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レイドクエスト:聞いたら即死!絶叫系モンスター!

#ゴッドゲームオンライン


「AIEEEEE!!!!!」

 深い森に覆われた古代の遺跡にて、一匹のモンスターが目覚めの絶叫を上げた。
 外見は人間の子供に似ているが、髪の毛の代わりに生えているのは花と葉。
 マンドレイク、あるいはアルラウネと呼ばれる種に類似した特徴である。

 植物の妖精のように愛らしい姿に惹かれて、近づこうとした者は注意せよ。
 いや、その声を聞いてしまった時点でもう手遅れか。
 彼女の叫びは死と狂乱を招く。人間もモンスターも区別なく、全ての生命を奪うのだ。

 その絶叫に狂わされ、すでに森にいたモンスター達にも影響が出始めている。
 平和な森の危機を解決し、恐るべき『絶叫』のマゴラを討伐する――腕利きの冒険者の挑戦を求む!


「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
 グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「ゴッドゲームオンラインのとあるクエストが、バグプロトコルの影響を受けて理不尽な『即死バグ』に汚染されてしまいました」
 オンラインゲームにバグは付き物ではあるが、ゲームプレイヤーの死=遺伝子番号ジーンアカウントの焼却となるバグプロトコルとの戦いにおいて、このバグは洒落にならない。汚染されたクエスト内のモンスターの攻撃や一部の地形オブジェクトが「キャラクターが少しでも接触すると問答無用で即死させる」状態になってしまったのだ。

「こんなクエストに何も知らない一般プレイヤーが参加すれば、ほぼ間違いなく即死からの遺伝子番号焼却は免れません。被害が拡大する前に皆様の手で、元凶となっているバグプロトコルを排除してください」
 バグに汚染される前のクエストの概要は、『森の奥で発見された古代遺跡で、危険なモンスターが目覚めた』という設定で、その影響で凶暴化した森のモンスターを駆逐しつつ、該当の遺跡(ダンジョン)を攻略してボスを撃破するというものだった。そして言うまでもなく、現在ボスの座についているのはバグプロトコルだ。
「クエストに参加して最初に遭遇するのは、遺跡周辺に生息する『エントレット』という樹木型モンスターです。植物の身体を活かした攻撃や、樹木の精霊であるドライアードを召喚するなどの行動で襲ってきます」
 大元のバグプロトコルの影響で、このエントレットの群れもバグプロトコル化しており、全ての攻撃が「抵抗不能の即死攻撃」になっている。遺伝子番号を焼かれる心配のない猟兵でも「一撃喰らえば即死扱いでクエストから退場」となることに変わりはない。うまく攻撃を回避しながら殲滅する必要があるだろう。

「エントレットの群れを倒した後は、いよいよ古代遺跡に突入となりますが……このダンジョンの中には無数の『ワープ床』が仕掛けられているようです」
 ワープ床は踏んでしまったキャラクターを別の場所に強制転移させるトラップだ。探索者を迷わせたり、逆に特定の順序でワープしなければ先に進めない仕様になっていたりと、使い方はダンジョンごとに様々だが――こちらのダンジョンではワープ床も「即死トラップ」と化している。
「どうやらワープ床の転送先がバグらされているようで、どれを踏んでも別のフロアではなく『地面の下』や『壁の中』などに飛ばされてしまいます。当然呼吸できませんし脱出手段もありません」
 生き埋めにされたくなかったら、とにかくワープ床を踏まないようにするしかない。幸いダンジョンの構造自体はそこまで複雑ではないようなので、注意深く進めばゴールであるボスのフロアまでたどり着けるだろう。即死バグを撒き散らした元凶のバグプロトコルは、そこにいる。

「ボスとなったバグプロトコルの名は『絶叫』のマゴラ。名前の通り、絶叫による高範囲攻撃で状態異常や即死効果をもたらすモンスターです」
 即死バグの元凶であるバグプロトコルが自分も即死攻撃を使わないはずがなく、その叫びは『聞いただけで即死』という理不尽極まりないものとなっている。耳栓などで防げるような代物でもないらしく、流石に猟兵でもこのままだと勝ち目はない。
「ですが……クエスト冒頭で戦ったエントレットがドロップする『レアな材木アイテム』が、なぜか一定時間だけマゴラの即死攻撃を無効化する護符になっているようです」
 これが仕様なのか、バグの余波で生まれた「バグプロトコルも予期しないバグ」なのかは定かではないが、利用しない手はない。マゴラと戦う前にはなるべくエントレットからドロップアイテムを回収しておくと良いだろう。ちなみにエントレットの弱点は火だが、燃やして倒すとアイテムのドロップ率が下がるらしいので注意だ。

「エントレットの材木を使えば即死攻撃はしばらく効かなくなるので、ボスを撃破するチャンスです。ただし即死とは別に、マゴラにはもうひとつ面倒なギミックがあります」
 マゴラの外見は人間の子供に似ているが、実はこれは囮で「王」という本体がいるらしい。この王は「NPCでなければダメージを与えられない」という特性を持っていて、猟兵を含めたプレイヤーの攻撃は無効化されてしまう。
「とはいえ効かないのはプレイヤーの直接攻撃だけです。テイムしたモンスターや召喚NPCなどの攻撃は有効ですし、ユーベルコードによる召喚や分身なども有効です」
 即死攻撃に比べれば抜け道は多いし、「王」自体はすばしっこく生存能力に特化しているぶん攻撃力は低く、ダメージを与える手段さえあれば撃破可能だ。どうしても攻略法が思いつかないようなら囮に攻撃を集中させても、ボスの戦闘能力を削ってクエストクリアに貢献できるだろう。

「理不尽なバグによって破滅するプレイヤーを増やさないために、皆様の力をお貸しください」
 説明を終えたリミティアは手のひらの上にグリモアを浮かべ、ゴッドゲームオンラインへと猟兵達を送り出す。
 深い森とダンジョンの奥に潜むバグプロトコル。凶悪極まる即死バグの嵐が、一同の挑戦を待ち構えている――。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」



 こんにちは、戌です。
 今回のシナリオはゴッドゲームオンラインにて、「即死バグ」に汚染されたクエストを攻略し、元凶のバグプロトコルを撃破する依頼です。

 1章はバグプロトコル化した『エントレット』との集団戦です。
 即死バグの影響で全ての攻撃が「抵抗不能の即死攻撃」扱いとなっており、死なないためには当たらないように対処するしかありません。
 また、このモンスターのドロップアイテムは、クエストボスの即死攻撃を無効化する効果を持っているようです。

 2章はボスが潜む遺跡のダンジョンを攻略します。
 遺跡内部には即死トラップと化した「ワープ床」が無数に設置されており、踏んでしまうと壁の中や地面の下に飛ばされて死にます。対処法としてはこちらも「踏まないようにする」しかないので、注意は怠らないほうが良いでしょう。

 3章はバグプロトコル『絶叫』のマゴラとのボス戦です。
 マゴラの絶叫は広範囲に即死効果と状態異常をもたらしますが、エントレットのドロップアイテムを持っていれば一定時間、即死が効かなくなります。
 また、TOP画像になっているモンスターとは別に、マゴラには「王」と呼ばれる本体がおり、これはNPCによる攻撃でしかダメージを受けません。ユーベルコードで召喚されたものや、生物系または自律行動するアイテム等はNPC扱いとなるのでダメージが通ります。
 面倒な仕様の多いギミック系のボスですが、実力的には猟兵が勝てない相手ではありません。撃破すれば即死バグに汚染されていたクエストも元に戻ります。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『エントレット』

POW   :    木の葉乱舞
自身が【木の葉(すぐ生えてくる)を飛ばしている】いる間、レベルm半径内の対象全てに【鋭利な木の葉カッター】によるダメージか【樹木を癒す腐葉土】による治癒を与え続ける。
SPD   :    ボンデージスレイヤー
対象の【腕・脚・胴体】を【(使っていない部分は行動可能な)枝や根】で締め上げる。解除されるまで互いに行動不能&対象に【状態異常であるほど威力が上がる、樹】属性の継続ダメージ。
WIZ   :    サモン・ドライアード
【樹木の精霊であるドライアード】の霊を召喚する。これは【樹属性の魔法】や【自由農夫のアビリティ】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:すずや

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レティシア・ハルモニアス
夢幻戦線

こいつ等の全て即死攻撃だと…?!
大量の敵を見て戦闘態勢を取る妾と
『不味いですね…!』
汗をかきながらも敵の攻撃を回避している


気を抜くな!ライメイザ!死ぬぞ!
『わ…分かりました!』
相手のUC対策は視力で枝や根に気をつけながら推力移動で距離をとりつつクイックドロウの要領で呪殺弾を放ち枝と根を攻撃する(火は使わない)


『今です!はあっ!』
枝や根を破壊して止まった瞬間ライメイザは破壊雷を放ち敵を攻撃

行くぞ!紅い矢弾の雨!
妾はライメイザが破壊雷を放った後指定UCの効果でUC紅い矢弾の雨を発動して敵を殲滅した

おお!これは…レアな材木アイテムか!
『私も手に入れましたよ…』
ライメイザもアイテムを手に入れた


黎明・天牙
夢幻戦線

ヴォルガとリズを温存しておきたいからな…行くぞ
『イエェェェェイ!』『即死ぃぃぃぃ!』『クソギミックゥゥゥゥ!』『チートォォォ!』
指定UCの効果でUC狂気の連雀レンジャーズを発動していた雀達はダンスを踊りながら戦闘態勢に入る

木の根に捕まったら即死だから気をつけろよ、雀達…
相手のUCを発動してきたが視力で枝と根を見ながら振動の力を放ち破壊する

『フィーバァァァァァァ!』×沢山
雀達は回転しながら電撃の矢弾の雨を放ち敵を攻撃

獅子神雀男…
指定UCを発動して次元能力に瞬間移動しながら敵に変幻自在の攻撃をして攻撃

よし、俺、ヴォルガとリズの分回収っと…

『ドロップゥゥゥ!』×∞
雀達もレアな材木の手に入れた



「こいつ等の全て即死攻撃だと……?!」
 深い森に生息する樹木のモンスター『エントレット』。今、レティシア・ハルモニアス(奪われた全てを取り返す為に〜吸血鬼戦線〜・f40255)の眼の前にいる大量のそいつらは、バグプロトコルの影響で「即死バグ」を付与された、危険極まる存在と化していた。
『オォォォォ……!』
 木の虚から呻くような声を上げつつ、エントレットの群れは枝や根を猟兵達に伸ばす。通常なら拘束と継続ダメージを与える【ボンデージスレイヤー】も、触れただけでプレイヤーを即死させるゲームバランス崩壊級のユーベルコードになっている。

『不味いですね……!』
 【眷属召喚・ライメイザ】により召喚されたレティシアの眷属「ライメイザ」は、冷や汗をかきながらも敵の攻撃を回避する。エントレットの動きは巨木の見た目通りに鈍重で、攻撃もそれほど速くはないのが幸いだ。倒すべきボスを前にして、こんなクエスト序盤で消耗するわけにもいかない。
「ヴォルガとリズを温存しておきたいからな……行くぞ」
『イエェェェェイ!』『即死ぃぃぃぃ!』『クソギミックゥゥゥゥ!』『チートォォォ!』
 彼女達が所属する「夢幻戦線」の隊長こと黎明・天牙(夢幻戦線のリーダー『パラダイス・ブレイカー』・f40257)も、【狂気の連雀レンジャーズ】を連れてクエストに参加する。異様なまでにハイテンションなスズメ達が、ダンスを踊りながら戦闘態勢に入った。

「木の根に捕まったら即死だから気をつけろよ、雀達……」
 天牙は仲間に警戒を促しつつ、持ち前の動体視力で【ボンデージスレイヤー】の動きを見極め、振動の力をぶつけて枝や根を破壊する。どうやら即死とはいえ攻撃をこちらの攻撃で相殺することはできるし、ダメージもちゃんと入るようだ。脅威には違いはないが、それなら対処のしようはある。
「気を抜くな! ライメイザ! 死ぬぞ!」
『わ……分かりました!』
 レティシアもまた枝や根の動きに気をつけながら推力を噴射して距離を取り、クイックドロウで闇刃銃『エレクトニアス・ヴァラージュ』を抜き撃ちする。二丁の詠唱拳銃より放たれた呪殺弾は、今まさにライメイザに絡みつこうとしていた枝と根をへし折り、彼女の窮地を救った。

『今です! はあっ!』
 攻撃部位を失ったエントレットが動きを止めた瞬間、ライメイザが破壊雷を浴びせる。防御貫通効果を有した電撃は頑丈な樹木の外皮も貫き、一撃でヒットポイントをゼロにした。所詮はフィールドを徘徊する雑魚モンスターだ、バグプロトコル化しても耐久力は高くない。女王の眷属の威光、その身に焼き付けて滅ぶがいい。
『フィーバァァァァァァ!』
『『グオォォォォ……!?』』
 彼女の後に続いたのはスズメレンジャーズで、回転しながら電撃を放つ。雷鳴と雄叫び(?)を轟かせながら降り注ぐ無数の稲妻は、矢弾の雨となってエントレット達を貫いていく。意思疎通に少しばかり難点があるものの、その火力は文句の付けようがないものだった。

「行くぞ! 紅い矢弾の雨!」
 さらにはレティシアもユーベルコードで追い打ちをかける。彼女が放つ【紅い矢弾の雨】は森を血の色に染め上げながら、概念を破壊する力と神速の追尾性能をもって広範囲の敵を殲滅する。零落したとはいえ吸血鬼の女王の力を味わって、立っていられるエントレットは皆無だった。
「獅子神雀男……」
 わずかに生き延びた"取りこぼし"を始末するのは天牙だ。【『パラダイス・ブレイカー』獅子神雀男】を発動した彼は次元を超越する力で敵の傍まで瞬間移動し、獅子型の振動オーラをまとって変幻自在の攻撃を放つ。百獣の王の如き圧倒的なパワーが、一瞬にして相手をバラバラに引き裂き――あとには僅かな木片だけが残された。

「おお! これは……レアな材木アイテムか!」
『私も手に入れましたよ……』
 周辺の敵を一掃した夢幻戦線メンバーは、ドロップアイテムの回収を行う。レティシアとライメイザが拾い上げたのは、エントレットが稀に落とすという希少な材木だ。これのドロップ率を下げないために、わざわざ弱点である火属性攻撃を使わなかったのである。
「よし、俺、ヴォルガとリズの分回収っと……」
『ドロップゥゥゥ!』
 天牙とスズメレンジャーズも各自、必要数のレア材木を回収している。今回のクエストのレイドボスとの戦いでは、このアイテムが攻略のカギになるらしい。目的を果たした一行は小休止を挟んで、いよいよボスのいるダンジョンへと向かうのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クレイユ・オブエミネンス
アタシのジョブは組合員と没貴族でドラゴンプロトコル…即ち、世界管理と世界法則に長けた猟兵
その2つのジョブを組み合わせればーー世界運営能力により、バグプロトコルの攻撃をバグプロトコルのみに命中する様に『設定』することなんてお茶の子さいさい
これがアタシだけのジョブ『最重要世界運営者《ハイエスト》』
ゴッドゲームオンラインの法則を使い『全ての世界』の『世界の全て』を掌握する…
それがアタシの『生命体の埒外』なのさ

管理者権限でバグプロトコルの存在データを抹消
そのままデータ抹消攻撃でバグプロトコルを駆逐していくよ



「アタシのジョブは組合員と没貴族でドラゴンプロトコル……即ち、世界管理と世界法則に長けた猟兵」
 バグプロトコル化した『エントレット』の群れの前で、堂々と演説を披露するのはクレイユ・オブエミネンス(舞台裏で重要NPCになりたい竜娘・f41776)。相手がバグの影響で即死攻撃の使い手になっていたところで、臆する様子は微塵もない。だって【重要NPC】ならこんな時ビビらないはずだから。
「その2つのジョブを組み合わせれば――世界運営能力により、バグプロトコルの攻撃をバグプロトコルのみに命中する様に『設定』することなんてお茶の子さいさい」
『ウオォォォオ――!!』
 話が終わる前に、エントレット達は根や枝を伸ばして襲いかかってくる。本来は拘束と継続ダメージを与えるはずの【ボンデージスレイヤー】も、今では触れたらアウトの即死技だ。どんなキャラクターであれ命中すればひとたまりもない――命中すれば、の話だが。

「これがアタシだけのジョブ『最重要世界運営者ハイエスト』」
 今語ったことがただの妄想ではないと示すように、クレイユは【新たなるは、最重要なる存在】を発動。フィールドの設定を書き換えて自らの言葉を現実のものとする。エントレット達の攻撃は当たり判定のない彼女をすり抜けて、同胞にのみヒットした。
『グォォ!?』『ウガァ!!』
 当のバグプロトコル本人でさえ「攻撃を食らったら即死」というバグの例外ではないようで、同士討ちしたエントレットは次々に消え去っていく。防御力やヒットポイントが幾らあろうが関係のない、即死バグの恐ろしさを自らの身で体現する羽目となった。

「ゴッドゲームオンラインの法則を使い『全ての世界』の『世界の全て』を掌握する……それがアタシの『生命体の埒外』なのさ」
 という「舞台裏で暗躍する重要NPC」のロールプレイをノリノリで楽しみながら、クレイユは残りのバグプロトコルの存在データを管理者権限で抹消していく。傍目にはどちらがバグだかチートだか分からない挙動だが、ゲーム世界そのものを蝕むバグを相手に容赦は無用だ。
「我は事象を斡旋し、得意なる摂理を極めし者。それぞれを複合させた果てに我は最重要なる世界の運営者となり物語を綴っていく」
 高らかに口上を述べたてながら、バグプロトコルを駆逐していくクレイユ。その付近からエントレットの群れが消え去り、元通りの静かな森に戻るまでにさしたる時間はかからなかった。悠然とした笑みを浮かべながら、彼女はさらに森の奥深く、遺跡のダンジョンへと向かう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルマ・アルカレイト
チーム錬金術士

念動力と結界術…緋智の使用技能

矢弾の雨と毒使い…緋智の使用技能

属性攻撃…刹那の無限回転発動

錬金術…マヒ攻撃と凍結攻撃の錬成弾を錬成

クイックドロウ…弾丸を素早く放つ

視力…相手の動きを見る

行くわよ、ヒサ!慶喜!
『うん!久しぶりに頑張るよ!』
帰って来た緋智と共に敵に挑む

『火を使っちゃ駄目なんだよね…?』
ええ!そうよ!
相手のUCに対しては結界術で防御しながらヒサはUC朧月夜・冥道神機『緋智』を発動しながら毒の矢弾の雨を放ち枝や根を毒の矢弾の雨で溶かした後
UC冥道朧月を放ち攻撃
私は錬成弾を放ち凍らせて敵の動きを止める

オラぁぁぁぁ!
UCを発動して敵を弾丸を放ち攻撃

二人共アイテムをドロップした


東・慶喜
チーム錬金術士

属性攻撃…刹那の無限回転発動

結界術…防御技能

推力移動…移動技能

視力…敵の動きを見る

薬品調合(電撃と毒使い)…電撃と毒の錬成弾を錬成

クイックドロウ…素早く弾丸を放つ

https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=53914から緋智は帰って来ています


ヒサ、バイト手伝ってくれたうえに依頼まで受けてくれるなんて…ほんまにありがとう…
『うん!いいよ、アルマと慶喜のおかげで自由になれたんだから!』
と言って俺達は戦闘態勢をとる

ヒサ、アルマ!行け!
相手のUCに対しては錬成弾を素早く放ち根や枝を破壊する

行くで!追撃や!
アルマがUCを使用したらUCを発動して攻撃した



「行くわよ、ヒサ! 慶喜!」
「おう!」
『うん! 久しぶりに頑張るよ!』
 即死バグプロトコルと化した『エントレット』の群れに対峙するのは、アルマ・アルカレイト(異世界からの来訪者『無能の錬金術士』・f39594)と東・慶喜(無能の錬金術士の相棒・f40772)、それに緋智の三人。敵に拐われていた緋智が帰ってきたことで、再び「チーム錬金術士」全員揃ってのクエスト参加だ。
「ヒサ、バイト手伝ってくれたうえに依頼まで受けてくれるなんて……ほんまにありがとう……」
『うん! いいよ、アルマと慶喜のおかげで自由になれたんだから!』
 恩返しのつもりもあってか、緋智はやる気十分。慶喜からすれば寧ろ感謝したいくらいだが、その気持ちは嬉しい。
 離れ離れになっていた時間は決して短くないが、それでも三人の絆は変わらない。いつも通りに戦闘態勢を取って、立ちはだかるモンスターに挑む。

『オオォォォォ―――!!』
 プレイヤーの侵入を感知したエントレットの群れは、枝や根を伸ばして【ボンデージスレイヤー】を仕掛けてくる。
 樹木のボディを活かした拘束攻撃が、触れたらアウトの即死攻撃になったことで、その危険性は大幅に増している。これでは接近することさえ容易ではあるまい。
「ヒサ、アルマ! 行け!」
 まずは道を切り開こうと、慶喜が相手の枝や根に狙いをつけ、推力移動でポジショニングすると、クイックドロウで錬成銃『テスタロッサ』を抜き撃つ。刹那の無限回転を込めて放たれた電撃と毒の錬成弾は、ヒットした部位から敵を腐蝕させ、感電で動きを鈍らせる――ダメージよりも状態異常による弱体化メインの攻撃だ。

『火を使っちゃ駄目なんだよね……?』
「ええ! そうよ!」
 この機を逃さず飛び出したのは緋智とアルマ。植物系モンスターの弱点である火を使えば倒すのは簡単だが、燃やしてしまうとレアアイテムのドロップ率が下がってしまう。この先のボス攻略のキーアイテムとなる「エントレットの材木」は、なんとしてもここで入手しておきたかった。
『わかった! じゃあいくよ!』
 そこで緋智は【朧月夜・冥道神機『緋智』】を発動し、高次元のパワーを猛毒の矢と【冥道朧月】に変換して放つ。
 雨のように降り注いだ毒がエントレットの枝や根を溶かし、動けなくなったところを十字の冥道が襲う。それは触れたものを冥府へと吸い込む、バグとは異なる――そしてバグ以上に危険な即死攻撃だった。戦闘に参加するのは久しぶりだが、その圧倒的な破壊力はブランクをまるで感じさせない。

『ウオォォォォ――?!!』
「うるさいわね!」「気ぃつけや!」『わかってる!』
 一撃で大損害を被ったエントレットの群れは、残っている部位を振り回して大暴れする。しかしアルマ、慶喜、緋智の三名は冷静に、それぞれ結界や念動力を使って攻撃を防ぐ。本体に直接当たらなければ「攻撃が命中した」扱いにはならないようで、即死バグも発動しなかった。
「大人しくしなさい!」
『グォア……!?』
 直後にアルマは相手の動きをよく見て、氷の錬成弾を素早く放つ。凍結とマヒの状態異常を複合させたそれは瞬時にエントレットの樹体を凍りつかせ、身動きを封じた。いかにバグプロトコルと言えど、こうなってしまえば単なるデカい的だ。

「オラぁぁぁぁ!」
 トドメとばかりにアルマは【錬金術士奥義・神速の無限回転弾】を発動。汎ゆる抵抗を無視する刹那の無限回転弾を放ち、エントレットの群れをまとめて貫く。これぞ神秘の力を持たぬ彼女が『無能の錬金術士』と揶揄されながらも、研鑽の末に会得した錬金術の奥義だ。
「行くで! 追撃や!」
 アルマに合わせて慶喜も【錬金武装・魔月王翔】を発動。七支刀『天音』に金銀色のオーラを纏わせ斬撃波を放つ。
 錬金術をより深く学ぶことで新たな可能性を切り開いた彼の一撃は、概念破壊すら成し遂げる。その刃の延長線上にいたエントレット達は、ことごとく胴体を真っ二つに斬り捨てられた。

『オォォォ……ォォ……』
 チーム錬金術士の鮮やかなるユーベルコードの数々を受けて、一掃されていくエントレットの群れ。彼らがいた場所には、不思議な光を放つ木材がドロップしている。これが情報にあった、クエストボスに有効なレアアイテムで間違いないだろう。
「ちゃんと全員分あるわね!」
『うん!』
「燃やさんで正解やったな」
 そもそものドロップ率が低くても、これだけ数を倒せば3つくらいは容易に集まる。予備も含めてドロップした木材を均等に分けて持つと、一同は森のさらに奥へと進んでいく。ここはまだクエストの入り口、本番はここからだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

才堂・紅葉
アドリブ・連携歓迎

厄介ね。これもうゲームじゃなくない?
折角色んなステがあるのに、HPとか防御力とか関係ないのも風情が無いわよね

お仕事をしましょう
「コードハイペリア」と紋章の【封印を解く】事で真の姿を顕現
赤い髪をなびかせ、緑のチャイナに蛇矛を構えます
方針は0被弾クリア。明鏡止水の境地にて、奴の枝や根を回避し、重力の【属性攻撃】で【重量攻撃】を乗せた蛇矛で蹴散らします
安全マージンを多めに取って、相手の攻撃が尽きた所で反撃する後の先を徹底しますね
さて、ドロップ運には自信はないけど、何体目でドロップするかしら?



「厄介ね。これもうゲームじゃなくない?」
 リアルにまで影響がある点も、ゲームバランスが崩壊しているという点でも、才堂・紅葉(お嬢・f08859)の発言には頷けるものがあった。彼女の視線の先に立ちはだかるのは、バグプロトコルの影響で即死バグの塊と化した『エントレット』の群れだ。
「折角色んなステがあるのに、HPとか防御力とか関係ないのも風情が無いわよね」
 ただ当たれば即死というシンプルなバグの前では、意味を失う仕様が多数。このゲームにハマっているプレイヤーほど噴飯もののバグだろう。こんなモノがこれ以上広がりでもすれば、それこそゴッドゲームオンラインはおしまいだ。

「お仕事をしましょう」
 紅葉は「コードハイペリア」と「ハイペリアの紋章」の封印を解くことで真の姿に変身。赤い髪をなびかせ、緑色のチャイナドレスを身に纏うと、波打つ刃が特徴的な「六合蛇矛」を構える。その佇まいは古代中国の女武将のようだ。
『オオォォォ……!!』
 彼女の元に押し寄せてきたエントレットの群れは、枝や根を伸ばして【ボンデージスレイヤー】を仕掛けてくる。
 どれか一つでも当たれば即死と考えると普通は肝が冷えるところだが、紅葉は動揺しない。【明鏡止水】の境地にて相手の動きを予測し、最小限の身のこなしで回避する。どんなに危険な攻撃でも、当たりさえしなければ意味はない。

「時見月在晴天影在波……だったわね」
 目標は0被弾クリア。静かに澄んだ水面に明月の影を映すように、敵の枝や根をかい潜りながら紅葉は蛇矛を振るう。
 ハイペリアの紋章より引き出される重力子のエネルギー。それを乗せた攻撃は見かけ以上に重く、巨大な敵を一撃のもとになぎ倒す。
『グオオォォ……!?』
 仲間を倒されるとエントレット達はますます激しく暴れるが、そのぶんパターンは単調となる。即死バグで同士討ちするわけにもいかないため、見た目以上に奴らの動きには隙が大きい。紅葉はそれを見逃さず、相手の攻撃が尽きるのを待ってから反撃する、後の先の戦法を徹底する。

「こんな序盤で焦っても仕方ないわよね」
 最速クリアよりも堅実な攻略を目標に、安全マージンを多めに取る紅葉。多対一でも危なげのない立ち回りで、順調に敵を蹴散らしていく。一度見切ってしまえば所詮は決められた行動を取るだけのバグプロトコル、事故が起きる可能性も限りなく低い。
「さて、ドロップ運には自信はないけど、何体目でドロップするかしら?」
 これだけ敵の数が多ければ、ドロップ率の低いレアアイテムでもそのうち出てくるだろう。武侠映画の主役の如く、ばっさばっさとエントレットを斬り伏せるうちに――消えた敵の骸のあとには、キラキラと光る材木が残るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メイティナ・ヴァーンフォルカ
【今回は即死系ですか…】
クソゲーあるあるじゃねぇかよ…
裕士がぼやいていたが警戒しながら戦闘態勢をとる

【危ないですね…】
メディア・ラクティア(即死攻撃しかないうえ自機が遅いアクションクソゲー)を思い出すな…!
気配感知で相手のUCの根と枝を感知しながら推力移動で回避しながら心眼で枝や根を見ながら斬撃波を放ち攻撃
裕士はクイックドロウの要領で銃から消滅属性攻撃の光線を放ち攻撃

【破滅の壊剣!】
指定UCを発動して枝や根ごと斬撃で切り裂きながら敵を攻撃した

天誅ぅぅぅぅぅぅ!
指定UCの効果でUCクレセント・スラッシャーを発動して敵を殲滅した

【ドロップアイテムゲットです!】
これでボスの即死攻撃にも対応出来るな…



【今回は即死系ですか……】
「クソゲーあるあるじゃねぇかよ……」
 手に持った看板で意思表現するメイティナ・ヴァーンフォルカ(狂人と勘違いされた神がクソゲーハンターとなる話・f41948)と、心底イヤそうにぼやく「裕士」。即死バグに汚染されたクエスト攻略を依頼された二人の行く手には、大量の『エントレット』が立ち塞がっていた。
『ウオオォォォォ……!!』
 バグプロトコル化した彼らは唸り声を上げ、数多の枝と根でプレイヤーを絡め取ろうとする。本来は拘束と締め付けで継続ダメージを与える【ボンデージスレイヤー】だが、触れただけで相手を殺す、より危険な即死技と化している。

【危ないですね……】
 メイティナは相手の枝や根の気配を感知しながら、魔力を推進力にして戦場を駆け回る。心眼で動きを見極めれば、対処できない攻撃ではない。眉一つ動かさない無表情で紙一重の回避を見せつつ、斬撃波で枝や根を切り払うさまには余裕さえ感じられた。
「メディア・ラクティアを思い出すな……!」
 一方の裕士はクイックドロウの要領で素早く銃を連射し、謎の光線でエントレットの枝や根を消滅させる。ちなみに彼が言っている「メディア・ラクティア」とは、敵が即死攻撃しかしないうえ自機の動きが遅いアクションゲームらしい。確かにこんなバグが仕様のゲームはクソゲーと呼ばれても仕方あるまい。

【破滅の壊剣!】
 敵の攻撃を凌ぎきったところで、メイティナはユーベルコードで反撃に転じる。時間を消し飛ばし、汎ゆる起源や力を破壊する【破滅の壊剣】は、枝や根ごとエントレットの本体を切り裂く。薪割りのように真っ二つにされた敵は『グオオォォォオ?!』とうめき声を上げて斃れ、跡形もなく消滅した。
「天誅ぅぅぅぅぅぅ!」
 合わせて裕士も【クレセント・スラッシャー】を発動し、極超音速の蹴りで敵をなぎ倒す。その軌跡に残る三日月型の衝撃波は彼の足場となり、同時に追撃となってエントレットの群れを攻め立てる。即死攻撃を除けばヒットポイントや防御力は一般モンスター並みだ、パターンに入ればサクサクと狩れる。

『『グオアアァァァアァ……!!』』
 メイティナと裕士の連携攻撃にやられたエントレット達は、無念そうに叫びながら殲滅され。彼らの亡骸が消滅したあとには、キラキラ光る材木アイテムが残っている。炎属性ダメージで倒さなかったおかげか、ドロップ率はそこそこある。
【ドロップアイテムゲットです!】
「これでボスの即死攻撃にも対応出来るな……」
 今回のクエストボスである『絶叫』のマゴラは、このエントレットよりもさらに凶悪な即死技を放ってくるらしい。
 その対策となるアイテムを無事入手した二人は、万全の体勢でいざダンジョンへ。ここから先もより危険な即死が、彼女達を待ち受けているだろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菜花・深月
うわあぁぁぁぁ!即死…怖いぃぃぃぃ!で…でもやるしかない、よね!
昔のトラウマ(https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=53337)を思い出し少し泣きそうになったが心を持ち直した

ひいぃぃぃ!あ…危ない!
念動力を纏った結界術で相手のUCを防御します

と…とりあえず、囲まれないようにしないと!
結界術を展開しながら推力移動で囲まれないように広い場所へ移動する

行くよ!まずは殲滅するよ!
うちはUCを発動して拘束する星矢を放ち敵を拘束してから殲滅光を放ち攻撃する

…行けぇぇぇ!
UCの効果でUC氷刻矢雨の月矢を発動して周りの敵を凍らせた

うちは即死を防ぐアイテムを手に入れた



「うわあぁぁぁぁ! 即死……怖いぃぃぃぃ!」
 まだ猟兵になる前、バグプロトコルの即死攻撃でゲームオーバーとなり、遺伝子番号ジーンアカウントを失った菜花・深月(止まった時間が再び動き出す時・f41809)は、昔のトラウマを思い出して少し泣きそうになっていた。人権を奪われてから統制機関コントロールを脱出するまでの期間は、今でも振り返りたくない地獄の記憶だ。
「で……でもやるしかない、よね!」
 しかし今の彼女はゲームプレイヤーではなく猟兵。かつての自分のような思いをする人を増やさないためにも、心を持ち直してクエストに挑む。そこにはバグプロトコルに汚染されたモンスターやダンジョンが、凶悪な即死バグを引っ提げて待ち構えているとしても。

『オオォォォォ……!』
「ひいぃぃぃ! あ……危ない!」
 クエストに参加して間もなく、深月に襲いかかってきたのは大量の『エントレット』。ただの拘束攻撃から即死攻撃と化した【ボンデージスレイヤー】を、彼女は念動力を纏った結界で防御する。触れただけでアウトと考えると肝が冷えるが、冷静になれば対処できない攻撃ではない。
「と……とりあえず、囲まれないようにしないと!」
 恐怖と焦りを押し殺し、結界術を保ったまま、推力を放出して高速移動。巨木の群れに囲まれないように、なるべく森の開けた場所へ移動する。彼女のジョブは月穹士――射撃に有利なポジションを確保できれば、雑魚モンスターくらい一網打尽にできる。

「行くよ! まずは殲滅するよ!」
『グオオォォ!?』
 深月は【星矢と殲滅光の輪舞曲】を発動し、青い大弓から確定拘束効果のある星矢を発射。エントレットの枝や根を縫い止めるように動きを封じた後、防御無視ダメージの殲滅光を放つ。月と星々の祝福を宿した閃光に包まれた敵は、次々に倒れていった。
「全部やっつけてやる……これがうちのとっておき!」
 深月の攻撃はそれで終わりではなく、直後に【氷刻矢雨の月矢】を矢に番える。天に向かって放たれた矢は、空中で無数の氷の雨となって降り注ぐ――それは必中かつ耐性無視の確定凍結状態を与える、恐るべき絶対零度の矢だった。

「……行けぇぇぇ!」
『『グァァァァァァ―――!!!』』
 トラウマを振り切るような深月の叫びと同時、冷たき月矢の豪雨を浴びたエントレット達は断末魔と共に凍りつき、ヒットポイントを失って消滅する。残っていたのはキラキラと光る材木の欠片、この種のモンスターだけがドロップするレアアイテムだ。
「これがあればボス戦は大丈夫、なんだよね……!」
 このアイテムが今回のバグプロトコルのボスの即死を防ぐと聞いていた深月は、大事にそれを回収してしまいこむ。
 まだトラウマは残っているかもしれないが、精神的な意味でもこれが多少のお守りになるだろうか。震えそうになる肩を抱いて、少女は先に進んだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

東・御星
※アドリブ歓迎・合わせ歓迎

基本的に一緒に参加している猟兵達をサポートする形で
立ち回ります。
皆、気を付けてね!私の策がどこまで有効かは分からないけど!
【UC】による味方全体の即死や負傷回復・対象の存在消滅までの
時間を稼ぐ間、まあ私締めあげられちゃってるし、
絶影は自律行動型なので、いっその事囮になるよ。
かといって何もしないわけじゃないんだけどね。
GRANDビットは幸い自立稼働するから、それで立体機動を描いての
飽和攻撃の【弾幕】を張っての可能な限りの抵抗を試みる。
もし即死しても粉雪で即座に復活するからまあ。

で、戦闘が終わってもし知り合いとかいたら、
せっかくだから依頼中ご一緒しない?と誘ってみよう。


ミノア・ラビリンスドラゴン
凶暴化モンスターの討伐、定番クエストですわね!
それだけに即死トラップなんて仕掛けられていたら被害者続出!
ドラゴンプロトコルとして見過ごせませんわー!

典型的な植物系モンスターですわね!
弱点の火属性で処すのが定番ですが……材木を集めるために伐採ですわー!

乱れ舞う木の葉カッターの軌道を【戦闘演算】で読み切り、【ダッシュ】回避ですわー!
聖剣士グラファイトフェンサーの機動力は伊達じゃなくってよー!

ドラゴン偃月刀を振り被り! 【ドラゴニック・パニッシャー】!!
ズバっと【切断】! 切れ味抜群でしてよ!

さぁーて! お楽しみの【素材採取】タイムですわー!!
【幸運】でレアドロを狙っていきますわよー!



「凶暴化モンスターの討伐、定番クエストですわね! それだけに即死トラップなんて仕掛けられていたら被害者続出!」
 ゲームの管理者という目線から見ても、このクエストを汚染したバグプロトコルは目の付け所がいい(悪い)と言わざるを得ない。普段から迷宮の開発費に苦心し、金策のために色んなクエストを奔走しているミノア・ラビリンスドラゴン(ポンコツ素寒貧ドラゴン令嬢・f41838)には、よく分かる。
「ドラゴンプロトコルとして見過ごせませんわー!」
 被害者が増える前にクエストを正常化すべく、彼女は「ドラゴン偃月刀」を担いで意気揚々と討伐クエストに挑む。
 中身がちょっとポンコツなことを知らなければ、その美貌、その装い、その佇まいは、高貴で頼もしい竜の姫君だ。

「皆、気を付けてね! 私の策がどこまで有効かは分からないけど!」
 丁度ミノアと同じタイミングでクエストを受けたのが、東・御星(紅塵の魔女・f41665)。この依頼では一緒に参加している猟兵をサポートすると決めていた彼女は、自律戦闘端末の「GRANDビット」を伴って森のフィールドに挑んだ。
『ウオォォォ……』
 二人の前に立ちはだかる最初の障害は『エントレット』。樹木そのものが歩いているような見た目のモンスターで、枝や根による拘束や木の葉飛ばしによる遠距離攻撃を得意とし、一方で火属性のダメージには弱い。だが燃やしてしまうとレアアイテムのドロップ率が下がるという、ちょっとしたギミックも仕込まれている。

「典型的な植物系モンスターですわね! 弱点の火属性で処すのが定番ですが……材木を集めるために伐採ですわー!」
 そのレアアイテムが今後のクエスト攻略で必要になることを知っているミノアは、エントレット達に接近戦を挑む。
 対する向こうは【木の葉乱舞】と【ボンデージスレイヤー】で応戦。舞い散る無数の木の葉、縄のようにうねる枝や根、その全てが即死攻撃と化しているとなれば近付くのは容易ではない。
聖剣士グラファイトフェンサーの機動力は伊達じゃなくってよー!」
 しかしミノアは乱れ舞う攻撃の軌道を戦闘演算で見切り、ダッシュで回避する。豪奢なドレス姿でダンスを踊るかのような俊敏な身のこなしは、まさに一流の戦士のもの。もともと紙装甲で知られる聖剣士からすれば、即死だろうがそうでなかろうが戦い方に違いはなかった。

「あの人やるなあ……攻撃は任せちゃって良さそうだし、いっその事囮になるよ」
 果敢に攻めていくミノアのスタイルを把握した御星は、モンスターの気を引いて味方をサポートすべく、GRANDビットから飽和攻撃を仕掛けた。9基でワンセットの端末群はバラバラに立体機動を描きながら、主の意のままに弾幕を張る。
「こっちだよ」
『オォォォォ……!』
 ターゲットが一人から二人に増えれば、そのぶんエントレットの攻撃は分散する。自分のほうに引き付けた敵の猛攻に、御星はビットと共に可能な限りの抵抗を試みる。ここで自分が即死攻撃に晒され危機に陥るところまで含め、彼女の作戦通りである。

「囮になるかといって何もしないわけじゃないんだけどね」
 御星が死の危機に瀕する時、自動的に発動するユーベルコード【氷炎龍捌ノ型・完了形「絶影」】。彼女を救うために現れた氷炎の龍が、粉雪と温度のない炎を戦場に撒き散らす。これらは味方には癒やしを、敵には滅びをもたらす、攻防一体の妖術だ。
『グオアァァァ!?』
 温度のない炎に包まれたエントレットは、燃えるのではなく跡形もなく消滅する。対象が世界に存在するための事象――この世界ならプログラムを崩壊させ、滅びに導くのがこの炎の力だ。即死バグを除けば一介の雑魚モンスターに、耐えられるような攻撃ではない。

「この粉雪が降ってる間は、もし即死しても即座に復活するから!」
「助かりますわー!」
 破滅の炎と回復の雪のサポートを受けながら、敵陣ど真ん中に飛び込んでいくミノア。絶影の雪がもたらす回復効果は強力なものだが、それで彼女の戦闘スタイルは特に変わらない。すぐに復活できたとしても一度死ぬとクエストからは退場扱いになってしまうので、避けられるなら避けたほうがクエストを受注しなおす手間が減るためだ。
「ドラゴンの裁きをお受けなさい!! 【ドラゴニック・パニッシャー】!!」
『ウグアアァァァーー……!!』
 ドラゴン偃月刀を振りかぶり、ユーベルコードを一閃すれば、たちまちエントレット達は真っ二つ。即死効果なんて無くたって、このレベルのモンスター相手なら十分すぎる攻撃力だ。まるでゲームのジャンルが変わったかのように、ばっさばっさと敵を斬り伏せ無双する。

「切れ味抜群でしてよ!」
「すごいね!」
 ズバッと敵を斬りまくるミノアと、ビットと炎の波状攻撃を浴びせる御星。二人の連携により周囲のエントレットはあっという間に駆逐されていった。『グオァァァ……!』と虚しげな断末魔を残して、騒がしかった森に静寂が戻る。
「さぁーて! お楽しみの素材採取タイムですわー!! レアドロを狙っていきますわよー!」
 敵を倒せばミノアはいそいそとドロップアイテムの回収を始める。この瞬間が狩りの一番の楽しみと言ってもいい。
 ちなみに温度のない炎による攻撃はエフェクトこそ炎だが炎属性ダメージとは判定されないらしく、ドロップ率の変動はなかったのが幸いだ。

「ありましたわー!」
「こっちも見つけたよ」
 程なくして伐採されたエントレットの残骸から、キラキラ光るレアな材木アイテムを幾つか発見したミノアと御星。
 二人はそれを自分の荷物にしまうと、いざボスの潜むダンジョンへと向かう。この先にもまだまだ大量の即死バグが待ち構えているだろうが、彼女達の表情に不安はなかった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リュール・ディールーク
尻尾を掴みましたよ…ですがまずはこちらの敵を倒さなければいけませんね!
(マゴラがドロップするアイテム狙いで来ました)

…行きますよ!
相手のUCが発動されたのと同時に『心眼で枝や根をリベラシオンの斬撃で切り裂き』薙ぎ払います

はあ!
『第六感で防ぎきれなかった枝や根はシャドウパリィで弾いた後ブレスで消し飛ばします』

属性誓約!鎧山毒神龍!
UCを発動して壊毒を纏った『斬撃波を素早く放ち敵を切り裂き』攻撃

ルアン!私に力を!
UCの効果でUC解放する真実の剣を発動して背中にある勇者の剣を引き抜き周りの敵を消し飛ばした

アイテムドロップっと…まだレントのようにルアンを使いこなせてませんね…う〜ん、どうしましょうか…



「尻尾を掴みましたよ……」
 討伐クエストのボスに成り代わり、即死バグで汚染したバグプロトコル『絶叫』のマゴラ。リュール・ディールーク(時を駆ける邪龍〜皆の止まった時間を動かす為に〜・f42338)は以前からその存在を知っており、奴がドロップするアイテムを狙ってこのクエストに参加した冒険者だった。
「……ですがまずはこちらの敵を倒さなければいけませんね!」
 凶悪な即死攻撃を操るマゴラを攻略するには、即死対策となる『エントレット』のドロップアイテムはほぼ必須だ。
 もちろん、即死バグに侵されたモンスターを放置できない側面もある。何も知らない一般プレイヤーが殺されるのは彼女も望む所ではなかった。

『ガオオォォォ……!』
「……行きますよ!」
 クエスト開始。エントレット達が【ボンデージスレイヤー】を発動すると同時に、リュールは神剣「リベラシオン」を抜いた。使い手の真っ直ぐな心を反映した白銀の刃は、即死バグにまみれた枝や根をすぱっと切り裂き、薙ぎ払う。
「はあ!」
 剣一本で防ぎきれなかった攻撃はシャドウパリィで弾いた後、ブレスを吐いて消し飛ばす。人間の姿をしていても、彼女の正体は邪龍――身体能力も心眼も第六感も常人とは比べ物にならない。何十本もの枝や根をほぼ完璧に見切り、一度もヒットせずに凌ぎ切っている。

「属性誓約! 鎧山毒神龍!」
『グオォォォォ……?!』
 次は反撃だ。ユーベルコードを発動したリュールは毒の棘に包まれた鎧を纏い、剣から壊毒を纏った斬撃波を放つ。
 この毒は内側から身体を蝕んでいく致命的なものだ。切り裂かれたエントレット達の樹木が、傷口から腐れたように朽ちていく。
「ルアン! 私に力を!」
 さらに彼女は【解放する真実の剣】を同時発動。背中にぶら下げていた大剣『ルアン・メイ』を青鞘より引き抜き、両手で構える。勇者の剣とも称されるこの武器には聖なる力と邪悪な力の両方が宿っており、それが解放される瞬間に生じる波動は時間すら吹き飛ばすのだ。

「支配から解放する剣、ドミネイトフォース!」
 高らかに叫びながら勇者の剣を振るうリュール。聖邪の輝きに包まれた刃がモンスターの群れを消し飛ばしていく。
 時間、そして起源までも粉砕する文字通りの「必殺技」を受けて、雑魚モンスターが無事で済むはずがない。周囲にいたエントレット達は一瞬にして壊滅に陥った。
『ギャオォォォォォ……!!!!』
 斬撃の波動が収まった後、エントレット達のいた場所にはキラキラ光る材木が残っている。これがマゴラの即死攻撃を無効化できるというレアなドロップアイテムだろう。落ちていたのは1~2個だが、最低1つあればお守りになる。

「アイテムドロップっと……まだレントのようにルアンを使いこなせてませんね……」
 どうやら剣の力を振るった際、敵と同時にアイテムまで消し飛ばしてしまったようで、ドロップ率が低いのはそのせいもあるのだろう。完璧に力を制御できていればこうはならなかったはず――形としては完勝だがリュールにとっては課題の残る結果だった。
「う~ん、どうしましょうか……」
 これでは今後のボス戦にも不安はあるが、立ち止まっていても仕様がない。道すがら思考を巡らせながら先に進む。
 深い森の奥には朽ちた遺跡のダンジョンがある。彼女が探していた相手は、その最奥で待ち構えているはずだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジュン・フェレット
木が動くって、なんか実感できないんです。
ぼくたちの住んでるところなんて、普段、植物が動くことないですし。
それでも、時折植物がバイオモンスターで襲い掛かる事もあるのですけどね。
それでも、普段通りだと違和感持つんです。
ま、それはいいんですけど。
念のためスタート地点にあらかじめワープ扉を作ってからその敵のいるところまで進んでから近くに2つ目のワープ扉作って敵の背中を登ってから爪で首筋ガリガリやってから一旦地面に降りて3つ目の扉設置、スタート地点の扉消して別の近くにもう一つの扉設置。
「これで準備万端です」
その後、敵の股潜ったり敵の足や背中登って爪でガリガリしたり、小さい身体を利用して敵同士を相打ちさせたりする。
そんで、ワープして翻弄する。
不意打ちにもなるので、ワープ扉は積極的に使う。
「ま、植物に知能ついて厄介になるタイプって、大抵デカい木だし、君たち、どう見てもそんな感じじゃないからね」



「木が動くって、なんか実感できないんです。ぼくたちの住んでるところなんて、普段、植物が動くことないですし」
 普段はどっかの誰かさんの家の屋根裏で暮らしているジュン・フェレット(フェレットさん・f42449)の常識では、植物とは地面に根を張って不動のものだった。ゲームの世界では「人を襲う植物」は良くあるモンスターの一種だが、賢い動物である彼には馴染みが薄い。
「それでも、時折植物がバイオモンスターで襲い掛かる事もあるのですけどね。それでも、普段通りだと違和感持つんです」
 なので、いざ実際に森を闊歩する『エントレット』の群れを見ると、不思議な印象を受ける。根っこにあたる部位を足のように使い、枝を腕のように振って、のしのしと二足歩行する姿は巨人のよう。フェレットから見上げた時のサイズ差は何倍になるだろうか。

「ま、それはいいんですけど」
 未知との遭遇の驚きもそこそこに、ジュンはあらかじめスタート地点に不可視の次元扉を作っておく。一度に3つまで設置できるこの扉は【インフィニットゼロ】のワープ地点である。もしクエスト途中でピンチに陥っても、すぐにここから再スタートできるわけだ。
「次はここに作って、っと」
 そこからエントレット達のいるところまで進むと、ジュンは2つ目のワープ扉を設置。そのまま相手の元に近付くと、小さな体を活かして背中を駆け登り、挨拶代わりに首筋をガリガリしてやる。愛玩動物としての印象も強いフェレットだが、捕食者の面も持ち合わせており、その爪は十分以上に鋭い。

『グオアァァァ……?!』
 爪研ぎに使われたエントレットはうめき声を上げながら巨体を揺さぶり、枝で背中を引っ叩こうとするが、叩き落される前にジュンはひょいと地面に飛び降り、そこに3つ目の扉を設置。さらにスタート地点の扉を消して、近くにもう1つ扉を作る。
「これで準備万端です」
『オオオォォォ……!』
 眼の前には怒ったモンスターの群れ。バグプロトコルの影響を受けた彼らは、全ての攻撃が即死バグと化している。
 その巨体から伸びる枝や根の、どれか一つに当たっただけでもアウト。しかしジュンは慌てずに、ひょいと身を躱して次元扉に飛び込んだ。

「こっちですよ」
『オオッ?!』
 扉の向こう側にある静止した時の世界を抜け、別の扉から飛び出す。エントレット達からすれば、ジュンが瞬間移動したように見えるだろう。次元扉は彼にしか見えず、彼にしか使えない。不意打ちに利用するにはもってこいだった。
「どこを見てるんですか?」
『オォォ……?』『オアァ??』
 そのまま彼は敵の股を潜ったり、また足や背中に登ったり、小さい体を活かして散々にエントレット達を翻弄する。
 消えたり現れたりするすばしっこい小動物を追い回すうちに、敵はすっかり混乱してしまい、ついには同士討ちまで起きる。そうなると即死バグは彼らにとってデメリットにしかならず、仲間を即死させてしまう事故が多発した。

「ま、植物に知能ついて厄介になるタイプって、大抵デカい木だし、君たち、どう見てもそんな感じじゃないからね」
 いくら動けるようになったからといって、所詮はゲームのプログラム。ワンパターンな挙動しか取れない植物達は、賢い動物の敵ではなかった。縦横無尽に森を駆け回り、木々をひっかき、異空間に隠れる。そうするだけで敵は次々と力尽きていくのだ。
「それじゃ、アイテムだけ貰っていくよ」
『グオ……オォォ……』
 倒れたエントレットからドロップアイテムのレアな木材を拾い上げ、トコトコと森の奥に進むジュン。ケガどころか毛並みに乱れひとつない、まったく余裕の表情である。どんなに小さくても猟兵を侮ってはならないと、敵もあの世で身に沁みたことだろう――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『ワープトラップ』

POW   :    ワープ床を破壊する

SPD   :    慎重にワープ床を避けて歩く

WIZ   :    目的地へ繋がるワープ床を見つけ出す

イラスト:ハルにん

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 バグプロトコル化した『エントレット』の群れを蹴散らした猟兵達は、クエストボスの潜むダンジョンに辿り着く。
 森の奥で苔と植物に呑まれかけていたその遺跡は、不自然なほど生き物の気配を感じなかった。恐らくはボスが放つ即死バグに巻き込まれ、全て死に絶えてしまったのだろう。

 遺跡の内部は、この手のゲームとしてはオーソドックスなダンジョンとなっている。
 枝分かれした通路や小部屋を調査し、ゴールとなるボス部屋にたどり着ければクリアだ。
 だが厄介な事に、このダンジョンには至る所に「ワープ床」のトラップが仕掛けられている。

 本来はダンジョン内の別の場所に冒険者をワープさせ、道に迷わせるギミックだが、即死バグに汚染されたワープ床は「壁の中」や「地面の下」など、出口も空気もない空間に冒険者を生き埋めにする即死トラップに改悪されている。
 もちろん猟兵でも引っかかれば無事ではすまないだろう。即死したくなければとくかく罠を踏まないようにするしかない。

 ワープ床は魔法陣のようにあからさまなものもあれば、一見分からないように偽装されたものもある。
 警戒を怠らず、慎重にワープを回避し、ボス部屋を目指せ。
 デストラップだらけの理不尽ダンジョンと化した遺跡で、猟兵達の第二の挑戦が始まった――。
ジュン・フェレット
他者転移のワープ床ですか。
あからさまなのは踏まないけど、偽装って事は、なんか上書きしているのかな??
ぼくは動物で鼻もいい感じだから、妙なにおいがしたら、そこも避ける感じかな。
もし、全面罠だらけだったらスカイステッパーで跳びながら避けるか、真空刃で床に傷入れるかする感じです。



「他者転移のワープ床ですか。あからさまなのは踏まないけど、偽装って事は、なんか上書きしているのかな??」
 生物の気配のしない遺跡の中を、とことこと歩く一匹のフェレット。ジュンの目で見た限りでは、このダンジョンに仕掛けられたワープ床はごく一部しか分からなかった。大半は普通の床と見分けがつかないようカモフラージュされ、プレイヤーを地獄送りにしようと待ち構えている。
「ふんふん……この辺かな?」
 しかし動物である彼は目だけでなく鼻が利く。くんくんと妙な匂いを嗅ぎつければ、そこを避けて通ることで危険を回避していた。さながら地雷原の上を駆けるが如しだが、彼の足取りに迷いはなく、傍目には散歩しているようだ。

「うわ。これはひどいですね」
 しかしここはバグプロトコルの手が加わったダンジョン。奥に進むにつれジュンが行き着いたのは、脚の踏み場もないほどにワープ床が敷き詰められた超危険地帯だった。これはもう高難易度というレベルではなく正攻法でのクリアを想定されていない、ただの理不尽と化している。
「まあ、ぼくなら通れないことはないですけど」
 ジュンはぴょんぴょんと【スカイステッパー】で空中を連続でジャンプし、全面罠だらけの地帯を跳び越えていく。
 スカイランナーにしてスカイダンサーである彼にかかれば足場など極論どうとでもなる。動物用レガリアスシューズを履いて軽やかに空を駆ける、その姿は実に愛くるしい。

「それっ」
 連続ジャンプの回数が尽きそうになると、ジュンは真空刃を放って床に傷を入れ、安全を確認してから着地する。
 一番危険なエリアは抜けられたが、匂いからしてまだこの先にもトラップは仕掛けられていそうだ。ボス部屋までの道のりは遠い。
「敵は逃げないみたいだし、慎重に行こうかな」
 獣の五感と警戒心を研ぎ澄ませ、小さな歩幅で俊敏に。即死トラップを見事に避け、ダンジョン攻略は順調のまま。
 柔和な表情を浮かべながらも、捕食者の瞳はまっすぐに、この最奥にいるであろうレイドボスを見据えていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

才堂・紅葉
【アドリブ・連携歓迎】

うわ、えっぐ…
今の状況でワープ罠はほぼ即死じゃない
なんとか出来ない事もないかもだけど、我が身で試す気には流石になれないかな

「まぁ餅は餅屋。アルダワでこう言うのは慣れてるんだけどね」
腰のカードホルダーから召喚符を取り出して、1セット12体の自走式鼠ガジェットを召喚
先行させてワープ罠のないルートを見つけて安全を確保しよう
もちろん自前の工作員としての経験での警戒も怠らずにだ

「あいつらの仕事だから、命預けるのはちょっと不安なのよね」



「うわ、えっぐ……今の状況でワープ罠はほぼ即死じゃない」
 本来はプレイヤーを迷わせるための移動系ギミックも、バグプロトコルの影響を受ければ理不尽な即死バグと化す。
 至る所にそれが敷き詰められた遺跡のダンジョンで、紅葉は思わず顔をしかめた。ひとつでも踏んでしまえば最後、生き埋めにされるなんて冗談じゃない。
「なんとか出来ない事もないかもだけど、我が身で試す気には流石になれないかな」
 それが出来るなら、そもそも引っ掛からなければ良い話でもあるし、彼女は下手な冒険はせずに堅実な攻略を選ぶ。
 とはいえワープ床は一目で見てわかるものだけでなく、巧妙に普通の床に偽装されたものもある。全て回避するのはなかなか骨が折れそうだが――。

「まぁ餅は餅屋。アルダワでこう言うのは慣れてるんだけどね」
 災魔を封じた迷宮学園の出身である紅葉から見れば、ここのダンジョンの造りは寧ろシンプルなほうだ。腰のカードホルダーから召喚符を取り出すと、彼女は【アルダワ符術:機構召喚符(学生作)】を起動。1セット12体の自走式鼠ガジェットを召喚する。
「けったいな試作品押し付けられたわね。今度は当りだと良いけど」
 紅葉はそれをダンジョンに先行させて、ワープ床のないルートを探らせる。もし罠に引っかかっても大した損失ではないし、鼠一匹で罠一つを炙り出せるなら儲けものだ。ちょろちょろと駆け回るガジェットが安全を確保した経路を、自分は後から進めばいい。

(もちろん自前の警戒も怠らないけどね)
 工作員としての経験豊富な紅葉は、どんな類であれトラップや脅威には鼻が利く。鼠達を先行させたルートだからと言って油断はせず、小石や小枝を落としてみたり、自分の五感とセンスで安全を確認するのを忘れない。まあ、ここまで念入りなのはもう一つ理由があるのだが。
「あいつらの仕事だから、命預けるのはちょっと不安なのよね」
 あのガジェットの制作者はアルダワ錬金科の学生達。紅葉は彼らの作品のテスターを引き受けているのだが、基本的に連中は頭のネジが外れているというか――技術的には大したものでも、信頼性において甚だ疑問が残る。そんなモノばかりテストさせられているので、必然的に警戒心が磨かれたのである。

「まあ、今回は大丈夫だったみたいだけど」
 突然爆発したりあらぬ方向へ暴走したりすることもなく、ガジェットは粛々と務めを果たしている。数体がワープ床の餌食となり殉職したが、そのお陰でルートの確保はできた。再三の安全確認の後、ただの床だと判明した場所だけを紅葉は踏みしめる。
「さっさと通り抜けたい所だけど、焦ったらミスするからね」
 即死を恐れて気が逸れば、それこそ命取りになると歴戦の工作員は知っている。常に冷静さを保ち、荒れた石の感触を靴裏に感じながら、一歩一歩先に進む。スピーディにとはいかずとも、ボスのいるゴールまでの道程を、彼女が迷うことはなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルマ・アルカレイト
チーム錬金術士

属性攻撃…刹那の無限回転発動

錬金術と罠使い…罠破壊属性の錬成弾を錬成

クイックドロウ…素早く弾丸を放つ

念動力と斬撃波…緋智が使用する技能


さあ、早速ボス部屋に向かうわよ!
『えっとあのね…アルマちょっと試したい事があるの』
ヒサがそう言うとUCを発動して床に斬撃波を放つとその念動力を纏った斬撃波は消滅して横の壁が吹き飛んだ

ちょっ?!浮いていたよね、あの斬撃波
『やっぱり浮くだけじゃ駄目みたいだね…』
私達はどうするか考えていたが

よし!ならこれで対処よ!
行き当たりばったりじゃ駄目という事が分かり錬金術で作った錬成弾を床に放つ

よし!このままボス部屋に進むわよ!
錬成弾で罠を破壊しながら進む事にした


東・慶喜
チーム錬金術士

錬金術と罠使い…罠破壊属性の錬成弾を錬成

クイックドロウ…素早く放つ

属性攻撃…刹那の無限回転発動

視力…分かりやすい罠を見る



いやいや…即死トラップだらけやから気を付けて進まなあかんぞ、アルマ
とアルマに注意を促しているとヒサが試したい事があるといい斬撃波を放つと罠が起動して壁が破壊された

おいおい、斬撃波が壁に移動しとるやないか
とトラップの対策を考えているとアルマが罠破壊の弾丸を放つとバキンと音が響き渡った

俺も手伝うで!
俺もUCを発動した後、罠破壊の錬成弾を放ち罠を破壊する

よっしゃ!二人共、ボス対策のアイテムはあるな?じゃあ行くで!
ええ!と『うん!』と返事をくれたのでそのまま進む事にした



「さあ、早速ボス部屋に向かうわよ!」
「いやいや……即死トラップだらけやから気を付けて進まなあかんぞ、アルマ」
 ボス戦に向けてすでに気が逸っているアルマに、落ち着くよう注意を促す慶喜。彼女らの眼前には入り組んだ遺跡の通路が続いており、ここを抜けた先にバグプロトコルはいる。ただ、その道中あちこちに配置された即死ワープ床が、最大の問題だった。下手にこれを踏んでしまうと壁の中や地面の下に埋められ、そのままお陀仏である。
『えっとあのね……アルマちょっと試したい事があるの』
 ではどうするのかと顔を突き合わせていたところに、口を挟んできたのは緋智。彼女は徐ろにに【朧月夜・冥道神機『緋智』】を発動すると、ワープ床に向かって斬撃波を放つ――すると、念動力を纏ったその一撃はフッと消え去り、直後に横の壁が吹き飛んだ。

「おいおい、斬撃波が壁に移動しとるやないか」
「ちょっ?! 浮いていたよね、あの斬撃波」
『やっぱり浮くだけじゃ駄目みたいだね……』
 どうやらトラップとの接触判定がシビアになっているらしく、相当に高度を上げなければワープ床の上を通った時点で転送されてしまうらしい。いかにもバグプロトコルがやりそうな性格の悪い仕様だが、引っかかる前に判明したのは良かった。
「ほな、どうする?」
「うーん……」
 行き当たりばったりではダメという事が分かった以上、しっかり対策を考えないといけない。アルマと慶喜達は首を捻ってどうするか頭を悩ませる。しかし、考え込む時間はさほど長くはない――こういった時に「チーム錬金術士」のメンバーが持ちうる手札は、やはり錬金術であった。

「よし! ならこれで対処よ!」
 アルマはアルケミック・ガンナイフ『ヘルパー』を抜くと、たった今錬成した新しい弾丸を放つ。刹那の無限回転を発動しながら飛んでいった弾丸は、先程の斬撃波のようにワープさせられる前に、床と接触した瞬間バキンと音を響き渡らせた。
「俺も手伝うで!」
 それが罠の破壊を目的にした錬成弾だと察した慶喜は、自身も同様の弾丸を錬成銃『テスタロッサ』から発射する。
 分かりやすい罠の位置を見極めた上で、【浄化の竜巻】を纏いながら放たれた弾丸は、床に施されたワープの術式を吹き飛ばして罠を無力化する。これで、この通路の安全は確保できた。

「よし! このままボス部屋に進むわよ!」
「よっしゃ!」
『わかった!』
 錬成弾の有効性を確認したアルマは、怪しいと思った場所には素早くそれを連射して、罠を破壊しながら先に進む。
 慶喜も一緒になって罠破壊に勤しみ、緋智が斬撃波で罠を炙り出しながら後に続く。三人がかりで片っ端から潰していけば、取りこぼしたワープ床に引っかかることもないだろう。
「だいぶ奥まで来たんじゃない?」
「せやな、もう一息や」『私もそう思う』
 バキバキと破壊音を響かせながら進むうちに、三人はダンジョンのかなり深いエリアまで到達していた。ここまで来ると入口とは雰囲気の違いを肌で感じられる。ワープ床の数も増えてきているし、ボスのいる部屋まで着実に近付いているようだ。

「二人共、ボス対策のアイテムはあるな? じゃあ行くで!」
「ええ!」『うん!』
 エントレット戦で手に入れた材木を改めて確認してから、慶喜、アルマ、緋智の三人はダンジョンの奥へと向かう。
 この即死バグをばら撒いた諸悪の元凶――『絶叫』のマゴラを倒すために。錬金術士達の表情に、静かな闘志が漲り始めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

東・御星
共闘歓迎

さて、次はダンジョン突破……。
床のトラップに関しては【二人乗り】の箒に乗って
【空中浮遊】【推力移動】で対処できるとして、と。
迷ってる人もこれで対処。
問題は他のトラップだね…?
でも、大丈夫。問題ない。
縁死、解放……全エリアの縁(ステータス)、フルオープン!
私の眼に様々な縁が見える。
人も物も、私の眼にごまかせるものはないと知りなさい!
出口はあっち!

私には、片思いしている人がいる。
ずっと怖がってた。あの子の前でどんな顔をすればいいのか。
けど、違うよ。私は貴女の本当の気持ちを知りたいだけ。
それさえ知れれば私は胸を張れる。
同じ空の下、遠く離れて想い合う、素敵じゃない。
だから、俯いて、たまるか。



「さて、次はダンジョン突破……」
 エントレットとの戦いを制した御星が次に挑むのは、バグプロトコルのボスが潜む遺跡。踏んだら生き埋めにされるワープ床を始め、即死トラップが散りばめられた危険なダンジョンだ。たとえ猟兵でも油断すれば命取りになりうる。
「床のトラップに関しては箒に乗って、空中浮遊と推力移動で対処できるとして、と」
 おとぎ話の魔女が使うものとは違う、近未来的なデザインの戦闘用箒「ツーサイドロッドバレルVer.2.0」に跨って、彼女は遺跡内部を飛行する。高度をギリギリまで上げて床から離れておけば、強制ワープを食らう心配はないだろう。

「問題は他のトラップだね……?」
 ゲームのダンジョン、それもバグプロトコルに汚染されたものなら、床以外にも罠が仕掛けられている可能性を御星は危惧していた。床ばかりを警戒させて壁や天井にワープの術式を仕込んでおくとか、意地の悪いデザイナーならやりそうなことだ。
「でも、大丈夫。問題ない。縁死、解放……全エリアの縁、フルオープン!」
 彼女が持つ【縁死の魔眼】は人の縁を糸として視認する能力だ。応用すれば対象の個人情報――ゲーム的に言うならステータスを開示させることもできる。どこにトラップやギミックがあるのかも、部屋と通路の繋がりも丸分かりだ。

「私の眼に様々な縁が見える。人も物も、私の眼にごまかせるものはないと知りなさい!」
 かつて東家の始祖が神より授かったという権能を、先祖返りで発現した御星は、その力を存分に活かしてダンジョンを攻略する。不自然に伸びた「縁の糸」を見てトラップを回避し、分かれ道でも同様に縁を視て正解のルートを探る。
「出口はあっち!」
 一度コツを掴んでしまえば道中は順調そのもので、迷いなく先へ先へと進んでいく。彼女が跨っている箒は二人乗りなので、もし迷っている猟兵がいれば乗せていくつもりだったが――現状は他のメンバーも攻略は捗っているようだ。自分も遅れる訳にはいかないと、推力を増して速度を上げる。

(私には、片思いしている人がいる。ずっと怖がってた。あの子の前でどんな顔をすればいいのか)
 ダンジョンを攻略しながら、御星は心の中で独白する。かつて失恋により心に傷を負った彼女は、当て所ない放浪を続けていたが、宿縁を予期して戦線に復帰したという経緯がある。そうして再び結ばれた縁に対して、どのような向き合い方をすれば良いか、彼女は長く迷い続けていた。
(けど、違うよ。私は貴女の本当の気持ちを知りたいだけ。それさえ知れれば私は胸を張れる)
 答えを出せたのはつい最近のこと。求めていたものはごくシンプルだったと分かれば、狭まっていた視野が一気に開けた。その相手は今ここにはいないけれど、その人のことをただ思うだけで心が燃え上がる。前に進む原動力になる。

「同じ空の下、遠く離れて想い合う、素敵じゃない……だから、俯いて、たまるか」
 どんなに遠くにいても縁は繋がっていると、自分には"視えて"いるから。細くて強い糸をよすがとして御星は飛ぶ。
 この依頼を終えたあと、果たして彼女は片思いの相手に想いをぶつけられるのだろうか。少なくとも、こんな場所で死んでいるヒマなんてないのは確かだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黎明・天牙
夢幻戦線

『いえぇぇぇぇぇい!』『イヤッホォォォ!』『ヒャッホォォォォォォ!』『マーガァァァァァァリン!』『マッスルぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!』
あっ雀達、消えた
UC狂気の連雀レンジャーズの効果で勝手に出てきた雀達がダンジョンを走り回って勝手に罠に嵌って消滅した

『インフィニティィィィィィィィィ
』×∞
なんか…勝手に雀達が罠にかかってくれているな
雀達が次元の力で床や壁から脱出してダンスを踊りながら再び罠にかかり消滅した

俺も罠を消してやらないとな…ちゅんちゅん〜!
指定UCを発動して奇跡の力で罠を消滅させながらボス部屋に進む事にした

ティニ、ライメイザ、準備はいいか?行くぞ、お前等
UCを解除した後二人に声をかけた


レティシア・ハルモニアス
夢幻戦線

『えっ…何ですか?あの雀達は?』
分からん、ヴォルガやリズもおろか天牙も知らない存在じゃ…あっ雀達が罠にかかってもうた…まあ、大丈夫じゃろう
『よ…良くは無いのでは?!』
突然ヘッドスピンをしながらダンジョンを進む雀達に困惑するライメイザに対して分からないと答えた
罠にかかった雀達が消えてもこいつ等なら大丈夫だとライメイザに告げた

それはそうと慎重に進むしか無いのう…
妾はUCの効果でUCヴァンパイアストーム“起源喰らい”を発動して罠を消し飛ばした

『では、私…えっ?!』
言ったじゃろう?大丈夫だと…
ライメイザが突然出てきた雀達に驚いた

おう、行くぞ!天牙!ライメイザ!
『はい!』
と妾達は天牙に返事をした



『いえぇぇぇぇぇい!』『イヤッホォォォ!』『ヒャッホォォォォォォ!』『マーガァァァァァァリン!』『マッスルぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!』
 バグプロトコルの即死バグに汚染されたダンジョンを、奇声と絶叫を上げて走り回る【狂気の連雀レンジャーズ】。
 つい先程まで、ここは生き物の気配のない、重苦しい静寂に包まれていたはずなのだが。謎のハイテンション集団の到来によってシリアスな雰囲気もブチ壊しである。
『えっ……何ですか?あの雀達は?』
「分からん、ヴォルガやリズもおろか天牙も知らない存在じゃ……」
 まだ彼らの奇行に慣れていないライメイザは困惑するが、その疑問を解消する答えは主君のレティシアも持ち合わせていなかった。慣れてしまった者ほど諦めて好きにさせるか、さもなくばスルーする。それ以外に適切と思われる対応を誰も知らないのだった。

「あっ雀達、消えた」
「あっ雀達が罠にかかってもうた……まあ、大丈夫じゃろう」
『よ……良くは無いのでは?!』
 天牙とレティシアが見守るなか、スズメ達はヘッドスピンしながらダンジョンを突き進んでいき、当然の帰結としてワープ床に引っかかった。普通はダンジョンの別の場所に飛ばされるだけで命に別状はないが、ここはバグプロトコルの根城――飛ばされた時点で即死だと聞かされていたライメイザは焦る。
「こいつ等なら大丈夫じゃ」
 だが、慌てふためく眷属をなだめるようにレティシアは言う。これまでにもスズメ達の奇行を散々見てきた彼女は、これしきで奴らが死ぬ訳がないと確信しているのだ。ライメイザの狼狽ぶりを見て、自分にもこんな時期があったのう――と、昔を懐かしむ余裕さえあった。

「それはそうと慎重に進むしか無いのう……」
 スズメ達が消えて静けさが戻ったダンジョンで、レティシアは【ヴァンパイアストーム"起源喰らい"】を発動。大量の吸血コウモリの群れを放って、範囲内にあるトラップを根こそぎ消し飛ばした。どこにワープ床が仕掛けられているか分からない以上、こうして総当たり的に潰していくしかない。
『では、私……えっ?!』
『インフィニティィィィィィィィィ』
 主君にならってライメイザも罠破壊に加わろうとしたところ、ふいに床や壁から声がして、消えたはずのスズメ達が飛び出してきた。次元を操る能力を持つ彼らは、ワープで生き埋めにされても窒息死する前に自力で脱出できたのだ。

『い、一体どうなって……』
「言ったじゃろう? 大丈夫だと……」
『ヒヤッハァァァァァァ!』
 何も知らなかったライメイザが驚きのあまり目を丸くする一方、どうせこんなオチだと思ったとレティシアが言い終える前に、スズメ達はダンスを踊りながらダンジョンを飛び回り、そして再びワープ床にかかって姿を消した。学習能力というものがないのだろうか、あるいはすぐに戻ってこれるので問題だとも思っていない可能性がある。
「なんか……勝手に雀達が罠にかかってくれているな」
 彼らが消えた場所にはワープ床があると分かるので、結果的にはトラップの炙り出しにもなっている。非常に騒々しい点を除けば、他のメンバーにとっては有益でさえあった。もし害になるようであれば、天牙もレティシアも最初から止めていただろう。

「俺も罠を消してやらないとな……ちゅんちゅん~!」
 流石に見ているばかりではいられないと、天牙も【『楽園』の邪神皇】を発動し、全長3mの巨大な白雀に変身。周囲に浮かべた石板と触手から奇跡の力を放ち、視界内にあるトラップを消滅させる。敵対する者に厄災と最悪の未来をもらたす力は、転じれば災厄を回避する力にもなるのだ。
「ちゅんちゅん~!」
「"起源喰らい"!」
『わ、私も!』
 天牙の奇跡とレティシアのヴァンパイアストーム、そしてライメイザの破壊雷によって、一行の進路にあるワープ床は駆逐されていく。スズメ達の自己犠牲(?)である程度安全なルートを開拓できたこともあって、そこから先の攻略は実にスムーズなものだった。

「ティニ、ライメイザ、準備はいいか?行くぞ、お前等」
「おう、行くぞ! 天牙! ライメイザ!」
『はい!』
 ワープ床の掃除を終えると、天牙はユーベルコードを解除して仲間に呼びかけ、レティシアとライメイザが元気よく返事をする。ここまで来ればボス部屋までもう一息、即死だらけの鬼畜クエストもいよいよ終盤だ。気合十分といった様子の夢幻戦線のメンバーを、スズメ達は応援しているのかいないのか、相変わらず騒ぎ散らしていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミノア・ラビリンスドラゴン
ワープ床! 定番中の定番トラップですわね!
壁の中にいる! はご勘弁願いたいところですわー!!

あからさまな魔法陣をジャンプで跳び越し……着地の寸前でトラップカード発動!
本来は捕縛用の鎖を束ねて橋代わりに! そのまま着地していれば、不可視のワープ床で壁の中でしたわー!
【龍の叡智】にて幾百幾千のパターンを演算!
【罠使い】として思考すれば、どこに見え見えの罠を置き、どこに本命の罠を置くか、が分かりましてよー!
迷宮に棲まう者として、罠を避けた歩き方は心得ておりましてよ!(悪路走破・環境耐性)
ボスのフロアに入る前に、ミノア印の迷宮ミルクでバフを積んでおきましょう!
ごくごく……ぷっはー! 美味ですわー!



「ワープ床! 定番中の定番トラップですわね!」
 ドラゴンプロトコルにして迷宮制作者であるミノアなら、自分でも使ったことのある仕掛けかもしれない。冒険者を別の場所に移動させるワープ床は、うまく活用すればダンジョン攻略に刺激をもたらす面白いギミックになる。ただし悪用すればこの遺跡のように、理不尽な即死トラップに早変わりだが。
「壁の中にいる! はご勘弁願いたいところですわー!!」
 いにしえのRPGから存在する定番のネタを、我が身で再現しようとは流石に思わない。偃月刀を10フィート棒の代わりにして、コツコツと床を叩きながら慎重に進んでいくと、行く手には見るからに怪しい魔法陣が。竜人の身体能力なら飛び越せないことはないが――。

「こうもあからさまだと逆に警戒してしまいますわね!」
 ミノアはそう言いつつジャンプで魔法陣を飛び越え、着地の寸前で「トラップカード」を発動。圧縮した罠のデータから捕縛用の鎖を解凍し、自身の足元に束ねて橋代わりにする。その拍子で床に触れた鎖の一部が、ふっと跡形もなく消えた時、彼女は自分の危惧が正しかったことを知った。
「そのまま着地していれば、不可視のワープ床で壁の中でしたわー!」
 見えてるトラップと見えないトラップを組み合わせてプレイヤーを陥れる、ありがちだが実際嵌まりやすい策略だ。
 しかしミノアは【龍の叡智】にて幾百幾千のパターンを演算し、この手のダンジョンで起こりうる全ての可能性を予測していた。

「罠使いとして思考すれば、どこに見え見えの罠を置き、どこに本命の罠を置くか、が分かりましてよー!」
 トラップだらけのダンジョンを攻略する上で大事なのは、罠を仕掛ける側の目線で考えること。その点、自身も迷宮を運営しているミノアに抜かりはなかった。慎重ながらも迷いのない足取りで、勝手知ったる道のように進んでいく。
「迷宮に棲まう者として、罠を避けた歩き方は心得ておりましてよ!」
 あちこちに仕掛けられた多数のワープ床にも、結局一度も騙されることなく。無傷でダンジョンの奥までやって来た彼女は、他とは雰囲気の違う部屋の前に辿り着く。よほどの捻くれ者でもない限り、ここがボスのいるフロアだろう。

「入る前に、バフを積んでおきましょう!」
 万全の状態でボス戦に挑むべく、ミノアは自分の迷宮内で限定販売している「ミノア印の迷宮ミルク」を取り出す。
 飲むと強化や耐性を得られるだけでなく、味にもこだわった特製ドリンクだ。今回のボスは即死以外の状態異常も使うらしいので、対策としてもピッタリの品だろう。
「ごくごく……ぷっはー! 美味ですわー!」
 元気よく一気飲みして口元のミルクひげを拭い、バフのかかったミノアはいざ『絶叫』のマゴラが待つフロアへ。
 全身にみなぎる自信、溢れんばかりのオーラ。あとはポンコツなところさえ出なければ、どんなバグプロトコルが相手でも、彼女に敗北はありえないだろう――たぶん、きっと。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メイティナ・ヴァーンフォルカ
【さて、ボス部屋まで進みましょう】
メディア・ラクティアはデストラップだらけだからな…
裕士も少しうんざりしながらもボス部屋へ向かう事にした

【もう一つの終断!】
UCを発動して一つ前にある罠を消し飛ばした
メディア・ラクティアは罠破壊出来ない運ゲーだったからな…オラァ!
裕士も消滅属性攻撃の弾幕を罠らしき床に放ち罠を消滅させる

この小部屋には宝箱があるぞ!…ドロップが弱い
【残念ですね…次へ向かいましょう】
小部屋の宝箱はいいアイテムをドロップ出来なかった

【あっ、罠踏んでしまいましたが…破滅の壊剣!】
小部屋を出た私はUCの効果でUC破滅の壊剣を発動して罠が発動する前に消し飛ばした

【さあ、行きましょうか】
おう!



【さて、ボス部屋まで進みましょう】
 序盤の雑魚モンスターに勝利したメイティナ達の前に現れた、次なる障害は遺跡のダンジョン。バグプロトコルの影響で即死トラップと化した、陰湿なワープ床だらけの迷宮だ。壁や地面に生き埋めにされるのが嫌なら、慎重に進まないといけない。
「メディア・ラクティアはデストラップだらけだからな……」
 裕士も少しうんざりした様子で過去のゲーム知識を語りつつ、ボス部屋を目指してダンジョンを探索する。ちょっと調べただけでもワープ床はあちこちに仕掛けられており、かつてのクソゲーと比較しても引けを取らない理不尽さだ。

【もう一つの終断!】
 いっそのこと避けるより壊してしまおうと、メイティナはユーベルコードを発動して目の前にある罠を消し飛ばす。
 対象の起源を上書きする彼女の斬撃は、トラップのデータそのものを書き換えられる。触れたらアウトのワープ床も一発で解除できる能力だ。
「メディア・ラクティアは罠破壊出来ない運ゲーだったからな……オラァ!」
 この点ゴッドゲームオンラインはリアル寄りで良かったと、裕士も罠がありそうな床に弾幕を浴びせまくる。消滅属性を付与された彼の銃弾は、床ごと抉るようにして罠を消し去り、安全を確保する。どうせ誰もいないダンジョンなら多少の建造物破壊も遠慮はいらない。

「この小部屋には宝箱があるぞ!」
 トラップもそうだが、ダンジョンといえばやはりお宝。ここも本来はちゃんとしたクエスト用のダンジョンということで、挑戦者向けのリザルトも用意されていた――が、もともと渋いのか、これもバグプロトコルの仕業なのか、いいアイテムは全然出てこない。
「……ドロップが弱い」
【残念ですね……次へ向かいましょう】
 がっかりする裕士を慰めながら、メイティナは次のフロアへ。探索にも慣れてきたようで、少し気の緩みが見える。
 往々にしてダンジョン攻略でミスをするのはこういう時だ。小部屋を出た先には、普通の床と見分けがつかないよう巧妙に偽装されたワープ床があった。

【あっ、罠踏んでしまいましたが……破滅の壊剣!】
 自分のミスに気付いたメイティナは、瞬時に【破滅の壊剣】を発動。トラップが発動して壁の中に飛ばされる前に、終断神剣「アナザー・ベイン」から渾身の斬撃波を放ち――間一髪、ワープ床を時間ごと消し飛ばすことに成功した。
【さあ、行きましょうか】
「おう!」
 危機を乗り越えた彼女は何事もなかったように看板を掲げ、裕士も威勢よくそれに応じる。すでに遺跡のかなり奥まで来ているし、この調子ならボスのフロアに到達するのはもうすぐだろう。実入りの渋さは、ボスとクエストの報酬で補えると期待したいものだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菜花・深月
月と邪龍

し、慎重に進まないと…
うちは念動力で強化した結界術を展開して周りを警戒しながら進む事にした


まずはこの部屋から…?!不味い!
小部屋に入ろうとしたがゲームプレイヤーだった時の勘が働き咄嗟に後ろに下がると試しに石をその床に投げてみた

危なかった…部屋自体がワープ床の罠なんて…これもバグの影響なの?
床に投げた石はワープ床に触れて消えたのを見てほっとするが気が抜けなくなった

ここにはワープ床が無いようだね!あっ…宝箱だ!
罠に気をつけながら探索を続けていると宝箱がある小部屋を発見し宝箱に近づき開けようとする(プレイヤーの時の癖)

あっ…しまっ…
宝箱自体がワープするバグだった

い…息が出来ない…誰か、助け…


リュール・ディールーク
月と邪龍

第六感と幸運と心眼は常に発動する

よし!早速進みましょう!
両手をブンブン振りながら探索を始める


あっちは罠がありそうですね!こっちです!
第六感で全てのワープ床を回避して進んでいた

『勘で進むなんて目茶苦茶ですね…いや、『あの男』に比べたら理不尽でも何でもないですね…』
この女性の声は勇者の剣から聞こえているがリュールには『まだ』聞こえていない


ん?そこの人!その宝箱は…!
宝箱を開けようとする少女を呼び止めようとしたがワープしてしまう

くっ…何処へワープしたのでしょうか?
『右側の壁です』
謎の声(さっきの女性らしき声です)

?!剣から声が…いや…解放する真実の剣!
壁にUCを発動して少女を助け出した

「う…うわあぁぁぁぁ!怖かったぁぁぁぁぁ!」
助け出した少女は涙目だった
だ…大丈夫ですか?!間に合ってよかったです!…さっき剣が喋ったような…?
少女を宥めながら謎の声に疑問を持つ

『はあ…とんだ間抜けもいた者ですね…』
えっ…ルアンが喋ったぁぁぁぁ!
大切な恩人から貰った剣が喋りだし驚いたがボス部屋までもう少しだ



「し、慎重に進まないと……」
 即死攻撃モンスターの群れをなんとか退けたかと思えば、次にやって来たのは即死トラップだらけのダンジョン。
 トラウマを抉られるような展開の連続に青ざめながらも、深月は念動力で強化した結界術を展開して、周りを警戒しながら先に進むことにした。今更ここで帰る、なんて弱気なことを言えるはずもない。
「まずはこの部屋から……?! 不味い!」
 探索のために小部屋に入ろうとした瞬間、彼女は咄嗟に後ろに下がる。なにがとは具体的に言えないが、ゲームプレイヤーだった時の勘が働いたのだ。試しに落ちていた石ころを拾い、その小部屋の床に投げ込んでみると――ふっ、と音もなく石は消えた。

「危なかった……部屋自体がワープ床の罠なんて……これもバグの影響なの?」
 バグプロトコルによる汚染はダンジョン全体に及んでおり、本来の仕様とは異なる場所にトラップが仕掛けてあってもおかしくない。今回はどうにか気付くことができてほっとする一方、これでまずます気が抜けなくなったことを深月は思い知る。
「慎重に、慎重に……」
 ダンジョン攻略において重要なのは用心深さ。モンスターは出ないと分かっているなら、罠の警戒に全力を傾ける。
 臆病過ぎるくらいで丁度いいのだ。この世界はただのゲームではなく、本当の死が起こり得るのだから。床の模様や埃の積もり具合など、些細な違和感も見逃さないようにして進む。

「ここにはワープ床が無いようだね! あっ……宝箱だ!」
 気をつけながら探索を続けていると、深月はさっきとは別の小部屋で宝箱を発見する。これもまたプレイヤー時代の癖と言うべきか、宝箱があれば開けたくなってしまうのが冒険者の習性である。今度はワープ床ではないことを確認してから、いそいそと近付き――。
「あっ……しまっ……」
 ――警戒を怠ってはいない。だが、まさか宝箱自体がワープするバグだったとは、いくら何でも予測不可能だった。
 箱を開けようとした瞬間、彼女は真っ暗な空間に飛ばされ身動きが取れなくなる。壁の中か、それとも地面の下か。いずれにせよ、ここに出口はない。

(い……息が出来ない……誰か、助け……)
 深月は必死に助けを呼ぼうとするが、こんな場所で叫んだとて誰が気付いてくれるのか。猟兵とて人間である以上、呼吸できなければ待つのは窒息死のみ。息苦しさと恐怖でパニックに陥りながら、彼女の意識は遠のいていった――。



「よし! 早速進みましょう!」
 時は少し遡り、こちらはリュールの探索状況。元気に両手をブンブン振りながら、ダンジョンの攻略に挑んでいる。
 遺跡探索のノウハウやスキルは持ち合わせていない代わりに、人並み外れて鋭い第六感と心眼、そして幸運が彼女の武器である。
「あっちは罠がありそうですね! こっちです!」
 理屈ではなく直感で危険を察知し、安全そうなルートを選ぶ。そうやって彼女は全てのワープ床を回避していた。
 なぜ「罠がありそう」と思ったのか、その理由は本人にも説明できない。だが実際にそれで先に進めているのだから不思議なものだ。

『勘で進むなんて目茶苦茶ですね……いや、「あの男」に比べたら理不尽でも何でもないですね……』
 順調に探索を進めるリュールの背中から、呆れたような女性の声がする。それは勇者の剣『ルアン・メイ』から発せられていたが、なぜかリュールには聞こえていないようだ。自分をすぐ傍で見守っている存在に気付かないまま、彼女は探索に集中している。
「ん? そこの人! その宝箱は……!」
 遺跡のかなり奥までやって来ると、リュールはピンク色の髪の少女が宝箱を開けようとしているのを見かける。これまでにない危険を感じた彼女は、慌てて呼び止めようとするが――一足遅く、少女は宝箱のトラップにかかってワープしてしまった。

「くっ……何処へワープしたのでしょうか?」
『右側の壁です』
 姿を消した少女を助けようにも、飛ばされた先が分からなければ手の打ちようがない。歯噛みするリュールの耳に、ふいに女性のものらしき謎の声が聞こえる。それは先程ぼやいていた、勇者の剣から発せられる声と同じものだった。
「?! 剣から声が……いや……解放する真実の剣!」
 今は驚いている場合ではないと、リュールはユーベルコードを発動。助言通りに小部屋の右側の壁を斬りつけると、石壁は音を立てて壊れ、その向こうから白い手が出てくる。彼女はそれを掴んで、少女を壁の中から引っ張り出した。

「う……うわあぁぁぁぁ! 怖かったぁぁぁぁぁ!」
「だ……大丈夫ですか?! 間に合ってよかったです!」
 助け出された少女――深月は涙目で叫ぶ。あと少し遅かったら本当に死んでいたかもしれないのだから無理はない。
 リュールは彼女を落ち着かせようと宥め、どこもケガをしていないのを確認すると、ほっと安堵の息を吐く。ここを通りがかったのは偶然だが、もしかするとこれも幸運の導きだったのかもしれない。
「……さっき剣が喋ったような……?」
 一安心したところで、リュールは先程の謎の声に疑問を持つ。あの声がなければ少女の救出は間に合わなかったが、どうして、そしてなぜ喋ったのだろう。まさか自分の空耳ということはないだろうかと、剣をじっと見つめると――。

『はあ……とんだ間抜けもいた者ですね……』
「えっ……ルアンが喋ったぁぁぁぁ!」
 今度は間違いなくはっきりと聞こえた。この剣は大切な恩人から貰ったものだが、それが喋るなんてリュールは今日の今日まで知らなかったのだ。驚きのあまり剣を取り落としそうになって、「はあ……」とまた呆れられる。どうやら言葉を話せるだけではなく、明確な人格と自我もあるようだ。
「あ、あの……助けてくれてありがとう」
「あ、はい! どういたしまして!」
 そうしてる間に深月も落ち着いたようで、改めて感謝を伝える。ちょっと変わった人に見えるが恩人には違いない。
 どうやらお互いに猟兵でもあるようだし、目的は同じ。ダンジョンの終着点となるボス部屋まで、彼女達はもう少しのところに迫っていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クレイユ・オブエミネンス
さて、次は即死トラップの群れか……
これは中々手こずりそうだね
指を鳴らし、自身のドラゴンプロトコルとしての権能を強化
このUCは『猟兵化したドラゴンプロトコルとしての行動』を成功率・効率・芸術性3倍にする
即ち――こういったバグったダンジョンなどの『デバッグ』も成功率と効率が3倍になるのさ!
ドラゴンプロトコルの中でも特にGGOのデータそのものに干渉できるのがアタシの『生命体の埒外』
瞬時にワープ床のデータを復元して正常化させ、または『正しい運用法のワープ床』を出現させて効率よく即死トラップのワープ床を削除しながら進んでいく――



「さて、次は即死トラップの群れか……」
 即死バグに汚染されたエントレットの群れを倒し、遺跡のダンジョンまでやって来たクレイユは、敷き詰めるように設置された大量のワープ床に眉をひそめる。別の部屋や通路に飛ばされるだけならまだいいが、壁や地面に生き埋めにされるのは、いくら何でも遠慮したい。
「これは中々手こずりそうだね」
 そこで彼女は指を鳴らし、【命の刻は龍の摂理を一秒残さず掴み取る】によって自身のドラゴンプロトコルとしての権能を強化する。前提として前日に8時間以上ドラゴンプロトコルとして活動している必要があるが、日頃から重要NPCのロールプレイを欠かさない彼女にとっては無いも同然の条件だった。

「このユーベルコードは『猟兵化したドラゴンプロトコルとしての行動』を成功率・効率・芸術性3倍にする。即ち――こういったバグったダンジョンなどの『デバッグ』も成功率と効率が3倍になるのさ!」
 バグの発見と修正は、管理AIの本業ともいえる仕事のひとつだ。その権限を用いてクレイユはバグプロトコルに汚染されたダンジョンの罠を暴き、瞬時にワープ床のデータを復元して正常化させる。そのペースはユーベルコードの効果を加味しても驚くほど早い。
「ドラゴンプロトコルの中でも特にGGOのデータそのものに干渉できるのがアタシの『生命体の埒外』」
 復元困難なほどに破損したデータは一旦削除して、新たに『正しい運用法のワープ床』を出現させるなどして、本来このクエストに設定されていた仕様通りの形へと、彼女はダンジョンを蘇らせていく。ゴッドゲームオンラインという世界において、その権能はまさに神の御遣いが如しだ。

「我は我の命の刻そのものを罪深き刃とする。其れは即ち、我が刻む鼓動と時間全てが我の生命を増強し加速する摂理となるという事である」
 いかにも重要そうな発言を笑顔で述べながら、ゲームの管理者として力を振るうクレイユ。彼女が通り過ぎた通路や部屋のバグは全て修正され、ワープ床は即死トラップではなく通常の転送手段に戻った。もし、一般プレイヤーがここにやって来ても、もう理不尽に埋められることは無い。
「あとは元凶のバグを始末するだけだね」
 そうしてバグプロトコルのいるボス部屋までたどり着いた彼女は、迷いなく扉を開ける。ドラゴンプロトコルとしての使命を果たすため、自身のロールプレイを貫くために――その表情は、溢れんばかりの気合いと自信に満ちていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『絶叫』のマゴラ』

POW   :    デス・スクリーム 【先制で発動】
【広範囲の即死攻撃(即死耐性無視)の叫び声】を放つ。他のユーベルコードと同時に使用でき、【UC真実の王とUC蝕の波動を連続発動する】効果によってその成功率を高める。
SPD   :    蝕の波動 【先制で発動】
【麻痺闇、壊滅呪、眠毒が確定になる必中波動】を放つ。他のユーベルコードと同時に使用でき、【UC真実の王とUCデス・スクリームを発動】効果によってその成功率を高める。
WIZ   :    真実の王 【先制発動】 《王は小さく動きは速い》
【王(NPCのみダメージ与えられ迷彩)が毒】を放つ。他のユーベルコードと同時に使用でき、【UCデス・スクリームとUC蝕の波動を発動】効果によってその成功率を高める。

イラスト:もりさわともひろ

👑11
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「ア……アイ……」

 即死ワープ床が張り巡らされたダンジョンを攻略し、猟兵達はついに最奥のボス部屋まで到達する。
 重々しい音を立てて扉が開くと、中で待ち構えていたのは一匹のモンスター。エントレットよりは人型に近いが、同じ植物系モンスターのようで、葉っぱでできた髪に毒々しい紫色の花が咲いている。

 このモンスターの名は『絶叫』のマゴラ。
 本クエストを即死バグ塗れにしたバグプロトコルにして、非常に癖のある性能をしたレイドボスである。

「アイ……AIEE……!」

 プレイヤーである猟兵達を見るなり、マゴラは今にも泣きそうな顔になって声を上げる。
 その仕草はか弱い少女のようだが実態はさにあらず。彼女の絶叫は広範囲の即死攻撃であり、しかも通常の即死耐性を貫通するという、バグかチートか、さもなくば運営の調整ミスを疑われる能力だった。

 幸い、この即死攻撃に関しては対処法がある。
 クエスト序盤で出現したエントレットがドロップする、レアな材木アイテム。それを持っているプレイヤーは一定時間、マゴラの即死が無効になるのだ。

 ただし、即死対策ができてもマゴラは強敵である。
 マヒ、暗闇、呪い、睡眠、毒など様々な状態異常攻撃を得意とするほか、「王」と呼ばれる本体にはプレイヤーからの攻撃が通じず、召喚やテイムモンスターなどのNPCを利用しなければダメージを与えられない。
 あの泣きべそかいた少女が囮だなんて、事前知識のないプレイヤーから「クソボス」と罵られても仕方があるまい。

 と、様々な仕様から攻略困難なボスとして立ちはだかるマゴラだが、それでも猟兵なら撃破できない相手ではない。
 これ以上即死バグに苦しめられるプレイヤーを出さないために、一同は戦闘態勢を取り――絶叫轟くボス戦に挑む。
才堂・紅葉
アドリブ・連携歓迎

クソボス……他に言い様が無いわね
だがこれを何とかするのがお仕事だ。頑張ろう

即死に対してはドロップ品で対処
必中の波動と撒かれる毒に対しては、【野生の勘】でダイミングをはかり、真の姿の封印を解いて、重力子を纏った両掌を打ち合せて発する重力【属性攻撃】の【衝撃波】で相殺及び軽減を狙う
それでもダメージは不可避だが死ななければ安い。デバフは【気合】で耐え、攻撃から王の居場所を【見切り】に行く

「打ち砕きなさい、蒸気王!!」
反撃は召喚した魔導ゴーレムによる鉄拳制裁を狙いたい
後は攻撃の成否を問わず、デバフで行動不能になる前に撤退を選択する



「クソボス……他に言い様が無いわね」
 あまりにもプレイヤーへの嫌がらせめいたスペックを誇る『絶叫』のマゴラを前に、心底嫌そうに呟いたのは紅葉。
 広範囲への即死・状態異常攻撃、「王」という本体の存在など、初見でクリアさせる気をまるで感じさせない能力の数々は、そう言われても仕方のないものだ。
「だがこれを何とかするのがお仕事だ。頑張ろう」
 気力を奮い立たせて一歩前に出ると、マゴラがピクリと反応する。無害な少女を装ったそれは、瞳を潤ませながらぷるぷると震えだし――ダンジョン中に響き渡るような凄まじい絶叫を発する。この声が、ボス戦開幕の号令となった。

「AIEEEEEE!!!!」
 絶叫のマゴラの代名詞とも言える、即死攻撃【デス・スクリーム】。通常の耐性を貫通する恐るべきユーベルコードだが、紅葉には通用しない。クエスト序盤で入手したエントレットのドロップ品が、情報通り即死を無効化している。
「来たわね……!」
 だが同時発動する状態異常攻撃【蝕の波動】と【真実の王】から撒かれる毒に対してはそうはいかない。紅葉は野生の勘でタイミングを計ると、真の姿の封印を解き、重力子を纏った両掌を打ち合わせた。紅色に染まった髪がぶわっと舞い上がり、重力の衝撃波が周囲に巻き起こる。

「死ななければ安いのよ!」
「AIEEE……?!」
 衝突した重力と蝕の波動は相殺及び軽減され、威力を大幅に損なう。それでも紅葉へのダメージは不可避だが、耐えられる範疇だ。さらに波動に紛れてきた毒攻撃から、マゴラの「王」の居場所を見抜く。はじめから囮の相手などするつもりはなく、狙うは本体へのカウンターのみだ。
「打ち砕きなさい、蒸気王!!」
 彼女の号令に応じ、戦場に降臨するは巨大蒸気ゴーレム【蒸気王】。使い手次第で神にも悪魔にもなり得る魔導蒸気文明の申し子が、鋼鉄の駆体より白霧の雄叫びを上げる。このマシンは召喚者である紅葉の動きをトレースし、彼女の手足となり敵と戦うのだ。

「私からのダメージは無効でも、こいつはどうかしら?」
『ゲゲッ?!』
 紅葉が歩けば巨人も歩き、紅葉が拳を上げれば巨人も拳を上げる。迷彩で身を隠していた「王」は、それを見るなり慌てて逃げ出そうとした。プレイヤーからの攻撃を一切受けない仕様を持つ王だが、蒸気王は紅葉が操作するNPC扱いになるため、ダメージが通ってしまうのだ。
「逃がさないわよ!」
『グゲェーッ!!』
 重力操作による巨体に見合わぬ運動性と飛行能力もって、マゴラの王を追い詰めた蒸気王は鉄拳制裁を喰らわせる。
 単純に大きくて重いことは、それだけで凄まじい破壊力を生む。こそこそと逃げ隠れするのに特化した王にとって、そのダメージは甚大であった。

「ここが潮時ね」
 一方の紅葉も、気合で耐えていたデバフの影響が出てきた。彼女が行動不能になれば蒸気王も同時に動けなくなる、その前に彼女は潔く撤退を選択し、決着を他の猟兵に任せた。マゴラは確かにクソボスだがヒットポイントを回復する能力はない――ここで与えたダメージは、勝敗に必ず関わってくるはずだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メイティナ・ヴァーンフォルカ
【裕士は本体を!】
OK!メイティナさんは囮を頼む!
裕士は王を探しに行った

うっ…このままでは苦しいですね…
アイテムの効果でマゴラの即死は効かないが波動は必中なので波動無効属性の結界術で防御する
(看板は防御が間に合わずに溶けた)

アステール!
UCを発動して敵との距離を詰めて星導拳で殴り飛ばした

やっぱり、苦しんでいる声を出してますが効いていない…
マゴラには手応えが無かった

…ちっさ!つか早っ!
裕士は王を発見したが動きが速いうえ、迷彩で見えなくかる

姿が見えないだけだ…そこだ!
心眼と気配感知で敵の気配を探り素早く呪殺弾を放ち王は吹き飛ぶ

天誅ぅぅぅぅぅぅ!
UCの効果でUCクレセント・スラッシャーを発動して攻撃



【裕士は本体を!】
「OK! メイティナさんは囮を頼む!」
 囮役と攻撃役を兼任する少女型モンスターと、本体の【真実の王】で構成されたバグプロトコル『絶叫』のマゴラ。
 これを撃破するためにメイティナは囮の相手をし、その間に裕士が王を探しに行く作戦を立てた。NPC扱いとなる裕士の攻撃なら、本体にダメージを与えられるのだ。
「AIEEEEE!!!!」
 対するマゴラは『絶叫』の二つ名通り、怯えるような態度で【デス・スクリーム】と【蝕の波動】を撒き散らす。
 見た目とは裏腹に可愛げなどまったくない、即死と状態異常のオンパレードだ。広い攻撃範囲に加えて必中効果まであるため、回避するのも難しい。

「うっ……このままでは苦しいですね……」
 エントレットの材木でマゴラの即死は効かないが、状態異常はそうもいかない。【蝕の波動】を浴びた看板が溶けていくなか、メイティナは急いで防御結界を張った。麻痺闇、壊滅呪、眠毒など、重篤になればどれも致命的になりうる異常の数々を受けて、あまり悠長に構えてはいられない。
「アステール!」
 彼女は【星導覚醒・星龍アステール】に変身すると、その超越した速度をもってマゴラとの距離を詰めた。そのまま黄金のオーラを拳に纏わせ、全力の一撃を放つ。敵はそれを避けようとも防ごうともせず、『アイエッ!!!』と悲鳴を上げて殴り飛ばされた。

「やっぱり、苦しんでいる声を出してますが効いていない……」
 メイティナの星導拳は間違いなくマゴラにヒットしたが、彼女は手応えを感じていなかった。やはり聞いていた通りあの少女型モンスターは囮でしかなく、いくらダメージを与えても倒せないのだろう。何も知らなければ無敵のボスと誤解するかもしれない。
「おったで……ちっさ! つか早っ!」
 その無敵のカラクリである【真実の王】を、裕士は見つけ出していた。だが、それは動きが速いうえ、迷彩ですぐに姿を消してしまう。潜伏と回避に特化したタイプのモンスターなのだろう、これ単体ならウザいだけで済むが、即死・状態異常をばらまく囮と一体になれば途端に厄介さを増す。

「姿が見えないだけだ……そこだ!」
 裕士は心眼を研ぎ澄ませて気配を探り、素早く「神刃銃」のトリガーを引いた。放たれた呪殺弾は過たず王を捉え、『ウギャッ?!』と甲高い悲鳴が聞こえる。位置が分かり、なおかつダメージを与えられるのなら、【真実の王】自体はすばしっこいだけの小物でしかない。
「天誅ぅぅぅぅぅぅ!」
『ウギャーーーッ!!』
 間髪入れずに裕士は【クレセント・スラッシャー】を発動し、極超音速の蹴りと三日月型の衝撃波で敵を追撃する。
 容赦のない連続攻撃に晒された敵は「王」という呼称とは裏腹に、また悲鳴を上げ無様に吹っ飛ばされるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アルマ・アルカレイト
チーム錬金術士

属性攻撃…刹那の無限回転発動

錬金術…マヒ攻撃と凍結攻撃の錬成弾を錬成

クイックドロウ…弾丸を素早く放つ

結界術と矢弾の雨…緋智の使用技能

視力…相手の動きを見る

時間との勝負よ!慶喜!ヒサ!
『王って個体を探さなきゃ…!』
ヒサは王を探しているがマゴラが先に攻撃してきた

慶喜!薬頼んだわよ!
『アルマ!』
慶喜とヒサを守るように波動を受けた

ぐっ…助かったわ!
波動を喰らったが慶喜がヒサに薬をくれたので何とか回復した

吹き飛びなさい!
刹那の無限回転弾を放ち敵を攻撃

『見つけた!せめてダメージだけでも…!』
吹き飛ばされた草から王を見つけたヒサがUCを発動してUC冥道朧月を発動し敵を攻撃した後矢、弾の雨で攻撃


東・慶喜
チーム錬金術士

薬品調合…状態異常を直す薬を錬成する

推力移動…自身を加速させる技能

視力…敵の動きを見る

クイックドロウ…弾丸を素早く放つ

属性攻撃刹那の無限回転発動

アイテムの即死無効が切れない内に決着をつけるで!


アルマ!分かった!薬を作ってあるからな!
アルマが前に出て盾になってくれた

ヒサ!これ薬や!念の為、俺のUCもな!
ヒサに薬を渡した後UCを発動して敵を攻撃しながらアルマの状態異常を急いで直す

よし、俺も!
回復したアルマが刹那の無限回転弾を敵に放ったのと同時にUCの効果でUCライトニング・ブリザード・フォーミュラを発動して敵を攻撃しながら王の逃走経路にある木を倒す

よっしゃ!今やヒサ!王をぶっ飛ばせ!



『アイェ……AIEEEE!!!!』
 猟兵達からの猛攻を受け、【デス・スクリーム】を放ち続ける『絶叫』のマゴラ。エントレットのドロップ品を持つ者には効果がないとはいえ、即死攻撃を垂れ流してくるボスはやはり凶悪だ。対策があっても永遠に無効化できるわけでは無いのだから。
「時間との勝負よ! 慶喜! ヒサ!」
「アイテムの即死無効が切れない内に決着をつけるで!」
『王って個体を探さなきゃ……!』
 三人組で行動するアルマ、慶喜、緋智の「チーム錬金術士」は、人数を活かしてマゴラに対抗する者、本体の「王」を探す者とに分かれた。NPC扱いとなるため王にダメージを与えられる緋智が、このメンバーの作戦の要だが――当然、敵もそれを黙って見てはいない。

『アイエェェッ!!!』
「慶喜! 薬頼んだわよ!」
「分かった! 薬を作ってあるからな!」『アルマ!』
 マゴラが【蝕の波動】を放ってくると、アルマは慶喜と緋智をかばって前に出る。この攻撃は単純なダメージよりも状態異常が厄介なタイプのユーベルコードだ。麻痺、暗闇、呪い、眠気、猛毒など様々な症状が複合して彼女を蝕む。
「ヒサ! これ薬や! 念の為、俺のユーベルコードもな!」
『うん!』
 窮地に陥ったアルマを救うために、慶喜は調合した薬を緋智に渡し、さらに【浄化の竜巻】で状態異常を回復する。
 蝕の波動に対抗するように、戦場に吹き荒ぶ白い竜巻。完全に無効化することはできなくても、これで多少はマシに戦えるはずだ。緋智が薬を届けるまでの間、彼自身は推力で加速しつつ、刹那の無限回転弾を連射して敵を牽制する。

『アルマ、これを!』
「ぐっ……助かったわ!」
 浄化の竜巻に加えて、緋智から薬を受け渡されたアルマは、なんとか状態異常から回復する。やってくれたとばかりにマゴラを睨みつけると、クイックドロウで錬成刃銃『ディアブロ』を構え、刹那の無限回転弾を発射。麻痺と凍結の追加効果も付加された錬成弾は、まっすぐ標的の眉間に突き刺さった。
「吹き飛びなさい!」
「ア、アイエッ?!」
 悲鳴を上げて宙を舞うマゴラ。本体が無事である限り彼女が倒れることはないが、ダメージや状態異常を受けた分だけ動きは鈍る。さらに、彼女が吹き飛ばされた先にある草むらがガサリと揺れ――隠れ潜んでいた【真実の王】が姿を現した。

『見つけた!』
『ゲ、ゲッ!』
 慌てて逃げだした王を【朧月夜・冥道神機『緋智』】を発動した緋智が追いかける。だが相手は小さい上に素早く、迷彩で身を隠す術にも長けている。逃げ回って時間を稼がれている内にアイテムの有効時間が切れ、マゴラの即死効果が復活するのが最悪の展開だ。
「よし、俺も!」
「イイァェェ?!」『ウギッ!?』
 そこで、敵の動きを観察していた慶喜が【ライトニング・ブリザード・フォーミュラ】を発動。雷と氷のホーミングレーザーでマゴラを攻撃しつつ、王の逃走経路にある木をなぎ倒す。プレイヤー扱いの彼では王にダメージを与えられないが妨害はできる。突然のイレギュラーで王の足が一瞬でも止まれば良し、緋智ならそれで十分なはずだ。

「よっしゃ! 今やヒサ! 王をぶっ飛ばせ!」
『ありがとう! せめてダメージだけでも……!』
 間髪入れずに緋智は【冥道朧月】を発動し、全てを呑み込む十字の冥道で王を攻撃する。さらに冥府の狭間から引き出したエネルギーを弾丸と矢に変換し、豪雨の如く戦場に降り注がせれば、いかに小さく俊敏なモンスターであっても回避のしようがない。
『これでも食らいなさい!』
『グ、ギャァーーッ!?』
 冥道の力に晒された王は、大きなダメージを受けてもがき苦しむ。三人の錬金術士による連携が実を結んだ瞬間だ。
 マゴラは未だ健在なれど、最初に見た時より動きが鈍くなっている気がする。このまま一気に敵を追い詰めるべく、三人は追撃の構えを取った――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クレイユ・オブエミネンス
材木アイテムを使い即死を無効化
そのまま蒸気獣……災魔の宿す十属性で『アンティーカ・ラリクマ』を創造
主であるアタシを状態異常から回復
そのまま蒸気獣の涙の結晶を発射するUCでバグプロトコルの本体である『王』を攻撃
更に『紫電の龍弩』と『時の粒子たるデュアルブレイド』によって無限成長する雷電とアンヘルブラック粒子を蒸気獣に付与
それによって『即死すら無限成長によって超克し、即死した過去すら逆行して無効化する』という能力を蒸気獣に付与
序に、この材木アイテムにアンヘルブラック粒子を使って無限に即死耐性を付与し続けるとしようか



「AIEEEE!! AIEEEEE!!!」
 本体にダメージを受けた『絶叫』のマゴラが、より一層騒がしく喚き散らす。彼女の発する【デス・スクリーム】は広範囲の相手を即死させ、【蝕の波動】は複数の状態異常を引き起こす。バグプロトコルでなくても面倒なレイドボスだが――。
「それは不完全なる悦びを継いだ者を超える蒸気の獣を指揮する権能。我が龍の力は、卵を孵化する事無く完全なる存在を招来する」
 エントレットの材木を所持するクレイユに即死は効かず、そのまま【蒸気の獣よ、龍の権能で完全となれ】を発動。
 召喚した『完全なる蒸気獣』――災魔が宿す十の属性から、マゴラの状態異常に対抗する新たな蒸気獣を創造する。

「その名は『アンティーカ・ラリクマ』」
 蒸気獣が零す涙は主であるクレイユの状態異常を回復し、結晶化した涙を射出するユーベルコードで敵を攻撃する。
 狙うはバグプロトコルの本体である【真実の王】。しかし小さくてすばしっこく、迷彩で身を隠す能力も持った相手を捉えるのは容易ではない。
『ヒヒヒッ』「AIEEEEEE!!!!」
 本体が逃げ回っている間に囮が叫び、即死と状態異常をばら撒き続ける。これがマゴラの必勝パターンなのだろう。
 クレイユはまだしも召喚されたばかりの蒸気獣には即死耐性がない。本体にダメージを与えられるNPCさえ倒せれば、彼女に敗北はあり得なかった。

「だったらこうしよう」
 クレイユは「紫電の龍弩」から無限成長する雷電を、「時の粒子たるデュアルブレイド」からアンヘルブラック粒子を抽出して蒸気獣に付与する。これによりアンティーカ・ラクリマは『即死すら無限成長によって超克し、即死した過去すら逆行して無効化する』という能力を得ることになる。
「AIEEE……?!」
 【デス・スクリーム】に通常の即死耐性は効かない。だが、これは即死した後でそれを無効化するという、事実上の蘇生能力に近い。死を超克することで己の健在を誇示する蒸気獣を前にして、マゴラの叫び声に困惑の色が混ざった。

「序に、この材木アイテムにアンヘルブラック粒子を使って無限に即死耐性を付与し続けるとしようか」
『ゲゲゲェッ?!』
 この手の尖った性能のモンスターは、そのぶんメタを張られると弱い。手持ちのアイテムをふんだんに使って対策を固めたクレイユと蒸気獣に、『絶叫』のマゴラが有効打を与える術はほとんど無かった。あとは材木の効果時間が切れる前に本体を仕留めるだけ――降りしきる涙の弾丸から、必死に逃げ惑う王の悲鳴がダンジョンに響くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レティシア・ハルモニアス
夢幻戦線

やっと辿り着いたのう…頼むぞ、ライメイザ!本体に攻撃出来るのはお主だけなのじゃからな…
とライメイザを守りながら戦闘態勢に入る
『そうでした、面倒な敵ですね…』
ライメイザは王を探していたが敵がUCを使用してきた
即死は無効でも波動は無効出来んのか!
即死は二人共アイテムで無効だが波動の方は破壊属性攻撃の矢弾の雨で相殺する

行け!ライメイザ!
UC紅い矢弾の雨を敵に放ち妾に気をそらす

『見つけましたよ!王!』
ライメイザも視力で王を見つけて斬撃波を放つが回避させる

『それは囮です…はあっ!』
ライメイザは破壊雷を放ち敵を攻撃した

『なっ…逃げた!速いうえにしぶといなんて厄介な!』
どうやら王に逃げられたようだ…


黎明・天牙
夢幻戦線

ほい、アイテム
『あ…ありがとう』『それで俺達は王を探せばいいのか?』
「これでいいか?では、余は戻るぞ」
邪神君が待機していた二人を呼び出してくれたので戦闘開始

必中とはいえ相殺は出来る筈だ…頼むぞ二人共
敵のUCの即死はアイテムで無効化して波動は振動の力(衝撃波)を放ち相殺してUCを発動して蹴り飛ばして反撃

『いた!アルナ!』『リズ、逃げ道を防ぐぞ』
ライメイザから逃げてきた王を発見した二人はヴォルガは王の逃げ道を塞ぎリズがUC黒き鷹・アルナでアルナを呼び出し破壊光を放ち攻撃するも回避させた

『体勢を崩したな?』
『今だよ!アルナ!』
ヴォルガがガンナイフで切りつけて攻撃した後アルナが急降下爪撃で追撃



「やっと辿り着いたのう……頼むぞ、ライメイザ! 本体に攻撃出来るのはお主だけなのじゃからな……」
『そうでした、面倒な敵ですね……』
 即死トラップを潜り抜けてボス部屋までやって来たレティシアは、敵からライメイザを守るように戦闘態勢を取る。
 主君のユーベルコードによって召喚された眷属は、ゲームシステム上ではNPCと判定されるらしく、『絶叫』のマゴラの本体である【真実の王】にダメージを与えられる貴重なメンバーだった。
「これでいいか? では、余は戻るぞ」
「ありがとよ邪神君。ほい、アイテム」
『あ……ありがとう』『それで俺達は王を探せばいいのか?』
 同じ事は、これまで待機していた「夢幻戦線」のメンバー、ヴォルガとリズにも言える。邪神オーガスト・ベインの力でボス部屋まで呼び出された二人は、天牙から即死攻撃を無効化するレアな材木アイテムを渡され、ライメイザと共に「王」を捜索することになった。

「AI……AIEEEEE!!!」
 本体を見つけ出させはしないと、マゴラは二つのユーベルコードを同時発動。鼓膜を引き裂くような大絶叫と共に、【デス・スクリーム】と【蝕の波動】が一同に襲い掛かる。耐性貫通の即死と状態異常のフルコースという、普通のプレイヤーなら攻略を諦めるレベルの攻撃だ。
「即死は無効でも波動は無効出来んのか!」
「必中とはいえ相殺は出来る筈だ……」
 人数分の対策アイテムをきちんと回収してきた夢幻戦線にとって、脅威となるのは即死よりも状態異常。レティシアは二丁の詠唱拳銃から矢弾の雨をばら撒き、天牙は振動の衝撃波を放って、二人がかりで波動を相殺する。本体への攻撃手段がない彼らがどこまでマゴラを抑えていられるかに、この作戦の成否はかかっている。

「行け! ライメイザ!」
「頼むぞ二人共」
 少しでも敵の気を逸らそうとレティシアは【紅い矢弾の雨】を降らせ、【『パラダイス・ブレイカー』神鷲雀男】に変身した天牙が追撃をかける。次元を超える弾丸に撃ち抜かれ、神域に達する超スピードで蹴り飛ばされたマゴラは、「アイエッ?!」と悲鳴を上げて怯んだ。
『二人が頑張ってくれてるな』『はやく王を見つけないと!』『ここは手分けして探しましょう』
 この間に残りの夢幻戦線メンバーは王の捜索に全力を費やす。隠密能力に優れたモンスターを戦いながら見つけるのは困難を極めるだろうが、それのみに専念できるのであれば話は別だ。ダンジョンの中でも特別に広いボス部屋と言っても、隠れられるスペースには限りがある。

『見つけましたよ! 王!』
『ゲゲッ!』
 草木の陰に潜んでいたソレを見つけた瞬間、ライメイザは斬撃波を放った。「王」という呼称のイメージに反して、小さくて威厳のない、そのモンスターこそが『絶叫』のマゴラの本体。正体を暴かれた王は慌て、ネズミのような素早さで攻撃を回避するが――。
『それは囮です……はあっ!』
『――……ッ!!?』
 わざと初撃を避けさせてから、間髪入れずに破壊雷で追撃。凄まじい雷鳴と閃光が戦場に破壊の爪痕を刻みつける。
 逃げ隠れすることに特化したモンスターなら、NPC判定を受けるライメイザの攻撃は、当たりさえすれば大ダメージとなるはずだ。

『なっ……逃げた! 速いうえにしぶといなんて厄介な!』
 しかしライメイザの視界が張れた時、破壊雷が直撃した場所に王の死骸はなかった。ダメージを受けながらも雷光に紛れて逃げ延びたらしい。あまり耐久面に優れた印象はなかったが、仮にもレイドボスということか、ヒットポイントは普通のモンスターより多めに設定されているようだ。
『いた! アルナ!』『リズ、逃げ道を防ぐぞ』
 だが、王が再び身を隠すよりも先に、今度はリズとヴォルガが王を発見する。すぐさま二人は前後から挟み込むようにして敵の逃げ道を塞ぎ、リズが呼び出した【黒き鷹・アルナ】が破壊光を放つ。王からすれば一難去ってまた一難と言ったところだろう。

『ヒィッ!!』
 威厳のない悲鳴を上げながら、王は上空からの攻撃を辛くも躱す。ここまでやってもまだ仕留めきれない辺り、逃げ足と回避力に関しては一級品だ。数々の強敵と戦ってきた夢幻戦線も、その点については認めざるを得ない。しかし、それでも。
『体勢を崩したな?』
『今だよ! アルナ!』
 群れで狩りをする肉食獣のように、彼らの攻撃は止まらない。ヴォルガのガンナイフが王を切り裂き、怯ませた直後にアルナが急降下攻撃を仕掛ける。次元を切り裂く神速の爪撃は、ヒットポイントをごっそりと削り取り、またしても王に『ギャアッ?!』と無様な悲鳴を上げさせたのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

菜花・深月
月と邪龍

まずはボスの攻撃を凌がないと…!
弓矢を構えながら戦闘態勢をとる

このボスの攻撃は必中だけど防御貫通じゃない筈…!
敵がUCを発動してきたので結界術を展開して防御するか素早く神聖属性と波動消滅属性攻撃のエネルギー弾を放ち消滅させる

お願い!うちを助けて!月の龍!
指定UCの追加効果でUC月龍召喚紋章を追加発動して王を追わせる事にした

うちは囮を足止めする!
UCを発動して敵が再度UCを発動する前に月矢を放ち敵を確定で凍らせる

逃さないで!月の龍!
月の龍は神眼で王の動きを見ながら神速の速さで近づき概念壊撃の爪攻撃で敵を攻撃

リュールさん!ここが踏ん張りどころだよ!
と恩人に声をかけて再び囮の足止めに専念した


リュール・ディールーク
月と邪龍

まずはボスの攻撃を凌がないと!
リベラシオンを構える

相殺します!
相手のUCに対しては即死無効アイテムで即死は防ぐが必中の波動に対しては邪破属性攻撃の斬撃波を放ち相殺する

邪龍斬・牙!
相手のUCを凌いだらUCを放ち敵を攻撃した

『仕方ありません、本体は私が倒しましょう』
UC蘇りし勇者の剣の精霊を発動して変身したルアンがUC花濡雫払を発動して私達の状態異常と体力を回復してくれた

『手間を掛けないで欲しいですね』
ルアンが王の前に回り込み逃げようとする王を上に吹き飛ばして概念斬を放ち敵の概念と起源を書き換えて王を切り裂いた

『面倒な敵ですね、全くうっとうしいですね』
と逃げて行く王を追いかけるルアンである



「「まずはボスの攻撃を凌がないと……!」」
 バグプロトコル『絶叫』のマゴラとの戦闘に突入した二人の猟兵は、異口同音にそう言った。深月が構えるのは流星をデザインした月光弓、リュールが抜き放つは神剣リベラシオン。だが、それらの武器よりも「声」という凶器の攻撃範囲は遥かに広く、そして速い。
「AIEEEEE!!!!」
 遺跡に反響するマゴラの【デス・スクリーム】は、同時に【蝕の波動】を発生させる。前者は序盤でエントレットがドロップした即死無効アイテムで防げるが、後者には確実な対策手段がない。必中効果に加えて様々な状態異常を確定付与するユーベルコードは、それ単体でも極めて凶悪だ。

「このボスの攻撃は必中だけど防御貫通じゃない筈……!」
「相殺します!」
 深月は神聖属性を秘めたエネルギーの矢を放ち、リュールは邪破属性を込めた斬撃波を振るい、【蝕の波動】を消滅させようとする。その脅威を理解しているからこそ全力だ――二人がかりの反撃によって相殺されたユーベルコードは威力を削がれる。
「これなら防げる!」
 すかさず深月が自分とリュールを包み込むようにバリアを展開して波動を防ぐ。これで状態異常も受けずに済んだ。
 それを見たマゴラは泣き出しそうな気弱な表情で、またも絶叫しようとしている。喉が枯れるまで今のような攻撃を連発されたら、先に力尽きるのはこっちだ。

「お願い! うちを助けて! 月の龍!」
 マゴラを討伐するには本体である【真実の王】を倒すしかない。そのために深月が発動するのは【月龍召喚紋章】。
 これは昔攻略した高難易度クエストのクリア報酬として使えるようになったもので、召喚される月の龍はNPCであるため、王の特殊な耐性を無視してダメージを与えられるのだ。
「うちは囮を足止めする!」
 月龍が本体を探している間、囮にこれ以上ユーベルコードを使わせないために、深月は【氷刻矢雨の月矢】を発射。
 必中効果に加えて確定で凍結状態にする、この技は奇しくも【蝕の波動】と性質が似ている。凍りついたマゴラは「ア……ィエ……?」と蚊の泣くような声を上げるのみで、絶叫を封じられた。

「邪龍斬・牙!」
 直後にリュールもユーベルコードで反撃開始。彼女の【邪龍斬・牙】にも麻痺・壊毒・眠呪の状態異常効果があり、敵の弱体化と行動抑制を狙うなら最適の技だろう。ただ、どれだけ弱らせたところで最終的な決着のためには王を討つ必要がある。
『仕方ありません、本体は私が倒しましょう』
「えっ、ルアン?!」
 プレイヤーであるリュールには王を倒せない。そこで『ルアン・メイ』は自発的に【蘇りし勇者の剣の精霊】を発動し、剣から精霊の姿に変身する。ついさっき彼女が喋れることを知ったばかりのリュールは、それがさらに人型に姿を変えたのにビックリだが、今はゆっくり話を聞いている暇もない。

『少しだけ持ち堪えていなさい』
「あ、ありがとうございます!」「がんばるよ!」
 ルアンは【花濡雫払】を発動して二人の状態異常と体力を回復させると、そっけなく言い捨てて王の捜索に向かう。
 一応はリュールを使い手として認めても、かなり気難しい性格なのだろう。だが有能さに関しては疑いようがなく、月龍との二人がかりであっという間に標的を見つけだす。
『あなたが本体ですか』
『ゲッ?!』
 それは囮として最初に出てきた少女型モンスターよりもさらに小さく、迷彩を暴かれると慌てふためき逃げ出した。
 これが「王」とはずいぶんな誇大表現に聞こえるが、ちょこまかして鬱陶しそうな敵ではある。もちろん逃がすつもりのないルアン達は、二手に分かれて退路を塞ぎにかかった。

「逃さないで! 月の龍!」
 深月の号令を受けた月龍は神眼で王の動きを捉え、神速で追いかける。額から放たれる月光は迷彩のバフを解除して敵の居所を照らしだし、その爪は概念さえも破壊する。現在はテイムモンスターの立場に収まってはいるが、クエストボスにも匹敵するスペックだ。
『ウギャッ! ギ、ギィ……!』
 龍の爪に背中を引き裂かれた王は、フラフラとよろめきながらも逃げ延びようとする。戦闘は囮に任せ、自身は生存に徹する姿勢はいっそ清々しい。それがマゴラの必勝戦法であることもまた事実だが――今回ばかりは、そう上手くいくとは思わぬことだ。

『手間を掛けないで欲しいですね』
『ヒギッ?!』
 逃げようとする王の前に回り込んだのはルアン。出会い頭の一撃を食らわせて上方に吹き飛ばすと、自らの腕を剣に見立てるように伸ばし、虚空を一閃――万象を断つ概念斬をもって王を切り裂きつつ、その概念と起源を書き換える。
『散りなさい』
『グ、グェェェェ……!!』
 バグプロトコルからすると、その攻撃は自身を構成するプログラムを改竄されるようなもの。ヒットポイントを失うより、その上限を減らされるほうが近いだろうか。勇者の剣に秘められた恐るべき力の一端を味わい、王は苦悶の形相で絶叫した。

『面倒な敵ですね、全くうっとうしいですね』
 それでもなお往生際悪く逃げていく王を、ルアンと月の龍は追いかける。手応えからして相当ダメージを与えられたのは間違いなく、ご自慢の逃げ足にも陰りが見える。本体の危険は囮にも伝わっているのか、少女型モンスターも焦燥の表情を浮かべている。
『A……AIE……!』
「やらせないよ!」「やらせません!」
 本体を救うために絶叫しようとする囮を、深月とリュールが制止する。王にとどめが刺されるまで、こいつを足止めするのが彼女達の役目だ。即死無効アイテムの効果時間もそろそろ不安を感じる頃合いだが、だからと言って逃げる訳にはいかない。

「リュールさん! ここが踏ん張りどころだよ!」
「はい! 頑張りましょう!」
 即死へのトラウマを耐えて、恩人に声をかける深月。リュールも勇ましく応答すると、再び囮の足止めに専念する。
 理不尽な即死の数々を乗り越えて、クエストクリアはもう目の前。途中でも痛い目や危ない目にあってきた彼女達は一切油断することなく、詰めの段階に入りつつあった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジュン・フェレット
ここにボスが出てくるのですね?
なんていうか、アイテム取ってきてよかったと思います。
即死攻撃って恐ろしいものですね。
でも、大丈夫って事なら大丈夫だと思います。
んじゃ、そのまま真空刃を敵に打ち込みながらボスに近づいておきます。
敵を引きつけながらボスに突っ込んで一気にジャンプ。UC使用して敵とボスを衝突させてダメージを与えてみます。
あとは、ボスの攻撃を避けながら同じ繰り返しをしてどんどんダメージ与えてみます。
「面倒な存在ですね」



「ここにボスが出てくるのですね?」
 ジュンがダンジョンの一番奥の部屋まで辿り着いた時、すでに内部ではボスモンスターの叫び声が響き渡っていた。
 バグプロトコル化したことでさらに凶悪になった『絶叫』のマゴラの【デス・スクリーム】は、聞いた者を問答無用で即死させる。唯一の対策はクエスト序盤に出てきた「エントレット」のドロップアイテムを持っておくことだ。
「なんていうか、アイテム取ってきてよかったと思います」
『AIEEEEE!!!!』
 ひどく耳障りで喧しい絶叫を耳にしながら、まだジュンが生きているのはそのアイテムのおかげだ。マゴラは他にも状態異常攻撃の【蝕の波動】や【真実の王】など厄介な特性を幾つも持つが、対策が必須となるのは即死攻撃だけだ。

「即死攻撃って恐ろしいものですね。でも、大丈夫って事なら大丈夫だと思います」
 【デス・スクリーム】が効かないことを確認したジュンは、そのまま真空刃を放って【蝕の波動】を相殺しながら、軽快な身のこなしで【真実の王】のもとに近付いていく。絶叫する少女型モンスターのほうは囮で、倒すべき本体は別に隠れていることを彼は知っていた。
『ギギッ!』
『AIEE!!』
 他の猟兵の攻撃で迷彩が解けていた「王」は、自身が狙われているのに気付くと慌てて逃げ出す。囮のほうの少女も本体を守るために、絶叫と波動を撒き散らしながらジュンの後を追ってきた。ここまでの展開は狙い通りだと、彼の口元に笑みが浮かぶ。

(タイミングを見計らって……)
 襲ってくる敵をギリギリまで引き付けてから、ジュンは本体のもとへ全速力で突っ込む。そのまま体当たりでもする気かと思われたが、プレイヤーの攻撃は王に通じない。そこで彼はぶつかる寸前で【スカイステッパー】を使い、一気に空中へと飛び上がった。
『ゲッ?!』『アイエッ!?』
 追いかけてきたマゴラは突然のジャンプに反応できず、勢い余って王と正面激突。ボスモンスターである彼女も広義ではNPCの一種であり、王にダメージを与えられる存在。ジュンの狙いは本体と囮を同士討ちさせることにあったのだ。

「うまくいきましたね」
 作戦成功を確認できれば、あとは同じことの繰り返しだ。ジュンはマゴラの攻撃を防ぎながら王との衝突を誘導し、どんどんダメージを与えていく。仲間を召喚してもアイテムが無ければ即死させられる危険性がある以上、現状ではこれがもっとも堅実な攻撃手段だった。
「面倒な存在ですね」
 一部プレイヤーからクソボスと謗られるように、撃破までにいささか手間がかかることは否めないが、それでもヒットポイントは削れている。長かったクエストももう一息だと自分を鼓舞して、ジュンはボス部屋を飛び回るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミノア・ラビリンスドラゴン
絶叫の攻撃化、ちょっと親近感がありますわね!
(大声×ブレス攻撃のユーベルコード持ち)

即死の絶叫は対策済み!
丸太は持ちましたわ! 行きますわよ!!!
負けじと【鬨の声】をあげ、丸太を抱えたまま【ダッシュ】で突撃~!
ぶんぶん振り回して【蹂躙】! ぶっ潰しますわ~!!
囮にしかダメージは入りませんが、逆に言えば無傷なのが本体! あぶり出しましてよー!!
放たれる毒に【カウンター】で【夢幻なりし騎士王の城】を展開!!
無敵の城壁が毒を防ぎ、生成した騎士トークンが出撃!
わたくしの【戦闘演算】による【大軍指揮】で的確にボスを王を追い詰めますわ!!
我が騎士たちよ! やっておしまいなさい!!



「絶叫の攻撃化、ちょっと親近感がありますわね!」
 大声とブレス攻撃を組み合わせた【竜の轟咆】という独自技能を持つミノアと、即死攻撃の【デス・スクリーム】を得意技とする『絶叫』のマゴラ。偶然にも類似したユーベルコード持ちの二人だが、バグプロトコル側がプレイヤーにシンパシーを抱くはずもなく、侵入者には問答無用の絶叫を浴びせてくる。
「AIEEEEE!!!!」
「残念でしたわね、即死の絶叫は対策済み!」
 クエスト序盤で確保したエントレットのドロップアイテムが、即死効果からミノアを守ってくれる。得意満面の様子で彼女が抱えるのは、キラキラと光る丸太――護符にするならもっと小さなやつでも良かったのに、一番サイズのあるやつを取ってきたらしい。

「丸太は持ちましたわ! 行きますわよ!!!」
 ボスの絶叫に負けじと鬨の声を上げ、丸太を抱えたままダッシュで突撃するミノア。およそ令嬢らしからぬ振る舞いだが、ドラゴンプロトコルのフィジカルで振るう丸太はシンプルにデカくて重い鈍器と化す。普通の武器でも良いのではと言ってはいけない。
「ぶっ潰しますわ~!!」
『アイエッ!!』
 ぶん殴られたマゴラは吹っ飛ばされるが、すぐに起き上がってくる。ダメージの手応えはあったものの、あれは囮で本体は別に隠れている。もちろんミノアもそれは承知の上だ――どうにかして本体を見つけ出して倒さなければ、この戦いは終わらない。

「囮にしかダメージは入りませんが、逆に言えば無傷なのが本体! あぶり出しましてよー!!」
 ぶんぶんと丸太を振り回し、目につく限りのものに手当たり次第攻撃を加えていくミノア。蹂躙と呼ぶにふさわしい破壊行為によって【真実の王】の迷彩が暴かれる。それは囮よりもずっと小さく、王と呼ぶには威厳のないモンスターだった。
「いましたわ!」
『ギ、ギィッ!』
 いくらダメージが無くても、これだけ派手に暴れられると危機感を持つか、姿を現した王は毒液を吹きかけてくる。
 これに対抗してミノアはフィールド魔法【夢幻なりし騎士王の城】を展開。荘厳にして堅牢なるキャメロット城の幻が、王の毒から彼女の身を守った。

「我が騎士たちよ! やっておしまいなさい!!」
 さらに城門が開くと、場内で生成された円卓の騎士トークンが出撃。女王たるミノアの号令一下、一矢乱れぬ突撃でマゴラの本体に襲い掛かる。【真実の王】にはNPC以外の攻撃からダメージを受けない厄介な特性があるが、あいにくと彼女には忠実な配下が大勢いるのだ。
『ゲゲッ!?』
『AIEEE―――?!』
 王は小さな体ですばしっこく逃げ回り、囮のほうは本体を守るために絶叫と【蝕の波動】を撒き散らす。だが城さえ無事なら騎士トークンは何度でも生成できるし、彼らを指揮するミノアも無敵の城壁に守られて防御は万全。戦闘演算に基いた的確な大軍指揮によって、たちまちマゴラ達を追い詰めていく。

「これでチェックメイトですわ~!!」
『ギ、ギェ……!』
 号令代わりにドンと丸太で地面を叩くと、騎士たちの剣と槍が敵に突き刺さる。度重なる猛攻により、ついにヒットポイントがゼロになった王は消滅していき――同時に、囮であった少女型モンスターのほうもピタリと動かなくなる。
『ア……アイ……アイエェ……』
 まるで花が萎れ草が枯れるように、『絶叫』のマゴラの身体は跡形もなく消え去り、ダンジョンは静寂に包まれる。
 その直後、戦闘に参加した全猟兵のもとにドロップアイテムが出現する。それが過酷な試練を乗り越えた冒険者への報酬であり、クエストクリアの証であった。



 ――かくして、即死バグに汚染されたクエストを攻略し、プレイヤーへの被害を未然に防いだ猟兵達。
 ゴッドゲームオンラインは今日も表向きはつつがなく、現実を厭う人々の理想郷として絶賛運営中であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年03月21日
宿敵 『『絶叫』のマゴラ』 を撃破!


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
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 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はリュール・ディールークです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト