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バトル・オブ・オリンピア⑲〜アスアスのガチバトラー

#アスリートアース #バトル・オブ・オリンピア #『勇者リリリリ?』 #1stKING『魔王ガチデビル』 #5thKING『勇者リリリリ』

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#5thKING『勇者リリリリ』


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「集まってくれてありがとう。説明を始めるね」
 猟兵達を招集した少年が、硝子玉の眼で一人一人の顔を順番に眺めながら云った。
「今からあなた達に向かって欲しいのは、デビルキングワールドの5thKING『勇者リリリリ』——正確には、彼女の肉体と自我を乗っ取った1stKING『魔王ガチデビル』の元だ」
 少年――ナザク・ジギタリス(とおり雨・f41230)の説明に目を見張る者もいただろうか。小さくナザクは頷いた。
「猟兵達が一丸となって斃した筈の魔王ガチデビルは、リリリリに張り付くことで生きていたみたいだね。デビルキングワールド唯一の純粋悪と呼ばれる存在だ。放置しておいたらアスリートアースも他の世界も大変な事になる。……最も今の所、個性豊かな新生フィールド・オブ・ナインに振り回されるばかりであまりうまくいっていないみたいだけど」
 ガチデビルの本来の目的は、この世界のダークリーガー達を統治し、『悪魔契約書』で世界中にばらまく事。
 果たされてしまえば全世界が混乱に陥るだけでなく、魔王は再び絶大な力を手にしてしまう。
「新生フィールド・オブ・ナインすら誰一人ガチデビルの云う事聞いてないのに、ダークリーガー全体を支配する事なんて本当に可能なのかな」
 機械仕掛けの少年の素朴な疑問は、さておき。

「勇者とまで呼ばれたリリリリの肉体を、純然たる悪であるガチデビルが操っているわけだからね。現状の締まらなさはさておき強敵には違いないよ。でも、リリリリもただ操られているだけではないみたい。どうにかこうにか頑張って、時々洗脳解除に成功しているみたいだね」
 ガチデビルも必死でリリリリの自我を抑え込む為、時間にしてほんの数秒といったところだろう。しかし生死を分ける戦いの中で、それはあまりに長い。
「ガチデビルを食い止めるために、自我を取り戻している間のリリリリは猟兵を全力でサポートしてくれるよ。彼女が持っている盾は、ガチデビルが扱っている時は攻防一体の空飛ぶ小型盾を召喚する厄介なものだけど、リリリリが使えば猟兵の防御力を大幅にアップしたり、傷を癒したりしてくれる。彼女と協力すれば、今のガチデビルを斃す事だって出来るはずだ」

 頑張ってね、とナザクは猟兵達を戦地へと送り出す。
 全員の出発を見届けてから、誰もいなくなった空間で彼はぽつりと呟いた。
「魔王に操られながらも、その野望を食い止めようと奮励する勇者か……。きっと現実の勇者も、冒険譚に出てくるように勇ましくて、威厳に満ちた人なのだろうね」


 一方、その頃。
「フォーミュラ増殖、四次元殺法、無制限世界移動、アルカディア・エフェクト、暗黒星雲、五輪書、二天一流、時間遡行……新生フィールド・オブ・ナインは常軌を逸した軍団だった。計画通りなら、私は奴等の『KING宝珠』を作るだけで、無敵のオブリビオンになれた筈だ……!」
 勇者リリリリ、の姿をした魔王ガチデビルは口惜しがっていた。とっても口惜しがっていた。
「なのに何故、こうも思い通りにならぬ!?」
「運と実力が足りなかったんじゃないの〜?」
「な」
 自分が張り付いている肉体の喉から、自分のものではない言葉が出た。
「え」
 自分のものではない言葉のほうも、一瞬驚いているようだった。
「……………………あれ? あれれれれ??? な〜んか取り戻してきたかも! 自我取り戻してきたかも!」
 一瞬遅れて事態を理解したリリリリが満面の笑みを浮かべる。その表情がすぐにぐしゃっと歪んだ。
「やめろ、頼む、これ以上面倒事を増やすな……!」
「喋れるだけじゃなくて全身動かせるかも! ほれこのように剣を振ることもできます(ぶんぶん)」
「やめろと云っている!! もう……私の許容範囲は……限界なんだ!!!」
 魔王ガチデビル。
 そのあまりのワルさと強さでデビルキングワールドを滅ぼしかけ、かの世界に長年続くトンチキ法律デビルキング法をもたらすに至った、とーっても恐ろしい人である。
「久々に蘇って身体鈍ってそうだしね。今から剣の素振りでもしてようかな……あっ、この世界はスポーツの世界なんだっけ? じゃあ剣じゃなくてバットを振ろうかな?」
「お願いだ、バットは、バットだけはやめてくれ……!」
 とっても恐ろしい人である。その筈である。


ion
●お世話になっております。お久しぶりです。ionです。
 オープニングはコメディタッチですが、内容は純粋な戦闘ものです。そのはずです。多分そうなんじゃないかな。

●プレイングボーナス
=============================
 敵の先制攻撃に対処する/リリリリの洗脳解除タイミングを活用する。
=============================
 敵は勇者リリリリの絶大なる力を利用し、先制攻撃を仕掛けてくるようです。
 一撃で落とされないように対策を練った上で、リリリリと力を合わせて有効打を与えましょう。
 洗脳解除されている間の敵は一切の攻撃・防御行動をとらなくなる上、盾から発するビームで猟兵の防御力アップと治癒を行ってくれます。

●プレイングについて
 追加オープニングなどはございません。オープニング公開と同時にプレイング受付開始です。
 物理的に受付が閉まるタイミングだけ、タグやマスターページでお知らせ予定です。

 それでは、皆様の素敵なプレイングをお待ちしております!
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第1章 ボス戦 『勇者リリリリ』

POW   :    5thKINGブレイド
霊力を帯びた【斬霊刀 】で斬る。対象にこの斬撃を防ぐ装備や能力があれば、全て無効化し、更に威力を増大する。
SPD   :    堕天シールド(ガチデビル形態)
【宝珠のついた盾 】から、斬撃・投擲・盾受けに使える【小さなガチデビルの顔がついた空飛ぶ小型盾】を具現化する。威力を減らせばレベル×1個まで具現化可能。
WIZ   :    大罪魔法「六つの大罪」
戦場全体に【大罪を司る無数の祭壇 】を発生させる。レベル分後まで、敵は【祭壇より現れる『六大罪獣』】の攻撃を、味方は【祭壇より放たれる『闇色の炎』】の回復を受け続ける。

イラスト:hoi

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リュール・ディールーク
『幸運』と『第六感』は常に発動

貴方が今回の黒幕ですね!覚悟して貰いますよ!
相手を睨みながら剣を構える

相手の先制攻撃対策
この攻撃を凌ぐ事を優先します!
『推力移動しながら攻撃を避ける』ように立ち回り『小型盾の動きを心眼で見てから』ガンナイフから『矢弾の雨を放つ(クイックドロウ)』
駄目なら念動力を纏った状態でシャドウパリィで攻撃を弾いてみる

行きます!
先制攻撃を凌いだらUCを発動し物理法則を無視して氷刃を発生させて敵を攻撃

この世界から出ていきなさい!魔王ガチデビル!
UCの効果でUC解放する真実の剣を発動
背中からルアン・メイを引っこ抜き相手を切り裂いた

アスリートアースは皆が楽しくスポーツをする場所です!




 蒼と紅の魔眼が、射るべきものをじっと見定めている。
「貴方が今回の黒幕ですね! 覚悟して貰いますよ!」
 剣抜くリュール・ディールーク(時を駆ける邪龍〜皆の止まった時間を動かす為に〜・f42338)へと、返事の代わりに無数の空飛ぶ盾が襲い掛かって来た。
 推力で加速し初撃を避けたリュールへと、すぐさま別の盾が迫る。勇者とまで呼ばれた存在が持つ盾に、醜悪に笑む魔王の貌が上書きされているのが見えた。神銃ペストディレクタが火を吹いて盾の軌道を逸らせる。弾き飛ばされながらも盾は空中で軌道を変え、刃のように鋭利な側面をリュールに向けて再び飛び掛かって来た。
 ふう、とリュールが息を吐き、剣の柄を握る手に力を込める。ヘテロクロミアが窄められ、剣が翻る。
 一閃。横薙ぎの斬撃が盾を数個纏めて斬り伏せた。力を失った残骸が地に落ちる。残った数個がリュールを狙うが、既に彼女は走り出していた。
「行きます!」
 虚空から冴え渡る氷刃を発生させ、敵へと降り注がせる。
「こんなもの……!」
 魔王の哄笑。右手に掲げた漆黒の大剣が氷刃めがけて振るわれ――無かった。持ち上げた手は、宙で縫い付けられたかのように動かなくなる。
「くっ……!」
 魔王が歯噛みする。その表情が徐々に変化していった。
「いいねいいね、その技。すごーくカッコいい!」
 無邪気に声を弾ませるその人こそ勇者リリリリ。悪しき魔王を討ち取る力をその身で受ける事になるのも厭わず顕現したのだ。
 リュールの一撃を、確実に届かせるために。
「リリリリさん、ありがとうございます。絶対に討ち取ってみせます!」
 背に背負った青い鞘から大剣が抜かれる。勇者の剣『ルアン・メイ』。邪と聖の力を持つ、邪龍リュールそのものといってもいい剣だ。
「くそっ、体が云う事を利かぬ……!」
「アスリートアースは皆が楽しくスポーツをする場所です!」
 刃から力が迸る。時空と起源を上書きする力が。
 捨て駒とさえ見做されなかった青と赤の邪龍が世界を巡るうち、与えられた名。“解放の邪龍”が操るにふさわしい|真実の剣《ドミネイト・フォース》が、勇者を、世界をあるべき姿へと戻す一歩となる。
「この世界から出ていきなさい! 魔王ガチデビル!」
 目映いまでの斬撃が、“魔王”を切り裂いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

吐院・ぐるめ
ぐるぐるバットの時間よ!!!
え???
魔王が相手???
此処はアスリートアースだった筈では……
うーん。何か来てるわね。獣。私戦闘は苦手と言うかそもそも一般アスリートより身体能力は『そうでもない』のよね
此処は……勇者が洗脳を解くまで『普通のバッター』として振る舞うわ。ボールは獣!
こわくない!!!

勇者さんが洗脳解除されたタイミングで『ぐるぐるバット』を提案するわ。勇者さんが目を回してくれたら『その状態』が魔王に引き継がれる筈!
たとえ勇者さんがつよつよな三半規管でも『基本姿勢』なら関係ない。私と同じく目を回してもらうんだから!!!

私も行動出来ないわね?
ちょっと朝ごはん出そうだし
あとは他の猟兵に任せるわ!




 新たにやって来た猟兵の姿を見て、魔王ガチデビルは露骨に厭そうな顔をした。
「……アスリートか」
 艶やかな黒髪を動きやすくひとつにまとめ、オーソドックスな体操服に身を包んでいる。そんな吐院・ぐるめ(虹色の彼方・f39773)の手にあるのはバット。
 キリっと得物を構える。しかしその内心、ちょっぴり困惑したりもしていた。
(「魔王が相手??? 此処はアスリートアースだった筈では……」)
 |競技《しあい》ならば自信はある。ぐるぐるバットはやがて神へと連なる崇高にして神聖なるものだ。しかし。
(「私戦闘は苦手と言うか、そもそも一般アスリートより身体能力は『そうでもない』のよね」)
 この世界のアスリート、それこそ文字通り人間離れした連中がうじゃうじゃいる。そんな彼らを差し置いて魔王とのガチバトルになってしまったこの現状、アウェー感半端ない。
 しかもなんだか魔王はよく分からない悍ましい祭壇を戦場全体におったて始めた。よく分からない悍ましい獣が現れてぐるめを突け狙う。ぐるめは何とか渾身のスイングで獣を追い払い、何の変哲もないバッターの振りをし続けた。
「ボールは獣! こわくない!!!」
「うん? もしかしてあの女、そんなに強くないな」
 懸命にバットを振るうが、ぐるめは徐々に追いつめられている。
「というか弱い? もしやバットは雑魚?」
「そんな事ないわ! ぐるぐるバットは無敵なんだから!」
「はーい猟兵さん、ぐるぐるバットってなあに?」
 バットに反応した――わけではないだろうが唐突にリリリリが自我を取り戻した。
「丁度よかったわ勇者さん。あなたに協力して欲しい事があるの」
 ぐるめはスペアのバットをリリリリに渡す。
「これをこう、地面に突き立てて」
「うん」
「はい、ぐーるぐーる」
「ぐーるぐーる」
「ぐーるぐーる……」
「ぐーるぐーる……あっなんか眩暈が」
「そこですかさず自我を手放す!」
「そんな器用な事が……あっ出来そ」
 リリリリの言葉はそこで途切れた。
「フハハ猟兵よ、そんな小手先で私が斃せるとでも……あ、あれ?」
 ガチデビルがふらふらと倒れ込む。チャンス!
 だがぐるめもうずくまって動けない。ぐるぐるバットの申し子だけあって彼女は三半規管が人一倍ザコなのだ!
「朝ごはん出てきちゃいそ……あとは他の猟兵に任せるわ!」
 這い蹲って戦場を後にするぐるめから、虹が滴っていたとか、いないとか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。

だが、|バットだ《化術武器改造》。ガチデビルに|精神的負荷を与え続けてリリリリさんの催眠解除を促すわ《精神汚染、情報伝達、救助活動、封印を解く》。そのために|神速でガチデビルに憑依させた分霊は如何かしら?怒りのあまり身動きがとれなくなってUCの使用すら忘れそうね《高速詠唱早業先制攻撃降霊、身体部位封じ、脳を部位破壊、マヒ攻撃、気絶攻撃、欲望開放禁呪封印術》。
まぁ、さらに追い打ちでセカカラちゃんの法でこの場は野球の練習場の法則にしちゃうけど。怒りとストレスがリミッター解除・限界突破して憤死するかしら?そこまでいかなくても胃に穴は開きそうね。




 童女のようにあどけない口元が、ファム・ファタールの如き艶やかな弧を描く。
 永遠の少女アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の|混沌魔術師《ケイオト》艶魔少女・f05202)はじっくりと、赤い舌を見せつけるように、云った。
「だが、バットだ」
 ん? なんか今シチュエーションと言葉が合っていなかったような。でもリリリリというかガチデビルの顔が大袈裟なほどに歪んだ。蘇らせた奴がワルとか支配とかそっちのけで野球おっぱじめたのが相当トラウマになっているようだ。
(「これは思った以上に効きそうね」)
 アリスが一歩踏み出すと、地面を割るようにして無数の祭壇が出現する。闇色の炎が魔王を包み、奴が大きく息を吐く。
「ふぅ、バットの眩暈がようやく……」
 どうやら既にバットにしてやられていたようだ。バットにしてやられる魔王とはとツッこむ間もなく、祭壇からおどろおどろしい獣が出現する。
「あら、随分激しいのがお好きみたい」
 クスクスと微笑みながら、アリスは闇の炎に紛れ込ませるようにして分霊を飛ばした。獣がじわじわと距離を詰めてくる。鋭い爪が振り翳される。それでもアリスは身動きひとつしなかった。
「残念。ケダモノと遊ぶ趣味はないの。可愛い子だったら性別問わずいつでも歓迎だけど、ね」
 今まさにアリスの柔肌を引き裂こうとしていた爪がぴたりと止まった。アリスの視線が彫像のように動かなくなった獣たちから、魔王へと移される。
 わなわなと身を震わせる魔王。その両隣にアリスが憑依させた分霊達が引っ付き、愛くるしい女児の姿で言葉巧みに煽っていた。
「えー、バットが怖いんですかぁ?」
「ざーこざーこ、バットに負けた自称魔王様ぁ」
「貴様ら……!」
「きゃー怒ってるぅ! でも美少女の顔だから威厳ゼロー☆」
 怒りに支配された魔王はUCを操る事さえ忘れていた。そして仕舞いには。
「ねえ、今バットって云った?」
 洗脳すら保てなくなり、リリリリその人が姿を現した。
「ええ、云ったわ」
 クスリとアリスが笑みを漏らす。
「一緒に野球しない? 私とあなたと、この子たちで」
「いいねいいね、郷に入っては郷に従えってやつ!」
 楽しそう、とリリリリが声を弾ませる。今この瞬間、この戦場はセカカラちゃんの|法《ルール》に支配された。

 ……数分後。
「はっ」
 魔王が自意識を取り戻す。その手にはバットが握られていた。
「これは……この状況は、なんだ?」
「はーい、私の法ではデッドボールはバッターアウトでぇす」
 アリスの剛速球が魔王のみぞおちにクリーンヒットした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

東・御星
えー、私の作戦とは!一回死ぬ!そして絶影の召喚条件を満たすこと!

まあ一応先制攻撃に関してはビット・銃・箒の【クイックドロウ】【リミッター解除】【弾幕】【空中機動】である程度近づくタイミングを与えないんだけど、ある程度隙を作ってズバッと斬られる!
だけど、その口には不気味な笑みを絶やさぬまま。

そして私がとどめを刺されたらその後は「絶影」の仕事。
粉雪で私の蘇生を行い心身の傷を回復させ、
炎はガチデビルと奴が飛ばしてくる無数の小型盾に纏わりついて。
そう、わざわざ受けるまでもない。
対象を存在させる事象を崩壊させる無温の炎が、【優しさ】の炎がガチデビルを呑み込んでいく。

さあ、骸の海から消えるのねガチデビル。




「これはまた、随分厄介なのが出て来ちゃったのね」
 東・御星(紅塵の魔女・f41665)が戦場に足を踏み入れた瞬間、無数の空飛ぶ盾が飛来した。
 銃弾が盾を弾く。箒を杖のように振るって受け止める。御星を傷つけさせまいと、ビットが目まぐるしく空を駆け巡る。
 御星の持つすべてを投じても、じわじわと押し敗けていくのを感じた。相手は他者の身体に張り付いた状態で、おそらく全盛期には程遠いのだろうが、それでも魔王の名を冠する力は圧倒的だ。
(「少しずつ、防衛性能を落として。まるで私が追いつめられて動きが鈍くなっていってるように見せかけるの」)
 ビット群を司る中枢へ、御星は働きかける。少しずつ精巧さを欠いていく防御システム。潜り抜けて来た盾を箒で懸命に弾く。しかし狙いは甘く、微かに逸れただけの盾が彼女の肩を深々と裂いた。
 痛みに一瞬立ち止まってしまった彼女の眼前に盾が迫る。勇者の盾に上書きされた魔王の貌が、鋭い牙を見せて哄笑するのがいやにはっきりと見えた。
「しまっ……!」
 盾が御星の喉仏を引き裂いた。夥しい血が吹き出して、彼女の身体はくずおれる。ぴくぴくと不随運動を繰り返していた身体もやがて動かなくなった。
「まずは一人」
 魔王が悠然と呟き、踵を返す。その足がふと止まった。
「む?」
 雪が降っている。動くことをやめた女性の身体にしんしんと注ぐ粉雪。そして魔王の元に、同じく音も気配も無く忍び寄るものがあった。
「――!」
 それは炎だった。気づけば魔王の半身は炎に包まれていた。無温の炎は肉体を蝕む事はない。しかし。
「なんだ、これは……!」
 魔王の貌が苦悶にゆがむ。
「あなたが存在するという事象が、崩壊していくのよ」
 ゆっくりと御星が立ち上がる。致命傷だった筈の頸は痕ひとつなく塞がっていた。まるで傷を受けたという過去そのものがなくなったかのように。
 これこそが、彼女の引き継いだ力。それを正しい形で使おうとする一族と、彼女の努力が結んだ形。
「さあ、骸の海から消えるのねガチデビル」
 堕天使の顔から禍々しいものが消えていく。溌溂とした笑みを浮かべたその人が、この体の本来であるリリリリだろうか。
「あれ、なんだか身体が軽い! 抗わなくても私でいられるみたい!」
 断つべきものを断つ。結ぶべき絆を結び、或いは繋ぎ止める。
 それこそが、彼女たち新世代の|縁死《えにし》。

大成功 🔵​🔵​🔵​

高崎・カント
「もっきゅ、きゅっぴきゅい」
誰だってやりたくないことはしたくないのです
人を無理矢理操るのはダメなのです

刀を防御できないなら、全力で回避なのです
【モーラット専用ミニ戦車】をオートで【操縦】し、【誘導弾】で弾幕を張る
カントは【存在感】を消して煙に紛れるのです!

「もーきゅ?」
「ここは私に構わず敵を討て!」のシーンなのです?
あ、リリリリさん、痛いのは嫌なのです?
じゃあガチデビルさんだけ狙うので動かないで下さいなのです

【UC使用】で、最大まで加速して肩のガチデビルさんっぽいところを狙うのです
【すごくいい感じの棒】の中からバットを取り出してフルスイングなのです!
「もっきゅぴー!」とホームランなのです!




 然し相手は魔王。
 規定回数の討伐を満たさないうちは、いかに事象を断つ力であっても完全に彼を無にする事は出来ない。
 自我を取り戻した勇者の顔がみるみるうちに魔王のそれへと変貌していく。その様子に、ちいさなモーラットが必死に何かを訴えていた。
「もっきゅ、きゅっぴきゅい」
 高崎・カント(夢見るモーラット・f42195)は猟兵となって尚、人の言葉を話す事のないモーラットである。その理由はシルバーレイン生活が長かったからというのもあるし、愛するゆーいっちゃんとの以心伝心の前では言葉が不要だったからかもしれない。
 だがカントも猟兵。喋れずともゆーいっちゃん以外との意志疎通も問題ない。彼女はこう云っていた。「誰だってやりたくないことはしたくないのです、人を無理矢理操るのはダメなのです」と。
「ふむ。喧しい毛玉だ」
 勇者の姿をした魔王がせせら笑った。深紅のオーラ纏った斬霊刀が迫る。
「もきゅ~!」
 モーラット専用のミニ戦車が弾幕を張る。その隙にカントは煙に紛れるようにして身を隠した。
(「もきゅ……!」)
 あの大剣を防ぐ手段はない。長年愛する人と共に戦場を巡り培った勘が告げている。ひとたび間合いに踏み込まれれば最後、小さなモーラットなどあっという間に真っ二つだろう。笑顔が素敵なお兄さんと可愛いマスコットの番組を楽しみにしている子供たちのために、そして何より最愛の人のために、カントは今日も元気いっぱいで帰らなければならないのである。
「猟兵さーん、猟兵さん、いる?」
 硝煙の向こうからカントを呼ぶ声がする。
「もっきゅ!」
 自我を取り戻したリリリリだ。近づけば、そこには剣を振るおうとする右手を一生懸命抑え込んでいる勇者がいた。
「もーきゅ?」
 カントは問うた。「ここは私に構わず敵を討て!」のシーンなのです? と。
「え、そこまでは……私痛いのはちょっと」
 似て非なるものらしい。
「もっきゅ。もきゅぴ!」
「ならガチデビルだけ狙うから動かないでって? そんな器用な事が出来るの?」
「もっきゅ!」
 任せておけと胸を張る。誓いの指輪がきらりと揺れた。
 モーラットの十八番、パチパチ静電気が迸る。その全てを速度に計上して迫るカントが振るうのは――やっぱりバットだった!
「おいコラふざけるな」
 一瞬ガチデビルが戻ってきた。
「じっとしてなさいって」
 リリリリが抑え込んだ。最大加速したカントの狙いは、左肩に引っ付いたガチデビル本体だ。
「もっきゅぴー!」
 カキーンと爽快な音が響いた。ホームラン!

大成功 🔵​🔵​🔵​

暗都・魎夜
【心情】
てめえが、あのはた迷惑な『悪魔契約書』をバラまいたってことだな?
大体分かった

「これ以上、悪事が出来ないよう、ギタギタにしてやる。イグニッション!」

【戦闘】
斬霊刀の剣技を「リミッター解除」「心眼」「見切り」でかわしつつ、リリリリの洗脳解除の瞬間を待つ

「頼んだぜ、勇者ちゃん!」

洗脳解除に合わせて、支援をもらってUC発動

「武器落とし」「フェイント」で隙を作り、「限界突破」して「斬撃波」

リリリリの回復をもらいながら戦闘

てめえのせいで、どんだけの来訪者がいらない涙を流したか
簡単に済ませると思うなよ
最低でもバラまいた契約書の数だけ殴る

「(誰何の言葉に)俺は通りすがりの能力者さ、覚えておきな!」




 戦場に聳え立つ無数の祭壇。
 その中心に、勇者に取り着いた魔王ガチデビルの姿があった。
「てめえが、」
 赤髪の青年が声を振り絞る。
「あのはた迷惑な『悪魔契約書』をバラまいたってことだな?」
 暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)の言葉に返事はない。大体わかったぜ、と彼は頷く。
「これ以上悪事が出来ないよう、ギタギタにしてやる。イグニッション!」
 カードに格納されていた武装を纏う。祭壇から現れる悍ましき獣たちを、真紅の手甲纏った右手が薙ぎ払っていく。
「邪魔だ! 俺の往く手を阻む奴は皆叩き伏せる!」
 怒りに燃える双眸は、ただそれをぶつける相手だけを睨みつけていた。六大罪の象徴たる獣も、敵を治癒する炎ですらも、今の魎夜の眼中には無い。
 リリリリの顔が、彼女のものではない歪んだ笑みを浮かべる。転瞬、禍々しい光が閃いたように見えた。殆ど反射的に身を引いた魎夜が見たのは斬霊刀が描く赤い軌跡。抗う手段すら己の力にしてみせる、まさしく最強に相応しい力。
「それはお前のものじゃねえ……それはあの世界で勇者と呼ばれた人のものだ!」
 魎夜の声に応えるかのように、“彼女”が目を開く。
「そう! そして私の盾なら、この剣とだって拮抗できるかもね!」
「頼んだぜ、勇者ちゃん!」
 盾の宝玉が輝き、魎夜を光のオーラが包み込む。直後魔王が再び勇者を乗っ取り、斬霊刀が振り下ろされた。だがあらゆる防御を無効化する筈の刃を、光り輝く手甲が受け止めていた。
「何……!」
 ヒュウ、と口笛ひとつ。さすが勇者ちゃん。そのまま手を大きく振れば魔王が体勢を崩す。肉薄する魎夜の全身が銀色の光を帯びる――
 否、今の魎夜は詠唱銀そのもので構成されていた。肉体の限界を超えるために。
「てめえのせいで、どんだけの来訪者がいらない涙を流したか!」
 振りかぶった拳がガチデビルの本体を殴りつけた。白い外殻に罅が入る。疵を広げるように二撃目を叩きこんだ。
 かの世界に絶えず存在した生存競争。その果てに手にした平和さえも簡単に覆され、自分の後の世代も戦いに巻き込まれている現状。
 その一部は、この魔王が齎したものだ。
 それならば。
「答えろ。一体どれだけの契約書をバラまいた?」
「ハ、いちいち覚えてなどいないな」
「そうか。なら」
 拳が限界を迎えるまで、殴ってやるよ。
「き、さまは――」
 魔王が口を開く。誰何を問うているようだった。正確には、青年の怒りの根源を。
「俺は通りすがりの能力者さ、覚えておきな!」
 数多くの能力者、そして来訪者の末裔である青年は、ただそれだけを告げるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
「ご主人サマー☆ガチデビルだよ☆ガチデビルがいるよ☆」(銀髪少女
何がガチデビルだ!こんなトンチキ戦争起こしやがって!ガチトンチじゃねーか!?
「寧ろネタデビル?」

【情報収集・視力・戦闘知識】
周辺状況を把握
小型盾の動きを捕捉

対先制
【属性攻撃・迷彩】
光水属性を己達に付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で音や匂いを隠蔽

更に幻影を無数に展開
因みに幻覚は勇者が本能的に壊したくなる壺!

【念動力・空中戦・弾幕・スナイパー】
UC発動
「メルシーも頑張るぞ☆」
超絶速度で飛び回り念動光弾を乱射

勇者の助力で動きが止まれば
【電撃・二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
鎌剣と打刀での連続斬撃から電撃を流し込む超絶連続攻撃!
武装強奪!




「ご主人サマー☆ガチデビルだよ☆ガチデビルがいるよ☆」
 銀髪少女の朗らかな声が響く。
「久々に見たねー、生きてたんだね!」
「何がガチデビルだ、こんなトンチキ戦争起こしやがって! どっちかというとガチトンチじゃねーか!?」
 少女――通称メルシーの隣で頭を抱えているのはカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)。かの地の戦争を走り抜け、7thKING決定戦でも善戦した、名実ともにデビルキングワールドの平和に大貢献した天才魔術盗賊である。斃した相手がこうも簡単に蘇った上、他所の世界で大暴れしているのはどうにも頭が痛い。
「そうね。寧ろ……ネタデビル?」
「黙っていれば好き勝手云いよって」
 丸聞こえだったらしい。ちょっぴりおこなガチデビルが無数の盾を飛ばしてきた。
「ったく、どうせネタなら戦闘力をネタにしてくださいよってね」
 ぼやきながらもカシムの双眸は油断なく盾の動きを見定めている。|魔術《ルーンシーフ》が二人に纏わせるのは光と水の属性だ。光学迷彩が二人の姿を隠し、水の障壁が音や匂いも隠蔽する。
「小細工を……ならば全てを破壊するのみ」
 魔王が浮遊する盾の速度を加速させる。それも想定内であるとばかりにメルシーが念動光弾を乱射して撹乱し、更にはカシムの術が無数の幻影を召喚した。
 魔王が怪訝そうに眉を顰める。幻影はカシム達を模ったデコイではなく、壺だった。ごくありふれた、民家の内外に置かれていそうな、ただの壺だ。そんなものを出現させて何になるという――
「くっ、何だ? 妙に気になって仕方がない!」
 魔王の盾が壺へと集中する。魔王は知らないのだろう。勇者というものは、本能的に壺を壊したくなるのである!
「ついでに樽もね」
「あ、リリリリさん本人だ」
 魔王だった顔から毒気が抜けていた。
「よし、一気に畳みかけるぞ!」
「ラジャったよご主人サマ、メルシーも頑張るぞ☆」
 魔力と思考のリンク。メルシーだけでなくカシム自身も生身で神速に至りながら、雷光迸る鎌剣と打刀を叩きつけた。
 轟く雷鳴が、魔王の悲鳴さえも掻き消していく。
「ついでに武装のひとつでも強奪しちゃう?」
「リリリリ本人のものを奪うのは流石に忍びないが、あの悪趣味な盾の方ならいいかもな」
 カシムが拾い上げた空飛ぶ小型盾。元々の堕天シールドと異なり、悪趣味なガチデビルの顔つきである。
「……原型なくなるくらい改造したら使えるかな?」
「このままじゃ売って日銭稼ぎも無理そうだ」
 ガチデビルが今のように電撃で身を焼かれていなければこう吐き捨てたかもしれない。最後まで、とことん、ガチで失礼な奴らだ、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セリカ・ハーミッシュ
勇者さんの身体と心は返してもらうよ。
まずは先制攻撃に対処するよ。
宝珠付きの盾による攻撃を自分の剣で受け流したり、避けたりして隙が出来るまで凌ぐよ。
ピンチの時に頑張るのが勇者なんだし、追い詰められても挫けてはいられないかな。
いつまでも勇者が洗脳されたままでいいのかな?と呼び掛けてもみるね。
向こうの洗脳が解除されたなら反撃に移るよ。
受けダメージを回復してくれるなら、素直に感謝するね。
今度、一緒に野球してみたいかな?
UCによる光の刃で一気に大ダメージを狙うよ。
チャンスはほんのわずか一撃に全力を注ぐね。

「世界は違えども勇者の意志は変わらないはずだよ」
アドリブ、連携、苦戦描写歓迎




 堕天使の勇者が操る盾は、今では魔王の得物となってしまった。
 赤と黒に魔王の貌を乗せたそれが無数にコピーされ、一斉に猟兵へと放たれる。
 猟兵――セリカ・ハーミッシュ(氷月の双舞・f38988)のアイスブルーの双眸は、乗り越えるべきものの強大さをじっと見据えていた。
「魔王ガチデビル。勇者さんの身体と心は返してもらうよ」
 無数の盾めがけ、セリカがゆっくりと歩み出す。月夜の葬刃が盾を弾き、氷天の葬刃が凍り付かせた。無力化された盾が地面に落ちる乾いた音がするが、彼女は振り返らない。魔王もそれに構うことなく新たな盾を顕現させる。
 獰猛な獣めいた盾の刃がセリカの頸目掛けて飛来する。大きくのけぞって躱す彼女へと死角から第二の刃が迫る。月刃がぎりぎり届いたが、僅かに軌道を逸らされただけの盾はセリカの肌を裂いた。
 だが彼女は構う事もせず、次の盾に対応すべく剣を振るっている。そして歩を進めている。
 魔王を間合いに捉えるため。そして声を届かせるため。
「ピンチの時に頑張るのが勇者なんだし、追い詰められても挫けてはいられないよね」
 誰に? 其れは勿論。
「ね、そうでしょ? いつまでも勇者が洗脳されたままでいいのかな?」
「イイ事云うじゃない、そこのあなた!」
 赤い眼がにっと細められる。魔王のそれではない。|彼女《・・》だ。ワルの世界で正義を掲げ続けた、正真正銘の“勇者”。
「逢えて嬉しいな、勇者さん」
「わかるわ。あなたもどこかの世界を救った――悲劇の結末を断ち切った勇者なのね」
 リリリリが盾を掲げる。ガチデビルが操るそれが邪魔者を排除する凶悪な武器ならば、彼女のそれは勇者たるに相応しい優しき力。セリカの傷がみるみるうちに塞がっていく。
「ありがと! 助かるわ!」
「あっそろそろ駄目かも~! あとは任せたわ、異世界の勇者さん!」
「もちろん。平和になったら今度、一緒に野球してみたいかな?」
「喜んで~!」
 その言葉を最後に、リリリリの顔から快活な笑みが消えていく。
「世界は違えども勇者の意志は変わらない――あなたの想い、私が継がせてもらうね」
 二刀の魔剣が光り輝く。
 勇者の肉体。それを間借りした悪しき存在だけを切り裂く光翼閃。
「これが、わたしの必殺の一撃だよ!」
 光の奔流が魔王の身体に深々と突き刺さる。けたたましい悲鳴のさなか、勇者の顔に戦友をねぎらうような笑みが浮かぶのを、セリカは確かに見たのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

スピカ・ネビュラスター
あははははっ!
洗脳すらまともにできないとか、デビルパワーの使いすぎじゃない?
そのデビルパワーも世界征服に関係ないスポーツに使われてるとか、ざまあないね!
(デビキン出身、無様なガチデビルを煽りまくる)

『星天支配』!
敵の大罪魔法に対して、こっちも同種のユーベルコードを使うよ
これで相手の攻撃を相殺しながら、回復で持久戦だ
直接攻撃については、魔星『アークツルス』に乗って空中浮遊で逃げ回るよ

勇者リリリリ!
5thKINGの意地を少しくらいは見せたらどうだい?
そんな寄生虫みたいなガチデビルの言いなりでいいのかな?

リリリリが洗脳解除されて無防備になったら
ガチデビル目掛けて全力で魔法弾をぶつけるよ(全力魔法)




 大地が轟く。地面が罅割れる。
 その中から無数の祭壇が出現した。
 纏う炎は魔王の傷を癒し、召喚される獣たちは抗うものすべてを容赦なく斬り捨てる。
 まさに地獄と呼ぶにふさわしい光景。その真っただ中で、
「あははははっ!」
 笑い声が響いていた。魔王ガチデビルのものではない。もっと年若い少女のものだ。澄んだブルーの魔星に腰掛け、まるで物見遊山とばかりにスピカ・ネビュラスター(銀河の魔女・f31393)は地獄の中を悠然と漂っている。
「……何がおかしい?」
「おかしい事だらけだよ。洗脳すらまともにできないとか、デビルパワーの使いすぎじゃない?」
 眉を顰める魔王へ、スピカは愛くるしい貌から容赦ない言葉を浴びせ続ける。
「そのデビルパワーも世界征服に関係ないスポーツに使われてるとか、ざまあないね!」
 デビルキングワールド出身の彼女にとって、没後も尚かの世界に大きな爪痕を残し続けたこやつの無様な姿というのはなかなかに愉快なものだろう。何せ自分を|完全な悪《・・・・》だと|誤解《・・》している奴の失態だ。
「猟兵どもめ。正義を気取りおって」
「正義? 違うね。少なくともボクは」
 ただ座っているだけのように見えるスピカはその実、魔王の大罪魔法に対して同じ性質を持つウィッチクラフトを行使し続けている。天変地異の地割れが獣を呑み込み、スピカ自身が追った傷は星の魔力が塞いでいく。相殺というのは簡単だが、実行できるのは彼女の膨大な才能と魔力あってこそだ。
「ねえ。ボクはこう見えて悪魔でも堕天使でもないんだ。その意味がわかるかな?」
 にこり、無邪気とも呼べる笑みを浮かべる。それから魔王ではない者へと呼びかけた。
「勇者リリリリ! 5thKINGの意地を少しくらいは見せたらどうだい? そんな寄生虫みたいなガチデビルの言いなりでいいのかな?」
「呼ばれて飛び出てじゃじゃんじゃ~ん! リリリリでーっす!」
 にかり、こちらは無邪気そのものの笑顔でリリリリ本人が自我を取り戻す。
「そこまで云われたら頑張らないわけにもいかないものね! ほらほらラスボスさん、ちゃちゃっと頑張っちゃって!」
「云われなくても」
 スピカが星杖ギャラクシアに念を込める。その途方もない魔力の奔流に、リリリリが目を見張った。
「……ほんとに運がないね、ガチデビルの奴」
 星が地上に顕現したかの如き巨大な魔弾が、不運なる魔王を呑み込んでいった。
 ――愛らしい姿をした“ラスボス”には、ご用心。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ビスマス・テルマール
【なめろう茸餃子】
デビキンの悪魔の皆さんを弄んだ
その次は、この世界で………アメリさん、この人実は良い人って事はありませんからね

●POW
防御は意味を成さないのならば、皆と『集団戦術&団体行動』連携し『空中戦&推理移動』駆け回り

ガチデビルの斬霊刀攻撃を『第六感』で『瞬間思考力&見切り』『残像』回避しつつ『属性攻撃(デコイ)&一斉発射』で囮をばら蒔き

リリリリさんが目覚めるか、反撃の機会を伺い『早業』UC発動しビスキャンサー装着【光学蟹鋏突撃】を『貫通攻撃&鎧無視攻撃&鎧砕き&怪力』込めて叩き込みます

リリリリさんの支援も有り難く
余り深刻そうに見えませんが
今、救出しますからね

※アドリブ絡み掛け合い大歓迎


エミリロット・エカルネージュ
【なめろう茸餃子】
苦労人かぁ……これだけ見てると確かに、でもまぁ、リリリリちゃんもフリーダムに見えるね

●POW
先制攻撃の霊斬刀は受け流す事は考えない方が良いなら、ビスちゃんやアメリちゃんと『集団戦術&団体行動』連携

『空中戦&推力移動』で駆け回り

攻撃を『第六感』で『瞬間思考力&見切り』『残像』回避しつつ囮の『属性攻撃(デコイ)&弾幕』ばら蒔きと

『気功法』による餃子気弾『砲撃&誘導弾&乱れうち』の牽制を『範囲攻撃』で行い反撃のチャンス伺い

ガチデビルの顔面に『早業』UC『2回攻撃』で戦意とか諸々奪えば、リリリリちゃんも動きやすくはなるかな?

気苦労で精神ダメージ深そうだし

※アドリブ絡み掛け合い大歓迎


アメリ・ハーベスティア
【なめろう茸餃子】
ガチデビルさん、色々気苦労凄そうですし、あのボキャブラリーは……ふえっ!?あの人、とんでもない悪い子なのですかっ!?

●POW
触れたら不味い、防いだらもっと不味い
としたら避けるしかないのですね

『サーフィン』みたいに『操縦』し【アンチファル】と言う『武器に乗って空を飛ぶ&空中戦&推力移動』で空飛びながら『集団戦術&団体行動』連携

『第六感』で『見切り』回避しつつ
『属性攻撃(デコイ)』付与した【カエンダケフレア】の囮&牽制『弾幕&範囲攻撃』を『高速詠唱』でばら蒔き

反撃のチャンス伺い
『高速詠唱&全力魔法』UCを
ワライダケの特性込めてガチデビルさんの顔面にです

※アドリブ絡み掛け合い大歓迎




 食と平和を愛する三人の少女達が立ち向かうのは、ひとつの世界を混乱に陥れた初代“魔王”その人だった。
「デビキンの悪魔の皆さんを弄んだその次は、この世界で……」
 敵愾心に燃えるビスマス結晶型クリスタリアンのビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)。その隣で、地竜のドラゴニアン、アメリ・ハーベスティア(キノコ好きの「よいこ」な地竜の末裔・f38550)が眉を落とす。
「ガチデビルさん、色々気苦労凄そうですし、あのボキャブラリーは……」
「……アメリさん、この人実は良い人って事はありませんからね」
「ふえっ!? あの人、とんでもない悪い子なのですかっ!?」
 ビスマスのツッコミに、アメリは心底驚いたようだった。てっきり不運すぎて少々ひねくれてしまっただけかと目を丸くしている。
「まあ、分からなくもないけど」
 ファードラゴンのエミリロット・エカルネージュ(この竜派少女、餃心拳継承者にしてギョウザライダー・f21989)が肩を竦めた。
「現状だけ見てると確かに苦労人って感じだし。そう解釈しても仕方ないかも」
「アメリさんは純粋なスーパーよいこですし」
 頷き合う二人。デビルキングワールドでのガチデビルの様々な悪事についてエミリロットが説明すると、アメリがさあっと蒼ざめた。
「それはとっても悪い子ですね!?」
「ええ。悪い子です」
「でもまぁ、リリリリちゃんも随分フリーダムに見えるね」
 考えてみれば。
 長年ワルい事こそが一番イイ事だといわれてきた世界で、堂々と勇者なんてやってのけ、しかもKINGの座まで上り詰めてしまった実力者が勇者リリリリだ。フリーダムさは天性のものなのかもしれない。


「ぐぬぬ、折角蘇らせてやったあの男だけでなく、この体までもが私の野望を阻むのか……!」
 悪い子代表こと魔王は歯噛みしていた。気まぐれのように自我を取り戻す勇者のせいで、今のところ猟兵ひとりすら返り討ちに出来ていない。
「かくなる上は、この女が動き出す前に猟兵を血祭りにあげるしか」
 すらりと抜き去った斬霊刀に赤き霊力纏わせ、魔王が迫る。
「わー、なんだか本気出しちゃった」
「相当追いつめられていますね」
「はわわ、こちらも負けていられません!」
 反応は三者三様。だが三人とも肌で感じ取っていた。
 魔王の自我、勇者の体技。現状の悲惨さはさておき、紛れもない強敵だ。
 赤と黒の剣が大きく横薙ぎに振るわれる。空気ごと裂けるような音とともに、アメリのおさげの一部分が持っていかれた。
 反射的に防御を張りかけたアメリは、すんでのところで力の放出を抑え込む。
「アメリさん、大丈夫ですか!?」
「はい。でもこれ……“防いだらまずい”やつなのです!」
 眼鏡の奥の瞳が窄められる。剣に、強いジャミング系の特性が宿っているのを感じた。
「無効化されるだけじゃなく、こちらの力を吸収されそうな感じがします」
「性格悪ー。さすが魔王」
「まあまあ。魔王ではなく勇者さんの力かもしれませんし」
 苦笑いしつつ、ビスマスが魔王に目を向ける。
「とにかく防御が意味を成さないなら、避けるしかないという事ですね」
「オッケー。そっちのほうがボクたちの得意分野でもあるしね!」
 真紅の羽を羽ばたかせ、エミリロットが空へ舞い上がる。残像が発生する程の軌道に念を投じれば、より精度の高い囮となった。
 同じようにビスマスも武装の機動力で宙へと身を躍らせ、そしてアメリは空駆ける大剣アンチファルを横たわらせサーフボードのように乗って滑り出した。
 魔王が堕天使の翼を翻して三人を追いかける。
 残像を剣圧で蹴散らす魔王へと、毒炎のカエンダケ弾幕が浴びせられた。
「ナイス、アメリちゃんっ!」
 ビスマスとエミリロットもありったけの弾幕を張る。息の合ったコンビネーションで撹乱する三人に、魔王は刃が届く範囲まで距離を詰める事が出来ない。
 遠距離から力任せに振るった斬霊刀は、しかしその衝撃波だけでエミリロットを大きく吹き飛ばす。
「エミリさんっ!」
 魔王を撹乱するべく大きく弧を描いて飛翔していたビスマスが、軌道を大きく変え彼女を受け止めた。
「ありがと、助かったよ」
「大丈夫ですか?」
「ちょっと脚を傷めちゃったかも。でも平気」
 翼が無事ならなんてことはないよとエミリロットは強がるが、顔には脂汗が滲んでいた。
「やはり5thKINGの刀は伊達ではないようですね」
「あはは、そんなに褒められたら照れるー」
 ん? 突然響いた少女の声にビスマスとエミリロットは顔を見合わせた。
 今の誰? 私じゃないですよ、ボクでもないよ。それから二人揃ってアメリを見る。
「アメリでもないです」
 ということは。この場にいる最後の一人、つまり魔王を見る。魔王は魔王らしからぬあっけらかんとした笑顔になっていた。
「どもどもー、これの持ち主です」
 カッコいいでしょ~、と剣をぶんぶんしてみせる。
「……随分急に自我を取り戻すんだね、勇者様は」
「さっきからずっと頑張ってはいたのよ~、今よーやく出てこられて」
 そうだ助太刀するね、と魔王改め勇者リリリリは盾を翳す。宝玉から放たれるビームが三人へと届き、傷を癒していく。
 それだけではない。
「これは……アメリの装備の力が強くなったようです!」
「ボクもだ。怪我する前よりも力がみなぎってきているみたい」
「支援感謝いたします」
「どーいたしましてー。ぶいぶい」
 剣を小刻みに揺らしながらリリリリが笑った。どうやら剣と盾で両手が塞がっているので、Vサインの代わりに口で云っているらしい。
「あっそろそろ喋るの厳しいかも。また潜るねー、じゃあねー」
 リリリリがそう云ったが最後、天真爛漫な表情が徐々に邪悪そのものの魔王のそれに戻っていく。
「……想像以上にフリーダムだったね」
「でも、まだリリリリさんが頑張って魔王の動きを封じてくれているようなのです」
「今のうちに叩きこみましょう。リリリリさん、必ず救出しますからね」
 あまり深刻には見えなかったけれど、まあそれはさておき。
「ではアメリから行くのです――暗黒の竜とキノコの力を、キノコミコンの名の元に! 暗竜茸砲『ドラグマッシュ』!!」
 魔術書を紐解き発動させるのはワライダケの茸龍光弾。ただでさえ動けない魔王はまともに喰らって――
「ひ、ひっ、ひひゃひゃひゃ」
 顔じゅうの筋肉を引きつらせ、滑稽な笑みを漏らし始めた。
「エミリさん、ビスマスさん、今ですっ!」
「……アメリちゃんって朗らかよいこだけど、絶対に敵には回したくないなあ」
 ガチデビル、また気苦労が増えたみたい。こっそり肩を竦めるエミリロット。
 浄化の作用がある薄荷のエキスを極限まで投じたエミリロットの薄荷餃霊剣がガチデビルに叩きこまれる。肉体を傷つけず戦意や負の感情だけを攻撃する緑の餃子剣は、負の感情だらけの魔王に振るえばほとんど精神の抜け殻もいいところだろう。
『Final build Bi!Bi!Bi!Biscancer!』
「ビスキャンサー転送! 蒼鉛式生成戦術起動!」
 リズミカルな機械音声と共にビスマスの武装が海老と蟹をモチーフにした鎧装ビスキャンサーへと変形していく。
「やっちゃえ、ビスちゃんっ!」
「――これで、決めますっ!!」
 スペックを最大限に活かした突撃からの光学蟹鋏突撃が、一切の防御行動を封じられた魔王へとクリーンヒットした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

栗花落・澪
【犬兎】
緩い相手でも油断は出来ないし
気は抜かずに行くよ、夏輝君

先制攻撃対策に激痛耐性のオーラ防御を纏いつつ
翼の空中戦で夏輝君と逆に動いて翻弄
こっちに来た小型盾は高速詠唱で氷魔法を乗せた鎌の斬撃で
凍結させて落としていく戦法

合間に指定UCを発動
催眠術を乗せた歌唱で思考や動きを鈍らせつつ
こちらも具現化した文字を盾や鈍器として使いながら
こっそり五線譜のロープを具現化
リリリリさんが出てくるまで持久戦

出てきたら夏輝君がバットを渡したタイミングで
リリリリさんの腰元に五線譜設置
動きに合わせて巻き付けつつ反対側は握っておいて
元に戻った魔王さんが少しでもふらついた隙にせーので引っ張る

最後は夏輝君、よろしく


小林・夏輝
【犬兎】
なーんか残念な奴
そんだけ勇者が強いって事かもしれねぇけど

敢えて金属バットをぶんぶんアピールしつつ
先制攻撃は元陸上部仕込みのダッシュ力で回避と翻弄重視
澪と逆の動きをすることで狙いを定めにくくしつつ
飛んで来た盾は出来るだけ打ち返す
いっそ脳天ホームラン狙ってみる?

あ、リっちゃん出て来た?
んじゃほい、ぐるぐるバット第…今何ラウンドだ?
よろしく

自前のバットをパスしてぐるぐるバットをしてもらう
目を回した頃に返してもらって澪に合流
一緒に思いっきり五線譜を引っ張り魔王をコマのように逆回転

いつもより多めに回しておりまーす、なんてにゃ
食らえ!

最後は俺の指定UC
変形バット(ロケラン)で思いっきり援護射撃




 魔王というからどんな恐ろしい怪物が出てくるのかと思ったのに。
「なーんか残念な奴。そんだけ勇者が強いって事かもしれねぇけど」
 頭の後ろで腕を組みながら、小林・夏輝(お調子者の珍獣男子・f12219)が率直な感想を漏らすのだった。
「緩い相手でも油断は出来ないし気は抜かずに行くよ、夏輝君」
「わーかってるって」
 栗花落・澪(泡沫の花・f03165)の言葉に夏輝は相変わらず軽い調子で返す。
「……誰が緩い奴だって?」
 魔王が二人に鋭い眼光を向ける。しかしこの魔王、立ち居振る舞いこそ肩書に相応しく一生懸命取り繕っているが、既にバットの餌食になったり強制野球をさせられたりしているとか。
「ええい、余計な情報を開示するな!」
 地の文に突っ込みを入れるという高等技術をかましながら、魔王が盾を掲げた。宝珠が妖しく輝き、魔王のレリーフが刻まれた無数の小型盾が出現する。
 空気を裂きながら飛来する盾。二人は息を合わせて正反対の方向へと跳んだ。そのまま澪は純白の翼を広げて飛翔する。唸りをあげ追いかけてくる盾を、氷魔法を帯びた鎌で弾いて落としていく。
「元陸上部仕込みのダッシュ力を侮るにゃよー、なんてね♪」
 こちらは瞬発力とトリッキーな動きで盾操る魔王を翻弄する夏輝。後方から飛んでくる盾を全力ダッシュで撒いたと思えば、いきなり立ち止まって真っ向から迎え討つ。その手に握られているものを見て、魔王がぎょっと目を剥いた。
「お、いい反応」
 金属バットをぶんっと振るって盾を打ち返す。元々のスピードと重量も加わって、盾はものすごい勢いで魔王の方へと飛んでいった。
 必死の形相で魔王が避ける。ちぇー、と夏輝が舌打ちした。
「もうちょっとで脳天ホームランだったのにな」
「惜しかったね」
「こやつら……!」
 青筋浮かべた魔王が更に盾を召喚しはじめた。それらが具現化される前に澪が歌を紡ぐ。
「世界の音に耳を澄ませて――ほら!」
 歌は魔王の思考を鈍らせるだけでなく、澪の羽ばたきや夏輝の足音といった音を実体化させていく。世界に溢れる音が、魔王の更なる攻撃から澪たちを護る武器となる。
 こっそり歌声から五線譜のロープを紡いでいることを悟られないよう、澪は盾の駆動音を殊更大きく具現化し、盾や鈍器として扱った。
 澪の催眠術を受けて、魔王の眼光が次第に鋭さを失っていく。耐えきれず瞼がくっついた瞬間、勇者が目覚めた。
「あ、また動けるようになった! あなた達のおかげね、ありがと~!」
「あ、リっちゃん出て来た?」
「リっちゃんって呼び方可愛い~! 嬉しい~!!」
 魔王も緩ければ勇者も緩い。なんかできることある? 回復? それとも支援? 盾を構える勇者リリリリに、二人は首を振った。
「それよりも協力して欲しい事があるんだ」
「なになに?」
「はい、これ持って」
 バットをパスする夏輝。
「んじゃほい、ぐるぐるバット第……今何ラウンドだ? よろしく」
「ぐるぐるバットね、りょうかーい」
「通じるんだ、ぐるぐるバット」
 澪が目をぱちくりさせた。
「じゃあ限界まで回ってから自我を手放すね。ぐーるぐーる」
 回るリリリリに、澪と夏輝は五線譜のロープを巻き付ける。
「ぐーるぐーる……はいもう限界! さよなら!」
 リリリリが意識を手放し、その表情が魔王の邪悪なそれへと変貌——しきらなかった。
「うっ」
 目元を抑えて魔王がふらつく。本当に限界も限界までリリリリが頑張ってくれたようだ。澪と夏輝が目配せしあった。
「「せーの」」
 小声でタイミングを合わせ、ロープの端と端を一斉に引っ張った!
「行くよ!」
「食らえ!」
「ぎえええ!?」
 ただでさえ三半規管の洗礼を受けた魔王に慈悲の無い逆回転。威厳のかけらもない悲鳴が響き渡った。
「いつもより多めに回しておりまーす、なんてにゃ」
 白い歯を見せてきゃっきゃと笑う夏輝が新たなバットを握りしめる。一見先程の金属バットと違いが見受けられないが、内部にロケランを仕込んだガジェッティア仕様である。よいこも悪い子も真似をしてはいけませんにゃ。
「いつもより多く回したついでにー、火薬量もいつもよりも多く間違えちゃったりなんかして!」
 それもうただの故意。取り繕う気もないただの故意。
 未だぐるぐる定まらない魔王の視界にきらきらと光るものが過ぎっていく。メリーゴーランドから見える景色のようでいっそ美しいと、邪悪そのものの魔王にらしからぬ思考が生まれたとか。
 だがそれは、魔王の命奪う火薬の爆発であった。炸裂音が響き、魔王の身体を蹂躙していく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。

ガチ虐たーのしー♪もっと精神的に追い詰めちゃうぞ☆
というわけで、ここにバ美肉男の娘ガチデビルという|毒電波《欲望開放》を受けて即席で描きあげた『バ美肉男の娘ガチデビル総受鈴蘭本』があります。|コレを思わず受け取って読んでしまうタイミングで渡せばガチデビルは脳破壊されて動きが止まるでしょう《早業先制攻撃、高性能を駆使する、多重詠唱結界術、精神汚染、脳を破壊工作&身体部位封じ》。その隙に禁呪をもちてガチデビルのユーベルコードを|禁じるわ《封印術》。ま、|バラバラにされてもギャグ補正でリポップよ。《継戦能力、回復力》
そして、追い打ちの指定UCでアレになぁれ❤




 さっき仮にも魔王である奴を虐めて虐めて虐め倒した怖い猟兵がいたらしい。
「ガチ虐たーのしー♪」
 もとい、まだいた。アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の|混沌魔術師《ケイオト》艶魔少女・f05202)は見た目こそ可憐さと妖艶さを併せ持つ美少女であるが、中身はご覧の通りである。
「さっさと帰れ」
 魔王、顔に「もういやだ」と書いてあった。魔王直々にデビルパワーを与えたフォーミュラが勝手に野球を始めたり、自我を乗っ取った筈の勇者が割という事を聞かないだけでも頭が痛いのに、野球(にガワだけ似せた謎ルール虐待)を仕掛けてくる猟兵まで現れたのだからたまったものではない。
「もっと精神的に追い詰めちゃうぞ☆」
「帰って下さい」
「というわけでー」
 アリスは魔王の言葉には一切耳を貸さず、懐から薄い本を取り出した。
「ここにバ美肉男の娘ガチデビルという毒電波を受けて即席で描きあげた『バ美肉男の娘ガチデビル総受鈴蘭本』があります」
「何を云っているか全く判らないがやばい事はわかる」
「コレを思わず受け取って読んでしまうタイミングで渡せb」
「そんな怪しいものを誰が読むか」
 被せ気味に魔王ががなる。あら、とアリスはまばたきした。
「読んでくれないとセカカラちゃん帰れないなー、あの手この手で居座っちゃうなー」
「……くっ」
 どちらにせよ地獄。魔王はさっさと済む方の地獄を選んだ。アリスのウ・ス異本をぱらぱらとめくり、そして――フリーズした。
「脳破壊完了☆」
 全く描写されていなかったがアリスの周りには魔王が召喚した祭壇と獣があった。しかしフリーズした魔王はそれを維持できなくなっていた。
「格上を相手にする時は自分と同じ領域に引きずり堕とすのが常道よね。というわけで――頭セカンドカラーになぁれ💖」
 くるくると人差し指を回してみせながらアリスが迫る。魔王がそれにつられてぐるぐると目を回していく。
「あ、アハハ――駄目ですお姉様(♂)いけませんわ、そのような破廉恥な事っ」
 本体部分の顔を赤らめ、アリスの本にあったアヤシイセリフを口走ってしまう。アリスの本では原型無視の可愛らしい男の娘だったが現実には怪獣めいた魔王である。ついでにいうとリリリリの気配は先程から皆無であった。空気を読んで引っ込んでいるのか、それとも単に巻き込まれたくないのか。
「ふふふ。可哀想なガチデビルちゃんはこれからどんな目に遭っちゃうのかしら」
 洗脳完了したアリスはすっかり高みの見物である。尊厳破壊っていいよね。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜刀神・鏡介
この流れでガチデビルがスポーツに目覚めていたら――なんて益体もない事を考えてしまったが
まあ、あり得ない話だわな

利剣を抜いてリリリリと相対。ひとまず初撃は回避に注力。落ち着いて見極めて、紙一重の回避……多少は斬られるかもしれないが。一撃で倒されなければ問題なし

斬霊刀による攻撃は防げない……ならば刀を振らせない形で対応する
捌の型【水鏡:流】の構えで相手の動きを僅かに誘導。その先手を取って、此方の攻撃を挟む事で妨害

勿論、全ては止められないが。此方の攻撃で幾らか動きが鈍れば、負傷も幾らか抑えられるだろう
尤も、妨害メインの立ち回りなので打撃力には欠ける。
ひたすら凌いで、洗脳解除されたタイミングで攻めよう




 世界を掌握する為に蘇らせた筈の存在がスポーツしかしていないので途方に暮れていたのがちょっと前。
 今では更に、意識を乗っ取った筈の勇者まで時々自我を振り払ってバットがどうとか云い始めている。
「この流れでガチデビルがスポーツに目覚めていたら――なんて益体もない事を考えてしまったが。まあ、あり得ない話だわな」
 そうなったら世界は平和、めでたしめでたしだっただろうか。それとも魔王まで巻き込んで地獄の特訓が繰り広げられただけだろうか。
 とにかくアスリート魂もスポーツマンシップもない魔王と語らう言語を、夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)は携えた刀ひとつしか知らない。そしてそれは魔王も同じようだ。
 淡紅を宿す鏡介の利剣【清祓】とは正反対に、魔王の斬霊刀は魂まで喰らうようなぎらぎらとした紅に満ちていた。殺意の塊のようなそれが大きく振るわれた。
(「――来る!」)
 地を蹴って実を翻す。魔王の刀が空気を裂く音がして、触れてもいないはずの鏡介の頬がぱっくりと切れた。返す刃が迫る。咄嗟に利剣で受け止めてしまいそうなところを、何とか堪えて横に跳ぶ。
 防御の一切を無効化する勇者の刃。やられる前にやるとばかり、鏡介が立ち止まって刀を構える。攻撃の前動作、無防備な瞬間を狙って魔王が刀を振り翳す。しかし鏡介が構えを変えた。重心を深く落とし必殺の一撃を放つと見せかけ、速度重視の連撃に転じる。
「我が太刀は流れる水にして、鏡の如く――捌の型【水鏡:流】」
 読み切れなかった魔王を利剣が斬り刻む。カウンター気味にヒットさせて尚傷は浅いと手の感覚が告げていたが、それでいい。防御不能の脅威相手に、大事なのはこちらが斃されない事なのだから。
 鏡介は焦れず一進一退を続ける。鏡のように相手を見定め、水のように自在に型を変えながら。
「~~っ、もう、じっとしてなさいよー! あっ、出てこられた!」
 魔王の顔が突然、あっけらかんとした笑顔に変わる。
「待ちくたびれたぞ、勇者様」
 鏡介の軽口に、勇者はにかっと白い歯を見せた。
「主役は遅れて出てくるものだから~。ほら、猟兵さんも頑張ってね!」
 翳した盾が鏡介を癒していく。今なら全てを賭して利剣を振るう事が出来るだろう。
 清祓の刀身が輝きを増す。風を断つような横薙ぎ。淡紅色の軌跡が、悪しき魔王を切りつけた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

パウル・ブラフマン
オンナノコにくっついて操るとかさ
ワルって云うか寧ろFxxk'n変態野郎ってカンジだね☆
ガチデビに対し煽り&勇者ちゃんにエールを送りつつ
愛機Glanzで戦場に【騎乗突撃】をカマしくよ!

具現化された盾の数を注視しながら
【運転】テクを駆使した【ジャンプ】や【なぎ払い】で対抗。
展開したKrakeで小型盾を撃墜しつ
勇者ちゃんが自我を取り戻した瞬間を狙って―UC発動!

Glanzに陽動を頼んで
オレ自身は勇者ちゃんの斬霊刀経由で移動を。
くっついてるガチデビルの剥がし狙いで
肩口に【零距離射撃】をお見舞いしちゃうよ!

この間勇者ちゃんが昏倒しなように
背中をぷにっと触手で支えたいなって。
手荒な真似しちゃってゴメン…!




 唸る盾の嵐。存在するものすべてを刻む猛襲の中を、白銀のバイクが掻い潜る。
「オンナノコにくっついて操るとかさ、ワルって云うか寧ろFxxk'n変態野郎ってカンジだね☆」
 人懐こい笑みのまま煽るパウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)へと、盾の攻撃はますます集中していく。隻眼のすぐそばを掠めていった盾にパウルはヒュウと唇を吹いてやった。勇者の持つ宝珠のついた盾に、魔王の貌のレリーフを上書きしたデザイン。結構なセンスだ。自己顕示欲の強さは「魔王あるある」だろう。それゆえの煽り耐性の低さも、また「あるある」だ。実にやりやすい相手だと感じた。
 パウルを狙ってきた盾はグローブから展開させるシールドが弾く。|足《タイヤ》狙いの盾は時にジャンプで躱し、時に魅せつけるかのように車体を大きく振って薙ぎ払う。盾はますます熾烈さを増し、とうとうパウルの肩からインクめいた青を吹き出させた。それでもパウルとGlanzの勢いはとどまる事を知らない。――魔王の奥底に眠るものを、信じているから。
「……ん? おっ、や~っと動いたみたい!」
 邪悪なる笑みを浮かべていた勇者の顔が、彼女本来のものであるらしいあっけらかんとした表情に変わる。盾を掲げ、魔王の小型盾たちを引っ込めようとするのをパウルが静止した。
「大丈夫、攻撃が多い方が隠れ蓑になるからさ☆それよりもそのイケてる剣、しっかり持っててくれるととっても助かるかも☆」
「これ? りょーかい!」
 リリリリのウインクに笑顔で答え、パウルはUCを発動させる。その瞬間にリリリリの意識が水面下に沈み、魔王の意志が浮かび上がった。
「小癪な勇者と猟兵どもめ……!」
 魔王が彗星のように迫り来る白銀めがけて盾を一斉に放った。バイクは避け切れずとうとうタイヤをバーストさせる。スリップするバイクの上、駆り手めがけて放った盾は、しかし虚しく宙を切った。
「何!?」
 バイクは無人であった。一体いつから。
 ふと血の気の震えるほどの殺意を感じた。電子の肉体に転じて斬霊刀に潜んでいたのは稲妻と星屑を宿した宇宙蛸の人魚。四基の砲口すべてが、勇者の肩に取りついたガチデビルへと一斉にレーザーをお見舞いした。
 魔王の悲鳴が響く。“接続”を強制的に断たれ倒れ込む勇者の身体を、伸ばした触手がぷにっと支えた。
「手荒な真似しちゃってゴメン……!」
 その瞬間、勇者が斬霊刀を薙ぎ払う。脱出して生身へ戻るパウルの視界、勇者の肉体は未だ魔王の手の中にあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
勇者さん、コラボよろしくなのでっす!
魔王さんとしては時間をかけるほど洗脳解除が進みますし、威力を減らして数に頼るよりも最大威力で来るかと!
渾身の一撃のタイミングで「盾コントロールも~らっい♪」と腹話術で勇者さんの声真似演技なのでっす!
数秒が生死を分ける戦いの中、真偽判別してる間はないでっしょうからねー。
勇者さんを抑え込む方に意識を集中し攻撃の手が一瞬でも緩むでっしょうがー。
当然、洗脳解除はされてないため魔王さんは空振り!
どころか本来の解除タイミングとずれたところで気合を入れてしまったため、隙をさらしていませんかー?
勇者さん、今なのでっす!
リリリリの勇者さんが表に出てくだされば宣言通りコラボレーション、一緒に歌いましょうなのでっす!
このお歌は猟兵以外となら誰とだって歌えるのでっすよー!
魔王さんからすればたまったものではないでっしょねー!
魂の歌は魔王さんを揺さぶるだけでなく、状態異常解除の力もあるのでっしてー!
勇者さんの洗脳解除を進めて時間を伸ばしちゃおうなのでっす!




「藍ちゃんくんでっすよー! 勇者さん、コラボよろしくなのでっす!」
 どんな時も誰が相手でも、紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)はハイテンションアッパーボーイ。ギザ歯を見せて笑む藍へと迫るのは、勇者の盾から放たれる魔王の浮遊盾。
 刃物のように鋭い側面が藍のそばを通り抜けていった。風圧で耳たぶが裂ける感覚がして、名前と同じ色の髪が一房刻まれ宙を舞う。すぐに盾は空中で軌道を変え、再び藍へと牙を剥く。
 全神経を集中させても、致命傷を避けるので精一杯だ。だが相手もまた同じ。勇者の宝珠の力をひとつの浮遊盾すべてに投じているため、これ以上の攻撃は行えない。威力を犠牲に手数を増やす事よりも、一撃当たれば確実に仕留められる方を狙ってきたようだ。
(「藍ちゃんくんの予想通りでっすね!」)
 猟兵を斃すのに手間取っていれば、それだけ勇者が洗脳解除される可能性も高まる。魔王にとってこの上ない窮地だ。
 やっと復活の糸口を掴んだら、手駒にしようとしたダークリーガーも、支配した筈の勇者も全く云う事を聞かない現状。期限までに敵を討伐すればいい猟兵よりも、いっそこの魔王のほうがよほど追いつめられているといってもいい。
(「そんな余裕のなさと藍ちゃんくんの迫真の演技が合わされば、きっと騙されてくれるのでっす!」)
 必死で盾を躱しながら、藍は機会を伺い続けた。魔王がカッと目を見開き、盾を加速させていく。渾身の一撃を放ってきたタイミングで、藍もまたとっておきの秘術を披露する。
「盾コントロールも~らっい♪」
 腹話術で勇者の声マネ。駄目押しとばかりに藍自身も勇者の出現にびっくりしたような表情を浮かべてみせたりなんかして。
 ぎょっと魔王が目を剥いた。集中が途切れ、コントロールを失った盾が空中でふらふらと彷徨う。盾の操縦に向けていた力の大部分を、勇者を抑え込むほうに注力し始めたようだ。もちろん、実の所勇者はまだ目覚めようとしていない。完全な空振りだ。
 藍はよたよたのたうつ浮遊盾を掴んで、魔王へとフリスビーの要領で投げつける。完全に自分の裡なる戦いに集中していた魔王は、そんな見え見えの攻撃すらすぐには気づかなかった。目の前に迫って来た瞬間ようやく身を捩るが、盾は魔王本体を掠めて罅を刻み込んだ。
「勇者さん、今なのでっす!」
「はーい、どもども、気を逸らせてくれてありがと~♪」
 魔王に操られていた表情が、あっけらかんとした、少女といってもいいほどのあどけない笑みへと変化する。今度は演技ではなく、紛れもない勇者リリリリ本人だ。魔王が変なタイミングで力を使ったため、肝心のタイミングで抑え込む余力が残っていなかったようだ。
「それにしても、さっきの声真似すっごく似てたね! わたしもちょっとびっくりしちゃった~!」
「ありがとうなのでっす! 藍ちゃんくんはマルチに活躍する藍ドルでっすから!」
「歌って踊れるってやつ? ますますシビれる~!」
 褒められて藍は満更でもなさそうだ。でも今は残念ながらあまり時間がない。お礼もそこそこに本題に入る。
「そんな藍ちゃんくんと勇者さんで、一緒に歌いましょうなのでっす!」
「わたしも歌っていいの?」
「もちろんなのでっす! むしろこのお歌は、猟兵以外とじゃないと歌えないのでっす!」
 簡単だから真似してくださいなのでっす、と藍が先陣をきる。戦場全体に響く澄んだ歌声がワンコーラスを紡ぎあげると、そこに勇者の声が追随する。
 歌は、実のところ二人だけのデュエットではなかった。藍が、猟兵が、笑顔にしてきた人々の歌声がどこからか聞こえてくる。
 涙色の空に笑顔の虹がかかる時、魂の歌声は邪悪なる魔王の精神を揺さぶり、苦しむ人々の蝕みを優しく解き放っていく。
 優しい合唱の歌い手に、今、勇者リリリリも新たに加わった。
 再び勇者の意識が魔王の底に沈んでも、この歌を藍「たち」が歌い続ける限り、勇者はまた現れるだろう。この歌の加護を受けて、今度はもっと確かに。もっと、沢山の時間を。

大成功 🔵​🔵​🔵​

凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と

リリリリの件も許すつもりはないし
上手くいってないとはいえ悪巧みも此処までだ
「お前は此処で終わってもらうよ」

相棒もやる気は十分みたいだ
どんな強敵相手でも
相棒が居るから俺も進める
「あぁ、勝ちに行くぞ。相棒」
何時も通り、心を奮わす為に
相棒と武器を打ちならして行くよ

今回は勇者リリリリの全力が相手
正直まともに戦うなら厳しい戦いだろう
だけど凌ぎ切ってこの先に繋げる事なら
俺達にもいくらでもやりようがある
猟兵としての真の姿での力と
イグニッションカードからの能力者の動き
俺の全力と武器受けの技術、
それに覚悟を以て、先制攻撃を乗り切る
「ククルカンも、ありがとうな」

耐えきった先、それがたとえ数秒の隙であろうと
自分達がどれだけ傷ついていようが問題ない
「これくらいじゃ、俺達の足は止められない」
有難い事に、勇者からの支援で回復も十分だ
今度は、俺達の番だよな

【水遁「爆水掌」】を使用し腕に術式を纏い
俺が考えうる限りの最大で、それ以外は考えない
ただ全力の一撃を叩き込むよ
「これでも喰らっとけ!」


葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と
真の姿は全盛期の能力者・大人

女の子にくっついて逃げてなんてね
「ここで引導を渡そう」

今日も相棒とだから
並んで戦うなら必ず勝利を導けると
「さぁ…征こうか相棒」
武器を合わせると敵対を感知したか
『純然たる悪』が動く

コイツは兎に角滅茶苦茶強い
普通なら絶対躱し切れない暴威を
蟲笛から出る蟲達と
全技能を励起した上でイグニッションカードで
起動して能力者機動も駆使し凌ぎ切って見せる
「ククルカン!陸井も護って!」

蟲達の頑張りと長い戦いで得た全てを注ぎ込んで
耐え抜いた!
ズタボロで血塗れだけど問題ない
「こんなの何時もの事だ」
俺達は死の淵の戦いを良く知っているから
幾度だって立ち上がって見せる
それに今回はリリリリの加護もある!

それを想起する一瞬で傷が癒えた
少女の強さに感嘆しつつ礼を一言投げて
「俺達の時間だ!」

加護は一瞬でも万秒に等しい!

瞳を閉じ全力でその『刻』にただ集中し白燐剣光大神楽詠唱!
俺の光と蟲を相棒と同時に叩きつける!

「俺達も諦め悪い方でね」
ガチデビルのそれを必ず上回ってみせよう!




「くっ、何故だ……!」
 吐き棄てられる怨嗟の声。
「何故なにもかもうまくいかぬ? 私の計画は完璧だった筈だ!」
「そりゃあもう、誰かを利用する事しか考えていないからじゃないか」
 魔王の威厳ももはや消え失せた嘆きに、どこか飄然とした声が答える。
 目を瞠りながら振り向いた魔王が見たものは二つの人影。
「リリリリの件も許すつもりはないし、上手くいってないとはいえ悪巧みも此処までだ――お前は此処で終わってもらうよ」
 眼鏡の奥の眼差しを眇めるのは、長い髪をひとつに束ね、背に誓いを背負った青年、凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)。
「さんざんデビルキングワールドを引っ掻き回して、この世界も混乱に陥れておいて、自分は女の子にくっついて逃げてなんてね。ここで引導を渡そう」
 陸井の隣に並び立つ葛城・時人(光望護花・f35294)も、青の眼差しで油断なく魔王を睨みつける。
 相棒の抱く義憤や覚悟。共に背負い、目指すべきはひとつ。
 護るべきものを、護るために。
 どんな強敵が相手でも、死と隣り合わせの青春を生き抜いた相棒となら、必ず潜り抜けられる。
 既に魔王の本体には猟兵が刻んだ無数の罅が走っている。後の無いガチデビルが裂帛の叫びと共に無数の祭壇を顕現させた。
 邪なるものを癒す炎が吹き荒れ、六大罪を模った獣が牙を剥く。
 頷き合った二人がともにカードを構える。
「――|起動《イグニッション》!」
 能力者としての技と経験に、猟兵としての能力を上乗せして、今解き放たれるのは二人の真なる姿。
 陸井の横に並び立つのは、全盛期の姿を取り戻した時人だ。
「さぁ……征こうか相棒」
「あぁ、勝ちに行くぞ。相棒」
 互いの武器を掲げ、打ち鳴らす。
 何時もと違う姿で、何時も通り、心を奮わす為に。


 武骨な短刀銃から発射された弾が、吸い込まれるように獣のこめかみにヒットした。
 風を受け澄んだ音を鳴らす蟲笛から、純白の羽毛と翼持つ蛇蟲ククルカンが現れて悪を喰らう。
 獣たちを退けた二人へと、勇者の姿した魔王が踏み込んできた。
「ククルカン! 一旦退いて!」
 普段ならば頼もしいことこの上ない白燐蟲の護りを、時人は引っ込めなければならない。
 蛇蟲がぱっと散ったところへと、全ての防御手段を無効化・吸収する斬霊刀が禍々しい紅の軌跡描き振り払われた。
 陸井も時人も大きく後ろに退き、直撃は免れた――筈だった。それでも一切の防御を捨て去った身体に、勇者の剣はその衝撃波だけで決して浅くない傷を刻む。
「大丈夫か」
「何とかな」
 然してその魔王を追いかけようとすれば、奴は堕天の翼ですぐに飛び去ってしまい、更に二人の往く手を阻むように獣たちが召喚される。
 再び時人はククルカンを纏い、護りを固める。
 正面の獣へ小太刀を振るっていた陸井へと、背後からも獣が迫っている。生臭い殺気に陸井が振り返った時には、獣はその鋭い爪を振り翳していた。
「ククルカン! 陸井も護って!」
 光が宿主の命に従って陸井を包む。
 眩しさに目を眩ませ動きを留めた獣を、陸井が斬り伏せた。
「時人……ククルカンも、ありがとうな」
「お互い様だよ、こういうのは」
 いつもより逞しくなった相棒に、いつものような笑みが浮かぶ。
 誓いを込めた羽織をはためかせ、陸井も猛然と迫り来る敵を凌ぎ続けた。
 魔王の悪辣なる精神と、勇者の体技。そして幾度となく訪れる獣たちの猛攻。
 それでも二人は、それらを笑い飛ばしてみせた。
「こんなの何時もの事だ」
「ああ。これくらいじゃ、俺達の足は止められない」
 普通ならば絶対に躱しきれない暴威でも、今の二人ならば必ず乗り越えられる。
 あの頃から、ずっと変わらない摂理だ。


 魔王と交戦してから、一体どれほどの時間が経っただろうか。
 走る時人の脚を獣の爪が引き裂いて、支えを失った身体がくずおれる。吹き飛ばされるままに地面を転がって追撃を避け、ククルカンを獣へと飛ばしながら立ち上がった。
 頸目掛けて振るわれた獣の巨腕を、陸井の小太刀が受け止める。
 刀を握る手からぼきりと厭な音がしたが、構わず獣に銃弾を撃ち込んだ。
 手から滑り落ちる小太刀を鞘に納め、絶命した獣を振り返る事無くまた走る。
 眩む視界を時人が強引に拭って抉じ開け、陸井の誓い込めた羽織が血で赤黒く染まる頃、突然獣たちの猛攻がぴたりと止まった。
「これは……」
 陸井が目を瞠り、魔王だったものを見遣る。
 そこにいたのは相も変わらず赤と黒の堕天使。だがその表情は今までと打って変わり、快活な少女そのものだった。
「お疲れ~! 出てくるの遅くなっちゃってごめんね!」
 あっけらかんとした物言いは、まるでちょっと遊びの約束にでも遅れたかのようだ。
 けれどそんな彼女が盾を振り翳せば、二人の傷はみるみる癒えていく。それだけではない、防御不可能な魔王の斬霊刀すら撥ね退けるほどの加護を感じた。
「これは……ありがたい!」
 耐え抜いたのだという自覚が二人の胸に強く宿る。
 けれど決して驕らない。死の淵の戦いならば何度も何度も経験してきた。その度に立ち上がって来た。同じ事だ。
 リリリリに礼を述べながら二人は走る。
 遠い異世界で洗脳されながらも、「現代のKINGたち」の為に懸命に立ち上がってくれた勇者に報いるために。
「今度は、俺達の番だよな」
「ああ。俺達の時間だ!」
 加護が一瞬であっても、彼らの前では万秒に等しい。
 瞳を閉じ、その『刻』にただ全力で集中する時人に応えるよう、ククルカンが集まって光の剣へと変化していく。
 大きく息を吸いこみ、腕に水の術式を纏った陸井は一切の護りを棄て、ただ一撃だけに全てを投じる構えを取った。
「あんたも大概だけど、俺達も諦め悪い方でね」
「これでも喰らっとけ!」
 光の衝撃波が、すべての術式をかけた爆水掌が、リリリリに張り付いた魔王へと炸裂する。
 けたたましい悲鳴すら、力の奔流が呑み込んでいく――。


「……ふう。あ、もう頑張んなくてもわたしでいられるみたい?」
 光と水が収まった頃、ぱちぱちと目を瞬かせてリリリリその人が現れた。
 仮にも『魔王』を崩壊させるほどの力を至近距離で浴びたにも関わらず、リリリリは軽い掠り傷を追った程度のようだ。
「勇者の名は伊達じゃないな」
 肩を竦める陸井の方が、捨て身の一撃の影響で体中にガタが来ているくらいだ。あちこち痛む身体を庇う彼の隣で、全力を尽くした時人もやはり大きく肩で息をしている。
「もう魔王が復活する気配もないみたい? あ、でもあなた達はもうちょっと倒さなきゃいけない人がいるんだっけ?」
「ああ。そちらもじきに終わるだろうけど」
 魔王討伐は果たしても、そのデビルパワーを継いだ存在がこの時点ではまだ健在していた。
「わたしは一緒に戦えないけど、代わりにい~っぱい応援するね!」
 ふぁい、お~! と、やっぱり勇者とは思えないあっけらかんさでリリリリは拳を掲げてみせる。
 その明るさに、二人もまた笑みを零し、拳を打ち合わせたのだった。

 こうして魔王は消え、アスリートアース消滅の危機もまた去ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年02月01日


挿絵イラスト