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バトル・オブ・オリンピア⑧〜見かけなくなったよね

作者：にゃあら

●バット・エンド・運動会！
　バトル・オブ・オリンピアの会場、それはアスリートアース全世界に渡っており、その中には学校も含まれていた。その学校は運動会の為にだけ作られた建物であり、普通の生徒もたくさん通っているが授業などはまったく行われていない。そう！　此処はアスリートアースらしく、運動会好きによる運動会の為だけの学校なのだ！　そんな場所に突如して出現した超大人数のダーク化したアスリート！　嗚呼、これもダークリーガーによる攻撃なのか。運動会の種目で決着を付けるなら、問題ない！
　そうして選ばれたのは皆さんご存じぐるぐるバットである。
　何度もした気はするのだが改めて説明せねばならない！
　ぐるぐるバットとは！
　なんかこうアイドルとか芸人がやるアレである！！！
　因みに今回は運動会という事で『ぐるぐるバットを行い、最初にゴールした者の勝ちとする』！　その他スポーツのぐるぐるバットは運動会のやつじゃないから仕方ないね。

●グリモアベース
「あ……また。また勝手にルール変更されてるわ。いや、運動会の種目としてなら『それ』が妥当なんだけど。ううん……」
　なんかショックを受けているグリモア猟兵、吐院・ぐるめ。彼女の事はそっとしておいてあげよう。如何にか気を取り直して説明を始める。
「運動会をするわ。相手は超大人数の運動会チームを送り込んでくるの。猟兵だけじゃ対処しきれないから現地のアスリート達と協力してちょうだい」
「……運動会の種目は『ぐるぐるバット』よ。ええ、でも、残念なことに。『障害物競走』みたいになってるのよ。ぐるぐるバットして、目を回して、走って、最初にゴールした人の勝ちってやつね。それと、妨害は『あり』よ。まあ、目を回してたら妨害している余裕もないと思うけどね」
　グリモアが輝いて。
「それじゃ頑張って」

第1章 集団戦 『ビーチアスリート』

POW   :    爆裂、ジャイアントビーチスマッシュ！ 【ビーチボール】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。 SPD   :    多機能型水鉄砲 【高水圧砲】【ウォーターカッター】【粘着弾】を組み合わせた、レベル回の連続攻撃を放つ。一撃は軽いが手数が多い。 WIZ   :    変換、ビーチフィールド！ 【真夏の砂浜の砂】を降らせる事で、戦場全体が【真夏の砂浜】と同じ環境に変化する。［真夏の砂浜］に適応した者の行動成功率が上昇する。 イラスト：椿 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

　運動会――学校のグラウンドに押し寄せたのはダークリーガーにより統率された、超大人数のビーチアスリート達だった。彼女等はビーチで行われるスポーツの達人であり、勿論、その中にはスイカ割りも含まれる。だからこそ『ぐるぐるバット』での勝負を選んだのだろう。元気溌溂といった様子で冬とは思えない露出度を誇ってみせた。
　運動会アスリート達はちょっとだけ不安だった。近年では障害物競走の際、ぐるぐるバットは省かれる事が多くなったからだ。何故かと問われれば、そう、シンプルに危険なのである。組体操とか棒倒しとかは如何なのかって？　気にしてはいけない。
　兎も角、猟兵達よ。全力でぐるぐるバットを行い、彼女等よりも先にゴールへと辿り着かねばならない。因みにこの競技は妨害も可能な為、其方も注意すべきだが。そもそも、目を回している状態で妨害なんて出来るのか？　それと、今回は特別ルールとして『🌈は即失格』とされる。あと『三半規管の強化やめまいの無効禁止』らしい。
　面白くないからね、仕方ないね。


　ぐるぐるバットには様々な派生が存在している。そもそも、アスリートアースの古代においては神と同化する為の儀式だったのが、簡略化され、人々に馴染み易くなるのは当然とも謂えよう。うーむ、色んなアレンジに富んだ、懐の深いスポーツだねぇ。毒されてはいないか猟兵、花走・りな。ちょっと空回りしそうな気もしたが、病はなんとやらとも考えられる。今回のぐるぐるバットにも適応出来るように頑張らないとね♪　勝って兜の緒を締めよ。アスリートアースの日本にだってそんな諺が有るのだ。ホームランを決めた後でも平常心を保たなければならない。現地のアスリート達にアドバイスするなら、そうだね、🌈を恥ずかしがらないで全力で回ろう。きっと、努力の汗のように輝いて見えるはずだから。なんだろうか。先程から視線が、胡乱なものを見る目が刺さっている。オマエはやってしまったのだ。この、運動会の障害物競走の一部としての『ぐるぐるバット』はオマエがやってきたトンチキではないのだと。頭から抜け落ちていたのだ。あ、そうなんだね。試合前に教えてくれてありがとう。危なかった。目を回して盛大に🌈塗れにするところだった。
　レッツ・ゴー・サイクロン！！！
　兎にも角にもオマエは一番手だ。大量のビーチアスリートを横にしても尚、プレッシャーを跳ね除けられるのは流石、超人と謂ったところ。神様が見えるほど、神様に出会えるほど、ぐるぐる、ぐるぐる、全力で回り突っ走ることで、後続の皆に勇気を与えていく。いや、これは何方かと謂えば我慢出来ない笑いだろうか。自信満々な表情なクセに頭がまったくあがっていない。ああ、転んだ。やっぱり目が回るよ……でも……いつものぐるぐるバットよりはマシ……！　今までの経験と努力がものを謂うのだ、たとえ足元を掬われようと。私は絶対に負けないよ♪　臓腑がプルプル訴え掛けてくるがこらえる。
　ゴールテープを如何にか切って、同時、天よりお迎えがやってきた。
　虹色の彼方が救いのように思えて、真っ赤な神の回転を知った。
　これがあの子の言ってた、神様との……ぉ。

成功 🔵​🔵​🔴​

　ファンサービスを忘れてはいけない。
　心の底からアイドルが滅茶苦茶になっているのを観てみたいのだ。
　視聴者の声に応えよ。
　踊った。踊って踊って、踊って、踊り続けた。等活地獄に墜ちた罪人が如くに、十字架を背負った囚人が如くに、踊って踊って踊って、踊り回った。それに歌まで付いてくるのだから、常人で在れば、そろそろ狂っても可笑しくない頃、オマエは地獄とやらを天国に変えた。あや……あやややややややや～～～～！　レッツ・ゴー・サイクロンなんて掛け声は一分くらい前に終えていた。オマエは全力全開で偶像を、アイドルを遂行し、壊れた独楽のように回転していたのだ。お目々ぐるぐるぐるぐるな藍ちゃんくんなのでっす！！！　目を回さない技術も身に着けている藍ちゃんくんなら、即ち、逆にどうすれば目を回すのかも理解しているのでっしてー。それは本当だろうか。通常、回転に慣れてしまった人間は衰えぬ限りツヨツヨな儘の筈。いや、突っ込んではいけない。何故ならばオマエは猟兵なのだから。これで藍ちゃんくんもふらふらなのでっすよー！　しかし、頭グラグラ身体フラフラおめめぐるぐるだと謂うのに、随分と元気そうではないか。気分が悪いという事はなさそうなので、あとは駆け抜けるだけ……。おお、見よ、目を回していても改めよ、ビーチアスリートが巨大な巨大なビーチボールを投げ……いや、あっちも目を回しているので落としただけか。
　むむ……お相手の巨大化範囲攻撃、賢いのでっす！　めまいを起こしていても潰せれば問題ない、そんな気概を感じるのでっす！　でも、グルグルする頭で考えてみたら、目を回していたら敵味方関係のない無差別なユーベルコードではないか。区別出来たとしても面白くないので、きっと、そんな事はしない筈。藍ちゃんくんもまともに走れませんし、ここは運に頼って走ったり転がったりしちゃいましょう！　目を回しているからこそ普段できないアートな軌跡で飛ぶこともできるはず！　これが本当にトリップと呼ばれるものだ。前後不覚ではない、前後左右上下、不覚。味方の皆さまの青い鳥になって一緒に勝利を掴むのでっす！！！　思いの強さは埒外性の強さ、ビーチボールを飛び越えて、墜落するようにゴールテープを切って魅せた！　あ、あや～……お、思ったより長引くのでっすよー。まだお目々ぐるぐる藍ちゃんくんなのでっす！

成功 🔵​🔵​🔴​

　正月だと謂うのに、年始だと謂うのに、何処からか、三月のウサギがやってきた。ウサギはジャバーウォックやパンダ―スナッチとお友達で在り、彼等の吐息を吸い込んだ事があった。故に、目を回す必要がないほどには眼球をくるくる遊ばせていた。あははー、まわるまわるみーんなまわるー♪　ビーチアスリート達が心配するレベルの躁状態だ。今すぐ病院に行って先生に診てもらった方が良いのではないか？　頭くらくらお目々くるくる、ぜーんぶくらくらのぐるぐるだー♪　ひどく楽しそうで何よりではないか、狂ったように愉しそうで何よりではないか。ひび割れて、捩じれて、元に戻らないオツムでも、ああ、面白い事は必ず見つかる。それじゃーみんなで、ゴール目掛けて、れっつごーさいくろん♪　ようやくビーチアスリート達は理解した。この女は正気を失っていても『ぐるぐるバットがしたい』のだ。ならば、ダーク化した選手として全力を出さねば恥というもの。一回転、二回転、三回転、四回転……桁もわからなくなって愈々、バットが両手から放れた！
　どしーん！　目が回る感覚に慣れていなかったのかオマエは即座に転倒した。あははー。あ、みんなは二～三人で肩組んで走ってった方がいいかもー？　唐突なアドバイスに目を回していた一般アスリート達も驚く。もしやこの女は狂気のフリをしているのでは？　支えあればちょっとは真っ直ぐ進めるようになりそうだしねー。即席二人三脚、気付いたらグラウンドが砂浜になっていた。これはビーチアスリート達のユーベルコードか。幸か不幸か一般アスリート達は足元掬われずに尺取虫めいて一歩一歩……。
　ボクはー……真夏の砂浜でごろごろして遊びまーす♪　勝負を放棄したのか。或いは、何かの作戦だろうか。オマエは芋虫めいてビーチをころころ転げ回る。あはははー♪　さらさらふわふわでおもしろーい♪　余計に目が回らないのか、と、疑問視したいところだが猟兵。ちゃっかりとぐるぐるバットとは違う方向で、そう、逆回転をしている。まあでもそれが効果的なのは『数回転』までだからね。多めに回ってしまったら結局、目が回るわけで。
　やっぱり頭くらくらお目々くるくる～♪　ゴールに向かってごーごー♪　此処まで散々ふざけてきた。ふざけたフリもしてきた。ユーベルコードは十二分に発揮出来るだろう。ごろごろごろごろ不意に回転が早くなった。坂道だ！！！　運も悪くない！！！
　追いかけてきたビーチアスリート達にはボンベンメッサ―をお見舞いだ。目を回しているところに爆音、三半規管への厖大なダメージ！　へへー♪　ボクもなかなかに策士だよねー♪　ゴールテープを切ると同時にお座り、ぐるぐるぐるぐる、目が回る。
　ふわふわしてるよー♪

成功 🔵​🔵​🔴​

　魔物すらも、魔性すらも、オマエにとっては餌でしかない。ファム・ファタールの中のファム・ファタールとして世に落ちたオマエは、何処か、天才的なまでの造形をしていた。その美しいフォルムが、愉しそうなボディが、運動会、障害物競走に参加する。その時点で如何にも青少年の教育に悪い気がした。これが本当のぐるぐるバットってわけねぇ、頑張るわぁ。違う、それは本来のぐるぐるバットで在って、真実のぐるぐるバットではない。骸の海の底で誰かさんが喚いている気もしたが、何もかもは、目が回りそうなので無視するのが宜しい。ぐるぐるバッター曰く、🌈るまでが試合です――他のアスリート達は自信無さそうねぇ。駄目よぉそんなんじゃ、緊張してるなら、武者震いじゃないなら、マッサージしてあげるぅ……。一人一人丁寧に｜催眠術《こえ》を掛けていく。不安を一個一個取り除いて適度な緊張感だけを残して、フルパワーを発揮出来るように心身を整える。ドーピングとか強化してる訳じゃないし、これならセーフ、大丈夫よねぇ。
　｜基本姿勢《バットを地面に固定して額をあてるやつ》――をする前にビーチアスリートの一人がユーベルコードを発動させた。巨大な巨大なビーチボールが他のダーク化アスリート諸共圧し潰さんとやってくる。あらあら、天狼ちゃん、出番よぉ。おお、見よ、まるで怪獣だ。狼は大神と描写して差し支えなく、ボール共々ビーチアスリートをぶっ飛ばした。虚空の星を知るが好い。鋭角の彼方の凶暴さを知るが好い。反則じゃないのかって？　天狼ちゃんも装備品だし、何より、妨害行為も可、ですものねぇ。セーフセーフ……？　これで邪魔者はいなくなった。あとはゴールするだけ。それが一番難しいのだが。
　レッツ・ゴー・サイクロン！
　普通に全力でぐるぐる……ぐるぐるぐる……。
　仙人になる為の試練に比べたら、猟兵としての殺し合いに比べたら、この程度。軽い軽いと思っていたのだが、ぐらり、グラウンドが渦巻いている。四つん這いにでもなったのか、永遠と、ぐにゃぐにゃと、頭の中がぐちゃぐちゃになっていく。目が回るわぁ……。蒼い！　かなり蒼いよ！！！　うぷっ……。ゴールが途轍もなく遠い。今直ぐ解放されたい……脳味噌が鉛のように重い……。
　這う這うの体だ、文字通りに。
　無様を晒してしまったような、気分の悪さ、気持ちの悪さ。
　なんとかゴールテープを切る――酸っぱい物を呑み込んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

　清掃作業は必須だ。ぐるぐるバットでは特に溶液などが重要視される。
　人間の内側は汚いのだ、感染症にも注意しよう。
　ぐるぐるバット――それは神への捧げもの、神との同一化を遂げる為の儀式――故に、基本的には苦行の類である。気持ち悪いから始まるめまいの有り様は、ああ、何れ、神との一体化の為の気持ちの良さに変質していく。それってただの変態っぽい。若干の本音が漏れた気もするが、兎も角、今回のぐるぐるバットは『運動会の障害物競走』に含まれるタイプ。つまりは競争だ。先にゴールした者の勝利、極めてシンプル！　重ねて妨害アリで行う！　……うん、地獄の予感っ！　地獄と謂うよりもグダグダでグデングデンだ。きっと妨害を試みたアスリートは、そもそも、妨害が当たらない事実に混乱するだろう。それならより地獄になるようにしないとねっ！　如何やら悪鬼羅刹が悪辣外道な事を思い付いたようだ。スタート地点にて基本姿勢――狂気の沙汰ほど面白いってね。レッツ・ゴー・サイクロン！
　ビーチアスリートも現地のアスリート達もぐるぐるバットに慣れているワケではない。回れば回るほど身体が傾くし頭は重くなっていく。転ぶ選手もいれば今にも🌈きそうな顔色の選手もいる。其処に流れ込んできたものは、嗚呼、阿鼻叫喚。アルコールではないか。注意※このビーチアスリート達は成人していますのでお酒を飲んでも大丈夫です。いや、大丈夫ではない！　酒に酔った状態でのぐるぐるバットは危険極まる！　目が回るなんてレベルじゃない！　ほら、あちこちでリタイアが発生している。🌈だ、🌈塗れだ！
　……まぁ、酩酊状態になる相手の方は……うん、ご愁傷様？
　相手チーム全員失格の為、猟兵の不戦勝になります。
　これは競争になるのか？　ならなかった。
　でも折角だからぐるぐるはしておくっぽい！！！
　ノルマ達成だ、ヨタヨタ、フラフラ、誰もいないグラウンドを一人。
　歩いたり走ったり這ったりしておく。
　……やっぱり目が回るよね？

成功 🔵​🔵​🔴​

　天才と莫迦は紙一重、なんて諺が有るのだ、正気と狂気が薄膜一枚なのは仕方のない事。グラウンドにずらりと並ぶビーチアスリートは、ああ、何処か三月のウサギよりも赫々、眼をギラ憑かせていた。そらM'lady……これが運動狂いどもの祭典だ。カーニバルよりも熱く、カニバリズムよりもイカレタ、寒空の真下で行われる運動会。実に暑苦しく騒々しいな、早く帰ろう。ああ、猟兵よ、折角この場にやってきたのだから、トンチキを味わうのが作法ではないのか。何処ぞのヴィクトリアンな法則の方がマシだなんて謂わず、挙手してくれないか。何だ……参加しろと……？　ま、まあ、M'ladyがそう急かすなら……。スタート地点に悪霊とはなんとも縁起が悪い気もするが、右回転か左回転かを選ぶと宜しい。
　回る……？　何故……？　冷静さを装う事は得意だが如何にも、現状を把握出来ていない。ビーチアスリートの一人がやってきてオマエのお姫様の耳元でごしょごしょ。そういう戦争？　戦争であるならば殺し合いが普通なのではないか？　……M'lady、その馬の骨と何をしているんだい。一緒に回りたい？　そ、そうなのか……？　騎士様が剣の代わりにバットを構えるシュールさ、ギャグギャグしさ、客席から笑いがこぼれるのも当たり前だ。見世物にされるのは心底から嫌だったが、何もかもは貴女の為に。して、どれだけ回るのだ。レッツ・ゴー・サイクロンの掛け声を無視して只管に、白鳥か黒鳥めいて。
　忌々しいヴェニーズワルツですら、そろそろ、リバースターンに切り替えて良い頃合いではないか。既定の回転数は超えている。バットを手放した瞬間にお姫様、オマエの両手を握ってみせた。そのまま嵐のように、竜巻のように、ぐるぐると続けていく。お姫様のバランスが崩れた事により、ああ、オマエも地とやらに落ちてしまう。莫迦な、天地が逆に――こ、この俺が這い蹲るような無様を……？　いやそれよりも、無事か、M'lady……？
　お姫様は大の字になって、天を仰ぐようにしていた。キャンディがないからぐるぐる景色は判らないけれど、目が回っている事に変わりはない。……クソ。這って進むなどお断りだ。されど勝利を譲ってやる気もない……ならば、要は、馬の骨どもを妨げれば良いのだろう。串刺しに――したいところだが、眩暈を起こしている所為で手元が狂うかもしれない。だが、昨日、あれだけ生け花をしたのだ。殺さず生かさず、衣服を狙って縫い留めるくらいなら――衣服？　馬の骨どもめ。連中、辱めとやらを知らないのか？　貫くのではなく檻を作るのが最適解……？　黒鎖での捕縛が楽だと今になって思い付いた。やはり、この回転数ではロクな事にならない。おい、貴様等、其処の馬の骨ども、味方だったな？
　しばらく抑えてくれれば十分だ。あとは治まるまで四つん這いを保っておけば良い。立ち歩いてのゴールこそが絶対、イモムシめいた勝利など、俺は……！
　M、M'lady……？　ま、待て。動かすな。
　まだ少し気分が……！

　｜頭を抱えている《リタイアした》オマエを残してお姫様が這っていた。
　ああ、ゴールしてくれている。
　これにて運動会は終了、君達の勝利だ。

成功 🔵​🔵​🔴​

最終結果：成功 完成日:2024年01月03日