カノープスを探しに~辿る思い出、煌めき星に願いを
八坂・詩織
志乃さん(f40390)と合わせ
志稲愛海MSさまがTW2シルバーレインで書かれたイベントシナリオ『カノープスを探しに〜雪と寿星と冬の天の川』の舞台となった山でまたカノープスを探すノベルです。
可能でしたら#天文部のタグをつけてもらえると嬉しいです。
イベシナURL
http://t-walker.jp/sr/adventure/rp.cgi?sceid=20005
当時シナリオにご一緒していた五十嵐・右京さん(f35357)ともご一緒できればと。
【以下プレイング】
この山に来るのは学生の頃以来ですね…
五十嵐さんとは同級生なんですよね。受け持ちの学生こそ違いますけど同じ銀誓館の教師でもありますし。
私達がこの山にカノープスを見に来たのはたしか高校2年の、春先の頃だったかと。
私は雪女なので寒さは平気ですけどお二人が風邪ひかないようにチャイ持って来たのでよろしければ。(UC『インド式ティータイム』で淹れたチャイが入った水筒を差し出し)
バレンタインにちなんで星型のチョコレートも持って来たのでよかったら食べてくださいね。
五十嵐さんはカノープスの見つけ方覚えてます?おさらいも兼ねて冬の星座達探していきましょうか。
天文部オリジナルデザインの星座早見盤を片手に、まずは冬の大三角を見つけましょう。
オリオン座は分かりますよね、三ツ星を挟んで対角線上に輝く一等星、赤い星ベテルギウスと青白い星リゲル。
三ツ星を左下の方まで伸ばしていくと見つかる一際明るい星、全天でもっとも明るい一等星シリウス。
ベテルギウスとシリウスを結び、そこを底辺とする三角形を作るように東の方に目を向けると見える明るい星がこいぬ座のプロキオン。
ベテルギウスとシリウス、プロキオンを結んでできるのが冬の大三角。
ベテルギウスとプロキオンを結んだ線の真ん中辺りからシリウスまでを線で結び、さらにその線を下までずーっと伸ばしていくと…ありました!地平線すれすれの、低い空に赤っぽく輝くあの星がカノープス。
大気の影響で減光されてるだけで実際はとても明るい星なんですよ。南半球では本来の青白い明るい星として見えます。
シリウスまでは8光年程ですが、カノープスは約310年光年も先にある星なんです。にも関わらず全天で二番目に明るいのはその距離をしのぐ程強く眩しい光を放っているからなんですよ。
これでまた寿命が伸びたでしょうか…五十嵐さんは今や奥さまとお子さんがいらっしゃる身ですから、頑張って長生きしないといけませんね。
志乃さんはまだ若いですけどカノープスは日本ではそう頻繁に見られる星ではありませんからしっかり目に焼き付けてほしいです。
私も…長生きできればそれだけ多くの天文現象が見られますから。
頑張って長生きして、もっとたくさんの人に天文の楽しさを伝えたい。それが私の願いです。
…まあ、願い事はたくさんあるんですけどね。
長生きできたら、叶う願いも増えるかな?
神野・志乃
八坂先生(f37720)と一緒
カノープス。私は初めて聞く名前だけれど
八坂先生たちの、思い出の星、なのね……
五十嵐さんとは初めまして、ね
私の友達って女の子ばかりで、歳上の男性と交流する機会があまり無いから、何だか緊張するわ……
……あ、五十嵐さんも銀誓館の先生なのね?じゃあ、五十嵐先生、ね
先生と考えたら、少し緊張が解れるかも
八坂先生が以前にカノープスを見たのって、いつ頃?今の私と同い年くらいの頃?
何だか素敵ね、過去に出会った人と星とが結ぶ縁、って
その縁の繋がりに私も入れるなんて、ちょっと光栄で、嬉しいわ
……それにしても、やっぱり、冬の山は、……寒い、わね……
流石の私も学習して、防寒着を新調してきたけれど(※年末に八坂先生と流星群を見に行ったときは、セーラー服に半纏だけでした)、それでも……八坂先生のチャイが頼りかもしれないわ……
五十嵐先生は初めてかしら、八坂先生のチャイ。芯から温まるわよ
この日の為にカノープスの見方の予習はしてきたけれど……
本で学んでも実地でうまく見えるとは限らないのが夜空よね
冬の大三角、頭で覚えてはいるけれど、やっぱり八坂先生が教えながら指し示してくれると分かりやすいわ
ベテルギウス、シリウス、プロキオン……と、凍える唇で呟きながら
八坂先生の指に誘われて地平の彼方を見遣るように視線を落としていけば
…………あっ、あれかしら
……カノープスって確かシリウスの次に明るいのよね?確かに明るいけど、思ったよりは……意外と、ちょっと控えめかも
でもその分本当に、見つけられたら幸運がありそうだわ
そういえば八坂先生、言ってたわね。カノープスは寿星と呼ばれているんだって
五十嵐先生、お子さんが大きくなったら今度は、家族みんなで一緒にカノープスを見に来たらいいんじゃないかしら?
こんな綺麗な星空、愛する家族に見せないなんて勿体無いわ
……私も、そうね。長生きしようって気持ちはまだピンとこないけど。またひとつ大切な思い出ができたみたい
星に願いを捧げるなら、今がチャンスよね。こんなに沢山の星が煌めいているんだもの
……あっ、そういえば八坂先生、あの冬の大三角の辺りにこう見えてるのが、こないだ教えてもらった冬の天の川よね──なんて
折角山まで来たんだから。今日は心ゆくまで星空を楽しんでいくわ
それこそ話題は、星の数ほどあるのだから
★
アドリブ台詞・交流歓迎
笑顔は殆ど見せないけれど、楽しいとか嬉しいは素直に言葉にして伝えるタイプです
服装はロングダウンコートに厚いマフラーでもこもこ
今夜も、その星は南の地平線すれすれの位置で輝いている。
約1万2千年後には南極星になるといわれている、赤く輝く星。
「この山に来るのは学生の頃以来ですね……」
そう、以前も八坂・詩織(銀誓館学園中学理科教師・f37720)はこの山で見たのだ。
「そうだな、懐かしいなー」
五十嵐・右京(紅い火狐・f35357)も一緒に――暗くなった南の空の地平線から少しだけ姿を覗かせる『寿星』、カノープスを。
そして詩織と右京にとっては、久しぶりにみる星だけれど。
(「カノープス。私は初めて聞く名前だけれど。八坂先生たちの、思い出の星、なのね……」)
神野・志乃(落陽に泥む・f40390)にとっては、その星を目にするのは初めてで。
懐かしむようなふたりの声を聴きながら、志乃も寿星を探しに来たのだけれど。
「五十嵐さんとは初めまして、ね」
表情には出ないけれど、そう右京に声をかけつつも内心そわりとしてしまう。
(「私の友達って女の子ばかりで、歳上の男性と交流する機会があまり無いから、何だか緊張するわ……」)
けれど、そんな緊張もすぐに少し和らぐ。
「五十嵐さんとは同級生なんですよね。受け持ちの学生こそ違いますけど同じ銀誓館の教師でもありますし」
「そうだな、俺は小学部の教師だけど、詩織とは同期の同僚なんだよな。志乃もよろしくな!」
「……あ、五十嵐さんも銀誓館の先生なのね? じゃあ、五十嵐先生、ね」
詩織と同じ銀誓館学園の教師で、気さくな感じの先生だと思えば。
それからふと、志乃は訊ねてみる。
「八坂先生が以前にカノープスを見たのって、いつ頃? 今の私と同い年くらいの頃?」
「私達がこの山にカノープスを見に来たのはたしか高校2年の、春先の頃だったかと」
「高校2年か、結構前なんだなー」
今は大人な先生達が、学生の頃に見たという星。
それを数年経った今、また再び探しに行くというのだから。
「何だか素敵ね、過去に出会った人と星とが結ぶ縁、って」
志乃はそう今の気持ちを言葉にしながらも、微か瞳を細める。
だって、思うから……その縁の繋がりに私も入れるなんて、ちょっと光栄で、嬉しいわ、って。
――とはいえ。
「……それにしても、やっぱり、冬の山は、……寒い、わね……」
吐く息は白く、山には雪も積もっている。
いや、今日は確りロングダウンコートに厚いマフラーというもこもこな服装で来た志乃だけれど。
年末に詩織と流星群を見に行った時は、セーラー服に半纏だけだったのだ。
「流石の私も学習して、防寒着を新調してきたけれど」
それでもやはり、冬の山が寒いには違いないから……そうなれば。
「私は雪女なので寒さは平気ですけどお二人が風邪ひかないようにチャイ持って来たのでよろしければ」
「……八坂先生のチャイが頼りかもしれないわ……」
詩織が水筒に用意してきたのはチャイ。
しかも――暑い時も寒い時もチャイは美味しいですよ、と。
スパイスの効能がある『インド式ティータイム』で淹れた、ぽかぽかの特製である。
「五十嵐先生は初めてかしら、八坂先生のチャイ。芯から温まるわよ」
「ああ、初めてだな。俺はファイアフォックスだし……暑い方が得意だから有難いぞ」
そんなふたりに、詩織はチャイを振る舞いながらも。
「学生の頃はココアを持っていったのですけど。今回はバレンタインにちなんで星型のチョコレートも持って来たので、よかったら食べてくださいね」
チャイのお供にと手渡すのは、甘いお星さま。
それからふと、右京も続いて。
「あ、俺もミネストローネを作って来たぞ。人参はハートや星にしてみたぞ」
そう取り出したのは、猫さん柄のポットに入った手製のミネストローネ。
それを受け取りつつも、志乃は首を傾ける。
「五十嵐先生は……家庭科の先生?」
「えっ、俺は小学校の先生だぞ、中学の理科教師免許も持ってるけど!」
「五十嵐さんは私と同じ理科の教員免許も持ってるんですね」
「小学部の先生だし、専門は化学だけどな……って、詩織のチャイ、すげーあったまるな!」
そんな会話を交わしながら、暖を取りつつ一息ついた後。
ひらけた山の上で――今回の目的、カノープスを探してみることに。
とはいっても、夜空に煌めく星々は無数にあって。
「この日の為にカノープスの見方の予習はしてきたけれど……本で学んでも実地でうまく見えるとは限らないのが夜空よね」
志乃は予習してきたカノープスの見つけ方を思い返してみるけれど。
「五十嵐さんはカノープスの見つけ方覚えてます?」
「南の地平線すれすれにあるんだよな、冬の大三角をまず見つけるんだっけ」
「はい。おさらいも兼ねて冬の星座達を探していきましょうか。まずは冬の大三角を見つけましょう」
そう詩織が手渡すのは、天文部オリジナルデザインの星座早見盤。
それを片手に、冬空に輝く星を辿っていく。
「オリオン座は分かりますよね、三ツ星を挟んで対角線上に輝く一等星、赤い星ベテルギウスと青白い星リゲル。三ツ星を左下の方まで伸ばしていくと見つかる一際明るい星、全天でもっとも明るい一等星シリウス。ベテルギウスとシリウスを結び、そこを底辺とする三角形を作るように東の方に目を向けると見える明るい星がこいぬ座のプロキオン。ベテルギウスとシリウス、プロキオンを結んでできるのが冬の大三角です」
「冬の大三角、頭で覚えてはいるけれど、やっぱり八坂先生が教えながら指し示してくれると分かりやすいわ」
そして冬の大三角を確認した後、次に辿っていくその先にあるのは。
「ベテルギウスとプロキオンを結んだ線の真ん中辺りからシリウスまでを線で結び、さらにその線を下までずーっと伸ばしていくと……ありました!」
――地平線すれすれの、低い空に赤っぽく輝くあの星がカノープス、と。
今回の目当てである、寿星が。
そんな詩織に続き、志乃も順に星を辿っていって。
「ベテルギウス、シリウス、プロキオン……」
凍える唇で呟きながらも、詩織の指に誘われて、地平の彼方を見遣るように視線を落としていけば――。
「…………あっ、あれかしら」
見つけたのは、地平線の僅か上にある赤い星。
けれどその星へと視線を向けつつ、志乃はふと首を傾ける。
「……カノープスって確かシリウスの次に明るいのよね? 確かに明るいけど、思ったよりは……意外と、ちょっと控えめかも」
「何か大気の影響で暗くとか赤く見えるんだよな、確か」
「ええ、大気の影響で減光されてるだけで実際はとても明るい星なんですよ。南半球では本来の青白い明るい星として見えます。シリウスまでは8光年程ですが、カノープスは約310年光年も先にある星なんです。にも関わらず全天で二番目に明るいのはその距離をしのぐ程強く眩しい光を放っているからなんですよ」
そんな詩織の解説を聴きつつ、志乃は改めてカノープスへ目を向けてみて。
やはり、明るくはあるものの、なんとなくちょっぴり地味な気もするとはいえ。
皆と一緒に見つけた寿星にこうも思うのだった。
(「でもその分本当に、見つけられたら幸運がありそうだわ」)
実際カノープスは、とても縁起の良い星といわれていて。
「これでまた寿命が伸びたでしょうか……」
「そういえば八坂先生、言ってたわね。カノープスは寿星と呼ばれているんだって」
「見つけたら長生きできる長寿星っていわれてるらしいな」
世の中が乱れている時には見えず、平和な時代になるとまた見える……なんて言い伝えがあるほどで。
そして、一目見ると長生きできると言われている、長寿を齎す星だと言われている。
詩織はそんなカノープスを、懐かしいなーと眺めている右京へと視線を移して。
「五十嵐さんは今や奥さまとお子さんがいらっしゃる身ですから、頑張って長生きしないといけませんね」
「五十嵐先生、お子さんが大きくなったら今度は、家族みんなで一緒にカノープスを見に来たらいいんじゃないかしら? こんな綺麗な星空、愛する家族に見せないなんて勿体無いわ」
志乃もそう続くけれど。
「可愛い奥さんと大天使な娘たちのためにも長生きしないとだし、確かに一緒に見に来たいな……って、長生きしなきゃなのは詩織も志乃も同じだぞ」
「志乃さんはまだ若いですけどカノープスは日本ではそう頻繁に見られる星ではありませんからしっかり目に焼き付けてほしいです」
「……私も、そうね。長生きしようって気持ちはまだピンとこないけど。またひとつ大切な思い出ができたみたい」
そう、カノープスが瞬く冬の星空を改めて見つめてみて。
「星に願いを捧げるなら、今がチャンスよね」
――こんなに沢山の星が煌めいているんだもの、って。
そっと星に願いを馳せるのもいいかも、なんて思うし。
「私も……長生きできればそれだけ多くの天文現象が見られますから」
詩織も、いつだって心を掴んで離さない、大好きな星空を見つめながら紡ぐ。
――頑張って長生きして、もっとたくさんの人に天文の楽しさを伝えたい。それが私の願いです、って。
だからこれから先も……そして勿論、今だって。
「……あっ、そういえば八坂先生、あの冬の大三角の辺りにこう見えてるのが、こないだ教えてもらった冬の天の川よね」
「オリオン座とおおいぬ座の南北を流れている……あそこに見えるのが冬の天の川ですね」
「夏の天の川って白い雲のような感じで濃いけど、冬の天の川はまた違った感じだよな?」
「それは天の川の中心がいて座の方向にあって、そこに星が集中しているからです。いて座は夏の夜空に見える星座ですから」
志乃はそんな詩織の話に再び耳を傾け頷きながらも、今日は存分に楽しむことにする。
丁度時期もバレンタイン、折角山まで来たんだから――ロマンチックな冬の星空を、心ゆくまで、って。
だって、見上げる夜空の煌めきたちみたいに――それこそ話題は、星の数ほどあるのだから。
成功
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