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見果てぬ平和の歌

#獣人戦線 #クロックワーク・ヴィクトリア #イングランド戦線 #狂気要塞 #『A』ubade #プロメテウス

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#狂気要塞
#『A』ubade
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●メーデー
 熾火のように昌盛する灯火があるのだとしても、その熱が生命を灼くことを君は知るだろう。
 燃えるような心は生命を燃やし尽くすものだ。
 それが生きるということならば生きることは死ぬことである。
 虚しいと君は言うだろうか。
『戦いに際しては心に平和を』
 如何に虚飾にまみれ、牴牾たる言葉であるかを。
 星の海も、常闇の空も、桜舞い散る世界も、鋼鉄の巨人が闊歩する戦場も、神仙と人が交わる道も、青空がどこまでも広がる世界も、銀の雨が、骸の海が降りしきる世界も、侵略の炎が尽きぬ星も。

「それでもだよ。『フュンフ・エイル』。強いだけの力に価値なんてない。その優しさが世界には必要だ。もしも、それが弱さだという者がいるのだとすれば、本当の強さを知らない者だ」
 そして、と彼は言う。
「『戦いに際しては心に平和を』、その言葉を盾にしてはならない。その影に隠れてはならない。誰かのせいにしてはならない。それはすでに君の道だ。誰に求められなくても、誰に謗られても、君は傷つく必要はない」
 なぜなら、と彼は言う。

 画面の中の彼は微笑んで言った。
 戦禍に飲み込まれても。
 病を得ても。
 変わらぬままの顔で彼は言う。
「けれど、甘えは許されない。君は決めたんだ。願っただろう。歪めて叶えられたのだとしても、それでも。君は己を欺けない。故に君は前に進むしかないんだ」
 たとえ、己が道を振り返った先にあるのが数多の屍の山であったとしてもだ。
 時は『過去』を踏みつけて前に進んでいく。
『今』は絶えず変わる川の流れ。
 骸の海にいずれ到達するのだとしても、それでも『未来』は『今』の先にしかないのだ。

「いいかよ、『フュンフ』。聞けよ、『フュンフ』。ありのままでいいなんて言うな。常に変わり続けろ。そして、これは言葉だ。ただの言葉だ。なんの力もない」
 先駆けの君は言う。
 あまりにも速く生命を駆け抜けていった君。
「どんな困難も逆境も乗り越えなければ意味がないんだぜ。打ちのめされて膝を折って慰めを待つなんてことするな! それは自分を欺くことだ! 進めよ! いつだって愚直に『平和』を求めて前を向いたお前だから私達はついて行ったんだ!」
 そうだ。
 止まれない。止まれるわけがない。
 だから、問いかけよう。

「僕の……俺の名は『フュンフ・エイル』。君はまだあの歌を歌えるか――」

●狂気映画祭
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)だった。
「お集まり頂きありがとうございます。獣人戦線における超大国が一つ『クロックワーク・ヴィクトリア』が誇る移動型要塞『狂気要塞』の存在が確認されました」
 ナイアルテの言葉に猟兵たちは、なんだそれは、と問いかけるだろう。
『狂気要塞』とは、狂気の蒸気技術によって建造物に改造された『超巨大UDC』である。
 その特性は、周囲の状況に応じて変幻自在に姿を変えることにある。
 周囲の認識を狂わせ、同時に融合を果たす。
 するとどうなるかなど言うまでもない。
『クロックワーク・ヴィクトリア』の都市の一部に擬態することができるということだ。そして、その都市に住まう住人たちは『狂気要塞』に己達が住処が取り込まれていることにさえ気が付かぬままに狂気に侵され、正気を失い猟奇的事件を引き起こし、身も心もオブリビオン化してしまうのだ。

「つまり、これは侵略と徴兵を同時に行う恐るべき『狂気要塞』のやり方なのです」
 とは言え、獣人たちによる猟奇事件とは一体どのようなものなのだろうか。
「私が予知した都市は霧の如き蒸気に満ちています。その蒸気をスクリーンにあちこちに映写機から投影された映画が上映されています」
 映画?
 猟兵たちは首を傾げる。
 ナイアルテは頷く。
「内容は、どうやら戦場の少年兵たちが織りなすドラマのようです。ですが、この映画が狂気の元です。そして、この何処かに『狂気要塞』の指揮を行っている指揮官オブリビオンが存在しているのです」
 そのオブリビオンを見つけ出し、これを打倒し狂気に侵されて徴兵されようとしていた獣人たちを開放しなければならない、ということである。

「黒幕たる指揮官オブリビオンは、映画の配役に獣人たちを当てはめ、ロールプレイの後に最後の一人になるまで殺害させあうようです」
 どうやら蒸気のスクリーンに投影された映画の登場人物たちは9人。
 最後の一人になるまで『狂気要塞』の狂気は獣人たちを殺し合わせ、そうして残った一人をオブリビオン化するようなのだ。
「このような暴挙を許してはおけません。どうか、皆さんの力で蒸気の映画上映を為すオブリビオンを見つけ出し『狂気要塞』の駆動機関『蒸気内蔵』を破壊しましょう。そうすれば『クロックワーク・ヴィクトリア』に打撃を与えられるはずです」
 狂気満ちる都市。
 その中で起こる獣人同士の殺し合い。
 どうやら配役の9人は選ばれた最後の一人以外の殺害順番は決まっているようだが、この殺人を止め、指揮官オブリビオンを探し出さなければならない。

「今回の事件を解決しても、恐らく『狂気要塞』自体を破壊することはできないでしょう、ですが……皆さんの活躍があれば、あるいは……」
 できるかもしれない。
 その僅かな可能性にすがるようにしてナイアルテは猟兵たちを送り出すのだった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 『獣人戦線』において『超大国』の一つ『クロックワーク・ヴィクトリア』の策謀たる『狂気要塞』によって巻き起こる猟奇事件を止め、オブリビオンを打倒するシナリオになります。

●第一章
 日常です。
『狂気要塞』に同化されている獣人の都市は、大量の蒸気に煙り、あちこちで蒸気をスクリーンにするように映画が上映されています。
 この映画の登場人物9人に獣人たちは配役を強いられ、最後の一人になるまで殺し合いをさせられています。
 また、いくつかの上映映画はダミーですが獣人同士の殺し合いは起こっています。ダミーと言えど、これを止めなければならないでしょう。
 そして、この蒸気に紛れている指揮官オブリビオンを探し出さなければなりません。
 全ての映画のストーリーが進むにつれて配役の9人の何れかが殺されていきます。この殺人に介入し、止めつつチラつくオブリビオンの影を探しましょう。

●第二章
 ボス戦です。
 第一章の結果、黒幕たる指揮官オブリビオンの所在を暴くことができました。
 この指揮官オブリビオンを打倒し、狂気に侵されて徴兵されようとしていた獣人たちを開放しましょう。

●第三章
 集団戦です。
 指揮官オブリビオンを撃破しましたが、皆さんは戦っていた場がすでに『狂気要塞』の内部であることに気がつくでしょう。
 この要塞内部から溢れ出すオブリビオンを蹴散らしつつ脱出しなければなりません。
 また同時に要塞内部に踏み込んでいたということはチャンスでもあります。
 可能であれば、蒸気機関で駆動する『狂気要塞』の『蒸気内蔵』だけでも破壊すれば、『クロックワーク・ヴィクトリア』軍に打撃を与えることができるかもしれません。

 また、この『狂気要塞』自体はそう簡単に全壊させることはできないでしょう。
 ですが、狙う価値はあるでしょう。

 それでは『クロックワーク・ヴィクトリア』が齎す『超巨大UDC』による狂気。その狂気に侵され、また同時にオブリビオンとして徴兵されようとする獣人たちを救う皆さんの物語の一片となれますように、いっぱいがんばります!
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第1章 日常 『映画観賞(獣人戦線編)』

POW   :    子供向けのアニメ映画を見よう…妙に風刺されたキャラクターばかりだな…

SPD   :    戦況を伝えるニュース映画を見よう…妙に都合が良すぎるような…

WIZ   :    大人向けのメロドラマ映画を見よう…妙にプロパガンダ色が強いけど…

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『サロメサージェント』――『ノイン』は分厚い蒸気の影に身を潜める。
 目の前にはスクリーンとなった蒸気を光で染め上げる映像があった。
 懐かしさを覚えるような、何も覚えがないかのような映像だった。
「あれは所詮他人事だ」
 9人の登場人物。
 彼らは殺し合ったのではない。
 戦火に消えた者もいれば、凶弾に倒れた者もいる。
 いずれもが敵に打倒された者などいない。
 ただ、状況に殺されただけだ。そうしなければならないと走って死ぬ者もいた。信じたがゆえに死んだ者もいた。
 だが、関係ない。

 目の前に上映される映画。
 そこに映された配役の末路。
 その末路に従うようにして獣人たちは配され、殺されていくだけだ。
 運良く配役に恵まれた者だけがオブリビオンへと変わっていく。
「感傷的にさえならない」
 この蒸気の映画祭は、ダミーが多く存在している。
 己が監督役を務める映画が上映されているものだけが、本物。それ以外は無意味な殺し合いでしかない。
 これもまた狂気であるというのならば、そうなのだろう。
 けれど、『ノイン』は頭を振る。
 関係ない。
「狂気の中の『平和』に沈めるのならば、それもまた幸せなのだろうさ」
 さあ、と『ノイン』は9人の獣人たち見つめ、虚飾に塗れた映画を真にするために凄惨たる上映会の開始を告げるのだった――。
アシェラ・ヘリオース
アドリブ・連携歓迎

これは中々に悪趣味だ
やり口の悪辣さは良いとして、垣間見える自己陶酔が鼻に付く駄作だな
ならばこちらの介入も三流のご都合演出で問題なかろう

例えば、敵味方に別れた恋人達がそうとは知らずに互いを撃ち合う戦場
そのただ中に舞い降り、「闇理力盾」で防ぎ留め、両陣営を死なない程度に【念動力】で【吹き飛ばし】て、その脚本に武力介入を試みる

(さて、奴等は何か掴んでくるかな)
派手な挙動は囮。本命は隠密した部下達による、この舞台を見守る脚本家の
洗い出しだ



「駄作だな、これは」
 アシェラ・ヘリオース(ダークフォースナイト・f13819)は既に『狂気要塞』に取り込まれつつある獣人達の都市の様相、そして籠もる蒸気のスクリーンに映し出される映像を見て一言そう評した。
「垣間見える自己陶酔が鼻につく」
 三流が良いところだと映像の作者の悪趣味さを再認識する。
 この『狂気要塞』は認識を歪める。
 獣人たちは普段通りの生活を送っているとしか思っていないだろう。
 しかし、映し出される映像。
 その中にある配役に己が配されていることを知らぬままに、その映像の通りの行動を行って殺し、殺されていく。

 そのことになんの疑問も抱かない。
 認識を歪める『狂気要塞』の蒸気は、獣人たちに異常な行動を異常と認識させないのだ。
「これは中々に悪趣味だ。やり口が悪辣……映像の趣味が合わないが」
 アシェラは街中で撃ち合う獣人たちの間に割って入る。
 彼らは映像の配役に従って、蒸気のスクリーンに映し出される映像の通りに動こうとしている。
 今映し出されている映像は敵味方に別れた恋人たちがそうと知らずに互いを撃ち殺そうとしている戦場だ。
 戦場の悲恋とも言えばいいのだろうか。
 これもまた鼻につく演出である。
 大掛かりというか、外連味が過ぎていると言うか。
 何れにしても悲恋を描きたいのならば、その過程、境遇といったバックボーンがなければ、人の心はつかめないだろう。
 
 それを一息に飛ばして、己が描きたいものだけを描いているのならば、凡作以下に成り下がるのは仕方のないことであった。
 だがしかし。
「人の生命がかかっているのならば」
 アシェラは銃火飛び交う中心に降り立ち、手にした赤光放つ盾を構え、弾丸を受け止めて見せる。
 ダークフォースによる盾は銃弾をたやすく弾き飛ばし、脚本にはない闖入者を配された獣人たちに晒す。
「な、なんだ?」
「何が……ひ、人? なんで此処に……?」
「ふむ」
 アシェラは銃火が止んだのを認める。
 やはり介入すれば、獣人たちはこの歪められた認知を再確認する。
 これがダミーの……それこそ本命の『徴兵』ではないのだとするのならば、この状況を確認しているであろう黒幕たるオブリビオンは動かないだろう。
 アシェラは周囲を見回す。

 人影が不自然に動いたであるとか、己を止めに来るものがいないか。
 その動きをつぶさに確認する。
 だが、動きはない。
 なるほど、とアシェラは頷く。
 これはダミーの映画である、と理解する。このままこの映画の映像の通りに獣人達が打ち合っていれば、よくて生き残る者が出るくらいで、大抵は共倒れになってしまうものであったのだろう。
「洗い出しのためには一つ一つ介入していくしかないか」
 まったく、とアシェラは息を吐き出す。
 映画監督気取りも甚だしい。
「これで此方の介入が敵にも知れていよう。ならば、後は」
 にわかに動き出した状況。
 それを如何にしてか鎮めようと画策するオブリビオンの尻尾を掴むまで。
「それまで介入し続けよう。そうすれば、獣人たちを救うのと同時に黒幕の所在も割り出せる」
 狂気に対するのは根気のみ。
 故にアシェラは介入を果たした獣人達の撃ち合いを止め、さらに蒸気の煙る奥へと進むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ファルコ・アロー
部隊で映画見るって時、皆にヒロインの格好させられたりして困ったもんです。
だからって映画全般が嫌いって事はないですけど、それが胸糞悪ぃ物ってんなら話は別です!
どんなストーリーの映画だろうと、推力移動で突撃して登場人物に片っ端からぶつかってやるですよ!
一時的にアームドフォートを外して置いたりスピードを緩めておけば、獣人達にもそんなに怪我させなくてすむ……はずですよね!

ボクも戦場生まれです。
周りには確かに戦場で死ぬなら名誉って言う奴らもいましたし、死と隣り合わせで戦っているのにそれを否定するのも気が引けます。
でも偽物の戦場で、オブリビオンの為に死ぬなんて報われねーんですよ!
全部ぶち壊してやるです!



 思い出す。
 それが嘗ての記憶であることは言うまでもない。
 思い出す度に己の心がなんとも言えない感情を吐き出すのをファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)は覚えただろう。
 己がいた部隊においても映画は慰安の一つであった。
 娯楽は慰安につながりやすい。
 音楽であれ、食事であれ、賭け事であれ、だ。
 ファルコが映画を見た記憶はいつだって部隊のものたちと共にすることが多かった。
 自分の世界では、己の航空戦力としての力は役に立たない。
 だからこそ、雑用として働いていた。
 時に部隊員から可愛がりと言う名の弄りもあった。

 映画と聞くとどうしてもそんなことを思い出してしまう。
 困ったことを覚えている。
 大きく見れば面白くない記憶である。
 けれど。
「だからって映画全般が嫌いってことはない、です!」
 ファルコは飛ぶ。
 ロケット噴射によって一気に『狂気要塞』に取り込まれつつある獣人達の都市を。
 此処は良い。
 飛ぶに事欠かぬし、制限がない。
 飛翔する彼女を誰も捉えられない。

 映画を映し出す蒸気のスクリーンをファルコは穿ち、吹き飛ばしながら獣人たちが映画の配役によって殺人を犯そうとしている瞬間を見つけては体当たりでぶつかって吹き飛ばす。
「やめろってんですよ!」
 クマの獣人の体躯をたやすく吹き飛ばすファルコの体当たり。
 それによって獣人は目を瞬かせ、吹き飛んだ己の体躯を信じられないものを見るような目で見るのだ。
「な、何が……起こった?」
「目が覚めたですか! なら、さっさとこの場から離れる、です!」
 ファルコは図体ばかりが大きなクマの獣人を追い払いながら、またさらに飛ぶ。

 確かに自分は戦場の生まれである。
 ほとんどの戦友たちは戦場で死ぬことを名誉としていた。
 死と隣合わせで戦っているから仕方のないことだ。
 そこにしか己を見いだせないこともわかっている。否定する気はない。
 だが。
 ファルコは思う。
 此処は違う。
 生命が散って良い場所ではない。
 偽りの戦場。
 それもただ狂気に侵されて己が生命を捨てるような行いは、ただの自殺に他ならない。
「そんなの許さねーですよ! オブリビオンの為に死ぬなんて報われねーんですよ!だから!」
 ファルコの瞳がユーベルコードに輝き、手当たり次第に蒸気のスクリーンを散らすようにして飛ぶ。

 この蒸気全てに映し出される映像。
 見やれば、映像は己が故郷たるクロムキャバリアの戦闘を示すものだった。
 キャバリア。
 鋼鉄の巨人。
 その戦う様が、戦火が、そこにはあった。
 オブリビオンが齎す争いの火種が弾けた光景だった。これがこの世界でも起こるというのなら。
「全部ぶち壊してやるです!」
 ファルコは飛ぶ。
 飛ぶことが己の存在意義。そして、己が成さねばならぬことであるというのなら、彼女は狂気と蒸気を吹き飛ばすべく、その翼を羽ばたかせるようにして――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

えと。
吹っ飛ぶとしたらたぶん、常識、とか、倫理観、とか、
そういう類いのものではないかと……。

そうなんですよステラさん!
この世界シリアス過多だと思いませんか!

もうラムネじゃちょっと効果薄いんです。ほかにいいのないでしょうか?
(ラムネは箱買いして持参)

勇者の勘ですか?
ならルクスちゃんに聞いてみるのがいいですね!

ルクスちゃーん、どうかな?

これは『映画』だから、周りを見下すムーブしてる人とか、
無駄にえっちぃ人から死んでいく?
それがお約束?

わかった、ありがと!

そういうことみたいです!
映画を観ながら、そんなムーブをしてるキャラのところへ行きましょう!

どうやって、って……そこはメイドパワーで!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の! 香りがしまぁぁぁっす!!!
はい、メイド参上しましたっ
むしろ私の|愛《叫び》で蒸気が吹っ飛ぶとか……ありませんか

さてルクス様
シリアス多めの世界ですが大丈夫ですか?
ラムネ中毒にも注意ですよ?

しかしこの蒸気だらけの状況
真面目にルクス様のカンというか能力頼りですね?

それにしても9人……ということは配役は
『|憂国学徒兵《ハイランダーナイン》』
ノイン様が|見届ける役《監督》というのも納得です
ですが|過去は不変《オブリビオンである》が故に、物語の筋も読みやすいというもの
ええ、ルクス様
アスアスで憂国学徒兵シリーズをマラソンした成果をここに!
あ、私はメイドパワーで頑張ります



 蒸気烟る都市は、その全てがスクリーンのようであった。
 あちこちに映し出される映像。
 それら全てが『クロックワーク・ヴィクトリア』の『徴兵』手段であった。
 認知を歪める『狂気要塞』は都市に住まう獣人たちに知られることなく融合を果たしている。
 そして狂気たる映画の配役によって殺し合いを演じさせられている。
 最後の一人になるまで演目は終わらず、さりとて、その全てが真の『徴兵』ではないと来ている。最早『徴兵』などただの建前でしかない。
 この狂気の空間を生み出すことこそが目的であり、結果はどうでもいいのだろう。
 たとえ、それが効率的でもなければ、合理的でもない所業であっても。

 合理的の反対が狂気であると示すように『蒸気要塞』は獣人たちに殺し合いを強いる。
 そして、そんな蒸気を吹き飛ばすような雄叫びが響く。
「|『エイル』様《主人様》の! 香りがしまぁぁぁぁっす!!!」
 もはや説明する必要はないだろうが、あえて言っておこう。
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)である。
「はい、メイド参上いたしましたっ。むしろ私の|愛《叫び》で蒸気が吹っ飛ぶとか……ありませんか」
「えと」
 そんなステラの言葉に申し訳無さそうに、それでいて、言いにくそうにルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は言う。
「吹っ飛ぶとしたらたぶん、常識とか倫理観とか、そういう類のものではないかと」
 ド正論ボディーブローである。
 言葉のパンチがステラのみぞおちを捉える。
 だが、ステラはまるで意に介していなかった。ボディの鍛え具合は尋常ではないのだ。

「さてルクス様」
 さらと流すステラにルクスは、えぇ……という顔をするが彼女は構わなかった。どこまでいってもメイドなのである。
「シリアス多めの世界ですが大丈夫ですか?」
 シリアスアレルギーという稀なる体質を持つルクスにとっては大抵の世界は辛いのではないか。
「そうなんですよステラさん! この世界シリアス過多だと思いませんか! もうラムネじゃちょっと効果薄いんです。他に良いのないでしょうか?」
 箱買いしたラムネを小脇に抱えながらルクスは首を傾げる。
 もう此処まで行くと病気というよりは呪いの類いではないだろうか。
「ラムネ中毒にも注意ですよ?」
 そういう問題かなー。
「しかしこの蒸気だらけの状況……いかんともし難いですね」

 ステラは周囲を見回す。
 さっきから受け流すのうますぎない?
「真面目にルクス様の勘というか能力が頼りですね?」
「おまかっせください! 勇者の特権(ユウシャノトッケン)でなんとでもして見せますよ! ルクスちゃーん、どうかな?」
 ルクスの瞳がユーベルコードに輝き、現れる『光の勇者ルクスちゃん』。
 彼女はうーんって唸る。
「映画だから周りを見下すムーヴをしている人とか、無駄にえっちぃ人から死んでいくんじゃないかなーって」
「どういうこと?」
「お約束ってやつですよー。古今東西あらゆる映画においての鉄則。無駄に胸元バーンなセクシーな女優さんは序盤でいちゃついてたかと思ったら大体事件に巻き込まれるものだからー」
 偏見が過ぎる気がしないでもないが、まあ、概ね事実である。そうかな。そうかも。

 そんなやりとりをルクスがしている間、ステラは周囲に浮かぶ映像を見やる。
 そこに在るのはどうやら戦争映画のようだった。
 配役は9人。
「やはり|『憂国学徒兵』《ハイランダー・ナイン》……『ノイン』様が|見届ける役《監督》であるというのも納得です」
 だが、とステラは映画の映像を眺める。
 あれが過去ならば、すでに確定した事実であるということ。
 ならば、物語の筋は読みやすい。

 生まれたものが必ず死ぬるように。
 結末に向かうは滅びであるというのなら、ステラはルクスに向き直る。
「映画を観ながら、そんなムーヴをしている人が次に死んじゃう人みたいです。演じているならわかりやすいはずですよー!」
「ええ、ルクス様。アスリートアースで『憂国学徒兵』シリーズをマラソンした成果をここに!」
「うえ……あの三徹は……」
 思い出したくないなぁとルクスはなんとも言えない微妙な表情を浮かべる。
 できれば思い出したくない日々である。
 しかし、それが役に立つというのならば、ルクスは己の直感にしたがって狂気に囚われて殺し合いを演じる獣人たちの元に走るのだ。
 そして、此方にはメイドがいる。
 何事にも完璧にこなせる超有能メイドが!
 ただまあ、『主人様』が絡んだ状況であるので、大丈夫かなっていう不安はある。

「お任せください。メイドに不可能などありませんので」
「本当かなー」
 できるのかな?
 できるできないじゃない。やるんですよ、と言わんばかりにステラは駆け出し、ルクスはその後を追うようにして映画の映像写す蒸気のスクリーンをかき分け、狂気に侵された獣人たちを救い出すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

星野・祐一
「うぇー、趣味悪いな…。それに無駄な殺し合いもあるときた」

SPD

「なら、本命のそれも無駄にしてやろうじゃないか」
とはいえ手掛かりがない以上、足で稼ぐしかないな。最終的に全部止めないとだしな!
スマートサイトで視界を確保したらテスタロッサを全力で飛ばして現場にひたすら介入だ

時には威力を下げた熱線銃で痺れさせて
時にはシールドピアースで受け止めて
時には手を引っ張りながらバイクで駆け抜けて
時にはナイフで受け流して…

止める度にスクリーンに目を向けて、反応がなければそのまま次へ行く
これを繰り返す。本命に当たれば、必ず反応がある筈だ。

「組み立てたドミノを勝手に倒す奴を見て怒らない奴はいねえからな」

アドリブ歓迎



 悪趣味だ、というのが第一印象だった。
 蒸気に包まれた都市。
 それは『クロックワーク・ヴィクトリア』が仕掛けた罠であり、また同時に獣人達の『徴兵』である。
『狂気要塞』にすでに獣人達の都市は侵食されつつあった。
 これを止めることは難しい。
 けれど、それでもこの蒸気ばかりの中で獣人たちは配役に配され、殺し合いを演じさせられているのだ。
 しかも『徴兵』とは名ばかりである。

「無駄な殺し合いもあるときたか……」
 星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)は蒸気満ちる都市の中を宇宙バイクで疾駆する。
 この状況を生み出しているオブリビオンを見つけ出さなければならないということであったが、手がかりがない以上、足がかりを見つけるために走り回るしかないのだ。
 それにダミーたる殺し合いがあるというのならば、それらも捨て置くことはできない。
「なら、最終的に全部止めないといけないのなら!」
 照準器で蒸気満ちる視界を見通す。
 とは言え、この中に隠れているであろうオブリビオンを見つけるには至らない。
 祐一の言う通り、総当たりしかないのかもしれない。

「なら、全速全力だ! エクシード・ライディング!」
 宇宙バイクを宙で翻し、祐一は疾駆する。
 殺し合いを演じさせられている獣人達の間に割って入っては、その手にした狂気を熱線銃で撃ち落とし、さらに振り上げられたナイフの一撃を稼働兵装のシールドで受け止める。
「邪魔をするな!」
「殺さなければ、俺が殺されてしまう!」
「殺して、殺して、最後の一人にならないと生き残れない!」
 獣人達の狂気に満ちた声が響く。
 誰も彼もが正気ではなかった。
 己の命を守るために正気ではいられないのだ。

 けれど、それでも祐一は手をかけられそうになっていた獣人の手をとって、宙へと飛び立ち、凶刃及ばぬ高台まで連れ出す。
「認知を蒸気で歪めてるのか……」
 祐一はスクリーンを見やる。
 己が介入すれば、ダミーの映像は消え失せる。なら、消えぬスクリーンに当たるまで祐一は駆け抜けるつもりだった。
 いや、そもそもこの行動自体が布石だったのだ。

「組み立てたドミノを勝手に倒す奴を見て怒らない奴はいねえ」
 己達がやっているのはオブリビオンが積み上げてきた絵図を崩すことである。
 目論見が『徴兵』でありながら、不可解な回り道をするような、無駄ばかりの殺人劇を繰り返すのならば、そこに意味があるのだ。
 積み上げた狂気こそが獣人をオブリビオン化させるのに必要なことであるというのなら、必ず黒幕たるオブリビオンは動く。
「敵が我慢強いか、それとも俺たちが全てのスクリーンに映る殺人劇を止めるか、どちらが速いんだろうな。いや」
 祐一は頭を振る。
 疾駆する宇宙バイクのスロットルを全開にする。

 全部救う。
 もれなく救う。
 わずかでも犠牲を仕方ないと切り捨てられるのならば、そもそもが間違いなのだ。
「取りこぼすものかよ。全部救って見せる!」
 祐一は次々と消えていく蒸気のスクリーンに映し出される映像を穿つように己の持てる最速でもって獣人たちの殺人劇を中断させていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『サロメサージェント』

POW   :    サージェントグレネード
【軍服】から【手榴弾】を放ち、敵及び周辺地形を爆発炎上させる。寿命を削ると、威力と範囲を増加可能。
SPD   :    ツインガン
レベル分の1秒で【2丁拳銃】を発射できる。
WIZ   :    デス・レイ
自身の【拳銃】から、戦場の仲間が受けた【負傷】に比例した威力と攻撃範囲の【殺人レーザー】を放つ。

イラスト:sawada2

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 次々と消えていくスクリーン。
 蒸気は未だ満ちているが、しかし映像が止まっていく。
 猟兵達が片っ端から投影されていた映像を元に殺人劇を演じさせられていた獣人たちを救い、また止めたことにより、儀式めいた『徴兵』が機能しなくなっていったのだろう。
 オブリビオン『サロメサージェント』、『ノイン』はため息をつく。
 己の目論見がご破算になってしまったことに対して、ではない。
「なんとも勤勉なことだ。総当たりとは。普通ならできないことだ。なのに、それを成し遂げて見せる。我々オブリビオンはなんとも面倒な敵を持った。この程度で止まる猟兵はいない、か……金言だな」
 彼女はむしろ、この状況を歓迎しているようだった。
 手にした二丁拳銃。
 重さが掌に馴染む。

 蒸気の中から彼女は猟兵達の前に姿を現した。
 不意打ちもなく、ただ堂々と、である。それは猟兵たちにとっては己たちを侮っているのか、と思わせるような行動であったことだろう。
 けれど、『サロメサージェント』は頭を振る。
「どうせ不意打ちだって諸君らは防ぐのだろう。ならば、真っ向から打ち倒す。猟兵は止まらない。なら、その心を直接折るしかあるまい。諸君らは個の力ではオブリビオンに及ばぬ。ならば」
 圧倒的な力で叩き潰す。
 肉体ではなく、心を折る、砕く。
 それが己にはできるという自負があるからこそ、『サロメサージェント』は一歩を踏み出す。
 そして、猟兵たちは知るだろう。
 その言葉が虚勢ではないことを。

 漲る重圧、ただされだけで生命を射殺さんばかりの殺意が、狂気をも押しのけて猟兵達の体躯へと突き刺さる――。
星野・祐一
「痺れを切らして出てきやがったな。よくもこんな茶番劇を繰り広げたもんだ」

SPD

「だが…それもここで終わりさ。覚悟しやがれ」
テスタロッサから降りて流星と彗星を構えるがすぐに動かない
実際安易に動いていい相手じゃねえ。何か切っ掛けがあるまで出方を伺う

蒸気にスクリーンが映し出されたの気に動く
UCも乗せた先制攻撃で早打ち対決しつつ接近戦を仕掛けるぞ

相手の攻撃を瞬間思考力で見切って捌きつつ
返しの誘導弾で確実に当てて痺れを蓄積させていく
そして相手の体勢が崩れた瞬間を狙ってFZから影打を取り出し
蒸気に紛れながら足払いを繰り出したら、すかさず雷鳴を零距離射撃を叩き込む

「骸の海まで、吹き飛びやがれ!」

アドリブ歓迎



 蒸気満ちる都市。
 その渦中に在るのは、この殺人劇を引き起こしていた黒幕たるオブリビオン。
『サロメサージェント』は猟兵達の活躍によって、その姿を晒す。
「痺れを切らしてでてきやがったな」
 星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)は対する彼女の姿を認める。
 宇宙バイクから降り立ち、二丁の熱線銃を構えた。
 だがしかし、動かない。
 いや、動けないというのが正しいだろう。
 
 迫る重圧は凄まじいものだった。
 安易に動けないと理解する。
 そう、それほどまでの敵なのだ。対する『サロメサージェント』は自然体だった。
 まるでそこらを散歩するような気軽さ。
 けれど、身にまとう重圧は圧倒的だった。
 目の前の敵を必ず射殺す。そう決意しているかのように漲る戦意が祐一を圧倒していた。
 だが、祐一は頭を振る。
 気圧されるな。
 己が戦う意味は、意義は、胸のうちにある。
 彼女が引き起こしていた殺人劇。あれは茶番劇と言うにほかならないものだった。
 許せることではない。
「よくもあんな茶番劇を繰り広げたもんだ」
「そういうものだからさ。狂気というのは、対する者に理不尽を強いなければならない。意味がある生などないと知らしめなければならない。徹底的にな」
「あんなものは狂気ですらない。ただの無為だ。だが……それもここで終わりさ。覚悟しやがれ」
「いいや、覚悟を決めるのは諸君らの方だ」

 瞬間、『サロメサージェント』の二丁拳銃が翻る。
 それを祐一も見ただろう。
 だが、圧倒的な早撃ちだった。
 己の瞳がユーベルコードに輝き、雷光の如き刹那の交錯が生まれる。
『サロメサージェント』の力量は己を上回っている。
 放たれる弾丸は互いに刹那にありてさらに己を上回る速度。
 瞬間思考で見つめる先にあるのは弾丸。
 体が軋む。
 身を捩るようにして致命傷を避けるのが精一杯だった。
 身を穿つ弾丸。
 血潮が噴出すると同時に痛みが走る。

 だが、それを祐一は無視した。
 放つ誘導弾。
 遅れたとは言え、己の弾丸もまた『サロメサージェント』を穿つ。
「瞬いている暇なんてねえぞ!」
「同感だ。だが!」
 踏み込む祐一に再び放たれる弾丸。
 肩を穿たれ、頬を抉るようにして弾丸がかすめていく。
 身を回転させながら祐一は空間から引き出すようにして薙ぎ払う黒壇の棒の一打でもって『サロメサージェント』の足を払う。
 身を崩す彼女の瞳が捉えたのは祐一がすかさず熱線銃を構える。

 踏み込む。
 相手が反応できない速度は出せない。
 ならば、対応できない距離に踏み込む。
 ゼロ距離。
 手にした熱線銃の銃口が『サロメサージェント』に突きつけられる。
「骸の海まで、吹き飛びやがれ!」
 引き金を引き、雷鳴が轟く。
 それは、春雷(シュンライ)のように高く、戦いの嵐を予感させる激しい轟音だった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

え、えへへへへ……。
らみゅねぇ、らみゅねがたりぁせんー。らみゅねくらはいー♪

すてらしゃん、らみゅね、らみゅねぇ……。

んぇっ!?

はっ!?ステラさん!?
ごめんなさい!
ノエルさんのあまりのせくしー姿と過ぎたシリアスにラムネ食べ過ぎちゃいました!

それにしてもこの世界のノインさん、2丁拳銃ですかー。
なんだかステラさんとキャラかぶりま……あ、今回ちがうステラさんですね。

え?盾ですか?
それは演奏していいってことですよね!わっかりましたー!
ではでは、ステラさんの気が変わらないうちに【皇帝賛歌】いきますよー!

ステラさんとわたしの最強ユニットの演奏で、
ノインさんの心をしっかり魅了しちゃいましょう♪


ステラ・タタリクス
【ステルク】
お久しぶりですねノイン様?とは言っても記憶はありませんか
いえ、貴女もフュンフ・エイル様の、『平和』の影響を受ける者ならば
あるいは……?

ルクス様ー?戻ってきてルクス様ー?
ろれつが回ってないし名前も呼び間違えてるし

普段なら私も二丁拳銃で戦うところですが
今回は別の手段を取りましょう
盾役はお任せしました!

圧倒的な力で敵を叩き潰す
肉体ではなく、心を折る、砕く
ええ、間違いではありません
悪魔と呼ばれてたとて、間違いではないのです

ですから、だからこそ
私は|平和《希望》を歌いましょう
壊れない歌――『暁の歌』
ええ、明けない夜は無いのです
【アウルム・ラエティティア】
この歌をノイン様の手向けとしましょう!



 轟雷に吹き飛ぶ体躯がある。
 それは蒸気煙る都市にありて、その分厚いスクリーンを穿つようであった。
 ぐるりと空中で体勢を変えるようにして身を捩って『サロメサージェント』は降り立つ。
 熱線の一撃を受けてなお、彼女は立っている。
 重圧は途切れない。
 それどころか昌盛する熾火のように膨れ上がっていく。
 その熱。その意志。その狂気。
 最もこの場において狂気に満ちた存在。それが『サロメサージェント』であった。

「お久しぶりですね『ノイン』様? とは言っても記憶はありませんか」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の言葉に『サロメサージェント』は鼻で笑う。その通りだと言うように。
 けれど、彼女はステラから目を離していなかった。
 個としての力は猟兵がオブリビオンに劣ると言いながら、しかして警戒は緩めていない。重圧が緩まぬのが証拠である。
 どれだけ力で勝っているのだとしても、それでも猟兵は数多のオブリビオンを葬り去ってきた者たちだ。
 だからこそ、重圧は緩めない。
 強敵であると認識している以上に『サロメサージェント』はステラを警戒していた。
「『フュンフ・エイル」に縁ある者と見た。だが、その『平和』を標榜するのならば、私はお前を殺さなければならない。そういうものだ。私は」
「『フュンフ・エイル』様の『平和』の影響を受けている、と認めるのですか」
「私は見ていた。ずっと見ていた。見ているだけだった。その苦痛を君が理解できるとは思えわないが、あえて言わせてもらおう。君は私が殺す」
 互いの間に流れる緊張感が天頂に達する。

 瞬間、場違いな声が響く。
「え、えへへへへ……らみゅねぇ、らみゅねがたりぁせんー。らみゅねくらはいー♪」
 やばい声であった。 
 明らかに良い子のみんなには見せられない醜態であった。
 ろれつ回らぬ舌。
 前後不覚になってそうな感じの顔。
 ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)はどう考えても、やばいアレに手を出している中毒者のアレであった。
「すてらしゃん、らみゅね、らみゅねぇ」
 ラムネね。
 そうなるかな? なるのかも!
「ルクス様ー? 戻ってきてルクス様ー?」
 此処はシリアス。
 けれどルクスの存在はシリアスをぶち壊す。
 緊張の糸が切れた瞬間、凄まじい速度で放たれる銃弾がステラの肩を掠める。

 とっさにかばったルクスは目を見開く。
「んぇっ!? はっ!? ステラさん!?」
「いい加減にしてください、光の勇者」
「ごめんなさい! ノエルさんのあまりのせくしー姿と過ぎたシリアスでラムネ食べ過ぎちゃいました!」
 ルクスは流石に正気に戻る。
 ラムネで失う正気とは一体。そのうち、ルクスの箱買いしたラムネ製造メーカーに捜査のメスが入りそうである。
「名前間違えてます。ろれつは戻っていますが」
 その間も放たれ続ける弾丸。

『サロメサージェント』の早打ちは、この場にいる猟兵の誰よりも速かった。
 尋常ではない。
 銃声よりも速く弾丸が己たちに迫っているような気配すらするようであった。
「それにしてもこの世界の『ノイン』さん、二丁拳銃ですかー。なんだかステラさんとキャラかぶりま……」
「いい加減盾役お願いします」
「あ、はい。え、それは演奏していいってことですよね!? ね!? わっかりましたー!」
 ではでは、とルクスはユーフォニアムを掲げる。
 ぺっかー。
 輝くユーベルコードは結界を生み出し、迫る銃弾を弾く。

「皇帝讃歌(コウテイサンカ)、ステラさんとわたしの最強ユニットの演奏で『ノイン』さん、その心をしっかり魅了しちゃいますよ!」
「歌で魅了など。この私に歌など」
 放たれる弾丸は間断なく結界を打ち砕かんとしている。同じ箇所に幾度も弾丸が打ち込まれている。
 寸分たがわぬ命中精度。
 ルクスは目を剥く。
「す、ステラさぁん!? な、なんか結界破られそうなんですけど!? 同じ箇所にばんばんって!」
 ルクスの言葉にステラは頷く。
 これが圧倒的な力。
 敵を叩き潰し心さえ折り砕く力。
 これが『悪魔』と呼ばれた者のちからに及ばぬものであったとしても、迫るものであったのならば。
「間違いではありません。ええ、『悪魔』と呼ばれたとて、間違いではないのです」
 だが、とステラは息を吸い込む。
 瞳に輝くはユーベルコード。

「ですから、だからこそ、私は|平和《希望》を歌いましょう」
「笑わせるな。それは希望などではない。絶望への一歩だと理解しろ!」
 砕ける結界。
 弾丸が襲う。
 けれど、謳う。
「壊れない歌――『暁の歌』を。ええ、明けない夜はないのです。アウルム・ラエティティア、この歌を手向けとしましょう!」
 放たれる咆哮のような、絶叫のような、しかし、明日を求める歌は『サロメサージェント』の体を打ち据え、狂気の蒸気を吹き飛ばすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ファルコ・アロー
出てきやがりましたね、オブリビオン!
こっちはお陰様ででっかい獣人達に何度もぶつかる羽目になっちまったんです、この借りはぜってー山ほど利子つけて返してやりますからね!
でもあいつと撃ち合うのは分が悪いし、かと言って殴り合いするにはあの爆弾の雨の中を近付かないと……そのどちらかなら、飛んでいって殴り合いの方がボク向きですね!
バリアで爆発から身を守りながらまっすぐ飛んで、頭からぶつかってやるですよ!
体当たりの衝撃だけじゃない、このバリアにまともに触ったら皮膚だってタダじゃすみません。
そんなワイルドな格好してるからです!
軍服もまともに着こなせないよーな奴がいっぱしの軍人面してんじゃねーですよ!



 歌声に蒸気は吹き飛ばされる。
 その最中に侵食される都市を見ただろう。
 これが『狂気要塞』である。周囲の認知を歪め、知られることなく溶け込んで融合していく。それが『クロックワーク・ヴィクトリア』のやり方なのだ。
 そうして獣人たちは、それを知らず受け入れオブリビオンへと変貌していく。
 恐るべき侵食である。
 故に止めなければならない。
 こんな狂気を吹き飛ばさなければならない。
 ファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)は、蒸気立ち上る都市を飛ぶ。

 そして、睥睨する。
「出てきやがりましたね、オブリビオン!」
 彼女が見るのは猟兵達のユーベルコードによってしたたかに身を打ち据えられたオブリビオン『サロメサージェント』であった。
 あのオブリビオンがこの都市を狂気に染め上げようとしていた黒幕である。
 これを打倒しなければ獣人たちは狂気に囚われたまま、オブリビオンと化していくだろう。
 歯が鳴る。
 いや、軋む。
 噛み締めたのだ。己が体躯が何度も獣人達の体へとぶつかり、その度に呻く彼らの声を。
「こっちはお陰様ででっかい獣人たちに何度もぶつかる羽目になっちまったんです。この借りはぜってー山程利子をつけて返してやる、です!」
「遠慮するな」
『サロメサージェント』は軍服から手榴弾を取り出し、投げ放つ。
 凄まじい爆風がファルコを襲う。

 わかっていたことだ。
 あの『サロメサージェント』と撃ち合うことは得策ではない。分が悪いとはっきりわかる。
 かと言って殴り合うには、あの銃撃の雨の中をくぐりぬけねばならない。
 己が手傷を負うことを覚悟した。
 この体躯がなんのためにあると思っているのだ。
「シールド全開……」
 ユーベルコードにファルコの瞳が輝く。
 力が満ちる。
 己の体躯が小型戦闘機へと変形していく。
 バリアを展開し、己が身を守る。光り輝く一条の星となってファルコは狂気の蒸気を穿ちながら一直線に爆風と弾丸の雨の中を飛ぶ。

 己の持てる最大速度。
 出し惜しみはしない。
「Gディフレクターアタック(ジーディフレクターアタック)……最大戦速ぅ!」
 踏み込む。 
 弾丸と爆風はバリアが弾く。
 そして、ファルコは己の頭蓋でもって『サロメサージェント』へと飛び込む。
 弾丸。いや、砲弾めいた一撃は『サロメサージェント』の体躯を吹き飛ばす。
「ぐっ……!」
 だが、それでもファルコの突進を受けてなお、『サロメサージェント』はこらえた。大地に電車道の如き轍を描きながらファルコの突進を殺そうとしていたのだ。
 恐るべき敵である。

 だが、それでもファルコは止まらなかった。
「そんなワイルドな格好をして! 軍服もまともに着こなせないよーな奴が!」
「言うじゃあないか!」
「いっぱしの軍人面してんじゃねーですよ!」
 咆哮が重なる。
 もう此処からは意地の張り合いだった。それだけしかなかった。 
 敵の力も、己の性能も関係ない。 
 あるのは意志。
 敵を打倒するという意志だけがファルコを進ませ、『サロメサージェント』の体を大地へと叩きつけるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アシェラ・ヘリオース
アドリブ連携歓迎

「さて、陰湿な策謀家と見ていたが、随分と自信家のようだな。嫌いではない」

猟兵が個の存在としてオブリビオンに及ばないのは事実だ
故に連携し、あるいは戦術を練る

「推して参る!」
【真の姿】の近衛装束を纏い、赤い槍「破天槍」と「闇理力砲」をもって高速機動戦で挑む
思考と戦術の限りを尽くすが、正面対決は分が悪いだろう
勝機は戦力差を確信し、奴がこちらを折り砕きに来た一瞬だ

「三手で決めるぞ」
瞬間的な力の増大で一瞬でも奴を上回り、闇理力を籠めた前蹴り、双掌打、零距離「闇理力竜砲」のコンボを狙う



 砲弾のような突進を受け止めた『サロメサージェント』は血に塗れながらも立っていた。そのさまは鬼気迫るものであった。
 漲る力が重圧となって対する者たちを圧倒する。
 手傷を追わせて尚、これである。
 敵がどれだけ強敵であるかは言う前もない。
 そして、その姿にアシェラ・ヘリオース(ダークフォースナイト・f13819)は彼女に対する印象を改めた。
「さて、陰湿な策謀家と見ていたが、随分と自信家のようだな」
「悪いかな」
「いいや、嫌いではない」
 アシェラは頭を振る。

 この重圧は本物だ。
 敵は本物である。確実の己たちを殺すだけの力を持ち合わせている。度重なるユーベルコードによって疲弊していても、それでもなお己を圧倒する力を持っていると断じるには充分過ぎるほどの重圧を身より放っているのだ。
 ならばこそ、アシェラは潔く認める。
 己の個としての力は彼女に及ばない。
 だが、勝利を得るためには連携し、戦術を練る。
 間断なく攻め立て、勝利の糸口を掴むのだ。
「推して参る!」
 赤き槍を手に、展開した仮想粒子加速陣を持って砲撃と共にアシェラは踏み込む。
 その一手を読み切っていたように『サロメサージェント』は軍服から手榴弾を取り出し、投げ放つ。
 爆風がアシェラの身を打つ。
 高速機動でもって躱しきれない範囲攻撃。

 むしろ、アシェラが高速で機動戦闘を行うと踏んでいたからこその一手であったのだろう。爆風は広範囲であり、面で圧倒するもの。
 故にアシェラは己の思考と戦術を『サロメサージェント』が上回っていることを理解する。
 正面対決は分が悪い。悪すぎる。
 だが、同時にアシェラは理解した。この一手。確実にこちらを殺すことを目的としているのならば、爆風は目張りである。 
 この手榴弾の爆風の中こそを『サロメサージェント』は突っ切ってくる。
 己も爆風の熱に煽られると知りながらも、それでも最速最短で己を折り砕きに来ると理解するのである。
「ならば、三手で決めるぞ」
 アシェラの瞳がユーベルコードに輝く。

 爆風が己の皮膚を焼く。
 ただれるような痛みが走る。けれど構わない。
 採取武装モードへと移行する指揮官用ベルセルクトリガー(コマンドベルセルクトリガー)が発露する。
 勝負は一瞬。
 その刹那にも満たぬ時間にアシェラは踏み込む。それは『サロメサージェント』を一瞬であれど上回る踏み込みであった。
 ダークフォースを込めた前蹴りの一撃が迫る『サロメサージェント』の二丁拳銃のうち、片手を跳ね上げる。
 骨が砕ける音が響く。
 そして、さらに突きつけられる拳銃と己の双掌が激突する。
 アシェラの掌の骨が軋む。腕の骨身にすら走る衝撃。

「――獲った」
「いいや、まだだ。後一手、残っている!」
 脇目も振らず。
 己の痛みも、傷も構わずアシェラは踏み込む。
 展開される加速粒子陣。
 それはダークフォースを加速させる力。最後の一手。その砲撃の一撃が二手を持って打ち砕いた『サロメサージェント』の武装をこじ開け、無防備な彼女の体躯へと尽き着付けられる。
「これが最後だ」
 放たれるダークフォースの奔流が『サロメサージェント』の体を穿ち、その身を穿つのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『キャンサー・ワゴン』

POW   :    シザ―ハンド・アタック
単純で重い【障害撤去用アーム】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    キャンサー・ストンプ
【装甲付き多脚による踏みつけ】で近接攻撃する。低威力だが、対象が近接範囲から離脱するまで何度でも連続攻撃できる。
WIZ   :    緊急射撃戦闘
【収容している兵員】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【主砲塔、固定機銃、兵員の装備する小銃】で攻撃する。

イラスト:Yukihie

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「……見事だ、とは言わないよ。どうあっても私と諸君らは敵だ。敵に敬意を払うなど『私』らしくない。だから、あえて言おう。諸君らの戦いは無駄だったと」
 下半身を吹き飛ばされながらも『サロメサージェント』は笑う。
 狂気満ちる蒸気の中に彼女の体躯が霧散していく。
 胸元が喪われ、あらに首へと迫った時、猟兵たちはその言葉の意味を知るだろう。
 蒸気が戦いの余波によって払われ、獣人達の都市の姿を晒す。
 そこに在ったのは。

「これが『狂気要塞』というものだ。認知を歪め、それと知られずに侵食し融合する要塞。すでにこの都市は『狂気要塞』そのものだ。諸君らでは、これを破壊などできまい!」
 その言葉と共に無数のオブリビオン車両『キャンサー・ワゴン』が猟兵達を取り囲んでいる。
 蒸気晴れる先にあるのは、歪な蒸気文明の産物と言うべき『蒸気内蔵』である。
 まるで生物のように鋼鉄が脈打っているのだ。
 パイプは脈動し、ピストンは筋繊維のようにたわみ、跳ねる。おぞましき光景であった。
「私は此処までだが、だがしかし、諸君らはこれからだ。諸君ら猟兵が止まらぬのは知っている。だが、止められるか。この狂気を。この脈動を。いいや、できはしまい。これは、諸君らの手に余るものだ」
 霧散し消えゆく『サロメサージェント』の嘲笑が響く。
 そして、猟兵たちは己たちを取り囲むオブリビオン車両から次々と現れる『キャンサー・ワゴン』の数にこれを突破し離脱しなければならないことを知るだろう。

 しかし、目の前の『狂気要塞』を捨て置くことはできない。
 なんとかしてでも、この『キャンサー・ワゴン』を撃破しつつ『狂気要塞』を動かす蒸気機関『蒸気内蔵』だけでも破壊し、『クロックワーク・ヴィクトリア』軍に打撃を与えなければならない。
 最早獣人たちの都市を侵食する『狂気要塞』は止めようがないのかもしれない。
 だが、それでも猟兵たちは立ち止まることを許されないのだ――。
アシェラ・ヘリオース
「楽は出来んな、まったく。何時もの悪戦と言うわけか」
大きな負傷を押して苦笑する
だが、迫る敵と打ち砕くべき戦略対象はもう見えた
ならば、余力を出し惜しむ必要はない

「闇理力砲」の【乱れ撃ち】の【砲撃】でオブリビオン車両共を牽制し
機を見て、最後のフォースを注ぎ込んだ「破天槍」を『蒸気内蔵』へと投げ放つ
私はその反動で戦場を離脱しよう



 猟兵の戦いに楽なものはない。
 いつだって窮地である。それはその通りであろう。自分たちが戦いに赴く時、それは世界の破滅を目前にしているからだ。
 敗北すれば世界が滅ぶ。
 世界の破滅の危機はいつだってそこらに転がっているのだ。
 獣人達の都市を侵食し飲み込まんとしている『狂気要塞』。
 猟兵たちは知らず知らずのうちに、この『狂気要塞』の内部まで入り込んでしまっていたのだ。
 いや、もしかしたのならば黒幕たるオブリビオンにおびき寄せられた、というのが正しいのかも知れない。
 己たちを取り囲む『キャンサー・ワゴン』を見れば、その考えが正しいことをアシェラ・ヘリオース(ダークフォースナイト・f13819)は知るだろう。
「楽はできんな、まったく。何時もの悪戦というわけか」

 己が両手を見やる。
 黒幕たるオブリビオンを打倒する際に己が手には多大な負荷がかかってしまった。
 だが、その傷の痛みが己の足を止める理由にはなっていない。
『キャンサー・ワゴン』の巨大な障害撤去用アームが持ち上げられ、その一撃がアシェラへと叩きつけられる。
 受け止める一撃は重たく、己の心身に多大なる衝撃を齎すだろう。
 周囲の地形が破壊される程の一撃だ。
 当然、周囲には亀裂が走り、蒸気機関たる『蒸気内蔵』へのダメージも見受けられる。だが、オブリビオンである『キャンサー・ワゴン』が、それを無視する、ということは即ち、この程度の損傷では『蒸気内蔵』には大した損害ではない、ということだ。

「まったく……楽はできんとは言ったが」
 己が負傷を押してつk進む。
 打ち込まれた障害撤去用アームを弾き飛ばしながら、仮想粒子加速陣を展開し、ダークフォースの砲撃を『キャンサー・ワゴン』に叩き込む。
 敵の動きはわかりやすい。
 あの巨大な障害撤去用アームこそ脅威であるが、しかしダークフォースによる砲撃での牽制はできている。
『キャンサー・ワゴン』を撃退しなければ、撤退もままならないだろう。
 だが、それ以上にアシェラが見つめるのは『蒸気内蔵』である。
 この『狂気要塞』を駆動させている急所。
 確かに己たちは黒幕たるオブリビオンに『狂気要塞』の内部まで知らず踏み込まされていたのだろう。

 窮地と呼ぶに相応しい状況だ。
 けれど、逆に考えればこの機会をのがしてはならない。
「業腹であるが……」
 アシェラの瞳がユーベルコードに輝く。
 迫る障害撤去用アームを受け止めながら、己の最後のフォースを込めた『破天槍』を掲げる。
 己の持てうる最後のフォース。
 もうこれ以上は戦えない。
 ならば、敵の急所たる『蒸気内蔵』と己の離脱。
 それを同時に行うためには、これしかないと彼女は判断したのだ。

「黒気収束臨界突破……破天が一槍をここに示さん!!」
 放つは、絶・破天槍(フェイタリティ・ブラストスピア)の一撃。
 臨界を超えて万象を刺し穿つ力を込めた槍をアシェラは『キャンサー・ワゴン』の障害撤去用アームをこじ開けながら放つ。
『蒸気内蔵』を守らんとする『キャンサー・ワゴン』たちを穿ちながら、一気にアシェラは己の足の踏ん張る力を抜いて放った反動で離脱していく。
 それは謂わば、己自身が砲弾のように『狂気要塞』の外へと飛ぶ行為であったことだろう。
 自身が放った槍の一撃が『蒸気内蔵』に如何なる打撃を与えたかをアシェラは確認することはできなかった。

 けれど、盛大に炸裂する破壊音にアシェラは全てのフォースを込めたがゆえに薄れる意識の中で聞いたのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ファルコ・アロー
ちっ!こんな置き土産残して行きやがって……往生際の悪ぃ奴ですね!
でもそれはこっちの台詞です。
てめぇらの今までの戦い、ボクがこれからきっちり無駄にしてやるですからね!

チェンジ・ファルコン!
今度はでっかい戦闘機に変身して空から攻めてやるです!
その鈍そうな多脚戦車なんかでこの姿のボクを殴ろうってんですか?
やれるもんならやってみろですよ!
こっちは空からビームで狙い撃ちして数を減らしていきましょう。
ただ、ちまちま撃ってるだけじゃ問題の解決にならねーですね。
それなら体当たりしたついでにあの戦車を吹き飛ばして、蒸気内蔵とやらにぶち当ててやるです!
上手くヒビでも入れたら、そこにもう一発ぶちかましてやるですよ!



 思わず舌打ちが出る。
 ファルコ・アロー(ベィビィバード・f42991)は蒸気が吹き飛ばされた獣人の都市を見下ろしていた。
 獣人たちを狂気に落していた蒸気が覆い隠していたのは、都市に融合を果たすように侵食していた『狂気要塞』の姿だった。
 知らずオブリビオンを追ううちに猟兵達とファルコは『狂気要塞』の内部へと誘導されていたのだ。
 よしんば黒幕のオブリビオンが打倒されても、その後詰めがいたのだ。
 迫る『キャンサー・ワゴン』。
 その巨大な障害撤去用アームが空を飛ぶファルコへと伸びる。

「ちっ! こんな置き土産残して生きやがって……往生際の悪ぃ奴ですね!」
 アームがいくつもファルコを襲う。
 機動力で勝るのだとしても、それでも己に追いすがるアームは厄介だった。
 黒幕のオブリビオンは己達の戦いを無駄だと言った。
 無為だと言ったのだ。
 けれど、それはファルコにとっては違う。
「無駄? 無為? それはこっちの台詞です」
 ファルコは迫るアームを躱しながら、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
「てめぇらの今までの戦い、ボクがこれからきっちり無駄にしてやるですからね! ウィングアップ――」
 彼女の体躯が戦闘機へと変貌する。
 その巨大な戦闘機へと変じたファルコは迫るアームを振りほどくようにして上空へと飛び立つ。

「チェェェェンジ! ファルコン!」
 それは全てを振り切る速度。
 どれだけ『キャンサー・ワゴン』の障害撤去用アームが己を追いすがるのだとしても、はるか上空まで……それこそファルコにとって、これまで十全に機能を発揮することのできなかった要因たる忌まわしき暴走衛生は此処にはない。
 あるのは自由な空。
 蓋無き空に在りてファルコの速度は軍を抜いていただろう。
 そして、上空で翻った機体からビーム砲の乱射でもって『キャンサー・ワゴン』のアームを撃ち抜いていく。

 自由だ。
 どこまでも己を邪魔するものはいない。
 どんなに己に追いすがるのだとしても『キャンサー・ワゴン』たちのアームは己を捉えることはできない。
 加速し、空中で機体を横回転させるロール機動に次ぐ急旋回でもって『キャンサー・ワゴン』へと突っ込む。
「ちまちま撃つだけがボクの特性じゃねーです! 喰らえ!!」
 衝撃波と共に『キャンサー・ワゴン』の車体のどでっぱらにファルコは突っ込み、吹き飛ばす。
 それだけではない。
 あの『キャンサー・ワゴン』はファルコにとっては砲弾だった。
 そう、彼女は『キャンサー・ワゴン』を吹き飛ばすのと同時に、その車体を『狂気要塞』を駆動させる『蒸気内蔵』へと叩きつけるのだ。

「内臓っていうくらいです。ボクたちを内側に引き込んで得意になっていたようですが、自ら急所を晒しただけです!」
 ファルコにさらに迫る『キャンサー・ワゴン』。
 そう、ファルコの狙いに気がついたのだろう。
 だが、ファルコは笑う。
 己の機能を引き出せることに、何者も己を阻めぬ事実に。
「無駄無駄! もう一発ぶちかましてやるですよ!」
 ファルコは飛ぶ。
 縛られず、自在に空を飛び、その航空戦力としての力を示し、『蒸気内蔵』へとさらなるダメージを蓄積させていくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星野・祐一
「これから…そうだな。まだまだこれからだ。止まってる暇はない」

SPD

「その為にも…まずはここから抜け出さないとな!」
テスタロッサに騎乗りつつ迷彩モードのEsを飛ばして脱出地点と蒸気内蔵の位置と現在位置を結んだ理想ルートをSSに表示して貰う
この通り行けると限らないがあるのとないのとじゃ違うからな

UC発動!キャンサーは進行方向の奴だけ、かつ脚元の地形をBRTで破壊して体勢を崩してる内に機動力で掛け抜ける
ハッハー!面倒な相手は無視に限るぜ。攻撃は瞬間思考力で反応して推力移動による加速で回避な

内臓に辿り着いたらFZで武器を切り替えながら連続コンボめいた攻撃を一瞬だけ叩き込んでそのまま離脱だ

アドリブ歓迎



 嘲笑が遠く聞こえる。それは猟兵達の戦いが無駄、無為であると笑う声であった。
 猟兵たちは、この狂気の蒸気に包まれた都市にて獣人たちをオブリビオン化する目論見を企てた黒幕のオブリビオンを追い詰め、ついには打倒した。
 けれど、それは黒幕たるオブリビオンの目論見の一つであったのだろう。
 いや、保険というのが正しいか。
 己の存在が滅ぼされど、猟兵たちを『狂気要塞』の内部へと誘引し叩く。
 方策としては万全であっただろう。
 周囲には『キャンサー・ワゴン』が取り囲んでいる。
 多脚があらゆる悪路を走破するのと同じように猟兵たちに迫っていた。
「これから……そうだな。まだまだこれからだ。止まっている暇はない」
 嘲笑を受けて尚、星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)は力強く頷いた。

 状況だけ見れば絶体絶命であろう。
 周囲にあるのは全て敵。
 その上に敵地のど真ん中であるからだ。
 けれど、止まらない。止まれない。祐一はこの『狂気要塞』から脱するために宇宙バイクを駆る。
 迷彩モードにしたサポートドローンが飛び、脱出地点を算出する。
 遠い。自分たちはオブリビオンの策動にまんまとかかってしまった。『狂気要塞』の中枢に近しい部分までいつの間にか踏み込んでいたのだ。
 これが認知を歪め、侵食する『狂気要塞』の本領であるというのならば、恐るべきことである。
 だが、同時にこれはチャンスだと思った。
『狂気要塞』を駆動させるは蒸気機関『蒸気内蔵』である。
 これを傷つける事ができれば『クロックワーク・ヴィクトリア』に打撃を与えることができる。
「ルート算出頼んだぜ、『Es』!」
 己の眼前に仮想現実のルートが提示される。

「この通りに行けるとは限らないけど!」
 瞳がユーベルコードに輝く。
 宇宙バイクを駆り、一気に迫る『キャンサー・ワゴン』の多脚の合間をくぐり抜ける。
 踏みしめられるようにして叩き込まれる多脚の衝撃が祐一を襲う。
「くそっ! なんて面倒な!」
 ブラスターキャノンの一撃で地面を抉っても、多脚故に悪路など関係ないとばかりに『キャンサー・ワゴン』は祐一に追いすがるようにして反転し、更に数を増やして迫るのだ。
 追撃性能が高い。
 確実に自分たち猟兵をこの『狂気要塞』から逃さないつもりなのだろう。
 瞬間思考を巡らせる。
 確かに面倒だ。
 なら。

「ハッハー! 面倒な相手は無視に限る!」
 ユーベルコードでもって祐一は宇宙バイクと共に戦場を駆け抜ける。
 如何に多脚の一撃が己に襲うのだとしても、手慣れた宇宙バイクのドライビングテクニックで持ってかいくぐる。
 加速し、唸るようにしてエンジン音を響かせながら祐一は『キャンサー・ワゴン』の追撃を振り切るようにして『蒸気内蔵』を目指す。
 中枢に近い部分まで踏み込んでいたことが幸いしていた。
 すぐに目の前に見える脈打つ機械。
 すでに猟兵達のユーベルコードによって『蒸気内蔵』を護る隔壁は穿たれている。
「流石、助かるぜ。壁がないってんなら!」
 圧縮空間より武装を取り出す。
 引き金を引き、次々と残弾など気にせずに圧縮空間に放り投げ、また次なる武器を取り出して叩き込み続ける。

 爆風が吹き荒れる。
 それは狂気の蒸気を吹き飛ばす勢いであった。
 祐一は己の武装のありったけを叩き込んだことを確認した後、己を追って迫『キャンサー・ワゴン』に向き直る。
「これだけやれば後は……! 頼んだぜ!」
 振り上げられた多脚の一撃をかわしながら、祐一は飛ぶようにして『狂気要塞』から離脱するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

『ノイン』さんが『エイル』さんのファンです?
それならお二人、仲良くできそうな気もするんですが……。

これはあれですか。ファンカーストとかいうのですか?
ぶっちゃけ言えば同族嫌いえなんでもないです!

むふーっ、とはなっていますけど、
結界は心配してなかったですよ。ステラさん信じてましたから♪(きらりん

って、もう少し頑張る!?
それはアンコールってことですか!?ですよね!?もちろんあります!!

今日のステラさん、やっぱりデレてますよね(ぼそっ

いたいの。

でもこの機会を逃すわけにはいきません!
ここは【Canon】でいきましょう!

って、えー?
わたしの演奏、刺客になったことなんてないと思うんですが!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
ふぅ……ノイン様のあの執着
フュンフ・エイル様のファンと言ってもおかしくないほどですが
本人に言えば激怒するのでしょうね
は?同担拒否ですけど?

さて
演奏出来てむふーってご満悦なルクス様ー?
もしくは結界破られそうになって焦ってた勇者様ー?
もう少し頑張る気力はありますか?

エイル様の|メイド《おっかけ》としてはノイン様の鼻を明かす義務がありますので
全力で破壊音波お願いします
(無言でびんた)
私は……ノイン様のお株を奪うとしましょうか
『ニゲル・プラティヌム』での
【スクロペトゥウム・フォルマ】
正面から潰します!
むしろルクス様の演奏が私に対して援護になるのか刺客になるのかで
難易度が変わりますがね!!



「ふぅ……『ノイン』様のあの執着」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は霧散していった黒幕たるオブリビオン『サロメサージェント』の姿を見送る。
『フュンフ・エイル』への執着をステラは見た気がした。
 だが、それを指摘することは『ノイン』の逆鱗に触れることであるようにもステラには思えたのだ。
 彼女の言う言葉の端々には『フュンフ・エイル』の影響が垣間見える。
 それが何を意味するのかをステラは理解できなかったが、しかし、それでも構わなかった。彼女にとって大切なのは己の『主人様』のことだけだ。

「あれはファンと言っても差し支えないですね」
「『ノイン』さんが『エイル』さんのファンです?」
 その言葉にルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は首を傾げた。
 同じものが好きなら好きなもの同士で仲良くできそうなものなのに、とルクスは思った。
「は? 同担拒否ですけど?」
 ピリつく空気。
 ルクスは、えぇ……と思っただろう。
 なんで? とも思った。
「これはあれですか。ファンカーストとかいうのですか?」
 古参と新参。
 古来よりこういう類のものは人の感情が絡むゆえにこじれるものである。こじれるのが人の感情だけであればよいのだが、大抵の場合は人間関係にまで発展するものである。
 止めようがないので仕方ないのであるが、しかし、これが争いの元になるのだから人ってば、となるのである。
「ぶっちゃけ言えば同族嫌……いえ、なんでもないです!」
 ステラの視線にルクスは居住まいを正すように背筋をピシッと伸ばす。
 いらんこと言ってまたスリッパで叩かれるのは嫌だった。

「まあ、わたしは演奏できてむふーって感じですけどね!」
 ルクスは久々に誰にはばかることなく演奏できたことにご満悦だった。
 結界は確かにオブリビオンの攻撃に脅威を覚えるものであったかもしれない。けれど、ルクスはステラを信じていたのだ。
「さて、演奏できてご満悦なルクス様ー? 何を終わった感じにしていらっしゃるのでしょうか? もしくは結界破られそうになって焦ってた勇者様ー? もう少し頑張らなければなりませんよ」
「いえ、心配はしていませんでしたよ! ステラさんを信じてましたから♪」
「無駄にキラっとされても。団体のお客様です」
 ステラはルクスに示す。

 それは『キャンサー・ワゴン』の群れであった。
 此処は既に『狂気要塞』の内部。
 その中枢医に近いしいところまで彼女たちは『ノイン』に引き込まれていたのだ。
 認知を歪める『狂気要塞』は、猟兵であっても蒸気払わなければ、その認識を歪められてしまうのだ。
「それはアンコールってことですか!?」
 違います、とステラは否定したかった。
 だが、ルクスはやる気満々である。
 迫る多脚の『キャンサー・ワゴン』。その一撃が大地を揺らしているのだ。猶予はない。
「ですよね!? もちろんあります!!」
 問うまでもなかった、とステラは思った。

「では、がんばっていただきましょう。全力で破壊音波お願いします」
「ステラさんがデレてます! まさかステラさんからおねだりを聞けるとは! わたし! がんばっ!」
 っぱーん!
 ステラは無言でルクスにビンタしていた。
 無言だった。
 無言の圧がルクスに降り注ぐ。
「いたいの」
「私は|『エイル』様《主人様》の|メイド《おっかけ》として『ノイン』様の鼻を明かす義務がありますので。あの方のお株を奪わなければなりません」
 同担拒否の圧。
 それはルクスも震え上がらせるものであった。
 底冷えするかのような雰囲気。

 これが、と思った。
 人の感情の、縺れ。
「無言でビンタはひどいです……でも、この機会を逃すわけにはいきません! Canon(カノン)!」
 ルクスはバイオリンを構え、破壊音波でもって『キャンサー・ワゴン』の車体をひっくり返すほどの勢いで持って破壊音波を解き放つ。
「私は正面から潰します! スクロペトゥム・フォルマ!」
 互いの瞳がユーベルコードに輝く。
 振り下ろされた障害撤去用アームをステラは二丁拳銃の銃口で持って受け止め、弾丸によって弾き飛ばしながら、さらに体術を駆使して、その車体そのものを吹き飛ばす。
 正面から潰す、という言葉に偽りはなかったようである。

「どれだけ囲おうとも正面から突破してまいります。むしろ……」
 ステラの耳栓を突破してくる音。
 演奏と呼ぶにはあまりにも破滅的な音色。音色と呼ぶにはあまりにも不協和音。
 そのルクスがノリノリのノリで奏でる音に頭を揺らされる。
「これは私への刺客ではありませんか?」
「えー? わたしの演奏、ステラさんの刺客になったことなんてないと思うんですが!」
 ルクスはバイオリンの演奏をしながら朗らかに笑う。
 ミュートさえできれば、笑顔で演奏する美少女である。
 哀しいことだが、演奏の音色っていうか不協和音が全てを台無しにしてくれている。
 ステラはなんとも言えない表情を浮かべながら、なんで耳栓すら突破してくるのかと思わずにはいられなかった。

 けれど、二人はこのオブリビオンの囲いを突破し、『狂気要塞』を脱出する。
 その内部では猟兵達のユーベルコードによって中枢たる『蒸気内蔵』を破壊された『狂気要塞』が停止する姿があった。
 完全な破壊には至らなかったが、しかし、『クロックワーク・ヴィクトリア』に打撃を与えたことだけは確かだろう。
 蒸気晴れた先にある要塞。
 再びまたあの要塞を破壊することもあるのかもしれない。
 その時は確実に破壊するのだとステラとルクスは思いながら、開放された獣人達の都市にて己達の勝利を確信するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年03月31日


挿絵イラスト