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#ケルベロスディバイド #ノベル

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ナザク・ジギタリス
オルト(f01477)と

二人がケルベロスディバイドで出逢い、親交を深める一幕です
(ノベル開始時点ではまだ面識なし)
セリフ例など載せてますが不採用・改変OKです

街を歩いていると見知らぬ青年に声をかけられました
オルトと名乗る青年は、ナザクの事を同じ種族だと思い話しかけたようです
「ミレナリィドール……? いや、おれはレプリカントだよ」
「ああ、違う世界から来た人なんだね。どうも外の事には疎くて」
「でも確かによく似てる。外の世界にもおれ達みたいな機械種族がいるんだね」

それからは互いの世界の文明などについて話し合ったり、実際に見せ合ったりして交流を深めます
蒸気文明の発達したアルダワ魔法学園はナザクにとって興味深いものでした
ナザクにとって蒸気文明は、過去のものや空想上のものとして本で読んだ事しかなかったからです
「本当にあったんだ」と驚いた様子
オルトのガジェットを見せて貰えれば、硝子玉の目を少し見開いて真剣に見つめたりします
(本で読んで知っている事と、実際に目にしたり体験するのは違う事。あの人の云う事が、少しだけ分かった気がする)
そんな事を考えたりもします

「お礼に何かこの世界らしい事も教えてあげられたらいいけど……」
何がいいのだろうと悩んでいると、オルトはこの街そのものが不思議だとのこと
「そうなんだ。ここはこの辺りの人が多く集まる中心街なぶん、武装も集中しているからね」
決戦都市の成り立ちや仕組みなどをナザクは話します
たとえばあのビルからは有事には格納していた砲台が現れるとか、建造物の配置そのものが魔術増幅の魔法陣を形成しているという話です
元デウスエクスのナザクにとって、かつては格下の筈である人類をなかなか攻め落とせない厄介極まりないもの、現在は人々を護ってくれる心強いものです
どちらにせよ自分にとっては「存在して当たり前」のものでしたが、異邦人であるオルトにとってはとても物珍しいものであるという気付きを得ます

「ああ、そろそろ帰らなきゃ」
別れの時間が近づいてきて、名残惜しい気持ちになったナザクは、住み込んでいる工房の住所をオルトに伝えます
大切な器械が壊れたら来て、腕のいい修理人がいるから、と



◆ナザクについて
球体関節人形のような姿をした少年
感情表現が薄く、人と積極的に関わろうとはしないため冷たい印象に見えがち
実際はぼんやりしているというか空想の世界にこもりがち&口下手なだけ
元デウスエクスで、「心」を得て今の姿になってからはまだ日が浅い
人並みの機微はありますが、それを理解する知識や経験がまだ乏しいです
基本的に人間は優しく尊いものだと思っており、自身も「人間」になった者として善人であろうとする
本が大好きで暇さえあれば読んでいる

時計や器械類を修理する小さな工房で人間の男性(ナザクは「マスター」と呼ぶ)と二人暮らし
上記の台詞例で「あの人」と書かれているのはマスターのことです


オルト・クロフォード
こんにちは、オルトの中の人です。
今回はナザクさん(f41230)との初めましてをお願いします。

場所:ケルディバ世界のどこかの決戦都市

・街を散策していた所、ナザクを見つけて嬉しそうに走り寄る。この世界にもミレナリィドールがいるとハ!と
・違うとわかって突然話しかけたことを謝る。けれど質問されればちょっと胸を張ってみたり、おどけてみたり。「ミレナリィドールとは魔導蒸気機関の生み出した希少な機械生命……らしいが、あまりそんな凄いものの自覚はなくてナ。私はオルト。君の名前ハ?」
・ガジェット……特に大きな時計盤に見える様々な銃器が格納されたガジェットをナザクに見せてあげようとする「この形である必要性はないかもだガ、こういうヘンテコなものも扱うのが私たちガジェッティアなんダ。それに意外と役に立ったりするんだゾ?」
・街についての話題になれば、そういえば、ここは随分物々しいナと口に出す。しかしビルの仕組みや建物の配置の由来を聞けば興味深そうに聞いている。
・別れの時にはまた会う約束を。「私の方も今度、学校から色んな本を持って来るゾ。一緒に読んだり、こちらの世界で冒険したりしようナ!」

キャラクターについて
・好奇心旺盛なおしゃべりドール。話す時語尾が必ずカタカナになりちょっとそこがノイズめいて聞こえる。
・体は球体関節人形で、耳には人間の耳を模したような歯車がついている。学生服のようなものを着ている(全身図参照のこと)
・同じような存在に会えて嬉しいし、この世界の事を知ったり自分の世界のことを話せたりして楽しかった模様



 目に入る建造物は直線描くデザインのものが多く、色彩は鉄や灰色寄り。けれど整然と造られたそこに暗い印象はなく、石のタイルもきちんと敷き詰められていて、ひび割れも見当たらない。――ふむふむ。
(「よく整備された、綺麗な所ダ。しかし掃除夫はいないナ?」)
 どうやって保っているのだろう?
 きょろきょろしながらゆくオルト・クロフォード(クロックワーク・オートマトン・f01477)の目は、まだ親しみの薄い世界への好奇心でいっぱいだ。道路部分で途切れる、デコボコとした黄色いパーツも気になった。これは何かの目印だろうか?
 過ぎゆく人々の髪型や服装にも、オルトは出身世界との違いを見つけてはエメラルド色の目を輝かせ――ん? と動きを止める。
 左右にゆらゆら。規則正しく揺れる立派な銀髪の三つ編みと、それと一緒に揺れる菫色の蝶々結び。まず目についたそこから真っ白な肌へと移ったオルトの目が、ぱあっと喜びに染まって輝いた。
「この世界にもミレナリィドールがいるとハ!」
「ミレナリィドール……?」
 目が合ったな、と思った次の瞬間向けられた、溌剌とした声と笑顔。曇りのない真っ直ぐさと一緒に走り寄ってきた見知らぬ青年に、ナザク・ジギタリス(とおり雨・f41230)は表情を変えないまま、一度だけ、ぱちりと瞬きをした。
 ミレナリィドール。それを口にして自分の方に来た、見知らぬひと。
 冷静そのものなナザクの思考は一瞬で状況を把握した。
「いや、おれはレプリカントだよ」
 途端に相手の目が丸くなる。
 きょとんとして、しゅんっと肩を落とすまでは一瞬だった。
「同じ種族かと……突然話しかけてしまってすまなかっタ」
「別に平気。気にしてないし。……ミレナリィドールって?」
「それはだナ!」
 勘違いからの接触と、勘違いの解消。
 そこで『それじゃあさようなら』とならなかったのは、互いがそれぞれの濃度で抱いた興味や好奇心、疑問といった、ささやかなものの結果だろう。
 その結果である問いかけにオルトは再び笑顔になり、片手を胸元に添え堂々と語る。ミレナリィドールとは魔導蒸気機関の生み出した希少な機械生命である――けれどそう伝えてから、笑顔で頬をかいた。
「らしいが、あまりそんな凄いものの自覚はなくてナ。私はオルト。君の名前ハ?」
「ああ、違う世界から来た人なんだね。どうも外の事には疎くて。おれはナザク。種族は、さっき言った『レプリカント』なんだけど……」
 レプリカントと聞いた瞬間、オルトの両目に今度はめいっぱいの興味や好奇心がきらきらぴかぴかと宿り始めた。
 知ってる? そう尋ねる前から明白な答えに、ナザクは自身の種のルーツを簡潔に説明し、オルトはふんふん頷きながら、不思議そうに自身の手を握って、閉じてを繰り返す。
 互いの手を見比べるオルトの様子は非常に雄弁だ。対するナザクの表情はささやかな変化も浮かべない。けれど、その裡でそっと芽吹いたものがあった。
「生まれは違うけど、でも確かによく似てる。外の世界にもおれ達みたいな機械種族がいるんだね」
「そうだナ、とても面白イ! そういえば、サイボーグやロボットタイプの種族もいると聞いた事もあるゾ」
 他の世界の存在。違うけれど、どこかが似ている異種族の事。
 オルトもナザクも目を数度瞬かせ、それから不思議と、けれど自然と始まったのは、互いの世界の話だった。
「私の世界は『アルダワ世界』と呼ばれているんだガ、蒸気と魔法の文明で成り立っている世界なんダ。蒸気機械と魔法で創られた地下迷宮もあるんだゾ! そこに全ての災魔……オブリビオンを封じているんダ」
「オブリビオン……こっちの世界の『デウスエクス』みたいなものかな」
「? デウス……?」
「宇宙からの侵略者だよ。敵対勢力」
「おお!」
「災魔にはどう対抗してるの?」
「人によるガ、私はガジェットを使っているゾ。ほら、これダ」
 取り出したガジェットが陽光を弾いてナザクの肌や目に光を踊らせた。
 それは大きな時計盤に見えたが、オルトが慣れた手付きで触れていくと、格納されていた銃器が顔を覗かせる。
 流れるように展開した様にナザクの目はかすかに瞠られて、その小さな変化にオルトは嬉しそうに笑みながら、色々な角度から見えるよう傾けたりひっくり返してみせた。
「ガジェットって全部こういう形?」
「いいや。この形である必要性はないかもだガ、こういうヘンテコなものも扱うのが私たちガジェッティアなんダ。それに意外と役に立ったりするんだゾ?」
 武器だけでなく調理器具や交通手段、日々の中のちょっとしたお役立ちアイテムなどなど、ガジェットはその見た目も活躍も多岐に渡る――オルトが語るアルダワ魔法学園とアルダワ世界の話に、ナザクは時折相槌を打ちながら、しっかりと耳を傾けていた。
(「本当にあったんだ」)
 過去のものでも、本で読んだような空想上のものでもない。
 蒸気と魔法、ふたつが文明を織りなす別世界。自分が生きるこの世界とは全く違う文明や種族が息づく世界が、確かに存在している。 

“知っているのと実際にやってみるのは違うものですよ”

(「あの人の云う事が、少しだけ分かった気がする」)
 文字や挿絵をなぞって得るものと、自分の目で見て、耳で聞いて得るもの。
 どちらにもそれぞれの価値と、意味と――多分。形が、ある。
 じっと硝子玉の目を向け続けるナザクの前で、オルトが再度ガジェットに触れ、武装が閉じられていく。こうなると本当に大きな時計盤のようだ。――あの人が喜ぶかな、なんてふと考えながら、ナザクは静かに緩やかに周囲へと視線を移した。
「お礼に何かこの世界らしい事も教えてあげられたらいいけど……」
 何がいいのだろう。
 こういう時、自分以外のひとならばすぐに思いつくのだろうか。
 悩んでいるのだけれどそれが顔に出ないナザクの横で、オルトは「ふうむ?」と首を傾げて同じように周りを見た。青い空。白い雲。整然と並ぶ街並みに――あ、そうダ!
「そういえば、ここは随分物々しいナ」
「そうなんだ。ここはこの辺りの人が多く集まる中心街なぶん、武装も集中しているからね」
「武装?」
 物々しいとは感じはしたものの、戦闘意欲に溢れているとまでは感じない。
 ――と、いう事ハ?
 オルトは暫し考えてからハッ!としてソワソワきょろきょろ。オルトの髪が、動きに合わせぴょんぴょん跳ねる。
「隠されているのカ!」
「そうだよ。たとえばあのビルからは、有事になると格納されている砲台が現れる」
「ほほウ!」
 砲台という事は砲弾も一緒に格納されているわけで、出番が来れば使用の為に色々なものが動いてズレて開いてと展開するのだろう。ガジェッティアとしても非常に興味深く、ナザクが指したビルを見るオルトの目は、抑えられない好奇心でそれはもうキラッキラだった。
 建造物の配置そのものにも意味があり、魔術増幅の魔法陣を形成している。それを聞いたオルトは、感心した表情で深く頷いた。
「凄いナ。デウスエクス、だったカ? 攻め落とせなくて苦労しているだろうナ」
「そうだね。おれは元デウスエクスだから、格下の筈なのになかなか攻め落とせなくて、厄介極まりないなと思ってたよ」
「という事ハ、効果抜群なんだナ!」
 ダモクレスからレプリカントに変わったナザクだからこその感想を、オルトはそのまま真っ直ぐ受け取って、爽やかな空気と一緒に明るく笑う。今は人々を護ってくれる心強いものだとの言葉にも、オルトはうんうんと頷きながら、ナザクが教えてくれるものをひとつひとつ目に映していた。
 その反応に、ナザクは改めてオルトという異邦人と、彼の出身世界が外のものなのだという事を自覚する。
(「おれにとっては『存在して当たり前』のものだけど、外のひとには物珍しいものなんだ」)
 それも、こうして体験しなければ解らなかったものなのだろう。
 あの言葉を穏やかな笑顔とセットでふんわり思い出した時だ。ビルの電光掲示板が、別れの時が近いと報せてくる。どうやら、知覚していない所で時間はそこそこ過ぎていたようだ。
「ああ、そろそろ帰らなきゃ」
「おお、そうなのカ?」
 時間は大丈夫かと気にするオルトに、ナザクはまだ大丈夫だと言いながら少しだけ考えた。懐を探り、取り出したカードをオルトに差し出す。
「これハ?」
「おれが住み込みしてる工房の名刺。大切な器械が壊れたら来て、腕のいい修理人がいるから」
 オルトの目が、名刺とナザクを交互に見る。
 “また”と繋ぐものを貰ったのなら、自分も違う形だけれど、同じものを。
「私の方も今度、学校から色んな本を持って来るゾ。一緒に読んだり、こちらの世界で冒険したりしようナ!」
「冒険……。そうだね。それもいいかも」

 今日この場所で、偶然会って、喋った。
 それだけの巡り合わせだけれど――それだけで終わるのは名残惜しくて。それだけでは表しきれない嬉しさ楽しさを、覚えたから。

「それじゃあ、また」
「ああ、まタ!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2024年03月13日


挿絵イラスト