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廃ホテル悪魔召喚殺人事件

#UDCアース #警察の協力者 #大変長らくお待たせして申し訳ございませんでした #第三章プレイング受付中です!!

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●郊外の廃ホテルにて事件発生
 郊外に不気味に佇む廃ホテル。地元では有名な心霊スポットとなり、肝試しに訪れる者や、動画配信で訪れる者が後を絶たない。だが、それは夜の話。
 薄曇りの弱々しい日差しのもと、不吉な気配を漂わせる廃ホテルは大勢の人々に囲まれ物々しい雰囲気に包まれていた。見れば周囲を「立入禁止 keep out」と記された黄色いテープで囲われ内部への立ち入りが制限されている。
 制服を着た警官が、少し離れた場所でくたびれた背広を羽織り煙草を咥えかけた男に話しかけた。
「巡査長、鑑識が中に入れてくれと言っていますが……」
「もう来ちまったのか。もう少し待つように伝えろ」
 巡査長と呼ばれた男は咥えかけた煙草を箱に戻すと、頷いて立ち去りかけた警官を呼び止めた。
「それと、部外者は絶対通すな。中から出ようとするヤツもな」
「……あれだけ凄惨な現場なのに外へ出た靴跡や痕跡がないですからね」
「そうだ。ホシはまだホテル内に潜伏していると見るべきだ」
「なるほど、ホシがまだ内部に潜伏しているなら、状況によっては破れかぶれで鑑識や警官を襲いかねないですね。……了解しました! 警戒の強化と鑑識にもう少し待機するように伝えます!」
 警官は巡査長に敬礼すると駆け足でその場を離れた。
「……それもあるが、助っ人がまだ到着してないからな……」
 警官が遠ざかってからポツリとつぶやくき、内ポケットから煙草の箱を取り出し一本咥える。そしてライターを求め、さらにポケットをまさぐるが……。
「禁煙中だった」
 ポリポリと頭を掻くと、仕方なく火の付いていない煙草を咥えたまま近くのパトカーに寄り掛かった。

●グリモアベースにて
「UDCアースのUDC職員を通じて、同心……じゃなくて警察官からUDC絡みと思われる事件の報告が入ったのじゃ!」
 そう大声で言いながら、グリモア猟兵・稲宮桐葉(戦狐巫女・f02156)がビシッと扇を振りかざした。
 「警察官から……?」と集った猟兵の何人かが首をかしげる。UDC組織の隠蔽工作によって、一般人には秘密が隠されていたはずだが……。
「秘密はそう何時までも隠し通せるものではないと言うことじゃな! UDCによる事件が多発していることも要因じゃろうがの」
 桐葉は閉じられた扇をぴこぴこ振りながら言葉を続ける。
「まぁ、それはさておき。結果として、時にUDC組織よりも早く現場に駆けつけることも多々あったであろう警察官たちの一部は、猟兵に覚醒したわけではないが、ベテランの経験と感とでも言うべきか、UDC組織よりも、グリモアよりも素早く、UDC絡みの怪異の兆候を、見つけることができるようになったようなのじゃ」
 途中から扇を開閉しながら話をしていた桐葉はパチンと扇を閉じた。
「ここまでの話で、おおかたの者が察しているじゃろうが、今回の依頼は、われら猟兵の協力者となった警察官に助太刀し事件を解決することじゃ!」
 桐葉はバッと扇を開くと、猟兵たちの見守る中、粛々と神楽を舞い始めた。神楽が進むにつれ、神々しく輝く鳥居が徐々に顕現する。
「道は開かれたのじゃ! 皆、どうかよろしくお願いするのじゃ!」
 桐葉は深々と頭を下げ、猟兵たちの背を見送った。


たまゆら
 お久しぶりになります。たまゆらです。
 今回は、一般人でありながら、UDCの怪物の兆候に気付けるようになり、協力者となった警察官の要請に応えていただきます。そして、UDCの怪物の暗躍を阻止し、事件を解決していただくことになります。

●第一章
 現地に到着し、協力者の警察官から状況説明を受けた後、現場に踏み込むことになります。
 現場には惨たらしい何らかの儀式が行われようとしている形跡があります。
 警察官によって、儀式に携わっていると思われる人物が、ホテル内から外へ出た形跡が無いことが確認されています。

●第二章
 前章にて儀式に携わった人物を唆した、全ての元凶であるUDCの怪物と対決することになります。
 なお、儀式に携わっている人物を確保した場合は、法で裁くため、出来る限りその身柄を保護するように警察官から要請されます。

●第三章
 元凶を倒したことにより、制御されていた怪奇現象が暴発してしまいます。
 暴発は骸の海じみた異空間を開いてしまい、そこから大量のUDCの怪物が溢れ出してきます。
 現場には、犯人や巡査長、現場検証に入った警察官たちが大勢います。
 溢れ出したUDCの怪物は、UDCアースの平穏のため、一匹も逃してはなりません。
 またその場に居合わせた一般人たちに犠牲を出すことも避けたいところです。

●プレイングの受付について
 断章執筆後からプレイングの受付を開始します。

 プレイングをいただいたタイミングや、たまゆらの都合で、お送りいただいたプレイングが失効してしまうことがあるかもしれません。その折は、お気持ちにお変わりがありませんでしたら、再度プレイングをお送りください。

 それではよろしくお願いいたします。
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第1章 冒険 『この恨み、晴らさでおくべきか』

POW   :    当事者を見付け次第、力尽くで食い止める

SPD   :    呪具を盗んだり魔法陣を破壊するなど、邪神復活の妨害工作を行う

WIZ   :    当事者を説得することで、邪神復活の儀式を中止させる

👑7
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●小鳥遊巡査長
 猟兵たちが事件現場付近に到着すると、その姿に気付いた巡査長が軽く片手をあげ会釈しながら近づいてくる。
「君たちが件の猟兵だね。私はこの現場の指揮を執っている、小鳥遊正志郎(たかなしせいしろう)だ。よろしく頼む」
 猟兵たちの自己紹介が終わるのを見計らって、小鳥遊が状況の詳細を語り始めた。
「現場は酷い状況でな。部屋中血塗れ、意味不明な模様が描かれ、複数の遺体の頭部が、いわゆる……召喚陣とでも言うのか、そこに意味ありげに並べられているような状態だ。以前の私なら常識的に判断して、狂気じみた悪趣味な凶悪犯の仕業と見ただろうが、UDCと言う存在を知ってしまった以上……な」
 小鳥遊は言葉を切ると、首を小さく左右に振る。
「ま、そういうわけで、何らかの意図があるものと判断して、素人が迂闊に触れ状況が悪化してはいけないと考え、君たち専門家にコンタクトを取ったんだ」
 小鳥遊は、廃ホテルに向き直りながら話を続ける。
「数名の警官と現場の確認に入った以降、鑑識も入っていない。バケモノでも出たら遺体が増えるだけだからな。それとだ。まだ、犯行を行った者は確保できていない。現場の足跡は一人分しかないから単独犯だろう。そして外へ出た痕跡が見当たらない。恐らくまだホテル内に潜伏していると見ている」
 小鳥遊は咥えていた煙草を仕舞いながら猟兵たちに向き直った。
「相手は大量殺人犯だ。だが、この国は法治国家だ。法で裁かなければいけない。色々思うところもあるだろうが、犯人を見つけたなら、出来得る限り生かしたまま確保してほしい」
 小鳥遊は猟兵たちの反応を見届けることなく、廃ホテルを見上げると歩き始めた。ホテルの玄関付近を警戒していた警察官が、小鳥遊に敬礼するが、その後に続く猟兵たちの姿に不審げな表情を浮かべた。
「巡査長、彼らは……? 部外者の立ち入りは……」
「ああ、いいんだ。彼らは私が呼んだんだ。だから大丈夫だ。何かあれば、全ての責任は私が取る」
 そう言って小鳥遊は、警察官の肩を叩いた。
「……了解しました。……こちらへ」
 警察官は小鳥遊に敬礼すると、立ち入り禁止のテープを猟兵たちが通りやすいように持ち上げた。

●犯行現場にて
 あともう少しだ……あともう少しで完成だ……!
 オレをバカにしてきたヤツラ……オレの助けを求める声を聞かないヤツラ……オレを必要としない世の中……!
 みんな、みんな、ミンナ……コロシテヤル……ブチコワシテヤル……!
 あぁ……悪魔よ! オレの救いの神! これは聖なる復讐だ!

 目を血走らせた、青白い不健康な肌色の男が、ぼさぼさの髪を振り乱し一心不乱に床に複雑な文字や記号、図形を描いている。時々、赤黒いドロリとした液体の入ったバケツに手を突っ込んでは、それを絵具代わりに、手指を筆代わりにして、床や壁一面に書き上げてゆく。
「はぁ……はぁ……。ヤツラが来る前に! 急げ急げ急げイソゲ……!」
天羽々斬・布都乃
「なるほど、怪異絡みの事件ですか。
それで陰陽師である私にも声がかかったのですね」
『気をつけるのじゃ、布都乃。
この気配……大物やもしれぬぞ』
「――わかっています」

式神のいなりの言葉に頷き、廃ホテルの調査を開始しましょう。
私の専門は呪術。
犯人は他の猟兵たちに任せ、私は未来視の瞳を発動しながら、現場の召喚陣のようなものを調べましょう。
もしかしたら、犯人がどんな怪異を召喚しようとしているのか、わかるかもしれません。

「もし召喚陣から情報が得られなくても、怪異が完全な形で復活してしまわないように、召喚陣は浄化しておく必要があるかもしれませんね」

部屋に霊符を貼って簡易結界を形成。
召喚陣の浄化を試みます。


神代・凶津
あんたがこの事件の担当か。よろしく頼むぜ、小鳥遊の旦那。
仮面が喋るのが珍しいかい?
なあに、俺達はこの手の事件の専門家だ。大船に乗った気でいなッ!なあ相棒ッ!
「…よろしくお願いします、小鳥遊さん。」

おーおー、絵に描いたような猟奇殺人の現場って感じだな。
さっそく頼むぜ相棒。
「…式、召喚【捜し鼠】。」
鼠の式神を放ってホテル中を家捜しよ。怪しい証拠や痕跡を捜しまわれ捜し鼠ッ!
殺人犯本人が見付かればなお良しッ!

捜し鼠が駆け巡ってる間に俺達も動くか。明らかに意味ありげな魔法陣に『霊鋼の薙刀』を突き立てて破魔の霊力を流し込むぜ。
流石に儀式の完全破壊は無理だろうが時間稼ぎくらいはできんだろ。


【アドリブ歓迎】


緋薙・冬香
あれね?
異常が集まりすぎて異常がゲシュタルト崩壊するんじゃないかしら?UDCアース
ともあれ
たとえ刑事のカンであったとしても
この事件がこの状況で留まれたのは僥倖だし
頑張って解決に至りましょうか

血塗れに遺体に召喚陣
邪神召喚の生贄儀式ということはわかるんだけれども
警察の踏み込みで中断した形跡はなさそうね?
となれば、別の場所でも陣を張って
複数の召喚陣でひとつの儀式を構築する流れ、かしら?
となるとホテルの部屋の位置関係を確認ね
東西南北なのか円周上なのかあるいは直線で結ぶのかはわからないけど
そういう視点で犯人の所在を割り出しましょう
見つけたら問答無用に【咎力封じ】
身動き取れないように気絶させておきましょう


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

小鳥遊さん、だったか。
厄介な事件も多いもんだねぇ、同じ日本人として頭が下がるよ。
まぁ他の連中と比べりゃ普通の見た目かもだけど、アタシも猟兵の端くれでね。
キッチリ犯人逮捕に協力しようじゃないのさ。

……現場が封鎖されてからどれくらいの時間が経ってるか分からないけれども、その間に中じゃ儀式の準備が進んでいると見た方がいいだろうね。
入り口で廃ホテルの中へ精神探査のテレパスを飛ばし、犯人の思念の場所を『情報収集』するよ。
大まかな場所が分かったらすぐ『ダッシュ』、現場を抑えるまでは思念波による『コミュ力』で犯人の集中を乱す。
アタシらが着く前に儀式を完成させてなるもんかよ!


箒星・仄々
命を奪った罪は重いです
けれど犯人さんも犠牲者のお一人です

UDCさんに
心の闇を増幅させられたのでしょう
お可哀想に

確保してUDCさんから引き離しましょう

小鳥遊さんと仰るのですね
よろしくです
猫の手をお貸ししますね
警察の方にご協力いただけて心強い限りです

闇を見通す猫目をくるくる
微かな音も聞き逃さない猫耳をぴくぴく
させながら探索します

竪琴をぽろんとして
風の魔力を操り
音の伝搬を操作すれば
遠くの音も感知出来ます

犯人さんの息遣いや声、物音を探ります

見つけましたら
やはり風の魔力で
私たちのたてる物音が伝わらないようにして近づき
立体映像で周囲を囲んで撹乱したり
文字通りネズミ花火程度の爆発を起こして混乱させて
その機に
小鳥遊さんに確保していただきます

さあ罪を償いましょう
まだやり直せますよ、きっと



●協力者との邂逅
 猟兵たちがグリモア猟兵によって転移された場所は、廃ホテルから程近い雑木林だった。
 警戒区域からは外れているようで、近くに警察官の姿は無い。樹々の隙間から様子を窺うと、廃ホテルと雑木林の中間あたりに数台止められたパトカーの一台に体を預け、周囲に視線を走らせる私服警官の姿があった。
 グリモアベースから出発の際、グリモア猟兵から知らされた人物像に一致する。彼が警察官の協力者らしい。
 猟兵たちが雑木林を出て歩き出すと、その姿を認識した警察官も軽く手を上げ会釈すると、彼らの元へ歩き出した。

「君たちが件の猟兵だね。私はこの現場の指揮を執っている、小鳥遊 正志郎(たかなし せいしろう)だ。よろしく頼む」
 小鳥遊は猟兵たちをざっと見渡すと、困惑した表情でポリポリと頭を掻いた。
 鬼の面を胸の前に持ち佇む巫女装束の少女。少女の静かさに対して、鬼の面からは妙な圧を感じる。
 もう一人巫女風の少女が居るが、彼女は袴が短くコスプレ感が否めない。足元の小狐はペットだろうか。
 その小狐の隣には、猫が居た。ただし、後ろ足で立ち、洋服を着た猫で、童話の”長靴をはいた猫”の主人公が現実に飛び出してきたようだ。
 残り二名は馴染みのある衣装で、小鳥遊はホッと胸を撫で下ろした。
 一方の女性は、眼鏡が知性を感じさせる、やり手のオフィスレディといった雰囲気で、艶やかな長い黒髪が印象的だ。
 もう一方の女性は、ライダースーツを着た女性。休日にバイクツーリングを楽しむ姿を見かけそうな、何処にでも居そうな快活な雰囲気の女性だ。
「なるほど、あんたがこの事件の担当か。俺は、神代 凶津(かみしろ まがつ)(謎の仮面と旅する巫女・f11808)、こいつは、神代 桜(かみしろ さくら)だ。よろしく頼むぜ、小鳥遊の旦那」
 小鳥遊が次の言葉を発するより先に、景気のよい男性の声がして、小鳥遊はぎょっとした。声は巫女装束の少女の方から聞こえたようだが……。戸惑う小鳥遊に凶津は笑いながら続ける。
「仮面が喋るのが珍しいかい?」
 言われて鬼の面に視線を向ければ、確かに声はその仮面から聞こえてくる。
「仮面がお話しすることに比べたら、猫が喋るなんて普通ですよね。私は箒星 仄々(ほうきぼし ほのぼの)(ケットシーのシンフォニア・f07689)。小鳥遊さん、よろしくです。猫の手をお貸ししますね」
 喋る仮面と猫に、しばらく唖然としていた小鳥遊だったが、吹っ切れたように笑みを浮かべた。眉間の皺も少し和らいだようだ。
「いいぜ、その顔だ! なあに、俺たちはこの手の事件の専門家だ。大船に乗った気でいなッ! なあ相棒!」
 こくりと頷いた桜がぺこりとお辞儀をした。
「……よろしくお願いします、小鳥遊さん」
「はははっ、連絡は受けていたが……なかなか個性的な面子だな。いや、気に障ったら許してくれ」
 そんな小鳥遊の言葉を快活な雰囲気の女性が明るく笑い飛ばす。
「小鳥遊さん、だったか。あたしは数宮 多喜(かずみや たき)(撃走サイキックライダー・f03004)だ。まぁ他の連中と比べりゃ普通の見た目かもだけど、アタシも猟兵の端くれでね」
「ちょっと、あなたが普通なら私なんてどうなるのよ? 仕事中にサボって抜け出してきた会社員みたいじゃないのよ。あ、私は緋薙 冬香(ひなぎ とうか)(針入り水晶・f05538)よ。よろしくお願いしますね」
 多喜に、おどけながら絡みつつ冬香が小鳥遊に優雅にお辞儀をする。
『布都乃、ほれ、お主も』
「あっ! えっと、私は天羽々斬 布都乃(あめのはばきり ふつの)(未来視の力を持つ陰陽師・f40613)です。よろしくお願いします!」
 足元に控える小狐のいなりに尻尾で足をはたかれて、我に返った布都乃も冬香に続いてペコペコとお辞儀した。

「それでだ、今回猟兵に接触するに至った件だが……」
 小鳥遊は表情を引き締めると、事件の概要と依頼の内容を改めて猟兵たちに伝えた。
「なるほど、怪異絡みの事件ですか。それで陰陽師である私にも声が掛かったのですね」
 神妙な面持ちで布都乃が頷いた。
「ああ、UDC怪物という存在の対処に長けた人材を要求したんだ」
 しかし、自分の子供くらいの年頃の少女を危険な場所に送り込むことに小鳥遊の表情が曇る。その様子に気付いた布都乃は不安を取り除こうと、にっこりと笑顔を浮かべた。
「大丈夫です、陰陽師ですから!」
『そこは「猟兵ですから」って言うべきじゃろう……』
 いなりが両前足で頭を抱えて地面に突っ伏した。
「でも、警察の方にご協力いただけることは心強い限りです。時にグリモア猟兵よりも早く異変を見つけていただけるのですから」
 仄々が小鳥遊を見上げ、両拳をグッと力強く握りしめてみせる。
「それにしても厄介な事件も多いもんだねぇ、同じ日本人として頭が下がるよ」
「あれね? 異常が集まりすぎて、異常がゲシュタルト崩壊するんじゃないかしら? UDCアース」
 多喜と冬香が肩をすくめる。
「ともあれ、刑事さんのカンでこの事件がこの状況で留まれたのは僥倖だし、頑張って解決に至りましょうか」
「ああ、キッチリ犯人逮捕に協力しようじゃないのさ」
 拳を突き合わせ、冬香と多喜の二人が不敵な笑みを浮かべる。
「うぉぉぉぉッ! 相棒ッ! 俺たちも負けていられないぜ!」
「……うるさい」
 二人に触発され雄叫びを上げた凶津を桜がたしなめる。
 猟兵たちを頼もし気に見渡した小鳥遊は、彼らをいざない廃ホテルへ向かって歩き出した。入口を警固する警察官が猟兵たちを不審者を見る目で見ていたが、小鳥遊と一言二言、言葉を交わすと敬礼して猟兵たちを通してくれた。
「よろしく頼む。犯人を確保したらこの無線で連絡をくれ。すぐに警官が応援に向かう」
 小鳥遊は猟兵たちに無線機を手渡すと敬礼をした。猟兵たちは小鳥遊に見送られ、不穏な空気の満ちる廃ホテル内に踏み込んだ。
『気をつけるのじゃ、布都乃。この気配……大物かもしれぬぞ』
「――わかっています」
 いなりの言葉に布都乃は真剣な表情で頷いた。

●召喚陣を封じ、犯人を捜せ
 廃ホテルのフロントに踏み入った猟兵たちは周囲をぐるりと見渡した。
 入口の割られたガラス扉から予測はできていたが、内部の荒れ様も酷いもので、営業当時を偲ばせる物を見つけるのも困難なありさまだった。
「……現場が封鎖されてから、どれくらいの時間が経ってるか分からないけれども、その間に中じゃ儀式の準備が進んでいると見た方がいいだろうね」
 多喜が辛うじて残っていた、壁に掛けられた案内板の地図を見ながら言う。
「ちっ! 犯人の思念を追おうとしたが、いろんな念が渦巻いてうまく追えねぇな」
「まずは小鳥遊さんに教えていただいた現場に向かいませんか」
 仄々の提案に、猟兵たちは頷き歩き出した。

「おーおー、絵に描いたような猟奇殺人の現場って感じだな」
 現場に踏む込むなり凶津が声を上げた。小鳥遊から聞いた現場は話の通りの酷い状況だ。 
「血塗れに遺体に召喚陣、邪神召喚の生贄儀式ということはわかるんだけれども、警察の踏み込みで中断した形跡はなさそうね?」
「あたしの見立てが当たっちまったか」
 床に散乱したものを踏まないように移動しながら、じっくりと現場を観察していた冬香の言葉に、多喜が苦々しい表情を浮かべた。
「となれば、別の場所でも陣を張って、複数の召喚陣でひとつの儀式を構築する流れ、かしら? となるとホテルの部屋の位置関係を確認ね。東西南北なのか円周上なのかあるいは直線で結ぶのかはわからないけど、そういう視点で犯人の所在を割り出しましょう」
「そう言うことならアイツの出番だな。さっそく頼むぜ相棒」
 頷いた桜は、凶津を顔に装着すると袖から式符を取り出した。
「……式、召喚【捜し鼠】」
 念じて式符を放つと、式符は宙で無数の鼠の姿となり、ちょこんと床に着地した。
「ホテル中を家捜しよ。怪しい証拠や痕跡を捜しまわれ捜し鼠ッ! 殺人犯本人が見付かればなお良しッ!」
 捜し鼠たちは凶津の指令に「ちゅう!」と答えると四方八方に走り出した。
「ここは犯人の思念が一際濃いようだね。ここからなら追えそうだ!」
 多喜は再度、精神探査テレパスによる情報収集で犯人の探索を試みる。
「いなり、私たちは召喚陣を更に詳しく調べてみましょう」
 布都乃は他の猟兵たちに犯人追跡を任せることにして、【未来視の瞳】による召喚陣の解析に取り掛かった。
『召喚されようとしている怪異が特定できれば対処しやすくなるのじゃ』
「はい。もし召喚陣から情報が得られなくても、怪異が完全な形で復活してしまわないように、召喚陣は浄化しておく必要があるかもしれませんね」
 布都乃は並行して室内のあちこちに霊符を貼り、簡易結界を形成していく。
「それじゃ私は、目星をつけて足で探しましょうか」
 カツンとヒールを鳴らして歩き出す冬香。
「でしたら私はこちらを探索しますね」
 仄々は冬香が向かった方向の逆へ向かい静かに歩き始めた。
「闇を見通す猫の目と、微かな音も聞き逃さない猫の耳で犯人の所在を探りましょう」
(犯人さんもUDCさんの犠牲者です。心の闇を増幅されたのでしょう……お可哀そうに)
 仄々は犯人の救済を想い、聴覚を研ぎ澄ます。さらに遠くまで詳細に……。
 ぽろん……。
 竪琴の音色で風の魔力を操り、仄々の猫耳は廃ホテル内の様々な音を拾い集める。その中から犯人のものと思われる音を追ってゆく。

 その頃、召喚陣の敷かれた部屋では、捜し鼠たちからバケツリレー方式で情報を得た凶津が歓声を上げていた。
「おッ、召喚陣を見つけたかッ! でかしたぞ捜し鼠ッ!」
「……もう少し静かに」
「よし桜ッ! ここの召喚陣は布都乃お嬢と、いなりに任せて、俺たちは向こうの召喚陣を破壊しにいくぞッ!」
「……聞いてないし」
 ぽつりと呟いて、桜は捜し鼠たちの行列をたどって廃墟内を駆ける。辿り着いた部屋にも、最初の部屋同様に部屋一面に複雑な紋様が血で描かれていた。
「……これは少し違う。召喚陣を補完する魔法陣?」
「細かいことは気にするな、意味ありげなら壊すんだッ! 召喚の儀式全体の完全破壊は無理だろうが、時間稼ぎくらいはできんだろ」
「……わかったわ」
 捲し立てる凶津に小さく溜息をつきながら桜は『霊鋼の薙刀』を振りかぶると、勢いよく魔法陣の中心となる場所に突き立てる。そして破魔の霊力を流し込んだ。
「桜、また魔法陣があったぞッ! 片っ端から潰してこうぜッ!」
 こくりと頷いた桜は、力を失った魔法陣から薙刀を引き抜くと凶津と共に廃墟内を駆け巡る。

●悪あがきの果てに
「クソッ! 間に合わない! 警察如きがオレの召喚陣を! なぜだ! ナゼダ!」
 廃ホテルの最上階、召喚陣の真上に位置する部屋に魔法陣を描き終えた犯人の男は血走った目をカッと見開き、頭を掻きむしった。高まりつつあった廃墟内の妖気が急速に薄まっていくのが感じられる。
『いけませんねぇ。いやはや、この状況はいささか想定外ですねぇ』
 犯人の脳内におどけた口調の声が響く。
「アァ! オレの救いの神! オレはどうすればイイ?! 道を……導きを!」
『そうですねぇ、それじゃぁ……』
 正気な者が耳にしたら全身に鳥肌が立ちそうな、ねちっこい声で神と崇められる存在は犯人の男に耳打ちした。

 廃墟内の探索を続ける仄々の猫耳がピクリと動いた。猫の目が細められ、耳が捉えた微かな異音の出所に当たりをつける。
「見つけましたよ、犯人さん」

 同時刻、多喜のテレパスも犯人の気配を捉えていた。
「全く手間をかけさせやがって。待ってな、今すぐそっ首捕まえてやるからよ!」
「あら多喜さん、もしかして?」
「うわぁ!?」
 拳を鳴らし気合を入れていた多喜は、不意に声をかけられて飛びあがった。
「驚かせちゃった? ごめんなさい」
 そう言って廊下の角からひょっこり顔を出したのは冬香だった。
「犯人の居場所、突き止められたみたいね」
「ああ。また姿を眩まされる前に捕まえるよ!」
 冬香に頷くと、多喜は全速力で駆け出した。冬香も慌ててその後を追う。
 そしてその勢いのまま最上階への階段に足を掛けかけた二人を、一足早く到着していた仄々が制止した。
「お二人ともお待ちください。追い詰められた犯人は何をするかわからないと言います。ここは慎重に行きましょう」
「そうだねぇ」
「そうね、仄々さんの意見に同意するわ」
 仄々は頷くと、竪琴を静かに爪弾き、風の魔力を操り周囲の音を遮断した。
「静かに近づいて、一気に取り押さえましょう」
 三人は目的の部屋の扉の前に立つと、中の物音に聞き耳を立てた。中からは、犯人のものらしい荒い呼吸の音と、呼吸の合間にブツブツと何かを呟く声が聞こえる。
「いいかい?」
 多喜が二人に目配せする。こくんと頷くのを確認すると、多喜が扉を蹴破り室内へ躍り込んだ。しかし、部屋に描かれた陣の中心で一心不乱に祈りを捧げていた男は、動じることなく祈り続ける。
 続いて滑り込んだ仄々が、竪琴を掻き鳴らして無数のからくり鼠を召喚すると、室内を走り回らせ、時に小さな爆発を起こし撹乱する。だが男は気にする風もなく、恍惚の表情で天を仰ぎ怨念の籠った祈りを捧げ続けている。
「ちっ!」
 多喜は嫌な気配に舌打ちすると、|過去にあらがう腕《カウンターパスト》で思念波を放った。
「卑怯とは言うまいね。アンタの過去、|浚《さら》わせてもらうよ!」
「アァアアア……ッ! アガッ! 神よカミヨ……カミヨカミカミ……」
 男はぶるぶると体を|戦慄《わなな》かせる。思念波を通して、男の過去や想いが多喜に伝わってくる。例えば、同じ言葉でも、受け取り方は人それぞれ。ある人には些細な事でも、ある人には耐え難い苦痛をもたらすかもしれない。この男は、それらが積もりに積もって溢れ出してしまったのだろう。多喜は、やり場のない鬱屈した感情を持て余してしまう。
「――っ! あんたが辛いのは分かる、分かるが、それでも人として超えてはならない一線ってのがあるんだよ……!」
「この犯人、すっかり闇落ちしてるわね。荒療治だけど許してね。――枷よ!」
 膠着しつつある状況に冬香が咎力封じで男の拘束を試みる。抵抗のそぶりもなく、男は手枷、猿轡、拘束ロープにあっけなく絡み取られて床に転がった。
「犯人さん、確保ですね。小鳥遊さんに無線で報告します」
 仄々は連絡用に預かっていた無線で、小鳥遊に犯人を捕らえたことを伝えた。
「ザザッ――了解した。召喚陣の部屋の上、最上階の部屋だな。すぐにそちらに向かう――ザザッ」
「おっと、出遅れちまった。そいつが殺人犯か。後は小鳥遊の旦那に引き渡せば任務達成だな」
「……そうだと良いんだけど」
 凶津を外しながら桜が室内を見渡す。この部屋も他の部屋同様、魔法陣が描かれている。
「……この人ひとりで、あんなに沢山描いたのね」
 男の恨みの深さの成せる業なのだろうか。
「皆さんのこと、やっと見つけました」
 布都乃が、いなりと共に部屋を覗き込んで、安堵の表情を浮かべた。
「召喚陣を詳しく調べながら簡易的に結界を形成して浄化してたのですが」
「何か分かりましたか?」
 男の容体を見ていた仄々が振り返り布都乃を見る。他の猟兵たちの視線も布都乃に集まった。
「召喚されるであろう怪異の正体までは特定できませんでしたが、かなり大規模なゲートが開かれる召喚陣ですね」
「……補完する魔法陣も多かったから」
 桜が補足する。
「それじゃ念のため警戒を怠らずに、小鳥遊さんを待ちましょう」
 ずれかけた眼鏡を指先で直しながら、冬香が仲間たちを見渡した。

 この時、猟兵たちはまだ気づいていなかった。すぐ近くに邪悪が巧妙に身を潜めていることに……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『奇術師』ミスター・アンノウン』

POW   :    三十六計逃げるに如かず! さらばだ猟兵諸君!
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
SPD   :    種も仕掛けもございません!
合計でレベル㎥までの、実物を模した偽物を作る。造りは荒いが【逃走用および"劇場"用の奇術道具】を作った場合のみ極めて精巧になる。
WIZ   :    怖い顔で睨まないでくれたまえ!
【トランプと誰かの位置を入れ替える事】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【盾にする等の自らの手を汚さない手段】で攻撃する。

イラスト:らいらい

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は桑崎・恭介です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 小鳥遊が数名の警察官と鑑識を引き連れ、猟兵たちが待機する部屋にやってきた。室内を見た小鳥遊は険しい表情を浮かべる。
「これは……我々が踏み込んだ時より召喚陣が増えているのか。……で、そいつがホシだな。確保感謝する」
 猟兵たちに敬礼した小鳥遊は部下に殺人犯を連行するように指示を下した。
「ところで、あちこちに描かれているこの魔法陣は特に害がないと考えて……」
『いやはや困りますねぇ、あと一歩のところでしたのにねぇ』
 小鳥遊が猟兵たちに話しかける声を遮り、この場の誰のものでもない声が響き渡った。
 同時に、犯人を連れ部屋を出ようとしていた警察官の前で扉が勢いよく音を立て閉じてしまった。
「な、なんだ!? 何が起きているんだ!」
 警察官たちは非現実的な状況に狼狽えながらも、咄嗟に隣室へのドアに取り付いて退路を確保しようとするが、押しても引いてもびくともしない。
 ある警察官は窓ガラスに警棒を叩きつけるが、見えない何かに阻まれて割ることができない。
「落ち着け!」
 小鳥遊の一喝に警察官たちは冷静さを取り戻し、周囲を警戒する。
「何者だ! 姿を見せろ! この建物の周囲は警官隊が包囲している、逃げ場はないぞ!」
『はっはっはっ! いいですねぇ! 貴方のように威勢の良い人に出会うのは何時ぶりでしょうか。敬意を表し、お望み通り姿をお見せしましょう!』
 パチンと、指を鳴らす音が響き渡ったかと思うと、中空から何枚ものトランプが降りそそぎ始める。その場に居合わせた者すべてが呆気にとられる中、部屋の中央につむじ風が起こり、それはトランプを巻き上げながら次第に勢いを増してゆく。
 誰もが腕や手で目を庇い遂には目を開けていることすら難しくなった時、唐突に風は静まった。
『やぁ皆々様方ごきげんよう! 私はミスター・アンノウン! 『奇術師』なんて呼ばれることもありますねぇ。どうぞお見知りおきを』
 その声に皆が目を開くと、部屋の中ほどに奇抜な服装にシルクハットを手にした男がたっており、集まる視線に対し右手を腹部に添え紳士的な仕草でお辞儀を返す。
「こいつが……UDC……」
 小鳥遊が背広の胸元へ右手を入れ、拳銃のグリップに触れるのを目の端でとらえた『奇術師』ミスター・アンノウンは、人差し指を口の前に立てるとチッチッチッと舌を鳴らす。
『勇敢なのは結構ですが、力量を推し量れないようでは早死にしますよ?』
「くっ……」
『ですがまぁ、皆様方は後ほど儀式の贄となっていただく予定ですので、その折にでも無様に散り逝くご自身の無力さを教えてさしあげましょう!』
 アンノウンの放つ威圧感に無意識に体が震えだした小鳥遊は、苦悶に満ちた表情を浮かべた。
 その様子を見て肩を竦めお道化て見せたアンノウンは、くるりと猟兵たちに向き直る。
『……ですが、猟兵諸氏がこんなに早く駆けつけて下さるとはね。いささか想定外です。おかげさまで予定がくるってしまいましたよ』
 やれやれと言った風に、大げさな身振りで頭を押さえ首を振ると、大きなため息をついた。
『それでは猟兵諸君! 早速ですが君たちにはここでご退場いただこうか!』
 派手なマントをバッと翻し、場を仕切り直したアンノウンは高らかに口上を述べ不敵な笑みを浮かべた。


 『奇術師』ミスター・アンノウンは自身が不利な状況では、その場に居合わせている小鳥遊、警察官、鑑識、殺人犯たち一般人を盾にしたり、巻き込んだりして猟兵を牽制しようとします。
 小鳥遊巡査長や警察官たちは拳銃や警棒で応戦しようとしますが無力です。鑑識の皆さんは戦いの邪魔にならないように動きます。殺人犯は手錠をされ無抵抗になっています。
 できる限り彼らを守ってあげてください。

 以下のスレッドにてシナリオの最新情報などを公開しています。プレイングの受付状況などのご確認にご利用ください。
 https://tw6.jp/club/thread?thread_id=130201&mode=last50

※第二章のプレイング受付は、1月13日 午前9:00頃から開始予定です。
上記スレッドや、ハッシュタグでの再確認をお勧めします。
神代・凶津
すぐさま小鳥遊の旦那達一般人の周りに『結界霊符』を複数貼り結界を構築して護るぜ。その中から出るなよ?
さてと、真犯人がそっちから現れてくれるとは手間が省けたぜッ!
「…あなたはここで祓います。」

『霊鋼の薙刀』で駆けてぶった斬ってやる。更に『式神【ヤタ】』を放って破魔のコンビネーション攻撃で追い詰めてやるぜ。

敵がユーベルコードでトランプと結界内の誰かを入れ替え盾にしてきたら
「…千刃桜花。」
千刃桜花で人質を傷付けずに八つ裂きにしてやる。
テメェみたいなのの相手は何度も体験済みなんだよッ!
人質は取り返したらまた結界内に放り込む。

テメェの行く先は留置場じゃなく骸の海だぜッ!
「…御覚悟を。」


【アドリブ歓迎】


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

なるほど、アンタが黒幕か……
助かったよ、邪神そのものじゃなくってさ。
この数の召喚陣で呼び出される奴なんてぞっとしないからねぇ。
しかし良いのかい?搦手が特に得意そうなアンタが、こうして直接出張ってるのはさ!
手品のタネは隠しておくのが醍醐味じゃないのかい?
……こんな風にさ!

『コミュ力』マシマシで『挑発』し、場の空気を余計アンノウンが逃げにくい方向に持ってくよ。
その裏じゃさっきまで探査に使ってたテレパスを、味方の猟兵や警察関係者の意思疎通手段と敵からの敵意感知に切り替えて【超感覚網】を張り巡らす。
そうすりゃ奴さんの攻撃一つ一つに『カウンター』の『電撃』を合わせられるだろ!



「真犯人がそっちから現れてくれるとは手間が省けたぜ!」
 姿を現したアンノウンに逸早く反応した神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)凶津は桜に『結界霊符』による結界構築を指示する。桜が頷きながら霊符を取り出し宙に放つと、念が込められた霊符は小鳥遊や警官たち、その場に居合わせる一般人たちを囲むように床に張り付き、薄ぼんやりと輝く結界を作り出した。
「その中からでるなよ?」
「あ、ああ。……すまない」
 小鳥遊が悔しそうに頷いた。他の者たちも神妙な面持ちでアンノウンとそれに対峙する猟兵たちを見守っている。
「……あなたはここで祓います」
 桜がアンノウンから小鳥遊たちを庇うように位置取りして【霊鋼の薙刀】を構えた。
『あぁっ! 涙ぐましい努力! 私のマジックの前には無意味でしょうが、弱き者たちを守ろうとするその姿は称賛すべきですねぇ』
「なるほど、アンタが黒幕か……」
 数宮・多喜(撃走サイキックレーサー・f03004)がアンノウンの言葉を遮り、鋭い眼光でねめつける。
「助かったよ、邪神そのものじゃなくってさ。この数の召喚陣で呼び出される奴なんてぞっとしないからねぇ」
『いやはや、おかげさまで、私がこちら側に来る程度の門しか開きませんでしたから。それに関しても貴殿たちを称賛しなければね』
 拍手するアンノウンを冷ややかに見つめながら、多喜は先程まで廃墟の探査に使っていたテレパスを猟兵たちや警察関係者との意思疎通手段と敵意の感知に切り替えた。
「そいつはどーも」
 無感情に答えながら多喜は【サイキックナックル】を装着した拳を構え、ファイティングポーズをとる。
「……参ります!」
 最初に動いたのは凶津と桜。駆けながら式神【ヤタ】を放ち、両手で薙刀を握り直すと上段から袈裟懸けに斬りつける。
『おおっと、掛け声は減点だね。不意打ちできる機会を自ら捨てるのは感心しないねぇ』
 薙刀の斬撃を余裕を持って躱したアンノウンを死角から破魔の神気を纏ったヤタが襲う。
『いいね! 今のはよかったよ!』
 海老反りでヤタの突進攻撃をやり過ごし、そのままの姿勢で顔だけ上げて桜を見るとサムズアップを決める。
 隙だらけのアンノウンに多喜静かに動く。跳躍で一気に間合いを詰め、その勢いのまま突き出した拳が後頭部を捉える。
『うおぅ! 効く~!!』
 叫びながら派手に顔面から転倒したアンノウンだが、多喜は拳が触れる瞬間、敵が自ら転んだ事に気付いた。
 アンノウンはそのまま地べたを滑り桜の足元へスライディング。
「桜! 下がれ!」
 凶津の声に即座に反応した桜は、後退しながら薙刀を薙いだ。その一閃は顔面スライディングからの起き上がりアッパーを狙っていたアンノウンの胴を切り裂いた。
「……浅かった」
『お見事ですねぇ! さすがは猟兵殿、そうでなくては!』 
「やるねぇ。しかし良いのかい? 搦手が特に得意そうなアンタが、こうして直接出張っているのはさ!」
 肉薄した多喜が間髪入れず拳を連打し、ヤタが足元を狙って滑空を繰り返す。ヤタと多喜の動きに合わせて、出来た隙に薙刀で突きや払いを放つ桜。
 それらの攻撃をアンノウンはステップを踏んで器用に捌いていたが、やがて大きなため息をついた。
『そうなんですよ、矢面に立つなんて私らしくない! あ~……めんどくさい。ホントにめんどくさいですねぇ~……』
 ステップを踏みながらポンと手を打ち鳴らすと、その手に一組のトランプが出現した。
「隙ありだぜ! やれ! 桜っ!」
 凶津が吠え、桜が薙刀を逆袈裟に構える。ニヤリとほくそ笑むアンノウン。
「結界など無駄だと言ったでしょう? ここでチェンジですねぇ!」
 一枚めくったトランプはスペードのキング。結界内の小鳥遊の姿が消え、代わりにスペードのキングが。そしてアンノウンの前に現れ、困惑する小鳥遊を羽交い絞めにした。
「……千刃桜花」
「細切れになっちまいなッ!」
『ちょま!? 人質がいるのですがねぇ!!?』
 斬り上げられた薙刀は小鳥遊に触れる直前無数の桜の花びらに姿を変え、アンノウンだけを斬り裂いた。
『なぜ!? 私のトリックが見破られていたのか?! 何をしたんだお前たち!』
 傷を負い動揺する隙を突いて小鳥遊を奪い返した多喜が好い笑顔で答える。
「ははっ! 手品のタネは隠しておくのが醍醐味じゃないのかい?」
『素人が奇術師である私を謀るとはっ! 許せません! 許しませんよぉ!』
 少し前までの人を小ばかにした雰囲気をかなぐり捨て、アンノウンは新たにトランプを引こうとするが……。
「させるかよぉ!」
「ヤタ……!」
 桜に呼応したヤタがアンノウンの手からトランプを弾き飛ばした。
『小癪な真似をしますねぇ……! ならば……』
 跳躍し宙返りしながら結界を突き破ったアンノウンが、警察官たちを直接盾にするためにつかみ掛かる。
『この程度の結界など私には無意味なのですよ!』
 勝ち誇った表情が次の瞬間強張る。
「……こんな風にさ!」
 いつの間にか警察官との間に多喜が立ちはだかっていた。
 にんまり微笑むと、雷を帯びた拳が紫電の輝きを放つ。
「喰らいなっ!」
『ぐふぉっ!』
 見事なカウンターが決まりもんどりうちながら転がった。
『どうなっている?!』
 猟兵たちの虚を突き警察官たちを盾にしようとするが、凶津&桜と多喜に尽く返り討ちにされてしまう。
 タネ明かしすると、多喜のユーベルコードの効果によって、アンノウン以外のこの場に居合わせた全員がテレパスのネットワークで繋がり、繋がった者たちが受ける害意を察知できるようになっていたからだ。アンノウンの害意の向いた者の元へ、多喜と凶津&桜が素早く割って入っていたというわけである。
「悪いね、みんなとはもう繋がってるのさ」
『むむぅ……そういうことか……』
 多喜の言葉から状況を理解したアンノウンは、ジリジリと間合いを取り警戒を強めた。かなりの手傷を負わせたが、アンノウンに止めを刺すまでには至らなかった。
「膠着状態ってヤツだな……。手堅く攻めるぞ、桜!」
「……分かってる」
「逃がさないように慎重に行こうぜ」
 猟兵たちも相手を逃がさないようにかつ、小鳥遊たちを危険にさらさないように包囲した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

箒星・仄々
これ以上命を奪わせやしません
退場するのは貴方です!

恐怖は判断力を曇らせます
パニックから
思いもよらぬ行動をとることがないよう
声をおかけし
少しでも安心いただけるよう演奏開始

ここは私達にお任せください
猫の手をお貸ししています
どうぞ大船にのったつもりで♪

演奏につれ
あちこちから絡繰🐭さん達が集まって来て
皆さんの周囲や肩の上
ポケットの中等に入り込みます

もし奇術師さんが一般人の方々を
攻撃したり近づこうとすると
🐭さんが爆発して動きを止めます

トランプとの入れ替えが発生した時には
代わりに🐭さんが入れ替わることで
守ります

演奏と共に🐭さんはどんどん集まってきます
奇術道具を齧って不具合を起こさせたり
爆発で粉微塵にします

奇術師さんが
トランプや奇術道具を取り出そうとすると
それはいつの間にか
潜り込んでいた🐭さんに置き換わっているかも?

タネがなければ奇術は使えませんね

立体映像での牽制を交えながら
🐭さん達が奇術師さんを隙間なく覆って
一斉に爆発
海へと導きます

演奏を続けて犠牲者や奇術師さんへの
鎮魂とします


天羽々斬・布都乃
アドリブ・負傷・苦戦描写歓迎

「あのような邪悪な儀式……
いったい、何が目的で大勢の人々を犠牲にしたのですか!」
『布都乃よ、落ち着くのじゃ。冷静さを欠いたら奴の思う壺じゃぞ』

式神のいなりの言葉を聞き、深呼吸をひとつ。
危うく相手の術中にはまるところでした。
天羽々斬剣と布都御魂剣を構え、一足で間合いを詰めて斬りかかります。

「天羽々斬流剣術、受けてください!」
『待つのじゃ、布都乃!』

いなりの声に剣を止めた瞬間。
敵との間に盾にされるように警官が現れて!?

なんとか踏みとどまったものの、隙だらけになったところに敵の攻撃が――!

「くっ……」
『大丈夫か、布都乃!?』
「ええ、かすり傷です。ですが……」

あのトランプを無効化しないことには攻撃することができません。
ならば――未来視の瞳で未来を視て、二本の神剣に霊力を込めます。

「受けてください、神剣の一撃を!」

振るった剣の前に警官が現れる未来が視えますが――

「――その卑怯な手は、すでに視ました」

破邪の霊力を込めた斬撃でトランプの力を消し去りそのまま敵を斬り裂きます!


緋薙・冬香
なるほど
小鳥遊さんや他の人を足枷にするつもりなのね?
じゃあ、こうしましょうか
『グレンツェント』をピン、と指で弾いて空に舞わせ
謳うは生命、オブリビオンと戦う力
【生命賛歌・輝】!!
これでケガも回復するし
ほんの少しだけど抵抗できる戦闘力も付くはず
でも無理はしないで、自分の身を守る事を優先に

さて、素敵なオジサマ?
まさか小娘相手に|手品勝負《手数》で負けたりしないわよね?

『ベシュトラーフング』を駆使して追い込むわ
入れ替わりのせいで一撃必殺は無理だけど
パターンはある程度見切れるはず
「あらあら、入れ替わるしか能がないのかしら?」
挑発を入れて動きを制限できればラッキー
でも解決策はもう打ってるのよ?
「なら、敵味方全員まとめて捕縛しましょうか!」
【生命賛歌・輝】のおかげで一般の人にも少し無理が効く
後はアンノウンの動きをしっかりと見切って
指に力を込めるのは捕捉してからでも遅くないわ

さて?次は?
マジックはネタ切れ?
なら私の番ね
「冬の香りがもたらすのは、貴方の幕引きよ?」
その奇抜な衣装ごと斬り裂いてあげるわ!!



 余裕綽々で登場したアンノウンだったが、猟兵たちの奮戦で五分かそれ以上に押し込まれているように見えた。
 しかし『奇術師』の異名を持つ相手だ、まだ奥の手を隠しているかもしれない。
 お互いに攻めあぐねている状況だったが、先に動いたのは猟兵たちだ。
「これ以上命を奪わせやしません。退場するのは貴方です!」
 仄々は竪琴を構え、力強さを感じるメロディーを奏で出した。警察官と言う危険に遭遇する機会が多い職業でも、人外が相手となればまた別であろう。彼らを恐怖から守りパニックから窮地に陥らぬようにとの配慮だ。
 状況に追いつけず、表情を強張らせていた何人かが落ち着きを取り戻して、その瞳に冷静な光が宿った。
「ここは私達にお任せください。猫の手をお貸ししています。どうぞ大船にのったつもりで♪」
 背に庇った警察官たちにウィンクして見せた。
「それと、ちょっとした御守りです」
 メロディーに合わせて絡繰ネズミたちが行進し、警察官たちの足をよじ登りそれぞれの肩や胸ポケットなどにちょこんと収まった。絡繰ネズミの可愛らしい仕草に少し緊迫感が薄れた気がする。
 この場で小鳥遊の他に、アンノウンの存在を理解している者は少ないが、人類にとって許すことの出来ない悪である事は認識していた。
 そして彼等は本来、善良な市民を守るべき存在だ。幾人かの警官は拳銃や警棒を構え、闘志を漲らせていた。悪きを挫き人々を守るという、警察官としての使命感が守られるだけの傍観者で居続けることを許さないのだろう。
「なるほど」冬香は呟いた。
「じゃあ、こうしましょうか」
 冬香は自身の耳に輝くイアリング『グレンツェント』を片手で器用に外すと、ピンッ、と指で弾いた。グレンツェントは煌めきながら宙を舞う。
「歌うは生命、オブリビオンと戦う力……【生命賛歌・輝】!!」
 冬香の声に応じて、一際眩く温かな光を放ち、光を浴びた警察官たちは活力と気力が湧き上がって来るのを感じた。
「これは……!」
 警察官たちが口々に驚きの声を上げる。
(これなら万が一、アンノウンに足枷にされそうになっても、|仲間《他の猟兵》たちの支援も相俟って抵抗できるはず)
「……でも無理はしないで。自分の身を守る事を優先に!」
 冬香は意気軒昂な様子の警察官たちに念のため釘を刺す。

 仲間たちが小鳥遊たち警察官の支援を行う中、布都乃はアンノウンと対峙し一挙一動を見逃さぬように睨め付けていた。
「あのような邪悪な儀式……。いったい、何が目的で大勢の人々を犠牲にしたのですか!」
「目的ですと? ハハハッ! 私など及びもつかぬ|偉大なる神《オブリビオン》の復活のほかありますまい! あなた方ヒトに奪われた、私たち|オブリビオン《過去の化身》の世界を取り戻すためですよ!」
 布都乃の問いかけに、大仰な身振りを交えアンノウンは律儀に答えた。
「無意に散るしかない存在に、崇高な意味を与えてあげているのです。感謝して頂きたいねぇ!」
 自分の演説に酔いしれるアンノウンは、高慢さを滲ませ聞く者の心をかき乱してゆく。
「ッ!」
 布都乃が息を呑み、太刀の柄を握る手に力がこもった。
『布都乃よ、落ち着くのじゃ。冷静さを欠いたら奴の思う壺じゃぞ』
 式神のいなりが、落ち着いた声色で布都乃に話しかけた。その声に落ち着きを取り戻し、ふーっと静かに息を吐き出して呼吸を整える。(ありがとう、いなり。危うく相手の術中にはまるところでした。)
「フハハ! 先ほどは不覚を取りましたが、奇術師たる私を見損なわない事でくださいねぇ!」
 バサッとマントを翻すと痛んでいた衣装や負傷が元に戻り、警察官たちが動揺する。
 いくら支援を受けたところで、当事者が動揺しては、その効果も揺らいでしまうだろう。
(いけない!)
 布都乃は、天羽々斬剣と布都御魂剣を構え、一足で間合いを詰めて斬りかかった。
「ー天羽々斬流剣術、受けてください!」
『待つのじゃ、布都乃!』
 ほぼ同時に、いなりが布都乃を制止する。
 咄嗟に剣を止めると同時に、アンノウンの前に警察官の姿が現れた。
「え? どうして」
「これは……」
 冬香や仄々も呆気なく守りが破られたことに驚きを隠せない。
「ハハハハッ! 隙だらけですぞ!」
 高笑いと共に、ここぞとばかりに殴打や蹴りを布都乃に浴びせる。反撃に転じたくとも、布都乃の動きに合わせ人質を巧みに盾にされてしまう。
「くっ……」
『大丈夫か、布都乃!?』
「ええ、かすり傷です。ですが……」
 いなりがアンノウンにフェイントを仕掛けながら気遣うが、アンノウンは、いなりを意に介することもなく攻撃を繰り出し続ける。
 冬香がタイミングを見計らって布都乃のカバーに入ろうとするが、アンノウンが片手を一振りすると、無数のトランプが舞い盾となり、冬香が十指を駆使して操る『ベシュトラーフング』(カーボン製のワイヤー)の介入を妨害する。
「厄介ね……!」
 冬香は少しでも布都乃への猛攻を抑えようと、アンノウンへ執拗に攻撃を仕掛けるが、トランプの盾を抜けたとしても人質の存在は大きく、思い切った行動が取れず歯痒さを募らせる。
 そんな中、冷静に状況を確認していた仄々は、身代わり対策に警察官たちに忍ばせていた、絡繰ネズミたちから入れ替わりが起きた反応が無いことに気づいた。それに警察官の人数が1人増えていることにも。
「皆さん! その警察官はニセモノ……おそらく幻影です!」
『なんじゃと!?』
「おやおや、バレてしまいましたか。姿形だけでなく、存在感にまで拘って作った、お人形だったのですがねぇ!」
『よもや惑わされようとは……。じゃが幻と分かれば遠慮は要らぬ、やってしまえ、布都乃!』
「おっと、いいのですか? 皆さんと戯れる間に、私の奇術パワーは充填されてしまいましたよ?」
 アンノウンはニヤリと口の端を吊り上げると、トランプを高々と掲げばら撒いた。そして、パチンと指を鳴らした。
「さあ警察官の皆様、私の盾に……」
パンッ! ドカンッ!
 トランプと引き換えにアンノウンの元に現れたのは仄々が仕込んでいた絡繰ネズミたち。ネズミたちは次々に爆発して、アンノウンの作り出した幻影諸共吹き飛ばしてしまう。
「ぶはっ!? なんだこれは! ……やってくれましたねぇ! 見事ですよ!」
 自らの傷ついた姿を覆っていた幻影も吹き飛び、あちこちが破れた衣装を纏ったアンノウンが片膝をつき猟兵たちを睨みつける。そんな中、爆発にまぎれて仄々が操る一匹の絡繰ネズミがアンノウンの着衣に忍び込んだ事に彼は気付いていない。
「隙ありです!」
 布都乃が再度、剣を構え距離を詰める。しかしアンノウンも然る者、満身創痍とは思えない足さばきで布都乃の剣を避ける。
「奇術師たる私がこうも出し抜かれるとはね! いや、猟兵諸君を甘く見過ぎていたようだ。しかし、諸君は今のでネタ切れではないかね?」
 尚も不敵な笑みを浮かべたアンノウンはどこからともなくトランプを一組取り出し、華麗なシャッフルのテクニックを披露する。
「さあ、どこからでもかかって来るがいい!」
「あらあら、もしかして、また入れ替わり? それしか能がないのかしら?」
 冬香がアンノウンを小ばかにして煽るが、動じる様子はない。
「見え透いた挑発などに私が乗ると思っているのですか?」
 そう返すアンノウンだが、彼も後がなくなってきているのだろう、当初ほどの余裕は感じ取れなくなっていた。
 トランプを弄ぶアンノウンをじっと見据えていた布都乃は頭を悩ましていた。一度は仄々の機転で防げたトランプによる入れ替わりも、次は防げないだろう。なんとかして、あのトランプを封じなければ……。
 「ならば――」
 |異能打ち消す破邪の瞳《ユーベルコード・キャンセラー》――未来視の瞳で布都乃は、これから起きるであろう数手先までの動きを読み取った。
 布都乃が振るった剣。その剣の前に警察官が現れる未来が視えていた。
「受けてください、神剣の一撃を!」
 だから布都乃は振り下ろした剣を、警察官に触れる直前で止めた。
「――その卑怯な手は、すでに視ました」
 目論見が外れてしまったのだろう、間抜け面を浮かべたアンノウンの元から警察官を奪い返す。
「ふん! まだまだトランプは残っている!」
 |トリック《ユーベルコード》のためにトランプを持つ手を振りかざしたが、その腕は冬香の操るワイヤーに縛り上げられて動かなかった。
「なら、敵味方全員まとめて捕縛してしまいましょうか!」
 見れば周囲の警察官たちも縛り上げられている。
「皆さん、ごめんなさいね。こうすれば彼のマジックもネタ切れになるかなって……?」
 てへっと小さく舌を出しお道化る冬香。
 小鳥遊や警察官が縛られたまま若干怯えた目で冬香を見る。
「ふは……ふはははっ! こんなもので私が止められるとでも……グゥッ!」
 冬香が軽く指を動かすと、アンノウンの首に巻きついていたワイヤーが締まり、声を詰まらせた。
 憎々し気に猟兵たちを睨むアンノウンの腕を、胸ポケットから這い出した絡繰ネズミが、のそのそと登ってゆく。そしてトランプに抱きつくと爆ぜた。
「さて、タネがなければ奇術は使えませんね」
 仄々が粉々になって足元に落ちたトランプを踏みにじった。
「じゃあ、お別れかしら。冬の香りがもたらすのは、貴方の幕引きよ?」
 冬香がその十指をしなやかに躍らせると警察官たちを捕縛していたワイヤーは解け、同時にアンノウンを捕縛していたワイヤーはギリギリと締まってゆく。
「奇抜な衣装ごと斬り裂いてあげるわ!!」
「グォ……ッ! く……くくく……! 今は退いてあげますよ……! グェッ!!」
 捨て台詞を残し、アンノウンは文字通り塵も残さず消滅した。
(ふぅ……。未来視どおりでしたけど、『もしも』が起きたらと思うとちょっと怖いですね)
 布都乃は息を整えながら剣を鞘に納めた。そして警察官たちの無事を確認する猟兵たちに加わった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『意思を封じられし者達』

POW   :    人海戦術
【身体能力以上の力を無理矢理】【引き出させることにより】【超人的な力】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
SPD   :    人海戦術
【対象に対して人海戦術】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    心無い声
【呻き声やつぶやき】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。

イラスト:にこなす

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちとの激闘の末、アンノウンは骸の海へと還った。
 人知を超えた戦いの場に居合わせた警官たちは、緊張から解き放たれ歓声を上げた。
 口々に猟兵たちを讃え、小鳥遊も表情を緩め猟兵たちに歩み寄る。
「一時はどうなるかと思ったが、君たちの協力を得られてよかった。ありがとう。……しかしこれは、世間に口外しない方が良いのだろうな。混乱を招きかねない。まぁ、このような話し、その場にいた者しか信じられないだろうがね」
 小鳥遊や警官たちと話す猟兵たちだったが、微かな違和感を覚えた。
 話しながら周囲に視線を走らせると、一つの召喚陣が仄かに不気味な光を放ち脈動していることに気付いた。
 同時に――
『ははははっ! 猟兵諸君の健闘を称え、私からプレゼントだ! 受け取り給え!』
 アンノウンの声が聞こえ、召喚陣から無数の小さなUDCが溢れ出し、部屋中を満たした。
 様々な虫の姿――石や鉢植えの下、ジメジメした床下に潜んでいそうな姿をしたそれらを、猟兵たちは次々と撃退していくが、混戦の中警官たちの耳を覆うように寄生されてしまった。
「ぐっ……! こ……こいつは……」
 小鳥遊が耳を覆うように側頭部に張り付いたUDCを剥ぎ取ろうと格闘していたが、程なく瞳から光が失われてしまった。
「……す……りょう……兵……コロス……」
 寄生型UDCに意思を封じられ、洗脳された小鳥遊たち警察官が、虚ろな瞳で猟兵たちににじり寄る。
 寄生型UDC自体は大した敵ではないが人質を取られた状態だ。小鳥遊たちを傷つけず彼らをUDCの支配から救い出すのだ!
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
小鳥遊さん!?
って他のお巡りさんたちも操られてるのかよっ!?
あのペテン師ヤロー、最後に厄介な仕込みを残していきやがって…!
こうなりゃテレパスの力の応用、使うしかなさそうだね!
さっきまで繋いでいたテレパスのネットワークで、ある程度何が起こったかは把握できるだろうさ。
だからまずは『マヒ攻撃』を交えた『電撃』の『衝撃波』を『範囲攻撃』のように放ち、怪我をさせないよう注意しながら小鳥遊さん達の動きを止める。
ちょっと痺れが残るかもだけど、我慢しておくれよ!
そこに寄生体へチューニングを合わせた【魂削ぐ刃】をぶち込んでいくからさ!
できればついでに召喚陣も潰しておきたいところだね!



 召喚陣から溢れ出した寄生型UDCは小鳥遊たち警察官の頭部に寄生し彼らを支配してしまった。
「小鳥遊さん!?」
 数宮・多喜の叫び声に反応する様子はなく、他の警察官と共に猟兵たちに迫ってくる。
「って他のお巡りさんたちも操られているのかよっ!? ……あのペテン師ヤロー、最後に厄介な仕込みを残していきやがって……!」
 ギリッと歯を食いしばりファイティングポーズをとる。しかし防御回避に徹する。
「あぁああっ!!」
 雄叫びとも悲鳴ともつかない声をあげて小鳥遊が拳銃のグリップで殴り掛かってきた。
 多喜は拳銃を奪い取ろうと、あえてその攻撃を受けるが……。
「うっ、重い!」
 まさか一般人の攻撃で猟兵の自分が驚かされるとは。多喜は動揺したが、それも一瞬のこと。すぐに小鳥遊の腕を取り、素早く拳銃をもぎ取ると部屋の隅へと投げ捨てた。そして、そのままの勢いで足払いをかけ転ばそうとするが、小鳥遊は体操選手顔負けの後転を披露して体勢を立て直す。
「なるほどね、|あいつら《寄生型UDC》が無理矢理に力を発揮させてんのか」
 小鳥遊をはじめ、警察官は皆、身体が変に力んでいたり、筋肉が膨張していたり、中には無理をし過ぎたのか目が血走り、鼻や耳から出血している者さえいる。真正面からの力勝負をしてしまっては、彼らを傷つけてしまう。ならば――
「こうなりゃテレパスの力の応用、使うしかなさそうだね!」
 アンノウンとの戦闘で使用したテレパスの繋がりはまだ残っている。意識を集中させると、テレパスを通じ警察官たちに起きている異変もはっきりとさせることができた。
「やっぱりね。人の身体が耐えられる以上の力を出させてやがるね」
 そうしている間にも次々と文字通り飛び掛かってくる警察官たちの攻撃を、力を削ぐように受け流し彼らの身体への負担を軽減しながら、防戦を続ける多喜。
「なるべく優しくするけど……。多少痛くて、ちょっと痺れが残るかもだけど……我慢しておくれよ!」
 多喜は生体電流を操作増幅すると、両拳に集中させ拳を打ち合わせた。それは電気を帯びた衝撃波となり、多喜を中心に周囲にいた複数名の警察官の肉体を感電によって麻痺状態に陥らせた。
「……ここは慎重に行かないとね……。引き裂け、アストラル・グラインド!」
 |魂削ぐ刃《アストラル・グラインド》は肉体を傷つけず、核となる超常的存在だけを切り裂くサイキックエナジーの刃だ。
 多喜は、慎重にしかし素早く寄生体だけに効果を絞ると、麻痺状態の小鳥遊や警察官たちに寄生したUDCたちを次々に斬り裂いてゆく。
 UDCから解放された警察官たちは糸が切れた人形のようにぐったりと床に転がる。
「やったか!? けど、召喚陣をなんとかしないと、湧いてきたUDCにまた寄生されちまうね」
 愚痴る間にも助けたばかりの警察官たちに寄生しようとするUDCを薙ぎ払いながら、多喜は召喚陣を睨みつける。
「一か八かだ! 最大出力の|こいつ《アストラル・グラインド》を喰らいな!」
 イナゴの群れのように飛び交う寄生型UDC諸共、召喚陣を斬りつける。
 効力を発揮している召喚陣も、ある意味、超常的な存在だ。多喜の狙い通り、高出力のサイキックエナジーの刃に斬り裂かれ、召喚陣は消滅した。
 しかし、すでに大量の寄生型UDCが召喚されており、多喜と寄生型UDCの攻防は、まだまだ続くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バジル・サラザール(サポート)
『毒を盛って毒で制す、なんてね』
『大丈夫!?』
『あまり無理はしないでね』

年齢 32歳 女 7月25日生まれ
外見 167.6cm 青い瞳 緑髪 普通の肌
特徴 手足が長い 長髪 面倒見がいい 爬虫類が好き 胸が小さい
口調 女性的 私、相手の名前+ちゃん、ね、よ、なの、かしら?

下半身が蛇とのキマイラな闇医者×UDCエージェント
いわゆるラミア
バジリスク型UDCを宿しているらしい
表の顔は薬剤師、本人曰く薬剤師が本業
その割には大抵変な薬を作っている
毒の扱いに長け、毒を扱う戦闘を得意とする
医術の心得で簡単な治療も可能
マッドサイエンティストだが、怪我した人をほおっておけない一面も

アドリブ、連携歓迎


杉崎・まなみ(サポート)
まなみは正当派後衛職のヒロインタイプです
聖職者教育を受講中の学生ですが、特に依頼に縛りは無く、どのような依頼も受けられます
但し人並みに気持ち悪いモノ、怖いもの等は苦手で遭遇した際は多少なりとも嫌がる仕草が欲しいです
甘いモノ、可愛いモノが好きで少し天然な所があります
初対面の人でもあまり物怖じせず、状況を理解して連携を取る動きが出来ます
シリアス2~3:ギャグ7~8割くらいのノリが好みです
ただシリアスもやれますよー

UCは状況に応じて、MS様が好きなのを使ってください

その他、細かい部分はMS様にお任せします


リィンティア・アシャンティ(サポート)
「数は多いですが……負けないのです。守るためにがんばるのです」

妖精ルノを連れた、礼儀正しくほわほわな雰囲気の妖精騎士
穏やかながらエンドブレイカーとして戦っていたので
助けるために武器を持ち、ルノと一緒に勇敢に戦います
栗鼠がいることも。団栗投げます

自分の世界と似ているところ違うところ様々な文明があるけれど
助けなくてはいけないものがあるから大切に思い
自分ができることを精一杯に
諦めることなく戦います

複数の敵に一度にダメージを与えるよう範囲攻撃を試みたり
周囲の人達を補助するよう行動したり
UCや武器はその時に一番有効そうなものをどれでも使用します

アドリブや連携は歓迎
迷惑行為、公序良俗に反する行動はNGです


徳川・家光(サポート)
『将軍なんだから、戦わなきゃね』
『この家光、悪は決して許せぬ!』
『一か八か……嫌いな言葉じゃありません!』
サムライエンパイアの将軍ですが、普通の猟兵として描写戴けると嬉しいです。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使いますが、全般的に「悪事を許せない」直情的な傾向と、「負傷を厭わない」捨て身の戦法を得意とします。
嫁が何百人もいるので色仕掛けには反応しません。
よく使う武器は「大天狗正宗・千子村正権現・鎚曇斬剣」です。
普段の一人称は「僕」、真剣な時は「余」です。
あとはおまかせです!



 寄生型UDCは素早い物の戦闘能力はさほどではない。
 しかし、その数の多さと寄生能力が問題だ。
 寄生された人を救助しても、再度寄生されてしまうことも起きてしまう。
 発生源である召喚陣は既に潰されたものの、まだまだそれなりの数が存在し、寄生しては宿主を操り襲い掛かってくる。
「ま、間に合いましたね!」
 息を切らせて修羅場となっている部屋に最初に駆け込んできたのは、正当派後衛職のヒロインタイプを自認する杉崎・まなみ。しかし、室内を飛び交う寄生型UDCの姿を見て、表情が凍り付く。彼女はこの手の所謂キモチワルイ物が苦手なのだ。
「うぐぐ……。よりによって虫さんの中でも特にキモキモ系なのがいっぱいな場所に来ちゃった……」
 無意識に後ずさる、まなみの背が背後に立つ女性に触れた。
「あら、大丈夫?」
 小刻みに震える、まなみを落ち着かせるように優しく、その背をさするその女性は、バジル・サラザールだ。上半身は人間の女性の姿で、下半身は大蛇という、所謂『ラミア』の姿をしていた。
「苦手なものはしょうがないわ。だから、あまり無理はしないでね」
 優しく包容力のある微笑みを浮かべるバジルの蛇の部分の鱗が動きに合わせて艶やかに輝く。
「は、はひ……」
 妖しくくねる蛇の部分から、さり気なく視線を逸らし、目のやり場に困るまなみだった。
 その横を駆け抜け、前に出る少女の姿があった。その頭の上には団栗を抱えた可愛らしい栗鼠が乗っている。目のやり場を見つけた、まなみは、ホッとした表情で栗鼠を見つめ癒される。
「これはすごい数ですね」
 戦場となるその場に視線を走らせ呟いたその少女は、リィンティア・アシャンティ。
「数は多いですが……負けないのです。守るためにがんばるのです」
 既に戦いの場に身を置き、多勢に無勢の戦いを繰り広げる猟兵たちとUDCに翻弄される警察官たち。リィンティアは淡く輝く刀身が美しい剣『眠る光の欠片』を構えると戦場に身を投じた。

 手加減をして警察官を無力化しては、寄生しているUDCを排除する。そんな地道な戦いが続いていた。
「寄生された人を助けるにしても、寄生待ちのUDCが多すぎます!」
 勇気を振り絞り害虫駆除に奔走していたまなみが悲鳴を上げた。その背後からUDCに寄生された警察官が迫る。
 だが、その間に割って入る人影があった。
「戦場で集中力を乱してはいけないよ」
 言うが早いか、当身技で警察官を行動不能に陥らせたのは赤髪が印象的な和装の青年だ。
「は、はい! ありがとうございます!」
「取り敢えず動きを封じ、数を減らす。そして民を傷つけぬように寄生している奴を仕留めよう」
 そう提案した青年の名は徳川・家光。
「それなら、私の神聖魔法で! ――地神よ……我が祈りに応え光を放て……」
 まなみが高く掲げた杖の先端の宝玉がキラリと輝く。
「|聖なる光《ホーリーフラッシュ》!」
 その声と共に宝玉から眩い閃光が放たれ、UDCたちの動きを止めた。殺虫剤を吹きかけられた虫のように、舞っていたモノは墜落し、寄生していたモノは、宿主ごと動きを止めていた。
 『|鎚曇斬剣《ツチグモギリノツルギ》』を構え、機を見計らっていた家光が動いた。
「天の水甕よ、土蜘蛛より奪いし剣を伝い、我が敵を飲み込め! |天河大濁流《テンガダイダクリュウ》!!」
 振り下ろされた刀身から、水が濁流となり迸った。濁流は意思を持つかのようにうねり、UDCだけを飲み込んでゆく。動きと数だけが取り柄の寄生型UDCは、家光の一撃で、ほぼ一掃されてしまった。
「寄生されている方々は、私にお任せなのです」
 妖精たちを召喚し、猟兵や警察官たちの守りに徹していたリィンティアは、妖精たちを帰還させると、まなみの|聖なる光《ホーリーフラッシュ》の術下にある寄生したUDCの駆除に取り掛かった。
「傷つけたりはしません。|癒しの聖炎《セイナルイヤシノホノオ》は悪いものだけを焼きます」
 リィンティアは、UDCが無力化したため、一時的に自我を取り戻した警察官に語り掛けると、フレイムソードに精霊フェニックスの聖なる炎を纏わせ、状態異常の元凶たる寄生型UDCに止めを刺した。
「私も手伝うわよ! ……甲の薬は乙の毒、生かすも殺すも薬師次第、なんてね♪」
 バジルはその身に宿したバジリスク型UDCと共に寄生型UDCにだけ効く薬剤を体内で調合すると、爪先を極細の注射針状に尖らせ、迫る注射針に表情を引きつらせる警察官に容赦なく注入してゆく。
 バジルはそんな警察官に微笑みかける。
「そんなに怖がらなくても大丈夫よ♪」
 程なくして薬剤を投与された警察官に寄生していたUDCは宿主から離れると、床に仰向けで転がりピクピクと痙攣し息絶え消滅していった。
「これにて一件落着……かな?」
 刀身を懐紙で拭い、スラリと刀を鞘に収めた家光が笑みを浮かべた。

「UDC……人がやり合うには、とんでもない相手だ。今回のことで嫌と言うほど思い知ったよ」
 小鳥遊が悔しそうに吐き捨てる。
「だが、我々の誰一人欠けることなく、そして事件の犯人も無事に確保できた。あなた方には感謝してもしきれない。ありがとう」
 小鳥遊は猟兵たちに向かって深々と頭を下げた。
「これからも、あなた達の力をお借りすることになるだろう。今後も協力をお願いしたい」
 神妙な面持ちの小鳥遊に、猟兵たちは力強く頷き返す。
 彼ら警察官の協力は、猟兵たちにとっても心強い申し出だ。改めて協力の意を伝えると、猟兵たちは小鳥遊に見送られその場を後にするのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2024年04月12日


挿絵イラスト