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陰陽島の悪霊

#アヤカシエンパイア

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#アヤカシエンパイア


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「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「アヤカシエンパイアにて、妖の大軍勢が孤島に『城』を築き、拠点としていることが判明しました」
 その孤島は人里から遠く離れた所にあり、平安結界を守護する陰陽師たちも異変に気付くことができなかった。
 これを放置すればさらに多くの妖が城に集い、巨大な勢力となって「平安の世」を脅かすことが危惧される。今のうちに城を攻め落とし、島が妖の一大拠点になることを阻止しなければならない。

「件の島周辺の海域は、死の大地からあふれ出した瘴気が大風となって吹き荒れ、常に大時化となっています」
 この暴風と海による自然の防壁が、妖の島に乗り込むうえでの最初の障害となる。そこらの船乗りや小舟では波にさらわれて沈没の恐れがあるし、空を飛んでいく場合でも吹き飛ばされる危険は大きい。そして風に含まれた強烈な瘴気は、生きとし生ける者の心身を蝕むのだ。
「猟兵であっても危険な海域です。乗り込む際には十分な備えをしていくべきでしょう」
 平安時代の操船技術では、荒れた海の航海は命懸け。それより優れた技術や特殊能力を持つ猟兵でも油断は禁物だ。
 近隣の土地を治める平安貴族も、求められれば協力は惜しまないだろう。瘴気渦巻く海域に乗り込むのは危険過ぎるので、あくまで間接的な支援に留まってもらうことになるが。

「島を支配する妖の城主は、強い恨みを抱えて死んだ平安貴族が、死後に大悪霊となったものです」
 もはや名前すら伝わっていない、この『悪霊陰陽師』は生前の恨みを晴らさんがために妖を集め、時満ちれば大軍を率いて京の都に攻め上らんと企んでいる。アヤカシエンパイアの平安貴族は全員が霊能者であるため、悪霊化したその力は絶大なものだ。
「城内には彼が使役する式神の大軍もいます。これを倒さなければ城主の姿を見ることも叶わないでしょう」
 この式神たちも瘴気に汚染され妖化しており、主の望みを叶えるため、平安に絶望をもたらすため襲ってくる。
 厄介な敵だが無視することもできない。全て蹴散らして城主との決戦に挑み、この地を満たす怨念と瘴気の元凶を討ち果たすことが、猟兵に求められる依頼である。

「今はまだ孤島に潜む脅威が、『平安の世』を壊してしまう前に、どうか皆様の力をお貸しください」
 説明を終えたリミティアは手のひらの上にグリモアを浮かべ、アヤカシエンパイアの辺境へと猟兵を送り出す。
 眼前に広がるは瘴気満つる大嵐の海。果たして一同はここを乗り越え、妖の島の城主を討つことができるのか。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 今回のシナリオはアヤカシエンパイアにて、孤島に築かれた妖の『城』に乗り込み、城主を討伐する依頼です。

 1章は妖のいる孤島を目指して、嵐の海を渡る冒険です。
 海上は常に強烈な瘴気を含んだ大風が吹き荒れており、波も高く危険な状態です。
 飛んでいくか、船を用意するか、泳いで渡るか。手段は問われませんが、備えは万全にしていったほうが良いでしょう。

 無事に島までたどり着ければ、2章は城主の配下との集団戦。
 そして3章は城主である『悪霊陰陽師』との決戦になります。
 妖の軍勢は数が多く、城主は強大な妖です。ですが特殊なルールはないので、純粋に実力のぶつけ合いとなるでしょう。心置きなく全力をぶつけてください。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『瘴気の野分』

POW   :    気合や体力で消耗に耐える

SPD   :    地形や装備を利用して風の影響を軽減する

WIZ   :    結界や呪術で大風に対抗する

イラスト:anじぇら

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

武富・昇永
孤島に拠点を構え
瘴気の嵐で島を覆うとは妖どもめ厄介なことをしてくれる!
この嵐を乗り越え疲労が蓄積したところを迎撃するつもりだな!
単純だが平安結界を砕く準備の拠点としては非常に完成度が高いといえる!
これを打ち破るのは困難極まるだろう!
しかし、だからこそ突破のしがいがある!
この武富・昇永が先陣を切り、後陣の上陸を手助けしたとなれば
一番手柄は間違いないはず!
ここでまごついている暇はない!一気に突っ切ってみせよう!
({妖切太刀・御首級頂戴丸}を抜刀し八相の構えをするとUC【出世道・功名一番槍】を発動し島へ向かって飛翔する)



「孤島に拠点を構え、瘴気の嵐で島を覆うとは妖どもめ厄介なことをしてくれる!」
 海の彼方を睨みつけ、荒波の音にも負けぬ声量で叫ぶのは武富・昇永(回遊魚・f42970)。このような辺境の地には貴族や防人の目も行き届かず、拠点化を許してしまったのは痛恨の極み。所在が明らかとなっても、地の利は向こうにあると言わざるを得なかった。
「この嵐を乗り越え疲労が蓄積したところを迎撃するつもりだな! 単純だが平安結界を砕く準備の拠点としては非常に完成度が高いといえる!」
 消耗した状態で、整わない戦力で挑んだところで、向こうはそれを跳ね返すだけの戦力をすでに整えているだろう。
 とうに戦いは始まっており、こちらは後手に回った。それを痛く理解していながらも、男の表情は不敵なまでの自信に満ち溢れていた。

「これを打ち破るのは困難極まるだろう! しかし、だからこそ突破のしがいがある!」
 目の前に立ちはだかる壁が高いほどに昂る、昇永はそのような人間だった。平安貴族としてはごく普通の生まれ育ちだった自分が、生まれながらにして埒外の能力を備えていると知ったあの時から、彼はどこまでも強く、偉く、優雅にならんと欲する、上昇志向の塊のような男であった。
「この武富・昇永が先陣を切り、後陣の上陸を手助けしたとなれば、一番手柄は間違いないはず!」
 単純な功名心とは少し違う。彼が重んじるのは「何を」ではなく、手に入れる行為そのものから悦びを感じるのだ。
 そのためならどんな苦難や苦痛さえも喜んで受け入れる。人としてはやや歪な精神性だが、仲間として見れば非常に頼もしい。

「ここでまごついている暇はない! 一気に突っ切ってみせよう!」
 他の者に先を越されはしまいと、昇永は「妖切太刀・御首級頂戴丸」を抜刀。八相の構えを取ると【出世道・功名一番槍】を発動し、全身に銀色のオーラを纏った。埒外の域に達した霊力によってその身は重力の軛から解き放たれ、嵐の海へと飛翔する。
「遠からん者は音にも聞け、近くば寄って目にも見よ!」
 穂先のように尖端を鋭くしたオーラが、瘴気の風を切り裂いていく。このユーベルコードは術者の名誉欲が強いほど戦闘力を向上させる代物だ。常に天を突かんばかりの上昇志向を誇る昇永ならば、これしきの障害など物ともすまい。

「さあ待っていろ、妖どもよ!」
 嵐に負けぬ大声で叫びながら、昇永が向かうは妖の島。そこにどれほどの敵が待ち構えているか、今から心が踊る。
 なぜならば、敵が強大で膨大であればあるほど、彼の功績もまた大きくなり、さらなる高みへ登れるのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

西恩寺・久恩
UC超越者の肉体は無意識に発動

うわぁ、何か凄いな…
嵐を見て少し引いている私

『カモカモ!頑張りましょう!結界術展開!』『カモ〜!』
フラウディとカモカモも同行している結界術で瘴気を防ぐ

う〜ん、嵐が止まないですね…妖怪の私では人脈も無い
心眼と気配感知と第六感で嵐が収まるのを待っていたが全く止む様子は無い

もういいや、無限天理陰陽術式…至大至剛!
『カモカモ!主さんをサポートです!』『カモ〜!』
面倒臭くなったので指定UCを発動し次元撃で島までの道のりを阻む風と海を吹き飛ばすと同時にクラウチングスタートの体勢をとる
肩に乗っているフラウディ達は結界術を展開


さあ、走り抜けますよ!
異次元の速さで海の上を走り抜けた



「うわぁ、何か凄いな……」
 瘴気と大風で荒れ狂った海を見て、西恩寺・久恩(妖怪陰陽師(物理)ここに見参!・f42881)は驚くというより少し引いていた。この天候も妖が生み出したものなら大したものだし、乗り越えて敵の城まで辿り着くのは簡単なことではないだろう。
『カモカモ! 頑張りましょう! 結界術展開!』『カモ〜!』
 だが、そんな陰鬱な嵐にも負けない、からっとしたテンションで叫ぶのは2体の式神。少女式神の「フラウディ」と鴨式神の「カモカモ」は、力を合わせて久恩の周りに瘴気除けの結界を張る。こういった術があまり得意ではない彼女にとってはありがたい存在だ。

「う〜ん、嵐が止まないですね……妖怪の私では人脈も無い」
 式神の結界に守られながら、久恩はしばし海を眺めていたが、どれだけ待っても嵐が収まる気配は一向にない。心眼と第六感で妖の気配がする方角まではうっすらと察知できているが、この悪天候だと船を出すことはできないし、船乗りの力を借りられるあてもない。
「もういいや、無限天理陰陽術式……至大至剛!」
 本当に止むかも分からないものを待ち続けるのも面倒になった久恩は、おもむろにユーベルコードを発動。全身に力を込めて拳を突き出せば、凄まじい衝撃波が放たれる。それは島までの道程を阻む風と波を吹き飛ばし、海を裂いた。

『カモカモ! 主さんをサポートです!』『カモ〜!』
 直後にクラウディ達は主人の肩に乗って結界術を再展開。同時に久恩はクラウチングスタートの体勢を取る。彼女が一体何をするつもりなのか、この時点で分かった者はいても正気とは思えないだろう――あまりにも力技過ぎる、と。
「さあ、走り抜けますよ!」
 だが久恩は本気だった。全力の踏み込みで浜辺を蹴ると、自らの力で無理やり凪にした海の上を走りだす。普通なら一歩目で沈む所だが、無意識に発動している【超越者の肉体】が、異次元の速度と身体能力を彼女にもたらしていた。

「うん。遠いけど、行けないことはなさそうですね」
 【無限天理陰陽術式『至大至剛』】で道をこじ開け、超越者の肉体にものを言わせて海上を疾走する。おそらく彼女だけであろう強行突破だが、当の本人は無謀とは思っていない。踏み込んだ足が沈む前に次の足を踏み出す、陰陽師というよりは忍者の如きスタイルで、久恩は一直線に妖の島に向かう。
『主さん頑張って!』『カモ~!』
 同行する式神達も、肩にしがみつきながら主を応援し、それに応えるように蹴立てられた波飛沫が止むことはない。
 彼女らの視線の先にぼんやりと、いかにも禍々しい気配を漂わせた島影が浮かび上がるのは、それから間もなくのことだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ゲニウス・サガレン
風や人力で動く船は、大荒れの海、そして風には勝てない
万が一オールや帆、船体がやられたら万事休すだからね
ここは地道に行こう
局地的な風の影響は、例え嵐であっても海の表面に限られる
潜ってしまえば、影響は次第に少なくなるものだ……

アイテム「潜水作業服」&「觅」&「星屑のランタン」
觅の導きと星屑のランタンの明るさを頼りに、海底に沿って歩くように泳いでいく
風の影響云々を言ったけど、海が浅ければ当然底まで嵐で攪拌される
慎重に深く、移動しやすいルートを探していこう
UC「眠れる力を呼び起こせ!」
頑張れ私!
海藻が多い場所は流れが比較的穏やかなはずだ
あとは海流をよく見定めながら、少しずつ移動していこう!



「風や人力で動く船は、大荒れの海、そして風には勝てない。万が一オールや帆、船体がやられたら万事休すだからね」
 海運が盛んな島に生まれ、探検家として世界各地の秘境を巡った経験から、ゲニウス・サガレン(探検家を気取る駆け出し学者・f30902)はそのように判断する。自然の猛威を侮れば、人はあっけなく死を迎えるのだ。それがオブリビオンの力でもたらされた異常気象なら尚の事。
「ここは地道に行こう」
 彼が準備したのは夜光石を用いた羅針盤「觅」と、「星屑のランタン」そして「潜水作業服」。球形のヘルメットをすっぽりと被り、気密性が保たれているのを確認すると、彼はどぼん、と荒れ狂う大時化の海へと飛び込んでいった。

(局地的な風の影響は、例え嵐であっても海の表面に限られる。潜ってしまえば、影響は次第に少なくなるものだ……)
 風の影響を受けない深さまで潜航したゲニウスは、そのまま海底に沿って歩くように泳いでいく。ここは比較的安全だが、同時に日光も届かない暗闇の世界。だが右手に持った星屑のランタンは、水中でも消えることのない銀色の光で周囲を照らし、そして左手に持つ羅針盤は夜光石の輝きによって彼に進路を示す。
「よし、こっちだな」
 目的地となる島までの物理的距離は、そこまで本土から離れていない。酸素さえ保つのなら歩いてもいける距離だ。
 無論それは何らかのトラブルに見舞われたり、道に迷わなければの話だが。海中で遭難でもすれば発見してもらえる可能性は絶望的だ。

(風の影響云々を言ったけど、海が浅ければ当然底まで嵐で攪拌される)
 慎重に深く、移動しやすいルートを探すゲニウス。学者の知識と探検家の経験がここでは最大の武器だ。時には荒れた水流で押し流され、倒れ込むこともあるが――すぐに立ち上がると【眠れる力を呼び起こせ!】と自分を鼓舞する。
「頑張れ私!」
 困難にめげない心が肉体を奮い立たせ、潜水服をオーラが包む。海底を踏みしめる足、水をかき分ける腕は力強く。
 海の中では目的地まであとどのくらいの距離か把握しづらいが、計算だと着実に近付いているはずだ。そして彼は、自らの頭脳を信じた。

(海藻が多い場所は流れが比較的穏やかなはずだ)
 時には藻の茂みに隠れるようにして身体を休め、海流をよくよく見定めながら、少しずつ移動を続ける。ゲニウスの予測に誤りはなく、海底の深度は徐々に浅瀬へと転じ――そしてついに、彼の頭が水上からひょっこりと姿を現した。
「到着だ!」
 おどろおどろしい瘴気に包まれた孤島。悪しき妖の拠点に上陸を果たした彼は、ヘルメットを外して高らかに笑う。
 まずは最初の関門を乗り越えたわけだが、依頼はここからが本番だ。島の中央にそびえ立つ城を目指して、ゲニウスは再び歩きだした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と

アヤカシエンパイアの地は初めてだけど
都の成り立ちも今回の島の件も
どう考えても綱渡りだ
相棒もその空気は感じ取っているな
「あぁ、だけどまずはあの島から」
世界を救う為に、そして
「破滅は許さない」

最初は船をと思ったんだが
信頼のおける足場があった方が時人もいい筈
【戦文字「昇龍」】を使用して飛び乗り
相棒も乗せて安心して放てる足場になるよ
「行くぞ、時人」

予定通り波は気にせず進める
だけど一番の難関の大風と瘴気
こればかりは昇龍だけでは突破できない
濃い瘴気は避け、大風は真っ向から受けない様
昇龍の身をくねらせていくが
本命は相棒が吹き飛ばして生まれる道
「遠慮しないでいい。全力でやってくれ」


葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と

既にギリギリで明らかに時間がない世界
特に都から遠いと綻びが酷いんだな

その上この場の状態は
「もう最悪に近いね」
でもだからこそ来た
「何処の世界でも」
というと打てば響くように陸井のいらえが
「OK!往こう!」

陸井が龍を呼んで俺を招く
「悪いけど乗せて貰うね」

何時もなら俺は蟲、陸井が龍に騎乗して
空を駆けるけど今日は違う

波の荒さは飛龍には関係ない
そして
「追い風は…俺が!」
UC白燐大拡散砲詠唱

元々俺から出て戦域全てを駆け抜ける暴威
島から瘴気が吹き寄せるなら
「逆さに流してやればいい!」

蟲の突進で結果的に起きる強風と
清浄な空気の流れに龍を載せ押し通る!
必要なら高速・多重詠唱で幾度でもだ



「アヤカシエンパイアの地は初めてだけど、都の成り立ちも今回の島の件も、どう考えても綱渡りだ」
 妖との大戦で滅んだ大地を結界で覆い、かりそめの平安を維持する世界。それは泡沫の夢の如く、些細なきっかけて壊れてしまいかねないものだ。妖達は隙あらば結界の綻びを突き、「平安の世」を崩壊させようと策謀を巡らせている――この危うい空気を感じ取っているのは、彼だけではなかった。
「既にギリギリで明らかに時間がない世界。特に都から遠いと綻びが酷いんだな」
 陸井の相棒、葛城・時人(光望護花・f35294)はそう言って海の彼方に視線を向ける。浜へと吹き込んでくる大風は強烈な瘴気を含んでおり、一般庶民なら数刻と保たぬであろう。ここは既に平安の世と死の大地の境界線。『裂け目』から侵入した妖どもは、陰陽師の目が届かぬ孤島で、着々と拠点の構築を進めていた。

「もう最悪に近いね」
「あぁ、だけどまずはあの島から」
 時人が呟けば、その意を汲んで陸井が応える。状況は限りなく悪いが、まだ手遅れにはなっていない。だからこそ自分達は来たのだ。たとえ吹けば飛ぶような「平安の世」でも、そこに生きる命を救うことが自分達の使命なのだから。
「何処の世界でも」
「破滅は許さない」
 力強い言葉を時人が発すれば、打てば響くように陸井のいらえが続く。学生時代からかれこれ十年以上も組んでいる仲だ、お互いの呼吸も知り尽くしている。揺るがぬ絆を感じた二人は口元を緩め、いざ孤島にはびこる妖退治に赴く。

「最初は船をと思ったんだが、信頼のおける足場があった方が時人もいい筈だな」
 行く手に広がるは瘴気の嵐吹き荒れる大時化の海。これを渡るための手段として、陸井は【戦文字「昇龍」】を発動する。書道使いである彼が空中に描いた文字はたちまち具現化され、墨で形成された黒龍が雄叫びと共に姿を現した。
「行くぞ、時人」
「OK! 往こう!」
 その背に飛び乗り、相棒に手を差し伸べる陸井。それを掴んだ時人は「悪いけど乗せて貰うね」と断りを入れてから黒龍の上に招かれる。二人分の重量が乗っても問題はないと、黒龍は長大な身体をうねらせて嵐の海へと飛び立った。

(予定通り波は気にせず進める。だけど一番の難関の大風と瘴気)
 飛行能力を持った猟兵でも攻略を困難としているのがこれだ。波の荒さは関係なくとも、孤島から絶えず吹き付けてくる風は飛翔を乱し、瘴気はあまねく生命を蝕む。無策で突っ込んでも海に墜落するか、力尽きるかだ。こればかりは昇龍だけでは突破できないと陸井にも分かっていた。
「聞きしに勝る大嵐だな」
 陸井は濃い瘴気は避け、大風は真っ向から受けないように昇龍の身をくねらせていくが、島までの距離はなかなか縮まらない。それでも彼の表情に焦りがないのは、本命が別にあるからだろう。普段なら一人乗りの黒龍にあえて二人を乗せたのは、相応のわけがある。

(何時もなら俺は蟲、陸井が龍に騎乗して空を駆けるけど今日は違う)
 自身の騎乗手段を用いず、相方に同乗する形となった時人は、そのぶんの余力と集中を全てユーベルコードの詠唱に費やしていた。彼方にぼんやりと浮かぶ島影を睨みつけ、道程を阻む瘴気の風に(消えて、なくなれ)と念を込める。
「遠慮しないでいい。全力でやってくれ」
「任せてくれ! 追い風は……俺が!」
 期待を込めた陸井の呼びかけに、本気で応えるべく発動するのは【白燐大拡散砲】。その身より解き放たれた白燐蟲の大群が、真っ白な煌めきとともに翔け抜けていく。それは天の川が海上に現出したかのような光景。島から瘴気が吹き寄せて来るのであれば――。

「逆さに流してやればいい!」
 時人が裂帛の気迫を込めた白燐蟲の突進は、その進路に強風を起こして瘴気を押し返し、清浄な空気の流れを作る。
 陸井はすかさず黒龍を操り、相棒が作りあげた流れに載る。島まで伸びていく白光の河こそ、彼らが辿るべき道だ。
「押し通る!」
「その意気だ、相棒」
 時人は幾度も【白燐大拡散砲】を連発し、白燐蟲たちを島に到達させる。遠目に見ればその光景は、本土から島まで光の橋がかかったよう。橋の上を黒き龍が翔け抜けていくさまは、和歌や御伽草子の一節を画に描いたが如しである。

「……着いた!」
「あぁ、ここからだ」
 そうして嵐と荒波を超え、ついに時人と陸井は島に上陸する。死の大地に限りなく近いおどろおどろしい雰囲気に、島の中央にそびえ立つ城。邪悪な妖どもの存在をひしひしと感じながら、彼らは休む間もなく先へ進むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『破れ式神』

POW   :    不動禁縛符
【不動禁縛符】をレベルm半径内の対象1体に飛ばす。ダメージを与え、【符が付着】した部位の使用をレベル秒間封じる。
SPD   :    群影鶴鬼符
レベルm半径内に【影でできた鶴の群れ】を放ち、命中した敵から【生命力】を奪う。範囲内が暗闇なら威力3倍。
WIZ   :    月影の式神
自身の【翼】に【月影】属性を付与し、レベルkm/hの飛翔能力・五感共有・捕縛能力「【鶴翼影縛り】」を与える。

イラスト:柿坂八鹿

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 瘴気の大風と大時化の海を乗り越えて、孤島に上陸した猟兵たち。
 そこは既に妖の手で着々と拠点化が進められており、異様な妖気が漂っている。
 その中央にそびえ立つのは禍々しき城。あれこそが敵の本丸で間違いあるまい。

『……オノレ。都ノ者共メ。遂ニ此処ヲ突キ止メタカ』

 いざ城に乗り込む猟兵達を迎えたのは、直立する鶴の如き形をした式神の大軍。
 ただの式神ではない。妖の気に汚染され、自らも妖の一種と化した『破れ式神』だ。
 おそらくは、ここの城主である『悪霊陰陽師』が打った式であろう。

『京ノ都ヲ攻メ滅ボスニハ。未ダ戦力モ備エモ足リヌ。邪魔ヲサレル訳ニハイカヌ』
『貴様等ニハ此処デ死ンデ貰ウゾ』

 主の意思を代弁しながら、破れ式神達は一斉に襲い掛かってくる。
 一個体の強さはそれほどでもないが、数が多いのは厄介か。

 これ以上島の拠点化が進めば、さらに多くの強大な妖が集まり、脅威度は今とは比較にならぬものとなるだろう。
 今の内にこの城は攻め落とさねばならない――城主の元まで押し通るべく、猟兵達は戦闘態勢に入った。
武富・昇永
出迎えが有象無象の雑魚どもとは拍子抜けだ!
いや戦力も備えも不足と言っていたから敵としても不本意なのだろうな
早期の段階で予知してくれたグリモア猟兵に感謝しよう!
俺もいつかグリモアの力を得たいものだ!

({妖切太刀・御首級頂戴丸}を抜刀すると影でできた鶴の群れに向かって『妖魔殺し』の『斬撃波』を放つ)

そちらの攻撃はそれまでか?では次はこっちの番だ!
(敵の集団のど真ん中に飛び込むとUC【出世道・雑兵首まとめ狩り】を発動し敵味方の区別なしで連続攻撃を行う)
虎穴に入らずんば虎子を得ず!
勲功を得るためならこの程度の危険など恐るるに足らんわ!



「出迎えが有象無象の雑魚どもとは拍子抜けだ!」
 立ちはだかる『破れ式神』の大軍の前で、臆面もなく言い放ったのは昇永。彼としてはもっと精強で凶悪な妖どもが群れをなして襲ってくるのを想像していたのだろう。これしきの兵力で京の都を攻め落とそうなど、いささか自分達を侮り過ぎではないか。
「いや戦力も備えも不足と言っていたから敵としても不本意なのだろうな。早期の段階で予知してくれたグリモア猟兵に感謝しよう! 俺もいつかグリモアの力を得たいものだ!」
 妖による事件の予兆を早期に知ることのできるグリモアの力、猟兵ならば手にできる可能性は皆にある。どこまでも上昇志向の高い彼は、意気揚々と「妖切太刀・御首級頂戴丸」を抜刀すると、戦の構えを取る――それでは手始めに、この地に我が武功を刻むとしよう。

『忌々シイ貴族共メ……滅ビヨ!』
 破れ式神どもが鶴翼をばっと広げると、地に落ちた影が無数の鶴の群れとなって飛翔する。この【群影鶴鬼符】に触れたが最後、並の人間なら生命力を根こそぎ吸い尽くされて死体も残らない。昇永は雑魚と言っていたが、こやつらも決して侮れない妖怪だ。
「ふん!」
 だが、彼にとってはやはり雑魚。気合いを入れて刀を一振りすれば、妖魔殺しの斬撃波が生じ、影の鶴を薙ぎ払う。
 常に薄暗い妖の城では、敵の妖術の威力も上がっているはずなのに、この通りだ。まずは口先だけでは無いところを証明したと言えよう。

「そちらの攻撃はそれまでか? では次はこっちの番だ!」
 鶴の群れが飛んでこなくなると、昇永は自ら敵集団のど真ん中に飛び込み、妖切太刀を巨大化させる。そのサイズは到底人間が振るえるものではないが、彼は竹刀のように軽々と操る。平安の守護者、平安貴族にふさわしき霊能力だ。
『ナッ、貴様……正気カ!』
「虎穴に入らずんば虎子を得ず! 勲功を得るためならこの程度の危険など恐るるに足らんわ!」
 敵陣に単騎駆けなど本来なら危険極まりないが、この程度のリスクなぞ足を止める理由にならない。規格外の大太刀を以って繰り出すは【出世道・雑兵首まとめ狩り】――その刃が届く全ての者を、敵味方の区別なく斬り伏せてゆく。

「小さな手柄も積み上げれば大手柄! まとめて狩らせてもらうぞ!」
『『ギャァーーーーッ!!!?』』
 颶風を巻き起こしながらの連続斬撃が、昇永の周囲にいた敵を一掃する。哀れバラバラになった破れ式神どもの身体は元の紙切れへと戻り、風に吹かれて散っていった。それでもまだまだ手柄をあげ足りない彼は、城の本丸を目指してのしのしと進撃を続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ゲニウス・サガレン
集団か
確かに古い言葉にも「戦いは数だよアニキィ」と言われているという
ならばこちらも数で対抗しよう
敵を攪乱・拘束できれば他の猟兵の方が打撃面はなんとかしてくれるだろう

アイテム「フライング・シュリンプ」&「海蛍閃光弾」&「沈滞の投網」&「スティングレイ短針銃」
短針銃は護身用だ、敵が来たら牽制に使う
本命は私の指揮下にある有翼エビ、さあ、みんな頑張って!
フライング・シュリンプの大群は敵の群れに突入、まともにやりあわなくていい
小回りを利かせて飛び回れ!
隙を見て閃光弾で目くらまし、油断している敵は投網を上から投下

UC「眠れる力を呼び起こせ!」
今度は私じゃなくて、みんな頑張れー!やれー!そこー!



「集団か。確かに古い言葉にも『戦いは数だよアニキィ』と言われているという」
 その言葉の出典はさておくとしても、兵数で勝る軍隊が戦場において優位に立つのは古来からの常識だ。島に上陸した猟兵はいずれも実力者とはいえ少数、対する敵の『破れ式神』は数百体を下るまい。ここでバカ素直に突撃するほどゲニウスは猪武者ではなかった。
「ならばこちらも数で対抗しよう」
 護身用の「スティングレイ短針銃」を構えつつ、彼が呼び出したのは「フライング・シュリンプ」。主人と認めた者に従う、社会性を有する有翼エビの大群だ。一見、彼が使役する式神のようにも見えるが、れっきとした生物である。

「さあ、みんな頑張って!」
 ゲニウスが号令を発すると、指揮下にあるフライング・シュリンプの大群は敵の群れに突入。昆虫のような羽を震わせてビュンビュンと戦場を飛び回る。アヤカシエンパイアの海にも空にも、こんな生物はおそらく存在しないだろう。
『ナ、何ダ、コイツラ?!』『邪魔ダ!』
 破れ式神達は困惑しながら【不動禁縛符】を放つが、大量にいる有翼エビの一匹一匹に符を張り付けていってもキリがない。彼らにとって幸いなことは、このエビの攻撃力がそれほど高くはないことだろう。ハサミは小さく、体も大きくはないので、体当りされても大したダメージにはならない。

「まともにやりあわなくていい。小回りを利かせて飛び回れ!」
 ゲニウスも配下の生態は把握したうえで、それを補う作戦と装備を用意していた。フライング・シュリンプの群れが敵を撹乱している隙を狙って、南洋産ウミホタルの発光成分を濃縮した「海蛍閃光弾」を投げ込む。直後に目を覆った瞬間、青白い閃光が戦場を染め上げた。
『グアッ!!?』『ヨ、ヨクモ……!』
「今だ!」
 視界を奪われた破れ式神どもは、光視症に苛まれながらヨロヨロとよろばい歩く。そこにすかさず、上空で待機していたエビ達が「沈滞の投網」を投下する。古代遺跡で見つかった金属繊維で編み上げた、非常に頑丈かつ自己修復機能まで有する、特製の投網だ。

『グ、グヌヌヌ……!』『ウ、動ケヌ……!!』
 すばしっこくて鬱陶しいが危険性は低い雑魚と、フライング・シュリンプを侮っていたのもあっただろう。愚鈍な魚がまとめて漁師の罠にかかるように、網に捕らわれてもがく破れ式神ども。こうなってしまえば彼らの命運は尽きたも同然だ。
「敵を攪乱・拘束できれば他の猟兵の方が打撃面はなんとかしてくれるだろう」
 ちょっと辺りを見回しただけでも、ここには理外の力で無双する猟兵が何人もいる。あとのトドメは彼らに任せればいい――ようは適材適所だ。搦め手と集団戦術を強みとするゲニウスは、それを活かして敵をかき乱すことに徹する。

「今度は私じゃなくて、みんな頑張れー! やれー! そこー!」
 【眠れる力を呼び起こせ!】とフライング・シュリンプ達を鼓舞し、戦闘力を強化するゲニウス。その応援と的確な指揮もあって、敵は続々と無力化されていった。戦場を占めるものの割合が、鶴からエビ優勢に変わるのも遠くはないだろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

西恩寺・久恩
UC超越者の肉体を発動

私、割と戦えますから…かかってこい
『頑張りましょうカモカモ!』『かも!』
大量の敵を前にしても啖呵を切る(フラウディとカモカモも一緒)

わお…大量ですね
敵UCは心眼で鶴の群れを見て第六感と瞬間思考力で敵の群れを隙間の場所を確認して霊力による推力移動で隙間を進み回避する

『フラウディ・スパーク!』『カモ〜!』
肩に乗っているフラウディとカモカモが謎の光線を放ち躱し切れない鶴を攻撃


ふん!
敵の懐まで詰めると怪力で殴り飛ばした

無限天理陰陽術式…
敵の背後に回り込み敵を持ち上げてから

天懸地隔!
ジャーマンスープレックスを敵に決めた

まだまだぶっ飛ばしますよ

フラウディ達も謎の光線で攻撃したのだった



「私、割と戦えますから……かかってこい」
『頑張りましょうカモカモ!』『かも!』
 妖の城にはびこる大量の敵を前にしても、久恩は一歩も怯まなかった。無意識に【超越者の肉体】を発動したまま、フラウディとカモカモと一緒に啖呵を切る。「平安の世」を乱す妖どもに容赦しない、それが陰陽師の使命だからだ。
『貴様モ陰陽師カ……』『ナラバ、死ネ!』
 たとえ人間ではなかろうと、「平安の世」を守る側に与するならば妖の敵だ。城を守る『破れ式神』はばっと鶴翼を広げ、影でできた鶴の群れを放つ。その規模は戦場一帯を黒く染め上げるほどで、創造主譲りの妖力の高さが分かる。

「わお……大量ですね」
 久恩は心眼と第六感で【群影鶴鬼符】の動きを捉え、瞬間的に思考を研ぎ澄ませることで、群れの中に隙間があるのを見つける。すかさず霊力による推力移動でロケットのように飛び出した彼女は、隙間に身を滑り込ませながら進む。
『フラウディ・スパーク!』『カモ〜!』
 彼女の肩に乗っているフラウディとカモカモは謎の光線を放って、躱しきれなかった鶴を撃ち落とす。触れるだけで生命力を奪われる厄介な妖術だが、だったら触れさえしなければいい――それが実行できるのも彼女達の実力あってのものだが。

「ふん!」
『グエッ!!』
 無傷のまま敵の懐まで詰めきった久恩は、怪力任せに拳を振るう。所詮は紙の護符でできた式神が彼女の身体能力に耐えられるはずもなく、吹っ飛ばされたきりピクリとも動かない。肉弾戦に持ち込まれてしまえば、どちらに分があるかは明らかだ。
「無限天理陰陽術式……」
 が、久恩の本領はまだまだこんなものではない。次の敵に狙いを定めた彼女は、背後に回り込んで腰を持ち上げる。
 宙吊りになった破れ式神は『ハ、放セッ!』と暴れるが、子供がもがいているような抵抗だ。そのまま久恩は背中を反らすと――。

「天懸地隔!」
『グギャァッ!!』
 プロレスで言うところのジャーマンスープレックス。完璧に決められた敵は頭から地面に埋まり、断末魔を叫んだ。
 これぞ無限天理陰陽術。一般的な陰陽術とはかけ離れた術理と暴力を前にして、破れ雑色どもは思わずたじろいだ。
「まだまだぶっ飛ばしますよ」
『ヒ、ヒィッ……!』
 スッと構えを取り直す久恩に、あんな風に投げられるのは御免だと逃げだす妖ども。無論、逃げられるはずもない。
 ターゲットの背後に猛ダッシュで追いつき、ちぎっては投げ、ちぎっては投げの繰り返し。その無双っぷりは止まることを知らない。

「遠くの敵は任せますね」
『はい!』『カモ~!』
 打撃や投げ技が届かない間合いにいる敵には、フラウディ達が謎光線で攻撃する。近距離・遠距離で役割の分かれた主従の連携によって、敵を討ち漏らす心配もなく。最初はあれだけ多かった式神の群れも、気づけば随分少なくなっていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と

これだけの大群相手ならと俺も思ったけど
構える相棒に声をかけて一旦考えよう
「時人、作戦があるんだが」
次は敵首魁との戦いだしここで全力もな
何より俺達の全力だとあの城にも当たりかねない
こんな準備を進めている敵だ
本拠地を先に傷つけたら何が起こるかもわからない
「って訳で、この場は『押し通る』事にしよう」

相棒も了承してくれたし、此処からは戦闘だ
速度と対応力重視で【神速「空閃」】を使用
背を取られないようにしながら前へ切進んでいく
「相棒、あんまり無茶するなよ!」

空閃で背後の防御ととっさの足場を作り
接近した相手には両手の武器で対処
兎に角前へ進んでいくよ
「止めれるものなら止めてみろ!」


葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と

えらく沢山いるね
「本丸を守る不退転の決意ってヤツかな」
馬鹿にする訳では決してないけど
一個体としてはそこまで強くないように見える
ただただ数が厄介なタイプだ
範囲攻撃でってなると海を越えた大拡散砲を再度
…とか考えたトコで相棒から提案

ああ、そうか
全部を全部やんなくても良い
要は『押し通る』事が急務だもんな
「おっけ分かった」

なら戦速重視だ
UCククルカンウイング詠唱

相手も鶴だし飛ばれたら厄介だから
「これが一番!」
陸井が寿命を削る技を危惧してるけど
「直ぐ城に到達出来たら問題無しだよ!」

超速飛行で敵も影鶴も大鎌でなぎ払う
「お前らでは俺達は止められないよ!」

全力で斬り進み城を目指そう!



「えらく沢山いるね」
 孤島に築かれた城に向かう時人達を待っていたのは、城主に使役された『破れ式神』の大軍だった。術士の装束を纏った鶴型の妖が、ざっと見渡しただけで数百体。城や島全体で数えれば数千はいるかもしれない。そして外敵の上陸を許したた現状でも、持ち場を離れる気配はなかった。
「本丸を守る不退転の決意ってヤツかな」
 馬鹿にする訳では決してないが、一個体としてはそこまで強くないように見える。ただただ数が厄介なタイプだ。
 範囲攻撃で一網打尽にするのが手っ取り早いとなると、海を越える時にも使った【白燐大拡散砲】を再度――と、時人が作戦を考えていると。

「時人、作戦があるんだが」
 これだけの大群相手ならと、陸井も最初は時人と同じことを考えた。だが、次は敵首魁との戦いが控えており、ここで全力を出すのは躊躇われる。何より自分達の全力だと、あの城にも当たりかねない――そこまで考えたところで、彼は身構える相棒に声をかけた。
「こんな準備を進めている敵だ。本拠地を先に傷つけたら何が起こるかもわからない」
「ああ、そうか。全部を全部やんなくても良い、要は『押し通る』事が急務だもんな」
 この式神どもを含めた島の妖も、城主さえ倒せば烏合の衆に成り下がる。それなら余計なことには力を裂かず、迅速に突破する手段さえ考えれば良いのだ。陸井の意見を聞いた時人はなるほどと頷き、発動寸前の大拡散砲を解除した。

「って訳で、この場は『押し通る』事にしよう」
「おっけ分かった。なら戦速重視だ」
 陸井の提案に了承した時人は【ククルカンウイング】を詠唱。自分の|​白燐蟲《ククルカン》と合体することで高速飛翔戦闘モードに変身し、スピードと反応速度を爆発的に増大させる。それに反応してか、立ちはだかる破れ式神達も一斉に翼を羽ばたかせた。
「此処からは戦闘だな」
 陸井も速度と対応力を重視して【神速「空閃」】の構えを取る。目的は敵軍の一掃ではなく戦線の突破。そうと決まればこんな所で立ち止まっている暇はない。二人は一瞬だけ互いのことをちらりと見ると、同時に空へと飛び立った。

『奴等ヲ止メロ!!』
 破れ式神達は【群影鶴鬼符】を発動し、影でできた無数の鶴の群れを放ってくる。一体一体が同じユーベルコードを使えば、その総数は空を黒く染め上げんばかりに。だが時人も陸井も臆することなく、道を切り開かんと武器を抜く。
「これが一番!」
 白燐蟲と合体した時人の飛翔速度は鶴どもと比べても群を抜いており、目にも止まらぬスピードで飛び回りながら敵を薙ぎ払っていく。彼の大鎌「黒月」の斬撃は闇の中においてなお輝き、悪しき妖に速やかな死をもたらすのだった。

「相棒、あんまり無茶するなよ!」
 時人の身を案じながら、陸井も遅れは取るまいと空を駆ける。左右のガンナイフと小太刀から繰り出される攻撃は、超音速の域で敵を切り裂き、軌跡に不可視の斬撃を残す。それを足場にして彼は文字通り前へと「切り進んで」いく。
「直ぐ城に到達出来たら問題無しだよ!」
 陸井が危惧するのは【ククルカンウィング】が寿命を削る技だからだが、当の使用者は平気の平左。リスクを恐れずトップスピードを維持し、敵も影鶴も立ち塞がるものは全て斬り伏せる。これだけの数の大軍が、まるで足止めにすらなっていなかった。

『オ、オノレ……!』
「おっと」
 どうにか突破を阻止しようと背後から襲い掛かる破れ式神。それを警戒していた陸井は「空閃」を放ち、防御と即席の足場を作る。短刀銃『護身』と小太刀『身護り』の二刀流によって、遠近どこからの攻撃にも対処する構えはできている。警戒しつつも余裕を保った様子で、兎に角前へと突き進む。
「邪魔するな!」
『ギャァッ!?』
 時人のほうも順調の様子だ。身を呈して行く手を阻む破れ式神を、大鎌の一振りで真っ二つにし、紙屑へと変える。
 兵数自体はまだ残っているが、一点突破に専念する彼らの攻勢を押し止めるのは、もはや不可能に近い状況だった。

「止めれるものなら止めてみろ!」
「お前らでは俺達は止められないよ!」
 最速かつ最短距離を一直線に、一丸となって突き進んだ二人は、ついに敵の防衛ラインを突破して本丸に突入する。
 背後で喚き立てる妖どもは、もはや追いつくことはできない。彼らが狙い定めた相手はただ一人――城主との決戦は目前に迫っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『悪霊陰陽師』

POW   :    赤鬼剛力薙
【赤鬼型式神の太い腕】の横薙ぎで、近接範囲内の全員を攻撃する。近接攻撃を仕掛けてきた敵には先制攻撃可能。
SPD   :    青鬼乱撃陣
【青鬼型式神の鋭い爪や角】で近接攻撃する。低威力だが、対象が近接範囲から離脱するまで何度でも連続攻撃できる。
WIZ   :    陰陽爆砕撃
【青鬼の鋭い爪や角】で装甲を破り、【赤鬼の怪力】でダウンさせ、【陰陽爆砕符】でとどめを刺す連続攻撃を行う。

イラスト:黒丹

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『おのれ、役立たず共め……こんな所にまで外敵の侵入を許すとは』

 蔓延る『破れ式神』の大軍を蹴散らして、孤島に築かれた城の中心部にまで到達した猟兵達。
 そこで彼らを待ち受けていたのは、禍々しい邪気をまとった一人の妖であった。

 それは、かつては人であったものだが、今は違う。
 深い怨讐によって死後妖と化した平安貴族――『悪霊陰陽師』だ。

『貴族どもの目を盗み、城を立て、兵を集め……あと一歩で都に攻め入る用意が整ったというのに!』

 生前の彼が何者であり、何故京の都に敵愾心を向けるのかは分からない。
 ただ、大悪霊と化した現在の彼は、生前にも勝る陰陽の技をもって「平安の世」を脅かさんとしている。それだけは疑いようのない事実だ。

「我が大望、ここで終わらせはせぬ。貴様らなぞこの手で血祭りに上げてくれるわ!」

 言うや否や、悪霊陰陽師は大量の呪符を展開し、式神を召喚する。
 いずれも先程の破れ式神より強大な妖気を感じる。体言を吐くにふさわしい実力はあるようだ。

 ならばこそ、ここで奴を討ち取ることができれば、この島を妖の拠点にする計画は頓挫する。
 はかなくも美しき「平安の世」を守るために。妖の島における戦いは、いよいよクライマックスの時を迎えた。
武富・昇永
随分と準備に手間暇かけたようだな!
そのおかげで人的被害はほとんどない状態で
こうして追い詰めることができたのだから
その慎重さには感謝するほかないな!

あと島一つを拠点にする気宇壮大さも俺にはありがたかった!
そんな妖を討ち滅ぼしたなら、俺の名声はうなぎ上りとなること間違いなしだからな!

さて戦い方としては
【出世道・昇鯉遡上の心】で跳躍力を強化し
部屋の中を飛び回って敵を翻弄しながら
こっそり{転身式神・多忙冠者}を召喚して敵に突撃させ囮にする。
敵が多忙冠者を攻撃したらその隙をついて死角から一気に飛び込み
『欲望解放』で溢れた出世欲を{妖切太刀・御首級頂戴丸}に注いで
『妖魔殺し』の袈裟斬りを食らわせる
以上だ!



「随分と準備に手間暇かけたようだな! そのおかげで人的被害はほとんどない状態で、こうして追い詰めることができたのだから、その慎重さには感謝するほかないな!」
 此度の首謀者たる『悪霊陰陽師』と対峙した昇永は、圧倒的な邪気と妖力に怯みもせず、居丈高な調子で言い放つ。
 このような僻地で慎重にことを進められていたが故に、発覚は遅れたが手遅れにはならなかった。結果的にこの状況は不幸中の幸いとも言えるだろう。
「あと島一つを拠点にする気宇壮大さも俺にはありがたかった! そんな妖を討ち滅ぼしたなら、俺の名声はうなぎ上りとなること間違いなしだからな!」
「名誉ばかりを追い求める愚物か……嘆かわしい」
 個人的な野望を恥じることなく堂々と口にする昇永に、悪霊陰陽師は嫌悪感を露わにする。彼の精神性を理解しない者からすれば、その態度は権力欲に取り憑かれていると思ってもおかしくない。しかし、ただ功名に逸るだけの馬鹿と彼を一緒にするのは大間違いだ。

「征け」
 悪霊陰陽師が一言命じると、召喚された青鬼型式神が昇永に襲い掛かる。陰陽師ならば式神の使役は基礎中の基礎だが、彼の式神は手数に優れ、間合いに入った標的を死ぬまで執拗に攻撃を繰り返す。その鋭い爪と角は猟兵にとっても脅威だ。
「今こそ功名を立てる好機! この一時に全てを懸ける!」
 対する昇永は【出世道・昇鯉遡上の心】で強化された跳躍力を以って、城内を縦横無尽に飛び回る。功名を挙げるための首級が目の前にあるのに、決着を付けずして負われるものか。角も爪もひらりと躱し、追いすがる青鬼を翻弄しながら、視線は敵将からピタリと離れない。

「ええい、ちょこまかと、飛蝗のように跳ね回りおって!」
 相手の動きを目で追いきれず、業を煮やす悪霊陰陽師。近接攻撃範囲から引き離されると、青鬼でも手が出せない。
 この間に昇永はこっそりと「転身式神・多忙冠者」を召喚し、自分の姿が敵の視界から外れるタイミングを狙って、それを敵将に突撃させた。
『どこを見ている!』
「ぬうッ! 舐めるでないわァ!」
 多忙冠者の見た目は使役者そっくりで、術者の欲望が増すごとに本物らしい存在感を放つ。完全にそれを昇永本人だと誤解した悪霊陰陽師は全力で反撃する――そこに生じた隙は本物の昇永にとって、功を挙げる絶好の機会となった。

「残念だったな! 俺はここだ!」
「な、何ぃッ!?」
 全力の跳躍を以って、一気に懐に飛び込む昇永。出世欲を全解放した彼の手には「御首級頂戴丸」が握られている。
 主の欲望を注がれた妖切太刀は本日最高ともいえる切れ味を発揮し、驚愕する悪霊陰陽師を袈裟懸けに斬り伏せた。
「最初の一太刀は貰ったぞ!」
「ぐ、ぐはぁッ!!!」
 妖魔殺しの斬撃を食らった悪霊陰陽師から、どす黒い血が噴水のように吹き出す。その身に深々と刻まれた傷こそ、昇永の武功の証明だ。それでもまだまだ名声を欲する彼は、あわよくば御首まで頂戴せんと愛刀を構え直すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ゲニウス・サガレン
こういう術師のタイプは攻撃は強力だが、本体を接近戦や一撃必殺で狙えばいける、というのがよくあるパターンだと思うけど、式神2体をかいくぐるのは容易ではなさそうだ……

アイテム「星屑ロケットランチャー」&「陸生珊瑚の浮遊卵」&「フライング・シュリンプ」

まずは浮遊卵をばらまく
これは視界を遮ると共に、ランダムに跳ねるように浮遊して敵の攻撃を邪魔する効果がある
フライング・シュリンプは牽制飛行、攻撃しなくていいから敵の視線を逸らせ
そのすきに背後からよーく狙ってロケラン(弾頭はキノコの胞子、むせる)で攻撃だ!

…と見せかけて
UC「水魔アプサラー召喚」
友よ君の力が必要だ!
水を操り、太い水流で足元からやつを流せ!



(こういう術師のタイプは攻撃は強力だが、本体を接近戦や一撃必殺で狙えばいける、というのがよくあるパターンだと思うけど、式神2体をかいくぐるのは容易ではなさそうだ……)
 おどろおどろしい赤鬼と青鬼を従えた『悪霊陰陽師』を見やり、そのように分析するのはゲニウス。向こうも自分の得手不得手を把握しているのなら、そう簡単に隙を見せてはくれまい。必要となるのは相手の予想の裏をかく知略だ。
「まずは、これでいこう」
 荷物袋の中から彼が取り出したのは「陸生珊瑚の浮遊卵」。城内にばら撒かれると、それは大気中の水蒸気を吸って膨張し、ふわふわと宙に浮かぶ。遠目には美しいかもしれないが、戦場にこんなものが漂っていれば、敵からするとさぞかし邪魔だろう。

「目眩ましのつもりか? こんなもの……なにっ?!」
 悪霊陰陽師は二体の式神に攻撃を命じるが、角で突かれても拳で殴られても、浮遊卵は異常な弾性で跳ね返るだけで壊れない。ランダムに空中を跳ねる卵は敵の攻撃を邪魔しつつ視界を遮るためのもので、これがある限りゲニウスを直接攻撃するのは難しい。
「攻撃しなくていいから、もう一度頑張ってくれ! よろしく!」
 さらに破れ式神との戦いで呼び出したフライング・シュリンプの群れも、牽制飛行で敵の注意を逸らす。一匹一匹は弱くても、こうも数が多くては無視できまい。「邪魔だッ!」と叫ぶ悪霊陰陽師の声音は、強い苛立ちを含んでいた。

(よし、今のうちだ)
 浮遊卵と有翼エビが敵の視線を逸らした隙に、ゲニウスは背後に回り込んで「星屑ロケットランチャー」を構える。
 弾頭にセットするのは、とある世界で採取した遺跡キノコの胞子。火薬に比べると威力は低いが、着弾すると非常にむせて、術を唱えるどころではなくなる。
「よーく狙って……」
「……! 貴様!」
 だが敵もさるものと言うべきか、発射トリガーを引く前に悪霊陰陽師は背後の脅威に気付く。先に察知されてしまうと、向こうは式神を盾にするなり術で迎撃するなり幾らでも対抗できる。折角の奇襲のチャンスを逸したゲニウスは、驚いたように目を丸くする――。

「……と見せかけて! さぁ目覚めよ、アプサラー!」
 直後、にやりと笑って発動するのは【水魔アプサラー召喚】。飼育用の壺から飛び出したウミヘビ型の悪魔が、流水の術を以って攻撃を仕掛ける。ここまでの一連の撹乱も、これ見よがしなロケットランチャーも、全ては本命を隠し切るための作戦だったのだ。
「友よ君の力が必要だ! 水を操り、太い水流で足元からやつを流せ!」
「な……なにいぃぃぃぃぃーーーーッ!!!!?」
 水魔アプサラーより解き放たれた水流は、鉄砲水の如き勢いで悪霊陰陽師の足元をすくい、式神もろとも押し流す。
 多少気まぐれなところもあるが、そのぶん悪魔の力は絶大だ。強烈な水圧で城の壁まで叩きつけられ、敵は驚愕と苦悶の絶叫を挙げるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

西恩寺・久恩
無意識にUC超越者の肉体を発動

ここで遠距離攻撃の出番ですね
『カモカモ!いよいよ活躍出来ますよ!』『カモ!』
フラウディとカモカモを後方で待機させる

いざ勝負…おっと
推力移動で加速しながら心眼と気配感知で式神の動きを予測して回避する

…よっと
敵の式神が爪で攻撃してきたら回避この時角攻撃がしやすい位置に移動する

このタイミングですね
角攻撃のタイミングで相手の動きを心眼で見てお祓い棒でシャドウパリィして体勢を崩す(怪力)

『フラウディ・スパーク!』『カモ〜!』
チャンスですね、えい
二人が光線を放ち式神に攻撃したらお祓い棒で式神を殴り



無限天理陰陽術式…石心鉄腸
本体にUCを発動して殴り飛ばした

…これが私の術式ですよ



「ここで遠距離攻撃の出番ですね」
『カモカモ! いよいよ活躍出来ますよ!』『カモ!』
 式神を従えた陰陽師という、奇しくも似たようなメンバー編成。孤島の城主『悪霊陰陽師』と対峙した久恩は、気合十分のフラウディとカモカモを後方で待機させ、自らは前に出る。悪霊化したことで手に入れた力がどれ程のものか、まずはお手並み拝見だ。
「いざ勝負……おっと」
 迎え撃ったのは鬼型式神の片割れからの【青鬼乱撃陣】。鋭い爪と角による攻撃を、彼女は推力による加速で躱す。
 式神にも気配はあるし、心眼で動きを予測することもできる。だが、青鬼からの攻撃はそれで終わりではなかった。

「我が式神の連撃、全て捌ききれると思うな」
 標的が攻撃範囲にいる限り、青鬼は何度でも連続攻撃を行う。一撃の威力が軽いぶん、手数に特化しているようだ。
 あまりにも執拗な猛攻を前に、【超越者の肉体】を発動中の久恩でさえ悪霊陰陽師に接近する隙がない。回避と防御で手一杯だ。
「……よっと」
 しかし防戦一方でも彼女の顔に焦りはなかった。冷静に式神の行動パターンを把握すると、まずは爪を回避しつつ、この時に角で追撃がしやすい位置にわざと移動する。そうすれば敵は当然チャンスとみて突き掛かってくるはず――。

「このタイミングですね」
『グォ?!』
 予想通りのタイミングで来た攻撃を、お祓い棒でパリィする久恩。人外の怪力でパシンッと角をはたかれた青鬼は、まんまと体勢を崩した。攻撃を誘われたと気付いたとしても遅い。この時を待っていたのが、後方待機していた彼女の式神達である。
『フラウディ・スパーク!』『カモ〜!』
「チャンスですね、えい」
 フラウディとカモカモの謎光線が青鬼式神に浴びせられ、久恩もお祓い棒で追い打ちをかける。御幣で飾り付けられてはいるが、実のところ彼女が振るうのは戦闘用の鉄棒だ。容赦のない連携攻撃を食らった青鬼は『グギャァァァ!』と悲鳴を上げ、ただの紙切れに戻っていった。

「チィッ! 赤鬼よ、奴らを……ッ!」
 悪霊陰陽師が残った式神をけしかける前に、久恩は懐に飛び込んでいた。握りしめた拳より繰り出すのは、次元破壊級のジョルトブローとボディブロー。常識の埒外にまで高められた"暴"の力が、妖に堕ちた陰陽師に叩きつけられる。
「無限天理陰陽術式……石心鉄腸」
「ごはぁッ!!!」
 見た目は少女の小さな拳。されど、そこに秘められた威力は悪霊陰陽師に血反吐を吐かせ、吹き飛ばすほどだった。
 その凄まじさたるや、彼が叩きつけられた壁がクレーターのようにめり込むほど。そこらの陰陽師の術式では、同じ芸当は不可能だ。

「ごハッ……き、貴様、本当に陰陽師か……?」
「……これが私の術式ですよ」
 よろめきながら疑問の声を上げる悪霊陰陽師に、しれっとした顔で答える久恩。誰がなんと言おうとも、彼女はこの陰陽術(物理)で妖を葬ってきたのだ。しょせんは道を外れた陰陽師にどうこう言われる筋合いもなし――文句があるなら黙らせるまでと、彼女はもう一度拳を握った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と

先の戦闘で全力を出さなくてよかった
展開された式神達も眼前の妖も
明らかに今までの敵と違う
そして何よりも感じる怨讐
その気配に気を抜かず武器を向ける
「時人。本気で行くぞ」

【水遁「無尽霧影分身撃」】を使用
開始と同時に展開し二人で分身の中に紛れ
分身達は攻撃を受けたら爆弾へ変化
そのまま爆破して戦場をかき回す
「お前達の好きにはさせないよ」

式神をやり過ごして妖に接敵したら
武器受け、威圧、見切りと技能を駆使し
俺は只管インファイトで引き付けて戦う
聞いてみたい事もあるしな
「なぁ、あんたはどうして都を狙うんだ?」

俺だけじゃ決定打にならないのは解ってる
だからこそ、信頼する相棒に一撃を任せるよ


葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と

悪性が滴る言い方だね
陸井も何か思う所があるみたいだ

「結局、お前が欲しいのは『人の世』じゃないか」
妄執の果てで自分を悪霊に変えてまで
人の世を壊す存在に成ったモノが
人の世を我が物にしようと足掻くのは
凄く矛盾してる
でももうこいつは
それに気付けない処に堕ちてる

ならそれを解らせる
「勿論。本気でいくよ」

この世界の理は俺達が護る!

陸井の分身の間に紛れつつ
全力で光蟲の槍を詠唱しよう

陸井の至近攻撃で敵は手を取られる
被弾は分身の護りとオーラ防御等で防ぎ
ただ俺の中から力を汲み上げる

相棒の問いへの答えがどうであれ
「お前にはもう人の世を手にする資格はない」

こいつが永遠に失った光で引導を渡そう



(先の戦闘で全力を出さなくてよかった)
 展開された式神も眼前の妖も、明らかに今までの敵と違う。そして何よりも感じる怨讐――その気配に気を抜かず、陸井は武器を向ける。亡霊やゴーストの類とは何度も戦ってきた彼が、ここまで警戒するほど『悪霊陰陽師』の妖気は並外れていた。
「怨めしや……この屈辱、この憎しみ、晴らさずにおくものか……!!」
 ここまでの戦闘で悪霊陰陽師も消耗している。だが傷つけば傷つくほど彼の怨念は増すばかりだ。元は「平安の世」を守る貴族の一員だったはずの彼が、何故真逆の妖に成り果てたのか。そこに並々ならぬ理由があるのは間違いない。

「悪性が滴る言い方だね」
 立ちはだかる悪霊に向かって、時人は強気に言い放った。相棒は何か思う所があるみたいだが、それは彼も同じだ。
 貴族の目を盗み、城を立て、兵を集め、都に攻め入る用意を整えていたとアレは言う。随分と周到なことだが――。
「結局、お前が欲しいのは『人の世』じゃないか」
 妄執の果てで自分を悪霊に変えてまで、人の世を壊す存在に成ったモノが、人の世を我が物にしようと足掻くのは、酷く矛盾している。オブリビオンと成り果てた時点で、どうあっても「平安の世」とは相容れるはずがないのに、未練じみたものを感じずにはいられない。

(でももうこいつは、それに気付けない処に堕ちてる。ならそれを解らせる)
 どうあろうとアレの望みは叶わない。否、叶えさせてはならない――無益な進軍の果てにあるものは、生命の絶えた死の大地だけだ。隣にいる相棒をちらりと見れば、陸井の思う所も近しいようで。冷静な、されど闘志に満ちた眼差しが返ってきた。
「時人。本気で行くぞ」
「勿論。本気でいくよ」
 同意と共に二人が身構えた瞬間、悪霊陰陽師の邪気も膨れ上がる。あちらも残された全ての妖力を出し尽くす気だ。
 赤鬼の式神が剛腕を振り上げ、青鬼の式神が鋭い爪と角を振りかざす。迎え撃つように即、ユーベルコードを発動したのは陸井だった。

「俺達を見つけられるかな」
 霧の術式による【水遁「無尽霧影分身撃」】が、城内に多数の分身を作り出す。その中に紛れてしまえば、敵が本物の陸井と時人を見分けるのは困難だ。突然現れた151体もの分身を前にして、向こうの式神も戸惑っているのが分かる。
「そのような幻術如き、まとめて蹴散らしてしまえ!」
 と、悪霊陰陽師は檄を飛ばすが、攻撃を受けた瞬間、分身は爆弾へと変化する。陸井の水遁をただの無害な目眩ましだと思ってはいけない――なにも知らずに手を出した式神は爆風と衝撃をモロに浴び、「グギャッ!」と悲鳴を上げて吹き飛ばされた。

「お前達の好きにはさせないよ」
「この世界の理は俺達が護る!」
 分身と爆弾で戦場をかき回しながら、敵との距離を詰めていく二人。式神をやり過ごして悪霊の元まで接近すれば、ここからは攻撃のターンだ。時人は「白羽蟲笛」を鳴らして蟲達を喚び集め、陸井は小太刀「身護り」で斬りかかる。
「くッ……赤鬼よ!」
『ウオオオッ!!』
 これに即応した赤鬼の式神が【赤鬼剛力薙】で後の先を取る。その巨体と剛腕を活かした横薙ぎは、単純だが威力は侮れない。陸井は護りの小太刀で打撃を受け流し、時人はオーラの鎧を身に纏うことで、なんとかダメージを最小限に留めた。

「なぁ、あんたはどうして都を狙うんだ?」
 敵の攻撃を食らっても、陸井はそのままインファイトの距離を保つ。敵の狙いを引き付ける目的もあるが、この機会に聞いてみたい事もあった。鬼の式神と切り結びながら、問いかける相手は悪霊陰陽師。倒さねばならぬ敵とはいえ、せめて動機ぐらいは知っておきたかった。
「都の者共は、我から全てを奪った……そう、全てだ! ならば今度は、我が奴らから全てを奪ってやる……!!」
 対する悪霊の返答は要領を得ず、譫言めいた怨嗟が殆どを占めた。あるいは本人にも生前の記憶は朧げにしかなく、曖昧とした妄執に衝き動されているだけなのかもしれない。ただ剥き出しの絶望と憎悪、都に対する復讐の念だけは、痛いほどに伝わってきた。

「許さぬ……許さぬぞ……ォォォォォオ!!」
 激情のままに悪霊が咆哮すれば、式神も呼応するように荒ぶる。その猛攻を一手に引き受ける陸井には、じりじりと疲労の色が見え始めていた。彼自身、自分の力だけでは決定打にならないのは解っている。水遁の分身も爆弾も、あくまで撹乱以上のものにはならない。
(だからこそ、信頼する相棒に一撃を任せるよ)
 陸井の役目は相棒を詠唱に集中させるための前衛。背後より白き光の波動を感じると、彼は小さく笑みを浮かべた。
 敵の攻撃を逸らしながらスッと横に動き、射線を開ける。その向こうには、眩き【光蟲の槍】を携えた時人がいた。

「お前にはもう人の世を手にする資格はない」
 過去にいかなる理由があろうとも、声高に復讐を訴えても――悪霊と化し、妖に堕ちた時点で、結論は変わらない。
 己の内より汲み上げた力を、白燐蟲と一振りの槍として束ね。乾坤一擲の覚悟を込めた時人の一投が、悪霊陰陽師に放たれる。
「お前が永遠に失った光で、引導を渡そう」
「オ、オオオォォォォォ――――!!!!」
 槍は巨大な光の柱と化し、式神もろとも悪霊を包み込む。その燦然たる輝きは、闇に堕ちし者を魂まで灼き尽くす。
 獣のように絶叫しながら、悪霊陰陽師は必死に脱しようとするが、伸ばした手が、足が、ボロボロと塵となって崩れていく。

「オ、ォォォ……口惜しや……」
 最期の最期まで未練と怨念に満ちた呪詛を遺しながら、京の都を攻め落とさんとした悪霊は骸の海に還っていった。
 同時に城内から、いや島全体から妖の気配が消えていき、島を孤立させていた瘴気の風が止む。雲の切れ間から姿を現すのは、「平安の世」を象徴する太陽の光であった――。



 かくして孤島に潜む妖は討ち取られ、この地が妖の拠点となることは阻止された。
 薄氷の如きはかない「平安の世」は、此度も猟兵達の尽力によって、辛くも命脈を保たれたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年04月17日


挿絵イラスト