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フクヨコイコイ・オンライン

#ゴッドゲームオンライン

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#ゴッドゲームオンライン


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●謹賀新年
 街の一角、市場の真ん中。
 木と漆喰で構成された、和を思わせる趣の塔が建っていた。
 高高度にある塔の最上階。柱を囲むような円形の厨房から、ぴょこりと動物の尻尾が覗く。
「シェフー、取ってきたよー!」
 がやがやとフロアに入ってくるのはプレイヤーの一団。
 声をかけられ、厨房の主が姿を見せる。大柄な茶色い体に真っ白なコックコート。まんまるな瞳を細め、シェフは温かくプレイヤーを出迎えた。
「ありがとぉ! 素材取ってきてくれたんだねぇ!」
「そうそう! だからイベントの報酬、お願いね!」
「もちろんだよぉ!」
 プレイヤーたちが次々と素材をシェフに渡していく。目を輝かせ、シェフは大きな身体を揺すって素材が揃うのを眺める。
「頑張ったねぇ! それじゃあ報酬の……『ウェルカム2024』だよぉ!」
「やった! これが強いって噂されてる――」
「新年限定の装備だな。ネタ装備っぽいが、意外と馬鹿にできねぇんだよ」
 ニューイヤークラッカーや餅つきの杵、2024の数字が付いたメガネや獅子舞のような鎧。なんだかめでたい気分になるアイテムがプレイヤーに配られる。
「よし、じゃあこれで……」
「あ! まだ待っててねぇ!」
 プレイヤーを引き留めてから、シェフは素材をボウルの中に放り込む。右手に持った特別ハンドミキサーでかき混ぜれば。
 豪勢なおせち料理、天ぷらが乗った熱々のそば。ローストビーフに茹でたカニ。栗きんとんに、きな粉や抹茶をまぶしたお餅。さらには寿司やらピザやらケーキやら……とにかくごちそうがテーブルに並んだ。
「なにこれ……すごっ!」
「ご褒美だよぉ! 年末年始の特別メニュー!」
 召し上がれとシェフが勧めれば、プレイヤーたちは豪華な料理に手を伸ばす。現実世界では体験できない贅を尽くした年越しに、その場の誰もが心を震わせる。
 ふと、プレイヤーの一人が首を上に傾けた。
「あの鐘……なんなんです?」
「本当だな。俺も見たことないぞ……?」
 巨大な鐘が、フロアの中心に釣り下げられていた。本来あるはずの柱のテクスチャを削り、半ば強引に組み込まれているようにも見える。
「あぁ、それはねぇ」
 プレイヤーたちの疑問に答えるように、シェフは笑う。
「みんな   を打ち払うための鐘だよぉ」
 言葉が欠けている。『の煩悩』とでも入れて完成するだろう台詞だ。
 だが、言葉は何ら間違っていなかったとプレイヤーたちは思い知る。
 釣鐘に橦木が衝突し、響くような音が鳴る。
 同時発生したのは、すべてを吹き飛ばすような衝撃波だった。
 突然の事態に反応できず、プレイヤーたちは衝撃波に薙ぎ倒される。絶景を覗ける構造のフロアから、なすすべもなく弾き出された。この高さから放り出されれば助かろうはずもない。
「またどうぞぉ」
 誰もいなくなったフロアで、シェフは笑顔で呟いた。

●グリモアベース
「いやー、もうすっかり年の瀬ですねー」
 集合した猟兵たちを前に、木鳩・基(完成途上・f01075)はしみじみと声を零す。
 今年もあと数えるほど。もういくつ寝ると……なんて歌も聞こえてきそうだが、お互い雑談をするために集まったわけではない。
「そんな年末年始のゴッドゲームオンラインで事件です。年越しのイベントクエストがバグまみれ。ただのお祭りイベントが|遺伝子番号《ジーンアカウント》焼却のヤバいクエストに変わっちゃってます」
 言いながら、タブレット端末に画像を表示。気のよさそうな動物のシェフを撮影したスクリーンショットだ。
「シェフ・ナカジマ。元々はゴッドゲームオンラインにおけるイベントキャラクターで、お使いクエストを発注して報酬にレシピや食材なんかを渡してくれる無害なキャラでした。いまはバグに感染してるみたいで……関わると人権を剥奪される存在に変異しています」
 その厄介さなところは、バグプロトコルに侵された以後も本質は変わっていないところ。
 本人は無害で、生み出す料理も絶品なままだ。いざ目の前で作り出されれば無視できなくなるほどには。
「そこが問題なんですよねぇ。油断するとステージギミックに殺される。今回の場合、バグで発生したでっかい釣鐘ですね」
 ナカジマのいるフロアに設置された大きな鐘。厄が108個といわず800個くらい吹き飛びそうなほど巨大だが、これが打ち鳴らされると衝撃波が発生する。一定間隔でフロアにいる者を外に打ち払おうとするのだ。柱だけで壁のない最上階でのこの衝撃波、落下すれば一発死亡。そしてそれはフロアボスのシェフ・ナカジマにキルされたという判定となり、プレイヤーの遺伝子番号は消滅する。
「ただ、このギミック……ナカジマも影響を受けるみたいです。上手くやれば有効活用できるかもですね」
 そのためにも、と基は話を転換させる。
「まずはクエストを受注して、塔の最上階を目指してください。途中のフロアには素材獲得用に配置されたモンスター……ゲノムスライムがいます。と、こいつらと戦う前にですね!」
 スライムの映った画面を指でスワイプ。装備の一覧表が猟兵たちの目に映る。
「これ、このクエストの限定装備です。ニューイヤー用の装備ですが『おためし装備』ができるみたいで。せっかくなら、おめでたいアイテムを装備して恩恵に預かってみませんか?」
 何の恩恵なのだろう。たぶん、福の神とかの。
 正月モチーフの装備を身につければ、それだけで祝福された気分になるのは間違いない。
「無事ナカジマを倒せたら……そうですね。塔の下に市場が広がっているそうなので、覗いていくのもいいかもしれませんね。新年限定のショップとかも出てるんじゃないですか?」
 平穏が戻ればお祭り騒ぎも復活する。福袋や物々交換、くじ引きやおみくじなど、新年を祝いたいプレイヤーやNPCで賑わうだろう。その騒ぎに混ざっていくのも悪くない。
「それではすっきり新年を祝うために……頑張っていきましょー!」
 猟兵たちに呼びかけると、彼女の拳の上でグリモアが瞬いた。


堀戸珈琲
 どうも、堀戸珈琲です。
 年始の雰囲気より年末の雰囲気の方が好きです。

●最終目標・シナリオ内容
 『シェフ・ナカジマ』を倒し、年末年始のお祭りに参加する。

●シナリオ構成
 第1章・集団戦『ゲノムスライム』
 第2章・ボス戦『シェフ・ナカジマ』
 第3章・日常『フリーマーケットオンライン』

 第1章からクエストの『限定装備』を装備することができます。
 ニューイヤークラッカー、餅つきの杵、2024メガネ、獅子舞鎧など、新年や正月に関連したアイテムが出現します。クエストをクリアすると正式に獲得できます。
 見た目や効果などをすべて指定することも可能ですし、見た目だけ決めて効果はおまかせということもできます。どちらにしても猟兵に有利に働く描写をします。
 第1章に参加して『限定装備』を手に入れた猟兵は、以降の章でもその限定装備を身に着けていればプレイングボーナスを得られます。

●第2章について
 シェフ・ナカジマは積極的に攻撃せず、ひたすら料理を作り続けます。料理を食べてもダメージはありません。
 プレイングで料理を指定すると、それを作ってくれるかもしれません。

●プレイング受付
 各章、断章の追加後にプレイング送信をお願いします。
 制限については、マスターページにて随時お知らせします。基本的には制限なく受け付けますが、状況によっては締切を設けます。

 それでは、みなさまのプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『ゲノムスライム』

POW   :    でかでか
自身の身長の2倍の【スライム】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD   :    ふにふに
自身の肉体を【ゴム状】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    ぽよぽよ
攻撃が命中した対象に【移動速度ダウン】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【飛び跳ねて急接近体当たり】による追加攻撃を与え続ける。

イラスト:すずや

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●まるくてのびる
 転移し、塔に踏み入った猟兵たち。
 もちもちしてまるっこいモンスターが目の前には群がっている。
『ぽよ?』
 柔らかそうな鳴き声を発し、スライムたちは振り向いた。
 金、銀、ゲーミング。彩り豊かな素材回収用モンスターだ。
『むむんっ』
 ぷくっと膨らんで、猟兵たちの前に立ち塞がる。
 可愛いが、敵は敵。相対したからにはやらねばなるまい。

 こちらが願うは――新年を祝うための『限定武器』。
 望めばそれを「おためし装備」できるだろう。
天羽々斬・布都乃

『シェフ・ナカジマの寿司じゃと!?
もちろん稲荷寿司もあるんじゃろうな!』
「いなり、よくグリモア猟兵さんの説明のごく一部を覚えてますね……」
『さあ、征くぞ、布都乃!
伝説のシェフの伝説の稲荷寿司のために!』

まあ、冒険者さんたちが困っているなら、助けにいかないといけませんね。
で、限定装備、ですか?

『そんなの、布都乃であればこれしかあるまい!』
「えええっ!?」

いなりが勝手に選んだもの。
それは普段よりはるかに短い裾に、脇が見える上衣に、ほぼ袖口のみという巫女服。
確かに新年ものですけど、いつもより露出が……

「ううっ、裾がめくれないように戦うのが一苦労ですーっ!」
『下から他の冒険者が来る前に登るのじゃな』



●Select:巫女服
 木の床と土壁で作られた空間。
 寺社を連想させる内装に、天羽々斬・布都乃(未来視の力を持つ陰陽師・f40613)は息を呑む。
「この世界にもこんな場所が……」
『布都乃! 先を急ぐぞ!』
 感嘆する布都乃を式神のいなりが急かす。やる気十分。そう思わせる挙動なのに、布都乃はいなりをジト目で見つめた。
『稲荷寿司が妾を待っておる!』
 いなりの稲荷寿司センサーが反応した。それが今回、二人が冒険に出向いた理由だ。
『シェフ・ナカジマの寿司……そこにはもちろん稲荷寿司もあるじゃろうて』
「いなり、よくグリモア猟兵さんの説明のごく一部を覚えてますね……」
『さあ征くぞ、布都乃! 伝説のシェフ……その伝説の稲荷寿司のために!』
 すさまじい勢いでいなりが走り出す。ナカジマが寿司を作ったのは本当に一瞬だった気がするのに。ため息を一つ吐いて、布都乃も子狐に続く。まぁ、冒険者たちが困るなら助けないわけにはいかない。
 フロアを抜けるうち、敵とエンカウント。眩しい色を放つスライムの群れが布都乃たちを振り向いた。
 両手に剣を握って身構え、ふと思い出す。
「そういえば、限定装備が……」
 ぽんっとウィンドウが現れた。クエストで入手できる装備が一覧になって並ぶ。いろいろ目移りしていると、視界の横から狐の脚が伸びた。
『そんなの、布都乃であればこれしかあるまい!』
「えええっ!?」
 いなりが勝手に装備を選んだ瞬間、布都乃の身体は白い光に包まれる。
 選んだのは巫女服装備。それだけなら普段と変わらない。しかし今回は――。
「ちょっとこれ、いつもより露出が……たしかに新年ものですけど!」
 いつもよりはるかに短い裾。脇が見える上衣に、ほぼ袖口のみの腕部分。
 ぎゅっと短い裾を引っ張っても、肌はまったく隠れない。
「こんなので戦えませんよ!」
『構えよ布都乃! 敵が来るぞ!』
「そんなっ!?」
 次から次へ、スライムたちがボールのように飛んでくる。剣を盾にして弾くが、しばらくしてがくんと身体が重くなった。
 移動速度ダウンのデバフ。動きの鈍い布都乃へスライムたちが再び突撃する。
 刹那、布都乃の右目が光を放つ。
「当たらなければ――!」
 未来が頭に流れ込んだ。スライムの突進を寸前で避け、裏から斬る。すべてを視た動きで迫る敵を斬り捨てていく。
 激しい動きに裾がめくれそうになる。必死になって片手でそれを押さえつける。
 スライムたちを捌き切ってから、布都乃はへなへなと床に座り込んだ。
「ううっ、裾がめくれないように戦うのが一苦労ですーっ!」
『下から他の冒険者が来る前に登るのじゃな』
 他人事のように言ういなりを睨むが、それはその通り。熱くなる頭をぱたぱた扇ぎつつ立ち上がり、布都乃は大急ぎで最上階を目指す。

大成功 🔵​🔵​🔵​

蛇喰・柊
堀戸珈琲マスターにおまかせ

ひとまず弟より先には進みたいところで、成長しとかないとかぁ。
足【早業】と【アクセルコンボ】隙を見て手数押し
影からの【シャドウパリィ】手足で受け流すスタイル
UC:SPD / バトラーズ・ブラック ※発動時の台詞等はお任せ

倒す敵がいるなら進んで突き進むけど、それ以外は採取や散策が好きかもな。
動物系にはちょっと…ほんのちょっと(相手にもよる)可愛いかもって戸惑うかもしれないが、敵なら容赦なく蹴りを叩き込む。
大怪我しない程度に、攻撃には参加するかなと。

仲間や味方には協力的、嫌なことはするなって精神。
なんで、良好な絡みやアドリブは大歓迎さ!公序良俗に反する行動は無しなー。



●Select:ニューイヤークラッカー
「めでたいお祭りイベントに、とんだバグが湧いたもんだな」
 走りながら、蛇喰・柊(ゲームプレイヤー・f42313)は呟く。
 まずは引き込んだ弟より腕を高めておきたいところ。成長のためにもと受注したクエストは、本来なら緩く楽しめる限定イベントだったもの。
 柊は足を止める。次のフロアへ続く階段の前に、色とりどりのスライムたちが|大量発生《ポップ》していた。
『ぽよぽよ?』
「見た目は可愛いけど……やるしかないよな!」
 靴裏で床を叩く。
 クエストの受注――それを引き金とした、翼のような形をした闇が現れる。闇の付与を認識し、柊は一気にスライムとの距離を詰めた。
「始めようか!」
『ぽよよっ!?』
 戸惑うスライムに蹴りが叩き込まれる。一体が一撃で吹っ飛ばされ、警戒が群れ全体に伝播。雰囲気の変化を柊も悟る。物量で迫ろうとするスライムに向け、笑みを零した。
『むむんっ!』
「数は厄介だが……遅いんだよ!」
 宙を飛んで突進する相手の動きを見切り、身体が接触する瞬間に蹴りを繰り出す。
 不意の方向から来た攻撃にスライムは弾かれ、隙が生まれる。その隙をさらなる蹴りで追撃。しかし、これだけでは終わらない。
 足を横に振るってまた蹴り飛ばす。周りにいたスライムまでもが巻き込まれた。
 広範囲を巻き込むアクセルコンボ。それは既に発動している。
「数なら俺も負けてないんでね!」
 脚に纏った闇が蹴りによって相手を飲み込む。一撃、一撃、さらに一撃。途絶えることなく敵群を突き進む。
 攻撃も回避も間に合わない。ガードをすれば削られる。圧倒的速度での手数押し。雑魚モンスターでは狩られて終わり。
「これでラストッ!」
 サマーソルトで蹴り上がり、着地の衝撃で全員を吹っ飛ばす。群れていたスライムが跡形もなく消し飛んでいく。
 連続攻撃を決めた柊。
 しかし微かに違和感が残る。
『ぐぐぐぐっ!』
 背後から声。振り向けばスライムが一匹。地面に貼りついたまま、身体がぐんと後ろに伸びている。
『ぱーんっ!』
 勢いよくスライムの身体が戻る。引っ張られたゴムから手を放したときのように。
 ゴム状に変化させた身体で蹴りを受け、戻る勢いを使って攻撃。
 柊が理解した直後、猛突進が来る。
 冷や汗をかきながら、それでも柊は口角を上げた。
「俺にカウンターを仕掛けるのは甘いんじゃないか?」
 直撃の寸前、巨大なパーティクラッカーが柊とスライムの間に出現する。盾のように衝撃を吸収し、柊へのダメージをゼロに抑えた。
『ぽ、ぽよ……!?』
「新年なら、祝わないとな!」
 クラッカーの紐を引く。
 高威力の砲撃が紙吹雪と一緒に放たれた。
『ぽっ――!?』
 真正面から食らったスライムは、今度こそ彼方へ飛んでいった。
「なんとなくで選んだが……たしかに馬鹿にはできないな」
 物騒な祝砲をアイテムとして収納し、柊は次のフロアへ進む。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フラン・レオニズ
※アドリブ連携、歓迎

人外姿のゲームプレイヤー、限定品と聞けば参加せずにはいられないよな♪
モンスターを見ると悪食意識が顔を覗かせ恍惚な表情
どのスライムも旨そうだよな…味見できねぇの?とか思ってる、それ以外は割とドライ

今回はスライムだし数薙ぎ払って稼ぐ方がいいか…
蒼き獣(POW)で巨大化にも負けじと迎え撃つ、
死角攻撃から狙い打てばうまくいきそうじゃねぇ?
あとはうまく連続コンボを叩き込んで仕留めるぜ。

多少無茶行動もゲームだしOKがんがん行くぜ!
公序良俗も他猟兵への迷惑行為も無し、目を付けられちゃ敵わないじゃん。

※限定装備:餅つき用の杵、正月バージョンの豪華な奴(効果はそれに合いそうなものお任せ)


ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード

せっかくのごちそうを食べる邪魔するなんてひどい真似をするねえ。
さて、とりあえずはこのもちもちを倒して上に登ってけばいいのかな。

もらう限定装備は…餅つきの杵でいいかな。
普段使ってる斧と同じような感じで振り回して使えばいいだろうし。
まああんまり役に立たない効果しかなくても最悪素手で殴って倒せばいいしね。

スライムたちは【泰山爆砕】で適当に杵や拳や尻尾でぶっ叩いて倒していこうか。
大きいのが出てきてもやる事は変わらないなら対応も同じでいいし。

んー、杵でもちもちを叩いてると餅つきをしてる気分になるねえ。
お餅食べたくなってきたなあ。



●Select:杵
 和風の内装にスライムが群れる。
 混沌を漂わせる塔のフロアへ現れたのは、これまた異質な異形の体躯。
「限定品と聞けば参加せずにはいられないよな♪」
 顎に手を添え、舌なめずり。
 にんまりした笑みを浮かべ、フラン・レオニズ(下手物雑喰・f42000)はスライムたちを品定めする。
 柔らかさと弾力を兼ね備えた肉質。彼には食欲をそそる彩り。どのスライムも旨そうだ。
「……味見できねぇの?」
「声、漏れてるよ」
 悪食意識が露出したフランに、ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)――ペトが囁く。奇しくも彼女もまた異形の部位を持っていた。
 モンスターは食べないが、たしかに食事を前に我慢できない気持ちはわかる。
 最上階で振る舞われるのは美食。そんなせっかくのごちそうを邪魔される。
 ひどい真似をするもんだと思いつつ、ペトは異なる色の眼でモンスターたちを見つめた。
「さて、とりあえずはこのもちもちを倒して上に登ってけばいいのかな」
「あぁ。今回の相手はスライム――」
 フランも戦闘へ意識を切り替える。
 状況を把握し、限定装備を召喚。
「なら、数薙ぎ払って稼ぐ方がいいか」
 握り締めたのは木製の槌。頭の部分がやたらと長い餅つきの杵だ。側面には金の紋様が刻まれ、扇や松の葉らしき装飾もある。
 豪華な正月バージョン。きっと効果も絶大だろう。
「狩り尽くしてやるぜ!」
 悪食により膨れ上がった魔喰部位――剛健な獣の脚で床を蹴る。四足であるが故の速度で突撃しながら、素早く杵の柄を長く持つ。
 乱雑に杵を振るった。スライムの一群が宙へ吹っ飛ぶ。
『ぽよよっ!?』
「まだまだこっからだ!」
 吠えるように叫び、杵で床を叩く。瞬間、衝撃が弾けた。爆発のような振動がスライムたちを打ち上げる。
 チャンス。鋭い牙を覗かせて、打ち上がったスライムへフランは突っ込んだ。
 下からの強烈な一撃。攻撃でスライムを拾ったところに叩き込む、連続コンボの最終弾。
「トドメ!」
『ぽよーっ!?』
 杵が振り下ろされ、最後にまた衝撃が襲い来る。スライムの集団をまとめて殴り飛ばした。
「よし、このまま行こう!」
「……あの杵、効果は衝撃の発生ってところかな」
 暴れ回るフランを眺め、ペトは頷く。
 召喚する装備は同様に杵。重い得物を片手で掴み、ぶんっと大きく振るった。空気を薙ぐ音が鈍い。これなら普段の斧と取り回しは変わらない。
「思ったよりぶん回せそうだねぇ」
 杵を肩に担ぎ、走り出す。
 暴れるフランに意識を奪われているスライム。その群れの真ん中を狙い、ペトは踏み切る。スライムたちを軽々飛び越え、空中で柄を両手持ち。
『ぽ……?』
「うん、いける」
 落下と同時に杵を振り下ろす。
『ぽよよよっ!?!?』
 激しすぎる破壊の波が周辺を大きく巻き込む。直撃地点を円形に凹ませ、亀裂があちこちに走る。ただいただけのスライムたちは飛び上がるように吹き飛ばされた。
「これはぺったん……どころの威力じゃないか」
 呑気に呟くが、動きは機敏。取り囲むスライムを睨み、飛びかかってくる個体を拳で迎撃。背後からの攻撃は尻尾で受け止め、振り向き回転からの杵でぶん殴る。
 高火力で薙ぎ払う異形たちに、スライムは数を減らしていく。
『ぽよよ……!』
 追い詰められたスライムの一体が、ぷくっと膨らむ。
『でかでかっ!』
 号令のような鳴き声で、残りの個体が集合する。スライムたちは積み上がり……大きな大きな一体のスライムに変身した!
「ははっ! でっけぇ!」
「やっぱり大きくなるもんなんだねぇ」
 怒ったような表情のスライムを、フランとペトは見上げる。アイコンタクトを交わし、フランが飛び退いた一方でペトがスライムに対峙する。
「大きくなって終わりじゃないよねぇ?」
『でかでかーっ!』
 巨躯がペトに向かって突進する。図体にしては素早い。
「でも……耐えられる」
 後退しながらも、突進に対して杵を打つ。衝突の衝撃を相殺し、反動で距離を確保。拳や尻尾でも攻撃を無効化させ、ペトはスライムの背後に視線を飛ばす。
「背中ががら空きだぞ!」
 死角からフランが襲いかかる。
 魔喰部位の爪がスライムの身体に突き刺さった。爪を立て、走り抜ける。硬度を上げたはずの肌が簡単に破られた。
『でかでか!?』
「でかくなった分、死角もでかくなる……さぁ、何撃耐えられるんだ?」
 破られた装甲に向けて振るわれる杵。大きく凹んだのを見て、フランはさらに連撃を加える。滅多打ちにされるスライムへ尾を振るう。鞭みたく飛んだ尾は足払いのように敵をスタンさせた。
 深く、フランは息を吸い込む。喉が熱くなるのを感じる。
「焼いたスライムの匂い……腹が減るな!」
 笑ってからフランが噴いたのは青い炎。猛火のブレスがスライムを焼き焦がす。
 こんがり焼けたスライム。だが、まだ倒れてはいない。
『で、でかでか……!』
「まだ終わりじゃないよ」
 助走をつけてペトが迫る。ぎゅうと杵を握り締め、巨大なスライムに狙いを定めた。
 途中から、ぐるぐるとコマのような回転を交える。より上昇する速度。最接近と同時に、杵の頭をスライムに叩きつけた。
『でかでかぁっ!?』
 スライムの巨体が宙を舞う。空中でばらばらになりながら、スライムたちは消えていった。
「んー……杵でもちもちを叩いてると餅つきをしてる気分になるねえ。お餅食べたくなってきたなあ」
「最上階で食えばいいさ。俺も何か食いてぇなぁ」
 お腹をさするペトとけらけら笑うフラン。
 立ちはだかるモンスターを倒し、異形たちは上を目指す。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アイビー・リリオペ
ギルド受付猫で、解体要因きっと今回も解体目当て?
AIか、PLか、本猫も分からないので、気楽に過ごすのんびり屋
姿が小さい白猫、隠密行為での行動が得意

なーぅ(「よろしく」と、たしっと前足を踏み踏み)
にゃうにゃう、みゃーん(「敵でも仲間でも、御触り厳禁」するりと身軽に横をすり抜け)
んにゃふっ…にゃん(ぽよぽよに合わせて鳴き、不思議そうに跳ねる敵を見て容赦なく「びりびり」)
※猫の鳴き声、「」意思疎通、ソレっぽく行動、アドリブ絡み歓迎

猫っぽいあざとさは見せる子
他者に迷惑をかけず、公序良俗に反する行動はしませんよ。
限定装備は…御蜜柑とか?頭に乗っけられるのとかだと嬉しいかな。


高崎・カント
●限定アイテム
『鏡餅』(頭装備)
蜜柑が乗った2段重ねの鏡餅
カントが装備すると、お餅が3段に見える

「きゅっぴー!」
すごいのです! ゲームなのに本物みたいなのです!
クルクル駆け回ったり、足元の石ころを転がして遊んじゃうのです

きゅっ⁈ お仕事も忘れてないのです
いざ、塔に乗り込むのです!
もきゅ? なんだかフニフニしたのがいるのです
跳ねるのなら負けないのです
勝負なのです!

スライムの間をぴょんぴょん飛び回って注意を引き付けるのです
前にゆーいっちゃん(カントの主)がMMORPGでやってたのを見たのです
素材や経験値を集めるときは、モンスターをトレインするのです
集まってきたところにモラスパークなのです!



●Select:みかん
「きゅっぴー!」
 広いフロアに小さなモーラットが一匹。
 たったったっと駆け回っても感動は薄れない様子。
 転がっている石をまた転がして、石はこんっとフロアの壁に当たる。見上げれば、壁には覗き窓があった。
 よじ登ってフロアの覗き窓から外を見る。
 街、山、空。雄大な景色がそこには広がる。
 ――すごいのです! ゲームなのに本物みたいなのです! 
「きゅーっ……」
 吹き込む風が、高崎・カント(夢見るモーラット・f42195)の真っ白なマントをはためかせる。
 ひとしきり感慨に浸って、自分が仕事中なのを思い出す。
「きゅっ?!」
 いけないいけない。先を急ぐ。
 そのとき、ちりんと鈴の音が鳴った。
「なーぅ」
 白く、もふもふした猫。青い右目と緑の左目。首輪には可愛らしいリボンがあって、ぶるぶると身体を震わせるとその下の鈴が鳴った。
 凛々しい顔でカントを見つめてから、アイビー・リリオペ(冒険者ギルド員・f42158)はぐぐっと伸びをする。
「もっきゅー!」
「にゃう? ……にゃーう」
 元気よくカントが挨拶すれば、アイビーが頭を下げて前足を踏み踏み。よろしく、と言っている。
 すっ、とアイビーは走り出す。ただの猫のように見えてギルド受付員。解体窓口も兼ねているので、今回はバグの解体のために来ているとかいないとか。|初心者《ビギナー》のカントを先導するようにも見える。
「もきゅ!」
 アイビーを追うようにカントも駆けていく。カントにとってはこれが最初のクエスト。
 だから予想外なことも起きる。
「もきゅ?」
「んにゃ……にゃーん」
 次のフロアへの階段の前。
 カラフルなスライムたちが陣取っている。
『ぽよぽよっ?』
 一体が穏やかな顔をして近づいてきた。ぺったんぺったんと飛び跳ねて。
「もきゅー?」
 ――なんだかフニフニしたのがいるのです。
 そうじいっと見つめるカントの隣で、アイビーはスライムの動きを観察。
 直後、スライムはのしかかるようにこちらへ飛んできた!
「にゃっ!!」
「もきゅっ!?」
『ぽよっ!!』
 アイビーとカントがそれぞれ飛び退く。着地したスライムは膨らみ、二匹を威圧する。
 しかし、小さくても猟兵。
「にゃうん!」
「きゅっぴー!」
 表情を変え、スライムたちに向き直る。どんどん寄ってくるスライムの大群にも怯まない。
「みゃーん」
 何かを呼ぶようにアイビーが鳴いた。
 すると、アイビーの頭にぽんっとみかんが現れる。真っ白な体にちょこんと乗って、なんだか鏡餅のようでもある。クエストの限定装備だ。
「もきゅもきゅ!」
 乗っかったみかんに目をキラキラさせるカント。同じように「もきゅっ!」と鳴けば、カントにも装備が出現する。
 みかんに、さらにもう2段。2段重ねの鏡餅を真っ白なカントが装備して、3段ある大きな鏡餅になった。
「にゃうにゃう、みゃーん!」
 装備を整え、アイビーが大群に突っ込んでいく。ぶつかってこようとするスライムたちの間をするりするりと身軽にすり抜ける。お触り厳禁。それは敵でも仲間でも。
『ぽよ……?』
 いつのまにかスライムたちはアイビーを見失った。うろうろ、ぺたんぺたんと飛び跳ねる。
「んにゃふっ……にゃん」
 ぱちぱち、電気の爆ぜる音。
 どんっと雷が起こって数体のスライムが吹き飛ばされる。
 電気をまとってそこにいたのは……白の体に黒い模様の白子虎。頭に乗ったみかんが威力を増幅させ、放電は止まらない。
 電流で毛を逆立たせながら、再び大群に突っ込んだ。発する雷撃で内側から敵を吹っ飛ばし、スライムすらも通り抜けて焦がしていく。
「にゃおんっ!」
 ギルドの解体担当、容赦はしない。当然、びりびり痺れるだけでは済まさない。
 あわあわ逃げようとするスライムに狙いを定め、雷をまとって走り抜ける。眩しい雷光の軌跡が後に残り、敵を次々と貫通する。
「……にゃふっ」
 やがてアイビーの体が戻った。ふるふると体を振るえば弱い電流が走る。さっきまで群れていたスライムたちは、真っ黒になって動けなくなっていた。
「もきゅっ!」
 カントもスライムに挑みかかる。
 跳ねるのはモーラットの得意技だ、負けていられない。
「きゅっ!」
 ——勝負なのです!
 元気よくカントはスライムたちの隙間を跳ね回る。誘発され、スライムの集団がカントを追いかけ始めた。
「きゅっぴ!」
 振り向き、カントはにやりと笑ってみせる。わざとスライムの間を通れば、そのスライムたちがついてくる。カントがぽんぽん飛び跳ね、スライムもぺたぺた飛び跳ねる。
 最愛の人――ゆーいっちゃんがプレイするMMOPRG、その画面を見たことがある。素材や経験値を集めるときはモンスターをトレインするのだ。
 急ブレーキをかけて反転。すごい量のスライムがカントを追ってきている。
「きゅっ!」
 ——今なのです!
 ぽーん、とカントは群れの真ん中に飛び込む。空中で、装備した鏡餅のみかんがきらりと光る。
「もっきゅーーっ!!」
 放たれるは必殺のモラスパーク。強化された静電気がスライムたちをクロコゲにしていく。
 とん、とカントは地面に着地。周りでは、ぷすぷすと焦げたスライムたちが目を回す。
「きゅぴっ!」
「……にゃあ」
 勝ち誇るカントに、アイビーが声をかける。そそくさと進むアイビーをカントは急いでおいかけ、とんとんと階段を昇っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

李・玉明


おお!
美味しそうな料理を食べられるクエストなのじゃ!
楽しみじゃのぅ……!
バグを吹き飛ばして、新年を迎えるのじゃー!

限定装備の獅子舞衣装を羽織って出撃するのじゃ!
むっふっふ~、お主らが立ちはだかるモンスターじゃな!
妾が相手になってやるのじゃ!
ぽよぽよした攻撃に当たらないよう、風に舞い踊り躱すのじゃ!
こっちじゃよ~♪ 当たらないのじゃ~♪ 獅子舞の頭をカチカチ鳴らして踊るのじゃ♪
こうして回避して、上から芭蕉扇の風で吹き飛ばし、塔から落としてやるのじゃ!
落下ダメージはさぞ効くじゃろうのぅ!

この先には美味しいご馳走が待っているでのぅ。
可愛いスライムでも、構ってあげる時間はないのじゃよ。
頑張るのじゃ!



●Select:獅子舞
 最上階まであとわずか。
 フロアの構造も開放的になり、部屋を囲うのは柱と柵だけだ。
「美味しそうな料理を食べられるクエストなのじゃ! 楽しみじゃのぅ……! バグを吹き飛ばして、新年を迎えるのじゃー!」
 心を躍らせて先を急ぐのは李・玉明(豪華絢爛西欧天女・f32791)。
 いろいろと料理を思い浮べていると、ぷにぷにしたまるい奴らの群れと遭遇。
「むっふっふ~、お主らが立ちはだかるモンスターじゃな! 妾が相手になってやるのじゃ!」
『ぽよぽよ!』
「見た目の割に交戦的じゃな~! 妾も負けてはおれん!」
 にやっと笑って宣戦布告しつつ、ウィンドウから装備を選択。
 唐草模様を施された布が玉明の身体を包む。外套のように纏った布には、真っ赤な獅子の頭に似た飾りが付いていた。
 カチカチ、獅子の顎が軽快な音を鳴らす。
 邪鬼を払う獅子舞に倣った衣装を着て、玉明はくいくいと獅子の頭を動かした。
「お主らも噛まれたいかのぅ?」
『ぽよよっ!』
 誘いに乗り、スライムの群れが殺到する。
 跳ねてから突撃してくるスライムを前に、玉明も一歩踏み出した。
 くるくる踊るように攻撃を回避。唐草の布がひらりと舞い、まるで獅子が踊っているかのようだ。
「こっちじゃよ~♪ 当たらないのじゃ~♪」
 カチカチ。獅子の飾りを右手で持って、黄金に塗られた歯を打ち鳴らす。
 床を蹴り、風に舞う。華麗に、おめでたく。避けるついでに見事な獅子舞を披露する。
『ぽよーっ!』
「おっと! じゃがセーフ――」
 激しくなる攻撃。獅子の頭で弾き飛ばすが、その瞬間に玉明の身体が重くなる。動きの鈍くなったそのときを狙い、スライムたちが一斉に飛びかかってきた。
 自分を潰さんと、波のようにスライムが迫る。玉明は天井を見上げ、またも笑う。
 たんっと蹴り上がり、空気を踏んで勢いよく飛び出す。獅子が大きく跳ねた。スライムの波を抜け、群れの上へと玉明は陣取る。敵の密集具合は十分だ。
「そろそろ頃合いじゃな!」
 カチカチ。音が鳴る。
 バッと玉明は布を翻し――左手に握った芭蕉扇を露わにした。
「ぜーんぶ、吹き飛ばすのじゃ!」
 力を込めて扇を振る。密集したスライムたちに向かって、すべてを吹き飛ばすような突風が放たれた。
『ぽっ……ぽよよーーっ!?』
 ぽよぽよしてても重くはない。鳴き声を発し、スライムたちはぐわんと風に押し流される。発生した強風に逆らえず、そのまま外へと投げ出されていく。落下ダメージはモンスターにも有効だ。
「この先には美味しいご馳走が待っているでのぅ。可愛いスライムでも、構ってあげる時間はないのじゃよ」
 芭蕉扇で肩を叩きながら、玉明は床に降り立った。
 これで邪魔者はいない。あとは最上階のシェフを残すのみ。
「いよいよじゃのぅ……頑張るのじゃ!」
 その期待は料理に対してか、それとも来たる新年に対してか。
 また獅子の頭をカチカチ鳴らし、玉明は最上階へ挑む。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『シェフ・ナカジマ』

POW   :    今日のメニューだよぉ
手持ちの食材を用い、10秒でレベル×1品の料理を作る。料理毎に別々の状態異常・負傷・呪詛を治療する。
SPD   :    デザートもあるよぉ
手持ちの食材を用い、10秒でレベル×1品の料理を作る。料理毎に別々の状態異常・負傷・呪詛を治療する。
WIZ   :    いつもありがとうねぇ
手持ちの食材を用い、10秒でレベル×1品の料理を作る。料理毎に別々の状態異常・負傷・呪詛を治療する。

イラスト:気儘狼工房

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠バルタン・ノーヴェです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●忘年会じゃないけれど
「いらっしゃあい!」
 柔らかな物腰で、シェフ・ナカジマは猟兵たちを出迎えた。敵対する意思はなく、友好的にすら見える。
「クエスト……をクリアした感じじゃなさそうだねぇ。でもここまでよく頑張ったねぇ。好きなもの、なーんでも作ってあげるよぉ!」
 手に持ったハンドミキサーをボウルに当て、ナカジマは次々と料理を作り出す。いい匂いが漂ってくるし、アイテムとして情報を解析しても問題はなさそうだ。
 食べても問題はない。むしろ、食べないことに耐えられそうにないくらい。
 だが、それに目を奪われてしまえば――。

 ——ゴーン……!

 重厚さを感じさせる音とともに、鐘から衝撃波が発生する。フロアの入口に立っていてもビリビリと空気の震えが直に伝わる。もしそれを、フロア中央の厨房にいるナカジマの近くで受けてしまえば……。
 このフロアに壁はない。衝撃波に飲まれれば、フロアから叩き出されるだろう。
 警戒心を強める猟兵。しかし、目の前の光景に気が緩む。
「がががががが……!」
 鐘の衝撃を受け、ナカジマも動きを止めていた。
 少しの時間を置いて、コック帽を被り直す。
「さぁ、みんなは……何が食べたいのぉ?」
 微笑み、シェフは尋ねる。
 忘年会じゃないけれど、それに乗ってやってもいいかもしれない。
 ただ、煩悩に憑りつかれるのはご注意を!
高崎・カント


「もっきゅきゅきゅっ! きゅっぴー!」
すごいのです! ごちそうがいっぱいなのです!
おいしそうなのですー!(じゅるり)

「もっきゅっ!(ローストビーフ!)」
「きゅっぴ!(栗きんとん!)」
「きゅーっ!(お餅!)」
衝撃波なんかに負けないのです!【UC使用】
弾よりも速く、高い塔でもひとっ飛びなヒーローの力で、吹き飛ばされても戻ってくるのです
これは煩悩じゃないのです
ごちそうを食べるぞという強い意志なのです

きゅ? 鐘が鳴るとシェフさんもビリビリなのです?
カントも鐘を鳴らしてみるのです
シェフさんの動きが鈍くなるのを利用して、体当たりなのです!
バグが直って、みんながごちそうを食べられるようになってほしいのです



●もふもふとごちそう
「さぁ召し上がれぇ」
 ハンドミキサーが回れば、料理は次々とカウンターに並ぶ。
 メインからデザートまで。品目の多さに卓上が輝いて見えるほど。
「もっきゅきゅきゅっ! きゅっぴー!」
 ——すごいのです! ごちそうがいっぱいなのです!
 目をキラキラさせて、カントはぴょんぴょんカウンターに駆け寄った。頭に装備した鏡餅もぴょんぴょん跳ねる。
 どれから食べればいいのやら。
 贅沢な悩みにお腹が減って、じゅるりとよだれも出てしまう。
「もっきゅー!」
 ——おいしそうなのですー!
「ゆっくり考えていいからねぇ」
 温厚なシェフは急かさない。
 その優しさが、今回は牙を剥く。
 あれこれと迷うカントの頭上で、橦木がぶんっと振られた。

 ——ゴーン……!

 たちまち発生、衝撃波。
「もっきゅーっ!?」
 間近にいたカントが吹き飛ばされる。くるくる回転して、白い毛玉が西部劇の草のように転がっていく。
 ぱーん。柵が壊れ、そのままカントは落っこちた。空を落ちながらも、目に浮かぶはあのごちそうの数々。
「もきゅきゅ……きゅっぴー!」
 ——衝撃波なんかに負けないのです!
 たちまち、カントの身体が黄金のオーラに包まれる。
 重力に逆らい、カントは空を飛ぶ。びゅおんと風を切り、投げ出された塔の最上階に戻ってきた。
 これは煩悩ではない。
 ごちそうを食べるぞ! という強い意志。
「あ、おかえりぃ」
「もきゅ!」
 何事もなかったかのように挨拶を交わし、カントはさっと皿を取る。
「もっきゅ!」
 まずはローストビーフ。赤身の綺麗なお肉をぎゅーっと噛み締める。濃厚なタレと合わさり、旨味が口の中で弾ける。
「もきゅーっ!」
「デザートもあるからねぇ」
「きゅっぴ!」
 口の周りに付いたタレを丁寧に拭いてから、シェフが差し出した栗きんとんへ。お椀に盛り付けられたさつまいもと栗は、なんだか輝く雲のよう。ぱくりと一口含んで、柔らかい甘みが広がった。
「もきゅ……きゅーっ!」
 あっという間に栗きんとんを食べてしまって、カントはがぶりとお餅にかぶりつく。醤油で味付けされたシンプルな焼き餅は、引っ張ればぐにーっと伸びに伸びる。
 年末年始の料理に舌鼓を打つうちに、また「ゴーン」と鐘が鳴った。
「もきゅ!? ……もきゅっ!」
 お餅を伸ばしながらまた飛ばされたが、今度は早々の復帰。塔から払われる前にカウンターに戻ると——。
「がががががが……!」
 シェフが痺れていた。
「きゅ?」
 鐘が鳴るとシェフもビリビリするらしい。
 そういえば仕事を忘れていた。バグを退治しなければ。
「もきゅーっ!」
 黄金のオーラをまとい、カントは飛び上がる。ぐるんぐるんと旋回して速度を高めていく。
 最大速度に達し、カントは勢いよく鐘に激突した!

 ——ゴーン……!
「がががががが……!」
「きゅっぴー!」
 ナカジマが痺れたのを見て直行。動きの止まったナカジマに体当たり!
 ……なんだか悪い気もするけれど。
「あぎゃ~っ!」
「……もきゅ!」
 心は痛むが、これもバグ退治のため。
 バグが直って、みんながごちそうを食べられますように。
 心の中で、カントはそう願うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天羽々斬・布都乃

『それでは、稲荷寿司をお願いするのじゃ!』
「ちょっと、いなり!?
勝手にシェフに近づかないでください!?」

ああもう、稲荷寿司に目がくらんで、私の声が届いていないようです!
仕方ありません、未来視の瞳で鐘が鳴るタイミングを見通し、衝撃波を回避しましょう。

「いなり、衝撃波が来ます、一時離れますよ!」

稲荷寿司を頬張るいなりを掴んで、衝撃波の範囲から離脱します。

『ほれ、せっかくなのじゃから、布都乃も料理を食べていくと良いのじゃ。
どうせ家に帰っても、おせちを買う金もないのじゃからな』
「ああもう、こうなったら、お正月の分までお腹いっぱい食べますよ!」

衝撃波を避けながら、料理を堪能するのでした。



●大食いシャトルラン
 釣鐘を見上げた。
 衝撃波の発生を警戒して、布都乃は距離を測る。
「不用意に近づくのは危ないですね……ここは一度、鐘が鳴ってから——」
 式神のいなりに作戦への同意を呼びかける。
 しかし、返事はなかった。
『それでは、稲荷寿司をお願いするのじゃ!』
 当の本人は厨房のカウンターでシェフに注文していたから。
「ちょっと、いなり!? 勝手にシェフに近づかないでください!?」
「稲荷寿司だねぇ。わかったよぉ!」
『できれば……油あげは厚いものを使ってくれんか』
「より贅沢なものを頼もうとしてる!?」
 渾身のツッコミも空を切る。いなりは次々完成していく稲荷寿司に気を取られ、まるで声は届いていないらしい。
「くっ……こうなったら……!」
 布都乃は走り出す。鐘を視界に入れて、右目に意識を流し込む。その瞳は光を放ち、空中に未来の情景が描き出される。
「鐘が鳴るタイミングを見通して、避けるしかありません!」
 橦木の衝突、発生する衝撃波。
 現在から数秒後の未来を布都乃は捉えた。
 さらに大きく腕を振って、カウンターに座るいなりの首根っこを掴んだ。掴まれでも未だ、いなりは寿司下駄を片手に稲荷寿司を頬張っていた。
「いなり! 衝撃波が来ます、一時離れますよ!」
『布都乃よ……必死にならんでも、稲荷寿司は逃げんぞ』
「そうじゃなくて! とりあえず逃げますから!」
 切り返し、布都乃といなりはカウンターを離れる。
 直後、鐘が鳴った。フロアの中央から放たれる衝撃波が布都乃たちを追いかける。
「わーっ!?」
 衝撃波の範囲外へ滑り込む。ほとんど転ぶようなかたちで、それでもいなりと寿司下駄は掲げるように持ちながら、なんとか外へ吹き飛ばされるのは回避できた。
 倒れた姿勢のまま、布都乃はぜぇぜぇ息をする。布都乃の手から降りたいなりが、稲荷寿司でちょんちょんと布都乃のほっぺたをつついた。
『ほれ。せっかくなのじゃから、布都乃も料理を食べていくと良いのじゃ。どうせ家に帰っても、おせちを買う金もないのじゃからな』
「でも、衝撃波が……!」
『いまの感じで避ければよかろう?』
 気楽そうにいなりが言う。
 誰のせいで疲れていると……! ツッコミをしようとしたが、このまま帰ってもひもじいのは間違いない。
 大きく息を吐いてから、布都乃も寿司下駄の稲荷寿司を頬張る。ぎゅっと詰まった出汁の味が酢飯を合わさってとても美味しい。
「ああもう、こうなったら……お正月の分までお腹いっぱい食べますよ! 行きますよ、いなり!」
『その意気じゃ、布都乃!』
 強敵を前にしたかのように、布都乃たちはまたナカジマに接近する。
 目的は一つ。注文のため。
「おせち! 三段! 具だくさんで!」
「了解だよぉ」
 聞いたことのない注文方法でおせちを頼めば、ナカジマも喜んで応える。
 数秒すればおせちの重箱が現れる。それを取り、大急ぎで踵を返す。
 鐘が鳴って衝撃波が来る、その前に。
「……慌ただしい!」
『師走は忙しいと言うからのぅ』
「絶対こういう意味じゃないですよ!」
 衝撃波を避けつつ、布都乃といなりは料理を堪能するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード

うーん、運動してお腹空いてるし料理食べたいなあ。
それに攻撃してこない相手を攻撃するのはどうにも気分が乗らないし。
よし、それじゃあこうしようか。
【豊穣樹海】で周囲に樹の迷路を作って衝撃波を防いで、
衝撃波で樹の壁が壊れてこっちに届くまでの間に料理を作ってもらって食べるよ。
今日はお餅の気分だからお餅がいいな。
きな粉餅とか磯辺焼きとか、お汁粉もいいしこの時期ならお雑煮もありだね。

衝撃波がここまで届きそうになったら、
樹羊蹄で床に根を張って体を固定しながら限定装備の杵で衝撃波を出して、
自分の分だけ飛んでくる衝撃波を相殺して防ぐよ。

助けられるんなら助けたいけど、あたしにはどうにもできないしねえ。


李・玉明


獅子舞装備のまま到着!
わーい! ごちそうなのじゃ~♪(カチカチ)
これを楽しみに来たのじゃよ。いただきます!

と、煩悩のおもむくままにナカジマの料理をいただくのじゃが、もちろん対策は用意してるのじゃ!
ビッグ・ザ・老君に守ってもらうのじゃ♪
『オオオオ!(儂がユイミンを守るぞぉ!)』
※老君の声は動物会話を持たない玉明には雄叫びにしか聞こえません。

ん~♪
伊達巻もローストビーフも、どれも幸せになる美味しさなのじゃ!
すぐにお腹いっぱいになるから、少しずつ小分けにして食べるのじゃ!
『オオオオ!(ええい、ユイミンの食事の邪魔をするな!)』
※老君が釣鐘を殴ってナカジマに衝撃波を叩き込みます。

ごちそうさまでした!



●風流グルメ、衝撃波付き
「わーい! ごちそうなのじゃ~♪」
 カチカチ。真っ赤な獅子の頭を鳴らし、玉明がカウンターに駆け寄る。
 唐草の布をまとって踊り歩く。獅子舞が小躍りしているようにも見えた。
「はいどうぞぉ。じゃんじゃん持ってってねぇ」
 仕切りのある箱にいろいろな料理をナカジマは詰める。
 伊達巻にローストビーフ。ナカジマは玉明の食べたいものを汲み取って、完璧なオードブルを作り上げた。
「おおっ! これを楽しみに来たのじゃよ!」
 身体を揺らし、またカチカチと獅子の頭を鳴らす。
 その様子を傍から眺め、ペトは少々考える。
「うーん、運動してお腹空いてるし、あたしも料理食べたいなあ」
 杵を肩に担ぎ、一瞥するは設置された大きな鐘。
 ナカジマ本人からの攻撃はない。問題が鐘の発する衝撃波だけなら、それさえ対処すればいいような気もする。
 そもそも、攻撃してこない相手を攻撃するのはどうにも気分が乗らない。
「うん、あたしもパス」
 整理をつけ、ペトは一人頷く。杵の頭を下げ、彼女もカウンターへ近づいていく。
「シェフ、料理作ってもらえる?」
「もちろんだよぉ。何がいい?」
 もちもちを杵でぺたぺたしたさっきの出来事がペトの中で蘇る。
 ぺたぺたというにはいくらか威力は大きかったが。
「今日はお餅の気分だからお餅がいいな」
「はぁい」
 ナカジマが調理に取り掛かり、ペトはちらっと上を見た。
 鐘に見合う大きさの橦木が現れ、グググ……と引っ張られつつある。
「さーて、そろそろ構えないとねぇ」
 気怠く言い、カウンターから十歩程度距離を取った。
「よっと」
 床に触れ、自身の腕を植物へと変化させる。生命力を流し込むと、急成長した樹木が床を突き破って再び地上に現れた。樹木は枝分かれし、迷路のような小さな林がペトの前に構築された。
「これでしばらくは耐えられるよね」
 幹をぱしぱし叩く。強度に異常なし。
 安全確認をするペトの手元へ注文した料理が届く。
 この時期ならではのお雑煮、海苔が香ばしい磯辺焼き。きな粉がまぶしいきな粉餅に、たくさん小豆の入ったお汁粉。
「どれも美味しそうだねぇ……」
「ふっふ~! 妾も対策は万全なのじゃ!」
 しみじみと座るペトのところに、横から玉明の元気な声が飛んでくる。
 玉明もまた、盾に背中を預けていた。
 重厚な装甲に巨大な脚。玉明の何倍もある、8mもの巨人型宝貝。
 人(玉明)呼んで——ビッグ・ザ・老君。
「では頼んだぞ、ビッグ・ザ・老君!」
『オオオオ!』
 ——儂がユイミンを守るぞぉ!
 気合十分な雄叫びがフロアに響き渡る。白く立派な髭をたたえ、ビッグ・ザ・老君は玉明の前に立った。まぁ、心の声みたいな部分は玉明には聞こえていないのだが。
 頼もしいボディガードの足元に座り、玉明は箱に向かって手を合わせる。
 同時にペトも、周りに並んだお椀の一つを両手で持った。
「いただきまーす!」
「いただきます」
 鐘が鳴ったのはちょうどそのとき。

 ——ゴーン……!

 衝撃波がすべてを吹き飛ばさんと放たれた。
「ん~♪ やっぱり絶品なのじゃ~!」
 伊達巻を口に運び、玉明は頬に手を添える。素朴な甘みが広がる、愛らしい渦巻き。パクパクと箸が止まらない。
「あったかいもの食べると落ち着くなぁ」
 ずずずっと、ペトが啜るのはお雑煮の汁。野菜も口にかき込んで、いよいよお餅にかぶりつく。出汁を吸ったお餅は味が染み込んでいて、噛めば噛むほど旨味が出る。
 季節の味に浸る二人の真横を、衝撃と突風が通過していった。
 バキバキバキ! と、ペトの生やした木々が音を立てる。中央に近い木は砕かれたようだが、お構いなしにペトはお餅をもぐもぐ頬張っていた。
 玉明も嬉々として箱の中身を食べ進める。
『オオオオ!』
 腕をクロスさせて踏み込み、ビッグ・ザ・老君は防御姿勢を取る。衝撃を受けてもびくともしない強靭さを発揮し、主の食事の安全を徹底して守っていた。
 そんな老君の後ろで、玉明はいよいよローストビーフに手を付ける。一枚の肉を持ち上げ、あーんと大きく一口。
「うまぁ~! どれも幸せになる美味しさなのじゃ!」
 にんまりと微笑む最中も鐘の音と衝撃波は起こる。
 繰り返し、繰り返し。ゆっくり食べ進めていれば何度も鐘は鳴るわけで。
 バキバキ……! 木の折れる音が減り、ペトは背後に風を感じた。
「そろそろまずいかなぁ」
 残りの磯辺焼きを口に放り込み、よいしょと立ち上がる。砂糖醤油の風味ごとごくんとお餅を飲み込んで、片手に杵を持つ。もう片手にはきな粉餅の皿を持つ。
 鐘が鳴り、また衝撃波が来る。それを待ち、待ち時間できな粉餅をつまむ。
 床に根を張って自分を固定。迫る衝撃に、ペトは杵をぶん回す。
「ほいっと」
 衝撃を相殺。きちんと防げたのを確認し、また一つお餅をつまんだ。
 ただ、万事がずっと上手くいくわけでもない。
「あっ、妾の伊達巻が!」
 うっかり老君のカバー範囲から出てしまい、玉明の伊達巻が箸もろとも吹き飛んだ。伊達巻も代えの箸もあるから大したことではない。
 だが確実に、老君の逆鱗には触れた。
『オオオオ!』
 ——ええい、ユイミンの食事の邪魔をするな!
 ついにビッグ・ザ・老君が動く。
 振り上げられた巨腕が釣鐘をぶん殴った。まっすぐな拳は一瞬、鐘を歪ませるほどだった。
 ——ゴーン!
 直下的な衝撃がシェフ・ナカジマを襲う!
「がががががが!?」
 大きな音に連動するように、衝撃波はナカジマに叩き込まれた。それでも老君の怒りは晴れない。
 さらに一撃加えようと拳を引く老君の足元で、玉明は再びぱんっと手を合わせる。
「ごちそうさまでした!」
 箱は空っぽ。もう満腹だと息を吐く。
 だからか、老君の暴走には気づいていない。
「……あーあ」
 遠巻きに、ペトはその様子を眺めていた。お椀を傾け、シメのお汁粉を啜りながら。
「助けられるんなら助けたいけど、あたしにはどうにもできないしねぇ」
 バグを元に戻す方法は知らない。自分は部外者だ。
 たぶん、荒治療も必要なのだろう。これが効くのかはわからないけど。
 ペトが傍観している中、老君がまた拳を振るった。
 ——ゴーン!
「それにしても……なんだかんだ、鐘が鳴ると風流なんだねぇ」
 ナカジマに衝撃が降り注ぐのには目を瞑って、ペトはお汁粉を流し込む。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アイビー・リリオペ
今日も今日とてAIか、PLか、本猫も分からないので、気楽に過ごす
姿が小さい白猫、隠密行為での行動が得意
みかんを頭に乗せたままいざシェフの元へ、意気揚々と

にゃー…んに(「臭いは…良し」においに敏感、くんくん鼻を近づけて耳をぴるぴる)
ふー、みゃっみゃっ(「敵が出すものは遠慮したいね」疑いの眼差しでじーっと見つめ)
んなぁーん(「お魚肉が好き」聞かれたらと興味を持っているかの様に甘える声で)
※猫の鳴き声、「」意思疎通、ソレっぽく行動、アドリブ絡み歓迎

猫っぽくあざとく、するりと懐に入って…こっそり影から闇に紛れたスワロウテイルの攻撃を
早業でちょちょいのちょい…4回入ればこっちのもん


蛇喰・柊
堀戸珈琲マスターにおまかせします。

クラッカーで助かった。あれの威力は驚いたけど…なかなか便利だったな。
足【早業】と【アクセルコンボ】隙を見て手数押し
影からの【シャドウパリィ】手足で受け流すスタイル
UC:どれを使ってもOK ※発動時の台詞等はお任せ

倒す敵がいるなら進んで突き進むけど、時には援護も視野に
動物系にはちょっと…ほんのちょっと(相手にもよる)戸惑うかもしれないが、タヌキは…嫌いじゃないけど厄介そうなんだよな。
デザートを押すなっ、誘惑するなっ(←激甘党)治療が間に合わない程、容赦なく蹴りを叩き込む。大怪我しない程度に、攻撃には参加するか…

仲間や味方には協力的、良好な絡みやアドリブ大歓迎。


フラン・レオニズ
※アドリブ連携、歓迎

いやぁ、杵めっちゃつよい!ブチのめし甲斐があったなぁ!
地割れとかも…もういっちょぶん回してもいいけど…タヌキ?
鍋にぶち込もうぜ。
匂いも相まって食べることに頭が欲望開放遠慮なく突撃

バプテスマ(WIZ)でありがとうと言われながら特に気にする様子もなく
死角攻撃や言いくるめでのらりくらりとかわしながら攻撃の準備に、物色するようにあたりをウロウロ(種子真言を仕掛けて)
あとはうまく連携できれば、連続コンボの極大ダメージで仕留めるぜ。

ってか、結局旨いものにはあり付けるのか?
じゃないと、喰っちまうんだぜ。



●鐘は鳴り終わる
 ちりんと小さな鈴の音を鳴らして、一匹の白猫がフロアを往く。
 てとてとてと、アイビーが歩く。頭に乗っけたみかんも揺れて、厨房のカウンターへぴょんと跳び乗った。
「……みゃーん?」
 疑問符を浮かべるように頭が傾く。
 アイビーが見つめる先には、ノイズの混ざったシェフ・ナカジマの姿があった。
「いてて……あ、いらっしゃあい!」
 猟兵による攻撃や衝撃波の飛び火を受け、ダメージは蓄積。
 それでも同じ台詞と挙動を繰り返している。
「ふふ、何にするぅ?」
「にゃー……」
 微笑むナカジマに、アイビーは警戒の視線を返した。
 最上階への来客はさらに増える。
「いやぁ、杵めっちゃつよい! ブチのめし甲斐があったなぁ!」
「クラッカーで助かった。あれの威力は驚いたけど……なかなか便利だったな」
 異形の脚で床を踏み締めるフラン。飾り付きの杵を軽々と振り回し、敵を吹っ飛ばした感覚に未だ浸っていた。
 その後から柊も最上階へ到着。赤い瞳で標的を探し、中央のカウンターに敵を捉えた。
「あいつがバグプロトコルか」
「ふーん……タヌキ?」
 柊の呟きにフランもそちらへ視線を投げる。
 厨房から漂う美食の匂い。深く吸い込むと、頭の中は食事のことでいっぱいになる。
「いいじゃん。鍋にぶち込もうぜ!」
 食欲に意識を譲り渡し、欲望のままフランは突撃。片手に権杖、片手に杵。端から叩き潰すつもりで疾駆する。物々しい足音がフロアを乱していく。
「にゃ?」
「え、わわっ、待ってぇ!? 僕は食べても美味しくないよぉ!?」
「食わねぇとわかんねぇだろ!」
 接近するフランをアイビーはただただ眺め、ナカジマは慌てふためく。
 ぶん回した杵がナカジマに直撃する瞬間——カウンターに土鍋が現れた。
「……あ? 鍋?」
 フランの手が止まる。よく嗅いでみれば、芳醇なモンスター肉の煮える匂いがした。
 素材として採取できる野菜や魚も合わせ、ほかほか湯気を立てている。
 あらゆる角度から、突如出現した鍋をフランは観察する。カウンターの前をあっちへこっちへ行ったり来たり。
「本物……で間違いないか」
 用心深く匂いを嗅ぐのはアイビーも同じ。周りをくるくる回って、熱々の鍋にひくひく鼻を近づけた。熱気にびくっとして離れ、耳をぴるぴるさせる。
「にゃー……んに」
 匂いは……良し。合格ラインではある。
 しかしバグが出現させたであろうもの。それに猫は猫舌だから、熱いものは食べられない。
「ふー、みゃっみゃっ」
「そうだそうだ、こんな飯で釣られねぇぞ」
 敵が出すものは遠慮したいね——冷静な見解を述べるアイビーに、フランも同意する。ナカジマはくすっと笑い、ハンドミキサーを回転させた。
「なら、もっとたくさん召し上がれぇ」
 ボウルから現れるは大量の料理。肉や魚をそのまま使ったメインディッシュが並ぶ。
「気になるものあるぅ?」
「……んなぁーん」
 聞かれれば、アイビーは甘えるような声で鳴く。前脚で刺身の載った皿を指すと、ナカジマが切り身を取り分けて差し出した。
「にゃーん!」
 きらきらと目を輝かせ、アイビーは刺身にかぶりつく——ふりをした。
「いや、でも……食うのはまずいか……?」
「先に仕留めればいいんじゃないか?」
 葛藤するフランに、奥から歩いてきた柊が言う。視線をナカジマへ移し、冷ややかにタヌキのシェフを見つめた。
「敵意がなくてもお前はバグなんでな。さっさと退治されてくれ」
「わっ、待って……!」
 慌てるナカジマの声も聞かず、柊は靴裏で床を擦る。立ち昇る闇のオーラが彼の脚にまとわりついていく。
 その最中。
「はいっ!」
「は……?」
 赤いムースと白いクリームの層。見ているだけで甘そうなパフェを、ナカジマは柊に差し出した。
 まさしく悪魔的。味を想像して、柊はごくりと唾を飲み込む。激甘党からすれば、目の前にあるのが極上の一品であるのは疑う余地もなかった。
「好きでしょ? 苺のスイーツ! ムースとクリームたっぷりだよぉ?」
「や、やめろっ! デザートを推すなっ! 誘惑するなっ!」
 パフェを差し出すナカジマの手を押し返す。見れば見るほど惹かれて手に取ってしまいそうになる。
 ぐいぐいパフェを押し付け合う不思議な喧嘩を、アイビーが眺めていた。間近でナカジマの隙をうかがっていた、その耳がぴんと立つ。
「にゃおーん!」
 鳴き声を発し、カウンターの裏側へ隠れる。
 フランと柊も我に返り、警戒のため身構えた。
 間違いなく、来る。

 ——ゴーン……!

 強烈な衝撃波が二人を薙ぎ払う。よほど重くない限り、一度|吹き飛ばす《ノックバック》性質。ゲーマーとしての直感が働いた。
「やっぱさっさとぶっ潰すか!」
 吹き飛ばされながら、フランは複数本ある腕で杵の柄を握り締める。人型の上半身を捻じり、戻る勢いで後方を叩く。生じた衝撃が反発する力となり、逆に前へと弾かれた。
「たしかに、容赦してると殺されるな!」
 柊も指を弾く。背後に巨大ニューイヤークラッカーを呼び出し、足場として踏みつける。同時にアイテムとして使用。砲撃を受けて自身が飛び出し、衝撃波の影響を脱する。
 着地した柊は床を蹴り、ナカジマとの距離を詰めていく。二人の意識は戦闘へと切り替わっている。衝撃波を受けて痺れるナカジマを視界に捉え、フランは鋭い牙を覗かせた。
「まだまだ痺れてもらわねぇとな。耐えうるものは……強者なり!」
 権杖を掲げたそれが合図。
 轟音とともに、ナカジマに向かって裁きの雷が降り注ぐ。極太の雷撃は無慈悲にナカジマの身を焼き尽くす。土鍋を前にうろうろしていたのは、発動に必要な種子真言を撒くためだ。
「ががが……!?」
「さっきやり損ねたこれ——お前にやるよ!」
 再び、杵の柄を握ってフランが上半身を捻った。ぐぐっと力を溜めに溜める。限界を迎えた瞬間、回転によって杵を投擲した。宙で何度も円を描きながら、杵は猛烈な速度でナカジマへ飛んだ。
「がぎゃっ!?」
 直撃した杵がナカジマを空中へ吹っ飛ばした。山なりに飛び、真っ逆さまにフロアに落ちる。
 落下地点。柊が待ち構えていた。
 タヌキは嫌いじゃないが、厄介なら蹴り飛ばすしかない。
「さて……今日は何回続くだろうな?」
 闇をまとった肘打ちが、落ちるナカジマを受け止めた。
 パリィ判定を引き出し、相手を空中に固定。立て続けに直蹴りと回し蹴りをナカジマへ叩き込む。マーシャルアーツによる連撃はまだ続く。
 あらゆる足技を重ね、固定が終わるまで時間にラッシュを決め込む。ナカジマを蹴って跳び、空中で何度も踏みつける。じきにパリィによるボーナスタイムは切れる。
 3、2、1……!
「それじゃあな!」
 落下しながら、柊は真横にナカジマを蹴り飛ばした。直線を描くように、ナカジマはカウンターのある厨房へぶっ飛ばされる。
 ゲームプレイヤー二人が繋いだコンボのリレー。
 カウンターで、ちりんと小さな鈴の音が鳴った。小柄な身体をカウンターに隠し、衝撃波をやり過ごしたアイビーが身構える。
「にゃん……にゃおん!」
 激しくノイズが入り乱れるナカジマを、色の異なる瞳が捕捉する。
 バグであるなら解体するのが解体屋の役目。本当は無害なNPCであろうと。
「みゃっ!」
 ナカジマに飛びかかった瞬間、アイビーの身体は液状になった。形を変える水のように鋭く尖り、相手の身体を切り裂く。
 スワロウテイル——金属で構成された揚羽蝶。口に咥え、またするりと方向転換。
 ちょいちょいのちょい。懐に入り、目にもとまらぬ切断攻撃。4回入ればこっちのもん。
 2、3と蝶による斬撃を重ねる。最後になる4撃目、アイビーは溶けて跳び上がり、ナカジマの真上を取った。
「にゃうんっ!」
 降雨のように飛びかかり、金属蝶の躰でナカジマを斬る。途端にナカジマの身体はデータとなり、バラバラと分解されていく。
「またどうぞぉ!」
 定型文を発し、光となって消え去った。
「にゃっ」
「ちっ、消えたか……」
 任務完了とばかりに鳴くアイビーの後ろで、フランが名残惜しそうに呟いた。取って喰おうと考えていたが、その肉が消えてしまっては仕方ない。
「……アイテムは残るみたいだな」
 カウンターに戻った柊が卓上の様子を確認する。先ほど出現した土鍋や刺身はまだ残っていた。もちろん苺のパフェも。
 無言でパフェを眺め、柊は最終的にパフェをアイテムとして収納した。
「回復のために食べるのはアリかもな……」
「おおっ、旨いものにはありつけるのか! じゃ、食うとするか!」
「にゃーん!」
 気づけば、巨大な釣鐘も消えている。バグの退治は上手くいき、クエストは正常化したと見ていい。

 料理を堪能した猟兵たち。
 鐘は鳴り終わり、新しい年がやってくる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『フリーマーケットオンライン』

POW   :    いい装備やアイテムがないか探してみよう

SPD   :    ぶらぶら散歩がてら見て回ろうかな

WIZ   :    引退予定者から限定アバターの出品が……!?

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●フクヨコイコイ・オンライン
 バグの原因を退治し、塔を降りた猟兵たち。
 塔の足元に広がる市場はプレイヤーやゲームキャラたちで賑わっていた。
「剣はいらんかねー? いまなら呪文書もオマケで付けちゃうよ!」
「新年運試し! おみくじに福引き、福袋もあるよー!」
「おまんじゅうに甘栗、熱々の肉まん! 今しか食べられない味だよー!」
 プレイヤーによるフリーマーケットから、新年限定のショップまで開店中。掘り出し物も探してみるか、運試しをいろいろ試してみるか。
 たらふく食べた直後だが、屋台もたくさん出店しているようだ。食べ足りないなら買い食いしていくのもまた一興。
 この市場での出会いが福を呼びますように。
 めでたい気持ちとともに、猟兵たちは市場へ踏み出す。
天羽々斬・布都乃

「わあ、賑わってますね!」

うちの神社には新年でもご近所さんくらいしか来ないので、こんなに屋台や人で賑わうお正月は初めて見るかもしれません。

「けど、なんかみなさん、こっちの方をジロジロ見てますね?」
『まあ、布都乃のその格好ではのう』

いなりに指摘されて、ようやく思い出しました。
私が今、露出度の高い巫女服という格好だということを!

「ちょっと、いなり!
早く教えてくださいっ!
ちょ、ちょっと物陰で装備を元に戻してきます!」
『やれやれ、布都乃は騒がしいのう。
さて、妾はプレイヤー製の特製稲荷寿司を買うとするかの。
レアな材料を使っておったら、シェフの稲荷寿司に匹敵する味になっておるかもしれんしの』



●福来る(子狐限定)
 紅白に彩られた提灯飾りの下を大勢の人々が行き交う。
 両脇には屋台が並ぶ。呼び込みの声が喧しく重なり合っていた。
「わあ、賑わってますね!」
 人混みの中、布都乃は笑みを零す。
 実家も神社ではあるのだが、一年通して人が来ない。新年ともなれば参拝に来る人はいるものの、それでもご近所さんくらい。ここまで人や屋台で賑わう正月は布都乃としても初めてだった。
 浮かれつつ、通りを歩く。
 屋台やそれを楽しむ人とやたら目が合う。
「……なんかみなさん、こっちの方をジロジロ見てますね?」
 こっちに視線が集まっている。
 巫女が珍しいのか、いやゲームの世界なんだし……と考えていると、肩に乗せたいなりが呟いた。
『まあ、布都乃のその格好ではのう』
 言われて、ようやく布都乃は思い出す。
 自分がいま、露出度の高い巫女服を着ていることを。
「ひゃっ!?」
 脇を締めてヘソを隠し、ぐーっと裾を引っ張る。できるだけ隠そうとしてみたが、やっぱり全然隠せない。むしろ全く動けなくなってしまった。
「い……いなり! 早く教えてくださいっ!」
『いや、堂々としておったから慣れたのかと思ってな』
「慣れるわけないですよっ!? ちょ、ちょっと物陰で元に戻してきます!」
 赤面しながら布都乃は人を掻き分けていった。
 その場に残され、いなりが独り息をつく。
『やれやれ、布都乃は騒がしいのう。さて……妾はプレイヤー製の特製稲荷寿司を買うとするかの』
 人々の足の間をすり抜け、フリマエリアへ移動。
 もしレアな素材を使っていたら、シェフの稲荷寿司に匹敵する可能性は多分にある。採算を考えないプレイヤーだからこそ創れる味がきっとあるはず。
 こういうとき、いなりの直感……もとい嗅覚は鋭い。
『……そこじゃな!』
 狐の細目がカッと開く。穿つような視線で見た先、そこに座るは全身鎧のプレイヤー。
「……バレましたか」
『妾の目は誤魔化せぬ。お主……手練れの料理人じゃろ?』
「ご名答。一見さんお断りなのですが……あなたには差し上げましょう」
 プレイヤーが包みを開くと、稲荷寿司が現れた。
 輝きを放つお揚げに頷き、ぱくりと一口。
『これは……!』
 奥に感じる、上質な風味。高レベルモンスターの肉に高所にしか生えない薬草と、鎧の隙間からつらつら素材と製法が飛んでくる。
 ごくんと酢飯を飲み込めば、喉を幸せが駆けていく。
『うむ……今年もいい一年になりそうじゃの』
 なんかいい感じに風の吹いている方向を向き、いなりは言う。
 主は早速災難な目にあっているのだが、それはそれである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

高崎・カント
「きゅっぴ! もっきゅきゅー!」
すごいのです! 人が一杯なのです!
つい楽しくなって踊っちゃうのです
もきゅ? 踊ってたらお金を貰えたのです!
わーいなのです! お買物するのです!

一人でお買物は初めてなのです! 
猟兵になったら、初めてのことだらけなのです
珍しいもの一杯で、きょろきょろしちゃうのです
おいしそうな匂いもするのです
さっき、おいしいものを一杯食べたけど、甘い物は別腹なのです

おまんじゅうを齧りながらお買物なのです!
キラキラのアクセサリーや、見たことのない珍しい雑貨にワクワクなのです
福袋? 何が入ってるかわからないのです?
もきゅん! 面白そうなのです!
これくださいなのです!(中身はMSにお任せ)



●新年、初めてだらけ
 人、人、人。
 見上げる景色にはたくさんの人。通りの向こうまで賑わいは続いている。
「きゅっぴ! もっきゅきゅー!」
 ——すごいのです! 人が一杯なのです!
 初めての風景に、ぴょんぴょんとカントの身体が跳ねる。
「もーきゅ! もきゅもきゅ!」
 ゆらゆらくるくる。楽しさからつい踊り出してしまう。
 通りの真ん中で踊るモーラット。それが注目を集めないはずもなく。
「見て見て! 可愛い~!」
「もっとやってみせてくれ!」
「もきゅ? ……きゅっぴー!」
 拍手と歓声、ついでに降り注ぐのはゲームコイン。
 より楽しくなって、カントはさらに踊り続ける。

「もっきゅ~! もきゅきゅっ!」
 ——わーいなのです! お買物するのです!
 金貨袋を持ち、カントが道を跳ねる。
 踊りに踊っても疲れ知らず。何を買おうか、屋台に視線を飛ばす。
「きゅ~……!」
 猟兵になってから初めてのことばかり。
 賑やかな人通りも、一人でのお買い物も。
 屋台には珍しいものがたくさん並ぶ。決めあぐねてきょろきょろするカントの鼻先を、美味しそうな匂いが掠める。
「もきゅっ……!」
 美味しいものならさっき山ほど食べたけど、甘いものは別腹。
「もきゅ~!」
 紅と白、二色の綺麗なおまんじゅう。がぶっと齧ってみれば、ほろり餡子が口に広がる。
 おまんじゅうを頬張って、まだまだカントのお買い物は続く。
 やって来たのは雑貨の屋台が並ぶ通り。宝石を使ったキラキラのアクセサリーに、ちょっと怪しげな魔法の道具。
 見たこともない珍品奇品に目を奪われ、ワクワクしながら通りを進む。
「新年の運試し~! 福袋はいかがかな~!」
「きゅぴ?」
 屋台の棚に積まれているのは大量のプレゼントボックス。
 何が入っているかわからない。中身は開けてみてのお楽しみ。
「もきゅん! もっきゅー!」
 ——面白そうなのです! これくださいなのです!
 屋台に飛びつき、一つめでたくご購入。
 ガサガサとカントは箱を振ってみる。何かが音を立てるが、やはり中身はわからない。
「きゅっぴ!」
 箱を開けると、アイテムが勢いよく飛び出した。
 ふわふわと光をまとって浮かぶ。
 出てきたのは——ドラゴンの角がついたカチューシャだ。
「もきゅ?」
「おっと、当たりだね! そいつはドラゴン素材を使った本物なんだよ!」
「……もっきゅー!」
 早速付けて跳ねてみる。ぱたぱたマントで滑空すれば、なんだか強いドラゴンの気分。
「きゅぴきゅぴ!」
 新しい年はまだ始まったばかり。
 カントの初めてだらけな冒険も、まだまだ続く。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード

さて、それなりにお腹は膨れたけど、もう少し入るし何か美味しそうなものはあるかな。

これはパイかな?ガレット・デ・ロワね。
へー、おみくじが中に入ってるんだ。
中に入ってるんじゃなくて食べ終わると持ち物に追加される?そこはゲームっぽいねえ。
それじゃあ一つ買ってみようか。何が出るかな?(※結果はお任せ)
ま、良くても悪くてもそれであたしのやる事が何か変わるってわけでも無いんだけどね。

お、甘酒もあるね。あー、あったまるなあ。
去年も色々あったし新年も色々あるだろうけど、いい年になるといいねえ。



●ガレット・デ・ロワと混沌獣
 けぷ……と息を吐き、混雑する通りを歩く。
 お腹を擦ってみて、容量の具合をペトは考える。いまはたらふくお餅を食べた後。
 しばらく考えて、最終的に「まだ行ける」に落ち着いた。
「さて、それなりにお腹は膨れたけど……もう少し入るし、何か美味しそうなものはあるかな」
 食べ物系の屋台を見つけては、ペトはちらちら視線を飛ばす。
 肉系に粉モノ、スイーツにドリンク。入り乱れているが、そこはゲームなのでご愛敬。
 ふと、ペトの目がある屋台に留まった。
 焼き目のついた大きなパイが店頭に並ぶ。興味を惹かれ、ペトはその店へ歩み寄った。
「これは……パイかな?」
「そうですね。こちらはガレット・デ・ロワという種類のものでして」
「ふーん……」
 店員の説明を聞きつつ、置かれた立て看板に目を落とす。
「へー、おみくじが中に入ってるんだ」
「はい! ですが正確には……食べ終わると持ち物に追加されるんです!」
「そこはゲームっぽいねえ」
 頷いて、ペトは懐からコインを一枚取り出した。
「それじゃあ一つ、買ってみよう」
「お買い上げありがとうございます!」
「あ、包まなくていいよ」
「へ?」
 不思議そうにする店員から、ペトは一枚の大皿パイを受け取った。
 そのまま手で持ち、がぱりと口を開く。
「いただきます。……何が出るかな?」
 がぶり、パイへかぶりついた。広がるはアーモンドの風味。大きな一口で、ペトはお構いなく食べ進めていく。
 おみくじが中に入ってないのは好都合だな、と思う。もし入っていたら、うっかり飲み込んでいたかもしれない。
「ごちそうさまでした」
 あっという間にパイを食べ終え、ペトは口元についた食べかすを払う。
 それで結果はどうなっただろう。アイテムのウィンドウを開いてみる。
「金のコイン?」
「すごいです! それ一等ですよ!」
「なるほどねえ」
 関心薄そうにペトは返事をした。
「嬉しくないんですか?」
「まー、嬉しいは嬉しいけどさ」
 コインを取り出し、指でコロコロ転がしてみる。
「良くても悪くても、あたしのやることが何か変わるってわけでもないからねえ」

 升に注がれた真っ白な甘酒を眺める。
 くいっと傾ければ、ほのかな甘みが喉をつたう。
「あー、あったまるなあ」
 ガレット・デ・ロワの屋台を離れ、甘酒の屋台へ。
 傍らにあるベンチに腰を下ろしていた。
 賑わう通りを眺め、ペトは呟く。
「去年も色々あったし新年も色々あるだろうけど、いい年になるといいねえ」
 悠々と、自分の往く方向へ。
 甘酒を啜り、ペトは目を瞑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイビー・リリオペ
ギルド受付はお休み、本猫のまま気楽に過ごすのんびり屋
姿が小さい白猫、隠密行為での行動が得意
※シナリオに合うユーベルコードであればどれでも使用

なーぅ(「ください」と、狙った屋台でたしっと前足を踏み踏み)
ふにゃん、みゃーん(「もう一つ、欲しいな」するりとおねだりする様に寄って甘える様な声を上げ)
んーにゃ、んにゃ♪(「んー、うみゃい♪」一杯ほおばってご機嫌な尻尾に耳がぷるぴる)
※猫の鳴き声、「」意思疎通、ソレっぽく行動、アドリブ歓迎

猫っぽいあざとさを発揮し、美味な食べ物を探し屋台をふらりふらり
グルメなので、くんくんとしっかり香を確認



●猫の食べ歩きグルメ
 シャンシャンシャンと鈴を鳴らして、通りの端を白い猫が歩く。
「みゃー……」
 すいすい器用に脚の間を通り抜け、アイビーは立ち並ぶ屋台を見上げる。
 バグプロトコルも退治して、ギルド受付は本日休業。あとは自由に気のままに、美味しいものでも食べて過ごせたらさらに良し。
「……にゃーん?」
 ある屋台の前を通りかかって、アイビーが首を傾げる。
 見かけは普通の屋台。何ならテントの布はツギハギだらけだ。けれど、その前には長蛇の列が形成されている。
 何かある、と閃くのが野生の勘。睨みをきかせてから、大きな鳴き声をアイビーは発した。
「にゃおーーん!!」
 ——ステータスオープン!
 その対象は行列のできる屋台。ギルドスタッフの技能だが、職権乱用には当たらないはず。たぶん。
『情報:老舗冒険酒屋——その出張店。門外不出のオリジナルスパイスによる味付けを施した、串焼き魚が人気メニュー。列の待ち時間は推定——』
「……ふにっ」
 表示されたウィンドウを流し読みして笑う。
 ロックオンして、アイビーはとてとて店の方向へ歩いていった。

「なーぅ」
 屋台のカウンターに上がり、たしっと前足を踏み踏み。「ください」と話すかのように鳴き続けていると、気付いた店員がアイビーの近くへと寄ってきた。
「あれ、君……お腹空いてるの?」
「みゃう」
 こくんと頷き、瞳をうるうる。
 じーっと見つめ続けていれば、店員はほろりと笑みを零した。
「わかったよ。それじゃあこちら……召し上がれ!」
「みゃおん!」
 焦げ目のついた香ばしい匂いの焼き魚が、皿に載せられてご登場。
 パリッと焼けた皮から、ふっくらと油の乗った身が覗く。
 鼻を近づけて、くんくん匂いを嗅いでみる。ハーブのような独特の匂いを放ちながらも、決して嫌味には繋がらない。
「にゃん!」
 まずは一口。凝縮された旨味が口の中で踊る。細かい骨は除かれているようで、バクバク食べ進めることができた。
「え……もう食べちゃったんだ?」
「なーぅ……」
 早速平らげ、皿の上はまっさら。満足できたならよかった、と呟いて、その皿を店員が下げようとしたとき。
「ふにゃん、みゃーん」
 すりすり、腕に近づいて甘い声。おねだりするような愛らしい挙動に、店員もとうとう折れた。
「もう一つ欲しい? しょうがないなぁ……はい、お待ちどお!」
「にゃおん!」
 出てきた焼き魚に、アイビーはまたまたかぶりつく。
「んーにゃ、んにゃ♪」
 美味しいものを一杯頬張って、尻尾はご機嫌、耳はぷるぴる。
 この後も猫らしいあざとさを発揮して、アイビーは市場をふらりふらりと歩き回るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フラン・レオニズ
※アドリブ連携、歓迎
どんなゲームもやってみよう精神の人外姿のゲームプレイヤー
勿論、レアアイテム探し…収集要素や未知なモノが好きだからな。
こういう時こそ、宝探しじゃん。野生の勘も働かせながら良さげなモノとか、視たことあるレア狙い。それ以外は割とドライにスルーしていこう!

そうさな、適度に誰かに聞きながら探りを入れるのもありなのか?
とすれば、言いくるめでこんな(アイテム:武器飾り)感じの特殊系は~とか聞くのもありか。
装飾系とかエフェクトがらみの物とか、見つけたいんだよな。

ま、なければ残念そうに帰るしかないよな…潔良くなくちゃだぜ。



●蚤の市の奇妙な出会い
 屋台やテント、中には布を敷いて椅子を置いただけの簡素な作りのものまで。
 フリーマーケットエリアには、プレイヤー・ノンプレイヤーを問わずたくさんの人影があった。
「こういうときこそ、宝探しじゃん?」
 獣の四足でエリアに入り、フランは場内の様子を見回してみる。
 こちらには剣士向けの剣と鎧の店、あちらには魔導士向けの呪文書とポーションの店。ジョブを特定しない装備も含めれば多種多様なアイテムが売りに出されている。
「ま、宛てなく探してみるのも楽しいだろ!」
 そう言ってフランはうろうろと通りを歩く。店頭に出ているアイテムを凝視し、ピンと来たら手に取る。片や興味のない店はドライにスルー。見たことのあるレアアイテムも狙いつつ、いろんなアイテムを目にして楽しむ。
 剣、杖、書物。どれも魅力的だが……本当に欲しいジャンルのアイテムは見当たらない。
「これは……誰かに探りを入れるのもありだな」
「そこのあなた、何かお探しで?」
 あるテントの前で、行商人らしき者に声をかけられた。このまま彷徨っても進展がないので店に近づく。怪しい魔法道具を扱う店らしく、店員は目元まで深々とフードを被っていた。
 店内をぐるっとフランが眺める傍ら、店員はにこやかに話し始めた。
「それで、お求めの品はなんでございましょ」
「んー……ここってさ、装飾系とかエフェクトとかって置いてないのか?」
 大きく切り出し、フランは説明を続ける。武器につける感じのアイテムで……と探し物について話し終えると、店員が悩み出す。流石にないか、と潔く帰ろうとすると、慌てたような声で引き留められた。
「お待ちください! 実はウチ……こんなものがございまして」
 ローブの袖の中から店員が取り出したのは、輪状の光だった。
 後光と呼ばれる、輪っかに並んだ直線。長さはバラバラで、その不揃いな紋様がかえって神聖さを抱かせる。
 杖に取り付け、振るってみせる。光は瞬き、キラキラと跡を残すのだった。
「おぉ、いいじゃん! |黒聖者《ダークメサイア》の雰囲気にもあってるし! ……けど、これって」
 初めて見るはずのそれに、フランは既視感を覚えた。
「ボス武器のエフェクトじゃね?」
 記憶が正しければ、ドロップしない類いのもの。どうやって入手したかと聞く前に、疑問の答えは明かされる。
 突然、店員がフードを取った。頭には鋭く尖った角。
「ドラゴンプロトコルか!」
「その通りでございます。ウチもダンジョンのアイテム整理、もとい断捨離が必要でして。武器エフェクトがあったのはたまたまですけどね」
「ほーん……じゃあ純正品ってことか。いいね、買いで!」
「まいどあり!」
 掘り出し物を買い上げ、笑みを浮かべてフランは店を出る。
 新年の蚤の市には、こんな奇妙な出会いもあるらしい。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カメリア・ナルシサス
◎アドリブ絡み歓迎

ドラゴンプロトコルのギルドスタッフ
現在お忍びの為、姿を隠すためフード付きのローブで顔がちらりと見える程度で市場に

どんなものがあるか色々見て回りたい所です。
誰も居ないので、普通に喋ってもいいだろう…いや、万一見つかるといけないよな。
福袋も面白そうですが、新年の運試しとか良さそうですね。おみくじにしましょう。

見て回った最後におみくじを引いて(運勢はお任せ)
あらあら「―結果―」と、良くも悪くも結んで帰るべきでしょうか。

ふと目についた、綺麗な「宝石」をお土産にしましょう。
これで何かを作ってみるのもありかもしれません…何に加工できますかね。



●ドラゴンお忍び旅行
 全身をローブに包み、警戒しつつも辺りを眺める。
 隠した尻尾がときおりローブを捲ってしまいそうになるが、そうなる前に何とか押さえた。
「バレてない……ですよね」
 深々と被ったフードから顔だけをちらりと覗かせる。ドラゴンプロトコル、カメリア・ナルシサス(|霧立つ湖の主《アフェルリア》・f42424)はただいまお忍び旅行中。ここまで入念に正体を隠しているのは混乱を避けるためだ。
「できたら、どんなものがあるか色々見て回りたいところですね」
 注意しながらも足取り軽く、屋台の連なる通りをカメリアは歩く。
 食べ物や雑貨の屋台、その前で楽しむプレイヤーたち。普段管理している|森エリア《エタナル》では見られない光景に、カメリアもつい気が緩みそうになる。
 思えばここには自分を知る者は誰も居ない。
 なら、素になってしまってもいいのでは。
「誰も居ないなら、普通に喋ってもいいんだろうか……いや、万一見つかるといけないよな……」
 葛藤から、カメリアはぶんぶん頭を振った。
 とにかくせっかくのお忍びだ。何か新年ならではのものは……と探していると、通りの一角に朱色の鳥居が見えた。
「これは『東方』の神社……ではなく、おみくじのスペースですね。新年の運試し……福袋とかも面白そうですが、これにしてみますか」
 鳥居をくぐり、小さな社殿と社務所のある領域へ。
 社務所のNPCから六角柱のおみくじ箱を受け取り、カメリアはがらがら振るう。ぽろっと飛び出した棒はそのまま結果の書かれた紙に変化する。くるくる丸まり、紙はカメリアの手のひらへ落ちた。
「さて、今年の運勢は……っと」
 微笑みながら紙を開く。
 結果は『吉』。
 運勢としては悪くはない。
「あれ、何か書いてありますね……?」
 ——欲しいと思ったものは迷わず手に入れるべし。
「ありますよね、こういうアドバイスっぽい一言。……さて、そろそろ帰りますか」
 微笑を浮かべ、おみくじを境内に渡された紐へ結びつける。鳥居をくぐってカメリアが帰路に着こうとしたとき、向かいにある店が初めて目に入った。
「宝石のお店ですか……!」
 きらきら輝く宝石が店頭に並ぶ。ルビー、トパーズ、アメジスト……。宝石たちはみなそれぞれが光を返し、自身の魅力を主張していた。
 その輝きに尻込みしそうにもなるが、先のおみくじの一言を思い出す。
「どれか、お土産にしましょう」
 あちらへこちらへ目移りする。
 最後に目に留まったのは、透いた水のような蒼いサファイアだった。
「これで何かを作ってみるのもありかもしれません……何に加工できますかね」
 購入したサファイアをカメリアは眺める。
 その後の姿を思い描き、小旅行はほんの少しだけ続くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

李・玉明


お疲れ様なのじゃ!
老君が鳴らした除夜の鐘で煩悩は晴れたから、今年の煩悩を溜め始めよう!
ナカジマの残したご馳走もたっぷりあるからのう。みんなで新年を祝おう!

わーい♪
運試しのおみくじに、熱々の肉まん!
楽しくて美味しくて、とっても嬉しくなるのじゃ♪
スライムを倒してゲットした通貨もあるから、贅沢はできないけど満喫はできるはずなのじゃ。
屋台を眺めて、福袋で一喜一憂して、お祭りの雰囲気を満喫するのじゃよ!

何か特出するようなアイテムがあったら思い出に残るじゃろうし、そうでなくても賑やかにはしゃぐのは気分が良い!
余興で歌ったり踊ったりして、思う存分楽しんでいこう!
ハッピーニューイヤー♪



●福を喚ぶなら自ら踊れ
「お疲れ様なのじゃ!」
 塔の入口に戻り、大きな声で労う玉明。
 出迎えてくれるのは、食欲やら物欲やらを刺激する市場の通り。
 老君がオオオオ! と鳴らした除夜の鐘で煩悩は晴れたばかり。すっきりしたからこそ、いまならどんな煩悩でも入る。
「それでは、今年の煩悩を溜め始めよう! 新年を祝うのじゃ!」
 ナカジマが置いていったごちそうは小分けの箱に。アイテムとして収納し、玉明は賑わいの中へ駆け込んでいく。

「熱々で美味しいのじゃ~♪」
 肉まんを頬張り満面の笑み。一口かぶりついた玉明も、さらにばくっともう一口。迸る肉汁を飲み込めば、旨味がどんっと爆発する。
 屋台は多種多様。色も形も、店によって姿を変える。
 片手に肉まんを持ち、玉明はその通りを歩く。並ぶ商品に目移りしながら、自分の煩悩が何を欲しているか問いかける。
「通貨はスライムを倒してゲットした分があるからのぅ。贅沢はできないけど、満喫はできるはずなのじゃ」
 もう片手に袋を出現させ、ぽんぽん揺すって残量を確認。これだけあるならまだまだ遊べる。
 ふと、通りの中に鳥居を発見。迷わず潜る。神社のような建築物の隣に、おみくじの販売スペースが用意されていた。
「おみくじなのじゃ! 新年の運試し……挑戦するしかないのぅ!」
 おみくじ箱を受け取り、ガラガラ振れば棒が出る。しゅるりと棒からそのまま変化した紙を、玉明は勢いよく開く。さて、結果は——。
「わーい♪ 大吉なのじゃー♪」
 大吉のおみくじを大切に持って、玉明はまた鳥居を抜ける。
 美味しいものも食べれて運勢もいい。いまならどんな勝負にも勝てそう……!
「福袋! いかがですか~!」
「もう一勝負、してみるかのぅ……! ……すみませーん!」
 店員に声をかけ、福袋を一つ購入。
 箱を開封しようとする玉明の手に力が籠る。
「さぁ……何が出る!?」
 玉明が箱を開く。

 ——何かが大口を開けて飛び出した!

「わあああっ!?」
「外れのビックリ箱ですね~。中の人形は差し上げますよ」
 飛び出したのはただの人形らしい。ほっと、玉明は胸を撫で下ろす。箱の中身をもう一度見てから、少し消えかけた元気が復活した。
「……これは、妾にとっては当たりじゃな!」
 カチカチ。パペットサイズの獅子舞を手にはめ、音を鳴らす。
 モンスターとともに戦った限定装備。そして、この新年を楽しむ楽器。
 カチカチ。繰り返し鳴らしていると、ついつい身体が踊り出す。打ったリズムに合わせて歌を歌えば周りの人々まで愉快な気分になる。
「ハッピーニューイヤー♪ 今日ははしゃいで、このお祭りを満喫するのじゃよ!」
 通行人たちを巻き込んで、玉明の楽しい正月はしばらく続くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2024年01月11日


挿絵イラスト