『キッチン』
『 バ ス 』
『ト イ レ』
『黒い部屋』
『リビング』
『寝室』
『 』
『 』
『揺らぐ部屋』
『キッチン』
『壊れた部屋』
『 』
『ゴーストが250匹いる部屋』
『 』
『能力者ぶっ殺しゾーン』
「……異常な間取りの家、か」
イリス・シキモリ(f13325)は、手にした住宅の図面を手にしながら微かに眉を顰める。
「お前たちには、この家の異常さがわかるか?」
イリスはグリモアベースに集った猟兵たちへと、その間取り図を見せつけた。
「見たところ、なんの変哲もない一般的な住宅の図面のように見えるが……実はこの家は、危険なゴーストタウン化現象の現場なのだ」
そうしてから、イリスは本題を切り出す。
「場所はシルバーレイン世界。K県Y市の郊外に建つ一軒家だ」
手元の端末を操作して、イリスはモニターに家の間取り図を表示した。
1F『玄関』『キッチン』『 バ ス 』『ト イ レ』『リビング』『 』
2F『寝室』『 』『黒い部屋』『キッチン』『寝室』
3F『 』『 』『壊れた部屋』『能力者ぶっ殺しゾーン』
4F『ゴーストを育てる部屋』『ナンバード塾』『ゴーストが250匹いる部屋』
・
・
・
66F『能力者ぶっ殺しゾーン』『能力者ぶっ殺しゾーン』『能力者ぶっ殺しゾーン』『ト イ レ』
「この間取り図だけでは一見どこにでもあるような普通の住宅のように見えるが……この家にはなんらかの曰くがあり、内部は危険なオブリビオンの巣窟と化している。不用意に足を踏み入れてしまえばたちまち中にいる悪質なゴーストやオブリビオンに襲われてしまうのだ。
お前たちにはこの家に突入し、内部の敵を掃討しながらこの家の中を探索してもらう。そしてゴーストタウン化現象の中枢となっている存在を見つけ出し、速やかに排除せよ」
戦いの舞台となる家は得体の知れぬ不気味さと謎に満ちた異様な場所であるが、実際やるべきことは非常にシンプルだ。
要は、敵をぶちのめしながらボスを探して見つけ次第ぶっ飛ばせ、である。
「私はこの能力者ぶっ殺しゾーンの隣にある異様に巨大なバスルームに違和感をおぼえた。リビングの妙な細長さも気になるところだが……。この空白のエリアも妙だな。……とにかく、妙だと思った部屋は片っ端から調べ尽くせ。必ずどこかで現象の核となっている敵が現れるはずだ」
とにかくやってみろ、とイリスは最後に結んだ。
「では、行ってこい」
そうしてイリスはグリモアを輝かす。
かくして猟兵たちはこの異様な間取りの家へと飛ぶのであった。
無限宇宙人 カノー星人
ごきげんよう、|猟兵《イェーガー》。カノー星人です。
この間取りには流石に私も違和感をおぼえました。
皆さんにはこの家の異常さがわかりますか?
よろしくお願いします。
第1章 集団戦
『サイコチェーンソー』
|
POW : 殺人チェーンソー
【チェーンソー】が命中した対象を切断する。
SPD : サイコスピン
【狂乱しながらの回転斬撃】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : ノイズチェーンソー
自身の【チェーンソー】から【強烈な駆動音】を放出し、戦場内全ての【防御行為】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
イラスト:青柳アキラ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
『もしもし、猟兵の方ですか』
現地に到着した猟兵たちの端末に、シルバーレイン世界内が発信源の通信が届く。
『私、除霊建築士の邦原と申します』
除霊建築士とは、シルバーレイン世界の能力者の一種である。邦原氏は猟兵たちの相互扶助組織からの依頼で今回の案件を現地の猟兵たちが円滑に進められるようサポートするためにコンタクトを取ってきたのだ。
(※この連絡はそれぞれの猟兵が普段使用している通信手段に合わせて送られています。携帯電話を使用している猟兵のもとには通話がきますし、矢文などで連絡を取り合うタイプの猟兵の方には矢文で届きます)
『現地の情報を頂ければ……私の個人的な推理、というかたちになりますが、先に進むための助言などをお伝えできるかと思います』
除霊建築士としての見地から、猟兵たちに協力してくれるのだという。
『まずは3階を目指してください。能力者ぶっ殺しゾーンに差し掛かると|能力者ぶっ殺しおじさん《サイコチェーンソー》たちがいると思いますから、気をつけて進んでくださいね。
その先の階段から更に上の階を目指しましょう』
……そのように、邦原氏は猟兵たちに指示した。
ヴォルフスブルク・ヴェストファーレン
ひぃん…私にもおかしさが解ります…ここにはデッドスペースがあります…しかも二つも!
そしてすごく…すごく手前の壊れた部屋が細いです!|すごくすごい大きさの《クソデカイ》|飛空艇の方《ガレオノイド》には暮らしづらそうです…!
事あるごとにお借りしたお電話で邦原さんに相談しましょう!邦原さん!邦原さぁん!
とりあえず三階を隅々まで探索して…ヒンッ扉がありません?!邦原さんどうしましょう!?
兎に角無理やり侵入しましょう!うひゃい!っと【飛空艇】に変身してひょぅあ!と全速力で壁に体当たりですっ
能力者ぶっ殺しおじさん…?という方達はよくわかりませんが壁を不用意にぶち抜いて出てきたので多分轢いちゃうと思いますっ
クレア・ノーススター
事前に見せられた間取り
これと言った違和感を感じなかったが、どうやらおかしな物件らしい
地元に於いて壊れた部屋など低所得者向けなら珍しくはない
ゴースト?黒いGな虫の事を書こうとして、気を利かせたか記入ミスだろう
他人の家にチェーンソー片手に立て籠もって目につく者全て切り刻む変質者もそうだ
しかしこうして任務となる以上どれかが異常なのだろう
家の割に66Fなんてあるのは気になるが、低所得者向けの団地がその位だったはずだ
世界が違えばそんなものか
サイバー世界準拠に、電脳の通信を使ってくれる現地の協力者
ありがたい、とアドバイスを聞きながら内部を進む
遭遇しても取り乱さない
普段同様フルオートで弾丸を浴びせ続ける
ディグ・ドリラー
分からねえ、確かに違和感があるがそれが何なのか全く見当もつかねえ
だがこの世界の専門家がいるならなんとかなるだろう、とりあえず最初の関門は、わかりやすいオブリビオンだしな
チェーンソー使いか、割とメジャーな獲物だな
当たれば痛いが当たらなければどうってこともねえ!
くるくる回りながら切り込んで来るなら、相手の足から真下にドリルを生やして逆回転させるぜ!
そしてそのまま床に固定する!
相手の動きを止めたなら、一気に腕のドリルで敵の腰辺りを攻撃して上半身と下半身が千切れるようにするぜ!
しっかしこんな連中が出てくるってことはやっぱ普通じゃねえな…
一体ここはなんなんだ…!?
進んで確かめるしかねえか…!
「分からねえ、確かに違和感があるがそれが何なのか全く見当もつかねえ……」
ゴーストタウン化現象発生地、『異常な間取りの家』。その玄関前。
「そうだな……。これと言った違和感を感じなかったが、どうやらおかしな物件だということらしい」
ううむ、と唸りながらディグ・ドリラー(f31701)とクレア・ノーススター(f36825)は顔を見合わせた。
「そうですね……間取りと見た感じではぜんぜんわからないですね……」
資料として印刷された間取り図の束をめくりながら、ヴォルフスブルク・ヴェストファーレン(f34026)もまた首を捻っていた。
『いえ……この間取り、これはかなり異常ですよ』
「ひゃっ!? 邦原さん!」
しかし、専門家である除霊建築士の観点からすれば、この家の間取りには多くの異常な点が見受けられるのだという。猟兵たちのもつ端末越しに、協力者である邦原氏が言う。
「専門家が言うならそうなんだろうな……で、実際どのあたりがおかしいんだ?」
ヴォルフスブルクの持つ電話に向かって、ディグは問いかけた。
『はい。まず一階の間取りですが……気づきましたか、皆さん』
「……」
3人は邦原氏に促され、1回の図面を見る。
『玄関』『キッチン』『 バ ス 』『ト イ レ』『リビング』『 』。
――一見してなんらおかしな点のない、一般的な現代住宅の間取り図である。
しかし。
『この家……お風呂場とトイレが非常に大きいんです』
「ひゃいっ!? ほ、ほんとです!」
「なに……?」
「……ふうん。この世界の建築様式で考えるとそうなのか」
猟兵たちに告げられる驚愕の事実――! 邦原氏は更に話を続ける!
『ここからは、私の推理にはなってしまうのですが……』
「……」
いったいこの物件にはどんな秘密が――! ヴォルフスブルクは固唾をのんで続く言葉を待った。
『おそらく、この家に住んでいる人は……クソデカいゴーストの可能性があります』
「ヒンッ! クソデカいんですかっ!?」
「なるほどな……。そいつは注意して挑む必要がありそうだ」
「ああ。事前に警戒すべき相手がわかるのはありがたい。注意して進もう」
『はい。ではまず3階を目指してください』
ここで邦原氏は一旦通話を切った。
「よし。とにかく進もうじゃねえか」
「了解した」
「ひゃいっ!」
――かくして3人は物件のドアを開き、内部へと進入してゆく。
異様に巨大なバス・トイレを擁する1階を通り抜けて、2階へ。
壁一面が『ゆるして』『あけて』『ここからだして』のインク文字で埋め尽くされた『黒い部屋』を通過して、猟兵達たちは3階へと至る。
「……ここまでは特に何もなかったな」
「はい……これといって変なところもありませんでしたね……」
「そうだな」
だが、3階に踏み込んだところで猟兵たちは一度足を止めた。
「ですが、この3階の間取り図……ひぃん……。私にもおかしさがわかります……」
「なに……?」
「なにかわかるのか?」
ディグとクレアは振り返り、不安がる様子のヴォルフスブルクを見た。
「ひゃいっ……! ここにはデッドスペースがあります……しかも二つも!」
『 』『 』『壊れた部屋』『能力者ぶっ殺しゾーン』
「ここ……なんなんでしょう……?」
『ヴェストファーレンさんも気づきましたか。この階の間取りのおかしさに……』
そのとき、タイミングを見計らったかのように邦原氏からの通話が開く。
『そう、その異様な広さのデッドスペース……。更に目を惹くのはひときわ大きな能力者ぶっ殺しゾーン……。そう、このフロアの部屋の多くは非常に広いつくりでできているんです』
「……」
『このことから推測するに……』
「ひゃっ!? でも邦原さん! 見てください、手前の『壊れた部屋』……! この部屋、すごく細いです!!」
『それはいま関係ないですね』
「ひぃん!? 関係ないんですか!? でも細いですよ……!? テレビ置きづらそうじゃないですか!?」
「いや、黙ってきいておけよ。専門家が言うならそうなんだろう」
「壊れた部屋くらい、低所得者向けなら珍しくはないからな」
「ひぃん……」
『そうですね……それで、ここからは私の推理になるのですが……』
「……」
『おそらく、この家に住んでいる人は……クソデカいゴーストの可能性があります』
「なるほどな……」
「やはりそういうことか」
猟兵たちは頷いた。
『では、探索を続けてください』
「了解した」
そして、3階の探索へと入ってゆく。
3人は『 』の部屋と『壊れた部屋』に入り、内部の状況を確認しながら先に進む経路を探す。
だが――――ここでひとつの問題が生じた。
「ヒンッ!! 扉がありません?!」
――図面にあるはずの、能力者ぶっ殺しゾーンに繋がるドアが見つからないのだ。
「邦原さん!! 邦原さぁん!! ドアなぁぁい!!」
慌ててテンパったヴォルフスブルクが通話ボタンを連打しながら邦原氏にアドバイスを求めて電話をかける。
『わかりました。では皆さん……壁を粉砕しましょう』
邦原氏はきわめて冷静に助言をした。
「おう。わかりやすくていいな」
「ああ。話が早くていい」
「わ、わかりました! じゃ、じゃあ無理やり侵入しましょう!!」
行動指針を固めた猟兵たちは、首つり縄や空の注射器などが無数に転がる『壊れた部屋』から、壁に向かって身構える。
「うひゃいっ!!」
まず先陣を切りに行ったのはヴォルフスブルクであった。
ヴォルフスブルクはガレオノイドとして備わった艦艇変身能力によって――最大でやると周囲を押し潰しかねない危険性が生じるため抑えめのサイズに抑えながら――ヴェストファーレン級装甲飛空艇の形態へとその躯体を変異させる。
「ひょぅあ!!」
そこから躯体内の連結天使核を燃やし、機関部を最大稼働。最大出力での急加速をかけて、壁面へと激突しにいった。
「グアーッ圧殺!!」
「グアーッ轢殺!!」
粉砕される壁面。壁がぶち抜かれる轟音に交じって悲鳴が響いた。
「ひょわっ!? 誰か轢いちゃいました!?!?」
やっちゃいましたかと怯えるヴォルフスブルク――しかしてその前に、能力者ぶっ殺しゾーンの中から複数の気配が現れる!
「テ、テメェ~ッ!! 俺たちのぶっ殺しゾーンになんの用だァ~ッ!!」
「ぶ、ぶぶ、ぶっ殺してやる!!」
「ケヒャヒャヒャヒャーッ!! 不法侵入の罪で死刑だァ~ッ!」
――|能力者ぶっ殺しおじさん《サイコチェーンソー》の軍団だ! おじさんたちはヴォンヴォンギャリギャリ鳴るチェーンソーを構えながら能力者ぶっ殺しゾーンを血で染めるために猟兵たちに襲い掛かろうとしている!
「ぴゃいっ!? なんですかこのひとたち!? 邦原さぁん!? 邦原さあん!?」
『その人たちは能力者ぶっ殺しおじさんたちですね。どこにでもよく出てくるので珍しいものではないですよ(笑)』
シルバーレイン世界においてゴーストタウン化現象の発生したエリアは大抵の場合全域が人間ぶっ殺しゾーンか能力者ぶっ殺しゾーンと化し、人間ぶっ殺しおじさんたちや人間ぶっ殺し動物、人間ぶっ殺し痴女などで溢れかえるのだという。そんなの言い出したらキリないですからねと邦原氏は笑った。
「この世界にも悪い連中が出てくんのは珍しくねえってことだな……。とりあえずこのわかりやすいオブリビオンどもが最初の関門ってワケだ」
ぎゅいん、ッ。ディグの額でその魂の表れでもある鋭く長い|尖角《ドリル》が廻る。ようやくわかりやすい話になってきたところだ。ディグは戦意を滾らせながらチェーンソーおじさんたちの前に進み出た。
「チェーンソー片手に他人の家に立て籠もり、目につくものすべて切り刻む変質者の集団か……。まぁ、たしかに珍しいものでもないな」
一方、末法的なサイバーザナドゥ倫理観が常識として染みついているクレアとしてもさりとて驚くような状況ではない。|違法薬物中毒者《終わった人間》が武器をもって暴れ回るくらいは日常茶飯事であり、彼女の常識の範疇だ。クレアは冷静に火器を抜き、|安全装置《ロック》を外した。
「行こう。掃討して先に進む」
「グアーッ射殺!!」
BLAM! 挨拶代わりのショットシェル。散弾がばらけてチェーンソーおじさんたちの勢いを殺ぐ。
クレアは|散弾銃《ライジングドラゴン》を素早く床に放り捨てると獲物を|自動小銃《PDW》に持ち替えて引き金を引いた。ダダダダダッ! フルオート機構。6x35HSAPAC弾頭が爆ぜながらチェーンソーおじさんたちに叩き込まれてゆく。
「おう!」
クレアの火力行使によって下がり始めたぶっ殺しおじさんたちに向かって、好機とばかりにディグが飛び込んでゆく。
「ケヒャーッ! 俺達に接近戦を挑むつもりかァ~!?」
「馬鹿がァ! ドリルよりチェーンソーの方がイカすってことをわからせてやるぜェ~!!」
だが、チェーンソーおじさんたちはディグを迎え撃つ構えを見せる!
「フン、チェーンソーか……! 割とメジャーな得物だな。だがよ!」
しかし、ディグは嗤った。
「当たれば痛いが当たらなければどうってこともねえ!」
その瞬間である!
――――ドリドリドリドリドリドリドリドリ!!
「……なに!?」
「な、なんだァ~!?」
「ま、まわ……ッ!?」
突如、チェーンソーおじさんたちの足元から床を削るような音が鳴り始めたのだ。否、ただ音が響いたばかりではない。しかもチェーンソーおじさんたちはその場で異様な回転を始めたのである!
「こ、この音……この回転、ッ!? ま、まさかァ!」
「俺達の足が……ドリルにぃっ!?」
「気づいたってもう遅えッ!」
――そう、これはディグが仕掛けたユーベルコード能力だ!
|呪いのドリル《カースド・ドリル》! それは|他者の身体にドリルを生やす《・・・・・・・・・・・・・》、という能力である。
だが、それはただドリルを与えるものではない――対象の身体から生えたドリルは、ディグの意のままに動くのだ!
ディグはこの能力によってチェーンソーおじさんたちの足の裏からドリルを生やし、それによって彼らを床に固定したのである!
「おらぁッ!!」
「グアーッ真っ二つ!!」
「グアーッ半分こ!!!」
動きの止まった相手であれば、始末するのは容易い。そして貫くドリル一閃。ディグは次々とチェーンソーおじさんたちを粉砕し撃滅してゆく。
「こうなってくれればあとはもう的だな」
ダダダダダッ! 更に迸る火線! 弾頭に撃ち抜かれ、かくして3階に潜んでいたチェーンソーおじさんたちは全滅へと追い込まれるのであった。
「しっかし、こんな連中が出てくるってことはやっぱ普通じゃねえな……」
戦闘を終えて一息つきながら、ディグは唸った。
「ひぃん……。ゴーストタウン現象、っていうのが起きてる場所なのはまちがいないんでしょうけども……」
邦原氏へと鬼電しながら、人間態に戻ったヴォルフスブルクがきょそきょそと能力者ぶっ殺しゾーンの様子を見回す。
「そうだな。家の割に66Fなんてあるのは気になるが……」
火器の状態を確かめながら、クレアは能力者ぶっ殺しゾーンの奥に見える4階への階段を見遣った。
――耳をすませば、上階からもチェーンソーの鳴る音や能力者ぶっ殺しビーストの唸り声が聞こえてくる。
「一体ここはなんなんだ……!?」
「ひ、一筋縄でいく場所じゃないのはまちがいなさそうです……けど……」
「任務は続行する。指示通りだ。先を目指そう」
「そうだな。進んで確かめるしかねえか……!」
3人は頷きあった。
かくして――猟兵たちの探索は、更に上のフロアへと続いてゆく!
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ファルコ・アロー
はぁ?この間取りの何処が……ピィッ!窓がねーです!
窓ねーですよ杓原ァァァ!(f28476)
何で窓ねーんですか、66階まで!
邦原ァァァ!電話出ろですよォォォ!
はぁはぁ……ヴァンパイアなら仕方ねーですね、日光にクソ弱そうですし。
はぁ?怖くねーですよ!
魔女より戦闘機の方がぜってー強ぇですし!
……ピェッ!?ネーミングそのまま過ぎるんですよぶっ殺しおじさん!
チェーンソーぶん回しやがる事より外見の方が怖ぇです!
近付くのはぜってーお断りなので、潤のサメが足止めしてる間にフルバースト・マキシマムで風穴開けてやるですよ!
これならサメも傷付けなくて済むですし、ガラス無しだけど窓も作れるかもですよ!
杓原・潤
ぴよちゃん(f42991)ちょっとうるさいよー。
魔女のうるうの推理にはなっちゃうけど、多分日光にクソ弱いヴァンパイアでも住んでたんじゃないのぉ?
気になるなら邦原さんにも電話しとけば?
もー、そんなぴぃぴぃ言って……もしかして怖いのぉ?先帰っても良いんだよぉ?
そんな事言ってる間にほら来た、能力者ぶっ殺しおじさんの群れ!
もう帰れないよ、戦わなきゃ!
チェーンソーの扱いならうるうのサメ達の方が上って事、見せたげる!
行け、サメ達!
防御なんか捨ててばんばん攻撃して、あいつらのチェーンソーと斬り結んじゃえ!
サメとぶっ殺しおじさんのチェーンソーが絡まれば音だってしなくなるはず。
今だぴよちゃん!やっつけちゃえ!
幡本・成恵
アドリブ&絡み歓迎
オーホッホッホ!ゴーストタウン化とはいえ一般的な住宅なら捜索範囲も知れたものですわ!
……って、なにこれぇぇぇ!?
邦原ぉぉぉ!!ツッコミどころ満載だけど、まずこれだけは言わせてもらうよ!66階建ての何処が普通の住宅なのぉぉぉ!!日本のタワマンの最高記録抜いてるよぉぉぉぉ!!(スマホに向かって、思わず素で絶叫)
それに階段って、66階建てなのにエレベーターないのぉ!?あと窓無いぃぃぃ!!間取り図だと風呂やトイレにはドアもないぃぃぃ!!
ツッコミ叫び疲れた状態で、このストレス発散の為に能力者ぶっ殺しおじさんを黒影剣で斬り裂いて、生命力も奪って体力回復ですわ
このままだと身が持たないですし
ディル・ウェッジウイッター
アドリブ・連携可
この家、おかしいですね……普通の住宅のはずなのに、キッチンがとても大きい。2階の方なんて寝室の3倍くらいの広さじゃないですか。これもゴーストの影響でしょうかね……
3階のにお邪魔してしてお茶会を開きます
ティーソムリエたるもの不思議な間取りのお宅であろうと、能力者ぶっ殺しゾーンであろうとも、私のやる事は変わりません。皆さまどうぞお茶をお楽しみくださいね
お茶会を楽しまないサイコチェーンソー達の|妨害行動《騒音》は弱体化されるはず。適切に彼らの行動を諫めながらタイムリミットを狙いましょう
「オーホッホッホ! ゴーストタウン化しているとはいえ、一般的な住宅なら捜索範囲も知れたものですわ!」
らっくしょうですわ~!! 幡本・成恵(f35506)は高笑いした。
成恵は銀誓館学園に所属する現地の能力者である。学園の能力者育成カリキュラムの一環としてゴーストタウン化現象の起きた様々な廃墟を探索してきた経験もあり、実力も備えている。この程度の案件は軽くひねって終わりにできるはずだ、と息巻いていた。
「……いえ、幡本さん。この案件、思ったよりも容易なものではなさそうですよ」
「なんですって?」
しかし、彼女と同じく銀誓館からこの案件へと派遣された能力者、ディル・ウェッジウイッター(f37834)はこのゴーストタウン『異常な間取りの家』が一筋縄ではいかぬものであると看破する。
「はぁ? どう見たってフツーの家でしょ」
一方、ファルコ・アロー(f42991)は懐疑的に首を捻った。
見上げた『異常な間取りの家』はごく一般的な66階建ての住宅だ。外から見たところ、どこもおかしい部分は見受けられないとファルコは眉を顰めた。
「んー。そんなに変な感じはしないかなー?」
杓原・潤(f28476)がファルコの横から『異常な間取りの家』を見上げた。
「油断は禁物ですよ、皆さん。まず、この間取りを見てください」
しかし、ここでディルが事前に預かった間取り図を開く。
「よく見てください。この家、おかしいんですよ……」
「だからどこが……」
「2階の……ここです」
ディルは間取り図の一部を示す。
「普通の住宅のはずなのに、キッチンがとても大きい。2階の方なんて寝室の3倍くらいの広さじゃないですか」
「まあ! 庶民の家のキッチンは狭いんですのね。私のお屋敷のおキッチンはこの倍はありますわよ!」
「ええ、たしかに資産家の屋敷でしたらそうかもしれません……ですが、ここはごく一般的な住宅ですからね」
『さすがに皆さんも気づきましたか』
そこに、現地協力者である除霊建築士の邦原氏から通信が入る。
『そうなんです。この黒い部屋の隣のキッチン……ここが異様に大きいんですね』
「……」
専門家が指摘する異常性。猟兵達の間に緊張が走る。
『ここからは私の推理にはなるのですが……この家に住んでいるのは、クソデカいゴーストの可能性があります』
「なるほどー」
潤が雑に相槌した。
「やはりそうでしたか……。この間取りの異常性もやはりゴーストの影響でしょうかね……」
ディルは深刻な表情で頷き、表情を引き締めながらあらためて『異常な間取りの家』へと向き直る。
「……しかし、立ち止まってはいられませんね。先に進み」
「ちょっと待ってくださいません?」
しかし、ここで成恵が口を挟んだ。
「…………あの。その間取り図、もう一回見せていただけるかしら?」
「どうしましたか?」
成恵の求めに応じて、ディルが間取り図面の束を渡す。
「いえ、あの……よくよく見たら私も違和感を感じましたのよ」
そうして、成恵は改めて間取りを確認すべく図面の再確認へと入った。
「はぁ? この間取りの何処が……」
なんですかよ違和感って。ファルコが横から図面を覗き込む。
――そのときであった!
「ピィッ!?」
ファルコがこの家の間取り図を見た瞬間、甲高く悲鳴を漏らしたのだ!
「この家……窓がねーです!!!」
ファルコはこの家の間取りの異常性に気づいてしまったのだ!
そう――――この『異常な間取りの家』は、窓がないのである!!
「窓ねーですよ杓原ァァァ!」
ファルコは素早く振り返って潤に飛びついた!
「うーん」
「窓なぁぁぁい!! 何で窓ねーんですか、66階まで!!」
そのままファルコは潤の首元を掴んでがくがくと前後に激しく揺さぶる。
「なにこれぇぇぇ!? ほんとですわぁぁぁ!?!?」
ファルコの指摘を受けてか、成恵もまた悲鳴をあげた! 彼女もまたこの『異常な間取りの家』の異常性を認識してしまったのだ!!
「邦原ぁぁぁ!!」
「邦原ァァァ! 電話出ろですよォォォ!」
成恵とファルコは手元の端末で邦原氏に鬼電をかける!
「ツッコミどころ満載だけど、まずこれだけは言わせてもらうよ!? 66階建ての何処が普通の住宅なのぉぉぉ!! 日本のタワマンの最高記録抜いてるよぉぉぉぉ!!」
「窓ねーですよ邦原ァァァ!!」
「間取り図だと風呂やトイレにはドアもないぃぃぃ!!」
「それに66階までぜんぶ階段ですよ!! なんでエレベーターねーんですかァァァァ!!」
ファルコと成恵は電話口に向かってサラウンドでがなり立てた。
「まずいですね……。お二人ともすこし錯乱しているご様子です。これもゴーストの影響なのでしょうか」
「うーん、どうかなー……。まあ、とりあえず落ち着けるねぇ」
ここで潤は二人の背後にそろりと忍び寄って、えいやと後頭部にダブルでチョップを入れた。
「痛ァ!?」
「ぴよちゃんちょっとうるさいよー」
向けられる抗議のまなざしをさらりと受け流しながら、潤は言う。
「魔女のうるうの推理にはなっちゃうけど……窓がないのはねー。多分、日光にクソ弱いヴァンパイアでも住んでたんじゃないのぉ?」
ヴァンパイアはシルバーレイン世界にも存在していた種族だ。銀誓館とも敵対していた時期があり、その一部がオブリビオン化してゴーストタウン現象の原因になっていたとしても不思議ではない。
「なるほど……ヴァンパイアなら仕方ねーですね、日光にクソ弱そうですし」
「……なるほど、つまりこの家の主は日光にクソ弱くてクソデカいヴァンパイアということですわね」
きれいなチョップをもらった後頭部をさすりながら、ファルコと成恵は潤の推理に納得してかやや沈静した。
「……でも66階までエレベーターねーのはヘンですよ!!」
しかし、尚もなにか言いたげでファルコは潤へと食い下がる。
「もー、そんなぴぃぴぃ言って……もしかして怖いのぉ?」
対し――潤は、あたたかい目でファルコを見下ろして微笑んだ。
「先帰っても良いんだよぉ?」
「はぁ!? 怖くねーですよ!」
ファルコはいきり立った。
「魔女より|戦闘機《ファルコ》の方がぜってー強ぇですし!」
「まあまあ、お二人とも。ケンカはそのくらいにして……まずは先に進みましょう」
「……そうですわね。66階まで徒歩は憂鬱ですけども……行くしかありませんわ~」
そうしてディルが場を畳み、4人はようやく『異常な間取りの家』へと足を踏み入れる。
かくして探索が始まるのであった。
「本日の茶葉はセイロンのセカンドフラッシュに、カモミールをブレンドしました。カモミールの香りには緊張を和らげる効能がありますから、まずはこれを飲んで落ち着きましょう」
「まあ。流石ティーソムリエですわね。良いチョイスですわ。
「お褒めに預かり光栄です。よければスコーンもどうぞ」
「えー……なんなんですこの状況」
「あれ。ぴよちゃんお茶飲めないんだっけ? じゃあお茶菓子もうるうがもらうねー」
「いらねーとは言ってねーです!!」
――『異常な間取りの家』。3階。能力者ぶっ殺しゾーンにて。
猟兵たちはここで、ディル主導のお茶会を開催していた。
「なンだテメェラ!!!」
「オイコラ!! 茶ァしばいてねェで出てこいクソガキども!!!」
「殺してやるッ殺してやるッ殺してやるッ殺してやるッ殺してやるッ」
「死死死死死死死死死死死死死死死死」
「ケ~ッヒャッヒャッヒャッ!! 聞こえますかァ!! このチェーンソーがあなたがたの血を吸いたいと鳴いてますよォ~~!!」
そして――ティーセットの広げられたテーブルの周囲は、|能力者ぶっ殺しおじさん《サイコチェーンソー》の群れに完全包囲されていた。
遡ること数分前。
能力者ぶっ殺しゾーンへと足を踏み入れた猟兵たちはそこで能力者ぶっ殺しおじさんたちの急襲を受けたのである。
しかし、先刻叫び疲れて疲弊した状態のファルコと成恵は反応が遅れ、危うく苦戦を強いられる状況になりかけてしまったのであった
――――そこで、ディルが始めたのがこのお茶会である。
そう――お茶会。それこそがティーソムリエである彼の|戦闘技術《ユーベルコード》なのだ。
それは一種の自己領域の展開能力である。彼がティーパーティーの場と定めた空間では、お茶会を阻む一切の行動は許されないのだ。
「ヤイコラテメェ!! 出てこい!!」
ギュオンギュオン! ギャリギャリギャリ! チェーンソーを掻き鳴らし威迫するぶっ殺しおじさんたち。
「まぁ! このお茶……甘くて爽やか香りですのね~! 癒されますわ~!」
「お砂糖はよろしかったですか?」
「あっ、こっちにくださいです」
「うるうもお砂糖もらうわねー」
だが、お茶会の場に相応しくないチェーンソーサウンドはその殆どがディルのユーベルコード能力によって遮断されているのだ。誰もこのお茶会を邪魔することはできない。
「あー……リフレッシュしましたわ!」
「ぴよちゃんももう元気になった? 怖くない? さ、もう帰れないよ、戦わなきゃ!」
「怖くねーって言ってるです!! やってやりますですよ!!!」
かくして、数分後。
ティーパーティーによるリフレッシュタイムを終えた猟兵たちは、席を立ち戦闘態勢へと入る!
「ヒャアーッ!!! やっと出てきやがったか!!」
「ピェッ!? ぶっ殺しおじさん!」
待ちくたびれたぞとばかりにぶっ殺しおじさんたちは猟兵たちに向かって進み始める!
「ヒヒヒヒヒ……このチェーンソーで今からおじょうちゃんのかわいいてあしをもっとかわいくしてあげるかわねえええええ!!!」
ギュインギュインギュイン!! ギャリギャリギャリ!! チェーンソーを掲げたぶっ殺しおじさんたちが襲い掛かる!
「そのチェーンソーよりおじさんの見た目の方が怖ぇのです!!! どんなファッションセンスしてんですか!!」
「ぴぃぴぃ言ってないで片付けちゃうよぉ」
しかしてそのとき、潤がその指先を掲げた。
灯る光が空間に陣を描き出す。そこに開かれる|門《ゲート》! 開かれた門から飛び出すのは――ギュルルルルーーッ!! その身体に回転鋸を備えた殺人鮫の群れだ!
『サメーッ!!!』
「なにィッ!?」
「チェーンソーシャークだと!?!?」
「ナめるなよ!! チェーンソー捌きならこっちが上だってことをわからせてやる!!」
「ふーん! チェーンソーの扱いならうるうのサメ達の方が上って事、見せたげる! 行け、サメ達!」
ギャギャギャギャギャギャギャギャギャ!! ぶつかり合うチェーンソーとチェーンソー! ぶっ殺しおじさんたちとチェーンソーシャークの群れがぶつかり合い、その刃を押し付け合いながら火花を散らす!!
「なんで急にチェーンソー合戦になってるんですの!?!?」
成恵が心の底から不条理を叫んだ。
「……とはいえ、注意を引いてくれるなら好都合ですわ!」
だが、こうして敵群がサメの方へと注意を向けてくれているなら――付け入る隙ができている、ということだ!
成恵は回転動力炉を回して詠唱兵器に火を入れると、得物とするその刃を抜き放った。――瞬間、成恵の姿が影に沈む!
「黒影剣でいきますわよ~!!」
「グアーッ不意打ち!!」
「グアーッ背中の傷は剣士の恥!!!」
刹那、ぶっ殺しおじさんたちのうちの数名がその身を裂かれ爆散する!
魔剣士の業である黒影剣は、その気配を断ち死角から敵を討つ剣技である。敵が|別のもの《サメ》に注意を向けている状況ならば猶更に有効! 影に潜んだ成恵は手練れのアサシンめいて次々にぶっ殺しおじさんたちを始末してゆく!
「今だぴよちゃん! やっつけちゃえ!」
「おーしとどめはボクがやるですよ!! こいつで風穴開けてやるです!」
その一方! ファルコもまた必殺の一撃を見舞うべくその身に備えた|兵装《アームドフォート》の砲門を開いていた。
「ぴぇーっ!!」
フルバースト・マキシマム! 全力砲撃がぶっ殺しおじさんたちに叩き込まれ、その悪意を打ち砕く!
「グアーッ爆発四散!!」
「グアーッ爆死!!」
「グアーッ全滅!!」
――砲撃の轟音の合間、響き渡る断末魔。
煙が晴れる頃には、ぶっ殺しおじさんたちの姿はひとつとして残っていなかった。
「……では、お茶会を再開しましょうか」
「そうですわね。敵も多かったですし……すこし消耗もしましたわ。休憩してから先に行きますわよ」
「そーですね……。まだ60階も昇んなきゃいけねーですし」
「ボスに会う前に疲れ切っちゃったらどうしょもないもんねぇ」
そして猟兵達は再びディル主導のお茶会に戻る。
何しろこのゴーストタウンは66階まであるのだ。そこにたどり着くまでに敵との戦いも繰り返し発生するであろうことは想像に難くない。
4人はカモミールティーの香りで身体を休め、ここから先の探索に備えるのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【SPD判定】
むむむ…何がおかしいのか全然わからないなぁ♪
違和感は確かにあるんだけどなぁ…♪
…黒い部屋…は、まあ普通の家ならよくあるヤツだよね…♪
(何がおかしいのかガチでわかっていない)
【情報収集/野生の勘/気配感知/精神の余裕/瞬間記憶/索敵/偵察/暗視】で家の中を探索するよ♪
UCは「ワタシのソロモンの悪魔変身」★
物理攻撃を受けない形態になるよ♪
攻撃は【範囲攻撃/弾幕/切断/怪力/生命力吸収/2回攻撃/鎧無視攻撃/属性攻撃】で行うよ♪
敵のUCは【野生の勘/第六感/気配感知/幸運/霊的防護/オーラ防御/鉄壁/硬化/激痛耐性/回復力】で対応するね♪
遠藤・修司
『まず部屋としてバランスが悪すぎるね』
『風水も酷い。特にこのトイレの位置は最悪だ』
『高層建築なのにスプリンクラーや防火装置もないよ』
『耐震構造にもなってなさそうだ』
『災害や事故のことが全く考慮されていないのか』
『この間取り、異常すぎるよ』
“僕”達(別人格)が好き勝手なことを言ってるけど、そこじゃないと思うんだ
まあ気にしても仕方ないか
能力者ぶっ殺しゾーン手前に罠を仕掛けて、ゴーストを誘い出そう【UC使用】
罠に引っかかって動きが止まれば、先に進めるかな
この家、66Fまであるのにどこにもエレベーターがないんだよ
階段で登らなきゃならないの、どう見てもこれが異常だと思うんだけどな
「むむむ……」
クローネ・マックローネ(f05148)は唸った。
その手に握られているのは、一束のコピー用紙――。いま彼女の前に聳えるゴーストタウン化現象発生地『異常な間取りの家』の間取り図である。
クローネはそれをひとりしきり眺めた後――
「何がおかしいのか全然わからないなぁ♪」
不思議そうに首を傾げた。
――そう。彼女は本当にわかっていなかったのだ。
猟兵たちの間でも出身世界や文化圏の違いによって知識の偏りや常識のすれ違いがあり、それがトラブルの原因になるケースは枚挙にいとまがない。
今回はクローネのもつ知識がシルバーレイン世界の文明における建築学に精通していなかったがために、彼女はぜんぜんわからない状態に陥ってしまっていたのだ。
「うーん……違和感は確かにあるんだけどなぁ……♪」
どこをどう見てもわからない。『キッチン』も『リビング』も『黒い部屋』も『壊れた部屋』も、どこの家にでもあるような部屋だと思うのだ。クローネは不思議そうに首を捻るばかりであった。
『いや、どこをどう見たっておかしいだろう』
「ええ?」
そのとき、気だるげな声がクローネの後ろから投げかけられた。
『……よく見ろ。風水もひどい。特にこのトイレの位置は最悪だ』
クローネの持つ間取り図を後ろから覗き込んだ男――遠藤・修司(f42930)は、指さして間取り図の異常な点を指摘する。
『高層建築なのにスプリンクラーや防火装置もないよ』
瞬間、修司の声色が僅かに変わった。一段高いトーンの声で、修司は間取り図を指し続ける。
『耐震構造にもなってなさそうだ』
また一段低くなったトーンで修司が言葉を続ける。
『災害や事故のことが全く考慮されていないのか』
『どれにしたってこの間取り、異常すぎるよ』
修司の声から――まるで複数人が会話しているかのような調子で言葉が次々と飛び出す。
修司は多重人格者であった。その身体の精神の内に膨大な『自分』を繋いでおり、時折、そのうちの多くが好き勝手に喋り出すこともある。
「…………そこじゃないと思うんだけど」
刹那、『会話』が一旦途絶え――主人格である『修司』の自我が身体の支配権を受け取って、その状態で修司は安定した。
「かんがえてても仕方ないぉ♪ とにかく行こ行こっ♪」
「うわ……」
これ以上は考えるだけ無駄だよぉ♪ クローネは間取り図を放り捨てながら、修司の腕を掴んで引き込み始めた。
「まあ……気にしても仕方ないか」
修司は憂鬱げに眉間へと皺を寄せ、半ばあきらめた顔をしながらクローネに手を引かれて『異常な間取りの家』へと引っ張られてゆく。
かくして、現場で行き会った二人の即席チームはゴーストタウンの探索を開始したのである。
「ビリビリパワーの悪魔ちゃんになぁ~れ★」
家に踏み込むと同時に、クローネはその身にユーベルコードを励起した。その身体は電光を纏う魔のものと化す。
「君は世界観がだいぶ違うね」
修司はぼやいた。
「んっふふぅ♪ おじさんもそんな暗い顔してないで、クローネちゃんみたいにスマイルしようよぉ♪ あっ! それともクローネちゃんと楽しいことする?」
「しないよ」
とにかくテンションの高いクローネに物憂げな顔で塩対応しながら、修司は家の中を進んでゆく。
「……さて。このあたりから先は注意が要りそうかな」
修司は先ほどクローネが放り捨てたのを回収した間取り図を広げながら、部屋の先を見た。
何やかやで二人は既に4階まで到達していた。
「えーいっ♪」
「グアーッ全滅!!!」
妖獣系のゴーストに血腥い肉のような餌を与えていたリビングデッド系のゴーストを電撃で焼き潰し、まずクローネが『ゴーストを育てる部屋』を制圧する。
「ナンバードもいるのか。思ったより厄介な場所だな……」
「グアーッ全滅!!!」
その一方で、修司は雷の魔弾でナンバード塾に集っていたナンバード系ゴーストたちを始末していた。
「……さて。間取り図だとこの先は『ゴーストが250匹いる部屋』だけど」
修司は流石に眉間にしわを寄せた。なんだゴーストが250匹いる部屋って。Javaアプレット処理しきれるのか? アビリティの回数も絶対もたないぞ。胡乱な思考が流れ込んで眉間の皺が深まる。
「オッケー★ じゃ、突撃しよっかぁ♪」
「待って」
能天気に突っ込んでいこうとするクローネを修司は引き留めた。
「あぁん強引♪」
「いや、流石にいきなり突っ込んでどうにかなる感じの部屋じゃないと思うよ」
「じゃ、どうするのぉ♪」
「僕に策がある。いいって言うまで待っていて」
修司はクローネをステイさせながら、その瞳の奥にユーベルコードの火を灯した。
――その数分後。
ジリリリリリ! ジリリリリリリ!
『ゴーストが250匹いる部屋』の前で、突如けたたましいベルの音が鳴り渡る。
「なんだァ!?」
「どこのどいつだこんな真昼間から!!」
「うるせェぞ!!」
騒音に耐えかねて部屋を飛び出してきたのは――チェーンソーを構えた|能力者ぶっ殺しおじさん《サイコチェーンソー》たちだ!
「かかった」
だが、無論それは修司の仕掛けたトラップである。修司は能力者ぶっ殺しおじさんを誘い出すためにとにかく音のデカい目覚まし時計を仕掛け、作動させたのだ。
「グアーッ撒き菱!!!」
修司の目論見通りに誘い出された能力者ぶっ殺しおじさんたちは、部屋を飛び出した瞬間に悲鳴をあげる!
――撒き菱! ニンジャが用いることで有名な設置型トラップだ。そのエリアに踏み込んだ者は尖った撒き菱を踏むと痛みに苛まれ行動不能に陥ってしまう驚異の罠である。ぶっ殺しおじさんたちは『ゴーストが250匹いる部屋』を飛び出した瞬間に仕掛けられた撒き菱に引っ掛かってしまったのだ。
ぶっ殺しおじさんたちは全員が裸足であったため、その効果は覿面であった。
「今だよ」
「おっけー♪ びりびりいっくよぉ~♪」
「グアーッ10まんボルト!!!」
「グアーッ感電死!!!」
「グアーッ高電圧!!!」
そして、撒き菱によって動きを止められたぶっ殺しおじさんたちへとクローネが追い打ちのビリビリパワーでとどめを刺してゆく。
「なんだオラァ!!!」
「ブッ殺されてぇかァ!」
始末されたそばから部屋を飛び出してくるぶっ殺しおじさんたち! ――しかして、彼らはいずれも部屋を飛び出した途端に撒き菱トラップに引っ掛かり悲鳴をあげてのたうち回り、そこをクローネに処理されてゆく!
そんなことを何度か繰り返して――結果、二人の作戦は功を奏し『ゴーストが250匹いる部屋』に250人潜んでいたぶっ殺しおじさんたちはたちまち全滅したのであった。
「|制圧《くりあー》っ♪ じゃ、進もうね♪」
「そうだね」
そうして静かになった4階を、二人は進んでゆく。
「……しかし、何よりね」
5階への階段に足をかけたとき、修司はぽつりと零した。
「なーに?」
「この家、66Fまであるのにどこにもエレベーターがないんだよ」
「うん♪」
修司の指摘はその通りであった。
実際、この家にエレベーターは存在しないのだ。
「……階段で登らなきゃならないの、どう見てもこれが異常だと思うんだけどな」
「うーん……でも運動になるからいいんじゃない♪」
『そうですね……ここからは私の推理にはなってしまうのですが……』
階段を上る二人に、通信端末から現地協力者の邦原氏の声が届く。
『この家に住んでいるのは……階段昇降健康法が好きな方の可能性があります』
「雑過ぎないかなその推論」
修司の眉間で、皺が深まった。
――かくして、二人は『異常な間取りの家』の更なる上階を目指し、進んでゆく!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ティオレンシア・シーディア
←(「あ、これツッコむだけ無駄だしツッコんだら負けのやつだ」と理解できてしまった顔)
……まあ、どの道倒さないといけない手合いだし、いっかぁ…
防御行為の無力化かぁ。じゃ、○先制攻撃で叩き潰しましょうか。●黙殺を起動、描くのは|十一面観音印《修羅道救済》。間取りはともかく半径150mあれば粗方巻き込めるでしょ。
「攻撃は最大の防御」って理屈で無効化されるかもしれないけれど、そうなると攻撃できないのはお互いさまになるし。最終的に自滅するのは向こうなんだから気にする必要ないわねぇ。
(とはいえ、アホみたいな状況ではあるけれどなんらかのミーム汚染の可能性も十分あるのよねぇ…)
才堂・紅葉
うーん、これは事故物件の香りがしますね
普通に見えて住んでる人の精神を病ませるには、細かな角度のズレや謎の空間とか色々ありますが…
ふむ、チェーンソーの殺人鬼ですか。大変に分かりやすくて良いですね
現地の方の協力を得て、イヤホンマイクで通信しながら進みます。配信して収益化したいですね
まぁ、チェーンソーメン相手はB級過ぎて数字は厳しいかもです。ジャパニーズホラーで行きたい所でした
「安物を使うとはなってませんね、おじ様方。そして、チェーンソーはこう使うんですよ」
ダイヤモンドを超える硬度のロンズデーライトのチェーンソーで、おじ様方をそのチェーンソーごとぶった切ります
「うーん、これは事故物件の香りがしますね」
「そうなのぉ?」
神妙な面持ちで『異常な間取りの家』に対峙する才堂・紅葉(f08859)を、ティオレンシア・シーディア(f04145)は胡乱気な視線で見ていた。
「恐らくは、この間取りの中に隠された異常性が人間を狂わせたり、悪いものを呼び込むような秘密が隠されているのでしょう」
「……」
紅葉が広げた66階分の間取り図の図面を、ティオレンシアは横から覗き込む。
5階『黒い鳥居』『リビング』『ト イ レ』『生贄を捧げる部屋』
6階『寝室』『寝室』『寝室』『寝室』『霊安室』『寝室』『寝室』『寝室』
7階『死体隠しルーム』『死体隠しルーム』『死体隠しルーム』
「 」
瞬間、ティオレンシアの背後に宇宙が広がった。
――これ、ツッコむだけ無駄なやつねぇ?
数多の修羅場を潜り抜けてきたティオレンシアともあれば、そうした状況への理解と適応も早い。
「わかりますか、ティオレンシアさん」
「えっ。あ、はい」
一方、紅葉は至極真面目な顔であった。
『そうですね、やはりこの家の間取り……かなり異常があると言わざるを得ません』
そのとき、二人の端末に現地協力者である邦原氏からの連絡が届く。
『恐らくですが……この家の中では、何かとてもよくないことが起こっているのではないかと思います。窓もないですし』
「ええ、そうでしょうね。では、早速これから実地調査に乗り出していこうと思います」
『はい、気を付けてくださいね』
「……」
なんとそらぞらしい会話なのだろう、とティオレンシアは思うものの、たぶん疲れるだけだから敢えてツッコまずに放置した。
「あ、はい。そうねぇ」
あとからわざとらしく相槌を打って、ティオレンシアは進み出した紅葉についてゆく。
(とはいえ、アホみたいな状況ではあるけれど……なんらかのミーム汚染の可能性も十分あるのよねぇ……)
ティオレンシアの眉間には、密かに皺が寄っていた。
「はいどうも。動画配信者の『お嬢』です。本日は巷でウワサの『異常な間取りの家』に潜入しています」
――紅葉はセットしたイヤホンマイクに向かって喋りかけた。
『どうも。アドバイザーを務めさせていただきます。除霊建築士の邦原です』
リモート参加で邦原氏の音声も乗る。
――紅葉は現在、この探索行をウェブ上に生放送で動画配信していた。
「えー、『曰く付きの家』や『事故物件』というのはどこの世界にも溢れていて枚挙に暇がありませんが……。今日の家はひと味違います」
紅葉は間取り図をライトで照らしながら配信画面に映した。
「この間取りのおかしさがわかりますか? ……一見普通の住宅にしか見えないこの家ですが、探っているうちにおそるべき真実が明らかになる……と思います」
『そうですね。実際にこの家は陰の気が強く渦巻いています』
「この家に住んでいた人はいったいどうなってしまったのでしょうね」
『それがおそらくこの家のもっとも恐ろしい部分でしょう。一見普通の家ですが、暮らしているうちに家の中にある『なにか』の影響でおかしくなってしまう……。我々除霊建築士業界でもよくきくトラブルです』
「なるほど。……普通に見えて住んでる人の精神を病ませるには、細かな角度のズレや謎の空間とか色々ありますが……」
「……」
神妙な顔で後ろからついてゆくティオレンシアをよそに恐怖感を煽るトークで動画視聴者の関心を引こうとする紅葉。
……しかして、その配信は8階の能力者ぶっ殺しゾーンに踏み込んだところで大きな山場に差し掛かることになる!
「ケーッヒャッヒャッヒャ!! 獲物が来たぜェ~!!」
「ヒヒヒ血ぃ見せろー!!」
ギュオンギュオンギュオン!! ギャリギャリギャリ!! けたたましく鳴り渡るチェーンソー駆動音! 能力者ぶっ殺しゾーンの|能力者ぶっ殺しおじさん《サイコチェーンソー》たちだ!
「あれは……この家の住人を悩ませていた違和感の正体ですかね。ふむ、なるほどチェーンソーの殺人鬼ですか。大変に分かりやすくて良いですね」
『なるほど。たしかに迷惑ですね』
「ええ……」
当たり前のように受け入れる紅葉と邦原氏の会話にティオレンシアは困惑した。
「まぁ、チェーンソーメン相手はB級過ぎてこの配信の数字は厳しいかもです。ジャパニーズホラーで行きたい所でした」
一方、紅葉は眉ひとつ動かすことなく動画配信用の端末を安全な場所に置いて戦闘態勢に入ってゆく。
「……まあ、どの道倒さないといけない手合いだし、いっかぁ……」
ティオレンシアはだいぶあきらめの入った様子で、同じく銃を抜いた。
「ヒャーッハッハッハーー!! 死ねェー!!」
ヴォンヴォンヴォンヴォンギャリギャリ!! 能力者ぶっ殺しおじさんの群れがチェーンソーを掲げて二人のもとへ殺到する!
「あら失礼」
「ヌオッ!?」
ばぁんッ! 早撃ち! 吼える銃は45口径コルトSAA改・オブシディアン。機先を制する45口径弾頭が威嚇射撃めいてぶっ殺しおじさんたちの動きを制した。
「このまま押し切らせてもらうわねぇ?」
敵群の動きが鈍ったその瞬間、ティオレンシアは次なる手を打つ。指先に灯す光。ティオレンシアは素早く指を滑らせて、光の軌跡で印を描いた。――十一面観音印! 描かれた印に|魔法力《ユーベルコード出力》が宿り、そこから刃が放たれる!
「グアーッ聖印!!」
「グアーッ調伏!!」
たちまち光に貫かれ絶命してゆくぶっ殺しおじさんたち!
「ふざけるなァッ!」
「ヒーッヒヒヒヒ! 誰が獲物なのかをわからせてやるぜェ!!」
だが、その中でも根性のある連中が残っていた! 強いやる気と元気でティオレンシアの術式刃の中を、根性のあるおじさんたちが前進しながらチェーンソーを掲げ上げる!
――しかし!
「えいっ、と」
ギャギャギャギャギャギャギャギャギャ!! そのとき、突如として激しい金属音が鳴り響いた!
「安物を使うとはなってませんね、おじ様方」
「な……なにィ~ッ!?」
それは――無論、紅葉の仕業である!
根性のあるおじさんたちが前進を始めたのに合わせて飛び出した紅葉は、愛用の|六方晶金剛石式鎖鋸《ロンズデーライトチェーンソー》でぶっ殺しおじさんたちのチェーンソーへと真っ向勝負を挑んだのだ!
「な……なんて高品質なチェーンソー!!」
「馬鹿な! 我々のチェーンソーがチェーンソー負けしている!?」
当然ながら、集団的フラグメントの量産オブリビオンが用いる量産チェーンソーと猟兵のユーベルコード出力を纏った愛用のチェーンソーでは、武具の質が大きく異なる。――競り合いを制すのは、紅葉のロンズデーライト・チェーンソーだ!
「チェーンソーは……こう使うんですよ!」
「グアーッスプラッタ!!!」
「グアーッゴア表現!!!」
ギャリッ!! 全霊の力で押し込んだ紅葉のチェーンソーが、ぶっ殺しおじさんたちを安物チェーンソーごと両断する! ゴア表現規約でBAN間違いなしの見事な技の冴えであった!
「グアーッ全滅!!!」
「よし。これで終わったみたいですね」
「そうねぇ。本人が全滅って言ってるし」
――かくして、数分後。
猟兵たちの攻勢によって一気呵成に押し潰されたぶっ殺しおじさんたちはもはや一人の残存戦力もなく、8階の能力者ぶっ殺しゾーンはこれで制圧された。
「よし」
紅葉は気を取り直して撮影機材を再び手に持ち、配信作業を再開する。
「では、先に進みましょうか」
「……そうねぇ」
若干の憂鬱を抑え込みながらティオレンシアは頷いた。
――かくして、猟兵達は妨害する家の|怪異《おじさん》たちを排除しながら、ゴーストタウン現象の中枢を目指して進んでゆく。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 ボス戦
『八尺様』
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POW : 八尺様の長腕
【黒い腕】が命中した部位に【霊的エネルギー】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する(抵抗は可能)。
SPD : ぽぽぽぽぽぽぽぽ
【異様に素早い動き】で敵の間合いに踏み込み、【ぽぽぽぽという笑い声】を放ちながら4回攻撃する。全て命中すると敵は死ぬ。
WIZ : 八尺様に魅入られる
自身と対象1体を、最大でレベルmまで伸びる【見えざる呪いの糸】で繋ぐ。繋がれた両者は、同時に死なない限り死なない。
イラスト:anじぇら
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
『異常な間取りの家』。66階。
そのフロアのすべてが『能力者ぶっ殺しゾーン』で構成される最上階フロアに辿り着いた猟兵たちを待ち構えていたのは――
「ぽーっぽぽぽぽぽぽ!! よくここまで登ってきたぽぽね、不法侵入者ども!」
――見上げるような体躯に、白い帽子をかぶった姿の女の怨霊!
ここ数年の間に激しく知名度を伸ばした怪異存在、『八尺様』であった!
「ぽぽぽぽぽ……。愚かな奴らぽ。この私はただの『八尺様』などではないぽよ!」
しかし、八尺様(仮)は猟兵達の姿を見下ろしながら嘲笑う。
そう。目を凝らしてよく見れば気づくことができるだろう。いま猟兵たちの前に立ちはだかるこの八尺様(仮)の体躯は――どう見ても300cmを越している!
通常の八尺様が身の丈八尺、すなわち240cm程度とされていることを考えれば、それは驚異的な身長だ。――つまり、いまここで猟兵たちがまみえた彼女は通常の八尺様を大きく上回るクソデカ八尺様ということなのである!
『やはり私の推測した通りでしたか』
通信端末から聞こえる邦原氏の声に、猟兵達は思い出す。
そう――――このクソデカ八尺様こそ、邦原氏が推測していたこの家の主たるクソデカいゴーストなのである!
この『異常な間取りの家』の違和感と異様さは、彼女の身の丈に合わせた寸法で建てられたゴーストタウンであったからという理由がその正体であると言えよう!
「ぽぽぽぽぽ……私はそんじょそこらの八尺様とは違って容赦のない遭遇致死率十割の八尺様……通称『十尺様』ぽよ!!」
『十尺様』はその口の端に猛獣めいた凄絶な笑みを浮かべながら、|猟兵《獲物》たちを見下ろした。
――もはや戦闘は避けられない! これより『異常な間取りの家』の中核であるボス級ゴースト、『十尺様』との戦いが始まる!
区切・終
「くっ!妙な違和感はあったが、まさかあの遭遇致死率十割、『十尺様』が実在していたなんて想定はしてねぇぞ……!」
内心焦るものの遭遇したものは致し方ない。相棒である区切・始との連携で『其の答えを識るまで、僕は死ぬ事もままならぬ』による情念の獣によって攻撃を仕掛ける。始の支援である程度渡り合えるだろう。想定外でやや慌てている。
「それにしてもやっぱり窓無ェぞォ!どうなってんだァ!」
区切・始
「この間取り……何か変……って思ったらやっぱり変じゃないかぁ!始さん怖いのは無理だよぉ!」
とても慌てるものの遭遇したものは致し方ない。区切・終との連携で『式神わっしょい!』を主に使いつつ全体の支援。ちなみに間取りのことは全然分からない。マジでなんか変……くらいしか思ってなかった。
「ねぇやっぱり窓無いよぉ!」
クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【POW判定】
成程ぉ♪
通りで広い部屋が多かった訳だ♪
(もっと他にツッコミ所はあるかもしれないが、クローネは気づいていない)
それじゃあ今日をもって、「遭遇致死率十割」は訂正してもらうね♪
勿論理由は、これからアナタが死ぬからだよ★
UCは「ワタシの殺人鬼ちゃん」★
召喚した殺人鬼ちゃんとの連携攻撃で腕を重点的に狙うよ♪
攻撃は【範囲攻撃/連携攻撃/弾幕/切断/怪力/生命力吸収/2回攻撃/鎧無視攻撃/属性攻撃】で行うよ♪
敵のUCは【野生の勘/第六感/気配感知/幸運/霊的防護/オーラ防御/鉄壁/硬化/激痛耐性/回復力】で対応するね♪
ファルコ・アロー
ピィッ!?
杓原ァァァ(f28476)!やっぱり窓ねーですよ杓原ァァァ!
しかも何ですかこの顔色のクソ悪いクソデカおばさんは!窓あっても平気なタイプのヤツじゃねーですか!
なっ!?流石に三分の一はいかねーですよ!
こうなったらとっととやっつけちまいますよ、ボクが空から攻めて……あぁっ!飛びやがりましたね!?魚類の分際で!
納得いかねーですけど、おばさんの注意があっちに向いてる今がチャンスです。
今の内に身を低くしてこっそり近寄って、徐ろにフルパワーでぶん回してやるですよ!
サボってんじゃねーですから!隙を伺ってたですから!
トドメにそこのサメのデカいチェーンソーにぶつけて3枚に下ろしてやるです!
杓原・潤
おおー、すごい!
このクソでかい能力者ぶっ殺しおばさん、ピヨちゃん(f42991)の3倍くらいあるんじゃない?
でも大きさならうちの子だって負けないもんね。
おいでフィン君!一緒に飛ぼう!
このおばさんの大きさに合わせて作られた部屋ならこの子だってそこそこ動けるはず。
一緒に上から攻めて、敵の注意を引き付けるぞ!
なるべく攻撃を受けないようにきびきび動いて、尻尾やチェーンソーで仕返ししよう。
ほら、ピヨちゃんもサボってないで働いて!
ピヨちゃんがおばさんを振り回してる所にフィン君を突撃させて切り刻んじゃうよ!
なんか呪いの糸がついちゃってるけど大丈夫!
こんだけボロボロにしちゃえばいつの間にか切断されてるよね!
「ぽぽぽぽぽ……さあ、|私《わたぽし》の致死率十割ポワーでくびり|殺《ぽろ》してやるぽぽ!!」
溢れ出るおぞましき瘴気――! 猟兵たちを見下ろす十尺様が、嗤いながら身構える!
「この間取り……何か変……って思ってたけどさあ!」
「くっ! 妙な違和感はあったが……! まさかこんな大物が出てくるとはな!」
区切・終(f42796)と彼の相棒である区切・始(f42846)は、立ちはだかる十尺様の放つ強烈なプレッシャーに慄いた。
「大物って……! 何ですかこの顔色のクソ悪いクソデカおばさんは!?」
見上げた巨体の威圧感に、ファルコ・アロー(f42991)もまた動揺を隠せない。
「おおー、すごい! ほんとにでっかいねぇ、このクソでかい能力者ぶっ殺しおばさん! ……ピヨちゃんの3倍くらいあるんじゃない?」
その一方、杓原・潤(f28476)はむしろこの状況を面白がるように笑っていた。
「なっ!? 流石に三分の一はいかねーですよ!? ……ふんっ! どうせ大したことねーです! さっきのおじさんたちみてーにボクのパワーでいちころです!」
「ぽの|私《わたぽし》を|不法居住者《能力ぶっ殺しおじさん》どもと同じと思っているなら甘いぽよ……!」
「……そうだ! 奴を侮るんじゃねぇ……奴こそ多くの犠牲者を出したと言われる噂の怪異、『遭遇致死率十割の八尺様』……『十尺様』だ!」
オカルト分野にも造詣深い探偵業者の終は、その存在を知っている。まさか実在していたなどと想定すらしていなかった強敵が相手だ。終の内心に焦りが生まれる。
「やっぱり変なのが住んでる家だったじゃないかぁ! 始さん怖いのは無理だよぉ!」
なお、相棒の始はこの『異常な間取りの家』の奇怪な空気にすっかりあてられていた上に目の前に現れた巨大なゴーストの姿でだいぶビビり散らかしていた。
「しかもこの家……ここまで上ってきたのにどの階見ても窓無いよぉ!!」
あまりの異常性と狂気に、始は絶叫した。
「いや、それは俺も思ってたが……クソッ!! 邦原ァ! 窓無ェぞォ! どうなってんだァ!」
「ピィッ!? そーですよ杓原ァァァ! やっぱり窓ねーですよ杓原ァァァ!」
伝播する狂騒。あらゆるフロアに窓のひとつも存在しない間取りの異常性に、猟兵たちは恐慌する――。
「はいはい落ち着いて。だいじょうぶだいじょうぶ。全部あのクソデカいおばさんのせいだからね」
『そうです。この家に住んでいるクソデカいゴーストさえ倒せば、この異常な間取りの家は正常化するでしょう』
だが、ここで除霊建築士の邦原氏がアドバイスを入れた。
「成程ぉ♪ ……通りでこのおうち、広い部屋が多かった訳だ♪」
――クローネ・マックローネ(f05148)が状況に参じたのは、そのタイミングであった。
「そうだねぇ。このおばさんの大きさに合わせて作られた家だった、ってことでこの家の変なところはぜんぶ解決でしょ。あとはやっつけるだけだよ」
最終的には、ボス級ゴーストである『十尺様』をぶっ飛ばせば話は終わるのだ。
「……むう。たしかにそう言われればそーですね…………」
「うう……。それは、その通りだね……」
「ああ……そうだぞ始。あれさえぶっ倒せば全部解決なんだ。ビビってねぇで前向け前!」
潤がファルコたちをそう説得することで、猟兵達の恐慌はおさまる。
終と始は呼吸を整えながら『十尺様』に対峙し、ファルコもまた戦闘態勢へと入った。
「ぽぽぽぽぽ……この|私《わたぽし》と戦って勝てると思うぽ? この『致死率十割』の十尺様に!」
対し、『十尺様』は両腕を広げた戦闘態勢で猟兵たちを威圧する!
「それじゃあ今日をもって、「遭遇致死率十割」は訂正してもらうね♪」
しかして、クローネは平然とした顔で笑みを返した。
「ぽ……?」
「勿論理由は、これからアナタが死ぬからだよ★」
――瞬間、爆ぜるように膨れ上がるユーベルコード出力!
同時にクローネの手にした媒介道具から染み出したエネルギーが形をとり、|闇《ダークネス》としての姿を作り上げた。
『あっはー!』
現れたのは、|刃物《ナイフ》をかざした殺人鬼! クローネのユーベルコード出力によって召喚された『殺人鬼ちゃん』だ!
「お、おおッ! そうだ、十割だっつうお前の遭遇致死率……ここで九割に減らしてやる! いくぞ始!」
「そ、そうだね……! わかった、やるよ終!」
瞬間。終は一冊の書籍を開き、始はひと巻の巻物を解いた!
「出遅れんなよ! 合わせていくぞ!」
「ああ!」
合わせる呼吸。渦巻く二人のユーベルコード。――叫ぶ二人の気迫から生み出される獣の群れ!
『GGGGRRRRRWWWWWWWWW!!』
一頭は、情念の獣! 終の念が作り出した猛獣である。獣はその爪牙を光らせながら十尺様へと飛び掛かる。
『わー!』
『いくぞー!』
『やっつけろー!』
同時、絵巻物の中から飛び出したのは無数の小動物めいた奇妙な生き物の群れ――始の式神たち!
式神たちもまた終の獣と同じように十尺様めがけて飛び込んでいた。
爪も牙も持たぬ愛玩動物めいたお座敷式神たちであったが、その数と内包した霊力は侮れたものではない。押し寄せた式神たちは十尺様に纏わりつきにいき、その動きを阻害しにかかる!
「わぁ、いっぱい出てきたねぇ。それじゃうるうも負けてらんないや!」
たちまち能力者ぶっ殺しゾーンは召喚物で溢れかえる混沌状況と化すが、鮫召喚士としてのプライドはここで潤に傍観を許さない。
「うちの子もいっくよー! おいでフィン君!」
『SHAAAAAAAAAAk!!』
続けざまに喚び出されるチェーンソーシャーク! 鮫は激しく咆哮しながら、その頭部に生やしたチェーンソーをギャリギャリと駆動させた。
チェーンソーシャークは数メートルにも及ぶ巨大な体躯をもつが、この能力者ぶっ殺しゾーンはそもそもが十尺様の巨大な躯体に合わせた広々空間でくつろぎの間取りだ。チェーンソーシャークの巨体でも動き回るには十分な広さである!
「ピャッ!? またクソデカいの呼びましたね杓原ァ……!? ならボクがカッ飛んで上から攻めるですから、そっちはその鮫と一緒に真正面からおばさんの注意を……」
ファルコはここで素早く作戦を立て、潤との連携攻撃による十尺様への攻勢を画策する。
「行くよフィン君、一緒に飛ぼう!」
「杓原ァ!!」
――しかして潤はそれをガン無視して素早くチェーンソーシャークの上に飛び乗った! そこから急発進して宙を舞うチェーンソーシャークが、十尺様へと向けて襲い掛かる!」
「あぁっ! ボクを無視して飛びやがりましたね!? 魚類の分際で!」
「ピヨちゃんもサボってないでたたかうよー!」
「サボってねーです!!」
ファルコは釈然としない思いを胸に宿しながら、後れを取らぬよう戦場の中へと駆け出した。
「ぽォッ!!」
『GGGRRRWW!!』
振り払う漆黒の鉤爪! その巨体から繰り出される凄まじい膂力が、情念の獣を弾き飛ばす。
『つよそー! でも生かして帰さないよっ♪』
「|小賢《こざぽ》しいッ!!」
続けて飛び込んだ殺人鬼ちゃんの刃も、鉤爪状の指先に押し止められた。――凄まじいパワー! 殺人鬼ちゃんは競り合いを押し切られ、後退を余儀なくされる!
「式神たちっ!」
『わーっ!』
『かかれー!』
「|雑魚《ざぽ》どもがァッ!! いくら集まろうとぉッ!!」
『うわーっ!!』
まとわりつく式神たちも、十尺様の剛腕によってたちまち振り払われる。
「くそ、コイツ……噂以上のパワーじゃねぇか……!」
「このままじゃまずいよ、終!」
「うーん……♪ すっごい強いね♪ 楽しくなってきちゃった★」
クローネの撃ち出す魔術弾も致命傷には至らず、暴れる十尺様は暴風めいて力を振るう。
猟兵3人分のユーベルコード出力を同時にぶつけて尚拮抗するとは。遭遇致死率十割の名は伊達ではないということか。終と始のこめかみにじわりと脂汗が浮かぶ。
「なら、サメでどうだーっ!」
『SHAAAAAAAAAAAAK!!』
「ぽおおぉおおぉオォォッ!!」
――そこで飛び込むチェーンソーシャーク!! その躯体にユーベルコード出力と鮫そのもののパワーは相当なものだ。抑え込みにかかった十尺様の躯体がミシと音をたてて軋む。
「陳腐なクソ映画の材料風情がァ! この|私《わたぽし》にィッ!」
だが――膂力は十尺様の方が上回った! チェーンソーシャークもまた十尺様に振り払われ、一時的に後退させられる!
「おーっ……。フィン君で押しきれないなんて」
「あいつを斃すには……バラバラじゃダメだ! お前ら、全員でかかるぞ!」
「う、うん!」
「おっけー♪ それじゃ、一気にやっつけよう♪」
だが、猟兵達は諦めない。4人は目配せしあって息を合わせ、再び十尺様への攻勢を開始した!
「ぽぽぽぽぽ……何度やっても無駄だぽ!」
しかして嘲笑う十尺様――。十尺様は爪を鳴らしながら猟兵たちの攻め手を迎え撃つ!
「みんな、もう一回!」
『いくぞーっ!』
『おーっ!』
「タイミング合わせろ! 向こうに反撃の隙をやるんじゃねぇ!」
「わかってるよっ♪」
「はいはーい!」
怒涛の大攻勢! ――まとわりつく式神たちが十尺様の隙を誘い、そこをめがけて殺人鬼ちゃんと獣の牙が十尺様を襲う。
更にダメ押しのチェーンソーシャークの襲撃! きわめて密度の高い連携攻撃で猟兵たちは十尺様に畳みかけてゆく!
「ぽォ、ッ……! さっきよりはマシな攻撃ぽが……まだこの|私《わたぽし》の首を取るにはッ!!」
だが、十尺様の戦闘力は強大だ。これだけの攻め手を打たれても一歩も退くことなく迎え撃ち拮抗状態へと持ち込んでみせる。その力は非常に強大であった。
――しかし!
「――ほら、ピヨちゃんもサボってないで働いて!」
「サボってたんじゃねーですから!」
「|何《ぽに》ッ!?」
そのとき、十尺様は足首を挟んだ万力のような力に驚愕の声をあげた。
「隙を伺ってただけですから!」
その力の正体は――仲間たちの攻勢によって注意が逸れていた隙に忍び寄り、十尺様の足首を掴んだファルコの握力である!
そう。猟兵たちの力を合わせた攻勢の前に、さしもの十尺様も不意打ちに対する注意を払う余裕が失われていたのだ! であるが故に、ファルコのこの奇襲は成功したのである!
「いくですよ……ふ・る・ぱ・わぁぁぁぁ!」
「ぽ……ッ!?」
続けざま、十尺様の視界は激しくかき回される!
鉄の臓腑と鋼の骨格が生み出すファルコの強力な力が、掴んだ十尺様の身体を全力で激しくブン回したのだ!
「ぽおおぉぉぉああああッ!」
――そして、ファルコは十尺様の体躯を放り捨てる!
|大回転殺法《ジャイアントスイング》めいた遠心力の勢いでもって、十尺様は床面へとしたたかに身体を叩きつけられた。
「……今ですよ杓原ァァァ!!」
「おっけー! 突撃ーっ!!」
「俺らもいくぞッ!」
「おーっ♪」
そこを逃すことなく、猟兵達はユーベルコード出力を燃やして更なる追撃を十尺様へと叩きつけてゆく!
「ぽ……ぽのれえええええええええッ!!!」
――かくして、猟兵達の力が炸裂する!
大打撃、ッ! ぶつけられたその強烈なパワーに、十尺様は怨嗟の叫びをあげたのであった!
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
才堂・紅葉
アドリブ・連携歓迎
「こ、これはただの八尺様じゃない……ド級の八尺様。つまり十尺様って訳ですね」
慄くような声でワイヤレスマイクによる配信を継続し、愛用の「六尺棒」を構える
異様な速度のぽぽぽぽラッシュを全弾食らえば死ぬ。コワイ
初撃に集中し。【野生の勘】で棒による【ジャストディフェンス】からの、その衝撃で自らを【吹き飛ばし】追撃を回避したい
「ただの六尺棒では貴方に勝てませんね……」
吹き飛ばされてゴロゴロ転がり
「だから……三倍です!!」
マッド錬金術師共の仕込んだ忌まわしき魔改造の【封印を解く】と、六尺棒を三倍、つまり十八尺棒にして反撃する
クレア・ノーススター
「八尺…十尺?」
どっちだそれは、ややこしい
とにかく、することはここまでの道中と変わらないだろう
図体が大きくなった分、油断はできないが銃撃は当てやすい…はず
基本的には胴体狙い
対サイボーグ用のHSAPAC弾だが、ここまでで威力が十分なのはよくわかった
確実にダメージを与えられるように胴体を主に狙って当てよう
…向こうの反撃の際は、流石に腕を狙おうか
運が良ければ、当て続ければこちらに届くまでに腕が止まるかもしれない
ヴォルフスブルク・ヴェストファーレン
クソデカいゴーストもといクソデカ八尺様!
ならもしかして…クソちっちゃい八尺様もいるという事ですか!?四尺様がいらっしゃるんですか!
もしや普通の八尺様もいらっしゃるんですか邦原さん!?ついでにここトイレしかありません!邦原さん!バスないです!
あの黒い腕…すごく…すごいよくない気がします…!受けたら2秒で爆発する猟兵になっちゃいますので走って避けるしかありません!
腕に当たらないようにぴゃっと横に飛んだりしゅばっと壁を走ったり…腕を振り上げた来た時が反撃しどきですっ
剣を寝かせながら上段に構えて受け止めてひょあっと横に滑らすようにして受け流しです!
相手の体勢が崩れたらヴェアアアアッと斬り返しましょうっ
「ぽーっぽぽぽぽぽ! ぽの|私《わたぽし》の前に立ったぽいうことは……もはや死ぬしかないぽねェーーーッ!!」
ぽぽぽぽぽぽぽぽ! ――哄笑! 地上66階の能力者ぶっ殺しゾーンにて、『遭遇致死率十割の八尺様』……『十尺様』は嗤う!
「ぴゃいっ!? あ、あれは邦原さんの言っていたクソデカいゴーストの正体……!?」
ヴォルフスブルク・ヴェストファーレン(f34026)はあまりの恐ろしさに悲鳴をあげた。――身長3メートルにも達する凄まじく巨大な怪異! そのプレッシャーは彼女を委縮させるに足る恐ろしさを纏っていた。
「な、なるほど……。たしかに雰囲気が違います。これはただの八尺様じゃない……ド級の八尺様。つまり十尺様、って訳ですね」
才堂・紅葉(f08859)は動画配信者として引き続き撮影機材で現場の状況を映しながら、状況を冷静に視聴者へと説明する。
「八尺……十尺? データと違うぞ。どういうことだ?」
一方、クレア・ノーススター(f36825)は首を傾げていた。
『八尺様』はシルバーレイン世界では近年爆発的に知名度が上昇し、銀誓館の能力者たちからも猟兵たちからも遭遇報告の多い平成後期~令和の定番ゴーストだ。無論、クレアがこのシルバーレイン世界に挑む際に事前確認していたデータの中にもその情報は含まれていた。
「ぴッ! あ、あれはふつうの八尺様ではない、ということみたいです!」
ヴォルフルブルクがクレアに補足説明する。
「あれは普通の八尺様よりもパワーアップしてるクソデカ八尺様……!」
「……強化されている、という認識でいいのか?」
「ぴゃっ! おそらくそうです!」
「では、敵には変わりないということだ。とにかく、することはここまでの道中と変わらないだろう」
クレアは銃器を抜き放ち、|弾倉《マガジン》をセットしながら鋭く細まった双眸で十尺様の姿を睨んだ。
「そういうことね。ありふれた『八尺様』じゃなくてかろうじて一安心よ。撮れ高になってくれればいいんだけど」
その横で、紅葉はひと竿の棒を構えた――愛用の六尺棒! 紅葉は身構えながら間合いを図る。
「ぽぽぽぽぽ……。怯えるがいいぽ。この|私《わたぽし》こそジャパニーズフォークロア界の覇者にしてその天限を超越せし者……! すなわち『十尺様』ぽよ!!」
しかして、強まる瘴気――! 嘲笑う十尺様が猟兵たちへとにじり寄る!
「ぴょえっ!! ま、待ってください!!」
しかしてその時! ヴォルフスブルクが鋭く声をあげた。
「ぽォ……?」
「あの……! クソデカい八尺様がいるってことは……」
ヴォルフスブルクは恐る恐る十尺様の方へとゆっくり距離を詰め――
「もしかして…………クソちっちゃい八尺様もいるということですか!?」
浮かんだ疑問を、叩きつけた!
「ぽぽぽぽぽ……。|愚《ぽろ》かなことを。|私《わたぽし》のように雄々しく強く気高い『十尺様』の領域に辿り着けなかった弱小八尺様……否、半人前の『四尺様』どもなど、ぽの|私《わたぽし》の領域からは|一人《ぽとり》残らず退去済みぽよ!」
「えっ!? 四尺様がいらっしゃったんですか!」
「そんな連中、もう退去済みぽ!」
「ぴょえっ!? そんなー!」
ヴォルフスブルクは目に見えて落胆した。
「ぽーっぽぽぽぽぽぽ……! ふん、そんな些事に気を取られるなど雑魚の極みぽねぇ! ぽのような惰弱な精神……ぽの|私《わたぽし》の手でぽたぽたに引き裂いてくれるぽぁっ!!」
しかして、容赦なくその爪を構えた十尺様! だァんッ! 激しく床を蹴立てた十尺様は砲弾めいた加速度で飛び出し、鋭く尖らせた爪を光らせてヴォルフスブルクに襲い掛かる!
「ヴァッ!? あの黒い腕……すごく……すごいよくない気がします……!」
「わかってるならさっさと避けなさいよ!?」
びゅんッ! 風切の音! それと同時に十尺様とヴォルフスブルクの間へ割り込むように飛び込んだのは紅葉であった。紅葉は構えた六尺棒を巧みに繰り、襲い掛かる十尺様の爪を捌きにかかる!
「ぽ! |小賢《ぽざか》しい真似を!」
「くっ……! ……重い!」
だが、十尺様の戦闘力は強大だ! 振り切った爪の一撃は凄まじく重く、紅葉の六尺棒を容易く弾いてしまう!
「ぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽ!」
続く追撃! 爪撃の乱打! 黒く軌跡を描く呪わしき腕が凄まじい勢いで繰り出される!
「ッ……!」
「|愚《ぽろ》かなッ! この私『十尺様』はぽ前のその貧弱短小な棒などより四尺も上回ってるぽよ!!」
守勢に追い込まれる紅葉! 対抗して棒術を繰り出し迎撃を試みるが、辛うじて直撃を避けるので精いっぱいだ。このままでは押し切られる!
「そこまでだ」
「ぽゥッ!」
ここで突如十尺様を衝撃が襲った。爆ぜる|散弾《ショット・シェル》! |散弾銃《ライジングドラゴン》を構えたクレアが側面から援護に入ったのだ。
「ぽんな豆鉄砲でッ!」
衝撃に後ずさった十尺様は激昂に叫びながらクレアを鋭く睨みつけ、再び爪を尖らせる! 向けられる殺気!
「なら、こっちでどうだ……!」
クレアは素早く散弾銃を放り捨てると装備を入れ替えた。|軽機関銃《PDW》の銃先を十尺様へと向けながら、クレアは引き金にかけた指に力を込める! ダダダダダッ! 銃口が吐き出す6x35mmHSAPAC弾頭! 対サイボーグ用の弾丸であるが、ここに至るまでに射殺してきた能力者ぶっ殺しおじさんたちへの試し撃ちで怪異に対してもじゅうぶんな威力が出ることは検証済みだ!
「なめるなァッ!」
――だが、十尺様は止まらない! たしかにクレアの撃ち出した銃弾は間違いなく十尺様に大きな痛手を与えてこそいたが――能力者ぶっ殺しおじさんたちとは、根性と気合の入り方が違う!
「死ねぇッ!」
「こいつ……銃では止まらないのか?」
クレアへと迫る漆黒の爪! 強大な呪詛を纏う腕が、クレアへと伸ばされる!
「ぴぇあっ!! いけませんっ!」
しかして、それを遮る白刃ひと振り! ヴォルフスブルクの掲げた剣だ。それがクレアに迫る十尺様の爪を受け止めたのである!
「ぽ、ッ……! |貴様《ぽさま》ッ!」
競り合う一瞬。十尺様はその腕に力を込める!
「ひょあっ!!」
だが、ここでヴォルフスブルクは剣の刀身を横へと薙ぐように滑らせた。――それによって、ヴォルフスブルクは十尺様の爪を側面へと受け流したのである!
「ぽォッ!?」
「隙ありですっ!」
力の方向が逸らされた! そこに生じた隙を逃すことなくヴォルフスブルクは刀身を切り返し、返す刀を振り上げる!
「ヴェアアアアアッ!!!」
「ぽアアアアアアッ!!」
斬り上げる刃! 薙ぎ払った斬撃に裂かれた十尺様の身体から、血飛沫めいて黒く瘴気が漏れ出す!
「ぽのれエエエエエエッ!!!」
――咆哮! 手傷を負わされ、十尺様は激怒していた。激しい咆哮が空気をびりびりと震わし、猟兵達をたじろがせる。
「もう許さんぽよ!! 一人残らずぶっ殺して死体隠しゾーンに埋め込んでこの家の建材にいてやるぽ!!」
狂乱とともに十尺様は床を蹴り、激しく跳ねた!
「ぴょっ!?」
「ち、ッ!」
「くあ……っ!!」
暴風めいた乱撃! 暴れる十尺様の嵐のような攻勢に猟兵たちは防戦に追い込まれる。
「づ、ッ……!」
その最中、激しい打撃を打ち付けられて紅葉は床の上へと転がされた。
「たかが六尺でぽの私に歯向かおうなどという愚か者ぉッ!! ぽ前から血祭りにあげてやるぽ!」
ぽぽぽぽぽぽ! 狂ったように嗤う十尺様! その双眸は獲物を見つけた猛獣めいて赤く輝きながら紅葉を見下ろしていた。
「か、は……っ!」
紅葉は血の塊を吐き出しながら立ち上がった。
「……そう、ですね……。ただの六尺棒では貴方に勝てませんね……」
杖代わりにした六尺棒を紅葉は構えなおし、荒く息を吐きながら十尺様へと対峙する。
「ならばッ!」
「ですが、負けを認めたわけではありません……。まだ、秘策がありますからね」
だが、窮地からの逆転こそ配信視聴者が求める熱い展開だ。きっと同接数も上がっていることだろうと皮算用しながら、紅葉は口の端に薄ら笑みを浮かべた。
「秘策ゥ~? ……ぽんなものがあるなら、いまここで見せてみるがいいぽッ!!!」
しかして嗤う十尺様はそれをはったりと断じ、嘲笑を隠すことなく紅葉へととどめを刺しに行く!
「ええ。勿論いま見せますよ…………」
紅葉はゆっくりと近寄ってくる十尺様の姿を見上げ――
「……あなたのそれを上回る、この『十八尺棒』をねッ!!」
――封印を、解いた。
「ぽァアッ!?」
その瞬間、十尺様の胸郭に鋭く重い衝撃が叩き込まれる!
「ば、馬鹿な……!! わ、私を上回る……十八尺……ッ!?!?」
その胸元に打ち付けられていたのは、突如としてその間合いを3倍に伸ばした紅葉の六尺棒――否、十八尺棒だ!
「……アルダワの|狂人《マッド》どもの魔改造ですよ。流石にこれは読めてなかったみたいですね!」
「ぽぎュッ!」
紅葉は槍めいて突き出した十八尺棒で激しく十尺様を突いた! 打突の衝撃に十尺様はたまらず後退を余儀なくされる!
「ぽ、ォ、ッ……!! こ、こんなもので……ッ! いかに私を上回る十八尺棒といえど、それを持つぽ前はせいぜい五尺ッ!! 私に勝てるはずがァッ!!」
「……こいつ、いつまで大きさにこだわる気だ?」
ダダダダダダ、ッ! そこへ更に降り注ぐ弾丸の雨! 6x35mmHSAPAC弾頭が十尺様の身体を叩き、その動きを鈍らせた。
「ぽぬゥ、ッ……!!」
「まあ、いいか。……ここはボクが抑え込む。とどめを頼んだ」
素早いマガジンチェンジで隙を作らずクレアは十尺様へと弾丸を撃ち込みつづけ、その動きを押し止める。
「ひゃいっ! 頼まれましたですっ!」
そして――そこへ再びヴォルフスブルクは刃を掲げて飛び込んだ!
「ヴェェエェェエエーイッ!」
――袈裟懸け一刀! 振り下ろした剣が、十尺様の身体に深々と傷を刻み込む!
「ぽアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
そして、悲鳴! ――それはまさに、存在核へと届くほどの強烈なダメージが叩き込まれた証左だ。
「ば、ッ……ばかな……!! ここは私の家ぽよ……!? 何故……何故、ぽこまで好き勝手をッ!」
「そういう理屈はいらない。何がどうあろうと、キミを排除するのがボクらの仕事だ」
「そういうわけです。逃がしませんからね」
「ぴっ! クソちっちゃい八尺様を追い出したのもよくなかったですよ!」
辛うじて立つ十尺様へと、3人は対峙する。
もはや逃すことはあるまい! 猟兵達は確実に十尺様を追い込んでいた。その存在が尽きるのも、時間の問題であったと言えるだろう。
かくして、戦いは佳境へと入ってゆく!
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ディグ・ドリラー
うーむ…
思ったより普通だな
こんな妙な所に住んでいるのなら、もっと変なやつだと思ってたが…
オレの地元だとメジャーなワルだな
そうだ、オレにいい考えがある
他の奴の手を借りてえ、時間稼ぎしてくれねえか?
一旦階段を逆走して、先見ドリルで65階の真ん中辺りにデカい穴を掘るぜ!
あとはその穴を飛び降りてって、一番下の地下まで同じようにデカい穴を開けていくぜ!
準備が整ったら邦原に連絡して、上のメンバーに伝えてもらって、十尺とやらの足元を破壊して落としてもらおう
そのあとは即瓦礫で埋めてゲームセットだ!
俺達は能力者じゃねえ、あくまで猟兵だからな。こういう戦い方食らうとは思ってなかっただろ?
ところで何が変だったんだ?
ディル・ウェッジウイッター
アドリブ・連携可
なるほど、この異常な間取りは彼女に合わせてるんですね。いや、それでも寝室より大きいキッチンとか色々とおかしい気もしますが
十尺様、遭遇致死率十割ですか
ならばこちらはUCで一~十三尺様をこの場に招待します(十尺様欠番)。いやぁ、ご縁があってよかった、八尺様方
単純な計算はできませんが、あなたの理論で行けば十三尺様とかもはや遭遇致死率十二割。全員合わせれば八十一割ですね。詳しくは口にしませんが、がんばってください
八尺様方に十尺様を対処していただいていただいている間に紅茶とお菓子を用意しましょう。春ですし、今回のお茶は桜フレーバーにしましょうか
遠藤・修司
66Fまで階段……誰か代わってくれないかな?
『嫌だ』『遠慮するよ』『自分で登って』
……あっそ
疲れた……
わあゴースト大きい
『階段が異常に高かったのはそれでか』
『既存の設計は平均的な成人男性を想定しており、そこに外れた者には合わないという問題もある』
『住人の体格に応じた間取りは寧ろ合理的と言えるね』
ああもうやかましい
僕の頭の間取りが異常だよ
【UC使用】で、部屋全体の十尺様の胸から首の高さにワイヤーを張り巡らせる
この高さなら味方を邪魔せず、十尺様の動きを鈍らせることができるだろう
動きが速いなら好都合
下手に突っ込めば首が落ちるよ
登った分降りる……
誰か代わ『嫌だ』『遠慮するよ』『自分で降りて』
……あっそ
レンフィート・ディアレスト
ここからは私の推理になってしまうのですが……300cm越えてるモノが66Fの家に住むと高さとかえらいことになるんじゃないでしょうか?
ゴーストタウンだから関係ない?そうですか。
まずは持ち込んだ兇器で地形破壊……物件取り壊しを行います。
能力者ぶっ殺しゾーン?そんなものは(もう)ありませんが?
「|お化け《ゴースト》は夜の生き物だから、太陽の下で殺すんです」
などと天井を破壊しながら言いつつ。
【探偵式格闘術】で黒い腕を受け流しつつ、ひたすらカウンターの蹴りを叩き込みます。
通常の八尺様と比べて十尺の巨体は足許が弱いでしょう。おそらく。きっと。
体勢が崩れるのを狙って、兇器を頭に叩きつけましょう。
幡本・成恵
アドリブ&絡み歓迎
ゼェーハァー、ゼェーハァー……66階も階段で上がると疲れますわ!
エレベーターぐらい付けろですわ!あと階段の段差がやたら大きくて上りにくかったり妙に天井高くて階段が長かったのは十尺様の合わせた寸法の所為ですわね!
というか、あの能力ぶっ殺しおじさん達が不法居住者なら追い出せですわ世帯主ぃー!
そもそも邦原ぁぁぁ!社会に潜んでるリリスならともかく、なんでゴーストが、しかもこの十尺様が家建てられるんですかぁぁぁ!
とにかく、この十尺様を倒せばこの変な家ともおさらばですわ!
日本刀での【黒炎斬】で全力で斬り捨てますわー!
きゃぁぁぁ!?服が燃えたー!ついで家にも火がついて火事ですわぁぁぁぁ!?
ティオレンシア・シーディア
【血反吐】
(←なんかもう色々と諦めてどーでもよくなってきた顔)
あー…うん、いーやもう。八尺だろーが十尺だろーがどーせ倒さなきゃいけないのには変わらないんだし、さっさとブチ殺して帰りましょ。
…とはいえ、アホみたいな状況ではあるけれど油断も慢心もしてられないのよねぇ…
まずは閃光弾や煙幕の○目潰しで強引に視線を切って|ラグ《幻影》と|摩利支天印《陽炎》を展開、更に●黙殺・砲列の○弾幕でルートを制限。最悪でも全弾直撃での頓死は避けないとねぇ。〇残像と迷彩で間合いを誤魔化して、空振ったところに○カウンターで●明殺を叩き込むわぁ。
…この家、こいつ倒したあとに変な自壊とかしないわよねぇ…?
「ゼェーハァー、ゼェーハァー……」
「はあ……はあ……」
幡本・成恵(f35506)と遠藤・修司(f42930)はもはや数えるのも億劫になるほどの数の階段を上ってきたところであった。
――彼らの現在地は地上60階。ボスフロアであり最上階でもある66階まで、あとひといきの位置だ。
「大丈夫ですか、お二人とも。お茶はいかがです?」
ディル・ウェッジウイッター(f37834)はそんなふたりによく冷えた紅茶を差し出す。
「い、いただきますわ……気が利きますわね……」
「……僕にも一杯いただけるかな」
「喜んで」
水筒とペーパーカップのピクニックめいた組み合わせではお茶会とは言い難いが、それでも冷たいお茶は二人の喉と気持ちを潤わせた。
(しかし、66階まで階段とは……。……そろそろ疲れたんだけど、誰か代わってくれないかな)
修司は頭の中で自らの精神に内在した別人格たちへと呼びかける。一時的でいいからこの肉体的な疲労感から逃れたかった。
(嫌だ)
(遠慮するよ)
(自分で登って)
しかして、修司の別人格群からの返答はいずれも塩対応極まるものであった。
(……あっそ)
修司は諦めて短く息を吐き、ペーパーカップの紅茶を飲み干した。
「遅ェッ! そんなんじゃ敵が逃げちまうぞっ!」
「もうちょっとよぉ。頑張って昇りましょ」
「まあ、たしかにここまで休憩なしできましたからね。流石にお疲れでしょう」
しかしてその一方、数段上の踊り場から先行した猟兵たちが休憩中の3人へと声をかける。ディグ・ドリラー(f31701)。ティオレンシア・シーディア(f04145)。そしてレンフィート・ディアレスト(f38958)である。
悪魔やヴァンパイアであるディグとレンフィートは一般的な人間よりもタフであり、ティオレンシアは戦いの中で培ったフィジカルが味方している。60階分を上った現在でも彼らはまだ体力を残していた。
「ハァー……ハァー……こんなに階段で上がればフツーは疲れますわよ! しかもなんなんですのこの段差!! やたら大きくて昇りにくいし、妙に天井も高いし階段もやたら長げェですわ!!」
「まぁ、たしかに妙な家なのには違いねえが……」
「マジでエレベーターぐらい付けろですわ!!!!」
成恵の怒声が『異常な間取りの家に響き渡る。
猟兵たちが最上階へと到達したのは、それからおよそ10分後のことであった。
そして。
「ぽーっぽぽぽぽぽぽ! 性懲りもなくまだまだ来たぽね能力者ども!!」
66階の能力者ぶっ殺しゾーンにて、猟兵たちは遂に対峙する――! この『異常な間取りの家』の中枢! ゴーストタウン化現象の中核たる強大な悪霊、『遭遇致死率十割の八尺様』……『十尺様』と!
「わあゴースト大きい」
疲労でどうにかなりそうな状態になった頭から修司が搾り出した言葉は、シンプルに素直な感想であった。
『階段が異常に高かったのはそれでか』
修司の身体を突然奪い取り、別人格が口を出した。
『既存の設計は平均的な成人男性を想定しており、そこに外れた者には合わないという問題もある』
「なるほど、この異常な間取りは彼女に合わせてるんですね」
修司の別人格たちの分析にディルも頷く。
「いや、それでも寝室より大きいキッチンとか色々とおかしい気もしますが……」
『そうとも限らない。住人の体格に応じた間取りは寧ろ合理的と言えるね』
「それも一理ありますね」
「『一理ある』じゃねーですわ!!!!」
冷静に議論する修司とディルに、成恵が半ギレで絶叫した。
「すみません、私からもいいですか?」
ここでレンフィートが挙手して発言権を求める。
「どうぞですわ」
「はい。ここからは私の推理になってしまうのですが……」
レンフィートは目測で十尺様の背丈を測った。どう見ても300cmは越している。なるほど十尺様とは言い得て妙なネーミングですねとレンフィートは納得した。
「……300cm越えてるモノがそのサイズに合わせた設計の間取りの66Fの家に住むと、高さとかえらいことになるんじゃないでしょうか?」
『おっしゃるとおり、違法建築ですね』
端末から邦原氏が口を挟む。
「そもそも邦原ぁぁぁ! 社会に潜んでるリリスならともかく、なんでゴーストが、しかもこの十尺様が家建てられるんですかぁぁぁ!? 建蔽率と容積率どうなってるんですのよ!! 住宅ローンも通ってんですかぁぁぁ!?!?」
成恵はツッコんだ。
『ですがゴーストタウンですからね(笑) おそらく、我々の常識を超えたところに建てられているのでしょう』
「あー、んー……ゴーストタウンだから関係ない、ってこと?」
『平たく言えばそうです』
「そうですか」
レンフィートは頭を抑えた。
「うーむ……まァ、しかし。コイツ自体は思ったより普通な奴だな」
一方、ディグはその身体のドリルの回転数をゆっくりと上げ、戦闘態勢へと移行しながら十尺様の姿を仰ぎ見る。
「普通!? どこが!?」
「いや。こんな妙な所に住んでいるのならもっと変なやつだと思ってたが……オレの地元だとメジャーなワルだな」
ディグのデビル一般常識やデビル世間感覚から考えれば、300cm程度の背丈に届く悪魔くらいデビル中学校時代にもわんさかいたし、城を建てる悪魔もそうそう珍しいわけではない。
間取りそのものの異様さに、どんな異様な悪魔が潜んでいるのかと身構えていたディグであったが――正直言って、デビル拍子抜けであった。
「ぽァ~~~~ッ!?!?!? ぽ前たち、ぽの|私《わたぽし》の|恐《おぽ》ろしさがわかっていないようぽねぇ~~~!?」
ディグのつまらなそうな反応に、十尺様はとうとう激昂して叫んだ。
「もはや一片の容赦もないぽよ!! ぽ前たちは一人残らず血祭りに上げて私の家の増築用建材にしてやるぽ!!」
そして、膨れ上がる瘴気――!! かくして十尺様は戦闘状態へと移り、殺気に満ちた目で猟兵たちを睨みつけた。
「……」
その一方である。
「あー…うん、いーやもう」
この状況のあんまりにもあんまりな胡乱さに耐えかねて半ば思考をシャットアウトしていたティオレンシアが、ここで呻くように声を漏らす。
そうしてから。
「八尺だろーが十尺だろーがどーせ倒さなきゃいけないのには変わらないんだし……さっさとブチ殺して帰りましょ」
じゃきん、ッ。
抜き放つ銃は45口径コルトSAA改オブシディアン。掲げた照星の先に敵の姿を捉えて、ティオレンシアはその双眸を鋭く細めた。
「……そうですわっ! とにかく、この十尺様とかゆーのを倒せばこの変な家ともおさらばですわ!」
ティオレンシアの言葉に戦う意志を呼び起こされ、成恵は剣を抜き放つ。駆動する回転動力炉! 詠唱兵器が起動する!
「まあ……そうだね。疲れたし、はやく終わらせて帰ろう」
「はい。私も早く明るいところでお茶会を開きたいですからね」
修司とディルは左右に分かれるように飛び出した。二人は散開して十尺様の間合いから逃れる。
「よし! お前ら聞け! オレにいい考えがある!」
――ここで、ディグが叫んだ。
「奴に作戦がバレると困るから今詳しくは言えねえが、手を借りてえ! 時間稼ぎしてくれねえか!」
我に秘策あり! ディグは仲間たちに協力を求める!
「そんなのを聞いてやらせると思うぽかァッ!」
十尺様はディグの言葉に素早く反応すると床面を蹴って飛び出した! 両の黒い手の先端で、十の爪がぎらりと光る!
「おっと、それなら勿論協力しましょう」
「ええ。構わないわぁ」
「お任せあれ、ですわっ!」
「ぽァッ!!」
しかして、猟兵達は十尺様を阻む!
聖印を刻んだ45口径聖別銀弾頭と、詠唱兵器の刃がまず十尺様を襲ったのだ。ティオレンシアと成恵が十尺様を迎撃したのである!
そこに合わせて飛び込んだレンフィートの蹴り足――足を狙うローキックが十尺様の態勢を揺るがし、その前進速度を押しとどめていた。
「おう、待ってろ!」
仲間たちの協力によって十尺様の追撃を逃れたディグは、素早く階段を駆け下りてゆく。
「|貴様《ぽさま》ァッ!!」
それを追いかけようとする十尺様であったが――!
「おやおや。どちらに行かれるんですか?」
――轟、ッ!
その瞬間、十尺様は|何かが崩れ落ちる音《・・・・・・・・・》を聞く!
それと同時に――窓すらないはずの能力者ぶっ殺しゾーンに、|日差しが差し込んだ《・・・・・・・・・》!
「……ぽォッ!?」
突如として入り込んだ太陽光に驚きを隠せぬ十尺様。何事が起きたかと振り返れば、そこには――
「いまから改築工事の時間ですよ?」
「ぽ……|貴様《ぽさま》、ッ!! |我《ぽ》が家の天井を……ッ!!!」
レンフィートの叩きつけた|撲殺兇器《ハンマー》に天井を打ち砕かれ、心地よい日差しの差し込むテラス空間と化した能力者ぶっ殺しゾーンがあった。
「よくも私のぶっ殺しゾーンを!!!」
「ぶっ殺しゾーン? ……フフフ! そんなものはもうありませんが?」
ここはもはや気持ちよい日差しの入り込む快適な温もりテラスですよ! レンフィートは煽るように嗤う!
「なんのつもりでこんなァッ!!」
激昂する十尺様! 十尺様は怒りに満ちた怨嗟を叫びながら両腕の爪を振りかざしレンフィートへと襲い掛かる!
「くっ……! ははは!」
爪の襲撃をレンフィートは杖で受け止めた。衝撃に身体が軋むも、辛うじて押し切られずに耐え抜く。
「|お化け《ゴースト》夜の生き物だから、太陽の下で殺すんです」
「|戯《ざ》れ|言《ぽと》をッ!」
振り抜く剛腕! 強烈な膂力に押し切られたレンフィートが、たたらを踏んで数歩後退させられた。
「とどめぽ――」
だが、十尺様はそこで止まらない! 両の腕の爪を打ち鳴らし、レンフィートへと更なる追撃を――
「……だめだよ。そこから先は進ませない」
「|何《ぽに》ッ!?」
――否! 仕掛けようと踏み出した瞬間、十尺様はその動きを鈍らせた!
「これは……ッ!!」
「気づいたかな。……それ以上進んだら、首が落ちるよ」
十尺様は気付いたのだ。喉元に触れた細く鋭い感触に。
それは、仲間たちが十尺様の注意を引いている間に修司が仕掛けたワイヤートラップである。
張り巡らされたワイヤーの位置は、丁度十尺様の胸元から首を狙う高さ! 身長から考えれば、仲間の猟兵達に累を及ぼすことなく十尺様だけを狙える仕掛けである!
「こんなものッ! 私の爪で断ってしまえばぁッ!」
「そこまで、甘くは……ない」
十尺様は咆哮と共に爪を振り上げ、ワイヤートラップを断ち切った。しかし、それとほとんど同時のタイミングで修司は動き出し、その手で新たなワイヤーを繰る。張られる新たなワイヤー!
「|小賢《ぽざか》しいッ!」
「……!」
切り裂く爪がワイヤーを切る。だが、修司は負けじとワイヤートラップを張りなおす。――いたちごっこ! トラップを巡る応酬が十尺と修司の間で交わされる!
「この私を……遭遇致死率十割のこの私をッ! こんな陳腐な小細工などでッ!!」
「あらぁ。小細工だって重なれば意外に重たいのよぉ?」
――しかしてそのとき。その攻防にティオレンシアが介入した。
「……ぽォァッ!?」
投げ込まれた|閃光弾《フラッシュグレネード》。激しく爆ぜた光が十尺様の視界を塗り潰し、一時的にその視覚を麻痺させたのである!
「ぽのれッ!!」
十尺様は霞んだ視界の中で滅茶苦茶に腕を振り回して暴れた。その巨大な体躯から繰り出される凄まじい膂力! それはただ振り回すだけで凶器となりうる暴力そのものの塊であった。容易には近づけない!
「……」
だが、ティオレンシアは恐れることなく駆け出した。
十尺様の強烈な膂力が如何に強烈といえど、視界を遮られたままめくらめっぽう振り回しているだけならばそこまでの脅威ではない。
ティオレンシアはその鋭い観察眼で十尺様の隙を見出すと――前進の勢いのまま、懐に飛び込んだ!
「っ、と……」
――間合いは、至近。ティオレンシアの指先は愛用の45口径を握ったまま、十尺様の額に向かう。
「悪いけど、隙だらけよぉ?」
「ぽ゛ォォォォォォォォァァアッ!!」
だぁん、ッ! 撃ち出される45口径弾! 頭蓋に叩き込まれる衝撃が、十尺様の躯体を揺るがした!
「とどめはわたくしがいただきますわあぁぁぁぁっ!!」
そして――更なる追撃! ティオレンシアと入れ替わるように十尺様のもとへと飛び込む成恵!
「これで、御仕舞いですわよっ!」
振り上げた成恵の剣が――否、剣のみならず成恵の全身が、黒く炎を纏う!
「ぽ……、ッ!!」
「斬り捨てますわあぁぁぁぁっ!!」
黒炎斬、ッ! ファイアフォックスとしての力を極限まで燃え上がらせた制御不能の炎の刃だ。成恵の全霊を込めたその一撃は威力抜群である!
「ぽぉぉぉぉぉぉッ!!」
「……きゃぁぁっ!? 私の服も燃えてますわあああっ!?」
しかして、文字通り制御不能のその炎は、敵のみならず自らをも灼いていた! 自傷とまではいかぬものの、纏った衣類がぼろぼろと焼けこげる!
――――更に!
「あっ!」
「あ」
「あー……」
「……火事ですねこれ」
「燃えてますねえ」
成恵の広げた炎はこの家の建材に燃え移り、たちまち火災へと発展したのである!
「うーん……こっちのパターンかぁ」
倒したあとに変な自壊をするパターンじゃないかと疑ってたんだけどぉ。ティオレンシアは眉根に皺を寄せた。
「の、能力者どもォォォォォオオッ!! よくもッ!! よくも私の家で火災などォォォォォッ!!!」
一方、家の持ち主である十尺様は激怒していた。
ここに至るまでに叩きつけられたダメージは既に致命傷になっていてもおかしくはない筈だが、しかして家を焼かれる怒りからか十尺様はまだ踏みとどまっていたのである。
「あー……怒ってるね」
「怒ってますわね……」
「まぁ、怒るわねぇ」
「怒っても仕方ないでしょうね、これは」
「困りました。あれでは紅茶も飲んでくれそうにはないですし……」
強大なプレッシャー。怒りによって呼び覚まされた十尺様の最後の力は猟兵たちを圧倒するほどの強烈なものであった。ここまで優位性を保ってきていたはずの猟兵達が、僅かにたじろぐ。
『――皆さん、聞こえますか?』
通信端末から邦原氏の声が届いたのは、そのときであった。
『ディグさんからの伝言です。――床に穴を開けて、そいつを放り込め、だそうですよ』
「床に?」
「さっき言っていた作戦ですね。……それなら、私がやりましょう」
ディグからの伝言に素早く反応し、レンフィートが手にした|粉砕兇器《ハンマー》を振り上げた。レンフィートはハンマーをそのまま床面に叩きつけ、そこに大きな穴を作り出す!
――そこには!
「ドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリドリ!!」
65階から1階までをドリル掘削によって掘り進み、全ての床と天井を排した桁外れの吹き抜け構造となった『異常な間取りの家』――の解体現場が凄まじい深さの『穴』となって、大きな口を開けていた。
「ぽォッ!?!? |私《わたぽし》の家がァッ!?!?」
開けられた穴から解体現場と化した下階の状況を目の当たりにして、十尺様は悲鳴めいた声をあげた。
無理もないことだ。猟兵たちと会敵してからの十数分で、彼女の自宅は天井をぶち抜かれ居室で火災を起こされた上に、ドリルの悪魔によるデビル解体工事まで為されている。もはやそこは間取りすら存在しないがらんどうの空間となっていた。
これこそがディグの立てていた作戦である。このワケのわからねえ家をブッ壊しながらオブリビオンまでやっつけられる最高にドリルなプランだ。あとは最後の仕上げに進むのみ。ディグはあらかた掘り終えた1階から頭上の空間を見上げ、いい仕事したぜと額の汗を拭った。
「ぽ、ぽ、ぽ…………!!」
一方、自宅を蹂躙された十尺様は怒りを通り越してもはや言葉すら出せぬ、言いようのない感情表現の顔で痙攣するように震えていた。
「……では、そろそろ私も仕事に取り掛かりましょう。一尺様、二尺様! 中略して十三尺様まで!」
だが、ここで手ぬかる猟兵たちではない。ここが最後の詰めだとばかりにディルはユーベルコードの力を行使した。
『ぽ?』
『ぽぽー!』
『ぽぽ。ぽぽぽ、ぽぽぽぽぽぽぽ?』
――その力によってこの場に招かれたのは、怪異存在・クソちっちゃい八尺様――もとい一尺様! 更に二尺様、三尺様とさまざまな大きさをした八尺様の同位体たちである!
「いやぁ、ご縁があってよかった、八尺様方」
『ぽー♪』
「ぽ、ぽぽぽ…………! |貴様《ぽさま》……!? そいつらは、一体……!!」
突如現れたn尺様の群れに、十尺様は驚愕した。
「はい、縁あって招待いたしました。私のお客さまです」
ディルは涼しい顔で十尺様の睨む眼差しを受け流す」
「こちらにいらっしゃるのは一尺様から十三尺様まで、あなたを除いた12人……。単純な計算はできませんが、あなたの理論で行けば十三尺様とかもはや遭遇致死率十二割。全員合わせれば八十一割ですね」
「ば……馬鹿なっ!! ぽいつらは…………私が追い出したはずッ!!」
「では、よろしくお願いします八尺様方。……下までご招待を!」
『ぽ!』
そして次の瞬間、八尺様たちはディルの号令に応じて駆け出した! 12人の八尺様たちは、その勢いのまま十尺様へとぶつかり――まとわりつくようにその身体を強引に掴んだまま、地上66階の高さより地上めがけてダイブする!
「ぽアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
巻き込まれた十尺様は吹き抜け空間となった元・異常な間取りの家の解体工事空間の中を落下して――――その高さは、300cmの人物に合わせた間取りでの66階層分――すなわち数百メートル分! パラシュートなしのスカイダイビングにも相当するその距離をまっさかさまに墜落して、地上へと激突する!
轟音ッ! 雑に積まれた解体建材の瓦礫の上に十尺様は落下し、その躯体には数百メートル単位分の位置エネルギーが生み出す激烈な衝撃が叩き込まれていた。
「よし、手筈通り落っこちてきたな」
「ぽ……ォ、ッ……!」
呻く十尺様を、地上のディグが出迎えた。
「ぽ前、たち……ッ! よくも、こんな、無茶苦茶な……!!」
「ドリッドリッドリッ……。俺達は能力者じゃねえ、あくまで猟兵だからな。こういう戦い方食らうとは思ってなかっただろ?」
睨む十尺様を見下ろして、ディグは嗤った。
――そう。このワールドはシルバーレインであるが、あくまでこのコンテンツは第六猟兵。プレイヤーに許された発想力はTW2の時代よりも幅広いのだ! プレイングのルール処理の違いを読み切れずシルバーレイン時代のつもりでいた十尺様の負けなのである!
「それじゃ、これで仕上げだ。ゲームセットだぜ!」
そして――ディグは続けて全身のドリルを激しく回転させながらもはや壁材しか残っていない元『異常な間取りの家』の解体工事現場に激突してゆく!
たちまち衝撃に耐えかねて崩落と倒壊を開始する66階建ての異常な間取りの家!
「こ……この|私《わたぽし》がァァァァァッ!!」
そうして、降り注ぐ瓦礫片と砕けた建材。66階建ての建材すべてが十尺様の上へと降り注ぎ――――その重量によって押し潰し、十尺様を撃滅する!
最後に響いた悲鳴を終わりの合図に、『異常な間取りの家』の全ては滅び去る。かくしてシルバーレイン世界にはまたひとつ平和が取り戻されたのであった。
「……いや、家ごとブッ壊すなら先に言えですわ!!!!!」
建材の破片を押し上げて、瓦礫の中から起き上がる成恵がバチバチにキレながら叫んだ。
成恵は煤だらけの全裸であった。お嬢様感の欠片もないコントのオチのような姿でこんな締め方は嫌ですわと成恵は嘆く。
「いやあ、なかなかスリリングでした」
続けて破片の下から這い出したレンフィートは、脱いだ上着を成恵の肩にかけてやりながら苦笑いした。
「こうなるだろうとは思ってたけど……やっぱりこういうオチだったわねぇ」
ティオレンシアも続いて瓦礫の中から抜け出してくる。
「……でも、階段降りる手間が省けたのは、ちょっと嬉しい」
修司が埃を拭って呟く。
「皆さん、お疲れさまでした。ひと心地ついたところでお茶の時間にしませんか?」
一方――ディルは既にティーパーティーの準備を整えていた。
比較的大きめに形を残した建材をフロアのかわりに、その上にテーブルを設置してティーセットを広げている。
沸いたティーポットからは仄かに桜の匂い。華やかな彩のフレーバーティーがふわりと香る。
「いいじゃねぇか。んじゃ、お疲れ様会して解散にしようぜ」
ディグは席につき、ディルに紅茶を所望した。
こうして猟兵たちは束の間の茶会で戦いの疲れを癒し――邦原氏へと顛末を報告したのち、それぞれ次の任務へと向かっていったのだという。
大成功
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