バトル・オブ・オリンピア⑫〜ギャラクシアン・セラフィム
●異星の軍勢
未公式競技の一つである『プラモーション・アクト』、通称『プラクト』の世界大会『WBC』の準決勝第一試合の最中、『それ』は起こった。
奇しくも猟兵たちがよく知る『プラクト』チーム『五月雨模型店』と『プラナスリー』の試合だった。
しかし、彼らの試合は突如としてスタジアムの空を埋め尽くす『ギャラクシィリーガー』軍団たちの到来に寄って中断を余儀なくされた。
「なんだってんだよ、あれは……!」
『五月雨模型店』の少女アスリート『アイン』は空より、いや、宇宙より飛来する無数の鋼鉄の巨人たちを見上げ呻く。
「人型ロボット……?」
彼女たちと対戦していたチーム『プラナスリー』のアスリートの少女『ノイン』が飛来した『ギャラクシィリーガー』たちを見上げて目を見開く。
そして、同時に彼女の体が光に包まれる。
「な、なんです、これは……!?」
「光の柱!? いや、アブダクションか!」
「あぶ、何?」
「あの宇宙人はトラクタービームでもって『プラナスリー』の『ノイン』さんを誘拐したということです!」
『アイン』は『ツヴァイ』たちの言葉に、なんで? と首を傾げるより早く動いていた。
鋼鉄の巨人たちは『ノイン』を謎の光線によって誘拐しようとしているのだ。
「やめろ! そいつと私達は試合をしていたんだぞ! それを横からかっ攫って! 勝負はまだついてない! 横槍入れるだけじゃあなくって、対戦相手まで奪っていくなんて許せるわけがないだろうが!」
『アイン』が迫るトラクタービームを躱す。
流石である。
彼女たちは超人アスリート。
不意を打たれさえしなければ、『ギャラクシィリーガー』たちのトラクタービームは当たることはないのだ。
「……」
鋼鉄の巨人たちは黙して語らず。
しかし、『ノイン』を己たちの開いた胸元に収めると、すぐさま他の鋼鉄の巨人たちが壁となって『アイン』たちを阻む。
「返せよ!!」
叫ぶ『アイン』の言葉は彼らには届かない。
意思疎通ができない。
鋼鉄の巨人である『ギャラクシィリーガー』たちは、ゆっくりと試合会場に降り立つと、『プラクト』フィールドをこれまた謎の光線でもって芝生に変えていく。
なんで?
「芝生!? なんで!?」
「いや、違うぞ、これは……サッカーフィールドだ、これは!」
『ドライ』と呼ばれる少年が『プラクト』フィールドを変貌させられたことに驚く。
そして、さらに驚くことに『ギャラクシィリーガー』たちの胸元から現れたのは『ノイン』、いや――『ベンタスロンクイーン』であった。
「な、なんです、そのか、かっこう……!」
『フィーア』と呼ばれる少女が現れた『ノイン』あらため『ペンタスロンクイーン』の姿を認める。
「私は生まれ変わりました。『ギャラクシィリーガー』たちの超銀河魔術に寄って……『ダークストライカー』へと!」
彼女の宣言が響き渡り、プラスチックホビーの世界大会という平和的なスポーツは一瞬にして星の命運を懸けた戦いへと変貌するのだった――。
●バトル・オブ・オリンピア
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。大いなる戦い、バトル・オブ・オリンピアの開催決定です!」
はぁ。
猟兵たちはなんとも緊張感ない声を出した。
正月休みボケにはまだ早い! そういうようにナイアルテは胸を張る。
「今回の事件はアスリートアース。スポーツの祭典。胸が踊りませんか! そして、今回はまさに星の運命を懸けた戦いなのです!」
いきなり飛んだな、と猟兵たちは思ったかも知れない。
と言っても、こちとら世界の危機を懸けていつも戦っているのだ。星1つの話をされてもな、と些かスケールダウンは否めない。
「そんなことはございません。今回は宇宙からやってきた異星ダークリーガー『ギャラクシィリーガー』軍団が仕掛ける銀外の支配権を争うサッカー勝負『ギャラクシィリーグサッカー』をアスリートの皆さんに仕掛けているのです!」
さらに言えば、この勝負に負けると超宇宙パワーによって『負けた星の知的種族全員が、勝者の配下になってしまう』という恐るべき能力を持っているのだ。
「勝負を放棄しても発動するのです……アスリートの皆さんを守るためには、これに打ち勝つしかありません」
あまりに突然にやってきた宇宙規模大ピンチ。
確かに『ギャラクシィリーガー』たちはダークリーガーだが、実力は圧倒的に上である。
さらに悪いことに『ギャラクシィリーガー』たちは超銀河魔術に寄って一人のダークリーガーを『ダークストライカー』に改造しているのだ。
「この『ダークストライカー』、『ペンタスロンクイーン』は洗脳強化によって、通常以上の強敵となっています。とは言え、彼女は『ダークリーガー魂』を持っています。これが不幸中の幸いとも言うべきことでしょう」
なに、『ダークリーガー魂』って。
説明しよう。
暴力や卑怯な手段は使うが、スポーツそのものは愛している心のことである!
つまり、その『ダークリーガー魂』を熱いバトルや交流によって揺さぶり、取り戻すことができれば『ダークストライカー』である『ペンタスロンクイーン』を猟兵側に寝返らせることで圧倒的有利な状況で戦うことができるかもしれないのだ!
「仮に寝返らせることができても、『ギャラクシィリーガー』は体高5m級の鋼鉄の巨人たちです。勝利することは困難でしょう。ですが!」
それでもやらねば、この星は『ギャラクシィリーガー』たちの支配下に置かれてしまう。「私は皆さんのアスリート魂を信じています! ダークにはシャインをぶつけるんですよ!」
そういってナイアルテはよくわからん理論と共に猟兵たちを送り出すのだった――。
海鶴
マスターの海鶴です。
※これは1章構成の『バトル・オブ・オリンピア』の戦争シナリオとなります。
唐突に始まった宇宙規模の『ギャラクシィリーグサッカー』!
ホビー・スポーツ『プラクト』の世界大会の準決勝は突如として宇宙から飛来した『ギャラクシィリーガー』たちによって中断されるばかりか、ダークリーガーを洗脳強化され『プラクト』としてエース『ダークストライカー』としてフィールドに送り込んできています。
ついでに今回のシナリオに出てくる『ギャラクシィリーガー』は鋼鉄の巨人たちです。
この『ギャラクシィリーガー』たちも当然のようにサッカーボールを追いかけ、殺人シュートや、そもそも体高5mもあるので巨人と小人みたいなジェノサイドサッカーみたいなあれそれな戦いになるでしょう。
しかし、ダークストライカーへと改造洗脳された『ノイン』こと『ペンタスロンクイーン』を『ダークリーガー魂』を揺さぶることで、こちらに寝返らせることで相手のチームから選手を此方側にぶっこ抜いて有利に状況を運び、勝利を目指しましょう!
プレイングボーナス……ダークストライカーの魂を取り戻す。
それではアスリートアースに巻き起こる熱きスポーツバトルの祭典を戦い抜く皆さんの物語の一片となれますように、たくさんがんばります!
第1章 ボス戦
『ペンタスロンクイーン』
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POW : キング オブ (マイナー) スポーツ
【凍てつく闇】のオーラを纏い、自身の【水泳】競技力と【フェンシング】競技力と【障害馬術】競技力と【レーザーラン】競技力を2〜8倍にする(競技が限定的である程強い)。
SPD : ディスティニーホース
いま戦っている対象に有効な【馬】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ : 凍てつく意志
真の姿を更に強化する。真の姿が、🔴の取得数に比例した大きさの【凍てつく闇】のオーラを放つ【蒼銀の勝負服】で覆われる。
イラスト:花芽 橙色
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「花走・りな」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
神代・凶津
準決勝に突如現れて水を差すとは、ふてえ野郎共だッ!
行くぜ相棒ッ!俺達のアスリート魂でダークリーガー魂を震わせてやろうぜッ!
「…いえ、私達サッカーなんて録にやったこともないでしょう?」
先手必勝、ボールをドリブルしながらダークストライカー達デカイ図体の動きを見切って避けながら先陣を切るぜ。
……何かデカイ馬、召喚しだしたんですけど?
クッソ無茶苦茶じゃねえか!?しかも俺達に有効な感じだし!?
なら俺達もパワーアップだぜ、相棒ッ!
「…転身ッ!」
雷神霊装を纏ってスピードと反応速度を上げるぜ。
そのまま高速で抜きさってやるよッ!燃え上がれアスリート魂ぃぃぃぃッ!!
【技能・先制攻撃、見切り】
【アドリブ歓迎】
異星よりの侵略者。
それが『ギャラクシィリーガー』である。彼らは意思疎通ができるのかできないのか定かではないが、『プラクト』の世界大会のフィールドを更地にし、サッカーフィールドを作り上げた。
アスリートアースにおいてスポーツとは本来勝敗を決めるだけではなく、その魂を懸けた戦いでもある。震えるような闘志。燃え上がるような熱意。
それらを互いに発露するからこそ、平和的に物事が解決できるのだ。
だが、これは違う。
『準決勝に突如現れて水を差すとは、ふてえ野郎共だッ!』
赤い鬼面、神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)がカタカタ揺れて怒りをあらわにする。
「『ギャラクシィリーガー』たちによってこの星は支配下に置かれる。それが『ギャラクシィリーグサッカー』なのです」
『ギャラクシィリーガー』たちによって洗脳強化された『ノイン』と呼ばれるダークリーガーは、今や『ダークストライカー』たる『ペンタスロンクイーン』となってフィールドを駆け抜ける。
彼女が駆るは白銀の馬。
どこか機械めいた容貌なのは、正しく異星の『ギャラクシィリーガー』たちによって洗脳強化を受けているからだろう。
サッカーなのに馬とか良いんだ、と誰もが思ったがあえて口にはしない。
そう、これは『ギャラクシィリーグッカー』なのだ! 機械の馬だって持ち込まれようものなのである。
『そうか!?』
そうなのである。
『ええい、ともかく行くぜ相棒ッ! 俺たちのアスリート魂でダークリーガー魂を震わせてやろうぜッ!』
「……いえ、私達サッカーなんて禄にやったことないでしょう?」
凶津の言葉に相棒である依代の巫女、桜は冷静に返す。
『んなこたぁ、いいんだよ! 先手必勝!」
桜の巫女服がフィールドにたなびく。
サッカーボールは今、『ペンタスロンクイーン』がキープしている。颯爽とボールを奪った凶津たちはドリブルでもって『ギャラクシィリーガー』たちの巨体を躱すようにして千尋を切る。
だが、即座に『ペンタスロンクイーン』が機械馬を駆り、凶津たちからボールを奪う。
「させません」
『なんだよッ、それ販促じゃあないのかッ!』
「ルールブックには乗馬しながらサッカーしてはならないとはありません。ですから、ルール的にはオッケーです」
『嘘だろッ!? おい、審判!』
凶津が抗議しようと鋼鉄の巨人の審判に顔を向けると、肩をすくめる様な所作をする。なんか腹立つ。
『クッソむちゃくちゃじゃねえか!?』
「……このルールうような状況……私達にも適用されるのではないですか? ルールブックに書いていないのなら……」
『そういうことか! なら、俺たちもパワーアップだぜ、相棒ッ!』
凶津の瞳がユーベルコードに輝く。
桜の体に走るは稲妻。
それは彼女と凶津の力を一つにすることによって顕現する霊装。
纏うは紫電。
得るは、雷光の如き速さ。
故に、名を雷神霊装・二ノ型(スパークフォーム・ツー)。
『ぶちかますぜ、相棒ッ!!』
「……転身ッ!」
二人が一気にフィールドを駆け抜ける。トップスピードに到達するのに1秒もかからない。
「……この速さは……!」
『これが雷光インターセプトってやつだぜッ! 燃え上がれアスリート魂ぃぃぃぃッ!!』
凶津の速度は閃光そのもの。
一気に『ペンタスロンクイーン』の機械馬が蹴るボールを奪い去って、敵フィールドへとセンタリングを打ち込む。
『見たかッ! これが俺たちの力だぜッ! お前もわかるだろッ! この一進一退の己の力を尽くした攻防ッ!』
「……競技は違えど、これがスポーツを愛するということでしょう。なら」
二人の声は『ペンタスロンクイーン』の胸を震わせる。
そう、彼女の中には改造強化されたとは言え、まだダークリーガー魂が揺らめくように存在しているのだ。
それに訴えるようにサッカーフィールドに雷光が走り抜けたのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
紫・藍
藍ちゃんくんでっすよー!
あやー、藍ちゃんくんに有効なお馬さんでっすかー!
でしたらこちらは藍ちゃんくん以外の皆様と力を合わせるのでっす!
『五月雨模型店』と『プラナスリー』、そして試合を観戦していた両チームのファンの皆様!
皆々様の想いを歌にしてノインのお嬢さんを、そして皆様方のWBC準決勝を取り戻すのでっす!
皆々様の魂の歌でノインのお嬢さんの魂を揺さぶり洗脳を解除しちゃうのでっす!
もちろんこの歌は鋼鉄の巨人達の魂をも揺さぶりまっすよー!
ギャラクシィリーガーの皆様もダークリーガー、つまりダークリーガー魂があるでしょうから!
ジェノサイドサッカーで傷ついた藍ちゃんくんも癒やし続けてくれるのでっす!
センタリングされたサッカーボールを追うアスリートたち。
彼らが目指すは唯一つのボール。
芝生を蹴るたびに震動が響くのは『ギャラクシィリーガー』たる鋼鉄の巨人たちの体躯が圧倒的な質量を持っているからだろう。
そして、改造強化されたダークリーガー『ノイン』こと『ペンタスロンクイーン』の駆る機械馬の疾駆がフィールドに嵐を呼び込むようだった。
駆けるたびにフィールドを踏みしめる轟音。
それは汎ゆる声援を打ち消すものであった。
つまり、音を、旋律を響かせぬための方策にして、紫・藍(変革を歌い、終焉に笑え、愚か姫・f01052)の歌を響かせぬもの。
「あやー! 藍ちゃんくんに有効なお馬さんということでしたが、そう来ましたでっすかー!」
藍は目を見開く。
確かに機械馬と鋼鉄の巨人たちのフィールド踏みしめる音は藍の歌を妨げるだろう。
凄まじいことだ。
だが、藍は己だけが歌うのではないことを知っている。
ここは『プラクト』の世界大会が行われていたスタジアムだ。異星からの『ギャラクシィリーガー』たちの到来に寄って邪魔されたが、未だ応援する者たちが残っているのだ。
「なら、皆々様! ご一緒に! 歌うのでっす! だって、藍ちゃんくん達は、独りじゃないんでっす!」
自分の思いだけじゃあない。
準決勝の試合を中断された『五月雨模型店』と『プラナスリー』のメンバーたち。
そして、試合を観戦していたファンの皆。
彼らがいる。
どれだけ『ペンタスロンクイーン』の召喚した馬が声援を妨げる轟音を響かせるのだとしても!
「涙色の空に笑顔の虹をかけるのでっす!(リーアー・アイリス)」
藍の瞳がユーベルコードに輝く。
声援は歌に。
歌は祈りに。
祈りは願いに。
そうすることで藍のユーベルコードは、魂の歌となって『ペンタスロンクイーン』の胸にある『ダークリーガー魂』を揺さぶる。
「皆様方のWBC準決勝を取り戻すのでっす!」
響く歌声が『ペンタスロンクイーン』を揺さぶる。
「この、歌は……!」
「私達は試合をしていたはずだ! まだ決着もついてない! それを!」
『五月雨模型店』のメンバーたちの声を藍は歌声と共に轟音を打ち消して届ける。そう、彼女たちは戦っていたのだ。
だが、勝敗を決するためだけだ。
命のやり取りなどない。星の命運も懸けてはいない。
ただ、自分たちの魂の赴くままにこそ彼女たちはスポーツマンシップに則って戦っていたのだ。
それを!
「思い出せ!」
藍は笑う。
だってそうだ。これは楽しいスポーツだ。どれだけ卑怯な手を使っても、暴力を使っても、絶対に勝ちたいという思いこそが『ダークリーガー魂』なのだ。
オブリビオンだからって関係ない。
「そうでっすよー! 鋼鉄の巨人の皆々様もそうでっしょー! 勝ちたい。戦って勝ち取りたい。その思いがあるからこそ、こうして星の海さえも渡ってきたのでっすよねー? なら!」
藍は歌い続ける。
あのただ一つのボールを追いかけ、ゴールに叩き込むためだけにフィールドを直走るアスリートたちに。
声援という名の歌声を、高らかに罅変え、本来のスポーツとしての在り方を、その魂に語りかけるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
エクス・カリバーン
「ダークリーガーとの勝負……
この俺、エクス・カリバーンが相手をしよう!」
洗脳されているダークリーガーには、まだダークリーガー魂が残っている!
ならば、そのダークリーガーの洗脳を解くためにも、正々堂々としたスポーツマンシップで相手をしよう。
「来い、アヴァロン、キャメロット!
聖剣合体だ!」
敵が鋼鉄の巨人ならば、こちらもキャバリアに聖剣合体することで同サイズになって戦うぞ!
「くらえ、勇者スライディング!」
勇気の力でギャラクシィリーガーからボールを奪ったら、キャバリアの巨体から正義の心のこもった必殺シュートを放つぞ!
「受けてみろ、あらゆる障害を吹き飛ばす(物理的に)、必殺の勇者シュートを!」
「どれだけ心を震わせる声援があろうとも! 勝利を収めぬ者に価値はないのです。だから、私は!」
『ギャラクシィリーガー』によって洗脳強化された『ペンタスロンクイーン』が咆哮する。
フィールドに転がるサッカーボール。
それを追うのは鋼鉄の巨人のみならず、猟兵達もまたそうであった。
これは『ギャラクシィリーグサッカー』。
銀河の命運をかけたサッカーなのだ。勝者は星に住まう知的種族たちの支配権を得る。そうしてこの広大な銀河の中で覇権を争ってきたのだ。
故に。
「勝利だけが!」
「ならば、この俺、エクス・カリバーン(聖剣勇者エクス・カリバーン・f30075)が相手をしよう!」
『ペンタスロンクイーン』たちが殺到するフィールド。
猟兵側のゴールに迫る彼らを前にエクスは立ちふさがる。
彼の瞳は見た。
勝利への渇望を。
どんなことをしてでも勝利したいと願うのが『ダークリーガー』であり、その魂である。
ならばこそ、その咆哮こそが洗脳強化されてもなお、『ペンタスロンクイーン』をダークリーガーたら締めているのだ。
「退けぇ!!」
「いいや、退かぬ!」
エクスはディフェンダーとして疾走する。
「これは正義の誓いだ! 守って見せる。この星のすべての人々を守ってみせるという俺の誓いだ!!」
ユーベルコードに輝くエクスのアイセンサー。
誓いを立てることによって真の姿へと変貌する。
煌めくは二機のフレームだった。
それが空にてエクスのユーベルコード受けて輝き、変形する。
「来い、『アヴァロン』、『キャメロット』! 聖剣合体だ!」
エクスの体がロボットの頭部へと変形し、二機のフレームがオーバーフレームとアンダーフレームへと変形する。
二機に挟まれるようにしてエクスが収まり、一騎のスーパーロボットへと変貌を遂げる。アンダーフレームからせり上がる湯にしてエクスの頭部がオーバーフレームへと到達した瞬間、生まれるは一騎のスーパーロボット!
「『聖剣勇者エクス・カリバーン』!!」
「合体したからと言って!」
『ペンタスロンクイーン』が駆る機械馬の前脚がボールを蹴り、ドリブルする。
その瞬間、エクスの瞳がユーベルコードに煌めく。
巨体へと変貌したエクスは鋼鉄の巨人たちのガードをはねのけながら一気に『ペンタスロンクイーン』へと滑り込む。
芝生のフィールドの上を滑空するようにしてエクスはボールへと足を伸ばす。
「くらえ、勇者スライディング!」
「な、なにぃ!?」
ボールをカットしたエクスが立ち上がり、駆け出す。
そこにディフェンダーの鋼鉄の巨人たちが殺到する。
壁だ。
これは強固な壁だ。だが、エクスは構わなかった。奪ったボールに振りかぶられる足。
「受けてみろ」
それは燃え上がる正義の心。
勝利を渇望するのではなく、支配を目論む者たちの悪心を打ち砕くために、その足は振りかぶられているのだ。
「あらゆる障害を吹き飛ばす! 必殺の勇者シュートを!」
その一蹴はボールを凄まじい回転と共に打ち出す。
フィールドが割れるようにして走り抜け鋼鉄の巨人たちのディフェンス毎、エクスの必殺シュートはゴールネットをぶち抜くのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
迅瀬・ナクタ
ナクタ「……準決勝の途中で改造されるなんてな。アスリートとして許せるわけねぇ!勝ってプラクトの試合に戻さないと。」
UC【人機一心】を使用『OM-NATAKU』と自身が操作するプラクト機体『ナタク』のビからUC【复仇之海】を使用。ナクタのシュートと同時に攻撃し、ボールに骸の海を纏わせます。
アドリブ・連携歓迎です。
突如として異星より飛来した『ギャラクシィリーガー』たち。
その巨大な鋼鉄の巨人じみた体躯は、サッカーフィールドを埋め尽くすようだった。猟兵のシュートがゴールネットを揺らした後、彼らは猛然と追い上げるようにしてダークストライカー『ペンタスロンクイーン』と共に駆け上がっていく。
ドリブルの鋭さはこれまでのアスリートの比ではない。
「サッカーの良いところは、点を取られたのならば、点を取り返せば良いだけのこと! これで! すぐにイーブンです!」
元は『プラクト』のアスリートであった『ノイン』は『ギャラクシィリーガー』たちによって洗脳強化され、『ペンタスロンクイーン』として凄まじい勢いで召喚された機械馬と共にフィールドを疾駆し、猟兵サイドを切り裂くようにして突っ切り、馬足の強靭さでもって必殺シュートを解き放つ。
「クソッ! なんて強烈なシュートなんだ……!!」
迅瀬・ナクタ(闇を抱くトイロボバトラー・f37811)は己の頬を掠めた『ペンタスロンクイーン』の必殺シュートのスピード、パワーに目を見開く。
反応すらできないシュート。
それはあまりにも強烈であり、ゴールネットを突き破るほどであった。
「舐めてもらっては困ります。私は『ペンタスロンクイーン』!『ギャラクシィリーガー』の『ダークストライカー』なのですから!」
彼女の言葉にナクタは怒りに肩を震わせる。
「お前はそれでいいのか! お前は『プラクト』の……!」
準決勝の最中に『ギャラクシィリーガー』たちは突如として襲来し、試合を中断させたのだ。
このサッカーフィールドだってそうだ。
元々は『プラクト』のためのフィールドスタジアムだったのだ。なのに、それを台無しに『ギャラクシィリーガー』たちはしたのだ。
「良いも悪いもありません。私にとって重要なのは勝利。そう、勝利なのです!」
それ以外はいらない、というように彼女はサイドセンターラインから始まるプレイと共にボールキープしたナクタへと迫る。
ボールを奪って、さらにシュートを決めて逆転を狙っているのだ。
だが、ナクタは瞳をユーベルコードに輝かせる。
「俺は許せない。アスリートとしても、許せるわけねぇ! この試合は『プラクト』の試合だ! 勝って『プラクト』の試合に戻してやる! いくぞ『NATAKU』! オレに合わせろ!!」
その言葉と共に己のホビー『OM-NATAKU』と人機一心(シンクロニゼーション・ウィズ・トイロボ)たる連携を見せる。
飛び出すナクタ。そして『NATAKU』が互いにコンビネーションを決めながら突っ込んでくる『ペンタスロンクイーン』を躱す。
「こちらのインターセプトが間に合わないですって!?」
「そっちは連携ができていないようだな! 例え出来たとしても、オレたちのコンビネーションに敵わない!」
いくぞ! とナクタは共に走る『NATAKU』とボールを蹴り出しながら、迫る『ギャラクシィリーガー』たちをも翻弄するコンビネーションを見せつけ、芝生の上を駆け抜けていく。
「なんという連携……! パス回しだけじゃあない……これは!」
「そさ、心が通じ合っている。心と心とで信じているからこそ、出来るコンビネーションを止められるものか!」
ナクタは叫ぶ。
蹴り出したボールは宙を舞う。
高く、高く飛ぶボールに『NATAKU』が応えるようにして、その脚部で持ってシュートをうち放つ。
其の一撃は凄まじい威力となってゴールキーパーを務めていた鋼鉄の巨人の胴をぶち抜いて、ゴールネットを揺らし、追いつかれた点数をさらにイーブンに戻してみせるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
月夜・玲
ギャラクシィリーガーとは!
宇宙のリーガーである!!
…誰!?誰なの!?
突然何か超次元なサッカー的な価値観押し付けて来るなよ!
あと簡単に洗脳改造されるんじゃないよ!
これだからノイン族はさあ…
ギャラクシーリーガーに改造されるのは百歩譲って良しとするけど!
いや良くは無いけど、それで何で急にサッカーに目覚める!
さっきまでプラモ弄ってたじゃん!宗旨替えが早すぎて何か行間読み間違えたかと思ったわ!
じゃあ君の持ってるプラモ全部貰ってもええんか?貰うぞ?家教えろ!!
【断章・機神召喚】起動
キーパー、私!
武装は解除
これが私の|機神の腕《ゴッドハンド》じゃい!
敵のシュートをガッチリガード
そして全力投球でゴールを狙う!
無限に広がる大宇宙。
とかなんとか、そんな行から始まるのはもう慣れっこかもしれないが、しかして説明しよう!
『ギャラクシィリーガー』とは!
「宇宙のリーガーである!!」
ばーん! と月夜・玲(頂の探究者・f01605)は逆転を果たした猟兵サイドのゴールキーパーを務める。
彼女の言葉にスタジアムの観客席に居たサポーターたちは、うん、と頷く。
だが、いつまで経っても玲の次なる言葉は続かなかった。
え、結局『ギャラクシィリーガー』って何なの……? と皆思っていた。
「……誰!? 誰なの!?」
玲の言葉にサポーターたちは皆思った。こっちが聞きたい。
突然超次元なサッカー異星人がやってきて、価値観押し付けて星の支配権をかけて戦うなんて、今日びどんなホビーアニメでもやらない展開である。
ついでにいうと『WBC』の準決勝、その第1試合にて行われていた『五月雨模型店』と『プラナスリー』の戦いも中断されていた。
それどころか。
「簡単に洗脳改造されるんじゃないよ!」
玲は『プラナスリー』の『ノイン』が『ギャラクシィリーガー』の洗脳改造によって『ペンタスロンクイーン』として強力なプレーを見せつけることに憤る。
そう、あんまりにもあっさり改造されてしまうものだからびっくりしてしまった。
前にも似たようなことがあった気がする。
とにもかくにも『ノイン』と呼ばれる存在は攫われたり洗脳されたりするのが定番になっているのかもしれない。
「これだから『ノイン』族はさあ……」
やれやれ、と玲は頭を振る。
「百歩譲っても改造されるのはヨシ! ヨシじゃないけど、ヨシとするけど! いや良くないけど!」
どっちなんだい!
いや、問題はそこじゃあないのだ。
「なんで急にサッカーに目覚める!」
「サッカーの方がメジャースポーツだからです。華やかだからです!」
「おまっ、それ言っちゃあ駄目でしょ! さっきまでプラモ弄ってたじゃん!宗旨替えが疾すぎてなんか行間読み間違えたかと思ったわ!」
それはごめん。
「何も私は間違っておりません。勝利すること。それだけが私の目的。勝利すれば、汎ゆる者が手に入ります。そのためならば!」
「そんなら君の持ってるプラモ全部もらってええんか? 貰うぞ? 家教えろ!!」
それはそれでどうなんだと思わないでもなかったが、しかしセンターラインを割って『ペンタスロンクイーン』がゴールに迫る。
機械馬を買って蹴り出したパスを自らが追う。
最初から、馬に乗ってた方がよくない? と玲は思ったが、並み居る猟兵ディフェンダーを躱して『ペンタスロンクイーン』は玲の立つゴールへと迫っているのだ。
一対一。
キーパー側にとっては最悪のパターンである。
「今更そんなことで私の精神的動揺を誘おうなど!」
「積みも全部もらうからな!」
全部だ! と玲はそれを証明するようにゴールを埋めるようにして召喚した機械腕を広げる。
え、それずっこい!
「な……!」
「ルールには機械腕ダメって書いてなかった! だから、キーパー私! これが私の|機神の腕《ゴッドハンド》じゃい!」
「ええい、ならば、撃ち抜くのみ!」
蹴り出される必殺シュート。
それは炎と纏うサッカーボールという名の砲撃だった。
フィールドを切り裂くようなすさまじい一撃。だが、それを玲のユーベルコードに煌めく瞳は正しく捉えていたし、その一撃を見事に受け止めていた。
吹き荒れる炎。
溶解する機神の腕。だが、それでも玲は諦めなかった。
「ここで踏ん張らないと!」
「馬鹿な、私の必殺シュートを止めた……!?」
「そりゃ止めるよ!」
ガッチリホールドしたサッカーボールを玲は機神の腕から取り出し、ゴールからゴールを狙う超々ロングシュートを蹴り出すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
薄翅・静漓
結界術を使ってゴールを守り
弾いたボールに『想月符』を貼り付け味方へパスするわ
それは想いを込めてを創造した護符よ
込めた技能は『エピソード記憶』
『アイン』、初めて会った時、一緒に遊んでくれてありがとう
私、とても嬉しかった
『ノイン』に思い出させてあげましょう
『プラクト』の楽しさ、面白さ
悲しいことや苦しいことがあっても、もう一度立ち上がる勇気が自分の中にあること
繋いできた記憶をボールに込めて蹴り抜きなさい
みんなの想いは、きっとあの子の魂に届くわ
ここが平和を夢見た者たちが築き上げた世界なのだというのなら
あの鋼鉄の巨人達だって……
『ダークストライカー』、『ペンタスロンクイーン』の放った炎纏う必殺シュートを受け止めたゴールキーパーは、それを蹴り出す。
放たれたシュートは一直線に『ギャラクシィリーガー』たちのフィールドを切り裂いてゴールを狙うが、鋼鉄の巨人たちが塞ぐようにしてシュートを受け止めた。
クリアされたボールが宙を舞う。
その光景を薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)はフィールドにて見上げていた。
彼女は猟兵サイドのディフェンダーだ。
ボールを結界術でもって受け止めながら、彼女は護符をボールに貼り付ける。
「『アイン』」
彼女は静かに共にフィールドに立つアスリート『アイン』へとパスを回す。
「『アイン』、初めて会った時、一緒に遊んでくれてありがとう。私、とても嬉しかった」
「急にどした、静漓ねーちゃん!」
「伝えておこうと思ったの」
「今じゃないとダメ!?」
「思ったことは伝えなければ、伝わらないものだから。だから、私は今思ったことを『アイン』、あなたに伝えるの」
静漓からのパスを受け取った『アイン』は、そのボールに貼られた護符に籠められた思いを知る。
彼女の言葉通り、本当に嬉しかったのだという感情が『アイン』の中に広がっていく。
静漓は確かに表情もあまり変わらないし、言葉も少ない。
けれど、言葉無くとも伝わることはあるのだ。だから、『アイン』は彼女のことを慕っていたし、共に『プラクト』で遊んだこともしっかり覚えている。
それは本当に楽しいという言葉しか浮かんでこない感情だった。
スポーツとは楽しいものだ。
確かに悲しいことも、苦しいこともある。
けれど、それがくじけた時、もう一度立ち上がる勇気を与えてくれることもまた理解できるのだ。
「だから、『アイン』、『ノイン』に思い出せてあげましょう。『プラクト』の楽しさ、面白さを」
それはこれまで紡いできた記憶があればこそだった。
ボールをキープした『アイン』に迫る『ペンタスロンクイーン』と鋼鉄の巨人たち。
それを前にしても『アイン』はたじろがなかった。
静漓は知っている。
彼女は恐れを乗り越えていく。
誰よりも早く、駆け出す事のできるアスリートであることを。だからこそ、ボールに貼られた想月符(ソウゲツフ)が煌めく。
紡がれた思い。
それを発露する力は、『アイン』の中を駆け巡っていく。
「繋いできた記憶をボールに込めて蹴り抜きなさい。みんなの想いは、きっとあの子の魂に届くわ」
「……そうだよな。そうだ! 私達は!」
『アイン』の瞳が煌めく。
目の色が変わった、とも言えるほどに爛々と輝いている。
迫る『ペンタスロンクイーン』。
「そのボールを!」
「よこせってんだろ、なら、くれてやるよ! 私とあんたは!」
静漓は深く頷く。
この世界が平和を夢見た者たちが築き上げた世界だというのなら、あの『ギャラクシィリーガー』たちだってそうなのだ。
彼ら鋼鉄の巨人だって平和をゆめみている。
なら。
「行きなさい『アイン』。あなたの思うあなたのままで、その想いを」
煌めくシュートの一撃が『ペンタスロンクイーン』の体を打ち据える。
煌めくユーベルコードの輝きが、彼女の体に、その胸に未だくすぶり続けている『ダークリーガー魂』を揺さぶる。
紡がれた記憶は、いつだって誰かの鎹であり、楔である。
そうであってほしいという願いを籠めた静漓のユーベルコードは『アイン』のシュートと共に開放され、『ペンタスロンクイーン』……『ノイン』の心にさらなる燃えるような魂の脈動を伝えるようだった――。
大成功
🔵🔵🔵
馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊だが
陰海月「ぷっきゅー!」
…陰海月語を翻訳します…
むう、楽しんでたのに!!
でも、そっちがその気なら、ぼくとおじーちゃん、それに霹靂もやるんだよ!
だって、さっきから馬に乗ってたんなら、こっちも乗ってもいいよね!
あ、それって勝負服ってやつだね!
でも、ぼくたちも負けない!四天霊障(光量抑えめな極彩色)を纏っての、突撃!そしてボールを取ってからのドリブル!
霹靂、ドリブル上手いんだからね!ぼくは、集中できるように手綱で合図を送る係!
大事な勝負に水をさされたのは、相手側も同じなんだ。だからね、光量抑えめなの。
目眩ましするんじゃなくて、正々堂々と!
※
霹靂「クエエッ」
ドリブルに集中!
思いを込めたシュートの一撃が『ダークストライカー』となった『ペンタスロンクイーン』の胸に打ち込まれる。
それはシュートをトラップで防いだとも言えるだろう。
そして、それはスポーツであればこそ有り得た事態であった。しかし、その衝撃は彼女を打ちのめすためのものではなかった。
彼女の中に残っているであろうダークリーガー魂を呼び起こすかのような一撃だったのだ。
「どうだ!」
『五月雨模型店』の『アイン』が言う。
彼女のシュートは『ペンタスロンクイーン』へと洗脳強化された『ノイン』の胸に宿る炎を呼び起こすようであった。
「ぐっ……! この私を揺らがせるなど!」
凍てつく闇のオーラが吹き荒れる。
その光景を馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)と合体した『陰海月』は見ただろう。
「ぷっきゅー!」
彼は怒っていた。
異星よりの侵略者『ギャラクシィリーガー』たちの横槍に寄って『プラクト』の準決勝は中断された。それどころか、この試合の行方は永遠にわからないものとなってしまった。
だからこそ、このフィールドがサッカーフィールドに変わったことをこそ憂う。
ヒポグリフ『霹靂』と共にフィールドに飛び込む。
「私の真似を! しゃらくさい!」
彼女がフィールドを機械馬でもって駆け抜けたことの真似事であろう『陰海月』と『霹靂』の姿を認め、カノジョは闇のオーラと共に姿を変える。
「この姿を晒すことになるとは想いもしませんでしたが、致し方有りません! 私の本気は此処からです!!」
膨れ上がる力の奔流を前に『陰海月』はたじろがない。
自分は負けない。
負けられない。
だからこそ、勝負服を身にまとった『ペンタスロンクイーン』がサッカーボールを蹴ってドリブルでもって『陰海月』たちを抜かそうとする。
だが、それに立ちふさがるは極彩色の光。
四悪霊・『虹』(ゲーミングカゲクラゲノツヨサヲミヨ)である呪詛。その光が『ペンタスロンクイーン』の視界を塗りつぶした瞬間、ボールをカットして奪う。
「ぷきゅ!」
「クエ!」
『霹靂』の前脚がボールを器用に蹴ってドリブルで持って迫る『ギャラクシィリーガー』たちの巨体を躱していく。
「クエエエッ!」
「ちょこまかと!」
迫る『ペンタスロンクイーン』がボールを奪う。奪い返す。さらに『霹靂』の前脚が伸びてボールを奪う。
その攻防はセンターライン付近での鍔迫り合いのようでもあっただろう。
「ぷきゅ!」
『陰海月』は俯瞰した位置から『霹靂』と『ペンタスロンクイーン』の攻防を見下ろす。手綱を引き、絶妙なタイミングで持ってボールを奪い返す機会を伝えているのだ。
二人がかり。
足はたった二本しかなくたって、それでも二人がかりであれば『ペンタスロンクイーン』と互角にボールの奪い合いができるのだ。
大事な勝負だった。
そこに水をさされたことは怒りをボエル。だから、と『霹靂』と共に『陰海月』は『ペンタスロンクイーン』と正々堂々とボールの奪い合いを行う。
勝ちたい。
相手に勝ちたいという想いこそがスポーツをさらに白熱させる。
互いに蹴り出した足がボールを捉え、火花散らすようにして遥か頭上にボールが跳ね上がり、『ペンタスロンクイーン』は笑った。
それは心に残された勝利を渇望する『ダークリーガー魂』が再燃する兆しを見せるものだった――。
大成功
🔵🔵🔵
播州・クロリア
サッカーについてはゴールしたらダンスをするというのは知っています
であれば私が参加するのは当然と言えるでしょう
しかし洗脳して無理やりスポーツをさせるというのは許せません
彼女から感じるリズムはまるで氷河のように凍てついています
スポーツは心を燃やしてこそ喜びが生まれるのです
(肩幅ほどに足を開き、両手で太ももをなぞりながらゆっくりと上体を起こした後{紅焔の旋律}で『ダンス』を始める)
ゴールはしていませんが前借ということで
(UC【蠱の夢】を発動し炎の渦を纏いながら自陣のゴールに向けて放たれた殺人シュートをカットすると、ダンスするかのようにドリブルを開始する)
今の私は情熱の炎
貴女の心を溶かし灯し燃え上がらせる炎
タックルでもスライディングでも馬でも何でもぶつけるがいいでしょう
すべてを跳ねのけ一直線にゴールへと突き進む私に触れるたびに
貴女は取り戻していくのですから
サッカー。
それは一つのボールをめぐり、相手のゴールへと打ち込むことで得点を競うスポーツだ。
そのことを播州・クロリア(踊る蟲・f23522)は知っている。
だからこそ、今彼女はフィールドを駆け抜ける。
走る。
息を切らすことも忘れて、宙に高く舞い上がったボールを追う。
迫るは『ギャラクシィリーガー』たる鋼鉄の巨人たち。
猟兵と洗脳強化された『ペンタスロンクイーン』がボールの奪い合いによって舞い上がったボールを得るためにクロリアは走っていたのだ。
何のために、なんて今更言わなくたって良い。
ボールは追いかけるものだ。今のクロリアは猟犬のように迫る鋼鉄の巨人たちのラフプレーたる腕部が振り下ろされるのを躱し、逆にその腕部を駆け上がっていく。
「あなたたちがどれだけ強大な存在であろうとも」
クロリアは許せないと思った。
如何に星の海よりやってきた異星の……それこそ文化も世俗も異なるであろう存在を前にしても彼女は許せないと思ったのだ。
ダークリーガーとは言え、洗脳して無理矢理スポーツをさせるということが許しがたいことだと思ったのだ。
だからこそ、『ペンタスロンクイーン』から彼女が感じるリズムは、あまりにも冷たいものだった。
凍える氷河のようでもあった。
「本来スポーツとは心を燃やしてこそ喜びが生まれるのです」
そして、その燃える心が奏でるリズムを黒リアは知っている。
彼女は踊りたいと思った。
サッカーには付き物であるゴールした者だけが踊ることを許される歓喜のダンスを。
今、スコアは2-1。
猟兵サイドが優勢だ。だが、サッカーはすぐさま点数を返される可能性がある。だからこそ、クロリアは鋼鉄の巨人を踏み台にして飛ぶ。
宙を舞うボールを追いかけ、己たちのボールにしようとする。
だが、それを機械馬にまたがった『ペンタスロンクイーン』がカットし、ボールを奪う。
「させません。このまま私が!」
眼の前で機械馬より飛び立ち、クロリアよりさらに高く飛び上がった『ペンタスロンクイーン』が凄まじい身体能力で持ってボールを猟兵側のゴールへ叩き込む。
必殺シュートの一撃がゴールネットを揺らす。
「……」
クロリアはそれでもなお、ゴールしたというのに喜びをあらわにすることもない『ペンタスロンクイーン』を見つめる。
さらにセンターラインからゲームが再開される。
『ペンタスロンクイーン』は勢いに乗ってカウントを戻すどころか、逆転しようとさらにシュートを打ち放つ。
その必殺シュートは先程ゴールを割られた一撃だった。
だが、クロリアは肩幅に足を開き、ゆっくりと太ももを両手でなぞり、状態を起こす。
巻き起こるは旋律。
紅焔の如きリズムは、ダンスとなって彼女の体から発露する。同時に彼女の体は跳ねるようにして放たれた必殺シュートをカットする。
「な……!」
「確かに強烈です。ですが、今の私は情熱の炎」
クロリアはカットしたボールを蹴り上げる。
さらに飛び込む『ペンタスロンクイーン』と肉薄する。
己の瞳は燃えている。
「競って来なさい。わかっているでしょう。タックルでもスライディングでも馬でもなんでも私は受け止めましょう」
クロリアは静かに言い放つ。
一球のボールを巡って体がぶつかり合う。
肩が激突し、鈍い痛みが走る。ラフプレーも此処に極まれりであろう。
だが、クロリアは退かない。
激突する二人の体。
「ぐっ……!」
「負けません。貴女の心が取り戻されるまでは」
「取り戻すものなど!」
「わかりませんか。貴女は取り戻している。それを」
クロリアの旋律が、炎となって氷河のように凍りついた『ペンタスロンクイーン』の心を溶かしていく。
それは彼女の心に残されていた『ダークリーガー魂』である。
くすぶり続ける炎。
それはゴールに近づけさせまいとするクロリアとの攻防でさらに燃え上がっていくことだろう。
「……!」
「負けん気、勝利への渇望。貴女は貴女自身で取り戻すことができる。私はそれを知っている。だからこそ」
クロリアは『ペンタスロンクイーン』からボールを奪い、センターラインを割るように駆け出す。
それを追いかける彼女の強烈な重圧を感じながらクロリアは、もっと、と言うように笑って走る。
例え、己のシュートが阻まれたって構わない。
これはサッカーなのだ。
ボールを追い、ゴールに蹴り込む。
「これが私です!」
それだけ。
そして、クロリアは踊りたいと思ったのだ。
むしろ、それが自然なのだ。取られたら取り返す。それがサッカー。ならばこそ、クロリアは己の心の炎を示すように蹴り込んだボールが鋼鉄の巨人たちを吹き飛ばし、ゴールネットを揺らした時、正しく歓喜のダンスでもってスタジアムを熱くたぎらせるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ニィナ・アンエノン
おおー、まさかプラクト中に第四種接近遭遇が起こるとは!
もしかしたら歴史に残る出来事かもよ、ドライ君!
それはさておき、試合の邪魔は良くないね。
そーゆー限りない過ちを打ち砕くのが使命さ☆
さーて、馬が良いならバイクも大丈夫だよね?
ボールをバイクでがんがん【吹き飛ばし】ては追い付くのを繰り返せばドリブルっぽくない?
バイクに手は無いからハンドも取れないよね☆
後は【操縦】技術に物を言わせてボールキープしてゴールに向かおう。
ボールを一心不乱に追う……これぞアスリートの魂に火を点ける展開だね!
このまま入れても良いけど、ここは一つ派手にやっちゃおう☆
バイクを変形させて、攻撃力5倍のキックでスーパーシュートだ!
異星よりの侵略者『ギャラクシィリーガー』――その存在は予見されていたことだろうか。
それとも銀河よりの使者か。
鋼鉄の巨人たちは黙して語らず。されど、『プラクト』の世界大会の準決勝に突如として介入し、これを『ギャラクシィリーグサッカー』のフィールドへと変貌せしめた力の強大さは言うまでもないだろう。
「おおー、まさか試合中に第四種接近遭遇が起こるとは!」
ニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)はサッカーフィールドへと変わってしまったスタジアムの中に飛び込み、顔なじみの男の子である『ドライ』のそばに駆け寄っていく。
「もしかしたら歴史に残る出来事かもよ、『ドライ』君!」
「唐突過ぎて理解がまったく追いつかないのだが!」
「あはは☆ それはそうかもね! それはさておき、試合の邪魔は良くないね」
ニィナは笑って、『ドライ』を背にかばう。
迫るは鋼鉄の巨人たち。
そして彼らに洗脳改造された『ノイン』こと『ペンタスロンクイーン』である。
彼女の力は強化されている。
その力は点の取り合いであるサッカーでも遺憾なく発揮されていた。猟兵サイドが更に逆転したことによって、彼女たちは同点に盛り返そうと迫っているのだ。
転がってきたボールをニィナは見下ろす。
「ニィナお姉さん……来るぞ! なんで止まってるんだ! これはサッカーだ、ドリブルするなり、パスを出すなりしないと!」
迫る鋼鉄の巨人たち。
殺人級なプレーもおかまいなしなのだ。彼女を護ろうと『ドライ』が前に出る。
けれど、ニィナは彼の体を抱えて呼び寄せた宇宙バイクにまたがる。
「え、えええ!?」
「さっき、そっちも馬を使ってたでしょ! ならバイクだって大丈夫だよね?」
そう言ってニィナは『ドライ』を背にして、宇宙バイク『テンプテーション』のスロットルを全開にする。
「しっかり捕まっててね、『ドライ』君☆」
変な所触ったらダメだからね、とニィナは言ったが『ドライ』はそれどころではなかった。
彼女にしがみつくので必死だった。
なぜなら、ニィナの駆る宇宙バイクの速度は凄まじいものだったのだ。
「いっくよー!」
前輪がボールを蹴るようにして弾き飛ばしながら一気に鋼鉄の巨人たちをかいくぐり、『ペンタスロンクイーン』すら抜き去って行くのだ。
「速い……! この速度!」
「ふっふーん☆ にぃなちゃんにおいそれ追いつけるとは思わないでよね☆」
ニィナのハンドリングで持って『テンプテーション』の後輪がボールを蹴り出す。それだけではなく、一気に加速して振り下ろされた鋼鉄の巨人の腕部の一撃も躱すのだ。
「一心不乱☆」
「うわあああっ!!」
『ドライ』の絶叫が聞こえる。そんなにかな、と思ったけれど、それでもニィナは彼の体温を感じながら、己の胸のうちに熱いものが込み上げてくるのを感じただろう。
これがアスリート魂。
一心不乱に。
何もかも忘れて、ボールを追う。ただ追い続ける。それだけでいいのだ。
それがスポーツだ。
他の雑念全てを投げ捨てて、ただひたすらに走り抜ける。
「いっくよー! 派手にね☆」
「派手に!?」
「そ、テンプテーション・ギガンティック!」
その言葉と共に『テンプテーション』が二足歩行ロボットへと変形しニィナと『ドライ』を包み込んでいく。
「モード・ギガンティックかーらーのー☆ キック五倍のスーパーシュートだ!」
ニィナの言葉と共に二足歩行ロボットへと変形した『テンプテーション』のシュートが炸裂する。
それは鋼鉄の巨人すらも吹き飛ばす一撃。
「馬鹿な……! この威力!」
「派手派手だよ☆ これが二人分のアスリート魂ってやつだよ☆」
そう言ってニィナは笑って、凄まじい威力の必殺シュートによってぶち抜かれたゴールネットの残骸を見て、『ドライ』に笑いかけるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
カイリ・タチバナ
ヤンキーヤドリガミ、故郷の正月祭祀が終わったので来た。
守神としての仕事、一段落したから来たんだが…。
これ戦争だよな???
ダークリーガー魂…って、何だそれ?
え、本来の自分を取り戻せ!とかでいいの?
凍てつく闇纏っての強化してきやがって。
なら、こっちは…『宙から来る者には、同じものを』の原理だ!
爺(一応、系譜的には祖父)は、彗星・隕石神だからな!
これでだいたいの大きさは同じだろ?
だから…このまま、ボールキープしていってやるよ!
はは、勝利への渇望が途絶えてないってのなら!
てめぇがその『勝ちたい競技』のことも忘れんなよ!!
打ち込まれた強烈シュートの一撃に破壊された『ギャラクシィリーガー』サイドのゴールはすぐさま再建造される。
試合再開を阻むものではなかった。
こういうところが宇宙規模のスポーツ対決らしい所以であったことだろう。
とは言え、なんていうか。
「これ戦争だよな?」
カイリ・タチバナ(銛に宿りし守神・f27462)は突如として始まった『ギャラクシィリーグサッカー』に困惑していた。
もっと厳密に言うのならばアスリートアースを巻き込んだ『バトル・オブ・オリンピア』に、である。
彼は故郷の島にこの年末戻っていた。
彼はヤドリガミであり、故郷の島に祀られていた。それ故に、この新年を迎える祭事をつつがなく終えるまで『バトル・オブ・オリンピア』に駆けつけることができなかったのだろう。
とは言え、漸く現地にやってきたと思ったら、始まっているのは星の支配権を懸けた急にスケールアップした事件。
困惑するのも無理なからぬことであったことだろう。
「点は取られたら取り返せば良いのです。それがサッカーというものでしょう!」
『ギャラクシィリーガー』に洗脳改造された『ペンタスロンクイーン』が稲妻の如きドリブルでもって猟兵サイドを走り抜ける。
凄まじい速度。
圧倒的なドリブル力でもって迫る彼女の姿をカイリは認める。
凍てつく闇を纏った彼女のドリブルは他の競技を収めた身体能力を遺憾なく発揮している。
「なら、こっちは……『宙から来る者には、同じものを』の原理だ!」
カイリの頭上に吹き荒れるは蒼白の如く燃え盛る角。そして、尾であった。
龍神の如き姿へと変貌したカイリは、さらに巨大化する。
『ギャラクシィリーガー』たちは鋼鉄の巨人。
ならば、それに対抗するためには同じように巨大化して対抗しようというのだろう。
「これでだいたいの大きさは同じだろ?」
「巨大化したからと言って!」
「だろうな! だが、えーと、なんだっけ『ダークリーガー魂』だっけ? なんだそれって感じだけれど、えっと、本来の自分を取り戻せ! ってことだろ!」
「これが私です。この私こそが!」
『ペンタスロンクイーン』がカイリとボールを争う。
足さばきに寄るフェイント。
その攻防は複雑怪奇。幾重のものフェント、強硬策に出れば、即座にボールを奪われてしまう。
けれど、カイリは構わなかった。
ボールを奪い、奪われること。
今のところ、試合のカウントは4-2。
猟兵サイドが『ギャラクシィリーガー』を突き放している。なら、このままボールをキープして前半終了まで持ちこたえれば良い。
「小癪な! 時間稼ぎを!」
「ハッ、ロスタイムになんて入らせねぇよ。時間いっぱいキープすれば勝てる」
「そんなこと!!」
させない、と叫ぶ『ペンタスロンクイーン』を見てカイリは笑う。
「はは、勝利への渇望が途絶えてないってのなら!」
それは自分には理解できないところの『ダークリーガー魂』というものであったのだろう。何よりも勝利を求める。その心。
ならばこそ、カイリは思う。
それこそが彼女の胸の奥に洗脳改造されながらも、未だにくすぶり続ける炎のような魂なのだろう。
「てめぇがその『勝ちたい競技』のことも忘れんなよ!!」
カイリは叫ぶ。
蹴ったボールを一心不乱に追いかける姿。
それこそがスポーツを楽しむという最初の気持ち。勝利の前にやってくる感情であることを教えるようにカイリは前半戦いっぱボールキープし続け、時間を使い切るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ユーシア・ロクス
そこまでです!
プラモじゃない、本来の疑似キャバリア『アイゼンケーファー』を召喚、乗り込みます!大丈夫です!サッカーゲームならやった事ありますし!
……というかえーとノインさん!突然現れた宇宙人に洗脳されて侵略の尖兵とかなったらダメです!このままだと“WBC編”が中止されて“異星侵略編”とかが始まっちゃいますよ!プラクトの大会出場選手としてそれでいいんですか!?
『カギ』を介して機体を操縦、これなら操作感覚はゲームと同じです!
牽制攻撃をしてボールを奪いUC、機体の推力任せで一気に突っ込み、相手チームの守りを《こじ開け》て……必殺シュートです!勿論攻撃時に“あらゆる防護を無視する”効果付きですよ!
『ギャラクシィリーグサッカー』の前半戦が終了し、すぐさま後半戦に突入する。
インターバルなんて挟む余地などない。
そう、これが銀河的サッカー。
インターバルが必要なんて遅れてるー! くらいの感じで鋼鉄の巨人たる『ギャラクシィリーガー』たちが一気に猟兵サイドへとなだれ込むようにしてボールを蹴り込んでくる。
圧力がすごい。
そもそも『ギャラクシィリーガー』たちは鋼鉄の巨人であり、その体躯は巨人そのものであった。
見た目も、物理的にも圧力が強すぎるのだ。
だが、その蹴り込まれたボールをカットするのは同じく鋼鉄の巨人、キャバリア『アイゼンケーファー』を駆るユーシア・ロクス(まっさらゆうしゃ・f26126)であった。
「そこまでです!」
「鋼鉄の巨人……!」
『ペンタスロンクイーン』もまた機械馬を駆ってフィールドを駆けている。もう、なんていうか、めちゃくちゃである。
これが銀河的サッカーだというのならば、ルール御無用が過ぎないだろうかと思ったが、それは些細な問題である。
「わたし、大丈夫なんですか?」
2P、3Pの案ずる声が聞こえる。だが、ユーシアは頭を振る。
「大丈夫です! サッカーゲームならやったことありますし!」
「ゲームと実際にやるのとではだいぶ違うと思うんだけど!」
「ええい、些細なことです!」
カットしたボールを受けて『アイゼンケーファー』が走り込む。
深く猟兵サイドまで切り込まれていたのだ。カウントでは此方が未だ優勢ではあるが、たちまちに逆転される怖さがあるのがサッカーの醍醐味である。
故にユーシアは優勢であることにあぐらをかかない。
攻めて、攻めて、攻めまくって、圧倒的に点差を広げなければならない。
「……というか、えーと『ノイン』さん! 突然現れた宇宙人に洗脳されて侵略の尖兵とかなったらダメです!」
ユーシアは叫ぶ。
そう、ダークリーガーだった『ノイン』は『ギャラクシィリーガー』たちによって洗脳改造されている。
『ダークストライカー』としてフィールドを駆け抜ける姿は確かに猟兵たちにとって脅威でしかなかっただろう。
けれど、ユーシアは思うのだ。
「このままだとWBC編が中止されて異星侵略編とかが始まっちゃいますよ!」
むしろ、それはそれで面白いかも知れないと思っている観客たちもいる。っていうか、なんだWBC編って。
「それでも構いません。私は勝利を得るためならば!」
『ペンタスロンクイーン』の叫びをユーシアは聞く。
飽くなき勝利への渇望。
それだけのために彼女は改造を受け入れているのだろう。
けれど、ユーシアは思うのだ。彼女が本当に勝利したかったのは、この『ギャラクシィリーグサッカー』ではなく、『プラクト』のはずなのだ。
「違うでしょう! あなたは『プラクト』アスリート! その大会選手としてそれでいいんですか!」
ユーシアの瞳がユーベルコードに輝く。
ユーシアのプレイ日記~レースゲーム~(ダレモヤツヲトメラレナイ)。それはボールを追う『アイゼンケーファー』をさらに加速する。
センタリングされたボールを追いかけ、追いつく。
迫る鋼鉄の巨人たち。
それをユーシアは反則スレスレのラフプレーでもって吹き飛ばしながら一気に機体の推力まかせに飛ぶようにしてボールを蹴り出す。
こじ開けるは敵ディフェンス。
「私は……!」
「勝利しか見えていないっていうのならば、それはスポーツじゃあないでしょう!」
そう確かにスポーツは勝敗がつく。
けれど、決してそれだけではないのだ。
それを示すようにユーシアは『アイゼンケーファー』の必殺シュートを繰り出し、鋼鉄の巨人たちを物理的防護を無視した強烈な一撃でディフェンスラインをぶっ飛ばすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
菫宮・理緒
【サージェさんと】
わたしはサッカーが好きだ。
野球も大概だが、それ以上にサッカーが好きだ。
それを、なんですと?
殺人シュート?ジェノサイドサッカー?
どこのスウェーデン代表ですか!
なによりそれが、スポーツを愛する者が行う競技だと?
相手へのリスペクトのないものなどスポーツにあらず!
噛まない『フィーア』さんくらい魅力がない!
あ、嘘だからね?方便だからね?
『フィーア』さんは噛まなくても、十二分に魅力的だからね?
お詫びにハグするから。
いたいの。
サージェさん、最近ツッコミ雑じゃない!?
サッカーボール2個抱えてるからって、羨ましくないんだからね(突然のツンデレ)
な、なにはともあれ!
正々堂々と、サッカーしようぜ!
サージェ・ライト
【理緒さんと】
なんかこの世界来ると理緒さんが壊れるんですよねえ
きょうもりおりおっとあらぶっておられる
おっと私としたことが言い忘れてました
お呼びとあらば参じましょう!
私はクノイチ、アッハイツッコミニモドリマス
はいフィーアさん保護条例5条違反でーす!!(ぺしん
サッカーボールなんて持っていませんけど!?
最近ボールの大きさが勝手に成長してませんか!?
フィールドを駆け巡るのもボール遊びもトラメちゃんの得意とするところ!
【電光石火】からのインターセプト&ドリブルをお見せしましょう!
巨人の間だって駆け抜けてみせます
これを見て何も思わないなら貴方のダークリーガー魂も大したことないですね!
スポーツ楽しい!弾む!
スポーツを愛する心がある。
それは掛け替えのないものであるし、スポーツに興じる人々の汗の煌めきを愛することと同義である。
懸命さでもって一つのことを成し遂げようとする意志は尊いものだ。
スポーツマンシップというものは、人の善性を引き出すものであっただろうから。けれど、同時にどうしようもない悪性もまた顕在させるものである。
故に、と思う。
「わたしはサッカーが好きだ。野球も大概だが、それ以上にサッカーが好きだ」
菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)はなんかこう、フィールドに仁王立ちして、異様な雰囲気を放っていた。
ゴゴゴゴゴ。みたいな。そんな効果音が聞こえてき来そうであった。
「なんかこの世界来ると理緒さんが壊れるんですよねえ」
サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)はなんとも言えない顔をしていた。
理緒のこうした突飛な行動には慣れっこのはずであったが、今回もまあ、なんとも荒ぶっているなぁって思った。
「殺人シュート? ジェノサイドサッカー? どこの代表ですか!」
くわ!
名誉のために特定の国家の名前は出さないようにしておこう。まあ、気持ちはわからなんでもない。
とは言え、今やっているのはサッカーであるけど、『ギャラクシィリーグサッカー』なのである。銀河規模のサッカーである。
なので、そういう意味では理緒の大好きなサッカーとは毛色が違うのかも知れない。
だが、理緒にとって、そんなことは意味をなさない。
サッカーの名を冠しているのならば! それはもうサッカーなのである。
ならば、彼女のが愛してやまぬスポーツを、鋼鉄の巨人が斯様にシッチャカメッチャカにする行為を許してはおけないのだ。
「相手へのリスペクトのないものなどスポーツにあらず! 噛まない『フィーア』さんくらい魅力がない!」
「え、ええ……」
フィールドに居た『フィーア』が、毎度のことながら理緒のりおりおバースト状態に困惑している。噛むのってよくないっておもっているのだけれど、理緒はそんなことないとばかりにまくしたてる。
「あ、嘘だからね? 方便だからね?」
理緒は『フィーア』を抱き寄せてスリスリりおりおする。りおりおするってなんだ。
「『フィーア』さんは噛まなくても、十二分に魅力的だからね? お詫びにハグするから。もうしているけれど、するから!」
そんな理緒のあらぶりを見ていたサージェは手にしたハリセンを理緒の後頭部にぶっこむ。
「お呼びとあらば参じましょう! 私はクノイチ、アッハイツッコミニモドリマス。じゃなくって、はい、『フィーア』さん保護条例五条違反でーす!」
「いたいの」
なんか最近理緒は思った。
サージェのツッコミが雑になってきているような気がするのだ。
確かに。
「サッカーボール二個抱えてるからって、羨ましくないんだからね」
「唐突なデレっていうか、サッカーボールなんて持ってませんけど!?」
ハンドじゃん、それ、と誰もが思ったし、スタジアムの男性陣はたしかになぁって思った。二つも。重そう。
「あ、ああの、お二人とも、その……」
今、試合中なんですけど、と『フィーア』が申し訳無さそうに二人を見た横を『ペンタスロンクイーン』と鋼鉄の巨人たちが駆け抜けていく。
「あーっ! ずっこいです1! 行きますよ、『トラメ』ちゃん! 電光石火(イカズチノゴトキスルドイザンゲキ)のインターセプトを見せつけて上げましょう!」
サージェは己のプラスチックホビーを走らせ、『ペンタスロンクイーン』からボールを即座に奪い取って自身の元へとパスを繋ぐ。
「くっ……! 私からボールを奪うなど!」
追いすがる『ペンタスロンクイーン』をサージェは華麗に躱しながら、迫る鋼鉄の巨人たちの間を駆け抜けていく。
「追いかける力がありますか!」
「奪ってみせますとも!」
「あ、あのー! なにはともあれ! 正々堂々とサッカーしようぜ!」
理緒がぜひぜひ言いながら二人を追いかける。
正々堂々とは、と思わないでもなかったが、しかし、理緒は何故かサッカーボールをキープしていた。
え、とサージェと『ペンタスロンクイーン』は思った。
なんで?
あれ、今まで自分たちが追っていたボールは?
「誰にだって、それはまるでチートのような、とんでもない才能があるものなんだよ、ぜひー……はひー……」
それはスキルクロス・リユニオン。
二つのスキルを組み合わせることによって新たなスキルを生み出すユーベルコード。
それによって理緒はサージェと『ペンタスロンクイーン』のボール争いに閃光のように介入し、ボールを奪ったのだ。
そう、奪った。奪っただけである。
彼女の体力では、ここが限界。
「理緒さん、パス、パース!」
「はひ」
ぺすん、とボールを蹴り出す理緒。
サージェはそのボールを受け取って駆け出す。
「楽しいですね! これがスポーツですよ!」
「何が!」
「あの理緒さんを見ても何も思わないなら貴方のダークリーガー魂も大したことないですね! 創意工夫。己のポテンシャルの全てを使って楽しむ。それを思い出すのです。スポーツ楽しい! 弾む! それが最初の気持ちでしょう!」
そう言ってサージェは『ギャラクシィリーガー』たちを躱し、敵フィールドへとボールを蹴り出し、『ペンタスロンクイーン』の胸にくすぶる炎に風を送り込むのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ステラ・タタリクス
【ステルク】
|エイル様《主人様》の!香りが!!
するようなしないような?
ええ、また店長様留守番でしょうし私には会ってくれませんし
しかし5mの鋼鉄の巨人と聞いて参りました!
誰がやべーメイドですか
ルクス様楽器取り上げますよ?
セラフィム……乗り手のいない|兵器《ガワ》だけですか?
赤とか青とか色は無いのでしょうか?
いえ、きっとその色を付けるのは|アスリートアースの人々《あなた方》なのでしょうね
では!
クリムゾンリッパー、参ります!
『|スポーツ《戦い》においては心に|遊び心《余裕》を』!
そんな切羽詰まった心持では戦えませんよノイン様!
体格差など思いで蹴散らしてみせましょう
【クリムゾンウイング突撃】です!
ルクス・アルブス
【ステルク】
あ、あれ?
ステラさん、今回はめずらしくだいぶ見切り発車ですね?
そして店長さんの危機回避能力、はさすがです。
ひょっとしたら店長さんも、やべーメイドの香りとか嗅ぎ分けてるんでしょうか?
あっ、あっ、ステラさん、それとっちゃだめです。
ただの可愛い勇者になっちゃうじゃないですか!
それにしてもさっかーはルールがあまり解らないんですよね。
『ルクス』ちゃん、これどうしたらいい?
ゴールに向かってボールを蹴ればいい?
そのとき「ドライブシュート!」って叫べばなんとかなるの?
解りました!
それにしてもノインさん……。
そのユニフォーム、青少年の健全な育成に悪くないですか?
どこかの忍べない忍者さんみたいですよ!
いつもの、と言われたのならば、いつもの、である。
毎回恒例。
慣例行事。
そう、何って。
「|『エイル』様《主人様》の! 香りが!!」
ああ、あれね、と『五月雨模型店』のメンバーたちは慣れっこであった。まあ、何かこう言い加えることはなにもないと言わんばかりに彼らは試合に集中していた。
なんていうか、最近扱いが雑いなってきているような気がしないでもないな、とルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は思ったけれど、暴走機関車ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)を止めることはできないので、静観していた。
「するようなしないような?」
「あ、あれ? ステラさん、今回は珍しくだいぶ見切り発車ですね?」
「ええ、また店長様はお留守番でしょうし、私には会ってくれませんし」
いじいじ。
ステラはいじけていた。
けれど、フィールドの中ですくっと立ち上がって見据えるは『ギャラクシィリーガー』たちである。鋼鉄の巨人。
彼らは異星からやってきた侵略者。
星の命運を掛けた戦いにいつのまにかなっていることは今更であろうが、しかしステラは体高5mの巨人を前にして深く頷く。
「鋼鉄の巨人と聞けば、もはや座して待つ理由などなし! やってまいりましたよ、私が!」
「店長さんの危機回避能力、さすがです。ひょっとしたら店長さんもやべーメイドの香りとか嗅ぎ分けてるんでしょうか?」
「誰がヤベーメイドですか。ルクス様、楽器取り上げますよ?」
「あっ、あっ、ステラさん、それ取っちゃダメです。ただの可愛い勇者になっちゃうじゃないですか!」
しれっと自分のことを可愛いと言ってしまえるくらいの太さはあるんだよなぁって『五月雨模型店』のメンバーたちは思った。
けれど、口にして出さないのが優しさというものであったことだろう。
「しかし、『セラフィム』……乗り手のいない|兵器《ガワ》だけですか?」
迫る鋼鉄の巨人たちを前にしてステラは観察する。
色が違う。
全てが鈍色のような銀色。青や赤といった装甲を持たぬ鋼鉄の巨人たちがボールを追いかけてフィールドを激震させているのだ。
「……いえ、きっとその色をつけるのは|アスリートアースの人々《あなた方》なのでしょうね」
「あのー、ステラさん、さっきからわたし、全然わからないんですけど。さっかーのルールってとりあえず、手を使ってはダメなんですよね? なのになんできーぱーって人は手を使って良いんですか?」
そんなルクスの問いかけにステラは背中を向ける。
ステラもよくわかってないのかもしれないが、しかし彼女はメイドである。出来るメイドなのである。
ならば、問答無用でルールを把握し、己のホビーを繰り出す。
「『クリムゾンリッパー』参ります1」
「ステラさーん!」
ルクスを置いてけぼりにしてステラはフィールドに駆け出していく。
その背中をみやり、ルクスは悩む。
ウンウン悩む。
「『ルクス』ちゃん、これどうしたらいい?」
「とりあえず、ボールをゴールに向かって蹴ればいいんですよ。その時に必殺シュート名を叫ぶと尚良しです! 大体なんとなかります。例えば、『ドライブシュート』! とか!」
ええ……そんなのでなんとかなるのかなぁとルクスは思った。
けれど、走り出さなければ何も始まらないのである。
「『|スポーツ《戦い》においては心に|遊び心《余裕》を』! そんな切羽詰まった心持ちでは戦えませんよ『ノイン』様!」
ステラは己のホビーと共に『ペンタスロンクイーン』をマークする。
彼女は『ギャラクシィリーガー』たちにのエースだ。
ならばこそ、ボールは必ず彼女に集まってくる。
「くっ……この、私をマークして……!」
「あの、『ノイン』さん。そのユニフォーム、青少年の健全な育成に悪くないですか?」
「何の話をしているんです!」
「いやだって、それ、どこかの忍べない忍者さんみたいですよ!」
ルクスの言葉、どこかの忍べてないクノイチの胸にぶっ刺さった。特に脈絡のないディスがクノイチを襲う。
「関係ないでしょう、今、忍者のことは!」
「確かに。ですが、言ったはずです。遊び心がないのならば、戦えないと。そういうものでしょう!」
ステラの放ったプラスチックホビーが『ペンタスロンクイーン』に回ってきたパスをカットし、ステラの足元に運ぶ。
ステラは微笑む。
優雅にカーテシーを決め、バックキックでもってルクスにパスを蹴り出す。
転がってきたボールにルクスは戸惑いながらも、勇者の特権(ユウシャノトッケン)にて囁やかれた『ルクスちゃん』の言葉にしたがって叫ぶのだ。
「『ドライブシュート!』」
それは別段特に回転の加わっていないシュートだった。
だが、無回転シュート故に、そのボールの軌道は複雑怪奇。揺れ動くようにして落ちるボールは『ギャラクシィリーガー』のキーパーの股下をバウンドしてくぐり抜け、これまでの殺人シュートやら強烈必殺シュートやらの応酬と裏腹ななんとも静かなゴールとなルノだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
レジーナ・ビエルニィ
……大会を邪魔して勝手に別の競技を始めるのもそうだけど、その場で洗脳したアスリートを大事な試合の選手に立ててくるってのもどうかと思う。
……無駄口はここまで。どんな前提条件だろうと、どんな競技だろうと、試合が始まった以上は全力を尽くすだけ。
『ぺんぺんくんシューズ』で地面を凍らせて滑って移動。相手チームへの妨害に『ゆきだまグレネード』を使い、相手チームの選手を盾に隠れながら目立たないように動く。味方が居るなら援護も。
……ボールをカットして奪ったらそこが切り札の切り時。【ブリザード・クローク】を使ってボールごと姿を隠しゴールを狙う。時折意図的に私より遠くで風を使って物音をたて、位置を誤認させる。
「……悔しい」
それは『ギャラクシィリーガー』に洗脳改造されたダークリーガー『ペンタスロンクイーン』の震える声だった。
洗脳改造されてなお、彼女の胸には『ダークリーガー魂』がくすぶり続けていた。
前半戦を終え、後半戦に突入してなお、追いつけない。
猟兵チームとの点数差は開くばかりだった。
身体能力も、チームの連携も負けていは居ない。劣ってはいない。なのに、それでも猟兵たちは『ギャラクシィリーガー』を引き離す。
「私は……!」
彼女の瞳に滲むものをレジーナ・ビエルニィ(雪女のバトロワシューター・f37984)は見ただろう。
「……大会を邪魔して勝手に別の競技を始めるのもそうだけど、その場で洗脳したアスリートを大事な試合の選手に仕立ててくるってのもどうかと思う」
何故そんな回りくどいことをするのだろうかとさえ思えた。
『ギャラクシィリーガー』たちが銀河的なパワーで圧倒できるのならば、自分たちだけでやれば良いのだ。
あの鋼鉄の巨人たちならば、それができるとレジーナは思っただろう。
だが、それを彼らはしない。
何が違うのだろうか。それは判然としない。
けれど、彼女はフィールドに走り出す。
無駄口はここまでだ。
どんな前提条件だろうと、どんな競技だろうと、試合が始まった以上は全力を尽くすだけだ。
言葉を尽くしても、伝わらなければ意味がない。
なら、レジーナは己ができることをやるだけだ。スポーツっていうのはそういうものだ。
「……速い!」
「……『ぺんぺんくんシューズ』っていう」
レジーナはフィールドを滑るように走る。芝生を凍りつかせ、摩擦係数を抑えるがゆえに彼女の速度は『ペンタスロンクイーン』にとっても捉えきれぬものであった。
さらに彼女は滑走と共に『ゆきだまグレネード』を放ち、周囲を冷気に包み込む。
舞い上がる凍結した大気がキラキラと光を反射する中、レジーナは鋼鉄の巨人たちを盾にするように駆け抜け、『ペンタスロンクイーン』が放ったパスをカットする。
「なっ……!」
「……これが私の切り札」
次の瞬間、レジーナの瞳がユーベルコードに輝く。
それはブリザード・クローク。
カットしたパス。キープしたボールは己の生み出した凍える竜巻でもって覆われ、視聴嗅覚では感知できなくなってしまう。
「……風は、簡単には捉えられないよ……」
レジーナは竜巻纏うボールを蹴り出す。
それは凍てつく竜巻をまといながら、しかし、実際には認識できぬ見えぬシュート。
名付けるのならば、ブリザード・ショット!
彼女の必殺ショットは『ギャラクシィリーガー』たちの認識の外から飛来し、彼らが認識できぬままにゴールネットを揺らす。
「……思い出した? 悔しいって気持ち」
レジーナはダメ押しのゴールに項垂れるように膝つく『ペンタスロンクイーン』を見つめる。
彼女の言葉通りだった。
『ペンタスロンクイーン』の中にある『ダークリーガー魂』は勝利への渇望である。
『ギャラクシィリーガー』たちの手勢となることで抑えられていた炎が吹き荒れる。立ち上る炎の如き闘志。
それは熱気まとい、彼女の洗脳改造を溶かし尽くすようであった。
「私は!」
「……勝ちたいんでしょう。なら、共に戦いましょう。あなたはこの星の人。なら」
当然、というようにレジーナは手を差し伸べる。
寝返ってしまえばいいのだと言うように彼女は『ペンタスロンクイーン』の手を取って立ち上がらせるのであった――。
大成功
🔵🔵🔵
シニストラ・デクストラ
【心境】
「無茶苦茶な試合になりましたわね兄さま!」
『無茶苦茶じゃない試合ってあったっけ姉さま?』
【行動】
Larvaを使おうかな?と一瞬考えたけど、正々堂々の試合だからキャバリアはなんか違うかなと思いユーベルコード:原初の魔神を使用します。
「Larvaはお留守番なの。腕が多いからハンドが怖いの兄さま。」
『Larvaはお留守番だね。足が4つだからドリブルが難しいそうだね姉さま。』
魔神に変身して身長が近くなったので遠慮なく、スライディングでボールをカット、スポーツマンシップの魂という覇気を込めた必殺シュートをお見舞いします
ところで、サッカーで水泳の競技力強化ってどんなのです?(二人で純粋な目で期待)
猟兵たちと『ギャラクシィリーガー』たちの『ギャラクシィリーグサッカー』の試合は後半戦の終盤に差し掛かる。
彼らはダークリーガー『ノイン』を洗脳改造し『ペンタスロンクイーン』と仕立て上げた。だが、彼女の中に残っていた『ダークリーガー魂』が燃え上がったことに寄って、彼女は猟兵サイドへと寝返っていた。
しかし、寝返りに怒り狂うことなく『ギャラクシィリーガー』、鋼鉄の巨人たちは粛々とボールを追いかける。
巨体が激震巻き起こす。
「滅茶苦茶な試合になりましたわね兄さま!」
『滅茶苦茶じゃない試合ってあったっけ姉さま?』
シニストラ・デクストラ(双躰のラスボス・f31356)は互いを見合わせて首を傾げる。
そう、彼らの言葉通りであった。
もう試合は滅茶苦茶であった。とは言え、それはアスリートアースにおける超人スポーツにおいてはむしろ、平常運転である。
そりゃあ、敵チームから寝返るアスリートが出ることだって、まあ、あるだろう。たぶん。
「ここからは私もチーム猟兵で戦います」
『ペンタスロンクイーン』は燃え上がる『ダークリーガー魂』によって洗脳改造を強引に溶かすようにして此方側へと寝返ったのだ。
「はぁ、そうなの兄さま」
『なんていうか、こういうのって予定調和っていうんじゃなかったっけ姉さま』
二人は寝返ってボールを追いかける『ペンタスロンクイーン』を見やる。
でもまあ、いっか! と二人は思っただろう。
確かにカウントは此方が二点差で勝ち越せそうである。けれど、試合終了まで何が起こるかわからないのがサッカーである。
どれだけの点差があっても覆してしまえる逆転劇だって興り得るのがスポーツの試合だ。
だからこそ、シニストラとデクストラは迫る鋼鉄の巨人たちを前にして、キャバリアを呼び寄せるのではなく、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
「戻ろうか、兄さま」
『増えようか、姉さま』
二人が合体し、原初の魔神(チェントロ)が現れる。
それは彼らの元の姿であるとも言えただろう。
二倍の身長となった二人は、迫る鋼鉄の巨人を前に踏み込む。
「『Larva』はお留守番なの。腕が多いからハンドが怖いの兄さま」
『お留守番だね。足が4つだからドリブルが難しそうだね姉さま』
「ボールカットを!」
『ペンタスロンクイーン』の声が響いて、迫る鋼鉄の巨人から二人はスライディングでボールをカットし、立ち上がる。
「やればできる子なのよ兄さま」
『できないことはないよ姉さま』
二人はボールを奪って走り出す。迫る鋼鉄の巨人たちをみやり、『ペンタスロンクイーン』と共にパスワークで敵フィールドを駆け上がっていく。
速い。
ダークリーガーである『ペンタスロンクイーン』は此方の動きについてくる。
「ところで思うのだけれど、『ペンタスロンクイーン』さん? 私思うのだけれども兄さま」
『うん、僕も気になっていたんだよ姉さま』
二人は首を傾げる。
「サッカーで」
『水泳の』
「競技力強化って」
『どんなのです?』
二人の機体の眼差しを受けて『ペンタスロンクイーン』は笑う。
簡単なことだ、というようにユーベルコードの光をまとう彼女は、フィールドを泳ぐようにして駆け抜けていく。
まるで、それは芝生の海を泳ぐようであったし、波のように押し寄せる鋼鉄の巨人たちをかいくぐる姿はまるでトビウオのようであった。
それは二人にとって思いもしなかった強化だった。
異なる競技の何が活用できるのかと思っていたものだから、余計に驚きに満ちた『ペンタスロンクイーン』の身体能力と、そのスポーツに熱中する姿に同じように彼らは笑う。
「負けていられないわ、兄さま」
『そうだね、負けてられないね、もっと滅茶苦茶にしよう姉さま』
二人はそう笑い合って、超銀河的なサッカーフィールドに飛び込み、もっと滅茶苦茶にするように鋼鉄の巨人たちを吹っ飛ばし、ゴールを目指すのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
明和・那樹
●SPD
(色々と理解が追いつかず、頭を抱えながらモニターの前で宇宙猫る常識人)
…うん、一回だけでこの世界を理解出来ていたと思ってた僕が浅はかとしか言いようがない
サッカーは…|授業《カリキュラム》でやった程度の知識しかないけど、そもそも相手は鋼鉄の巨人だ
普通の知識でどうこうする考えは捨てよう
何か馬を召喚してるし
感覚は…巨人戦や巨石トラップに近い物があるかな?
相手は騎馬戦状態だから視界の高さでは有利だけど、逆に言えばその下は死角も同然
その辺をうまく立ち回り、体術コマンドでの【スキルクロス・リユニオン】でパスされたボールを奪ってみよう
ノインに対しては、悔しかったらプラクトサッカーで受けて立つと返すよ
もう試合は滅茶苦茶のしっちゃかめっちゃかであった。
言うなれば、混沌。カオス。
体高5mの鋼鉄の巨人たちがフィールドを駆け抜け、猟兵たちのユーベルコードが煌めく。ゴールネットはぶち抜かれるし、ディフェンダーたちはシュートにぶっ飛ばされる。
宙を舞うは鋼鉄の巨人の躯体。
旋風が巻き興り、芝生のフィールドをかち割るようなシュートのソニックブームが明和・那樹(閃光のシデン・f41777)を打つ。
「僕の知ってるサッカーじゃない」
彼は思わず目を見開いて、その瞳孔開きっぱなしの瞳で『ギャラクシィリーグサッカー』の推移を見守るしかなかった。
いや、本当にわけわからない。
『ギャラクシィリーガー』たちによって洗脳強化された『ペンタスロンクイーン』はすでに猟兵たちとの戦いによって熱い『ダークリーガー魂』を目覚めさせ、こちらに寝返っている。
そもそも寝返りってありなのか。
敵チームだったじゃん。
「……うん、一回だけでこの世界を理解できていたと思った僕が浅はかだとしか言いようがない」
確かに那樹はサッカーというものを知っている。
けれど、目の前で繰り広げられているのは『ギャラクシィリーグサッカー』である。
サッカーであってサッカーではないようななんかそうあれなのである。
そもそも授業でかじった程度の知識しか彼にはない。
というか、そもそも体格差がエグい。
「なんだよ、鋼鉄の巨人が相手って! 普通の知識でどうこうする考えは捨てろってことなのか!?」
そんな彼の横を『ペンタスロンクイーン』の機械馬が駆け抜けていく。
もうわけわからない。
なに、馬ってスパイクシューズの分類なの?
「でもまあ、やれないことはないだろ! やってみせるよ、やるよ! やればいいんだろ!」
那樹は走り出す。
感覚としては巨人戦や巨石トラップだと思えば良い。縦スクロールシューティングみたいなもんだと那樹は自分に言い聞かせる。
「いやむり!」
「がんばればなんとなります。がんばりましょう!」
「馬乗ってるやつに言われたくない!」
「知らないんですか。『ギャラクシィリーグサッカー』ではこれくらい序の口ですよ」
『ペンタスロンクイーン』の言葉に那樹はもう考えることを辞めた。
理解しようっていう心構えからして前提が間違っているのだ。
なら!
「あーもー!!」
やけくそである。
那樹は瞳をユーベルコードに輝かせる。
スキルクロス・リユニオン。それはスキルとスキルをかけあわせたことに寄って生み出されるアナザーカウンタースキル。
マキシマムカウンターは己の体を捨て身とすることによって、成功率を犠牲にして、一点突破を狙う技能。
その技能を発動させた那樹は逆転を狙う『ギャラクシィリーガー』からバスワークに突入し、凄まじ速度でボールをカットするのだ。
「ナイスカットです!」
「えーと……これを」
「パス!」
「あっ、そうだった。そらっ!」
那樹のパスを受けて『ペンタスロンクイーン』は走る。その横顔は笑顔だった。笑っていた。
やっぱり、と那樹は思う。
「なんだかんだ言って、結局スポーツが楽しんいんじゃないか。勝ちたいっていう気持ち以上に」
なら、と那樹は笑う。
「今度、『プラクト』サッカーでもやろうじゃないか。それはきっと」
「ええ、楽しいですね」
笑い合うアスリートたち。
彼らの笑顔は、どれだけ異星からの侵略者という未曾有の危機が襲ってきても関係ないというように、試合終了のホイッスルと共に、猟兵チームの勝利を飾るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵