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復讐の代償は甘く滲む

#ケルベロスディバイド #原罪蛇メデューサ

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#原罪蛇メデューサ


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 暗い部屋に男が1人。
 蹲り、暗い感情に身を任せている。
 自ら掻き毟ったのか髪はボサボサになっており、作った握り拳は力無く床に叩きつけられるだけ。

「許さない…アイツだけは絶対に…許せない…!」

 ただ、一つの写真を前に何の力もない言葉をただ繰り返すだけ。
 自分の大切な…妹の写真を強く胸に抱きしめながら。

 しかしその負の感情は、呼び寄せてはいけないモノを呼んでしまう。

「ネェ、殺シたいヒトがいルの?」

 甘く蕩けるような、優しい囁き。それはノイズがかかったように男の頭に響く。

「ナら、ワタシが手伝っテあゲルよ。」

 それは、負の感情に染まったモノを誘う悪魔の囁き。

「聞キたいンでショ?ソイつガ苦しんデ死ぬ声ガ。」
「取り戻しタイんでショ?そイツに奪わレた日常ヲ。」

 頭が痛い。割れそうだ。呪うほどに目に焼き付けた存在を、それでも目を逸らし続けてきた日々。
 今更?いや、そうじゃない。俺のこの気持ちは弱まることも翳ることもなかった。

「ぁ…あぁ……取り…戻す……。」

 遂に、応えてしまった。応えるべきではなかった。
 囁く悪魔はニヤリと笑みを深める。

「深い、深イ、森ノ中。私タチの祭壇でナら、ソれが出来るワ。」

 超えてはならない一線を──。

「…わかった。」

 男はフラフラと立ち上がり、扉に手を掛ける。

「サぁ、サァ、こっチだヨ?早クおいデ?」

 男を呼ぶ声は、嗤っていた。



「新しい事件を予知しました。」

 希雪(呪いの克服者・f41587)はいつものように猟兵たちに声をかける。

「今回、事件が発生した世界はケルベロスディバイド。いくつかのデウスエクスを討伐することになります。」

 今日の希雪は珍しく、純白の翼を展開している。

「ただ…少し厄介なことになっているので…早速説明を始めますね。」

 静かに目を閉じ、予知した未来を話しだす。

「1人の男性…恐らく特別強力な力を持たない一般人でしょう。彼は、何らかの理由で強く誰かを恨んでいます。それこそ、殺してしまいたいほどに。」

 ほんの少し、声質が変わる。低く、冷たく、その心は何を思っているのだろうか。

「その結果…その負の感情を利用され、デウスエクスの栄養となってしまう…。それも、十二剣神の一柱、原罪蛇メデューサの。今回は、それを食い止めてください。」

 少し強い風が吹き、希雪の翼が靡く。

「事件が進行する[負のパワースポット]では何体かのデウスエクスが集まっています。男性を止めるためには、出来るだけ早くデウスエクスを撃退し、森林の奥へと進んでください。」

 風にあおられ、純白の羽毛が一枚、ひらひらと舞う。

「出現するデウスエクスは精神攻撃と行動阻害を主に使用します。対策を怠らなければ厳しい敵ではありません。」

 少し息をつき、話しかけた口が一瞬留まる。話すのを躊躇しているかのように。

「…それらを撃退すると、フラフラと祭壇に歩く男性が見えてきます。しかし、それと同時に一際強いデウスエクスも…。彼を守りながら撃退をお願いします。」

 脳内に一瞬だけ溢れた凄惨な映像を振り払うように軽く頭を横に振る。

「彼の感情、思想は良いものとは言えませんが…それでも、デウスエクスに殺されていいというわけでは断じてありません。」

 ここでようやく、希雪は静かに目を開く。

「グリモア猟兵として直接動けない私の代わりに、お願いします。どうか、未来に起こる惨劇を…」

 希雪はそれだけ言って振り返り、軽く両手を体の前で合わせる。
 あたりには白く濃い霧が立ち込め、その向こうに見えるのは──濃い緑色。

「門を開きました。行き先はケルベロスディバイド。どうか、ご武運を…」


カスミ
 4作目です!ある程度はできるようになってきた気がします!

 ということで今回のシナリオについて説明を行います!

 全体を通しては、「デウスエクスに唆された男を追いかけ、[負のパワースポット]に集まるデウスエクスを撃破し、ボスのデウスエクスを撃破し、男を守りながら脱出する」です!

●第一章
「負のパワースポット周辺に集まる下級デウスエクスを討伐しろ!」
 プレイングボーナス:できるだけ早く討伐する。

●第二章
「男に追いついた!男が殺される前に、ボスのデウスエクスを倒せ!」
 プレイングボーナス:男を守る、もしくは、デウスエクスのヘイトを引き付ける。

●第三章
「デウスエクスは大体倒した!この場所から男を連れて無事に脱出しよう!」
 プレイングボーナス:特になし。
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第1章 集団戦 『フィールナッシング』

POW   :    無感の鍵
戦場にレベル×5本の【心を抉る鍵】が降り注ぎ、敵味方の区別無く、より【モザイクの面積が少ない】対象を優先して攻撃する。
SPD   :    無感の枷
【モザイク塊】を放つ。他のユーベルコードと同時に使用でき、【接触部位の感覚を喪失させるモザイクの】効果によってその成功率を高める。
WIZ   :    無感の霧
【全身】から【モザイクの霧】を放ち、【五感の喪失】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:すずや

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ヴィルフレッド・マルシェルベ
…追い込まれた一般人がデウスエクスに利用されることはよくある事。この世界では普通の事
よくある事だから見逃すわけにはいかない。早急に対処しないとだな


森にいる敵の撃破も早め早めにだな
制圧射撃よろしく殲滅も良いけど…ここは急がば回れ、油断している所を一網打尽と行こうか

物陰に隠れながら敵に気付かれない様に近づいたらUCを発動。手榴弾を投げ込み敵陣営を混乱させる
パニックになればこっちのもん。後は慌てふためく奴を一体いったいスナイプして仕留めていくぞ



日中であるというのに、まるで夜であると錯覚するほど暗い森の中。
「負のパワースポット」と呼ばれる場所が近くにあるが故に、そこには人ならざるモノ達が蠢く。
またはそうではなく、このような場所だからこそ人ならざるモノ達が集まり、「負のパワースポット」と呼ばれるまでの瘴気を溜めているのかもしれないが。

そんな暗闇の中、ヴィルフレッド(路地裏のガンスリンガー・f40877)は暗闇からも隠れるように、気配を殺して唯一点を見つめている。


…追い込まれた一般人がデウスエクスに利用されるのはよくある事。


そう。この世界は、他の世界とはまた違う摂理で動いているからこそ、デウスエクスは人間を狩る。
人間の持つグラビティ・チェインがないとその存在を保つことができないから。
でも──


普通の事、よくある事。…だから見逃すわけにはいかない。早急に対処をしないとだな。


この世界は紙一重とも言える拮抗の上に成り立つ世界。僅かな綻びで滅びかねない危険な世界。
それに今回の事件の裏にいるのは──

射殺すような鋭い視線の先、そこには何体かのデウスエクス。
倒すべき敵。頭の中に幾つかのプランが浮かぶ。

「制圧射撃よろしく殲滅も良いけど…ここは急がば回れ、油断しているところを一網打尽と行こうか。」

今回の最終的な目的は目の前のデウスエクスではない。
それを果たすためにはできるだけ急ぐ必要がある。

さらに、息を潜める。
選択したプランは奇襲。

悟られる事なく接近──うまくいった。この位置なら、アレが届く。

懐から取り出したのは、一つの手榴弾。果物のような見た目をしているが、この奇襲にはうってつけの武器。

「果物は好きか?しっかり味わってくれよ──」

敵が密集している場所に投げ込む。
敵が気付き、対処しようとするが──もう遅い

パン、という軽い破裂音が響く。投げたそれは物理的な破壊を齎すモノではない。
だが──

キャアアアアア!!

一瞬にして、悲鳴と混乱が満ちる。
先ほど投げたものは、範囲に難があるものの、付近の敵の視覚を奪い、激痛を与える。一時的に無力化するだけならば一番手っ取り早い一手。

「パニックになってくれたらこっちのもん、だな。」

あとは冷静に処理するだけ。
手にしたライフルを静かに構え、一体一体丁寧に撃ち抜いていく。
一度引き金を引けば、一体が地に倒れ込む。
倒せたわけではない。本質的にデウスエクスはそう簡単に倒せるようなものではない。
しかし、一時的な撃滅ならば可能だ。そのことを知っているから、迷いなくただ処理を行なっていく。

「これで、付近の敵は片付いたか。でもまだいくつか反応がある。」

自らそれを潰しに行くこともできるが…それをすると多少なりとも時間がかかる。
安全策をとっているうちに手遅れになりました、なんて論外だ。

「そっちは他の猟兵に任せて、男を追おう。」

闇に溶け込むように、気配を殺して先へ進んていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エミリィ・ジゼル
なるほど、できるだけ早く現場に向かう必要がありそうですね。
では最速で事を成しましょう。

具体的にはUC【轢き殺すサメイドの術】を用いて、飛ぶ竜巻をまとったサメで現場に急行します。
そして移動と攻撃を兼ねたこのUCでもって、目的地に向かう道すがら、デウスエクスどもを轢き殺していきます。

デウスエクスどもは心を抉る鍵を降らしてくるようですが、構うことはありません。
サメのまとった竜巻で心を抉る鍵をはじき返しつつ、発見次第、次々と轢き殺していきます。
あらかた轢殺が済んだらそのまま奥へと向かいましょう。

「デウスエクスはいくら轢いても自賠責にならないからいいですよね」



暗い森の中、顎に手を当てつつ今回の依頼について考えながらエミリィ(かじできないさん・f01678)はゆっくりと歩いていく。

今回の依頼─デウスエクスに誑かされた一般人を追い、デウスエクスを撃滅する─は一般人が「負のパワースポット」にある祭壇にたどり着くまでにことを済ませなければならないらしい。
この事件の背後には十二剣神である「原罪蛇メデューサ」がいるらしいが…
今回の事件に直接出てくることはなさそうなので、やることはいつもと変わらない。

「なるほど、できるだけ早く現場に向かう必要がありそうですね。」

表情ひとつ変えずに、それは至極当然であるように、行動を開始する。
それが側から見たらある種異様な光景であったとしても。

「では、最速で事を成しましょう。」

どこからともなく、竜巻を纏ったサメが現れる。
エミリィは現れたサメに騎乗し、それは大きな竜巻となって、森の木々をざわめかせていく。

なぜ森に?
なぜサメが?
なぜそれで移動できている?

そんなことは彼女には関係ない。それができる猟兵としての力があり、それをしようとすることができる発想がある。それを異質なものと思っていない精神がある。

たとえその行動によって土が剥がれ木が舞おうが、デウスエクスが轢き殺されようが、あまり深く考えるべきものではないと、エミリィは思っている。

【轢き殺すサメイドの術】──このサメは自身の力で召喚した騎乗用のサメ。
竜巻を纏い高速で移動することができる。
飛ぶこともできるのだが、敢えて地面スレスレを高速移動していく。

森をまっすぐに進む竜巻は、やがて少数のデウスエクスが集まっている場所に到達する。

派手な破壊を撒き散らす竜巻はとても目立つものだが…もしそれを見られていたとして、止まることはない。
現に今、“心を抉る鍵“での攻撃が飛来してきたものの…その攻撃はサメの竜巻を突破することはできなかったようだ。
無情にも攻撃が弾かれ、不運にも捕捉されてしまったデウスエクスは、抵抗虚しく轢殺されてしまった。

「デウスエクスはいくら轢いても自賠責にならないからいいですよね。」

残るデウスエクスもさっさと轢殺してしまおうと、サメを操作する。
大体音速の10倍程で飛来するサメと、それに伴い被害をまき散らす竜巻はデウスエクスを確実に一体ずつ轢殺していく。
それがどれだけ異様な風景だったとしても、エミリィは(比較的)至って真面目に轢殺を続けていく。

「これで最後でしょうか?早かったですね。先に急ぎましょう。」

───

破壊を撒き散らす一人と一匹は暗い森の奥に突き進む。
目の前に、少し開けた景色が飛び込んでくる。

それは、祭壇。

灰色と黒を基調に紫で装飾された、とても禍々しい祭壇なのだが…そこに二つの人影があった。

その片方は、情報にあった男だろう。不健康そうな細い体付きで、ふらふらと移動しているのが見える。

そして、もう片方は─デウスエクス。
それも、先ほど轢き殺したデウスエクスと比べてもかなり強い力を持っていることが見ただけでわかる。

デウスエクスと、目が合う。
片方が蝶の羽のようなもので覆われ、もう片方の目には愉悦の感情が染み込んでいた。

フフフフフ、とどこからともなく笑い声が聞こえてくる──

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳳凰院・ひりょ
まずはこの場に集まってくる奴らを迅速に討伐する必要があるのか

モザイクの霧を喰らうと、大幅な時間ロスにもなる
遠距離からの攻撃で一気に仕留める、戦法が良さそうか

UCにて盾受け用の太刀を1、投擲用の太刀を2、それぞれ生成
盾受け用には結界術を掛け、霧を遮断する防御結界を展開
霧を展開させない事が最善だが、万一の時にはこの結界に頼る事にする

投擲用の太刀は破魔の力を付与
念動力で太刀を遠隔操作し、投擲と回収を行う
イメージとしてはブーメランか
敵に察知される前に、遠距離からの狙撃による暗殺を試みる
多数の敵との交戦となった際は、二投目の太刀を続けて投擲

霧は敵の体から放たれるらしいから、霧の中心をなぎ払うよう切り裂く



ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)は深い森の中を慎重に歩きながら、思考を重ねる。
風も吹かない鬱蒼とした森の中、木の葉の敷かれた土の上を歩くたびにカサ、カサ、と小さな音が聞こえる。それだけ、周りから音がしないということ。

「まずはこの場に集まってくる奴らを迅速に討伐する必要があるのか…」

今回の依頼はケルベロスディバイドの森の中、誑かされて利用されそうな一般人を救い、誑かしたデウスエクスを撃退すること。
ここ、「負のパワースポット」周辺ではデウスエクスが群れで生息する危険な場所。そんな場所に一般人が単独で迷い込んだなら──自力での脱出など不可能。
なるべく迅速に事を済ませる必要がある──と考えたところで、気配を感じる。

木々の間から薄ら見える。少し先、2体のデウスエクス。
その体はぼやけ、輪郭がはっきりしない。まるでモザイクがかかったかのように、詳細な状態がわからない。
情報にあったデウスエクス──

心と表情をもう一段引き締め、対処にあたる。幸運なことに、まだこちらを捕捉していないようだ。

拳に力が籠る。その手のひらに握られているものは、小さな刀。
目を閉じ、意志を込め、心の中で言葉を唱える。

『精霊王よ、俺に力を貸してくれ!明日への希望を見出すために!』

それは自分の意思の表れとなり──二振りの太刀を生み出す。
片方は幅の広い大太刀。もう片方は、反りのなく鋭い直刀。

大太刀には結界術を掛ける。堅実に敵の攻撃に対処するための一振りへ。
そして直刀には魔を打ち破る聖者としての破魔の力。確固たる意思で敵を貫く一振りへ。

準備は終わった。──静かな戦闘の時間が始まる。

ビュン、と投げられた直刀が、風の無い空間を切り裂きながら真っ直ぐにデウスエクスの方へと向かう。
そして、体の中心を貫かれ、その場に音も無く倒れた。

異変を察知したデウスエクスは、まだ姿を表さぬ狙撃手を警戒し、濃いモザイクの霧を全方向へと放つ。
狙撃への対策としてこれで姿を隠し敵の位置を探る──はずだった。
この戦法の弱点。霧発生時の特徴的な一点。
霧はデウスエクスの体から放たれる──

なら、狙える。
たとえ敵の姿を目視できなくとも。

ひりょの手には先程投げたはずの直刀。
念動力を用いブーメランのような要領で回収していた直刀が、もう一度その力を発揮する──!

木々をすり抜け、木の葉を斬り抜け、モザイクの霧を薙ぎ払い、霧の中心へ──!!

寸分狂わぬその狙撃は、音も出さずにデウスエクスの中心を貫いた。

木の葉に倒れ込む音が静かに鳴る。立ち込めていたモザイクの霧はだんだんと薄くなり、消えていく。
しかし、デウスエクスを殺すことはできていない。それは本質的に不可能だ。
だが、致命傷を与えればしばらく還すことはできる。

「時間ロスは抑えられたか。先へ急ごう。」

周囲を警戒しつつ深い森の中へと進んでいく──


目の前に、少し開けた空間が現れる。

そこにある、祭壇─そう形容すべきそれは、灰色と黒が大部分を占め、毒々しい紫が装飾として彩っている、禍々しい美を感じるモノだ。

そして、フラフラと虚な表情で歩みを進める痩せぎすの男と、その先に立っている──デウスエクスを発見する。

「フフフ…嬉シいワ、上質な贄ガこンナにモ……」

隠密行動をとっているというのに、そのデウスエクスとは既に目が合っていた。

フフフフフ、とノイズが混じった笑い声が静かに響く──

大成功 🔵​🔵​🔵​

真波・祭
人一人からグラビティチェインとかいうのを奪うために随分と大仰なことよね。
デウスエクスだっけ? これだけの人数が来ていたら、むしろ赤字なんじゃない?

それともこれから黒字を目指して頑張るつもり?
だったらお生憎様。貴方達の企みは今日ここでお終い。
みんな仲良く宇宙に帰してあげる。

サンオーラを展開。
炎の剣を持ち、炎の翼を生やし、炎の衣を身に纏う。

一人たりとも逃がさないわ。
貴方達のグラビティチェイン、全部、この|地球《ほし》に置いていくのね。

敵を逃がさないように炎の壁で取り囲む。
敵の動きを先読みし、光の速さでヒットアンドアウェイ。
遠間の敵には火の弾を放ち、近場の敵は炎の剣で斬り捨てる!



深く暗い森の中…には似合わない、明るい雰囲気を纏う女性、祭(白炎のエアライダー・f42349)はそのまま軽い足取りで木の葉の絨毯が敷かれた不気味な獣道を歩いていく。

今回の依頼─デウスエクスに誑かされた人物を救出し、誑かしたデウスエクスを撃退する─について考えながら、予知にあった情報をもう一度確認していく。

「それにしても、人一人からグラビティチェインとかいうのを奪うために随分と大仰なことよね。」

ケルベロスディバイドは絶えない襲撃の世界。デウスエクスはグラビティチェインが無ければ存在できず、しかしそれを自ら作り出すことはできない。
故に、この星にいる人間を襲う──

「デウスエクス、だっけ?これだけの人数が来ていたら、むしろ赤字なんじゃない?」

何かグラビティチェイン以外の目的があるのか、それとも──

森を歩いてしばらくした後…ついにその瞳が木々の奥にいるデウスエクスを映し出す。
数は4、情報にあった種類の敵。対処方法はわかっている。
降り注ぐ鍵、モザイクの塊、そしてモザイクの霧。
運の良いことに、デウスエクス達は祭に気づいていない。

なら──

「グラビティチェインを奪うって話だったけど、これから黒字を目指して頑張るつもり?
 だったらお生憎様。貴方達の企みは今日ここでお終い。」

みんな仲良く宇宙に帰してあげる──!

太陽のように奔り出るオーラが手に、背中に、そして全身を覆う。
それは揺らめく炎を象徴したかのように、そして輝きを放つ太陽を象徴したかのように、その姿を完成させてゆく。
手には、赤く揺らめく灼熱の剣を。
背には、輝きを放つ紅蓮の翼を。
そしてその身には、陽光のように優しく包み込む金赤色の衣を。

一人たりとも逃さない。そんな意志を込め、燃え滾る装備に身を包み、いつでも飛び込めるように構える。
その姿は完成された美。しかしてどの一瞬を切り取っても同じものなど存在しない陽炎のような──

姿がブレるように消える。光の速さに匹敵する超高速移動。
まるで瞬間移動のようにデウスエクスの一体に肉薄し、その炎の剣を横に薙いだ。

貴方達のグラビティチェイン、全部、この|地球《ほし》に置いていくのね──

崩れ落ちる一体のデウスエクス。異常を感知した他のデウスエクスが臨戦体制に入るも、遅すぎた。

敵を取り囲む揺れ動く灼熱の壁。純粋な高温の炎でできたそれは祭とデウスエクスを囲み逃げ道を全て潰す。

直後、地上に降り注ぐ鍵。
数にして数百は下らないそれらは、ただ一人にだけ向けられる。
その脅威が、祭に牙を向く──

だが、それは祭に当たることはない。
その瞳──祭の一族に伝わる【|天眼《テンガン》】にて全ての攻撃は把握済み。
祭を狙い一点に集中させた攻撃は、避けてさえしまえば大きな隙となる。

「私達の邪魔をするなら、全員まとめて…燃えなさい!!」

流れるような一閃。
たったの一閃にて残る3体のデウスエクスを切り捨てた。

「ふぅ、こんなもんかしらね。」

燃え広がる火はとりあえず置いておいて、森の先へと急ぐ。

目の前に、少し開けた空間が現れる。

そこにあるのは、禍々しい祭壇。
灰色と黒、そして紫で構成された、いかにもといった祭壇は、禍々しい美を感じさせる。

そして、祭は発見する。
フラフラと虚な表情で歩みを進める男──救出対象と、その先に立つ異形の人型、デウスエクス。

「ヨく来タワね、ワタシたチノ祭壇に。何モ出セなイけレド、歓迎スルわヨ」

もちろん、額面通りの意味である訳が無い。そんなことは祭自身よくわかっている。
誘いに乗らない祭を前に、これは意味が無いと悟ったのだろうか。

フフフフフ、とノイズが混じった笑い声が静かに響き渡る──

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ネルガルスの歌い手』

POW   :    ろう ろう ねるがるす
【攻性植物の蔦や根】を最大でレベルmまで伸ばして対象1体を捕縛し、【狂気】による汚染を与え続ける。
SPD   :    ねるがるす りむがんと なうぐりふ
【意味不明な歌らしき言葉によって開いた空間】からレベル×1個の【蠢く肉で形成された脳球】を召喚する。[蠢く肉で形成された脳球]に触れた対象は【正気喪失】の状態異常を受ける。
WIZ   :    ねるがるす ねるがるす ねるがるす
【口】から、戦場全体に「敵味方を識別する【意味不明な歌らしき言葉】」を放ち、ダメージと【正気喪失】の状態異常を与える。

イラスト:すずや

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はクローネ・マックローネです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


フフフフフ、フフフフフ、フフフフフ──

何が楽しいのか、デウスエクスは嗤う。

「アぁ、アァ、ドうシヨうモナく嬉シいワ。

 私たチの主人様ヘ、グラビティチェインを、ドリームエナジーヲ、捧ゲルことガデキるノでスモのネ。」

嗤い声は反響し、伝播し、響き渡ってゆく。
それと同時に、デウスエクスの周囲に与える反応がだんだんと大きくなってゆく。

「サぁ、儀式ヲ始メまショ?」

急激に威圧感が大きくなる。

それに、今回は倒すだけではダメだ。
今もフラフラと祭壇の中央へと歩みを進める男を止め、戦闘の余波から守利ながら、だ。
だが、未来へと歩む猟兵ならば──

『ネルガルスの歌い手』戦闘開始──!
エミリィ・ジゼル
「その儀式、ちょっと待ったー!」

現場に到着したらUCを用いて速攻を仕掛け、ヘイトをこちらに集めることで男性から攻撃を反らしましょう。

具体的にはUCを用いてかじできないさんズを召喚。
デウスエクスを取り囲み、ボコボコにすることで、そちらにヘイトを集中させます。

相手のUCは単体攻撃。数の【暴力】を生かしたかじできないさんズの【集団戦術】で数的有利を取るっていうすんぽーです。

かじできないさんズが攻撃を行っている間、本体であるわたくしが男性を確保。
万が一、こちらに攻撃をしてくる場合は【第六感】で攻撃を【見切り】、男性に被害が及ばないように防ぎます。



重い雰囲気が辺りに漂う。
行われようとしているのは人の命を犠牲に二種のエネルギーを奪い取る禁断の儀式。
この世界に住まう者の必須エネルギー「グラビティ・チェイン」
欲望と渇望によって得られるエネルギー「ドリームエナジー」

この儀式を許してしまうと、取り返しのつかないことになる──

「その儀式、ちょっと待ったー!!」

暗く重い空気を切り裂くようにエミリィ(かじできないさん・f01678)が大声をあげて駆け出す。

いや、それは一人ではなく……

いつの間に現れたのか、小規模の集団が3つ、エミリィと同じように雄叫びをあげながらその手に持つやたら殺傷力の高そうな獲物で攻撃を始める。

『おらぁ!』
『囲め囲め!』
『全部ぶっ壊す!』
『数でボコるのがケルベロスの流儀よ!』

チェーンソー剣でギャリギャリと攻撃を加える者達。
エクスカリバールで脳天に打撃を叩き込む者達。
そして、異様に良い手際で大量に爆弾をセットした。

『総員、離れろーー!!』

ババババババーーーン!!!!!

『思い知ったか!』
『これがかじできないさんズの実力よ!』

一見纏まりの無い行動だが、その実集団行動として非常に効率的な動きは「ネルガルスの歌い手」の行動を阻害し、効果的なダメージを与えるに至る。

「あラアら、不快ナ贄どモネ。私ハどうナッてモ良いノダけレド、祭壇ヲ壊さレるノハ困ルわネ。」

若干の不快感を露わにするデウスエクスに、再びかじできないさんズは群がっていく。

多数の「かじできないさんズ」で囲んで数の暴力を押し付ける──それは極めて原始的なやり方だ。
しかし、そこには、敵のUCが単体攻撃であることを生かした高度な知略があった──のかもしれない。

一方その頃、攻撃に参加しなかったエミリィは、フラフラとデウスエクスの方へ歩みを進める男性に近づき、掴んで強引に距離を取らせる。
男性はそれでもうわごとのようにぶつぶつと呟くのみで、抵抗もしない。
完全に正気を失っているというわけでもなさそうだが、もうすでに壊れかけのようだ。

「大丈夫ですか!」

「……俺の…………妹が……のために……殺さ………恨みを………晴らせ………」

「これは…やはり──」

敵のデウスエクスの能力は正気を奪うことに特化している。
恐らくこの男性もその影響を受けているのだろう。
ならば──その影響は原因を絶てば消えるはず。
完全に壊れて取り返しのつかない事態になる前に──

今はかじできないさんズに攻撃を任せている。
なら、万が一こちらに攻撃をしてくる場合に備えて、守れるように男性の近くに待機する。
確実で堅実な一手。

「おっと、早速ですか。」

突然、地面から急速に伸びる蔦を、手にしたやたら頑丈なバットで叩き潰す。
デウスエクスからしても、どうしてもこの儀式を成功させたいようだ。

戦場に轟く怒声と爆発音はもうしばらく続く──

大成功 🔵​🔵​🔵​

鳳凰院・ひりょ
くっ、敵の攻撃はこの辺り一帯に及びそうだな
彼の身を守る術を急ぎ構築しなければ!

光と闇の疑似精霊の力を借りるか!
光の波動で護衛対象を巻き込むように回復領域を形成
回復効果に精神攻撃への耐性上昇も上乗せしておこう
それでも一般人には厳しいだろうから、追加で彼の周囲へ護符による結界を形成

結界外からの影響を軽減するよう尽力

ここからは反撃だ!
闇の波動で敵へ攻撃を仕掛ける
波動にマヒ攻撃を付与し乱れ撃ちによる連続攻撃を仕掛け、少しでも敵の行動を阻害試み
注意を引き付ける事にも繋がれば…

敵の行動を阻害している間に、全魔力を注ぎ込み終わった護符から浄化と破魔の力を纏った鎌鼬を敵へと放つ!
鎌鼬よ敵を切り刻めっ!



暗く禍々しい祭壇の上
不気味に佇む「ネルガルスの歌い手」と、半ば正気を失いつつフラフラと祭壇へ歩く男。
その光景を見てひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)は焦りつつも行動を開始する。

「くっ、敵の攻撃はこの辺り一帯に及びそうだな。彼の身を守る術を急ぎ構築しなければ!」

強大な敵デウスエクスから、何の力を持たない、いや、弱っているとさえ言える一般人を守り抜くにはどうするか。
猟兵として持っている自らの力、それだけでは足りないだろう。
ではどうするか、ひりょの導き出した答え、それは──

「光と闇の擬似精霊、力を貸してくれ!」

【|絶対死守の誓い《ヒカリトヤミノシエン》】──それは加護、浄化、回復などを司る光の擬似精霊、消滅、呪い、弱体などを司る闇の擬似精霊、彼らの力を借りるユーベルコード。

ひりょの左手に、自身のものとは異なる強い光のオーラが集まっていく。
それは淡く光り、神々しさすらも感じる。
手を掲げると、そこから強い光が溢れ出す。それは自身を含めた猟兵達と、護衛対象である男を包み込み、優しい光の波動で満たしていく。
込めた効果は回復と、精神防御。

これでもまだ安心とは言い切れない。
猟兵のためのサポートなら十分すぎる出来だが、今回は過保護なくらいが丁度いいだろう。

光の波動に加えて、結界を張る。
自らの護符を利用した、外部からの影響を遮断するための結界。
攻撃が激しい場合、長くは持たないが……今回はデウスエクスからしても儀式を行う必要がある以上、すぐに殺したいわけでも無いだろう。

男を守るための準備は終わった。
ここからは反撃の時間だ!

ひりょの右手に、これまた自身のものと異なる深い闇のオーラが集まっていく。
暗い森よりもさらに暗い光。存在からして闇、というわけではないデウスエクスにとっては十分脅威になり得る力。

もう既に突撃している他の猟兵の集団に合わせて、闇の波動を放つ。
拡散と収束、分裂と統合を繰り返し動きを悟らせることなく波動はデウスエクスへと注がれる。
込めた効果は|状態異常《麻痺》。
敵の動きが一瞬鈍る。麻痺の効き目は薄いようだが、波動によるダメージと、注意を引くことによるサポートができれば十分だ。

だが、一方的な展開にはならない。
こちらは猟兵で、あちらはデウスエクス。
それぞれの目的はあれど、互いが互いを敵と定めるに不足ないのだから。

ネルガルスの歌い手の口から、凶声が響き渡る。
それは歌のようで、しかしその意味はわからない。わかりたくもないほどに冒涜的な内容だということは想像がつくのだが。
聞いただけで、いや、耳に入らずともそう認識し狂音波に包まれただけで、精神に作用する歌など──

「くっ、これほどとは…」

呼び覚まされる深く強い感情。精霊の加護があってこれなのだから、備えてなかった時のことなど考えたくもない。
恐怖、渇望、哀感、喜悦──人間に近い考え方をする生物なら誰しもが持つ、そして誰しもが無意識に抑圧している数多の感情。その奔流が脳を貫く──

歌い手は嗤う。このまま押し切れることを確信して。
人間が持つ感情という内なる力は、猟兵にとっては武器であり原動力だ。それを逆に利用した攻撃なんて、耐えられるはずがないと。
尚も放たれる歌は、猟兵達の精神をさらに蝕む──

しかし、デウスエクスは一つ、勘違いをしている。
そのくらいのことで完全に正気を失う者は、最初からここになどいるはずがないのだから。
感情の奔流を抑えるのもまた感情だ。

一歩、前へと土を踏み締める。
その手には、一枚の護符。

「お前が歌ってる間に、こっちの準備は終わらせた!」

その護符には既に全魔力が注ぎ込まれている。
浄化と破魔の力を──!

あとは、撃つだけだ。

「鎌鼬よ!敵を、切り刻めッ!!」

空を斬り裂く鎌鼬は真っ直ぐにデウスエクスへと飛び──その右腕と脇腹を切り裂いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィルフレッド・マルシェルベ
頑張ってグラビティチェインをゲットして外への仕送りしようとしてるけど、俺たちが来たからには無理だから諦めてくれ

敵の攻撃に触れると発狂するのなら、こいつの力を借りようか
バレットタイム発動
構えている間は時間がゆっくりになる。男性の首根っこを掴み、威嚇射撃しながら敵からの距離を取る。適当に距離ある所に放置して、再び接近する
攻撃の数は多いけどこの位なら俺でも見切って回避し、隙をついてクイックドロウで攻撃だ



ヴィルフレッド(路地裏のガンスリンガー・f40877)は激化する戦場にて、冷静に敵の姿と戦場を観察する。
他の猟兵の攻撃により右腕が半ばから無い。それと全身に浅い傷と火傷が多数。
護衛対象の男性は結界と光の波動に包まれ、近くには他の猟兵が備えている。もうこちらで自分がすべきことは無いだろう。
これはオレも何か仕事をしなくてはな、と策を練る。

ただ、敵の持つ|強力な攻撃《ユーベルコード》は「歌う」ことによる攻撃、蔦や根による中距離での攻撃、悍ましい脳球を召喚する攻撃の三つ。どれもが強く精神を刺激する攻撃であるが故に、被弾することはできるだけ避けるべきだ。少なくとも、何の対処も無しに喰らうとかえって味方の足を引っ張る結果となるだろう。

なら──こいつの力を借りようか。

【バレットタイム】──リボルバー銃を構えている間、自分の知覚と思考を100倍以上に引き伸ばすユーベルコード──

一切のブレもなくリボルバー銃を構える。その銃口は常に敵に向けられていて、極度の集中と共に、敵の攻撃に対処する。

敵の攻撃が、時の流れが、まるでスローモーションになったかのようにはっきりと認識できる。

祭壇を伝い、空を縫いながら飛来する蔦と、地を裂き、足元から奇襲をかける根の攻撃。
弾幕の密度は濃く、根の出現位置は正確な予測が困難。
間違いなく強力な攻撃。

しかし、それでも緩やかな時の中で対処する。
避けるスペースなどないかに思われる弾幕は、それでも僅かながらに存在する攻撃の穴に体を捩じ込んで紙一重で避け続けていく。
予測困難な根の奇襲は、最初から予測を諦め見てから対処する。どうしても無理な場合のみ、リボルバー銃を撃ち根を弾く。

100倍以上に引き延ばされた時間の中で、それでも一瞬たりとも思考を休めることなく次の手を打ち続ける。
不安もなく、焦りもなく、十分な危機感と自信を元に。

余裕があるわけではない。
でもそのくらい、|この仕事《猟兵》をやっているとよくある日常でしかない。
だから見つけられる。緻密な攻撃の中にある僅かな隙を。

引き延ばされた時間の中で、迷い無くリボルバーの引き金を引く。
乾いた発砲音、そして一瞬置いて微かに響く小さな呻声。
それは単に植物を撃ち抜いたものではなく、この地獄的な連撃の最中に隙を見出しデウスエクス本体を狙った必中の凶弾が命中したことを示す。
避けられるはずもない必殺の|速射《クイックドロウ》。

「ウッ─、ゴホッ─」

それは確かにデウスエクスの喉元に命中した。これで厄介な「歌」を少しでも封じられるだろう。
ニヤリ、と口角を吊り上げながら勢いを増す蔦と根に対処する。

次はいつ隙ができるのか、敵はこちらを警戒して攻撃の手を強めてきた。
僅かな隙でも見つければ撃つが…もうそれは見つからないかもしれない。
ならそれでもいい。敵が自分を狙うことで、仲間達が楽になるのなら。

地を、空を、舞う。オレはここだ、オレを狙えと主張するように。

大成功 🔵​🔵​🔵​

真波・祭
男の人は仲間が守ってくれている。
私はあいつを倒すことに専念できるけど、できることはやっておかなきゃね。

UCで敵や祭壇だけを燃やし尽くす炎を生成。
男の人に手を出せないように炎の壁を作り出す!
伸ばしてくる蔦や根もみんな燃やしてみせるわ。

さて、ここからが本番。
ベルトから取り出した詠唱銀を齧り、力を補充。

幾つもの炎の弾を生成し、敵に向かって放つ。
敵が対応する間に炎の翼で一気に接近し、炎の剣で敵の四肢を攻撃!

私はどうなってもいい、とか言っていたわね。
自分が死なないと分かっていると随分と気持ちが大きくなるみたい。

死なないなら――
二度とこっちに来たくないと思うような痛みで全身を焼いてあげる!



祭(白炎のエアライダー・f42349)は広く、しかしとても狭く感じる戦場を俯瞰し自分の決意を固めていく。

男の人は心強い仲間が守ってくれている。
私はあいつを倒すことに専念できる──けど、できることはやっておかなくちゃね。

この戦場には大きく分けて二つのポイントがある。

一つは、依頼における護衛対象である男性の保護。
これは他の猟兵達の尽力により果たされつつあるが、僅かな綻びから崩壊しかねない。

一つは、敵デウスエクス本体への対処。
主に考える点は、敵デウスエクスの攻撃を処理し、効率よく攻撃を与えていくこと。

今の戦場に足りていないのは──状況を一発で変えてしまうような大火力の存在。

“これ“ならどっちも達成できるかな?

ニッと笑みを浮かべて、体の前で両手を合わせる。

集中──

それは僅かな時間だったが、集中に伴い閉じた両目を再び開いたその時には、合わせた両手の間に淡い光を帯びた濃い炎が灯っていた。

【業火】と呼ばれるその炎は、指定した対象のみを焼き尽くす。
今回の指定は、「敵」と「祭壇」。
燃え上がる炎は瞬く間に焼き広がり、この戦場全てを包み込むに至る。
高く、高く、木々を突き抜け暗い森を彩る炎はそのまま防壁として、護衛対象を守り抜く炎となる。

「フフフフフ、随分ト派手二やるワねェ」

その言葉に今は言葉を返すこともない。
さて、ここからが本番だ。

ベルトにセットされた弾薬型の何か──詠唱銀を一口齧る。
消費された炎の力が身体中を行き渡るように再び充填される。
準備は完了、あとは攻めるだけ。

祭の周囲に、赤く滾る炎が生まれる。
ボッ……という小さな音と共に。
何重にも。
円を描くように。

そして、それは途切れることなく順番に放たれる。
濃縮された超高温の炎、そして残弾が目に見えるからこその恐ろしさ。
なんせその炎弾の集合体は──まるで地上の太陽とでもいうような光を放ち、纏まって一つの巨大な塊となっているのだから。

しかし敵デウスエクスとて、黙って見ているわけではない。
相性は悪いものの、特殊な炎でなければ一瞬で焼き切られてしまうわけではない。こちらも幾重に蔦と根を重ねて対処する。

「アァ、鬱陶シいワ。やハリ猟兵は邪魔ナ存在デ、ダかラ私たチガ──」

デウスエクスは言葉を紡ぎ、その途中で自らの行動の失敗を悟る。
“|炎を出す猟兵《真波祭》“が居ない──
囮──!なら本体は───!!

炎に紛れるように、赤々と滾る翼をはためかせている祭が、背後に現れるのを感じる。
それは炎を纏った天使のようで──

「私はどうなってもいい、とか言っていたわね。」

その手に輝く炎の剣を振るいながら。

「自分が死なないとわかっていると随分と気持ちが大きくなるみたい。」

右足が、左足が、そして残っている左腕が──焼き斬れる。
デウスエクスの顔が苦痛に歪む。

「死なないなら──」

炎の剣を大上段に構え、炎のような強い意思の宿る瞳で強く睨みつける。
そしてその剣を渾身の力で振り下ろし──

「二度とこっちに来たくないと思うような痛みで全身を焼いてあげる!」

焦燥と、諦め、そして特大の苦痛にその表情が支配され──須臾の時間の後、その全身が焼き消えた。



最後に残ったのは表面が溶けてガラス状になった祭壇と、猟兵達。そして、護衛対象である男性のみ。
今回の事件における元凶である敵デウスエクスは、今この瞬間、宇宙に還したのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 冒険 『天然の迷宮』

POW   :    体力に任せて突き進む

SPD   :    見えづらい場所の罠を警戒する

WIZ   :    魔術や何らかのデバイスを用いて索敵を行う

イラスト:yakiNAShU

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


敵デウスエクスは滅ぼした。あと残る任務は、男性をこのデウスエクス蔓延る負のパワースポットから元の街へ返すこと。

「俺は…なんて取り返しのつかないことを……しようとしていたのか……」

そう嘆く男性の手には、ある写真の入った小さな額縁が、強く、強く握りしめられていた。
その写真は──輝く太陽の下、花畑に立って微笑む一人の少女が写っていた。

「これは…俺の妹の写真だ。
 
4ヶ月前…ある男に殺されたんだ。

ソイツは、捕まった。でも、規定を満たすだけで、出てきてしまうんだ。
人一人の命を奪ったってのにさ。

俺はそれが許せなくて…」

男の声は怒りと、悲しみと、そして後悔に震えて響く。

「でも、もういいんだ。妹だって、ソイツを殺して欲しいとは思ってないと思う。
それに、ソイツは自分の罪を償った後で出てくるから…

本当は、わかってたはずなのに…どうして俺は……」


今回の依頼の大詰め、この男性を安全に街まで送り返すこと。
難易度で言えば、簡単な部類に入るだろう。少なくとも、先ほどの敵と戦うよりかは遥かに簡単だ。
それでも油断はできないが…

目の前には、来る時も通った深く暗い森。その様相は変わらず、全てを飲み込む暗闇を湛えている。

では、帰ろうか。彼の街へ。
鳳凰院・ひりょ
そうか…、彼は自分の内の闇から抜け出す事が出来たのだね
完全ではないかもしれないけれど、それは大きな一歩だろう

この人を、ここで死なせるわけにはいかない!妹さんの為にも

夜目も効く梟を召喚しよう
そして召喚した梟へとUCを付与
UCによって梟と俺は五感を共有する
索敵も可能だし、最悪害悪となる存在と遭遇した場合も捕縛能力によってその場に釘付けにする事が出来る
彼を日常へと帰すまでの間、安全を確保する事は可能だろう

多数の外敵と遭遇する場合も考えて、梟だけでなく俺自身も周囲へ警戒するようにはしておこう
万一の時は彼を庇い、刀での応戦も視野に入れておく

妹さんの分まで、しっかり生き抜いてほしい…
それが俺の願いだ



ひりょ(天然系精霊術使いの腹ぺこ聖者・f27864)は自分の罪を自覚し後悔する男を見て、声をかけるでもなく暗い森を見つめていた。
今は、考える時間が必要だろうから。

「そうか…、彼は自分の内にある闇から抜け出すことができたのだね。」

ただ、男性の側にいて、その身を守り通す。

「完全ではないのかもしれないけれど、それは大きな一歩だろう。」

呟く言葉は男性には聞こえない。
彼は彼なりに自らの答えを、進む道を、鬱蒼とした森のような暗闇の中から見つけ出さなくてはならないから。
そしてそれは与えられるべきじゃない。自らの努力と苦難で掴み取るもの。

──この人を、ここで死なせるわけにはいかない!妹さんの為にも──


ひりょは男性と共に静かに歩き始める。
その肩にはいつの間にか、一羽の梟が止まっていた。

「索敵と護衛を協力してくれるかな?」

梟はホー、と一度だけ鳴いて、木々の間を縫うように飛んでいった。
だが、それだけじゃない。
その梟はひりょが召喚した召喚獣。召喚者とは強い繋がりを持つ。
それ故に、五感の共有、そして離れた位置からでも意思疎通できる能力を有している。

梟での索敵の結果は……近くには害となる存在は発見することができなかった。
しかし、安全というわけじゃない。
梟の索敵は五感──とりわけ視覚、聴覚に頼る部分が多い。
視覚では必然的に木々の影など見落としが増え、聴覚はそもそも当てにならないところもある。既存の生命とは少し異なる摂理で動く、デウスエクスという存在には常識が通じないためだ。

だから、自らが彼の側に居ることで彼を危険から守れるようにする。
護符がある。刀がある。万一はこの身を持ってして彼を庇うつもりもある。
彼を必ず平穏な日常に送り返すために。


──妹さんの分まで、しっかりと生き抜いてほしい…

口に出すことはない願い。

──それが俺の願いだ。



闇に覆われた樹海の中に

少しだけ、光が差し込んでいる

彼はそれを見上げ、その瞳に涙を湛えさせた

日常を取り戻すにはもう少しかかりそうだけれど

そこには確かに希望がある

だから、進む

行けるところまで

大成功 🔵​🔵​🔵​

エミリィ・ジゼル
男性が無事でなによりです。反省や後悔もあるでしょうが、ここで遭難となったら目も当てられません。とりあえず帰還を優先しましょう。
帰るまでが遠足とよく言いますからね

まずは森を抜けるためにUCを使用し、かじできないさんズを召喚。

かじできないさんズたちに周辺を偵察させ、敵や野生動物のいなさそうな安全で、なおかつできるだけ歩きやすそうな道のりを探し出します。
わたくしのようなケルベロスとは違って、一般人の方だと森を歩くだけでも一苦労でしょうしね。

あとはかじできないさんズの誘導に従って森を脱出します。

あ、歩くのしんどかったらサメ子に乗っていきます?
たぶん普通の方だとそうそうないと思いますよ、サメに乗れる機会



大きく伸びをして、エミリィ(かじできないさん・f01678)は他の猟兵と森に進んで行った男性を追いかけ始める。

──男性が無事でなによりです。反省や後悔もあるでしょうが、ここで遭難となったら目も当てられませんね、とりあえず帰還を優先しましょう。

今回の事件。
もとよりヒビが入っていた男性の心を利用し、その心を完全に壊すことで二種のエネルギーを奪い取る、デウスエクスの非情な計画。
少なからず心のヒビは広がっており、すぐに、とはいかないとしても何かの要因で割れかねない危険な状態。
それを修復するにはただ時間と男性自身の自覚が必要だ。
今できることは、そう多くはない。

だから──確実に、安全に、男性に微細な危険が発生することすら許さず街へ送り届ける。

帰るまでが遠足──遠足というには禍々し過ぎる森を安全に進む為に。

「いけ、かじできないさんズ!」

直後、現れるのは100を超える数のクローン達。
その額には1という数字が刻まれており、合成を繰り返すことで数字と戦闘力が増えていくのだという…

今回は数に物を言わせた偵察なので、その機能は使わない。

敵や野生動物のいなさそうな安全で、なおかつできるだけ歩きやすそうな道のりを──

『わたくしのようなケルベロスとは違って、一般人の方だと森を歩くだけでも一苦労でしょうしね。』

配慮とアフターケアは完璧だ。ただ家事ができないだけで、その他のことは粗方完璧にこなすことができるエミリィにとって造作もない。

あとはかじできないさんズの誘導に従って森を進んでいくだけ──

「あ、歩くのしんどかったらサメ子に乗っていきます?」

「あ、えっと…遠慮させていただきます…?」

「そうですか。たぶん普通の方だとそうそうないと思いますけどね、サメに乗れる機会。」

半ば奇妙な空気感になりつつも、極めて順調に深い森を進んでいく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

向・存(サポート)
もし手助けが必要でしたらお手伝いするのですよぉ~。
得意なのは近接戦闘とか、【情報収集】も兼ねた見回りとかお話を伺うのも好きですよぉ~。
非道なことをなされる方には手加減無用、全力で参らせていただきますねぇ~。
大丈夫ですよぉ~。手足の二・三本くらいもげてもなんとかなりますのでぇ~。

ユーベルコードの出し惜しみをするつもりはありませんよぉ~。
使いどころに迷ったときはぁ、ご同輩に相談するのも良いですねぇ~。
あとは最後まで油断大敵、【咄嗟の一撃】も放てるように【逃亡阻止】は意識しておきましょう~。
堅実にきちんと片づけたら、皆で美味しいものでも食べて帰りましょう~。
※アドリブ・連携歓迎



「それは〜、大変ですねぇ〜。」

向・存(葭萌の幽鬼・f34837)は俯きながら森を進む男性へと声をかける。

「でも、大事なのは〜、貴方がどうするか、だと思いますよぉ〜」

──確信を突く一言。
おっとりとした口調だが、その瞳は微笑みつつもしっかりと男性の方に向けられている。

「そうしないと、天国にいる妹さんが可哀想じゃないですかぁ〜。」

男性へと声をかけながらも、周りの警戒は絶やさない。
兵あっての将。
かつての歴戦の将は人心掌握にも長けている。

「妹さんの代わりではなく、兄として、貴方自身が考えるんですよ〜。」

男性の肩が震えている。
俯いて、瞳に溜まった雫を手で拭う。それでもまたすぐに溜まってしまう。
止めることのできない想いが雫となって──

「じゃないと、私のせいで縛られた人生を送っているって、思われてしまいますからねぇ〜。」

遂に、男性の瞳から大粒の涙が静かに零れ落ちる。
暗い森の中に小さく輝く一雫は、音もなく土に吸われていった。

見えてきた。街の外壁だ。

「さぁ、もうすぐですよ〜。」

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2024年04月04日


挿絵イラスト