メイデン・ホームカミング
●帰郷
ゴッドゲームオンラインはゲームの世界である。
そこで生まれたNPCであるタマキ・カンナ(清澄玉虫・f42299)は猟兵へと覚醒し、ゲームの世界であるゴッドゲームオンラインの外にまで足を踏み出すことができた。
それは多くを知ることのできる機会を得たものと同義ある。
「ただいま戻りました!」
彼女は『プリズム洞窟』の奥へと足を進める。
とある隠れ里の守り神『虹色スライム』へと嫁いだ巫女であるゆえに、彼女は大いなる戦い、バトル・オブ・オリンピアの興ったアスリートアースより足早に帰還したのだ。
とは言え、彼女がアスリートアースでしてきたことはキャンプである。
『めちゃひなたキャンプ場』と呼ばれる広大なキャンプ場。
そこでのキャンプは楽しいものであったし、また同時にアスリートアースにおける飲食料の数々を持ち帰ってきたのだ。
「今回の献上品は此方でございます」
恭しくタマキはアスリートアースにて販売されていたゼリーや飲料を『虹色スライム』に差し出す。
後、キャンプで余った塩やスパイスといったものも持ち込んでいるが『虹色スライム』はこういう飲食料のほうが好まれると理解していた。
特にゼリー飲料は面白い。
固形に近いが、しかし固くはなく。
アスリートアースらしく手早く栄養補給ができるということで有名であった。さらにはコーヒー飲料を用いたフレーバーのものも多い。
「こちらは気に入っていただけると思っておりました」
満足気な『虹色スライム』の様子にタマキも嬉しくなる。
「後ですね。スポーツの祭典らしく、多くの競技がございました。サッカーに野球、バトロワにカードデュエル、プロレス……それはもう」
『魔王ガチデビル』は不憫であったので、語らない。語れば語るだけ不憫な気がしたからだ。
「一番気になったのはカードデュエルとF1でした。ああ、それ以上に驚きなのがテニスです」
タマキはさらに語る。
身振り手振りでは限界があるものの『虹色スライム』は満足気であった。
「あちらのテニスは魔術なのだそうですよ……ゲーム世界に何か活かせないでしょうか?」
タマキの語るテニスにさしもの『虹色スライム』も困惑しているようだった。
なんでそうなるの? と言わんばかり。
けれど、タマキも自分もわかりませんと朗らかに笑って、一月に渡るスポーツの祭典の様子を語り明かすのであった――。
成功
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