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極寒に眠る日輪

#クロムキャバリア #『巨神』 #決戦型城塞都市国家ラウンズ #ネタ依頼 #参加したらネタ枠 #私を目覚めさせ……す、凄まじく美味しくない味が……!? #最大の敵はチョコでした #誤射はよくある事!! #もう絶対人類になんて近づかないんだからぁ!!

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#クロムキャバリア
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#『巨神』
#決戦型城塞都市国家ラウンズ
#ネタ依頼
#参加したらネタ枠
#私を目覚めさせ……す、凄まじく美味しくない味が……!?
#最大の敵はチョコでした
#誤射はよくある事!!
#もう絶対人類になんて近づかないんだからぁ!!


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「あぁ、そうだ」
 コトリ、マドリムは白のポーンを一マス進めて、思い出したように言の葉を吐く。
「タカマガハラに近づく機影があったんだが、どうする?」
「あの地に眠る機体はどれもこれも、起動しただけで天災を引き起こす連中だろう。どこのバカか知らないが、あの地に踏み入ってどれか一機でも目覚めさせてみろ。この国だけでなく、アシハラもトウゲンも消し飛ぶぞ」
 黒のナイトでビショップを躱し、チェックをかけたレイクフィールドだったが、ふと嫌な予感がして問う。
「まさか……識別コード不明の機体、なんていうつもりじゃ……」
「そのまさかだよ。現時点では推測に過ぎないが、あの地の危険性を把握してない愚か者はこの地域に存在しない以上、あれはオブリビオンマシン、というものじゃないかな?」
 マドリムはナイトが退いてできた道を突っ切って白のルークを運ぶ。
「チェックメイト」
「言っている場合か!?」
「負けを認めないつもりかい?」
 呆れて半眼になるマドリムに、レイクフィールドは掴みかかると額をぶつけて。
「隣国諸共、まとめて消し飛びかねない危機に遊んでいる場合ではないだろう!?何故そのことを早く言わない!?」
「じゃあ君は、オブリビオンマシン程度にアレを起こせると思うのかい?」
「目覚めさせる必要などない!近くで戦闘行為でも起こせば……!」



「というわけで、件のラウンズより救援要請がありまして……」
 人首・椿(傷と記憶は刻むモノ・f06124)はこめかみを押さえながら地図を広げて。
「ラウンズに近隣国家が存在したことも驚きですが、その近隣国家までまとめて消し飛ぶほどの危機だそうで……」
 滑る指先が示したのは、とても近いとはいえない距離にある山岳地帯。
「タカマガハラと呼ばれるこの地域には、『巨神』と呼ばれる強大過ぎる故に封印されたキャバリアが眠っています。一度目覚めれば、この地域そのものが消滅するとされる機体で……どうやらオブリビオンマシンがコレを鹵獲しようと、叶わなければ目覚めさせることで地域の抹消を図っていることが判明しました」
 この時点で洒落になっていないのだが、敵にしてみれば地図を白紙にして埋蔵資源の全てを独占できることになる。鹵獲などもってのほか、行軍を何としても止めなければならない。
「今回、敵が進軍する先は雪と氷に閉ざされた極寒の地域になっています。雪と氷に足が取られて先に進むだけでも困難ですが、巨神が封印された地に辿り着くには洞窟を抜けていく必要があり、その上で敵より先に到着して巨神に近づかせないように戦う必要があります」
 氷雪への対策、低温装備、そして高速機動能力が必要になるだろう。
「機体で閉鎖空間を飛び回る自信がないなら、別の乗り物を利用するのも手かもしれません。戦闘前に事故で怪我などございませんように……」
 椿の手が得物の柄に伸びると同時に、猟兵達は転移門に飛び込んでいった。


久澄零太
ヒャッハー!『ネタ依頼』だぁ!!

今回は参加を検討なさっている場合、必ずマスターページをご確認ください

まずは雪と氷の上を高速移動しながら山を登り、入り組んだ洞窟内の岩や石柱に機体を引っ掛けて爆散しないように、アクロバット飛行する必要があります

ゆっくり行けば事故る事もないかもしれませんが、敵より先に着く必要がある以上、高速移動は必須です


そして、ラウンズの近衛騎士は『巨神』は決して目覚めないという確信があるようですが、その理由を推察する事は巨神と心を通わせるヒントになるかもしれません


では、皆さまの高速アクロバットレースプレイングに期待してお待ちしております
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第1章 日常 『開催!キャバリアレース!』

POW   :    正面突破だ!罠も壁もパワーと火力で粉砕!

SPD   :    早さこそ王道!スピードとテクニックでぶっちぎるぜ!

WIZ   :    叡知こそ最強!罠を仕掛けたり他の参加者を妨害するぞ!

👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
本当に、色々大変な国ですねぇ。
国ごとお祓いでもされた方が?

対策項目が多いのは厄介ですねぇ。
禁忌の地なら情報は少ないでしょうが、まずは道中の経路について、ラウンズの方に尋ねておきましょう。
不足部分は現地で『FPS』の探査で補う方向で。

寒さ対策に「かもかも」しか話せなくなる『鴨の着ぐるみ』を着用しますねぇ。
【皓翼襅】による飛行であれば『速度』は問題無く、『持久力強化』で『到着までの維持』可能でしょうが、時折他の方のキャバリア他の乗物にとまって休むのも有りですかねぇ?
『機体』の無いサイズ的に障害物の影響は少ないでしょうが、出来るだけ『中央』を飛び対処、緊急時は破壊する方向で。


水島・可奈
(紗希のお誘いのプレイングをくしゃくしゃに丸めて捨てる)
プレイング真面目にって言われてるのにこんなの使えないよ…

ーー以下真面目なプレイングーー

この国家に隣接国家があるとは。
境界線の厄ネタは排除しないとね。

リビティナをキャバリアにして騎乗、一気に高速機動して巨神のもとへ向かうよ。
障害物については銃を構えて反射銃撃で破壊していく。
もし体温下がりそうならりんねで暖を取ろうとしてみるよ。もふもふの暖かさは正義だし火も吐けるだろうしね、手加減してもらえれば…

到着したら刺激しない程度に観察、同じキャバリアのリビティナにも思い当たる何かないか聞いてみるよ。
「真面目か!」
真面目にやれって言ってるんだから!


シルヴィ・フォーアンサー
……雪と氷はホバー移動(悪路走破)で問題ないけど障害物はめんどいね。
『だがのんびりもしてられないようだし急がなくてはな』

……確かに他の人と和気藹々と進むとか耐えられないしね(そっち)
というわけでテラー・エリミネートを発動。
物質透過能力で障害物をガン無視して出口まですっ飛ばすよ。

……進むのは楽だけど中ではシートから伸びたアームで
エナジードリンクやエナジーバーを飲食してカロリー補充に大忙しなんだよね。

『詰まらせて窒息しないようにな』
……窒息死は苦しそうだから嫌かな。

巨神については以前会ったことある巨神が男の娘だったのでまた変わってるのかなとか考えてます。
後は物凄い寝坊助さんだったりするとかぁとか。


アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。

ワンダーラビットの擬態を解いてキャバリア(見た目は乳尻太ももを魅せるタイプの軽パワードスーツを着た巨大うさ耳美少女)にして搭乗。
おっけおっけ、キャバリアに乗ってアドベンチャーレースしろってことね。
雪と氷はスキー板形状に形成した結界術で滑って、おっと、登るんだからジェットパックはここから使わんとダメか。
で、入り組んだ洞窟内でジェットパックウイングスーツでアクロバット飛行、と。パルクールやアグレッシブインラインスケートの壁掛けの技法も駆使しないと厳しいかな、これ。
どっちもジェットパックの繊細な制御が求められるけど、その手の生存技法には自信があるわよ。


ナミエ・オイローパ
アドリブ/連携可
SPD判定

「・・・寒い」
空中戦で飛行移動しながら山を登る。生身で。
一応防寒着は着てきたし、天候操作で吹雪は弱めた。それでも寒いものは寒い。
ガレオノイドなのでそれなりに体は丈夫だが、それでも限度はある。
『ガレオンチェンジ』を使えればいいのだが、『殲禍炎剣』に撃ち落されるリスクと山の地形を考えると使いづらい。
洞窟の中に入ると、風がない分心なしか少し寒さが和らいだ気がした。
中では先行していたキャバリア(敵か味方かはお任せ)の姿が何機か見える。
「見つからないようにしましょう」
生身の小回りを生かして入り組んだ洞窟の中を飛行する。
「こんなに寒いと『巨神』も凍っていましょうか」


黒木・摩那
【WIZ】
お話を聞く限りでは、件のキャバリアは全然目覚めないみたいですね。
それは冬眠中のクマみたいな状態なんでしょうか。
それとも、働いたら負け的な怠け癖があるとか?

でも、どちらも寝てる所を邪魔されたら怒りますよね……
そう考えると機体でガンガン洞窟を破壊するとか、事故るというのは避けたほうがよさそうです。

かと言って、単身で飛ぶには寒すぎ!
これはキャバリアに乗るしか無いですね。

『エクアトゥール』に乗ります。
装備、キャバリアの潤滑油は先に寒冷仕様にしておきます。

ドローン『マリオネット』を先行させて、洞窟の障害物を探査。
ドローンに追尾しながら、それらを避けるとともに、視野を確保して、高速機動します。


アイ・リスパー
「マスターページ、読みましたよ!
ふっ、この|装備《オベイロン》と|電脳魔術《UC》さえあれば、勝利は間違いありません!」
『アイ、本当にマスターページ読んだのですか?』

雪と氷の中は、機動戦車オベイロンに乗って進めば問題ありません!
さあ、全速力で目的地を目指しましょう!

『アイ、さすがに飛行している相手には追いつけませんが――』
「ふっ、大丈夫です。
飛行組は洞窟では速度が出せません。
洞窟で一気に逆転しますよ!」

ここで洞窟を一気に駆け抜けるために主砲の大型荷電粒子砲を【全力射撃】です!

「さあ、岩や石柱は吹き飛ばしました!
一気に洞窟を抜けますよ!」
『アイ、オーバーヒートで動けないのですが』
「そんなぁ……」


涼風・穹
防寒対策は防寒服着用
氷雪や風圧で眼をやられないようにゴーグルも忘れずに
身体の中から温まるように多少の酒を…別世界とはいえ飲酒運転は止めておくか…

キャバリアなら飛べるし操縦席に籠れば防寒対策にもなるから楽なんだけど、速度重視の洞窟踏破なら『スカーレット・タイフーン・エクセレントガンマ』でいく

吹雪の中上空を飛ぶのは危ないし洞窟までは地面近くを飛んでいきます
洞窟内ではキャバリアよりも小型で小回りの効く宇宙バイクの方が有利だし一気に駆け抜けます
……まあキャバリアと違って生身だから障害物に激突すれば洒落にならないんだけどな…
どうしても避けられなさそうな障害物は《贋作者》謹製バズーカで破壊して突き進みます


貴方・あなた
久澄零太マスターにおまかせします。かっこよくて可愛いわたしをお願いします☆

 ユーベルコード、技能、装備アイテムを駆使し、なるべく負傷や怪我の無いよう、安全を第一に考えて慎重に慎重を重ねて行動します。斥候としてドールズを先行させ、敵の死体も念入りに銃で撃ちまくり、慎重に慎重を重ねて処理します。だって痛いのは嫌だし(正論)
 他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。……多分。もしかしたらするかも?(ヒャッハー!してハジけてもOK!)
 また、依頼の成功のためなら、多少の公序良俗に反する行動は厭いません。
 あとは|グリモア猟兵の指示に従い《MSにおまかせし》ます。よろしくおねがいします!



「本当に、色々大変な国ですねぇ。国ごとお祓いでもされた方が?」
 色々とぶっ壊れな夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)ですら苦笑しか出て来ない小国家。その遠方に位置する禁忌の地……タカマガハラ。そこへ向かう氷雪の山を前にした猟兵達は各々防寒対策をしていた。
「……雪と氷はホバー移動で問題ないけど障害物はめんどいね」
『だがのんびりもしてられないようだし急がなくてはな』
「……確かに他の人と和気藹々と進むとか耐えられないしね」
 ぼ、防寒対策を……。
「ミドガルズ起動……ヨル、行けるよね?」
『既にエンジンは温まっている』
 シュオゥ……黒いキャバリアが先行して山を登っていく……って、シルヴィ・フォーアンサー(自由を求めた脱走者・f41427)、防寒対策を一切なしで行かなかったか!?
「でもまぁ、そうよね。キャバリアに乗ってしまえば、コックピットと言う名の密室にこもったまま進めるんだから、防寒対策みたいなものよね」
 アリス・セカンドカラー(不可思議な腐敗の混沌魔術師艶魔少女・f05202)は兎人形を取り出すと、ポチッ!……待て、今何を押したんだ?
「おっけおっけ、キャバリアに乗ってアドベンチャーレースしろってことね」
 兎人形が突然の爆発。巻き起こる爆風は雪を巻き上げて、白霧の中にアリスの姿を呑み込むが……。
「実は私もキャバリア持ってるのよね!!」
 スポーティーな下着の上に、胸の下半分だけを覆い心臓への直撃を回避しつつ谷間を演出するブレストアーマーと、両腰と両脚にブースターくっつけただけのうさ耳美少女なキャバリアから、アリスの声がする……んだけど、待って?何がどうしてそんなことになったの?ていうかコレ、フレームどうなってんの!?
「雪と氷はスキー板形状に形成した結界術で滑って、おっと……」
 と、脚部の下に薄く細長い結界を張ったアリスのキャバリア、ワンダーラビットだったが、スルー……ちょっとした斜面だった為に、後ろ向きに滑ってスタートラインから逆方向へ進んでいく……。
「登るんだからジェットパックはここから使わんとダメかー……」
 アリスの声と、ワンダーラビットの姿は消えていった……。
「えっと……救援に行った方がいいんですかね?」
「ほっとけ。気が付いた時には俺達の前を先行してるのがアイツだ」
 困惑する黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)に、依頼で結構遭遇している気がする涼風・穹(人間の探索者・f02404)はサラッと返して。
「キャバリアなら飛べるし操縦席に籠れば防寒対策にもなるから楽なんだけど、速度重視の洞窟踏破ってなると、やっぱりコイツか」
 自分用にカスタムチューンしたバイクに跨る穹は、外側はテラテラした防水加工生地、裏面はモコモコした断熱材の雪原コートに身を包み、同素材の帽子に防塵ゴーグルで氷雪から目元をガード。
「身体の中から温まるように多少の酒を……いや、別世界とはいえ飲酒運転は止めておくか……」
「あ、それでしたら一気に体が燃焼すると評判の唐辛子が……」
「それじゃ俺もいかせてもらおうかな!」
 摩那が瘴気を纏った小瓶を取り出すより先に、穹は降り積もった氷片を巻き上げながら山を登っていく……置き去りにされた摩那は、唇を尖らせて。
「美味しいのに……」
 注意書きに『身体への悪影響が発生した場合に当社は責任をとれません』って書いてある香辛料を美味しいって感じるお前がやべぇんだよ。食わず嫌いの子どもを見る様な顔してんじゃねぇ!
「さて、では私も……と、言いたいところですが」
 ヒュオゥ……吹き抜ける風は、生命活動の熱を容易く攫って行く……。
「単身で飛ぶには寒すぎ!キャバリアの輸送を依頼しておいて正解でした……!」
 と、愛機に搭乗しつつ、その場で軽く機体を動かしてみる。
「オイルの凝固は発生していないみたいですね……」
 金属の駆動部位には、摩擦軽減用のオイルが注してある。これは常温では液体だが、極地においては固まる事もあり、摩那はそれを見越して差し替えておいたのだろう。
「機体そのものは問題ありませんが……視界が良くありませんね」
 吹雪始めた山中、自律ドローンを射出し、地形データを取得しながら登山に挑むエクアトゥールなのだった……とまぁ、ここまではまともだったんだよ。
「プレイング真面目にって言われてるのにこんなの使えないよ……」
 水島・可奈(少女自由に夢幻を掴め・f01117)は届けられた『招待状』を丸めて捨てると、彼女の姉(を名乗る何か)がキャッチ&ゴミ袋にイン。
「ゴミはちゃんと持ち帰らないと駄目だよー?」
「今回は真面目にやるって言ってるのに、初手から雰囲気壊さないで……!」
 姉(っぽい美女)に対してツッコミを入れた可奈は両手を上に向かってぶんぶん。
「それよりリビティナ、早くキャバリアに戻って」
「OK、お姉ちゃんと合体したいんだね!」
「言い方ァ!!」
 今回はまともにやろうとしたが為に、苦労人枠に堕ちてしまった可奈の目の前で女の形をしていた物はキャバリアに姿を変えて、可奈を持ち上げるとコックピットへ運ぶ。
「うー、やっぱりコックピットも冷えるか……りんね連れてきて正解だったかな?」
 膝上に三つ首の柴犬を乗っけた可奈がもふもふした温もりで暖をとりつつ、操縦桿を握ると。
「しかし、この国家に隣接国家があるとは。境界線の厄ネタは排除しないとね」
「多分、その隣接国家も頭おかしいと思うけどね」
「やめてリビティナ、今後関わりかねない小国家相手にフラグを建てるのは本当にやめて?」
 一抹の不安と共に、リビティナも雪に覆われた斜面を登っていく……その後を追うのがキャバリアですらないという驚きの事実がこちら。
「かも?」
 鴨グルミに着替えて、人語を失ったるこるです。
「かもかも!」
 だから何言ってるか分かんねぇって!カモリンガルやるから共通猟兵語で喋れや!?
「人の言葉を失ったわけではありませんよぅ!一時的に『かも語』しか話せないだけですぅ!!」
 大して変わらんじゃろがい!さっさと進めや!?
「かーもー……!」
 人語を取り戻したのに、かも語で飛んでいきやがった……で、残った問題児がこちら。
「マスターページ、読みましたよ!ふっ、この装備【オベイロン】と電脳魔術【UC】さえあれば、勝利は間違いありません!」
 盛大に爆死フラグを建てていくアイ・リスパー(電脳の天使・f07909)である。
『アイ、本当にマスターページ読んだのですか?』
 彼女の搭乗した機動戦車までメタツッコミをするレベルのカオス……しかし、当のアイは自信満々にドヤッと薄い胸を張り。
「雪と氷の中は、機動戦車オベイロンに乗って進めば問題ありません!さあ、全速力で目的地を目指しましょう!」
『アイ、さすがに飛行している相手には追いつけませんが……』
「ふっ、大丈夫です。飛行組は洞窟では速度が出せません。洞窟で一気に逆転しますよ!」
 と、意気揚々と進んでいく戦車の後ろから。
「……寒い」
 まさかの生身で雪山を登るナミエ・オイローパ(魅惑の秘宝船・f41405)である。雪の上をふわふわ浮いた状態で進んでいる辺り、彼女が人間ではない事は確かだが。
「防寒具の上に自分の周りだけ風の流れを変えて、吹雪の直撃は避けてるはずなんだけど……それでも寒い……」
 自分の体を抱きしめるようにして、ガタガタ震えながら、ゆっくりと登っていくナミエ……大丈夫か?敵より先に着くというスピード勝負忘れてない?
「変身できれば違ったんだけど……下手に飛んで撃墜されるくらいなら、このくらいの方がいいわよね……」
 若干虚ろ目になりかけてるんだけど……本当にアイツ大丈夫か!?
「地の文さん、はいこれ」
 え、あぁ、はいはい……お任せプレ?これがどれだけの地雷か分かって……ん?
「ん?」
 首を傾げる貴方・あなた(わたしはあなた、あなたはわたし・f38681)と、目が合った。なんで初回から『こっち』を認識してるんですかねぇ!?
「あなたはこの世界がゲームだって知ってるからだよ!グリモアを通して世界の意思が介在する時、その猟兵の近くには必ず『観測者』がいるはずだもんね!」
 自分の名前を名乗ってるのか、目の前の聞き手を指してるのか分かんないから、一人称変えてもらっていい……?
「じゃあ今回は『わたし』って言うね?それでGM、わたしは何ができるの?」
 もはや発言が猟兵じゃなくてプレイヤーなんだよなぁ……そしてできれば出会いたくなかったUC持って来やがったんだよなぁ……。
「なんで?最近流行りのビックリドッキリUCでしょ?」
 コテン、無邪気に小首を傾げて見上げてくるあなただが、今回持ってきたUCは『観測者』に全部丸投げするUC。ぶっちゃけ、個人的には書き手殺しだと思うんだ……説明すると長くなるから、理由は察してもらえるとありがたい。
「……ふーん?」
 半眼ジト目を向けられている……ステシを見る限り、俺とは波長が合わないタイプだろうに……。
「わたし、この世界がゲームだって知ってるから、地の文さんの考えてること全部見えてるよ?」
 何この子怖い……まぁ何はともあれ先に進めるかー。
「あ、かっこよくて可愛いわたしをお願いします☆」
 ネタ依頼だって言ってんのに無茶な要求をするんじゃない!!



 さーて、くっそメタい奴もいたから別に描写っぽくする必要が皆無になったんで説明口調でいくぞオラァ!シーン切り替わって洞窟に突入!先陣を切ったのは黒い遠距離砲撃機体、ミドガルズを駆るシルヴィ!ボッチスキル(?)全開な彼女は入り組んだ洞窟内をただひたすら、まっすぐに突き進む暴挙に出た。装甲強度に物を言わせて、強引に突破しているのかと思いきや、突き出した岩や石柱、曲がりくねった道の一切を無視して洞窟っていうか岩盤の中をすり抜けていく。
『物質透過は本来、探索や入り組んだ地形での戦闘に使う事を想定しているのかもしれないが……こういったスピード重視の案件でも使いようがあるものだな』
「……このまま、一気に突っ切るよ」
 と、ぶっちぎりの一位だったシルヴィだが……突然の腹痛が彼女を襲う!!
「……ぅ」
『早速限界のようだな』
 シルヴィのお腹が金属を捻じるような悲鳴を上げると、ヨルがシートに搭載されたストローを伸ばしてシルヴィの口に突っ込んだ。
『一旦オートパイロットにして、私に操縦を任せるかね?』
「……それは最後の切り札にする。動けるうちは自分で動かしておかないと、限界が分かりにくい」
 機体と搭乗者を物理的衝突から解放するUCにより、操縦技術をぶん投げた強引な突破方法をぶっこんで来たシルヴィだが、その対価は凄まじいまでのカロリー消費。それも加速度的に消耗していく為、少しでも油断すれば、最終的に彼女は干からびて息絶える事になる……ただ真っ直ぐ進むだけだからこそ使える強化ともいえるだろう。
『詰まらせて窒息しないようにな』
「……窒息死は苦しそうだから嫌かな」
 液体よりも高カロリーなエナジーバーを口に詰め込んでもらいながら、シルヴィは半眼でもごもごするのだった。
『それはそれとして、食べながら喋るのは行儀が悪い。今後の発言は飲み込んでからにしたまえ』
「依頼中にそれはむしろ効率悪くない……?」
「さーすがにアレには追い付けないわねー」
 後続を大きく引き離したシルヴィを追いかけるのは、アリスが乗ったワンダーラビット。見た目が人間臭いだけでなく、稼働部位も人間臭く、無機物の関節ではできない柔軟運動により、急カーブがあればドロップキックの要領で直角に『着地』して壁を滑り、ばら撒かれたような石柱があれば重心移動だけですり抜けていく。
「ふーむ、ジェットパックでアクロバット飛行しようかと思ったけど、滑った方が速いわね」
 そりゃね。普通は飛んだ方が速いんだけど、キャバリアと違って人間らしい屈伸運動ができると、天井の脅威を前に回避運動じゃなくて、しゃがむだけでいいから……ただ、それができるって事は重心の調整を無意識にやってる事になるんだけど、そのキャバリア生き物じゃないよね?
「うふふ、まっさかー☆」
『妄想と混沌から生まれた美少女風キャバリアですよ?』
 今その機体、口を動かして喋らなかった……?ま、まぁ、細かい事は置いといて、そんなアリスの後を追う形になるのがるこると穹。あえてキャバリアに乗らずに自分の翼とバイクで移動する二人は、洞窟の中心を飛び、あるいはスラローム走行を繰り返していた。
「単純な速度的にはキャバリアよりは遅くなるはずなんですがねぇ……」
 るこるの場合は全力で飛べばキャバリア並みの速度も出せるだろうが、洞窟を抜けるまでスタミナを維持する関係でそこまでは飛ばさず、しかし当たり判定(?)が小さい分、ほぼ障害物を無視できる。対する穹は障害物にガンガンにぶつかってはいるのだが……。
「キャバリアと違って生身だから、障害物に激突すれば洒落にならないと思ったんだけどな……」
 その障害物がキャバリアサイズである上に、穹の愛車は地面からわずかに浮遊している。荒れた足場はほぼ無視できるうえに、ライトが照らした先に障害物があれば車体を傾けるだけでその側面を走破できる。
「もしや、キャバリアに乗らない方が楽だったのではぁ?」
「いや、走る事を前提にしてて、『足場を無視する』パターンを想定してなかったんじゃないか?」
 うん……もっとこう、オフロードレースみたいなガッタンガッタンした走りになるはずだったんだよ……まさか全スルーされるとは思わなかった……まぁ。
「え……これで楽な方……なの……?」
 実は二人のちょっと後ろについて来てるナミエ、愕然の顔。
「風がない分外よりマシかな……って思ったけど、結局こんな速度で動いてるんだもの。体感温度は大して変わらないじゃない……」
 ガレオノイドって言ったって、人の姿の状態じゃ寒いもんは寒い。船の姿でも冷えるのは変わらないのだろうけども。
「敵に見つからないように……と思ったけど、キャバリアそのものの姿が見えないわね?」
「一人は洞窟そのものをガン無視してるし、もう一人はアクロバットアクションのバケモノだからな……」
「敵さんも高速移動する手段は持っているのでしょうがぁ、さすがに地形を無視するほどの装備はなかったみたいですねぇ」
 浮遊オア飛行組が想定以上のスピードで進軍するが、ガッツリ体は冷える。ナミエが小さく身震いすると。
「こんなに寒いと『巨神』も凍っていましょうか」
「どうでしょうかねぇ……」
 くるくると、バレルロールして不意に伸びて来た氷柱を躱したるこるは眉根を寄せて。
「ここに来る前にラウンズの方に地形の特徴を聞いてきたのですがぁ、巨神は大きな広間の様な『暖かい部屋』にいるとおっしゃっていたのですよねぇ」
「……なんで?」
 ナミエの疑問も、もっともである。温暖な気候がこんな極寒の地にあるとは思えないし、そもそも暖かい方が好みなら、なんでこんな土地に眠ってるのかって話である。
「少しずつ、岩よりも氷の障害物の方が多くなってきたな……」
「これも、巨神の影響でしょうかぁ?」
「巨神でも邪神でも何でもいいから、一回温まらせてくれないかしら……」
 などと、飛行組が氷の針山を眼下に氷柱をすり抜けた頃、彼らの翼跡を追うのは黒い無人飛行機であり、スキャンした地形データを基にエクアトゥールが回避運動。その後ろにリビティナが続く。通信越しに飛行組の会話を聞いていた摩那は口元に指を添えて。
「お話を聞く限りでは、件のキャバリアは全然目覚めないみたいですね。暖かい場所にいるとなると、それは冬眠中のクマみたいな状態なんでしょうか。それとも、働いたら負け的な怠け癖があるとか?」
『それはないと思うよー?』
「リビティナ?何か知ってるの?」
 急に横転した飛行機、マリオネットに倣ってエクアトゥールがスラスターを点火。直角回避した直後にリビティナがヒラリと身を捻って氷柱をすり抜けて。
『知ってるも何も、人が作った道具をそのままにしておくなんておかしな話でしょ?特に、資源不足なこの世界じゃね』
「あ、そっか……使わない機体なら、解体して資材にした方がいい……それをしないって事は、動かせない理由があるって事?」
「どちらにしても、寝てる所を邪魔されたら怒りますよね……そう考えると機体でガンガン洞窟を破壊するとか、事故るというのは避けたほうがよさそうです」
 と、摩那が危険性を指摘した遥か後方。
「なんでわたしはこんなに出遅れてるの?」
 最後尾の、かつレース的な意味であれば周回遅れが疑われるレベルの距離を離されたあなた。オリキャラを召喚するUCでキャバリア持ちを召喚し、タンデムコックピットの後部座席に収まった彼女は不思議そうに機体と猟兵の反応を見る。レーダーによれば、仮に前方で戦闘が発生した場合には間に合わないほど引き離されているのだが。
「寒くないし、地形もそんなに気にはならないけど……」
 と、自分の前で機体を操縦するオリキャラを見遣る。極寒地域での行動を想定して、なおかつ戦闘よりも探索に重きを置いた機体を持ったキャバリア乗りを想像、召喚したことで、単純な速度問題は気にならない上に、地上は戦闘用人形の歩兵部隊に先行させて、レーダーに引っかからないステルス機体がいないか、目視で観測もさせている。その上で、何故ここまで出遅れているのか……それは、コレが原因。
「プレイング?『安全を第一に考えて慎重に慎重を重ねて行動します』って、そんなにおかしい?」
 おかしいんじゃないんだよ……そこまで気にするなら、こうするしかないんだよ……。
「うん?」
 やめて……そんな穢れを知らない目で見ないで……ネタ依頼っていうものはね、まともな奴から潰れていくものなんだよ……まぁ、見てれば分かるよ。はいこれ、ご都合主義に遠くが見える望遠鏡。
「観測者特有の何でもあり系のアイテムだね……」
 で、あなたが望遠鏡をのぞいた先っていうのが。
「今こそ逆転の一手を打つ時です!」
 開幕で盛大に爆死フラグを建てていたアイである。オベイロンなら足場なんか一切気にしなくていいし、なんならキャバリアと比べればはるかに小さい分、障害物も走破できるのだが。
「先行した皆さんが速度を出せない理由……それは、この地形が全て悪いんです!つまり、洞窟を排除すれば一直線に、全速力で走り抜けられます!」
『アイ、物凄く頭の悪い事を言っている自覚はありますか?というか、変な事しないで普通に走っていれば十分に追いつけるはずなのですが……』
 主人に忠実なはずのAI、オベイロンですらツッコミを入れる大作戦。しかし、当のアイはできる女風に髪をかきあげて。
「オベイロン……人の想像力は、時に機械の演算能力を超えるのですよ……主砲!発射用意!!」
『どうなっても知りませんからね』
 起動した荷電粒子砲は自機前方に向けて砲塔を伸ばし、射撃の反動で機体が吹き飛ばないよう駆動部をロック。
「ファイアー!!」
 アイが引金を引いた瞬間、噴き出す熱線は岩石を融解させながら洞窟を食い破り。
「……マリオネットに熱源反応あり!後方から奇襲!?」
「リビティナ!」
『分かってるよー、回避!』
 エクアトゥールとリビティナが左右に避けて、道を開いた後を熱線が突っ切って。
「かも!?後ろから何か来ますぅ!」
「敵に見つかったのかしら?」
「いや……この流れは多分……とにかく避けろ!!」
 初参戦で何が起こったのか分かっていない雰囲気のナミエをるこると穹が左右から挟み込むようにして、洞窟中心から端に寄せた直後、彼らの上を熱線が駆け抜けていき。
「む……邪神は囁いている……まだ死ぬときではないと……とーぅ!!」
 アリスのワンダーラビットがぴょーん、両脚をしっかり畳んでハイジャンプした真下をビーム兵器が素通り。
『シルヴィ、後方より熱源接近。これは恐らく光学兵器であり、物質透過状態であっても熱に煽られれば機体がもたんぞ』
「……ふごご(回避ッ)!」
 ヨルのアラートに、口の中にエナジーバー詰め込み過ぎてハムスター状態のシルヴィが操縦桿を倒し、直線軌道上から逸れた直後、赤い熱量が無機物を融解させていく。一直線にゴール地点までの道を開いたアイが、ドヤッ☆
「さあ、岩や石柱は吹き飛ばしました!一気に洞窟を抜けますよ!」
 と、オベイロンを進ませようとするのだが。
『アイ、オーバーヒートで動けないのですが』
「そんなぁ……」
 荷電粒子砲の反動で機体動力炉が過剰発熱を起こし、下手に動けば誘爆、もしくは変形しかねない。幸い、周囲の環境は極寒のまま。ほどなくして粗熱を取った戦車は大急ぎで後を追うのだった。
「……順調に進んでいたら、アレに巻き込まれてたんだ」
 もはや洞窟というより道路と化した道を急ぐあなた。痛いのは嫌なら、敵よりも味方に注意しなければならない……ネタ依頼の洗礼を目の当たりにしたあなたは思う。
「もしかして、来る依頼を間違えた?」
 ネタ依頼ってのは、どこまでもカオスだからね……カッコいい、可愛いより、何かがおかしい、っていうのがメインだから……少女よ、君には二つの道がある。この手の依頼は危険だと判断するか、カオスと知った上で突き進むか……猟兵ではなく、プレイヤーとしての視点を持つ君ならば、しがらみに囚われず、自分自身の意思で道を選ぶことができるだろう……。
「そこは『次章をお楽しみに!』じゃないの?」
 自分で言うのもなんだけど、お勧めできるタイプの観測者じゃないからね!細かい事は置いといて、洞窟抜けきった猟兵達の方にカメラ戻すぞ!



「……前に会ったことある巨神は、男の娘だったよね。また変わってるのかな」
 かつて、コミュ障だったシルヴィが『友人』だと思えたキャバリアがいた。酩酊の権能を持つ彼は、今どうしているのだろう……。
「後は物凄い寝坊助さんだったりするとか」
『どちらにせよ、まともな機体ではない事は確かだ』
 ミドガルズのヘッドパーツが上を向く。同じキャバリアである以上、体躯は五メートルの統一規格のはずだが、目の前に在るのは卵状の巨大な岩。そこに注連縄が巻かれており、機体と言うよりご神体と言う方が正確な姿になっている。何より奇妙なのは……。
「……ここ、暖かいね」
『あの岩が熱を発しているようだが……それにしても、この光景はおかしい』
 岩の周りには浅い池ができており、それを取り囲むように花畑が広がっている。そして色とりどりの花々だけ、カットアンドペーストしたように氷雪の層がその外周を構成していた。
「なにこれ……機体ですらないけど……リビティナ、何か分かる?」
『真面目か!?』
「真面目にやれって言ってるんだから!それよりどうなの!?」
 可奈のシリアスアトモスフィアに耐え切れなかったリビティナがツッコミを入れればツッコミ返しが返ってくる。謎のプチ漫才を披露したキャバリアはジッと岩石を見つめて。
『色々複雑な感じはするけど……人の過ちの塊、って感じかなぁ……多分、私達が猟兵である以上、誰も心を通わせられないと思うよ』
「それって、どういう……」
 可奈が聞き返そうとした瞬間、氷壁の一部が吹き飛んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『非ユミル型ジャイアントキャバリア』

POW   :    ローラーチャージ
【EP脚部ローラーで走行し、巨体による】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【同型機】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    ショルダーキャノン
単純で重い【RS-S肩部迫撃砲】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
WIZ   :    エネルギードレイン
戦闘中に食べた【エネルギーインゴットや丸呑みにした生物等】の量と質に応じて【有機動力炉(胃)でエネルギー吸収を行い】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。

イラスト:スダチ

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「目標確認」
 立ち込める粉塵の向こうから、スピーカーを通した電子音ではなく、肉声が響く。
「敵性存在も確認……排除しますか?……了解、目標の確保、あるいは覚醒を優先します」
 どこかに通信しているらしいそれは、背部に搭載された砲塔を起動。猟兵達よりも後方……謎の岩石に照準を合わせる。
「作戦行動を続行します」
 砲撃……と、見せかけて、猟兵達の視線が武装に向いている隙に、数に物を言わせた敵部隊は広間に沿って展開。猟兵達の撃破よりも、岩石の奪取、あるいは撃破を目的に動き出す……!
城田・紗希
おもしまさん、招待状を捨てるなんて!泥水コーヒー!(自主規制)!(検閲されました)!
(的外れか、リプレイに書けない悪口、の両極端)
まるで私が、真面目に考えてないみたいじゃない!(真面目に考えた結果がズレてる、という自覚なし)

ていうか、「戦ってる敵に有効なキャバリア」のはずなのに寒いんだけど!スペックをコックピット環境にもうちょっと割り振ってよ!(だいぶ着太りしてる)
でも乗員保護が…置き去り?おなざり?な分、機体性能は良いはず!
なんか岩を壊そうとしてるみたいだから、先回りして兵器を潰すよ!足回りも潰すよ!そして暖房装置を奪うよ!(寒さで目的がすり替わりつつある)


夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
「祟り神」の様な「滅亡や殺戮を求める思想」なのですかねぇ?
「交戦で自然と条件を満たす」可能性が怖いのですが。

(着ぐるみを脱ぎつつ)
ジャイアントキャバリアタイプのオブリビオンマシン、ですかぁ。
結構珍しい気がしますが、体型的にどことなく親近感と、周囲からの視線が怖い様な?

【沃貌】を発動し巨人化、通常攻撃は『FMS』『FLS』の防御兵装で、【チャージ】は時機を計り『FIS』の転移で対処するとしまして。
強化用の『器官』として謎の『石』が胸元に嵌っているのですが、これは?
……あの、倒した相手のサイズに比例し、胸が増量しているのですが、其方を強化してしまっているのです?(ぷるぷる)


シルヴィ・フォーアンサー
なんだかすごいムチっとしてるね……まぁ殺られる前に殺っちゃおう。
『いつもの通りだな、了解だ』

指定コードでシルエット・ミラージュして今回はグラビトン・ミサイル。
重量級っぽいし負荷をかけてバキバキに潰しちゃおう。

(この組み合わせが便利すぎて大体これ使っちゃうんだよね、
順番は前後するし最後の攻撃コードは変わったりするけど、
それもハンドレット・イリュージョンの数の暴力が多いし
最大数組み合わせで1184機召喚できるけど使う場所気を付けないと自分が動けなくなっちゃうよね
一杯コード覚えても使ったことないのもある悲しみ……なんてね)

これで敵倒せば巨神も起きないで帰れるね。
『……それは言っては駄目なやつだろう』


アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。

まぁ型番こそクロムキャバリアだけど実態はジャイアントキャバリアってか巨人型ホムンクルスのが近いからのぉ、このワンダーラビット……あれ、この子いつからキャバリアになったんだっけ?えっと……あれ、私今何考えて……ああ、うん敵との戦闘よね。
私の本質はエネルギーの排出と吸収なので、突進とかは運動エネルギーを|エナジードレインすることで軽減できるわ《大食い、エネルギー充填、鉄壁、継戦能力》。
で、|凍てつく炎《ヒートドレイン》で非ユミル型ジャイアントキャバリアの熱量を排出させてしまいましょう。いかなる機体とてエネルギーを失えば動けない、そういうものよ。


神将・愛麗絲
出遅れた?人形型メガリスのガラテイアをキャバリアとして運用。おお、さすがメガリス、きちんと巨大化した。しかし、メガリスってなんだろうね?
お?敵かな。OK、敵だね。|神聖魔法《高速詠唱無酸素詠唱祈り》で対処を……ん?執筆者さんどした?なんで神聖魔法なのに拳を構えてるかって?そりゃ戦神の神聖魔法なんだから|肉体言語《キャバリア格闘術》に決まってるじゃないか。
ああ、そうそう、人格排泄っていうのはね、|人格《魂》を|ゼリー状の物体に変えて排泄させる《素材採取、封印術》技だよ。生身っぽいジャイアントキャバリアには効果覿面っぽいよね?
おっと世界シミュレーション仮説でメタ会話できるのはここまでのようだね。


黒木・摩那
なんだか既視感のあるキャバリアですね……
敵の狙いはこの岩のようです。
ならば、猟兵としては、この岩を守るべきでしょう。
周囲の環境から考えると、岩の中の巨神は熱い能力を持ってそうですね。

まずは敵はどこかから指示を受けている様子。
ドローンからジャミングして、通信妨害します。

『エクアトゥール』で戦います。
UC【トリニティ・エンハンス】を発動。
【水の魔力】【風の魔力】を使って、相手砲撃の威力を弱めます。
そして、返す刀でそれらを衝撃波で敵に対して使って、反撃します。
相手突進は地面を凍らせて、突進力の制御を失わせます。

あさっての方向に行ってしまえー


ナミエ・オイローパ
苦戦/アドリブ/連携可

「あったか~い」
ご神体にぺたりとくっつけば、伝わる心地よい温かさ。
(順当に考えればこの岩の中に『巨神』が封印されているのでしょう。・・・もしかして本来なら熱すぎて近づくことすらできないのでは?『巨神』はこの熱のせいで見捨てられた?)
「きゃあ!」
敵のショルダーキャノンが直撃。落下耐性のおかげで追加ダメージはないが、ご神体の一部が砕けてしまった。では反撃開始!
UC発動+天候操作で竜巻吹雪を敵にぶつける!(味方が巻き込まれるかはお任せします)
ついでに視覚での感知も不可能に。
ほんのりと洞窟内の温度が上昇しているような感覚が。
「これは、もしかして?」
ひびが入ったご神体を見る。


アイ・リスパー
「オベイロン、敵性存在(胸的な意味で)を確認!
排除行動に移りますよ!」
『アイ、それは完全に私怨では……』

オベイロンをパワードスーツ形態に変形させて装着。
現れた巨乳軍団を殲滅します。

「オベイロン、レーザーガトリングとマルチミサイルランチャーで全力攻撃!
敵が近づいてきたらプラズマブレードで攻撃です!
貧乳こそステータスだということを思い知らせてあげましょう!
胸なんて飾りです、偉い人にはそれが分からないのですよ!」
『それにしてもタカマガハラという地名に大岩……
日輪というキーワード――
もしや巨神というのは、アイのような引きこもりなのでは?
そして、それが正しいとすると、このように周囲で騒ぐのは危険では?』


水島・可奈
人の過ちの塊……?猟兵である以上心を通わせられない……?
それってつまりオブリビオンに――

まあいいや、とりあえず遅れてきた奴らを倒していくか。

見た感じ多分弱点はあの頭でしょ。
となれば反射銃撃で上手く銃弾を反射させて頭を狙えばいい気がする。
リビティナにはキャバリアモードのままで反射の為の障害物になってもらおう。あと相手の攻撃の盾。
「ひどい!?」
そんな感じで……あれ、紗希じゃん。どうしたのそんな涙目で。え?あの扱いはひどい?あー、ごめん、真面目にって言われたから……ちょ、揺らさないで!照準が乱れる!これ結構繊細な軌道なんだからそんな揺らされると狂うってわかったごめん謝るから、あーっ!


涼風・穹
猟兵なら心を通わせられないって、殺人処女でも連れてこいってか…?
……グリモア猟兵でもある俺がいうのもなんだけど、世界の為にオブリビオンを殺す行為をどう認識するかは相手次第だしな…

《起動》を使用して予め格納しておいた『ズィルバーンヤークトフント』を出して岩石の防衛にまわります

とはいえ岩石に何をすれば問題なのかも分からないので余裕があれば近付いて観察したりそれこそ話しかけてみます

本当に防衛が厳しくなれば《起動》で岩石の格納を試みます
抵抗されないのと心を通わせられないのはまた別の問題だし、利害が一致すればいける可能性もある
……中は整備工場だけど、乗っ取られて自身を魔改造したなんてオチじゃないよな…?


カシム・ディーン
くそう!間に合わなかった!
「色々ばたばたしてたからね☆」

というか巨大なお姉さんだ!お姉さんが一杯だ!
「頭付きの子は久しぶりに見たんだぞ☆」

序に爾雷彌参上発動!
「猟兵の危機に即参上!爾雷彌見参!わしについてはノーマッドMSの巨神依頼参照じゃ!以後の活躍も刮目せよ!」
呼んでねー!

【情報収集・視力・戦闘知識】
まぁいい!取り合えず敵共と…この怪しさ満載の岩石の解析だ!
という訳で魔力やら諸々分析
「メルシーもアクセスしてみるぞ☆」
「ドーモ、爾雷彌=です。」(岩石に挨拶
UC詠唱開始
【念動力・迷彩】
光水属性を機体と爾雷彌に付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で熱源隠蔽

【念動力・空中戦・弾幕・スナイパー】
飛び回りながら念動光弾を乱射して蹂躙

爾雷彌
「ドーモ、非ユミル=さん。爾雷彌=です。わしはシリアスな巨神!シリアスに決めるとしよう!」(手遅れ感
手裏剣乱射で猛攻

【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
鎌剣で連続斬撃を叩き込みインゴッドとか諸々強奪

【電撃】
UCチャージ完了

一気に雷撃で殲滅に掛る!

「ひゃっはー☆」


皇・絶華
おお!さっちゃん!巨大な女の子たちがいるぞ!巨人かな?
「ありゃジャイアントキャバリアです主様!頭が在るのは珍しいが…何処かの部隊のようだな?」
そうか…即ち生きてると(目を輝かせている)
【戦闘知識・念動力】
「何か変な岩石があるが…ありゃ…巨神か…?」
取り合えず念動障壁で岩石を防衛

成程…歴史的建造物を壊そうとはなんとも悲しい心に染まっているな!
だが私にはわかる!それは…お前達にパワーが足りないからだ!
「ぴゃ!?」
【バーサーク・空中機動・二回攻撃・切断・弾幕・乱れ打ち】
UC発動!
超絶速度で襲い掛かり鎌剣で連続斬撃を叩き込みインゴッドとかも弾き飛ばし

【爆破】
喜ぶがいい…お前達に圧倒的なパワーを授けよう!
さあ!我がチョコを食し歓喜の叫びをあげ圧倒的なパワーをその身に宿し宇宙を感じ取るのだ!
(真・ぜっちゃんチョコ:カカオ濃度1億%で漢方に十二剣神ハロウィン配合の超絶狂気のチョコを口に捻じ込み捻じ込み…溢れる圧倒的なパワーが内側から破壊し地獄のような味覚も容赦なく襲い掛かる!

安心しろ!お代わり自由だ!



「祟り神のような、滅亡や殺戮を求める思想なのですかねぇ?」
 鴨グルミを脱いで臨戦態勢に入ったるこるには、懸念が一つ。
「交戦で巨神が目覚める条件を自然と満たしてしまう可能性が怖いのですが……」
 だからここに敵を踏み込ませるなって話になるわけだよ。ゆーて、実際にここを封鎖する事は難しいんで、これ以上近づけさせないようにするしかないわけだが……。
「ジャイアントキャバリアタイプのオブリビオンマシン、ですかぁ。結構珍しい気がしますが、体型的にどことなく親近感と、周囲からの視線が怖い様な?」
「なんだか既視感のあるキャバリアですね……」
 何故かエクアトゥールがるこるを見ている気がするが……きっと気のせい、そんな気がする。
「敵の狙いはこの岩のようです。ならば、猟兵としては、この岩を守るべきでしょう。周囲の環境から考えると、岩の中の巨神は熱い能力を持ってそうですね」
 と、摩那が後方の岩石を見遣ると。
「あったか~い」
 ナミエがぺったりくっついてた。
「戦闘前に何してるんですか!?」
「だって、ここに来るまで寒かったんだもの……」
「だとしても後にしてください!敵の狙いはその岩なんですよ!?」
「敵の狙い……」
 ふと、ナミエは自分がくっついている岩石を見上げて。
「順当に考えればこの岩の中に『巨神』が封印されているのでしょう……もしかして、本来なら熱すぎて近づくことすらできないのでは?『巨神』はこの熱のせいで見捨てられた?」
『タカマガハラという地名に大岩……日輪というキーワード……』
 ナミエが岩盤浴(?)でぬくぬくしている一方、オベイロンは実物を観測したことで情報をアップデート。
『もしや巨神というのは、アイのような引きこもりなのでは?そして、それが正しいとすると、このように周囲で騒ぐのは危険では?』
「オベイロン、(胸的な意味で)敵性存在を確認!排除行動に移りますよ!」
 オベイロンが巨神の正体について推測しているのに、アイが敵軍に向けて凄まじい殺気を放つのでシンキングタイムは強制終了。
『アイ、それは完全に私怨では……』
「オブリビオンが目の前にいるのなら、それは敵です」
『あ、はい』
 後にオベイロンが残したログによると、「光のない瞳で微笑むアイは、なんかヤバかった」そうです。
「オベイロン、レーザーガトリングとマルチミサイルランチャーで全力攻撃!敵が近づいてきたらプラズマブレードで攻撃です!」
『コンバットイクイップメントモードに移行します』
 戦車は二つ折りを開くように装甲を反転させるとキャタピラ前方の泥除けが降り、爪先を形成して二脚型に移行する。立ちあがりながら展開された上部装甲は二つに分かれて、中心にマシンヘッドを備えた上半身になると両側からかけられていたロックが外れて、二つに分かれた装甲がさらに前後に分離、関節を構成してマシンアームに代わると、マウントしていた武装浮かせるようにマニピュレータが伸び、砲塔を肩へ乗せる。
 胸部から腹部にかけての装甲を開き、内部にアイを納めると赤いマシンカメラが輝き、広がる敵軍をマルチロック。
「貧乳こそステータスだということを思い知らせてあげましょう!胸なんて飾りです、偉い人にはそれが分からないのですよ!」
『アイ、誤作動してるこるもロックしていますが?』
「巨乳は敵です。ファイア!!」
『全く、このパイロットは……』
 三連ミサイルランチャーのロックオンからるこるを外したオベイロンが弾頭をぶっ放し、敵上空から爆発物を叩き込みながら回転する機関砲からレーザーをばら撒き、どこぞの世界大戦の最前線かな?ってノリでトリガーハッピーし始めてしまった。
「なんでしょう……人知れず危機を回避した気がしますぅ……」
 多分それは気のせいじゃないんだろうなーって状態のるこるは、怪しいお薬をぐびー、むくむくむく……。
「るーこーるー……」
 なんとキャバリアサイズの小怪獣るこるんに……!
「って、何を言わせるんですかぁ!?」バッシィン!
 いってぇ!?テメェ自分のガタイ考えろやぁ!?ツッコミの平手打ちが建造物解体用ハンマーみてぇな威力になってんだぞ!?
「なんだかすごいムチっとしてるね……まぁ殺られる前に殺っちゃおう」
『いつもの通りだな、了解だ』
 シルヴィが見てたのは敵っていうよりるこるだった気もするけど、おっぱいネタに反応するタイプじゃないから多分誤射(意味深)はしないから大丈夫やろ。
「……敵が数で押してくるなら、こっちも物量で勝負するだけ」
『あ、待ちたまえシルヴィ』
 ヨルムンガンドが何かに気づいたようだが、シルヴィは既に十四機の分身を生み出し、両肩のミサイルポッドの蓋を開いている。
「……大丈夫、使い慣れたUCコンボだけど、分身増やし過ぎて身動き取れなくなるようなミスはしないから……!」
 ババババババババッ!!一斉にばら撒かれた左右計十六発の弾頭、それが十五機分。
『シルヴィ、残念だが……』
「……命中と威力半減。それでも五十Gあれば動きを鈍らせるには十分だし、範囲攻撃なら戦場が狭い分、あっちも躱せない。それに……」
 空中で爆散し、内部弾頭を垂直落下させながら重力変異弾はキャバリアの群れに圧をかけ、その場に縫い留めると。
「地べたで動けない相手なら、十分届く」
『それが問題なのだが?』
「……え?」
 パシッ。敵陣に散らばった落下弾はパラボラを展開し、周囲に高圧電流を流して姿勢制御を奪うのだが……。
「あびゃびゃびゃびゃびゃびゃ!?」
「びびびびりびりしますすすすぅ!?」
 アイとかるこるとか、キャバリアに乗ってない猟兵が巻き込まれて感電状態に!!
『岩石の近辺に池ができているという事は、この周辺の土壌は多分に水を含んでいる事は想像に難くない。そんな場所でパラライズミサイルを撃てば……まぁ、後は分かるだろう?』
「……」
 シルヴィは、そっと遠くを見つめて。
「この連携が便利過ぎて、一杯コード覚えても使ったことないのもある悲しみ……なんてね」
『現実逃避はやめたまえ。失態を認めなければ君もいわゆる『ネタ枠』というカテゴライズをされてしまうぞ』
 ズバッと言い切るヨルに、シルヴィは若干むくれつつも。
「……でも、これで敵倒せば巨神も起きないで帰れるね」
『……それは言っては駄目なやつだろう。フラグと言ったか?ジンクスの一種で、そのように『百パーセント大丈夫』『このままいけば成功する』と言った発言には、その逆の結果が付随するらしいぞ』
「……不吉な事言わないでよ」
 がしかし、ヨルの嫌な予感は若干的中する事になる。
「何やら一部味方もやられた気がしますが……好機です!」
 摩那が若干ネタに侵食され過ぎたノリで操縦桿を握り、エクアトゥールは右手に水、左手に風の魔力を纏う。その正面には重圧と感電で動きが鈍化しながらも、脚部ローラーにより地を這うように突っ込んでくる敵機の姿。
「この戦場の土は水を多く含んでいるらしいですからね……突進するのは自殺行為ですよ。あさっての方向に行ってしまえー」
 などと、エクアトゥールの両腕が地に触れた瞬間、草花諸共戦場が凍てつき、オブリビオンマシンは制御を失って……ないね?
「……あれ!?」
 真っ直ぐ突っ込んで来た機体をエクアトゥールが正面から受け止めた!しかし、機体重量が違いすぎる為に、そのまま岩石の方へ押し込まれていく……!
「まずい!このままでは叩きつけられて潰されますね!?」
 咄嗟に両肩にマウントされた盾を降ろし、内部に搭載された機関砲をパイル代わりに地面に打ち込んで、強引に急制動をかけると敵機を蹴り飛ばして押し返すエクアトゥール。敵の進軍を許してしまった摩那は冷や汗を拭いながら、地面をひっくり返して砲身を引っこ抜き、牽制に弾丸をばら撒きながら戦線を戻そうとしつつマリオネットを射出。ジャミングを仕掛けて通信妨害しようとしながら敵を押し返そうとするが、敵と岩石との距離がやや近づいてしまった……。
「くっ、一体何が……?」
 猟兵側があれこれ準備してきたように、敵も寒冷地適応装備で来てるんだから、氷の上で滑らない対策くらいしてるんだろうなって事を忘れてたことが原因じゃないですかね?
「……えへっ♪」
 テヘペロでごまかすんじゃねぇよ、やっぱ抜けてたな!?
「と、とにかく戦線を押し返さないとですぅ!」
 るこるが腕を振りまわせば鏡とお札が飛び回り、重圧と電圧で動きの鈍い敵軍を上から絨毯砲撃。ここまでならいつも通りっちゃーいつも通りだが。
「……これは?」
 るこるの胸元には謎の石が埋まっており、それが先ほどから点滅している。それも、どうやら飛び回ってる武器の攻撃と連動しているようだが……。
「……あの、倒した相手のサイズに比例し、胸が増量しているのですが、其方を強化してしまっているのです?」
 俺に聞くなよ。しかし実際、膨れ上がる胸に引っ張られてるこるは自分の胸に倒れ込むという、孵化したばかりの稚魚みたいな恰好に。これむしろ身動きできなくなってる分、弱体化してるんじゃ……いややめておこう、あいつに関して深入りするとロクな事にならない。
「巨乳死すべし慈悲はない」
『アイ、それは味方です』
 深入りしなくても厄介事のタネだったよ。貧乳【アイ】が殺意ギンギンの目でめっちゃ睨んどるがな。
「今、悪意あるルビを振りませんでした!?」
 嘘だろこっち来た!?
「猟兵なら心を通わせられないって、殺人処女でも連れてこいってか……?グリモア猟兵でもある俺がいうのもなんだけど、世界の為にオブリビオンを殺す行為をどう認識するかは相手次第だしな……」
 ちょっと穹!?シリアスフェイスしてないでこのツルペタを止め……ぐぁああああ!?
「とはいえ、現状何をすればいいのかも分からないしな……とにかく守るしかない!」
 取り出した札には、白い機体が描かれていた。
「起動【イグニッション】!!」
 爆ぜたカードは光となり、穹を包むと巨大化する。楕円を保っていた光の玉は無数の帯が左右に開くようにして、ズィルバーンヤークトフントの姿を示した。その両腕には換装しておいたのか、普段なら持っていないアサルトライフルが握られている。
「つっても、近くで戦うだけでマズいとか言ってなかったっけか?この現状もマズいのかね……」
 背部ブースターに点火して滞空し、背を岩石に預けたズィルバーンヤークトフントはトリガーを引きっぱなしにしてフルオート射撃による弾幕で牽制しながら、機体越しに問う。
「おいお前、一体何が望みだ?どうしてここにいる?」
 しかし、返事はない。現時点では未だ深く眠り続けているのだろう……。
「これは……最悪イグニッションカードに取り込んで防衛戦ってのも視野に入れた方がいいか……?」
 抵抗されないのと心を通わせられないのはまた別の問題であり、相手が本当に眠り続けているのであれば取り込める可能性もあり、実は目覚めていたとしても交渉次第では可能性はある。
「まぁ、一番はそこまで追い詰められる前に終わらせる事だけどな……!」
 空になったマガジンを捨てて、新しい弾倉を詰め込んだズィルバーンヤークトフントが、敵の砲塔に飛びかかり、蹴り飛ばして射線を逸らしながら機体に直接フルオート射撃を叩き込む一方で。
「人の過ちの塊……?猟兵である以上心を通わせられない……?それってつまりオブリビオンに……いやよそう、私の推理で変に深みに嵌るわけにはいかない」
 可奈は思考の海で溺死していた。
「まだ溺れてないよ!?まあいいや、とりあえず遅れてきた奴らを倒していくか」
『可奈ちゃん!?』
 コックピットを開いた可奈は機体から飛び降りて、リビティナの陰に隠れると。
「見た感じ多分弱点はあの頭でしょ。となれば反射銃撃で上手く銃弾を反射させて頭を狙えばいい気がする。リビティナにはキャバリアモードのままで反射の為の障害物になってもらおう。あと相手の攻撃の盾」
『ひどい!?可奈ちゃん忘れてるかもしれないけど、お姉ちゃんはそもそもそんなに装甲が厚い方じゃな……いやぁあああ!?』
 ウィイイン、ガション。敵の肩にある大型砲塔がリビティナに照準を合わせている。
『ちょ、可奈ちゃん撃って!早く!!直撃貰ったらさすがにもたないよ!?』
「神機ってそんなに脆くないよね……?」
『壊れなくても痛いものは痛いんだよ!?』
 避ければええやんって話だが、可奈が足元にいる以上下手に動けないし、本当に避けちゃったら岩石に砲弾が直撃して大惨事である。リビティナ、万事休す!!
「早くって言われても、跳弾射撃には集中が必要で……」
「おもしまさん、招待状を捨てるなんて!泥水コーヒー!」
「あれ、紗希じゃん。どうしたのそんな涙目で」
 城田・紗希(人間の探索者・f01927)が来ちゃったかー……コイツ共通猟兵語が通じないから後はよろしく。
「対処をぶん投げられた!?」
『可奈ちゃん!?そんなのどうでもいいから集中して!?』
「おっと、そうだった」
 現在進行形で直撃の危機にあるリビティナがあわあわし始め、可奈が敵に向き直るが。
「    !       !!」
「え?あの扱いはひどい?あー、ごめん、真面目にって言われたから……」
「まるで私が、真面目に考えてないみたいじゃない!」
 発言に規制が入りすぎて、何言ってるか分からない紗希に、可奈は要点だけ把握してサクッと返すが、紗希が可奈に掴みかかり。
「ちょ、揺らさないで!照準が乱れる!これ結構繊細な軌道なんだからそんな揺らされると狂うってわかったごめん謝るから、あーっ!」

 \ちゅどーん☆/

「「あっ」」
 可奈と紗希の目の前でリビティナが敵の砲撃をモロに食らい、ゆっくりと崩れ落ちるとマシンアイの光が失われて。
『私……可愛い妹が欲しかったなぁ……』
「なんか遺言みたいな事言ってるー!?ちょ、リビティナ!?しっかりして!?」
「あーあ、おもしまさんが遊んでるから……」
 機体が沈黙してしまった可奈をほっといて、紗希はてってこてってこ。誰かあの戦犯つまみ出せ、マジで。
「とりあえずキャバリア輸送サービスに電話……あれ、圏外だった」
 UC不発か?と思いきや、その辺に転がってるのは既に撃破されたオブリビオン。
「これでいいや」
 乗るんかい!
「寒い!!」
 そらそうだ!!
「戦ってる敵に有効なキャバリアのはずなのに寒いんだけど!スペックをコックピット環境にもうちょっと割り振ってよ!」
 搭乗者を想定していないオブリビオンマシン(実際のとこはジャイアントキャバリア)だからね、コックピットは飾りみたいなもんだから当然と言えば当然である。
「でも乗員保護が……置き去り?おなざり?な分、機体性能は良いはず!なんか岩を壊そうとしてるみたいだから、先回りして兵器を潰すよ!足回りも潰すよ!そして暖房装置を奪うよ!」
 あのバカはほっときゃ後は何とかなるだろ。使い方について一切触れてないからどうなるかは知らんが。
「うーん、カオス☆」
 アリスに言われるようになったらそろそろ本格的にヤバいと思うんだ……やはり巨神案件はここに集まる猟兵には早かったか。つーかお前が乗ってるキャバリアもカオス率を高める要因っちゃ要因なんだが、なんなのソレ?
「まぁ型番こそクロムキャバリアだけど実態はジャイアントキャバリアってか、巨人型ホムンクルスのが近いからのぉ、このワンダーラビット」
 と、説明してくれるアリスだが……過去の資料を見ると、そもそもこの人形は性別不詳系ショタうさぴょいに変身する使い魔めいたサムシングだったはず。その記憶に触れた為か、アリスの瞳から光が失われていき。
「……あれ、この子いつからキャバリアになったんだっけ?えっと……あれ、私今何考えて……」
『マスター、敵機にロックされています』
「……ああ、うん敵との戦闘よね」
 今、キャバリアが何かに気づきそうになったアリスを邪魔しなかった……?その機体本当に大丈夫なの!?
「とにかく、あっちの進軍を止めないと……おぅっ!?」
 アザラシみたいな声を上げながら、ワンダーラビットが突進をモロに食らい、コックピットのアリスが吹っ飛ぶ。お互いの両手を掴んだ取っ組み合いに持ち込まれてしまい、ジリジリと押し込まれていくワンダーラビットだが……。
「単純なパワーで言ったらあっちが上ね。その上で凍結した地面を走るための特別仕様の車輪を使ってるのかしら?」
 高速回転して氷を巻き上げながら、ワンダーラビットを強引に後退させるジャイアントキャバリアへ、被ったミニハットとは反対側にコブを膨らませて小動物みたいな頭になったアリスがにやり。
「私の本質はエネルギーの排出と吸収なの」
 パワー負けしているはずの、ワンダーラビットが止まった。ジャイアントキャバリアが視線を落とせば、脚部ローラーが凍結しており……。
「運動エネルギーに物を言わせて押し通ろうっていうのなら、組み合いに持ち込むべきではなかったわね?」
 触れた腕から炎が上がり、ジャイアントキャバリアを焼き尽す……はずなのだが、後に残るのは煤ではなく、薄い霜。
「おまけにここは極寒の戦場……運動エネルギーという熱を失うその意味、分からないわけじゃないわよね?」
 動かなくなったジャイアントキャバリアをワンダーラビットが押し返した後には、敵機は氷像と化していた。
「出遅れた?」
 そのまま出て来なくてもいいんだよ?
「おお、さすがメガリス、きちんと巨大化した。しかし、メガリスってなんだろうね?」
 チィ!神将・愛麗絲(艶魔神将・f36093)が参戦してしまった!!文字通り、お人形、という表現がしっくりくる、シンプル素体なキャバリアに乗り込んだ愛麗絲……あぁあああ!名前が変換できねぇえええ!!
「観測者のメタい悲鳴が聞こえた気がするが、知った事ではないな」
 あのメスガキ……!
「さて……敵かな?……OK、敵だね。神聖魔法でお相手しよう」
 愛麗絲が敵機に向き直れば、キャバリア化したガラテイアが拳を構えた。どう見ても格闘戦ですね。
「なんで神聖魔法なのに拳を構えてるかって?そりゃ戦神の神聖魔法なんだから肉体言語に決まってるじゃないか」
 魔法(物理)かな?
「ああ、そうそう、人格排泄っていうのはね……」
 どりゃぁああああ!!
「突然のバックドロップ!?」
 余計な事を口走る前に沈黙させないと何言いだすか分かんねぇからな、お前……。
「中身はさておき、生身っぽいジャイアントキャバリアには効果覿面っぽいよね?」
 やってる事が辱めを通り越してニッチ(だよね?)過ぎて取り扱いに困るんだよテメェはよォ!?
「おっと世界シミュレーション仮説でメタ会話できるのはここまでのようだね。それではちょっと絞りだして来ようか……」
 編集必須な戦い方をするんじゃねぇええええ!!


 ※記録に残せない惨状が広がっております。しばらくお待ちください。


「くそう!間に合わなかった!」
「色々ばたばたしてたからね☆」
「おお!さっちゃん!巨大な女の子たちがいるぞ!巨人かな?」
「ありゃジャイアントキャバリアです主様!頭が在るのは珍しいが……何処かの部隊のようだな?」
「そうか……即ち生きてると」
 メルクリウスを駆るカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)とサートゥルヌスに搭乗した皇・絶華(影月・f40792)が参戦し、神機が大分増えて来た戦場で……。
「む、愛麗絲の戦闘シーンは全カットか?」
 あんなもん記録に残せるわけねーだろすっこんでろ!!
「ぬぁー」
 と言うわけで違う意味で脅威を排除したところで……。
「猟兵の危機に即参上!爾雷彌見参!わしについてはノーマッドMSの巨神依頼参照じゃ!以後の活躍も刮目せよ!」
「呼んでねー!」
 他所の巨神が湧き出したぁあああ!?ただでさえカオスってるのに仕事を増やすんじゃねぇええええ!!
「えー、でもわし、もう来ちゃったし?」
 なにこの茶目っ気に塗れた爺さん……取説(巨神依頼)見た感じ、分体みたいなもんか……。
「何か変な岩石があるが……ありゃ……巨神か……?」
 爾雷彌とメルクリウスが「爾雷彌&滅流死見参」とか書かれた横断幕広げてる傍ら、サートゥルヌスが念動障壁を展開して、岩石の表面に護衛用の被膜を張ると、絶華はいつもの善意百パーセントのキラッキラした微笑みを浮かべて。
「歴史的建造物を壊そうとはなんとも悲しい心に染まっているな!だが私にはわかる!それは……お前達にパワーが足りないからだ!」
「ぴゃ!?」
 なんかもう、お約束染みたこの後のオチを察したサートゥルヌスが悲鳴を上げる……人型ボディに引っ張られて、メンタルも少女になってきてないか?
「そ、そんな事があってたまるかぁ!!」
 若干涙声な辺り、手遅れかもしれない……そんな本人の状況とは一切関係なく、凄まじい速度を以て敵機の背後に回り込んだサートゥルヌス。操縦する絶華が狙うは、背部にマウントされた補給パック。
「喜ぶがいい……お前達に圧倒的なパワーを授けよう!」
 振るう大鎌で刈り取るは装備。本体を一切傷つけることなく、弾倉を、インゴットを吹き飛ばして脚を払い、仰向けにスッ転ばせたサートゥルヌスはその豊満な胸を踏みつけて押さえ込むと、敵機の口に手を突っこむ。
「さあ!我がチョコを食し歓喜の叫びをあげ圧倒的なパワーをその身に宿し宇宙を感じ取るのだ!」
 説明しよう!今回用意した真・ぜっちゃんチョコは百万倍濃縮カカオにいつもの漢方薬の代わりに十二剣神ハロウィンを配合した超絶狂気の代物なのだ!!……待って、オブリビオンみたいなモンを素材にしたって事?
「主様は加工前のハロウィンっつーか、ハロウィンが用意したハロウィン毒っつーか、なんかそれっぽい菓子食っても平気だったから、多分大丈夫じゃねぇかな……」
 その際、一緒にいた猟兵が(敵じゃなくて絶華の)犠牲になった光景がトラウマになっているのか、サートゥルヌスのテンションは低い。が、目を逸らしてばかりもいられない事態が起こった。
「……主様?なんかこいつ、光ってない?」
「そうだな!内部から圧倒的ハロウィンパワーが溢れかえって爆発しそうになっているのだろう!!」
「熱暴走起こして自爆しかけてるって事じゃねぇかー!?」
 咄嗟にサートゥルヌスが飛び退いた直後、キラッ……チュドーン!!ジャイアントキャバリアはポップなカラーで大爆発してしまった!!
「爆炎までハロウィン化してやがる……」
 うわぁ……って虚ろ目のさっちゃんだったが、ここで一つ問題が。
「ッ!?主様!あいつ、死んでねぇぞ!!」
 あの大爆発の中、敵影は健在。サートゥルヌスは武装を構えるのだが、絶華は首を傾げ。
「そうだが?」
「そうだが!?今の攻撃じゃなかったんですか!?」
 驚くさっちゃんに、絶華はハッハッハ!
「さっちゃんが言ったのではないか!不治の病をハロウィン化の混沌で有耶無耶にして治療すると!!」
「言ってない!それ主様が勝手に思い込んでたやつ!!」
「うぅ……」
 と、サートゥルヌスが絶華と漫才していたら、どこからかすすり泣く声が……。
「酷い……お家に帰らせて頂きます……」
 泣きながら、さっきまでオブリビオンだった、巨人の少女という矛盾した表現になる民間人が帰って行った……。
「嘘……だろ……!?」
 ここで劇画タッチな顔で戦慄を覚えたのがサートゥルヌス。絶華のチョコは効能こそ本物だが味が酷すぎて、本来の効能を発揮する前に服用者が死ぬ劇物である。それが、民間人を生還させてしまった。
「さっちゃん」
「……はい」
「全員救済するぞ!」
「嫌だぁああああ!?」
「安心しろ!お代わり自由だ!」
「せめてチョコじゃなくて武器を使わせてくれぇええええ!?」
 サートゥルヌスの両手がチョコ塗れになっている頃、メルクリウスは岩石に近寄って。
「とりあえずこの怪しさ満載の岩石を解析したいところだが……メルシー、何か分かったか?」
「うーん、この岩そのものはただの岩みたい。でも、中からキャバリアの反応があるよ……それも、何重にもプロテクトがかかってる。絶対に動かないようにしてるみたいだけど……微かに反応があるから、目を覚ましかけてるのかも?」
「なるほど……では挨拶が肝心じゃな。ドーモ、爾雷彌=です」
「ドアホー!?」
 凄まじい速度で振るわれたはずのメルクリウスの鎌を、爾雷彌は両手を合わせて会釈した格好から躱して見せると、怪訝な顔をして。
「なんじゃい、挨拶は大切。ラウンズ憲法にも書いてあるじゃろ」
「嘘つけ!今ぜってー適当に言っただろ!?起こすなって言われてんのに余計なことすんな!」
「ご主人サマ、この子、自分からプロテクトをかけてるみたい……きっと、深い絶望を抱いたまま、眠ることを選んだんだよ……だから……」
 服を握ってくるメルシーは、アクセスしてしまったが為に、巨神の感情の一端を同期してしまったらしい。その表情に浮かぶ苦痛を、カシムは理解してやることはできないが。
「ぷぎゅ!?」
「らしくない顔してんな。要するに、岩石に手出しさせずにあいつらを倒せばいいんだろ!?爾雷彌!勝手に出てきたんだから手伝え!」
「承知」
 メルシーの頬を片手で潰していたカシムの声と同時、爾雷彌の姿は既に敵機上空にあり。
「ドーモ、非ユミル=さん。爾雷彌=です。わしはシリアスな巨神!シリアスに決めるとしよう!」
 既にシリアス味の欠片も残っていない爾雷彌だが、腕前は本物なのだろう。乱射された手裏剣は一発もキャバリアに命中することなく、研ぎ澄まされた十字型の飛び道具は機体の足元に突き刺さり、脚部ローラーの隙間にその一端を潜り込ませて機動力を奪う。
「カシム殿!」
「分かってる!」
 脚を動かせなくなったキャバリアめがけて、上空から急降下するメルクリウスがバックパックの装備を斬り飛ばし、エネルギーインゴットを掠め取ると握り潰して霧散させ、魔力に変換。
「やるぞ、メルシー!」
「ひゃっはー☆全員纏めて丸焼きだー!!」
 しかし、ここで悲劇が起こる。カシムは遅れて来た故に、シルヴィのやらかしを見ていなかったのだ。
「万物の根源よ……帝竜眼よ……我が呼びかけに答え……我が力に応え……我が叫びに応え……無限に強くなり続ける可能性の竜の力を今此処に示せ……!!」
 両の手を翳し、竜の顎を形作った掌底から放たれるドラゴンブレス。拡散する雷霆は敵陣を焼き尽し、そして……。
「あがががががががめめめメリクリウスてめめめめぇえええええ!?」
 地面に染み込んだ水分を通し、更にチョコの間を通電してサートゥルヌスにも誤射ァ!!
「サトウさん、痺れすぎてメルシーのお名前を噛んじゃってるゾ☆」
「敵より先にお前を『治療』してやろうかァ……!?」
「マズい、さっちゃん!!」
 などと、仲間割れ(と言う名のいつもの喧嘩)を起こした隙に、念動障壁の一部が解け、そこ目掛けて敵が砲弾を発射!そして……。
「きゃあ!?」
 ナミエに当たった!?
「ずっと岩石にくっついて温まっていた罰が当たったのかし……痛い!?」
 モロに砲弾にぶち当たって撃墜された挙句、岩石の欠片が落ちてきて頭に追撃をもらったナミエは既に涙目だが、彼女に直撃したために岩石そのものへの被弾はそこまで大きくなかった事は不幸中の幸いだろうか。
「でも、十分にあったまった分、反撃しちゃうんだから!!」
 と、ナミエは自分を中心にして竜巻を生み出し、周囲の氷雪も巻き込んで氷の竜巻と化し、敵機を凍結させていくのだが……。
「チョコが……チョコがぁああああ!?」
「素晴らしい……扱いやすいように溶かしておいたスペシャルチョコが一口サイズに固まっていく!!」
 この狭苦しい戦場でそんなもん使った関係で、真・ぜっちゃんチョコが戦場内に吹き荒れる!!
「ちょ、ご主人サマ助け……むぎゅぅうううう!?」
「メルシー……耐えろ!」
「根性論なの!?」
 キャバリア内部にいる猟兵はさておき、外に出てるキャバリアの疑似味覚を壮絶な不味さが襲う!!戦場内に吹き荒れる突風、氷雪、そしてチョコと『熱風』……。
「あれ、なんか暑くなってきたような……」
 竜巻の中心で、ふとナミエが見上げると。
「これは、もしかして?」
 例の岩石に、亀裂が走っていた……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『デスブリザード』

POW   :    アルティメットデスブリザード
【S-S&Bジェットブリザードの放射時、額】に封じた【力を解放し、各吹雪が1つの「究極吹雪」へ】と合体し、あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になる。ただし解除時にダメージを全て受ける。
SPD   :    グレッシャーインパクト
【万物を凍らせる氷結ブラストナックル】を放つ。他のユーベルコードと同時に使用でき、【両腕を合体させた必殺拳で突撃する際、凍結】効果によってその成功率を高める。
WIZ   :    |ESP《エントロピースナッチパルス》ミサイル
【放ったマイクロミサイル弾幕の爆風】から【原子運動停止領域】を放ち、【時を止められたかの様な凍結停止状態】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:聖マサル

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ポーラリア・ベルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ほほぅ、通信が途絶したから、全滅したかと様子を見に来たが……」
 なんかめっちゃ寒そうで温かそうなオブリビオンマシンが出てくると、ヒビが入った岩石を見上げて薄く笑った(気がする)。
「既に部隊は壊滅……回収は困難だが、アレを目覚めさせれば目的は果たされる。邪魔者がいるようだが……相手をしてやる理由はないな!!」
 極寒の地に、凍気を操る機能を持ったことで凄まじいパフォーマンスを見せるオブリビオンマシンは、目にもとまらぬ速度で岩石を狙い……。
「まっず!?」
 吹き荒れるチョコの嵐に撃墜された!?
「ななななんだコレ!?おのれ、こんなもので俺を止めようとは……しかし、なれば遠くから攻撃すればいいだけのこと!!」
 戦場すら味方にする敵が、改めて岩石を……巨神を狙う……!


※敵は極寒の地という戦場の環境に最適化されており、凄まじいスペックを披露します。が、戦場には吹雪と同時に真・ぜっちゃんチョコも吹き荒れており、『敵味方問わず』キャバリアですら疑似味覚から精神を破壊されます。岩石の護衛、環境により超強化される敵、そして吹き荒れるぜっちゃんチョコ。その全てに対応する必要があるでしょう……
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
対処項目が多様、流石に装備品の出番ですねぇ。

|何となく《干支的な何か》届いた電波から、「がお」しか言えない『竜の着ぐるみ』を着用しまして。
【獵妝】を発動し巨人化、『対キャバリア限定無敵状態』になりますねぇ。
後は『FMS』のバリアで『岩狙い』を防護、チョコは『FLS』で『FXS』を召喚し『精神干渉遮断』で防護を。

尤も、先程の影響で、着ぐるみの上からでも判るくらいに胸が重く動き辛いですので、『岩の護衛』主体として待機しつつ見守り、必要なら[援護射撃]や[カウンター](+解説役担当?)で良いですかねぇ?
何となく「先程の集団敵のこと」で、まだ怒っている方が居そうな気もしますし。


シルヴィ・フォーアンサー
……これは酷い(阿鼻叫喚なチョコによる地獄絵図を見ながら)ヨルは大丈夫?
『私は味覚ないし、しばらくは大丈夫だろう……おそらくだが(ヨルも対象ならそんな感じに改編OK)』

どっちにしろ早く済ませた方が良さそうだね。
うーん、チョコと寒さと突風と極寒適正の敵への対処だよね。

……やっぱり高熱かな。
周りが氷壁だから気を付けないと溶けてマズイことになりそうだけど。
岩石回りは暖かいようだしそっちにまず近づいて。

敵が突撃前にESPミサイルでこちらを停止させようとするのを
ハッキングから展開する領域範囲を見切って弾道計算して
効果範囲前に指定コードからのフレア・ブラスターで迎撃。
分身にはすぐ消えてもらって本体のフレア・ブラスターを持続させ突撃してくるボスを迎え撃ち。
ついで凍って固まったチョコも溶かしたい。

真正面からのフレア・ブラスターを目隠しにミサイルを曲射で頭上から攻撃。
ロケットパンチも打ち出しておいて推進システム……見た目膝の裏側かなに誘導しガトリング砲で攻撃。
風で吹き飛ばされないよう注意してコントロール。


城田・紗希
何この…この!(カオス、以外の表現が見つからないので表現を諦めた)
とりあえずローラーとキャノンと胃袋はあるみたいだから、ローラーで撹拌しつつキャノンで攻撃するよ!(撹乱と言いたい)

というかチョコが舞う戦場って何、長居したくないよ!速攻で終わらせて帰る!(こんな場所に居られるか、の死亡フラグを立てつつ)
そしてエネルギー不足になったら、雪とか、気は進まないけどチョコを吸わせてエネルギーにさせるよ!(死亡フラグ?)
とりあえず、死亡フラグが立つごとに能力アップのはずだけど……キャバリアも強化されるのかなぁ、まぁ最悪生身でキャバリア用の銃でも撃てばどうにかなるよね!(脳筋)


黒木・摩那
『エクアトゥール』は機械なキャバリアなので、疑似味覚の機能はないのですが、それでもチョコでベタベタ。あとの整備が大変です。
これは人格AIとか神機には酷な環境ですね。
まずは気合入れに唐辛子をペロリ。
これで気合十分、体ほっこり。

次は敵への対応です。
局地戦に特化した相手は厄介ですね。
これは相手の力を利用するようにします。
UC【フリーダムブレイズ】で攻撃をそっくり返します。
敵は無効化しそうですが、こっちが動けることが大事。

攻撃はエール・ノワールでザクザク斬るとして、
それだけでは足りなそうなので、唐辛子パンチも加味してあげましょ。
局地戦仕様だから、そういうの苦手そうだしね。


アリス・セカンドカラー
お任せプレ、汝が為したいように為すがよい。

よし、私も|蒼汁《アジュール》をごっふぅ!ちょっと地の文様なにするのよ!これ以上の劇物はやめろ……はい……
それで、あー原子運動停止領域で時間停止?|タイムフォールダウン《高速詠唱早業先制攻撃》じゃん、でも、まぁ、ここは逆打ちでイキますか。
結界術で形成した疑似メガリス聖杯を破壊して、メガリス破壊効果:生命賛歌発動☆魂の内から湧き上がる生命の炎が味方に|時間凍結中でも動き続ける力を与えるわ《継戦能力、回復力》。
で、敵には頭セカンドカラーの状態異常で思考が|私と同等《アッパラパー》になるという最悪のデバフがですね、はい。


で、眠ってるのは日本が誇るニート神?


ナミエ・オイローパ
苦戦/アドリブ/連携可

「寒冷地仕様キャバリアですか。なら思い切って環境を変えてしまいましょう」
ちらりとご神体を見てからUC発動。
「ねぇ、そのミサイルちょっと撃ってみて?」と誘惑しておねだり。
敵のマイクロミサイルがご神体を直撃!さらにヒビが広がる。(この時爆風に味方が巻き込まれるかはお任せします)
「やっぱり気温が上がってきましたね」
と、飛んできたチョコが顔を直撃!
「うぐぅ」(あまりのまずさに悶絶、気を失いかける)
気力を振り絞り、敵にチョコを口移し。キャバリアの口がどこにあるかって?知らん。
今度はチョコに対しUC発動。ご神体のヒビに突っ込ませる。
「あなたも食べてみなさいな。熱も下がるわよ」


アイ・リスパー
「敵は冷気を使ってくるわけですか。
ここは私の天才的頭脳を披露する時ですね!」

機動戦車オベイロンの中から自信満々に言い放ちましょう。
だって、戦車から出たら寒いですし。敵は究極吹雪とやらを撃ってくるみたいですから、車内で耐えますよ!

「粉塵爆発という言葉くらい聞いたことはありますよね?」

電脳魔術で空間を歪曲させ、凝縮させた微細な粒子に着火して爆発させます。

「そして、熱膨張は知っていますか?」

そう、これだけの極寒の環境の中、私の粉塵爆発により装甲が高温になれば、急激な熱膨張による金属疲労でキャバリアの部品の一つや二つ壊れてもおかしくないのです!
特に、究極吹雪とやらを撃った直後となれば、なおさらです!


カシム・ディーン
何時もの喫茶店にて
「何時も大変そうだねー☆がんばれ♥頑張れ♥」(鬼畜

取り合えず…誰が持ち帰るんだあの巨神…?
「わしのように猟兵皆についていくとかじゃないのかの?某依頼参加者は遠慮なくわしを呼べい!」(爾雷彌参上継続中
つかぜっちゃんちょこクソ不味レベルが更に上がってるんだが…ぐげがぁ…!
「ご、ご主人サマさえ悲鳴上げるレベル…ふぎゅぅ…!」

【情報収集・視力・戦闘知識】
岩石解析は継続
敵機の状況と能力と中に人がいるかも確認
【属性攻撃・迷彩】
光水属性を機体に付与
光学迷彩で存在を隠し水の障壁で熱源隠蔽
【念動力・弾幕・空中戦・スナイパー】
UC発動
お前…自分だけ安全圏とかふざけた真似はさせねー!
超絶速度で飛び回り突撃して…念動光弾を叩き込んで動きを止め
ぜっちゃんチョコの吹雪内へと吹っ飛ばす!
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
お前ふざけんなよ!お前がこんなたくらみしなければ此処まで酷い地獄は発生しなかったんだ!責任取って金目の物全て寄越せ!(切り刻んで金目の物根こそぎ強奪
「不味いよー…!!」


皇・絶華
ああ…なんという素晴らしき戦場…いや…最早此処は楽園ではないだろうか!
皆が…私のチョコに歓喜の叫びをあげている…(感動中

これはもう…新年チョコフェスティバルを始めるしかないな!
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」(悲鳴を上げる機神

【バーサーク・薬品調合】
そう…悲しい戦いが続くのは皆…パワーが足りないからだ!
ケルベロスの世界でもグラビティ・チェインの代わりに我がチョコの圧倒的なパワーがあれば彼らも争いをやめるに違いない!

という訳で今日の私はヒーラーチョコパティシエ!
我がチョコドリンクで皆圧倒的なパワーを宿し抗うがいい!
依頼参加の味方と岩石にチョコドリンクを振舞う!

そしてデスブリザードだったな!死を振りまくお前には命に溢れた我がチョコは恐ろしいだろう!?
だが安心しろ…お前にも圧倒的なパワーを授けよう!
さぁ!我が真のチョコを食し!体から溢れる圧倒的なパワーに歓喜の叫びをあげるがいい!
大丈夫だ!ビルシャナ達は皆涙を流し信者達に至っては失禁しながら喜んでいたのだからな!(チョコを捻じ込み捻じ込み


涼風・穹
……この岩石の中身が天照的なものだとすると、戦闘行為も踊る判定されそうな気が…

相手が遠距離攻撃を選ぶなら俺自身は岩石付近に陣取って適当な装甲板でも盾にして防衛に徹します
どれだけ速くても防衛対象に近い此方の方が動く距離も短くてすむからやりようはある

そして《最後の煌き》その辺に転がっているジャイアントキャバリア達を再起動させて攻撃します
まともに動く状況ではない?
それならチョコを食べてエネルギードレインを…あ、急に動けるようになったなら攻撃回数重視で数撃てば当たる作戦で
そっちは足がない?
それなら命中率重視の固定砲台になって砲撃で宜しく

……ところで、この岩石の中身って遺棄されているようなものだよな…?



「何この……この……!」
 何かを言おうとしてやめた紗希だが、お前も原因の一端だからな?
「とりあえずローラーとキャノンと胃袋はあるみたいだから、ローラーで撹拌しつつキャノンで攻撃するよ!」
「?」
 紗希が乗ってる機体は鹵獲した敵であり、中の人(物理)が存在するため、操縦っていうか指揮を執ることになるのだが、当人がいつも通りのバカを言った為に。
「なんでグルグルするのー!?」
 攪乱って言おうとして、撹拌って言ったから回転し始めたんやろ。
「というかチョコが舞う戦場って何、長居したくないよ!速攻で終わらせて帰る!」
 つっても、ぐるぐるしてるだけで何もできないからとりあえずアイツはほっといて。
「がお」
 どや顔でおめめキラン☆させるるこるはあれか、もう動く事を諦めてマスコットポジションになったか。いつの間にか龍の着ぐるみに着替えた奴は無敵モードで戦場のオブジェクトと化している……今回のメンツ本当に大丈夫かコレ?
「うーん混沌。よし、ここは私も蒼汁を……」
  ↑
 ↑↑↑どぉりゃあああ!!
「ごっふぅ!?ちょっと地の文様なにするのよ!矢印でアッパーカットとか何事!?舌噛んだらどうするのよ!!」
 うるせー!!既にカオスと読解困難と劇物でもはや執筆する気力が残ってねぇんだよ!これ以上厄介事を持ち込むんじゃねぇ!!
「あ、はい……」
 グリモア持ちにしか伝わらない苦痛をアリスが察して大人しくなると。
「それで、あー……原子運動停止領域で時間停止?どっかで聞いた事あるわね」
 シレッと敵がUC使う前にメタ枠から情報ぶっこ抜いて来てんじゃねぇよ。
「でもこの情報分かってる前提でプレ組むものじゃない?」
 プレイヤー視点ならな?お前は『こちら』を認識してはいるけどキャラクターだからな?
「第四の壁はすり抜けるもの!!……ごめんなさい真面目にやりますからツッコミハリセンだけはやめてくださいそれ本当に痛いのよ我々の業界でも処罰なのよ……!」
 と言うわけで、顔に「しりあす」の落書きがされたアリスが改めて。
「生命を讃えましょう。生命の営みを讃えましょう。この生命の炎が絶えぬよう、立ち上がる力を与えましょう。熱い魂の迸りをその胸に……」
 指二本を唇に添えて、そっと差し出した投げキッス。並べた指の間にスッと、光が走る。下に伸びた光は薄い円盤に広がり、上に伸びた光は釣り鐘状に広がって、内部に真紅の液体がにじみ出る。グラスの半分が赤く染まると、アリスは器を手放して、落下したそれは砕けて飛沫を散らした。
「さぁ……燃えなさい」
 零れ落ちた雫はその質量を増やしながら戦場を駆け巡り、真円を描くと炎の壁を築き上げる。
「これは……治癒の炎?アリスさんが珍しく有用な事をしていらっしゃる……!」
 結構な頻度でネタ依頼に来ている摩那が、新年早々(コレ執筆してたら日付変わってました)珍しいものを見て、ビックリしすぎて猫顔になっているが、その辺は一旦置いといて。
「しかし、漢方チョコですか……『エクアトゥール』は機械なキャバリアなので、疑似味覚の機能はないのですが、それでもチョコでベタベタ。あとの整備が大変です。これは人格AIとか神機には酷な環境ですね」
 あとはあれやな、一部キャバリアに乗ってない人がいるから……。
「まずは唐辛子をペロリ。これで気合十分、体ほっこり」
 などと、常人ならそのまま口にしてはならない部類の代物を、ペロッといった摩那はエクアトゥールの盾を起こす。
「チョコ塗れになった機体を早く洗いたいので、速攻を仕掛けます!」
 盾の裏面に仕込まれた機関砲から弾幕をばら撒く摩那に対して、敵もまたマイクロミサイルを展開。ぶつかり合う弾幕と弾頭は二機の間に粉塵を巻き上げるが……。
「な……エクアトゥールが止まった!?」
 キャバリアが急に停止してしまった摩那の頭上、高く飛び上がった敵機は両手を重ねて振りかぶる。
「馬鹿め!俺のミサイルは直撃させるもんじゃない!!」
 重ねた拳が凍結し、振り下ろされるアイススレッジハンマー。身動きの取れないエクアトゥールは徐々に機体が凍てつき。
「拳と言わず、全身凍らせたらどうですかッ!」
 氷片をまき散らし、盾で受ける!
「何ッ!?」
「UC同時打ちには肝を冷やしましたが……生憎、行動停止そのものは想定していたんですよ!」
 受け止めた盾から炎の刃が伸び、斬り払えば敵機は瞬く間に凍てつき。
「おのれぇえええ!!」
 バキャン!!落下と同時に粉々に砕け散ってしまった。
「……え?」
 これには逆に摩那が目をぱちくり。
「いやいやいやいや、さすがにおかしくありません?」
 仮にも敵部隊の指揮官が、たった一撃で倒されるなど、あるわけが……と困惑していたら、地面からでっかい鉄パイプが生えてきて、中から、プーン☆
「くっ、まさかいきなり残機を削られるとは!」
 独特のサウンドエフェクトと共に、新しい敵がジャンプしてきた。
「えぇ!?今回の敵ってこんなでしたっけ!?」
 少なくとも、登場時はもうちょっと常識がある方だったはずだ。
「まさか!?」
 バッとアリスの方を見れば、ワンダーラビットは雪兎作って遊んでるし、中のアリスは冷や汗だらだらで目を逸らしている……。
「いや、あの、そのね?味方に生命力強化のバフを与えると同時に、敵には頭セカンドカラーの状態異常で思考が私と同等【アッパラパー】になるという最悪のデバフがですね、はい」
「つまり……?」
「敵が問答無用でネタ堕ちするわ☆」
「何してくれてるんですかぁあああ!?」
 さーて敵が逆に殺しにくくなるという異常事態に陥ってしまったぞ。つっても、やる事おかしくなるから岩石の破壊そのものは遠ざかるからへーきへーき。
「……これは酷い」
 チョコが吹き荒ぶ戦場と、突然のネタ堕ちで行動がカオスった敵を前に、シルヴィはもはや虚ろ目である。
「ヨルは大丈夫?」
『私は味覚ないし、しばらくは大丈夫だろう……おそらくだが……ヴッ!?』
「ヨル!?」
 突然、毒でも盛られたかのような声を上げるヨルに、シルヴィもさすがに焦燥の表情を浮かべるが……。
『マッズ……!?』
「……え?」
 思ってもいなかった言葉に、シルヴィも目をまん丸にして脱力。肩にかけているだけだった上着がズルっと滑り、タンクトップが白い肌を晒すが。
『これは……想定外だ……味覚を持たない私だが、成分解析のソフトに強制干渉して、私に疑似的に『味』というものを叩きつけてくるとは……!』
「……とんでもないウィルスみたいに言ってるけど、要は美味しくないだけだよね?」
『まぁ、そうだな。幸い、私は味覚がない分、どこまでも『知識で殴られる』に留まる。とはいえ、その情報量があまりに多く、鮮明でな……そうか……心を病む、とはこういう事か……』
 ヨルが余計な知識を獲得してしまったところで、戦闘シーンに入りまーす。
「どっちにしろ早く済ませた方が良さそうだね。うーん、チョコと寒さと突風と極寒適正の敵への対処だよね」
 十四機の分身を構築すると敵を取り囲むように展開。
「ハッ!数で俺に勝とうなど、考えがかき氷より甘い!」
『かき氷基準と言うと分かりにくいが、氷菓であることを考えれば味は濃いはずだな』
「……ヨル、真面目に考えなくていいから」
 増えたミドガルズは主砲の仰角を微調整。対になった分身と砲身をぴったり向き合わせる。熱を発する光学兵器はその照射範囲が少しでも敵の体躯から出ていると、どこまでも直進してその向こう側にある地形を攻撃する。故に、二機一組で、ほんのわずかなズレも許さずに砲撃する必要があった。
『誤差修正完了、照射開始』
「合わせていくよ」
「全方位攻撃か?生憎俺も同じ事ができる!」
 一斉射されるハイペリオンランチャー相手にミサイルをばら撒くオブリビオンマシン。火薬兵器など瞬く間に焼却されるが、その本質は爆破ではなく、拡散する冷気にある。ビーム兵器を強制停止され、その後方に控えていたミドガルズ本体も機体が硬直し、ノーガードのコックピット目掛けて敵機が迫る。
「凍てつけ!そして砕け散るがいい!!」
 握った拳を氷塊に変えて、ミドガルズに向けて振るわれる拳だが、黒い装甲に触れる寸前に直下してきたミサイルが間に割って入って炸裂装甲の役割を果たし、押し返した。
「何ッ!?」
「……囲まれてた時、真上に撃ったミサイルまでは見えてないでしょ」
『シルヴィ、機体の凍結状態は予測より溶けるのが早い。アリスとやら、ふざけているようできちんと支援してくれていたようだ』
「……で、チョコは?」
『帰ったら洗浄だな』
 落ちなかったみたいですね。
「……とっとと終わらせよう」
 ミドガルズの両腕を飛ばし、敵の背後に回して足元に向けて弾丸をばら撒いて推進装置を狙いながら足止めすると。
「……ちょっと無茶する。制御よろしく」
『受け身くらいはとれるようにやりたまえよ』
 背部ブースターを急点火。爆発的推進力を得たミドガルズは勢いに身を任せてオブリビオンマシン蹴りつけ、吹っ飛ばすと反動で自分も後方へ跳ね返るが、ヨルがバーニアで姿勢制御、呼び戻した腕と合わせて三点着地で衝撃をいなす。
 蹴っ飛ばされた敵機はゴロンゴロンゴロン、スポッ。「IN」って書かれた穴に落ちていき、残機を一匹減らして新手の鉄パイプから、ポーン☆
「敵は冷気を使ってくるわけですか。ここは私の天才的頭脳を披露する時ですね!」ちらっ
「がお?」
 一瞬、るこるの方を見たアイ。そこはかとない殺意を感じるが、さすがに指揮官クラスとの戦闘中に味方を狙う程非常識ではないようだ。
「この天才的頭脳の前に砕け散り……ぷぎゅっ!?」
 カッコつけてたアイは突然口元を押さえてうずくまり、プルプルし始めてしまう……。
「あ、あれ……オベイロンの中なら安全なはずでは……?」
 パワードスーツ形態のオベイロンと一体化したことで、極寒の地でも活動できるはずだったアイ。しかし、戦場にはもう一つの脅威が存在する。
『例のチョコですか……さすがにそっちまでは防げなかったみたいですね』
「なんで完全密閉になってないんですか!?」
『私はあくまでも強化外骨格ですから、酸素供給システムを搭載していない為、そんな事したらあっという間に窒息しますよ?』
「そ、そんなぁ……今度こそ天才的クールビューティー系勝利宣言ができると思ったのに……」
 グダグダして来てしまったが、気を取り直して……。
「粉塵爆発という言葉くらい聞いたことはありますよね?」
「知らん!」
「なんでですか!?」
「言ってみただけだッ!」
「このオブリビオン嫌いですー!!」
 思いっきり振り回されるアイだが、こほん。
「では、熱膨張は知っていますか?」
「……話の流れ的に、俺を急速加熱して、環境による極低温との差でぶっ壊そうって腹だな?俺が言うのもなんだが……大丈夫か?」
「新手の命乞いですか?そんなものを聞き入れるほど、猟兵は優しくありませんよ!!」
 ブワッ……粉雪にも似た白い粉末が散布され、敵を取り囲むとレーザーライフルを向けて。
「吹き飛んでください!」
 バァーン!チリッ……ドーン!!銃口から飛び出した熱線に着火された粉末は瞬く間に燃焼し、発生した熱量は隣接した粉末へと伝播。瞬く間に空間そのものが酸化反応を起こし、急激に加熱された大気は大爆発、その衝撃と共に高温の熱風を噴き付ける。
「さぁ、どうですか!?」
「いや、まぁ、温かいけど……」
「なんで無傷なんですかー!?」
 え、これどうしたらいいの?みたいな顔して立ってるオブリビオンに、アイは若干涙目になるが。
『アイ、敵をつついてみてください』
「……?」
 オベイロンに言われた通り、指先でチョン。ピシピシピシ……パッキャーン!!
「砕け散りましたー!?」
『強がっていただけみたいですね……』
「ふぅ、一時はどうなる事かと……」

 ピシッ。

「……あれ?」
 なんか嫌な音がして、振り返ったら岩石がまた少し割れてた。
「えぇえええ!?」
「だから大丈夫かって言ったのにー」
 鉄パイプからプーン☆してきた敵機があきれ顔になるが、まぁ、それだけ派手な爆発起こせば、ねぇ?
「何はともあれ、俺にとってはチャンス!今こそ攻撃を……」
「がお」
 ぺしーん!るこるのテイルウィップ!!オブリビオンは弾き返された!
「ちょ、何それ!?」
 今度は尻尾が届かないようにちょっと回り込んでいくが。
「がお」
「あばばばば!?」
 るこるの円盤ビーム!オブリビオンは弾き返された!
「いや、あいつズルくない!?」
 半ギレしたオブリビオンはちょっと離れて。
←「だったら俺だって



                   こういうことするもんね!!」←
「がお!?」
 画面外に逃げて、次のコマの反対側から帰って来たオブリビオンに、るこるもびっくり。反撃とか防衛とか、そういうの無視して岩石の至近距離に現れたオブリビオン。コレだから頭セカカラは……。
「ちょっと!?さすがにそれは風評被害じゃないかしら!?」
 アリスからツッコミも飛んできたが、危機的状況なのは事実。しかし、岩石には一回落とされたのに懲りずにくっついてる奴がいた。
「寒冷地仕様キャバリアですか。なら思い切って環境を変えてしまいましょう」
 ナミエである。彼女は岩石を守るべく身を挺して……。
「ねぇ、そのミサイルちょっと撃ってみて?」
 おぃいいいいいい!?
「え、何、新手の罠……?」
 こんだけ散々邪魔しておいて、今度は猟兵からやれと言う。さすがに頭セカカラでも警戒して半歩引いたオブリビオンへ、前かがみになりつつ両手を膝について、腕で胸を寄せて谷間を強調しつつ。
「お、ね、が、い♪」
「あー、体が勝手にー」
 ナミエのウィンクを受けた敵機がミサイルをばら撒けば、まぁ、当然岩石は削れるわけですが、その分だけ熱波が噴き出し、周囲の氷雪が溶けていく……。
「やっぱり気温が上がってきましたね」
 当たり前だよ!何やってんの!?
「ここまで来たらいっそのこと……」べちゃっ!
 ナミエの顔面を漢方チョコが直撃したー!?
「うぐぅ」
 一瞬白目を剥きそうになって、岩石から落ちて来たナミエを反射的にオブリビオンがキャッチすると、ナミエはそこからふわふわ浮いて。
「ありがと」ちゅっ☆
 これがね、普通のキスシーンならまぁ、アレだったんだろうけど、彼女は現在チョコ塗れでしてね?
「ゲボォ!?」
 口移しされたチョコの味にオブリビオンが死んだ!!キャバリアに口なんかあるのか?気にしたら負けだ!!
「あなたも食べてみなさいな。熱も下がるわよ」
 何を思ったのか、ナミエは零れ落ちるチョコを両手で掬い、浮かび上がると岩石の亀裂に注いで……。






 ――カロン。
「……あら?」
 ナミエが周囲を見回せば、そこは寂れて久しい喫茶店だった。カウンター席に座ったナミエの前には、寒いって言ってんのにアイスコーヒーが出されており、溶けて滑った氷がグラスを打ち鳴らす。
「ここは?」
「お前みてぇなシャレにならない戦犯した奴のお説教部屋みたいなもんだと思えばいい」
 カウンターの向こうでグラスを磨いていた『ソレ』は、人のようで、人ではないようで……。
「あれほど『起こすな』って言ってんのに何を余計な事してくれてんだ?目覚めたら地図が白紙になるって話をしてあったよな?」
「えっと……えへ?」
「笑ってごまかすなぁあああ!!」
「何時も大変そうだねー☆がんばれ♥頑張れ♥」
 いつの間にか隣に座っていたメルシーにナミエがびっくりするとたわわな果実がぷるん……その向こうに座っていたカシムが半眼で。
「こっちに来たついでに聞きたいんだけど……誰が持ち帰るんだあの巨神……?」
「わしのように猟兵皆についていくとかじゃないのかの?某依頼参加者は遠慮なくわしを呼べい!」
 カシムの隣でお茶すすってた黒装束に白髪の老人がニカッ!と笑ってカメラ目線にサムズアップ。
「って、爾雷彌がしれっと人間形態になってる!?」
「巨神姿のままじゃ不便な事もあるからのー……」
 などと、いつものノリで話が進むが。
「誰にもついていかないだろ、アレ」
「あー……やっぱり?」
「メルシー、なんか知ってたのか?」
 ソレの回答にメルシーが苦笑すると、カシムはやや目を大きくして。
「ご主人様、あの子は猟兵が猟兵である限り、絶対に手を貸してくれないの。理由は至極単純に、『目覚めるだけで災厄を起こす』から。ただそこにいるだけで災厄級なのに、猟兵が手に入れたら、絶対に戦力として活用するでしょ?あの子はもう、自分の孤独と引き換えに誰も傷つけない事を選んだんだよ」
「そっか……あの子は捨てられたんじゃなくて、自分からあの場所に眠ることを選んでたのね……ちべたっ!?」
 ナミエがグラスを傾けると、思っていた以上の冷気を放つ黒い液体に猫舌のような反応をしつつ。
「あ、それでこの後どうしたらいいの?」
「お前がやらかしても何とかなったって事にする。後はまだ動いてない連中が敵をなんとかするだろ」
 ガチャリ……誰も触れていないのに、店の扉が勝手に開く。
「とっとと帰れ、猟兵共……仕事の時間だ」
「あ、ゲームの影響受けてる?」
「あいつ、結構そういうの多いよな」
「頭がお子様なんじゃのー」
「お前ら、全員纏めてシメるぞ?」
「「「行ってきまーす!!」」」
 先に帰ってった三人組を見送り、ナミエも立ち上がると。
「それじゃ、また来るわね!」
「二度と来るなド阿呆!本来はここが開くのは間違いなんだよ!それをまー、初見から入って来やがって……!」




「……はっ!?」
 ナミエが目を覚ますと、敵がぶっ倒れてビクンビクンしてた。
「いけない……チョコの味が酷すぎて気絶してたみたい……」
 などとよろめく彼女の横に、ひゅーん……ぐしゃ!
「ぜっちゃんちょこクソ不味レベルが更に上がってるんだが……ぐげがぁ……!」
「ご、ご主人サマさえ悲鳴上げるレベル……ふぎゅぅ……!」
 いつもなら何食わぬ顔で平然と平らげるカシムですら、メルクリウスの操縦が不可能になるレベルの衝撃テイスト。そんな地獄絵図の中心には……。
「ああ……なんという素晴らしき戦場……いや……最早此処は楽園ではないだろうか!皆が……私のチョコに歓喜の叫びをあげている……」
 ヘヴン状態の絶華である。
「これはもう……新年チョコフェスティバルを始めるしかないな!」
 服を脱ぎ捨てた絶華は白装束に身を包んだパティシエスタイル。操縦桿の代わりに泡立て器を握り、ボウルの中では奇声を発する茶色い流動性の何かがかき混ぜられており……。
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 自分の体内【コックピット】で今まさに新手の悲劇が生み出されようとしているサートゥルヌスは、もはやヒロイン級の悲鳴を上げて。
「……この岩石の中身が天照的なものだとすると、戦闘行為も踊る判定されそうな気が……」
 こんだけドンパチやってて、どうなのだろうって顔する穹だが、ネタ依頼だからこまかい事は心配しなくて大丈夫やで。そんな事より岩石の前に陣取り、機体を覆うタワーシールドを構えた穹が見下ろした先のサートゥルヌスを何とかしてあげて。そろそろあの娘、発狂するよ?
「俺様の表記に女っぽい文字を使うんじゃねぇ!!」
 男の娘としてのプライドでもあるのだろうか……。
「なんだか知らんが、早急に片付けた方がいい事は確からしいな」
 ズィルバーンヤークトフントが拳を突き上げると、撃破されたジャイアントキャバリア達の目に光が灯る。
「既に倒れた戦士達よ!今一度目覚めるがいい!!そして己の身を縛るオブリビオン装甲に打ち勝つのだ!!」
 これアレだね、機体っていうか装甲の方を強引に起動してるやつだね。しかし、キャバリア本体(?)に相当する部分は生身の巨人種族らしく、非常に動きが鈍い。
「こうなったらチョコを食べさせて復活させるしか……」
 と、思ってたら。
「完全に出遅れた!とりあえず体にはいいらしいし、チョコで補給しなきゃ!!」
 目の前で紗希が乗ってる個体がチョコをもぐもぐ……スーッと全身から色素が失われて、ぱたり。二度と起き上がることはなかった……「オイシクナイ」のダイイングメッセージを遺した僚機を見て、顔を見合わせたキャバリア達は……。
「あ、急に動けるようになった」
 食ったら確実にアウトな物に手を出すくらいなら、根性論で立ちあがる!肩に乗せた砲塔を起動し、ターゲットは……。
「え、お前らまさか敵に洗脳されているのか!?目を覚ませ!俺は味方……どぅああああああ!?」
 もちろんオブリビオン。
「洗脳も何も、むしろお前らが強制労働させてた側だろうに」
 鼻で笑う穹の前で消し炭になったオブリビオンだが、新手の鉄パイプからプーン☆
「くっ、こんな戦場にいられるか!俺は撤退させてもらう!!」
 などと、リポップと同時に脱走を図るのだが、その目の前に白い機体が滑り込む。
「お前……自分だけ逃げるとかふざけた真似はさせねー!」
「あだだだだだ!?」
 至近距離で念動弾を連打ァ!!撃つっていうか打つって方が正確な連続攻撃から大鎌をぶん回し。
「お前ふざけんなよ!お前がこんなたくらみしなければ此処まで酷い地獄は発生しなかったんだ!責任取って金目の物全て寄越せ!」
「不味いよー……!!」
 メルシーが涙声になりながら回転させた大鎌を左右に交差させて十字の残痕を刻みつけると胸部を蹴り飛ばし、サートゥルヌスの方へ吹き飛ばせば、時を司る機神はしっかりキャッチ。
「悲しい戦いが続くのは皆……パワーが足りないからだ!ケルベロスの世界でもグラビティ・チェインの代わりに我がチョコの圧倒的なパワーがあれば彼らも争いをやめるに違いない!」
「え、ちょ、この人何言ってるの……?」
「という訳で今日の私はヒーラーチョコパティシエ!我がチョコドリンクで皆圧倒的なパワーを宿し抗うがいい!」
「なんか凄まじい瘴気を放つ液体持ってるー!?」
「主様やめてぇ!それを取り扱うと実際に持ってる俺も至近距離で匂いにヤられるのぉおお!!」
 やべぇな、オブリビオンと神機シリーズ最古にして最強の一角がトンチキチョコで人間一人に恐怖するとは……。
「そしてデスブリザードだったな!死を振りまくお前には命に溢れた我がチョコは恐ろしいだろう!?」
「トリュフッ!?」
 ここで唐突に敵機を地面に向かってそぉい!叩きつけたサートゥルヌスはそのまま降下して馬乗りになるとマシンヘッドを掴んで上を向かせて。
「だが安心しろ……お前にも圧倒的なパワーを授けよう!さぁ!我が真のチョコを食し!体から溢れる圧倒的なパワーに歓喜の叫びをあげるがいい!大丈夫だ!ビルシャナ達は皆涙を流し信者達に至っては失禁しながら喜んでいたのだからな!」
 たらーり……ゆっくりと滴る流動体が、オブリビオンの顔に触れて……。





「悲しい事件でしたねぇ……」
 チョコの発狂効果を無効化して現場を見ていたるこるは、カップを傾ける。
 ここは、ラウンズ郊外にある小さな喫茶店。今日は子ども達がはしゃぎながら駆けていく姿を目で追いながら、摩那は辛味のあまりグツグツと煮えたぎる紅茶を口に運び。
「全滅ではなかったのですから、良しとしましょう……キャバリア乗りだけで倒れた皆さんを運ぶのには骨が折れましたが」
「あの、それ大丈夫なんですかぁ?」
 溶岩でも飲んでるのかな?って顔するるこるに、摩那は苦笑して。
「あぁ、見た目はあれですが、ちゃんと飲み頃の温度ですよ」
「そうですかぁ……」
 例のチョコほどではないが、こいつも深入りしてはいけない部類だ。そう判断したるこるは会話を切り。
「そういえば、穹さんがいませんねぇ?」
「餅が俺を呼んでいる!とか言ってましたから……何か予知して先に帰ったのかもしれませんね」
 ふと、その話題で思い出したように、二人は見つめ合い。
「「あけましておめでとうございます」」
 そんな二人を、禁忌の地で輝く、チョコを被った太陽が照らしていた……。
「って、アレ大丈夫なんですよね!?」
「しれっと失敗扱いになってませんかぁ!?」
 ヘーキヘーキ、初日の出ネタにしようと思ったら盛大に滑っただけだから。かくして巨神事件は幕を降ろしたのであった!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年01月01日


挿絵イラスト