サプリメント・コーデ
●お土産
ゴッドゲームオンラインのトイツオック地方に戻ってきたヌグエン・トラングタン(欲望城主・f42331)はやけにスッキリとした顔をしていた。
猟兵たちがアスリートアースにおける大いなる戦い、バトル・オブ・オリンピアに勝利を収めたためヌグエンもまた戻ってきたのだ。
スッキリしているのは、世界を滅ぼさんとする『魔王ガチデビル』の欲望をぶっ飛ばしてきたからである。
「いやー、スッキリしたぜ」
「おかえり、ヌグエン」
「おう」
出迎えた十二人の妻たちNPCを前にヌグエンは朗らかに笑う。
彼の手にあったのは外界であるアスリートアースから持ち帰った多くの食料品であった。
「今回はどんなのがあるのかな?」
「観戦していた通りアスリートばかりの世界だからな。それはもう体によいものばかりだっていう触れ込みだったぜ?」
ヌグエンが持ち帰ったのは、一見すると健康食品やゼリー飲料と言ったものが多かった。
ゲームの世界では見ることの少ないもばかりである。
物珍しげに妻たちが物色している。
「このブロック状のものは?」
「ああ、携帯食料と言ってたな。超人アスリートたちは、その動きのせいでカロリー……ええと、ともかく腹がすぐに空くんだと。だから、適度に小腹を満たせる携帯食料品が多いって言ってたぜ」
ヌグエンの言葉に料理番とも言うべき妻、ホアが興味深げにつまんでいる。
「ボソボソしている」
「口の中の水分全部持ってかれるね」
「こっちの飲料は爽やかでいいわ。飲みやすい」
「わっ、これなんかパチパチしてるけど!? なにこれ!?」
「それはスポーツ飲料だと言っていたな、塩分と糖分を経口摂取できるとか。そりゃ炭酸だな。甘いだろ」
ヌグエンと妻たちは持ち帰った土産に花が咲くようにワイワイと楽し絵にしている。
他世界に向かうこともある猟兵として目覚めたことの最大の利点は此処にあるな、とヌグエンは改めて思うだろう。
確かにゴッドゲームオンラインは多くのゲームプレイヤーたちが好き勝手にエッセンスを追加することによてある種の混沌の様相を呈している。
けれど、どこか簡素なところもあるのだ。
それを実際に赴いて直に感じられるのはありがたいことだった。
「ねー、次はどんな世界に行くの?」
「さあな。予定は未定だが、安心しろよ。また土産を持ち帰ってやるから」
そう言ってヌグエンは妻たちの喜ぶ顔に満足するのだった――。
成功
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