銀龍家のクリスマス準備
銀龍家・朝露
温風の出る機械に当たってると、焦げた匂いがする朝露ですわ!
ご主人たちと、クリスマスの飾り付けですわ。
ツリーのてっぺんのきらきらスターを付けるのは、朝露ですわ!
スターを咥えて、動き回ってるうちに、ツリー飾りが朝露の長毛に絡まってついてくるのですわ!
ご主人、飾り付け完了じゃないのですわ!朝露はツリーじゃないのですわー!
猫はコタツで丸くなる。などと、誰が言い出したのだろう。
そんなのは普通の猫の話。高貴なるペルシャ猫のモノノケ、銀龍家・朝露(ペルシャ猫のモノノケ・f40765)を一緒にしてもらっては困る。
だって躾の厳しいはずの銀龍家はなぜかコタツに関してゆるゆるで、中で丸くなっていると突然突っ込まれた足に蹴られそうになったり、コタツの温度が頻繁に変わったりして、安心してぬくぬくできないのだ。
人の言葉を理解できても堂々と伝えられないのがモノノケの悲しさ。
だから今のお気に入りは「ぶおおおおお」と音を立てる温風ヒーターの前。
この位置は、たとえ大好きなご主人さまにも譲らない。ちょっと高貴な毛並みが焦げたような匂いがしてもだ。
そんなこんなでクリスマスがやってくる。
今日もお気に入りの場所でぬくぬくしていると、ご主人さまや家族たちが思い思いに広い家を飾り立てていく。
こんな時に手伝ってあげられないのもモノノケの悲しさ……と毛づくろいしながら眺めていると、ご主人さまが大きなツリーを抱えて居間に入ってきた。目立つ位置に設置して、金色や白のもこもこを四苦八苦しながら、でも楽しそうに飾り付けていく。
そして最後に取り出した金色の星。確かあれはツリーのてっぺんに付けるものだ。
きらきらとてっぺんという特別感に朝露の本能が刺激され、テンションが一気に上がる。
そのきらきらスターをを付けるのは、この朝露がふさわしいですわ!
んーんーと背伸びをして高いツリーに星を取り付けようとしているご主人さまの背中を駆け上り、飾りを強奪して咥え、ツリーの頂上に……飾りつけようとして足を滑らせた。
ツリーを滑り落ちる間に、ご主人さまが飾り付けていた白や金色のもこもこが体にまとわりつく。
ちょ、ちょっとこれ、自慢の毛に絡みついて取れないですわ!?
あたふたしている姿をスマホで撮影してSNSに投稿するのはやめるのですわ!?
「よし、クリスマスの飾り付け完了」じゃないのですわ! 朝露はツリーじゃないのですわー!
と声を上げるわけにはいかないのもモノノケの悲しさ。1分で1万いいねついてバズったの喜ぶ前に、朝露を助けてほしいのですわ!
騒ぎを聞きつけてご主人さまの兄弟たちが様子を見に来ても、みんなスマホを構えるだけで助けてくれない……
よし、今夜のディナーは無事に済むと思わないことですわ!
成功
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