ふくふく甘やか、冬のひととき
征・瞬
張・西嘉(f32676)と合わせです。
こんにちは。
https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=44259のバニーシナリオではお世話になりました。
この時の大きいもちウサとのその後も含めたクリスマスを過ごすノベルを希望です。
名前は瞬には思いつかずつけていませんので、西嘉がつけることになると思います。
封神なのでクリスマスの習慣がなさそうなので、
屋敷の中庭でもちウサの世話をしながらお茶をして過ごしプレゼント交換をする流れです。
瞬のプレゼントは手作りの桃まんです(普段作らないのでやや形は不格好)
感情を表すのは苦手でほぼ無表情ですが、西嘉の前では普段より表に出ています。
その他細かな部分はすべておまかせします。
イチャイチャさせてください。
よろしくお願いします。
この兎……連れ帰ってもいいだろうか、と。
それは、ある依頼を請け負った際に、ひょんなことで繋がった縁で。
その言葉に頷いて連れ帰って世話をするようになってから、もう一年以上になるし。
だから眼前の光景は、あの時から結構経っている今となっては、もう見慣れているはずなのだけれど。
だがそれでも、いつだって張・西嘉(人間の宿星武侠・f32676)は嬉しくなってしまうのだ。
「ん? ああ、そろそろ餌の時間か……たくさん食べるといい」
もっふりとした大きなもちウサの世話をしている、征・瞬(氷麗の断罪者・f32673)の姿を見れば。
その表情はいつもと同じで、氷のように美しく一見冷たい無表情ではあるものの。
でも、西嘉には見ていてわかるから。
眼前のうさぎのことを、瞬が好きになっているということが。
そして好きなものが彼にできていることが、とても嬉しいから。
だからついほっこりと、そんな愛らしい存在たちの戯れる様子を和みつつも見つめていれば。
「……西嘉、いつまで見ているんだ……?」
ちょっぴり怪訝気に、そう視線を向けられてしまったものの。
もちウサの世話をする瞬の隣に腰を下ろした西嘉は、微笑まし気に紡ぐ。
「……うん、やはり可愛いな」
そんな彼の言葉に、一瞬だけ世話をするその手を止めてから。
ふいっと照れ隠しかのように瞬は、西嘉から視線を逸らしつつも。
大きなもちウサにごはんをあげ終えた後、もっちりふわふわなそのうさぎの毛並みをなでなでしてあげる。
その様子を眺めつつも西嘉は、依頼で縁があって連れて帰ってきて以来、世話をしている大きなうさぎを改めて見つめてから。
ふとこう、呟きを落とす。
「もちっと白くて丸くて、まるで大福みたいだな。大福か……福……」
「? どうした?」
「そういえば瞬、このもちウサの名前は決めたのか?」
「いや……」
もう連れて帰ってきて世話をしはじめて、結構な日数は経っているのだが。
実はまだ、このもちウサに名前を付けてはいなかったのだ。
特に今まで思いつかなかったから、何となく付けずにそのままきているというわけなのだが。
そんな瞬に、西嘉はこう提案する。
「名前を付ければ、何かと呼ぶ時などにも不自由も少なくなるだろうからな。もちもち大福のようだから……『
福』、なんてどうだ?」
「ふく……」
そう西嘉の声を聞けば、改めて瞬は、じいと目を向けて。
ごはんを食べ終わってうとうと、ひなたぼっこしているもちウサの姿を見つめてみる。
確かに、西嘉の言うように、もちっとまんまる大きな白い身体は大福のようで。
ふくふくぽてっとしているし、名前自体の縁起も良さそうだから。
「……おいで、『福』」
試しにそうそっと呼んでみれば……お耳をぴこり、短い尻尾をふりふりして。
ぽてぽてと、すり寄ってくる『福』。
「……どうやら、気に入ったみたいだな」
「そうか、それはよかった」
それから瞬はもう一度、ふく、と名前を呼んであげながら、もふもふなでなでして。
「福は、騒ぐことなくじっと大人しいからな」
「うむ、仙術で小さくしても、手の平の上で鼻をひくひくさせているくらいだからな」
いつの間にか気持ち良さそうに、すやぁとお昼寝をはじめた福を眺めつつ、ふたりそう瞳を細めた後。
改めて屋敷の中庭でお茶をしながら、ふと互いに用意してきたものを手にする。
いや、この封神武侠界に、クリスマスという行事はないかもしれないけれど。
クリスマスとは、恋人同士が贈り物をし合う習慣がある、とそう聞いたから。
クリスマスのこの日――二人でプレゼントを交換しようと、そういうことになっていたのだ。
ということで、西嘉が瞬に贈ったものは。
「うさぎ……ふわふわ、だな……」
そう、ふわふわなうさぎのぬいぐるみ。
その両目は赤と紫……瞬の瞳と同じ色をした、色違いの鉱石のおめめをしたうさぎさん。
そんな、自分と同じ瞳の色をしたうさぎをじいと見つめた後。
今度は瞬が、西嘉へと用意してきたプレゼントを。
……それは。
「ん、桃まんか、瞬の手作りか?」
「作り慣れていないから、形は少し歪だが……味は大丈夫だろう」
「いや、とても美味しそうだ、ありがとう。早速いただいてもいいか?」
そんな西嘉の言葉に、ああ、とこくりと頷き返した後。
ちらりと彼の反応をそっと見るように目を向けた瞬は、思わず瞳を小さく瞬かせてしまう。
「ほら、瞬も」
ぱかりと割った桃まんの半分を、自分へと差し出している西嘉の姿を見て。
そして、差し出された桃まんから彼へと視線を向けるけれど。
「これは、私があげたものだが……」
「恋人と同じものを半分ずつにしたら、もっと美味しいだろう?」
そう言われれば、貰ったうさぎをぎゅうと抱きしめて。
もふもふしつつも、瞬はこう告げるのだった。
「……西嘉が……恋人が食べさせてくれるものなら、食べてやってもいい」
そんな言葉に、西嘉は当然のように勿論頷いて返してから。
「ん、可愛い恋人と半分ずつ、だ」
あーん、と――桃まんを恋人同士、半分こ。
そして恋人の手で、桃まんを食べさせてもらえば。
口に広がるその味わいに、瞬はこくりとひとつ頷く。
やはり形こそちょっとだけ不格好だけれど、でも自分の作った桃まんは美味で。
そして……恋人に食べさせてもらったそれは、心なしかふわりと。
自分が作って味見してみた時よりも何故だか、優しい甘さが増し増しになっているような気がするのだった。
それから、中庭に冬の冷気を帯びた風がふいに吹き抜ければ。
「……やはり今の季節は、風が冷たいな」
そう口にしつつも、瞬はそうっと隣の恋人へとその身を預けて。
「福は……ふわふわだから、寒くはないか」
「そうだな、気持ち良さそうに寝ているし、寒くはなさそうだな」
「……そうなら、いい」
西嘉は、自分のあげたぬいぐるみを抱きしめつつ身体を寄せながらも。
何気にそう福の心配をする瞬の様子に、また微笑んでしまう。
そして寄り添うその身を受け止めながらも、こくりと冬空の下、大きくひとつ頷くのだった。
……うん、やはり俺の恋人は一番可愛らしいな、と。
成功
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