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とある刑事の事件簿

#UDCアース #警察の協力者

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 辺り一面が血の海になって、その中央にセーラー服姿の女性が立っている。その手には、日本刀のような刃物が握られている。
 そんな通報を複数名から受けた警察は、現場へと急行した、が。

「……何もない?」

 その現場である廃工場は、一見すると何の異常もなかった。かと言って、通報は複数。この近くに住む主婦や廃工場を溜まり場としていた不良達、近くの道路を散歩コースにしていた高齢者。
 不良達だけであれば薬をやっていたのかと、高齢者だけであれば認知症なのではないかと疑う所であるが、気のせいだとか幻覚だとか思い込みだとか言い張るには、無理がある。無理はある、が。

「ふぅん……アヤシイ事件だこと」

 そう呟くのは、都城・あやめという三十代の女性刑事であった。彼女は所謂いいとこのお嬢様であり、揉み消したい事件やなかった事にしたい違和感も、無視する事の出来ない独善的な正義感と暴走気味な好奇心とを持っていた。しかしそれ故に、彼女はこの世界の異常性に気が付いていた。
 そして彼女はつい先日、その秘密の末端に触れた。UDC組織の職員と名乗る者達に聞いた話は、確かに彼女の長年の違和感を裏付けるに足るものだった。
 だから、協力者となる事を決めたのだ。彼女の正義と、好奇心の為に。

「これは、例の組織絡みの事件かもしれないわね」

 あやめの呟きは、誰に聞かれることも無く、ただ夜の闇に溶けて消えた。


 UDC組織に、最近警察の協力者が出来たらしい。UDC組織はその内の一人である都城・あやめからの情報提供を受け、UDC怪物による事件である可能性が高いと推察した。

「その事件は間違いなくUDC怪物によるものです。このままではいずれ、もっと大きな被害を生んでしまう。皆さんには、都城刑事がいる事件現場へと向かって、捜査を行なってもらいます」

 グリモアベースで、集まった猟兵達へとプルミエール・ラヴィンスは事の経緯についての説明と今回の依頼内容についての説明を行っていく。

「この現場には間違いなくUDC怪物がおり、警察を含め獲物となる人が廃工場に入ってくるのを待っています。今現在、都城刑事の働きかけもあり、現場は立ち入り禁止となっています。今の内に施された感覚阻害を乗り越え、元凶のいる場所を探し出し、撃破して来てください」

 工場は今は物置のようになっている大きな作業スペースが一つと、事務所や休憩室、更衣室などに使われていた部屋が四つ。
 全体の面積としてはサッカーコート一つ分くらいになるらしい。

「貴重な協力者です。彼女や、他の警察が被害に遭わないよう、よろしくお願いします」


秋野

 今回は全3章となります。

●第1章
 都城刑事と接触し、工場の捜査を行います。

●第2章
 元凶となっているUDC怪物を倒します。第1章の展開次第では、都城刑事を始めとした警察関係者を守りながらの戦闘になる可能性があります。

●第3章
 湧き出たUDC怪物との集団戦となります。こちらも展開次第では警察関係者を守りながら戦う必要が出てくる可能性があります。
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第1章 冒険 『何もおかしくない……はず?』

POW   :    自分の頭へ強烈な衝撃を与えてみる。

SPD   :    不審点を改め、違和感を炙り出す。

WIZ   :    護符や結界で自身への干渉を跳ね返す。

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

霹靂・公主
ふっふっふっ
この超絶美少女にして仙女たる妾を、果たして欺くことができるかのう

近隣住人からの通報が相次いでおり、廃工場の中に直接、立ち入っておらぬ者まで目撃しておるとなれば――実際の現場は外部からでも目撃できる場所、すなわち、入り口付近じゃろうな

こそこそと隠れるのは性に合わぬ
妾は正々堂々と正面から廃工場に踏み入るのじゃ

いかに妖しげな術によって隠蔽されていようとも、妾の目には全てお見通しじゃぞ

妾は雷を通して世界を視るのじゃ
当世の言葉だと、これを〈電磁波レーダー〉と呼ぶのかの

確かに妾の目には見えぬ――というよりは異常と認識は出来ぬがの
電磁波の反響が、妾に隠されているものの正体を教えてくれるのじゃ!


メル・メドレイサ(サポート)
時計ウサギのマジックナイト×パーラーメイド、15歳の女です。
普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、演技時は「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

戦闘スタイルは多種の属性を扱う魔法使い
武器に魔法をかけ戦うこともできます

依頼にちなんだ品を給仕することを好み、味方には有効なもの、敵には嫌がらせ用のものを渡します

あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


ミーヤ・ロロルド(サポート)
『ご飯をくれる人には、悪い人はいないのにゃ!』
楽しいお祭りやイベント、面白そうな所に野生の勘発動させてくるのにゃ!
UCは、ショータイムの方が使うのが多いのにゃ。でもおやつのUCも使ってみたいのにゃ。
戦いの時は得意のSPDで、ジャンプや早業で、相手を翻弄させる戦い方が好きなのにゃよ。

口調だけど、基本は文末に「にゃ」が多いのにゃ。たまににゃよとか、にゃんねとかを使うのにゃ。

食べるの大好きにゃ! 食べるシナリオなら、大食い使って、沢山食べたいのにゃ♪ でも、極端に辛すぎたり、見るからに虫とかゲテモノは……泣いちゃうのにゃ。
皆と楽しく参加できると嬉しいのにゃ☆

※アドリブ、絡み大歓迎♪ エッチはNGで。


李・麗月
ふぅん、殺るだけ殺ってバレないようにするなんて小心者ねぇ。
隠蔽を破って元凶を捕まえれば良いのねぇ、わかったわぁ。

現場に入ると何も無いと認識を改ざんさせようとする感覚を感じたのでそれをカウンターハックして仙術で打ち破るわぁ。
都城刑事ちゃんもそれで正常に認識できたなら問題ないけど駄目なようなら
指定コードで魅了して強力に上書きして認識阻害を破れないか試してみましょう。
……破れたなら良いけど好かれてべったりくっついてくるのは参るわねぇ、しかたないけどぉ。

(魅了を試みるのは認識阻害を破れなかったらでカウンターハックで破れたなら行いません、仕方ないからやってみたなので)



 事件を捜査する者が来るので、通すように。
 UDC組織からの連絡を受け、現場を封鎖するだけして待機していた都城・あやめ刑事達の前に現れたのは、事件の調査にやってきた猟兵達であった。

「ふぅん、殺るだけ殺ってバレないようにするなんて小心者ねぇ」

 そう言いながら現場の廃工場の入り口へと視線を向ける李・麗月(《蠱惑娘娘》・f42246)に、あやめが小さく頷く。そんな彼女に、他の警察官達は怪訝そうな顔を向けた。

「都城さん……こいつらがさっき言っていた専門家の方々ですか?」

「ええ。私が知る限り、この事件を解決出来るのは彼女達しかいないわ」

 こくりと頷いたあやめに、警察官達は眉間に皺を寄せ、胡散臭いと互いに囁き合う。

「その気持ちはわかるわ。でも……そうね。疑うのは一通りの調査が終わってからでも遅くないでしょう? さぁ、入って」

 そう言って猟兵達を現場へ通そうとするあやめに、警察官達は声を荒げる。

「しかし現場が荒らされては……!!」

「みなさん、お疲れ様ですぅ♡ 差し入れですぅ♡」

 今にも猟兵達を追い出さんばかりの勢いの警察一人の前にひょこりと顔を出したのはメル・メドレイサ(蕩けるウサメイド・f25476)。その露出の多い奇抜な格好に固まる彼にメルが差し出したのは、あんぱんと缶コーヒーだった。

「あ……えと、ありがとうございます……」

 出鼻を挫かれた警察官ににこりと微笑みかけ、メルは次々と警察官に張り込みのお供を配っていく。

「今の内にゃ!!」

 隙を突くように隙間にするりと身を滑り込ませたミーヤ・ロロルド(にゃんにゃん元気っ娘・f13185)。

「妾も正々堂々と正面から廃工場に踏み入るのじゃ」

 その後ろを霹靂・公主(紫電拳・f42319)と麗月がついていく。メルのあんぱんに気を取られ、そんな3人の様子にあやめ以外の警察官達は気が付かなかった。

「ん……んん? どうなってるにゃ?!」

 しかし、誰より先に廃工場の入り口に辿り着いたミーヤは、そこにあると思われる異変に気付くことが出来なかった。

「何もないにゃ?」

 首を傾げるミーヤに、公主が首を横に振る。

「いや……事件は間違いなく、ここで起こっておる」

「でも見えないにゃ。ミーヤには何も起こってないようにしか見えないにゃ」

 眉間に皺を寄せて顔を顰めるミーヤに、公主は肩を竦めて笑った。

「近隣住人からの通報が相次いでおり、廃工場の中に直接立ち入っておらぬ者まで目撃しておるとなれば――実際の現場は外部からでも目撃できる場所、すなわち、この辺り。入り口付近じゃろうな」

 公主の推理に、麗月も同意を示し、それからくるりと振り返る。視線の先には、あやめがいた。

「私もそう思うわぁ。ねぇ、都城刑事ちゃん。あなたも見たいでしょう?」

「それが可能であるのなら、勿論」

 頷くあやめが3人の後ろにまで辿り着いたそのタイミングで、麗月がゆっくりと廃工場の中へと歩みを進めていく。それと同時に、彼女は自身の認識を阻害しようとする何者かの気配を感じ、そして。

「させないわよ」

 カウンターハックで仙術を発動させる。ぐらりと、視界が揺れた。その隙間に見えたのは血液で真っ赤に染まった地面と壁。そして、鋭く輝く、銀色の刃。

「っ!!!!」

 目を見開くあやめが見たのは、赤い瞳。その瞳が、僅かに弧を描き──。

「妾の目には全てお見通しじゃぞ」

 その赤い瞳と鋭い刃が、歪みの向こうへと消えていく。日常に覆い隠されかけたそこへ、公主が手を伸ばす。そして放たれたのは電撃── |紫電網《シデンモウ》である。

「確かに妾の目には見えぬ――というよりは異常と認識は出来ぬがの。電磁波の反響が、妾に隠されているものの正体を教えてくれるのじゃ!」

 公主の振るった拳が纏うのは、紫電と化した龍神の闘気。その一撃は、皆の視界を覆う日常をまるで紙のように破り捨てる。

 その向こうで楽しそうに笑っていたUDC怪物は、血液のような赤い瞳と艶やかな黒い瞳を持った、セーラー服の少女の姿をしていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『血肉に餓えし妖刀の影』

POW   :    すぐに殺してしまっては勿体ない
自身の【時間をかけてなぶり殺しにたいという欲求】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    さあ、踊れ踊れ!
【血に酔いしれた剣鬼】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【妖刀による攻撃】を放ち続ける。
WIZ   :    末端から、時間をかけて、少しずつ
【妖刀の刃】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。

イラスト:ちくみそ

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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠田抜・ユウナです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ロビン・バイゼ(サポート)
「困っている人を助けたい」と強く願う少年。
時には自身を犠牲にしてでも助けようとします。

アイテム・技能・UCは状況に応じて好きなものを使わせて構いませんが、拷問具や拷問系UC・咎力封じは基本ヴァンパイア・闇の種族にしか使いません(逆に両者に対してはよく使用)

絵を描くのが好き。でも描く絵はピカソや岡本太郎のような抽象画。だいたい何描いてあるか分かりません。
基本無表情。何があっても表情変わりませんが、芸術的なもの・博物館・拷問具を見ると瞳が輝きます。
「…」や「、」多めの喋り方。
好きに使ってください。よろしくお願いします。

台詞例
「……びっくり、した」
「……すごい」
「……少しは、役に……立てた、かな」


北条・優希斗(サポート)
『敵か』
『アンタの言う事は理解できる。だから俺は、殺してでも、アンタを止めるよ』
『遅いな』
左手に『蒼月』、右手に『月下美人』と言う二刀流を好んで戦う剣士です。
自らの過去を夢に見ることがあり、それを自身の罪の証と考えているため、過去に拘りと敬意を持っております。その為オブリビオンに思想や理想があればそれを聞き、自分なりの回答をしてから斬ります。
又、『夕顔』と呼ばれる糸で敵の同士討ちを誘ったり『月桂樹』による騙し討ちを行なったりと絡め手も使います。
一人称は『俺』、口調は年上には『敬語』、それ以外は『男性口調』です。
見切り、残像、ダッシュ等の機動性重視の回避型の戦い方をします。


諏訪野・みすず(サポート)
とにかく突撃して、ボスをぶっ飛ばします。「みすずちゃんにはパパ以外は、勝てないよー!」「このままじゃマズいよね」アドリブ、共闘歓迎です。


霹靂・公主
ふっふっふっー!

剣鬼か
貴様の剣、果たして妾の命に届くかのう

妾の〈功夫〉たる紫電拳を見せてやろう
竜神の肉体を〈気功法〉により〈硬化〉し、〈怪力〉を引き出せば、それは如何なる武具にも勝る無双の肉体となるのじゃ

武術を極めた妾の歩法は、空中を、地面も同様に蹴り付けて跳躍できるぞ

空中を縦横無尽に〈ジャンプ〉しながら華麗に駆け回り、〈電撃〉を纏う一撃を叩き込んでやろう

この妾と、空中で戦おうなどとは、身の程知らずにもほどがあろう
戦場の制空権は妾のものじゃ

貴様は無様に墜落るがよい!


李・麗月
ふむふむあの娘が犯人なわけねぇ、妖刀に操られてるって感じかしらぁ。

まず魅了と催眠の視線を送って妖刀を手放すように仕向けてみるわねぇ。
完全に洗脳を解いたりはできないかもだけど動きを鈍らせたりはできるでしょぉ。
そこで指定コードを用いて動きを封じると同時にユーベル・コードを封じるわぁ。

斬られたってすぐもとに戻るから無駄だからねぇ、動きを封じたら
魅了と催眠を強くかけて今度こそ手放させるわぁ。
地面に落ちた妖刀は月麗天牙を大鋏に変形させて折っちゃいましょう、危ない代物はバイバイねぇ。



 異様な殺気を放ちながら、微笑む彼女は、ただただ猟兵達を見つめている。

「ふむふむ……あの娘が犯人なわけねぇ、妖刀に操られてるって感じかしらぁ」

 呟く麗月ではあるが、しかし何となく違和感がある。

「うむ……面妖な奴じゃな」

 公主は呟く。そして、むむむ、と眉間に皺を寄せて少女を睨め付け、考える事数秒。

「こやつ剣鬼か……いや、妖刀じゃな。あの少女自体に、命はない」

 そう結論を出した公主に、麗月も合点がいった。なるほど、この違和感の原因はつまり、そこにあるのだ。

「どちらにしても、妖刀を分離させるのは良い手かしら?」

 効くか効かないかはわからないが、やってみて損はないだろう。魅了と催眠の視線を送ってみるが、少女はくすくすと笑うばかり。

「やっぱり難しかったわね」

 そんな猟兵達を前に、あやめの判断は早かった。

「皆退避だ。私達は現場の封鎖に努める。ここに何人たりとも立ち入らせるな!!」
「し、しかし……少女が、中に……?」

 ちらりと隙間から見えた姿に、その場の刑事が戸惑いの声を上げるが、あやめは一蹴する。

「あいつは少女などという生優しいものではないぞ!! 我々の手に負える者ではない!! 急げ!!」

 尋常でない剣幕のあやめに気押され、刑事達は走って倉庫から離れていく。

「おや……逃げてしまうのか? もっと楽しもうじゃないか」

 耳障りの悪いひび割れたような声が、少女──いや、妖刀の口元から漏れ聞こえる。と、次の瞬間。

 ダンッ、と打ちっぱなしのコンクリートの床を蹴る音と共に、風を切って倉庫から飛び出そうとする妖刀。だが、しかし。

「みすずちゃんが逃がさないよー!!」

 レガリアスシューズで華麗に倉庫を駆け抜けた諏訪野・みすず(不思議系ダンサー・f00636)は、そのまま蒸気エンジンで勢いを付け、半回転するように蹴りを放つ。

「っ!!!!」

 咄嗟に半歩身を引き、衝撃を殺した妖刀。

「ふふ……ふひっ……!!」

 しかし次の瞬間、刃がきらりと翻る。攻撃された衝撃をも利用したその一閃が、みすずへと振り下ろされる。

「遅いな」

 聞こえた声は、直ぐ近くに。
 次の瞬間、キィン! と金属と金属とがぶつかる音。咄嗟に退避したみすずと妖刀との間に身を滑り込ませたのは、北条・優希斗(人間の妖剣士・f02283)。彼の二刀の刃が、殺意に満ちた一閃を受け止めた。

「我が剣を防ぐなど……身の程知らずめ。末端から、時間をかけて、少しずつ……殺してやる」

 口元を笑みの形に歪めたままの妖刀は、そのまま間髪入れずに斬撃を放つ、が。

「悪いな。この蒼穹の瞳なら未来を読める……!」

 蒼穹の瞳で攻撃を避けた優希斗に、妖刀の表情に少しだけ、動揺が走る。

「何……」

 その隙を見逃さず、優希斗の振るった刃の片方は防がれたが、もう片方は妖刀の脇腹を抉る。

「チッ……!!」

 まるで人のように舌打ちをしながら数歩飛び退る妖刀へと、ロビン・バイゼ(芸術と鮮血・f35123)は巨大絵筆を手に距離を詰める。

「あなたは…………たくさん、殺す……から……」

 着地した瞬間を狙い、振り上げた巨大絵筆を振り下ろす。

「……芸術は……剣より……強い」

 コンクリートをも砕く一撃を受けた妖刀の写した少女の姿は、見るも無惨にへしゃげている。だが、身体を犠牲にしたが故に、当の妖刀はダメージこそ負っているものの、無事であった。
 カタカタカタカタ、と揺れる妖刀と、それに繋がる細腕が、歪にひしゃげ、そして。

「さあ……踊ろうか……!!」

 きひひ、と軋んだように笑いながら、血に酔いしれた剣鬼に姿を変じた妖刀は、上空へと飛び上る。

「この妾と、空中で戦おうなどとは、身の程知らずにもほどがあろう」

 その姿に、公主はふんと鼻を鳴らす。そして、自身の脚へと気を貯め、地を蹴ると、そのまま1歩、2歩と虚空を蹴る。

「妾の脚は空を蹴れるのじゃ」
「くふ……っ!!」

 その姿を嘲笑う剣鬼は、周囲一帯へと妖刀による攻撃を放ち続けるが、しかし。

「大した事は無いのじゃな……!!」

 竜神としての肉体を気功法で硬化した公主には、速度を重視した斬撃など蚊が止まる程の衝撃にしか思えない。一気に距離を詰め、公主は拳を振り上げる。そして。

「貴様は無様に墜落るがよい!」

 公主の拳が、剣鬼の顔面を捉えた。そのまま力の限り振り下ろした拳により、剣鬼は勢いよく地に落ちていく。

「この程度で我が屈するとでも……」

 土煙と衝突音と共に割れたコンクリートに叩きつけられた剣鬼は、笑みを消さぬままゆっくりと身体を起こす。そんな剣鬼へと、麗月の黒鞭が伸びた。

「暴れないで大人しくしててねぇ」
「ぐっ?!」

 身体を捕縛された剣鬼は、自身の身体が少女の姿へと変わっていくのに気が付いたが、時既に遅し。

「あなたは折っちゃいましょう。危ない代物はバイバイねぇ」

 月麗天牙を変形させた大鋏が、本体である妖刀を挟む。めきめきと音をさせて歪んでいく自身の身体に恐怖した妖刀。そして。

「ぐぉぉっ!!!!!」

 咆哮とともに最後の抵抗を試みた妖刀が、大鋏に引きちぎられる寸前に手首を捻り、間一髪隙間から逃れる。

「舐めたマネを……!!」

 刃溢れして歪んだ刃の切先は、猟兵達へと向けられていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

古賀・茉莉(サポート)
 人間の殺人鬼×魔女、14歳の女です。
 普段の口調は「口調:ボクっ娘(ボク、~君、だね、だよ、~かい?)
戦闘中はボクっ娘(ボク、~君、だね、だよ、~かい?)

他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
ジャンルは戦闘が特に好きです。
描写は自身の血みどろ、苦戦、スプラッタ、バイオレンス、内臓露出するくらいの負傷描写を特に好みます。
スキルは特に使わず武器のみで戦います。
よろしくおねがいします!


不破・静武(サポート)
年齢イコール彼女イナイ歴なので基本的な行動原理は「リア充爆発しろ」「リア充は死ね」です。オブリビオンは彼の中では全員リア充です。リア充に見えそうにないオブリビオンに対しては最初はやる気なさそうにしますが、状況を前進させる意思は一応あるので無理やり理屈をつけてリア充と決めつけます。一度敵とみなせば以降はもう容赦はしません。
オブリビオンに対しては基本的には『リア充ころし(焼却)』と『ガソリン』を併用して消毒という名の焼却を図ります。状況に応じて『リア充ころし(爆破)』や『リア充爆破スイッチ』等を併用して物理的にリア充爆発しろを実現させようとします。
見た目がやられ役なので逆襲くらう展開も可能です。


レイカ・ヴァンスタイン(サポート)
フェアリーの聖者×プリンセス、11歳の女です。

戦闘は苦手で援護や救助、支援など中心です。
武器は人間大の人形(銃火器持)ですので、運搬作業も可能です。
普段は悪戯(許せる範囲)で遊ぶ※戦闘とは別です。

普段の口調は「マイペース(ウチ、相手の名前+ちゃん、なの、なの?)」
苦しい時は「愛想笑い(ウチ、相手の名前+ちゃん、なの、なの?)」です
幼いので殆どひらがなで喋ってます。

・ユーベルコードは必要に応じて、多少の怪我は厭わず積極的に行動(支援中心)します。
・他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。公序良俗に反する行動はしません。悪戯も笑って許される範囲までです。
・あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


仲佐・衣吹(サポート)
キレイなもの、カワイイもの、ぶち壊そうなんて許さないんだから
バトルだって芸術よ。美しく戦いなさい!

お相手するはアタシことネイル
美術好きな女性人格よ

口調はいわゆる女言葉かしら
身のこなしが一番軽いみたいで
接近戦より距離をとってダガーで戦うのが好きよ
お気に入り技はシーブズ・ギャンビット

よく使う手は
外套を投げつけて囮や目暗ましからの一撃
ルーンソードで戦ってる途中で手放して虚を突き、袖口から隠し武器としてダガー
光属性を付けたルーンカルテを落としといて、タイミングを見て目潰しフラッシュ
こんなところかしらね

アイテムやユーベルコードはお好きに選んでくれていいわ
使えるものは全部使って、華麗に美しく戦いましょ!



「くっ……くふ、ふ……まぁ、こういうのも悪くはないな」

 刃毀れした自身を見やる妖刀の影たる少女の瞳や口振は、とてもじゃないが正常とは言い難い。いや、元々が常軌を逸した存在ではあるのだが。

「それは、どういう意味かしら?」

 一気に距離を詰める仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)の人格の一人であるネイル。彼女は黄砂色の外套を妖刀へ向かって投げると、その隙に逆側へと身体を滑り込ませる。そして、そのままダガーを一閃。妖刀と、それが操る身体へ向けての一撃に、ぐらりと身体が傾く。
 元より満身創痍の状態なのだから、もう限界は近い筈。
 だが、しかし。

「そのままの意味だよ……楽しいだろう? 戦うのは」

 喉の奥で笑いながら、妖刀は身体に引っかかった外套を投げ捨てる。

「それには同感だよ。気が合うね」
「っ!!!!」

 脱ぎ捨てた外套に遮られた視界の向こう側から距離を詰めたのは古賀・茉莉(人間の殺人鬼・f33080)。可愛らしい少女の外見とは裏腹に、その実戦いを求める彼女にとって、妖刀のそのスタンスは理解出来るものだった。

「甘い……それで虚をついたつもりか?!」

 妖刀は、嘲笑うように毀れた刃を茉莉の肩口付近へと突き出す。

「末端から、時間をかけて、少しずつ…………嬲り殺しにしてやろう」

 咄嗟に左手の前腕でその刃を受けた茉莉は、刃が刺さったままに右手で黒星ノ双剣を振るう。その刃は確かに妖刀へと届くが、茉莉のダメージも軽くはない。

「へぇ……結構やるじゃん」

 破壊効果により使い物にならなくなった前腕こら妖刀が引き抜かれる。弧を描き飛び散る血液に、妖刀は愉快そうに目を細める。
 しかし、ネイルと茉莉の攻撃とそれまでのダメージにより、かなりの消耗があるのは間違いない。

「今です!!」

 レイカ・ヴァンスタイン(銀光精・f00419)は周囲に展開していた和装人形の彩光隊を操り妖刀へと攻撃を仕掛けつつ、自身は一旦数歩退いた茉莉へと駆け寄る。

「ウチがしっかり癒しますの!!」

 彩光隊が出来る範囲で攻撃を仕掛けている間に、レイカは雪明で茉莉の傷を癒していく。だが、レイカが並列処理出来る範囲の攻撃では妖刀の動きを止めるのは難しく。

「はは……この程度で倒せると思っているのならば、甘い考えだと言わざるを得んなぁ」

 大きく振った刃は、彩光隊を蹴散らす。

「っ……ぐぅっ……!!」

 満身創痍ながら艶やかな笑みを浮かべる妖刀の影の姿。それを見た不破・静武(人間の非モテの味方・f37639)は、ギリギリと奥歯を噛み締める。これだけの美人、絶対に……リア充だ。

「リア充めぇ…………!!」

 怒りが頂点に達した静武は、彼がリア充ころしと呼ぶ、所謂火炎放射器を構え、そして。

「リア充は消毒だ~~!!」

 放った炎は、妖刀だけを選別して燃え上がる。轟轟と燃え盛る炎の向こうからネイルが投げたダガーは、妖刀で叩き落とされた。

「小賢しい……」

 怒りに燃える瞳をネイルへと向けた、その時。

「楽しかったけど……そろそろ終わりだね」

 傷を癒した茉莉が、そう笑う。
 殺意を隠さないその愛らしくも壮絶な笑みに、妖刀が────恐れを、抱いた。
 その感情の揺れを、茉莉は見逃さなかった。

「3秒だけ慈悲をあげるね」
「く、くそがァッ…………!!!!」

 炎に巻かれつつも、胸に沸いてしまった恐怖を振り払おうと叫ぶ妖刀ではあるが、一度認識してしまった感情を消し去るのは至難の業である。

「さようなら。楽しかったよ」

 炎に包まれてその身を焼かれながらも、妖刀は執念で地を蹴り、駆け出す。そんな妖刀の決死の思いで突き出した刃が、茉莉に届くより先に。

「ぐがっ……あ……っ!!」

 茉莉へと突き出された妖刀本体を、茉莉が召喚した名もなき殺人鬼の影の捨て身の一撃が砕いた。

「お前…………っ、殺してや…………る………………」

 怨嗟の声を残し、ばらばらと崩れ落ちて燃え落ちていくその姿は、まるで冬の夜に降る雪のようだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 集団戦 『ルリハ』

POW   :    セカンダリー・インフェクション
自身に【病源体】をまとい、高速移動と【病源体】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    アウトブレイク
【伝染力の高い病源体】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    スーパー・スプレッダー
【病源体】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【にばら撒くことで】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:龍烏こう

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ぱたた、と鳥の羽ばたく音がする。

「鳥…………?」

 工場の方は見るなと部下に言った手前、自身も見ないようにしていたあやめだが、その唐突な音に思わず視線を向けてしまう。
 もう既に、とっぷりと日は暮れている。こんな暗い中、飛ぶ鳥がいるだろうか。そもそも、鳥は先程どこから出てきた? 工場の方だ。あの、怪物のいた────工場だ。

「ぐ……うぅ…………?」

 隣にいた刑事が、呻きながら膝を突く。

「どうし……ぁ……?」

 ぐらり。
 世界が揺れている。いや、違う。これは、私が…………傾いて、いる。

「う、ぅ…………っ」

 気が付けば、辺りは美しい青い鳥でいっぱいだった。

────きれい、だ。

 場違いにも浮かんだ感想を自嘲しながら、あやめは瞼を閉じる。

 こうして辺りは、死した妖刀から生じた異空間から溢れ出したUDC怪物『ルリハ』が病を撒き散らす危険地帯と化したのだった。
寺内・美月(サポート)
アドリブ・連携歓迎
※エロ・グロ・ナンセンスの依頼はご遠慮願います。
・依頼された地域に亡霊司令官(顔アイコンの人物)と隷下部隊を派遣。美月がグリモアベースから到着するまで(サポート参加では現地にいない状態)、現地での活動に必要な権限を付与
・基本は一個軍団(歩兵・戦車・砲兵・高射・航空・空挺のいずれか)に、出動しない軍団から一個師団程を増強し派遣
・戦力不足の恐れがある場合は、上記の兵科別軍団を二十~三十個軍団ほど増派し派遣軍を編成
・敵に対し砲兵・高射・航空部隊の火力、戦車・空挺部隊の機動力、歩兵部隊の柔軟性を生かした戦闘を行う
・他の猟兵の火力支援や治療等も積極的に行い、猟兵の活動を援護


木村・綾女(サポート)
 竜神のゴッドハンド×陰陽師、27歳の女性で木村綾女と申します。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、敵にたいしては「冷たい口調(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


アイクル・エフジェイコペン(サポート)
猫っぽい舌足らず口調にゃ。こんにゃ感じで、末尾だけじゃにゃくて途中にも入れてほしいにゃ。めんどいならなくてもいいけど。
ちなみに機嫌悪い時は「に゛ゃ」って濁点入る感じにゃ。

正直状況とかよくわかってにゃいけどなんとなく気に入らない顔してるからぶっ殺すに゛ゃ。
パワーイズジャスティス。真正面から行っておもいっきり攻撃するのみにゃ。ユーベルコードは何使ってもいいにゃ。

基本はむちゃくちゃ猫かぶってかわいい子演じてるものだから、なるべくスマートに『せーとーはなれでぃー』的な感じで戦おうとするけど、むちゃくちゃ怒ったら地が出てむちゃくちゃ口が悪くなる。
「ぶっ殺おおおおおおす!●ぁぁぁぁぁぁっく!!」


李・麗月
きれいな薔薇には棘があるというけれど物騒な鳥ちゃんねぇ。
武神様を呼んで一つになって病原体による侵入を軽減しつつ衝撃波でバッサバッサと落としていくわぁ。
催眠と魅了が効くなら逃げ回らないように大人しくさせていくわねぇ。

周りの人はまぁ頑張ってねぇ、できることないしぃ。
さっさと元凶をぶっ倒して病原体が増えるのを止めるぐらいかしらぁ



 ぱたた、と宝石を思わせる綺麗な青い羽を羽搏かせ、舞うように飛ぶルリハ達に、麗月は肩を竦める。

「きれいな薔薇には棘があるというけれど物騒な鳥ちゃんねぇ……」

 ちらと視線を向けた先のあやめを始めとする警察関係者達は、未だ苦しそうに倒れ伏したままである。息絶えた者ががいなさそうなのは不幸中の幸いで、日頃鍛えている警察官だからこその現状だろう。ルリハから撒き散らされているらしい病原体に犯されれば、猟兵とて辛いだろうし、それが例えば高齢者や体力の無い者達であれば被害はこの比ではないに違いない。

「まぁ頑張ってねぇ、できることないしぃ」

 自分に出来る事と言えば、被害が広がる前にさっさと元凶をぶっ倒して病原体が増えるのを止めるぐらいだ。それを理解している麗月。

「武神様、お力を貸してくださいねぇ」

 そして武神の霊を降臨させた麗月。これで少しは病原体の影響を軽減させられると良い、と思いつつ、その視線をルリハへと向ける。ダメ元で試した催眠術と魅了に関しては、催眠術がいくらか効果があるようだった。

「動かないでくれるなら、いくらかやりやすいわぁ」

 にこりと笑い、麗月はその身から衝撃派を放つ。

「なるほどね……多少動きが鈍っているわ。今のうちね」

 麗月の催眠術でいくらか動きが鈍っている個体がいるうちに、と木村・綾女(竜神のゴッドハンド・f42122)は完全竜体に変身する。勿論、だからといって病原体の影響が無い訳ではないのだが、身体が大きいからかいくらか病原体に対して抵抗出来ているように思える。綾女はそのまま上空へと飛び立つと、巨大に圧倒されたのか風圧で退かされたのか、上空を飛び回っていたルリハ達は道を譲るように彼女の周囲からいなくなる。

「はぁっ!!!!」

 気合いともに、綾女はルリハ達に覆われた周囲へと、雷を放ったのだった。

 雷と衝撃波に晒されて、ルリハ達の動きは鈍くなり、いくらか数が減っている。それを見て動き出したのは寺内・美月(霊軍統べし黒衣
の帥・f02790)に忠誠を誓う亡霊司令官と隷下部隊。彼らは統率された動きで倒れた警察達を助け起こし、そのまま戦闘区域外まで運び出し、治療を施していく。

 とはいえ、ルリハを根源とする病原体自体を決してしまえる訳ではない。しかし、安全な場所に避難させる事と彼らの命を保たせる事は不可能ではない。亡霊司令官の判断は的確にして迅速であった。
 美月にこの場を任された者として、恥ずかしい働きは出来ない。亡霊司令官とそれに従う兵達は、ただひたすらに猟兵達の手が回らない救助活動を行っていくのだった。

「う〜…………ちょーしが悪いに゛ゃ〜〜……!!」

 アイクル・エフジェイコペン(クロスオーバー三代目・f36327)は怠くて重たい身体に不機嫌そうに眉間に皺を寄せる。

「頭も痛いしなんか熱も出てるような気もするに゛ゃ……!!」

 元の体力を始めとする身体能力の差で警察官達のように倒れたりはしないが、だからと言って辛くない訳では無い。
 状況の分析や判断といった細かな頭脳労働は苦手なアイクルではあるが、あの青い鳥達が悪いという事は理解出来ている。なんせあいつらが飛び始めてから調子が悪くなったのだ。出てくる時は元気だったのに。
 思い切り動けないなんて、腹立たしいばかりだ。
 イライラするアイクルに駆け寄ってきたのは、避難がひと段落した美月の兵達。あとは回復を続けるのみとなったので、亡霊司令官の判断で部隊を分ける事にしたらしい。

「回復してくれるにゃ?」

 治りはしないが、体力を取り戻したアイクル。その頃には、かなりの数のルリハが雷を受けたり衝撃波を受けたりして、まだ死んではいないもののかなりダメージを負って地に転がっている。

「飛んでる時は面倒臭いけど、地面にいるにゃら話は別にゃっ!!!!」

 アイクルはバトルアックスを振り上げて、そして。

「ぶっ●おおおおおおす! ●ぁぁぁぁぁぁっく!!」

 体調不良も相まって不機嫌と怒りが臨界点を超えたアイクルは、とてもじゃないが良い子にはお聞かせ出来ない、正統派レディーにあるまじき罵詈雑言の数々を吐き出しながら、弱ったルリハ達を無差別に屠っていく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

夜城・さくら(サポート)
キャバリアでの戦闘をメインに。
『オーバーフレーム換装』では、装甲を犠牲に攻撃力か射程を上げて仲間を援護するように攻撃します。【スナイパー】技能使用。
手数が必要な時は『無限射撃地獄』です。敵がビット攻撃してきた際には相殺するように展開することも。

キャバリア以外では、『ギタギタ血まみれの外科手術』で仲間の治癒と戦闘力増強に励みます。
「ちょっと痛いですよ? でも大丈夫。すぐに元気すぎるくらいになりますからね」
笑顔でノコギリを振るいます。大丈夫怖くない怖くない。


隣・人(サポート)
『目が回るほど殺してやるわ』
バーチャルキャラクターの殺人鬼 × ヴィジランテ
年齢 25歳 女
外見 158.4cm 赤い瞳 茶色の髪 色白の肌
特徴 囚われていた 奴隷だった 改造制服 アンニュイ 不健康な顔立ち
口調 ビハインド(私、アンタ、ね、よ、なの、かしら?)
嘘をつく時は 幽閉中(自分の名前+ちゃん、てめぇ、ね、よ、なの、かしら?)

人型のオブリビオンを相手にする事を好みます
好きな殺し方は撲殺、得意な殺し方は斬殺
相手の平衡感覚を奪って一方的に殺したい

ギャグっぽいユーベルコードの際は口調・幽閉中
🌈シャワーも好いぞ

あとはおまかせ、宜しくお願い致します


ルドルフ・ヴァルザック(サポート)
「フゥーハハハ!(こ、この場は笑ってごまかすしか……)」
◆口調
・一人称は我輩、二人称はキサマ
・傲岸不遜にして大言壮語
◆性質・特技
・楽天家で虚栄心が強く、旗色次第で敵前逃亡も辞さない臆病な性格
・報復が怖いので他人を貶める発言は決してしない
◆行動傾向
・己の威信を世に広めるべく、無根拠の自信を頼りに戦地を渡り歩く無責任騎士(混沌/悪)
・何をやらせてもダメなヘタレ冒険者だが、類まれな「幸運」に恵まれている。矢が自ら彼を避け、剣先が届く前に毀れ、災難は紆余曲折で免れる
・臆病な性質も見方次第では生存本能と言えなくも……ないよね?
・コミックリリーフ役にお困りならば、彼が引き受けます(但し公序良俗の範囲内で)



 ぱたりぱたりと、ルリハ達はまるで美しい花弁のように、コンクリートに落ちて青色が広がっていく。その数が減ると比例して、病に侵された警察関係者達の顔色も徐々に良くなりつつあるが、中には今にも死に絶えそうな程に息も絶え絶えな者もいる。
 元の体力の差なのか、それとも抵抗力の差か。他の猟兵達が施した治療の効き具合やコンディションの差など、諸々複合的な要因があるように思えるが、それはそれとして。

「うーん、この感じ……あやめさん、なんだか結構ピンチっぽいですね……」

 夜城・さくら(不思議ちゃんの量産型キャバリア・f30006)が駆け寄ったのは、一際具合が悪そうに見えるあやめだった。どうやら彼女は仲間や部下達を優先して治療させた挙句、症状が悪化したらしい。

「私は……良いわ……。例の組織関係の事件に、リスクがある事は、わかっていた……それなのに、みんなを、安全な場所まで……退避させられなかったのは…………私の、落ち度よ…………」

 秘匿されているUDC怪物について知る協力者として、知らぬものを守る義務があったと、彼女は言う。しかし、彼女は彼女で出来る範囲の事はしたし、だからこそ今この時まで犠牲者が一人も出ていないのだ。
 そして何より、他の何も知らない刑事よりも、猟兵やUDC組織としては、あやめの方が重要度は上なのだ。とは、決して本人に伝えはしないけれど。

「他の皆さんはあなたよりも軽症ですから、安心して大人しく治療されてくださいね」

 人を安心させるような笑顔を浮かべるさくらに、少し考えたあやめは諦めたように息を吐く。

「じゃあ………お言葉に、甘えさせてもらうわ……」

 だがしかし、次の瞬間さくらが取り出した医療ノコギリを見て、あやめは目を見開いた。

「いや……それで治る、のかしら……?」

「うーん……感染症ですからね。ちょっとわかんないですけど……やってみないとわからないですこらね。さ、ちょっと痛いですよ? でも大丈夫。すぐに元気すぎるくらいになりますからね」

 さっきより更に真っ青になって、首を横に振るあやめの意思を無視して敢行されたギタギタ血まみれ外科手術により、結果として取り敢えず彼女の消耗した体力は回復し、施された身体強化により病原体への抵抗に成功したのだった。



「人型じゃないのね……残念……」

 言葉通り残念そうな雰囲気を漂わせる隣・人(22章39節六六六人衆・序列番外・f13161)に、居合わせたルドルフ・ヴァルザック(自称・竜を屠る者・f35115)は肩を竦める。

「まぁ、こいつらだってUDC怪物……オブリビオンなんだ」

 よくわからん病原体を撒き散らす得体の知れない相手とはいえ、自分より遥かに大きかったり硬そうだったりするよりはマシだ。内心ほっと胸を撫で下ろしつつ、ルドルフは小さく息を吐き、アリスナイト・イマジネイションで無敵の戦闘鎧を想像から創造した。能力に疑念さえ抱かなければ、その防御力は全てを防ぐ。例え、病原体であろうとも。ルドルフがそうと信じている限り。

「仕方ないわ……」

 気乗りしない様子の人ではあるが、現場を放棄するつもりはないらしい。

「外々大祭と生きましょうか――胎蹴って魅せろやこの狂気!!!」

 自身の目隠しを触れた者を眩ませる布に変形させた人は、跳躍して低空を飛んでいたルリハを小蝿のように順々に叩き落としていく。発動した六六六番外・隣人知案留殺人技芸変幻自在堂々眩愚理の効果により、ルリハ達は飛翔する事ができずに唯只管地に転がるのみ。

「ヒィッ……いや、大丈夫……大丈夫だ……っ!!」

 ぼとりぼとりとルリハの落下する着地点は所構わず……故に、ルドルフの上にも容赦なく落ちてくる。その度にびくりとするルドルフであるが、彼が信じる限り鎧は無敵である。

「早く……片付けないとな……!!」

 ランツェ・デル・フライハイトを落ちてきた小さいルリハ一体一体に突き刺して、トドメを刺していく。
 こうして地道な作業を続ける事暫し。
 ルリハ達は一掃され、警察関係者達を蝕んでいた病魔は消失した。まだ辛そうな顔をしている者もいるが、あやめを含めて全員、命に別状はない。

「私も含め、みんなの命を助けてくれてありがとう。奴らに対しての認識が甘い事がわかったわ。もし次があれば、こんな無様は晒さないわ」

 やや疲れた様子はあるものの、猟兵達を見送るあやめは前向きな様子だった。
 こうして、猟兵達の活躍により、協力者であるあやめを始めとする警察関係者、地域住民全てに被害を出す事なく、一連の事件は解決した。
 いつかまた、彼女と協力して事件の解決に挑む事もあるかもしれない。猟兵達はそんな予感を胸に抱きつつ、帰還するのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2024年02月03日


挿絵イラスト