『|荊の姉妹《ドルンシュヴェスター》城』攻略戦!!
●QUEST
その日、港湾都市ルートシアの繁華街にある酒場『シーホース』に、男女三人の冒険者の姿があった。これから始まるクエストに挑む、クラン『パラベラムバレット』の面々だ。
「エカテリーナさん、遅いですねぇ。もうクエスト始まっちゃいますヨー?」
テーブルの上には、沢山の料理と飲み物が並べられている。大盛りグリーンサラダをフォークでつつきながら、丸サングラスの青年が気怠そうに言った。
「うむ、クエストを無断でキャンセルするような人ではないのだが。スコーピオン殿、どうする?」
そう言ってチーズ入りのパンを囓っているのは、黒髪ポニーテールのきりりとした女剣士だ。彼女の傍らには、東洋風の片刃のグラファイトブレイドが立てかけられている。
「んー、エカテリーナは何やってんだか……もう時間がねぇ。最悪間に合わなかったら今回はこの3人で……おっ、メッセージが来たぜ」
テンガロンハットに革のコート姿。スコーピオンと呼ばれたガンマン風の中年男が、受信メッセージのウインドウを開く。そこには、プラチナブロンドの少女の顔アイコンと共にメッセージが表示されていた。
「なになに……『ごめんあそばせ! わたくし急用が入りまして、ログインが小一時間ほど遅れますわ。お先に向かってくださいませ、おほほほほ!!』……だとさ」
「遅刻確定ですねぇ」
丸サングラスの青年、黒聖者のトーリオが「やれやれ」という仕草で天を仰ぎ両手をクイッと上げる。リーダー格の月穹士・スコーピオンは黒ビールを一気に飲み干すと、ぶふーっと豪快なため息をついた。
「エカテリーナには、今度埋め合わせしてもらわねぇとな。……んじゃそろそろ行くか、攻城戦によ。現地で助っ人が見つかるかもしれねえし」
三人の冒険者は席を立つと、勘定を済ませて酒場を後にした。彼らが今から向かうのは、比較的難易度の高いクランクエスト、「|荊の姉妹《ドルンシュヴェスター》城攻略戦」。だが、このクエストにはバグプロトコルの卑劣な罠が仕掛けられているのだった。
「やあ、よく来てくれたね。前回に続いて、今回も|GGO《ゴッドゲーム・オンライン》の世界へ行ってきてほしいんだ」
ある日のグリモアベースにて。作戦会議に集まってきた猟兵たちの前で、ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)はグリモアを操作しながら語り始めた。
「GGOには、プレイヤーが『クラン』というチームを組んで参加することが前提の『クランクエスト』というものがあるんだけど……今回はそのクランクエストに出現するバグプロトコルを、排除してもらいたいんだよ」
GGOのプレイヤー達を狙うオブリビオン・バグプロトコルは、ゲーム内の至る所に出没する。今回ガーネットが確認した情報によると、クランクエスト『|荊の姉妹《ドルンシュヴェスター》城攻略戦』のボス敵が、バグプロトコル化するらしい。
「バグプロトコルとなったボスの影響で、城塞型ダンジョンの内部も理不尽なバグトラップが仕掛けられているらしいんだ。そこで皆には、一般のプレイヤー達に混じってクランを結成、またはクランに加入してクエストに参加し、彼等が安全に攻略できるように手助けして欲しい」
クランクエストに参加するためには、全員いずれかのクランに加入する必要がある。猟兵同士でクランを結成してもいいし、他のプレイヤーのクランに一時的に参加してもいい。
「そうそう……ちょうど『パラベラムバレット』というクランがメンバー不足のようだし、彼等を手伝うのもいいんじゃないかな。無事にクエストを攻略したら、街のギルドで少し交流してくるといいよ」
ガーネットのグリモアが力を増幅させ、猟兵たちはGGOへのログインを始める。悪意に満ちたクエストを攻略し、バグプロトコルの脅威からプレイヤー達を守り抜くのだ。
弥句
こんにちは、弥句です。ゴッドゲームオンライン・第2弾のシナリオをお送りします。今回のシナリオは『クランクエスト』に出現するバグプロトコルの撃破です。
前述のとおり、今回はクランクエストなので『ソロ参加』の描写はできません。猟兵の皆さん同士でクランを作ったり、一般プレイヤーのクランに混ざることで参加できます。ちなみに今回こちらで用意したクラン『パラベラムバレット』のメンバーは以下の通りです。
スコーピオン:男性。冷静なリーダー。西部劇のガンマン風の月穹士。月光銃を愛用。
トーリオ:男性。黒の法衣に丸サングラスの黒聖者で、回復担当。拝金主義。頭の天辺から爪先まで怪しい。
チハヤ:女性。和服に紺色の外套を羽織った聖剣士。ストイック脳筋。
エカテリーナ:女性。廃課金者で、マネーパワーでゴリ押しする没貴族。2章から参加予定。
クエストの舞台となるダンジョンは『|荊の姉妹《ドルンシュヴェスター》城』という古城。バグプロトコルの影響によって本来のマップから大幅に拡張・複雑化しており、理不尽なまでに堅牢な城壁と無数のトラップ群、無制限に出現するバグ衛兵などで守られています。
バグプロトコル化したボスを撃破し、プレイヤーと共にクエストを攻略しましょう。攻略後は冒険の拠点となる街『港湾都市ルートシア』に戻り、ギルドハウスでプレイヤー達と交流することができます。これまでの冒険の話やこれからの目標など、色々と情報交換してみるといいかもしれません。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。それでは、皆さんのプレイングをお待ちしております!
第1章 冒険
『攻城戦クエスト!』
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POW : 自慢の攻撃力で粉砕する!
SPD : 比類なき素早さで翻弄する!
WIZ : 効果的な攻城兵器を投入する!
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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クエスト名:『|荊の姉妹《ドルンシュヴェスター》城攻略戦』
カテゴリー:クランクエスト
難易度:HARD
参加人数:無制限
参加レベル:上限なし
クラン報酬:あり
成功条件:ボスモンスター「絶望の姫騎士」の撃破
➤【クエストに参加する】【キャンセル】
かくして、クランクエスト『|荊の姉妹《ドルンシュヴェスター》城攻略戦』が始まった。さっそく城門の突破を試みようと、多くのプレイヤーが古城の周辺に集まっている。
「ハァ、ハァ……どういうことだ!? さっきから何体倒してもキリが無いぞ!」
息を切らせながら長刀を振るい、聖剣士チハヤが悪態をついた。プレイヤーの中には、業を煮やして城壁目掛けて攻撃魔法を撃ち込む者もいる。だが、どんなに鍛えたプレイヤーの魔法も敢え無く霧散していくばかりだ。
「こいつはどうも……様子が変だ」
戦いながら、スコーピオンはクエストに生じた異変を敏感に感じ取っていた。防衛設備の異様なまでの耐久性。無尽蔵に湧いてくる雑魚敵。まるで、初めからプレイヤーに攻略させるつもりなどないように感じられる。
「一旦退くぞ! このクエストには、何か仕組まれている!!」
クランのメンバーに緊張が走る。三人は顔を見合わせ、撤退ルートを確保しようとする――だが、戦場は既に無数の雑魚敵によって封鎖されていた。
「オウ、ジーザス……エカテリーナさん、来なくて正解でしたねぇ?」
力なく吐き捨てながら、トーリオが天を仰ぐ。熟練の冒険者たちを狙うバグプロトコルの軍勢が、徐々に包囲網を狭めつつあった。
暗都・魎夜
POW
【心情】
ここがGGOね
それなりにゲームはやってるし、魂奪うゲームなんてのに参加したことはあるけど、自分がゲームの中に入り込むのは初めてだぜ
観光気分でとは言えねえが、新鮮な気持ちだな
【行動】
『パラベラムバレット』に参加させてもらう
「趣味スキルで固めた聖剣士」を名乗っておく
「天候操作」のUCで優しい雨を降らせて回復させ、「勝者のカリスマ」で「鼓舞」
回復をしつつ、持久戦で凌ぐ
「多分、耐久クエストだ。一度に戦う雑魚の数減らして耐えるぞ」
「武器受け」「かばう」で『パラベラムバレット』の消耗は最低限になるように
並行して万色の雷による「電撃」で城を攻撃
「師匠が言ってたぜ、"退路は前にしかない"ってな」
●
「このままだと、じり貧ですねぇ……ワタシが回復するといっても、限界がありますし?」
「クエストは中止にするのか、スコーピオン殿!」
クラン『パラベラムバレット』のメンバーは、参加したクランクエストで運悪くバグプロトコルに出くわしてしまった。難易度を操作されたクエストは最早攻略は適わず、かといって周囲を敵に囲まれていては撤退も困難。絶体絶命の状況だ。
「……俺が残って時間を稼ぐ。お前らは先に……ん? クラン加入申請?」
リーダーのスコーピオンが決意を固めたその時、新たにクラン参加を申請する者が現れた。表示された顔アイコンは、赤髪にバンダナの、いかにも熱血漢に見える青年である。
「――イグニッション!!」
詠唱兵器を起動させる掛け声と共に、銀誓館学園の能力者である暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)が戦場に駆け付けた。魔剣『滅びの業火』を携え、魎夜はクエストの舞台となる古城の外観をぐるりと見回した。
「ここがGGOね。それなりにゲームはやってるし、魂奪うゲームなんてのに参加したことはあるけど、自分がゲームの中に入り込むのは初めてだぜ。観光気分でとは言えねえが、新鮮な気持ちだな」
「ええと、リョウヤでいいか? 気をつけろ、このクエストはバグだらけだ。敵の包囲を突破して、一旦退くぜ」
スコーピオンは、魎夜の申請をすぐに受理してくれた。これにより、彼らの一時的な共闘が成立した。冒険者たちの不安を払拭するように、魎夜は武器を振るいながらユーベルコードを発動させる。
「……いや。多分、耐久クエストだ。一度に戦う雑魚の数減らして耐えるぞ」
冒険者たちの頬に、ポツリと雨粒が落ちた。降り注ぐ銀の雨は傷ついた味方をたちどころに癒していく。
「回復効果のある雨? こんなスキルがあったなんて……」
敵から受けた傷が塞がっていく様子を目の当たりにして、チハヤが驚きの声を上げる。
「まぁ、本職は聖剣士だが、趣味でこういうスキルも取ってあるのさ」
今はストームブリンガーとか、シルバーレインとか、すべてを説明している時間はない。襲い来るバグ衛兵の攻撃を『滅びの業火』で受け止めつつ、天から万色の稲妻を降らせて広範囲をまとめて攻撃していく。
「師匠が言ってたぜ、"退路は前にしかない"ってな」
魎夜のその言葉を、『撤退』の意味で受け取った者などいないだろう。心折れかけていた『パラベラムバレット』の面々に、再び闘志が宿る。
「へっ、撤退するなんて、いつもの俺らしくなかったな。……いいぜ、やってやろうじゃねえか!」
万色に輝く眩い稲妻が城塞に落ち、戦場を覆っていたバグの一部が消失していく。それを好機と見るや、クエスト参加者たちは鬨の声とともに城内に雪崩れ込んだ。ここからは、プレイヤーの反撃だ。
大成功
🔵🔵🔵
カーバンクル・スカルン
そちら、窮地とお見受けする! 助太刀いたす!
【五馬分屍】で身近にいた雑魚の四肢を車輪で拘束して、分断してしまわないところまで伸ばして、そのまま前進して鎖で他の敵も薙ぎ払っていく! そうして出来た空白地帯をパラベラムバレットを始めとするが逃走経路にするか、突破口にするかはお任せしましょう。
私はボディ・サスペンションを投げて城壁の上あたりにあるとっかかりに引っ掛けて一気に乗り越える! 壊せないなら乗り越えればいいんだよ、届く壁ならなぁ!
●
「んん? また参加申請か!」
月穹士・スコーピオンがクラン参加希望者のメッセージウインドウを開く。そこに表示されているのは、赤い髪をした活発そうな女性の顔アイコン。
「そちら、窮地とお見受けする! 助太刀いたす!」
ノリノリのサムライ口調で参上したのは、クリスタリアンのカーバンクル・スカルン(クリスタリアンの懲罰騎士・f12355)。彼女が担いでいるのは、銀色の輝きを放つ巨大な鉄塊――車輪であった。
「よろしくお願いしますヨー。ええとあなたは……重戦士?」
黒聖者のトーリオが、カーバンクルの手にした巨大武器『カタリナの車輪』をまじまじと見つめる。
「いいえ、今の私は『大将軍』。これは反逆者を裁くための拷問具」
そう言って、カーバンクルは『カタリナの車輪』から分銅付きの鎖をギャリリリと引っ張り出した。どこまでも伸びるその鎖を、敵のモブ兵に向かって投げつける。
「次は〜、八つ裂き〜、八つ裂き〜です」
「ぐわ~~!?」
放たれた鎖は雑兵どもの四肢を絡め取り、蛇のごとく巻き付いて離れない。そのままカーバンクルは鎖を力任せにぶん回し、兵士をそこら中引きずり回したり、敵同士を激突させたりしてひとしきり戦場を引っかき回した。気がつけば、戦場にはカーバンクルが立っている辺りを中心に空白地帯が生じている。
「ううむ、大将軍ともなればあのような強力な武器が使えるのか……」
大将軍を目指して修行中の聖剣士・チハヤが、カーバンクルの獅子奮迅の戦いぶりに舌を巻いている。だがチハヤは、カーバンクルの正体が懲罰騎士であることをまだ知らない。
「よし、今のうちに突破だ! すまんが行かせてもらうぜ!」
スコーピオンら『パラベラムバレット』の面々が、これを好機と見て駆け抜けていく。彼等を見送った後、カーバンクルはさらに鉤針のついた長い鎖『ボディ・サスペンション』を取り出した。それを今度は敵にでなく、城の外壁の縁へ向かって投擲する。
「壊せないなら乗り越えればいいんだよ、届く壁ならなぁ!」
そうやって壁を乗り越え、カーバンクルは城の中庭に降り立った。着地すると、早速敵の新手がわらわらと飛び出してくる。ここからは、さらにもう一暴れだ。
大成功
🔵🔵🔵
竜珠・アルベルチーヌ
パラベラムバレットに一時参加申請
冒険者さん、手が足りないなら私にも援護させてね!
私はNPCだからお助けキャラ、って事で良いかな?
クランメンバーを雑魚敵攻撃からガードするのをメインに動くね。
かばうために空中機動で飛んで前に出て、雑魚からのダメージは衝撃吸収で耐える。
さあ、少しでも稼いだ時間で前進して!
でも防御ばかりじゃダメなタイミングもあるかも。
空中から武器のレーザーを撃ち戦う。
それに加えて
衝撃波と共にユーベルコードを使うわ。
ドレインした分は治癒に。
クランメンバーか、もしくはすごく疲弊してるのが私自身なら自分にも。
コミュ力で皆を励ましながら行くよ
冒険者さんの助けになれたら嬉しいわ。みんな大丈夫?
●
猟兵によるクランクエストへの介入が始まって、暫しの時間が経過した。駆け付けた猟兵たちのこれまでの活躍により、今のところバグプロトコルに撃破されて脱落したプレイヤーは見られない。
「二人とも、先は長いぞ。まだいけるよな?」
リボルバー型の月光銃が火を噴く。クラン『パラベラムバレット』のリーダー・スコーピオンは、共に戦うチハヤとトーリオに声をかけた。
「うむ、まだ戦闘に影響はなさそうだ」
「マァ、経験値稼ぎには丁度よさそうですネー」
出現数の設定がバグり、際限なく襲ってくる衛兵を蹴散らしながら、三人は城塞の内部を目指す。その時、彼等のクランへと参加申請のメッセージが届いた。
「冒険者さん、手が足りないなら私にも援護させてね!」
天使のような翼で戦場に舞い降りたのは、NPCの竜珠・アルベルチーヌ(リュージュの守護獣アルル・f42188)――通称『守護獣アルル』。普段は『リュージュの森の守り神』として冒険者たちの案内役を務めている彼女も、今回は戦闘に参加する番がやってきたというわけだ。
「おお、よろしく頼む! 今なら誰の申請も歓迎だぜ」
アルベルチーヌの参加申請は、リーダーのスコーピオンによって速やかに受理された。これで共闘成立だ。
「私が雑魚敵を引きつけるわ!」
武装したモブ衛兵が、団子のように固まった隊形でワッと押し寄せる。アルベルチーヌは大きな翼で滑空すると三人の前衛に立ち、大きな竜の尻尾を振るって一気に敵を薙ぎ倒した。本来は巨大な竜の姿をしているだけあり、アルベルチーヌは身長のわりに肉付きがいい。敵の反撃は防具と衝撃を吸収する尾で受け止め、ダメージを軽減させる。
「やっぱり敵の数が多いわね」
アルベルチーヌは天使のような白い翼を羽ばたかせ、高く上昇する。そのまま携行している|荷電粒子砲《ソーシャルレーザー》を構えると、砲口から黒い光線を発射して敵兵を次々に撃ち抜いた。
「みんな、ケガはない? 無理は禁物よ」
そうして獲得したドレインエネルギーを回復の力に転換させて、アルベルチーヌは冒険者達を癒やしていく。これによって、戦闘で減少したHPも大分リカバリーできた筈だ。
「なんと素晴らしい! まさしくこれこそが黒き光の奇跡」
同じ|黒聖者《ダークメサイア》のよしみか、トーリオが喜びに声を震わせた。
「私も、冒険者さんの助けになれたら嬉しいわ。みんな大丈夫? さあ、少しでも稼いだ時間で前進して! 一緒にこのクエストを攻略しましょう!」
アルベルチーヌがユーベルコードで突破口を開き、『パラベラムバレット』の面々は『|茨の姉妹《ドルンシュヴェスター》城』の内部へと攻め込んでいく。ここからは、バグプロトコルと化した強力なボス敵が待ち受けているだろう。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『バグヒロイン』
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POW : 絶望の姫騎士
【卓越した剣技】で敵の間合いに踏み込み、【折れた聖剣からバグの斬撃】を放ちながら4回攻撃する。全て命中すると敵は死ぬ。
SPD : 失われた姫騎士
自身の【首を刈っ切ること】を代償に、【再現召喚した本来の姫騎士ヒロインの自分】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【凛々しく美しい卓越した剣技】で戦う。
WIZ : 侵し広がるバグ
【自身から溢れるバグプロトコルの斬撃波】を放ちダメージを与える。命中すると【ゲーム空間を侵し書き換えるバグ】を獲得し、自身が触れた対象の治癒or洗脳に使用できる。
イラスト:はる
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「リヴィアン・フォンテーヌ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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クランクエストに介入した猟兵の協力を得て、クラン『パラベラムバレット』のメンバーは遂にクエストボスが控える城の広間に到達した。
「よし、気を引き締めていくぞ。準備はいいか?」
「無論だ、全力を尽くす!」
「我らに黒教の加護があらんことヲ」
三人が部屋に入ると、すぐにボス登場の演出が始まった。雷鳴が響き渡り、暗い部屋の中が閃光に照らされる。
『かつてこの地に栄えた貴族の姫騎士姉妹――彼女らは聖霊の祝福を受け、モンスターの群れや盗賊、邪教徒から国を守り続けた。だが、それも今となっては――』
天を仰ぐように佇んでいるのは、優美なドレスの上から甲冑を着こんだ白髪の少女。
「私にはもう、何も残されていない……私の魂の片割れ、双子の姉はあろうことか魔族の男と恋に落ち、私を裏切って国を捨てた……共に国を護ろうと誓い合ったのに!」
悲嘆に暮れる姫騎士の魂は闇に染まっている。虚ろな瞳で長剣を抜き、『バグヒロイン』は鋭利な切っ先を冒険者たちに向ける。
「もう私に迷いはない。貴方達を葬った後は、あの二人を」
「おほほほほほ、ごめんあそばせ! お待たせしましたわね!!」
悲壮な空気を破って扉を乱暴に開けたのは、プラチナブロンドの少女キャラ。『パラベラムバレット』4人目のメンバー、没貴族のエカテリーナだ。
「……ったく、待たせやがって。遅いんだよ、エカテリーナ!」
毒づくスコーピオンを意に介さず、エカテリーナは腰に帯びたトリリオンソードを抜き放った。エカテリーナの常軌を逸した廃課金により、壮麗な剣は溢れんばかりの膨大な魔力に満ちている。
「ようやくダメージディーラーの登場ですカ」
「ほほほほ! さぁ、かかってらっしゃい! 貴女ごとき、すぐにこの魔剣のサビにしてくれますわ!!」
自信満々のエカテリーナが、高飛車な笑いと共に愛剣を構える。だが彼女は知らない。目の前の敵が、彼女が今まで費やしたトリリオンなどものともしない『致命的バグ』であることを……。
政木・朱鞠(サポート)
ふーん、やっと、ボスのお出ましか…。
もし、貴方が恨みを晴らすためでなく悦に入るために人達を手にかけているのなら、不安撒き散らした貴方の咎はキッチリと清算してから骸の海に帰って貰うよ。
SPDで戦闘
代償のリスクは有るけど『降魔化身法』を使用してちょっと強化状態で攻撃を受けて、自分の一手の足掛かりにしようかな。
ボス側の弐の太刀までの隙が生まれればラッキーだけど…それに頼らずにこちらも全力で削り切るつもりで相対する覚悟で行かないとね。
得物は拷問具『荊野鎖』をチョイスして【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使いつつ【傷口をえぐる】【生命力吸収】の合わせで間を置かないダメージを与えたいね。
アドリブ連帯歓迎
●
「へぇ、ゲームの中の世界というのも意外に面白いものね。ゴッドゲームオンライン、よく出来ているわね」
バグプロトコルの影響を受けて大量に出現する衛兵を斬り倒しながら、妖狐の忍者政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)は遂にクエストボスの待つエリアに足を踏み入れた。殺風景な広間に佇んでいたのは、色黒の朱鞠と対照的に透けるような白い肌の女騎士であった。
「賊が単身で、よくここまで辿り着けたわね……」
「ふーん、やっと、ボスのお出ましか……」
この女騎士『バグヒロイン』、本来は連続するキャンペーン式クエストのヒロインとなる重要なNPCだったのだが、バグプロトコルに改竄されてクエストそのものが消失。大幅にシナリオが書き換えられた結果、姉の裏切りを受けて闇堕ちしたというなんとも悲劇的な敵キャラへと変わり果ててしまったのだ。
「終わらせましょう、全てを」
そう言って姫騎士は、突然自らの頸に長剣の刃を走らせた。床に広がった血だまりはノイズのようなバグ映像となり、それを触媒として共に戦う『本来の彼女自身』が召喚された。
「分身の術というわけね。わかったわ」
朱鞠もまた、化身忍者としての己の力を解放する。秘術【降魔化身法】を発動させると、たちまち彼女の全身を禍々しい妖の気配が包み込んだ。
「参ります……!」
在りし日の影と共に、女騎士が朱鞠へと鋭く切り込んだ。対する朱鞠は、蔓薔薇のように不規則な棘をあしらった拷問具『荊野鎖』を振り回しながら迎え撃つ。
「やあああっ!」
素早い踏み込みから撃ち込まれるバグヒロインの斬撃は、どちらのものも無駄がなく洗練されている。二者を相手取る朱鞠は高速戦闘に対応するため、まずは相手の動きを見極めて防御行動に専念した。
「守りに徹しているだけでは、勝てないわよ……!」
「ええ……あなたの実力、見極めさせてもらったわ。反撃はこれからよ!」
鎖で斬撃を弾き、拳打や蹴りで反撃する。術の反動に体を蝕まれてはいるが、スピードでは相手と互角。朱鞠はバックステップで距離を取り、空振りを誘って敵の間合いの外から鎖を勢いよく振るった。
「くっ……!」
荊野鎖が姫騎士を打ち据えると、彼女の身体に点在するバグが少し拡大した。その隙に朱鞠は、隠し持っていた暗器を分身へ投擲。放たれた手裏剣『鳳仙花』が狙い違わず胸に突き刺さると、『失われた姫騎士』はバグの中へ溶けるように消えていった。
成功
🔵🔵🔴
カーバンクル・スカルン
それでは大将軍(偽)の真骨頂参りましょうか。
『Code:Execution,approved』
機械仕掛けのワニを纏って3m越えの巨体に変身、前線の壁役は任せとけ!
バグで汚染された剣が鎧に触れる前に右手の顎で噛みついて、電撃を放ちながら手首の回転機構を回す! さらにパラベラムバレットの方々も攻撃に加われるよう姫騎士の体を頭上高く持ち上げとく。はたしてこの状況で私に一太刀当てることは出来るかな?
ちなみにこのクエストって続き物だったりするのかな? 妹を捨てたと思ってた姉は実は……みたいな展開で、誤解していたことを知った妹が後悔と謝意で泣きじゃくるっていうのも鉄板だけど。
竜珠・アルベルチーヌ
やたらと悲壮感の漂うボスだわ
お姉さんが魔族と駆け落ちしたのがショックで闇堕ち?先に結婚したからじゃ無いのね
エカテリーヌさん!気をつけて、そいつバグったせいで予想の100倍くらいヤバいと思って!
みんな、頑張ろう
私はこの幸運と衝撃吸収でかばいつつ行動
メンバーの門番になるよ
ボスの攻撃は直撃させないわ
首を切るとか激しいなあ
姫騎士らしいのが出てきたね
じゃあ私も攻撃に転じましょう
アイテムの魔眼をレーザーに埋め込みユーベルコード詠唱
空中機動を使ってボスへ攻撃
でも正面からも行っちゃうよ
羽を広げ尻尾で体を支えボスの真正面から3倍速度で思いっきり撃ち込む!
さすがに少しは効くでしょう
みんな!敵の怯んだ隙に、さあ!
暗都・魎夜
【心情】
悲劇のヒロイン設定の敵キャラってことか
ゲームのキャラとわかっていても、こういう世界だと何かあるのかもって思っちまうのは悪い癖だな
ひとまずはこのクランで生き残ることを考えねえと
【戦闘】
「ダメージ役が増えてくれたのは頼もしいぜ」
UCで姫騎士の剣技を「見切り」
クランのメンバーへ対策を伝える
「あの剣技、たしかに速いが、パターンがある。うまく動けばはめられそうだ」
「フェイント」「斬撃波」でけん制し、仲間が攻撃しやすいよう「武器落とし」
「今だ、やっちまえ!」
よほど危なくならない限り、支援を意識した立ち回りで「かばう」
今の所は「今日も楽しいゲームだった」で帰るのが一番だからな
●
刃の切っ先を向け合い、バグプロトコルに冒された姫騎士『バグヒロイン』と猟兵、冒険者達は緊迫した空気の中で睨み合っている。竜珠・アルベルチーヌ(リュージュの守護獣アルル・f42188)と暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)は、目の前の敵から奇妙な違和感を感じ取っていた。
「やたらと悲壮感の漂うボスだわ。お姉さんが魔族と駆け落ちしたのがショックで闇堕ち? 先に結婚したからじゃ無いのね」
「悲劇のヒロイン設定の敵キャラってことか。ゲームのキャラとわかっていても、こういう世界だと何かあるのかもって思っちまうのは悪い癖だな」
演出ではどこか取ってつけたような悲劇性が強調されているが、それもそのはず。彼女は本来連続するクエストの進行役を務めるNPCだったのだが、バグプロトコルによってクエストそのものを破壊、削除されるという憂き目にあったのだ。そして役目を失った姫騎士自身もまた、バグプロトコルに侵蝕されオブリビオン化するに至ったというわけだ。
「このクエストって続き物だったりするのかな? 妹を捨てたと思ってた姉は実は……みたいな展開で、誤解していたことを知った妹が後悔と謝意で泣きじゃくるっていうのも鉄板だけど」
だから、カーバンクル・スカルン(クリスタリアンの懲罰騎士・f12355)の推理はある意味正しい。本来登場するはずだった『姉』を失った『妹』のAIが、辻褄を合わせるためにシナリオを再構築、城をダンジョン化して自らがボス敵となった……というのがこのクエストの種明かしだ。
「さっきから何をヒソヒソと。……さあ、始めましょう!」
剣の切っ先に明滅するバグの光を纏い、姫騎士が冒険者に向かって勢いよく切り込んだ。
「おっほほほ、わたくしにお任せあれ!」
「連携しよう、エカテリーナ殿」
没貴族エカテリーナは稲妻を帯びたトリリオンソードを、聖剣士のチハヤは片刃の長刀を操り、姫騎士と激しく斬り結ぶ。アルベルチーヌはタイミングを見計らって前に出ると、長い尻尾で攻撃をガードしながらエカテリーナに呼びかけた。
「エカテリーナさん!気をつけて、そいつバグったせいで予想の100倍くらいヤバいと思って!」
「ひゃ、100倍!? どんなチート能力ですの!?」
バグプロトコルと化した姫騎士の剣捌きは凄まじく、動きの読み方も的確。高レベル帯のプレイヤーを以てしても、被弾は免れないだろう。
「みんな、頑張って!」
衝撃吸収を活用した高い耐久力で、敵の攻撃を耐え凌ぐアルベルチーヌ。長い尾を鞭のようにしならせ、姫騎士へと叩きつけながら反撃を繰り出す。
「ダメージ役が増えてくれたのは頼もしいぜ。俺達も加勢する!」
「さあ……それでは大将軍(偽)の真骨頂参りましょうか。前線の壁役は任せとけ!」
真っ赤な七支刀『滅びの業火』を携えた魎夜が前衛に出ると、偽大将軍のカーバンクルもそれに倣った。彼女がいつも引き連れている『機械仕掛けのワニ』をいじくると、合体ユーベルコード【断罪変形】が発動する。
『Code:Execution,approved』
カーバンクルの身体はたちまちワニと合身し、たちまち3メートルを優に超える鋼の二足歩行ロボへと変化した。
「なんと厳めしい甲冑……! さすがは大将軍ですねっ!!」
カーバンクルの威容を目の当たりにして、チハヤは拳を握り締め興奮している。どうやら、カーバンクルが本当に歴戦の大将軍だと信じているようだ。
「よし、援護するぜ。トーリオ!」
「かしこまりましタ」
スコーピオンとトーリオは、それぞれ月光銃と光線を放つ祈りによる援護射撃を担当する。姫騎士の攻撃に合わせて射撃を当てて出鼻を挫いたり、移動を妨害して足止めするのが狙いだ。
「なかなかやるわね……ならば、こちらも手数を増やすまで!」
姫騎士は何を思ったか、突然自らの頸に剣の刃を当てて勢いよく滑らせた。サッと飛び散った鮮血の正体はバグ画像で、その中から本来の彼女の姿であるところの『失われた姫騎士』が現れた。
「さあ、この連携を見切れますか!?」
絶望の姫騎士と、失われた姫騎士。二体が繰り出す苛烈なコンビネーション技に、前衛の体力がじわじわと削られていく。そんな状況でも、魎夜は冷静に敵の挙動を見極めていた。
「あの剣技、たしかに速いが、パターンがある。うまく動けばはめられそうだ」
チハヤとエカテリーナをかばいつつ、『滅びの業火』で攻撃をガードする。本物の人間のような挙動だが、やはりそこはAIである。幾つもの死闘を潜り抜けてきた銀誓館の精鋭に、一度見た技は通じない。
「あんた、良くも悪くも真っ直ぐすぎんだよ!」
コンボの起点となる素早い刺突を見切ってタックルをかまし、『失われた姫騎士』を大きくのけ反らせる。
「仲間をやらせはしないぜ。『今日も楽しいゲームだった』で帰るのが一番だからな」
「首を切るとか、激しいなあ」
アルベルチーヌは懐から宝石のような何かを取り出すと、それをソーシャルレーザーのパーツに組み込んでセットした。
「エカール、サレーフ、竜の魔眼よ、起きなさい。私達の魔力を見せてあげましょう」
アルベルチーヌが使用したアイテム『蒼の魔眼』は、武器の性能を一時的に増強するモノであった。天使の羽のごときエフェクトの魔光弾が、二人の姫騎士へ矢継ぎ早に叩き込まれる。
「みんな!敵の怯んだ隙に、さあ!」
「ええ、いきますわよ!」
「――我が太刀、受けてみよ!」
左右から交差しながら放たれる一閃を受け、分身体の『失われた姫騎士』が消失。本体である『絶望の姫騎士』も、ダメージが積み重なったことにより、遂に膝を折る。
「貰った! 今までやられた分、しっかりお返しさせてもらうわ!」
敵が怯んだ隙に、カーバンクルが鰐の顎を模した右腕を敵に喰らいつかせてガッチリとホールドした。さらに、手首の回転機構『デスロール・マシーナリー』を作動させる!
「きゃあああっ……!」
身動きが取れないまま高く掲げられた姫騎士に、電撃による更なる追加ダメージが入る。姫騎士は天を仰ぐと、虚ろな目で何事か呟いた。
「……ねえさま、どうして……」
「……これで終わりです。天に召されなサイ」
真っ直ぐに突き出したトーリオの手から、黒光の矢が放たれた。その光が胸を貫いた直後、『バグヒロイン』の身体が光の粒となって崩壊し始めた。ボス敵撃破の特殊演出だ。
「哀しいクエストはもう終わりだよ。さようなら……」
縋るような仕草でこちらに手を伸ばす姫騎士を、アルベルチーヌは沈痛な表情で見送る。そして最後の光が掻き消えた直後、大広間には沈黙が訪れた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『ギルドで話そう』
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
「……ったく、とんだ災難だったぜ」
港湾都市・ルートシアのメインストリートに、冒険者たちの集うギルドハウスがある。今回の偽クランクエストの件は、ギルド内でもちょっとした話題となっている。
「でもまぁ、助っ人のお陰で事なきを得たぜ。ありがとうな……」
クラン『パラベラムバレット』のリーダー・スコーピオンは、猟兵に感謝の意を示すとともに正式なフレンド申請を送って来た。
「私は、大将軍を目指して修行中の身です。皆様、さぞかし沢山の武勲を立てられたのでしょう……ぜひ、お聞かせください!」
聖剣士のチハヤは、上級職の大将軍になりたくて日々努力しているのだという。
「自己紹介が遅れましたわね。わたくし、没貴族のエカテリーナと申します。こちらはカネの亡者のトーリオさん」
「どうも、黒聖者のトーリオデス。わが教団の発展のために、寄付していただけませんカ?」
パラベラムバレットのメンバーは、どうやらなかなかの曲者揃いのようだ。残された時間で、彼らとGGOの話題で交流を深めるのも悪くない。これまでの冒険のエピソードや、これからの目標など、話題には事欠かないだろう。
暗都・魎夜
【心情】
何はともあれ、無事でよかったぜ
後はせっかくだし、のんびりしてくか
【行動】
「コミュ力」を活かして「情報収集」
フレンド申請は受理しておく
最近だとシルバーレイン世界で復活したデスティニーサーガの攻略もしてたし、そこでケルベロス・オメガに他プレイヤーと協力して戦った話をGGO世界に置き換えて話す
「レイド戦なんかは得意だから、そういう時はよろしく頼むぜ」
「そっちの方でも、一番印象的だったクエスト教えてくれよ」
最近増えている異常があれば聞く
また、バグについてもそれとなく警戒の噂を伝える
「聞いた話じゃ、そこでやられると二度とゲームに戻れなくなるクエストがあるらしいぜ、気を付けてくれ」
●
冒険者の待機所を兼ねた、ギルドハウス1階のカフェにて。クエストから無事帰還した暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)は、クラン『パラベラムバレット』の面々とテーブルを囲んでいた。
「ほら、せめてもの礼だ。飲んでいってくれ」
リーダーのスコーピオンが魎夜に差し出したのは、温かいコーヒーだった。鼻孔を抜けていく芳醇な香りは、とても仮想空間のものとは思えない。
「ありがとう。何はともあれ、全員無事でよかったぜ。それから、フレンド申請も受諾しておくな」
クエストを通して、クランのメンバーとの絆も深まった。再びゲームにログインしたときは、彼らのクエストを手伝ってあげるのもいいかもしれない。
「うふふ、これからは魎夜さんも仲間ですわね!」
「雨と稲妻を操る能力者か。頼もしい限りだな」
優雅な仕草で紅茶を飲むエカテリーナの声は弾んでいる。チハヤはというと、エカテリーナの隣でおはぎをつつきながら濃いめの緑茶を愉しんでいる。和菓子が好きなのだろう。
「レイド戦なんかは得意だから、そういう時はよろしく頼むぜ」
シルバーレイン世界で強力なゴーストとの戦いを沢山経験した魎夜の力は、きっと様々なクエストで役に立つだろう。魎夜は、オンラインゲーム『デスティニーサーガ』でケルベロス・オメガと戦った際の出来事を、GGOのクエストになぞらえて語った。
「地獄の番犬、ケルベロスですカ。一度、手合わせしてみたいものですネェ」
「そっちの方でも、一番印象的だったクエスト教えてくれよ」
コーヒーを一口啜り、魎夜は隣でチョコブラウニーを頬張っているトーリオに問いかけた。
「そうですねェ……そういえば、夏ごろにスコーピオンさんと海に行きましたねェ」
「ああ、海なぁ……オマエが釣りがしたいとか言って、俺を誘って」
「島だと思って降りた場所が、化け物蛸の頭だったのには参りましタ。危うく餌になるところでしタ」
トーリオのふざけた口調に、皆笑いを抑えきれなくなったようだ。お前のせいだぞ! と怒るスコーピオンも、口元を緩ませている。
「タコにやられるぐらいならいいが……ここのところ、変なバグが増えているらしい。聞いた話じゃ、そこでやられると二度とゲームに戻れなくなるクエストがあるらしいぜ、気を付けてくれ」
「バグか……実は俺も、少し気になってるんだ。ま、知り合いと色々情報交換しているし、ここに来ればいつでも新しいニュースが見られる。何か変わったことがあれば、アンタにも知らせるよ」
去り際、魎夜とスコーピオンは握手を交わして再び会う約束を結んだ。心強い仲間を得た魎夜は、晴れやかな気持ちでギルドハウスを後にした。
大成功
🔵🔵🔵
カーバンクル・スカルン
「大将軍」って名乗ってたらやっぱり食いついてくるよなぁ……。まあ、虚実交えてのらりくらりかわすとしますか。
まず大将軍になってもこの武器はクエストの報酬とかガチャとかでは手に入らないから。私の本質ってどっちかといえば「クラフター」だからね、とか言いつつ、実際にカタリナの車輪とか機械仕掛けのワニの内部機構を開けてチハヤさんにみせますか。実際にチハヤさんが大将軍になった時に「カーバンクルさんのやってたあの技が出来ない!」ってなっても困るし。
まあ、ここまでの戦力を得るにはなんだかんだ言ってやっぱり積み重ねだよ。色々やって、成功と失敗繰り返して、対策のために改良してを重ねた結果が今だからねー。
竜珠・アルベルチーヌ
クエストクリアと帰還!おめでとう~♪
(無邪気に万歳とハグで祝福)
あっ、改めて自己紹介ね!
私はアルベルチーヌ、普段はリュージュの森にいるの。出会うタイミングで『守護獣アルル』って名乗ることもあるよ。
もし、この地方に来ることがあったら立ち寄ってね、歓迎するわ!
面白いお仕事やお願い事もあるかもだし。
いつもは案内や橋渡しが多いから、今日みたいに思いっきり戦えて、みんなの助けになれて、嬉しかったよ!
ふふっ、トーリオとは黒教仲間ね。
沢山は無理だけどさっき獲得したトリリオンを少し喜捨するね~。
スコーピオンと、チハヤ、エカテリーヌとはトリリオンを賭けてカードゲームもしよう♪
またね、
みんなの武運を祈ってるよ…!
●
「ここか。ギルドハウスって、中は結構広いのね」
ギルドハウスの正面ドアを開け、カーバンクル・スカルン(クリスタリアンの懲罰騎士・f12355)は内部をキョロキョロと見渡した。ギルドハウスは2階建てで、1階は冒険者の待機所を兼ねたカフェが併設されていた。
「クエストクリアと帰還! おめでとう~♪」
カーバンクルが中に入ると、一足先にギルドハウスを訪れていた竜珠・アルベルチーヌ(リュージュの守護獣アルル・f42188)が『パラベラムバレット』のメンバーを無邪気にハグしたり、万歳をしたりして祝福していた。プレイヤーの役に立つために活動するNPCの彼女である。無事にクエストを達成できた喜びもひとしおだろう。
「皆さんのお陰で、あの強敵に勝つことができましたわ。大量の経験値で一気にレベルアップですわー!」
「こちらへどうぞ、皆で一緒にお祝いしましょう。カーバンクルさんと、お話したいこともありますし……」
エカテリーナとチハヤが二人をテーブルへ案内すると、既にトーリオとスコーピオンも椅子に掛けていた。
「よう、待ってたぜ」
「ここは我々持ちですカラ、お好きなだけ飲み食いしてくだサーイ」
既にテーブルの上には、サンドイッチやパスタ、ローストチキンといった料理が並べられている。
「お話……(まぁ、「大将軍」って名乗ってたらやっぱり食いついてくるよなぁ……)」
メンバーが揃い、今回のクエスト成功を祝うパーティーが始まった。どの料理も飲み物も、仮想空間のものとは思えない出来映えだ。
「あっ、改めて自己紹介ね! 私はアルベルチーヌ、普段はリュージュの森にいるの。出会うタイミングで『守護獣アルル』って名乗ることもあるよ。もし、この地方に来ることがあったら立ち寄ってね、歓迎するわ! 面白いお仕事やお願い事もあるかもだし」
「あー、どうも。大将軍のカーバンクルです。よろしく~(まあ、虚実交えてのらりくらりかわすとしますか)」
まずは猟兵二人が簡単な自己紹介をする。アルベルチーヌにとってはいつもの手慣れた挨拶だが、カーバンクルは多少頭を使うことになりそうだ。なぜなら、
「カーバンクル殿。あの変化する甲冑はどうやって動かしているのです!?」
彼女の目の前には、大将軍を真剣に目指すチハヤがいたのだ。まるでヒーローショーを目の当たりにした純粋な子供のように、きらきら目を輝かせている。そんなチハヤの問いかけに、カーバンクルは神妙な顔つきで回答した。
「あー……まず大将軍になってもこの武器はクエストの報酬とかガチャとかでは手に入らないから。私の本質ってどっちかといえば『クラフター』だからね」
「なんと……あれをご自身で造ったと?」
真っ直ぐな性格のチハヤは、カーバンクルの説明を受け入れてくれたようだ。カーバンクルは『機械仕掛けのワニ』や『カタリナの車輪』の内部構造を、冒険者たちに見せてあげた。そのメカニズムは複雑かつ精緻で、高度な技術で造られていることは素人目にもわかった。
「まあ、ここまでの戦力を得るにはなんだかんだ言ってやっぱり積み重ねだよ。色々やって、成功と失敗繰り返して、対策のために改良してを重ねた結果が今だからねー」
仮にチハヤが大将軍になったとして、『あの時のカーバンクル殿のようなスキルが使えない!』という事態になっては色々と問題があるだろう。カーバンクルは、あくまで自分が独自のスタイルを追求し続けて今日に至った……ということにしたのである。
「なるほど……大将軍になるためには、ただ剣を振っていればよいというわけではないのですね。これからは、INTも伸ばさないと……大将軍までの道のりは遠いですね。ですが、いつか必ず!」
カーバンクルの言葉を受け、自身のこれからの成長プランを色々と模索するチハヤであった。
「ワタクシ守銭奴と言われてマスが、この街に黒教の施設を建てるのが大きな目標なのデス」
「ふふっ、トーリオとは黒教仲間ね」
欲望による進化を掲げる黒教は、|統制機構《コントロール》に支配されるこの世界の人々にとって心の拠り所になるだろう。トーリオは別に、私利私欲のために寄付を求めていたわけではないのだ。
「沢山は無理だけどさっき獲得したトリリオンを少し喜捨するね~」
「ありがとうございマス」
アルベルチーヌは、クエストで得たトリリオンを少しだけトーリオに分けてあげた。普段は辻ヒールや辻説法で細々と収入を得ている彼には、よい手助けになっただろう。その後はスコーピオンの提案で、トリリオンを賭けたポーカーで大いに盛り上がったりもした。
「……さて、名残惜しいけどそろそろお暇しますか。帰ってワニの整備もしないといけないし」
「またね、みんなの武運を祈ってるよ……!」
「ん、もう帰るのか。アルベルチーヌ、いやアルルでいいか。いつかリュージュの森に寄ったら、挨拶させてもらうぜ」
帰り際、スコーピオンはアルベルチーヌの暮らす森を訪ねると約束してくれた。彼等がこれからも仲良く無事に冒険を続け、また成長した姿を見せてくれることを楽しみにする、アルベルチーヌであった。
大成功
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