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アートマンの合一には遠くとも

#クロムキャバリア #ノベル #ACE戦記外典 #バーラント機械教国連合

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#バーラント機械教国連合


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ジュディス・ホーゼンフェルト
ジュディスとガルムの出会いのお話しをお願いします。
アドリブ改変その他諸々お任せします。

●どういう事だってばよ?
セイヴァー/IVI/サウィン後、ジュディスはバーラントの機械教皇庁に帰還しました。
これまで得た各地の情勢や猟兵の動向を機械教皇アナスタシアに報告するためです。
報告を終えたジュディスにアナスタシアはガルムの巫女となるよう命じました。
ガルムとはバーラント機械教皇庁が保有する機械神(巨神とほぼ同義)の一機です。
百年前のエルネイジェとの大戦の際に搭乗者が死亡し、その後はずっと休眠状態に陥っていました。
それがジュディスの帰還に合わせて突如起動したのです。
ここまでが以下に至るまでの経緯となります。

●それから?
ジュディスはガルムと共に広い荒野を訪れていました。
アナスタシアから早くガルムと魂を同調させるようにと命令を受けたので、操縦に慣熟する為です。
「と言ってもこんな代物いきなりポンと渡されてもねぇ……」
ジュディスは困惑していました。
今まで四足獣型の機体には乗った経験がありません。
ましてや機械神に乗る事になるなど想像もしていませんでした。
「そもそもアタシが帰ってきた途端に起動したからってアタシが巫女だとは限らないんじゃ……」
ですがアナスタシアからの命令は絶対です。
「アタシの名前とエンブレムまでペイントされてるし」
ミサイルランチャーにペイントされたそれらがやけに目立ちます。
塗装を命じたのはアナスタシアです。
ガルムと共にバーラント機械教皇庁の執行官の畏怖を喧伝させたい狙いがあるそうです。
「ガルム、お手」
ジュディスが手を出すとガルムはお手をします。
「アンタって犬っころみたいに素直だねぇ……機械神ってもっと気難しくて偉そうなの想像してたけど」
ガルムはお行儀良くお座りしています。
「ま……アタシもアナスタシア聖下の犬っころだし? 犬同士気が合うのかもね」
しかしジュディスにはガルムの声が聞こえません。
アナスタシア曰く、機械神の乗り方の真髄は人機一体にあると言います。
真に人機一体を果たすと魂が同調し、声が聞こえるようになるそうです。
「気が合っても声ってのは聞こえないけど……考えてる事は何となく分かる」
ジュディスはガルムのコクピットに乗り込みました。
するとガルムは遠吠えを上げて走り出します。
「走れガルム! アタシと一緒に走れー!」
ガルムはブースターを点火して加速しました。

だいたいこんな感じでお願いします!
以下は参考資料程度に扱ってください。

●ガルムとは?
バーラント機械教皇庁が所有する機械神の一機です。
分類は一応サイキックキャバリアです。
冥界の番犬と伝えられています。
崇拝する宗派こそありませんが、魔除けの象徴として有名です。
先代の搭乗者は百年前のエルネイジェ王国との大戦の際に死亡しました。
その後は休眠状態に陥りました。
休眠中はバーラント機械教皇庁が保守管理を行っていました。

●休眠状態に陥った理由は?
搭乗者の死亡により心理的外傷を受けたためです。

●性格は?
一言で現すなら犬です。
信頼関係を築いた搭乗者に対しては従順ですが、戦闘時には狼のように獰猛となります。
また、24時間の内に一定距離の歩行ないし走行を行わないと機嫌を損ねます。

●巫女?
アーレス大陸では機械神(巨神)の搭乗者を巫女と呼ぶ場合があります。
男性でも巫女と呼ばれます。



●ゆめをみる
 戦場の煌々たる炎は、己の存在意義を照らし出す。
 百年前……いや、百年経った、と言うのが正しいのだろうか。それだけの月日が流れても、己の電脳は忘れない。いや、電脳ではなく真核とも言うべき炉心が叫んでいる。
 恐怖であったかもしれない。
 絶望であったかもしれない。
 取り返しの付かない事象に対して己が何かできるわけもなく。
 停滞も促進も、全てが己の手では取り返しの付かない現実を置き去りにしていく。

 だから、己は咆哮するしかなかった。
 慟哭であったかもしれない。
 目の前の燃え盛る炎。
 青い炎。
 昌盛する熾火。

 それは『救世主』であり『悪魔』だった。
 青い騎士めいた姿が燃え盛る炎の奥に揺らめき続けていた――。


●勅
 ジュディス・ホーゼンフェルト(バーラント機械教皇庁三等執行官・f41589)は困っていた。いや、困っていた、というのは正しくないだろう。
 荘厳なる謁見の間にて彼女は膝を付き、頭を垂れていた。
「以上がアーレス大陸周辺の情勢です、『アナスタシア』聖下」
「苦労をかけました、ジュディス」
「もったいないお言葉でございます、聖下」
「『シーヴァスリー』、百年前の『サスナー第一帝国』から連なる『バンブーク第二帝国』に眠っていた超技術を吸収した小国家……今は」
「恐れながら、『第三帝国シーヴァスリー』と」
 帝なき小国家。
 何故、帝国を名乗るのかは未だ判然としていないが、新たな小国家『プラナスリー』によって滅亡しかけていることは事実である。

 その中心にいたのが猟兵たちである。
 そして、ジュディスもまた猟兵に覚醒した『バーラント機械教国連合』の執行官だ。彼女自身の目で『第三帝国シーヴァスリー』の変遷を目の当たりにしてきた。
 百年以上の間に多くの事柄があってもなお、『アナスタシア』聖下に連なる『バーラント機械教国連合』は安定していると言える。
 他の小国家が明滅するように滅びては興っていく様をジュディスは、この短期間で見つめ続けてきた。
 その点において比較するのならば『アナスタシア』の政治的手腕というものは埒外であるように思えたことだろう。
「……して、『ビバ・テルメ』の四機のサイキックキャバリアの姿はどのようなものでしたか、ジュディス。あなたの印象で構いません」
 その言葉にジュディスは面を上げて告げる。

「申し上げます。赤と青の装甲を持つ奇妙な配色でした。機体そのものに武装は多くなく、プラズマブレイドが主武装であるように思えました。しかし、その働きは」
「まるで『巨神』のようであったと?」
「はい。『神機の申し子』が操縦していることを差し引いても」
「かの四人の『神機の申し子』は猟兵ではないのですね?」
 そのことが最も『アナスタシア』の関心事であることをジュディスは理解する。『アナスタシア』は機神……つまりは『巨神』と猟兵の組み合わせを酷く警戒しているようだった。
 けれど、それについて己達執行官が物申すことはない。
 なぜなら、己たちは『アナスタシア』の耳であり、目であるからだ。
 口ではない。
 だから、ジュディスは頭を垂れたまま膝をつく。

「はい。猟兵であることは直接相見えても違うと断言できるものでした」
「ならば良いのです。『あれ』らは……『光の渦』を越えてやってくる。恐らく私の予想が正しいのであれば、あなたが次に『あれ』らと相見えた時、姿が変わっていることでしょう」
 その言葉に疑問を居だけど、ジュディスは問いかけることはなかった。
 それは己の役目ではない。
『アナスタシア』はそれを見て、己に報告してくれればいいと言っているのだ。ならば、その勅命を全うするだけだ。
 これで得た各地の情勢と猟兵の動向を報告し得たジュディスは場を辞しようとして、未だ『アナスタシア』から許可が降りないことを解せなかった。
 下がれ、と一言告げるだけでいいのに、彼女はジュディスを見下ろしたままだった。
 不可解な間が生まれる。

「……」
 聖下? と面を上げそうになった瞬間、『アナスタシア』が告げる。
「ジュディス・ホーゼンフェルト」
「……は」
「あなたを『ガルム』の巫女として任命致します。以降、あなたは『ガルム』の巫女として行動しなさい」
「……は?」
 え、なんで? とジュディスは思った。
 だが、その疑問を口に出すことは許されない。わかっている。わかっているのだが、どうして? という疑問だけがジュディスの中を駆け抜け、渦を巻くのだった――。

●荒野を征く
 乾いた大地を蹴る音が響く。
 乗り心地は悪くない、とジュディスは最初にそう思った。
 四足の獣。
 鋼鉄の躯体を持つ獣たる姿を持つ『バーラント機械教国連合』 が保有する機械神が一柱『ガルム』。そのコクピットにジュディスは収まり、腕組みをして考える。
 なんでこんなことになったのだろう。
 よくわからない、というのが正直なところだった。

 この機体へと案内された時、『ガルム』の保護保全を行っていた者たちに問いただしたが、答えはなんとも判然としないものばかりだった。
『ガルム』はたしかに『バーラント機械教国連合』が保有する『巨神』の一騎である。
 だが、百年前の戦乱の折に搭乗者の死亡と共に休眠状態に陥っていた機体である。
 如何にしても炉心に火が灯ることなく、されど解体することもできずに今の今まで保全だけが為されていたのだ。

 けれど、ジュディスが帰還したのと同時に炉心に突如として火が灯り、起動を果たしたというのだ。
 本当に?
「そりゃ、聖下を疑うわけじゃないけどさぁ……」
 いくらなんでも急すぎる。急転直下すぎる。
 なんでまた自分なのだろうか。わからない。
「というか、アンタもうんとかすんとかワンとか言いなさいよ」
 軽くコンソールを叩く。
 けれど、特に反応はない。本当に自分なのか? という疑念が益々持って湧き上がってくる。

 機械神……『巨神』とは即ち、選ばれたということである。
『ビバ・テルメ』の湾内に沈んでいた『巨神』、『セラフィム・シックス』がそうであったように乗り手を選ぶ。あの機体は結局乗り手を選ぶことなく再び湾内に沈んでいったが。
 詰まる所、ジュディスには選ばれた、という自覚さえなかったのだ。
『良いですか、ジュディス。機械神を駆るということの真髄。それは人機一体にあります』
 見せられた映像。
 そこに写っていたのは青い騎士めいたキャバリアだった。
 ――『熾盛』。
 それは百年前の戦乱に突如として現れた『憂国学徒兵』を名乗り、『サスナー第一帝国』と、続く『バンブーク第二帝国』、さらには周辺の支配領域にあった全ての小国家を瞬く間に制した小国家の母体ともなった集団が用いたキャバリアであった。

『かの機体はたしかに味方にとっては『救世主』。しかして、敵にとっては『悪魔』。それほどまでに二面性を見せる機体でした』
 映像の中の青いキャバリアはまるで人のような……いや、人を越えたような、人の身体能力の拡張性、その可能性を見せつけるかのような動きで他のキャバリアを圧倒していた。
『あの機体は記録にある限り、一度も手傷を負ったことがありません』
 故に、とあれこそが人機一体であると彼女は告げる。
 魂の同調とも言うべきレベルに至ることによって、『ガルム』の声がいずれジュディスにも聞こえるようになるのだと。

「って、言われたけど」
 まるで聞こえない。
 なんでかしらねぇとジュディスは頭を抱えたい気持ちだった。『アナスタシア』からの期待には応えなければならない。
 こうして荒野にて慣熟のために『ガルム』を駆っているのだが、期待以上に己の心身に重くのしかかる『アナスタシア』の言葉。
「いきなりこんな代物を、ポンって渡されても」
 アタシ、四足型には乗る機会がなかったし、そもそも執行官になるべく施された教育、教練の中で適正はまるでなかったはずだ。
 なのに今は当たり前のように騎乗することができる。
 いや、そもそも機械神に搭乗することになることなど想像もしていなかったのだ。

「ていうか、眉唾じゃないのかしら。そもそもアタシが帰ってきた途端に起動したからってアタシが巫女じゃないんじゃない?」
 それは当然の疑問だったが、まあ、『アナスタシア』がそうだというのならば、黒も白になるし、鳩も鴉になるのだ。
 しかも、である。
 己の乗機であることを示すパーソナルマーク、詰まる所エンブレムまでペイントされているのだ。やけに目立つ。
 それは結局、『ガルム』という機械神の存在が『バーラント教国連合』に在り、といういふを喧伝したいという思惑があるのだろう。

 確かにクロムキャバリアは戦乱の世界である。
 他の世界を知る猟兵に覚醒したのだから、ジュディスにもこの世界がどれだけ常なる戦乱に満ちた危険な世界であるのかを理解できる。
 ならばこそ、力は外交手段になる。
 振るわなくとも、そこに在る、という事実だけで周辺の小国家を抑え込むことができるのだ。
 時にすでに滅びし小国家『八咫神国』が、あの映像でみた青い騎士の如きキャバリアの搭乗者である『フュンフ・エイル』の血脈でもって仮初であっても平和を実現していたように。己の存在がそうなる、とはジュディスは思いもしなかったが、しかし現実はそうではない。
 己がそうあれ、と『アナスタシア』に言われたのならばそう在るべきなのだ。

●疎通と
「『ガルム』、お手」
 体高5mの鋼鉄の獣が荒野にてジュディスの前で伏せながら、その格闘兵装である爪を引っ込めた前腕を向ける。
 なんとも従順なことだ。
 お行儀がよい。
 というか、素直すぎる。
「アンタって犬っころみたいに素直だねぇ……」
 その言葉に『ガルム』は首を傾げるような所作を見せた。わかっていないのだろう。こちらの言葉が届いていても、ジュディスの細かな意思まで伝わっていないのがわかる。
 逆説的に、それは即ちジュディスが『ガルム』の中にある精神性、その機微を徐々に理解し始めているということでもあったのだ。

「……機械神ってもっと気難しくて偉そうなのを想像してたけど」
『バーラント機械教国連合』以外の機械神……『エルネイジェ王国』の姫君たちが駆る機械神と比較しても『ガルム』はジュディスに従順だった。
「ま……アタシも『アナスタシア』聖下の犬っころだし? 犬同士気が合うのかもね?」
 そう言葉を告げても『ガルム』の声は聞こえない。
 確かに人機一体の境地はまだ遠いのかもしれない。
 けれど、徐々に荒野を共に駆け抜けることでわかったことがある。

 この『ガルム』は心的外傷を得ている。
 それが何に起因するのかをジュディスは夢という形で見ていた。
 搭乗者を失ったこと。
 護らねばならなかったこと。
 守りきれなかったこと。
 その悔恨、その慟哭をジュディスは夢で見たから知っているのではなく、魂で理解できている。
 まだ声が聞こえずとも理解できるというのならば。
「そのうち聞こえることもあるでしょ」
「――」
『ガルム』が身震いするようにして立ち上がる。

「また?」
 ジュディスは呆れたように、けれど笑って掌を振る。
 そう、『ガルム』は一定時間の内に歩行ないし走行を行わないと機嫌が悪くなるのだ。
「もはや慣熟訓練っていうより、これはお散歩よね。でもまあ、いいわ」
 ジュディスは『ガルム』のコクピットに乗り込む。
 この『ガルム』が与えられ、己を選び、『アナスタシア』聖下がそうあれというのならば、やるべきことをやるまでである。
 其処に疑問はない。

「走れ『ガルム』! アタシと一緒に走れー!」
 口腔めいたパーツが展開し、その奥にある音響兵器が唸りを上げ、獣の咆哮を迸らせる。
 それは狼の遠吠えめいた咆哮であり、また同時に後脚武に備えられたターボイオンブースターが展開する。
 点火された瞬間、凄まじい加速と共にジュディスと『ガルム』は荒野を一直線に駆け抜ける。
 ひたすらに、ひたむきにと言ってもいい。
 只々走り抜ける。
 今だけは冥界の番犬としての役割を、癒えぬ過去の傷をも忘れるように『ガルム』は荒野を疾駆する。

 新たなる乗り手であるジュディスを得たことを誇るように、その咆哮は百の年月を歌う――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2023年11月27日


挿絵イラスト