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バトル・オブ・オリンピア⑤〜神に選ばれし決闘者!!

#アスリートアース #バトル・オブ・オリンピア #カードデュエル #ゴッドダークリーガー

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●神に選ばれし決闘者
「どうやらそこまでのようだな! いくぞ! 『古代のアイロン戦車』と『よれよれスーツの企業戦士』でダイレクトアタックだ!」
「ぐわああああ!!」
 激しい水蒸気と、中年サラリーマンの膝蹴りを浴びせられた男はデッキのカードを派手に地面にばらまきながら崩れ落ちた。
「くっ……馬鹿な! つ、強すぎる……!」
「フハハハ! 見たか、これが神のカードの力だ! 凡夫どもめ!」
 敗者を見下ろし、高笑いをしているのは『クリーニング』と書かれたエプロンを着た、イケメン(中の上ぐらい)だった。傲岸不遜な態度と、圧倒的な強者のオーラを携えている以外は、どこにでもいそうな平凡なイケメンだが、彼はこの超古代遺跡での闇のカードバトル大会を制し、途方もない力を得たのだ。

「秩序の神マリガン……素晴らしい力だ! ゴッドリーガーとなった俺はまさに最強だ! さあ、次の挑戦者は誰だ? 俺の無敵のクリーニング・デッキが受けて立つぞ!」

●グリモアベースにて
「皆様、戦争お疲れ様です。新たなダークリーガーの出現を予知いたしました。敵はカードゲーマーのダークリーガー……つまり、闇の|決闘者《デュエリスト》のようです」
 グリモア猟兵、ミネルバはグリモアベースを行き交う猟兵達に一礼し、要件を告げた。スポーツが盛んなアスリートアースの世界では、カードバトルも人気のあるスポーツなのだ。その歴史は非常に古く、なんと古代文明からもカードが発掘されている。どうやら古代の神官たちも、儀式にカードを利用していたらしい。
「ゴッドダークリーガーとなった『ダーク・アイロニスト』は古代デュエル神族の一柱である『秩序の神マリガン』の力を身に着けているようです。マリガンの力はまさに神にふさわしいもの。なんと、時間を巻き戻すことができるのです。何度でも」

 無制限の時間遡航……それが真実ならばまさに神の力だ。何度でも勝負をやりなおせるのなら、そいつは誰にも負けないだろう。
「ただ、マリガンの力には一つ制約があります。それは、|時間の巻き戻し《リセット》には相応のエネルギーを消費することです。最初の手札を引き直すぐらいのリセットなら大した消耗もないでしょうが、ゲームが進んだ状態から巻き戻すほど、ダーク・アイロニストは神のパワーを消費します。これは時間の巻き戻しでは回復しないので、何度も巻き戻させることができれば、ダーク・アイロニストはいずれ神の力を使えなくなるでしょう」

 つまり、ダーク・アイロニスト攻略のカギは持久戦。こちらは一度もアイロニストに負けてはならないが、何度もアイロニストを追い詰めることで、いずれ彼から神の力を奪い去ることができるのだ。

「あと、もう一点注意です。時間の巻き戻しの際、ダーク・アイロニストはやり直す前の記憶を継承できますが、こちらは無策だと巻き戻された事実に気付けません。戦う際は注意してくださいませ。情報アドバンテージで後れをとらないためには、時間遡航に自分の記憶を持ち込むための工夫も必要ですの。そうですわね……神の力による時間遡航なので、こちらも神のパワーで対抗するとか、特殊なアイテムで神のパワーを弾く、などすれば、記憶を奪われることが防げるかもしれません」
 ミネルバはぴっと指を立て、戦う際の注意事項を述べた。

「ダーク・アイロニストは決闘者です。戦う手段はカードバトルか、リアルファイトが良いでしょう。劣勢になれば神の力でやり直そうとするはずです。なんとかして彼から神の力を奪い取り、真の敗北を叩きつけてくださいませ。では、よろしくお願いいたしますの」
 ミネルバはぺこりと頭を下げ、戦場への転移ゲートを開いた。


大熊猫
 こんにちは。大熊猫です。今回はカードバトルシナリオです。普通の戦闘プレイング(リアルファイト)でも大丈夫ですが。敵のユーベルコードはリアルファイト仕様ですが、猟兵側がカードバトルを挑んだ際はユーベルコードにちなんだ効果のカードで戦います。

●プレイングボーナス
「神の力」に対抗する。

●文字数省略用記号
 アドリブ歓迎→☆、連携歓迎→★、何でも歓迎→◎(☆★と同じ)、ソロ描写希望→▲。

●合わせプレイングについて
 グループ参加の場合は、迷子防止の為プレイング冒頭にグループ名をご記載下さい。

●執筆について
 OP公開時より受付開始いたします。土曜日完結ぐらいのペースでゆっくり書く予定です。
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第1章 ボス戦 『ダーク・アイロニスト』

POW   :    野外で掃除機を掛けるなど、邪道!
【怒り】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD   :    おっと……そこに皺があったのでな。
【アイロン】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    俺がアイロンだ!!
全身を【アイロンが噴出するスチーム】で覆い、自身の【皺を伸ばすという意志】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ショチトル・メシーカです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

竜波・虎白

神の力以外は結構ファン指向のデッキみたいだな…。
とはいえ、油断するわけにはいかないな! デュエル!

相棒のドンナー・リンドヴルム、風迅白虎を召喚して堅実に盤面を揃える。
相手のカード使用に合わせて『カウンター』カードを使用したりして妨害、ターン数を稼いでどっちが勝つか分からない、っていう状況を作り出すことに専念する。
ターン数を十分稼いだところで、切り札を召喚だ。

「人」のカード、時空竜の降臨だ! 出てこい、【時空竜パラドクス・ノヴァ】!
時を巻き戻しても、時空竜の効果で俺はその異常を知覚できる。時空竜はリセットの対象にもならないぜ!

時空竜、そのブレスで|必中攻撃《ダイレクトアタック》だ!



●逆理の竜
「……フッ。来たか」
 デュエル場にバチバチと魔力が爆ぜ、空間を切り裂いて人影が飛び出した。王様のように足を組み、玉座代わりのアイロン台に腰掛けていたダーク・アイロニストは不敵に笑う。

「ダークリーガー、ダーク・アイロニスト! お前にデュエルを申し込む!」
 ダーク・アイロニストに最初に挑んだのは、赤い髪の少年決闘者、|竜波《たつなみ》・|虎白《こはく》だった。
「いいだろう! 神に選ばれし決闘者として、貴様の挑戦を受けよう!」

「「デュエル!」」
 虎白はゲームデバイスにデッキを差し込み、ダークアイロニストと対峙する。ここに、二人の戦いの火蓋が切って落とされた!

「先攻は俺が頂くぞ! くたびれた企業戦士を召喚してターンエンドだ!」
 アイロニストが召喚したのは、よれよれのスーツを着た中年サラリーマンだった。どう見ても強そうには見えない。
(神の力以外は結構ファン指向のデッキみたいだな……とはいえ、油断するわけにはいかないな!)
「俺はこのカードを場に伏せてターンエンドだ!」
 虎白は最初のターンを場にサポートカードを伏せるだけで消化した。再び、ダーク・アイロニストのターンだ。

「俺のターン! マジックカード『奇跡のクリーニング』を発動! これにより、くたびれた企業戦士は『企業戦士・ガン南無』へと進化する!」
「おっと、そうはさせないぜ! 『カウンター・マジック』を発動し、奇跡のクリーニングを無効化して進化を阻止させてもらう!」
 虎白が場に伏せていたカードを発動すると、フィールドに実体化しようとしていたアイロンが木端微塵に爆砕した。

「ぐぬぬ……! 小癪な! ならば、俺は企業戦士でダイレクトアタックを仕掛け、ターン終了だ!」
 弱そうなサラリーマンが虎白をぶんなぐった瞬間、虎白の周りにライフバリアが展開され、プレイヤーへの肉体的ダメージを防いだ。見た目通り大して強くなかったのか、中年サラリーマンは殴った拳を抑えて痛そうにしていた。

「俺のターンだな! 来い、相棒! 『ドンナー・リンドヴルム』! 『風迅白虎』!」
 虎白の呼び声に応え、雷を操る白き竜と、風を操る白い虎が召喚された。二体の頼もしい相棒はグルル、と唸り、ダーク・アイロニストを睨み付ける。

「ほう。神竜に神獣か。なかなかいいカードを持っているな。ならば俺も少し本気を出してやる。出でよ! 『クリーニング界の女王』! さらに、『地獄のアイロン台』を発動! そのドラゴンを斬首してくれる!」
 
「そうはさせるか! 風迅白虎! 風の防護壁でリンドヴルムを|守護《まも》れ!」
「ガウッ!」
 白虎が烈風を放ち、アイロン台を持った女王(美魔女)はドラゴンに接触する寸前に立ち往生となった。危ういところで、リンドヴルムは破壊を免れる。

「やるな! しぶとい奴だ!」
「お前も、そんな変わったデッキなのになかなかやるじゃないか!」
 一進一退の攻防が続く。多彩なサポートカードで虎白のモンスターの破壊を企むアイロニストの|戦術《タクティクス》を、虎白はカウンターカードを器用に使い、致命傷を受けないまま凌いでいた。ただし、虎白の方も防御を重視しているせいか、攻めあぐねておりダーク・アイロニストの方も体力はほとんど減っていない。膠着状態のまま、戦いは20ターンにも及ぶ時間が流れていた。

「フハハハ! なかなか楽しい時間だったが、これで終わりだ! 俺は神のカードを引いた! 『社会の歯車』三体をコストとして消費し、『|古のアイロン巨神《エンシェント・ゴッド・アイロン》を召喚する!」

「ウオオオオオ!!」
 くたびれた中年たちが虚空へと消え去り、地鳴りと共に手足の生えた巨大なアイロンの巨人が召喚された。どうやらこれがダーク・アイロニストの切り札のようだ。

(よし、そろそろだな!)
「ならば、俺も奥の手を使わせてもらう! 『人』のカード、時空竜の降臨だ! 出てこい、【時空竜パラドクス・ノヴァ】!」
「ムッ! この波動は……!?」

 虎白がリンドヴルムと白虎を使って儀式を行うと、時空の渦が二人の間に発生した。渦の中から出現したのは、神々しいフォルムを持つ、美しきドラゴンだった。これが、虎白のジョーカー。ユーベルコードの力を宿すドラゴンモンスターゆえに、その攻撃力はアイロニストの神をも上回っていた。

「なるほど、それが貴様の切り札か! 俺のデッキにそのモンスターの攻撃力を上回るモンスターはいない……だが、我がロードに敗北はないのだ!」
 ダーク・アイロニストは高笑いすると、神のカードの真の力を発動した。時は巻き戻り、デュエルは1ターン目へと巻き戻る……。


「先攻は俺が頂くぞ! くたびれた企業戦士を……って、なんだとぉ!?」
 時間遡航を終えたダーク・アイロニストは驚愕した。なんと、1ターン目まで巻き戻ったにも関わらず、虎白のフィールドには【時空竜パラドクス・ノヴァ】が既に出現していたのである。
「馬鹿な……! 俺は時間を巻き戻したはず!」
「驚いたか? 時空竜の効果で俺はその異常を知覚できる。時空竜はリセットの対象にもならないぜ!」
「貴様、俺の力に気付いていたのか!?」
 虎白は不敵に笑う。先ほどまでの膠着状態も、ダーク・アイロニストにより多くの神の力を消耗させるための布石だったのだ。

「時空竜、そのブレスで|必中攻撃《ダイレクトアタック》だ!」
「ば、ばかなぁ――ッ!」
 ダーク・アイロニストは時空の渦に飲まれ、消えていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

中村・裕美
カードデュエルの戦争シナリオにリクエストします

「神のカードですの。潰し甲斐があって素敵ですわね」
そう言いながら副人格のシルヴァーナの方で参戦。デッキは相手を【情報収集】し、それに対策したようなデッキを使用して挑む
「デュエルは戦場。相手の傾向が分かっているなら対策は必須ではなくて?」
シルヴァーナは相手や試合環境に合わせられるよう何十種類ものデッキを常備している。今回もそのうちのデッキの一つを使用したにすぎない
「さあ、神殺しの時間ですわ」
【デュエリスト殺し】で神カードを狙ったように破壊や除去するようなカードを引き、トドメを刺しにかかる

なんかかっこいい感じにリプレイを描いていただけるありがたいです



●闇・対・闇!
「くっ。まさかあのような方法で|時間遡航《リセット》を破られるとはな……」
 神の力でなんとか時空の渦から脱出したダーク・アイロニストは玉座へと戻っていた。時刻は……猟兵と出会う前になっていた。渦から脱出する際に、時刻がずれたのだろう。神の力は、きっちり消耗していたが。


「神のカードですの。潰し甲斐があって素敵ですわね」
 新たな挑戦者として決闘場に降り立った|中村《なかむら》・|裕美《ゆうみ》は交戦的な笑みを浮かべた。否、今表に出ているのは主人格の『裕美』ではない。彼女自身の闇が作り出した|副人格《もう一人の裕美》、シルヴァーナであった。

「そのオーラ……どうやら貴様も決闘者のようだな。いいだろう、かかってこい!」
「「デュエル!」」
 二人が高らかに叫ぶと同時にデュエル場に魔力が溢れ、戦いの風が渦巻く。

「先行は貴様に譲ってやろう」
「では、遠慮なく。私はこの『毒蛇デッキ』で相手をしますわ。『ヴェノム・スネーク》』を召喚!」
「な、なんだと!?」
 シルヴァーナが毒々しい柄の蛇を召喚すると、ダーク・アイロニストは驚愕の表情を浮かべた。
「ヴェ、ヴェノム・スネーク……? 貴様のデッキは『暗黒騎士デッキ』ではないのか……?」
「――ああ、そういうこと」
 合点がいったシルヴァーナはニヤリと笑った。
「あなた、既に一度時を巻き戻していますわね?」


「さあ、神殺しの時間ですわ。|暗黒騎士王《ダーク・アーサー》。ダイレクトアタック!」
「うわあああああ!!」
 シルヴァーナの召喚した暗黒騎士は黒い旋風を生み出し、ダーク・アイロニストの召喚した『エンシェント・ゴッド・アイロン』をバラバラに引き裂いた。神の化身を直接破壊され、ダーク・アイロニストは膝を突く。
「くっ……このオレの神が破壊されるとは! だが、『次』はこうはいかんぞ!」
 ダーク・アイロニストは捨て台詞を吐き、シルヴァーナが出現する少し前まで時間を巻き戻した。


「あなた、既に一度時を巻き戻していますわね?」
「くっ!」
 図星を突かれ、ダーク・アイロニストはくやしそうな表情を浮かべた。
「時間を巻き戻すことであなたがこちらのデッキの情報を得て対策を打つというのならば、こちらは千のデッキを用意すればいいだけのことですわ」

 グリモア猟兵から「戦争の神マリガン」の能力を聞いていたシルヴァーナは、戦いに挑む前に一つ決めておいてことがある。それは、使用するデッキをランダムに選ぶことである。どのデッキを使うのかは、|主人格《ゆうみ》が(無駄に凝った乱数設定の)デバイスを使用しているため、ダーク・アイロニストが時間を戻すたびに、シルヴァーナが使用するデッキも変わってしまう。シルヴァーナは|時間遡航《リセット》前の記憶を保持していないが、これなら条件は五分のままである。否。むしろ、ダーク・アイロニストの方が不利であった。

(くそ、これではリセットによる情報アドバンテージが役に立たん……むしろ、サイドボードから投入したカードが腐ってしまう!)
 大人げなく、シルヴァーナのデッキに有効なカードをフル投入していたダーク・アイロニストは歯ぎしりした。相手のデッキがリセット前と全く異なるのならば入れ替えたカードなど、何の役にも立たない。

「さあ、あなたのターンですわよ。1ターン目から長考かしら?」
「ぐぬぬ……俺は『リクルートスーツマン』を召喚してターンエンドだ……」
 仕方なく、そのままデュエルを開始するダーク・アイロニスト。予想通りシルヴァーナの毒蛇デッキには騎士殺しのカードなど何の役にも立たず、あっという間にフィールドはシルヴァーナが召喚した毒蛇で埋め尽くされてしまった。しかし・…。

「やはり神は俺を見捨てていなかった! 俺は神のカード、『|灼熱の愛龍《バーニング・アイロン・ドラゴン》』」
 毒殺される寸前に神のカードの一枚を引いたダーク・アイロニストは勝ち誇りながら、赤熱化したアイロンのドラゴンを召喚した。アイロンは摂氏6000度の火を吹き、シルヴァーナが召喚しまくった毒蛇・トークンを根こそぎ焼き尽くした。

「勝負あったな。次のターンのダイレクトアタックで貴様は終わりだ!」
「それはどうかしら」
 シルヴァーナは不敵に笑い、デッキからカードをドローする。その時、シルヴァーナの手が妖しく輝いた。
「マジックカード、『アシッド・レイン』」
 シルヴァーナが手札からスペルを発動すると、集中豪雨が神へと降り注いだ。強い酸を含む雨は瞬く間に神を腐食させ、鉄クズにしてしまった。

「き、貴様、メインデッキからそんなメタカードを……!」
「貴方がアイロンデッキを使うことは事前に調べましたの。傾向と対策をキッチリ抑えさせていただきましたわ。神といえど、鉄は酸に弱いでしょう? さあ、神殺しの時間ですわ。『|毒蛇の王《ヒュドラ》』でダイレクトアタック!」
「うおおおおっ!!」
 猛毒のブレスを浴びせられ、ダーク・アイロニストは敗北した。だが、ライフカウンターの数字が変動し、0になる寸前……。

「くっ……! 今日のところは勝ちを譲ってやろう! だが、俺はその『今日』をやり直す! 我が道に敗北はないのだ!」
 ダーク・アイロニストは捨て台詞を吐き、シルヴァーナと出会う前まで時間を巻き戻したのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

天羽々斬・布都乃

「神の力を使うゴッドダークリーガー……
神の力を悪用する人は巫女として許せません!」
『気をつけるのじゃ、布都乃。
敵は神の力を使ってくるぞ』
「大丈夫です――」

式神のいなりの言葉に頷き、天羽々斬剣と布都御魂剣を構えましょう。
私は天羽々斬流剣術での直接対決で挑ませていただきます!

「神剣の攻撃、受けてください!」

未来視の瞳で敵の動きを視て放った破邪の一撃。
ですが、必中のはずの攻撃が回避されました!?

ならば、敵の攻撃の軌道を視て回避しようとし――
未来視で視た軌道と違う軌道で襲いかかってきて!?

「きゃっ、きゃああああっ!」
『な、なんということじゃ!
布都乃の袴のシワが伸ばされて新品同然にされてしもうた!』



●ファイティング・巫女
「神の力を使うゴッドダークリーガー……神の力を悪用する人は巫女として許せません!」
「次の挑戦者は貴様か」
 時間を逆行し、辛くも危機を脱したダーク・アイロニストの前に現れたのは和風の巫女さん、|天羽々斬《あめのはばき》・|布都乃《ふつの》だった。その巫女装束は脇が露出したり、スカートの丈がやたら短かったりと、今風(?)な改造が施されていたが、彼女は古来より邪悪や穢れを祓ってきた由緒正しい陰陽師の血族の末裔である。スカートの丈が妙に短いのも、戦闘のジャマにならないようにという配慮なのだ。ご先祖様の趣味とかでは決してない。

『気をつけるのじゃ、布都乃。敵は神の力を使ってくるぞ』
「大丈夫です――」
 式神・妖狐『いなり』が敵を睨み付けながら布都乃へと忠告すると、布都乃は頷き、二本の刀を構えた。

「やる気は十分のようだな。俺は女にも手加減せんぞ。いくぞ、デュエルだ!」
 ダーク・アイロニストは不敵に笑い、デッキから最初の手札を引く。そして、コインを宙に放り投げ、それを手の甲で受け止めようと――。

「たぁああああ!」
 その瞬間、布都乃は一気に間合いを詰め、ダーク・アイロニストへと斬りかかった。一族に代々伝わる神剣、天羽々斬剣と布都御魂剣の二本の剣が交差し、ダーク・アイロニストの胸で十字の赤い花が咲く。
「ぐわあああああ!!」
 悲鳴を上げ、ごろごろと地面を転がるアイロニスト。

「貴様、何のつもりだ! 俺のターンなのにいきなりダイレクトアタックとは!?」
 ダーク・アイロニストは当然の如く猛抗議をした。
「え? カードじゃなきゃ駄目なんですか? 私は天羽々斬流剣術での直接対決で挑ませていただきます!」
「くっ! 今までずっとデュエル展開だったから油断した! まさかリアルファイトをご所望だったとはな! 可愛い顔して!」
「お世辞を言われても手加減はしませんよ?」
『そういう割にちょっと嬉しそうな顔だな、布都乃よ』
 ダーク・アイロニストは十数秒の時間逆行を使い、落ちたカードを回収すると、アイロンを構えた。
「いいだろう。貴様のような狂犬に神のカードはもったいない。俺のアイロンで躾をしてやろう」
 ダーク・アイロニストの手にしたアイロンが熱を帯びる。こうして、布都乃とダーク・アイロニストのリアルファイトが始まった!


「俺がアイロンだ!」
 ダーク・アイロニストの全身から激しい|蒸気《スチーム》が放出され、ダーク・アイロニストの姿を覆い隠す。そして、蒸気の力で飛翔したダーク・アイロニストは、音速を超える速度で布都乃へと突進する。しかし、未来視の力を持つ布都乃は超音速のダーク・アイロニストの突進を見切り、神剣でカウンターの斬撃を放つ。

「その攻撃は、すでにこの未来視の瞳で視ています! 神剣の攻撃、受けてください!」
 破邪の力の籠った一閃がダーク・アイロニストへと走る。完璧なタイミングで放たれ、ダーク・アイロニストを一刀両断するはずだったその一撃は、しかして布都乃の|胸《バスト》のように|空《むな》しく、空を切った。
「なっ!? 必中の一撃だったはず……!」
「フハハハ! 神の力を持つこの俺は、未来が見えるも同然!」
「くっ……! そうか、時間遡航で強引に未来の書き換えを……!」
 ならばと、ダークアイロニストの攻撃を未来視で回避しようとした布都乃だったが、ダーク・アイロニストは布都乃の未来視と異なる軌道で襲い掛かり、その全身をアイロンで撫で切りにした。

「きゃっ、きゃああああっ!」
『な、なんということじゃ! 布都乃の|袴《はかま》のシワが伸ばされて新品同然にされてしもうた!』
「ちょっと嬉しいじゃないですか! やったー」
「フッ……貴様のその皺だらけの衣装はアイロニスト(クリーニング屋店員)として容認し難かったのでな。衣装はレイヤーの命。次からはこまめにクリーニングに出すことだな」
 ダーク・アイロニストはニヒルに笑った。どうやら闇に堕ちてもアイロニストとしての精神は失われていなかったようだ。

「くっ……! 家が貧乏過ぎてクリーニングに出す余裕がないなんて言えない!」
『それよりも、コスプレイヤーだと思われている方が問題ではないか?』
「貧しいコスプレイヤーめが……貴様のような駄犬にはこれをくれてやろう」

 呆れたダーク・アイロニストは彼のバイト先のクリーニング屋の回数券の束(10回分の料金で11回分)をくれた。
「ぐぬぬ、一本取られました! これで神剣でバッサリやったら私が鬼畜巫女になっちゃうじゃないですかー! この勝負、引き分けですね!」
 屈辱と施しを受けた布都乃はくやしがりながら、その場を後にしたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

武井・桃香

ダーク・アイロニスト、古代デュエル神族の一柱
神と戦えるなんてデュエリストとして胸が踊るわね!

私は|高守備力《盾受け》と|回復效果《回復力》の【保健委員の天使 セシル】を主とした
耐久戦法で時間を稼いで神のパワーを消費させるわ!
味方、ブルマ少女 リリカなどの『硬化』、場のカードの守備力も高める效果なども併用して…

消耗したら秘術カード【円環】!
これで絆の力『団結力』で攻撃!

時間は戻せても紡がれた絆の力は解けはしないわ!



●時空を超える絆
「今度の相手はデュエリストのようだな」
 ダーク・アイロニストは不敵な笑みを浮かべて玉座の前に立つ|武井《たけい》・|桃香《とうか》を睨みつけ、立ち上がった。
「ダーク・アイロニスト、古代デュエル神族の一柱、戦争の神マリガンの化身……を持つデュエリスト……神と戦えるなんてデュエリストとして胸が踊るわね!」
 カードデュエリスト特有の闘気を放つ桃香の腕で、デュエリスト用のデバイスが虹色の輝きを放つ。彼女の愛用するデッキは『宝石少女』。その名の通り、額に宝石を持つ少女達をメインとした華麗なデッキである。
「俺はダーク・アイロニストだ。貴様も名を名乗るがいい」
「宝石姫《ジュエルロード》桃香よ! いざ!」
「「デュエル!」」


「先攻は俺が頂くぞ! 出でよ! 『アイロンマン』!」
 ダーク・アイロニストが高らかに叫ぶと、赤とゴールドを基調としたカラーの、顔がアイロンになったロボットが召喚された。
「私のターン! 『ダンス部のプリンセス アレッシア』召喚! さらに、サポートカードを伏せるわ!」
 返しのターンで桃香が召喚したのは、額に宝石を頂く、お姫様のような姿のモンスターだった。

「俺の攻撃を凌げるか。アイロンマンにサポートカード『フル充電』を装備させ、貴様にダイレクトアタック!」
「させないわ! サポートカード『遅刻しちゃう!』の効果で『ブルマ少女リリカ』を手札から召喚! リリカの『硬化』能力でアレッシアの防御力をアップ!」
 援軍の登場により、アレッシアの防御力が急上昇した。パワーアップしたアレッシアはアイロンマンの攻撃を盾で弾き返し、反射ダメージでダーク・アイロニストのライフポイントが少し削れた。
「ほう。宝石というだけあり、防御力の高いデッキのようだな! 俺はサポートカードを一枚場に伏せてターンエンドだ」
「『保健委員の天使 セシル』召喚! セシルの効果により、フィールドにいる宝石少女達の防御力をさらにアップさせるわ!」
「では、こいつを喰らえ! マジックカード『自爆営業』! 俺のフィールドの社畜を生贄に、他のモンスターのステータスを底上げしているセシルを抹殺する!」
「なら、私は『保険委員』サポートカードで墓地のセシルを即座に蘇生! セシルの復活により、フィールドの宝石少女達のステータスはまたアップよ!」
「ぬうっ……!」

 ダーク・アイロニストは防御力の高い宝石少女デッキ相手に攻めあぐね、少しずつ布陣を強化しながら、デュエルを進めていく。一方、桃香の方もダーク・アイロニストを無理に攻撃することはなく、防御強化とライフ回復カードを駆使した耐久戦術で粘り強く戦い続けた。


「チッ……デッキ切れが近いな……」
 山札が尽きる寸前まで勝負は長引き、ダーク・アイロニストは渋い顔をした。多数の宝石少女のコンボにより、桃香の場は鉄壁の布陣となっている。このままでは、ライフポイントを削り切る前にデッキ切れでダーク・アイロニストが敗北してしまうだろう。
(どの道勝てぬなら、ここで神の力を使う!)
「フハハハ! 俺の攻撃にここまで耐えたことは褒めてやる。だが、『次』はこうはいかんぞ!」
 ダーク・アイロニストは高笑いと共に|時間遡航《リセット》を行い、勝負を振り出しに戻した。


「くっ……! 手が読まれてる……?」
 リセット後、ダーク・アイロニストは桃香相手に有利なデュエルを展開していた。ダーク・アイロニストは一度時間を巻き戻したことで、桃香のデッキの内容はほぼ把握している。一方、桃香の方は時間が巻き戻ったことを認識できていない。

(このままじゃ……あれ?)
 その時、桃香の手札の一枚がぴかぴかと宝石のような輝いた。それは、秘術カード『円環』のカードだった。場にいる仲間の数だけ、仲間を強化する全体強化のカードだ。本来なら、それは自分の布陣が整ったデュエル終盤に使うべきカードなのだが……。
(カードが、私を呼んでる……!)

「私は、仲間達との絆を信じる! 秘術カード【円環】発動!」
「どうした? 貴様のフィールドにいるモンスターはセシル一体のみ。そのカードを使ったところで、大した意味は……な、なにっ!?」
 ダーク・アイロニストは驚愕の表情を浮かべた。円環のカード効果で『保健委員の天使 セシル』の攻撃力が一気に跳ね上がったのだ。セシルの背後には、今回のデュエルではまだ使用していないはずの、大量の宝石少女たちのグラフィックが集まっていた。
「馬鹿な! なぜだ!?」
「時間は戻せても紡がれた絆の力は|解《ほど》けはしないわ! セシル! アタックよ!」
 セシルは宝石の盾でアイアンマンを殴打した。アイロンマンは木端微塵に打ち砕かれ、ダーク・アイロニストは一気に瀕死になる。形勢逆転だ。

「ぐっ……! 覚えていろ……!」
 ダーク・アイロニストは屈辱に表情を歪め、時空の渦へと消えていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニコリネ・ユーリカ
◎【花と車輪】
神のカードですって!ワクワクしちゃう!
気合十分、ごつめの鎖アクセをつけていくわ
あっ決闘では「相棒」って呼んでね(伝統を重んじるタイプ

同じエプロン型の決闘者として負けたくない
蜜で回復する「お花デッキ」(植物系・キュア)でライフを保ち
帷さんの永続罠の邪魔にならないよう場に繁茂させる
おほほ、緑って逞しいのよ!

マリガン対策としてステータスオープン!
相手の巻き戻し回数や棋譜のようなデータの開示を試みる
イケメン君と記憶を共有できれば嬉しいわ

疲弊が見えた所でダイレクトアタック!(物理
帷さんのUCに入ってカードのフィールドを飛び越え、シャッター棒をブン

恋人は募集中なんだけど!
タイプじゃなかった!


枢囹院・帷
◎【花と車輪】
ニコリネの勧めで腕にシルバーを巻いてきたが
…ジャラジャラしてかなわんな(初心者

二人で組み上げたデッキがどれだけ「神」に通用するか
どれ、人らしく足掻いてみようじゃないかニコ…相棒と呼べと

中世の拷問車輪をモチーフにした「アンティーク・ウィール」デッキで挑む
二人分のライフで持久力を得つつ
敵の攻撃を抑制し、束縛状態でターン毎にダメージを与えたい

相棒のUCで時間遡航が何回、どの程度行われたか把握し
また敵の挙動や表情から損耗を見極めたらリアルファイトへ移行

鉄の処女をイケメンに近い位置で召喚し
中から出てきた相棒に攻撃させた後、相手を押し込め棘を刺す
神の力は無制限でも、君には底があったという訳だ



●花と車輪VS戦争の神の使徒!
「神のカードですって! ワクワクしちゃう!」
「……ジャラジャラしてかなわんな」
 ハイテンションなニコリネ・ユーリカとは対照的に、|枢囹院《すうれいいん》・|帷《とばり》はひどく落ち着かなさそうにしていた。彼女は今回ニコリネの勧めで腕にシルバーを巻くのにトライしてみたのだが、シルバーアクセサリーでのお洒落は初心者なのだった。ニコリネの方も腕にごつめの鎖を巻いているが、ニコリネはジャラジャラと擦れる鎖は気にならないようだ。

「その闘気……貴様らもデュエリストだな」
 新たに出現した二人へと、ダーク・アイロニストは問いかけた。
「ええ、そうよ! 私達はタッグでのデュエルを希望するわ!」
「いいだろう。まとめてかかってこい!」
(二人別々に相手をするよりも、一回にまとめた方が巻き戻しによる神の力の消耗も少ないしな……)
 ダーク・アイロニストはニコリネ達の申し出を快諾した。こうして、ダーク・アイロニストと猟兵達の最後の戦いの幕が切って落とされた!


「二対一ゆえ、俺のライフポイントは二倍、ターンは一人ずつ時計周りとするぞ。まずは俺のターンからだ! 『ご機嫌なクリーニング屋』を召喚し、ターンエンド」
 ダーク・アイロニストは温厚そうなおじさんモンスターを召喚し、ターンを終えた。次は帷のターンだ。

「私のターンか。二人で組み上げたデッキがどれだけ『神』に通用するかどれ、人らしく足掻いてみようじゃないかニコ」
「あっ。決闘では『相棒』って呼んでね」
 帷が話しかけると、ニコリネはぴっと指を立てた。ニコリネは伝統を重んじるデュエリストであった。
「む……相棒と呼べと……わかった、ではそうしよう。私はこの『アンティーク・ウィール』を発動する」
 帷がフィールドに召喚したのは、血のこびりついた不気味な拷問車輪であった。『ご機嫌なクリーニング屋』は車輪に吸い込まれ、ぐるぐると回転を始めた。
「ぐああー!!」
「大丈夫か!? 耐えるんだ、クリーニング屋!」
 チクリと刺さる痛みに耐えながら、ダーク・アイロニストは恐ろしい目にあっている自分のモンスターを励ました。
「アンティーク・ウィールは場に存在する限り、毎ターンプレイヤーのライフに直接ダメージを与える効果を持っているぞ」
「くっ! なんという悪趣味なデッキだ! さては、ライフよりも先に俺の心を折る気だな!」
 帷のデッキは『アンティーク・ウィール』。中世の拷問車輪をテーマとした闇属性のデッキだった。

「ぐっ……! 俺は『爆熱アイロン二号』を召喚! 召喚時の効果でアンティーク・ウィールを破壊してクリーニング屋を救出だ!」
「アイロ~!」
 ダーク・アイロニストが新たにモンスターを召喚し、タックルでアンティーク・ウィールを破壊すると、クリーニング屋は拷問から解放された。

「次は私のターンね! 同じエプロン型の決闘者として負けたくない! 私は『ペパーミント・ソルジャー』を召喚よ」
 ニコリネが手札からカードを出すと、地面から「ニョキッ」と大きなミントの葉が生えてきた。ミント・ソルジャーはあまり攻撃力は高くないものの、毎ターン1体ずつ増殖していくという効果を持つ植物モンスターだ。
「さらに『ハニー・ガーデン』を発動するわ! このカードはフィールドの植物族モンスターの数だけ毎ターン(相手のターンも含む)ライフを回復するのよ!」
 ニコリネが新たなカードを発動すると、フィールドに華やかな花園が発生し、ミントからエネルギーを吸収した。そして、ニコリネのライフポイントが上昇していく。
「なるほど、貴様のデッキは植物族デッキか」
「ええ、お花デッキよ!」


「『ブルーマウンテン・スーツ』で攻撃! ペパーミントに攻撃だ!」
「そうはさせない。攻撃の瞬間、トラップ・モンスター『拷問大車輪《アンティーク・フィア―・ホイール》』召喚!」
 帷のフィールドに召喚されたのは、拷問器具と観覧車が合体したような不気味なモンスターだった。大車輪は営業マンを観覧車に取り込み、その動きを拘束した。
「これで君の攻撃は無効となった」
「ありがとう! 相棒!」
「くっ……! やるな……!」
 ニコリネのお花デッキと帷の拷問車輪デッキは見事なコンビネーションを発揮していた。帷のカードがダーク・アイロニストを止め、ニコリネは次々と植物モンスターを繁茂させていく。鉄壁の防御力・回復力を誇る二人は、ダメージを受けるどころか、初期ライフの数倍にまでライフポイントを膨れさせていた。

「くっ……! 『伝説の白きアイロン』でアカシア・ウォーリアを攻撃!」
「アカシア・ウォーリアが破壊されたことで私のライフポイントは残り32000になったわ! 植物モンスターが破壊されたので、『約束の花時計』の効果で手札から新しいお花モンスターを召喚するわ」
「ぐぬぬぬ……!」
 ダーク・アイロニストは攻撃を繰り返すが、ニコリネ達のライフは一向に減らなかった。
「おほほ、緑って逞しいのよ!」
 フィールドを埋め尽くしたミントやアカシアの陰から高笑いをするニコリネ。一方、ダーク・アイロニストの方は苛立たしげな表情だ。
「おっと、ターン終了時に『アイアン・ウィール』の継続ダメージもあるぞ」
(この害悪デッキ共めが……! 神の力の消耗は痛いが、ここは巻き戻すしか……)
 ダーク・アイロニストは勝利を諦め、戦争の神マリガンの力で時間を巻き戻すことにした。


「くっ……! 何度やっても突破できんとは! サイドボードに植物抹殺カードを入れておくべきだった!」
「ニコ……じゃなかった、相棒。どうやら奴はもう限界のようだぞ」
 相手の疲労の色を感じとった帷は、ニコリネにだけ聞こえるように呟いた。

「分かったわ! 相棒! ここでユーベルコード発動! 『ステータスオープン!』 イケメン君のステータス情報を公開!」
「何ッ!?」
 ニコリネはカードではなく、己のユーベルコードを発動した。このユーベルコードの効果により、ダーク・アイロニストのこれまでの戦績や『時間を巻き戻した数』が棋譜のようにニコリネと帷に開示された。

「おのれぇえええ!! よくも俺の個人情報を晒し物に!!」
「やはり何度も巻き戻していたようね! でもそれも限界みたい。さあ、行くわよ相棒!」
 ニコリネが合図をすると、帷がパチンと指を鳴らした。その瞬間、ダーク・アイロニストのすぐそばに、巨大な|鉄の処女《アイアン・メイデン》が姿を現した。
「手品を披露しよう」
「き、貴様ら、何をするつもりだ!?」
 身の危険(色んな意味で)を感じたダーク・アイロニストは咄嗟に自身のユーベルコードを発動し、鉄の処女の破壊を試みた!

「何をするつもりか知らんが、こんなものは叩き潰してくれる!」
 蒸気を纏い、アイロンを振り上げて鉄の処女へと襲い掛かるダーク・アイロニスト。しかし、彼のアイロンが振り下ろされるよりも早く、鉄の処女の扉がギギイと開き、中からニコリネが飛び出した。
『|Virgin of Nuremberg《アイアンメイデン・イリュージョン》』
「ここからはリアルファイトよ! フラワー・マジック(物理)!」
 ニコリネはチチチ、と指を振った後、シャッター棒を勢いよく振り回し、ダーク・アイロニストをブッ叩いた!
「ふごぉ!」
 暴行を受けたダーク・アイロニストは吹き飛び、鉄の処女へと押し込められた。そして、鉄の処女の扉がバタンと閉じる。
 ザシュザシュザシュザシュ!!
「ぐああああ……!!」
 鉄の処女の内側から生えた無数の棘はダーク・アイロニストを串刺しにし、リアルなライフポイントを0にした。

 ――敗北したデュエリストに、神のカードを使う資格なし。
 どこからか厳かな声が響いたかと思うと、ダーク・アイロニストのデッキに稲妻が落ち、彼のデッキは燃え尽きてしまった。
「うわああああ!!」
 ダーク・アイロニストは悲しげに叫んだ後、ショックで放心状態になってしまった。勝負ありだ。

「神の力は無制限でも、君には底があったという訳だ」
「これにて一件落着ね! 恋人は募集中なんだけど! タイプじゃなかった!」
 
 こうして、戦争の神マリガンの力を操る闇のデュエリストは完全なる敗北を猟兵達に叩きつけられたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年01月15日


挿絵イラスト