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守れ、妙なる歌声

#サイバーザナドゥ #電脳の侵略者 #ネバー・ネイション

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#サイバーザナドゥ
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#電脳の侵略者
#ネバー・ネイション


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 ――とあるライブハウス。
 この日、ここでは人気の歌姫がライブを行っていた。
 妙なる歌声に皆がノリノリになってコールアンドレスポンスを行うなどして大盛況だったのだが。
 歌姫がムーディーなバラードを歌い始めた途端、カッと目を見開いた者たちが暴徒化した。
「きゃああっ!」
 暴徒と化した客はステージにまで押し寄せ、スタッフやバンドメンバー、あわや歌姫にまでその手が及ぼうとしていた。
「誰か、誰か止めてぇっ!」
 巻き込まれた女性客が涙を流しながら訴える――。

「脳を電脳化するってどんな感じなんだろうね……まさしくサイバーな世界らしい、といえばそうだけれど」
 グリモアベース。
 猟兵たちを迎えたルル・アン(眠れる青琥珀・f42092)は、口許に手を寄せ思案気にしている。
「人はその人のままでいられるんだろうか……と、それはさて置き、とても便利で快適ではあるらしいんだけど、ハッキングされて行動の意思を奪われてしまうというのは頂けないよね」
 そう言って、彼は事件のあらましを話した。
 文字通り生身の肉体を「|機械化義体《サイバーザナドゥ》」に換装したこの世界では、ヒトがヒトであると認められている最後のパーツである『脳』さえも、その思考能力を補助・強化するべく『電脳化』する者やちも後を絶たないという。
 脳をAIによって強化される全能感はなかなかのもので、その魅力には抗えないのだろう。
「勿論、その電脳には高度なプロテクトが施されている筈なんだけど、そこにオブリビオンがハッキングしている事例が多発しているんだ。電脳をハッキングされた被害者たちはまるで『自ら望んでそうしているかのような錯覚』のままに暴れ回ったり、悪事に手を染めてしまう」
 先日も、暴徒鎮圧に出向いたデスブリンガーが電脳をハックされ、スラム街ひとつを文字通り『灰』と化す事件が起きたばかりだとルルは告げた。

「皆にお願いするのは、あるライブハウスで起きることを予知した事件の解決だよ。電脳化した客の複数人があるデバイス――どうやら、これがあるとライブをより楽しめるという道具を所持していて、その人たちが特定の曲を聴くと暴徒化してしまうということらしいんだ。まず、これを鎮圧して欲しい。その後も、ハッキングの犯人を捜すべく操作をしてもらう必要があると思うけれど……これはライブの後だね」
 どうやらこの裏で糸を引いているのは『ネバー・ネイション』というメガコーポらしいが、詳しいことはまだよく分からないという。
 ルルは深く溜息をついてから、猟兵たちに向き直った。
「歌を愛する者としても、こんなことに歌が利用されてしまうのは嫌なものだね……どうか、彼らが今後安心してライブを開けるように犯人を突き止めてくれないかな」


雪月花
 雪月花です。
 どうぞよろしくお願いします。

 今回は三章仕立てで、ライブ客の鎮圧は第一章に当たります。
 第二章は問題のデバイスの出所を求めて闇市場への潜入、上手くことが進めば第三章でハッキングの犯人とのボス戦となります。
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第1章 冒険 『歌姫を守れ!』

POW   :    体を張ってファンを止める。

SPD   :    テクニックを使ってファンを止める。

WIZ   :    頭を使ってファンを止める。

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

御園・桜花
「ザナドゥの、歌姫。興味があります」
歌繋がりで興味持った

「ミルクホールで流れている音楽とは全然違います。此れが、ザナドゥの流行歌…」
其々の世界に合った其の世界に好まれる歌を知りたいので、1回で覚えるべく真面目に聞く
周囲にも目を走らせ此の音楽はどういう風に楽しむものなのかも合わせて学ぶ

「UDCで聞いたディスコとかクラブとかライブハウスとかを、更にサイバネティクス寄りにした感じでしょうか」
キョロキョロ

暴徒が出たらUC「桜の癒やし」
全暴徒指定しどんどん眠らせる
起きてもまた直ぐに眠らせ、踏まれないよう部屋の隅へ移動させる

「他者に行動支配された動きを見ると、何故かオーシャンのゾンビを思い出します」
首傾げ



 ――事件が起こる直前のライブハウス。
「ザナドゥの、歌姫。興味があります」
 歌繋がりで興味を持った御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)は、ホールの片隅で歌姫とバンドの演奏に真剣に聴き入っていた。
 片腕を銀の腕に義体化した歌姫はサイバネティックなドレスを纏い、煌びやかなホログラムが映し出されるステージでアップテンポの歌声を響かせている。
「ミルクホールで流れている音楽とは全然違います。此れが、ザナドゥの流行歌……」
 彼女の想像した通り、ステージも客のひしめくホールもUDCのディスコやクラブ、ライブハウスなどを更にサイバーなものにした感じだ。
 キョロキョロと周囲に視線を向けると、観客やファンたちは音に身を任せて身体を揺すったり、光る棒を振ったり、中には自らの義体化した身体の一部を光らせて声援を送っている者もいた。
(「なるほど、こういう風に楽しむ人も、いるんですね」)
 でも、ステージの上の演者にお触り禁止なのは、何処でも同じ筈だ。
 お約束を破ろうとしてしまうなんて――。
 そこで、それまでテンポも速く刻まれていたビートが甘やかなものに変わり、ゆったりとしたムードのあるバラードに切り替わった。
 途端、様子がおかしくなった者たちがそこかしこに現れ出した。
「うおおおぉ!」
「あああぁ!」
「きゃあっ!? 何?」
 声を上げて暴れ出した者たちに、観客は戸惑い逃げ惑う。
 そこで桜花はユーベルコードを発動した。
「ライブを邪魔する暴徒さん、静かに眠ってください」
 放たれた桜の花吹雪が、暴れ出した者たちを眠らせた。そして、彼らが踏まれたりしないように、ホールの隅へと移動させる。
「他者に行動支配された動きを見ると、何故かオーシャンのゾンビを思い出します」
 まだ眠っていなかった暴徒を次々と眠らせながら、桜花は愛らしく首を傾げるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

暗都・魎夜
【心情】
脳みその機械化、ねえ
そりゃ今までにこの世界の技術は見てきたし、俺の世界には魔術邪法に頼るだっている
だが、さすがにこの世界の企業は脳を渡して良いほど信頼はおけねえよなあ

【行動】
まずはUCを用いて「天候操作」で暴徒と化した人々の戦闘力を削ぐ
こういう場所であるのなら、多少は舞台効果でごまかすこともできるだろ

「まったく、音楽聞くのならマナーは守るんだな」

他の人に殴りかかるものに対しては「気絶攻撃」で無力化
正気の人間がいれば「かばう」
霧が全体にいきわたるまでの時間を稼ぐ

道具は使いようと言うが、これを見てると考えもんだな
いや、悪用しているのはむしろ企業の連中か



「脳みその機械化、ねえ」
 ライブのさ中、暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)は思案気に呟く。
 今までにもサイバーザナドゥでの技術は見てきたし、魎夜の世界にだって魔術や邪法に頼る連中だっている。
(「だが、さすがにこの世界の企業は脳を渡して良いほど信頼はおけねえよなあ」)
 その多く……いや、殆どか? がオブリビオンであるメガコーポには、到底信頼は置けないだろう。
 と、その時歌姫の歌とバンドの曲調が変わり、騒ぎが起き始める。
「『原初の霧』の前でまともに戦うことが出来るなんて思うなよ?」
 すかさず魎夜は虚空から超武器封じを与える『世界を拒絶し歪める「原初の霧」』を放ち、天候操作でそれを広めていく。
「おっと!」
 身近な客が機械化された腕に殴られそうになっているところに割って入り、暴れ出した暴徒を気絶攻撃で黙らせた。
「ここは危ねぇぜ。早く逃げな」
「は、はい……!」
 怯え慌てふためき、やっとのことで頷いた客を出入り口方面に逃がし、【魔蝕の霧】が行き渡るでの時間を稼ぐのだった。
 霧の効果に巻かれた暴徒たちは、暴れても暴れても誰も傷付けられなくなったが、それさえも思考が覚束ないのかまだ暴れ回ろうとする。
 彼らを見て、魎夜はステージに這い上がろうとしていた者を軽くはたき落した。
(「道具は使いようと言うが、これを見てると考えもんだな。いや、悪用しているのはむしろ企業の連中か」)
 こんなことをしているハッカー、そしてその奥に存在するメガコーポの陰に、思いを馳せる魎夜だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

儀水・芽亜
この世界の音楽も悪くありませんね。故郷の音楽と比較すれば何にいているか? 案外1960年代のヒッピー音楽かも?
それにしても、脳味噌を機会に委ねるとは、義体技術もよくよく浸透していることで。

さて、眠りで対処する方はもういるようですし、たまには手管を換えましょう。
「全力魔法」「歌唱」竪琴の「楽器演奏」「範囲攻撃」でアンチウォーヴォイス。
暴徒の電脳に作用し、暴力衝動を奪い去り、意識に「催眠術」で優しい言葉を滑り込ませましょう。
あなたは何が気に入らなかったのでしょう? こんなに素敵なライブだったのに台無しにしてしまって。せめてこのまま沈静化していただけませんか。
警備員が来たら大人しく従ってくださいね。



「この世界の音楽も悪くありませんね」
 儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『|夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644)は建物内に満たされる音と歌に身を任せながら、故郷の音楽と比較すれば何に似ているかと考える。
(「案外、1960年代のヒッピー音楽かも?」)
 流行は巡るもの。『新しい』と『古い』は遠いようで近いのかも知れない。
(「それにしても、脳味噌を機械に委ねるとは、義体技術もよくよく浸透していることで」)
見渡すホールにいる客たちもステージに立つ者たちも、どこかしら義体化しているのはサイバーザナドゥならではと言えるけれど、流石に自分の脳までは……と躊躇ってしまう者も少なくはないだろうに。
 便利で快適になるとはいえ、それがよいのか悪いのか、今回の事件を考えると悩ましいものだと芽亜は感じるのだった。

 流れる曲調が変わり、歌姫が優しくも情熱的にバラードを歌い始めた頃、起きた異変。
「うおあぁぁぁ!」
 急に暴れ出した客に、他の客が突き飛ばされ悲鳴が上がる。
 眠りでの対処を桜花が行っているのを見た芽亜は、竪琴を爪弾きながら全力魔法で歌声を響かせた。
「〽さあ、爪牙を収めましょう。刃は鞘の中、銃砲は蔵の中。偃武の心で、平和を築くのです」
 ユーベルコード【アンチウォーヴォイス】。
 聴く者の精神を揺るがし、戦いに対する疑問と戦意の喪失をもたらす平和の喜びを歌い上げる歌が、暴れ出した者たちに降り掛かる。
 歌を耳にして暴力衝動を失ったように立ち尽くす彼らの意識に、催眠術で優しく囁き掛けるような歌声を響かせる。

 あなたは何が気に入らなかったのでしょう?
 こんなに素敵なライブだったのに台無しにしてしまって。
 せめてこのまま沈静化していただけませんか。

 自失呆然とした暴徒たちを、ハッと我に返ったスタッフたちが後方へと連れて行った。
 こうしてライブでの暴動は、事の起こりに観客が少々の怪我をしたくらいで大きな被害なく鎮静化されたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『闇市場に潜入せよ』

POW   :    自分が商品になる

SPD   :    会場に忍び込む

WIZ   :    客に化けて潜入する

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

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 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
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 ライブハウスで暴動を起こし掛けた者たちが持っていたデバイス。
 それは『ネバー・ネイション』が開発に関わっているらしい、まだ表の市場に出ていない代物だった。
 とすれば、出所はどこか。
 猟兵たちは、ここサイバーザナドゥで『手に入らないモノはない』と謳われる闇市場への潜入を試みることにした。
 どんなことが起こるか、危険が待つかも分からない場所、客として紛れ込むか、或いは――?
儀水・芽亜
デバイスですか。アーティストならともかく、観衆がライブに持ち込むようなものとも思えませんが。
手がかりは闇市にありと。

闇市を回れるだけ回って、元締めのような方を見つけ出しましょう。「コミュ力」で|誠意《お金》を示して、メガコーポの試作品を扱う業者の情報を得ます。

さて、教えてもらったお店にお客として出向きましょう。
店主に商品の説明など「コミュ力」で会話し、「催眠術」を忍び込ませます。ただ眠らせることが出来れば十分。
邪魔が入らないところでドリームダイブを使って、店主の夢の中へ入ります。
さて、混沌とした夢の中に情報があればいいのですが。
移り変わる夢の世界を「瞬間思考力」で分析していけば分かりますか?



(「アーティストならともかく、観衆がライブに持ち込むようなものとも思えませんが……」)
 暴徒になっていた人から見せて貰ったデバイスは、本当に小さなイヤホン型の機械だった。
 電脳化した人に特化したものらしいが、何も弄っていない芽亜にはピンとこない道具だ。
 手掛かりは闇市にあり、ということで訪れたそこには、様々な店が軒を連ね、表の商店街をカオスにしたようなごった煮の空気が漂っていた。
「ここ全体の元締めっていうと俺らも全然わかんないけど、品物のジャンル毎にってんだったらイケると思う」
 芽亜が|誠意《お金》をちらつかせながらコミュ力を発揮してそこらの店主に話を聞くと、電脳化した者や音楽関係の品に精通した、ここらでは重鎮の店を割り出すことができた。
 さて、その店で今度は店主に件のデバイスの話をしてみる。
「これ系のは最近出てきたモノだから、表の市場じゃまだ普通に買える商品も少ないんだろうよ」
 なんでも電脳に直接音を流し込むとか、より音を直接感じることができるような代物らしかった。
 今こうして普通に耳や身体で感じている音との違いは、芽亜にとっても計り知れない。
「だが嬢ちゃんは電脳になってないだろう。どうしてこんなモン探しに来たんだい?」
「いえ、実は興味があって……」
 話を合わせ、その中に催眠術を紛れ込ませること少し。
 店主が船を漕ぎ始めた。
 芽亜は奥の休憩スペースに彼を運ぶと、その額に触れ【ドリームダイブ】を発動する。

 店主の夢の中には様々な夢が混沌と存在していた。
 子供の頃や危険な目に遭う夢の合間に、過去の取引らしき夢が垣間見える。
 そこに一瞬、このうらぶれた界隈には似つかわしくない白いスーツの男と話している様子の夢が金の瞳にちらついて、芽亜の瞬間的思考力が閃いた。
 これだと感じた場面を追って、更に夢の中深く潜っていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

納花・ピンチン(サポート)
ブギーモンスターの勇者×殺人鬼
布を被ってから9年が経ちましたわ
普段はお嬢様口調で、時々関西弁がちょこっと
……って、勉強中なんですわ!

あくまでお仕置きをしに来ているから
あまり殺伐とした戦い方はしませんわ
武器も直前で刃を返して叩いたり
その光景はギャグになることが多いですわ

商人街出身、お話しや交渉なんかも好きです
小さなスイーツや飴ちゃんを渡して一緒に食べると
色々話してくれるんですわ

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し
多少の怪我は厭わず積極的に行動します
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません
また例え依頼の成功の為でも
公序良俗に反する行動はしません

あとはおまかせ
ほないっちょ、よろしくおねがいします



 ――闇市場のとある商店。
「まいどどうも!」
「なんか面白いモン入ってる? ……って、こいつはなんだ?」
 店主と客が見ている檻に入っているのは、なんと納花・ピンチン(ブギーモンスターの勇者・f31878)だった。
 ピンチンは自分の特殊さを見せつけるように、布の下から尻尾のような触手のようなものを出したり引っ込めたりしている。
「どうだい、ここらじゃ珍しい生き物だろ」
「そりゃそうかも知れないけどさ、値段的に手が出ねぇわ……」
 それもその筈、この店に出入りする客が買えないような値段を設定してあるのは、彼女を売り物に見せ掛けて展示しているからなのであった。
 そもそもはノリのいい店主に飴ちゃんを渡しつつ、この闇市場に潜入捜査に来ていることを話したのが切欠だった。
 下手にあちこちうろつくより、売り物のフリをして店に来る客から情報収集をしたらどうかということになったのだ。
 ほないっちょやってみましょう、ということでこうなったのだった。
(「まぁ、こんな体験もなかなかできませんわ」)
 自分が売り物の側になるというなかなかない経験をしながら、ピンチンは訪れる客からの話に耳を傾けるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

焼傍ヶ原・ヨネマ(サポート)
 焼きそばを愛し、焼きそばの為に生きて、焼きそばで競う焼きそバトラー、それが私

どんな相手でもどんな状況でもどんな世界でも、焼きそば1つで切り抜けるつもりよ

ユーベルコードは何を使ってもいいわ、焼きそば!焼きそば!戦闘・日常・冒険全て焼きそばを使うわ


御園・桜花
弾んだ声で
「闇市…高級食材が一杯有りそうです」←市違い

UC「蜜蜂の召喚」
自分は軽食がある店を回って食事しながら蜜蜂で様子を観察
ライブ用品を扱っている店やデバイスやジャンク品を扱っている店でじっくり店主や客を観察させる
ライブ用デバイス
ネバー・ネイション
メガコーポの生体実験協力者
等の会話が出たらよりじっくり観察し会話に耳を傾ける
その場合店主と客の双方に蜜蜂付け特に客側は其れと接触した相手にも蜜蜂を追跡させていく
店主とメガコーポの直接取引でない限り客側に連絡用の売人が混じっているのでより客側を重視して追跡させる
一応集積所なり作成所なりに辿り着く迄蜜蜂追跡を継続
其の間は店を変えつつ延々食事を継続する



「闇市……高級食材が一杯有りそうです」
 うきうきと声を弾ませた桜花だったが、ちょっと市の種類が違ったようだった。
「おいで蜜蜂、花の蜜をあげましょう。私の代わりに追い駆けて、全てを見て聞いてくれるなら」
 桜花は蜜蜂を召喚し、軽食がある店を回って食事を摂っていく。
 すると、列を成している店がある。
 ソースの焦げるいい香りにその元を辿ってみると、そこは焼傍ヶ原・ヨネマ(生粋の焼きそバトラー・f42520)が切り盛りする焼きそばの屋台だった。
「はーい焼きそば一丁あがり~! どんどん焼いていくわよ~」
 ヨネマは身ひとつ、もとい焼きそばとその身ひとつで闇市場のショバを仕切っている者のところへ乗り込み、焼きそば屋台を出店する交渉をして店を出させて貰ったのだ。
 そして、焼きそばを売るついでに訪れる客から情報を耳にする機会を得ることができた。
「成程、お店を出して情報が集まってくるというのもアリなんですね」
 桜花も焼きそばを買って、飲食スペースで食べることにした。
 それにしてもヨネマの焼きそば屋はなかなか盛況のようで、入れ代わり立ち代わり客がやってくる。
 焼きたての匂いに惹かれて来る者も少なくないようだ。
 そんな状態だから、飲食スペースにも様々な会話をする人々が訪れていた。
「あのメガコーポの……」
「……デバイスは……」
 身を寄せ合うようにして焼きそば片手に話していた男たちの声が、耳に届く。
 呼び出した蜜蜂はライブ用品を扱っていたり、デバイスやジャンク品を扱っている店で、店主や客をじっくり観察させていたのだが、意外なことに飲食スペースの方で引っ掛かる言葉を耳にすることになった。
 桜花は改めて蜜蜂を召喚すると、先ほど気になる会話をしていた二人組に付けて追跡させることにした。
「ご馳走様、美味しかったです」
「こちらこそありがとね~!」
 そして、何事もなかったかのようにヨネマに声を掛けて席を立った。
 蜜蜂が集積所なり作成所なりを見付けるまで男たちを追わせ、自分はまた美味しいものを探しに行くのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

暗都・魎夜
【心情】
ひとまずは大きな被害を出さずに済んだってところか
さて、本番はここからだ
悪事ってのは長く続けられるもんじゃねえってことを教えてやるぜ

【行動】
機械の知識に関しては人並みで、この世界の超技術とまで言われたらさっぱりだ
でも、使っているのが人間である以上、限界ってもんがある
そこを追跡させてもらうぜ

サイバーザナドゥの犯罪組織の人間風に「変装」

「情報収集」で当りを付け、大口の仕事があると「演技」でだます

「うちの上司がこのデバイスででかいシノギを考えていてね」
「できれば沢山仕入れたいんだが、バイヤーに繋ぎは取れるかい?」

派手に見せ金を出して、情報くれた奴にの懐に入るなら、収穫はあるだろ



 ひとまずは大きな被害を出さずに済み、安堵した魎夜。
「さて、本番はここからだ。悪事ってのは長く続けられるもんじゃねえってことを教えてやるぜ」
 気合いを入れ直し、袖を通したのはこの世界の犯罪組織の人間風の服装だった。体格のいい魎夜が着ると、闇市場に出入りしていてもおかしくなさそうな風体の男の一丁上がりだ。
 魎夜は機械の知識に関しては人並みだし、それにサイバーザナドゥの蝶技術と言われたらさっぱりだけれど、使っているのが人間であることに変わりはない。そして限界もある。
(「そこを追跡させてもらうぜ」)
 魎夜は闇市を回って情報を集め、デバイスを扱っている店に行き着いた。彼の演技力が如何なく発揮されるところだ。
「……なるほど、たしかにこいつで間違いないようだ」
 扱っているのが件のデバイスだと確認した後、打って出る。
「うちの上司がこのデバイスででかいシノギを考えていてね」
 情報提供の報酬にと派手に見せ金を出しながら、口上を述べる。
「できれば沢山仕入れたいんだが、バイヤーに繋ぎは取れるかい?」
「ほう、情報だけでそんなにとは……どうやら、そちらの上司さんは本腰を入れて一口噛もうとしてるようだな」
 店主と交渉を続けると、情報料の額と魎夜の巧みな演技に騙されてくれたようで、バイヤーとの繋ぎを付けて貰えることになった。
 ここから更に、デバイスの出所を突き詰めていくことになる。
「さてと、まだまだやることがあるぜ」
 店を出た魎夜は、拳を掌に当てながらニッと笑うのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

メンカル・プルモーサ
…ふむ……表に出てない商品が出回る闇市場か…
…こう言う場所は「常連」でないと取り扱えない品物も多いんだけど…
【想い交わる幻硬貨】を自分に貼り付けて闇市に溶けこむとしようか…
…ネットに自己判断型伝令術式【ヤタ】を放ってネバー・ネイションとデバイスの情報を集めて貰って…私は足で情報を取り扱う店を探すとしようか…
この手の場所なら取り扱い情報その物が商品になる事だししね…
…|素敵なお友達《クレジット》の力も借りて腕利きの情報屋に接触する符丁を手に入れて…
…【ヤタ】が情報を元に情報屋からハッキング犯へと繋がる情報を聞き出すとしようかな…



「……ふむ……表に出てない商品が出回る闇市場か……」
 こういう場所は『常連』でないと売って貰えないものもある事を知っているメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は、闇市場に入る前にユーベルコードを発動した。
「見えぬ絆よ、紡げ、繋げ。汝は親交、汝は同胞。魔女が望むは知らずに見知る宵客人」
 妖怪ぬらりひょんの描かれた【|想い交わる幻硬貨《ハロー・マイフレンド》】、それを自らに貼り付けている間は周囲の人物が自分を同僚や友人と思い込むのだ。こうした場所に溶け込むには、打って付けのユーベルコードだった。
 そして、ネットには自己判断型伝令術式【ヤタ】を放ってネバー・ネイションとデバイスの情報を集めて貰う間に、メンカル自身は足で情報を取り扱う店を探すことにした。
「この手の場所なら、取り扱い情報その物が商品になることだしね……」
 闇市場の中にも、情報屋の体の店はいくつかあった。
 そこでモノを言うのが|素敵なお友達《クレジット》だ。
 自分のことを仲間や友人と思っている者からの情報収集は、お金の力もあって円滑に行われ、腕利きの情報屋に接触するための符丁も手に入れられた。
「やあ、久し振りだな……?」
 幻硬貨の効果により、腕利きの情報屋もメンカルに親しげに応対し、知っている限りの情報を提供してくれた。
 ネットに放った自作精霊AIが拾ってくるのは、ネバー・ネイションのよからぬ噂ばかりだったが、かの情報屋から得た情報も含めて精度を上げた【ヤタ】の嘴が、ハッカーの喉元に迫るまで時間の問題だった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『マスタークラッシュ』

POW   :    クロックアップデバイス
自身の【愛用携帯端末】ひとつを用いた行動・攻撃の威力を3分間3倍にする。終了後[愛用携帯端末]は【タッピング過多】により破壊される。
SPD   :    即席念動ハッキング
レベルm半径内の、敵が制御していない装備・設備を自身の【愛用携帯端末】と接続し、命中率と処理速度を増加させる。
WIZ   :    高速特定メソッド
【ソーシャルメディア】から【対象のアカウント】を発見する事で、対象の攻撃を予測し回避する。[対象のアカウント]を教えられた者も同じ能力を得る。

イラスト:兎原エリノ

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠上書保存妖怪・レイヤーを全部結合です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちが闇市場で集めた情報を総合して浮上した場所――そこは、とあるオフィス街の一角だった。
 なんてことはないフロアを抜けようとした時現れた用心棒らしきオブリビオンを一蹴し、猟兵たちは奥の部屋に押し入る。
 そこは、無数のモニターが並べられ、また無数の携帯通信機が設置された少々異様な部屋だった。
「まさかここまで特定されるとはね……」
 と言いながらも、白いスーツの男は余裕げに椅子から立ち上がる。
「いいだろう、この私が相手をしてあげましょう」
 事件の犯人であるハッカー『マスタークラッシュ』との戦いの火蓋が、切って落とされた!
儀水・芽亜
見つけましたよ、電脳ハッカー。何が狙いかは、取り押さえてから吐いてもらうまで。参ります。

この世界にいる以上、私のアカウントもどこかに存在するのでしょう。ですが、それが何か?
まずは「先制攻撃」で主導権を奪います。
「全力魔法」眠りの「属性攻撃」「魔力吸収」「呪詛」で生命力を吸い取る胡蝶の盾。
私のアカウントを見つけ出す暇など与えません。部屋を覆う黒揚羽の渦で、あなたの身体の自由を奪って差し上げます。
反撃に備えて、眼前に黒揚羽からなる傘状の盾を生成。私の力は攻防一体。一気に沈めてくれます。
私の黒揚羽達、その辺の機械にも呪詛を流し込んでくださいな。二度と動かすことが出来ないくらいに。

それでは良い悪夢を。


メンカル・プルモーサ
足取りを掴むのはまあまあ楽だったけどね…
…そちらが黒幕なら話は早い…さっさと退場して貰おうか…
【我が身転ずる電子の精】を発動…目と腕を粒子化しよう…
…あちらの愛用端末と設備との接続(有線・無線問わず)を粒子化した腕で片っ端から千切って切断しよう…
…タイピングでコマンドを打つよりも手っ取り早いしね…
…さらに自己判断型伝令術式【ヤタ】に命じて周囲の設備をハンドヘルドコンピュータ【マルチヴァク】制御下に置いてしまおうか…
…あとは防衛設備があればそれを起動して攻撃…無ければ術式で数多の光の矢を発射して攻撃するとしよう…


御園・桜花
「望んだ貴方である今を壊して貴方の転生を希うのは、傲慢極まりない事なのでしょう。けれど貴方がオブリビオンである限り、私達は貴方を止めざるを得ません。ごめんなさい…どうか、善き転生を」

UC「幻朧桜召喚・因果改竄」
時速750kmで室内を飛び回り敵の愛用携帯端末を次々桜鋼扇でぶん殴り使用不能又は破壊する
室内のモニターや機械も猟兵の所持品でない限りどんどん殴って壊す
敵の攻撃は第六感や見切りで躱し破壊優先
他のメガコーポエージェントが事業を引継いでも此処を拠点に出来ないよう完膚無き迄破壊したら本人に吶喊
桜鋼扇で連打し倒す

「何時か、オブリビオンでなく此の地に戻り願いを叶えられますよう」
戦闘後鎮魂歌歌い送る


暗都・魎夜
【心情】
超技術世界のハッカー
漫画やらなんやらに出てくるようなトンデモ能力になってるな
まあ、こんだけ機械化された世界じゃ絶対的な力を振るえるのは当然だ

なら、俺にもこの世界はやりやすい世界だな
「行くぜ、イグニッション!」

【戦闘】
大した技術だが使いようだな、本当に
「一応、聞いておくぜ。何のためにこんなことを?」

聞いたからって何か変えるわけじゃねえが、俺の自己満足の質問だな

「(誰何の言葉に)俺は通りすがりの能力者さ、覚えておきな!」

UCを発動し、「リミッター解除」した「電撃」で攻撃

制御・設備を利用した攻撃に対しては、物理無効で無視

「地形の利用」で周囲の道具に潜み、隙を突いてとどめを刺す



(「足取りを掴むのはまあまあ楽だったけどね……」)
 メンカルは眠たげな表情のまま、静かにそう思った。
(「漫画やらなんやらに出てくるような、トンデモ能力になってるな。まあ、こんだけ機械化された世界じゃ絶対的な力を振るえるのは当然だ」)
 超技術世界のハッカーを前に、魎夜は驚くやら納得するやら。
 ――なら、俺にもこの世界はやりやすい世界だな。
「行くぜ、イグニッション!」
 懐から出したイグニッションカードを閃かせ、彼は猟兵としての戦いの武具を身に着ける。
「見付けましたよ、電脳ハッカー」
 マスタークラッシュを見据えた芽亜が先制攻撃を仕掛ける。
(「私のアカウントを見つけ出す暇など与えません」)
 眠りの属性攻撃を全力魔法で、魔力吸収と呪詛を兼ね備えた【胡蝶の盾】を生み出し、部屋を覆うような無数の黒揚羽の渦でマスタークラッシュの自由を奪おうとするが、それは避けられた。
「もしや……!」
「えぇ、見付けましたよ。あなたのアカウント……なるほど、興味深いですねぇ」
 わざと慇懃無礼に話しているような鼻につく口調で告げるオブリビオンの表情は、蛇のような気味の悪い笑みに見えた。
「確かにこの世界にいる以上、私のアカウントもどこかに存在するのでしょう。ですが、それが何か?」
 すかさず反撃に備えながら、芽亜は自らの前に黒揚羽からなる傘上の盾を形成した。これにより、オブリビオンの攻撃も滑るように霧散していく。
「アカウントを特定できれば、色々なことがわかるのですよ。例えば普段の姿とか……思わぬ癖や弱点なんかもね」
 芽亜は男の粘着質な眼差しに気持ち悪さを感じたが、わざわざ口にして喜ばせてやる必要はない。
「一応、聞いておくぜ。何のためにこんなことを?」
 たいした技術だが本当に使いようだと想いながら、魎夜が尋ねる。
 すると、マスタークラッシュはニィと笑う。
「更に素晴らしい世界を実現するためですよ。現段階ではまだ実験程度ですが……」
「さっぱり分からんな。やはり、そちらさんとは考え方が根本的に違うんだろう」
 魎夜は肩を竦めた。
「そういうあなた方は一体何なのです?」
「俺は通りすがりの能力者さ、覚えておきな!」
 そうして発動したのはユーベルコード【ライトニングスピリット】。
 自らを稲妻のスピリットバードに変え、リミッター解除して突っ込んだ。
「ぐぁっ!」
 オブリビオンにかなりの痛撃を与えたようで、男は少しよろめいた。
「……そちらが黒幕なら話は早い……さっさと退場して貰おうか……」
 灰色の髪を揺らし、メンカルの青い瞳が眼鏡の奥で煌めく。ユーベルコード【|我が身転ずる電子の精《コンバート・テクノマンサー》】が発動し、彼女の目と腕が粒子化した。
 この粒子はデータや信号に直接干渉できる。
 そして、粒子の集合体となった腕でオブリビオンの持つ端末と設備との接続を有線無線問わず千切って切断し始めた。
(「……タイピングでコマンドを打つよりも、手っ取り早いしね……」)
「そんなこともできるのか!?」
 通信の接続を切られ始めたマスタークラッシュは、目を見開いて焦った様子だ。
 そのオブリビオンの前に、桜花が立つ。
「望んだ貴方である今を壊して貴方の転生を希うのは、傲慢極まりない事なのでしょう。けれど貴方がオブリビオンである限り、私達は貴方を止めざるを得ません。ごめんなさい……どうか、善き転生を」
 手を広げ発動するのは、ユーベルコード【幻朧桜召喚・因果改竄】。
 召喚した元老桜の桜吹雪を纏って、時速750kmの速さで室内を飛び回る。
 そして、彼の愛用する携帯機器を桜鋼扇で次々と物理でぶん殴っては破壊していった。
「ああぁ、なんてことを!」
 男の悲鳴が聞こえるが、構いはしない。
 室内の他のモニターや機器も、仲間のものではないならば一緒くたにどんどん殴っていく。
 嵐のような破壊行為に、オブリビオンは攻撃どころではないようだ。
 メンカルは更に自己判断型伝令術式【ヤタ】をネット上に走らせて周囲の設備をハンドヘルドコンピュータ【マルチヴァク】制御下に置こうとしたが、こちらはマスタークラッシュの作ったプログラムや防衛のためのAIとの戦いになった。
(「やはりこういうものは開発しているか……」)
 その間、桜花はオブリビオン本人に桜鋼扇での連打をお見舞いしていた。
「私の黒揚羽達、その辺の機械にも呪詛を流し込んでくださいな。二度と動かすことが出来ないくらいに」
 芽亜の従順な黒揚羽たちも、そこらの機械に呪詛を流し込みながら攻撃に転じる。
「おっと、私としたことが……」
 黒揚羽たちの呪詛がはたと我に返ったマスタークラッシュにも絡みつき、ダメージとともに男を眠りに陥らせた。
「それでは、良い悪夢を」
 男の視線から外れ、芽亜は少々安堵を覚えながら軽く頭を下げた。
 見たところ、部屋の中には防衛設備のようなものはなさそうだ。
 それならばとメンカルは術式で数多の光の矢を生み出し、オブリビオンに向かって放った。それは見事に命中し、男の体力を削っていく。
 室内の機器は破壊し尽され、もし他のメガコーポエージェントが事業を引き継いでも、もうここの設備は使い物にならないだろう。
 壊れ落ちたモニターの陰に潜んでいた魎夜は、スピリットバードの翼をはためかせ、一気に滑空した。その嘴が、電撃が、オブリビオンを貫く。
 マスタークラッシュは力尽き、冷たい床に倒れ込んだ。

 終わった。
 戦い終わって静まった部屋の中に、透き通った歌声が響き渡る。
 桜花の鎮魂歌だ。
「何時か、オブリビオンでなく此の地に戻り願いを叶えられますよう」
 骸の海から染み出したどうしようもない世界に見えても、ここにはここの希望があるのだろう。
 それを仄かながら感じながら、猟兵たちは部屋を後にするのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年02月19日


挿絵イラスト