も目的を達成するための駒なのだ。
「……我が使命のためならば、己が生命など如何にしようか」
「狂ってる、とは言わないけど、随分と割り切ったことをするわね……!」
アルカには理解できなかった。
生命を駒として扱うことも、そう扱われることに対して疑問を抱くこともない存在が眼の前にいる。
「アルカ・スィエラ、『プロトミレス』……行くわ」
追加装備を装備した機体と共にアルカは降り立つ。
一歩もこれより先に行かせるわけにはいかない。
しかし、それよりも早く『王族騎士モーゼス』の機械鎧より放たれる白い靄……巨人の死せる吐息が迫る。
コクピット内部にアラートが鳴り響く。
周囲の気温が急激に下がっている。
凍結しているのだ。あの白い靄がそれを為しているのだと理解したアルカは機体を跳ねさせるようにして飛び退り、キャバリアライフルから弾丸を放つ。
しかし、弾丸自体が凍結する。
空中で勢いを失った弾丸を『王族騎士モーゼス』は大剣で切り払いながら『プロトミレス』へと踏み込む。
「……鋼鉄の人形を駆るか、猟兵」
「生憎と、これ以外の戦い方を知らないから」
こうやって戦ってきた。
ずっと『プロトミレス』と『ドラグレクス』と共に戦場を駆け抜けてきたのだ。
それが最も己が信を寄せる者であったからだ。
アルカは思う。
『王族騎士モーゼス』は、命令に絶対たる恭順を示している。それは己の上位存在があればこそであろう。
けれど、それは信頼ではない。
ただ従順なだけだ。
故に、アルカは思う。
それでは己『たち』には敵わない。
放たれるミサイルやステラリッパーが『王族騎士モーゼス』に切り払われる。
有効打にならない。
「あなたは、私達にとっては邪魔……だからッ!!」
アルカの瞳がユーベルコードに輝く。
はるか上空。
故郷たるクロムキャバリアでは為し得ない高度。
そこに機械竜『ドラグレクス』は座す。転移して、アルカのユーベルコードの輝きをマーカーにして放たれる咆哮がほとばしる。
あらゆる機械の機能を狂わせる咆哮は、『王族騎士モーゼス』の機械鎧の動作を狂わせる。
白い靄が霧散した瞬間、アルカは決戦配備を要請する。
「……隙はこっちで作ったわ! 仕掛けて!!」
その言葉と共に『セラフィム』のアイセンサーが煌めく。
放たれた熱線が『王族騎士モーゼス』の穿たれ煌々たる熾火を宿す胸部へと叩き込まれ、凄まじい爆発を引き起こすのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ヴィルトルート・ヘンシェル
●POW
御機嫌よう、王族騎士モーゼス様
相変わらず自身の手は汚さず手の物に丸投げされていたようですけど、どこぞの狼ゴリラな気高き騎士道精神は感心致しますわ
私?
地球の文化文明に深く感銘し、ご覧のように原型を留めないまでにデビューさせて頂きましたわ
オーッホッホッホ!
既に袂を分けておりますが、元の主人でありました十二剣神への御答えは貴方様のお破壊をもちましてご返答差し上げますわ
決戦配備要請、ジャマーですわ
お幻覚で縮退炉への道は勿論、私の姿もバイオガスで多重投影でしてよ
これ以上戦闘を長引かせないために『存在しないはずの魂に従え』ですわ
あの気高き精神の顔をまた忘れるのは不本意ですが…これも勝つためでしてよ
穿たれた機械鎧の奥に輝くは青い熾火。
デウスエクス『王族騎士モーゼス』は、その身を穿たれてなお立つ。
手にした大剣。
それを寄す処とするのではない。
あるのは、ただの純然たる意志。
騎士として、ただ十二剣神である『聖賢者トリスメギストス』の命に従うのみ。
「……故に、我は倒れぬ。かの方の命を為し得るまでは」
そんな彼の前に一体の……いや、一人のケルベロスが恭しく一礼してみせた。
「御機嫌よう、『王族騎士モーゼス』様。相変わらず自身の手は汚さず、手の者に丸投げされていたようですけれど、どこぞの狼ゴリラな気高き騎士道精神は感心いたしますわ」
ヴィルトルート・ヘンシェル(機械兵お嬢様・f40812)は面を上げる。
この所作、洗練された動きに『王族騎士モーゼス』は動かないとわかっているからこそであった。
彼は騎士道精神に重きをおいている。
命令は『エネルギー発生システム』の破壊。
ならば、眼の前で隙だらけの姿をさらしても、『王族騎士モーゼス』は問答無用に斬りつけることはないだろうとヴィルトルートは理解していたのだ。
「……貴様は」
「私? 地球の文化文明に深く感銘し、ご覧のように原型を止めないまでにデビューさせていただきましたわ! オーッホッホッホ!」
口元に手を当てて高笑い。
これがお嬢様所作というものである。
ヴィルトルートはひとしきり高笑いを終えてから『王族騎士モーゼス』に向き直る。
「すでに袂を分けておりますが、元の主人でありました十二剣神へのお答えは、貴女様のお破壊をもちましてご返答差し上げますわ」
「……ほざく。出来ぬことを大仰に語ることも」
「いいえ、出来ますとも。基本的にスペックが違うと地球人を侮り続けていたからこそ、今の今まで貴方がたは失策、手落ちを繰り返してきたのですわ」
その言葉と共に決戦配備、自律人型戦術兵器『セラフィム』より『王族騎士モーゼス』への妨害が走る。
重力波を発生する光の翼。
動きを止めた『王族騎士モーゼス』は呻くようにして大剣を構える。
だが、ヴィルトルートはためらうことなくダモクレス形態へと変形を果たす。
己の中の大切な記憶の一つが失われるのをヴィルトルートは自覚した。
己を『お嬢様』という得難き、そして気高き存在に目覚めさせた御方。
その顔を忘れてしまう。
だが、例え忘れても、己の心が叫ぶのだ。
『存在しない筈の魂に従え』、と。
ならば、己にためらう理由などない。
全ては勝利するために。
それこそが己の存在意義。
そして、己が得た『お嬢様』という概念に捧げるものであった。
胸部より解放された超兵器『コアブラスター』が展開する。
「……狂ったか、ダモクレス」
振るわれる大剣の一撃を超装甲『マキナクロス』が受け止める。
大剣が食い込むようにして受け止められ、ヴィルトルートの頭部装甲に傷を刻み込む。
だが、さしたる問題ではない。
「オーッホッホッホ! これが狂う、としか認識できないのであれば、『王族騎士モーゼス』様。貴方様は文化の、文明の真髄というものを一生理解できないのでしょうね! わたくしめはしったのでございます! これこそが!」
お嬢様こそが。
宇宙の真理。
己が打たれた心は存在しないものであった。
これが魂!
放たれるコアブラスターの一撃が『王族騎士モーゼス』を穿つ。
空と大地とを分割するかのような強烈な一撃は、如何に機械鎧と言えど貫き、空にその軌跡を刻み込むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
決戦配備:スナイパー
引き続き『侵す者』にて
ふむ、霹靂よ。回避機動力は任せよう。
わしは、敵に集中する!
というわけでな、大剣相手に黒燭炎での大立ち回りである。
まあ、主体は突きなのであるがな。一度距離を取った時に槍を投げ、さらにスナイパー要望のをな。
…さて、これでわしの手元に武器はないように見えよう。だがな!UCにて槍を掴み、それで薙ぐ!
戦いというものは、見えるものが全てではないのだよ。
※
霹靂「クエッ」
任せて!戦闘経験から見切って、おじーちゃんに攻撃が当たらないように!
炸裂する超兵器の一撃。
吹き荒れる衝撃。
その最中をヒポグリフ『霹靂』にまたがった馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は飛ぶ。
「『霹靂』よ、任せたぞ」
「クエッ!」
嘶くようにして『霹靂』が飛翔する。
敵は穿たれてなお、立ちふさがるデウスエクス『王族騎士モーゼス』である。
これまで猟兵たちのユーベルコードを受けてなお、立ちふさがる姿は脅威以外の何者でもなかった。
手にした大剣が翻る。
痛烈な一撃を受けた後とは思えぬ動きであった。
「わしは敵に集中する!」
『侵す者』は、その瞳でもって『王族騎士モーゼス』を睨めつける。
互いの得物を見やる。
敵は大剣。
長大であり、リーチもある。重量も凄まじいものであろうし、その剛剣の一撃は受け止められないだろう。
その上、相手は此方の手を解析して最適なる一手を繰り出してくるという。
厄介極まりない敵であることは言うまでもなかった。
故に立ち回りは大味のものとなるだろう。
「……槍使いか」
「応ともよ!」
大剣と槍が撃ち合う。
槍という得物のリーチの利点は、大剣という長大な刀身によって打ち消されている。
故に距離を取る。
瞬間、『侵す者』は槍を投げ放つ。
大剣では出来ぬ動作。槍は確かに鋭く、その柄の長さこそを本領とするだろう。
だが、投げることもできるのだ。
投擲、という点に置いて槍は剣を上回る。
更に決戦配備の『セラフィム』による援護射撃。
遠距離からの砲撃と投げ槍によって『王族騎士モーゼス』は大剣を盾にして防ぐしかなかった。
「……だが、己の得物を投げ放つとは!」
「いやさ、違うのよな。まあ、むつかしいカタコトでいうのならば、ぽるたーがいすと、とも言うのよな」
ユーベルコード。
四悪霊・『怪』(シアクリョウ・アヤ)によって放たれた槍の柄を掴み上げる。
本来は生命力を吸収する呪詛であったが、使い方によっては遠く離れたものを掴む事もできる。
つまり、投擲した槍を己が手元に戻すこともできるのだ。
一瞬の意識の間隙。
これを縫うようにして『侵す者』は『霹靂』と共に空を飛ぶ。
「駆けよ『霹靂』!」
手にした槍の穂先が『王族騎士モーゼス』の体躯を捉える。
横薙ぎ一閃。
これによって彼の槍は『王族騎士モーゼス』の腕を切り裂く。
「……クッ!」
「戦いというものは、見えるものが全てではないのだよ」
虚を突く。
虚を生み出す。
あらゆる手段を講じて他者の命を奪う。
これこそが戦の真である。
故に、『侵す者』は、己が持ちうる全ての手段をもって『王族騎士モーゼス』の腕一本を奪うのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
アンゼリカ・レンブラント
一応私も騎士を名乗ってるんだ
堂々と相対しようか
――懲罰騎士アンゼリカ。お相手しよう
愛剣で堂々真向から勝負
勝負勘を生かし相手の剣技を武器受けし、
怪力を生かした鍔迫り合いで弾き、こちらの斬撃を入れる
時に武器に乗って飛ぶことで意表を突けるかね
時にお前さんが「生命を掛けるに値する」というのは
十二創神の命というものかい
お姉さんの騎士道は、人々の笑顔の為だ
歩んできた「これまで」の力を思い知るといい
主に従うのものいいが
――デウスエクスの民のこと、少しでも考えてみるといい
このまま地球と戦い合うのが、本当に良いことなのか
最後は鉄壁のボディで大剣を受け止めてからの、
武器巨大化をさせて《真・断罪閃光剣》で切断を狙う
猟兵たちのユーベルコードによってデウスエクス『王族騎士モーゼス』は、その鎧の胸部を穿たれ、片腕を失った。
だが、それで彼が退くことはない。
なぜなら、まだ十二剣神『聖賢者トリスメギストス』の命を果たせていないからだ。
それを果たせぬままに帰還することはない。
例え、己の身が朽ちようとも主命を果たすまでは。
「……この程度の手傷など手傷のうちに入らぬ。我が使命を果たすその時まで。この生命は燃やし尽くすのみ」
手にした大剣は片手でふるえるものではなかった。
だが、尋常ならざる膂力でもって『王族騎士モーゼス』は片手で大剣を構えた。
「――懲罰騎士アンゼリカ。お相手しよう」
その裂帛の気合を見せる『王族騎士モーゼス』の前に立ちふさがるのは、アンゼリカ・レンブラント(黄金戦姫・f38980)であった。
「……『王族騎士モーゼス』である」
礼節には礼節を。
ただそれだけのことだった。
互いに不倶戴天の敵であることは疑うまでもない。
愛剣である斧剣を構えたアンゼリカを前に並々ならぬ騎士であることを『王族騎士モーゼス』は感じ取ったのだろう。
故に言葉は少なかった。
語るべくは、その剣によってのみ。
剣戟の音が響き渡り、その音自体が騎士の会話であるようにさえ思えたのだ。
勝負勘に優れるアンゼリカは大剣の凄まじき一撃を受け止める。
互いに攻撃のパターンを熟知し始める頃には、互いの斬撃はまるで踊るように交錯するようになっていた。
傍目に見れば、それは剣舞の如き光景であったことだろう。
これが戦いの場でなければ、まるで演目そのものであるようにさえ思えた。
「ときにお前さんが『生命を掛けるに値する』というのは、十二剣神の命というものかい」
「……無論」
そうか、とアンゼリカは距離を取り、息を吐き出す。
呼吸を調える意味もあったのだろうが、彼女はやはりデウスエクスの騎士と己が身に宿す騎士道精神とが相いれぬものであると知る。
「お姉さんの騎士道は、人々の笑顔の為だ」
「……至上たる十二剣神の命以上のものなどない」
「いいや。あるのさ、これがな。お姉さんが歩んできた『これまで』の力を思い知るといい」
姉理科の瞳がユーベルコードに輝いた瞬間、峻烈なる裁きの光を宿した斧剣が掲げられる。
その輝きを前にして『王族騎士モーゼス』は呻く。
あれなる一撃は強大なるものである。
だが、後退はしない。
できるわけもない。
これを真っ向から打ちのめさねば、何が騎士か。挑まぬ騎士に価値などない。
「主に従うのもいいが――デウスエクスの民のこと、少しでも考えてみるといい。このまま地球と戦い合うのが、本当によいことなのか」
打ち込まれた大剣の一撃をアンゼリカは鉄壁たる肉体で受け止める。
軋む骨身。
だが、振りかぶった一撃は、真・断罪閃光剣(シン・ジャッジメントセイバー)となって『王族騎士モーゼス』の体躯を袈裟懸けに切り払うのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!
●尊い犠牲
今日こそ活躍してその価値をみんなに認めてもらって予算をつけてもらうときだよ!
ほら爆薬たくさん積んで!はいこれ起爆スイッチ!
イッケー!開幕ポジクラセラフィムくんのダイレクトバーンアタックッ!
キミの犠牲は忘れないよ…ううっボクもいっぱい悲しいよ
でも無駄じゃない。無駄ではなかった…かなあ?
いやこの攻撃でボクが暴れられる場所にキミを誘導することこそ目的だったのさ!
●無型なる構え
後から出てきて名を名乗れだなんてよく言ったものだね!
戦闘パターン?ボクの戦闘パターンだなんてボクも知りたいくらいだよ!
と【第六感】に任せて変わる戦闘パターンでしかけてUC『神撃』でドーーンッ!
「さあ、今日こそ活躍してその価値をみんなに認めてもらって予算をつけてもらうときだよ!」
ロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は最後に残された決戦配備、自律人型戦術兵器『セラフィム』に爆薬を詰め込めるだけ積み込んでいた。
『ちょ、ちょ、ちょいちょい! 何してるんだい君は!?』
通信の『エイル』博士の慌てる声が聞こえる。
「なにって簡単なことさ。これが本当の開幕ポジクラセラフィムくんのダイレクトバーンアタックッ! ってやつだよ!」
それはただの自爆ということなのではないか。
むしろ、残された最後の一騎を自爆攻撃に使うなど誰が予想しただろうか。
後先考えないのがロニであるというのならば、きっとそうなのだろう。
「自爆攻撃でドッカーンって派手にやったら、きっと皆認めてくれると思うんだ。イッケー!」
ロニは制止する声も無視して爆薬を満載した『セラフィム』を押し出すようにして消耗したデウスエクス『王族騎士モーゼス』へと向かわせる。
爆薬が炸裂し、動けぬ『王族騎士モーゼス』を包み込む盛大なる爆発。
爆煙が立ち上り、『エイル』博士は呆然とモニターを見るしかなかった。
「キミの犠牲は忘れないよ……ううっボクもいっぱい悲しいよ」
ロニは爆煙を見上げて涙をのむようでった。
「でも無駄じゃない。無駄ではなかった……」
いや、無駄であった。
爆煙の向こう側にあるデウスエクス『王族騎士モーゼス』は健在であった。
猟兵たちのユーベルコードによって失った片腕、穿たれた機械鎧。
袈裟懸けに振るわれた一閃をもってしてもなお、まだ『王族騎士モーゼス』は立っていたのだ。
「……」
ロニは少し考えた。
自爆攻撃させるまでもなかったかもしれない。むしろ、爆発損?
「いや、この攻撃でボクが暴れられる場所にキミを誘導することこそ目的だったのさ!」
デウスエクスとの戦いは常に破壊を生み出すものである。
ちょっとばかし、派手にあちこちぶっ壊していたが、まあ、許してもらえるだろうとロニは思っていた。
そして、ロニは頷く。
「それに後からでてきて名乗れだなんてよく言ったものだね!」
びし、と指を『王族騎士モーゼス』へと突きつける。
ここまで好き勝手にやっておいて、急に振られた『王族騎士モーゼス』は、無言を貫いていた。
「……」
踏み込んでくる。
大剣を片手で扱う恐るべき膂力。だが、それ以上に攻撃をパターン化して読み切る力がある、というのが問題だ。
「でも、戦闘パターンなんてボクにはあってないようなものだよ。逆に知りたいよ!」
第六感に任せてロニはデタラメに踏み込む。
大剣の一撃をかわし、さらに拳を握りしめる。
ワンパターンと言われようと、これが一番なのだ。
「どーんっ!」
振るうは、神撃(ゴッドブロー)。
大地を穿ち、破壊し、さらなる混乱を呼ぶ神々しさは、まさしくカオスそのものであった――。
大成功
🔵🔵🔵
ソフィア・エルネイジェ
なんという剣圧
確かにエネルギー発生システムを破壊し得るに足る威力ですね
故に受け止め甲斐があるというもの
そのためのシールド・オブ・アイギスなのですから
奇しくも騎士同士
私も正面から挑まねば騎士を自負するに値しません
エルネイジェの第一皇女、ソフィア・エルネイジェ
この地の命脈を守護るために参りました
先ほどの一撃は実に見事
ですがこれより先は私の大盾が貴方の剣を阻みましょう
そして貴方の鎧は私の聖槍が貫きます
重く正確な打ち込みですね
しかも一撃毎に増しているようです
鎧の筋力補正を得た上で、大盾の厚みと重量で防御しましょう
防御しながら動作の隙を伺います
剣を構える、打つ、引く
その直前や直後の僅かな瞬間、ランス・オブ・アイギスで文字通りに隙を突きます
しかし相手もこちらの動作を学び、切り払われてしまうでしょう
ですが私の狙いは後隙ではありません
剣の打ち込みを骨身で感じる事にあります
振り下ろされる剣に最も威力が乗せられる直前、盾ごと深く踏み込みます
そして剣を防ぎつつ螺旋剛雷槍を繰り出し、鎧の守護りごと貫きましょう
もしも、である。
もしも、ソフィア・エルネイジェ(聖竜皇女・f40112)がデウスエクス『螺心衆』の襲撃に際してユーベルコードによって『エネルギー発生システム』を守護していなければ、恐らく結果は異なる結末を迎えていただろう。
それを感じさせるほどの剣圧がソフィアの身に降り注ぐ。
デウスエクス『王族騎士モーゼス』は、片腕を失い、機械鎧を穿たれてなお凄まじき裂帛の気合を持って大剣を振るっていた。
「なんという剣圧」
「……貴様のユーベルコードに寄って防がれた我が剣を、そう評するか、猟兵」
歯噛みするような気配がある。
そう、彼女さえいなければ『エネルギー発生システム』の破壊という任務、命令は達成できたのだ。
ソフィアは、その思惑を阻んだ猟兵なのだ。
『王族騎士モーゼス』にとっては、許し難き敵であろう。
逆にソフィアは胸に高揚する思いがあった。
決戦都市のインフラストラクチャーを支えうるに値する『エネルギー発生システム』を一撃で破壊する威力を持つデウスエクスとの対峙。
恐ろしささえ感じさせる力である。
だが、ソフィアは、だからこそであると思ったのだ。
受け止め甲斐がある、と。
「そのためのシールド・オブ・アイギスなのですから。私も騎士を自負する者。なれば、名乗りましょう。我が名を」
ソフィアは己が槍に翻る戦旗をはためかせ、荘厳なる声を持って告げる。
「エルネイジェの第一皇女、ソフィア・エルネイジェ。この地の命脈を守護るために参じました。先程の一撃は実に見事」
「……『王族騎士モーゼス』、なれば、なんとする」
「これより先は、私の大盾が貴方の剣を阻みましょう。そして――」
言葉にするよりも早く互いが動いていた。
交錯する視線。
打ち込まれる大剣。
盾で受け止めるだけでソフィアの骨身が軋む。
猟兵のユーベルコードに寄って切り裂かれた『王族騎士モーゼス』の機械鎧からは青い熾火がこぼれ出るようであった。
そして、亀裂走る頭部……その兜の奥に星写す黒い瞳をソフィアは見ただろう。
それ以上にソフィアは思う。
重く、正確な打ち込み。
しかも、打ち込まれる度に正確さを増し、己の急所を貫かんとしている。
ソフィアの鎧が唸りを上げる。
筋力を補正し、補助する機能が最大限に稼働している。それであってもなお、大盾に伝わる重さが凄まじい。
相手は隻腕なのだ。
なのに、それでもなお、ソフィアを圧倒する力。
「……女だてらに、とは言わぬぞ、第六の猟兵」
「戯れを」
打つ、引く、防ぐ、叩きつける。
互いに一進一退たる攻防。
放たれる槍の一撃は、しかし読み切られている。
こちらの動作を、戦術を『王族騎士モーゼス』はすでに理解しているのだろう。
切り払われる槍。
大きく跳ね上げられた槍。盾を構える。『王族騎士モーゼス』の一撃が迫る。
己が胴を両断せんと横薙ぎの一閃。
「……!」
凡百の騎士であったのならば、後退しただろう。
だが、此処にあるのはソフィア・エルネイジェである。
エルネイジェに後退の二文字はなく。
そして、敗北の二文字すら是としないのだ。故に彼女は大盾を構えたまま踏み込む。
「……敢えて踏み込むか」
「勝利。ただそのためだけに邁進するのが私の騎士道なれば!」
大剣の横薙ぎは、遠心力を利用しているがゆえに、離れれば離れるほどに斬撃は鋭さを増す。
だからこそソフィアは踏み込んだのだ。
「『王族騎士モーゼス』――いえ、真の名を聞きましょう」
「……」
踏み込んだソフィアは大盾を捨てる。
両手に構えた『ランス・オブ・アイギス』は、雷の魔力を解き放つ。
「――『■■■』」
その名は失われた名であったがゆえにソフィアの耳に正しく届くことはなかった。
けれど、ソフィアは己の信念と強者を尊ぶがゆえに、螺旋剛雷槍(サンダードリル)を『王族騎士モーゼス』へと叩き込む。
青い熾火溢れる機械鎧の中心。
叩き込まれた雷は、その名を象る者を滅する力と共に外殻たるデウスエクスを吹き飛ばし、大地へと穂先を突き立てる。
翻るは戦旗。
勝利を知らしめるようにソフィアは己が旗を掲げるのだった――。
大成功
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