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密やかなる陰謀、勇気ある告発

#獣人戦線 #F.O.N #アメリカ戦線 #ブラウン編集長

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「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「獣人戦線のアメリカで、超大国『|F.O.N《フィールドオブナイン》』が密かにアメリカ国民を虐殺し、オブリビオン化させようとしています」
 ユーラシア大陸から海を渡り、新天地アメリカに到達した猟兵達。ここは他の大陸とは異なり、戦争とは無縁の平和と繁栄を謳歌しているようだが――全てはオブリビオンの秘密結社『F.O.N』によって仕組まれたかりそめの平和。豊かで平和な社会を隠れ蓑にして、奴らは密かにアメリカを支配しているのだ。

「F.O.Nは表向きは事故や事件に見せかけてアメリカの獣人を殺害し、オブリビオンに変え、海の向こうで他の超大国との戦争に利用しています。この真実を、アメリカの国民達は知りません」
 これまで戦ってきた超大国は、いずれも存在を知られる形でこの世界を侵略・支配してきた。だがF.O.Nは違う。
 公には存在を知られぬまま、アメリカという国家を影から操り、支配している。ゆえに彼らの陰謀を阻止するのはグリモアの予知があっても容易なことではない。
「現在、アメリカ国内で真実に気付いた獣人はたった一人。タブロイド誌『ブラウンタイムス』の編集長、ブラウン氏です」
 ブラウンは自らの体験と調査の結果から、F.O.Nの存在を確信している。彼はこの真実をアメリカ国民に伝えようとしているが――悲しいかな、「悪の秘密結社がアメリカを支配し、|不死の兵団《オブリビオン》を造り上げている」なんて三文タブロイド誌の陰謀論、誰もまともに取り合っていないのが実情だ。

「ですが、ブラウン氏の記事通りF.O.Nは実在します。そして彼は、近日中に行われるF.O.Nの秘密作戦にまつわる『極秘情報』を掴んでいるようです」
 この情報をブラウンから聞き出すことができれば、猟兵の力でF.O.Nの陰謀を阻止し、虐殺を防ぐことができるかもしれない。アメリカにおけるオブリビオンの暗躍を突き止めるためにはまず、彼の協力を得る必要がありそうだ。
「ですがブラウン氏も、いきなり編集部にやって来て情報を渡せという相手を簡単には信用しないでしょう。彼も編集長として、まだ記事になっていない情報を外部に漏らすのは警戒するはずです」
 ことによっては相手がF.O.Nのスパイで、真実を知る自分を始末しに来た、くらいのことは考えていてもおかしくない。どうにかして信用を得るか、言葉巧みに誘導して話を引き出すか――猟兵の情報収集能力が問われるだろう。

「今回はブラウン氏の情報があって初めて、敵の居場所や構成員を突き止めることができます。ですので現状でお伝えできる情報は、F.O.Nが近い内にアメリカの何処かで、獣人の虐殺作戦を実行するという事だけです」
 自分のグリモアの予知ではこれが限界だったらしく、リミティアは「申し訳ありません」と猟兵達に謝罪する。
 秘密結社F.O.Nの暗躍は巧妙であり、根深い。なおのことブラウン編集長の掴んだ情報は貴重ということになる。

「アメリカ社会の影に潜んだオブリビオンの陰謀を暴くために、どうか皆様の力をお貸しください」
 説明を終えたリミティアは手のひらの上にグリモアを浮かべると、獣人戦線のアメリカへと猟兵達を送り出した。
 敵は表に出ることなくアメリカという大国を支配する、これまでにないタイプの超大国。果たしてその計画を阻止することはできるのか――。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 今回のシナリオは獣人戦線のアメリカにて、超大国『|F.O.N《フィールドオブナイン》』による事件を阻止する依頼です。

 1章では事件にまつわる情報を求めて、タブロイド誌「ブラウンタイムス」のブラウン編集長と接触します。
 ブラウン氏はアメリカ市民の中でF.O.Nの陰謀に気付いている数少ない人物ですが、彼が記事にした「真実」を信じる者は誰もいません。
 彼も情報の漏洩やF.O.Nによる揉み消しは警戒しているので、情報を引き出すのは簡単ではないでしょう。正面からアタックをかけるか話術を巧みに用いるか、手段は各自の工夫に任されます。

 ブラウン氏から情報を得ることができれば、2章以降はF.O.Nのオブリビオンとの戦いが始まります。
 具体的な内容についてはブラウン氏からの情報、または章が移行してからお伝えします。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 日常 『ブラウン編集長の「極秘情報」』

POW   :    情熱と勢いで正面からぶつかる

SPD   :    聞き出した情報を街の様子と照らし合わせる

WIZ   :    話題を誘導し、オブリビオンに近付けそうな情報を引き出す

イラスト:ハルにん

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

レヴィア・イエローローズ
ここがアメリカ…戦争とは無縁だけど、その実自覚のない牧場じゃないの…
FON、一味違うわね

「ブラウンタイムス」編集部…失礼するわ
ユーラシア極東での小競り合いに干渉しようとしているFONの事について話がしたい、と伝えて頂戴
これなら出てこざるを得ないでしょう…彼が4/1に呟いたばかりなのだから

会えて嬉しいわ、勇気ある告発者
わたくし達は『六番目の猟兵』
FONを追っているなら聞いた事があるのでは?
わたくし達はFONが今回もまた自国民を犠牲にしてオブリビオン兵を作り出そうとしている事を把握している
だけど、肝心なのは編集長の情報…それが欲しいのよ
わたくし達が、FONを引きずり出す
その大義に、協力してみない?



「ここがアメリカ……戦争とは無縁だけど、その実自覚のない牧場じゃないの……」
 海を超え新大陸の土を踏んだレヴィア・イエローローズ(亡国の黄薔薇姫・f39891)を待っていたのは、目を疑うほど平和で豊かな街並みだった。ここアメリカで人々は平和を謳歌しているようだが、実態はさにあらず。自分達の国が超大国『|F.O.N《フィールド・オブ・ナイン》』に支配され、オブリビオンを作りだす陰謀が行われていることを、彼らは知らない。
「FON、一味違うわね」
 存在が知られていたこれまでの超大国とは異なり、今度の敵は秘密裏に活動しているため、尻尾を掴むのも難しい。
 ここは現地の協力者が必要だ。F.O.Nの真実を知り、立ち向かわんとする正義感を持つ者が――そのためにレヴィアは某所に居を構える、とあるタブロイド誌の編集部を訪ねた。

「『ブラウンタイムス』編集部……失礼するわ」
「うん? どちら様ですか?」
 アポイントメントもなくやって来た見知らぬシカの女性に、ブラウンタイムスの社員達は怪訝な顔をする。まあ当然の反応だろう、こんな三文タブロイド誌の編集部に誰かが来ること自体珍しいのだから。だがそんな彼らも、次に告げられた言葉で表情が変わった。
「ユーラシア極東での小競り合いに干渉しようとしているFONの事について話がしたい、と伝えて頂戴」
「……!!」「へ、編集長!」
 これなら出てこざるを得ないでしょう、とレヴィアは考えていた。なにせ4月1日に彼が呟いたばかりなのだから。
 そして予想通りの結果になった。社員は慌てて編集室の奥にある部屋へと駆け込んでいき、興奮した様子でなにやら話をし――すぐに、中から葉巻をくわえた一人のウサギが姿を現した。

「会えて嬉しいわ、勇気ある告発者」
「ふむ。君だね、儂等の記事を読んだのは」
 レヴィアがにこやかに挨拶すると、そのウサギことブラウン編集長はつぶらな瞳で彼女を見上げる。いったい何者なのか、何の目的でここを訪ねてきたのか、探るような目付きだ。彼もこれまでの取材で何度も危険な目にあってきたのだろう、警戒するのは当然と言える。
「わたくし達は『六番目の猟兵』。FONを追っているなら聞いた事があるのでは?」
「ほう……? 君が、あの猟兵だと?」
 彼の疑念を払拭するために、レヴィアは名乗りを上げる。かつて超大国の侵略に立ち向かった『はじまりの猟兵』の名を継ぐ者たちが現れたという噂は、海を超えてブラウンの耳にも届いていた。もしそれが真実だと言うなら、彼女達は待ち望んだアメリカの救世主かもしれない。

「わたくし達はFONが今回もまた自国民を犠牲にしてオブリビオン兵を作り出そうとしている事を把握している。だけど、肝心なのは編集長の情報……それが欲しいのよ」
 秘密結社と化した超大国を追い詰めるために必要なのは情報。ジャーナリストとしてブラウンが掴んだF.O.Nの『極秘情報』を元に、猟兵が奴らの陰謀を阻止する。自分の構想した理想の展開を、レヴィアは静かに、しかし熱く語った。
「わたくし達が、FONを引きずり出す。その大義に、協力してみない?」
「……なるほど。詳しく話を聞く価値がありそうだ」
 すぐに飛びついてはこなかったが、ブラウンもレヴィアの話に興味を持った様子。「入りたまえ」と自分の執務室に彼女を案内すると、デスクに座って耳をぴんと立てる。ブラウンタイムスと六番目の猟兵、その協力関係を築くための交渉が始まった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マシュマローネ・アラモード

正面から、真摯に、臨みましょう。兎の皇女として!

モワ!ブラウン編集長、お初にお目に掛かります、私はラモード王国第一皇女、マシュマローネ・アラモード、猟兵でもございます。

ブラウン編集長の情報を頼りに、悪しきFONの野望を粉砕する覚悟をもって参りました!

UC|赫灼たる王の宣言《フルブライト・オブリージュ》!

姫たる覚悟、この国に住む方々を他国の民とは思えません。
どうか、お力をお貸し下さい。
兎の皇女、マシュマローネ・アラモード、この姿を覚悟として、王たる宣言として、信に値するかブラウン編集長のご意志に委ねる所存でございますわ。



「正面から、真摯に、臨みましょう。兎の皇女として!」
 白銀のウサミミをピンと立て、獣人戦線のアメリカに降り立つはマシュマローネ・アラモード(第一皇女『兎の皇女』・f38748)。傍目にはウサギの獣人と区別がつかぬ外見だが、正体は異星の皇女様。星の海と世界の壁を超えて、この国に潜むオブリビオンの陰謀を挫くために来たのだ。
「モワ! ブラウン編集長、お初にお目に掛かります、私はラモード王国第一皇女、マシュマローネ・アラモード、猟兵でもございます」
「?! な、なんだね君は、ラモード王国? そんな国は聞いたこともないぞ?」
 いざ勇み足で「ブラウンタイムス」編集部へと乗り込んだ彼女の挨拶は、当然ながらブラウン編集長を困惑させる。
 日頃から怪しい陰謀論めいた記事を扱っているからといって、どんな突拍子もない話も受け入れる訳ではないのだ。どことも知れない国の王族が突然現れたら、これが自然な反応だろう。

「ブラウン編集長の情報を頼りに、悪しきFONの野望を粉砕する覚悟をもって参りました!」
 だがマシュマローネは気にせず自分の意気込みを語る。王族の誇りと誓い、矜持にかけて戦う【赫灼たる王の宣言】によって、真の姿に変身した彼女はSFチックな武装を纏う。パルプ・フィクションの中から飛び出してきたようなその格好は、少なくとも彼女が只者ではないことを示すには十分だろう。
「姫たる覚悟、この国に住む方々を他国の民とは思えません」
 奇しくもここアメリカにおける主要人種はウサギ。旺盛な好奇心と繁殖力によって北米大陸を開拓したという彼らの気風は、マシュマローネの故郷ラモード王国の国風にも相通ずるところがあった。愛すべき国民が人知れず虐殺され、オブリビオンに変えられていると思えば、放っておけるはずが無いではないか。

「どうか、お力をお貸し下さい」
「君は……いや、本気なのだな」
 まだ困惑の度合いも大きいが、マシュマローネの覚悟はブラウン編集長にも伝わったようだ。F.O.Nの手先が騙そうとしているのなら、もっとそれらしいウソを吐くではないか。駆け引きのないまっすぐな態度こそが、彼女が本音を伝えている証明だった。
「兎の皇女、マシュマローネ・アラモード、この姿を覚悟として、王たる宣言として、信に値するかブラウン編集長のご意志に委ねる所存でございますわ」
 これで言うべきことは全て言ったと、マシュマローネは沈黙する。編集部に流れる静寂――それは実際には数秒の事だったのだろうが、本人達にはもっと長く感じられた。世界の壁を超えて出会った兎達は、しばし無言で見つめ合う。

「……いいだろう。君を信じてみよう」
 やがて沈黙を破ったのはブラウンの一言だった。葉巻に火を付け、ふうと煙を燻らせる、その表情には覚悟がある。
 この兎の皇女にして猟兵を名乗る謎の少女に、自分が掴んだ『極秘情報』を明かす。これはジャーナリストとして大きな決断だった。
「儂の直感が告げているのだよ。君の覚悟は本物だとね」
「モワ! 感謝いたしますわ、ブラウン編集長!」
 真実に気付き、巨悪に立ち向かう同士として、ブラウンとマシュマローネは固く握手を交わす。この出会いがF.O.Nによるアメリカ支配を打破する最初の一歩にならんことを、二人は願っていたし、その為に邁進する決意を固めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四王天・燦
POW

リクルートスーツでブラウンタイムス社に潜入するぜ
裏口から忍び足で
スマートに鍵開けして警報装置は罠使いとハッキングで無力化しましょ

天井裏からノックして編集長のお部屋に入るよ
唇に指を当て大声を制する
何者かと問われたら就活に来たと返すぜ
ノーアポはお詫びだ
能力をアピールしたかったのだ

履歴書には|間者《シーフ》・侍・巫女と副業が書かれております
ペンと剣の二刀流ばっちこいよ

珈琲でもどうぞとキャンピー君の台詞をパクって缶コーヒーを差し出し落ち着かせるぜ
アタシの目的はF.O.Nの始末であり情報が欲しいと正直に話す
対価は交戦の様子や現場の情報を記事として提供するってことで

記者として採用のほどお願いしまーす



「ちょいと失礼しますよっと、ブラウン編集長」
 アメリカ某所に拠点を構える、三文タブロイド誌『ブラウンタイムス』編集部。そのオフィスに白昼堂々忍び込む、リクルートスーツの侵入者がいた。裏口の鍵をスマートに開け、足音ひとつ立てずに移動し、警報装置を瞬時に無力化する、その者の名は四王天・燦(|月夜の翼《ルナ・ウォーカー》・f04448)と言った。
「な、なんだね君は……ッ?!」
 天井裏からのノックに気付いてブラウン編集長が顔を上げた時、彼女はもう目の前にいた。反射的に大声を上げようとすると、唇に指を当てて制される。その仕草に殺気や敵意はない――少々サプライズな登場の仕方だが、燦の目的はここと協力関係を結ぶことだ。

「アタシが何者かって? 就活に来たのさ。ノーアポはお詫びだ」
 冗談めかした調子で疑問に答えながら、燦はスーツの内側から履歴書を取り出す。そこには「|間者《シーフ》・侍・巫女」と、彼女の副業が堂々と書いてあった。後ろ二つはともかく最初の一つは公然と言うことでは無いだろうに、まったく悪びれる気配がない。
「ま……まるで話が見えてこないのだが。貴様、まさかF.O.Nでは……」
「まあまあ、珈琲でもどうぞ」
 困惑と警戒の度合いを深くするブラウンを落ち着かせるために、どこから調達してきたのか缶コーヒーを差し出す。
 もし燦が本当にF.O.Nの手先であれば、とっくにブラウンは始末されているだろう。自分がまだ生きているのなら、他に目的があるということ。そう思い至った彼は冷静さを取り戻し、「……話を聞こう」とデスクに腰を落ち着けた。

「アタシの目的はF.O.Nの始末。そのために情報が欲しい」
 コーヒーに口をつけるブラウン編集長の前で、燦は自分の目的を正直に話す。裏口から潜入などと泥棒めいたことをしたのも、能力をアピールするためだ。口先だけではなく実際にF.O.Nに立ち向かえる実力があると知ってもらうには、これが一番手っ取り早かった。
「対価は交戦の様子や現場の情報を記事として提供するってことで。ペンと剣の二刀流ばっちこいよ」
 ここでは抜かなかったが剣の腕前も勿論自信はある。猟兵として数々のオブリビオンを葬った実績は伊達ではない。
 ブラウンタイムスが入手した情報をもとに、自分が「現地取材」に向かってさらなる特ダネをゲットする。このような契約関係の締結が彼女の望みだった。

「記者として採用のほどお願いしまーす」
「フムフム……なかなか面白い話だ」
 話が終える頃にはブラウンもすっかり落ち着いており、鋭い眼光で燦を見る。ジャーナリストとしての彼の直感は、この提案に乗るべきだと告げていた。F.O.Nの陰謀を暴き、真実を世に知らしめるためには、有望な新社員の確保が必要不可欠だ。
「よし。では早速働いてもらおうか」
「あざーっす!」
 かくしてブラウンタイムスの契約「特派員」として採用が内定した燦は、編集長が入手した極秘情報を明かされる。
 それはF.O.Nが次に計画している虐殺作戦にまつわるもの。アメリカ国民が||忘れられた軍団《オブリビオン・アーミー》と化す惨事を防ぐために、新人記者は直ちに行動を開始した――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

家綿・衣更着
アドリブ歓迎です。

善良な一般人に忍者的諜報はおいらの正義的にちょっと…だから正面から行くっす。

事前にアポを取り【コミュ力】で【情報収集】
「こんにちはー、異世界から来た猟兵の衣更着と申しまっす。これお土産のカップ麺と…忙しそうなので栄養ドリンクっす」

F.O.Nはじめ超大国が異世界から来たように、異世界にもオブリビオンと戦う猟兵がいることを伝え、
『あやかしメダル「打綿狸の衣更着」』で編集長に【結界術】を張り彼の安全確保&自分たちにF.O.Nと対抗できる力があることを見せる。

あとは誠心誠意でお願いするっす!
「悪いオブリビオンたちの陰謀を阻止するため、協力をお願いしまっす!」



「善良な一般人に忍者的諜報はおいらの正義的にちょっと……だから正面から行くっす」
 相手が悪党やオブリビオンであれば、情報を引き出す手段はいくらでもある。だが今回の家綿・衣更着(綿狸忍者・f28451)はあくまで合法的かつ穏便な方法を取ることにしたようだ。今後も関わる可能性のある一般人相手と、余計な禍根の種を残す意味もない。
「こんにちはー、異世界から来た猟兵の衣更着と申しまっす。これお土産のカップ麺と……忙しそうなので栄養ドリンクっす」
「ああ、これはどうもご丁寧に」「編集長はこちらです」
 事前をアポイントメントを取ったうえで手土産持参で編集部を訪問すれば、「ブラウンタイムス」の記者達は快く彼を迎えてくれた。表向きは胡散臭い陰謀論ばかり書き連ねる三文タブロイド誌――だが、その実態はアメリカを支配する邪悪を告発する、真実の報道者なのだ。

「儂に話したい事がある、というのは君かね」
 執務室のデスクで葉巻を揺らしながら、ブラウン編集長は衣更着を見る。見た目は愛らしさのあるウサギ獣人だが、敏腕記者の風格がある。調査を通じてこの国の闇と欺瞞と向かい続けてきた彼に、適当な誤魔化しは通じないだろう。
「あなた達が追っているF.O.Nをはじめ、超大国が異世界から来たのはご存知だと思うっす。それと同じように、異世界にもオブリビオンと戦う猟兵がいるっす」
 持ち前のコミュ力と真摯な態度をもって、衣更着はまず己の素性を明らかにする。世界の壁を超えてオブリビオンの悪事を阻止するために戦う猟兵、その一人が自分だと。突然スケールの大きい話になって戸惑われるかもしれないが、証明する手段はある。

「これを貼ってみてくださいっす」
「うん? これは、ただのメダルのようだが……おおっ!」
 衣更着が【あやかしメダル「打綿狸の衣更着」】を貼り付けると、ブラウンは綿に包まれたような感覚を受けた。
 これは悪意あるものを退け、対象を守る結界を張るメダルだ。試しに衣更着が小石を投げつけてみると、こつんと見えない壁がそれを跳ね返した。
「メダルを貼ってる間効果は持続するっす。編集長さんの安全確保のためにも持っていて欲しいっす」
「なるほど。どうやら君が特殊な力を持っているのは確かなようだ」
 これで自分たち猟兵にF.O.Nと対抗できる力があることを、一端でも見せられただろう。そうすれば先程の話にも信憑性を感じるはずだ。メダルを弄りながら考え込みだしたブラウンの前で、衣更着は身を乗り出し、用件を切り出した。

「悪いオブリビオンたちの陰謀を阻止するため、協力をお願いしまっす!」
 ブラウンタイムスが掴んだ『極秘情報』と猟兵の力。その二つが手を組めば、F.O.Nの陰謀を阻止することができる。
 衣更着の誠心誠意の訴えは、当初は警戒していたブラウン編集長の心を動かした。彼は打綿狸のメダルを胸元に貼り直すと、デスクの隠し棚の鍵を開けた。
「君を信用しよう。こちらこそ協力を頼む」
 差し出されたのは彼が命懸けで掴んできた超大国の情報。この国を非道な凶行から救えるかもしれない手掛かりだ。
 衣更着はそれをしっかりと受け取り「ありがとうございまっす!」とお辞儀する。そこに記されていた内容は、まさに彼が求めていたものだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黎明・天牙
夢幻戦線

アポは取ってある行くぞ
と言い扉を3回ロックした入っていいと返事を頂いたので入る

どうも、天牙と申します
スーツを着てブラウン氏と名刺交換をした

こんにちは…私、夢幻戦線のリーダーの黎明・天牙と言います
夢幻戦線の言葉を聞いた途端顔を顰めた
(あっちゃ〜やっぱ夢幻戦線は苦い顔されるよな…)
夢幻戦線は獣人戦線の間では賛否両論あり、敵から食料や武器を奪うという無法者の集団扱いされているが九割は天牙のせい

…これ、ロシアのラジオの人達との写真です
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=52456の後に念の為撮っておいた写真を見せる

相手の表情は少し考えているようだ…


レティシア・ハルモニアス
夢幻戦線

とってあるのか?(もしかして依頼が無くても接触する気だったのか?)
と考えながら一緒に部屋に入る

…はあ(うおぉぉぉぉい!夢幻戦線、評判悪すぎじゃろうがあぁぁぁぁ!だからヴォルガとリズがいや…無理だろとか言っておったのかぁぁぁぁ!)
黙って天牙とブラウン氏の会話を聞いていた妾は心の中でツッコミを入れた

…オイ(天牙ぁぁぁぁ!写真は悪手ぅぅぅ!この世界写真無いぃぃぃ!)
写真を見せた天牙に肘を付きこっちを向かせる

おい…!下手か…!妾がやる…!
余りに下手なので交代する

失礼致しました。我々は…あっ?!ライメイザ!
交渉をしようとしたらUC復活の魔眼を発動しオブリビオンがブラウン氏を暗殺しようとしている未来が見えたので素早く結界術を展開して攻撃を防ぎながらライメイザに指示を出す

『はあ!』
ライメイザが破壊雷でオブリビオンを倒した

だ…大丈夫ですか?!秘密結社が貴方様の情報収集力を恐れての事でしょう…護衛はこのライメイザをお使いください…

あ、ありがとうございます…ううっ
嘘はついて無いと分かってくれたようだ



「アポは取ってある行くぞ」
「とってあるのか?」
 依頼を引き受けてからすぐに、黎明・天牙(夢幻戦線のリーダー『パラダイス・ブレイカー』・f40257)は仲間を連れて「ブラウンタイムス」編集部に向かった。一体いつアポイントメントを取ったのか、レティシア・ハルモニアス(奪われた全てを取り返す為に〜吸血鬼戦線〜・f40255)が疑問に思うほどの迅速さである。
(もしかして依頼が無くても接触する気だったのか?)
 アメリカに潜む超大国|F.O.N《フィールド・オブ・ナイン》の真実を知る唯一の国民。猟兵の中には彼にまつわる予兆を数ヶ月前に見たという者もいるらしい。それを手掛かりにブラウンタイムスの存在を知り、接触するタイミングを図っていた――というのは、レティシアの考えすぎだろうか。

「えーっと、黎明・天牙さん? 話は聞いています、中にどうぞ」
 アポを取ったのは本当だったらしく、天牙たちがブラウンタイムス社を訪れると、すんなりと中に通してもらえた。
 編集長がいるという部屋の扉を3回ノックすると、中から「入りたまえ」との返事。扉を開ければ、そこには茶色の毛並みのウサギがいた。
「こんにちは……私、夢幻戦線のリーダーの黎明・天牙と言います」
「……フム、成程。君があの噂の」
 普段のラフな装いとは異なり、スーツをきっちりと着こなした天牙は、まず名刺交換から挨拶に入る。それを聞いたブラウンはぴくりと肩を震わせ、微かに顔をしかめた。ジャーナリストである彼の耳には、海の向こうの大陸の情報も届いているようだ。

(あっちゃ~やっぱ夢幻戦線は苦い顔されるよな……)
 天牙が率いるチーム「夢幻戦線」は猟兵も含めた腕利き揃いだが、獣人戦線の世間では賛否両論で名が知れていた。
 倒した敵から食料や武器を奪う、戦場のルールを知らない無法者集団扱いされることも珍しくないが、九割は天牙個人のせいである。
「……はぁ」
 この反応にレティシアは小さく溜息を吐くに留めたが、内心は(うおぉぉぉぉい! 夢幻戦線、評判悪すぎじゃろうがあぁぁぁぁ! だからヴォルガとリズがいや……無理だろとか言っておったのかぁぁぁぁ!)と総ツッコミである。のっけから相手の心象を悪くし、警戒させてどうするのか。

「……これ、ロシアのラジオの人達との写真です」
「写真?」
 なんとか挽回しようと、天牙は以前の依頼でワルシャワ条約機構から救出した人々との写真を見せる。実際の功績を示せば悪いイメージも払拭できるだろうと思って、念の為に撮っておいたのだが――それを見たブラウンは違う意味で怪訝な顔をした。
(天牙ぁぁぁぁ! 写真は悪手ぅぅぅ! この世界写真無いぃぃぃ!)
 獣人戦線の技術レベルではまだ、UDCアースなどで一般化されているカラー写真などは存在しない。しれっと異世界のテクノロジーを披露して余計困惑させてどうするのだと、我慢できなくなったレティシアは「……オイ」と天牙に肘をつき、こちらを向かせた。

「おい……! 下手か……! 妾がやる……!」
「すまん」
 このままでは本題に入る前に編集部から追い出されかねないと察したレティシアは、交渉役を交代することにした。
 天牙も流石に今回のはマズったと思っているのか、素直に引き下がる。もともと王族として礼儀作法や会話術を仕込まれているレティシアのほうが、この場は適任なのは確かだ。
「失礼致しました。我々は……あっ?! ライメイザ!」
 だが、改めて交渉に移ろうとしたその時、レティシアの【復活の魔眼】は不吉な未来を視た。窓から飛び込んできた一体のオブリビオンが、一瞬にしてブラウン編集長の命を奪う未来だ。彼女は素早く結界を展開しながら【眷属召喚・ライメイザ】に指示を出した。

『はあ!』
「グギャッ!!」
 ライメイザの放った破壊雷は、オブリビオンの暗殺者を一撃で葬り去った。結界のおかげでブラウンにケガもなく、被害は割れた窓ガラスくらいのものだ。だが、この一瞬の出来事がブラウンタイムス社に与えた衝撃は大きかった。
「だ……大丈夫ですか?!」
「あ、ああ」
「編集長! 今の音は一体?!」
 レティシアの呼びかけに放心気味に応えるブラウン。慌てて駆けつける社員たち。これまで取材の過程で危険な目には何度もあってきた彼らも、ここまで直接的に命を狙われたことは稀だったか。しばし場は騒然としたが、幸いにも死傷者が出なかったお陰でパニックは起こらずに済んだ。

「秘密結社が貴方様の情報収集力を恐れての事でしょう……護衛はこのライメイザをお使いください……」
 皆が落ち着きを取り戻したところで、レティシアは自らの腹心を護衛に提供したうえで、改めてブラウンと話をする。ここで編集部に刺客を送り込んでくる相手など一つしか考えられない。ブラウンタイムスの報道を目障りに感じたF.O.N関係者による、口封じと見るのが妥当だ。
「我々はこのような邪悪なオブリビオンと戦い続けてきました。どうか貴方様の力をお貸しください」
「そうだったのか……」
 海を渡ってきた噂では悪評ばかりだった夢幻戦線の、真実の姿をはからずも目にすることとなったブラウン。彼は少し考えこむ表情を見せたが――超大国の陰謀に対抗する意思が同じならば、協力を拒む理由はないだろう。一度命を狙われたくらいで、彼のジャーナリスト魂は挫けない。

「分かった。儂もできる限り協力しよう」
「あ、ありがとうございます……ううっ」
 どうやらウソはついてないと分かってくれたようだと、レティシアはほっと胸を撫で下ろす。最初はどうなることかと思ったし、想定外のイレギュラーも起きたが、結果的には良いところに収まった。無法者集団と三文タブロイド誌の同盟という、世間的には非常に怪しい関係だが、彼らが目指すものは同じであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
身に纏うのは黒き軍服(転身・死葬冥妃)
隠密力に長けたこの姿なら、気付かれることなく編集長室に忍び込める
部下が退室し、ブラウンさんがひとりになったら内側から施錠
突然の訪問、失礼します

【恐怖を与えて】しまうが、力を振るわないことで対話の意思があることを理解してもらう
魔銃も彼のデスクの上に預けましょう

秘密結社F.O.Nにオブリビオン・アーミー……
あなたが追っているそれらは、紛れもない真実です
私は猟兵、これまで狂気艦隊や亡霊大隊、閉鎖都市などと戦ってきました
……しかし、他の超大国と比べてもF.O.Nは明らかに異質
正体を見定めなくてはなりません
真実を白日の下に晒すため、力を貸していただけませんか?



「呼応せよ、冥府の女王。死を齎す者よ。御身に宿りし万死の呪詛を、我が双銃に貸し与え賜え――」
 F.O.Nの極秘情報を知る者と接触するにあたって、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は黒き軍服を身に纏い【転身・死葬冥妃】の詠唱を紡いだ。直接の戦火に晒されず平和を謳歌するアメリカにおいて、その格好は目立つはずだが、なぜか誰にも視線を向けられない。
(隠密力に長けたこの姿なら、気付かれることなく編集長室に忍び込める)
 冥府の加護による超常の隠密能力をもって「ブラウンタイムス」編集部へと潜入した彼女は、そのまま物音も立てずに一番奥の部屋へ。部下が退室し、接触対象のブラウン編集長がひとりになるタイミングを待って、内側からカチャリと鍵をかけた。

「突然の訪問、失礼します」
「?! なんだね君は、いつからそこに……!!」
 声をかけられて初めてオリヴィアの存在を認識したブラウンは、驚愕と同時に恐怖した。冥府の気配を感じた者は本能的に恐れを抱くものだが、ここまで侵入に気付かなかったということは、彼女がその気になれば殺すこともできたということだ。それを理解できない者ではない。
「ご安心ください。私はあなたに話があって来ました」
「話……だと?」
 ゾッと青ざめているブラウンの前で、オリヴィアは力を振るわないことで対話の意思があることを示す。魔銃を彼のデスクの上に預け、丸腰であるところを見せれば、相手もひとまず冷静さを取り戻したようだ。まだ警戒しているが、すぐに人を呼ばなかった。話を聞くつもりはあるようだ。

「秘密結社F.O.Nにオブリビオン・アーミー……あなたが追っているそれらは、紛れもない真実です」
 沈黙をもって発言を促すブラウンに、オリヴィアが語りだしたのは世界の真実。超大国による世界侵略は対岸の火事などではなく、ここアメリカでもすでに進行中だということ――否、見方によってはどの国よりも深刻な状況にあることを、彼女は知っている。
「私は猟兵、これまで狂気艦隊や亡霊大隊、閉鎖都市などと戦ってきました……しかし、他の超大国と比べてもF.O.Nは明らかに異質」
 正体を見定めなくてはなりません、と彼女は言った。これまでのように単純な武力だけでは、奴らを覆う闇を晴らすことはできない。秘匿のヴェールを剥ぎ取り真相を暴きだすには、彼のようなジャーナリストの力が求められるのだ。

「真実を白日の下に晒すため、力を貸していただけませんか?」
「成程……君と儂の目的は同じ、ということだな」
 話を聞き終えたブラウンは、暫しその内容を吟味するように黙り込む。オリヴィアがユーベルコードを使って秘密裏に接触して来たのも、ことの重要性を分かっているから、そして自らの力を示すためだとすれば納得がいく。かの伝説の「はじまりの猟兵」の名を継ぐ者を、信じてみる価値はあるか。
「……分かった。儂も全面的に協力しよう」
「ありがとうございます」
 沈黙の末出た言葉に、オリヴィアは微笑みながら一礼する。これで自分達はアメリカにおける第一歩を踏み出せた。
 悪の秘密結社F.O.Nの陰謀を阻止するという共通の目的のもと、ウサギの編集長と異界の猟兵は固い握手を交わしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雨飾・樒
駆け引きは苦手、複雑な交渉はできないし、なるべくシンプルな話の方が編集長も安心してくれるんじゃないかな

まず編集長には情報交換したいって伝える
私から提供できるのは他の超大国との交戦記録
どこでどんな敵が、どのような作戦で動いていて、私や他の猟兵達がどう対処したのか、きっと編集長の興味を引けると思う
クロックワーク・ヴィクトリアの狂気要塞の話とか、そのまま伝えるだけで充分センセーショナルなはず

欲しい情報は正直に、編集長が掴んでるF.O.Nの作戦についてお願いする
他の超大国相手にやってきたように作戦を阻止したい思いを伝えて、交戦記録と合わせて、編集長の信用を得たい



(駆け引きは苦手、複雑な交渉はできないし、なるべくシンプルな話の方が編集長も安心してくれるんじゃないかな)
 プロのジャーナリストを相手に口八丁で情報を引き出せると考えるほど、雨飾・樒(Dormouse・f41764)は自信家ではなかった。疑いの目を向けられるくらいなら、こちらの出せる情報は全て出して、信用を得られるよう努めたほうがいい。
「情報交換がしたい」
「ふむ、君も噂の猟兵とやらかね。話を聞こうじゃないか」
 正面から「ブラウンタイムス」のドアを叩き、編集長の元までやって来た樒は、単刀直入に自らの目的を切り出す。
 対するブラウン編集長の反応は慎重だ。すぐに追い返したりはしないが、警戒しているのが分かる。協力者を装ったF.O.Nの手先がやって来る可能性もあるのだから、用心するのは当然だろう。

「私から提供できるのは、他の超大国との交戦記録」
 身の潔白は情報の真贋をもって証明しようと、樒は用意した資料をデスクに広げる。それは彼女が過去の戦闘で知り得た内容を纏めたもので、どこでどんな敵が、どのような作戦で動いていて、自分や他の猟兵達がどう対処したのか、詳らかに記録されている。
「これは……! ゾルダートグラード軍との戦闘記録に、人民租界の超巨大都市……それに、人知れず住民を狂気に陥らせる、クロックワーク・ヴィクトリアの『狂気要塞』だと……?!」
 諸外国における超大国の侵略行為はアメリカにも伝わっているだろうが、海を隔てた情報は鮮明さに欠けると言わざるを得ない。その点、樒が持ってきたのは彼女自身の経験による「生きた」情報だ。生々しいまでの臨場感を伴ったその内容は、ブラウンに強烈なインパクトをもたらした。

「この情報をどうするかは、編集長の好きにすればいい」
 現地の兵士からインタビューした戦場の実録とでも題すれば、民衆の興味を引ける記事になりそうだ。狂気要塞の話など、そのまま伝えるだけでも充分センセーショナルな内容も多い。F.O.Nの介入があるかもしれないので、情報の扱いは慎重にすべきだろうが。
「……編集長として、これだけのネタに報いない訳にはいかないな。君の望みは?」
「編集長が掴んでるF.O.Nの作戦について」
 記録に目を通したブラウンが、真剣な眼差しで樒を見つめる。その問いかけに、彼女は正直に欲しいものを伝えた。
 近いうちにF.O.Nがアメリカ国内で虐殺を企んでいる、そこまでは猟兵側も把握している。だが計画の全容を把握するためには、ブラウンタイムスが入手した極秘情報が必要なのだ。

「他の超大国相手にやってきたように、この作戦を阻止したい」
 自分から提供できる交戦記録は全て提供した。あとは真剣に思いの丈を伝えて、樒はブラウン編集長の返答を待つ。
 普段から無愛想な彼女も、信頼関係の重要性は理解している。兵士と編集者で職分は違えども、目的が一致しているのなら、協力関係を結べるはず。
「……わかった。君を信じよう」
 暫しの沈黙の後、ブラウンはそう言ってデスクの中から資料のファイルを出した。そこには彼が入手したF.O.Nの情報が纏められている。超大国との戦いを繰り広げ、海を渡ってきたこの若き兵士に、彼は希望を託すと決めたのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『変幻の射手』

POW   :    吸血鬼の魔弾
【甘い香りを纏う吸血鬼】に変身する。隠密力・速度・【命中した敵の生命力を奪い続ける魔力弾】の攻撃力が上昇し、自身を目撃した全員に【陶酔】の感情を与える。
SPD   :    変身譚の魔弾
敵を狙う時間に比例して、攻撃力・命中率・必殺率が上昇する【肉体の強制改造の呪い】を武器に充填し続ける。攻擊すると解除。
WIZ   :    麻痺薬の魔弾
【携行している銃器】から、物質を透過し敵に【麻痺】の状態異常を与える【ライムグリーンの魔力弾】を放つ。

イラスト:けむり

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『アメリカ政府内部には、F.O.Nの息がかかった秘密の部隊が存在する』

 ブラウンタイムス編集部を訪れた猟兵達に、ブラウン編集長はこのように語った。
 これは、彼が入手した|F.O.N《フィールド・オブ・ナイン》の極秘情報。アメリカに潜む秘密結社の手掛かりである。

『部隊名を焼尽中隊(Burn out enemy Squadron)。米国、つまりはF.O.Nの利益を最優先に各地で暗躍する、F.O.N戦略情報局の特務部隊だ。総司令官はレックス・ラビットゲート大佐、軍用近接戦闘術を編出した先駆者という噂もある』

 秘密結社F.O.Nの「筋肉」として、秘密裏に様々な活動を行ってきた焼尽中隊は、近い内に"戦力補充"と称して国内での虐殺を計画している。殺害された市民はF.O.Nの忠実な兵士として生まれ変わり、『|忘れられた軍団《オブリビオン・アーミー》』の一員になるのだ。

『我が社はアラバマ州モンゴメリー市に、焼尽中隊の使用する秘密基地があるという情報を入手した。もし君達のいう虐殺計画が本当に進められているのなら、ここに戦力を集結させている可能性が高いだろう』

 焼尽中隊の作戦に目撃者や生存者はいない。情報は全てF.O.Nの圧力で揉み消され、事件そのものが隠蔽される。
 ブラウンタイムスのような三文タブロイド誌がいくら真実を訴えても、民衆は耳を貸さない。それ故に、ブラウンはこれまでずっと歯がゆい思いをしてきたのだ。

『君達に、奴らを止める力があるというのなら……頼む!』

 この情報は、彼からの信用の証であり、アメリカ国民としての切実な願いだった。
 希望を託された猟兵達は、直ちにモンゴメリー市へと向かい、F.O.Nの秘密基地を襲撃する。



「ッ、敵襲?!」「バカな、何故ここが分かった!」

 果たして情報通り、そこにいたのは大勢のオブリビオン。
 高い身体能力と隠密作戦能力、そして獣呪術による"魔弾"を操る『変幻の射手』達だ。
 おそらくは、これから虐殺作戦が実行される寸前の事だったのだろう。すでに完全武装状態だ。

「貴様らが何者かは知らないが……ここに来たからには死んでもらうぞ!」

 拠点が露見した動揺は隠せないものの、射手達はすぐさま銃を構える。
 掴んだ尻尾を放さず、ここで確実に殲滅するために、猟兵達も戦闘態勢に入った――。
レヴィア・イエローローズ
……『六番目の猟兵』、レヴィア・イエローローズ!
悪逆にして影に潜む者に天誅を下すべく、ここに参ったわ!
瞬間、敵兵を『永遠の退屈が待つ脱出不可能の無人島空間』』で包んでいく
敵兵は敵…猟兵を攻撃する能力を失い代わりに『必ず飽きが来る娯楽』と『傷を癒やす代償として自死すら許されない不死の呪い』によって死すら生温い『永遠』という地獄に行ってもらうわ

最初は良いとしても、やがて無限の時間は退屈で満たされ、いずれ心は破綻するわ
オブリビオン・フォーミュラなら兎も角、一介のオブリビオン兵が脱走できる訳もなし…
そう行って金の縦ロールを靡かせて踵を返すわ



「……『六番目の猟兵』、レヴィア・イエローローズ! 悪逆にして影に潜む者に天誅を下すべく、ここに参ったわ!」
 モンゴメリー市にあるF.O.Nの秘密基地で、レヴィアは堂々と名乗りを上げる。その瞬間【黄薔薇開花・永遠なる呪祝を内包する楽園の島】が発動し、異空間が敵兵を包みこんでいく。国民を虐殺し兵力を増強しようとする非道な輩に、これ以上かける言葉はないとばかりに。
「なッ、なんだここは?」
 異空間に飲み込まれた『変幻の射手』達が見たのは、まぶしい日差しに白い砂浜、青い海。まるでリゾート地に来たような光景だが、自分たち以外の人間の気配はない。周囲は完全に海に囲まれた無人島に、彼女らは迷い込んでいた。

「幻覚か? だが、この感触は……」「おい、私の銃はどこだ?!」
 語感が受ける感覚はリアルであり、目の前の光景がただの幻とは思えない。そのうちにふと、一人の兵士が装備の紛失に気付く。作戦のために配備されたはずの銃器も弾薬も手元から消えており、通信機等その他の装備は残っていたが味方との連絡は通じない。
「早くここから抜け出さなくては」「水や食料は……あるようだな」
 この状況に困惑しながらも、変幻の射手たちは脱出のために島内を探索する。すると、誰かが予め用意していたとしか思えない料理や嗜好品、娯楽用品がすぐに見つかった。まるで、この島でゆっくりと遊んで行けと言わんばかりだ。

「不気味だな」「ああ……」
 最初のうちは警戒していた変幻の射手も、やがて必要に迫られて料理に手を出さざるを得ない。幸いにも毒などは入っていなかった――どころか、それは非常に美味だった。しかも、いくら食べてもいつの間にか次が補充されている。
「こんな"歓迎"を受けたのは初めてだな」
 脱出の手段だけは見当たらないものの、いくらでも遊んで暮らせそうな環境。当面の危機がないと分かれば彼女たちの気も緩んだか、娯楽や嗜好品に手を出す者も現れる。食料と同様、それらも幾ら使っても無くなることはなかった。

「我が黄色に応じて開花せよ、羨望の深淵。それは永遠という祝福にして呪詛が待つ偽りの不変なる楽園。やがて迎えるは無限の退屈である」
 果たしてリディアが変幻の射手たちを送り込んだのは『永遠の退屈が待つ脱出不可能の無人島空間』。敵を攻撃する能力を失う代わりに無限の娯楽を提供される、まるで楽園のような世界だ。だが、ここに閉じ込められた者はいずれ真の恐ろしさに気付くことになる。
「最初は良いとしても、やがて無限の時間は退屈で満たされ、いずれ心は破綻するわ」
 どんな娯楽にも必ず飽きは来るし、刺激のない安穏とした停滞はやがて苦痛に変わる。もし終わらせるために自死を選んだとしても、この空間では不死の呪いがどんな傷も癒やしてしまうのだ。それは死すら生温い『永遠』という地獄であった。

「オブリビオン・フォーミュラなら兎も角、一介のオブリビオン兵が脱走できる訳もなし……」
 そう言ってレヴィアは金の縦ロールを靡かせて踵を返す。異空間送りにした者たちの分かりきった末路など、これ以上観測する必要もない。せいぜい最初のうちは浮かれ、娯楽に溺れ、楽しんでいれば良いのだ――やがて食事を見るのも嫌になる時が必ず来る。非道なる侵略者に彼女が下した罰は、あまりにも無慈悲なものであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

家綿・衣更着
アドリブや巻き込み歓迎

善良な市民の虐殺とか許さないっす!

情報源偽装のため、幻朧帝国諜報員に【化術】で【変装】し【演技】
「はっはっは!いい気味だ、わざわざ猟兵共に情報を流した甲斐があったな!」

どろんと妖怪煙の大量放出とUC『妖怪忍法葉っぱ乱舞』に隠れるように【迷彩】しつつ変幻の射手に【化術】で変身、
どろんはっぱを変形させた敵(に変化した自分)の立体映像で【おどろかし】混乱と同士討ちを狙いつつ、忍者手裏剣に変形したどろんはっぱで倒していく。
敵銃撃は【第六感】で【見切り】避けれないものは【結界術】で【受け流し】で対処。

「焼尽中隊とか秘密部隊には不似合いな恰好よさっすね」



「はっはっは! いい気味だ、わざわざ猟兵共に情報を流した甲斐があったな!」
 F.O.Nの秘密基地に突入した猟兵達に紛れて、軍服と軍刀を帯びた男が高笑いを上げている。それは幻朧帝国の諜報員に扮した衣更着の変装であった。情報の出処が分かればブラウンタイムスに危険が及ぶ可能性があるため、それを防ぐための偽装工作である。
「貴様、幻朧帝国の! これは貴様の手引きか!」
 猟兵達はまだ幻朧帝国に直接接触したことはないが、サクラミラージュの服装なども参考にした化術は上手くいったようだ。同じオブリビオンでも超大国同士は手を携えている訳ではなく、世界の支配権を巡って争う間柄である。焼尽中隊所属の『変幻の射手』達は、すぐさま彼に銃口を向けた。

(善良な市民の虐殺とか許さないっす!)
 心の中で本音を叫びながら、衣更着はどろんと妖怪煙を大量放出。同時に【妖怪忍法葉っぱ乱舞】を発動し、乱れ飛ぶ「どろんはっぱ」の迷彩に身を隠す。そうして再び化術を使う隙を作ると、今度は変幻の射手そっくりにに化けた。
「くっ、煙幕か!」「追え! 逃がすな!」
 もくもくと上がる煙の中で、敵兵は諜報員の姿を探す。相手が既に姿を変えて自分達の中に紛れているとも知らず。
 それだけではない。衣更着がばら撒いた葉っぱは敵に変化した彼の立体映像を作り出し、正体の発覚をより困難にしていた。

「迂闊に背中を見せちゃ駄目っすよ!」
「ぐはっ?!」
 まんまと潜伏した衣更着はどろんはっぱを忍者手裏剣に変形させ、変幻の射手に投げ放つ。敵側からすれば突然背後から同士討ちを受けたと考えるだろう。確認すれば先程までよりも味方の兵士の数が増えている。誰かが変装して紛れ込んでいるのは明らかだった。
「気をつけろ、敵の罠だ!」「くっ……どいつが敵だ?」
 だが気付いたとて、この妖怪煙の中では誰が味方で誰が敵なのかを正確に判別することは難しい。それを良いことに衣更着も立体映像を盛んに動かして敵部隊を混乱させる。疑心暗鬼が深まってしまえば、あとはちょっと驚かしてやるだけで――。

「うっ、うわああっ!」「がはッ!!」「おい、誰が撃った?!」
 最初の暴発が起こってしまえば、それが凄惨な同士討ちに発展するまであっという間だった。動くもの全てが脅威に見えるようになった変幻の射手は、自分の影にすら怯えて【変身譚の魔弾】を乱射する。罪なき獣人を殺すための弾丸が、自分達を死へと誘うのは皮肉である。
「化かしと驚かしは|妖怪《おいら》の十八番っすよ」
 もちろん衣更着にも流れ弾は飛んでくるが、その大半を彼は第六感で見切り、避けられないものは結界で受け流す。
 煙が晴れて冷静になる前に、連中にはここで死んでもらう。混乱の坩堝となった戦場で、彼は手裏剣を投じ続ける。

「焼尽中隊とか秘密部隊には不似合いな恰好よさっすね」
 誰が付けたのかは知らないが、隠密活動に存在を誇示する名など本来は必要ない。衣更着の戦法がまさに良い例だ。
 正体を隠し、影に紛れ、敵を欺く。お得意の化術を巧みに活かしながら、彼は敵兵を完全に手玉に取っていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雨飾・樒
信じてくれて託されたんだ、必ず成し遂げてみせる

変幻の射手、焼尽中隊にも配置されてたのか
まともに撃ち合うと厄介な能力、隠れながら進もう
こちらの姿を見られないように、音で気付かれないように空中跳躍符を使って基地内を移動、敵の死角に回り込む
屋根の上、天井、ダクト、積まれた物資の陰、建物の外も内も、私の身体なら隠れられる場所は幾つかあるはず
"眠り薬の魔弾"で狙える敵を仕留めたら直ぐに移動、連絡が途絶えれば他の兵が来るだろうし、そこを別の位置から狙う

体力面は敵の方が軒並み上、でも足の速さなら、脚部運動強化符もあるし負けてない
腿の太さは伊達じゃないよ
発見されたら全速力で振り切って、隠れて撃てる隙を窺おう



「変幻の射手、焼尽中隊にも配置されてたのか」
 歴戦の傭兵として超大国と各地で戦ってきた樒は、以前にも同種のオブリビオンとの交戦経験があった。獣呪術師の力と射撃技術を組み合わせた"魔弾"を使いこなす、一筋縄ではいかない連中だ――が、さりとてここで怖気付くわけにもいくまい。
「信じてくれて託されたんだ、必ず成し遂げてみせる」
 この基地の情報を伝えてくれたブラウン編集長の表情が脳裏に浮かぶ。F.O.Nに支配されたアメリカに真の自由を取り戻すため、人知れず奪われようとしている命を救うため、自分達は希望を背負ってここにいるのだ。その重みが分からぬ彼女ではない。

(まともに撃ち合うと厄介な能力、隠れながら進もう)
 樒は愛用の「六式拳銃丙型」を構えながら息を潜め、敵兵にこちらの姿を見られないよう慎重に基地内を移動する。
 音で気付かれないように「空中跳躍符」を使って足音を殺し、常識外れな三次元の動きで警戒網を掻い潜ってゆく。
(屋根の上、天井、ダクト、積まれた物資の陰、建物の外も内も、私の身体なら隠れられる場所は幾つかあるはず)
 ネズミの小柄さと敏捷さを柔軟に活かして、まんまと敵の死角に回り込んだ彼女は特製の【眠り薬の魔弾】を装填。
 慣れた手つきで狙い定めてトリガーを引けば、微かな発砲音と共にペールブルーの魔力弾が放たれ、標的に深い眠りをもたらす。

「うっ?! ど、どこ、から……」
 魔弾の不意打ちを食らった敵兵はたちまち睡眠状態に陥り、バタリとその場に倒れ込む。それを確認すると樒はすぐに移動を再開した。連絡が途絶えれば他の兵が状況確認のためにやって来るだろう、一箇所に留まっていては危険だ。
「おい、どうした、何かあったのか……ぐあっ!?」
「沈め、静寂の奥底に」
 駆けつけてきた変幻の射手たちを、別の位置から狙い撃つ樒。こちらの事を把握されていない間に、一人でも多くの敵を仕留める気だ。物質を透過する【眠り薬の魔弾】は通常弾では不可能な射線からも射撃可能なうえ、致死性も高い必殺の魔弾であった。

「ッ……いたぞ、そこだ!」
 しかし相手はF.O.N戦略情報局に属する特務部隊。タダでやられるわけがなく、仲間の犠牲から射手の位置を特定し、反撃してくる。ライムグリーンの【麻痺薬の魔弾】を放ちながら、連携と数の優位で標的を囲い、仕留めるつもりだ。
(体力面は敵の方が軒並み上、でも足の速さなら、脚部運動強化符もあるし負けてない)
 所在を発見されても樒は慌てず、戦闘服の腰部に仕込まれた呪符で脚力を強化し、全速力で離脱を試みる。牽制のために後ろ手に放った青の魔弾が、緑の魔弾とぶつかって火花を散らす――これは奇しくも魔弾使い同士の戦い。しかし正面から素直に撃ち合ってやる気など、彼女にはない。

「腿の太さは伊達じゃないよ」
「くッ! 逃がしたか……!」
 変幻の射手も全力で追いかけたものの、結局は標的を見失ってしまう。敵の追跡を振り切れば、再び樒のターンだ。
 隠れる場所を変えて気配を消し、また敵兵に隙が生まれるチャンスを窺う。今の交戦であちらも警戒するだろうが、問題はない。
(どんなに用心しても、死角を完全にゼロにはできないよ)
 敵軍の基地をまるで自分の棲家のように、潜伏と奇襲と離脱を繰り返す樒。鮮やかな手際に止まる気配はない――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四王天・燦
アークウィンドと『霊筆』エレメンタルドロワーを構えるぜ
剣とペンの二刀流よ
素性はブラウン所長に危険が及んだらいけないんでナイショと返すぜ

って、編集長…敵が別嬪揃いなんて聞いてない
アークウィンドを振り回し、風属性攻撃の衝撃波を出鱈目に展開するぜ
射撃を微妙に反らすのだ
厄介な麻痺弾食らうわけにいかねえよ
攪乱するようにステップ刻んで接近しましょ

ドロワーで描いた(微妙な絵心)雷を飛ばしてこちらもマヒ攻撃で反撃する
銃器を盗み攻撃で没収し何処で生産されてるのかとか聞くけど答えてくれんよなぁ…ま、編集長へのお土産にしましょ

炎を描いてフォックスファイア・伍式でトドメを刺すよ
せめて兵役から解放されて眠れるようにね



「貴様ら……どこの所属だ! この基地の情報をどこから知った?!」
「ナイショ」
 いきり立つ『変幻の射手』からの恫喝に、燦は笑って口元に人差し指を当てる。ブラウン編集長に危険が及ぶといけないので、こちらの素性は絶対に秘密だ。返答の代わりに短剣「アークウィンド」と霊筆「エレメンタルドロワー」を構え、戦闘態勢を取る。
「剣とペンの二刀流よ」
「ふざけたヤツめ!」
 そんな装備で勝負になるつもりかと、敵部隊は一斉に銃口を向ける。彼女達は優れた射撃技術だけでなく、獣呪術による"魔弾"まで操る精鋭だ。伊達にF.O.Nの特務部隊に在籍しているわけではない――が、そんなことよりも今の燦には注目すべき点があった。

「って、編集長……敵が別嬪揃いなんて聞いてない」
 相手が敵だろうとオブリビオンだろうと、美女が相手だとつい色気を出してしまうのは燦の悪いクセだ。もちろん敵兵がそれで容赦してくれるはずもなく【麻痺薬の魔弾】の一斉射撃に晒される。彼女らが放つライムグリーンの弾は、命中した標的を麻痺させる呪いの弾丸だ。
「死ね!」
「おっと、危ねっ」
 燦が咄嗟にアークウィンドを振り回すと、風の衝撃波がデタラメに周囲に吹き荒れる。この短剣は妖精の祝福を受けており、弾を跳ね返すまではいかなくとも軌道を微妙に逸らすには十分。物質的な防御手段では透過されてしまうが、これなら効果はあるはずだ。

「厄介な麻痺弾食らうわけにいかねえよ」
「あ、当たらない……?!」
 旋風で魔弾を逸らしつつ、燦はさらに敵兵の狙いを撹乱するようにステップを刻みながら接近する。風を操りながら弾幕をすり抜けてくる、その様子はまるで魔法のようだ。動揺する変幻の射手たちの前で、彼女はにやりと笑いながら霊筆を振るった。
「んじゃ、こちらも反撃だ」
「きゃっ!?」
 空中に描いた雷が実体化し、本物の稲妻となって敵兵に飛んでいく。使い手の絵心はちょっと微妙だが、威力のほどは問題ない。雷に打たれた変幻の射手達は悲鳴を上げ、身体が痺れて銃を取り落とす――マヒにはマヒの意趣返しだ。

「こいつは何処で生産されてる? って、答えてくれんよなぁ……」
「あ、当たり前だ……!」「誰が言うものか!」
 敵が落とした銃器を没収しつつ、燦はその出処についてダメ元で聞いてみるが、当然ながら返答はなかった。ここで工廠の所在地まで分かればF.O.Nにさらなる打撃を与えられたのだが、特務部隊の兵士がそんなに口が軽いはずがない。
「ま、編集長へのお土産にしましょ」
 この銃だけでもF.O.Nの実在を示す「物的証拠」にはなる。記者としての務めを果たしたところで、彼女は空中に霊筆で炎を描き【フォックスファイア・伍式】を発動。美人を手に掛けるのは残念だが、猟兵としての務めも果たさなくてはならない。

「せめて兵役から解放されて眠れるようにね」
「あ、あぁぁぁっ…………」
 放たれた炎の矢は、苦痛を与えることなく命を焼き尽くす慈悲の炎だ。紅蓮に包まれた変幻の射手達は、まるで眠るように安らかに息絶えていく。彼女らがこれ以上超大国の尖兵として利用されぬことを祈りながら、燦は基地の奥へと進んでいくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レティシア・ハルモニアス
夢幻戦線

ブラウン氏を守る為にライメイザを置いて来てしまったが問題無い!
ブラウン氏の護衛はライメイザに任せているので安心して戦闘出来る

狙われなければ…問題無い!
結界術を展開しながらクイックドロウの要領で矢弾の雨を周りに放ち攻撃して砂煙で敵の視界が見えなくなったら迷彩を発動して姿を消す

紅い矢弾の雨!
建物の影に隠れてから指定UCを発動して周りの敵に攻撃

我が眷属はまだまだおるぞ!
指定UCの効果でUC眷属召喚陣を発動してから建物の影に隠れながら結界術を展開しながら迷彩で消える

おおう!やるのう!奴等!
吸血龍皇が次元の力で瞬間移動しながら敵に吸血し死霊騎士が波動を周りの敵に放ち攻撃


流石は妾の眷属!やるのう!


黎明・天牙
夢幻戦線

さっきはフォローしてくれてありがとうな、ティニ
とティニにお礼を言うと戦闘態勢

『パパラッチィィィ!』『ギアァァァ!』『フォカッチャァァァ!』『ナイトォォォ!』『アーカイブゥゥゥ!』
指定UCの効果で出てきたUC狂気の連雀レンジャーズを発動して雀達は敵にダイナマイトを投げつけた

狙われなきゃどうって事はねえな…
視力と気配感知で敵を見ながら推力移動で加速する

神鷲雀男!
指定UCを発動して神越速で敵に狙い撃ちされないようにしながらクイックドロウの要領で破壊光を次々と放ち攻撃


『パーフェクトフォームゥゥゥ!』×50
遠くにいた雀達は変身能力で戦車に変身して砲撃を放ち敵を吹き飛ばした

おお〜目茶苦茶やってるな



「ブラウン氏を守る為にライメイザを置いて来てしまったが問題無い!」
 頼れる眷属をブラウンの護衛を任せ、自らはF.O.Nの秘密基地に突撃するレティシア。仲間は一人減ってしまったが、不安は微塵も感じていない。むしろ協力者の安全が確保されているほうが、安心して戦いに専念できるというものだ。
「さっきはフォローしてくれてありがとうな、ティニ」
 交渉中に助けてくれた件について礼を言うと、天牙も戦闘態勢に入る。ミスした分は今後の働きで挽回すればいい。
 まず最初の敵はF.O.N特務部隊『焼尽中隊』に所属する『変幻の射手』。罪なきアメリカ国民を手にかけんとす、非道の尖兵だ。

「我ら焼尽中隊に戦いを挑むとは、愚かな奴らめ……死ねッ!」
 変幻の射手達は一斉にライフルを構えると【変身譚の魔弾】を装填する。これは古くから伝わる獣呪術を用いた弾丸で、命中した対象の肉体を強制改造する。おとぎ話のように無力な野ネズミに変身させるのも、異形の怪物に変えるのも自由自在だ。
「狙われなきゃどうって事はねえな……」
「狙われなければ……問題無い!」
 魔弾の威力が呪力を込めた時間に比例するのを察した二人は、すぐさま回避行動を取る。推力移動で加速した天牙は敵兵を視界に収めつつも狙いを絞らせず、レティシアは結界を展開しながらクイックドロウの要領で弾丸の雨を放つ。それにより立ち上った砂煙は、濛々と射手達の視界を覆い隠した。

「くっ! 素早い奴め」「どこへ行った!」
 高速移動と弾幕により標的を見失った変幻の射手達は、互いの死角を埋めるように背中合わせになって捜索に移る。
 だが獣人の五感を以てしても、迷彩を張ったレティシアを発見するのは容易ではない。砂煙が上がった一瞬の間に、彼女は建物の影に身を隠していた。
「紅い矢弾の雨!」
「ッ?! ぐあぁぁぁっ!!」
 直後にレティシアは闇刃銃『エレクトニアス・ヴァラージュ』を上に向けてユーベルコードを発動。空に撃ち上がった真紅の弾丸が、無数の雨となって戦場に降り注ぐ。次元すらも撃ち抜く猛攻を浴びた変幻の射手たちは、血飛沫と共に悲鳴を上げた。

「神鷲雀男!」
 間髪入れずに天牙も【『パラダイス・ブレイカー』神鷲雀男】に変身。神速をも超越するスピードで狙い撃ちされるのを避けながら、鷹の目の超視力で標的を捉える。その指先から放たれる破壊光線の高速連射は、居並ぶ敵兵を次々に蜂の巣に変えた。
『パパラッチィィィ!』『ギアァァァ!』『フォカッチャァァァ!』『ナイトォォォ!』『アーカイブゥゥゥ!』
「なッ、今度はなんだ……うわぁぁぁぁッ!!!?」
 同時に出てきた【狂気の連雀レンジャーズ】が、理解不能のテンションで騒ぎながらダイナマイトを投げつける。
 秘密基地を揺るがす轟音と爆炎。巻き込まれた変幻の射手達はまたも悲鳴を上げ、反撃するどころではなかった。

「我が眷属はまだまだおるぞ!」
 さらにレティシアも地面に描いた【眷属召喚陣】を発動し、建物の影に隠れたまま吸血龍皇と死霊騎士を召喚する。
 腹心中の腹心たるライメイザには及ばずとも、彼らも吸血鬼の女王にふさわしき配下。召喚中は戦えなくなる主人に代わって、紅い龍皇は次元の力で瞬間移動しながら敵に噛みつき、白銀の騎士は死の波動を周囲に解き放つ。
「また増援だと?!」「こ、これ以上は……!」
 狙撃の暇もない波状攻撃を受け、変幻の射手達の表情は焦りでいっぱいだ。辺りには血を吸われて干からびた骸や、波動で吹き飛ばされた同胞達が転がっている。これにはレティシアも「おおう! やるのう! 奴等!」とご満悦だ。

『パーフェクトフォームゥゥゥ!』×50
 そして天牙の眷属(?)のスズメレンジャーズも絶好調だ。ダイナマイトを投げきったかと思えば、今度は遠くにいた連中が戦車に変身。動揺する敵部隊めがけて砲撃を放ちまくり、爆撃から生き残った連中すらも吹き飛ばしていく。
「せ、戦車まで出てきただと?!」「これは悪夢か!?」
 次から次に出てくる多種多様な戦力。これが海の向こうで(悪)名を知られた「夢幻戦線」の実力だ。中心メンバーの猟兵だけでなく、指揮下の隊員もオブリビオンに対抗できる力を備えている。アメリカ国内での暗躍が主だった彼女らが、実際にそれを体験するのは初めてだろう。

「おお〜目茶苦茶やってるな」
「流石は妾の眷属! やるのう!」
 スズメレンジャーズの派手な暴れっぷりを、天牙は感心と呆れが入り交ざった様子で眺め。一方のレティシアは結界と迷彩で自身の安全を確保しつつ、物陰より眷属に声援を送る。アメリカにおける初陣にふさわしい総力戦っぷりで、夢幻戦線は自らの存在感を知らしめたのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
敵は国家の中枢機関を握っているか……
つまりこの戦いは叛逆、得意分野だ

よもや私の前で吸血鬼に変じるとはな
識るがいい、貴様たちは自ら断頭台へ首を差し出したのだと

極まった【集中力】の前では、陶酔などという浮ついた感情は湧きあがらない
魔銃ストラーフを素早く抜き(クイックドロウ)、死の悪魔の力を宿した【呪殺弾】を発砲
【魔弾の射手】により放たれた弾丸は、瞬時に150回の加速(限界突破)
ハンドガンにあるまじき超威力と化し、肉片すら残さず消し飛ばす(衝撃波・蹂躙・吹き飛ばし)
今まで貴様らがしてきたことだ、存在していた痕跡すら残さず滅ぼし尽くしてやろう



「敵は国家の中枢機関を握っているか……つまりこの戦いは叛逆、得意分野だ」
 邪悪な支配者による圧政から、虐げられた民衆を救う。それはオリヴィアにとって、故郷にいた頃から変わらぬ戦いだ。どんなに深く根を張っていようが、必ずや根本を断ち切ってみせる。これはその第一歩だと、軍服の外套を翻す。
「フン……この国はすでに我々F.O.Nが支配している。今更なにをしようが無駄だ!」
 それを無意味な抵抗と嘲笑うのは、焼尽中隊の『変幻の射手』。力の差を思い知らせてやろうと、彼女らは甘い香りを身に纏い、獣人から吸血鬼に変身を遂げる。これも獣呪術によるものか、あるいは更に上位のオブリビオンから賜った力か。いずれにせよ、その姿を見せたということは、奴等も本気でこちらを始末にかかる気だ。

「よもや私の前で吸血鬼に変じるとはな」
 だが、その姿を見た瞬間オリヴィアの殺気が膨れ上がる。数あるオブリビオンの中でも吸血鬼は彼女の宿敵であり、何度も矛を交え、そして滅ぼしてきた。猟兵の中でも彼女ほど吸血鬼の"殺し方"を識っている者は、そうは多くない。
「識るがいい、貴様たちは自ら断頭台へ首を差し出したのだと」
「抜かせ!」「死ぬのは貴様だ!」
 何も知らない変幻の射手達は、一斉にライフル銃を構える。装填するのは標的の生命力を奪い取る【吸血鬼の魔弾】――だが、彼女らが引き金を引くよりも速くオリヴィアは「魔銃ストラーフ」を抜き、死の悪魔の力を宿した呪殺弾を発砲した。

「魔弾よ、獲物を狙え――狩りの時間だ」
 【魔弾の射手】により放たれた弾丸は瞬時に150回の加速を行い、ハンドガンにあるまじき超威力と化す。限界を超えた弾速が生み出す衝撃波だけで、周囲の敵をなぎ倒せるほどだ。まして直撃を食らった者など、肉片すら残るものか。
「ッ――……!!!?」「な、なんだその威力はッ!!!」
 一瞬にして仲間を消し飛ばされた変幻の射手達に動揺が走る。魔弾の使い手である彼女らも、こんな規格外の銃撃は見たことがない。吸血鬼化によって速度も上昇しているはずなのに、反応さえできなかったのだ。それに何より――。

「き、貴様……私達の魅了が効いてないのか?!」
「笑わせる。そんなものが通じると思っていたのか」
 吸血鬼化した射手達の姿を目撃した者は、陶酔の感情に囚われる。しかし極まった集中力の前では、そんな浮ついた感情は湧き上がらない。オリヴィアが眼前の敵に感じるものは怒りと殺意だけであり、その感情は弾丸となって叩きつけられる。
「くそっ、調子に……ぎゃッ!?」「ひッ!!」「ぐぁぁッ!!」
 反撃に身構える隙もなく、悪魔の弾丸が変幻の射手達を蹂躙する。回避も防御も間に合うはずがなく、着弾の瞬間に上がる悲鳴と血煙が、犠牲者の存在を示す最期の証になる。やがて彼女らの心を占めるのは、死への恐怖のみだった。

「今まで貴様らがしてきたことだ、存在していた痕跡すら残さず滅ぼし尽くしてやろう」
「や、やめ――……!!!!」
 一切の情も慈悲もなく、超大国の尖兵どもを消し去っていくオリヴィア。ニ丁の魔獣は絶え間なく咆哮を続け、身に纏う軍服には返り血の一滴も浴びていない。まるで無力な野兎の如く狩られゆく敵兵は、これまで自分達が殺めてきた無辜の市民の気持ちを、思い知ったうえで果てただろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マシュマローネ・アラモード


ブラウン編集長から託された情報、無駄には致しません!

UCデスティニー・チャンピオン!
|我が生き様、我が人生《ラヴィアラモード》!

斥力(吹き飛ばし)で、吹き飛ばし、直接に決めに行きますが、麻痺の弾丸はラヴィアラモードの反射で返ります、その行動が鈍った隙をついてのラッシュとコンボ、斥力の圧倒的な重のパワーで押し込みましょう!
推力移動の加速とキネティックリパルサーの重撃で野望と共に粉砕して参りますわ!



「ブラウン編集長から託された情報、無駄には致しません!」
 背に負った信頼と期待の重みを噛み締めながら、情報にあったF.O.Nの秘密基地までやって来たのはマシュマローネ。
 編集長の調査結果に誤りはなく、そこには完全武装したオブリビオンの兵士がいた。話に聞いた『焼尽中隊』とは奴らの事だろう。
「モワ! これ以上の非道は許しませんわ!」
「なんだ貴様は!」「どこの工作員だ!」
 堂々と正面から突入してきたウサギらしき少女に、『変幻の射手』達が銃口を向け、恫喝する。獣呪術を操る彼女らの弾丸は、当たれば確実に標的の動きを封じる【麻痺薬の魔弾】。これまでアメリカ内部で暗躍を続けてきた精鋭部隊だが、マシュマローネは怯みもしない。

「|我が生き様、我が人生《ラヴィアラモード》!」
 兎の皇女が【デスティニー・チャンピオン】を発動すると、身に纏いし闘気「ラヴィアラモード」が守護精霊の形を取る。それは継承される王の伝説、傍にある者、王の傍にある権能。誇り高きラモード王族の血統の証明たる、力あるビジョンである。
「参りますわ!」
「ッ、ぐあっ?!」「がは……っ!!」
 その守護精霊を従えながら、マシュマローネは自らの手で大杵「キネティック・リパルサー」を振るう。エンジンによるスイングの超加速、そしてインパクトの瞬間に生じる斥力は、食らった相手をゴルフボールのように吹っ飛ばす。可憐な容姿に侮った敵は、直ちに認識を改めることになった。

「こいつ、強いぞ!」「ちっ、調子に乗るな!」
 自分達の基地で好き勝手暴れさせてたまるかと、距離を取っていた兵士達がライフルのトリガーを引く。変幻の射手の名に恥じない正確な狙撃により、ライムグリーンの魔力弾が交戦中のマシュマローネにヒットする――が、しかし。
「デスティニー・チャンピオン!」
「ぐ、が!?」「な、ぜ……?!」
 マシュマローネの守護精霊は【フリーダムブレイズ】により、主が受けた状態異常や行動制限を自動的に反射する。
 魔弾に込められた呪いを受けたのは、射手自身だった。皮肉にも彼女らの呪術は、オブリビオンさえ麻痺させる威力を有していた。

「隙を見せましたわね! 決めに行きますわ!」
 敵部隊の行動が鈍った好機を逃さずに、マシュマローネは守護精霊と共に猛烈なラッシュとコンボを仕掛けていく。
 推進ブースター「バーニィ・シルエット」で加速し、キネティックリパルサーの重撃を叩きつけ、守護精霊の剛拳が追撃する。スピードとパワーを兼ね備えた彼女の攻撃は、さながら隕石衝突の如しだ。
「悪しき野望と共に粉砕して差し上げますわ!」
「ば、バカな……私達が、負けるはず……ぐわーーーッ!!!」
 肉弾戦に秀でた近接パワー型の精霊と、斥力の圧倒的な重のパワー。その連携と猛攻に耐えられる者は誰もいない。
 変幻の射手達は文字通りに叩き潰され、数多くの戦力を失った焼尽中隊の作戦計画は、大きく狂い始めていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『レックス・ラビットゲート大佐と焼尽中隊』

POW   :    ファイアバーン・システム
着弾点からレベルm半径内を爆破する【ロケットランチャー 】を放つ。着弾後、範囲内に【戦場を彷徨う死霊】が現れ継続ダメージを与える。
SPD   :    サイレント・キリング
【相手に悟られぬCQC 】で敵の間合いに踏み込み、【気配を殺し視界の外から無音の銃弾】を放ちながら4回攻撃する。全て命中すると敵は死ぬ。
WIZ   :    殺るか殺られるか
戦闘用の、自身と同じ強さの【焼尽中隊のバニー部隊 】と【自身を護衛するバニー部隊】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。

イラスト:もりさわともひろ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ロザリア・プライムです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「やられたな。短時間でこれほどの損害を許すとは」

 モンゴメリー市某所にあったF.O.Nの秘密基地への、突入作戦が開始されてから程なくして。
 変幻の射手を葬った猟兵達の前に、これまでとは毛色の違ったオブリビオンが姿を現す。

「どこの国の機関の者か知らないが、優秀だな。私の部隊に欲しいくらいだ」

 白い毛並みに紅い瞳。右目に走る古傷。片手にはワイングラスを揺らし、スーツに身を包んだ紳士的なウサギ。
 その容貌はブラウン編集長に提供された情報内にあった『レックス・ラビットゲート大佐』のものと一致していた。

「さて。どうせご存知の事だろうし、挨拶は省略させて貰おう。こう見えて私も忙しい身でね」

 ラビットゲート大佐がパチンと指を鳴らすと、背後からウサギの美女と兵士達が現れる。
 この者達が『焼尽中隊』の本隊か。それを指揮官自ら率いて前線に出てきたということは、今回の襲撃をそれだけ敵も重く見ているのだろう。

「まずは、このパーティの後片付けをして、それから部隊の再編だ。ああ、降伏するなら早めに言って貰えると助かる――生かして捕虜を取るのは、あまり得意ではなくてね。口のきけるうちに情報を吐いてくれ」

 大佐の発言は淡々として冷静だが、全てが既定事項であるかのような自信に満ちている。
 特務部隊の総司令にして、軍用近接戦闘術の達人。F.O.Nの利益を守るため、各地で暗躍してきた古強者だ。
 だからこそ、ここで彼を仕留めれば焼尽中隊に、ひいてはF.O.Nに少なからぬ痛手を与えられるのは間違いない。

「全部隊、行動開始。油断するなよ」

 臨戦態勢の焼尽中隊を前に、猟兵達も再び戦闘態勢に入る。
 果たして彼らの牙は、新大陸に潜む巨悪に届くのか――クライマックスが幕を開ける。
家綿・衣更着
アドリブ歓迎

「どーも、衣更着と申しまっす!…配下は美人さんばかりっすね?いえ、お相手は勘弁っす」

CQCを、自分の忍者的経験と【第六感】で予測し【結界術】とストールを盾に【受け流し】
「っ!強い。さすが秘密精鋭部隊っすね」

妖怪煙を大量放出して煙幕とし自身は【化術】で【迷彩】
さらに煙に【化術】で自分の【残像】を敵大佐やバニー部隊にかぶせ【催眠術】も駆使して誤認させることで同士討ちさせ【おどろかし】

【化術】【変装】【迷彩】【忍び足】有効なものを使いつつUC『綿ストール・本気モード』で相手CQCへの意趣返しを兼ねた意識外から奇襲

「美人さんのお相手はイケメン大佐に任せるっす!骸の海でよろしくどうぞ!」



「どーも、衣更着と申しまっす! ……配下は美人さんばかりっすね? いえ、お相手は勘弁っす」
 敵とはいえ律儀に挨拶してから、衣更着は相手の顔ぶれを眺める。指揮官の『レックス・ラビットゲート大佐』こそ直立したウサギの外見だが、配下の『焼尽中隊』には何故か美女が多い。任務上の理由があってのことかは分からないが、その色香に惑わされた連中はことごとく生命を落としてきただろう。
「あら残念。遠慮しなくてもいいのに」
「では、私が相手をしようか」
 艷笑する美女達を控えさせ、ラビットゲート大佐がワイングラスを置く。指揮官自ら先陣を切るとは大胆なことだ。
 これが慢心や油断でないのであれば、相当の実力あってのこと。マスコットめいた容姿に似合わぬ古傷が、それを物語っていた。

「行くぞ」
 トンッ、と軽く地面を蹴った次の瞬間、ラビットゲート大佐は目の前にいた。衣更着の忍者的な経験則と第六感を以ってしても、危うく見逃しかけるほどだ。単純なスピードもさることながら、気配や殺気をまるで感じさせなかった。
「っ! 強い。さすが秘密精鋭部隊っすね」
 衣更着は咄嗟に結界を張り、首に巻いていた「打綿狸の綿ストール」を盾にする。軍用近接戦闘術の先駆者とされるラビットゲート大佐のCQCは達人技であり、さらに視界の外から無音の銃弾が襲い掛かる。警戒していなければ、ここで即死もあり得ただろう。

「ほう、初見で凌いだか。見事だ」
 辛くも【サイレント・キリング】を受け流した衣更着に、ラビットゲート大佐は賛辞を送る。嫌味のつもりは無いだろうが、この余裕を崩せなければ勝算はあるまい。普通に近接戦闘の間合いで戦っても分が悪いことは、今ので良く分かった。
「ここはおいらの得意分野でいかせて貰うっす!」
「ほう?」
 衣更着はどろんと妖怪煙を大量放出し、自身は化術の迷彩をまとう。この煙幕は自然のものではなく、妖力で出現時間や色・濃度・量を調節したり、様々な幻術を被せることが可能だ。これを使って、彼は煙の中にいる全ての敵に自分の残像を投影する。

「大佐! どちらに!?」
「ふむ? 私はここだが……」
 煙の中で味方を見失い、入れ替わりに出てきた敵に戸惑う焼尽中隊。同時に催眠術にもかけられているため、どれが本物なのか見分けるのは困難だ。戦場の霧は冷静な判断力を奪うというが、それは彼女らにとっても例外はなかった。
「このっ!」「きゃっ?!」
「落ち着け! 惑わされるな!」
 軽挙妄動を慎むようラビットゲート大佐は叫ぶが、誤認によるバニー部隊の同士討ちを完全に防ぐことはできない。
 こちらの隊に混乱を引き起こし、その隙に奇襲を狙っているのは分かるのだ。分かっていても、止められなかった。

「打綿狸の本領発揮、誰にもこの綿は捉えられないっす!」
 妖怪の化術、忍者の変装術、煙幕の迷彩に忍び足。使える技能の限りを尽くして敵兵に紛れ込み、ラビットゲート大佐の死角に潜り込んだ衣更着は【綿ストール・本気モード】で意識外からの奇襲を仕掛けた。威力と射程を強化され、槍の如く硬化したストールが標的に突き刺さる。
「ッ……やられたね。こんな時でなければ本気でスカウトしたい所だ」
「美人さんのお相手はイケメン大佐に任せるっす! 骸の海でよろしくどうぞ!」
 先程のCQCへの意趣返しも兼ねた一撃を食らい、ラビットゲート大佐の表情が歪む。苦笑交じりの軽口に、もちろん衣更着が応じるはずはない。アメリカを暗躍する焼尽中隊の陰謀をここで排除するために、自分達は来たのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レヴィア・イエローローズ
ロケットランチャー…?
フッ、そんなものでわたくしを屠れるとでも?

瞬間、わたくしのパンツァーキャバリアから正確無比のスーパー戦車砲…オブリビオン・フォーミュラのフォーミュラ能力を持って呼び出した獣人オブリビオン諸共…いえ、秘密基地諸共スーパー戦車砲で吹き飛ばしていく

これがわたくしのUC…このまま、吹き飛ばしていくわよ

パンツァーキャバリアを操作し、秘密基地の周辺に被害が出ないようスーパー戦車砲を発射していく

油断するなよ?
わたくしは未熟な少年誌のヒロインじゃないの…徹底的に打破する余地なんて残させないわ
そう言って冷たい目でオブリビオン将校を睨み吹き飛ばしていく



「大佐、お助けしますわ!」
 猟兵との交戦に入った『レックス・ラビットゲート大佐』を援護すべく、バニー達がロケットランチャーを構える。
 彼女達は個人ではなく、部隊で任務を遂行するオブリビオン。その【ファイアバーン・システム】は『焼尽中隊』の名にふさわしく、F.O.Nの国益を害する者達を数え切れないほど灰にしてきた。
「ロケットランチャー……? フッ、そんなものでわたくしを屠れるとでも?」
 だが、物騒な大筒を見せられてもレヴィアは余裕の笑みを浮かべ。次の瞬間、彼女の乗ってきたパンツァーキャバリア「|生と死を羨み糧にするもの《ヤマラージャ・イエローローズ》」が変形し、巨大な戦車砲が火を噴いた。その砲声、その衝撃はロケット弾の比ではなく、鼓膜が破れるほどの爆音が戦場に轟いた。

「我が黄色に応じて開花せよ、羨望の深淵。それは正確無比に最終戦争を放つ鋼鉄の無垢。砲塔から破壊を放ち、理不尽を蹂躙せよ」
「ッ――……!?!!」
 【黄薔薇開花・鋼鉄の無垢は、災禍に等しく】。レヴィアのキャバリアに搭載された正確無比のスーパー戦車砲は、通常時の3倍の攻撃力をもってオブリビオン部隊を吹き飛ばす。いや、それだけに留まらず、圧倒的な破壊力は秘密基地そのものにも風穴を開けた。
「これがわたくしのユーベルコード……このまま、吹き飛ばしていくわよ」
 戦場の災禍と化した愛機を操作し、スーパー戦車砲を連射するレヴィア。火力だけではなく射程も強化されているため、この基地内にいる敵のほぼ全てが攻撃圏内だ。もちろん基地の周辺には被害が出ないよう気を遣っている――ここは市街地からそう遠くはなく、民間人を巻き添えにするのは彼女の本意ではない。

「たッ、大佐……!」
「散開だ。あの超兵器は足が鈍い。固定砲台だと思って対処しろ」
 動揺する焼尽中隊の兵士達に、ラビットゲート大佐は冷静に指示を出す。確かに「ヤマラージャ・イエローローズ」は変形した場所から一歩も動いておらず、攻撃力や射程と引き換えに移動力を喪失していた。自慢の大砲も一門しかないため、取り囲まれて攻められると不利になる。
「ですが、それがなんだと言うのです」
 それしきの事でイエローローズ王国の誇り――絢爛なる黄薔薇は屈しない。ロケットランチャーの爆炎を浴び、死霊の群れに纏わり付かれながらも、レヴィアはそれ以上の火力をもって報復する。こちらの装甲が破られる前に一人残らず塵にしてやればいい、ただそれだけの至極単純な作戦だ。

「油断するなよ? わたくしは未熟な少年誌のヒロインじゃないの……徹底的に打破する余地なんて残させないわ」
「さて、そう云うには大雑把な戦い方だが……こうも馬鹿力ではね!」
 冷たい目でオブリビオン将校を睨み、視界に入った敵をことごとく吹き飛ばしていくレヴィア。ラビットゲート大佐もこれには皮肉を返しつつも後退せざるを得ない。基地そのものを更地に変えるつもりか、スーパー戦車砲による蹂躙はまだ止まる気配を見せなかった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レティシア・ハルモニアス
夢幻戦線

こやつ…!下衆め…絶対に許さんぞ!覚悟しろ!
おそらくブラウン氏に刺客を送り込んだのはこいつだと態度で確信した故に絶対に連中を倒すと誓う

落ち着け…どんな連携も必ず穴がある筈じゃ…
迷彩を発動しながら視力で敵の癖を見て行動する

うおっ?!やばい!
敵のUCを発動してきたが間合いに入る前にクイックドロウの要領で呪殺弾を放ち無音の銃弾を相殺して残りの攻撃は結界術を素早く展開して防ぐ

まずはこいつらじゃ!紅い矢弾の雨!
UCの効果で焼尽中隊達に攻撃する

妾も本気を出そう!
指定UCの効果でUC吸血鬼の女王を発動してから敵を時空破壊の波動を放つ

まだまだじゃ…貴様ら、絶対に許さん…くたばるのはお前達じゃ!
と叫んだ


黎明・天牙
夢幻戦線

なあ…もしかして、ブラウン氏に刺客送ったのアンタか?
と質問した

…クソすぎるだろ、お前
敵がブラウン氏に刺客を送ったのはやっぱりこいつだったのでぶっ飛ばす事にした

おっと…危ねえな
敵のUCに対しては振動の力を纏った矢弾の雨を自身の周りに放つが避けられ敵に接近させる

仕方ねえな…!
何となく殺気を感じたので後ろの方へ振動の力を放ち銃弾を全て撃ち落とす

さて、反撃開始だ…ちゅんちゅん〜!
指定UCの効果でUC『楽園』奥義・OVER THE PARADISEを発動して変身した

ちゅんちゅんちゅん!
奇跡を起こす力で地面を引っ張り出して上に吹き飛ばす

ちゅん!ちゅんちゅんちゅん!
指定UCを発動して敵を殴り飛ばした



「なあ……もしかして、ブラウン氏に刺客送ったのアンタか?」
「さて? なんの事か分からないな。新聞はニューヨーク・タイムズしか読まなくてね」
 ブラウンタイムス社であったオブリビオンの襲撃について、天牙の質問に『レックス・ラビットゲート大佐』は平然と返答する。直接的には肯定も否定も避けているが、まるで此方をからかうような発言と態度は、疑念を確信に変えるのに十分すぎた。
「……クソすぎるだろ、お前」
「こやつ……! 下衆め……絶対に許さんぞ! 覚悟しろ!」
 巷ではルール無用の無法者扱いされている夢幻戦線だが、民間人の暗殺による口封じなど断じて許すまじき行為だ。
 天牙も、そしてレティシアも、ここで絶対に『焼尽中隊』をぶっ飛ばすと誓う。度を越した非道への怒りが、二人の裡からふつふつと湧き上がっていた。

「随分と機嫌が悪いようだね。我々の歓迎が不満だったかな?」
 ラビットゲート大佐は飄々とした態度を崩さぬまま、配下のバニー部隊を指揮する。『変幻の射手』のような一芸に秀でている訳ではないが、純粋に練度が高く統率も取れている。F.O.N戦略情報局直属の特務部隊として、数々の汚れ仕事を担ってきた経歴は伊達ではなさそうだ。
「落ち着け……どんな連携も必ず穴がある筈じゃ……」
 レティシアは襲い掛かる弾幕から迷彩で身を隠すと、目を凝らして敵の癖を探る。天牙も考えることは同じようで、怒ってはいても軽率な振る舞いはしない。感情に身を任せて勝てるような相手ではないと、言わずとも理解していた。

「時間も押しているのでね、手短にいこう」
「おっと……危ねえな」
 ラビットゲート大佐が【サイレント・キリング】を仕掛けてくると、天牙は振動の力を纏った矢弾の雨を自身の周りに放つ。しかし相手はCQCの達人であり、間合いを詰める術を熟知している。俊敏な身のこなしで全ての弾を避けられ、接近を許してしまった。
「仕方ねえな……!」
 その直後、何となく殺気を感じた天牙が後ろの方に振動の力を放つと、キンッと音を立てて銃弾が撃ち落とされる。
 一体いつの間に放っていたのだろうか、もし気付けなければ即死だった。格闘戦だけでなく射撃戦までこなすとは、まったく油断も隙もない。

「うおっ?! やばい!」
 一方のレティシアの元にも、バニー兵士が同様の奇襲を仕掛けていた。彼女は間合いに入られる前にクイックドロウの要領で闇刃銃『エレクトニアス・ヴァラージュ』を抜き、呪殺弾で無音の銃弾を相殺しながら、残りの攻撃を結界術で防ぐ。
「まずはこいつらじゃ! 紅い矢弾の雨!」
「ッ?!」「きゃぁぁぁっ!!!」
 間髪入れずに放たれた【紅い矢弾の雨】が戦場に降り注ぎ、焼尽中隊に損害を与える。概念破壊級の攻撃力に加えて追尾性能まであるユーベルコードの掃射だ、ラビットゲート大佐以外の連中には防ぎきれないはず。バニー部隊の間に動揺が走り、攻撃の手が緩んだ。

「さて、反撃開始だ……ちゅんちゅん〜!」
 この機を逃さず天牙は【『楽園』奥義・OVER THE PARADISE】を発動。全長3mの巨大な白雀に変身すると、真の力をもって「奇跡」を起こす。それは本来ならあり得ない可能性、ただの幻想を現実に変える力――その瞬間、突如として地面が持ち上がった。
「ちゅんちゅんちゅん!」
「なに……ッ?」「きゃぁっ!!」
 地面の隆起に巻き込まれたラビットゲート大佐と焼尽中隊は、そのまま地盤ごと上空に吹き飛ばされる。文字通りに「盤面をひっくり返す」奇跡の力を前にして、平時の連携を保てるはずがない。無防備に宙に浮かされたこの数秒が、彼らにとって命取りになる。

「妾も本気を出そう!」
 黒いドレス姿に変身したレティシアが【吸血鬼の女王】の真の力を発動する。その手から放たれた魔力の波動は時空を震撼させ、焼尽中隊を吹き飛ばす。零落したとはいえ、かつては闇の世界を支配した女王の力だ。並大抵のことで耐えられるものではない。
「ちゅん! ちゅんちゅんちゅん!」
「ぐぅっ!」
「「ぎゃぁぁっ!!?」」
 同時に天牙も【PARADISEBOOST 天国と地獄の振動終撃】を発動。神速を超越したスピードで飛び回りながら、天国と地獄の力を纏った拳で敵を殴り飛ばしていく。そのまま現世からも堕ちろとばかりの勢いで、地面に叩き落とされる兵士達。悲鳴のコーラスが戦場に木霊した。

「ぐっ……やられたね。まだ君達を過小評価していたようだ」
 配下が次々と骸の海に還っていく中、ラビットゲート大佐はどうにか立ち上がる。が、その表情に当初ほどの余裕はなく、相当の痛手を負ったのは明らかだ。これが旧大陸で数々の超大国を苦しめてきた猟兵の実力かと、彼も認めざるを得ない。
「まだまだじゃ……貴様ら、絶対に許さん……くたばるのはお前達じゃ!」
「ちゅんちゅ~ん!!」
 なおも溜飲が下がりきらない様子で、レティシアと天牙は叫ぶ。これまでにアメリカの獣人達が焼尽中隊から受けた非道に比べれば、この程度の苦痛は些事でしかない。絶対に思い知らせてやるという決意が、二人の瞳に宿っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

瑠璃・やどり(サポート)
『いっくよー!』
人狼の白虎拳士 × 降魔拳伝承者
普段の口調は「快活(私、~君、なの、よ、なんだね、なの?)」

考えるより行動するタイプ。
元気に戦場を駆け回り、ハンマー「双喜」を振り回して攻撃。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。アドリブ・連携歓迎。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


隣・人(サポート)
『目が回るほど殺してやるわ』
バーチャルキャラクターの殺人鬼 × ヴィジランテ
年齢 25歳 女
外見 158.4cm 赤い瞳 茶色の髪 色白の肌
特徴 囚われていた 奴隷だった 改造制服 アンニュイ 不健康な顔立ち
口調 ビハインド(私、アンタ、ね、よ、なの、かしら?)
嘘をつく時は 幽閉中(自分の名前+ちゃん、てめぇ、ね、よ、なの、かしら?)

人型のオブリビオンを相手にする事を好みます
好きな殺し方は撲殺、得意な殺し方は斬殺
相手の平衡感覚を奪って一方的に殺したい

ギャグっぽいユーベルコードの際は口調・幽閉中
🌈シャワーも好いぞ

あとはおまかせ、宜しくお願い致します



「目が回るほど殺してやるわ」
 アメリカ内部におけるF.O.Nの暗躍を支えてきた『レックス・ラビットゲート大佐と焼尽中隊』。その秘密基地における決戦にて、サポートとして駆け付けたのは隣・人(|22章39節《六六六人衆・序列番外》・f13161)。呼吸よりも人殺しの回数のほうが多い、と称される生粋の殺人鬼の身体には、血の匂いと殺意が染み付いていた。
「いっくよー!」
 同じタイミングで戦場に駆け付けたのは瑠璃・やどり(チャイナウルフガール・f03550)。いつもハッピーで元気な彼女は、ここでも変わらぬ明るさでハンマー「双喜」を振り上げる。小難しいことを考えるのは抜きにして、悪い奴らはぶっ飛ばすタイプだ。

「まだ増援か。諸君、ここが踏ん張り所だぞ」
「ええ、大佐」「任せてくださいな」
 息を整えるラビットゲート大佐の周りを、焼尽中隊のバニー部隊と護衛部隊が固める。想定以上の被害を襲撃者から受けたことで、彼女らも【殺るか殺られるか】の覚悟を固めたようだ。大佐より教授された軍用近接戦闘術をもって、敵を殲滅せんと吶喊する。

「そっちが先に来るのね。いいわ」
 殺す相手を選びはしないが、どちらかというと人型のオブリビオンを相手にすることを好む人。見た目はほぼウサギのラビットゲート大佐よりも、ヒトに近いバニー部隊が出てきたのは喜ばしい様子で、解体ナイフをすらりと抜く――ちょっと前に回転椅子でグルグルしてきた後なので、身体がフラついているが。
「あら、酒でも入ってるのかし……ラッ?!」
 だが、あえて三半規管を振り回しておくことで戦闘能力を強化するのが【六六六番外・隣人知闇流殺人技芸・超説斬新回転増強】の効果である。目にも止まらぬ早業でナイフがひらめき、バニー兵士の首が飛ぶ。何が起きたのか認識する暇さえ敵には無かっただろう。

「そぉーれっ!」
「きゃぁっ?!」
 一方のやどりは元気いっぱいに戦場を駆け回り、目についたバニー兵士を片っ端から殴り飛ばしていく。打出の小槌を模したハンマーは見た目こそ縁起がいいが、敵からすれば禍いをもたらす凶器だ。それを軽々と振り回せる人狼の身体能力も並ではない。
「みんな、来て!」
 殴れる範囲にいた敵を一掃すると、彼女は【リザレクト・オブリビオン】で死霊騎士と死霊蛇竜を召喚。好き勝手に戦場を暴れ回らせて被害を拡大させる。どうせここはF.O.Nの秘密基地だ、壊しちゃダメなものなんて味方しかいない。

「くっ……手強いわ」「だったらコレで……!」
「させないわよ」
 苦境に立たされた焼尽中隊はロケットランチャーを持ち出し、部隊名の如く【ファイアバーン・システム】で全てを焼き払おうとする。が、そこにすかさず駆け込んできたのは人――ランチャーを構えたバニーに肉薄すると、無造作に顔面を殴り飛ばす。
「きゃっ?! って、きゃぁぁあぁぁぁぁ!!?!?」
 バニーが倒れ込んだ先にあるのは回転椅子。人はそれを高速回転させ、敵の三半規管に致命的なダメージを与える。
 普段から回り慣れている本人でもキツいものを、他人が味わったらどうなるか。吐き気とめまいに襲われ、もはや戦闘どころではない。

「気分はどう?」
「ぅ、おぇ……ぎゃっ!!」
 必死に嘔吐をこらえるバニー兵士を、容赦なく斬殺する人。彼女は同じ手口で相手の平衡感覚を奪い、一方的に殺害していく。「目が回るほど殺してやる」との宣言は比喩ではなくガチだったのだと、相手は恐怖とともに思い知った。
「すごいねー! 私も頑張るよー!」
 好物の中華饅頭を食べてスタミナ回復したやどりも、戦線に復帰して残敵の殲滅にかかる。ユーベルコードを使う暇も与えず、ハンマーでロケットランチャーを叩き落とし、殴り飛ばす。ふさふさの尻尾を揺らしながら、陽気に元気に敵を圧倒していた。

「これはこれは……後始末が終わったら、部隊全員を鍛え直さないとな」
 配下が次々にやられていく様を見せつけられ、ラビットゲート大佐は溜息を吐く。状況は芳しくないどころか悪化の一途を辿っていると、彼も理解しているだろう。だが今更撤退の判断を下すには遅すぎる――血道をもって活路を開くしかない状況にまで、焼尽中隊は追い詰められつつあった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

四王天・燦
これ以上の副業はシンドイでスカウトの答えはNO
アタシ方こそバニーちゃんを雇いたいぜ
羨ましいな!

取り巻きの美女には参っちまう
乱戦の中、敵を盾にして攪乱する
稲荷符貼り付けて呪詛でサクッと命脈を断ち切り、無痛で逝かせるぜ

状況はサイレントキリングの良い的だ
一発は貰っちまいそう
二発目貰わないよう激痛耐性で堪えながら残像置いて回避にかかる
殺気で大体の位置を割り出すよ

稲荷符から火属性攻撃×範囲攻撃×爆撃な爆裂火球を適当にぶち込んでやる
歩く焼尽兵器と呼んで☆

此方から間合いに踏み込み、財布や手帳を盗み攻撃で奪い、大佐及び部隊の情報を【盗賊記者の暴露タイム】で暴くぜ

ネタはないかな
大佐、バニーちゃんが好きなのかな…



「これ以上の副業はシンドイんで」
 焼尽中隊の指揮官直々のスカウトに、きっぱりとNOを突きつけたのは燦。元よりどんな条件を出されても応じることは無かっただろうが、今の彼女はブラウンタイムス誌の記者だ。特ダネを持ち帰る前に寝返るような不義理はしない。
「アタシ方こそバニーちゃんを雇いたいぜ。羨ましいな!」
「そうかね? では諸君、歓待してやりたまえ」「はい、大佐♪」
 堂々と下心を口にする燦に、『レックス・ラビットゲート大佐』は配下のバニー部隊を差し向ける。いずれも見目麗しいウサギの美女達だが、見掛け倒しの連中では決してない。F.O.Nの刃としてアメリカ国内での陰謀を任されてきた、その実力は確かなものだ。

「こんな美女達に迫られたら参っちまうな」
 相容れない敵だと分かっていても、相変わらず女性には甘い燦。殴り掛かられても殴り返すのは抵抗があるようで、数的不利を逆手に取る戦法を取った。敵兵の攻撃から別の敵兵を盾にする位置取りを心がけ、ペースを握らせないよう撹乱する。
「悪いな」
「あっ……?!」
 乱戦の最中、彼女はすれ違いざまに稲荷符を敵に貼り付ける。それに込められた呪詛は対象の命脈を断ち切り、無痛の死をもたらすものだ。外傷もなく、まるで糸の切れた人形のように、美しきバニー達は冷めない眠りに落ちていく。

(状況はサイレントキリングの良い的だ。一発は貰っちまいそう)
 焼尽中隊と戦いながら燦が警戒していたのは、ラビットゲート大佐の横槍だ。いくら注意を払っていても、乱戦中に死角が生じるのは避けられず、相手は暗殺任務もお手の物の特殊部隊のボスだ。気配を殺して間合いを詰められると、察知するのは難しい。
「ぐっ……!!」
 嫌な予想は的中し、視界の外から放たれた銃弾が燦の肩を射貫く。激痛に耐えながらも燦は残像を置いてその場から飛び退き、追撃の二発目を回避する。全弾命中していれば即死は免れなかっただろう――だが、凌ぎ切れればこちらのチャンスだ。

「みーつけたっと」
「ほう。いいカンをしている」
 【サイレント・キリング】の瞬間、微かに漏れた殺気から、燦はラビットゲート大佐の大まかな位置を割り出した。
 すかさず取り出したのは火の霊力と術式を刻んだ稲荷符。殺気を感じた方角へと適当にぶち込めば、それは火球となって盛大に爆裂した。
「歩く焼尽兵器と呼んで☆」
「やれやれ、あまり燃やさないで欲しいのだがね」
 爆炎の直撃こそ避けたラビットゲート大佐だが、これで完全に所在は割れた。反撃に転じる隙を与えず、今度は燦のほうから間合いに踏み込んでいく。その手には剣も符も持っていない――仕掛けるのは【盗賊記者の暴露タイム】だ。

「ネタはないかな。大佐、バニーちゃんが好きなのかな……」
 盗賊として鍛えた手癖の悪さを以て、すれ違いざまの一瞬でラビットゲート大佐の懐から、財布と手証を抜き取る。
 そこにはドル札だけではなく、大佐本人及び焼尽部隊に関する機密情報が記されている。ブラウン編集長に渡せばさぞかし喜んでくれそうな土産だ。
「君、それは……!!」
「シーフに|隠し事《プライバシー》は通じないぜ」
 果たして本当に彼にバニー趣味があったかは定かではないが、情報をすり取られたラビットゲート大佐の表情は見るからに変わった。見方によっては部隊を壊滅させられるよりも、遥かに大きな失態であり損失だ――情報の価値を分かっているからこそ、燦はニヤリと笑みを浮かべ、戦利品を握ったまま速やかに離脱していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オリヴィア・ローゼンタール
圧制者らしい上から目線の物言い、気に入らんな
配下諸共に壊滅させて、吠え面をかかせてやる

目にも止まらぬ【クイックドロウ】でストラーフを発砲
二挺それぞれが的確に配下たちの【急所を突き】、格闘の間合いまで寄せ付けない

後方の大佐がロケットランチャーを放てば溢れ出る死霊……どういう理屈だ?
まあ、いい
この姿の私に死の力で立ち向かうとは、いい度胸だ

弾丸に【限界を超えて】充溢する死の力
あまりに濃密な死の気配は、ただそこに在るだけで【恐怖を与える】
この後のスケジュールについては、もう気にする必要はない
冥府で|永劫の休暇《バカンス》を満喫するがいい――【黒死溶融弾】
基地を丸ごと【焼却】せんばかりの破壊を齎す



「圧制者らしい上から目線の物言い、気に入らんな」
 猟兵に基地への襲撃を許してなお落ち着いた『レックス・ラビットゲート大佐』の態度は、余裕があると言えば聞こえはいいが、此方から見れば傲慢で鼻につく。似たような連中を腐るほど見てきたオリヴィアは、顔をしかめながら身構える。
「配下諸共に壊滅させて、吠え面をかかせてやる」
「さて、そうなるのはどちらの方かな」「あまり私達を舐めないで頂戴!」
 挑戦的な宣言にも飄々と言い返すラビットゲート大佐。同時に『焼尽中隊』のバニー達が一斉突撃を仕掛けてくる。
 指揮官は動揺を隠せていても、部下達までそうはいかないようだ。向かってくる連中の表情には、想定外の窮地への焦りがあった。

「冷や汗が隠せていないぞ」
「きゃっ?!」「くっ!」
 敵が動きだすのを見た瞬間、オリヴィアは目にも止まらぬクイックドロウで「魔銃ストラーフ」を発砲。二挺それぞれが的確にバニー達の急所を突き、格闘の間合いまで寄せ付けない。冷徹にトリガーを引き絞る黒軍服の姿は、冥界の執行人にふさわしい。
「半端な練度では通じないか。では火力と物量だ」
 対して、戦況不利を打開すべくラビットゲート大佐が発動するのは【ファイアバーン・システム】。後方より放たれたロケットランチャーの弾頭は、緩やかな放物線を描いてオリヴィアの元に――さっと着弾点から飛び退くも、爆風と炎がマントを揺らした。

『ウオォォォォ……!』
「……どういう理屈だ?」
 ただの爆発だけではない。着弾と同時に溢れ出した死霊の群れが、戦場を彷徨い牙を剥く。ある意味ユーベルコードらしい理不尽な現象を前にして、オリヴィアは疑問の声を上げるが、考えた所で原理を理解できるものでもなかった。
「まあ、いい。この姿の私に死の力で立ち向かうとは、いい度胸だ」
 彼女は弾丸に限界を超えた死の力を充填し、銃口を敵陣に向ける。あまりに濃密な死の気配は、ただそこに在るだけで恐怖を与えるものだ。骸の海よりさまよい出たオブリビオンも、正しき安息を得られぬ死霊も、みな等しく。冥府の権威の前では裁かれるべき咎人に過ぎない。

「この後のスケジュールについては、もう気にする必要はない。冥府で|永劫の休暇《バカンス》を満喫するがいい――」
「――……ッ、いかん!」
 ラビットゲート大佐でさえ戦慄するほどの、酷薄な宣告。直後に撃ち出された【黒死溶融弾】は、臨界に達した魔力をもって破壊をもたらす。それは基地を丸ごと焼却せんばかりの、圧倒的かつ致命的な死と破滅の呪詛の業火だった。
「きゃぁぁぁぁッ!!」「た、大佐ぁぁッ!!?」「くっ……!!」
 生きたまま灼き融かされていく兵士と死霊。運良く生き延びた者も、深刻な魔力放射能汚染により動ける者は僅か。
 焼尽中隊の名を奪うかの如き蹂躙劇に、ラビットゲート大佐の額にも汗が流れる。指揮官として有能であるが故に、彼はこの戦いが配色濃厚だと理解させられていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雨飾・樒
相手はCQCの達人、他のウサギ達も精鋭か
格闘戦は圧倒的に不利、距離を詰められないように注意しないと

今度の相手には魔弾がない分、射撃はこっちが有利
空中跳躍符も使って格闘の間合いに入らないようにしながら"眠り薬の魔弾"で邪魔する奴を迎え撃つ
拳銃相手の訓練も実戦も充分経験してるだろうし、普通に狙って撃っても避けられそう
周囲にある使える物なら布切れ一枚でも良い、右手の銃を相手に見られないように左手に持った適当な物で遮って、銃口の向きと射撃タイミングが分からないようにしてやる
間に兵士さえいなければ遮蔽はないのと同じ、敵司令官までの射線が通る好機は逃さず撃ち込む

近接格闘の経験が殆どないことは直ぐにバレる、でもそれで油断を誘えるかもしれない
距離を詰められて離れられない状況になったら臆せず一気に踏み込んで、全力で蹴り飛ばしてみる



(相手はCQCの達人、他のウサギ達も精鋭か。格闘戦は圧倒的に不利、距離を詰められないように注意しないと)
 拳銃に魔弾をリロードしながら、冷静に敵の能力を見極め、戦法を組み立てる樒。襲撃作戦は順調に進み、残る敵は『レックス・ラビットゲート大佐』を含めた少数の部隊のみだが、だからこそ詰めを誤るわけにはいかない。返り討ちにあえば折角の苦労が水の泡だ。
「ここまで追い詰められた事は久しく無かったな……諸君!」
「はい、大佐!」
 焼尽中隊の士気は窮地にあっても高く、ラビットゲート大佐の指揮の下【殺るか殺られるか】の勝負を挑んでくる。
 大佐直々の指導を受けたバニー部隊が、軽やかな足取りで戦場を跳ねる。その美しさに欺かれて生命を落とした者は数知れずだ。

(今度の相手には魔弾がない分、射撃はこっちが有利)
 樒は脚力強化に加えて「零式空中跳躍符」も使って格闘の間合いに入らないようにしながら、追ってくる敵に銃口を向ける。装填したのは変幻の射手達と戦った時と同じ【眠り薬の魔弾】だ。その威力は先刻見せつけた通りだが――。
(拳銃相手の訓練も実戦も充分経験してるだろうし、普通に狙って撃っても避けられそう)
 バニー部隊の視線はこちらの動きと銃の射線を見ている。後方にいるラビットゲート大佐とその護衛部隊も同様だ。
 考え無しに撃ったところで当たらないばかりか、発砲後の隙を突かれて逆襲される恐れが高い。"軍用"格闘術ならば銃を持った相手との戦いを想定しているのは当然か。

「だったら……」
「? なんのつもり?」
 バックステップで距離を取りながら、樒が掴んだのは戦闘で破壊されたカーテンの切れ端。左手に持ったそれを右手の拳銃の前にかざし、相手から銃を見られないようにする――確かにそれなら銃口の向きと射撃タイミングは分からなくなるだろうが、撃つほうも射線を遮られて弾道がブレるはず。浅知恵だとバニー部隊が訝しむのも無理はない。
「これでいい」
「……ッ?!」
 だがそれは通常弾を使用する場合の話。樒が放つペールブルーの魔力弾は、遮蔽物を透過して目標のみヒットする。
 布を透かして飛んできた銃弾にバニー達は意表を突かれ、回避に失敗。肩や頬をかすめるだけでも魔弾は効果を発揮し、彼女らを覚めない眠りに落とした。

「大佐、前衛が……!」「落ち着け!」
 前線の崩壊は後方部隊にも動揺をもたらす。即座にラビットゲート大佐が抑えるが、一瞬の隙を見逃す樒ではない。
 間に護衛の兵士さえいなければ、他の遮蔽はないのと同じ。針に糸を通す程度の細い射線が、敵の司令官まで通った瞬間――彼女はトリガーを引いた。
「沈め、静寂の奥底に」
「ぐっ……!」「大佐?!」
 肩口に魔弾を撃ち込まれ、くぐもった呻き声が大佐の口から漏れる。流石に他の兵士のように一発で昏睡させることはできなかったが、指揮官が被弾すれば【殺るか殺られるか】は解除される。彼が召喚したバニー部隊は、これで無力化された。

「……東洋の諺では、これを『年貢の納め時』と言うのだったかな」
 肩を押さえてふらつきながら立ち上がるラビットゲート大佐。勝敗の行方を悟り、皮肉げな笑みを口元に浮かべる。
 だが、それでも一矢報いんと――あるいは、指揮官としての責を果たすためか。いまだ戦意の消えない瞳で、じっと猟兵を見据える。
「最後に踊って貰えるかな、レディ」
「………」
 樒の返答は言葉ではなく銃口。それを見た大佐の笑みは肉食獣の如く豹変し、ひと蹴りでトップスピードに達する。
 これまでの戦い方からみて、彼女に近接格闘の経験が殆どないことは明らか。その一点のみが、最後に残された逆転の可能性。

「……来ると思った」
「!!」
 これ以上は離れられないと悟った時、樒は自分から一気に踏み込んだ。臆する事なきその一歩が、敵の予想を覆す。
 ここぞとばかりに運動強化符の効果を重ねた、全力の蹴撃を繰り出す。経験も練度も差も歴然、二度は通じない奇襲――だが、この一撃さえ当たれば、それでいい。
「終わりよ」
「……ああ、完敗だ。やれやれ、我ながら締まらない、最後だな……」
 蹴り飛ばされたラビットゲート大佐はボールのように放物線を描き、そして地面に落ちることなく骸の海へと還る。
 指揮官死亡により、F.O.N所属特務部隊『焼尽中隊』が実行するはずだった虐殺作戦は、継続不可能となった――。



 かくして、猟兵達はブラウンタイムス誌の協力のもと、誰にも知られていなかった陰謀のひとつを阻止した。
 F.O.Nの魔の手は、今だにアメリカ全土を広く覆っている。だが、勇気ある市民と猟兵が揃った今、これまでのようにはいかない。今回の依頼は、それを証明する事件となった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年04月22日


挿絵イラスト