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おいだせ! とうぞくの森

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●初心者向け?
 森の中の廃村に住み着いた盗賊達を追い払ってほしい――極めてシンプルな内容のそれは、GGOの初心者向けに用意されたクエストのひとつだ。目立つ強敵や厄介なトラップもないこの依頼で、ゲームにおける戦闘やクエストの流れに慣れ、序盤には貴重な報酬を得ることが出来るというお得なもの。
「よーし、こんな依頼、さっさと終わらせてやるぜ!」
「出てこい、盗賊どもー!」
 駆け出しプレイヤー達は今日も森へと踏み込み、それを飛躍の一歩とする、はずだった。
「威勢よく吠えやがって、ここは俺達の縄張りだぜ?」
「身包み置いてきな!」
 森の中に潜んだ盗賊達の不意打ち。奇怪なテクスチャで歪んだ腕が振るわれると、プレイヤーキャラクターの手から貴重な初期装備が消えてなくなった。
「え、え?」
「ハッハー! 武器無しでどこまでやれるか見ものだぜ!」
 彼等の手から掠め取った武器をこれ見よがしに掲げて、盗賊達が笑う。替えの装備など、初心者達が持っているはずもなく――。


「――という感じで、初心者さんは成す術もなく狩られてしまうというわけです! ヒドイ話ですよね!!」
 予知した内容を猟兵達に告げて、白鳥沢・慧斗(暁の声・f41167)は肩をいからせる。初心者狩り、という響きはありきたりだけれど、GGOにおいてはそのまま人権剝奪、|遺伝子番号《ジーンアカウント》の焼却に繋がるのだから、あまり暢気に構えてもいられないのだ。
「まあ、元々はちゃんと『初心者向け』に作られたクエストだったようですが……」
 用意された敵、『グリーンラット盗賊団』を名乗る彼等は、頭数も実力も大したことはない雑魚キャラである。戦闘においても成功率の低い『盗む』行動を乱発し、すぐに隙を晒すという弱々なルーチンを備えているのだが、今回はそれがバグプロトコル化したことで、おかしなことになったようだ。
 どういう原理か『盗む』の成功率が爆上がりしており、相手の手にした武器や所持金はもとより、通常盗めないような貴重な装備品まで奪えるようになっているのだとか。
「ただでさえ装備の揃ってない初心者にとって、これは即引退モノのダメージです! 放置しておくわけにはいきません!!」
 幸い、このクエストは『初心者向け』とはいえ参加条件の制限などは存在しない。歴戦の強者、そして猟兵でも問題なく参加できるようになっている。
「皆さんには初心者プレイヤーの方々と一緒にこのクエストに参加していただき、彼等を救っていただきたいのです!」
 いわゆるキャリーってやつですね! などと言いながら、慧斗はクエストの詳細を示していく。

 最初は森の中で奇襲を仕掛けてくる盗賊達との戦闘。襲われている初心者プレイヤー達を救助し、敵を倒した後は、彼等に同行してクエストを進めていくことになるだろう。向かう先は、盗賊の根城としている廃村である。ここの探索如何では盗賊達に盗まれたものを取り返したり、彼等の溜め込んだ宝物を入手することもできるだろう。
 そして盗賊の宝物庫をひとしきり探った頃に、帰ってきた盗賊の親分と最後の戦闘になる。
「この戦闘においても、バグプロトコルが混ざっているようです! 盗賊の親分の相手は本来のプレイヤーさん達に任せて、猟兵の皆さんはこのバグプロトコルの相手をお願いします!!」
 盗賊の配下として現れるこの竜牙兵達は、明らかに盗賊の親分より戦闘力が高くなっている。場合によっては盗賊達の盗んだ物品を装備していることもあり、注意が必要となるだろう。
「とはいえ、猟兵の皆さんであれば問題なく倒せる程度であると思われます! 油断せず、されど気負わず、圧倒してきてやってください!!」
 それでは、よろしくお願いします!! 元気よくそう締めくくって、グリモア猟兵は目的の場所への道を開いた。


つじ
●『盗む』
 第一章の敵、グリーンラット盗賊団は非情に成功率の高い『盗む』攻撃を行ってきます。猟兵の皆さんもその影響は避けられませんので、盗まれないよう対策するか、盗まれた後の対応を準備してきてください。
 ここで盗まれた物品は、『その場で取り返す』、『第二章で発見する』、『第三章で敵が使ってくる』などの展開に繋がります。希望の展開がある方は、プレイングを良い感じに書いてきてください。

 それでは、皆さんのご参加をお待ちしています。
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第1章 集団戦 『グリーンラット盗賊団』

POW   :    攻撃と同時に盗む
レベルm半径内に【ナイフを使った攻撃 】を放ち、命中した敵から【持ち物や装備品】を奪う。範囲内が暗闇なら威力3倍。
SPD   :    不意を打って盗む
自身と武装を【腕部から染み出る闇 】で覆い、視聴嗅覚での感知を不可能にする。また、[腕部から染み出る闇 ]に触れた敵からは【持ち物や装備品】を奪う。
WIZ   :    隙を突いて盗む
【投げナイフ 】が命中した物品ひとつを、自身の装備する【どろぼう袋】の中に転移させる(入らないものは転移できない)。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リン・ビスケット
盗賊退治クエスト?
わー、私も受けた受けた!
あの頃は|上級職《霊鬼士》の存在すら知らなかったなぁ

…そんな風に懐かしく思えるのも
無事にクリアできてこそだよね
マロ、手伝いに行っちゃおうか!

盗む対策として
一時的にいつものレア武装は外しておこうか
代わりに初心者の頃の装備を付けて、クエスト受注!

戦闘音を頼りに敵を探してエンカウントするよ
今の私は武装を変えた分、ステータスは下がってる
でも、このクエストの敵くらいなら蹴散らす手段はあるんだよね!

行くよ、マロ!
【グリムシュラウド】発動!
攻撃力上昇、霊鬼弾発射!

念の為、被ダメ軽減の『オーラ防御』を展開しつつ
『エネルギー弾』の弾幕で
投げナイフごと盗賊を一掃するよ




「盗賊退治クエスト? わー、私も受けた受けた!」
 クエストを受注し、舞台となる盗賊の森を訪れたリン・ビスケット(鬼と笑う・f42024)は、周囲の様子を見回しながら当時のことを思い出す。懐かしい、とでも言うべきか、このクエストの適正レベルだったあの頃は、彼女の今の職業――霊鬼士をはじめとした上級職の存在さえ知らなかったもので。
 このクエストを受注した初心者プレイヤー達も、きっと似たような状況なのだろう。だからこそ、その芽が摘み取られてしまうの防がねばならない。
「マロ、手伝いに行っちゃおうか!」
 元気よく、相棒の霊鬼と共に森へと分け入ったリンは、早速聞こえる戦闘音の方へと脚を向けた。
『ハッハー、装備はいただいておくぜ!』
『ああーっ! 俺の弓が!?』
 何やら早速やられているらしい。盗賊と交戦していた弓手らしき少年が、敵の集団の前で丸腰を晒している。如何に相手がザコ盗賊とはいえ、初心者のステータスでは厳しいだろう。取り囲まれ、じりじりと間合いを詰められている初心者を救うべく、リンはその間に割って入った。
「そこまでだよ!」
 佩いていた剣を抜き放ち、盗賊の投げナイフを余裕で弾き飛ばす。が、しかし次の瞬間、リンの手の内からその剣が消え去っていた。
『この武器ももらっておいてやるよ!』
『邪魔するオマエが悪いんだぜ!』
 手元のドロボウ袋をごそごそとやって、盗賊がリンから盗み取った剣を、勝ち誇るようにして掲げる。だがそこに現れた剣は、彼女本来の得物に比べて、随分と簡素で――他の初心者達の手持ち武器とさして変わらないものだった。
「調子に乗らないでもらえるかな?」
 つまるところ、盗まれるところまでは想定済み。本島に初心者の頃ならいざ知らず、今のリンならばこの程度の敵くらいは、楽に蹴散らす手段を持っている。
「行くよ、マロ!」
 『グリムシュラウド』発動、霊鬼のマロが、リンの身体に宿る。戦を前にした咆哮が森の中に響き渡り、彼女の攻撃力が増していく。
『あ、これヤバくね?』
『いやいけるだろ! あの憑いてる霊鬼だって盗んじまえばグワァーッ!?』
 最後まで言う暇もなく、リンの剣を構えていた盗賊の一人が、霊気弾を喰らって吹っ飛ぶ。
 こうなってはもはや武器の有無など些細なことなのでは?
「さあ、私達の力を見せてやろう!」
『ウワーッ! 逃げろ!!』
 自動追尾の弾幕が次々と敵を打ち倒し、残りの盗賊達も散り散りになって逃げていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミノア・ラビリンスドラゴン
GMコールあらば即参上!
バグの駆除は|ドラゴンプロトコル《わたくし》にお任せですわー!

登場と同時に【大声】で高笑い!
敵の注意をわたくしに惹き付けますわー!(悪目立ち・挑発)

アイテムを使おうとしたら盗まれてしまいますわ!
ですがそれはトラップカード! 盗賊の手の中で発動して【爆破】!
【龍の財宝】に手を出すならば、相応の覚悟を示していただかねば!
迷宮の宝物庫にアクセス!
剣、槍、棍棒、斧、矢、無数の武具を【弾幕】射出!
【戦闘演算】で極めて効率的に逃げ場を奪い、体勢を崩させ、|クリティカルヒット《急所突き》!
そぉーれそれ! 盗めるものなら盗んでごらんなさい! 大盤振る舞いでしてよー!




 盗賊の根城と化した森の中に、初心者プレイヤーの悲鳴がこだまする。貴重、というか唯一の手持ちである初期装備を最初のターンで盗まれてしまうのだから、嘆きたくもなるだろう。戦って勝つのは絶望的で、逃げ出したところで装備無しのビギナーという詰んだ状態で放り出されることになるのだから。
 ――ふざけんなよこのクソゲー! 責任者出てこい!
 そんな罵倒にも似た|GMコール《呼び出し》に応えて、ミノア・ラビリンスドラゴン(ポンコツ素寒貧ドラゴン令嬢・f41838)が戦場に姿を現した。
「バグの駆除は|ドラゴンプロトコル《わたくし》にお任せですわー!」
 手の甲を口元に当てて、お手本のような高笑いを上げる彼女に、盗賊達の注意が向く。なんだよ邪魔する気か? そんな剣呑な気配もどこ吹く風、ミノアはそのまま見せつけるようにしてカードを取り出した。
「それでは早速このアイテムで――」
『やらせるかよぉ!』
 アイテムの効果が発動するのを大人しく見ている敵ではない、盗賊の一人が素早く切り込み、ミノアの手からそのカードを掠め取った。
『ザマぁねえな! こいつはこっちが使わせてもら』
 どかーん。
 台詞を最後まで言う前に、盗賊の手元でカードが爆発する。爆風が盛りの木々を揺らしたその後には、ますます調子に乗った高笑いが響いていた。
「残念、トラップですわー!」
 迷宮の主たるミノアは続けて自らの宝物庫にアクセス、黄金の輝きをその背に纏い、そこに収めていたモノを引っ張り出す。
 剣、槍、棍棒、斧、矢、とにかく多種多様な|武具《宝物》が、盗賊にその刃を向けて。
「『龍の財宝』に手を出すならば、相応の覚悟を示していただかねば!」
 次の瞬間、それらは次々と射出され、当たるを幸いに敵集団へと降り注ぎ始めた。
『クソッ、喰らったらヤバいぞ!』
 慢心する悪役みたいな戦い方を始めたミノアに対し、慌てふためき逃げ惑っていった盗賊達だが。
『でもよぉこれ……盗むまでもなく普通に持って帰ればいいんじゃねえか!?」
 光り輝く財宝の弾丸を前にして、彼等はごくりと唾を呑み込む。
「良い度胸ですわ! 盗めるものなら盗んでごらんなさい!!」
 そんな敵の反応に、むしろ気を良くしたミノアは、射出される武具の密度を上げる。敵の退路を断ち、取り囲むようにそれらを降らせて――。
「そぉーれそれ! 大盤振る舞いでしてよー!」
『やってやるぜ!』『うおおおおおおおおお!!』
 もはや初心者を置いてきぼりにして、レイドボス戦みたいなものが幕を開けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

烏護・ハル
盗賊かぁ。
里で暮らしてた頃はどうしてたっけなぁ……。
……そうだ。兄ちゃん達と一緒に、袋叩きにしてふん縛ったっけ。
手間取るとお師さんがふざけてしょうもない術使うんだもの。
収集つかなくなる前にやっちまえ、って。
懐かしいなぁ。

……そっか。それだ。うん。

盗む瞬間は相手も隙だらけでしょ。
そこを狙っていくよ。
式神さん、奴らが仕掛けてくる一瞬を狙って。
念動力でグイッと押さえつけてね。

盗まれる瞬間を見切ってカウンター。
全力で拳、もといUCを叩き込むわ。
複数で掛かってくるなら、手近な敵を引っ掴んで盾にして、一気に薙ぎ払ってから連続で叩き潰す。

術師だからって油断した?
陰陽師だって、めんどくさい時は物理も使うのよ!




「盗賊、かぁ」
 戦場でありながらもどこかのどかな森の中、烏護・ハル(妖狐の陰陽師・f03121)がぽつりと呟く。
 深緑色の外套に身を包んだその姿は、彼女の居た世界のそれとは少々違う趣きにも見えるが、本質的には大差ないだろう。あの頃、そう、里で暮らしていた頃にも遭遇することは幾度かあった。そういう時にどうしていたのかと言うと。
「……そうだ。兄ちゃん達と一緒に、袋叩きにしてふん縛ったっけ」
 手間取るとお師さんがふざけだし、しょうもない術を使い始めて収拾がつかなくなってしまう。ああ、懐かしいなぁとどこか遠い眼をしながら、ハルは「そっか。それだ」と頷いた。
『あァ? さっきから一人で何言ってんだこいつ――』
 というわけでここからは現実。森の中で遭遇した盗賊達は、早速ハルの装備を盗んでやろうと動き出し……どの獲物を、いかに素早く的確に盗むか、そんな方向に思考が流れた瞬間を見逃さず、ハルの拳がカウンターの形で盗賊へと突き刺さった。
 そう、こういう時は素早く片付けるのが一番である。顎に良い一撃をもらった盗賊は、その場に膝から崩れ落ちた。
 一瞬の出来事に、盗賊達がどよめく。その反応を見て取り、ハルはどこか満足気に、そして不敵に微笑んだ。
「ふふ、術師だからって油断し――」
『やべーぞ! パワータイプだ!』
「は!?」
 武器を盗む意味の無い、素手でやれるタイプは盗賊にとって相性が悪い、という扱いらしい。
 混乱の中にある敵達は、ある者は背を向け、ある者は取り囲もうと、てんでばらばらに動き始める。そんな中で、ハルは聞き捨てならない台詞を吐いた奴を的確に見つけ出していた。
「式神さん、捕まえて!」
 はいはい、といった調子で念動力を使用、式神がその動きを留めたところを、しっかりと捕まえて。
「見た? これが陰陽術よ」
 その身体を盾代わりにして迫り来る敵の攻撃をしのいで、投げ捨てるようにして、一気に敵陣を薙ぎ払った。
『嘘つけテメェ! 術師のやり口じゃねえだろうがよ!』
「うるさいわね! 陰陽師だって、めんどくさい時は物理も使うのよ!」
 有無を言わさぬ|陰陽術《右ストレート》が、抵抗する盗賊を叩き伏せる。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シモーヌ・イルネージュ
いきなり初心者から初期装備まで剥いでいくとか、やることがえげつないな。
そんな泥棒たちがうろうろしている世界なら、せめて手助けもしてやらないと。
なんせ、この世界は死んだらゲームオーバーじゃすまないしね。

まずは景気づけに目の前の盗賊団から倒していこう。
黒槍『新月極光』で戦おう。
UC【山紫水明】を発動して、【風の魔力】を槍に付与。
風の刃で【なぎ払い】して、盗賊たちを倒していこう。

あらかた片付いたようだな、大丈夫か?
あれ? ショットガン『ミストラル』が無くなってる?
蛮刀『メルキュール』も無い!?
畜生、盗られた!!

あ、いつの間にか槍も無くなってる……
どうしよう……




『か、返せよ! 俺の剣だぞ!』
 返せと言われて返す盗賊はいねえよ。大体武器だけで終わると思ったら大間違いだぜ――?
 そんな風に被害者を弄ぶ盗賊達の声を耳にして、シモーヌ・イルネージュ(月影の戦士・f38176)はそちらへと足を向ける。他の世界とも何ら変わらぬ、緑に溢れた森を進めば、深緑色の外套を着込んだ盗賊が、見せつけるようにして盗品の剣を掲げていた。
「やることがえげつないな……」
 もの自体にさほど価値はないのだろうが、初心者にとっての初期装備は替えの利かない一品だ。ほんの一度の『盗み』が、そのまま致命傷になってしまう。ならば、せめて手助けくらいはしてやるべきだろう。
「なんせ、この世界は死んだらゲームオーバーじゃすまないしね」
 さすがにそれは笑えないと、踏み出したシモーヌの槍が風を纏う。
 母なる大地よ、我に力を。『山紫水明』、極光を宿す穂先を一閃させれば、周囲の木の葉が舞い上がり、風の刃が盗賊達を切り裂いた。
『うおっ、なんだ!?』
『邪魔する気かよ!』
 奇襲を受けながらも、口々に強い言葉を吐きながら応戦の構えを取る。だが歴戦の猟兵たるシモーヌにしてみれば、それらは捌き、軽く捻ってしまえる程度のもの。吹き荒れる風が収まる頃には、襲ってくる盗賊は居なくなっていた。
「大丈夫か?」
『あ、ありがとうございます。でも……』
 問いかけられた冒険者達が、シモーヌの後ろを指差す。
『やったぜ! 大漁だ!』
『お前らの死は無駄にはしねぇぞーッ!』
 彼女が振り返ると、生き残った数少ない盗賊が、そんな声を上げながら一目散に逃げていくところだった。
 まあ、それは良いとして。でも走り去る彼等が手にしているものに、何か見覚えがあるような……。
「……あれ?」
 身の軽さを感じて自らを顧み、シモーヌは装備していたショットガンが消えていることに気付く。あれ、もしかして蛮刀もなくなっている?
「畜生、盗られた!!」
 状況を悟って顔を上げるが、逃げ出した盗賊達の姿は既にない。敵を撃退し、初心者プレイヤーを救うという目的を果たすことは出来た。しかし……。
「あ、いつの間にか槍も無くなってる……どうしよう……」
『だ、大丈夫ですよ、この先に連中のアジトがあるみたいだし……』
 助けたはずの初心者プレイヤーと目が合う。どうやら、彼等とはもうしばらく同行することになりそうだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

生浦・栴
盗難回避が無理そうさな、なれば魔導書や装身具の類
ついでに死霊も呼びだした上で全部UCで魔鍵に収めておくか
現場は空から探すとしよう

他の猟兵が派手に戦っておるのも散見されるが
まああの辺りは任せておくか
カモになっておる初心者を見つけたら魔鍵を手に冒険者との間に入ろう
さて、それではと云うておる間にもう彼方の手の中か
よし|死霊共《お主等》、もう出てきて良いぞ
適当に相手をしてやって呉れ

俺は直接相手をするのは苦手なので
向かわれるか逃げるかされるようなら魔力を練って
電撃と衝撃波を取り混ぜて適当に相手しておこう
自前の魔力にはアイテムは必要無いのでな

ところでお主ら、今なら連中から獲物を取り返せるのではないかな?




 背中の翼を振るって空へと上がり、件の森の様子を上から探る。緑豊かではあるが、鬱蒼とした森林――というほどでもないこの森ならば、プレイヤーや敵の場所を見つけることも可能だろう。
 まあ、探すまでもなく光る弾丸やら虚空から撃ち出される武具やらが乱舞している場所もあるようだが。
「……あの辺りは任せておくか」
 きっとそれが良い。上空で一人頷き、生浦・栴(calling・f00276)はそれとは別の、孤立した初心者プレイヤーの方へと降下していった。
『くそっ、武器さえあればお前達なんて……』
『残念だったな! これで終わりだ!』
 早速『盗む』攻撃を食らったのであろう冒険者に、盗賊達が投げナイフを放つ。成す術もなく初心者を貫くはずだったそれを、舞い降りた栴は魔鍵で以て叩き落とした。
 どうにか間に合ったらしい、と息を吐き、割って入った彼は盗賊達へと向き直る。
「さて、それでは――」
『それでは? 何してくれるってんだ?』
 誰だか知らねえけどよ、とニヤニヤと笑みを浮かべる盗賊の手元には、既に栴の魔鍵が握られていた。
「なるほど、手が早いな」
『お、余裕ぶってんのか?』
 つまんねえな、もうやっちまおうぜ。そんなやりとりをさらっと無視して、栴は魔鍵へと声を掛けた。
「|死霊共《お主等》、もう出てきて良いぞ」
『は?』
 敵の『盗み』を回避するのが難しいことは最初からわかっていた。ゆえに、この魔鍵には魔導書や装身具と一緒に、あらかじめ呼び出した死霊の群れが『一時保存』されている。
 詰め込まれたそれは、盗賊達の真ん中で一斉に外へと溢れ出し――。
『おわーッ! なんだこれ呪われてんのか!?』
『なんてモン押し付けてきやがる!!』
 わーわーと騒いだ盗賊達は、分が悪いと見たのかそれぞれにその場を逃げ出し始める。
 しかしながらそう簡単に逃がしてやる義理もない、装備がなかろうと栴の魔力操作の冴えは変わらず、生み出された電撃と衝撃波が背を向けた連中を次々と打ち据えていった。
『あ、ありがとうございます……』
 戦場が静かになった頃に、呆然とそれらを見ていた初心者達が我に返り、栴へと頭を下げる。
「うむ。ところでお主ら、今なら連中から獲物を取り返せるのではないかな?」
『た、確かに……!』
 雷撃にやられてのびている盗賊達の方へ、彼等は自分の装備を取り戻すべく駆けていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『宝物庫だ!』

POW   :    強力な装備を発見!

SPD   :    レア素材を発見!

WIZ   :    金銀財宝を発見!

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



『覚えてろよテメェら!』
『助けてくれおやぶーん!』
 そんな声がうっすらと響き渡って、猟兵の攻撃から生き残った少数の盗賊達が、散り散りに姿を消していく。撃退の過程で盗まれた物を取り返すこともできたけれど、そのまま持ち去られてしまった物も多いだろう。
 救い出した初心者冒険者達と共に、森の奥へと彼等を追った猟兵達は、やがて朽ちかけた廃村――依頼にあった、盗賊が根城にしているという場所へと辿り着いた。
『盗賊達は……いないようですね』
 捨て台詞で何やら助けを求めていたことから察するに、仲間を呼びに行って、まだ戻っていないのだろうか。廃村に踏み入った冒険者達は、注意深く周囲を見回しているが、やはり敵の気配はない。
『今の内に、探索を進めてみようぜ!』
『盗まれた武器、この辺にあるかなぁ……』
 半壊した民家や宿屋の跡地、茂みに隠されたほら穴など、よく探せば盗品が隠されているかもしれない。それに、うまく宝物庫にされた場所を見つけられれば、初心者基準でよりよい装備だって見つかるかも――。

 ここからは、初々しい様子で捜索を始めた彼等を手伝っても良いし、周囲の警戒に回っても良いだろう。いまのところ敵の気配は全くないが、確かなのは、このクエストがまだ終わっていないということだ。
ミノア・ラビリンスドラゴン
迷宮城の主ですもの、【失せ物探し】や【宝探し】はお手の物ですわー!

ちゃちゃっと【龍の財宝】でばら撒いた武具を回収!
初心者エリアでドロップするのはせいぜい|★1《コモン》か|★2《アンコモン》、わたくしが手にしても無用の長物!
なので初心者の皆様方のお手伝いでしてよー!
【鍵開け】のコツですわね!
ピックをいい感じに差し込んで、グリっと回して、こう……開きましたわー!
ほほほ、(自分が食べ過ぎたせいで)メイドにおやつを隠されて、迷宮の宝箱を引っくり返した経験が活きましたわー!
さぁ、皆様方もやってごらんなさい! 即死するような罠もないようなので恐れることはありませんわー!!




 元の住人も姿を消して、どれくらい経ったものだろうか、手入れする者のいなくなった村は、半ば森の緑に呑まれかけていた――といったところだろうか。盗賊を撃退した先、廃村に辿り着いたミノアは、盗賊の根城と化した周囲を見回す。
 荒れ果てた様子ではあるものの、盗賊がそこを雑に、しかし多少は住みよくしようとした形跡は見られる。
「これならちょろいもんですわね! 盗品もすぐに見つけられそうですわー!」
 とりあえずお決まりの高笑いを決めつつ、彼女はそれらの跡、盗賊の動きを追うようにして探索を開始した。初見の場所ではあるけれど、迷宮城の主である彼女からすればさしたる困難も無い。まあ、初心者向けのフィールドなのだからそれも道理か。
「この辺なんか怪しいですわね!」
 早速古びた納屋に目を付けた彼女は、その大きな扉に手を置く。周囲の建物同様ボロボロではあるものの、比較的作りはしっかりしており――何よりも、分かりやすくでかい錠がかけられている。
 このまま探索を続ければ、先程の戦闘でばら撒き、そのまま盗まれた幾らかの財宝はちゃちゃっと回収してしまえるだろう。ついでに盗賊の蓄えた諸々も新たに入手できると思われるが。
「まあ……この辺ではそんな貴重な物出てきませんわよね……」
 初心者向けのコモンか、よくてアンコモンくらいのものだろうか。さすがに今更手に入ってもミノアにとっては無用の長物、であれば。
「皆様方! こちらに何かありましてよ!」
 居合わせた初心者冒険者達を呼び寄せて、ミノアはお手本を見せるように鍵のかかった扉に挑む。ピックを良い感じに差し込んで、引っ掛かりの消えたところでグリっと回せば、こう。
「開きましたわー!」
 おお、すげー、と初心者達から歓声が上がる。拍手までされたことに気を良くした彼女は、胸を張って開いた扉の先を指差した。事前の予想通り、納屋の奥にはいくつかの盗品――ミノアにとって見覚えのある武具と、初心者達の装備品、そして宝箱が雑多に置かれている。
「ほほほ、メイドにおやつを隠されて、迷宮の宝箱を引っくり返した経験が活きましたわー!」
『え?』『なんて?』
「さぁ、皆様方もやってごらんなさい!」
 丁度宝箱にも錠前がかかっている。この辺りに厄介な罠はないだろうし、彼等にとっても良い練習になるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シモーヌ・イルネージュ
不覚だ。武器を丸ごと盗まれるとは。
泥棒たちには後で鉄槌を下すとして、今は武器の回収が最優先。
槍だけでも取り返さないと、調子が出ないよ。

ともかく泥棒たちの根城を隅々まで探してみよう。
まずは使い魔『サテリット』を放って、村の上空から探索だ。

ある程度範囲が絞れたら、次はサイバーアイの出番。
隠された扉や宝を各種センサーで探り出していこう。
人手もほしいから、同行している初心者達にも協力してもらって、効率よく探していこう。




 建築物のあちこちに緑が絡み、崩れかけた家々には影がかかって見える。人が住んでいないからこその、感傷に近いものかもしれないが、それが盗賊の隠れ家としては丁度良いのかもしれない。先程シモーヌの打ち払った盗賊達も、一度はここに戻ってきたのだろうか。
 先程の戦闘を思い出すにつれ、小さく眉根が寄せられる。
「……不覚だ」
 まさか武器を丸ごと盗まれるとは。バグプロトコル化したあの盗賊達の盗難テクニックは尋常ではなかった。「どうしようもなかった」と言ってしまえばそれまでだが、徒手空拳どころか丸腰という今の状況はとにかく落ち着かない。初心者向けの場とはいえ、仮にもここは敵地なのだ。
「せめて槍だけでも取り返さないと……」
 まずはあの泥棒達の痕跡を探さなければ。使い魔のカラスを放ったシモーヌは、それと視界を共有して上空からこの廃村を見下ろす。
 木々の枝葉が色濃くかかったその合間に、崩壊しかけた家屋の屋根が覗いている。程度の差こそあれ、風化に任せたようなそれらの中に、人の手で補修されたと思しき痕跡を見つけて、『サテリット』はそちらへと翼を向けた。
 修繕の仕方は雑――というか応急的で、無理矢理塞いだ程度の質だけれど。
「最近使われてるってことだよな」
 となると件の盗賊以外にあり得ない。雨漏りを嫌うということは、そこを寝床にしているか、そこに何かを仕舞っているという可能性が高いか。
「アンタらも自分の武器を取り返したいんだろ? 一緒に来てくれよ」
 周辺を探索している初心者プレイヤー達に声を掛けて、シモーヌは先程当たりを付けた建物へと向かう。
『ほんとにここにあるの?』
 周りにある他の家と変わらないように見えるけれど――と、疑問を呈する彼等に応じるように、シモーヌは碧眼を細める。左目のサイバーアイが輝いて、その光景を分析し始めた。
「この辺の草だけ踏み慣らされた形跡があるし、扉の桟の部分にも最近できた感じの傷があるだろ? これは多分、運んでた武器をぶつけたんじゃ――」
 いやぶつけたのかよ。大事に扱えよアタシの槍。一瞬憮然としてしまったが、とにかく。
「隠し扉とかもあるかもな。ま、隅々まで探してみようぜ」
 罠の形跡がないことも確認済み。扉を開けたシモーヌは初心者達を先導するように、盗賊の隠れ家へと踏み込んでいった。

『あった! 俺の剣!』『すぐに見つかって良かったですね……』
 さして時間もかからず、探索に当たった初心者のグループが歓声を上げる。そちらに合流してみると、シモーヌにとって見覚えのある槍もまた、無造作に放置されていた。
「……さて」
 ここまではよし。手に馴染むその感触を確かめながら彼女は呟く。後は、あの泥棒達に鉄槌を下すだけだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

烏護・ハル
……まったく。
何よもう、パワータイプって。失礼しちゃうわね。
こちとら陰陽師だってのよ、陰陽師。

さて、と。
幸い、自分の荷物は盗まれてないみたいだし。
ここは初心者達の探索に付き合うとしますか。
私も手伝うよ。できることがあったら何でも言って。
よろしくね。

保管場所はどこだろな。
一見目立たないように偽装してるかも。
間取りや配置に不自然な箇所がないか、やけに劣化の少ない設備がないか等、じっくり観察。
足跡とかも念入りに探しとこう。頻繁に出入りするなら、痕跡くらいあるかもね。

式神さん達にも手伝ってもらおっと。
皆、出ておいでー。

狭い場所や隙間も、抜かりなくお願いね。
怪しそうなの見つけたら知らせて。
よろしくねー。




 ――まったく。
 少々静かになった森の中を歩きつつ、ハルはそう溜息を吐いた。
「何よもう、パワータイプって。失礼しちゃうわね」
 こちとら陰陽師だってのよ、陰陽師。先程の盗賊の反応に納得がいっていない様子の彼女だが、ふと自分の右手に視線を落とし、口を噤む。今ちょっと、苛立ち紛れに拳を使って素振りをしようとしなかったか? 思い返すと最近物理で戦う機会がやたらと増えたような――。
『私達の武器、どこに運ばれたんでしょう?』
『捨てられてないといいんだけど……』
 と、聴こえてきた声から、目的地に着いたことを察し、ハルは考えるのを後回しにした。
「私も手伝うよ。できることがあったら何でも言ってね」
『あ、ありがとうございます』
『頼もしいです。熟練の術師さんに手伝ってもらえるなんて……』
 素直な反応が身に沁みる。初々しい彼等のため、ハルは辿り着いた廃村を見回す。住む者がいなくなってからどれくらい経つのだろうか、建造物の朽ち方や草木の浸食具合からはあまり判別がつかない。
 とはいえ、盗賊がここを根城にしている以上、その痕跡は必ず残っているはずだ。
「とはいえ、一見目立たないように偽装してるかも……?」
 自分達のような者の侵入に備えて、何かしら対策を打っていてもおかしくない――と推理を口にしながらも、足跡やらを判別し、一番出入りの多そうな建物を探し出す。元は小さな宿屋でもやっていたのか、部屋の多いその建物に当たりを付けて、ハルと初心者プレイヤー達は手分けして探索を開始した。
 焚火の跡や寝具に使われているらしきぼろ布、片付けられてない食事の跡など、明らかに盗賊の残したものはすぐに発見されたが。
『無いなぁ……』
『うーん、ここで寝泊まりしてるみたいなんですけどね』
 盗まれた武具など、価値のありそうなものは見当たらない。あの盗賊達の様子から見て、がさつな彼等は寝床の近くに適当な物置を用意していそうなものだが。
 初心者達と一緒に建物内を見て回っていたハルも、彼等と共に首を傾げ……ふと気付く。
「……うん?」
 この間取り、何か変。いや外から見た時に比べて、廊下が短くないだろうか?
「式神さん、出ておいでー」
 こういう時に便利な彼等を使役して、この周辺を重点的に調べさせる。壁の裏に何かあるだろう、という彼女の予測は、すぐに式神達によって裏付けられた。

『外からだけ入れる部屋かぁ』『倉庫みたいなものですかね』
 なるほどなー、と頷きながら、ハルに案内された初心者達は盗賊の宝物庫に踏み入る。盗まれた武器を取り返した彼等は、ついでに盗賊のお宝を拝借して、少々装備を充実させることができたようだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『竜牙兵』

POW   :    竜牙兵の剛撃
単純で重い【武器】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    竜牙兵の連撃
【武器】【シールドバッシュ(盾による殴り)】【蹴り】で攻撃し、ひとつでもダメージを与えれば再攻撃できる(何度でも可/対象変更も可)。
WIZ   :    竜牙兵の真撃
自身が装備する【武器】から【闘気の刃】を放ち、レベルm半径内の敵全員にダメージと【回復不能】の状態異常を与える。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



『盗賊の家に盗みに入るとは、良い度胸だなお前達!』
 森の中の廃村に、ドスの利いた声がこだまする。
 一通りの探索を終えた冒険者達、そして猟兵達の前に現れたのは、緑色の外套に身を包んだ年嵩の男――グリーンラット盗賊団の首領である。お決まり通りの台詞と共に現れた彼が、部下達のナイフとは違う、大振りで華美な曲刀を引き抜く。すると同時に、周囲の地面の下から骨の兵士達が起き上がった。

『うちの盗賊団にあんな部下居たっけ?』
『……まあいいや! やっちまってください!』
『ひゅー、親分かっこいー!』

 周囲の森に隠れているのだろう、先程の生き残りらしきザコ盗賊達の声援が聞こえてくる。
 見た限り、盗賊の首領の戦闘力はさほどでもない。というかバグプロトコル化していないため、先程戦ったザコ盗賊達にも劣るだろう。これならば装備を取り戻し、盗賊のお宝で多少強化された初心者達でも倒すことができるはず。
 だが、問題は首領が引き連れているお供の『竜牙兵』だ。ぎちぎちと関節を鳴らしながら蠢くそれらは、明らかに首領より上の存在感を放っている。
 バグプロトコル。本来のクエストボスである盗賊首領は他のプレイヤー達に任せ、猟兵達はこちらの相手に集中すべきだろう。

 盗賊達の『戦利品』で武装を施した竜牙兵は、先程猟兵達から盗み取った黄金の武具や蛮刀、さらにはショットガンなどの銃器を、その手に構える――!
ミノア・ラビリンスドラゴン
首領の方へ向かう皆様方へ、ミノア印の迷宮ミルクでバフ(瞬間強化・回復力)を付与してさしあげますわ!
頑張ってくださいまし~!

さて、黒幕はおらず、バグ感染による自然発生的なものだったのかしら?
ならば後は蹴散らすだけですわ~!

これ以上の財宝ぶっぱは赤字になりますわ!
宝物庫から取り出すのは雑多な射出用武具ではなく、自作クラフト武器! その名も双龍剣!
衣装もドレスアーマーにチェンジ!
近接戦闘モードですわー!(双剣使い)

単純な太刀筋は【戦闘演算】で即座に解析!
軽やかに受け流し、反撃の斬撃!(切断) さらに【追撃】の【急所突き】でトドメ!
わたくしの【二天双龍斬】に隙はなし! ズバズバ斬っていきますわよー!!




「それでは皆様、首領の方はお願いいたしますわ~!」
 ついでにこちらもお持ちください、とミノア印の迷宮ミルクを手渡して、ミノアは初心者プレイヤー達を送り出す。
『ありがとうございます!』『行くぞー!』
 ミルクの効果でステータスバフを得て、駆けて行った彼等が盗賊の首領とやりあっている間に、こちらは竜牙兵を相手取る形だ。集団の敵に対しては、先程同様財宝の連続射出で蹂躙してやりたいところだが、肝心の武具のいくらかは現状敵の手に握られている。
「これ以上の財宝ぶっぱは赤字になりますわ! 仕方ありませんわね!」
 代わりにミノアが宝物庫から取り出したのは、雑多な射出用武具ではなく、その手に握るための自作クラフト武器だ。
 一対の刃、双龍剣を装備し、ついでに衣装も動きやすいドレスアーマーへと換装、近接戦闘の構えを取る。
「蹴散らして差し上げますわー!!」
 双剣の龍の意匠を輝かせ、速度バフを乗せたミノアが踏み込む。高速の一太刀が竜牙兵の鎧に深々と刻むが、それに怯むことなく、敵は黄金の長剣を振り下ろしてきた。
 単純にして重い、高威力な一撃。まともに喰らえば周辺地形ごと凹まされそうな攻撃だが、技も何もない力任せの攻撃は、ミノアにとっては容易く見切れる程度の物。即座に解析した流れに合わせて左の剣を振るい、竜牙兵の一撃をいなすと、逆の刃で反撃の一太刀を浴びせる。
 鎧の隙間を正確に撫でた刀身が、その下の骨を斬り飛ばす。痛みの類を感じていないのか、なおも食らい付こうとする竜牙兵だが、今度は先程防御に回していた左の刃を、流れるように突き立てた。
 横に寝かせた白刃が首の骨を貫いて、兜を乗せた竜牙兵の頭蓋骨が宙を舞う。絶え間ない連撃が四肢をバラし、速やかに敵を行動不能にまで追い込んだ。
「わたくしの二天双龍斬に隙はなし! ズバズバ斬っていきますわよー!!」
 敵の動きを見切ったミノアは、さらなる敵を仕留めるべく、そのまま敵陣へと切り込んでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シモーヌ・イルネージュ
盗賊団の討伐は冒険者達に任せよう。
本当はアタシも一発殴りたいけど、彼らにも花を持たせないとね。

それよりも。
人の武器をさも当然のように使いやがって。
そこの骨たち、相手してやるよ。

黒槍『新月極光』で戦おう。
さて、向こうはショットガン持ち。
蛮刀も本来なら槍の方が間合いがあるんだけど、あれ伸びるからな。
我ながら厄介だね。

ここは速度で勝負だ。
UC【月影戦士】を発動。
相手の動きをサイバーアイの動体【視力】とUCの反応速度で対応して、攻撃を避けていこう。
こっちの間合いに入ったところで【怪力】で【なぎ払い】。
決着をつけよう。


生浦・栴
アドリブ・共闘歓迎

のんびり地形を確認して居る内にもう始まっておったか
連中が何を手にしても連中が|此方《イェーガー》の武防具を扱い切れると思わぬが…
広範囲の攻撃が出ると面倒故、追い込まれる体を装ってボス戦をしている初心者たちから距離を取るよう誘い込むとしよう
攻撃は空に避けるかオーラ防御で防ぎながら防戦一方を装ってと
云うても俺の場合、実際フィジカルは弱いのでまともに喰らいたくは無いので防ぐ方法には手は抜けぬが
さて俺の魔鍵を持っておるのはあやつか
二番煎じではあるが、今度は中に入れているオーブから呪詛を練って魔鍵から花火でも打ち出すとしよう
面倒なれば炎を纏めて叩いても良し

さて、此れは返して貰おうか


烏護・ハル
首領の方は……大した事なさそうね。
冒険者の皆、思う存分やり返しちゃって!

……問題はこっち。
面倒臭い展開だなぁ……っと。
……いけない、また素振りしてるわ、拳で。
術師らしくしなきゃ。
というか昔も今も術師よ術師。陰陽師。私は陰陽師。

高速、多重詠唱で即座に防御結界を構築。
受け流せない攻撃は無理やり痛みに耐えてやり過ごす。
広範囲に念動力を発生させ、敵陣の体制を崩せたらUCも広範囲に展開。
密集していたなら、火球を集束させて焼き尽くすわ。
時間は掛けたくない。
落ち着いて挙動を見切って仕掛けていく。
とはいえ、薙ぎ払い続けるのも相応に応えそうね。
……式神さん、ガンガン魔力回して。
へばりそうになったら喝入れて頂戴。




『こいつ、素早いけど攻撃力はそこまでじゃないぞ!』『押せ押せー!』
 盗賊首領の攻撃を凌いだ初心者プレイヤー達が反撃に出る。武装が整い、万全な状態の彼等であれば、順当に倒せる程度の相手なのだろう。
「首領の方は……大した事なさそうね」
「本当はアタシも一発殴りたいトコだけどね」
 ここは彼等に花を持たせてやるのもいいだろう。彼等の様子を見遣るハルの言葉に頷いて、シモーヌはこちらの担当、バグプロトコルである竜牙兵達に向き直る。蛮刀にショットガン、見慣れた武装の切っ先がこちらを向いている、というのは新鮮な体験ではあるが、構えが様になっているのを見ると、浮かぶ感情としては苛立ちが勝つか。
「人の武器をさも当然のように使いやがって……」
 先程の槍にも劣らぬ扱われ方に、舌打ち混じりにそう零す。
「面倒臭い展開だなぁ……」
 他の冒険者に被害が及ばないよう、手早く済ませたいところ。そう考えるハルの右手が素振りを始めているが。
「ふむ、のんびり地形を確認して居る内にもう始まっておったか」
 周辺探索から戻った栴が翼を畳んで、敵集団の武装を確認する。既に切り込んだ味方も居るようだが、この辺りの敵もまた盗品を手にしている。中でも目立つのはやはり猟兵から持っていった物だろうか。
「さて、俺の魔鍵を持っておるのはあやつか」
 情報交換と、注意を促す意味でもそう口にして、栴はそちらを指差す。シモーヌもそれに倣い、ショットガンとマチェットで武装した竜牙兵を示した。
「あ、蛮刀も、あれ伸びるから」
「そうか。まあ、俺は元々近接でやり合うつもりはない」
「えっ」
 うんうん、私も私も。とってつけたように頷くハルのことは置いておいて、栴は自身の見立てを続ける。
「何にせよ連中が此方の武防具を扱い切れるとは思わぬが……」
「だといいけど」
 一理ある、と頷きながらも、シモーヌが身構える。彼の魔鍵と違い、ショットガンは引き金を引けば弾が出るわけで――。
 案の定、戦闘開始の号砲代わりにぶっ放されたそれに対し、栴とハルの張った結界が対抗、銃弾を弾く。
「やっぱり術師はこうでないとね」
 そう、私は今も昔も陰陽師。陰陽師だから。ハルの葛藤じみたそれは周りには伝わっていないだろうが、ともかく。栴は守勢に回りつつ、率先して後退し、首領を倒しにいっている彼等に範囲攻撃が及ばないよう位置取りを調整する。ある程度防御を切っても立ち回れる辺りを陣取ったところで、頃合い見て彼は動いた。
「二番煎じではあるが――」
 せっかく『盗まれた』のだから、その点は最大限に活かすべきだろう。栴が示したのは奪われていた彼の魔鍵、先程悪霊を解き放ったのと同様に、内部に収めたオーブから呪詛を練る。編まれた呪文は炎となり、魔鍵から射出された。
 結果は明確、敵集団の中心で闇色の花火が上がり、黒の火弾が周囲に広がる。突然の爆発に混乱をきたした敵陣に、次いでハルの念動力が広がり、動きを縛る。そうして隙だらけの脇を晒した竜牙兵達のもとへ、シモーヌが切り込んだ。
「ここは速度で勝負だ」
 月よ、月よ。魔力で身体能力と反応速度にブーストをかけて、シモーヌが切り込む。広がる散弾は接近する上で脅威にはなるが、銃口の向きを見切れる今の彼女ならば躱し切ることも不可能ではない。『ミストラル』の攻撃範囲から身を捩り、地を這うように低い姿勢から一気に飛び掛かる。
 散弾と二人の魔力障壁がぶつかり合うのを背中で聞きながら、前に立つ竜牙兵の肩口に一撃、鎧の隙間を狙った槍が、その下の骨を削り取っていく。
 向かい来るのは盾の一撃、シールドバッシュを蹴り飛ばすことで逆に相手を後退させて――。
「――おっと」
 無理矢理振り回された蛮刀の軌道から伏せて躱す。傍らを掠めていったのは、彼女の予想した刀身ではなく、竜牙兵のユーベルコードによる闘気の刃だった。
 左眼が輝いて、その『もったいない』使い方を咎める。次に狙ったのは、蛮刀の握り部分。軽い一撃で機構部が展開し、『メルキュール』の刀身が伸びる。突然重心が変化した武器に振り回される形で、竜牙兵が体勢を崩す。すかさず叩き込まれた槍の穂先が頭蓋骨を貫き、そのまま兜の裏側を打ち付けた。
 崩れ落ちた骨の右手から蛮刀を奪い取り、最大限に延長した『メルキュール』の一太刀で、シモーヌはさらに後続の首を飛ばす。局所的に切り拓かれた敵陣へと侵攻し、栴は黒く炭化した遺骸の手から、黒炎を撒き散らしていた魔鍵を拾い上げた。
「此れは返して貰おうか」
「それじゃ、決着をつけようか」
 得物まで取り戻してしまえば、巻き添えを憂う必要もない。
「……式神さん、ガンガン魔力回して!」
 がんばれー、がんばれーみたいな感じで応援している式神を従えて、ハルは残った敵集団を薙ぎ払うように、狐火の火球を見舞った。自在に舞う炎を、小集団の規模に合わせるように展開、延焼するそれらを、取り戻された魔鍵からの炎と散弾が上書きしていく。
 殲滅に、さして時間はかからなかった。

●Mission Complete
『とどめだ!』
『クソッ、この俺がこんなところで……!』
 テンプレみたいな台詞を最後に、盗賊の首領が倒れる。初心者プレイヤー達の勝鬨の声を背景に、親分を倒された下っ端達は散り散りになって逃げていった。
 これで無事にクエストは完了。猟兵達もまた、彼等を救い導くという任務を果たした。
『みなさん、おかげで助かりました!』
『ありがとうございます!』
 後のことは彼等次第――初心者から一歩を踏み出した冒険者達に見送られて、猟兵達は帰路についた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年05月03日


挿絵イラスト