とある世界に、テレビウムのちっさいおっちゃんが王様を務める国がありました。
王様の名は馬飼家・ヤング、民には親しみを込めてヤングのおっちゃんと呼ばれており、ヤングも満更ではない様子。今日も今日とて、ヤングは自国の見回りと称して食べ歩きに向かったのです。
「やっぱテナモンヤ王国のたこ焼きは絶品やな~、こんな美味いモンが食える国の王様でよかったわ」
赤いマントを翻し、鼻歌混じりにヤングが歩いていると目の前に泣いている女の子がいるではありませんか。
「どないしたんや、お腹が空いたんか?」
「うう、お母さんが病気で……でもお金が無くて」
「そら大変や! ほなこの首飾り、もってけドロボー!」
「そんな、貰えません!」
吃驚した女の子が首を横に振ると、ええからええから、とヤングがその手に握らせます。せめてものお礼にと、女の子はたこ焼きをヤングに渡し、ありがとうと何度も言いながら帰っていきました。
「いや~ええことした後は気分がええなぁ」
再びヤングが歩き出すと今度は上着をなくした男の子がいて、寒いと泣くのでヤングが上着を脱いで差し出します。
「わいの温もりたっぷりやからな、寒さもぶっ飛ぶで!」
ヤングの上着を羽織った男の子はその温かさに笑顔を浮かべ、お礼にたこ焼きをくれました。
「いやほんま、ええことすると徳が上がったような気ぃするわ」
そんな風に歩き回っていると、いつの間にかヤングは王冠と赤い王様マント、それからパンツという姿になってしまっていたのです。
「おかしいな……わい、いつの間にかほぼほぼ裸やねんけど」
なんでやねんって顔をしたのも束の間、ヤングは持ち前の明るさで笑います。
「いやいや、これも悪い事やあらへんで、何せ何でか知らんけどたこ焼き一年分を手に入れたんやからな!」
そう、ヤングは様々な人の困りごとを快く解決するうちに、いつの間にかたこ焼きを満載したリヤカーを手に入れていました。それを引きながら城へ帰る姿を見た子どもが、声を上げます。
「ヤングのおっちゃん、裸の王様や! あとたこ焼き!」
「せやで! ヤングのおっちゃんは裸の王様にしてたこ焼きキングでもあるんやで!」
裸の王様! たこ焼きキング! という民たちの声援に気を良くしたヤングは無料でたこ焼きを配りながら城へと帰ります。
最後に残ったのは、ほぼ裸のヤングと一皿分のたこ焼き、そして民たちのかけがえのない笑顔だったのでありました。
成功
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