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|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》と妖精のお茶会

#アックス&ウィザーズ #戦後

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#戦後


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 猟兵達の前に現れたのは赤いベレー帽とお揃いのケープを纏った仔羊――楪葉・楓梨(|夢見る仔羊《ふあふあのふぅ》・f42181)だった。

「ふぅでつ! よろしくでつ!」

 ちょんちょんと跳ねながら台の上に乗った|楓梨《ふぅ》は、舌たらずにそう挨拶をしたあと、ちょこんと頭を下げた。

「妖精さんから、ふぅにインビテーションがきたのでつ」

 よくよく話を聞くと、|斧と魔法の世界《アックス&ウィザーズ》の妖精から、フェアリーランドでのお茶会の誘いらしい。

「お茶会の会場に行く前に、準備が必要でつ」

 お茶会の会場へ向かう為に通る洞窟は、水晶のように見える|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》に埋め尽くされている。それは、触れた人の想いと呼応して、様々な彩や形の|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》に変わるのだという。

「クリスマスの時期でもありまつから、プレゼントとかにもいいんじゃないでつか?」

 ふぅはお誕生日は終わっちゃいましたけど、プレゼントはいつでも歓迎でつよ! 等と、得意げな様子で|楓梨《ふぅ》が言う。

「洞窟を抜けた先がお茶会の会場でつ」

 会場で待つ妖精に渡せば、お茶会のお菓子もしくはお茶に加工して使ってくれる。綿菓子にして食べるもよし、粉砂糖にしてケーキを彩るもよし。希望を出せば可能な限り応えてくれるらしい。
 勿論|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》は持ち帰っても問題は無い。妖精たちはとにかく”人をもてなす”事を楽しみたいらしい。

「妖精さんもお相手してくれるそうでつが、お茶会ぼっちはさみしいって人には、ふぅがお相手してあげなくもないでつよ」

 そう言いながらその場で軽く跳ねる|楓梨《ふぅ》の周りに舞う|金の星のひとつ《グリモア》が、ちりんと軽やかな音を鳴らした。

「さあ、いってらっしゃいでつ!」


白神 みや
 初めましてのかたは初めまして。お久しぶりの方はご無沙汰しております。
 そして、そうでない方はお世話になっております。|白神《しらかみ》です。

 |氷砂糖晶《クリスタルシュガー》の洞窟を抜けて、妖精たちがもてなすお茶会へのお誘いです。気楽にゆるふわもふっと。

⛺一章:|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》の洞窟
 想いを反映した彩と形の|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》を得ることができます。プレイングに記載が無い場合はこちらで判断しますが、想いをたっぷり|籠めて《述べて》頂ける方がより素敵な|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》が出来るかと。

🏠二章:妖精のお茶会
 妖精たちに一章で採った|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》を渡せば加工してお菓子等にしてくれます。希望があればプレイングに記載ください。
 こちらは|楓梨《ふぅ》も会場の何処かで楽しんでいる筈です。お声がけ頂ければ喜んで構われに行くかと。

 一章二章共にフラグメントの選択肢に囚われずにお過ごしください。どちらもめいっぱい楽しむのがプレイングボーナスでもあります。良きホリデーシーズンのひと時を。

●お願い
 MSページはお手数ですが必ずご一読ください。
 プレイング受付は1章2章ともに断章投下後、タグにて告知いたします。通常オバロ共、指定日時より前、特に断章投下前のプレイングはお返しすることとなりますので、ご了承ください。週末と年末休みを利用して、年内には完結の予定です。
 諸々タグに状況を記載しますので、ご確認の程宜しくお願いします。
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第1章 冒険 『水晶の洞窟』

POW   :    水晶を砕く、持ち上げて動かす等、力で開拓

SPD   :    ジャンプして乗り越える、取っ手にしてよじ登る等、身体能力を生かす

WIZ   :    水晶の並び方や洞窟内の環境等から進めそうな場所を探し当てる

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●想い映す|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》
 金の光に包まれるように猟兵達は|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》の洞窟へ転送された。
 言われていなければ確かに水晶の洞窟のようにも見えるそこに、小さな妖精が待っていた。

「ようこそ! お茶会に来てくれた人たちね。
 |氷砂糖晶《クリスタルシュガー》は貴方の想いで彩も形も変わるわ」

 そう言うと妖精はふわりとその場でターンをする。
 触れて想いを籠めれば、それを反映した|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》がその手に残るのだという。

「|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》は一つしか採っちゃダメなんて事は言わないけれど、程ほどにね!」

 持ち帰り用と、お茶会用くらいであれば、問題ないという事だろう。

「お茶会はこの先。準備をしてるから、楽しみにしててね!」

 妖精はそのまま奥へと飛び去って行った。
 さあ、|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》にどんな想いを籠めようか。
エンマ・リョウカ
妻のアリサ(f38946)と

本当に見事としか言いようがない
水晶の洞窟、ではなくこれが甘味とは
「あぁ、本当に綺麗で、不思議な光景だ」

思いを形にと、それをどうすべきかは悩んでいたが
「ふむ…なるほど、竜じゃなく龍か」
確かに、アマツカグラで見る三爪のあの姿は
妻にとっては珍しい物だろう
それに妻が望む物を見せたいという思いも
「この先の妖精達にとっても、面白いだろうからね」

龍の結晶を生み出しながら、
この先の妖精達に想いを馳せながら、
思いついた事を妻に頼もう
「そうだな…アリサの考える妖精を、私は見てみたいな」

可愛らしく純粋な
きっと妻の心が見えるような姿が見れるだろう

「そうだね。久しぶりにゆっくりと過ごそうか」


アリサ・ラサラリーン
エンマ様(f38929)と

水晶…いいえ、全部本当に氷砂糖晶なのですね
「すごいです…キラキラとっても綺麗ですっ」
ワクワクして声が弾みます

わたしはエンマ様にお願いしたい事があるのです
「あの…エンマ様」
願うものが出来るなら
「よければ『龍』を見せて下さいっ!」

竜なら知っています
でもアマツカグラの龍の形は
違うらしくてずっと気になってて

ですからおねだりを…わ!なんて神々しい!
「綺麗ですねー…」
見とれていますとエンマ様からもご注文が
わたしの考える妖精を?
「はい!ではっ」

懸命に思い浮かべますと綺麗な妖精さんが出来ました
喜んで下さってわたしもにっこにこです
「エンマ様お茶会楽しみですね!」

大切に持って行きましょう



●陽の妖精は月龍と連れ舞う
「すごいです……キラキラとっても綺麗ですっ」

 アリサ・ラサラリーン(太陽の詠・f38946)は|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》の煌めきと同じくらい目を輝かせて、夫であるエンマ・リョウカ(紫月の侍・f38929)に向けて弾んだ声で言う。

「あぁ、本当に綺麗で、不思議な光景だ」

 そんな煌めきに目を細めながら、エンマは頷きながら周囲の光景に思いを巡らせる。事前に話を聞いていなければ見事な水晶の洞窟のように見えるが、これらは全て|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》なのだ。生まれ育った|終焉を終焉させた世界《エンドブレイカー》でも様々なものを見てきたと思っていた。しかし、猟兵となって巡る事になった三十六世界にはまだまだ知らぬ景色が満ちている。

「あの……エンマ様」

 思索を巡らすエンマの邪魔をせぬよう傍らで見守っていたアリサがそっとその袖を引いた。想いを籠めると形すら万別という|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》の話を聞いた時からアリサは心に決めていたのだ。エンマの優しい視線を受けてアリサはそれを口にする。

「よければ『龍』を見せて下さいっ!」
「ふむ……なるほど、竜じゃなく龍か」

 故郷である|終焉を終焉させた世界《エンドブレイカー》で数多その存在が確認される|竜《ドラゴン》ではなく、エンマの故郷である|霊峰天舞《アマツカグラ》の伝承にある龍。|竜《ドラゴン》とは異なる姿をしているというそれを、一度目にしてみたいと思っていたのだと、アリサは夫に語る。

「……ずっと気になってて。ですから……」

 このようなおねだりは少し子供っぽいだろうかと、そろりとアリサが見上げたその視線の先、エンマの掌の上には。
 薄藍の|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》が模ったのは、大蛇に似た長い体躯に、三つ爪の四足。鹿のような角と長い髭が目を惹く、生き物の姿。

「これが……なんて神々しい!」

 そっと掌に載せられた|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》の龍は、その身の鱗までも細かく今にも動き出しそうにアリサの目には映る。

「アリサ。アリサの考える妖精を、私は見てみたいな」
「わたしの考える妖精を?」

 戸惑い気味に見上げた視線を穏やかに優しく受け止められたアリサは、大切な夫の頼みとあらばと、|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》の龍をエンマへと返し、近くの|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》に両の手を添え、目を閉じた。
 先程洞窟で出迎えた妖精や、絵物語で見てきた妖精の姿をイメージする。触れた所から仄かに暖かさを感じたような気がして目を開くと、その手には蝶の翅の妖精模った淡い金色の|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》があった。

「ふふ。アリサにそっくりだ」

 |氷砂糖晶《クリスタルシュガー》の妖精の面差しに妻の面影を見たエンマが微笑む。その言葉にアリサは少し気恥しくなるがそれでも、エンマが嬉しそうに微笑んでいるのが嬉しくなってしまう。

「エンマ様お茶会楽しみですね!」
「そうだね。久しぶりにゆっくりと過ごそうか」

 |氷砂糖晶《クリスタルシュガー》の龍と妖精をその手に大切に包むと二人は互いに微笑みながら、お茶会の期待に胸を膨らませながら洞窟の奥へと足を向けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

凶月・陸井
妻のシリル(f35374)と

妖精達からのお茶会のお誘い
それであればと、デートにシリルを誘ってみた
偶にはシリルと二人でこういうのもいいだろう
「折角だ、楽しまないとな、シリル」

氷砂糖晶の洞窟の見事さに見惚れながら
入る前に聞いた話から、シリルに提案しよう
「シリル。お互いに渡す物を想ってみるのはどうだろう」

想いを形にというのなら
愛するシリルへ送りたいものをと考える
あの頃に誓った、変わらないこの想いを
「水晶の…薔薇の花束か」
確かに、俺の想いが形になったもの、だな

「これが、俺の大事な妻への想いだよ」
微笑みながら、そっと花束を渡そう
シリルに渡された優しく光る想いも本当に嬉しい
この光を、いつまでも護っていくよ


シリルーン・アーンスランド
夫の陸井さま(f35296)と参ります

デートをとお言葉にて
幾度何処へご一緒しても弾む心は変わりませぬ
いそいそ支度し参りますわ

煌く糖は山と積まれた宝玉や蛍石のよう…
あわいが感嘆の息を誘います

先導下さる陸井さまは
常に変わらぬ水際立った殿方ぶり
景色もさることながら夢見心地で手を引かれて

陸井さまのお言葉に肯い
永久の愛を捧げし背の君への想いだけを念じ形に

出来ましたのは
『護』の文字が浮かぶまろく光る球

「わたくしが背の君への想いにございます」
そっとお手に差し上げて
お喜び頂けた事も想いの花も美しく嬉しく
頬を染め
新婚のように甘やかな心地になりました

「はい、この後も楽しみにございます」
微笑んで寄り添い参りましょう



●最愛の貴方へ
 時間は少し遡る。

「デートでございますか……!」

 折角のお茶会への誘い。であれば、妻を伴えば喜んでくれるだろうと同道を提案した凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)は、想定した以上の反応に笑みを深める。

「どうしましょう。おめかしをするべきですわよね」

 未だ口にした事のない|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》の甘さを想像しながら、シリルーン・アーンスランド(最強笑顔の護り風・f35374)はふわふわと浮かぶような声音で想いを巡らせ始める。大切な夫との外出は当然のながら幾度も重ねている。それでも声音同様に心が浮き弾むのは、当然の事。

「折角だ、楽しまないとな、シリル」

 そんな妻の姿に、裡に募った愛しさが言葉を彩った。



 そうしてやってきた|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》の洞窟は、それ自体が光を放っているかのような煌めきで二人を迎えた。

「これは見事だな」
「はい。まるで山と積まれた宝玉や蛍石のよう……」

 陸井は先導するように手を差し出せば、シリルーンもごく自然にその手に己の手を添え、初めて見る景色への感想を囁きあいながら歩みを進めていく。

「シリル」
「……! はいっ」

 初めてやってきた洞窟の幻想的な光景と、それを背にする陸井に見惚れていたシリルーンは、自分の名を呼ぶ夫の声にふわふわとした心地に未だ包まれたまま夢見心地から引き戻される。

「お互いに渡す物を想ってみるのはどうだろう」

 |氷砂糖晶《クリスタルシュガー》は、籠めた想いを写し模る。それならばと、このお茶会の話を聞いた時から陸井は考えていたのだ。シリルーンはその提案を受けて、近くの|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》に手を添える。

「……陸井さま、想いを籠める所を見られるのは少し恥ずかしゅうございます」
「っと、そうだな。じゃあ俺もこちらで……」

 傍らの|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》に手を添えかけた陸井に恥ずかしそうに窘めるように言うシリルーンの言葉に陸井は反対側の|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》に手を添えて想いを籠める事にする。
 そうして互いに互いへの想いを籠めた二人の手に模られたのは――。
 陸井の手には、薄紅の|枝分かれした薔薇《スプレーローズ》の花束。
 シリルーンの手には、淡い光を湛える淡青の珠。その裡には、陸井の象徴とも言うべき、護の一字が浮かんでいた。

「これが、俺の大事な妻への想いだよ」
「わたくしが背の君への想いにございます」

 互いの想いの結晶をそっと渡しあう。その美しさが嬉しくて、二人でそっと笑みを浮かべあう。そうして洞窟の奥へと寄り添い歩く二人の姿は、まるで結婚した当初のような甘やかさを纏っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『森のお茶会』

POW   :    紅茶や珈琲といった飲み物を楽しむ。

SPD   :    お茶菓子を楽しむ。

WIZ   :    動物達と触れ合う。

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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●雪妖精達の|お茶会《ティーパーティー》
 煌めく洞窟を抜けると、雪の結晶が煌めく広間に辿り着いた。
 雪の結晶に混じるように、薄緑の紗を纏った妖精達が忙しそうに飛び交っている。

「ようこそ、|雪妖精のお茶会《スノゥパーティー》へ!」

 猟兵達に気がついた妖精達が近付いてくる。
 妖精達が口々に話しかけてくる話を総合すると、100年に1度の雪の華が咲く時らしい。雪妖精にとって大切な華が咲くのを、皆で祝うために猟兵という|客人《ゲスト》を招待したのだと言う。

「|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》を色々な彩や形に出来る人たちに、雪の華を彩って欲しくって!」

 そう言いながら猟兵達を見上げる顔はどれも期待に満ちている。

「さぁ、|雪妖精のお茶会《スノゥパーティー》を始めましょう!」
凶月・陸井
妻のシリル(f35374)と

さっきの洞窟も見事だったけどこの花は更に圧巻だ
これには思わず二人で一緒に見つめてしまうな

だけど興味津々な様子で纏わりついてきてくれて
嬉しそうに歓迎してくれる妖精達に意識を引き戻されるね

妻の赤らめた顔の意味に笑みが零れるけど
花の存在感に圧倒されていたのは俺もだから
「大丈夫。今見惚れていたのは俺も同じだよ」
妻の愛らしさに笑みが零れたのは本当だけどね

でもそれよりも、この花の事もこの場の事も
祝いの事も妖精達に聞きたい事は沢山ある
逆に妖精達が知りたいことは教えてあげるし
それにこの景色の中、共に愛しい妻と過ごせることを感謝しながら
沢山の話の花が咲く、楽しいお茶会を始めようか


シリルーン・アーンスランド
夫の陸井さま(f35296)と参ります

道の先になんという美しい花…
言葉もなく立ち止まり見つめてしまいますわ

妖精さまがたの歓迎のお言葉にて我に返りましたが
元々陸井さまのエスコートにてうっとりしておりましたゆえ
申し訳なくまた頬に赤みが

陸井さまにもきっとご心配をお掛けして…
あ、あら…くすくすお笑いに
もうこれはわたくしの顔の赤らみの理由は
しっかりバレておりますのね

少し唇が尖りますが…いえ、そのような時も惜しいですわ
この美しい花を可愛らしい妖精さまがたと陸井さまと
愛で、寿ぐことがただいまの猟兵の務めにて
微笑みを交わし、妖精さまがたに細工のご説明などもしつつ
愛しい背の君とゆっくりお茶会を楽しみたく存じます



●雪の華は想いを繋いで咲き溢れる
 妖精達の声で、雪の華に見惚れていたシリルーン・アーンスランド(最強笑顔の護り風・f35374)は我に返る。
 広場へ足を踏み入れるまで妻であるシリルーンのエスコートに徹していた凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)もまた、妖精たちの声で雪の華へ向けられてた意識を引き戻されていた。

「ふふ、素敵でしょう? 私達が大事に大事にしてきた雪の華ですもの!」

 二人の周りを舞う妖精たちの一人が笑顔で言う。纏う紗に織り込まれた銀糸が光を受けて煌めいている。

「え、ええ。美しゅう御座います……」

 シリルーンがまだ少し見惚れている声でそう応える。花に魅せられたのは勿論なのだが、彼女は夫に洞窟をエスコートされゆく時点で既にもう身も心もふわふわになっていた。もしかして妖精たちにまで悟られているのではないかと、そして陸井へのほんの少しの申し訳なさで頬を染める。
 一方陸井は、妻が乙女のような――いや、陸井にとっては出会った時から彼女はずっと乙女であるのだが――恥じらいを見せるのが嬉しくて、笑みを零す。

(……もうこれはしっかりバレておりますのね)

 陸井が零した笑みに、己の内心がすっかり悟られている事を察したシリルーンが拗ねるような素振りを見せるが、陸井にとってはそれすらも妻の可愛らしさを引き立てる。

「大丈夫。今見惚れていたのは俺も同じだよ」

 しかし、大切な妻のご機嫌を此処で損ねるわけにはいかない。それに、雪の華に見惚れていたのは事実だ。

「二人は仲睦まじいのね! 私達のリーダーたちみたい!」

 陸井とシリルーンの周りを舞う雪妖精たちの視線が、雪の華の傍らに居た一組へと向けられる。

「私達は華を育てて咲かせ護るものだよ」
「あら、私、そんなに義務的な存在かしら」

 視線を向けられた二人はそう言いながら笑いあう。その様は確かに義務的なものではない絆が見て取れた。

「さあ、お客様。こちらへどうぞ!」
「まだお迎えしたばかりですよ」
「お茶は? お菓子は?」

 また妖精たちが口々に二人に語り掛け、雪の華の傍らのテーブルへと導いていく。そう、まだお茶を頂いてすらいないのだ。
 それに、お茶とお菓子を堪能しながら、色々聞かせて欲しい。この雪の華の事、雪妖精たちの事、そして、この|斧と魔法の世界《アックス&ウィザーズ》の事、未だ二人には知らない事が沢山あるのだ。勿論、妖精たちが乞うのなら、自分達が知っている世界の事も話そう。
 雪の華の周りに、そんな話題の花が幾重にも花開いていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アリサ・ラサラリーン
エンマ様(f38929)と

細工を持って妖精さんたちにご挨拶します!
これができる猟兵をお望みだったならお喜び頂けそうです
「はい!来ましたっ!開花おめでとうございますっ」
エンマ様と笑顔です

創ったものをお祝いに差し上げましょうか
勿論お花が一番大事ですけど
「お祝いは幾つあっても良いですよね、エンマ様!」

綺麗なお花に感嘆の息を漏らし二人で見入ります

蹄音を立て近づかれた楪葉さんにも笑顔でご挨拶
「素敵なところへ連れてきて頂けて、わたし嬉しいですっ」
ついなでますけどお嫌かもなので気を付けます

エンマ様が妖精さんたちにモテているのも
わたしの髪で皆さんが遊ぶのもとっても楽しくて
「時間が幾らあってもたりないですねー」


エンマ・リョウカ
妻のアリサ(f38946)と

話を聞いて、というよりも雨のように言葉を浴びて
どういう場かというのは理解したよ
まずは何よりも妖精達に挨拶だね
「招待ありがとう。それから、開花おめでとうだね」
勿論、アリサと一緒に笑顔でだ

お菓子にもできるらしいが、これは私もアリサと同じ気持ちだな
二人で創ったものは渡しつつ、美しい花を眺めよう
「勿論、折角のお祝いの場なんだ。これはプレゼントに」

連れて来てくれた楪葉さんにも挨拶をしないとだね
「初めまして。私からも、連れて来てくれてありがとうだよ」

妖精達の相手も楽しいけど
アリサと妖精が戯れているのを見ているのもいい時間だ
「そうだね…本当に、気づいたら時が溶けて行くようだ」



●雪の華は龍と妖精に護られ誇る
「はい! 来ましたっ! 開花おめでとうございますっ」

 アリサ・ラサラリーン(太陽の詠・f38946)が|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》の龍を大切に抱えて笑顔で雪妖精に応じる。

「招待ありがとう。それから、開花おめでとうだね」
「あら、こっちは……」

 アリサの声に集まって来た雪妖精の一人が、エンマ・リョウカ(紫月の侍・f38929)の手に乗せられた|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》の妖精に気付いて、並んで見せる。ポーズまで併せてくる芸達者っぷりに思わず二人の笑みも深まる。

「エンマ様」

 アリサが己の名を呼ぶ声に、彼女が意図する事を察してエンマは頷く。それを受けて、アリサは妖精たちへと口を開く。

「これを、雪の華のお祝いに」

 折角お祝いに招待されたのだ。一番大切なのは勿論雪の華だろうけれど。

「お祝いは幾つあっても良いですよね」
「勿論、折角のお祝いの場なんだ。これはプレゼントに」

 穏やかにエンマがそう妖精たちへと伝えると、妖精たちから歓声のような声があがる。

「まあ! ありがとう! 是非貴方たちの手で雪の華の傍に飾って頂戴な」

 妖精たちに導かれて雪の華の傍へと向かう。光を受けて煌めく雪の花の傍らに|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》の妖精を。そして雪の華を妖精を護るように|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》の龍を飾る。

「本当に、綺麗です……」
「ああ。|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》の洞窟も見事だったけれど、この為のものと考えると納得だね」

 妖精達に導かれた雪の華の傍らのテーブルで雪の華に見惚れていると、妖精たちが代わる代わるやって来て甲斐甲斐しくもてなしてくれる。用意される紅茶にはほんのり香りがついていたり、出されるケーキも、二人からすればやや小ぶりではあるものの、提供されるペースを考えれば丁度いい。
 そんな風に二人(と妖精たち)で時間を過ごしていると、かっぽかっぽと小さな蹄の音と、「でつ!」と元気な声が混じる鼻歌らしき歌声が耳に入る。
 どうやら二人を此処へ導いてくれた小さな仔羊のお出ましのようだ。

「楪葉さん」

 エンマがそう呼びかけるが、肝心な|楓梨《ふぅ》は耳を動かす以上の反応をしない。聞こえなかったのかと、アリサも一緒に”楪葉さん”と、名を呼ぶ。初対面なのだから、愛称で呼ぶのも失礼ではないかと、二人は思ったのだが――

「ふぅはふぅなのでつ。楪葉・楓梨という名前はありまつが、ふぅはふぅなのでつ」

 二人の困惑した空気に呆れるような様子で|楓梨《ふぅ》はそう応える。が、目を合わそうともしない様子は、本当に|本羊《本人》は”ふぅ”と呼ばれなければ認めないらしい。
 二人のこれまでの付き合いではあまり見なかったタイプの|楓梨《ふぅ》に少し戸惑う二人の様子を、周りの雪妖精達もどこか楽しそうに苦笑しながら見守っている。

「ええっと、ふぅ、さん?」
「はいでつ!」

 そろりとアリサが呼びかけると、今度は即答かつ笑顔で返事を返してくる|楓梨《ふぅ》。

「素敵なところへ連れてきて頂けて、わたし嬉しいですっ」
「初めまして。私からも、連れて来てくれてありがとうだよ」

 二人の言葉にすっかり気を良くした|楓梨《ふぅ》は嬉しそうな様子を隠さない。

「もっと褒めるでつよ! そしたらふぅのふあふあをもふらせてあげまつ!」

 こうして、アリサはちょっと気になっていた|楓梨《ふぅ》の毛触りも堪能する事が出来たのだった。

●斯くしてお茶会の幕は降り
 |雪妖精達のお茶会《スノゥパーティー》の幕は降り、|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》の洞窟に静けさが戻る。
 咲き誇る雪の華の傍らには|氷砂糖晶《クリスタルシュガー》が彩られ、共に煌めく。雪妖精たちはそれらを見ながら、良き客人たちを招く事が出来たと嬉しそうに笑いあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年12月31日


挿絵イラスト