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灼熱に眠る月輪

#クロムキャバリア #『巨神』 #ネタ依頼 #参加したらネタ枠 #決戦型城塞都市国家ラウンズ #僕を目覚めさせないで…… #僕は食べても美味しくないよ……!?

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#『巨神』
#ネタ依頼
#参加したらネタ枠
#決戦型城塞都市国家ラウンズ
#僕を目覚めさせないで……
#僕は食べても美味しくないよ……!?


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「先日、タカマガハラに近づく敵がいただろう」
 マドリムの言葉に、紅茶を飲んでいたヴェイロンはちょっと遠い目になった。
「報告は聞いてるよ……一応、アシハラの方にも手紙は出してみたけど、まだ返事がないから、あちらとしても動きかねてるみたいだけど……」
「前回とは違う機体を狙って、またしてもタカマガハラに踏み込んだ連中がいるらしい」
「……うん、そんな気はしたよ。君が僕に話をする時って、大体何か面倒事があった時だもんね……それで、どうするの?」
 ヴェイロンとしては、敵がいると分かっているなら、所属不明機を殲滅するとか、そういう話になると思っていたのだが……マドリムは片膝をつき、王を前に頭を垂れた。
「国防の強化を具申いたします。この短期間で二度の遠征……どこの誰かは分かりませんが、意図的に災厄を起こそうとしている者がいる……我々は、非常時に備えるべきです」
「君がそこまで言う程なのかい……?」
 日頃、軽薄にして信用ならないマドリムだが、そんな彼がヴェイロン相手に騎士足らんとした態度をとる時は、いつだって大きな事件の前触れだった。危機感知に対しては絶対の信頼がおける相手の言葉だからこそ、ヴェイロンもまた態度を改め。
「分かりました。国防の強化と同時に、アシハラ、及びトウゲンとの連携に向けて使者を出しましょう……して、肝心のタカマガハラの件は?」
「はっ、そちらについては、恐らく専門家が対処に当たるはずかと……」


「というわけで、こちらに仕事を回されてしまいました……」
 人首・椿(傷と記憶は刻むモノ・f06124)はアスリートアースでスポーツ観戦してた最中に予知ってしまったらしく、フライドポテトを食べ終えてから口を開く事には。
「今度は火山地帯に封印されていた『巨神』と呼ばれるキャバリアを狙って、オブリビオンマシンが動き始めたようです」
 電子巻物を広げて、タカマガハラと呼ばれる秘境を示した椿は口元の油を拭き取りつつ。
「しかし、前回の件を受けて敵も警戒しているのか、どうやら身を潜めて機を窺っている様子……そうなると、生身のパイロットである上に、巨神の封印地点……火山火口にて待機しなければならない皆さんが先に消耗することは必至。そこで、敵をおびき出す必要があります」
 バンッと、出てきたのは肉と野菜の山。
「まずは熱せられたキャバリアの装甲で焼肉……ばぁべきゅう?というのですかね?とにかく、まずは食事を摂ってください。今回のオブリビオンマシンは、何故か食材で釣りだせるようです。皆様が食事をしていれば、あちらから出てきてくれることでしょう」
 説明を終えた椿は、食材の準備に使用したと思しき包丁をギラつかせながら。
「とはいえ現地は灼熱の地……お肉に気を取られて熱中症などになりませんよう、ご注意を……」
 その冷たい視線から逃れるように、猟兵達は慌てて転移していくのだった。


久澄零太
ヒャッハー『ネタ依頼』だぁ!

久澄です

唐突にネタに走りたくなって……

まずは火山火口の中で蠢く溶岩と、その中に沈んでいるらしい巨神キャバリアを眺めながら、超高温になったキャバリア装甲でジンギスカンですって!

とりあえず焼肉食べてたら敵が湧くから、それを迎撃するシンプル依頼

何もおかしなことにはならないよね?ね!?

ではでは、皆さまのキャバリア料理に期待してお待ちしております
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第1章 日常 『キャバリアジンギスカンパーティー』

POW   :    食う! とにかく肉を食う!

SPD   :    よーし焼き加減の管理は任せろ!

WIZ   :    ちょっとは野菜も食べなよ……。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シルヴィ・フォーアンサー
……巨神って一杯いるんだね。
『鉄板代わりに使われるのはそうそういないだろうがな』

できるだけ端のほうでボッチバーベキューを試みる。
人間ボディを使ってるヨルにお任せで焼き上がったのを食べるだけな娘。
少食であんまり食えないので仕方ないと分身シルヴィを呼び出して食べさせる。
分身のくせにこっちは健啖家でバクバク食べながら絡んでくる。
うざい……と思いながら早くオブリビオンマシン出てきてと思ってる。

アドリブと絡みはご自由で。


雁帰・二三夫
「巨神…」
自分の友である30m級竜型巨神G-O-リアス|3号機《トレス》見上げ
「お仲間さんなら、整備可能な場所を知ってますかね…?」
一縷の望み託し参加

自分より小柄な170cmのスレンダー美女に大荷物持たせ参加
「わたくしの友人のトレスさんです。見た目と違って巨神並みの重量があるので気を付けて下さい」
「失敬だな、キミは」
「…ごふっ?!」
トレスの裏手ツッコミでおっさん数十m吹っ飛んだ

「重量もパワーも巨神時のままとか、トレスさんは見た目詐欺が酷すぎます…」
おっさん一人で焼肉とBBQ準備
焼肉のタレとカレー粉乱舞

「二三夫。私も食べたい」
「…わたくしの尊厳がっ」
おっさん泣きながら口開けるトレスに給餌した


ナミエ・オイローパ
アドリブ/連携可 SPD判定

「折角の焼肉なので、私も色々持ってきちゃいました」
ウィンナーや魚介類、調味料などが入ったスーパーの袋(UDCアースの大手スーパーのロゴ入り)を手に満面の笑顔。
「私元々客船だったので、こう見えて料理の心得はあるんですよ?」
手際よく準備を始める。
「食べ物に釣られる、ということは相手も『ヒト化するキャバリア』なのでしょうか?」(前回参戦組を思い出し)
端の方にホイル焼きを並べて、肉が焼けるまでの間キャベツのマヨポン合えをつまむ。
「皆さんもどうですか?ノンアルですが飲み物もありますよ」
ふと火口の中を見る。
「火口の中にいても平気な『巨神』…氷の力とか持ってるんでしょうか」


黒木・摩那
いつものラウンズですね!

オブリビオンがまた迫っているようですが、今回は食べ放題付きとはなんて気前の良い。実は後で有料です、ってオチですか?
それでもこんな珍しいところでBBQできるなら、ちゃんと利用料払ってもいいですね。

キャバリアの走行で焼く、というのは衛生面でどうなの?って気はしますが、
そこはちゃんと消毒した上で焼きましょう。

あとは肉ですね。ちゃんと野菜も食べますよ(椎茸は除く)。
輻射熱にも気をつけないと、日焼けも火傷もしそうですね。

これであとは羊がたくさん来ないかなー。


御園・桜花
「手持ちの大量食材が烏賊と餅と鶏しかありません…」
冷凍庫確認

「ジンギスカンのお肉は羊肉、今から急ぎGGOへ羊を狩りに行くべきでしょうか…ハッ」
「タレ次第で豆腐もステーキ、ならばタレさえあれば食材が何であろうがジンギスカン!いえきっと出てくる巨神が羊肉に違いありません!いざ行かん巨神ジンギスカンの旅!」
一斗缶に何個もジンギスカンのタレ詰め参加
車で飛行し一気に山頂へ
ボンネットで卵と烏賊と餅入の炒飯をジンギスカンのタレで焼きつつ火口チラ見
「早くメインディッシュが出てきて下されば良いのに…気分が悪くなった方は言って下さいね?車内はエアコン効いてますし冷たいものもありますから」←宇宙も車で行った頓痴気



「巨神……」
 秘境タカマガハラが麓にて、雁帰・二三夫(引きこもりたい住所不定季節労働者・f37982)は体躯にしてキャバリア規格の六倍を持つイレギュラー品、竜型巨神G-O-リアス3号機を見上げる。ちなみに、ナンバリングが振られている理由はこの巨神が目覚めた際に分裂したという結構ぶっ飛んだ背景があったりするので、多分それじゃないかな?気になる人は二三夫の戦闘記録を覗いてみよう。
「お仲間さんなら、整備可能な場所を知ってますかね……?」
 などと、彼は一縷の望みを託しているようだが……お分かりいただけただろうか?この依頼に、救いなんて存在しない事を……!
「規格外な為に、修理ドックを借りられないとは……メンテナンスもロクにできないのは、さすがに怖いですし、申し訳ないですから……」
 そんなことはつゆ知らず、二三夫は山を登っていく……その途中。
「手持ちの大量食材が烏賊と餅と鶏しかなく、冷凍庫を確認した時には絶望すら覚え、ジンギスカンのお肉は羊肉、今から急ぎGGOへ羊を狩りに行くべきでしょうか……なんて思っていたのも最初だけ。タレ次第で豆腐もステーキ、ならばタレさえあれば食材が何であろうがジンギスカン!いえきっと出てくる巨神が羊肉に違いありません!いざ行かん巨神ジンギスカンの旅!!」
 なんか物凄い早口で叫びながら爆走するクッキングカーが横を突っ走っていき、巻き上がる土埃に飲まれてめっちゃゲホゲホしてから、爆走する車が小さくなっていくのを見送りつつ、ため息を一つ。
「どこの世界にもああいう人っているんですねぇ……願わくば、もう出会う事がありませんように……」
 なお、運転してるのは御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)という『お仲間』であり、再会する十分前の出来事であった。さーてこっから先は、二三夫が文字通り死に物狂いで山を登る苦行が延々続くので一旦カットして、山頂付近にシーンが飛びまして、こちら。
「いつものラウンズですね!」
 やったらおめめキラキラの黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)をトップバッターにジンギスカンパーティーのスタートです。
「オブリビオンがまた迫っているようですが、今回は食べ放題付きとはなんて気前の良い。実は後で有料です、ってオチですか?それでもこんな珍しいところでBBQできるなら、ちゃんと利用料払ってもいいですね」
 若干の不安を覚える摩那だが、エクアトゥールの黒い装甲は良く熱を吸うため、凄まじい高温になっており、肉も野菜もあっという間に焼き上がる。キャバリア装甲を鉄板代わりにした関係で、約一メートル四方の鉄板で盛大に焼いていく摩那は、そんなに焼いて食いきれるのか?と心配になってくるが。
「キャバリアの装甲で焼く、というのは衛生面でどうなの?って気はしますが、そこはちゃんと消毒した上で焼きましょう」
 脚部の比較的平坦な部分で焼いていた摩那は、反対側の脚も消毒して食材を追加……信じられるか?この量の食材が、ちょっと目を離したすきに摩那の腹に収まってるんだぜ……?
「折角の焼肉なので、私も色々持ってきちゃいました」
 がっさー。UDCアースの食品量販店の袋を両手いっぱいに持ってきたナミエ・オイローパ(魅惑の秘宝船・f41405)は摩那と桜花の間に入り。
「私元々客船だったので、こう見えて料理の心得はあるんですよ?お手伝いしますから、鉄板借りてもいいかしら?」
「あ、エクアトゥールなら盾なんかも比較的平面ですから、そっち使っても大丈夫ですよ」
「私の車も、移動する食堂を目指して作ってますから、何か必要な調理器具とかあったら言ってくださいね!」
 なんだろう、大飯喰らいが固まってしまった気がする……それはさておき、桜花はボンネットで微塵切りにしたイカとダイスカットしてから素揚げした餅、白米を混ぜ合わせながら酒をふりかけつつ炒め合わせると、ジンギスカンのタレをダッパー!して、全体に味が馴染んで来たところで溶き卵を投下。全体を包むように炒め合わせて、サクサクプリプリした不思議食感のチャーハンを仕上げる。
 対するナミエは広い面積を活かして油を使い分け、オリーブオイルでハーブソーセージ、ゴマ油でチョリソー、バターでアサリ、ホタテ、エビを焼くとソーセージはそのまま、チョリソーには塩を振りかけて辛味を和らげつつも引き立たせ、シーフードにはハーブソルトとブラックペッパーを散らしてチーズをのせて、余熱でとろーり溶かしていく……。
「ふぅ、やっと着きました……」
 と、火口BBQ会場に美味しそうな香りが漂い始めた所に、二三夫が到着。その傍らにはスラリとした美女が控えている……一見小柄に見えるが、二三夫の方がかなりの長身な為、彼女の方も背丈で言えば大きい部類だろう。問題は、その細い体のどこにそんな力があるのか、そう聞きたくなる大荷物を抱えていることだろうか。
「おや、皆さま既にお揃いで……こちらはわたくしの友人のトレスさんです。見た目と違って巨神並みの重量があるので気を付けて下さい」
「失敬だな、キミは」
「……ごふっ?!」
 二三夫的には、場を和ませるキャバリアジョークのつもりだったのだろうが、生憎トレスにそれを理解する機能は実装されていなかったようだ。あるいは、搭載されていたからこそ、人間のコメディアンがやって見せるように裏拳ツッコミを放ち、直撃を食らった二三夫は体を折りながら、数十メートル後方へ吹っ飛び。
「あああぁぁぁ……っ!?」
 登って来たばかりの山道を転がり落ちていった……。
「重量もパワーも巨神時のままとか、トレスさんは見た目詐欺が酷すぎます……」
 ボロボロになって戻って来た二三夫が半泣きで鉄板を用意していると、ナミエはトレスの方をジッと見つめて。
「食べ物に釣られる、ということは相手も『ヒト化するキャバリア』なのでしょうか?」
「言われてみれば、その可能性は大いにあるんですよね……」
 ナミエが塩振ったタラにハーブを乗せてアルミホイルで包み、端っこで焼きつつ肉の色が変わるのを待ちながらざく切りキャベツにマヨネーズとポン酢をかけてバリバリしていると、摩那がお肉に七味をまぶしてもぐもぐ。
「あれ……もしや皆さん、トレスさん……というか、巨神について何かご存じで?」
 汗が垂れないよう、首元にタオルを巻いてピーマン、シイタケ、豚バラを焼きつつ焼肉のたれを用意していた二三夫が顔を上げると、摩那が若干渋い顔をして。
「その様子だと、ここの巨神の話はご存じないですね?他は心を通わせ、目覚めさせなければいけないんですが、この地域だけはその逆で……」
 ラウンズ近辺の巨神キャバリアは、目覚めれば最期。地図が白紙になる大災害を引き起こす事、そしてオブリビオンマシンの目的は巨神の奪取、叶わなければ覚醒による地域の『洗浄』であることを摩那から聞いた二三夫はガックリ肩を落とし。
「と言う事は、お話を聞く事は難しそうですね……」
「巨神は無理だと思いますけど、その周りに聞く事はできると思いますよ?」
「……え?」
 タレつけて食べる用の食材を皿に移し、残った豚バラにキャベツと人参の薄切りを加えて中華麺とカレー粉をぶちまけた二三夫はキョトン顔。グラサンでどんな目をしているのか見えないが、恐らくはまん丸であろうレンズを見つめてナミエは指先を口元に当てながら、やや上方を見遣り。
「前回の巨神さん、ものすごーく大きな岩?卵?みたいだったんですよね。多分、中身もそれくらいの大きさだと思うんですけど……機体が存在してるなら、それを作った設備がどこかにあるはずですよね?」
「あ、そうか、ラウンズの人が言うには、近隣諸国も知ってるほどの脅威らしいですし……」
「もしかして、その近くの国を巡って行けば、いつかその設備についてお話を聞けるかもしれない!?」
 摩那の一言も加わって、パッと二三夫の顔が明るくなったところで。
「二三夫、焦げる」
「おっといけない……」
 じゅっじゅっじゅわー……混ぜ炒めながら、スパイスの香りと共に焼きそばを完成させると、それを大皿に移して、二三夫が割箸を綺麗に真っ二つにしたところで。
「二三夫。私も食べたい」
「えぇ、どうぞ?たくさんありますからね。お皿と割箸は……」
「二三夫。私も食べたい」
「ですから、欲しい分だけ取り分けていただいて……?」
 微妙に話がかみ合っていない。二三夫が首を傾げると、トレスは一歩、距離を詰めて。
「二三夫。私も食べたい」
 三度、同じ言葉を繰り返しながら、口を開けてじっと二三夫を見つめている……。
「あの、トレスさん?お箸は苦手でしたか?それならフォークもそっちに……」
「……」
 キャバリアはジャッキでも動かないつもりなのだろう。
「……わたくしの尊厳がっ」
 結局、二三夫が折れて、トレスに『あーん』で食べさせる事に……しくしくめそめそしながらオッサンが長身美女に餌付けする様は、なんかこう、見ている側のメンタルに訴えるものがあったとかなかったとか……。
「このままじゃ二三夫さんが食べられないから、二三夫さんには私がシてあげますね?」
 すすす……ナミエが二三夫に近づき、カシュッ!
「ささ、どうぞどうぞ……皆さんもどうですか?ノンアルですが飲み物もありますよ」
「いやいやいやいや!?わたくしは大丈夫ですからね!?」
 ナミエに飲み物を勧められつつ、トレスに給餌する二三夫……なんだろう、急に夜のお店(意味深)な雰囲気に……。
「……巨神って一杯いるんだね」
「鉄板代わりに使われるのはそうそういないだろうがな」
 そんなどんちゃん騒ぎを、遠方から眺めていたのがこちら、シルヴィ・フォーアンサー(自由を求めた脱走者・f41427)。ボッチスキルに定評のある彼女は誰より先に火口に到着しつつも、他の猟兵が拠点を張るであろう位置から離れた地点でミドガルズの装甲を磨き、ヒューマノイドボディに移ったヨルに調理してもらっていた。
「シルヴィ、折角食材を貰ったのだ。もっと食べなければ」
 装甲には貰ったお肉にスライスした南瓜、玉ねぎ、トウモロコシなども並んでおり、食べごろに焼き上がったそれらを前にシルヴィは両手で『NO』のポーズ。
「……もう無理。ヨルだって、焼いてて量が多い事は分かってるでしょ」
「君の食が細い事を差し引いても、もう少し入るだろう。君は成長期が終わるか否かの曖昧な時期にある。今のうちに食べて動いて体を作っておかなければ、後々苦労することになるぞ。なにより、こうして食べ残す事に慣れてしまうと、食料の重要性を忘れかねないだろう」
「……そうならないように、こいつ呼んだんでしょ」
 と、半眼ジト目でシルヴィが示したのは、両ほっぺをむっちり膨らませて肉と野菜を頬張るシルヴィ……UCによって生み出される、明るい方のシルヴィである。気だるげで虚ろな目をしたシルヴィと異なり、明るい方のシルヴィはくりくりした目をパチクリさせて、ごっくん。
「え、なに?シルヴィの事呼んだ!?やーっとお話する気になったかシルヴィー!!同一人物とはいえ言葉と意見を交わせるならやっぱりお話しないとつまんないじゃーん?というわけでレッツトーキングターイム☆話題はあれかな?やっぱりこのお肉の美味しさかな!?」
「……うざっ」
 片腕をシルヴィの肩に回してガッチリ抱き寄せ、反対の手でフォークをブンブン振り回す明るい方のシルヴィ。それを横目に、ヨルは焼き上がった肉と野菜を明るい方のシルヴィに取り分けつつ、追加の食材を焼きながら。
「シルヴィ、食器を振り回すものではない。行儀が悪いぞ」
「おっけーきをつけまーす☆」
「……ヨル、その言い方だとシルヴィまで怒られてるみたいで、なんか納得いかないんだけど……?」
 ため息をついて、不意に視線を逸らすと。
「お肉も野菜もいっぱいですね……」
「……ッ!?」
 桜花と目が合った。
「なっ、ななな、なん……な!?」
 びっくりしすぎて人語を忘れてしまったシルヴィがガクブルし始めると、ヨルは空の皿を桜花に差し出しつつ。
「キャバリア持ちは荷物持ちも兼ねていてな。グリモア猟兵を仲介して渡された食材を預かっている。君達の分もあるから、気にせず食べていくといい」
「本当ですか!?あ、じゃあ私のチャーハンと交換します?」
「焼肉に合わせて焼き飯だー!あり?でもご飯食べる国的にはスペル的に炒める飯?ま、どっちでもいっかー!いただきまーす!!」
 バクバク食べてる明るい方のシルヴィに捕まったまま、口をパクパクさせているシルヴィの下へ、ジュースの缶を持ったナミエがスルリと明るい方のシルヴィとは反対側に収まり。
「大丈夫?喉詰まっちゃいました?飲み物ありますよ……?」
「ッ……!」ぶんぶん
 首を振って否定するシルヴィから、ナミエが離れると、鉄板前には唐辛子をズラッと並べた摩那が加わっており。
「食べ放題とはいえ、やっぱり持ってくる量に限度はありますからね……分担してきた分、たくさんありますが……それでもちょっと足りないですね」
「猟兵には健啖家が多いのかね?」
「……」
 会話しながら焼肉を提供するヨルに、シルヴィは「いや何普通にお話してるの!?こんなに人がいるとか耐えられないって!ていうかなんでこの人達こっちきたの!?」って視線を投げると、返答は真横から返ってきて。
「あ、シルヴィが呼んどいてあげたよ!だーってシルヴィってば、シルヴィの事呼びだすだけ呼び出して完全放置なんだもん……寂しくって、お友達に声かけてきちった☆」
 同じ現場で仕事してる同業者であってお友達じゃないよ分身の癖に何してくれてんの本当にさぁ!?って顔になるシルヴィに、ヨルはクックッと小さく笑い。
「シルヴィ、これも経験というものだ。猟兵とは敵の殲滅が全てではない。時には別の猟兵、時には民間人とコミュニケーションが必要になる事もある。無論、そういった仕事を受けなければいいだけの話かもしれないが、できる仕事が多いに越したことはないだろう」
「……ヨルのいじわる」
 たまーに出てくる、スパルタモードのヨルにシルヴィはふてくされてソッポを向くのだった。そんな彼女の前で、食材は順調に消費されていき。
「これであとは羊がたくさん来ないかなー」
 散々食っておいて、まだ足りないらしい摩那がぼやくと、桜花は火口の中で熱波を放つ溶岩をチラ見して。
「早くメインディッシュが出てきて下されば良いのに……」
「あ、巨神はお肉じゃないと思いますよ」
「そんな……ッ!?」
 摩那に夢(?)を打ち砕かれて真っ白になってしまう。釣られてナミエが溶岩を見下ろすと。
「火口の中にいても平気な『巨神』……氷の力とか持ってるんでしょうか」
「あ、もしかして火山の中に秘密基地が……!?」
 にゅっと、焼きそばを盛った大皿抱えた二三夫もこちらの集まりに加わって、モグモグし始めたところで……。
「む……センサーに感あり。諸君、どうやら『お客様』がいらしたようだ」
 ヨルの一言に、一気に臨戦態勢になるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『エヴォルグ量産機Renatus』

POW   :    虚式魔法EVOL『re:Cycle』
敵のユーベルコードを【捕食し魔法陣】に呪文として記録し、戦闘終了まで詠唱で使用可能。敵を倒せば戦闘後も永続。
SPD   :    虚式魔法EVOL『re:Birth』
【全方位に現実をも侵蝕する魔力式侵蝕細胞】を最大レベル秒間連射し続け、攻撃範囲にダメージと制圧効果(脱出・侵入を困難にする)を与える。
WIZ   :    虚式魔法EVOL『re:Boot』
【無数の侵蝕魔弾を放つ魔法陣】に【命中時に自身を強化する捕食還元と強化修復】のルーンを宿して攻撃する。対象が何らかの強化を得ていた場合、それも解除する。

イラスト:すずや

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「目標発見」
「障害発見」
「燃料発見」
 カサカサカサカサ……妙に人間臭いオブリビオンマシンの群れが、両手を地に着き四足の格好で山を登ってくると猟兵達を取り囲むように展開して、立ち上がるながら自分たちの背に魔法陣を広げる。
「奪う」
「殺す」
「食う」
 生々しい生き物の動きで、ヌルリ、オブリビオンマシンが迫りくる……。


※真後ろは火口という、地味にヤバい状態での戦闘です。めっちゃ暑い上に退路はなく、かつ敵の攻撃が火口内部に到達すると巨神が目覚めかねないという、危険な防衛戦になります……が!ネタ依頼なんで、なんかそれっぽいことしとけば何とかなるんで、雰囲気を楽しんでいきましょう。もちろん焼肉の残りで敵の注意を引く事も可!
カシム・ディーン
おい…いつの間に出てたんだよ!
「ナチュラルに気付かなかったぞ☆それよりメルシーもBBQしたかったぞ☆」
僕もだ畜生めー!

【情報収集・視力・戦闘知識】
よりによってエヴォルグかよ!最近ひでー目にあったんだがっ
つか焼肉で引き寄せられてるとかふざけてんのか!?
「ネタ依頼だから仕方ないぞ☆」


爾雷彌参上!
「ネタとは無縁な巨神!爾雷彌此処に参上!ドーモ、エヴォルグ=サン。ジライヤ=デス。」
取り合えず焼肉で釣って…
【属性攻撃・念動力・弾幕】
UC発動…マジックミサイルで蹂躙して吹っ飛ばす
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
残ったのを刻んで金目の物とかなんかパーツとかかっぱらう

そういや今回の巨神どんなのだろうな?


皇・絶華
おお…エヴォルグか…そんなにパワーを欲するとは哀れな…これは私のチョコで救うしかないな!
「主様やめるんだ!そんな呪物を敵にもがぁ!」
【戦闘知識】
エヴォルグ達の動きを見据えその動きを見切り
戦い方や癖を把握

UC発動
仲間達にも振舞うとしよう
圧倒的なパワーで頑張るがいい
【念動力・乱れ打ち・弾幕】
念動光弾を乱射して蹂躙しつつ
【二回攻撃・切断】
鎌剣で切り刻もう

お前達もパワーを欲しているのだな!
判っている!我がチョコを存分に食し!圧倒的なパワーに歓喜の叫びをあげるがいい
(真・ぜっちゃんチョコを捻じ込み捻じ込み)
今回は更にパワーアップしているぞ!ハロウィンだけではなくメデューサも配合しているからな!!


雁帰・二三夫
「目覚めさせちゃいけない巨神なんですよね?これトレスさんに乗ったら、他の巨神の波動がとか言って出て来るダメパターンなんじゃ…」
おっさん慄いた

「キャバリアは、乗るもの。乗れ、二三夫」
「ちょ、ちょっと待って下さいトレスさん」
「いいから。乗れ」
「ああああ!死んだ!わたくし今社会的に死にましたよっ?!」
170cmスレンダー美女に無理矢理背負われたおっさん、慟哭した

「こうなったら全員倒して記憶消去するしかっ!貫け、魔弾タスラム!」
「…無理。|猟兵《仲間》は、倒せない。莫迦だな、二三夫」
「うちの巨神がわたくしをへし折りにきますよ?!」
背負われたままタスラム投げ合間に制圧射撃もしていたおっさん、更に泣いた


御園・桜花
「…酷い…何て酷い」
地面に拳打ち付け
「羊肉がトン単位で手に入ると思ったから、花燕さんに別便で冷凍コンテナ持ってくるよう頼んでしまいましたのにっ…食材化イマジネーションが欠片も湧かない敵が出ましたよっ」
空仰ぎ慟哭

涙拭い
「食への意欲が旺盛ならっ!次は貴方達が美味しそうな食材に転生して下さいねっ!」
無茶振り

UC「幻朧桜召喚・残花」
「当たらなければ何の問題もありませんもの」
制圧射撃で敵の行動阻害しながら敵の攻撃が仲間に当たる一瞬のみUCを小刻みに使用(合計2分迄)
敵の攻撃は第六感や見切りで躱す

「キャバリア騎乗する方々の攻撃タイミングを稼げば充分です」

「羊肉イマジネーションは巨神に託します…」
諦めてない


ナミエ・オイローパ
苦戦/アドリブ/連携可

「あれは機械というよりバイオ兵器みたいですね」
まだ残っている食材をクーラーボックスにしまい、ゴミをビニール袋にまとめて片づけて火口から離れたところでUC発動。
「また殲禍炎剣に落とされるのは嫌です」(断言)
標的にされない程度の高さまで浮上。
「あなた達のご飯はありません!」
艦載砲で砲撃するも、砲弾を食われてコピーされる。
「うそぉ!?」
ダメージは衝撃吸収で持ちこたえつつ、次の手として敵の死角からヨーヨーを発射してワイヤーで捕縛。そのまま山の麓まで落とす。
(誰か乗りたいという方がいましたら自由に乗ってください。キャバリアも1機くらいなら乗せられます)


シルヴィ・フォーアンサー
『』ないはヨル、「」内はシルヴィ(明)

……またエヴォルグか、初めて見るタイプだね、やっぱり気持ち悪い。
『魔法じみた攻撃をしてくるらしい、気をつけたまえ』
「まだお肉食べ終えてないのにー」
……うるさいし、でもお肉か。

お馴染み指定コードからイマジナリーマイセルフ。
五月蝿いのが一杯という悪夢だけど仕方ない。
元からいたのと分身が呼び出したの合わせて
9体は機体に乗り込んで迎撃準備。
残り5人は生身で焼き肉の残りをあいつらの眼前に持っていって注意を引いてね。
「いいけど危なくない?」
考えがあるから大丈夫。

お肉組がエヴォルグを十分引き付けたら機体組と一斉発射で攻撃。
考え?……あれが死んでも代わりはいるよね(外道)


黒木・摩那
何か気色悪いのが来ましたね。
大きさが大きさだけに余計に怖い……
こういうのとはお近づきにはなりたくはないのですが、
食べるものは食べちゃったし、逃げ道はないしで、ともかく戦うしかないですね。

キャバリア『エクアトゥール』で戦います。
真後ろが火口だから、ポイポイ放り込もうかとも思いましたが、
危険物の不法投棄は巨神が怒りそうです。
むしろ逆に火口には落とさないように、気をつけます。

UC【フリーダムブレイズ】で大人しくなればいいんですけど。
上空からのジャンプ!からの、踏んで潰していきます。



「酷い……なんて酷い……」
 崩れ落ちた桜花は幾度となく地面に拳を振り下ろし、無念を岩石に打ち込みながら。
「羊肉がトン単位で手に入ると思ったから、花燕さんに別便で冷凍コンテナ持ってくるよう頼んでしまいましたのにっ……食材化イマジネーションが欠片も湧かない敵が出ましたよっ」
 突如顔を上げ、空に向かって叫んだセリフがコレだよ。完全に満たされぬ食欲への慟哭だよ。目元を拭い、ずらりと並んだ敵目掛けて、畳んだ扇子を突きつけた桜花は。
「食への意欲が旺盛ならっ!次は貴方達が美味しそうな食材に転生して下さいねっ!」
 とんでもねぇこと言い出したぞこの女!?
「あれは機械というよりバイオ兵器みたいですね」
 まだ残っていた食材をクーラーボックスにしまい、ゴミを袋に纏めるナミエの言葉に、桜花はハッとして。
「という事は、生体部品……生き物の部分が存在する、つまり食べられるという事ですね!?」
 おめめがグルグルし始めた桜花……食欲が強すぎて、若干メンタルがイっちゃってないか……?
「おい……いつの間に出てたんだよ!」
「ナチュラルに気付かなかったぞ☆それよりメルシーもBBQしたかったぞ☆」
「僕もだ畜生めー!」
 食欲は同類を引き寄せるのだろうか……カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は涎を垂らしたメルシーを肩車した状態で参戦。
「敵は……よりによってエヴォルグかよ!最近ひでー目にあったんだがっ!?つか焼肉で引き寄せられてるとかふざけてんのか!?」
「ネタ依頼だから仕方ないぞ☆」
 なんて話をしてるから、何かあったのかとちょっと記録を覗いたら、エヴォルグシリーズよりもメルシーの軍勢に酷い目に遭わされてる気がしたけど、きっと気のせい。
「人あるところに悲劇あり、ネタあるところにシリアスあり……ネタとは無縁な巨神、爾雷彌……此処に参上!」
「「僕(メルシー)より目立つんじゃねー!!」」
 めっちゃくちゃだよ……食い意地張った少年少女が湧き出てきたかと思ったら巨神忍者、爾雷彌まで出てきてカオスる現場。これに混乱したのが二三夫である。
「巨神キャバリア!?あれ、でもサイズ的には他のキャバリアと変わらないような……」
「なんじゃー?ワシの大きさに違和感があるのか?キャバリアである以上、コアユニットにオーバー、アンダーフレームを重ねる製造方法は古代より変わらず継承されている、伝統工芸じゃよ。そして今なお伝えられている製造方法に従う以上、大きさは五メートルから変わらぬ。というか、変わったら装備も整備ドックもワンオフになってしまうじゃろ」
 忍者たる者、情報収集能力は高くなければならない。爾雷彌も例にもれず、小さな呟きを聞き逃さずに二三夫に振り返ると、彼は爾雷彌とトレスを見比べており。
「え、でも、トレスさん……え?」
 彼の愛機ことトレス改め、G―O―リアスは本来の姿なら全高三十メートルという規格外どころの話ではないサイズ。今回、そして前回のタカマガハラ案件においても、他の猟兵に話を聞くに相当大きかったらしい。が、今、目の前で動いている巨神キャバリアは五メートルの正規規格……混乱し始めた二三夫が目を白黒させていると、トレスがその顔面をパァン!!
「へぶぅ!?」
「二三夫、落ち着け。戦場で混乱している場合ではない。敵はキャバリアだろう、私を使え」
 機械兵器にぶん殴られた衝撃で普通に死にかけたとか、落ち着かせるだけならたとえパーだとしても殴る必要はなかったんじゃないかとか、色々思う所はあったけど置いといて。
「目覚めさせちゃいけない巨神なんですよね?これトレスさんに乗ったら、他の巨神の波動がとか言って出て来るダメパターンなんじゃ……」
「目の前に巨神忍者がいるんだから大丈夫だろう」
「いやでもほら、二機目が現れたせいで目覚めるというパターンも……」
「キャバリアは、乗るもの。乗れ、二三夫」
「ちょ、ちょっと待って下さいトレスさん」
「いいから。乗れ」
「ああああ!死んだ!わたくし今、社会的に死にましたよっ?!」
 あ、ありのまま目の前で起こった事を説明するぜ。何故か相棒から逃げようとした二三夫が首裏を掴まれたかと思ったら、問答無用で背中側にぶん投げられて、合☆体(物理)されたんだ。騎乗とか搭乗とか、そんなまともな字面じゃねぇ、ケツに手を回されて完全に『おんぶ』の構図で若い女に背負られるおっさんという、目に痛い姿が戦闘記録という名の公文書に記される、事実上の処刑宣告を目の当たりにしてしまった気がするぜ……!
「おお……エヴォルグか……そんなにパワーを欲するとは哀れな……これは私のチョコで救うしかないな!」
「主様やめるんだ!そんな呪物を敵にもがぁ!」
 二三夫が恥ずか死を迎えていると、皇・絶華(影月・f40792)が黒髪少女の口に禍々しい焦げ茶色のオブジェクトをねじ込み、撃沈させながら目を輝かせる。そして禍々しいカカオドリンクの様な液体を取り出すと、く る り 。
「さぁ猟兵諸君、この真・ぜっちゃんチョコを飲むがいい。この暑さでは溶けてしまう事を見越して、今回はホットチョコで用意してきたぞ!!我がチョコを存分に飲み干し!圧倒的なパワーに歓喜の叫びをあげるがいい!!」
 こいつ、実質裏切り者じゃないか!?口にすれば再起不能になる溶けたチョコを手に、猟兵達に襲いかか……ろうとして、真っ先に沈んだ少女こと、さっちゃんが絶華の足首を掴んで止めた。
「ま、待つんだ主様……ほら、飢えてるのは敵側だし、まずはあちらから飲ませてやるのはどうでしょう……?」
 飲ませたら飲ませたで、結構エグイバフがのるため、いかがなものかとは思うが、口にしたらぶっ倒れるほどに強烈なお味のぜっちゃんチョコ。下手に味方に飲ませて戦力を削ってしまうくらいなら、とさっちゃんが提案したところ、ガシッと肩を掴まれて。
「なるほど……弱っている相手にこそこのチョコは相応しい……では、まずはダウンしてしまったさっちゃんからだな!」
「え、いや、違うんですよ主様、そういう意味じゃなくて……」
「すまないなーさっちゃん。まさかキャバリアも熱中症で倒れる事があるとは……その可能性を失念していた私の落ち度だ。だが安心していいぞ!今回は更にパワーアップしているからな!ハロウィンだけではなくメデューサも配合している!!」
「やめてくださいしんでしまいま……ちょこぉ!?」
 サートゥルヌスが死んだ!この漢方狂い!!
「……またエヴォルグか、初めて見るタイプだね、やっぱり気持ち悪い」
『魔法じみた攻撃をしてくるらしい、気をつけたまえ』
「まだお肉食べ終えてないのにー」
「……うるさいし、でもお肉か」
 戦う前に、ていうかキャバリア化する前に撃墜(?)されたさっちゃんに代わり、ボッチ系クールビューティー、しーちゃんことシルヴィのターン。そこはかとない不穏な思案顔と共にミドガルズに乗り込むと、ヨルも電子知能を機体に戻して起動。同時に十四人の分身を生み出し、内九人はコピーミドガルズに搭乗。
「……じゃ、作戦通りに」
「いいけど危なくない?」
 シルヴィの作戦とやらは分身した明るい方のシルヴィ達にも共有されている。そのため、明るい方のシルヴィ達は食べてたお肉を掲げているのだが。
「……考えがあるから大丈夫」
「本当かな~……?」
 本体をめっちゃ疑いつつ、明るい方のシルヴィ達がてってこてってこ。お肉を見せびらかしながら敵機に近づくと、ワッとエヴォルグシリーズが飛び掛かってくるのだが。
「ファイヤー」
 ガガガガガガガガガッ!!コピー含めて十機、二十門のガトリング砲が一斉に火を噴いた!ばら撒かれる鉛弾の嵐は生体部品を利用したと思しきエヴォルグ量産機を赤黒い肉片に変えながら、ついでに明るい方のシルヴィもブチブチブチ、バァン!
「絶対何にも考えてなかったでしょぉおおおお!?」
 あっという間に全身を引きちぎられて爆ぜた明るい方のシルヴィは、モザイク加工のお世話になりながら本体のシルヴィに恨み言を残して消えていく……。
『それでシルヴィ、考えとは何だったのかね?』
「……あれが死んでも代わりはいるよね」
 ヨルに聞かれて、無表情のままドヤッとした目線でサムズアップするシルヴィに、ヨルは『実に効率的だな』とほめるべきか『仮にも自分自身を犠牲にするのはやめたまえ』と説教するべきか、二秒ほど物凄く迷って、出てきた言葉は……。
『さっきのBBQの腹いせも含まれてはいないかね?』
 シルヴィが黙って視線を逸らすような質問であった。
「なんか酷いモノを見せられた気がするが……肉が有効なのは本当らしいな。行くぞメルシー!」
「あいあいさー☆」
 メルシーはクルっとカシムから飛び降りると同時に光に包まれて、機神が一柱、メルクリウスに姿を変える。搭乗したカシムは肉の残りが入ったコンテナを掴むと。
「取り合えず焼肉で釣って……」
 投げたー!!上空を舞うお肉に、エヴォルグ達の視線が引っ張られて……。
「まずは焼く!」
 メルクリウスの手首の装甲が拳を覆うように反転すると左右に割れて、上下にビームを伸ばす。腕を真っ直ぐに伸ばしてビームを地面と垂直に、反対の指をかければゆっくりとたわみ、引き絞られて。
「遅れるなよ、爾雷彌!」
「合点!」
 放つ。一瞬で戻る衝撃と共に放たれる無数の光は触れた物を焼き払い、炭化させて削り取った。荒ぶる炎の雨の中、駆ける影二つ。大鎌を振るい、混乱に乗じて首を刎ねるメルクリウスと。
「御命、頂戴いたす」
 忍者刀を納めると同時に、駆け抜けた軌跡に紫電を走らせて戦場諸共敵軍を焼き払う爾雷彌。
「そういや今回の巨神どんなのだろうな?」
 今回、別に誰も気にしてないかなーって素通りしてた件にカシムが触れたところで、絶華がさっちゃんをガックンガックン揺らして叩き起こす。
「起きるんださっちゃん!せっかくの圧倒的パワーを見せる前に終わってしまうぞ!!」
「待って……主様、さすがに今回はマジで無理で……あ、すみません今すぐ機体化するんでその水筒はしまって頂いてよろしいですかねッ!?」
 というわけでサートゥルヌスも起動。エヴォルグ量産機の背後に展開された魔法陣から放たれる顎の魔弾が命中する度に、南瓜頭の蛇を描いた光がそれを中和、無力化してしまい、光弾をばら撒き牽制しながら敵陣を圧縮してその首をまとめて刈り取るサートゥルヌスは、残った胴体を蹴散らしながら高らかに笑う。
「フハハハハハ!見よ、これこそがチョコレートの圧倒的パワーだッ!!」
「納得いかねぇえええええ!!」
 パイロットとキャバリアの間に、致命的な意見の相違があったようだが、まぁその辺は置いといて。
「こうなったら全員倒して記憶消去するしかっ!貫け、魔弾タスラム!」
「……無理。猟兵【仲間】は、倒せない。莫迦だな、二三夫」
「うちの巨神がわたくしをへし折りにきますよ?!」
 羞恥心のあまり発狂して、持ち主の加虐心を強めて渦中に放り込むという曰く付きの砲弾を取り出した二三夫だったが、トレスに速攻で鎮静化されてしまった。
「だが、攻撃手段の選択はいい。この数相手にまともに撃ち合う方が面倒だ」
 すっと、トレスは身を折り二三夫を寝かせると、目をキランと光らせて。
「今は私が二三夫の脚であり、二三夫が私の砲身だ。ターゲット、ロックオン……撃て!」
「撃つっていうか投げてるんですけどね!?」
 涙目で投げる二三夫だが、涙で視界が悪くやや軌道がずれる。それを見越したトレスの方が体の向きを調整して敵軍頭上に投げさせたメガリスは分裂し、降り注ぐとキャバリアの足を潰して動きを封じる。
「行けー、二三夫、撃て撃てー」
「トレスさん?私の銃を持っていてくれたのは有難いんですが、今、どこから出しましたコレ……?」
「私に丈の長いスカートを用意すれば、次はたくし上げて太腿から渡してやるぞ」
「何処でそういう余計な事覚えてくるんですかあなたは!?相棒に何させてんだって、猟兵界隈でも白い目で見られるから本当にやめてくださいよ!?」
 受け取ったアサルトライフルで弾丸をばら撒きながら、コアを狙える個体はスナイパーライフルでピンポイントに破壊して回る二三夫。彼の消化器官がストレスで爆発するまで、あとどれだけの猶予が残されているのだろうか……?
「何か気色悪いのが来ましたね。大きさが大きさだけに余計に怖い……こういうのとはお近づきにはなりたくはないのですが、食べるものは食べちゃったし、逃げ道はないしで、ともかく戦うしかないですね」
 さーて激しくバトっている面々に対して、こちらはそこはかとなくやる気のない摩那。無論、彼女が不真面目というわけではなく、集団でカサカサ動かれると、名前を言ってはならない例の生き物を想像してしまい、メンタルにダメージが入るからである。
「真後ろが火口だから、ポイポイ放り込もうかとも思いましたが、危険物の不法投棄は巨神が怒りそうです。むしろ逆に火口には落とさないように、気をつけます」
 と、エクアトゥールに乗り込んだところで機体に影が落ち、見上げると……。
「なんか物凄い勢いで殲滅されてるけど……こういう時こそ、油断大敵ですね」
「でっか!?」
 航空ガレオン船が猟兵達の頭上を飛んでいた。
「また殲禍炎剣に墜とされるのは嫌です」
 またって事は、どっかで撃墜されたんだろうか……何はともあれ、飛行船形態になったナミエは高度限界よりやや下を飛行しつつ、エヴォルグ量産型を見下ろして。
「あなた達のご飯はありません!」
 それが攻撃時のセリフでいいのか!?何かが違うセリフと共に艦載砲がドーン!が、しかし、ここでナミエ、痛恨のミス。なんと敵機が砲弾を受け止めてモグモグし始めたのである!!
「うそぉ!?」
 驚くナミエの眼下でエヴォルグはジャキジャキシャキーン☆飛行形態に変形すると、ナミエと同じ高度まで浮上して艦載砲を起動。仰角を修正し……。
「いやー!撃墜だけはいやー!?」
「ご安心ください……当たらなければ何の問題もありませんもの」
 桜花が扇子を広げて虚空を撫ぜる。戦場を駆ける淡い香りの足跡から、ゆっくりと天を目指すは幻朧桜。舞い踊る薄紅の花弁が放たれる砲弾を包み込み、掻き消して。
「しめて二分。それが限界です。それだけの間はもたせて見せましょう」
「うわぁあああありがとうございますぅうううう!!」
「二分を過ぎたら、どうなるんですか……?」
 摩那の質問に、桜花は儚く微笑み。
「残機が減ります……って、私は何を!?」
 ネタ依頼で死ねると思うなよ……?本人も知らぬ間に、代償がなんか違う事になってた桜花が慌てふためいている間に、ナミエは船体側面からチェーンヨーヨーを射出し、エヴォルグ達を巻き取ると全速前進。
「火口に落とせないなら、山の麓まで引きずり落とすだけです……!」
「ヨーヨーですか、いい武器ですね」
 こちらもヨーヨーを射出するエクアトゥール。しかし、摩那が狙ったのは敵ではなくナミエ。マストに絡ませて自分もついていくと機体を揺らし、勢いをつけて……。
「迷惑なお客様にはお帰り頂きませんとね……!」
 蹴ったー!両脚でエヴォルグ量産機を蹴り飛ばして、ヨーヨーから強制パージ。高空から山の麓までフリーフォール☆
「ほらほらお次はどなたですかッ!」
 踏みつけた反動で跳び上がり、もう一機蹴り落としてからナミエの甲板に飛び乗って、ヨーヨーを回収。上からベチベチヨーヨーを叩きつけて敵を地面に叩き落すのだった。増産されていく、美味しくなさそうな挽肉を眺めて、桜花は、ぐすん。
「羊肉イマジネーションは巨神に託します……」
 まだ言っとったんかワレェ!?

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『旋甲・嵐蜻蛉』

POW   :    蜻蛉台風
全身を【中心に、戦場を緑色の破砕台風】で覆い、自身の【空を飛びたいという衝動】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    乱刃台風
自身の【超高速回転するRXプロペラブレード】が輝く間、【全身に斬撃波を纏い、突進攻撃】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    葬双台風
【両腕の送風機】から無限に供給される【緑色の破砕竜巻】を、レベル分間射撃し続ける。足を止めて撃つと攻撃速度3倍。

イラスト:イプシロン

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は廿鸚・久枝です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 辺りが色んな意味で真っ赤に染まってジゥジゥ焼き上がる音に包まれる中、ブォンブォン言ってる奴が姿を見せると、突風を巻き起こしながら。
「やはり量産型ではこの程度か……仕方ない、俺がお前達を溶岩に叩き落して、アレを目覚めさせるとしよう……!」
 というわけでボス戦、いっくぞー。

※敵はすさまじい暴風を扱う機体であり、以降戦場には常に突風が吹き荒れます。そのため、自身が強制移動されない工夫をしておかないと、火口に叩き込まれる事になるためご注意ください。また、周囲の高温の大気と相まって、風を受け続けると機体がオーバーヒートしたり、装甲が赤熱する可能性があります。生身の猟兵は真っ黒になるのでご注意ください。まぁ、ネタなんだから何も対策しなくっても酷い事になるだけだけどな!!
シルヴィ・フォーアンサー
……悪(五月蠅いの)は滅びたと思ったらブンブン五月蠅いのが来たね。
『機動性高そうだな、当てられれば致命傷になりそうだが』
「悪じゃないしっ、まだ全滅し」
別のコード使うので強制送還。
滅びないしまた現れるんだからねーっとフェードアウト。

突風対策と攻撃に指定コードからハンドレッド・イリュージョン。
1199機の複製を呼び出して5機1組で一塊にして重しになる機体と攻撃担当で分担、機体数的に最後の方は数変わるだろうけど。

風で影響受けそうだからハイペリオンランチャーで攻撃。
熱対策?……蒸れるから早く倒したいね(思いつかなかった模様、みえないし倒したら脱ごうかとか考えそう、ピッチリしてるけど伸縮性高いって事で)


御園・桜花
トラック用大型冷凍コンテナ吊り下げふよふよ飛行するキャバリア到着
「…持ってきたよ?」
「ごめんなさい、花燕さん。羊肉、手に入らなかったの」
「え?私、|おばあ《大家》に、庭にコンテナ置かせてって言ってきちゃった…」
「あの業突婆…ゲフンゲフン、大家さんに?!急いでもう一つGGOの依頼受けましょう、それでコンテナ一杯にして帰りましょう!」

車に乗車
「五月蝿いですよ暴走胡瓜!たった今、私達には急ぎコンテナに肉を満載にすると言う緊急ミッションが科せられたんです!」
「肉でない貴方には一片の価値もありません!」
UCで吶喊
飛行ルートは第六感任せ

「次行きますよ、花燕さん。コンテナ忘れず着いてきて下さいね」
「…うん」


雁帰・二三夫
「整備されればトレスさんの重量とパワーも適正補正されるかと思ったのに…」
おっさん遠い目をした

「人型でなくサイズも違うオンリーワン。あの遺跡は国が全て接収してもぬけの殻。重すぎて車も乗れず持った物は悉く壊すトレスさんを、普通に生活できるようにしてあげたかったのに」
おっさん、じんわり泣いた

「二三夫がその分稼げば問題ない。乗れ、二三夫。流石に死ぬぞ」
「稼げたらこんな生活してませんよ?!いや乗りますけど」
30m竜型巨神に搭乗
サイズ差から初見の同調戦闘は難しいと判断
皆の攻撃が当たりやすくなるようUC支援に徹する

「昔の人が1番強くて格好良いと考えた夢がトレスさんだと思います。わたくしも好きですよ」
頭撫ぜる


黒木・摩那
こんなに風が強いと髪が大変なんですよね。
キャバリアの中にいるから心配は無いんですけどね。

これだけ風が強いと移動もままなりません。
ここはUC【矢印過流】が役に立ちそうです。
自機の周りに矢印を配置して、風の流れを抑えます。

そして、今回の敵は飛行タイプ。
この世界の神、殲禍炎剣の高度ギリギリで飛んでいそうです。
飛びたい衝動MAXでしょうからね。
ならば、矢印でアシストしてあげれば、高度突破してくれそうです。
押すタイミングが大事です。
上方に逃げるところで、後押ししましょう。

殲禍炎剣の斉射で溶けてくれると楽なんですけどね。


ナミエ・オイローパ
苦戦/アドリブ/連携可

(前章に引き続き船の姿)
吹き荒れる暴風を天候操作で可能な限り抑え、台風の中心に向かう。
「あれが今回のボスっぽいですね」
艦載砲で砲撃を放つも敵の素早い動きで全て回避される。
なお流れ弾が地上のエヴォルグに命中した模様。
「点でダメなら面で打つ!」
芭蕉扇を取り出し、ハエ叩きの如く思いっきりひっぱたく!それも何度も。
「全部終わったら、お詫びとして『巨神』に焼肉をお供えしましょう。それで納得してくれるかは知りませんが」

(誰か乗りたいという方がいましたら自由に乗ってください。キャバリアも1機くらいなら乗せられます)



「……持ってきたよ?」
 今まさに戦闘が始まろうとしたところで、外部からキャバリアが参戦。ふよふよとゆったり現れた航空戦仕様の機体は、下部に運搬用大型冷凍コンテナを吊り下げており、どう見ても戦いに来た雰囲気ではない。喋るキャバリアに、桜花は扇子で口元を隠して、よよよ……と泣き崩れて。
「ごめんなさい、花燕さん。羊肉、手に入らなかったの」
「え?私、おばあ【大家さん】に、庭にコンテナ置かせてって言ってきちゃった……」
 その話を聞いた瞬間、桜花はカッと目を見開き。
「あの業突婆……ゲフンゲフン、大家さんに!?急いでもう一つGGOの依頼受けましょう、それでコンテナ一杯にして帰りましょう!」
 その大家さんとやらは桜花が世話になっているお婆ちゃんらしいが、仮にも歴戦の猟兵が頭が上がらない辺り、結構ヤバい婆さんなんだろうなって感じはする……とりあえず、GGOね。
「こんなに風が強いと髪が大変なんですよね。キャバリアの中にいるから心配は無いんですけどね」
 吹き荒れる突風に渋い顔をする摩那。髪が長い彼女はその辺で苦労する事が多いのだろうか。その彼女が駆るエクアトゥールの周りに無数の矢印が浮かぶと機体に貼りつき、風向きとは逆方向を示せば風圧を減衰して、エクアトゥールの機体をその場に押さえる。
 対してその頭上、上空にて吹き荒れる風を操作し、船体が受ける影響を軽減して前進を続けるナミエは艦載砲の仰角を下げ、下方の蚊蜻蛉に照準を合わせた。
「あれが今回のボスっぽいですね。発射!」
「遅い遅い遅い!その程度の砲弾でこの俺を捉えられると思うなよ!?」
 シバババッ!素早い左右ステップに砲弾はすり抜けて、さっき山の麓に叩き落したエヴォルグの生き残りが流れ弾で爆発四散する悲劇もあったが、船体側面が開いて巨大なオール……ではなく、葉っぱっぽい団扇が出てきて。
「点でダメなら面で打つ!」
 一度振るえば突風が生まれるも、敵もまた風を起こす機体であり、ぶつかり合った二つの風は反発して上昇気流に姿を変える。
「面もダメなら……直接行きます!!」
「ちょいちょいちょい!?」
 降下して船体でダイレクトアタック!と、見せかけて回避した敵機を団扇でパァン!!機体重量が軽いのか、一発殴られて高速スピンし始めた機体を眺める二三夫はちょっと遠くを見つめて。
「整備されればトレスさんの重量とパワーも適正補正されるかと思ったのに……」
 他所の巨神キャバリアから、ザックリまとめると「そんなデッカイ機体をあれこれする施設なんてコスパ悪すぎるでしょ」って事を言われて絶望に沈んでいた。
「人型でなくサイズも違うオンリーワン。あの遺跡は国が全て接収してもぬけの殻。重すぎて車も乗れず、持った物は悉く壊すトレスさんを、普通に生活できるようにしてあげたかったのに」
 じんわりグラサンの隙間から涙が伝う二三夫。人の形を得たのなら、人の生き方を与えてやりたかったのだろうか……と、思わせて。
「二三夫がその分稼げば問題ない。乗れ、二三夫。流石に死ぬぞ」
「稼げたらこんな生活してませんよ?!いや乗りますけど」
 経済的理由だったんかい!!二人の会話から、日頃、二三夫の私物がどれだけ破壊されているのかが垣間見える一幕になってしまった。
 何はともあれ、二三夫を背負っていたトレスが光に包まれるとその輝きはゆっくりと巨大化していく。膨れ上がった光を突き破り、羽化したそれは背に砲門を乗せた機械竜。左右二門のキャノン砲を交互に撃ち、疑似的に連射。桁違いの衝撃をぶち込む砲弾が戦場に降り注ぎ、巻き上げられる粉塵と爆風で蚊蜻蛉の動きを封じる。
「……悪【五月蠅いの】は滅びたと思ったらブンブン五月蠅いのが来たね」
『機動性高そうだな、当てられれば致命傷になりそうだが』
「悪じゃないしっ、まだ全滅し……ぬぁー!?」
 すばしっこそうな敵機が脚を止めている隙にシルヴィがUCを切り替えたため、明るい方のシルヴィが消滅。
「滅びないしまた現れるんだからねーっ!!」
 ……今、明るい方のシルヴィ、完全に消えたはずなのに、次元の狭間から染み出て来なかった?ま、まぁ、細かい事は気にするのはやめておこう。
「……あっちは脚を止めてるし、全員攻撃に回しちゃっていいかな」
『分身を足止めに回す必要がない分、最大火力を叩き込めるだろう』
「え、ちょっと待っ……」
 自機含めて十五機のミドガルズが武装を百四十九に複製し、一斉射。弾幕など温い、光学兵器の球体に呑み込まれたオブリビオンマシン。
「数の暴力ってレベルじゃなくないかコレェ!?」
「五月蝿いですよ暴走胡瓜!たった今、私達には急ぎコンテナに肉を満載にすると言う緊急ミッションが科せられたんです!」
「胡瓜!?」
 全方位一斉射撃の中をぴょんぴょこ飛び回って逃げ回るオブリビオンマシンが振り返ると、桜色のクッキングカーが真っ直ぐ突っ込んできているところで。
「肉でない貴方には一片の価値もありません!」
「キャバリア相手に、肉ぅ!?」
 アクセル全開で吶喊するクッキングカーを真正面から受け止める蚊蜻蛉だが、どれほど華奢だろうとキャバリア。ただの車に押し負けるわけがないと叩き潰そうとするのだが。
「ごっふぅ!?」
 UCパワーで突っ込んで来たクッキングカーはえげつない突進力を誇り、キャバリアを以て拮抗できるかどうかって衝撃に機体が軋むのだが、ここでエクアトゥールが、えいえいっ!
「あ、折角だから矢印くっつけときますね」
 エクアトゥールが腕を振る度に、摩那が発生させた矢印が敵機にペチペチ貼りつく。そしてこちら、同一方向に対して加速運動を行う物であり。
「ッアー!?」
 桜花の乗ったクッキングカーに吹っ飛ばされたオブリビオンマシンは空の彼方に吹き飛ばされていき、雲の向こうで強烈な光と共に何かが掻き消えるのが見えた。
「……あっつい。もう、脱いでもいいかな?」
『コックピットは外から見えないとはいえ、肌を晒すのは好ましくないな。そうでなくとも、君が着ているパイロットスーツは耐衝撃仕様になっているその意味を忘れてはいないかね?戦場にいる間は脱ぐものではない』
 敵機の撃破を確認したシルヴィが首元のファスナーに手をかけると、ヨルから待ったがかかり、不満げなジト目になってしまう。
「……なら、ミドガルズに冷房機能つけてくれないと熱中症になりそうなんだけど」
『……善処しよう』
 あ、これ実装されないパターンだな?って会話が入った所で。
「次行きますよ、花燕さん。コンテナ忘れず着いてきて下さいね」
「……うん」
 桜花は食材を求めて、新たな旅に……アレ?あいつ、グリモア持ってないよな?帰還転送待たないと、延々クロムキャバリアの世界を彷徨う事になるだけなんじゃ……いや、きっとこの世界で食料のあてがあるのだろう。
「綺麗な花火になりましたねー……」
 遠目に消し飛んだ敵影を眺めていた摩那の後ろで、人型に戻ったナミエが焼肉を火口の前に並べて両手を合わせ、なむなむ。
「これで納得していただけるか分かりませんが、お詫びとしてお供えしておきましょうか」
「はぁ……アッツ!?」
 機体から降りた二三夫を適当な岩場に腰かけて、飛び跳ねるとこちらも人型サイズに戻ったトレスが、じー……。
「昔の人が一番強くて格好良いと考えた夢がトレスさんだと思います。わたくしも好きですよ」
「私はまだ何も言っていないぞ」
 頭を撫でられ、どこか不満げな顔をしながらも、トレスはされるがままになっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年01月21日


挿絵イラスト