バトル・オブ・オリンピア⑪〜ダーク巌流島
●天空要塞デスリング
地上に降り立つダークレスラーの殿堂にして血に染まったジャングル。
四角いロープに囲われた闘技場の中に立つのは複数のマスクマン。
「来たか!」
ひときわ身の軽そうなルチャドールが叫んだ。
「|自由なる戦い《ルチャリブレ》はここに終わり」
大柄な戦士が膝のサポーターの位置を確かめる。
「ここに暗黒の世界が訪れる!!」
東洋系の服装――ニンジャ姿の男が宣言した。
「阻めるか、イエーガー? ここは誰も見ることのないデスリング」
問いかけるのはMMAスタイルのルード。
「名づけるなら、ダーク巌流島!!」
最後に口を開くのはマントを羽織った闇の|王者《スペルエストレージャ》であった。
●グリモアベース
「言っておきますが、俺の親戚とか関係者じゃないですからね」
グリモア猟兵、流茶野・影郎(覆面忍者ルチャ影・f35258)は関係を強く否定した。
「さて、本題です」
影郎はリングの模型を机に置いた。
「『バトル・オブ・オリンピア』の開催に伴い、空に浮かんでいた天空要塞デスリングが着地しました。お分かりだと思いますがダークレスラーとの決着の時――イリミネーションマッチです!」
そしてリングにレスラーの人形を複数。
「敵は最大10人、つまりこっちも送り出せるのは10人が限界。一応、先鋒、次鋒、中堅、副将、大将とポジションは決まっているので、まあ、そこは上手くやってくださいな」
グリモア猟兵がいつもの風車ではなく、ゴングを木槌で鳴らすと開かれるのはデスリングへのファイティングロード。
言葉は要らない。
全てはリングで証明するのみ!!
みなさわ
正直、書かないと負けだと思いました。
今年もよろしくお願いします、みなさわです。
今回はプロレスです。
●ルール
普通のプロレスルールです。
余程自由すぎる物でない限り、突然のルール変更にも乗ってくれます。
●場所
天空要塞デスリングの中にある一つのリング。
ルチャリブレ仕様のスプリングの無いマットはとても固く、頭から相手を落としたら反則ですが猟兵相手なのでそこは黙認されます。
●敵
悪に染まったルチャドールたちです。
メタ打ち仕掛けるとシュートで返すので、自分らしい戦い方と信念をぶつけ、そして相手の戦いを受け止めてください。
●プレイングボーナス
ポジションを選び、それにふさわしい戦法で戦う。
各ポジションにはそれぞれリング上で有利な効果を得られます。上手く自分のプレイングと組み合わせてください。
(プレイングの最初に数字なり文字を書いてくだされば、文字数は大丈夫かと思います)
①先鋒:機動力2倍。
②次鋒:攻撃回数1.5倍。
③中堅:一撃目が必ず命中する。
④副将:全ての能力1.2倍。
⑤大将:耐久力10倍+ギブアップできない。
●その他
マスターページも参考にしていただけたら幸いですが、貴方が望み面白そうならコート掛けでも梯子でも透明人間相手でもリプレイは書きます。
では、皆様。
誰もいないリングでのファンタジスタを期待しています。
第1章 集団戦
『悪のルチャドール』
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POW : ダーティ・ウェポン
【凶器】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : エリアルドライバー
掴んだ対象を【拘束したまま跳躍し、空中】属性の【ドライバー】で投げ飛ばす。敵の攻撃時等、いかなる状態でも掴めば発動可能。
WIZ : スーサイド・プレス
自身の攻撃ユーベルコードひとつを【フライングボディプレス】に宿し射出する。威力が2倍になるが、[フライングボディプレス]を迎撃して反射可能。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
オリヴィア・ローゼンタール
⑤大将
戦争とは言うものの、そこに常の悲壮さはないですね
体操服に赤いブルマでリングイン!
紅白の衣装は新年に相応しく縁起良し、拳を掲げて観客にアピール(パフォーマンス)
ただ戦って勝つだけではなく、観客を沸かせてこそのプロレス!
大将というポジションなら尚更!
闘魂(覇気)を漲らせ、真っ向から突撃!
堅実なチョップやパンチング、派手なキックやタックルの応酬
空中から叩き落とされるエアリアルドライバー!
リングとの激突の瞬間に【功夫】の体捌きで衝撃を【受け流す】!
相応のダメージを負うも……まだまだァ!(気合い・根性・耐久力10倍)
【怪力】で猛然と掴みかかり、フィニッシュホールド――【竜巻投げ】!
ぉおおおおお!!
●第一戦、オリヴィア・ローゼンタールVSエル・ペサディーヤ
――たった一回の|パイルドライバー《マルティネーテ》
それが俺の光を閉じた。
目の前に立つ女は体操服にブルマ……異種格闘家と思えば、掲げる拳がそれを嘘と否定する。
オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)の眩しさから目を逸らし、先鋒たるエル・ペサディーヤはダークレスラーとしての生き方を貫く。
ここが俺の舞台だから……。
ゴングと同時に叩き込まれるはオリヴィアのチョップ。
胸元に叩き込まれる一撃でペサディーヤの身体が宙を舞い、マットを揺らす。
観客の居ないはずのリングにどよめきが響いた。
誰かは分からない、だが戦いは終わらない。猟兵のパンチを受け止めたルードは|竜巻《アリータ》のようにオリヴィアを投げた。すぐに立ち上がりつつあるクルースニク。
それに対しロープの反動を使ってペサディーヤのランニングエルボー。
それを避けたオリヴィアに対し、ダークレスラーは反対のロープに身を預け駆け出す!
――先鋒故の素早さ
普段以上の機動力は最初の試合に用いられるムーブ、機敏な動きで観客を魅了し相手の強さを引き上げる。
「そんな綺麗な試合を出来るのに!」
思わず放たれるオリヴィアのビッグブート。
「どうしてダークレスラーに!」
威力を持った重たい蹴りにルードがたたらを踏む中、狼が如きのタックル。
「……それを語ってなんになる!!」
ペサディーヤが宙を舞い、オリヴィアを飛び越えつつ足を絡め丸め込む。
ローリングクラッチホールド!
2カウントで吹き飛ばされたルードは猟兵に対して距離を取る。
会話では解きほぐせない距離をオリヴィアは感じた。
オリヴィアが走る。
ランニングからの膝蹴り、腹を抑えて舞い上がったペサディーヤがその反動で転がように立ちあがり跳躍、ロープへと飛び乗るとムーンサルトアタック――ブファドーラをオリヴィアへと浴びせかけた。
「まだまだぁ!!」
叫びと共に猟兵のブリッジでダークレスラーが弾き飛ばされる。
「まだです……」
荒い息と共に立ち上がるオリヴィア。
「あなたの本気を私に……みんなに……」
「ここは誰もいない巌流島」
エル・ペサディーヤが呟く。
「このリングに誰が居るというのだ!」
それは叫び、誰もが彼を見ることを止め、闇に落ちたレスラーの叫び。
「私が居ます!」
照らすのはオリヴィア・ローゼンタール。
「私が、猟兵の皆さんが、そして……」
リングの周りを見る。
「あなたと同じダークレスラーが」
闇に落ちた同胞たちが世界を救わんとする猟兵が、二人を見ていた。
「ならば!」
ペサディーヤが掴み、跳ぶ!
「受けてみろ、俺の闇を! この技を!」
相手を拘束しつつ跳躍するは風の精霊の猛威が如き。
そこから放つはルチャリブレにて禁じ手とされた技。
|エリアルドライバー《墓石送りのマルティネーテ》
リングが揺れた、空気が揺れた。
そこに立つのはオリヴィアという墓碑が刻まれた肉の墓石――だった。
「……まだまだァ!」
立ち上がるは猟兵。
それは長年の功夫で培われた技に大将たる気概で挑んだが故。
覇気漲るチョップが何度も叩き込まれる。
一発。
二発。
三発。
乾いた音が響く。
それは禊の一撃。
たまらずにダークレスラーの膝が折れる。
「ぉおおおおお!!」
すかさず掴んだオリヴィアがペサディーヤをコーナーポストに担ぎ上げるとそこから後方へとスープレックス。
原爆固め!
一回では終わらない。
リングを横断するように何度も繰り返されるジャーマン。
最後を決めるのは跳躍からの後方回転。
猟兵とダークレスラーの回転が照明に反射し太陽とならん。
――光あれと叩き込まれるのは。
|竜巻投げ《トルネード・スイング》
コーナーポストに叩きつけるようなジャーマン。
先に落下するのはペサディーヤ。
抑え込むのはオリヴィア。
「ワン!」
ああ、終わる。
「ツー!!」
俺の闇も生き方も。
「スリー!!!」
ゴングが鳴り響き、試合は終わる。
闇を払ったオリヴィアが救いあげるようにペサディーヤの手を取り、立たせる。
その手を払うとルードは改めて猟兵の腕を握り、誰が勝者かを示すため彼女の拳を上げていった。
……自分を救ってくれた腕を。
大成功
🔵🔵🔵
夜刀神・鏡介
②次鋒
レスリング……という事は格闘での勝負という事か
普段と勝手は違うが、とにかく出来る事をやるのみだろう
とは言え、ルチャドール相手に戦った事はない
まずは控えめに、相手の動きを見極めるところから
動きは独特といっても、基本的には人間の動きの範疇ではありそうだな
俺も格闘の戦い方はある程度身につけているといっても、あくまで打撃戦のみ
投げや締めなど相手の流れに巻き込まれないように注意しながら、動き回ってパンチを繰り出していく
敵の凶器攻撃を神器化した左腕で受け止め、弾き飛ばしたところで大きく踏み込み、無の型【赤手】
渾身の一撃を入れて怯ませたところで、更に追撃を叩き込む
ここで一気に決めてしまうぞ
●第二戦、夜刀神・鏡介VSスペル・ブシドー
本当の戦いなど、つまらぬものだ。
そこに盛り上がりなど無く、ただ誰かが破れるのみ。
だからこそリングを去ったはずなのに、オレはまだ|此処《・・》に居る。
目の前の男はこのおかしな道を歩むオレをどう思うのだろうか?
ニンジャを模したレスラーの視線が夜刀神・鏡介(道を探す者・f28122)へと注がれた。
――レスリング……という事は格闘での勝負という事か。
一方で鏡介はある種の戸惑いを見せる。
剣を使うが故に普段と勝手が違う。
無手の心得はあるが技における『精度』の差は明らかだ。
「とにかく出来る事をやるのみだろう」
かと言って引き下がる道理はなく。
それを示すかの如くゴングは鳴る。
互いに距離を詰める。
偶然なのか、合わせているのか運足は摺り足。
フットワークを刻めば音を響かせるマットと言う名の楽器が今は沈黙を保つ。
腰を落とし手を伸ばしていくブシドーに対し、鏡介は剣術の運足から肩をぶつけ間合いを支配し離れ際に拳を叩き込む。
決してヒット&アウェイを狙ったわけではない。
猟兵の戦い方は残心、戦いの場において心身を怠ることのない常在戦場の構え。
それが分かるからこそニンジャは笑い、少しずつ足を踏み鳴らしフットワークを刻み始めた。
戦いは拮抗を保っていた。
拳を中心に距離を保って戦う鏡介。
時に蹴りを放ち、体当たりをするがそれは間合いを作る為。
対するはキックを中心に鮮やかな打撃技を見せるブシドー。
こちらもラッシュに追い込まれないように時に組みつきにかかり、それを嫌い猟兵が動いたところで流れを一端打ち切らせる。
思惑が錯綜し、そして――
「貴様はルチャリブレ……プロレスより、戦いの方が似合ってそうだな」
ダークレスラーは言葉を発する。
「生憎と剣の方が得意でな」
猟兵が答えた直後、掌底が肩に叩き込まれた。
「ならば、オレが無手であった理由もわかるだろう」
視界に入ったロープ、鼓膜に響くブシドーの言葉。
「そこに武器があるのだから!」
歴戦の戦士たる夜刀神・鏡介はそれで全てを理解し、後頭部……いや頸椎に衝撃を感じた。
「これがオレの……スペル・ブシドーの『戦い』だ!」
|ダーティ・ウェポン《ロープを使った猟兵ギロチン》
背後からのドロップキックとロープのサンドイッチが鏡介の喉と骨に衝撃を与え、そして猟兵の身を踏み台にダークレスラーが飛ぶ。
次鋒たるスペル・ブシドーがユーベルコードと自らの立ち位置を合わせた時、もう一度攻撃のチャンスが生まれ、それは確実な頚部の破壊を意味する。
「そうは……いくか!」
けれど、ここでみすみすと相手の手に落ちる鏡介ではない。
同様に次鋒たる鏡介も一手、繰り出す機があるのだ!
神腕【無涯】
神器たる神刀を宿した左腕であれば!
「ぬおっ!?」
空から飛び降りて来るダークレスラーを弾き飛ばすのも可能であり。
勝機を見出し、掴み取れるのだ!!
「戦いの方が合っていると言ったな――その通りだ」
大きく踏み込んで繰り出す掌底は武人の持つもう一つの刃。
|無の型【赤手】《ムノカタ・セキシュ》
カウンターで放たれたユーベルコードがブシドーの顎を撃ち抜き、その身をマットへに叩きつけた。
「……くっ!」
立ちあがろうとしたダークレスラー。
「まだ……やるか?」
だが残心を決め、次に備える鏡介を見て――
「いや……オレの負けだ」
敗北を悟る。
本当の戦いをリングに求めた男は、ここに終着点を……道の終わりにたどり着いたのだから。
互いに浮かんだ笑みの意味はおそらくは誰も知ることはない。
けど、それで良いのだ。
また一人、闇の呪縛よりレスラーが解き放たれたのだから。
大成功
🔵🔵🔵
ユーフィ・バウム
③中堅
《蒼翼の闘魂》を発動
真の姿:蒼き鷹としてリングに立ちます
初撃に《怪力》と《功夫》を生かしたビンタを叩き込みます
必中とはいえこれで仕留められるはずはなく、熱くさせるが狙い
さぁて気合いが入りましたか?
存分にやりましょうか、プロレスを!
堂々相手のすべてを受け切り、そして勝つ試合を作る
――見切りは致命打を避けるのみ
攻撃は堂々と。覚悟と気合いを入れ、胸を張り受け止める!
ここは誰もいないリング?
それが自分らしさを曲げる理由にはなりませんわ
覚悟を決めた正義のレスラーの体は全て受け止めますとも!
相手の攻めが止まった頃合いで、私の番ですね!
力溜めて腰をクラッチし
ジャーマンスープレックスでマットに沈めますッ
●第三戦、ユーフィ・バウムVSミスター・エクストリーム
いつからシャツが着るようになっただろう。
派手さを狙ったデスマッチを始めてからか……?
最初は熱狂した観客も、血が出るたびに興奮していた奴らも。
怪我が増えるごとに消えていき、そして一人になった俺は闇の底。
そうだ、誰も見ないデスマッチなんか意味がねえのさ。
そうだろ姉ちゃん?
傷塗れの男の思考はユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)の平手打ちに遮られた。
咄嗟に張り手を返すのはミスター・エクストリーム。
ダークリーガー随一のデスマッチレスラー。
「さぁて気合いが入りましたか?」
そこに立つのは蒼き鷹。
「存分にやりましょうか、プロレスを!」
ユーフィの真の姿。
「プロレスだぁ?」
エクストリームが流れる動きでタイツからクラッシュガラスを取り出すとそれを猟兵の頭に叩きつけた。
「こんなボロボロのおっさんが」
蒼き鷹が咄嗟に頭で受け、衝撃を逃すために仰け反るような動きをする間に滑り込んだ椅子を組み立て、ダークレスラーが走る。
「プロレスなんてできるかよぉ!!」
椅子を駆け上って敢行するのは高々度からのテーズプレス。
全体重をかけてユーフィを押し倒せばマウントからのパンチを浴びせる。
「してるじゃないですか!」
レスリングワークでホールドした足をほどいた猟兵が拳を交わし、自らに引き寄せるようにしてから体勢を入れ替える。
即座にユーフィが腕を取れば、逆にエクストリームが立ち上がり総合のバスターのように持ち上げてターンバックルへと叩きつけた!
――プロレスが!
言葉が届く前に脳が揺れた。
直後に蒼き鷹に耳元が風を感じ頭を動かすとパイプ椅子がロープに跳ね返って転がった。
視界にあるのは組み立てられたテーブル。
そしてそれを発射台に見立てて滑らす様に椅子を投げ込まんとするミスター・エクストリームの姿であった。
咄嗟に前に飛び出し、猟兵がテーブルに飛び乗る。
上からダークレスラーの頭を蹴り、直後に頭を掴んでのアズバンプ。
Xファクター!
高さと折れて割れるテーブルの効果も相まって、その技は激しくも美しい。
「ここは誰もいないリング?」
ユーフィが問いかける。
「それが自分らしさを曲げる理由にはなりませんわ」
でなければ、誰が椅子を、テーブルを投げ込んだというのだ。
「覚悟を決めた正義のレスラーの体は全て受け止めますとも!」
「正義のレスラーか……」
エクストリームが立ち上がる。
「だったら見せてもらおうか、正義って奴をなぁ!!」
睨みつけるように近づくダークレスラー、それを敢然と受け止める猟兵。
互いの胸がぶつかり合い、始まるのはまず押し合い。
そしてロープを指差すエクストリーム。
応えて走るユーフィ。
ロープの反動を活かして速度を増した猟兵に対しカウンターで投げんと構えるダークレスラー。
けれど蒼き鷹の姿が消える、スライディングで足元を潜りぬけたのだ。
即座に反対側のロープを走るユーフィ。
更に勢いを増した猟兵が跳躍と共にドロップキックを叩き込めば、転がるようにダークレスラーが受身を取り、リングが揺れた。
追い打ちをかけんとした蒼き鷹。
だが経験がそれを断ち切った。
エクストリームが立ち上がらずに身を転がして近づくとカニばさみでコーナーポストへと猟兵の顔面を叩きつける。
膝が悪いレスラーが使う回転ムーブを応用し、流れを変えたのだ。
反動でたたらを踏むユーフィに対し、再びテーブルを受け取り組み立てるダークレスラー。
足元おぼつかない猟兵を捕まえると端に頭を乗せ、反対側から折りたたんだ椅子を滑らす。
|ダーティ・ウェポン《イーストコースト・スライディングチェア》
だが……|蒼翼の闘魂《ソウヨクノトウコン》がここで屈するわけがない!
間一髪のブリッジワーク。
椅子はロープをすり抜けて誰もいない観客席へと消えていく。
次はユーフィの番。
力一杯のヒップドロップをエクストリームの顔面に叩き込み、その背後に回る。
これこそが覚悟。
これこそが誓い。
これこそが――蒼翼の闘魂
ルードの力を受けきったテクニコがする技はただ一つ。
ジャーマンスープレックスホールド!!
再びリングが揺れ。
マットを三度、叩く手。
それは闇からの別れの拍手。
それは敗北からの再スタートへの祝福。
それは目覚める為の手。
たった一人のデスマッチレスラーは新たな道を歩むための|ゴング《鐘》がリングり鳴り響いた。
大成功
🔵🔵🔵
如月・円
ポジションは②
バトル・オブ・オリンピアとか何とか言ってるけど、やることはいつもと変わらず全力ファイトで勝利を収める! これだけだね!
僕はこんなナリだけど、ファイトスタイルは力強く、単純で、わかりやすく、元気よく! 目指せスタン・ハンセン! なんだよね。
そうなると手数も増やせてガンガン行ける次鋒を希望しようかな。
当然、相手も恩恵を受けるのであれば、これはもう短期決戦。打撃とスラム系の技で攻めつつ、相手の攻撃もきっちり受けていくよ!
決め技のラリアットはアピールとかをする余裕はなさそうだから、相手が決めにかかった直後に居合抜きのようにぶっ放す!
さあ、新年興行(?)の成功目指して頑張るぞ!
●第四戦、如月・円VSディアブロ・トルメンタ
男には金が必要だった。
何もない自分を養ってくれた孤児院が、自分に世界を教えてくれた教会が、アスリートの弱肉強食の世界の中に消えていかんとしたからだ。
だからこそ、男は悪魔になった。
荒ぶる悪魔は救えるものを救い、代償として闇に消えた。
そして今、此処に立つ。
「バトル・オブ・オリンピアとか何とか言ってるけど」
如月・円(全力全壊オトコノコ・f41669)が口を開く。
「やることはいつもと変わらず全力ファイトで勝利を収める!」
「シンプルなのは悪くない」
円の言葉に神父の装いをしたディアブロ・トルメンタがローブを脱ぎ、鍛えた巨体を露わにする。
「ならば私も全力で行こう。君に勝てば少しは金も貰えるだろうから」
トルメンタの言葉に男の娘は目を丸くした。
「それでいいの?」
「良いのかもしれない、良くないのかもしれない」
フットワークを刻み、バンテージを巻いたマスクマンが構える。
「若者よ君にもいつか分かる」
禅問答のようにダークレスラーが答えを逸らした時、ゴングが鳴り、二人は動いた。
眼の奥で火花が散り、口の中に鉄の味がした。
まずは互いの拳が顔面に叩き込まれた。
続いて円のエルボーパッドがトルメンタの顎に叩き込まれれば、ダークレスラーのエルボースタンプが猟兵のこめかみに突き刺さる。
仰け反るように二人がたたらを踏み、改めてロックアップをすれば巨体が舞い、円のボディスラムがマスクマンをマットに叩きつけた。
続けるようにエルボーを落としていけばトルメンタがそれを回避し首投げからのグラウンドへと流れていく。
ヘッドロックを抜け出した男の娘が逆にがぶって潰すとダークレスラーが切り返してアームロックを極めんとし、それを拒んだ猟兵が距離を取る。
二人がゆっくりと立ちあがれば、また駆け出して拳を叩き込んでいった。
ハイスパートなプロレスが続く。
互いに顔を張り、投げ、そして技を繰り出す。
全てを壊すかのように戦う円。
同じように暴れ往くトルメンタ。
理由は違えど、戦い方は似ていた。
違うのは猟兵かダークレスラーか。
……一線を越えたか、越えなかったか。
流れが変わった。
男の娘の背後に回り込んだマスクマンがバックドロップでマットに叩きつけ。
コーナーポストへと上がる。
毟り取るように膝のサポーターを取れば、隠れていたのは金属の入ったニーパッド。
膝の安定を保つためにスプリングとプレートが今、凶器に変わる!
|ダーティ・ウェポン《悪魔のニードロップ》
だが……流れを見ていたのは円も同じ!
咄嗟に転がるとニードロップからの着地点から逃れ、そして立ち上がりつつ駆け出す。
プレートが砕け、ディアブロ・トルメンタの動きが止まったそこへ叩き込まれる首折り弾。
|全力全壊《ウェスタン》ラリアット!
フルスイングのラリアットがダークレスラーを跳ね上げ宙に回す。
ラリアットは打撃技と思われがちだが、本当の使い方は相手を跳ね上げるように浮かして頭から落下することを狙った投げ技。
だからこそマットに倒れたトルメンタの片足を抱えてフォールすると自然と体重が首にかかり、返すことが不可能となる。
スリーカウントが告げられ、試合が終わる。
全力ファイトの結果はこの戦いの勝利を――目標の成功を導き出さんとした。
大成功
🔵🔵🔵
荒谷・つかさ
ダーク巌流島、ねぇ。
それなら私は、丸太から木刀でも削って来れば良かったかしら?
(冗談めかして言いつつ、無手で入場)
ポジションは大将
持ち前の「怪力」を生み出す筋肉の鎧を活かす……という理由は建前
本音は「互いに長く戦いを楽しみたい」から
(根っからの戦闘狂感)
ともあれ、戦闘は「怪力」を活かして正面からゴリ圧していく
敵の技はわざと受けつつ、その尽くを「怪力」と【型破り】で強引に抜け出して反撃
凶器や反則技を持ち出されても逃げず、筋肉ガードや受け身で冷静に対処
一方でこちらはわかる範囲でのルール違反はせず、正攻法で真っ向から打ち負かす
この程度で、私の頸が折れるとでも?
鍛え方が違うのよ、出直して来なさい!
●第五戦、荒谷・つかさVSドス・ディスフラーシス
勝てばいい。
ただそれだけを目指し、身を鍛えた。
勝てばいい。
ただそれだけを目指し、技を磨いた。
勝てばいい。
ただそれだけを目指し……。
「ダーク巌流島、ねぇ」
目の前の荒谷・つかさ(|逸鬼闘閃《Irregular》・f02032)が唇を動かし。
「それなら私は、丸太から木刀でも削って来れば良かったかしら?」
「ならば、私はさしずめササキ・コジローと言うわけか」
洒落を言い終わるやいなや、ドス・ディスフラーシスは蛍光灯をつかさの脳天に叩きつけた。
――闇に落ちたのだから。
「ゴング前よ」
額から流れる血を指で拭い、それを舐めつつ羅刹の女は窘めた。
「ゴング前だな」
悪びれもせずに答えたダークレスラーが高速タックルを敢行する。
服装はMMAスタイル、|二つの姿《dos disfraces》とはそういう意味合いだろう。
だがつかさも黙ってはいない。
全身に血管を浮き上がらせれば、セオリーに何も無視して上から押さえつけるだけでタックルを潰した。
|型破り《モールド・ブレイク》もいいところの力技だった。
勿論、それで怯むディスフラーシスでは無かった。
羅刹の小指を掴んで捻り、関節を極めて動きを制すると後ろに回り膝裏へタックル。
梃子の原理でうつぶせに倒すとその背中に乗って拳を叩き込む。
一発、二発、三発。
次々とつかさの後頭部に拳が叩き込まれる。
これを続けるだけで試合は終わるはず……だった。
ふと、ダークレスラーの体勢が変わる。
圧し潰しているはずの羅刹が爪先に力を入れるとそのまま身体が起き上がったのだ。
正確には膝だけ曲げて起き上がったのだが常人になせる業ではない。
人外の領域に達したハムストリングスだけが成せる技であった。
「いつまで乗ってるの……よ!」
猟兵が背後に向かって腕を振ると裏拳に鈍い音が響き、ディスフラーシスの身が舞った。
「馬鹿力もいい所だ」
苦笑しつつも立ちあがったダークレスラーが頬をさする。
どうやら猟兵と相対できるだけあって、頑丈さもそれなりであった。
改めて互いに構える。
最初にジャブを打つのはディスフラーシス。
膂力の差を実感したのだろう、故に体格差で押さんとリーチと速さを武器にリードを取る。
それを払うつかさ。
均整の取れた肉体とは言え、身長そのものは小柄。
いざとなれば拳を直接殴ったり、ひっぱたいて破壊することも可能だが相手のパンチが速い。
タイミングを取る時間が必要だ。
そうはさせ児とダークレスラーがフットワークを刻んで、上下にパンチを打ち分けると、それを嫌ったつかさがピーカブーでガードしつつ飛びこめば、今度はカウンターの膝蹴りを合わせ、そこから蛍光灯のフルスイング!
咄嗟に猟兵は距離を取った。
正直、厄介だった。
総合系の戦い方に反則を織り交ぜてくる上に頭も回る。
武器のセンスはアレだが勝負に勝とうとする執念とそのために堅実に戦える精神は強敵のソレだった。
だから荒谷・つかさは考えるのを止めて、そのまま歩いた。
リードジャブが来ても揺らがず、パンチのラッシュも受け止める。
組みついての膝蹴りも片手で受け止めると羅刹はそのままダークレスラーの身体を持ち上げてコーナーポストに放り投げた!
「この程度で、私が倒れるとでも?」
ゆっくりと歩み寄り、つかさが言い放つとディスフラーシスがロープを掴んで立ち上がり笑う。
「とんでもない、まだ私は――」
いつの間にか二人の位置が入れ替わる。
ボクシングでみられるボディワークの一つだ。
「君に勝とうとしているのだから」
コーナーに追い詰められた羅刹がボディのラッシュを喰らう。
「効かないわよ」
拳を払いのけ、つかさの手を伸ばさんとした時、その身が――浮いた。
ボディブローはあくまで嫌がらせとフェイント。
本当の狙いはスープレックス。
そして投げた先にあるのはいつの間にかリング上に組み上げられた蛍光灯オブジェ。
|ダーティ・ウェポン《ピラー・オブ・ザ・サン》
蛍光灯が派手に割れる。
それ自体はダメージは少ない。
問題は出血を強いることと、受身のリズムを狂わせること。
破片が照明に反射し、粉雪のように舞う中、紅に染まった羅刹が立ち上がる。
「これで――止めだ」
ドス・ディスフラーシスがもう一つの姿――鍛えに鍛えた一撃を以って倒さんとした時。
「いい加減にしなさい!!」
その拳を受け止めるはつかさの掌。
「勝利への執念は認めるわ――でもね」
握った右手に力を込め、ただ。
「小細工含め一切合切、ぶち破るのみよ!!」
ぶん殴った。
「鍛え方が違うのよ」
脳を揺らされ、その場に膝を着くダークレスラーを見下ろし、猟兵が告げる。
「出直して来なさい!」
――正しき敗北を。
大成功
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