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いずくに鬼はすだくなるらむ

#アヤカシエンパイア

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#アヤカシエンパイア


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「今度の行き先……アヤカシエンパイア、ッてェのか」
 言い慣れない世界の名前を確かめるようにしながら話すのは、グリモア猟兵の我妻・惇だ。そういうわけで、今回の予知はアヤカシエンパイア――妖の跋扈する世における、結界の裡の平安の世での事件に関するものだそうだ。
「山ン中に、妖が城を拵えてるッてことでなァ」
 拠点とすべく建造されたその城には、少なくはない数の妖が集まっているらしい。放っておけばさらに多くの軍勢となり、脅威となることは間違いない。そうさせないために、今のうちに城を攻め落とし、首魁を叩いておく必要がある。

「叩くにしても、まずは潜り込まねェことにはお話にならねェやな」
 目的の妖は、塀に囲まれた城の奥に控えている。当然ながら、猟兵たちが侵入するにはその塀を通過しなくてはならないが、どうにもこれが問題の一つなのである。守っているのが妖であれば話は早いのだが、困ったことに守衛の任を務めているのは操られた人間であるらしく、強行突破というわけには行かないのだ。
「まァひとつ適当に、巧く騙くらかして抜けてくれや」
 無責任で適当な言いぐさとは裏腹に、工夫は求められる。演技をするなり姿を隠すなり、各々で策を講じる必要があるだろう。

 門を抜けて建物の中に入れば、今度は鬼面の群れが現れる。それはもう、群れという呼称に違わず群れである。それらは殿中を所狭しと飛び回り、鬼火を放って親玉のもとへたどり着く道を阻んでくる。
「羽虫みてェなもンで、相手にしてたらキリがねェ。さっさと抜けて大将首へまッしぐらだな」
 幸い、彼らを使役する妖を倒せば、無数の鬼面たちも退散するらしいので、無理をして相手をする必要はないとのことである。

 これらの障害を突破すれば、城の最奥に控える妖・悪霊陰陽師と対峙することになる。強い恨みを抱えて死んだ平安貴族が、死後に大悪霊となった姿であるそれは、鬼面の群れよりも強力な鬼たちを式神として従え、自身も絶大な力を持つ難敵である。
「まァ、敷地に入りゃいつもどォり、殴り込みの喧嘩だわな。何とかなンだろ」
 それじゃ頼まァ、とやはり無責任で適当な言いぐさでもって話を締めくくった惇は、猟兵たちを送り出す準備を始めた。


 山奥、鬱蒼と生い茂る森の中に、いつの間にやら現れた城――城とはいっても高くに天守をいただくようなものでもなく、広い敷地に平屋造りの、屋敷と呼ぶ方が相応しいような建造物である。高い塀に囲まれれば中の様子などほとんど分からないような、そんな、城。
 その城を囲むのは、まさに中の様子をしっかりと覆い隠す高い塀。塀の上には鬼面の群れの放った鬼火によるものか、ごうごうと燃え盛る炎。さらにはいかにも勤勉そうな門番が各所に配されており、警備は厳重、盤石なものであるようだ。
 彼らの妖しく光るどこか虚ろな双眸を、見咎められずにかいくぐることは難しいだろう。


相良飛蔓
 お世話になっております、相良飛蔓です。お読みいただきありがとうございます。今回はアヤカシエンパイアです。

 第1章『関所を突破せよ』、操られている人間の守衛さんたちを、傷付けないように塀の内側に侵入してください。乗り越える場合はバーベキューに備えた用意が必要かもしれません。

 第2章集団戦『鬼面の群れ』、無数にいるので移動しながらの戦闘です。突破するでも逃走するでも、倒しまくるでもウェルカムです。なお、鬼火は建物に燃え移りますし燃え広がりますが、建物が燃え落ちることはないものとします。

 第3章ボス戦『悪霊陰陽師』、先制攻撃や連続攻撃など色々手強いので、真正面から対策なしで攻撃を試みた場合、少し痛い目に遭うかもしれません。遭います。遭わせます。対策してクレバーにスマートに戦うもよし、先制攻撃を受けながらストロングスタイルのガチンコ勝負に持ち込むもよし、だと思います。

 以上のような感じです、よろしくお願いいたします。
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第1章 冒険 『関所を突破せよ』

POW   :    運び込まれる荷物の中に隠れる

SPD   :    農民や行商人、旅人の演技をする

WIZ   :    上手い理由で相手を騙し、くぐり抜ける

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
見張る手駒なんて中に幾らでも居るだろうに、わざわざ操って人間を使うとは。
中々に性根の悪い奴が大将をやってるみたいだねえ。
まあ、あたしには大した障害にはならないけどさ。

さて、塀を超える方法はいくらでもあるけど、
守衛を怪我させないようにってなるとそもそも近寄らないのが確実かね。
守衛に気付かれない距離から塀の位置を確かめたら、
【土竜穿孔】で塀の内側まで地下を掘り進んで城の中に入ろうか。
土の下なら上に出るまでは焼かれる心配も無いだろうしね。

塀の内側に出たら歓迎の出迎えはあるだろうけど、殴っていいなら問題は無し。
それじゃ、城攻めを始めようか。



●穿ぐ
「見張る手駒なんて中に幾らでも居るだろうに」
 妖の城よりいくらか離れた林の木々のあわいにて、金の右眼を巡らせながら物憂げな様子でぼやくように言うのは、ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)だ。ただし実際には非道にことさら心を痛めるわけでも、ましてや義憤に燃えているわけでもない。のんびりしているだけである。
「中々に性根の悪い奴が大将をやっているみたいだねえ」
と続ける通り、妖の悪辣な行為に対して皮肉めいた感想を抱きはするが、さりとてそれが彼女の心を特段に動かすこともなく。
 替わりに、見る間に変貌するのはその両腕。五本の指は爪そのものであるように太く鋭く形を変え、その掌も大きく、その腕も大きく。そうして肩よりいびつに継ぎ合わされたようになった手は、掘削こそを旨とする土竜のそれである。
「まあ、あたしには大した障害にはならないけどさ」
 今一度、彼女は張り巡らされた塀とその守衛たちの様子を見渡すと、自身の足元の地面へと鋭利で頑強な爪を突き立て、水面にゆっくりと頭を沈めるように容易にその身体を土中へ沈めてしまった。城の方角へその針路を定めて水平方向に掘り進めれば、言葉に違わず障害などないかのように快速で前進を始めた。

 それからペトニアロトゥシカが地上に再び現れたのは、間もなくと表現しても差し支えないほどの短時間の後。場所は塀の内側、守衛たちの目の届かない妖の懐の裡である。
 幸いにも高く聳える塀の地中部分はそれほど深くはなかったようで、彼女の道程を遮ることはなかったらしい。たとえ立ち塞がったとしても、障害とはならなかったかもしれない。あるいは実際に立ち塞がっていたのかもしれないが、少なくともそうと認識されるものは存在しなかった。
 とにもかくにも塀の中へと首尾よく至った異形の獣は、その姿をもはや隠すこともなくすっくと立ち上がり、城内の鬼面の群れの視線を集めることとなった。しかし狼狽も怯懦もちらとも見せず、やはり物憂げにも見える表情のまま、彼女の心は大きく動かされることもない。天敵のない巨象のように、のんびりとしたものである。
「それじゃ、城攻めを始めようか」
 ただ、そんな中から幾許かの獣性だけを覗かせて。

大成功 🔵​🔵​🔵​

酒井森・興和
山中に妖の砦屋敷か
『現代』よりも余程懐かしい風情だ
まあ別世界に来てまで感傷に浸る時ではないか

【暗視】で守衛の身なり確認
似た身分の猟師服で行李に肉と酒を詰め裏から近付き献上物を納めに、と接触
「…あのー砦は此方で?
門はあっちだと誘導されながら外周・広さ確認
門番に献上品を持参したと言い杣が相手にされるのはこんな時ぐらいとぼやき猟師かと改められたら【狩猟】で目の前の山で獲った鳥を見せる
門中の人もどうぞ、と酒をお分けしますよと咄嗟の嘘も使い【言いくるめ】侵入狙う
酒には眠る程度の【毒使い】
UC黒纏でダメージ転ぶ程度に加減し痺れと隠密効果を活かし足止め

…山に群れ潜み人を狙う
妖は何処へ行けば安らげるのかねえ…



●ささ
「山中に妖の砦屋敷か」
 こちらも先の猟兵と同様に、木々に紛れて塀の様子を窺う酒井森・興和(朱纏・f37018)。異世界といえども、彼にとっては馴染みのある懐かしい風情のものである。暗がりを見通すためにか、感傷のためであるか、男は知らず目を細め。
「まあ別世界に来てまで感傷に浸る時ではないか」
 僅かに息をつき、興和は薄い感情を切り替えた。

「…あのー砦は此方で?」
 暫くの後、薄汚れた恰好の男が、迷い出たように城の裏手にあたる塀の傍へと現れ、巡回の守衛に声をかけてきた。行李を担いだその男は、決して裕福に暮らしている様子には見えず、それでいて穏やかで柔和な表情であり、少しばかり守衛の猜疑を誘った。佩いた刃に手を掛けながら目的を問う守衛に対し、男はやはり暢気そうに、献上品を持参した旨を伝える。まだどこか納得しない様子の相手だが、それでも近くの門までは案内されることとなった。
「杣が相手にされるのはこんな時ぐらいか」
高い塀を見上げ見回しながら小さくぼやく声を聞きとがめた守衛の男は、少しだけ緊張感を解いたらしい。みすぼらしい姿は山暮らしを故とし、穏やかな表情はその生活に馴染んだ諦念によるものであると、そう判断したのだ。
「この山で暮らしているのか」
「ええ、こちらで」
簡単に答えながら、吊るした山鳥を掲げて見せる男に、今度こそ完全に納得したらしい守衛は、門に到着した時にはそのように同僚にも伝えて言い含めてくれた。
 その間に杣を名乗る男は行李を開け、献上品として持ってきた肉や酒を披露して見せる。
「よろしかったら皆さんもどうぞ、お分けしますよ」
 一度警戒を解いた相手をすぐさま再び疑うのは難しいことだ。厚意から勧められたと思しき酒を、幾人かの守衛は断ることをせずに相伴に与ることにした。そうして一献傾けてみれば、すぐさま眠気に襲われて――
『八相、黒纏』
 杣が小さくぼやいた声に、よく似た小声が聞こえたか。重きに堪えかね閉じた瞼を僅かに再び開いて見れば、行李のそばに男はおらず、守衛が数人眠り伏し。非常のことに慌てたところで、身体は重く、動くに能わず……。

「…山に群れ潜み人を狙う、妖は何処へ行けば安らげるのかねえ…」
 自らの境遇に重ねて憐れむように、再びぼやくように呟きながら、毒や幻糸で巧みに無力化された守衛たちの傍を過ぎ、杣人に扮した興和は悠々と城中への侵入を果たしたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

シリン・カービン
「ここが新しい世界……」
転送後、アヤカシエンパイアの空気感を感じます。
知己の子供たちが住まうサムライエンパイアと似た世界とのことですが、
油断は出来ません。狩りはもう始まっているのですから。

相手が人間なら、門の突破は容易いです。
アヤカシを見破る目を持たれでもしない限りは。

姿を消したまま、門に近づきます。
音を立てず、足跡を残さず、慎重に。
気負わず、さりとて油断することなく。
いつもの狩りと同じ。

守衛の隙を縫って中へ。
その際、彼らの精神の精霊の様子から、
親玉を倒せば解放されるものの類か確認します。

入り込んだら鬼面に見つからぬよう物陰で姿を現します。
様子を伺いつつ建物の構造を確認。侵入ルートを探ります。



●かり
「ここが新しい世界……」
 先刻の猟兵は狩人の模倣を行っていたが、こちらは正真正銘のハンター、シリン・カービン(緑の狩り人・f04146)である。知己の子らの住むサムライエンパイアとよく似た、さりとて決定的に違う空気感に鋭く神経を巡らせながら、彼女もまた木立に身を隠す。その挙動に油断はなく、過剰な緊張もない。さながら森の一部のようにある彼女の戦い――否。
「狩りはもう始まっているのですから」

『いたずら妖精いたずら妖精、その手を繋げ。』
 人間よりも遥かに鋭敏な感覚を持つ獣を相手にしていたシリンにとっては、ただの人間が守る門を見咎めらずに突破するなどは容易いことである。ましてユーベルコードまで行使するとなればなおのこと。精霊の力を借りて姿を消せば、千里眼やら天眼通やらの特異な眼力を持つわけでもない守衛には彼女を視認することは能わない。
 その精霊の助力をして物音や痕跡を消すことはできないが、この狩り人に関して言えばその必要がない。足音一つ、呼吸の音一つ、衣擦れの音一つもなく、見る間に門の間近へと辿り着いてしまった。もっとも、その姿を見ることはできないのだが……ともあれ、心を静謐に、僅かに波立たせることもなく。す、と守衛の脇を通り抜ければ、微風にでも撫でられたようなかすかな感触を残すのみ。
 ユーベルコードの行使は短時間であったため特筆すべき程ということではないが、それでもいくらかの疲労は蓄積される。城内を彷徨する鬼面たちの死角となる物陰にて迷彩を解いた猟兵は、静かに一つ息を吐いた。そうしてシリンは、さしたる時間を掛けることもなく、迅速に塀の内側への侵入を果たしたのだった。

 通り過ぎざまに見た精神の精霊の様子から見るに、守衛たちはどうやら首魁たる大妖を討滅すれば正気に戻る類のものであるらしかった。これでいよいよ後顧の憂いもなく妖狩りを行うことができると言えよう。
 改めて呼吸を殺して身を潜めつつ、見つからないように建物を見渡す。いくつかある壁のない廊下にも室を囲む濡れ縁にも、数多の鬼面がひしめき合っている。姿を隠したとて間を縫うことも難しく、忍んで寄りて目を盗むことも更なり。全ての妖を倒しきるなどは以ての外。しかしそれでも。
(いつもの狩りと同じ)
 それでもシリンは心を乱すことなく、平静のままに獲物へと臨む。

大成功 🔵​🔵​🔵​

八秦・頼典
●WIZ

ほう、妖が堂々と城をな
普段はこそこそと姿を隠して権謀術数を張り巡らせているものを、何ともまぁ大胆不敵なものだ
それもこれも守衛が操った人間だからこその目眩まし、いざ露見した場合に備えた肉の壁だろうが…さて、どう突破するか

絶えず運ばれる荷に身を隠しても、改められればそれまで
この先が妖の根城と知らずに人足の募集で餌食になる民草に化けても、バレればそれまで
ならば、ここはこちらも堂々と関所を通り抜ける他あるまい

一見すると無謀にも思えるが、この城に妖が集まっているのがミソだ
【目殺師の君】で逆に操り返し、ボクも妖であると意識操作をして雅に突破…ってね
ただし、時間が限られているから速やかにせねばだが



●まな
「妖が堂々と城をな」
 ほう、と感心したような呆れたような、なんとも言えない息を吐きながら、八秦・頼典(平安探偵陰陽師ライデン・f42896)もまた守衛が居並ぶ塀を臨む。普段は権謀術数を巡らせて暗躍する妖が、僻地の山林とはいえ大きな拠点を築こうというのだから大胆不敵、意外というのは間違いない。
 そのような、下策にも思える策を実行へ踏み出させるに至った骨子はやはり、操った人間による警備であろうと頼典は考える。妖の存在を知らぬ人々は元より、妖のあるを疑う目を持つ者であっても、守るが人間なれば懐疑を容れるのは難しくなる。さらには事が露見した場合でも、人間を守る者が相手であれば充分すぎるほどの障害となる。
「さて、どう突破するか」
 頼典はそれから暫し考え、非道の策への対抗手段を実行することにした。

 様子を見るに、運び込まれる荷は守衛によって確認が行われるようであり、中に身を隠しても簡単に見つかってしまうだろう。さりとて人員の補充のために呼ばれたと偽ったところで、こんなに美形で清潔感に富んだ民草、いるはずがないので怪しまれることは間違いない。
「ならば、ここはこちらも堂々と通り抜ける他あるまい」
 敵が敵ならこちらもこちら、策と言うには下策に過ぎる……ように見えるが、果たして。

「失礼ですが、お通しできません」
 案の定、守衛たちは槍を交差させ、頼典の行く手を遮って来る。丁寧な言葉とは裏腹に、妖ならざる闖入者への視線は警戒心に満ちて剣呑だ。さりとて貴人はどこ吹く風の涼しい顔で、彼らに対して艶っぽい流し目を送って見せる。
「このボクを通せないって?」
 笑みさえ浮かべ、一幅の絵画のような美しい佇まいで問うてやれば、守衛の男たちの虚ろな瞳に俄かに光が灯ったように見えた。ただし健全なものではなく、これもまた何やら怪しい輝きで……。
「失礼しました、どうぞ」
 刃を引き、敬意を満身で表しながら、守衛たちは頼典に道を空ける。ユーベルコード・目殺師の君は正常に作用し、その認知を正常でないものにすることに成功したようだ。今の彼らには眼前の者がいと麗しき客人に見えていることだろう。なんなら視線がちょっと熱っぽい。
 ただしその効果は決して長くはない。もたもたしていればすぐに元の木阿弥となってしまうことだろう。而して貴人はにこやかに笑いながら、雅やかに速やかに、塀の裡へと踏み入ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『鬼面の群れ』

POW   :    爆裂鬼火
着弾点からレベルm半径内を爆破する【鬼火】を放つ。着弾後、範囲内に【恨みの炎】が現れ継続ダメージを与える。
SPD   :    鬼火翔け
【鬼面状の体】から【鬼火】を噴出しながら、レベル×5km/hで直進突撃する。2回まで方向転換可能。
WIZ   :    鬼火雨
レベル×5km/hで飛翔しながら、【降り注ぐ鬼火】で「🔵取得数+2回」攻撃する。

イラスト:佐々木なの

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 妖に操られた守衛の見張る塀を抜け、根城への侵入を果たした猟兵たち。幸いにも門の内側への進入は許可されていないらしい彼らが訝しんで追ってきたり、不審な戦闘音に引き寄せられることはなさそうだ。なれば巻き込む心配もなく、城内を攻略することができる。
 しかし勿論、そう簡単なことではない。広い敷地に多くの敵、建物に入れば所狭しと犇めく鬼面が我先にと襲ってくるだろう。逃げるなり蹴散らすなり隠れるなり、なんとかしながら大妖の居所へと辿り着く必要がある。
酒井森・興和
人間も交えた山の砦屋敷に籠もる…我ら土蜘蛛も似た暮らしをした
不謹慎だがね少し親近感を感じるのだよ
…と言ってもここは敵地
引き締めよう
相手も多いしなるべく【目立たない】【暗視】
可能なら奇襲
三砂で地を撃ちUC発動
【怪力】で飛斬帽を投げ鬼面叩き割る【2回攻撃】
初手は鬼火に紛れても後は隠れられまい
直進する敵を【怪力でカウンターと対空戦闘】活用し三砂で叩き撃つ
向きを変える敵には逆鱗と飛斬帽を【投擲】
なんなら落ちた鬼面【敵を盾にする】で防御もしよう
鬼火は【火炎耐性】で幾らか防ぐが負傷は【覚悟】だ
突撃から致命傷避けるため時に【咄嗟の一撃】で三砂を振り抜き【なぎ払う】
【気配感知】頼りに大将の居る方へ詰めてゆこう



●あか
「不謹慎だがね、少し親近感を感じるのだよ」
 門からの進入を果たした酒井森・興和には、彼特有の感慨がある。土蜘蛛に類するその男には、山での暮らしも人目を憚る在り方も、馴染みのないものではない。面とはいえ相手が鬼であるのならば尚更のことと言えようか。
「……と言ってもここは敵地。引き締めよう」
 土蜘蛛たちと妖たちの大きな違いの一つ、世界に在るべからざるものか否か。今を生きるものでない妖は、時を経たとて人と相容れるモノではないだろう。感傷を振り切り、興和はその手に得物を握って構え。
『八相、烈火』
 真直ぐに地を打つ三砂の嘴より波紋のように炎が奔る。地を這い駆けて廊へと登り、鬼火の纏わる面を包む。かくして、炎は上がれど煙も立たない、赤きに尽きる奇襲戦が始まった。

 興和のユーベルコード・火纏により、敵として識別された鬼面どもは一手に燃やされ、虚の眼を塞がれた。色めく妖に被った笠を投げつければ、めぐる刃は獲物を捉え、ぱかりと二つに叩き割る。戻った笠をさらに投げ、鬼面をさらに叩き割り。丹い霞に鬼が惑えるそのうちに、興和は縁より建屋に踏み入った。火纏の炎が小さくなれば、こちらの番と言わんばかりに憤怒の貌に鬼火が灯る。その目の穴は確と興和を捉えているらしく、威嚇するように燃え立つと、各々ぼっと音を立てては、男に向けて翔びかかる。
 向かう鬼面を受けて突き、薙いでは鬼面を突き割って、苛烈な衝突を物ともしない怪力でもって次々と襲う妖たちをぱっかぱっかと叩き割る。堪らず回り込もうと方を違える鬼面には、笠の刃と毒の鱗が丹なれ朱なれと舞いて討つ。

 とはいえやはり敵の多さは否めず、まったくの無事というわけには行かない。手数が足りずに攻撃の間をすり抜けてくる鬼面には墜とした鬼面を蹴り上げて迎撃とし、それも能わぬ相手には咄嗟に三砂を薙いで払い、さらにそれでも能わねば。
「ぐっ……」
 受けて、耐える。身を焼く鬼火も苛む突撃も、覚悟を備えた興和を止めるに能わない。迎え撃つ多くの鬼面を通さずに戦い倒すその様は、どちらが城を守っているのやら分からぬような光景だ。そうして鋏角の男は、焔色の瞳に赤い炎を映しながら、火に包まれた廊をじりじりと歩み行く。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
随分とまあ沢山いるもんだ。
一々面を彫って増やしてるわけではないだろうけど、
どうやって増えるんだろうねえこいつら。

まあそれはそれとして、いくら数が居ようと寄ってくるなら話が早い。
【多頭咬牙】で適当に頭を出して近づいてきた鬼面をどんどん喰ってしまえばいい。
面が木だろうが石だろうが鬼火を纏ってようが、あたしは喰えるからね。
…味はまあ、あまり美味いもんでは無いね。

さて、ここの親玉はどこにいるかな。
普通に考えたら一番高い所だけど、まあ適当に探して回ろうか。
喰いすぎで腹が重くなる前に見つかるといいんだけどねえ。



●傍若無妖
「随分とまあ沢山いるもんだ」
 城のどこかで戦火を交える猟兵の光と音を感じながら、ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストードは眼前の鬼面の群れを見渡した。背負った鬼火が大きく燃えて、今にも襲い掛からんと気炎万丈の様子である。しかし猟兵はどこ吹く風、彼らの増殖方法などを気にする始末。緊張感も警戒心も感じさせない様子で、縁に足掛けよっこらせと建屋に立ち入ると、それを合図にするように、数体の鬼面が鬼火の軌跡を曳いて翔んで来た。吼えるように口を開き、噛みつくように迫り来て、その身に触れるその刹那。
「寄って来るなら話が早い」
 側面より仕掛けた鬼面は、自らよりも大きな口に嚙み砕かれていた。敵の肩の辺りから不意に現れた大蛇の顎に捉えられたそれは、そのまま欠片も残さず呑み込まれた。他方より襲い掛かった鬼面もまた、腕より変異した獣竜の鋸歯に噛み裂かれ、やはり呑み込まれた。さらなる鬼面が、尻尾より現れた臼歯ばかりの口に迎え入れられ、磨り潰されるようにして呑み込まれた。
 ユーベルコード・多頭咬牙、彼女の中に因子を眠らせる数多の生物を表出させて噛み付くものだ。噛めば生命力を奪い、己のものとする。戦いを日常とし、食事を趣味とする彼女らしいとも言える能力であろう。
「……味はまあ、あまり美味いもんでは無いね」
 まあ、趣味の方にはあまり合致しなかったようで、少し苦々しげな表情でペトニアロトゥシカのもっとも人面に近い口がぼやく。万物を食らい糧とすることができる彼女にしてみれば、襲い来るそれらのすべて、放たれる鬼火ですらもが食物であり、絶対的な捕食者に違いない。故に緊張感も警戒心も必要とせず、これは偏に食事である。

 次々と、無数に、どこからでも現れる彼女の口は、すべての鬼面を喰らわんとする。あまりの数に時折喰い切れずに零してしまうこともあるが、受けた傷の分を喰らえば元通りだ。
「さて、ここの親玉はどこにいるかな」
 実に呑気な調子で、駅の案内板から目当ての店でも探すような気軽さで呟きながら、ペトニアロトゥシカは大きな建物の豪華そうな所へと適当な様子で向かっていく。寄ってくる鬼面を見向きもしないで摘まんでは喰い摘まんでは喰い、敵などないかの如くに進む彼女だが。
「喰いすぎで腹が重くなる前に見つかるといいんだけどねえ」
 どうやら満腹だけからは逃れられないらしい。迫る強敵より逃げながら、ペトニアロトゥシカはのんびり急ぐ。

成功 🔵​🔵​🔴​

シリン・カービン
数は力。
しかし統率が無ければ、それは烏合の衆に過ぎない。

自身の周囲を取り囲ませる様に鬼面を誘導。
十重二十重と厚みを増したところで、
「そろそろ良いでしょう」
鬼面を睥睨し精霊猟銃を装填。
「逃れられるとお思いですか?」
直上に発射された弾丸が約1400発に分裂、鬼面に降り注ぐ。
ダメージと共に与える状態異常は『盲目』。

私を見失った敵はウロウロと私の傍で壁となる。
めくら滅法鬼火を発してもそれは仲間を焼くだけ。
まだ無事な鬼面が鬼火を降り注がせたとしても、
大きな鬼面を盾に躱す。

混乱が収まらぬうちに敵の薄いところを縫って奥へ走る。
建物のあちこちに火が付き始めているが、
自分の姿は炎と煙が隠してくれるでしょう。



●陽炎
 数は力とはよく言ったものだが、それは統率されていてこそ。指揮も統率もなく好き勝手に動き回るようであれば、それはただの烏合の衆に他ならない。
「そろそろ良いでしょう」
 我先にと争うように自身に追い縋る鬼面どもに囲まれて退路を断たれながら、城内を駆けていたシリン・カービンは立ち止まった。鬼火を降り注がせながら彼女に追い縋るも、矢継ぎ早の攻撃の悉くを躱され続けた鬼面たちは、数えきれない程に大きな群れとなっている。獲物を囲むは十重二十重、さらには鬼火の囲いもありて、逃れる術のあればこそ。鬼面に感情と表情があらば、きっと笑ったことだろう。取り囲まれた猟兵は、居並ぶ鬼面を冷たく睥睨し、精霊猟銃に弾丸を装填し。
「逃れられるとお思いですか?」
 否――取り囲ませた猟兵が、込めたる弾を真上に放てば、射弾は宙で分かたれた。別れ別れて千と数百、無数と言っても相違ない、弾雨が敵へと降り注いだ。結局のところ、相手は知恵も策もなく、使役されるだけのものが寄り集まった烏合の衆。年経た獣の方がまだ難敵と言えるかもしれない。

 勿論というべきか、無数とはいえ小さな弾丸が、同じく無数の敵をすべて倒し果せるわけではない。彼女を間近で囲み多数被弾した鬼面たちも、多くが未だ健在である。しかしそれでも構うことはない。それどころか、狙い通りとも言えるかもしれない。既にシリンの姿を見失った鬼面たちなど、彼女にとっては敵の攻撃を防ぐ盾に他ならないからだ。
 シリンの放った弾丸はユーベルコードによるもの。無数に増殖した弾丸は、対象に損傷を与えながら、さらにその視界を奪うものであった。見えない相手に鬼火を放てば、それは他の鬼面を焼くことになる。見える鬼面が鬼火を降らせば、彼女が鬼面に隠れれば良い。ことほど然様に思い通りに誘導された鬼面たちは、寄せ集めらしく右往左往して、建物と仲間に火を放つばかりとなっていた。

 醜態あるいは狂態を後目に、シリンは再び駆け出した。鬼面のそばを擦り抜けて、燃える鬼火を搔い潜り。見えない敵を探す妖に脇目も振らず目もくれず、やがて狩り人は煙に紛れ炎に消えて。それからしばらく鬼面は彷徨い、光が戻ったその時には、見えない敵はすっかり遠ざかり、居ない敵へとなっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

八秦・頼典
●WIZ

一難去ってまた一難
分かっていたけど、すんなり本丸まで行かせてくれないか
ま、門番にされていた人と違って思う存分にやっつけられて良いけども、数が数だ
キミ達を全部相手にしていたらキリが無いし、サクッと通らせて貰うよ?

目には目、歯には歯、数には数
『形代招来』で召喚せし幾百ものの形代と共に奥へ奥へと走り抜けよう
形代のひとつひとつには【破魔】【浄化】【除霊】が施され、鬼面に貼り付けば形代の消滅を代償に妖を祓う代物だ
降り注ぐ鬼火も形代らが盾となってボクを護ってくれるが、それに頼り切ると残機はあっという間に減っていく
時には相手にせず駆け抜け、時には形代を囮にする事でやり過ごしながら進もうか



●かみ
「分かっていたけど、すんなり本丸まで行かせてくれないか」
 こちらもこちらで、犇めく鬼面の群れを見渡してはやや閉口気味の八秦・頼典。彼にとって強敵というわけでもないし、守衛の人間たちと違って倒すことに何らの問題のない相手ではあるが、いかんせん数が数である。そうこうする間にこちらに気付いた妖どもが、鬼火を曳いて殺到してくる。そんな敵の暑苦しい熱量とは裏腹に、頼典は涼やかに、不敵に笑った。

 前面より押し寄せた数多くの鬼面に向かい、頼典が召喚した、やはり多数の形代が飛び掛かる。目隠しをするように貼り付かれれば、妖は天井から吊った糸が切れたかのように勢いを失い床へと落ちていく。妖を除く呪が幾重にも組み込まれた形代は、触れた鬼面を容易く祓う優れものだ。一体一度の使いきりだが、その有効性は言うまでもなく、猟兵の周囲では虚ろの面が次々に、がらんがらんと板張りを打つ。
「目には目、歯には歯、数には数さ」
 そう言う彼の周囲には、渦巻くように飛びながら主を守る、数百余の形代たち。先鋒戦の一合で両者数を減じたとはいえ、それでもまだまだ圧巻の数である。
「キミ達を全部相手にしていたらキリが無いし、サクッと通らせて貰うよ?」
 とはいえ彼にしてみれば、別にここで勝つ必要などはないし、殲滅戦なんて演じる義理もなし、勿論女性でもない妖どもを親切に待ってやるなど以ての外と、群れに生じた間隙を突いて駆け抜ける。追い縋る面はあるいは倒され、あるいは停止を余儀なくされ。後駆りの形代はあるいは面を留め置き、あるいは鬼火に焼かれ儚く燃え尽き。がらがらと喧しく音を立てる鬼面の落下音は、敵の減少と同時に形代の消失も意味している。
 いずれも数を減じ行く消耗戦だが、根城を戦場とする妖どもの方が有利であり、時間制限を持つのは猟兵の方だ。次第に心細くなっていく形代の護りが失われない間にと、頼典はやはり速やかに、先へ、奥へと進んでいく。

 駆けるうち、不意に拓けたように鬼面が数を減じた。しめたとばかり走り抜け、長物を手に残らず面を割る赤い男の側を抜け、面を啖う多頭の獣の脇を抜け、燃え広がった鬼火と煙を突っ切って。ついには廊のどん詰まり、瀟洒な御簾を透かして見ゆるは荒魂なる大妖。足元を浸すような禍つ気配に、されど猟兵は躊躇も見せず、彼我を隔てる御簾を捲った。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『悪霊陰陽師』

POW   :    赤鬼剛力薙
【赤鬼型式神の太い腕】の横薙ぎで、近接範囲内の全員を攻撃する。近接攻撃を仕掛けてきた敵には先制攻撃可能。
SPD   :    青鬼乱撃陣
【青鬼型式神の鋭い爪や角】で近接攻撃する。低威力だが、対象が近接範囲から離脱するまで何度でも連続攻撃できる。
WIZ   :    陰陽爆砕撃
【青鬼の鋭い爪や角】で装甲を破り、【赤鬼の怪力】でダウンさせ、【陰陽爆砕符】でとどめを刺す連続攻撃を行う。

イラスト:黒丹

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 御簾の向こうの胡乱な影は、室に踏み込んできた猟兵たちの姿を見止めると、呟くように呻くように低いくくもったような声を零した。それと同時に、今程突破して来た廊の禍々しく賑々しい音や気配がふつりと消える。大妖に喚ばれたらしい鬼面たちは、元々そこに存在しなかったかのように残らず失せ、広い城内はこの一室を除いて死んだように静かになった。
 それからまた何事かを呻くと、悪霊陰陽師の傍らに侍るように、異形の巨大な鬼が二体。無数の鬼面の使役に用いていたリソースの多くを注ぎ込まれたらしいそれらは、強敵であろうことは想像に難くない。笑うように吠える、嘆くように吠える、赤青の鬼が猟兵たちへと差し向けられた。
酒井森・興和
人を門番に据え鬼面を駒に鬼を手繰る術士どの…其方が大将かい?
陰陽師が妖に堕ち敵になる、無情なものだねえ
僕も人外の身、妖怪や妖にも言い分はあるものだが
あなたはこの世の結界を破る者
逃せないな

青鬼>飛斬帽を盾に【気配感知と受け流し】で直撃躱し被弾の負傷軽く済ませたい
赤鬼>踏ん張り【怪力】で対抗し【カウンター】で三砂を振り、撃ち【吹き飛ばし】
赤、青との攻防の合間に【早業】で
逆鱗に墨糸仕込み【威嚇射撃】兼ねつつ【投擲】UC仕込を

爆砕符>負傷しダウンに追い込まれても気絶せず堪え
敵がトドメ仕掛ける前に【第六感】で自分もイグニッションカードでUC呼焔発動
尖兵の【捨て身の一撃】だ
蜘蛛の火は強かにあなたを焼くはず



●鬼灯
「人を門番に据え鬼面を駒に鬼を手繰る術士どの…其方が大将かい?」
 酒井森・興和は負った傷も滴る血も物ともせずに、悪霊陰陽師の前へ立つ。その足取りは確かで、その視線は真っすぐで。緩慢に注意を向けた敵の、その足取りはおぼろげで、その視線も杳として。さりとてその敵意、悪意だけが歴然と猟兵たちを貫いている。答えるつもりはないのか、その殺気で以て答えているのかは定かではないが、どちらにせよスムーズな意思疎通は望めないらしい。
「陰陽師が妖に堕ち敵になる、無情なものだねえ」
 嘆くような、惜しむような興和の言葉に挑発されたわけではないだろうが、彼に侍る青鬼と赤鬼が、殆ど同時に飛び出してきた。

 角を振り立て突撃してきた青鬼の攻撃を横っ飛びに躱し、朱塗りの鏢刃を投擲するも、素早い敵の動きを捉えることはなく、室の壁へと深く刺さる。背面より襲う長い爪を察知し、飛斬帽で受け流したところで、さらに一矢を投げ、再び敢なく壁へと。さらなる爪の攻撃を躱し、次なる鏢刃を躱され、押され気味の攻防を繰り返す中、ついに青鬼の高回転の攻撃が興和の受け手に追い縋り、追い詰めてきた。角を正面から受け止めさせられ、動きが止まった猟兵の手から、長い爪により盾とした飛斬帽が跳ね上げられ弾き飛ばされる。そうして無防備になった所に、遅れた赤鬼の剛腕が唸りをあげて襲い掛かった。
 回避の能わない攻撃に覚悟を決めた興和は、足を踏ん張り三砂を構え、振られた腕に逆らうように、真っ向正面撃ち返した。いずれも劣らぬ鬼なる怪力、而して軍配が上がったのは、異形の赤鬼であった。巨腕は振り抜かれることなく押し留められるも、その強勢を殺しきることまではできず、猟兵は弾き飛ばされ、壁に叩きつけられることとなった。

 爆砕の符を構え、近付いてきた陰陽師は、興和を見下ろすようにして、見えない表情で、恐らくは、嗤った。
「僕も人外の身、妖怪や妖にも言い分はあるものだが」
 背後の壁に叩きつけるようにして突き立てた逆鱗は、気を失わないための気付けか、怒りに己を奮い立たせるための景気付けか。それを支えに身を起こす男に、大妖は詞を唱えつつ符をかざし。
「あなたはこの世の結界を破る者」
 逃すまいと呪を放つ、その瞬間。
「逃せないな」
 恐らくは怒れる蜘蛛の眷属が、その巣に獲物を搦め取った。鏢刃に仕込んで室の各所に放たれた、黒い墨糸は今や八角の方陣を画き、八角の黒墨の方陣は八条の白熱の火矢となり、興和を包む爆炎を裂いて、悪霊を立て続けに刺し貫いた。
「蜘蛛の火は強かにあなたを焼くはず」
 自らもすっかり炎に包まれながら、その中でなお輝く瞳は、白炎に焼かれる獲物を見据えていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
問答は無用って感じだねえ。
まあ、あたしも問答しに来たわけじゃないし、望むところだけど。

さて、先手を取られるとはいえ単純な腕の横薙ぎなら防ぎようはあるかな。
近寄って横薙ぎが来たら少し跳んで、腕の上を転がるようにして攻撃を避けるよ。
重心を捉えられなきゃ下手に踏ん張るよりこういう軽業の方が楽だからね。
そして腕の上を転がってる最中に【穿伸磔爪】で伸ばした爪を突き刺して、
床まで貫通させて固定して腕を振れなくするよ。
後は突き刺した爪を自分の手から剥がして、腕を足場に跳んで陰陽師を蹴り飛ばそうか。

何処の誰だか知らないけど、今の平安を乱そうってんなら骸の海に帰って貰うよ。



●パワー
「問答は無用って感じだねえ」
 薄らいだ爆炎の中から姿を現した悪霊は、依然として健在であった。瞭然と部品の見えないその顔は、どうやら近付いてきたペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストードを標的に――そう彼女自身が認識する間に、赤鬼の剛腕が襲い掛かってきた。
「まあ、あたしも問答しに来たわけじゃないし、望むところだけど」
 やはり毛ほども動じることなく、頑丈そうな獣竜の脚からは想像できないほど軽やかに、とん、とその場で一跳躍。横薙ぎに振るわれる自分の身体より太い腕の上を、転がるようにして躱してのけた。速いとはいえ直線的で単純、力任せの攻撃であるため、彼女の軽身躍動をもってすれば回避することはそう難しいことではない。さりとて、直線的で単純とはいえ力に任せた速い攻撃、まともに食らえばいかに頑健な肉体を持つとて手痛い被害を受けてしまうに違いないので、ペトニアロトゥシカはこの手段を選択した。満腹一歩手前の状態での高速回転、豪速の鬼の腕との摩擦によるさらなる加速、常人ならば想像するだけでも気持ち悪くもなりそうなものだが、幸い彼女は常人にあらず。
『早贄にしようか。』
 その回転速をそっくり利用し、有り得ざる速度で伸長した爪を、その身の下を走る剛腕へと突き立てた。自身の怪力と、自力と他力いっしょくたの回転力、さらに爪の伸びる速さをも加わった刺突は、その各々が対象を貫通し、床まで深々と突き刺さり、予告の通り百舌のはやにえの如くに標的を釘付けとしたのだった。

 とはいえ刺しているのは自分の爪で、つまりは身体の一部である。使役されたる鬼を留めても、自らも爪に留め置かれるなら、当然大妖へは届かない。そうと分かった悪霊は、余裕を見せるように悠然と、その猟兵へと近づいてくる。
「何処の誰だか知らないけど」
 そうと思った悪霊は、大きな隙を見せながら、ペトニアロトゥシカへと近づいてくる。すると固定された赤鬼の腕の上で猟兵は立ち上がり、再びその脚で跳躍した。今度は軽やかなそれではなく、釘付けの腕をいくらか押し下げた。今度は上方へのそれではなく、敵に向かって真っすぐに。その勢いで刺さった爪を根元から剥がして身体の自由を取り戻し。
「今の平安を乱そうってんなら骸の海に帰って貰うよ」
 こんな無茶苦茶な戦い方は、いかな大妖とて思いつかなかったようだ。いびつな身体のその竜脚から放たれた綺麗な前蹴りが標的のど真ん中を捉え、景気良く一直線にかっ飛ばした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シリン・カービン
現れる強大な気配。
何とかなンだろと無責任な物言いを思い出し、
少しだけ腹が立った。

「くっ」
青鬼の爪が精霊猟銃を弾き飛ばしチュニックを引き裂いた。
傷は薄皮一枚。だが胸元は大きく開き双丘が露に。
思わず両の腕で庇った瞬間、
「かはっ」
赤鬼の殴打が床に打ち据える。
地に伏す私に悪霊陰陽師が符を放つ気配……

その光景を私は物陰に潜む影の目を通して見ている。
青鬼の攻撃を見切って服のみを裂かせ、
赤鬼の一撃は自ら飛んで威力を殺す。
胸元を庇うフリで精霊猟刀を潜ませ、
陰陽師が止めを刺そうとするその時を待つ。

符を放つその瞬間、影が陰陽師を撃ち抜き、
跳ね起きざまに頸を刎ねる。
「あなたは私の獲物」
何とかしましたよ、まったく……



●熊撃ち
 白熱の火矢に焼かれても、強烈な蹴りで吹き飛ばされても、なお弱った様子を見せずに悠然と立ち上がる悪霊の強大な気配に、シリン・カービンは僅かに動揺を見せる。しかし彼女とて幾多の獲物を仕留めてきた狩人であり、幾多のオブリビオンを屠ってきた猟兵である。大敵を前にして怯んだだとか怖気付いたなどということは、勿論ない。
『何とかなンだろ』
などという風に、無責任で適当な物言いで自分達を送り出した誰だかに対する、腹立ちによるものである。言うまでもなくそいつはこの場にいないし、いるのは倒すべき大妖である。腹が立ったとて大妖には関係ないし、こちらはそれを迎え撃つしかない。さもなくば――このように、赤鬼と青鬼が勢い込んで襲い掛かってくるのだから。

 シリンが素早く精霊猟銃を構えるも、引鉄を引くよりさらに早く、青鬼の爪がその銃身を弾き飛ばした。さらにもう一方の手から繰り出される爪撃が彼女の胸元を横薙ぎに掠める。咄嗟に退いた猟兵の、得た損傷は薄皮一枚、うっすら走る血の一条。幸い戦うを阻める程の、大した傷となりはせず……とはいかなかった。
 彼女の身に着けるハンター・チュニックには袖がない。胸元を横一線に裂く攻撃はつまり、片方の袖ぐりともう片方の袖ぐりを結ぶ攻撃であり。つまり問題は、傷ではなく。
「くっ」
 衣服の胸元を切り裂かれ露になったそれを、シリンは咄嗟に両腕で庇う。常から冷静な狩人である彼女といえど、そのような姿を晒すことには些かの抵抗があるようだ。そんな一瞬の周章は、致命的な隙となりうるものであり。
「かはっ」
 我が身を庇った両腕の上から、致命たりえる赤い拳が撃ち込まれた。堪らず吹き飛んだシリンの傍には、見下ろす悪霊陰陽師。絶体絶命の場面において、彼女の表情は苦しげで。

 室に潜んだ猟兵の影は、その主の姿を見つめ、その光景を主に見せる。青鬼の爪が猟銃を弾き飛ばし、胸元を裂き。赤鬼の打撃の僅か前に後方に跳んで被害を軽減し。我が身を庇うその腕で、腰の猟刀に手を掛ける――狩人が、獲物を罠に誘い込むその光景を、己を餌としたシリン自身へと見せる。
 策謀通りに罠に釣り込まれた悪霊が符を放とうとしたその瞬間、その背後より銃弾が撃ち込まれた。猟兵のユーべルコードにより召喚された影が放ったそれは痛撃とはならなかったが、注意を引くには充分であった。そんな一瞬の周章は、致命的な隙となりうるものであり。
「あなたは私の獲物」
 乾坤一擲の場面において、彼女の声音は涼やかで。注意を他所に向けたその刹那、シリンは跳ね起き、手を掛けていた精霊猟刀を素早く抜き打ち、大妖の頸を刈ってのけた。被害を軽減したとはいえ剛腕を受け、無事とはいえないシリンは、それから再び倒れこみ
「何とかしましたよ、まったく……」
小さく悪態を吐くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神崎・零央
あれ、おっかしいなー
鬼の面が山盛りって聞いて来たんだけど……
(遅刻した相棒に呆れ顔のケルベロス)

あ、ねーちゃんが倒れてる!
キング、行くぞっ、わあっ。
アイツあの状態でまだ生きてんのか!?
(ボロボロの陰陽師にビビる)
キング、アイツを引きつけるぞ!

「オラオラ、ビビってんのか、オラー!」
キングの上でベロベロと挑発。
敵を誘って近接範囲からねーちゃんを外す。

赤鬼の横薙ぎの一撃はキングの背にしがみついて
ギリギリで飛び越える。
着地と同時にキング・ブレス(冷気)で陰陽師を凍らせる。
「とどめだ!」
白燐蟲を宿した弾丸で完全に破壊だ!

ねーちゃん、大丈夫か?
うわっおおぱおぱっ!
(マントを引きずってくるケルベロスベビー)



●"ワイルド"カード
 頸を刎ねられ、虚ろの表情を映すその顔すらなくなった悪霊は、しかし動じた様子もなく、見下ろす狩人を注視する。眼などなくともそれとわかる、注視である。生者であればいざ知らず、怨念としてあるそれにとっては致命傷ではなかったようだ。やはりほんの一瞬の勝負において、即座に跳び退ることができないだけの被害があることは重大だった。その一瞬が、あるいは降って沸くようなものであれば、千載一遇と呼ぶに足るだろうが……
「あれ、おっかしいなー」
 あっけらかんとした神崎・零央(百獣王・f35441)の声はまさに千載一遇の機会を与えた。鬼面を探しながらやって来た少年は、そのまま首魁の室までたどり着いてしまったのだ。ゆえに現時点で緊張感などはなく、相棒のケルベロスもそんな様子に呆れ顔。もしも顔があり、かつ表情も判れば、大妖も怪訝な顔をしていたことだろう。
「わあっ、アイツあの状態でまだ生きてんのか!?」
その姿に見える激戦の痕は決して少なくなく、満身創痍と言ってもまだ足りないほど。さにありて戦意も殺意も褪せる様子のない怨霊に、零央は驚嘆した。ちなみに怨霊なので狭義においてはもう生きてはいない。
「キング、アイツを引きつけるぞ!」
 捨て身の攻撃によって傷つく仲間に気付くと、遅ればせながら少年の表情が真剣なものに変わる。相棒の背に飛び乗ると、大妖へと向き合った。

「オラオラ、ビビってんのか、オラー!」
 口の端を両手の指で引っ張りながら、舌をベロベロと動かして挑発する。怨嗟の塊である悪霊がそれによって怒りを新たにする様子もないが、少なくとも他の猟兵が近間から離れるだけの時間を稼ぐことには成功したらしい。そうと見て取ったケルベロス・キングがだしぬけに敵へと駆け出した。
 迎撃する赤鬼の腕が横薙ぎに迫れば、零央は相棒の背にしがみつき、相棒は赤鬼の腕を飛び越え。掠めるような限界高度の最高速度で脇をすり抜け、勢いのまま目的の相手へ一目散。
「キング、ぶちかませーっ!」
 号令一下、ケルベロスの口から猛吹雪のような絶対零度の吐息が放たれる。その猛威が収まった時には、氷に鎖された悪霊陰陽師と、力を放出し切って小さな幼体となったケルベロス、そして
「とどめだ!」
 絶好機とレオ・ショットを構える、零央の姿があった。放たれた白燐蟲の弾丸は氷塊を貫き敵を捉え、その裡を食い荒らし、その胴体に抉ったような大穴を拵えたのだった。

「ねーちゃん、大丈夫……あれっ?」
 なお、少年が助けようとした猟兵の姿は、気が付けば忽然と消えていたようである。

成功 🔵​🔵​🔴​

八秦・頼典
●SPD

よもや妖の大将は元ご同輩だったとはね
此の世に何の恨みを抱いて悪霊に果てたかはともかく、妖の大群を率いて平安結界を破壊しようとする企みをどうにかするのが先決かな
勿論相手も市に物狂で阻止するだろうけどね?

青鬼型式神の爪撃はボク霊力を通わせた檜扇で受け止めよう
しかし、相手は悪霊に果てても陰陽師
陰陽師だからこそ陰陽師への戦い方を知ってて、既に形代は道中で使い切ったし印を刻む隙を与えないつもりだね

しかし、だ
勝ちを確信した時こそ足元にご注意だよ
何をしたか?
なぁに、この地に流れる龍脈を少し刺激させただけさ
元々この城も破壊しておく予定だったし、まさに一石二鳥の『九頭竜招来』
かしこみかしこみ、お頼み申す



●岐
「よもや妖の大将は元ご同輩だったとはね」
 自身もまた陰陽師である八秦・頼典は、変わり果てたその敵の姿に何らかの感慨を見出したらしい。平安結界の元に民を守るはずの陰陽師が、強い恨みを抱いて悪霊になり果てたことも、かように傷つき、すでに人型を失ってまでもなお怨嗟の薄らぐ様子すらないことも、尋常なことではない。
「妖の大群を率いて平安結界を破壊しようとする企みをどうにかするのが先決かな」
とはいえ、思いを馳せることは今でなくてもできることである。今はその災禍を防ぐことこそが重大事。加えて対する相手が男とあらば猶更か。

 だが勿論、そう簡単なことではない。相手は悪霊とはいえ元は陰陽師、頼典自身が言うように同輩であり、基本的な得手不得手や遣り口手の内は互いに知っている。ならば当然、相手はこちらの嫌がることをやってくる。
「悪霊に果てても陰陽師だね……っ」
他の猟兵に赤鬼の腕が振るわれる間も、青鬼は頼典に対して丁寧な足止めを試みてくる。長く鋭い爪による四方八方より縦横の別なく繰り出される猛攻は猟兵に印を刻む暇を与えず、檜扇に霊力を通わせて受け止めさせて防御に徹するを余儀なくさせた。時には受け止めきれず爪撃を身に受け、僅かずつながら着実に消耗していく青年に、怨霊はやはりくくもった声で、嘲るような嗤い声を、無い首の無い口から漏らす。平安結界を護る陰陽師なれば、倒すは怨念の本懐であるとも言える。ともすれば執着もあろうか。視野も狭窄しようか。
「しかし、だ」
典雅な装いは随所を綻ばせ、戦いの塵芥で薄汚れてすらいる頼典だが、その表情はなお、不敵で優美な表情を見せる。青鬼は常に彼のことを釘付けにできていたわけではない。仲間に向かった隙もある。巧妙に躱し受け流した隙もある。
「勝ちを確信した時こそ足元にご注意だよ」
地に手を付き跪くように。無論敗北を受け入れ降伏の意を示したわけではなく、ただ請願が終わるだけ。青鬼によって削られて果てに窮する消耗戦ではなく、攻め手を編み上げるまでの持久戦。頭を垂れる相手はたかだか怨霊などではなく。
『かしこみかしこみ、お頼み申す』
途端、震えた地面を突き破り、床板を突き破り、巨大な竜頭が悪霊陰陽師を顎門に捕らえた。神代の龍脈より召喚された九頭竜の首は、城屋敷の各地に現出し、薙ぎ倒し、圧し潰し、火を吐いて大暴れを始める。高々と銜え上げられた大妖を仰ぎながら、今度は頼典が笑う番だ。
「何をしたか? なぁに、元々この城も破壊しておく予定だったし、まさに一石二鳥の『九頭竜招来』だ」
 陰湿さの欠片もない爽やかな笑顔での解説を受けた怨嗟は、振り絞ったように咆哮をあげながら、而して竜に飲み込まれていった。

 それから九頭竜は暴れまわり、夜が明ける頃には傷を負った猟兵たちもすっかり体力を回復し、対する大妖の城は跡形もなくなっていた。周辺には操られていた人の姿もなし、恐らくは無事に岐路についたのだろう。こうして隠された脅威は隠されたまま、山中の空き地だけを残して消え失せたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年04月06日


挿絵イラスト