馬県・義透
馬県さんち、は日めくりカレンダーを使っています。
そして、それをめくるのは陰海月の役目!
今日もめくってみたら…2月29日!
ぷきゅー?あれー?
そういえば、今年は『閏年』だとおじーちゃんたち、それに夏夢が話してた。
だから、29日があるのかな?って思ったり。
せっかくなので、2/29というクッキー作って写真撮ってみたりした陰海月!
そんなほのぼのをよろしくお願いします。
●太陰
馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の所有する屋敷の中は緩やかで穏やかな日々が過ぎていく。
一日は必ず終わりを告げて明日を呼び込む。
その度に『陰海月』はカレンダーをめくる。
これを日めくりカレンダーというのだと屋敷の主人である彼らから伝え聞いた時は、面白いと思った。
この紙を一枚捲る度に日が変わる。
数字で示される暦。
「ぷきゅ~」
2月は終わりを迎えた。
昨日は2月28日。
なら、今日は3月の始まりの日だ。
日課となった日めくり。『陰海月』は一枚捲る。
すると其処に現れたのは、まだ2月の暦。
「ぷきゅ!?」
え!? と目が合ったのならばまんまるにしたであろうかわりに『陰海月』は飛び上がった。
え、なんで?
なんで3月じゃあないの?
疑問が符となって頭の上に浮かび続ける。
2月29日。
その日付が眼の前にある。
あ、と『陰海月』は思い出す。
そう言えば、おじーちゃんたちが言っていたのだ。確か今年は閏年なのだと。
『夏夢』とそんな話をしていた。
でもなんで、閏年だと2月は29日になるのだろう?
よくわからない。
でもまあ、まだ2月だっていうのならば、何か特別な日なのだろう。
特別な日にすることは一つしかない。
特別なことを、するのだ。
「きゅきゅきゅ」
何が特別かなんて、他の誰かが決めることじゃあない。
暦が定められていたって関係ない。
『陰海月』はごきげんに台所へと駆け込む。
「おや、どうしました」
おじーちゃんが目を丸くしている。何をするのか、と言われて『陰海月』は特別なこと! と鳴くのだ。
特別? とおじーちゃんたちは首を傾げていたが、忙しいのだ。
きっと後でおじーちゃんたちもわかる。
だから、と『陰海月』は忙しげに触腕を振るってあれやこれやとてんてこまいである。
さくっと混ぜて。
ぐにっとこねて。
ざんっと形で抜いて。
さっとオーブンに突っ込む。
何ができるかなんてもう言わなくたってわかるよね。
そう、クッキーである。『陰海月』にとって、特別な日にすることはお菓子作りだ。
感謝の日にお菓子を配ったときのように、今日が特別な日だっていうのなら、お菓子作りの日だ。
「ぷっきゅ!」
焼き上がった『2/29』というクッキーを掲げて『陰海月』はパシャリと写真を撮って見せる。
四年に一度の特別な日。
けれど、その日を特別にするのは、いつだってその人次第なのだ――。
成功
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