武者武者・フレンドリィファイヤァ
●予知:霧立ち込める荒れ地にて。
アヤカシエンパイアが東国。
かつて発生した『|禍津妖大戦《まがつあやかしのおおいくさ》』最大の激戦地となったこの地域は今は荒れ果て、過去の激戦の記憶に引き寄せられるように強大な妖が出現している。
この死の大地を、そしてそこに張られた『平安結界』の中で生きる人々を守るべく、坂東武者たちは日夜これら妖との戦いに臨み、討伐を続けている。
その日もまた、いつも通りの激戦であった。
薄暗い霧に覆われ、かつては緑が生い茂っていた草原だった荒れ地。
足元は乾いた土がひび割れ、左右には枯れ朽ちた木々が乱立している。
対峙する二つの軍勢。方や、迸る戦意を滾らせて、黙して語ることもない敵軍に向けて突進していく。
「総員、突撃ィ!」
「「「オオオオオオッ!!」」」
サムライとも呼ばれる戦闘集団が、無骨な誂えの日本刀を抜いて妖の群れに切り込んでいく。
上段からのから唐竹割り、袈裟斬り、薙ぎ払い、あるいは刺突。
各々の得手とする剣技を駆使して、平安時代の暮らしを送る民を守るために勇猛果敢に戦っているのだ。
「その|冑《かぶと》は……三郎太か……!」
「クッ、成仏しろよ……!」
「躊躇うでない! 我らの一太刀が何よりの手向けである!」
―――彼らが対峙するのは、『獣憑武者』。
戦死した坂東武者の肉体を、獣の霊が乗っ取った妖だ。
弔うべき戦友たちの遺体を、二度と動けなくなるまで破壊しなければならない。
この場にいる坂東武者たちは誰もが歯を食いしばり、心を押し殺して刀を振るっている。
「むむっ、新手か? 敵が増えているぞ!」
「挟み撃ちのつもりか……これしきで臆するサムライではない!」
「応っ! 皆の者、その意気ぞ……む?」
そんな中、眼前にいる妖が少しずつ増えていく。
霧に紛れて奥から、あるいは左右の木立から獣憑武者が集まって来る。
誘い込まれたのならば、その策諸共打ち破ればいい。その意気で戦い続ける坂東武者たちだったが……最初に気づいたのは、この一団を率いる老武者、|草鹿《くさか》だった。
戦場を駆けること半世紀の、齢70を超えた経験と観察眼がその違和感を見抜いた。
だが、彼が異常に気付いた時には……すでに手遅れであった。
「……! 拙い!」
「はぁっ!」「えっ、な、なにをする!?」「ぁえ?」
「うぐっ!? く、草鹿、殿……?」「なぜ、いや待て、草鹿殿が二人いる!?」
「いかん、皆の者、声を張り上げよ! これは妖の幻「総員、一時撤退! 退け、退けぇ!」な、これは、わしの声を……!「騙されるな、眼前の妖を討ち果たせ!」いかん、罠だ! 皆の者ッ……!」
それは、人間を惑わせる幻術『幻術迷宮』。
霧に紛れて施された魔の領域にて、獣憑武者と坂東武者の姿を混ぜ合わせて見せているのだ。
味方と思っていた者からの攻撃、敵とみなした相手からの当惑した声、繰り返される矛盾した指示。
規律の取れていた武者たちの戦列が乱れ、混迷した乱闘の場に変貌する。
今の今まで黙り続けていた獣憑武者たちが幻術による偽りの声をあげるため、もはや収集はつかなくなった。
統率を欠いた軍団はたちまち崩壊し、討たれた坂東武者たちはすべて獣憑武者へと貶められることになるのであった……。
●招集:同士討ちを防ぐ方法。
「招集します。武者小路式部より、助太刀を要請します」
アヤカシエンパイアにて活動を開始したグリモア猟兵、武者小路・式部(ドラゴンプロトコルの龍愛ずる姫君・f42901)が居合わせる猟兵たちに声をかける。
式部が予知した事件を未然に防ぐため、介入する戦力を募っているのだ。
「状況説明します。現場はアヤカシエンパイアが東国の一地域。
狡猾な妖の奸計によって壊滅される未来を予知した坂東武者の一団の救援、および当該妖イコール、オブリビオンの撃破を目的とします」
用意したプロジェクターから投影される映像は、現地の光景。
茶色一色の荒廃した戦場で、鎧甲冑に身を包んだ武者たちが対峙し、衝突する直前の状態だ。
すなわち、グリモアで転移した時にはすでに戦端が開かれていることになる。
このまま時が過ぎれば、坂東武者たちは苦戦し、ほどなく全滅してしまうだろう。
「猟兵の皆さんの実力であれば妖の群れを蹴散らすことは容易であると推定します。
坂東武者の方々を助けていただき、その後敵の首魁が遁走する前に迅速に追撃し、これを撃破していただきたいと存じます。
人心を惑わす幻術による迷宮を駆使する強敵ですが……皆さんであれば対処可能と判断します」
式部の予知した範囲では、妖どもを束ねる大将は幻術に身を隠して姿を露わにしていない。
だが、これほどの広範囲の術を扱う妖を野放しにするのは危険であり、そしてこの機に討伐することができれば今後の坂東武者たちが働きやすくなるだろう。
「禍を転じて福と為します。危機一髪を有効活用して牡丹餅を獲得することを求めます。
それでは皆さんの武運長久を祈りつつ、出撃の手配を行います」
式部がグリモアを起動し、現地へ通じるゲートを展開する。
向かう先では、死した武者と生きる武者の激突が始まろうとしている。
そして、それを幻の内側から嗤い見つめる妖が潜んでいるのだった……。
リバーソン
こんにちは。リバーソンです。
マスターとして皆様に喜んでいただけるよう、つとめさせていただきます。
今回の舞台はアヤカシエンパイア、東国(関東地方)のとある荒れ果てた戦場跡地です。
坂東武者たちが討伐のために現地に赴いておりますが、狡猾な妖の奸計によって彼らが返り討ちに遭ってしまうことが予知されています。
彼らを援けつつ、強力な妖を討伐することが目的です。
第一章:ボスに従う妖、『獣憑武者』との戦闘です。
獣憑武者そのものはそれほど脅威ではありませんが、妖の大将が施した幻術により坂東武者と身分けがつかなくなっています。
放置すれば、同士討ちや分断され孤立した武者が各個撃破される危険があります。
獣憑武者と坂東武者の差異、理性なき暴力の衝動や取り憑いた獣の霊の挙動を見抜く必要があります。
プレイングボーナスは、『人と妖の違いを見抜いて戦うこと』です。
第二章:妖の大将が施した幻術迷宮です。
第一章では獣憑武者に付与していた幻を、周囲の枯れ木や岩に施し、自身が逃げ延びる猶予を稼ごうとしています。
猟兵にとって懐かしい人物の面影の投影、過去の無念・後悔といった未練を晒して脚を止めようとしてきます。
突破してください。
プレイングボーナスは、『惑わされないこと』です。
第三章:妖の大将、ボス敵との戦闘です。
詳細は断章にて公開されますが、固有の戦闘力に加えて幻術を駆使して立ち回ることが予測されます。
幻術は視覚や聴覚などの五感に作用し、相手の心を惑わす作用があります。
対策してください。
プレイングボーナスは、『幻術に備えること』です。
登場人物:草鹿。坂東武者の一団を率いる老齢の武士の男性です。
年老いてなお意気軒昂であり、肉体の衰えを感じさせない立ち回りを見せます。
猟兵たちの存在は認知しているため、求められれば柔軟に要請に応じてくれます。
オープニング公開後、断章を公開します。
プレイングの受付期間はタグにてお知らせいたします。
皆様、よろしくお願いいたします。
第1章 集団戦
『獣憑武者』
|
POW : 怨獣武装変
自身に【戦死した仲間に憑いていた獣の霊】を憑依させ、戦闘力と近接攻撃射程を3倍にする。ただし毎秒血液を消費し、枯渇すると死ぬ。
SPD : 獣槍猟的撃
【獣の霊の力で追尾性能を得た槍】が近接範囲の対象に絶対命中する。元々の命中率が低いと威力減。
WIZ : 呪矢万射
レベル×5本の【呪い】属性の【矢】を放つ。
イラスト:やわらかめ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●断章:武者に憑きし悪鬼畜生。
「(くく……相も変わらず、イイ顔をする連中だ)」
「(愚かな人間共よ、ただの肉塊に苦悩するとはなぁ)」
『獣憑武者』。
生前に鍛え抜かれた武芸の技を振い、人を害する動く死体たち。
その正体は、死した戦士の身体に憑依し操り、その尊厳を足蹴にする獣の霊の妖である。
板東武者の肉体がどれだけ傷つこうとも、霊体である獣たちは痛痒を感じることはない。
陰陽師などの術師や破魔の加護がなければ、恐れることはないのだ。
「(大将の言ったとおりだ、霧に紛れて幻術が広まってきている……)」
「(くひひっ、もう少し、もう少しだ……!)」
頭目である妖が幻術を浸透させて坂東武者たちをかく乱するまで、獣たちは口をつぐみ物言わぬ敵であろうと振舞っている。
心身を鍛え上げた武士といえど、驚愕の虚を突けば獣憑武者の手にかかるだろう。
獣の暴力衝動をより強力な妖の命令で抑え込んで、なけなしの理性を有した獣憑武者たちが坂東武者と干戈を交える中……。
グリモアにより転移してきた猟兵たちが姿を見せる。
「「「(えっ)」」」
虚を突かれた獣憑武者たちは、より強力な猟兵たちと対峙することになった。
ロバート・ブレイズ
『否定せよ』
人間の文豪 × 阿闍梨
年齢 82歳 男
外見 184.6cm 黒い瞳 白い髪 色白の肌
特徴 投獄されていた 野心家 求道者 凶暴 とんでもない甘党
口調 冒涜翁(私、貴様、~である、だ、~であろう、~であるか?)
気にいったら 冒涜王(俺、貴様、~である、だ、~であろう、~であるか?)
恐怖・発狂・誘惑などの精神的な攻撃に対しての異常な耐性を有しています。
否定する事で恐怖を与え、冒涜する事が多いです。凶暴なので近接戦闘が好み。
宜しくお願い致します。
●死霊も恐れるインサニティ。
「『否定せよ』」
霧が立ち込める荒れ地に降り立ち、居並ぶ武者たちの前に姿を見せたのは、白い髪の老紳士。
シワのない|紳士服《スーツ》に身を包む、ハートのスートを擁するシャドウの一体。
彼こそ、人としての肉体に封じられた、『悉くを否定』する埒外性を有す冒涜の翁。
ロバート・ブレイズ(|冒涜王《シャドウ》・f00135)である。
「お、おお……?」「っ……」「あれは、猟兵か……!」「…………」
「嗚呼……。把握した」
総てを否定し精神をも蝕むロバートの観察眼は、平穏を守ろうとするサムライの目と暴力衝動を宿す獣の目を見分けられる。
猟兵の到着に驚きと期待を向ける武者たちに背を向けて、邪気を宿した武者に対峙し深く笑みを浮かべる。
ロバートはてのひらに何かを乗せるかのように手をかざす。
「人に取り憑く妖が、夢幻に紛れて悪意の刃を振るうというのか。
ならば私はそれを否定しよう。貴様等を仕留めるには……大仰な備えは不要だ」
武器も持たないその動作に『獣憑武者』たちが何か感じ取ったのか、ロバートに近づこうとはせず弓に手を伸ばした。
遠距離から数十本の呪いの矢を放つ《呪矢万射》。
その数多の弦が引かれるよりも速く、ロバートはただ一言、|ユーベルコードを起動する《つぶやいた》。
「『絶えよ』」
次の瞬間、生じたのは『闇』であった。
ロバートの掌中に現れた『闇』が、瞬く間に獣憑武者に向けて飛来する。
最初の『闇』が着弾した敵は幸いであった。『闇』に触れた獣憑武者は、恐怖を感じることなく消滅したのだから。
一瞬の空白。
虚を突かれた獣憑武者が隣で消えた仲間を見つめて一秒の後、次の獣憑武者が『闇』に消し去られた。
「……え?」「今、……消え……?」
「|他者《ヒト》の身体に隠れてせせら笑うなど、何とも滑稽な|奴儕《やつばら》だ。
―――どうした? 嗤わぬのか?
よもや、そこは安全であると勘違いしている訳ではあるまい?」
「……あ、ま、まさか……!」「そんな! 相手は、無能力者のサムライだけじゃなかったのかよ!?」
獣憑武者たちは、死した武者に憑いていた獣の霊が消えたことを知覚した。
霊体こそが本性であるこの妖たちは、合流することで力を増す《怨獣武装変》というユーベルコードを有している。
ゆえに、遺体が損壊しようとも気にすることはなかったのだ。……ないはずだったのだ。
三体、四体と、仲間の霊が次々に『闇』に包まれ滅びる様子を目の当たりにして、ようやく獣憑武者たちは理解する。
眼前に現れた|老人《ロバート》は、自分たちを滅ぼす存在であることに。
「気づくのが遅い。反応が鈍い。理解が遠い。いつまで脚本家を気取っているのだ?
貴様等も殺し殺される|壇上《戦場》に立つ演者に他ならないのだ。
さあ踊れ! 踊らぬというのであれば、舞台から降りるほかにあるまいよ」
一秒ごとに、獣憑武者が消滅していく。
これこそ、冒涜王の真骨頂。悉くを否定し、消滅させる『闇』を放つユーベルコード。
《神意(プロヴィデンス)》。
その『闇』の放出は、146秒間止まらない。止めることは適わない。
防ぐことはできない。着弾地点から半径1mの全てが消滅するからだ。
回避することは難しい。毎秒放たれる全ての『闇』を避けるのは鍛えられた武者の技量を以てしても難儀であり、何より獣憑武者は統率を取るべき頭目が姿を隠している状況だからだ。
突然訪れた消滅の危機に精神の均衡は乱れ、恐怖を与えられた獣憑武者たちは我が身可愛さにロバートから離れようと走り出す。
「ひっ、い、いやだっ!」「た、助けて! 消えたくないっ!」
「ああああ!? オレの、オレの魂があああ!?」
「邪魔だ、どけ、早く!」「ば、馬鹿、押すな、あ、ああーっ!!」
大将の命令すらも忘れ果てて右往左往に逃げ惑い、仲間を突き倒し、あるいはぶつかり重なり倒れ、そこに『闇』が降り注ぐ。
慌てて板東武者の死体から飛び出して空へと飛び立つ者も出たが、ロバートが見逃すはずもなく的確に『闇』を撃ち込んだ。
狂乱して遁走する獣憑武者の背を、ロバートは嗤って消して回る。
その瞳には凶暴な意思が強く宿り、獣の霊の尊厳を否定し、冒涜し、蹂躙していた。
「クカカッ―――!
どうした、私に一矢報いようというモノはいないのか?
獣畜生にも誇りがあるのではないのか?
遠慮することはない、向かって来るがいい!」
ロバートは冒涜的に哄笑して、悠々と獣憑武者を滅ぼして行く。
霊体の妖を武士の屍諸共消し去る様は圧巻であり、居合わせた坂東武者たちも息を呑むほどの凄惨な光景であった。
だが、魂無き戦士の身体がこれ以上嬲られないという意味では、《神意》による消滅は幸いであるのかもしれない。
いずれにせよ、ロバートの恐るべき振る舞いにより、戦況の天秤は人々の側へと優位に傾き出すのであった。
成功
🔵🔵🔴
ブラミエ・トゥカーズ
初めまして、異界の妖達よ。
人を騙し惑わし害を為す。見事な所業であるな。
とはいえ、今の余は人に寄り添う身ゆえ敵をするぞ。
人よ。貴公等は道理が通れば同族であろうと殺す生き物であろう?
故に力と道理を与えてやろう。
UCを使用
病は生き物にしか感染しない
妖の操る死体には感染しない
武者達は吸血鬼化により敵味方の本能的区別と呪い耐性を得る
異界の妖よ。人の強さと残酷さ、存分に味わうがよい。
人よ。余の愛しき怨敵共が如く、人に害為す不浄を殺し尽くすがよい。正義と恐怖の名のもとにな。
ブラミエはこっそり武者達の感情を食べて楽しむ
自身の正体を自身から明かす気はない
どの様に姿を繕おうが所詮は人を騙し惑わし餌を喰う只の妖怪
●ヴァンパイア伝承・イン・東国。
「初めまして、異界の妖達よ。
人を騙し惑わし害を為す。見事な所業であるな」
霧に覆われた荒野へ降り立ち、従僕妖怪に日傘を差させて挨拶を送るのは、ゴシッククロスに身を包む吸血鬼。
ブラミエ・トゥカーズ(《妖怪》ヴァンパイア・f27968)。
伝承に縛られ、名と、人に近い姿を得た旧き致死性伝染病である。
「……」「……?」
現れた気品ある存在に、坂東武者と入り乱れている中で『獣憑武者』たちが戸惑う。
ブラミエの発する西洋妖怪としての雰囲気が、妖である己らに類すると感じ取ったのだろう。
だが、ブラミエはそんな様子に頓着することなく、居合わせる武者たちに微笑みかける。
「とはいえ、今の余は人に寄り添う身ゆえ敵をするぞ。―――人よ」
「む……?」「如何なされた、猟兵殿」
ブラミエが、坂東武者たちに向けて手をかざす。
その手からは、今にもブラミエのユーベルコードが噴き出そうとしている。
それは数百年前に数多の町で、数十年前とある医療施設で、暴虐の限りを尽くした病を再現する力……。
それが今、この東国にて再び現れようとしている。
見るからに尋常ではない、恐怖を感じさせる力を前にして、坂東武者たちが警戒する中、ブラミエが言葉を発した。
「貴公等は道理が通れば同族であろうと殺す生き物であろう?
故に力と道理を与えてやろう。返答は如何に?」
「是非に及ばず」「お頼み申す、猟兵殿!」
坂東武者は即応する。
妖を肉体に憑依させて戦う力を得る坂東武者たちにとって、理外の力をその身に宿すことへの抵抗感は少なかった。
それを考慮しても、獣憑武者を討つ助力をくれるというブラミエの申し出は感謝するものであったようだ。
獣憑武者が何らかの反応をみせる間もなく、坂東武者たちは躊躇なくブラミエの前に身を晒し、その力を受け入れるぞと胸を張る。
「我らが同胞に安眠を与えるためならば、如何なる所業も受け入れよう!」
「悪鬼羅刹となり果てようとも、民の安寧のためならば躊躇う由は無しっ!」
「よくぞ応えた。ならば与えよう。
目を瞑った光景、焼き尽くした記録、口を封じた伝承よ。
此処に再演しよう。赤き夜を、紅の騎士達を、血に飢えた侵略を」
ブラミエの手から赤い奔流が溢れ出し、坂東武者たちに、そしてその中に紛れていた獣憑武者に降り注ぐ。
《伝承再現・泡沫の暗黒時代(バイオハザード・クリムゾン・ナイト)》。
ブラミエが『転移性血球腫瘍ウイルス』を噴出し、吸引した全員をUDCアース伝承に準拠した吸血鬼化するユーベルコードだ。
これよりおよそ二分半の間……坂東武者たちは強力な西洋妖怪へと変貌する。
「うぐ……!」「あ……ぐ……!」
「病は生き物にしか感染しない。妖の操る死体には感染しない。
武者達は吸血鬼と化したことにより、敵味方が本能的に区別がつくだろう。
―――そして、呪いへの耐性もな」
「「「うおおおおおっ!!」」」
瞳を血の如し紅に染め、犬歯が鋭く伸びた坂東武者たち。
彼らは変貌した者を味方と認識し、変貌しなかった者を敵と見做し、その武器を振り回す。
幻術により見た目を合わせようとも、吸血鬼と化した坂東武者たちは視覚ではなく本能的に同種とそれ以外を認識していた。
首に噛みつき、同胞の遺体を吸血鬼の脅威的な膂力で引きちぎる。
獣憑武者の放つ《呪矢万射》の呪い属性の矢を受けても物ともすることなく、坂東武者たちは突進していく。
「「「オオオオオオッ!!」」」
「異界の妖よ。人の強さと残酷さ、存分に味わうがよい」
「―――ッ!?」「ぐ、ぐわっ……!」
堪らず、断末魔を溢し始める獣憑武者と、意気軒昂に咆哮する坂東武者たち。
そしてブラミエは、離れて静かに、武者たちから迸る感情を食べて楽しんでいる。
獣憑武者の内にいる獣の霊の発する恐怖。坂東武者たちの発する親愛と憤怒。
西洋妖怪として、争う武者たちをこっそりと眺めて餌を喰らっているのだ。
「そして、人よ。
余の愛しき怨敵共が如く、人に害為す不浄を殺し尽くすがよい。正義と恐怖の名のもとにな」
ブラミエに、自らの正体をわざわざ明かす気はない。
どの様に姿を繕おうが、ブラミエもまた妖怪。
所詮は人を化かし、騙し、惑わし、その感情を喰らう、只の妖怪であるが故に。
吸血鬼と化した坂東武者たちが、獣憑武者を蹂躙する様を味わうのであった。
大成功
🔵🔵🔵
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
中々厄介な術ですねぇ。
それでは、この様に。
『FAS』で飛行、『FLS』により|全『祭器』《未装備含》を召喚後空間歪曲障壁を展開、『FMS』のバリア&『FES』の結界と共に守りを固めまして。
『FPS』で『幻の性質』と『獣の霊の情報』を調べると共に【賋庨】を発動、広域へ『豊饒の聖域』を形成しますねぇ。
此方は『敵対者の行動を封じ、憑依中の敵対存在のみを攻撃する聖域』、憑依されていない坂東武者の方々には影響がなく、【武装変】の戦力強化も行動自体を封じれば影響は有りません。
後は、動きを封じた個体を『浄魔撃(=浄化)』を付与した『FRS』『FSS』の[砲撃]で仕留めて参りましょう。
●浄魔撃・ボンバードメント。
「中々厄介な術ですねぇ」
荒れ果てた戦場の上空から、一人の少女が眼下を睥睨する。
坂東武者たちと『獣憑武者』が入り乱れる戦場を見下ろしているのは、小柄ながら過剰且つ桁違いに発育の良い体型をしている、童顔の乙女。
夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は三対のオーラの翼型祭器『フローティング・エアロフォイル・システム』にて飛行し、状況を確認しつつ対処に乗り出した。
目視での識別が困難であろうとも、るこるに打てる手立ては十分に備わっているのだ。
「それでは、この様に」
るこるはまず始めに、『フローティング・リンケージ・システム』を起動させる。
浮遊する16枚の札型祭器は、るこるが所持している数多の『祭器』を召喚し、多数の『祭器』を完全に制御することができるものだ。
現時点で18種の『祭器』がるこるの周囲を浮遊し、各々の機能を働かせる。
『フローティング・リンケージ・システム』は空間歪曲障壁を展開しながら、12枚の円盤型祭器『フローティング・ミラーコート・システム』のバリアと20枚の布型祭器『フローティング・エレメンタル・システム』の結界を併用してるこるの守りを固める。
万難を排した防御の上で、るこるは151個の涙滴型水晶祭器『フローティング・プローブ・システム』の機能を発揮させる。
それにより戦場に広がる『幻の性質』を解析しながら『獣の霊の情報』を調べて……るこるは、現状に適切なユーベルコードを選び、発動する。
「大いなる豊饒の女神、あなたの使徒に『祓魔の加護』をお与え下さいませ」
《豊乳女神の加護・賋庨(チチガミサマノカゴ・サイカイノキョサツ)》。
それは、『半径7550mを覆う『豊饒の聖域』を形成するユーベルコードだ。
武者たちの頭上から広範囲へ張り巡らされるのは、願』を籠めた『豊饒の聖域』。
その内側にて、坂東武者と獣憑武者が包まれて……。
立ちどころに、獣憑武者たちが悲鳴を上げる。
「ぐぎゃああああ!?」「あついあついあついぃ!」「なな、なんだコレはっ!?」
「なんだ……?」「妖共の動きが、止まった?」
「此方は『敵対者の行動を封じ、憑依中の敵対存在のみを攻撃する聖域』。
憑依されていない坂東武者の方々には影響がなく、ユーベルコードの戦力強化も行動自体を封じれば影響は有りません」
《賋庨》の『願』が生み出した『豊饒の聖域』によって、憑依する敵対存在―――すなわち、死した戦士の身体に憑りつく獣の霊のみを攻撃しているのだ。
その上で、『豊饒の聖域』は獣憑武者の凡ゆる行動を封じるという領域を形成している。
死体を操り戦わせることは当然できなくなり、逃げることは勿論のこと戦死した仲間に憑いていた獣の霊を憑依させて強化する《怨獣武装変》も封じられることになった。
こうなっては獣憑武者にできることは、何も無い。
坂東武者たちは、苦痛に呻き声を上げる敵の状態を理解し、そして上空から加護を振り撒いたるこるに気づき、謝意を送る。
「猟兵殿、助太刀まことに感謝いたす!」
「どういたしまして。後は、動きを封じた個体を仕留めて参りましょう」
『幻の性質』の解析を並行させながら、るこるは敵を撃破するためのトドメの一撃を展開する。
《賋庨》には、全ての『祭器』を強化する機能も含まれている。
対象の肉体を傷つけない『浄魔撃』を付与して、遺体の過剰な損壊を抑えつつ、高所からの火力で妖を一掃しようと『祭器』を稼働させる。
20台の球体と対になる一対の腕輪型の祭器『フローティング・レイ・システム』を砲台に変形させて、中心に砲門が有る12枚の小型ビームシールド型祭器『フローティング・シールド・システム』と併せて、大規模な砲撃を開始する。
激しい爆発が荒野に降り注ぐ。
『浄魔撃』は生きた坂東武者たちに害を加えることはない。
るこるは友軍への誤射や巻き込みを気にする必要のない絨毯爆撃によって、一方的に妖を吹き飛ばしていくのだった。
成功
🔵🔵🔴
天白・イサヤ
(一対の手で印を結びつつ)
坂東武者の方々は、武を必要とするときに大変世話になっている。
その者らの危機と聞かば…。
我は天白家の式神が一、イサヤ。
着き次第、破邪鑓錫杖にて破邪の音を奏でよう。
妖であれば、さぞや苦しかろう。反応を抑えようとも、隠しきれぬはず。それを見過ごさずに。
そして、その者らへUC【神威・追尾】。
我は式神であり多腕。印を結ぶも破邪の音を奏でるも、同時にできる。
逃げようとも、これは追尾するようにした故に…逃れられぬのだ。
近づくことも許さぬ。紫炎神火は、獣の霊を燃やすと決めたのだ。
災厄である貴殿らに、道はない。
●イサヤ・破邪顕正。
「坂東武者の方々は、武を必要とするときに大変世話になっている。
その者らの危機と聞かば……」
「ぐぬぅぅぅ!?」「あ、頭が、割れる……!」
一対の手で印を結びつつ、一体の守り式神が戦場に参上する。
到着次第、破邪の音を奏でる『破邪鑓錫杖』を突き鳴らして『獣憑武者』を焙り出す。
その黒髪の式神は、多腕多角。印を結ぶことと錫杖を奏でることを、難なく同時にできるのだ。
響く錫杖の音に、坂東武者たちが誰何する。
「これは……獣憑武者たちが苦しんでいる?」「お主は、式神か? 何処のものか?」
「我は天白家の式神が一、イサヤ」
「おお! かの天白家の……!」「かたじけない、援軍感謝する!」
彼こそ、天白・イサヤ(|紫炎雪《しえんせつ》・f43103)。
『平安結界』を維持する平安貴族の姫が作り給うた、護廷式神の一である。
「我の奏でし『破邪鑓錫杖』。妖であれば、さぞや苦しかろう。反応を抑えようとも、隠しきれぬはず」
獣の霊が武者の死体に潜んでいようと、妖である限り破邪の音からは逃れられない。
苦痛に耐え、反応を抑えようとしても、その身に宿る獣の霊が悶える限りイサヤの知覚が見過ごさない。
坂東武者の中に紛れる獣憑武者の配置を確認して、イサヤはユーベルコードを起動する。
「威力調節……完了」
イサヤの《神威・追尾(カムイ・ツイビ)》が発動する。
追尾式霊波光線を放つこのユーベルコードは、イサヤが両手で印を結び、法力をチャージする時間に応じて、無限に攻撃対象数が増加する性質を持つ。
戦場に降り立つより前から、ずっと結び続けていた印は、このためのものであったのだ。
幻により姿かたちを誤魔化そうとも、『破邪鑓錫杖』の音で焙り出した獣憑武者に狙いを定め、イサヤは戦場にいる妖たちを次々に攻撃していく。
浄化の力、破魔の力を込められし霊波光線は、的確に戦士の亡骸を操る獣の霊たちをも滅していく。
「ぎゃあっ……!」「や、やめろ……! やめろぉ!」
「止めぬとも。逃げようとも逃さぬ。抗おうとも抗わせぬ。
我にも、坂東武者の方々にも、貴殿らが近づくことも許さぬ」
獣憑武者たちも、死を前にして逃げるものと抵抗するものがいる。
逃げる敵は『破邪鑓錫杖』の破邪で動きを鈍らせその背を穿ち、乾坤一擲を狙わんとして、獣の霊の力で追尾性能を得た槍による《獣槍猟的撃》を放とうとする獣憑武者は、決めたものだけを燃やして人々を災厄から守る『紫炎神火』によって征く手を阻まれる。
槍が届く間合いに近づくことなく立ち竦み、悲痛な様子で追尾式霊波光線に貫かれて倒れていく。
「いやだ、いやだ……!」「頭目! 何とかしてくれ、頭目っ!」
「紫炎神火は、獣の霊を燃やすと決めたのだ。災厄である貴殿らに、道はない」
感嘆の息を漏らす坂東武者の前で、次々に獣憑武者は光線に討たれ、あるいは神火に焼かれて倒れる。
邪を打ち破るイサヤは多彩な手腕を発揮して、抜かり無く妖たちを屠ってみせるのであった。
成功
🔵🔵🔴
フリル・インレアン
ふええ!?同じ人が何人もいます。
これが幻覚なんですね。
えっと、どうしましょうか?
ふえ?全員気絶させればいいって、アヒルさんそれはダメですよ。
どうにか獣憑武者さんだけを狙えればいいのですが。
あ、そうです。
獣憑武者さんと坂東武者さんの大きな違いがあるじゃないですか!
えっと、恋?物語を使います。
坂東武者さんは生きているので、対象になりませんが獣憑武者さんが取り憑いているのは坂東武者さんの亡骸です。
ですので、獣憑武者の遺体を幽霊さんに変えてしまえば憑依する体がなくなります。
ふえ!?私に取り憑くって、みなさん私を守ってください!!
●ホウンテッド・フリル(未遂)。
「うおおおおっ!!」「…………!!」「るぁぁぁぁっ!!」「…………!!」
「ふええ!? 同じ人が何人もいます。これが幻覚なんですね」
「ぐわっ!」
霧が立ち込める荒地に駆け付けた、大きな帽子を被ったアリス適合者の少女。
フリル・インレアン(大きな|帽子の物語《👒 🦆 》はまだ終わらない・f19557)は『獣憑武者』と坂東武者の激しい戦いを目前にして、どう対処するべきかお供のアヒルちゃん型のガジェット『アヒルさん』と相談していた。
武者たちは妖の頭目の幻術により生者と死者の区別がつかなくなっており、隣の味方をも警戒する乱戦状態に陥っていた。
「えっと、どうしましょうか?」
「ぐわっ!」
悩むフリルに、『アヒルさん』さんが最終的に全員気絶させればよいのだ! という意を告げる。
単純明快である。
「ふえ? アヒルさんそれはダメですよ。
どうにか獣憑武者さんだけを狙えればいいのですが。……あ、そうです。
獣憑武者さんと坂東武者さんの大きな違いがあるじゃないですか!」
『アヒルさん』の意見を聞いて思考の整理がついたのか、フリルは名案を思い付いたとユーベルコードを行使するべく、居並ぶ武者たちに向けて声をかける
その対象は、生きている坂東武者ではなく……死者である獣憑武者だ。
「えっと、獣の霊に憑かれてる武者の皆さん。最期の想いを伝えてみませんか?」
フリルの小さな、しかし戦場に浸透する声が、獣憑武者たちに……獣の霊に憑依された武者の遺体に届く。
それは、《果たされなかった想いを叶える恋?物語(ダイイングメッセージ)》。
戦場で死亡している対象を、自身を依代にして憑りつくことができる幽霊に変えて操るユーベルコードだ。
フリルの声を聴いた坂東武者さんの亡骸そのものが、幽霊に変化する。
「……俺の……未練……」「……娘に……一言……」「……謝りたい、ことが……」
「これは……」「三郎太、お前なのか……?」「あの少女の術か?」
フリルの目の前で、次々に獣憑武者たちが……戦いに敗れて死んだ武士の亡骸が、その身を崩して霊体となっていく。
坂東武者たちは戦っていた相手が力を失くし崩れ落ちる様を見て、残心しつつも驚愕を隠せない。
一方で獣の霊は、憑依していた戦士の肉体を失ったことで虚空に放りだされ、戸惑い狼狽する事態に陥っていた。
憑りつく身体のない獣の霊たちは、矢を放つことも槍を振るうこともできない。
この妖は、依代となる死体が無ければまともに戦えないのだ。
「ふぅ。これでひとまず……「ぐわっぐわっ!」ふえ?」
「……伝えて……」「……あの子に……」「―――!?」「―――! ―――!?」
そして、解決したと安心するフリルに、『アヒルさん』が警告するように鳴き声を上げる。
武士の幽霊たちと獣の霊たちがフリルに憑りつこうと集まって来ていた。
《果たされなかった想いを叶える恋?物語》は、フリル自身を依代にして憑りつくユーベルコードである。
想いを伝言してくれるのだろうと坂東武者の幽霊たちが本能的に群がり、それを察知して我先に憑りついてやろうと獣の霊が殺到する。
これほど大量の霊がフリルに憑りついたら、どうなるか……たぶん、パンクするのではないだろうか?
「ふええ!? 私に取り憑くって、みなさん私を守ってください!!」
「むっ、承知!」「ええい、三郎太! 往生際が悪いぞっ!」「術力を持たずとも幽霊に臆するサムライではないわっ!」
「……頼む……」「……せめて……娘に……」「―――! ―――!!」
同士討ちの不安がなくなった坂東武者たちは即座に対霊体戦に移行して、フリルを守るために立ち回る。
切り替えの速さはサムライと呼ばれる戦闘集団らしく、躊躇いなく武者と獣の区別なく霊たちを蹴散らし、護るべき少女のために奮闘するのであった。
武士の幽霊たちの|果たされなかった想い《ダイイングメッセージ》がどうなったか……それは、戦いの後でフリルが何とかするだろう。きっと……。
苦戦
🔵🔴🔴
八千代木・そよ
ここにも妖が……
同士討ち、幻術、まあ厄介だね
とりあえずは彼らを救おう
助太刀するよ、そう言って戦線へ
獣憑きはこうして……破魔の|呪《まじない》を込めた霊符を放って邪魔な動物霊を炙り出そうか
悪霊の瘴気に反応して燃える筈だから、邪を見抜いてそいつを叩く!
戦い死んでいった彼らを冒涜するのはここまでだ
さあ、もっと燃やしてあげよう
ゆうべるこおど……この八千代木の術、お前には過ぎた威力かもね!
……申し訳ないが、君たちの同胞の体ごと消し炭にしてしまうかもしれないね
せめて彼らの霊には安寧が訪れるよう……
ティオレンシア・シーディア
「欺瞞と攪乱による指揮系統の寸断及び漸次殲滅」…決まれば文字通りの必殺だけに、洋の東西どころか世界も問わず類似の作戦はよく見るわねぇ。
「陳腐は王道の別名」とはよく言ったもんだわぁ。
その気になれば見抜くこと自体はできると思うけれど、霧で見通しも悪い状況でそういうことするのも手間だし。ここは効率よくいきましょ。
●黙殺・掃域を起動、描くのは|五大明王印《破邪顕正》に|馬頭観音印《畜生道救済》。敵を指定すればオートで攻撃し続けてくれるわぁ。「獣の霊の妖」なんだし、○破魔・浄化・除霊は覿面でしょ。
使ってるのは梵字だし、坂東武者サンたちからも味方の攻撃だってわかりやすいと思うのよねぇ。
●破魔破邪浄化・ブロッサム。
猟兵たちの介入により、坂東武者たちの被害はほぼ抑えられている。
妖の頭目による幻術で声や姿を変えた『獣憑武者』が順調に数を減らす中、グリモアベースから転移してきた最後の二人が馳せ参じる。
「ここにも妖が……同士討ち、幻術、まあ厄介だね」
魑魅魍魎の跋扈するアヤカシエンパイアにて、妖滅を使命とする陰陽師家の末娘。
八千代木・そよ(ゑふ世歳々・f43131)だ。
そよは、この地に住む万民の安寧を護るべく活動を開始した、新たな猟兵である。
「欺瞞と攪乱による指揮系統の寸断及び漸次殲滅……。
決まれば文字通りの必殺だけに、洋の東西どころか世界も問わず類似の作戦はよく見るわねぇ。
『陳腐は王道の別名』とはよく言ったもんだわぁ」
脳が溶けるとすら称される極甘ロリボイスを発するのは、アックス&ウィザーズ世界のある都市にて、Bar『黒曜宮』を構えている歴戦の猟兵。
ティオレンシア・シーディア(イエロー・パロット・f04145)だ。
まずは坂東武者たちを救おうと、そよとティオレンシアは戦線へ踏み込んだ。
「その気になれば見抜くこと自体はできると思うけれど、霧で見通しも悪い状況でそういうことするのも手間だし。
ここは効率よくいきましょ」
颯爽とティオレンシアが起動するのは、《黙殺・掃域(デザイア・スイープ)》。
半径150m以内の対象全員を、装備した鉱物生命体『ゴールドシーン』で描いた魔術文字から生じる弾幕で自動的に攻撃し続けるユーベルコードだ。
ティオレンシアの祈りに応えてシトリンの付いたペンが描くのは、|五大明王印《破邪顕正》に|馬頭観音印《畜生道救済》。
邪を打ち破り悪業を成した魂を解放する、生きた坂東武者には害のない無差別攻撃が武者たちに降り注ぐ。
「むっ! これは……梵字?」「何処かの術師殿の加勢か! かたじけない!」
「っ!? アッ、グ、アァァァッ!?」「アガァァァァッ……!!」
「『獣の霊の妖』なんだし、破魔・浄化・除霊は|覿面《てきめん》でしょ」
ティオレンシアが使った魔術文字は、梵字。
坂東武者たちにとっても馴染みがあるものであり、味方の攻撃だとわかりやすく理解して狼狽えることなく受容する。
一方で、獣憑武者は被っていた幻術が無意味になるほどの悲鳴を上げる。肉の身体では防げない、魂に及ぼす攻撃は効果覿面であった。
学のない獣には文字を理解することはできないが、《黙殺・掃域》の弾幕が当たれば致命的なダメージを受けることは察知した。
ゆえに獣憑武者たちが飛来する魔術文字を避けるように動き出すが、それは味方が敵を識別するには十分な挙動となっていた。
「助太刀するよ。
……申し訳ないが、君たちの同胞の体ごと消し炭にしてしまうかもしれないね」
「気に病むことはありませぬ。死して人に害為すくらいなら、塵となるも武者の有り様!」
「遠慮は要りませんぞ! 豪快に葬ってくださいませ!」
そよは坂東武者たちの意気を汲み取り、毅然と破魔の|呪《まじない》を込めた八千代木の霊符を放つ。
『ゴールドシーン』が描いた魔術文字から逃れようとする武者たちを標的にして、取り囲んだ霊符がたちまち無数の火属性の桜の花びらへと変化する。
これこそ、八千代木のユーベルコード。
《桜火狂い舞う霊呪符(オウカクルイマウレイジュフ)》である。
「八千代木の呪術、とくと食らえ!」
「ギャアアアアッ!!」「ギィィィィッ!?」
強い呪力や真言の籠められた御札が、そよの指定した範囲内の全ての対象を焼き払う。
霊符が悪霊の瘴気に反応して燃え猛り、獣憑武者についている獣の霊の存在を炙り出していく。
魂が焼かれる苦痛に飛び出した獣の霊の妖は、包囲した桜の花びらから放たれる呪殺弾の弾幕に貫かれて消滅していく。
「戦い死んでいった彼らを冒涜するのはここまでだ。さあ、もっと燃やしてあげよう」
「グゥ……! おのれ、おのれぇ!」「こうなれば、貴様等だけでもぉ!」
|五大明王印《破邪顕正》や|馬頭観音印《畜生道救済》に貫かれ、破魔の炎に包まれて、獣憑武者が倒れ伏し、憑りついていた獣の霊たちが祓われていく。
そんな中、妖たちは戦死していく仲間に憑いていた獣の霊を憑依させて、一体の獣憑武者に《怨獣武装変》を集中させていく。
戦闘力を三倍にした最後の一体が、乾坤一擲か破れかぶれか。
剛力に物を言わせて百本を越える呪い属性の矢を番えて、《呪矢万射》を放つ。
一本だけでも強力な呪詛を宿す矢の雨が、ティオレンシアとそのに襲い来る。
「『あたしの距離』に踏み込むってことは……撃たれる覚悟も、当然あるってことよねぇ?」
「ゆうべるこおど……この八千代木の術、お前には過ぎた威力かもね!」
ティオレンシアの愛用のシングルアクション式6連装リボルバー『オブシディアン』が|素早く抜かれ《クイックドロウ》、矢を片っ端から撃ち落とす。
そしてそよの操る火属性の桜吹雪が打ち砕かれた矢を込められた呪い諸共焼き払う。
最期の悪足搔きは何の爪痕も残すことなく、獣憑武者は絶望の表情を残して倒れ伏した。
獣の霊たちが次々に浄化されて、そして、霧の中立っているのは猟兵と坂東武者だけとなる。
数秒して、状況を確認した坂東武者が笑みを浮かべる。
「……勝った。勝ったぞ! 皆の者! 鬨の声を上げよっ!」
「「「えい、えい、オオオオッ!!」」」
「助力いただき、まこと感謝いたす。梵字の繰り手殿! 八千代木の術師殿!」
「どういたしまして。うまくいってよかったわぁ」
ティオレンシアは坂東武者たちの喜ぶ様子を微笑みながら見つめ、彼らの無事に安堵の息を吐いた。
そして、そよは静かに黙禱を捧げる。
獣の霊の妖に操られ、獣憑武者となっていた戦士たちの身体に。そしてその魂に祈りを捧げる。
「せめて彼らの霊には安寧が訪れるよう……」
彼らは、破魔の炎によって簡易的ではあるが荼毘に付されたと思えよう。
少なくとも、獣霊が抜けた遺体の表情は、どれも穏やかであった。
きっと、戦士たちの魂は安らかに憩うことであろう……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 冒険
『幻術迷宮』
|
POW : 幻術を振り払う。
SPD : 見て見ぬふりをして突破する。
WIZ : 幻を消し去る。
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●断章:幻術迷宮のその果てで。
そして。
手勢の妖が猟兵と坂東武者によって殲滅されたことで、幻術を行使していた妖の大将は遁走に入った。
取り逃がせば、再び脅威となるだろう。
幻術への対抗手段に乏しい坂東武者たちだけでは、幻術迷宮を抜けることは困難だ。
猟兵たちは、幻術迷宮と化した荒野に脚を向ける。
「――――――」「………………」「~~~~~~」
あちらこちらの枯れ木や岩が、猟兵の足を止めるべく幻に変じていく。
故人の面影が現れ、過去の思い出が投影され、後悔や未練の現場が露わになる。
語り合いたくなる、悔いを取り除きたくなる、そんな猟兵の感情を利用する幻術迷宮。
猟兵たちは、この幻に惑わされることなく振り払い、幻を消し去って突破して、その先にいる妖の背に追いつかなければならない。
人の心を弄ぶ妖の首領を討つために。
※プレイングボーナスは、『幻に惑わされないこと』です。よろしくお願いいたします。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・全『祭器』継続
・アド/絡◎
■行動
結構逃げ足が早いですねぇ。
『幻』の性質は先刻解析済、『此方の記憶』に基づく以上『精神干渉』作用は確実に有るでしょう。
【骰佱】を発動し全『祭器』の基本性能を強化、『FXS』により精神干渉を遮断し『幻覚』の前提を防ぎますねぇ。
更に『FES』による『対幻属性結界』と『FQS』の状態異常治癒を重ねれば、記憶と無関係の『幻覚』も防げますぅ。
【骰佱】には「『戦場条件による無効化』を防ぐ」効果もある以上、大将さんが「対幻覚装備」や「飛行」に制限を齎す仕掛けを組み込んでいても問題なく起動出来ますので、後は『飛行速度』を強化した『FAS』で飛行し、一気に追いかけますねぇ。
●オール『祭器』レディ、ゴール。
夢ヶ枝・るこるが幻術迷宮を高速で突破していく。
『フローティング・エアロフォイル・システム』による飛翔は、地上を駆けるよりも機動力があった。
幻術蔓延る中を飛行するというのは、無策であれば上下の感覚を幻術により惑わされて墜落することになるだろう。
だが、るこるは行く手を阻もうとする幻術を各種祭器によって対策することで難なく宙を翔けている。
「結構逃げ足が早いですねぇ」
るこるは、先ほどの妖との戦いで『幻』の性質を情報収集し、解析を済ませていた。
その幻術が対象の記憶に基づく以上、精神干渉作用は確実に有ると判断して、精神干渉の遮断や除去を可能とする八台の桃花型浮遊宝貝兼祭器『フローティング・シェンタオ・システム』により防御を施していた。
そして。るこるの万難を排する対策は、それだけではない。
「大いなる豊饒の女神、その『祭器』の表裏たる異種の姿を此処に」
《豊乳女神の加護・骰佱(チチガミサマノカゴ・セツゼンタルジュンソク)》。
るこるは、自身の祭器を『指定した法則を経由する』ものに変換するユーベルコードを展開していた。
全ての『祭器』の持つ基本性能を増強する効果により、『フローティング・シェンタオ・システム』はもちろん、『フローティング・エアロフォイル・システム』の飛行速度を更に強化していたのだ。
さらには祭器『フローティング・エレメンタル・システム』を起点とした結界術による対幻属性結界の強化。
そして、浮遊する十輪の花型祭器『フローティング・クィンス・システム』の状態異常治癒を重ねれば、るこるの記憶と無関係の幻覚という状態異常を見聞きしたと認識する前に防ぐことが可能になる。
「大将さんが何かしらの仕掛けを組み込んでいても問題はありませんねぇ」
その上、《骰佱》には『戦場条件による無効化』を防ぐという効果もある。
もし妖の大将が操る幻術が、るこるではなく戦場全体に作用していようとしても。
るこるの周囲を浮遊する16本の水晶柱型祭器『フローティング・インタディクト・システム』の防御障壁を始めとする、多種多様数多の『祭器』がるこるを保護する。
岩や枯れ木に飛行や走行に制限をもたらす仕掛けを組み込んでいようと問題なく。
幻覚に対抗する装備に不具合を及ぼすような陥穽があろうとも弾くことができる。
文字通りの、準備万端。
万全の備えを用意をしたるこるを惑わすのは、ダメージを与えることより困難であろう。
「反応によるとそろそろですが、おや?
ああ、ご自身の姿を幻術で隠しているのですねぇ」
るこるは『フローティング・プローブ・システム』の索敵に反応した見えない何かに向けて、一気に追いかけていく。
この勢いであれば、いの一番に妖の頭領のもとに辿り着くことができるかもしれない。
るこるは幻術迷宮を突破して、坂東武者たちを奸計に陥らせて殺そうとした邪悪な妖の姿を捉えるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふええ、追いかけてこないでください。
坂東武者さんの遺言はちゃんとお伝えしますから。
ふええ~。
ふえ?坂東武者の幽霊さんがいつの間にかいなくなりました。
それにここはどこでしょう?
気がつかない内に幻術迷宮を抜けていたみたいです。
ふええ、よかったです。
絶対幻術を見せられていたら、アヒルさんに追いかけられている幻だったでしょうから。
●孤立少女のランナウェイ。
「ふええ、追いかけてこないでください」
フリル・インレアンは、走っていた。
霧で視界が悪い荒野を、一心不乱に走っていた。
「……妻に……」「……娘に……」「……恋人に……」
「「「……せめて、一言……」」」
「坂東武者さんの遺言はちゃんとお伝えしますから」
獣憑武者への対処に使用した《|果たされなかった想いを叶える恋?物語《ダイイングメッセージ》》の結果、フリルに憑依しようと迫る坂東武者の幽霊たちに追われているのだ。
坂東武者たちはせめて遺言を言伝して欲しいという思いで、フリルに集っていた。
獣の霊はサムライたちによって退治されたが、フリルが脱兎の如く逃げ出したことで守ってくれた武士たちとはぐれ、一人幻術迷宮の中を駆け回ることになったのである。
「……頼む……」「……よろしく……」「……お願い、します……」
「ふええ~」
だが、それが功を奏した。
ただひたすら、戦闘を行わずに逃げるという行為により《たった一人の生存者(スタンドアローン)》が発動した。
非戦闘行為に没頭している間、フリル自身の行動があらゆる環境下でも妨げられず、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になるフリルのユーベルコード。
すなわち数多の幻影幻覚に包まれた幻術迷宮の中を、被害を受けずに駆け抜けていたのだ。
「ふええ~」
もしもフリルが幻術を見せられていたら、おそらく『アヒルさん』にまつわる幻に襲われていただろう。
追いかけられたり、つつかれたり、いろいろなたいへんな目に遭って、心にダメージを負っていただろう。
だが、そうはならなかった。
フリルはいくつもの幻術を視界に入れても認識することなく、無視して走り続けた。
必死の逃走が功を奏して、フリルは幻術迷宮を突破する。
「ふえ? 坂東武者の幽霊さんがいつの間にかいなくなりました」
がむしゃらに走り回ったことで、フリルは気がつかない内に幻術迷宮を抜けていた。
坂東武者の幽霊たちも、フリルの耳元で遺言を囁き続けちゃんと伝達を済ませたことで未練がなくなったのか、いつの間にか消えていた。
彼らの声は、ちゃんと頭に入っているはずだ。
安心したフリルが息を吐き、改めて周囲を見渡す。
「ふええ、よかったです。それにここはどこでしょう?
あ。すみません、ここはどこでしょうか?」
霧の奥で動く人影を見つけた気がして、フリルは歩み寄っていく。
フリルはいつの間にか、幻術迷宮を繰り出していた諸悪の根源。
妖たちの頭領に追いつこうとしているのであった。
大成功
🔵🔵🔵
天白・イサヤ
(印を結びつつ)
我は式神。後悔や未練などとは無縁である。
…と思っていたものの、一つだけあったのだ。
見える幻は『陰陽師の男』。忘れもしない、主である女性の…恋文の相手である。
何故我が知っているかだと?一度だけ文を届けた。あと、戦線をともにした。
知っている。その戦線で、彼が命を落としたこと。我が主と我の助けが間に合わなかったこと。
主が月命日に経を読むことも。全て。
たしかに間に合わなかったことは『後悔』の念がある。
だが、それで足止めできるとは思わぬことだ。彼の遺言は『それでも前へ進み、平安結界を守ってくれ』だったのだから。
ゆえに…ここにいるのは偽物の幻である。消えるがよい。
破邪鑓錫杖を振るい奏でる。
●ある式神のリグレット。
天白・イサヤは印を結びつつ幻術迷宮の中を進んでいく。
木々がヒトの形になろうと、岩が見覚えのある風景を映そうと、躊躇うことはない。
式神であるイサヤは、惑わされるようなことなどないと思っていた。
だが、幻が見覚えのある姿を模った時、イサヤの足は止まった。
「我は式神。後悔や未練などとは無縁である。
……と思っていたものの、一つだけあったのだな」
イサヤの前に現れる幻は、とある『陰陽師の男』。
忘れもしない、イサヤの主である女性の……恋文の相手である。
何故、それをイサヤが知っているのか。
それは、イサヤが以前に一度だけ、文を届けたことがあるからだ。
そして、そののちにとある戦線をともにして……彼が命を落としたことも、知っているからだ。
「知っている。我が主と我の助けが間に合わなかったこと。
主が月命日に経を読むことも。全て」
『陰陽師の男』は、イサヤを見つめる。
その表情は記憶の中にあるままで、黙してじっとイサヤを見つめている。
イサヤは、『陰陽師の男』を見つめる。
結び続ける印を解かぬまま、ゆっくりと複腕に握る『破邪鑓錫杖』を掲げる。
「見識集中……。
たしかに間に合わなかったことは『後悔』の念がある。
だが……それで足止めできるとは思わぬことだ」
《印結び・見(インムスビ・ケン)》。
印を結んでいることの継続時間に比例して、イサヤ自身の|各種機能《ステータス》が上昇するユーベルコードだ。
練り上げられた法力を込めて、イサヤは破邪鑓錫杖を振るう。
眼前の|『陰陽師の男』《幻》を払うべく破邪の音を奏で、『後悔』を消し去った。
「彼の遺言は『それでも前へ進み、平安結界を守ってくれ』だったのだから。
ゆえに……ここにいるのは偽物の幻である。消えるがよい」
彼の遺言に添い、イサヤは歩みを進める。
霧が立ち込める幻術迷宮を、足取りに迷いなくまっすぐ踏破する。
その先にいる邪なる妖を打ち据え、後ろに在る数多の人々を救うために。
大成功
🔵🔵🔵
ブラミエ・トゥカーズ
妖相手に化かしあいとは愚かであるな。
とはいえ、懐かしい顔ぶれだな、というべきであるかな?
自身の吸血鬼としての器が懐古という挙動を行う
生まれつき吸血鬼に強い体質のため魔女と断じられたブラミエ似の女
吸血鬼を滅ぼす為領民ごと焼き払った騎士
吸血鬼になりつつもその正体を見つけた錬金術師
吸血鬼除けを発明したが異端と判じられた学者
吸血鬼のために人に殺《フレンドリィファイヤァ》された数多の犠牲者
吸血鬼の殻を編み上げた人の想いの一部
ブラミエは彼らの恨み敵意を受け流しつつ敵を追う
猟兵とは妖怪とはそういう存在と信じられているのだから
故に猟兵になった中身は器に合わせた挙動をする
所詮は知性も意思も情もない只の病原菌
●ブラミエという名のディズィーズ。
「妖相手に化かしあいとは愚かであるな。
とはいえ、懐かしい顔ぶれだな、というべきであるかな?」
ブラミエ・トゥカーズは御伽噺の吸血鬼である。
妖の頭領が広げた幻術迷宮に臆することも怯むこともない。
そして、眼前に広がる幻の光景に、ブラミエは自身の吸血鬼としての器が懐古という挙動を行う。
―――生まれつき吸血鬼に強い体質のため、魔女と断じられたブラミエ似の女。
―――吸血鬼を滅ぼす為に、領民ごと焼き払った騎士。
―――吸血鬼になりつつも、その正体を見つけた錬金術師。
―――吸血鬼除けを発明したが、それ故に異端と判じられた学者。
―――吸血鬼のために、|人々に殺《フレンドリィファイヤァ》された数多の犠牲者たち。
吸血鬼の殻を編み上げた人の想いの一部が、ブラミエの前に現れ並んでいる。
「懐旧の念は湧くものだが……。ああ、それだけであるな」
数多の恨み、憎しみ、敵意、殺意。
様々な人間の負の感情が、すべてブラミエに向けられている。
だが、それらは全て夢、幻。
ひとかけらの恐怖も、一滴の血も有りはしない幻では、ブラミエには何の糧にも毒にもならない。
ブラミエはそれらを受け流し、一顧だにすることなく堂々と進み続ける。
立ち塞がる幻を避けることなく、微笑んで真っ直ぐ突き進んでいく。
「さて。もうじき追いつくだろうか?」
……所詮は知性も意思も情もない、名と体を得ただけの旧き只の病原菌。
ブラミエは幻に心を乱されることなく、敵を追う。
カクリヨファンタズム出身であるブラミエは、伝承に縛られた《妖怪》ヴァンパイアだ。
故に、猟兵になった中身は器に合わせた挙動をする。
猟兵とはそういう存在だと……|妖怪《ブラミエ》とはそういう存在なのだと、信じられているのだから。
それが、ブラミエ・トゥカーズであるのだから。
大成功
🔵🔵🔵
ティオレンシア・シーディア
(赤。
四方八方天地を埋め尽くす、紅赤朱。
炎の|赫《アカ》、元凶たる火竜の鱗の|緋《アカ》、そして――)
―――ッ…!
(ティオレンシアという女は、本来「怒」に特化した激情家である。そしてこの風景はこの女にとって猟兵としての原初の風景であり、トラウマそのものであり、思考も理性も丸ごと吹き飛ぶ代物である。幻術の選択は何一つ間違っていなかった。
……の、だが)
――はぁ…ゴールドシーン、お願いねぇ。
(●活殺を起動、描くのは|准胝観音印《人間道救済》に|烏枢沙摩明王印《汚穢焼滅》。貼り付けられた|炎の海《テクスチャ》を更に上から焼き払う)
流石に立て続けだといくらか耐性できてるわねぇ。…こんな短期間に2度も見せられるとは思わなかったけれど。(参照シナリオid=54680)
(何が悪かったのかと言えば…端的に、運が悪かった)
あたし中心にそこそこ広範囲に○破魔と浄化の領域展開できるし、多少は他の人の探索の助けにもなるでしょ。
あたしこういうステルス相手の追跡戦はあんまり得意じゃないしねぇ…
●三度目の心的外傷ストレッサー。
広がるのは、只管に|赤《アカ》。
四方八方天地を埋め尽くす、|紅赤朱《くれないせきしゅ》。
炎の|赫《アカ》、元凶たる火竜の鱗の|緋《アカ》、そして―――ちだまりの、|あか《アカ》。
「―――ッ……!」
ティオレンシア・シーディアの眼前は炎の海に埋め尽くされている。
燃え盛る館が、肌を焼く紅蓮が、鮮紅の龍が……そして、真っ赤に染まった一人の少女の躰が、ティオレンシアの視界を赤一色に塗り潰す。
ティオレンシアという女は、本来『怒』に特化した激情家である。
ティオレンシアにとってこの風景は、猟兵としての原初の風景であり、トラウマそのものであり、思考も理性も丸ごと吹き飛ぶ代物である。
これまでにも、漆黒の殺意に染まり我を見失ったことがあり、怒りのあまり吐き気を催すほどの頭痛を被ったこともあり、吹き飛びそうになった思考を必死に理性でつなぎとめて対処したこともある。
……。
そう。ティオレンシアは、二度、三度と、同じ過去を見せられてきていた。
直近では、先月の話であった。
「――はぁ……ゴールドシーン、お願いねぇ」
ティオレンシアは、ため息交じりに《活殺(ソーサリー)》を起動する。
『ゴールドシーン』で魔術文字を描いている間、半径151m以内の対象全てにいた魔術文字に応じた効果を与え続けるユーベルコード。
魔術文字の特性と属性によるダメージか、あるいは魔術文字で形成した結界による破魔と浄化による治癒か。
同一術式ながら、状況に合わせて様々な効果をもたらせる汎用性の高さが長所である。
「流石に立て続けだといくらか耐性できてるわねぇ。
……こんな短期間に2度も見せられるとは思わなかったけれど」
幻術がティオレンシアの足を止めるべく選んだ映像は、何一つ間違っていなかった。
ただ、何が悪かったのかと言えば……端的に、巡り合わせが悪かったのだ。
どれほど強く心に残った|思い出《トラウマ》であろうと、何度も目の当たりにすれば心を落ち着かせることはできるようになる。
ましてや、あらかじめ幻として見せられるかもしれないと覚悟しているのであれば、ティオレンシアが取り乱すことはない。
「ゴールドシーンあっての事ではあるけれど、我ながらだいぶ小技が効くようになったわねぇ…」
ティオレンシアが『ゴールドシーン』にお願いして描かせたのは、|准胝観音印《人間道救済》に|烏枢沙摩明王印《汚穢焼滅》。
貼り付けられた|炎の海《テクスチャ》を更に上から焼き払う、破魔と浄化の結界が展開される。
ティオレンシアを中心に、ある程度の広範囲に安全な領域が形成される。
この結界は、荒野を行く他の猟兵たちの歩みを助けることになることだろう。
「あたしこういうステルス相手の追跡戦はあんまり得意じゃないしねぇ……」
そう溢しながら、ティオレンシアは一切堪えた様子もなく荒野を進んでいく。
その先にいる、この幻術迷宮を張り巡らせた元凶たる妖に追いつくために……。
大成功
🔵🔵🔵
八千代木・そよ
幻覚……ね
さて、おれにはどんなまやかしが視えるのか……
……過去の亡霊か
まだおれが力を持たなかった頃、救えなかった者たちの怨嗟の声が聞こえる
悔しい想い出だ
すまなかったな
しかし八千代木の名を継いだ今のおれなら、きっと……
ここが薄暗い霧の荒野というのが怪しい
式神の鵬桜に羽ばたかせ霧を散らしてしまおうか
破魔の符も併用し、邪な気をふり祓い、前に進む
そうだ、鵬桜に乗って敵の大将を追いかけよう
これ以上被害を出さないためにも、可及的速やかにね
●天翔る花嵐の陰陽師。
「幻覚……ね。さて、おれにはどんなまやかしが視えるのか……」
亡き戦士たちの霊を弔った後、八千代木・そよは幻術迷宮に踏み入った。
霧が立ち込める荒野に、妖の首領が展開する幻が猟兵の行く手を阻むべく虚像を形成していく。
そしてそよの目に、決して忘れられない人々の姿が映し出された。
「……ァァァァァァ……」
「……過去の亡霊か」
赤ん坊の亡骸を抱える母。動かなくなった父に縋りつく幼子。家族をすべて失った翁。
それは、慟哭の声を上げる人々の幻影。
まだ、そよが今よりも若く力を持たなかった頃、救えなかった者たちの怨嗟の声が聞こえてくる。
「どうして……どうして、この子が……」「おきて、おとぉ……おかぁ、どこぉ……」
「ああ……息子も、嫁も、孫たちも……なぜ、なぜ、わしだけ助けたのじゃ……」
「……すまなかったな」
それは、そよにとって歯がゆく悔しい想い出だ。
眼を背けたくなる。耳を塞ぎたくなる。苦しい気持ちを堪えて、そよは毅然と強がり、幻たちに向き合った。
「しかし八千代木の名を継いだ今のおれなら、きっと……」
そよは、ここが薄暗い霧の荒野というのが怪しいとにらんだ。
この霧が妖の大将の幻術に何かしらの作用をもたらしているのだと推測して、それを払うべく『霊符』を取り出し式神を召喚する。
「飛翔しろ、この大空はお前の物だ」
《大鵬天翔る万翼符(タイホウアマカケルバンヨクフ)》。
『霊符』から式神『|鵬桜《ホウオウ》』を呼び出すユーベルコード。
『鵬桜』はそよの成長と共に力を増し続けており、今では時速565kmで飛翔することが可能となっている。
そよは破魔の符も併用して、『鵬桜』に羽ばたかせて霧を散らすよう命じる。
「『鵬桜』、この場に籠る邪な気をふり祓え」
破魔の力を宿した『鵬桜』の羽ばたきが、辺りに涼風を呼び起こす。
霧が消し飛ばされ、耳に届く幻聴が遠のき、眼前で泣き悲しむ人々の幻影が揺らぐ。
幻を被せられた岩や木々といったモノが、朧気にではあるが認識できるようになった。
迷いは取り除かれ、道は見えた。
そよは彼らの顔を改めて心に留めてから、『鵬桜』に再び命じて幻を完全に消し去った。
「そうだ、鵬桜に乗って敵の大将を追いかけよう。
これ以上被害を出さないためにも、可及的速やかにね」
行く手を阻む幻がなくなった今、障害となるものはない。
空を飛んでいるつもりで地面に墜落するという事態に陥ることもないだろう。
そよは『鵬桜』に騎乗すると空高く飛翔させ、地を這い逃げる妖の大将を追いかける。
此度は救いが間に合うのだと、瞳に強い意志を宿して前に進むのであった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『山姥』
|
POW : 山姥鎌
【手鎌による四肢切断攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
SPD : 山鎌颪
【首狩り手鎌】を手または足で射出する。任意の箇所でレベル×1個に分裂でき、そこからレベルm半径内に降り注ぐ。
WIZ : 首ひとつ寄越しな!
対象にひとつ要求する。対象が要求を否定しなければ【首】、否定したら【心臓】、理解不能なら【命】を奪う。
イラスト:蛭野摩耶
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●断章:怨恨に嗤う妖大将。
猟兵たちの手腕により幻術『幻術迷宮』は踏破された。
そして、幻術に身を隠して逃げようとしていた強力な妖の大将の姿をついに捉えることができた。
奸計により坂東武者の軍団を壊滅させようとしたその妖の正体……それは、女であった。
「ああ……恨めしい、憎らしい……わらわを袖にした武士共に……それに加担する術者に式神に、異界の猟兵に……。
どいつもこいつも皆、死に晒せばいいものを……!」
口元に弧を描き、異常に長い腕に首狩り鎌を握る、籠を背負った女の妖。
『山姥』。
山野の庵に住みて訪れた旅人を殺す、恨みに狂った女の成れの果て。
手鎌を巧みに振るう技量に人を惑わす幻術の技を身に着けたこの山姥は、生前はある程度の身分にいた実力者だったのかもしれない。
だが、今は殺した坂東武者に獣の霊を憑かせ、同じ武者同士で殺し合わせることを愉しむ悪辣な妖である。
ここで討たねば、再び惨劇を繰り広げることだろう。
「こと、ここに至っては仕方ない、仕様がない。
ああ、追って来るのだからせむかたない。
お前らの……首を寄こしな!」
爛々とした瞳を見開き、窮鼠となった山姥が猟兵たちに襲い掛かる。
油断してはいけない。
強力な幻術迷宮こそ打ち破れども、未だ幻術を駆使してくるのだ。
分身、残像、透明化、あるいは声や音によるかく乱など……猟兵の心を惑わし、隙を作ろうとしてくるだろう。
残忍な山姥を討つべく、決戦が今、始まる。
※妖の大将、『山姥』との戦闘です。
プレイングボーナスは、『幻術に備えること』です。よろしくお願いいたします。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・全『祭器』継続
・アド/絡◎
■行動
捕捉完了、後は討伐ですねぇ。
『FAS』による飛行を継続、『FPS』の探査で既に情報を得た『幻』の判別は可能、未知の仕掛けに備えて解析を継続しますねぇ。
そして【乳冰壌】を発動、広域への[範囲攻撃]であれば『幻』を如何に用いて隠れても範囲内である上、以降は『幻を発生させようと動く度に棘が刺さり続ける』ことになりますぅ。
【山姥鎌】は『FGS』の重力波で跳躍や投擲を抑えて『FIS』の転移で回避、以降『中止出来ない』以上は『動作ごとに棘が刺さり続ける状態』となりますし、『鎌』の破壊で攻撃力を抑えることも可能でしょう。
後は『祭器』各種の[追撃]を重ねて叩きますねぇ。
ブラミエ・トゥカーズ
そのような顔をしていては余計に人は逃げてしまうぞ?
折角、女の怪であろうに勿体ないぞ。
2章同様幻惑を認識しつつも特に気にしない
鎌で斬られた箇所はUCにて狼や蝙蝠に変化する
狼の鼻、蝙蝠の耳で敵の位置を把握する
臭いや音の反射も弄れる場合は騙される
狼も蝙蝠は一般動物並みの耐久性だが血の塊になってから再生する
狼と蝙蝠による人海戦術めいた捜索を囮に散らばった血から成る霧で戦場全体を覆う
敵の呼吸、発声時の空気の流れを狙って敵体内を襲う
敵への決定打がないため戦場全体への幻術の制限を狙う
貴公はどのような幻を見るのであろうな?
武者達は余が唾を付けた故、手出しはさせぬよ。
餌を横取りしたことは一応、謝っておこうか?
フリル・インレアン
ふえ?なぜでしょう?
この妖さんの恨みが大したことないように感じるのは?
サムライエンパイアの日野富子さんを見てきたからでしょうか?
恨みのレベルが全然違いますね。
ふえ?そんなことを言ったら妖さんが怒るですか?
ふええ、ごめんなさい。
ふええ、鎌がたくさん振ってきます。
当たったら痛そうですけど、首狩り手鎌って刃が内側にあるから投げられても斬られませんね。
ここはお菓子の魔法を使いましょう。
ふえ?お菓子の魔法を使っても鎌が落ちる速度は変わらないですか?
はい、幻術の姿も変わりませんが、妖さんだけが遅くなるので本物の妖さんに向かって走っていけばいいんです。
スーパーヒーロー・ゴッドハンドマスク
UC発動してきて着地!
もう大丈夫!何故かって?
私が来た!
『幻術に備える』
私の|能力《センス》は、周辺の凡ゆる物を感知できる!どんな幻を見せようと無駄って奴だねえ!
全身からフラッシュ一斉発射で目眩し&浄化攻撃!
その隙に、逆にスモークで敵の視界を遮ってやろう!ビジョンの透視と、センスの第六感索敵情報収集聞き耳で私からは敵が丸見えだがね!
パワー纏い10700㎞/hで距離を取り攻撃を回避
私のボディは砲弾も核爆発もヘッチャラだし、スーツやマント等のお陰で更に頑強!
負傷者は飛んで行ってフラッシュで回復しよう!
ウェブを発射して捕縛電撃気絶攻撃で動きを封じ、UCで強化されたビジョン光線で鎌と腕を焼却切断爆破!
天白・イサヤ
なるほど、首魁は山姥であったか。
もとの生前がどうであったかは…今はもう、詮無きこと。
我の首か?とっても意味はないことぞ。
我は切断されようと、さして困らぬ方ではあるが…主に心配をかけるわけにもいかぬし、切断されぬ方が良いだろう。
であれば、UCによる破邪の光。それで押しつぶしていく。
幻術への備えは、その破邪の光と破邪鑓錫杖、紫炎神火にて…そう、この紫炎神火は幻術と山姥を燃やすと決めたのだ。
いかに姿を消そうが、破邪の光の重みはそのままであるからな…そのまま、燃やしていこう。
音は破邪鑓錫杖を振り奏でることにて対処。もとから聞こえぬのならば、問題はない。
八千代木・そよ
ふむ……幻術に長ける奴のようだね
破魔のまじないを防衛に、唱えておこう
さあ、追い詰めたぞ、山姥
お前が過去にどんな仕打ちを受けたかは知らんが、無辜の民に害をなしていいということにはならない
ここで、その恨みの念を祓おう
ふうん……首刈り鎌使いか
おれの首はやれないよ
桜の花びらで山姥の視界を塞ぎながら距離をとって、霊符から呪殺弾を飛ばして応戦
元はお前もこの世の民だったのだろうね
穢れたお前をもう救うことは叶わないだろうが……
この場で滅してやるのも慈悲だろう
八千代木の呪術……その目に焼き付けてあの世に行くんだね
ティオレンシア・シーディア
外付けならまだ楽だったんだけど、幻術自体はやっぱり自前かぁ。まともにやるとホントに面倒なのよねぇ…
まずは|阿閦如来印《不惑強健》の○霊的防護で精神の余裕と落ち着きをブースト、幻術に備えましょ。
あとは閃光弾なんかで目潰しして強引に視線を切って|ラグ《幻影》と|摩利支天印《陽炎》を展開、〇残像と迷彩で間合い誤魔化して空振ったところに○カウンターで六連ファニング一閃で●重殺を叩き込むわぁ。
…それはそれとして、きっちりと|お礼《応報》もしないとねぇ。
あの幻術、死ぬほど不快で心底不愉快でこの上なくムカついたのよぉ?
確かに今回はさして影響なかったけれど――それとこれとは話が別だもの。「仕方ない」わよねぇ?
●集いし七人の猟兵。
「捕捉完了、後は討伐ですねぇ」
夢ヶ枝・るこるは『フローティング・エアロフォイル・システム』による飛行を継続したまま、いの一番に妖の大将『山姥』に追いついた。
高い上空から見下ろし、『フローティング・プローブ・システム』での探査で得た情報から『幻』の判別を行い、透明化していた山姥をしっかりと把握したのだ。
そして油断することなく、相対しながらも解析は継続して未知の仕掛けに備え、到着する他の猟兵たちへ共有するデータを集積していく。
「そのような顔をしていては余計に人は逃げてしまうぞ?
折角、女の怪であろうに勿体ないぞ」
「ふえ? なぜでしょう?
この妖さんの恨みが大したことないように感じるのは?
サムライエンパイアの日野富子さんを見てきたからでしょうか?
恨みのレベルが全然違いますね」
続けて地上を歩き追いついたブラミエ・トゥカーズと、走り回って幻術迷宮を抜けたフリル・インレアンもまた、山姥と対峙する。
フリルの無邪気な挑発に山姥が怒りを露わにして見せる一方、ブラミエは余裕をもって微笑んでみせる。
「ぐわっ」
「ふえ? そんなことを言ったら妖さんが怒るですか?」
「ヒノだかトミコだから知らないが、勝手なことを言ってくれるねぇ……!」
「ふええ、ごめんなさい」
「ふふ、そう案ずることはない。彼女はすでに、恨み骨髄のようであるからな」
山姥が手鎌を強く握り、恨みに狂った笑みを深める。
しかし激情に駆られて暴走することはなく、冷静に幻術を張り巡らせ、猟兵の首を狙っていた。
その様子を、ティオレンシア・シーディアが冷静に見つめ返している。
「外付けならまだ楽だったんだけど、幻術自体はやっぱり自前かぁ。
まともにやるとホントに面倒なのよねぇ……」
ティオレンシアは『ゴールドシーン』を手に、山姥の幻術への備えをしている。
上空にいるるこると共に、仲間たちから一歩下がった位置で山姥を警戒している。
また、猟兵たちの観測を頼りに、グリモアベースから新たな猟兵の増援が駆け付けた。
「もう大丈夫! 何故かって? 私が来た!」
全身を黄金のオーラで覆う《スーパー・ジャスティス》を発動して荒野へ着地するのは、スーパーヒーロー『ゴッドハンドガール』を名乗る神の少女と、彼女が愛用するヒーローマスク。
スーパーヒーロー・ゴッドハンドマスク(スーパーゴッドハンドヒーローマスク・f38708)だ。
正義と人々の為に力を行使するべく、この場に馳せ参じたのである。
「なるほど、首魁は山姥であったか」
「さあ、追い詰めたぞ、山姥」
そして、天白・イサヤと八千代木・そよ。
アヤカシエンパイア出身の猟兵である二人も到着し、山姥を討つ役者は揃った。
イサヤとそよも、戦意高揚しているように見受けられる。
「もとの生前がどうであったかは……今はもう、詮無きこと」
「お前が過去にどんな仕打ちを受けたかは知らんが、無辜の民に害をなしていいということにはならない。
ここで、その恨みの念を祓おう」
この地に終結した猟兵たちの手によって。
武者を殺し、その御霊を縛り、尊厳を貶めてきた妖の首魁が、討ち果たされようとしていた。
●パーフェクト幻術対策。
「揃いも揃って雁首を並べよる。
わらわの幻術、わらわの鎌! 破れるものならやってみるがいいっ!」
山姥が駆け出し、幻術を行使する。
霧に紛れ、二人、四人、八人とたちまち多勢に分身し、そのいずれもが残像を見せるようにブレて揺れて、足音も衣擦れの音も食い違う。
そして放たれるのは、手鎌による四肢切断攻撃《山姥鎌》。
ひとたび放てば回避されても中止できないその技も、幻に紛れることでリスクを抑えることができるのだろう。
恐ろしい術ではある……だが、種が割れている幻は、猟兵の脅威にはなり得ない。
「ふむ……やはり幻術に長ける奴のようだね。破魔のまじないを防衛に、唱えておこう」
「まずは|阿閦如来印《不惑強健》の霊的防護で精神の余裕と落ち着きをブースト、幻術に備えましょ」
「……参る」
そよとティオレンシアは、息の合った手さばきで破魔の防壁と霊的防護の場を整える。
そしてイサヤが『破邪鑓錫杖』を振り奏でて音を打ち消し、『紫炎神火』にて幻を燃やすと決めて災厄から守る浄化の火を灯す。
八千代木の『霊符』が放つ破魔が守り、『ゴールドシーン』による魔術文字が心を強め、イサヤの『破邪鑓錫杖』が幻聴を、『紫炎神火』が幻影を払う。
るこるが『フローティング・プローブ・システム』で得た幻の性質に対して、猟兵たちは最適な対抗策を用意し、連携を発揮する。
一同の知覚からたちまち山姥の幻影が掻き消され、透明になっていた本物の姿が露わになる。
得意の幻術が防がれたことに気づかぬまま、山姥が超高速連続攻撃を敢行する。
―――熟練の猟兵たちが、その隙を見過ごさない。
「それではぁ。行きますねぇ」
猟兵たちがユーベルコードを起動する。
●猟兵アタック・フルファイア。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その裁きの御印をここに」
その瞬間、霧に包まれた荒野が『乳白の吹雪』に覆われる。
るこるが選択したユーベルコードは、《豊乳女神の加護・乳冰壌(チチガミサマノカゴ・シロキヒョウセツノクヌガ)》。
周囲7.6kmを覆う範囲内の空間全体から棘を生やし、山姥が幻を発生させようと動く度に棘が刺さり続けるように仕掛けた。
「っ!? ぎゃああああ!!」
「まだですよぉ」
るこるは、浮遊する16本の錫型祭器『フローティング・グラビトン・システム』で重力の操作を行い、重力波によって鎌の投擲も山姥の機動力も押え込む。
例え隠れ潜もうとしてもユーベルコードの範囲内であれば逃れられず、手にしていた鎌も破壊される。
中止できない超高速連続攻撃を繰り返すたびに、《乳冰壌》の棘が山姥を傷つけて消耗する。
そんな山姥へと、るこるは各種『祭器』の砲撃を駆使して追撃を重ね、叩いていく。
「HERO FLASH!」
開戦直後に大ダメージを受けた山姥に休む暇は与えないとばかりに、スーパーヒーローが『|HERO FLASH《ヒーローフラッシュ》』を放つ。
邪悪や心や汚染を浄化する光が山姥の目をくらまし、続けざまにヒーローの意志に呼応して肉体から溢れ出す『|HERO SMOKE《ヒーロースモーク》』が山姥の感覚器官を封じ込めた。
「がぁっ!? 目が、ゴホッゴホッ! うぅ……!」
「私の|能力《センス》は、周辺の凡ゆる物を感知できる!
霧も煙幕も関係なく丸見えだねえ、どんな幻を見せようと無駄って奴だねえ!」
スーパーヒーローは『|HERO SENSE《ヒーローセンス》』で山姥を捉え、《スーパー・ジャスティス》の増強された戦闘力を活かした身体能力で闇雲に振り回される《山姥鎌》を回避する。
そして、両腕等から伸縮自在・形状も威力も操作できるビーム状の暴徒鎮圧用プラズマ電流綱『|HERO WEB《ヒーローウェブ》』を放って山姥の動きを封じ、瞳孔から装甲を貫通溶断する超強力な極超高温光熱線砲『|HERO VISION《ヒーロービジョン》』を叩き込んだ。
電撃と光熱に焼かれる山姥は、幻術による分身ではなく間違いなく本体である。
「こ、の……! りょう、へい、ども、めがあああ……!」
「いやはや。なんとも屈強なことだ」
ブラミエは、そよやティオレンシアの防護を謝辞し、幻惑を認識しながら山姥に対峙していた。
幻術によって生み出された人影の視線や囁きを気にする素振りを見ることなく、ブラミエが無防備に佇むように見せる。
それを、山姥は好機と睨んだか。棘に刺され縛られてながら、山姥は笑みを浮かべる。
山姥は背負った籠から新たな鎌を取りこぼすと、足癖悪く蹴り出した。
首狩り手鎌を手または足で射出し、任意の箇所で数十数百に分裂させて広範囲に降り注ぐユーベルコード。
《山鎌颪》を繰り出した。
「このくらいで、このわらわが、滅びるものかぁ!」
「ふええ、鎌がたくさん振ってきます」
「おや? 幻術タイプにしては肉体派と思いましたが、中々タフですねぇ」
「私の『|HERO BODY《ヒーローボディ》』ならヘッチャラだけどねぇ、当たらないねぇ!」
フリルが慌てふためき、るこるが上空に飛来する首狩り手鎌を『フローティング・インタディクト・システム』による転移を駆使して容易く回避し、スーパーヒーローが『HERO WEB』を解いて音速を遥かに超える高速機動で回避する中、ブラミエは避けることなく鎌に身を晒す。
鎌で斬られた箇所から出血する……ことはない。
たちどころに、切傷が狼や蝙蝠に変化するのだ。
驚愕する山姥の目の前で、ブラミエは悠々とユーベルコードを詠唱する。
「な、にぃ……!?」
「鬼の器に封されしは古き災厄。今ひとたびこの夜に零れ落ちよう。恐怖と共に」
《伝承解放・悪しき風と共に来たるモノ(トリプルドロンチェンジ)》。
それは、戦闘力が増加する狂乱の病を纏う【狼】。
飛翔力が増加する異常な血行不良を起こす病を運ぶ【蝙蝠】。
驚かせ力が増加する幻覚に陥る病を含む【霧】。
そのいずれかに変身する、脅威のユーベルコードだ。
狼の鼻と蝙蝠の耳が、山姥の位置と鎌の所在を把握する。
狼と蝙蝠と化したブラミエは一般動物並みの耐久性だが、鎌に斬られようとその切れ端が血の塊になってから再生する。
そうして山姥を狼と蝙蝠の群れと化したブラミエが覆い、散らばる血潮が赤い霧と成って山姥に幻を見せる病をもたらした。
「あ……なんだ、なんだい? 見かけ倒しって奴かい!」
「貴公はどのような幻を見るのであろうな?」
「アハハハハッ! 油断したねぇ! もう後悔しても遅いのさっ!」
全身が焼け焦げ、棘に貫かれながらも哄笑を上げて手鎌を振り回す山姥。
その視線は虚空に焦点を定めており、勝ち誇るような幻覚に陥っているようだ。
そして、なおも振り続けている《山鎌颪》に、フリルが対抗策を打ち出す。
「ふええ、当たったら痛そうです。ここはお菓子の魔法を使いましょう。
皆さん、お一つどうぞ」
「ありがとうございますぅ」「いただこう!」「綺麗な造形であるな」
「受け取ろう。……異世界の菓子か。なるほど」
「おれも、お菓子は好きでね。ありがとね、いただくよ!」
「あたしももらっておこうかしらぁ」
フリルが発動させたのは、《時を盗むお菓子の魔法(ブレイクタイム)》。
趣味で作ったお菓子を給仕している間、戦場にいる趣味で作ったお菓子を楽しんでいない対象の全行動速度を5分の1にするユーベルコードだ。
フリルがいそいそと猟兵たちに一口サイズのお菓子を給仕して回り、仲間たちはそれを口にしたり目で愛でたりすることでお菓子を楽しむ条件を満たす。
その結果、幻の中に囚われている山姥だけが《時を盗むお菓子の魔法》の影響を受けて行動速度が20%に低下する。
《山姥鎌》の超高速連続攻撃もこうなっては緩慢に見え、降り注ぐ《山鎌颪》の鎌も落ちる速度が緩やかになる。
幻術によって鎌がさらに増量されていたならば避ける余地のない文字通り鎌の雨になるところだったろうが、今の状況であれば鎌の合間を縫って攻撃を放つことは可能であった。
「皆さん、今のうちです。
妖さんだけが遅くなるので本物の妖さんに向かって走っていけばいいんです」
「ぐわっ!」
「アハッ! アハハハッ! さあ、《首ひとつ寄越しな!》」
全身を自分自身の血で染める山姥が、ついに対象にひとつ要求することで発動する精神干渉系のユーベルコードを発動させる。
対象が要求を否定しなければ首を、否定したら心臓を、理解不能なら命を奪う山姥の必殺技だ。
手鎌による超高速の四肢切断連続攻撃が可能な《山姥鎌》と合わせることで、返答しない相手の首を落とすという二の矢まで賄う凄まじさであった。
もっとも……ブラミエの幻に陥っている今、山姥の鎌はあらぬ方向に振るわれていた。
命中することが無ければ、どれほど強力なユーベルコードも無力であった。
「ふうん……首刈り鎌使いか。おれの首はやれないよ」
「我の首か? とっても意味はないことぞ。
……我は切断されようと、さして困らぬ方ではあるが……。
主に心配をかけるわけにもいかぬし、切断されぬ方が良いだろう」
このまま時間を翔ければ、消耗した山姥は自滅することになるだろう。
だが、なおも暴れ続ける山姥を不必要に苦しめることなく、速やかに止めるため。
イサヤと、そよ。
紫炎雪の陰陽師の式神と花嵐の陰陽師の末娘はともに並び立ち、無防備な背を見せる山姥にユーベルコードを叩き込む。
「解放」
「八千代木の呪術、とくと食らえ」
イサヤの《破邪の光にて与えん(ハジャノヒカリニテアタエン)》。
『破邪鑓錫杖』に宿る破邪の重みを解き放つことで、半径135m以内の敵には破邪の重みで足止めを行う。
破邪の重みが山姥を押え込み、圧し潰そうと力を加える。
「るこる殿の|目《祭器》に、ブラミエ殿の鼻もある。
その狂い様が幻でないのは確かなことだ。破邪の光の重みはそのままであるからな。外すことはない。
……そのまま、我の『紫炎神火』とそよ殿の《霊呪符》にて燃やしていこう」
そして、そよの《桜火狂い舞う霊呪符》。
そよの霊符が無数の火属性の桜の花びらに変じて山姥を覆い隠し、無数の呪殺弾の弾幕へと転じた破魔の霊符が山姥に撃ち込まれる。
味方に癒しを与える破邪の光が煌々と桜の花びらを照らし出し、破魔と破邪と浄化の力が……妖を払うための力が、結集される。
未だ原型を留めている山姥が狂った笑い声をあげる様子を、そよは逸らすことなく目に焼き付ける。
「アハ、ヒヒッ、アハハハッ……!」
「元はお前もこの世の民だったのだろうね。
穢れたお前をもう救うことは叶わないだろうが……この場で滅してやるのも慈悲だろう。
八千代木の呪術……その目に焼き付けてあの世に行くんだね」
るこるの『祭器』の追撃、スーパーヒーローの電撃と熱光線に、そよの霊符とイサヤの紫炎神火でダメージを負って。
《時を盗むお菓子の魔法》で行動速度が低下した上で、《乳冰壌》の棘と重力波に破邪の重みで動きを封じられ、心はブラミエの霧に囚われた山姥。
それでもなお、無差別に振るわれる《山姥鎌》の脅威が残る相手に、満を持してティオレンシアが相対する。
「みんなやるわねぇ。
|ラグ《幻影》と|摩利支天印《陽炎》も用意していたけれど、これなら簡単に間合いを近づけるわぁ。
……それはそれとして、きっちりと|お礼《応報》もしないとねぇ」
ティオレンシアは『オブシディアン』を抜き、銃口を山姥へ向ける。
まともに身動きが取れない状態で破壊された手鎌を振り回している山姥に、素早く六連続のファニングを一閃する。
「透かし晦まし掻き乱し、最中に本命を忍ばせる―――あたし、そういうのは得意なのよぉ?」
《重殺(エクステンド)》。
それは、【強化】【増幅】のルーンを刻んだ弾丸を立て続けに打ち込むことで発揮されるユーベルコード。
刻まれたルーンの【意味】を連ねることによる効果の増幅が、二発、三発と着弾するごとに極大化していく。
一発でも外すと不発となるリスクが、高威力高命中の六発目を生み出すのだ。
「武者達は余が唾を付けた故、手出しはさせぬよ。
餌を横取りしたことは一応、謝っておこうか?」
「アハ……あ、あ?」
霧の姿のブラミエが山姥に囁き声を残して、離れていく。
山姥が幻から解放された時、その身体には致命傷を負っていた。
五発の弾痕が身体を貫通し、六発目は山姥の心臓を撃ち抜いていた。
唖然とした表情を浮かべて見つめてくる山姥に、ティオレンシアが微笑み語り掛ける。
「あの幻術、死ぬほど不快で心底不愉快でこの上なくムカついたのよぉ?
確かに今回はさして影響なかったけれど―――それとこれとは話が別だもの。
『仕方ない』わよねぇ?」
因果応報を受けた山姥は、何かを言い残すこともできぬまま倒れ、猟兵たちが油断することなく見つめる中、霧に溶け込むように消滅していく。
今ここに……獣憑武者を従えていた妖の大将が、討ち取られたのであった。
●戦の後の始末。
薄暗い霧に覆われた荒れ地に今、妖の気配は消え去った。
猟兵たちの加勢により邪な妖たちは倒され、坂東武者たちは同士討ちすることなく無事に帰ることができた。
彼らを救い、ひいては戦士たちが守護する平安時代の暮らしを送る民を護り抜いたのだ。
任務を完了した猟兵たちもまた、グリモアによる転移で帰還していく。
オブリビオンによる被害を食い止められたことに安堵し、あるいは幻術迷宮を踏破した折に見た記憶を反芻し、そして戦いに勝利した高揚を語らいながら。
猟兵たちは、各々の想いを胸に帰路に着くのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵