ダーティ・ゲイズコレクターはオーダーメイドな夢を見る
ダーティ・ゲイズコレクター
下記の内容でクリスマスノベルの作成をお願いします!アレンジ・改変、問題ありません!大歓迎です!
●シチュエーション
デビルキングワールドの幼馴染「エクサイト」が経営するお店にお手伝いがてら遊びに来たダーティ
その日の夜、クリスマスということで2人でパーティをしようと提案され、ダーティは快諾する
●プレイング
メリークリスマス!本日もお疲れさまでした!
しかしパーティのお誘いは嬉しいんですがケーキもご馳走も用意をしていないんですが…
ってエクサイトちゃん!そ、それは魔界最強のデパート「キング屋」にある洋菓子店の中でも
入手困難な「キングケーキ」ではないですか!
もしかして今日のために…!?か、感激です!嬉しすぎて涙が止まりませぇーん!!
(ご馳走とケーキに舌鼓を打ちながら、頭に浮かんだふとした疑問について尋ねる)
そういえばエクサイトちゃん、私と会うたびに採寸してきますよね?
服の作成を依頼するとき以外でも採寸をされていますが、あれはなぜ…?
(尋ねると幼馴染は理由は2つあると言い、それぞれの理由を言い始める)
ふむふむ、1つ目は私が注文して作成に取り掛かっている服のサイズを合わせるためですか
そんなに私、サイズが変わっていますかね?
え?胸のサイズが出会うたびに大きくなっている?それは盲点でした!
それで?2つ目の理由は?
え?私がいつでもエクサイト・テーラーで働けるように?私ようの制服を用意していて?それのサイズを調整するため?
あー…だからいつもお手伝いに来た時に渡される制服がピッタリなんですね…
(お酒を飲んでいたので酔いが回ってきたのか眠そうな感じで)
そーですね、いつかもし、そんな日が来たら…それはそれで……素敵かも………ぐー…
●エクサイト・テーラー
ダーティ・ゲイズコレクター(Look at me・f31927)は凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王である。
それはもう言うまでもない。
確かに悪事に失敗してばっかりのへっぽこ悪魔で在った頃もあったけれど、ダーティは猟兵として覚醒してこのかた、己が注目を浴びやすいことを利用して666人の道行く悪魔たちを深めの水たまりに足を突っ込ませるという大悪事を成し遂げたのだ。
その時のことをエクサイトはよく覚えている。
あれはすごかった。
ダーティの見目は友達贔屓を抜きにしたって目を引くものであった。
「本日もお疲れ様でした!」
「いや、ほんとうに~ありがとうね~」
二人は『エクサイト・テーラー』……エクサイトが経営する仕立て屋にて繁忙期……つまりクリスマスの忙しさをなんとか乗り切ったのだ。
最後の納品を終えて、二人は息を吐きだす。
なんとかなった。
エクサイトからヘルプという名の救援信号を受け取ったダーティは最初、良い子であるがゆえに大量発注を断れないために生まれたクリスマスパーティのドレスや紳士服の注文書を前にして愕然としたものである。
だが、なんとかなった!
なんとかなってしまったのである!
繁忙期の仕立て屋さんに大量発注するなんて極悪行をやってのけた悪魔がいる、という事実に一瞬気が付きかけたけれど、まあ、それはそれである。
とは言え、視線誘導の悪魔の魔王であるダーティとしては人の目を惹きつけるドレスを作り上げてしまうエクサイトの罪深さもまた友人として誇らしく思ってしまうのだ。
「ふ、ふ、ふ」
そんなエクサイトがとっても悪い顔をしている。
「エクサイトちゃん! とっても悪い顔になっていますよ! 素晴らしいですね!」
「おどろくのは、はやいよ~ダーティちゃん~」
のんびりとした口調で凄まれても可愛いだけなのだが、ダーティは空気読んだ。
彼女が悪い顔をしているのならば、それはきっと悪だくみなのだろう。
なら、それを受け止めるのが親友である自分の役目だと彼女は胸を張った。
「じゃ~ん!」
彼女がダーティの眼の前に差し出したのはケーキボックスだった。
そう、今宵はクリスマス!
「こ、これは……!」
「ダーティちゃんとクリスマスパーティしたくってね~さぷら~いず。だいせいこうかな~?」
「大成功ですよ! で、でもお誘いは嬉しいんですが、私ケーキもごちそうも用意していないんですが……」
「ぎゃくにかんがえよ~? パーティにおさそいされたのになにもよういしていないなんて……それはとってもごくあくじゃあないかな~?」
た、確かに!
ダーティに衝撃走る。
エクサイトちゃん、なんという悪い子ッ!
「そ、それは確かに……って、エクサイトちゃん! ここれは魔界最強のデパート『キング屋』にある洋菓子店の中でも入手困難なパティスリー『エビルデビルネビル』の『キングケーキ』ではないですか!?」
そう、それは高級デパートの中で最も入手困難なケーキ。
予約は必須。
されど、その予約からしてそもそもできないじゃん! となるほどに人気絶頂のクリスマスケーキなのである!
悪魔なのに、というツッコミは聞かなかったことにする。
今は無粋なだけである。
悪魔だってクリスマスしたっていいのである。良い子なので。
「そうだよ~ふふ、きょうのために~ダーティちゃんとたべたいな~っておもったんだ~」
それに、と彼女は微笑む。
「いそがしいときにたすけにきてくれてうれしかったし~」
「な、なんと……か、感激です!」
ダーティは滂沱の涙を流す。
大洪水である。もう止まらない。ギャグ漫画かと思うほどに彼女の目元からは涙が大噴出である。体の水分の全部を持ってかれそうな程に彼女は涙をダバダバだしてしまっていた。
「もう~おおげさだよ~ほら~たべよ~?」
エクサイトの言葉にダーティはまた感激にむせぶのだ。
「嬉しすぎて涙が止まりませぇーん!!」
●メリークリスマス!
そこからは二人のクリスマスパーティだった。
すでに納品は終わっている。
この後には年末の着付けの予約が殺到しているのだが、今日くらいはいいよね、と二人は羽目を外すことにした。
そう、今日、二人は行けるとこまで行くつもりなのだ!
何をって?
お酒である! 酔いの向こう側! 酩酊! その先へ!
「おいしい~! やっぱり『キングケーキ』っていうだけあるね~」
「本当です! 極悪なほどに甘く! 凶悪なまでにフレッシュ! このごちそうも!」
ターキーは必須!
ケーキを頬張り、ワインを開けてぐいー。
甘いの、しょっぱいの、ワイン!
見よ、このゴールデンサークルを! 止まらない止められない。二日酔いが怖くてパーティができるものか!
「うふふ~たのしいね~」
エクサイトはもうすでに出来上がりつつある。
それはダーティも同然であったことだろう。楽しい。ふわふわする。体が軽ければ心も軽い。
そうなれば、普段は抑えている疑問であったり、聞くに聞けないこともついぽろっと口からこぼれ出てしまうのが酒の力の恐ろしいところであった。
「そう言えば……エクサイトちゃん、私と会うたびに採寸してきますよね?」
ちょい呂律の回らない感じの声色でダーティがターキーを手づかみして頬張る。
そう、疑問に思っていたのだ。
確かにエクサイトのヘルプでお手伝いしに来ることは珍しくないことだ。
それに自分自身、猟兵たちのイベンド毎でまとう新しい衣装というのは、全てエクサイトに発注している。
採寸する、という意味であったのなら、その時に取ったサイズで事足りるのではないかと思ったのだ。
だが、エクサイトはダーティがやって来るたびに採寸し直している。その都度だ。これはなんていうか、神経質が過ぎるのではないかと思ったのだ。
「それはね~ふたつりゆうがあるんだよ~」
「二つ?」
「そう~まずは~ダーティちゃんがあたらしいふくをおーだーしてくれるでしょ~? そのサイズをあわせるため~」
「えっ、そんなに私サイズ変わってますかね?」
ダーティに衝撃走る。
頬張っていたターキーをそっとテーブルに戻した。
歯型付いているが、戻した。
それはえっと、その、むちむちしてきているというか、わがままボディになってきているとか、つまりその。
「ダーティちゃんがおもっているようなこととは違うよ~」
「え、ならば何故……」
「おむねのさいずがあうたびにおおきくなってるんだよ~」
こともなげに告げるエクサイトの言葉にダーティは視線を自分の胸元に向ける。
そうなのか?
そうなのだろうか?
確認しようがないっていうか、それを知っているのはエクサイトだけである。
しかし、ダーティは視線誘導の悪魔の魔王である。
彼女の視線誘導の悪魔たる所以は、彼女の容姿である。
見事な金色の髪に凶悪夏の。左右異なる魅惑の瞳。そして何よりも! トランジスタグラマーなボディ! トラ・グラとも言うけど、この場合小型でも高性能である! という意味合いからしてもダーティのプロポーションは凄まじいのだ!
そりゃ視線誘導されるってもんである。
見てしまうのは仕方ないことである。
視線誘導された悪魔たちはみんな口を揃えて、俺は悪くねぇ! と叫ぶのである。
それくらいにダーティの容姿は見事なのだ。
特に胸が! となるのは罪な悪魔である証明だ。
「そ、そうなのですか……」
ちょっとダーティは小さくなりかける。
「そうだよ~しせんゆうどうにみがきがかかってるってことだよ、ダーティちゃん~」
「そ、そうですよね! ええ、そうですとも! なんていったって私はダーティ! ダーティ・ゲイズコレクター! 凶悪で極悪で劣悪で最悪な魔王ですからね!」
胸を張る。
そうなのだ。
これがダーティ・ゲイズコレクターという魔王なのである。
未だ走り続ける8thKINGの座を目指す魔王なのだ。
「ふふん! なるほど! それで? 2つ目の理由は?」
そんなダーティを眩しそうに見ながらエクサイトは2つ目の理由を告げる。
「それはね~えっとね~」
あれ、とダーティは思う。
なんだかエクサイトの歯切れが悪い。
確かに彼女はのんびりとした口調であるが、物事はハッキリと言う方だ。なのに、言い淀んでいる。
ダーティは無言で彼女のグラスにワインを注ぐ。
さあ、ぐいっと。
「わ、ありがと~」
何か言いにくい理由なのだろうか。
でも、今日はクリスマスだ。少しくらい羽目を外したって地獄のサタンだって許してくれる。サンタじゃなくって?
「ぷは」
エクサイトはワインを一気に煽って、赤ら顔で頭を揺らしながらダーティを見つめる。
「えっと、それはね、ダーティちゃんがここでいつでもはたらけるようにね~……ダーティちゃんのせいふくをよういしているからなんだよ~」
「へ?」
思っていたのと違う。
ダーティは思った。もっとこう、深刻なことなのかと思っていたのだ。
けれど、帰ってきた言葉はなんとも嬉しい言葉だった。
今着ている『エクサイト・テーラー』の制服。
それは今のダーティにもぴったりなサイズ感なのだ。エクサイトの言葉を借りるなら、以前着たときよりも胸元がきつくなっていないといけないはずなのだ。
なのにぴったりとした無理ない着心地。
ということは。
「そう~おなおしするのにさいすんしたくって~えへへ……」
「だから……なんですね。いつもお手伝いに来た時に渡される制服がピッタリなのは」
「そうなの~」
「……私は果報者ですね! こんな親友がいるんですから!」
ダーティはぐいっとワインを呷る。
ちょっと恥ずかしいけれど。酔いも回ってきて、眠気も来ているけれど、それでもダーティは言葉にする。
これは言葉にしなければならない思いだった。
エクサイトは、自分と一緒に仕立て屋をしないかと以前も誘ってくれた。
何をやるにしてもへっぽこでダメダメだった自分をいつだって支えてくれた。
共に居てくれた。
落ちこぼれと言ってもいいほどの悪魔だったのに。
ワルからもほど遠く。
やることなすこと全部裏目に出てしまう自分と友達でいてくれたのだ。その恩義は言うまでもない。
でも、だからこそ自分もエクサイトに並べるように、彼女が他人に自慢できる魔王であるように、『デビルキング』になれるようにと願ったのだ。
願うだけではない。
叶えようとしているのだ。
だからこそ、彼女は宣言する。
「そうですね! いつかもし、そんな日が来たら……」
「うん~……」
エクサイトの頭が揺れている。
あら? とダーティは自分の視界も揺れているのがわかってしまう。
なんだろう、これ。ふわふわする。
「わ~ダーティはちゃんがたくさんいる~」
「んふ、んふふ、エクサイトちゃんもいっぱいいますよ~いつのまに分身の術を覚えたのですか!?」
二人はもうすっかり酩酊状態のその先に行ってしまったのである。
多分明日は頭痛に悩まされるだろうことはなんとなく分かってしまう。
けれど、それでもダーティは言わなければと思ったのだ。
この素敵なお友達に。
自分の思いを。
共に働くこと、その素敵なことを一緒にと願ってくれた掛け替えのない存在に応えなければと思ったのだ。
「エクサイトちゃんと、一緒に……お仕事する、そんな日がきっと来る……それは、とっても素敵かも……」
ばたーんと音がする。
テーブルに突っ伏すようにしてダーティは倒れ込む。
それはエクサイトも同じだった。
二人してもう夢の世界に足を踏み入れている。
「とっても~……すてき~……ん、ほんとうに、そうであったら~」
「いいのにですね~……ぐー……」
寝息が重なる。
二人の幸せな夢。
それは遠くない未来に現実のものとなるかもしれない夢。
叶うかどうかも、わからない。
けれど、それでも二人はきっと友達でいられるだろう。聖なる夜に見る夢は、きっと優しいものであっただろうから。
夢の中でも二人は仲良く悪事を働く。
そう、発注されたオーダーよりももっともっと素敵な、予想を遥かに越える素晴らしいものを届ける……そんな、凶悪で極悪で劣悪で最悪なオーダーメイドを――。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴