土蜘蛛への風評被害について
「アヤカシエンパイアの世界の話になるのだけど」
君たちに声をかけた石蕗・つなぎ(土蜘蛛の白燐蟲使い・f35419)によると、この世界を覆う「平安結界」に布を裂いたが如き「妖の裂け目」が生じ、これを通って死の大地から妖の群れが攻め寄せてくることが予知されたのだと言う。
「もっとも、現地の陰陽師のひとたちによって既に裂け目の周辺は『方忌み』で戦う力のないひとの立ち入りは禁じられているわ」
故に即座に被害が出るということにはならないようだが放置もしておけない。
「今回裂け目が生じたのは村はずれの畑の様よ。農作業中に怪我人が出たようで、その時の血が裂け目を生じさせた原因の様ね」
もっとも当の怪我人は手当の為に他の農作業をしていた村人たちと共に畑を離れており、前述の「方忌み」によって戻ってくることもない。
「説明を続けるわ。現地に到着するとまず裂け目から低級の妖の群れが溢れ出してくるの」
君たちがそうして戦うことになるのは、鬼面の群れ。鬼面の如き頭部しか持たない、空を飛ぶ悪霊たちだ。
「個々の力は弱いものの鬼火を放ちながら群れを為して空を飛び、周辺に火災を引き起こす危険な存在らしいわ」
そして首尾よくこの群れを撃破することがかなえば、妖の群れを率いていた大将が姿を現すのだとか。
「現れるのは、土蜘蛛女御。恋に狂うあまりに妖『土蜘蛛』と化してしまった元はやんごとなき身の上の哀れな女御の妖らしいのだけど」
つなぎは微妙そうな表情を見せる。つなぎはシルバーレイン世界の来訪者の「土蜘蛛」なのだ、別のものとは言えこの反応も無理はなく。
「……もはや叶うことなき恋を求めてその邪魔をするものを鋭い蜘蛛脚で引き裂き、血を啜るらしいわね」
ちらりとつなぎは自分の背中から生えた蜘蛛脚を見て視線を君たちに戻す。
「個人的に思うことはあるけど、それはそれね。戦いが終わったら裂け目も塞がって一件落着――」
と行きたいところだが、どこかに妖の生き残りが潜んで悪さをしていないとも限らない。戦後のケアや見回りも兼ねて、村で一泊くらいはしていった方がいいかもしれない。
「直接戦うことはできないけど、全力で支援はさせて貰うから」
よろしくお願いするわねとつなぎは言うのだった。
聖山 葵
来ましたね、新世界。
という訳で今回は村はずれに出来た裂け目から現れる妖を退治していただくお話の模様です。
ではご参加お待ちしておりますね。
第1章 集団戦
『鬼面の群れ』
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POW : 爆裂鬼火
着弾点からレベルm半径内を爆破する【鬼火】を放つ。着弾後、範囲内に【恨みの炎】が現れ継続ダメージを与える。
SPD : 鬼火翔け
【鬼面状の体】から【鬼火】を噴出しながら、レベル×5km/hで直進突撃する。2回まで方向転換可能。
WIZ : 鬼火雨
レベル×5km/hで飛翔しながら、【降り注ぐ鬼火】で「🔵取得数+2回」攻撃する。
イラスト:佐々木なの
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
粛慎・娘
なんかいっぱい出てきちゃって……倭国は今日も大変だ。
ま、ちょうどいいね。今日の僕は剣を振るいたいなぁって思ってたところなんだ。ってことで行くね。
空に浮かんだ鬼の面、斬るのが大変そうだけどそういうのが面白いんだよね。
鬼火を放つってことだから炎の軌道を観察して避けながら接近して、【剣刃一閃】!やっぱりこれだね。
いっぱいいるみたいだし丁度いいや。この後強いのが出てくるんでしょ?その前に体を動かしておかなきゃだ。
さーて何枚割れるかな?楽しみだね。
「なんかいっぱい出てきちゃって……倭国は今日も大変だ」
転送されて足を運べばちょうど裂け目からわらわらとソレが出てくる様をぽかんと口を開けて目撃することになった粛慎・娘(剣豪鬼道衆・f42823)だが立ち尽くしていたのは、そこまでだった。
「ま、ちょうどいいね。今日の僕は剣を振るいたいなぁって思ってたところなんだ」
ってことでと続けると鬼面の如き悪霊の頭部を見て宣言する。
「行くね」
入れた断りにもし鬼面が否と言ったとしても振りかぶった直刀が止まることはなかったと思われる。空に浮かんだ鬼の面は各々意志を持ち一所にもとどまりはしない。斬るのも容易ではない筈であった、だが。
「そういうのが面白いんだよね」
楽し気に自身を発見した鬼面が放ってくる鬼火を娘はひらり躱し。
「剣刃一閃!」
すれ違いざまに真っ二つにされた鬼の面が空から零れ墜ちてゆく。
「やっぱりこれだね」
口元を綻ばせつつも瞳はしっかりと鬼火を放とうとしてくる別の鬼面を観察し。
「よっ」
危なげもなく避ければ。
「いっぱいいるみたいだし丁度いいや。この後強いのが出てくるんでしょ?」
その前に体を動かしておかなきゃだと続けつつ走り出して二枚目の鬼面が両断された。
「さーて何枚割れるかな? 楽しみだね」
裂け目から尚も鬼面は溢れてくると言うのに娘は笑んだままで再び駆け出した、手に直刀を下げたままに。
大成功
🔵🔵🔵
禰宜・剣
(現地の平安貴族)
…あんた達は…皆を殺して尚飽き足らずに…尚あたしたちを殺そうというのね…!そんなの…許すものか!
UC発動
此処から通さないわよ!
…泰河叔父様(使役鬼の名前)…力を貸して!
「任せるんだよー。剣ちゃんを守るんだよー」
UC効果で足止めしながら使役鬼は鬼の手で殴り
あたしは刀で鬼面の首を落と…って首しかないじゃない!?
という訳で全力で切り刻んで迎撃するわ!
「あははー剣ちゃんはお茶目さんだねー♪」
泰河叔父様は鬼になっても全然変わらないわね!?
足止めしながら共に鬼面を迎撃するわよ!
…何だか…変わった格好の人達が来ているわね
「どうやら…死の大地よりも更に遠い所かた来たみたいなんだよー?」
「……あんた達は……皆を殺して尚飽き足らずに……尚あたしたちを殺そうというのね……!」
畑の上を飛ぶ鬼の面を腰に無骨な誂えの日本刀を佩き禰宜・剣(平安貴族(従五位下)の坂東武者・f42842)は睨みつける。
「そんなの……許すものか!」
叫ぶなり取り出したのは、凶方暗剣符と呼ばれる符であった。
「此処から通さないわよ!」
即座に貼り付けて符の方角への移動を禁じると剣は|使役鬼《羅刹『泰河』》を一瞥し、乞う。
「……泰河叔父様……力を貸して!」
「任せるんだよー。剣ちゃんを守るんだよー」
即座に応じた泰河が剣の前に進み出れば、剣らに気づいた鬼の面が飛んでくるも。
「吹っ飛ぶんだよー」
「流石泰河叔父様……なら、あたしはこの刀であの鬼面の首を落と……って首しかないじゃない!?」
泰河が手を握り固めて殴り飛ばし、続こうとした剣自身も腰の日本刀に手をかけ引き抜こうとしつつツッコんだ。
「……よくも恥をかかせてくれたわね!」
「あははー剣ちゃんはお茶目さんだねー♪」
飛来する鬼面を無骨な誂えの日本刀で斬り刻み始めた剣を横目で見つつ泰河は笑うが、その拳はきっちり迫って来た鬼の面を叩き落としており。
「……何だか……変わった格好の人達が来ているわね」
とは視界の端に自分たち以外の鬼の面と戦う者の姿が入ったからであろう。
「どうやら……死の大地よりも更に遠い所から来たみたいなんだよー?」
声に泰河の方をちらりと見た剣だったが鬼の面はまだまだいくつも空にあり、今は鬼面たちを殲滅する方が優先と意識を目の前の戦いへと切り替えた。
大成功
🔵🔵🔵
クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【WIZ判定】
猟兵になってから色々なモノを得てきたけどさ、まさかクローネちゃんが貴族としての階級を得る事になるとはね…♪
いやぁ…人生、何があるかわからないものだね★
現地入りして低級妖から対処していくよ♪
鬼面を恐れる事なく、何時も通りのノリで確実に倒していくね♪
UCは『ワタシの水晶の翼』★
敵が飛翔するのなら、こっちも飛翔能力で相手するよ♪
攻撃は【戦闘知識/範囲攻撃/弾幕/切断/怪力/空中機動/生命力吸収/2回攻撃/鎧無視攻撃/貫通攻撃】で行うよ♪
敵のUCは【野生の勘/第六感/気配感知/幸運/霊的防護/オーラ防御/鉄壁/硬化/激痛耐性/回復力】で対応するね♪
「猟兵になってから色々なモノを得てきたけどさ」
まさかクローネちゃんがと自身の名を口の端に乗せたのは、クローネ・マックローネ(快楽至上主義な死霊術士・f05148)。猟兵たちが赴ける世界も時の流れと共に増え、初めて足を踏み入れる世界にはその世界なりの状況やルールが存在していて、それはこのアヤカシエンパイアでも変わらない。
「いやぁ……人生、何があるかわからないものだね★」
しみじみしながら二度ほど頷くとそこで感慨は放り投げ、クローネは空を見上げた。
「さて、それじゃお仕事しないとね♪」
まずは低級妖からと視界に鬼面たちを捉え、召喚したのは屍王。
「ねえ屍王ちゃん。ワタシに翼を生やしたのはいいけど、こんな翼でどうやって飛べば……あ、なんでか知らないけど飛び方が分かるわ。怖っ」
背に生やされた水晶の翼に困惑し振り返るも声を漏らすと水晶の翼を二度見して微かに口元を引きつらせ。
「え、よそ見してる場合じゃないって?」
もう一度屍王の方を見たクローネはすぐさま前方に向き直り。
「よっと」
水晶の翼を羽ばたかせ、降り注ぐ鬼火を避けると750を超す本数の光線が代わりに空へ解き放たれて。
「悪霊相手なら生命吸収が効かないこともありそうだったからね★」
光線の中に消えそうな鬼面のシルエットへ空中機動で迫れば、クローネの手刀が複数のそれを一気に両断する。
「やっぱりこの距離なら届くかぁ。じゃあここからは……そちらが飛翔するのなら、こっちも飛翔能力で相手するよ♪」
いいよねと確認はしない。返事の代わりに再び降り注ぐ鬼火を野生の勘と第六感のままに躱すとオーラで身を守りつつクローネはまだ健在な鬼の面らへ向かってゆくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
鳳獣寺・棗子
グリモア猟兵の方が仰るには、他の世界には人に害為さぬ土蜘蛛も居るということですね。
とはいえ、此方の土蜘蛛はそうは参りません。
確と討滅し、民の皆様の安堵を守りませねば。
然らば。
鳳獣寺家が末妹、棗子。務めを果たしに参ります。
さて、先ずはかの鬼面の群れを掃討せねばなりません。
まずは【式神使い】にて鳥型の式神を放ち、辺りの鬼面へ攻撃させましょう。
これ自体で倒すのが目的ではなく、敵の意識を惹き付けるのが目的です。
そうして敵の気を引いた式神を呼び戻しつつ、向かってきた敵へ向けて妖魔浄滅符を掲げ、これを焼き滅ぼしていきます。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
これはまた、色々と大変な世界ですねぇ。
参りましょう。
『FLS』により|全『祭器』《未装備含む》を召喚後、空間歪曲障壁を展開し攻め手に備えまして。
『FAS』で飛行すると共に【餮囹】を発動、『乳白色の波動』を展開しますねぇ。
【爆裂鬼火】は着弾後の範囲が広い分、周囲の被害が厄介ですので、着弾前に『波動』で吸収して爆発自体を防いで対処しますぅ。
同時に、鬼面さん達自体も『吸収』が可能ですから、更に『FBS』の斬撃と『FES』の『聖属性の魔力矢』で[追撃]、[範囲攻撃]で一気に叩きましょう。
そういえば、『勾玉』を着けている私の場合、この世界では『鬼道』の使い手に見えるのですかねぇ?
「グリモア猟兵の方が仰るには、他の世界には人に害為さぬ土蜘蛛も居るということですね」
かの話を確認する術は、鳳獣寺・棗子(獣鬼の陰陽師・f42827)にはない。厳密に言うなればないのではなく確認をすること自体が不可能と言うべきか。
「とはいえ、此方の土蜘蛛はそうは参りません」
そう知っているが故に棗子には為さねばならぬことがあった。
「確と討滅し、民の皆様の安堵を守りませねば」
裂け目から現れることは棗子を転送してくれたグリモア猟兵が予知したところ。放置すれば災いとなるのは明白故、決意をその豊かな胸に棗子は顔を上げる。
「然らば。鳳獣寺家が末妹、棗子。務めを果たしに参ります」
告げるの視界にあるは味方が空を飛ぶ鬼の面と戦う光景。
「さて――」
まだ残敵があるところなれば、かの鬼面の群れを掃討せねばならない。
「これはまた、色々と大変な世界ですねぇ」
裂け目を眺め、続いて棗子も目にした鬼面と味方の交戦する様を見た夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)もまた鬼の面らを倒さねばと言うところは同じだったのだろう。
「参りましょう」
|浮遊する16枚の札《FLS》により祭器の数々を召喚、空間歪曲障壁を展開し攻め手に備えたところで今度は棗子が動く。
「往きませい」
陰陽式符を指に挟み鳥型の式神を鬼の面らに放てば、味方と交戦中の鬼面たちもいくらかは棗子の存在に気づいて。
「戻りませい」
敵の気をひく為に嗾けた式神を呼び戻しつつ棗子は召喚した、陰陽式符とは別の符を。
「この先通るは罷りなりません。どうぞお引き取りなされませ」
|掲げられる一般人には見えない術符《妖魔浄滅符》を視認した瞬間、鬼の面らは燃え始める。各々が操る鬼火ではない浄化の炎に包まれれば、元より個々の力は弱いと言われていた妖。さして間もおかずぽろぽろと空から墜ちてきて。
「やりますねぇ。では私も……大いなる豊饒の女神の使徒の名に於いて、咎人を留め置く扉の鍵を此処に」
|3対のオーラの翼《FAS》で空へと舞い上がったるこるは祈りを捧げる。それだけでるこるを中心に乳白色の波動が周囲を覆い始め、鬼面らの行動を阻害しながら波動は鬼の面らそのものをも吸収してゆく。
「元より随分数も減ってましたし、こんなところかもしれませんねぇ」
もし仮に鬼面が波動から逃れようとしたとしても、るこるの|四肢に嵌まったビームの刃を持つ浮遊する12枚の戦輪《FBS》が解き放たれ|20枚の浮遊する布《FES》による魔力の矢と共に襲い掛かることになっていた。個々の力が大したことのない鬼面たちにとって生き延びることなどどのみちできなかったのだが、乳白色の波動に吸収されてもはや鬼の面らは影も形もなく。
「そういえば、『勾玉』を着けている私の場合、この世界では『鬼道』の使い手に見えるのですかねぇ?」
ゆっくりと高度を下げつつるこるは棗子の方を振り返ったのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『土蜘蛛女御』
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POW : 赤糸くくり
レベルm半径内を【蜘蛛の巣の糸】で覆い、[蜘蛛の巣の糸]に触れた敵から【抵抗心】を吸収する。
SPD : 土蜘蛛八刃脚
【妖力の糸】が命中した敵を【鋭い蜘蛛脚】で追撃する。また、敵のあらゆる攻撃を[鋭い蜘蛛脚]で受け止め[妖力の糸]で反撃する。
WIZ : 朽ちぬ恋文
自身が愛する【相手に手紙を出すための筆】を止まる事なく使役もしくは使用し続けている限り、決して死ぬ事はない。
イラスト:みよ
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「どこへ……あぁ、どこへ行ったといふのです……」
なぜ、どうしてと。自分を置いていったのだと嘆きながらそれは現れた。衣から覗く蜘蛛脚が畑の土に突き刺さる。
「……さま」
誰かの名を呼びながら周囲を見回すその妖こそが鬼面の群れを率いていた土蜘蛛女御であった。
禰宜・剣
何なのかしら彼奴ら…平安貴族とかにいたかしら…?
「うーん…?若しかすると伝承にある猟兵かもねー?」
猟兵…?それより…なにこれ…凄い力が漲ってくる…!
「僕もなんだよー!」
此奴が土蜘蛛…!恋はあたしには分からないけど…それでも虐殺なんて許されえる訳ないからな!?泰河叔父様!あたしを殺して!
「ううん。そんな事はしなくていい…今の剣ちゃんなら…銀静兄さん…皇家のあの技が使える筈だよ!」
UC発動!
ほ、ほんとだ…それなら今こそ力を尽くす!
「僕が鬼の手で蜘蛛の糸を引きちぎるんだよー?後ねー…抵抗する心を吸収するなら…思いっきり僕が巻かれるんだよー!」(ごろごろ
泰河叔父様ー!?
あたしは本体に斬撃を叩き込むわ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
・装備状態継続
■行動
成程、正に『迷い出た』のですねぇ。
『FAS』による飛行を継続、『FPS』で女御さんの動向を察知しまして。
『FLS』の空間歪曲障壁に重ね【籠域】を発動し『波動』を纏いますねぇ。
範囲を覆う【蜘蛛の巣】は『物質』、私自身の身体に触れる前に『波動』に触れれば、『崩壊』させて接触を防げますぅ。
『祭礼の女神紋』で『祭器』各種にも同様の『波動』を纏わせれば破壊も極めて困難ですので、『FMS』のレーザーと『FBS』の斬撃、『FES』の魔力矢を中心に叩きますねぇ。
元となった女御さんの年代次第では、思い人は『彼方側』にいる可能性も高いですし、ご本人の為にも早目にお帰り下さい。
粛慎・娘
わ~怖い。よく知らないけど女御って倭国じゃ結構な待遇の人じゃなかったっけ?そんな人でも妖になちゃうもんなんだね。
ま、いっか。境遇は知らないけど斬り甲斐がありそうな脚がいっぱいある所は好きだよ僕は。
じゃあ始めよっか。
それにしても敵さんのはなかなか厄介で面白い能力だよね。攻防一体で良い感じだ。
うーん…じゃあ、敵の防御が間に合わないぐらい斬りまくるとするかな。
敵の糸を直刀で切断しながら接近して【乱斬】!
いつも以上に斬りまくれば相手の防御も追いつかなくなるし、これで行こう!
それにほら、僕って基本的に不老不死だから味方の人を一回も斬らないでも特に問題ないしね。
鳳獣寺・棗子
此方が妖の筆頭たる土蜘蛛でありましょうか。
如何やら、何方か愛しいお方を探しに来られたご様子ですが……その捜索は、平安を損ねるものに他ならず。
この場にて、討滅させて頂きます。
【式神使い】にて剣王牙狼を使役、敵と交戦させましょう。
【斬撃波】を放ち攻撃、敵の攻撃は【武器受け】にて逸らさせる形で防御させます。
主目的は足止めと意識を此方へ向けさせること、無理な攻撃はせぬよう指示。
その間に式符・砕骨鉄鼠を発動、周囲から鼠の式神達を群がらせ齧りつかせて攻撃をかけてゆきます。
文を認める為の筆も齧らせ、ユーベルコードを封じてしまいましょう。
此処まで来たら牙狼も本格攻勢へ出させ、敵の身を【切断】させます。
「成程、正に『迷い出た』のですねぇ」
土蜘蛛女御に視線をやる夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は|3対のオーラの翼《FAS》で空にあるまま、得心がいったという態で。
「わ~怖い。よく知らないけど女御って結構な待遇の人じゃなかったっけ? そんな人でも妖になちゃうもんなんだね」
妖『土蜘蛛』と化してしまった女御だったものの様に粛慎・娘(剣豪鬼道衆・f42823)もまた声をあげるが、女御が妖と化してしまっているという現実に表情を変えていたのは短い間だった。
「ま、いっか」
その言葉で意識を切り替え。
「境遇は知らないけど、斬り甲斐がありそうな脚がいっぱいある所は好きだよ、僕は」
娘が告白する中、るこるは|浮遊する涙滴型の水晶《FPS》を用い土蜘蛛女御の動向を探り続ける。何らかの動きを見せれば即座に反応しようというのであろう。
「探さなくては……探さねば……」
空のるこるはまだしも地上の娘の様子すら目には入らぬ様子で土蜘蛛女御は歩き出そうとし。
「え、無視? それはないんじゃないかな」
「……さま、どこへ……」
恋に狂い妖となってしまっただけあって、求める者以外はまして同性などどうでもいいと目もくれず村の方へと向かおうとする態を娘が非難するも、声は届かない。
「そう言うつもりなら仕方ないよね。じゃあ始めよっか」
当然村の方に行かせることはできず、土蜘蛛女御が自分の事情の身で動くなら娘も為すべきことを為すだけだった。
「それっ」
無造作に斬りかかり、娘の振るう直刀の軌跡が阻むように差し出された蜘蛛脚を打ち鳴らし、間を置かず土蜘蛛女御が妖力の糸を娘目掛け放つ。
「なかなか厄介で面白い能力だね。攻防一体で良い感じだ」
勢い良く跳ぶため屈んだ頭上を過ぎてゆく糸を目で追いながら称賛するも、土蜘蛛女御は反撃を躱されただけでは済まない。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その衣を纏いて祈りを捧げましょう」
祈りによって乳白色の波動を球状に空間歪曲障壁へ重ねるよう纏ったるこるが|浮遊する12枚の円盤《FMS》からはレーザーを放ちつつ|四肢に嵌まっていたビームの刃を持つ浮遊する12枚の戦輪《FBS》を飛ばし、|20枚の浮遊する布《FES》を用いて魔力の矢を飛ばしてきたのだ。
「うああああっ?!」
全てを躱せるはずもない。土蜘蛛女御は悲鳴を上げ、|裳《も》を切り裂き蜘蛛脚にも傷を刻んだ戦輪が地面を暫く駆けると空へ飛び立ち。
「何なのかしら彼奴ら……平安貴族とかにいたかしら……?」
味方と妖の攻防を眺めていた禰宜・剣(平安貴族(従五位下)の坂東武者・f42842)は首を傾げ。
「うーん……? 若しかすると伝承にある――」
「……なにこれ……凄い力が漲ってくる……!」
「え」
唸る|使役鬼《羅刹『泰河』》は剣の言葉でそちらを振り返り。
「僕もなんだよー!」
そう告げるあたり、何らかの実感があったのだろう。
「く、う……わたくしの……邪魔をすると……いふのですね」
攻防によって始めて猟兵らに意識の向いた土蜘蛛女御はるこるを睨むと手を空に向け。
「此奴が土蜘蛛……!」
「此方が妖の筆頭たる土蜘蛛でありましょうか」
敵意も顕わな土蜘蛛女御の姿に剣が口を開くと鳳獣寺・棗子(獣鬼の陰陽師・f42827)も目を伏せた。
「恋はあたしには分からないけど……それでも虐殺なんて許されえる訳ないからな!?」
「如何やら、何方か愛しいお方を探しに来られたご様子ですが……その捜索は、平安を損ねるものに他ならず」
口にした内容は異なれど、結論としては同じ、この先に進ませるわけにはいかぬと言うもので。
「この場にて、討滅させて頂きます」
「泰河叔父様! あたしを――」
棗子が宣言した時、ヨモツヘグイオニとなるべく剣も泰河へ呼びかけ。
「ううん。そんな事はしなくていい……今の剣ちゃんなら……あの技が使える筈だよ!」
「あの技? あ」
首を横に振る泰河へオウム返しに尋ねつつも心当たりがあったのだろう。
「玄武門……開門。……朱雀門……開門」
剣は詠唱を始め。
「……白虎門……開門。……青龍門……開門。……我が家に連なる皇家に伝わりし秘技を今ここに! 四門開門……桜花!」
輝く桜の花弁で覆われた自分の手を見て目を見開く。
「ほ、ほんとだ……これなら、今こそ力を尽くす!」
「うんうんその調子だよー、だから……僕が鬼の手で蜘蛛の糸を引きちぎるんだよー?」
空に飛び立つ剣を見守りながら泰河は跳んだ。飛んで土蜘蛛女御が周辺を覆わんとする蜘蛛の巣へ自ら手を伸ばし。
「抵抗する心を吸収するなら……思いっきり僕が巻かれるんだよー!」
「泰河叔父様ー!?」
巻き取るように転がり出した泰河の名を剣が叫んだ時。
「他のひとの相手までしておいてこれかあ。うーん……じゃあ、敵の防御が間に合わないぐらい斬りまくるとするかな」
蜘蛛脚にたびたび直刀を防がれ蜘蛛糸を放たれていた娘は左目を輝かせ。
「斬り方は適当でいっか。どうせ結果は同じだしね」
地面を蹴れば立て続けの斬撃が土蜘蛛女御を襲う、否。
「今よ!」
「っきゃあああっ」
娘の斬撃に混じった剣の一太刀も妖の身体へ叩き込まれ。
「往きませい」
棗子の使役する剣王牙狼が畑を迂回する様にして駆け。
「放ちませい」
悲鳴を上げた土蜘蛛女御へ斬撃波を放たせる。
「ぐ、ぅ……よくも……」
よろめく妖の敵意は棗子の狙い通り剣王牙狼へ向いて。
「鼠様方、この辺の妖や其に連なるもの全て喰らい尽くしてくださいまし」
敵の気が逸れた瞬間を狙い、棗子が六百近い数の鼠の式神を召喚、嗾けた。
「あぁああぁあ……さま、いず……こ、に」
一度に複数の猟兵を相手にし、もはや満身創痍だった土蜘蛛女御に耐えうる力は残っていなかったのだろう。
「元となった女御さんの年代次第では、思い人は『彼方側』にいる可能性も高いですし……」
鼠の式神に埋もれるようにしたまま倒れ伏した妖にるこるは上空から言う、ご本人の為にも早目にお帰り下さいと。
「下がりませい」
その言葉が届いたのかはわからない。ただ、鼠の式神らが離れてももう土蜘蛛女御が起き上がってくることはなかった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『村で一宿』
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POW : 食材や酒を持ち込み、村人と共に食事を楽しむ
SPD : 村の子供達と遊んであげる
WIZ : 村人達に面白おかしく旅の話をする
イラスト:十姉妹
👑5
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎
■行動
さて、後はアフターケアですねぇ。
『FVS』で『FPS』の性能を複製、元の『FPS』共々集落周辺に散会させまして。
『FLS』で制御を補佐させると共に【骰佱】を発動、全『祭器』の基本性能を増強させることで、村落周辺で異常が発生したら直ぐに察知可能な状態にしておきますぅ。
察知さえ出来れば『FAS』の飛行や『FIS』の転移で即座に駆け付けられますので。
その様な準備を終えましたら、後は村落の中を見て回りましょう。
先程の『畑』で採れる作物も気になりますし、この世界の品となれば確実に『農薬不使用のオーガニック品』でしょうから、幾つか買い取るか、『塩』等と物々交換しても良さそうですぅ。
「さて、後はアフターケアですねぇ」
|浮遊する32枚の絵馬《FVS》を|浮遊する涙滴型の水晶《FPS》と共に空から散開させつつ夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はゆっくり高度を下げてゆく。
「大いなる豊饒の女神、その『祭器』の表裏たる異種の姿を此処に」
水晶の性能を複製することで同様の祭器として扱えるようになった絵馬らもすべては村落周辺で異常が発生したした場合すぐに知るための下準備。|浮遊する16枚の札《FLS》によって制御を補佐しつつ祈りをささげ、つま先が地面に着いた頃にはもう準備は終わっていた。
「これで大丈夫ですねぇ。察知さえ出来れば即座に駆け付けられますので」
寸前まで自身が空にあるのに使っていた|3対のオーラの翼《FAS》をちらり見てからるこるは視線を村の方へとやる。
「後は村落の中を見て回りましょうかぁ」
緊急事態が起こればすぐに、いや事態が起こる前の異常を感知できるのだ。るこるは一度畑の方を振り返り。
「この『畑』で採れる作物も気になりますし、この世界の品となれば確実に『農薬不使用のオーガニック品』でしょうから――」
幾つか買い取るか物々交換しても良さそうですぅと脳内で塩などの交換に出す物をリストアップし。
「あそこの畑で作っていたものかい? そうだね、これとかかな?」
出会った村人との交渉でフキなどの作物を手に入れることになるのはもう少し先の話。
大成功
🔵🔵🔵
禰宜・剣
…勝てた…
「お疲れ様剣ちゃん♪これで救われたけどまだ残ってる妖がいるかもしれないから調査だけはしておこうね?」
…わかったわ泰河叔父様。これも平安貴族の役目よね!
とはいえ宿の周りを歩きながら色々と貴族らしく遊びながら生き残りの妖が居ないからは調べるわ
…そうよね…彼奴らは鬼の面…普通のお面のふりをして此処に生きてる人を利用しかねないものね
という訳で見つけたら即座に切り捨てるか泰河叔父様の鬼の手で握りつぶす
「本来僕はこういう暴力的なのは得意じゃないんだけどね?」
後はお宿とか色々楽しんだりするわよ!
…楽しんでいいのかしら…?
「いいんだよ?そういうメリハリは大事だよ剣ちゃん(あっはっはっ」
粛慎・娘
終わった終わった。楽しかったなぁ。
えっと……後は一泊して様子を見ればいいんだったよね?
とりあえず村の周辺をブラブラと回ろうかなぁ。
今回の騒動には関与せず後で悪事を起こそうとしている意地の悪い妖が潜んでいるかもだしね。
まあ、僕としては斬れるのが残っていてくれると嬉しいんだけど。
なんにもいなかったらそのまま村の中をぶらついて時間を潰せばいいし、何かいたらそのときは【肉斬骨断】で斬って捨てればいっか。さっきの土蜘蛛程のは出てこないだろうし、そういうのなら一刀で御仕舞でしょ。
しかっし、余所から猟兵って人達が来て楽しくなってきそうだなぁ。いろんなものを斬りに行けそうだね。
鳳獣寺・棗子
一先ず事件は無事解決。
とはいえ、討ち漏らしが無いかの確認は必要ですね。
一見人間っぽい見た目の式神に担がせた「六獣武威」に乗って周囲を巡ったり、「遊歴吟鴉」を飛ばしての周辺哨戒等で生き残りが居ないか調査致しましょう。
庶民の皆様には、物見遊山の平安貴族と見られるでしょうか。それはそれで構いませんけれども。
日が傾いてきましたら、目に留まった庶民のお宅にて一泊を。
勿論、お礼は致しますとも。
こうして庶民の方々の暮らしに触れるのは、あまり無い経験でありますしね。
――ええ。
願わくば、彼らが真実に触れる機会無きまま、全ての解決に至れますことを――。
「……勝てた」
話は少し前へと遡る。それは、土蜘蛛女御との決着がついた直後。
「お疲れ様剣ちゃん♪これで救われたけどまだ残ってる妖がいるかもしれないから調査だけはしておこうね?」
ポツリ漏らした禰宜・剣(銀雷閃・f42842)を労いつつも|使役鬼《羅刹『泰河』》は釘を刺し。
「……わかったわ泰河叔父様。これも平安貴族の役目よね!」
すぐに剣がこれへ応じていた頃、鳳獣寺・棗子(獣鬼の陰陽師・f42827)はじっと土蜘蛛女御の倒れた場所へ目を向けていた。
「一先ず事件は無事解決」
妖の裂け目から出てきた鬼面の群れを率いていた妖も討たれた。棗子の言うところに偽りはなく。
「終わった終わった。楽しかったなぁ」
余韻に浸るように戦いのことを思い出しているのは、粛慎・娘(剣豪鬼道衆・f42823)。見上げた空には鬼面一つとして存在せず。
「とはいえ、討ち漏らしが無いかの確認は必要ですね」
一見人間っぽい見た目の式神を六体呼び出すとこれに担がせた輿へ乗って棗子はその場を離れ。
「あ。えっと……後は一泊して様子を見ればいいんだったよね?」
そんな棗子の様子を見てこの後為すべきことを思い出したのか、娘は周囲をキョロキョロ見回し。
「とりあえず村の周辺をブラブラと回ろうかなぁ」
他者に倣うという訳ではないだろうが、娘は娘で歩き出す。
(今回の騒動には関与せず後で悪事を起こそうとしている意地の悪い妖が潜んでいるかもだしね)
一泊くらいはしていった方がいいかもしれないとグリモア猟兵も言っていたのだ。
「まあ、僕としては斬れるのが残っていてくれると嬉しいんだけど」
滞在する猟兵は複数、現れても別の誰かが対処してしまうこともあるかもしれないものの。
(なんにもいなかったらそのまま村の中をぶらついて時間を潰せばいいし――)
何かいたらそのときは直刀「雪明」で斬って捨てるつもりで散歩を始め。
「しかっし、余所から猟兵って人達が来て楽しくなってきそうだなぁ。いろんなものを斬りに行けそうだね」
歩きながら娘が口元に微笑を浮かべる一方。
「……そうよね……彼奴らは鬼の面……普通のお面のふりをして此処に生きてる人を利用しかねないものね」
何やら納得した態の剣は、あやしいものがないかと表向き貴族らしく物見遊山にでも来たかのように村の中をうろつきつつ時折あちこちに視線をやって。
「……見つからないわね」
「鬼面との戦いはこちら側の戦力が少し過剰なくらいだったからね」
逃げ隠れする前に全滅させられていたのかもしれないねと泰河がすればなるほどと納得し。
「このようなところで申し訳ありませんが」
「こうして庶民の方々の暮らしに触れるのは、あまり無い経験でありますし」
やがて日も傾き出せば猟兵たちは村に一泊することとなる。恐縮する村人に棗子はお気になさらずと首を横に振り。
「……楽しんでいいのかしら……?」
同刻、別の場所で剣は困惑の中に居た。村人らのもてなしの膳を前に箸は止まったまま。
「いいんだよ? そういうメリハリは大事だよ剣ちゃん」
結局鬼の面が潜むところも見つからず、ただ遊んで夜を迎えようとすることに思うところがあるのかもしれないが、これへ陽気に笑って泰河は助言し。
「そう、そうなのね」
ようやく料理へ手をつける剣へ泰河が無言で頷く。そうして始まる夕餉の時にも異変はなく、やがて夜のとばりは降りて、村人らも就寝する頃。
「願わくば、彼らが真実に触れる機会無きまま、全ての解決に至れますことを――」
体を横たえつつ鴉の式神のを傍らにええと頷いた棗子は夜風の音を聞きつつ手を組んだのだった。
大成功
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