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In the worst case

#シルバーレイン #聖杯戦争 #決戦 #continuationSR

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 ……最悪の最悪、と名乗るだけなら簡単だ。
 しかし、実態を伴なわねばそんなものは単なる言葉遊びでしかない。

「今回の事件における最悪のケースは『未知のオブリビオン・フォーミュラ達』の大幅な強化」
 仰木・弥鶴(人間の白燐蟲使い・f35356)が穏やかに微笑みながら説明を続ける。事の発端は『|新・最悪の最悪《ネオ・タルタロス》』を名乗るナイトメアビーストのオブリビオンの出現にあった。
「彼らは猟書家『ハビタント・フォーミュラ』の命令で『世界結界破壊儀式』を進めている。これが成就すれば世界には大量の|銀色の雨《シルバーレイン》が降り注いで――」
 最悪の事態が引き起こされる、というわけ。

 言わずもがな、阻止するには儀式の破壊が必要だ。
 最も、相手は何重もの防護を敷いて外敵を寄せ付けまいとするので、そう簡単にはいかない。
「儀式には第二次聖杯戦争でオブリビオン・フォーミュラ『聖杯剣揺籠の君』の滅びと共に破壊された『聖杯』が使われている。これもおそらくは、ハビタント・フォーミュラが極秘に回収していたんだろう」

 もとは世界結界が無くなる方向に進んでいた世界だが、今このタイミングで破壊されるのは避けたい。弥鶴はふと窓の外を見た。
 綺麗な秋晴れの空。
「そもそも、あと何体いるんだろうね。シルバーレインのオブリビオン・フォーミュラは」
 世界結界破壊儀式によってそれらの存在が全て強化されたとしたら、まさしく最悪そのものだ。


ツヅキ
 各章の最初に断章が投稿されてから受付開始。
 届いたプレイングから順次リプレイを執筆、🔵が👑に達したところで受付終了となります。

 詳細はオープニングと各章の断章をご参照ください。
 第2章、第3章のボスはそれぞれユーベルコードの他に追加能力を持ちます。こちらの対策があるとプレイングボーナスです。
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第1章 集団戦 『リベリエ・プディング』

POW   :    ペティ・プディング
【頭部を人化(※美少女)させた魔法少女姿】に変身し、武器「【プリンバトン(※物理攻撃しか出来ない)】」の威力増強と、【カラメルソースの翼】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
SPD   :    クレム・カラメル
速度マッハ5.0以上の【カラメルソース(束縛効果あり)噴出】で攻撃する。軌跡にはしばらく【凝固したカラメルソースの塊】が残り、追撃や足場代わりに利用できる。
WIZ   :    アラモード夢想曲
【理想のプリンアラモードの空想】から【敵の頭上に空想した通りのプリンアラモード】を召喚する。[敵の頭上に空想した通りのプリンアラモード]に触れた対象は、過去の【何を置いてもスイーツ食べたい衝動】をレベル倍に増幅される。

イラスト:樹下じゅげ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 現場に到着した猟兵たち眼前に広がるのは不可思議といって遜色ない光景だった。透き通った城壁が螺旋を描いて儀式場までの道程を守っている。
 一言で説明するならば、『見えない城壁に囲まれた渦巻型の戦場』といった様子。
 
「三時のおやつには何をご所望かしら?」
「甘いプディング、香ばしいカラメル、そして宝石箱みたいなアラモード!」

 戦場の至るところにリリス化オブリビオン軍団ことリベリエ・プディングの群れを確認。その姿はすぐ近くにいるように見えるが、渦巻く城壁に阻まれて触れることは叶わない。
 ……どうやら、この見えない城壁に沿って移動しながら戦うしかないようだ。
霧崎・ヤマト
とにかく、儀式ってやつを壊しに行けばいいんだろ?
……ところでさ、プディングって、プリンのことか? 母さんと食べた時、むっちゃ美味かったんだよな。ぷっちんするのすんげえ楽しかったし……いやいや、とにかく……あの変な奴倒せばいい? 渦巻みたいな壁になってても、俺は平気。この紅蓮撃で敵を一網打尽にしていくぜ!!

それにしても、この壁、邪魔くさい。壊しちゃダメかな? 壊せるなら、赤手でぶっ壊していくぜ。その方が戦いやすいしな♪
それにしても、この美味しそうな匂い、なんとかならないないかな? 腹減って来るんだけど!! なんかおやつ持ってくればよかった……。ぐううう。



 ――くすくす。
 誘う指先がひらひらと見えない壁の向こうで左右に揺れる。
 リリス化しているからなのか? 声色はやけに甘ったるく、媚びたような響きを纏っていた。

「プディング……それって、プリンのことか?」
「そうよ、カスタードプディングをそう呼ぶのね」
「それなら母さんと食べたことがある。こうやって、ぷっちんして食べるんだぜ」
 容器のツメを折り、皿に盛り付けて食べるのがとても楽しかったのを霧崎・ヤマト(土蜘蛛の魔剣士・f42006)は思い出した。なるほど、プディングとはあれのことだったのか。
 ヤマトは姿勢を低め、自分の身の丈ほどもある赤手を振り回してオブリビオン退治に取りかかった。
「ひどいわ、そんなもので殴るなんて!」
 敵の頭がかわいい女の子の顔になって襲いかかるが、構うものか。赤手が命中した頭部が弾け、透き通った壁面に飛び散った。
 問題は、この甘い匂い。
 食欲をそそるプディングとカラメルの。
 ――ぐぅ。
「うぁッ……」
 思わず、自分のお腹を押さえた。
 間違いなく、それはヤマトのお腹が鳴る音だった。
 敵に近づけば近づくほどに強まる、焼きたての、香ばしいお菓子の匂い――……。
「この匂いなんとかならないかな? ああもう、なんかおやつ持ってくればよかった!!」
 誰も聞いてなかったよな、と辺りを見回す。
 それにしても、邪魔くさいのは渦巻くこの壁だった。
「ちょっと試しに叩いてみるか?」
 だが、紅蓮撃の直撃を受けながらも城壁はびくともしない。
「か……ってぇ! 何だこれ、何で出来てんだろ?」
 ヤマトは新たに敵を薙ぎ払った。きちんと効いている。ユーベルコードのせいではなかった。
 この壁が特殊なのだ。
 そこに在ると知らなければ何も見えやしない、不可視の壁そのものが。
(「これも聖杯の力のひとつなのか?)」
 どのような絡繰りであろうがやる事は同じだ。全部倒せばいいんだろ、と言わんばかりに赤手で敵を蹴散らしながら目指すは戦場の中心部。

 そこに、儀式の首謀者がいる。

成功 🔵​🔵​🔴​

儀水・芽亜
『|新《ネオ》・|最悪の最悪《タルタロス》』ですか……。あんなもの継承せずともよいものを。
懲りない連中は、今一度悪夢の底へ沈めてくれましょう。

では参りましょうか。
「楽器演奏」「歌唱」「全力魔法」「範囲攻撃」振動の「属性攻撃」「衝撃波」でブラストヴォイス。
歌い続けながら前進し、効果範囲にオブリビオンが入ってきたら即粉々ですよ。ユーベルコードの効果ごと吹き飛ばしましょう。

「集中力」で感覚を高めた「見切り」で、透明な壁が反射する音を拾って、この場所の構造を把握します。蝙蝠などが使う|音響空間測位《エコーロケーション》の真似事です。
これで、透明な壁に惑わされることなく、奥へと進むことが出来ます。



 その敵の名を、『|新《ネオ》・|最悪の最悪《タルタロス》』。
「懲りない連中ですね、実に愚かしい」
 儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『夢可有郷ザナドゥ』・f35644)は呆れ顔で楽器に手を伸ばした。
 ――渦巻型の障壁?
 そんなものは……逆に利用してしまえばいい。
 たとえば蝙蝠は超音波を利用して空間測位を行えるのだそうだ。方法は|音響《エコー》。集中すれば感じ取れる。ゆくべき道が。
「あんなものを継承したこと、後悔させてあげますよ」
 いざ、歌唱の舞台へ……ご案内。
 芽亜の発するブラストヴォイスが絶唱となって戦場を満たす。さっきまで楽しげに踊っていたオブリビオンもたちまちのうちに逃げ惑った。
「耳が痛いわ……! あああッ!」
 オブリビオンの全身にひびが入り、衝撃波に砕かれるようにして粉々の末路。周囲に飛び散ったカラメルソースの塊が吹き飛ぶように散乱した。
 芽亜は探り出した正解の道筋をたどり、一歩ずつ核心へと近づいてゆく。声の通る先へ、その先に待つ者たちを悪夢の底へ沈めるために。

成功 🔵​🔵​🔴​

山吹・慧
う~む、聖杯はあのハビタントが回収していましたか……。
これは面倒な事になりそうですね……。
ですが、今は目の前の事に専念するとしましょう。

プリンは好きですが、こういった手合いは御免蒙りますね。
敵の行動は【気功法】でその気を感じ取る事で把握し、
囲まれないように注意。
カラメルソースによる攻撃は【集中力】で回避しましょう。
敵の追撃は【ジャストガード】からの【受け流し】で対応し、
そのまま【グラップル】による【カウンター】で
投げ飛ばしてやりましょうか。
敵が弱ってきたならば【転玄脚・嵐】を放って纏めて攻撃。
残った敵には烈風を足場にして【功夫】の打撃で追い打ちを
かけていきます。



「復活した聖杯は既に回収された後でしたか……」
 山吹・慧(人間の玄武拳士・f35371)の表情が険しくなるのも無理はなかった。|あの《・・》ハビタント・フォーミュラの暗躍はまだ続いていたのだ。姿を消した後、どこで何をしているのか今日まで知れなかった存在。
 面倒な事になるのは避けられないようだ、と慧が思わずため息をつきたくなっても仕方あるまい。
 意識を眼前に待つ戦場に向けつつ、片手で襟巻を直しながら見据える。
 ……渦巻型の見えない城壁を、だ。
「あら、3人目のお客さまがいらっしゃいましたわ。甘くて苦いカラメルソースを召し上がれ!」
 慧は一瞬で集中を深め、飛び交うソースをかいくぐる。最も避けたいのは囲まれる事だ。
「そうはいきませんよ」
 とっさに屈み、頭上を通過する液体を紙一重で躱した。これを足場にするつもりか。だが、慧は敵の気配を相手の“気”を通じて感じ取るなり迎撃態勢を整えた。

 ――もらった。
 まるで当身のように、構えた両腕に触れた相手をくるりと投げ飛ばす。
「きゃあッ」
 悲鳴を上げ、叩きつけられたオブリビオンが呻きながら消えてゆく。そうやって相手をしてやりながら、慧はユーベルコードを解き放つタイミングを待っていた。
「そろそろですかね」
 充分に敵が弱り、攻撃の波が途絶えた瞬間を狙っての鋭い回し蹴り。
 名を、転玄脚・嵐。
「な――」
 自らが放つ液体と拮抗し合う速度でその蹴りはオブリビオンを撃ち据えた。
「残念ながら、あなた方だけの十八番ではないのですよ」
 慧は戦場に残る烈風の上にひらりと飛び乗って、派手に暴れる。練り上げた功夫が漲る拳はそれ自体が凶器となってオブリビオンの息の根を止めるに至る。
「やれやれ」
 もったいない、と軽く首を回した。
 周囲は飛び散ったカラメルソースでひどい有りさまだ。
 実はこう見えて、プリンを好む慧である。
「こういう手合いを相手取るのはこれっきりにしたいですね。食べ物を粗末にするのは御免被りますので」

大成功 🔵​🔵​🔵​

酒井森・興和
うーちゃんにしてもタルタロスにしても…敵性だった頃の我ら蜘蛛族もだが
僕らの世界は過去からの復讐に充ち満ちているねえ
結界がオブリビオン化というのも難儀な事だ
僕も過去の残滓だけど一応今を生きてるし未来の憂いは摘むとも

リリスも妙な渦巻戦場もマトモとは遠い
【集中力】でリリスへ逆鱗を【投擲】
幾つか放ち相手とのおおよその距離を【サバイバル】的に読む
この甘いお菓子は避けるべきだな【第六感と狂気耐性】活用
姿勢低く【なぎ払う】ようにUC行使
外してもUC恩恵を使い三砂を使って【重量攻撃】に出る
>敵UC
甘い物への衝動は抑えないと
過去何より甘かったのは好いた少女の血なのだよ
けどあなたは敵
【怪力】と牙で裂き反撃としよう



 うーちゃん、タルタロス……酒井森・興和(朱纏・f37018)は関わりある者たちの存在に思いを馳せた。
 無論、土蜘蛛も例外ではない。
 ただし、まだ一族が人間の敵であった時代の話ではあるが。
 共通するのは復讐という感情――法則、といってもいいかもしれない。オブリビオン化した世界結界という存在がまた話を難しくしている。
 復讐が過去からの因縁によってもたらされるものならば、その過去が甦るオブリビオンという存在、その残滓にはいったいどのような意味があるというのだ。
「……最も、この僕でさえも残滓といって違いはないのだけどね」
 興和は苦笑する。
 とはいえ、命ある以上はやるべきことを為すつもりだ。未来の憂いを摘んでおくことが、何がしがの布石になってくれるものと信じて。
 
 ――で、だ。
 マトモでないものを相手にするならどうするか、という問題なのだ。
 興和は逆鱗を選び、リリス化したオブリビオン目がけてそれを放った。まるで互いの距離を測るみたいに、である。
「まあ、サバイバル技能の一環みたいなものさ」
 触らぬ神に祟りなし。
 頭上に浮かぶ、見るからに甘そうな菓子には触れないように第六感を働かせる。正気を保つのは慣れていたので。 
 大丈夫、そんなものは要らないさ。
 甘いものなど、今のところは欲しくもない――。
「知らぬだろう? 僕が何よりも欲しいのはな、好いた少女の血なのだよ」
 生まれてこのかた、あれより甘いものを興和は知らない。
 あれより欲しいと思ったものなど、あるものか。
 
 さあ、本命はこちらだ。

 姿勢を低め、敵陣に踏み込んだまさにその時。
 尖鋭な鋼糸が戦場を舞った。
 距離は既に把握済み。
「!?」
 薙ぎ払われ、切り裂かれた体を不思議そうに見つめるオブリビオンの頭部を三砂で叩き潰す。
 足元には蜘蛛の巣みたいに張りめぐらされた鋼糸、即ち興和の力を増幅させるもの。剥き出した牙で屠るは、反撃の狼煙である。
「うむ、あの子の足下にも及ばない」
 かみ砕いた破片を吐き出して、誰に言うともなく呟いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

龍巳・咲花
他の世渡りし暗躍する者達は色んな世界に手を出すでござるが、ハビタント・フォーミュラーは何故この世界に拘るのでござろうな
まあ理由あっても世界を滅びに向かわせる行為を見逃すわけにはゆかぬでござる!

周囲に手裏剣やクナイを投げて大体の空間の大きさを把握しつつ、リリス達集団へ逆鱗を投げ込むでござる!
高速の飛翔能力は障害物の無い広い空間でこそ活きるものでござる!
通路を攻撃で埋め尽くしつつ、逃れた相手は龍陣鎖を生やして絡め捕ったり、手裏剣やクナイの投擲で相手と距離を保ったまま殲滅していくでござるよ!
螺旋の一本道でござるからな、後に背後から邪魔されぬよう、しっかりここで叩いておくでござる!



 忍は影より出で、戦場へと馳せ参じぬ。
 龍巳・咲花(バビロニア忍者・f37117)には解せぬことがある。例のハビタント・フォーミュラとかいう輩の真意だ。

 ……何故、この世界に拘る?

 銀の雨降る現代地球にて邂逅した存在は他のそれとは決定的に違う特徴があった。咲花の考える通り、むしろ世界を股にかけて暗躍する者の方が目立つくらいなのだ。
 にも関わらず、ハビタント・フォーミュラは世界結界の破壊を望み続ける。面妖なことであった。不可思議に過ぎる。
「まあよい。どのような理由があろうとも、拙者は見逃さぬぞ! ハビタント・フォーミュラよ」
 さあ、阻めるものなら阻めと言わんばかりの猛攻が始まった。
 投げ付けた手裏剣とクナイが音もなく跳ね返る。なるほど、どこに壁があるのか。了解したとばかりに返す指先で擲つのは逆鱗。油断大敵だ。虚をつかれたリリス化オブリビオンが悲鳴をあげて逃げ惑う。
「やってくれましたね……!」
 相手の出方が判っている以上、咲花が遅れを取るわけがなかった。
「甘いわ!」
「!?」
 着弾した逆鱗が刹那、燃え盛る礫となって視界を埋め尽くす。真正面から突っ込むはめになったオブリビオンはのたうちまわった。
「広さが限定される場所では自慢の翼も宝の持ち腐れであったな」
 咲花の唇が笑みを象る。
 策士策に溺れるというやつだ。
 渦巻型に螺旋を描く城壁は猟兵だけではない、全ての者に対して障害物となるのだから。
 逃げ場のない戦場を逆鱗で満たしてやるだけで飛んで火にいる夏の虫というだろう。器用に鎖を使い、漏れた敵を絡め取って引導を渡してやる。
「通すものか!」
「きゃあッ」
 回り込もうとした個体をクナイの刃が貫いた。
「背後は取らせぬでござるよ!」
 討ち漏らしのないように、咲花は慎重に止めを刺す。後顧の憂いなく渦の中央へ至るためにも。その邪魔をさせない。
 裂帛の気合で擲つ手裏剣で敵を射落とし、進む。
 ハビタント・フォーミュラ。
 その野望を打ち砕くためにも。

 螺旋の一本道の、その先へ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

暗都・魎夜
【心情】
世界結界の破壊
実の所、現時点で世界結界自体がすでに妙な復活を遂げてしまったものである以上、
いっそのこと俺が破壊したい位の気持ちはあるんだが
悪党のペースで運ばせるわけにはいかねえな

【戦闘】
「これがリリス化オブリビオンって、誘惑の方向性ちがくねえか?」

とは言うものの、カラメルを使った自己強化やスイーツに関する能力は侮りがたい
後々のことを考えると、時間をかけてる余裕はねえ
速攻で行かせてもらうぜ!

「見切り」で回避しつつUCで出した炎でカラメルソースを壊しながら「ジャンプ」「空中機動」
エネルギーを用いた「フェイント」を織り交ぜ、「グラップル」で攻撃

「ったく、初っ端から腹の減る相手だったぜ」



 暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)は猟兵である前にひとりの能力者だった。ゆえに世界結界の破壊については思うところがあって当然なのだ。
 だって、あれはそもそも復活してしまったことがイレギュラーな事態だろう。いっそのこと自分の手で破壊してやりたいくらいの代物なのは間違いない。
「……やれやれ」
 複雑な思いである。
「ま、放っておくわけにはいかねえよな」
 少なくとも悪党のペースで事が運ぶのは気に食わない。結論が出たところで、とんでもないものに出迎えられた。

「ごきげんよう。一緒に午後のティータイムはいかがかしら?」
 まさしくそれは甘い誘惑……ではあるが。
 おいおい、と思わず突っ込んでいた。
「これがリリス化オブリビオンって、誘惑の方向性ちがくねえか? 確かにどっちも三大欲求のひとつかもしれないが――」
 魎夜は紙一重で飛び交う液体の捕縛から逃れる。匂いも色もカラメルソースそのものだった。それらが凝固して足場代わりになっている光景はさながらそういう細工物みたいな感じがする。
「見た目のわりに侮り難し、だな。速攻で突破するぜ」
 一刻すらも惜しいと言わんばかりに、必要最低限の動きで飛来するソースの軌跡を見切る。
「目的は儀式の破壊だろ? 忘れるもんかよ」
 ぼっ、とカラメルに炎が燃え移った。
 これが太陽のエアライダーが操る陽のエネルギーだ。それは魎夜の拳から燃え盛り、恐ろしい速度で敵を撃つ。
「な、なんてこと……なんて乱暴なの!?」
 筋違いの非難に耳を貸してやる必要もあるまい。
 魎夜は燃え落ちるカラメルの代わりに戦場を彩る炎を足場に跳び移り、敵を駆逐して回るのだった。
「そこよ!」
「残念、こっちだ!」
 フェイントにかかったのが運の尽き。
 エネルギーの足場をまるで自分の身体の一部のように使い、また一体と殴り飛ばす。やがて最後のを倒した後でようやく一息をつけた。

「ったく、初っ端から腹の減る相手だったぜ」
 全て燃え尽きるのは決して悪くない最期だろう。帰ったら何を食おうかと考えながら、魎夜は後ろを振り返ることなく駆ける。
 未だ前哨戦が終わったに過ぎない。
 さあ、次の奴出てきやがれってんだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『お化け屋敷のお千代さん』

POW   :    本日の日替わりケーキセットどすえ~♪
手持ちの食材を用い、10秒でレベル×1品の料理を作る。料理毎に別々の状態異常・負傷・呪詛を治療する。
SPD   :    今、食材から用意してるさかい待っとって~。
【包丁などの料理器具】で攻撃した無機物・オブリビオンを食材化する。食材化の有効範囲とその味は、料理の腕前に依存する。
WIZ   :    うちな、昔はこ~んな感じでお仕事しとったんえ?
【室内の大型TV】に映し出された【過去のお化け屋敷内の恐怖映像】を見た対象全てに【恐怖】を与え、行動を阻害する。

イラスト:すずめもち

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠フール・アルアリアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「あらやだ、こんなところまで猟兵が入り込んでいるじゃないの……!?」
 進んだ先で、割烹着姿の女が目をみはっている。
 その手元にある料理を見た猟兵はまたかと思ったかもしれない。日替わりのケーキセットじゃないか。ちなみに今日はチーズケーキの日らしい。

 そのオブリビオンこそ、渦巻く透明城壁を築く能力を移植された『|新《ネオ》・|最悪の最悪《タルタロス》』のうちの1体。
 猟兵の周囲を透き通った硝子が覆い始める。
「ではでは、ガラスのラビリンスへご案内~」
 いつしかオブリビオンの姿も硝子の向こう側に消えていた。彼女を倒し、透明城壁を解除して儀式を破壊するためには、たった一つの出口を持つガラスの迷宮を攻略するしかない。
酒井森・興和
タルタロス…来訪者ナイトメア一派は変わり者だった、と記憶するが
相変わらず、かな

さっきの敵はこの出口に?
まず迷路を突破か
このテの壁は怪力でも壊れまいし
【狩猟のように追跡】壁伝いに手堅く行くか…
試みにUCの性質を利用してみるかね
敵を識別するこの炎はあの女敵を追うだろう
敵の【気配感知、失せ物探しを集中力】を高めUC火纏を

迷路を出た先に敵を認めれば飛斬帽を投げ【咄嗟の一撃で切断】、空いた手で地を撃ち正面からUCを仕掛けよう
止まらず走り接近、【追撃】に追い付いた飛斬帽を掴み近距離からそれで殴り付ける
>敵UC
の包丁などは飛斬帽で【受け流し】捌き斬られても怯まないが
そのケーキセットの原料、想像したくないねえ



 変わり者、という存在はいつの時代も変わりない。まず己の振る舞いに絶対の自信を持ちつつ、周りを振り回す。
 酒井森・興和(朱纏・f37018)はそこはかとない懐かしさを覚えた。
 ああ、そういえば来訪者ナイトメアの一派と言えば……記憶のままの性質にふと苦笑が漏れる。全くもって変わり映えしない奴らだ。彼ららしい、なんて言葉で済ませるのが果たしてどういう意味を持つのかは今後の展開次第であろう。
「もしかしなくても、この迷宮を突破しない限りは敵の元へもたどり着けない……か?」
 だとすれば、目的地は出口一択。
 わかりやすい条件に対して、実際の道筋はひどくわかりにくい。
 試しに壁を押してみるがびくともしなかった。
「怪力でも壊れない。お約束だね」
 こういう時はちょっと考え方を変えてみる。
 戦闘を狩猟に、探索を追跡に。
 
 ……そう、逃げた獲物を追うのだ。
 興和の瞳が獲物を狙う肉食獣のように細まった。

 壁伝いに進みながら発動するユーベルコードを、――火纏。戦場とみなした範囲に敵がいればそれは高熱の炎となって奔り抜ける。
 どこだ?
 まだ、この周辺にはいないか。
 意識を敵の気配に集中させる。右手を壁に沿わせ、確実に先へと進む。ある一定の距離を進んだところで不意に火纏が反応した。
 それは敵性体の存在を攻撃範囲内に認めたということに他ならない。疾走する炎を追い掛けた興和の眼前に見覚えのある割烹着が翻った。
「あッ」
 オブリビオンは興和の投げた飛斬帽に背を裂かれ、甲高い悲鳴を放つ。
「こんなに早くいらしては、まだおもてなしの準備もできておりませんわ……!」
 迫る包丁を興和は飛斬帽を盾代わりにして受け流した。逸れた刃が壁面のガラスに突き刺さり、とろりとした食材に変える。
 ぞっとした。
 相手はそれをボウルで捏ね始めたのである。
「そのケーキセットの原料、いや……何でもない」
「うふふ。焼きたてですよ」
「遠慮する」
 即座に地面を穿ち、迸る火纏を正面からけしかけた。当然、相手はそちらに対処しようと考える。
 だが、本命は|こっち《僕》だ。
「!!」
 炎の後ろから飛び出した興和の手が飛斬帽を掴んでそのまま殴りつける。なかなかいいところに当たったらしく、結構な手ごたえが武器越しに伝わった。

成功 🔵​🔵​🔴​

霧崎・ヤマト
うわ!! 今度は美味そうなケーキかよ!!
そういや、母さんもケーキ買ってきてくれたな。これが一番美味しいからって……。
うう、また腹減ってきた……。
なあ、これ食っていい? 腹減って、腹減って……。へんなおばちゃんが回復する前に食ったら、いいんじゃね?

今度は日本刀に持ち替えて、ぶった切ってやるぜ。さっさと倒して、儀式ってやつを終わらせてやるぜ。
……ところで、お化け屋敷って、なんだ?
んー、母さんも教えてくれなかったし。知ってたら、教えてくれよな!!
怖いものなのか?
あんまり良くわかんないや。
とにかく、あのおばさんを倒せばいいんだよな?
じゃあ、行くぜ、覚悟しろ!!



 ごくり、と霧崎・ヤマト(土蜘蛛の魔剣士・f42006)は喉を鳴らした。オブリビオンってのはどうしてこう食欲を刺激してくるんだ? 育ちざかりの少年にとってそれは抗いがたい誘惑そのものである。
 さっきはプリンで、今度はケーキ。
 それも美味しそうな出来立ての、だ。
「うう、腹が減り過ぎてふらふらしてきたぜ……」

 そういえば、母さんがケーキを買ってきてくれたことがあったなあ……。
『これが一番美味しいから、ね』
 ヤマトはよろめき、ぐうぐうと鳴る腹を手で抑える。
 こうしている間にも割烹着姿の『|新《ネオ》・|最悪の最悪《タルタロス》』は手際よく生地をこねてオーブンで焼き、ケーキの数を増やしているではないか。
「うふふ。これだけあればどんな攻撃を受けても安心……あッ!?」
「もう我慢できねぇ、いただきまーす……!」
 なんと、ヤマトは敵が食べる前にケーキセットを平らげてしまったのだ。食材なんて関係ない。美味しくて腹を満たせれば他に何の問題があるっていうんだ。
「うっま! 甘いだけじゃなく風味もあって、舌の上でとろけるみたいにまろやかで最高!」
「あ、あ、あ……」
 おろおろと割烹着の女は見守るしかない。
「ごちそうさまでした!」
「た、食べちゃった……」
 ヤマトは親指で唇をぬぐい、フォークから日本刀に持ち替える。これでもう空腹だって気にならない。一気に形勢逆転だ。
「お前を倒さきゃ、儀式は止められないんだろ? 覚悟しろ!」
「お、お化け屋敷のお千代さんをなめないでくれるかしら。ケーキがなくたって、そう簡単には倒されないのよ」
 見得を切るお千代の目と口が裂けて恐ろしい本性が晒される。普通なら怖がってしかるべきだ。「うらめしやー」と驚かしてくるお化けそのものだ。
 しかし、ヤマトはきょとんとしている。
「お化け屋敷? なんだそれ」
「えッ」
「せっかくだから教えてくれよ」
「お、お化け屋敷はね……えっと、暗くて怖くて皆が泣いちゃうのよ」
「ふうん? おばさんの説明じゃよくわかんないや」
「おば……!」
 ぐさり、とお千代の胸に刺さる言葉であった。
 わなわなと震え、こちらが泣きわめくはめになる。
「だ、誰がおばさんですか! 前言撤回しなさい、撤回を――」
 だが、ヤマトは素知らぬ顔で刀を振る。既に闇のオーラを纏い、お千代の視界から姿がかき消えた後の事だ。敵から奪った生命力が刀を通して注ぎ込まれる。
「うぐ……」
 切っ先を突き付け、ヤマトは告げた。
「そこをどけよ、儀式ってやつは俺が終わらせてやるぜ!」

成功 🔵​🔵​🔴​

儀水・芽亜
なるほど、あなたが『透明城壁』の継承者。あなたを討滅すれば、この厄介な城壁も消えてなくなるのですね。

では参りましょう。
「全力魔法」光の「属性攻撃」「範囲攻撃」「破魔」「浄化」で胡蝶の盾。
今回は『盾』を形成せずに、全てを『透明城壁』の先へなだれ込ませます。
そのうちどれかの群れが、オブリビオンと遭遇するはず。そこで黒揚羽たちをオブリビオンにたからせて生命力吸収をさせます。
オブリビオンが混乱している間に距離を詰め、拷問具『鎖蛇』を振るって「傷口をえぐ」ります。
恐怖攻撃ですか? 「狂気耐性」「呪詛耐性」を基盤に今時のホラー映画の方が余程怖いと笑い飛ばしてあげましょう。
そのまま蝶に埋もれてしまいなさい。



「なるほど、あなたが『透明城壁』の継承者なのですね」
 儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『夢可有郷ザナドゥ』・f35644)は告げた。
 オブリビオンであり『|新《ネオ》・|最悪の最悪《タルタロス》』を名乗るナイトメアビーストは口元を袖で抑え、低めた声色で嗤う。
「うふふ。その通りでございます」
「ならば、あなたを討滅すればこの厄介な城壁も消えてなくなる事でしょう。いざ尋常に勝負!」
 芽亜の周囲を無数の黒揚羽が覆い尽くした。これは同時に罠でもある。挑発に乗って敵意を向けたが最後、胡蝶の盾は底無しの強化装置となって芽亜に力を与えるのだから。
 透明城壁のその先へとなだれ込む黒揚羽の群れが、唯一の出口を探してひらひらと舞い飛んだ。
「あら、追いつかれてしまったわ」
 やがてある群れがナイトメアビーストことお千代を追い詰める。
「その生命力をいただきますよ」
 蝶に吸わせ、距離を詰めた芽亜が振るうのは拷問具の『鎖蛇』。見た目通りに凶悪なそれはお千代に絡みついて深々と棘刺した。
 さあ、抉れ。
 傷口をさらに深く、容赦なく。
『きゃああああ――……!!!』
 突如、聞こえた悲鳴は出口に設置された大型TVからのもの。それは彼女の仕事履歴を映した本格的なお化け屋敷の記録映像である。
「まったくもって、なまぬるいですね」
 芽亜はあっさりと笑い飛ばした。
 こんなもので気が狂う者がいるとしたら、それこそお笑い種であると言わんばかりに。
「今時のホラー映画の方がよほど怖いですよ。さあ、そのまま蝶に埋もれてしまいなさい」

成功 🔵​🔵​🔴​

龍巳・咲花
儀式場はまだ先でござるか
敵の足止めと進軍速度の低下を招く能力……儀式の時間稼ぎとしてはよく適した能力を移植されたでござるな
それだけ敵もこの儀式を本気で行っているのでござろうな

なれど、正攻法で攻略せねばならないわけでもないでござろう?
既に先には猟兵の皆々様方の気配があるでござるし、ここはショートカットさせていただくでござるよ!
迷路を攻略しオブリビオンと戦う方々の元へと、ムシュマフの首を連れてテレポートするでござる
牽制攻撃の炎を放ってもらい視界を封じると共に意識をそちらに向けた後、拙者も敵の死角から鎖鎌による斬りつけの連携攻撃を放つでござるよ!



 どうやら相手も本気のようだ。
 透明な渦型の城壁で距離を稼ぎ、今度はガラスのラビリンスで惑わせる。なかなか手の込んだやり方だ。時間稼ぎとしては最も適した能力を移植された存在といってよい。
「確か『|新《ネオ》・|最悪の最悪《タルタロス》とかいう輩だったでござるな……」
 龍巳・咲花(バビロニア忍者・f37117)はふむと指先で顎に触れる。
 仰々しい名前に相応しい連中なのは間違いなく。心してかからねば、足元をすくわれるかもしれぬ。あくまで咲花は|忍《シノビ》であった。
 古来より裏から世の中を見て来た。
 ゆえに、正攻法以外のやり方こそ十八番。目を閉じれば感じる仲間の気配。指先で印を結び――我が声に応え、出でよ炎竜ムシュフシュの首!

「え?」
 お千代は自分の目を疑った。
 竜の首と忍び装束を纏った少女――咲花は一瞬にして先行する仲間の元にテレポートすることで一気に|迷宮を攻略《ショートカット》するという荒業に出たのである。
 咲花は傍らに竜の首を従え、オブリビオンに引導を渡すべく炎を見舞った。灼熱が周囲を覆い尽くして視界を染め上げる。
 朱、紅、緋。
 あらゆる赤が焼き尽くした。
「やめて、やめなさい――!」
 お千代は包丁を振り回す。
 まるで炎を切り裂き、逃げ場を探すかのように。だが咲花はそれを見越して既に彼女の死角へと潜り込んでいた。
 これぞ忍の戦い方と心得よ。
「もらったでござるよ!」
 鎖鎌の一閃がお千代を裂いた。
「あああッ」
 炎に捲かれ、刃に斬られ、お千代は恨めしそうな声で助けを求める。伸ばした指先が空を掻いてそれすらも炎に呑まれ――……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

暗都・魎夜
【心情】
透明城壁、ガキの頃にも使われたが、規模といい、性能といい、あっちこっちの世界へ行った上で、なお厄介な能力だぜ

相手の目的が儀式までの時間稼ぎである以上、長々とつきあわされるわけにも行かねえ

【戦闘】
「心眼」「索敵」で敵の居所を探り、UCの効果と合わせて、迷宮を突破する

こっちには「勝負勘」があるんだ


「ここはお茶会の会場だったのかい?」

さっきと同じで食事で誘惑するタイプってことか

本性の実力は本物だし、ペースに巻き込まれたら手強そうだ


攻撃をUCで強化した「見切り」で回避して、「斬撃波」で攻撃す


「降伏して、真面目に喫茶店でも開いたらどうだ?この先の時代、結構受けると思うぜ?」



 過去が思い浮かぶ多さはやはり、この世界こそが暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)の生まれ育った場所だから。
 あの頃、魎夜はまだガキだった。
 初めて透明城壁を使われた時のこと、思い出して。
「そうそう、こんな感じだったよな……」
 猟兵として目覚めてからあっちの世界で戦いこっちの世界で戦って来てなお、上位に君臨する厄介さは不変のままに。その規模と性能のやばさはこうして再び見えてなお、魎夜の身に染みる。
 落ち着け、相手の目的はあくまで時間稼ぎだ。
 振り回されて長々と付き合わされるのは御免だぞ、と。
 心眼による索敵は城壁と迷宮による二重の障害を越えて敵の居場所を知らしめる。
「|こいつ《迷宮》も一応は俺に対する|攻撃扱い《・・・・》だよな?」
 銀の嵐の記憶が魎夜を正しい道筋へと導いた。
 全ては経験だ。
 頭、身体、心。
 過ごしてきた戦いの日々はたった一日とて無駄にはならない。あとは勝負勘が何とかしてくれるはずだと自らの判断に結果を委ねた。
 しばらく走った先に、ようやく出口と思しき終点が見えてくる。

「ここはお茶会の会場だったのかい?」
 コンコン、と扉代わりに手元の壁を叩いて魎夜は尋ねた。お千代は驚いたようだ。こんなに早く抜けて来るなんて。
「なんてこと……!」
「せっかく来たんだから歓迎してくれよな。料理を振舞ってくれるんだろ?」
 包丁での突きが来る。
 だが、ここでも経験が生きた。相手のペースに巻き込まれるのだけは避けたい。慎重にかつ大胆に見切りで刃を躱す。お返しに放つ衝撃波が強かにお千代を撃ち据えた。
「く――」
 お千代は傷口を抑え、壁に背中を預けてなんとか立っているような状態だ。魎夜は剣を肩に負い、降伏を進める。
「真面目に喫茶店でも開いた方がいいんじゃないか? この先の時代、結構受けると思うぜ?」
「戯言を!」
「結構本気なんだがな」
 やれやれ。
 どいつもこいつも、血の気が多い。

大成功 🔵​🔵​🔵​

山吹・慧
やれやれ、今度はチーズケーキですか……。
これまた僕の好きなケーキの一つなんですよね……。
ですが、まあそんなのは関係ありませんね。
オブリビオンの作るケーキですし。

迷宮の構造には【学習力】で対応。
【気功法】で敵の気を感じ取り、
その位置を把握しながら進んでいきます。
移動しながら【エネルギー充填】もしておきましょうか。

敵が不意打ちを仕掛けてきたならば【集中力】による
【ジャストガード】や【受け流し】で対応。
凌いだならば【功夫】による打撃の【乱れ撃ち】を放ち、
付け入る隙を与えません。
そして、そのまま間髪入れずに【白虎絶命拳】を撃ちましょう。
そのケーキセットは骸の海でお仲間にふるまってあげて下さい。



「もしかして、わざとやってます?」
 山吹・慧(人間の玄武拳士・f35371)は呆れて呟いた。敵の用意したセットのケーキがチーズケーキと聞いて思わずこぼしてしまったのだ。

 ……これまた、僕の好きなケーキの一つとは。

 偶然だと分かってはいても妙な縁を感じてしまう。
 勿論そんなのは関係なく倒すつもりではあるのだが、オブリビオンの作るケーキと好みが合致しても別に嬉しくない。
「気を取り直して。どうやら、ユーベルコードにおけるガラスのラビリンスと仕組みは同じみたいですね。これを仕掛けた張本人は出口で待っている、というわけですか」
 慧は深く息を吸い込み、気功を用いて気配を探る。方向と距離が判るだけでも随分と道のりは楽になるはずだ。
(「それに、道中を使って戦いに備えることもできますしね」)
 迷宮のパターンにも限りがある。慧はその場で得られた情報を即座に|フィードバック《学習》することで効率よく出口を目指した。
 敵の気が間近に迫るごと甘やかなケーキの匂いが強まる。慧は不意打ちに備えて迎撃態勢を取った。どこからでもどうぞと言わんばかりに。
「!?」
 奇襲の失敗は予想外だったのだろう。
 お千代は受け止められた包丁の刃を見て、息を呑んだ。
「そちらから出て来てくれるなんて、有難いですね」
 ケーキセットを片手に包丁で切りかかって来た相手をまずはジャストタイミングで受け流す。続けて功夫を乗せた拳を乱れ撃って迎撃。
 たまらず相手が距離を取って後退したところへ、満を持してユーベルコードを叩き込むまでがワンセット。
「しまッ……」
「どうぞ、そのケーキセットは骸の海であなたのお仲間にでもふるまってあげて下さいな」
 触れる指先から練り上げた気を注ぎ込み、内部より破壊する。どさりとその場に倒れた相手を肩越しに眺め、慧はそんな言葉で戦いを締めくくったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『地獄地蔵』

POW   :    地蔵地獄変
全長=年齢mの【巨大な地蔵像】に変身し、レベル×100km/hの飛翔、年齢×1人の運搬、【親しい人物に襲われる「実体を持つ幻覚」】による攻撃を可能にする。
SPD   :    友愛破壊液
【親しい人に裏切られる幻覚を見せる粘液】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    焦熱地獄
レベル×1個の【地獄】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。

イラスト:純志

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵の手によって透明城壁の使い手が倒されたことで、儀式場への道を阻む障壁は失われた。
 これで世界結界破壊儀式を目論むオブリビオン――『地獄地蔵』への道は開かれる。だが、相手は『|新《ネオ》・|最悪の最悪《タルタロス》の中でも指折りの実力者なのだ。……こう見えて。

「ふふふ。邪魔しようとしたって無駄無駄ァ!」
 地獄地蔵は肩を震わせて嗤う。
 相当な自信があるらしい。
 なにしろ、ハビタント・フォーミュラに移植された能力が切り札だ。これは戦場をMMORPG「デスティニーサーガ」の幻影に包み、一定時間ごとに謎の超重力を発生させるという法則がある。
「ゆけ、クラスタライザー! お前たちはここで終わりだ。そら、重くな~る、重くな~る……」
 超重力が発生すれば猟兵の行動は大幅に制限されてしまう。『新・最悪の最悪』を止めるため、何とかしてこの能力に対抗しなければならない。
儀水・芽亜
地獄地蔵が随分俗っぽくなりましたね。『新・最悪の最悪』、やっぱりろくなものではなさそうです。

敵が得た能力は広範囲の継続状態異常攻撃。目覚めの時間での解除は難しい。となると、こちらも似たような攻撃で対抗しましょう。
「全力魔法」深睡眠の「属性攻撃」「範囲攻撃」「結界術」で、サイコフィールドを「先制攻撃」で展開。眠らせて粘液を封じつつ、拷問具で「なぎ払い」「傷口をえぐる」攻撃を加えましょう。
超重力も魔法だと考えれば、「魔力吸収」で重力を発生させている魔力を取り込みましょう。「環境耐性」「地形耐性」で更に抵抗を。
何より、私を超重力で押さえつけても、サイコフィールドは消えません。
相手が悪かったですね。



 儀式場へたどり着いた儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『夢可有郷ザナドゥ』・f35644)は確信する。
 ……『|新《ネオ》・|最悪の最悪《タルタロス》』はやはりろくでもない。こんなものを世に解き放ってはどうなるかわかったものではない。
「それにしても、随分と俗っぽくなったものですね」
 周囲の戦場は地獄地蔵が薄気味悪い嗤い声を立てるたびに新たな景色へ塗り替えられる。あっという間にそこはデスティニーサーガにおけるダンジョンに変わってしまった。どこかの洞窟みたいだ。鍾乳洞に似た灰色の岸壁から伝い落ちる水滴が足下で跳ねる。

 周囲を幻影で包み、一定時間の経過において重力を増す。
 つまりは広範囲の継続状態異常攻撃、と芽亜は状況を整理した。となれば、解除よりも対抗を目指すべきだろう。
「さあ、降り注げグラビティ!」
「そうはいきませんよ」
 芽亜は高速で紡いだサイコフィールドを地獄地蔵にぶつけ、粘液が放たれる前に眠りへ堕とした。
「その魔力、吸い取らせてもらいますよ……!」
 拷問具で思うさま敵を薙ぎ払う。
 その時、クラスタライザーが発動。まるで上から見えない力に抑え込まれるかのようだ。腕や脚を動かすのは非常に難儀だが、自身に不利な状況に耐える力なら――ある。
「それに、私を超重力で抑えつけたところでサイコフィールドには無関係です」
「むむ!」
「相手が悪かったですね」
 にっこりと、芽亜は微笑んだ。
「さあ、勝負をつけましょう。鴇色の陽炎に包まれてお眠りなさい」

大成功 🔵​🔵​🔵​

山吹・慧
これが話に聞いたデスティニーサーガの世界ですか。
そして、どこぞのバトル漫画のようなこの超重力……。
新・最悪の最悪を名乗るだけはありますね。

借り物の能力とはいえこれは中々ですね……。
超重力には【リミッター解除】で対抗しましょう。
これで何とか行動できるはず。
これも修行だと思う事にしましょう。

敵の放つ複数の地獄の炎には【集中力】で対応し、
【衝撃波】で【吹き飛ばし】ていきましょう。
凌ぎきれない炎は【気功法】で高めた【オーラ防御】で対応。
敵の攻撃を凌いだら間合いを詰めて接近戦を仕掛けるムーブ。
【功夫】の打撃を仕掛ける【フェイント】から
【天勁・散華】を放ちます。



 デスティニーサーガ。
 それはかつて銀誓館の能力者が徹夜で攻略したというMMORPGの名前。山吹・慧(人間の玄武拳士・f35371)も当然知っていた。
「お噂はかねがね……」
 ただの幻影であればさしたる問題は生じない。だが、この超重力は侮れなかった。どこぞのバトル漫画を連想するほどの……修行でならともかく、戦場で使われるとこれほどまでにやりづらいとは。
 一歩動くだけで相当な体力をもっていかれる。
 試しに右手の拳をゆっくりと握り締め、効果の程を確かめた。まるで鉄の重りを全身にくくり付けているかのよう。
「さすが、『|新《ネオ》・|最悪の最悪《タルタロス》を名乗るだけはありますね。単純な仕掛けゆえに対処しづらい」
「それほどでも。ぽッ」
 頬を染め、地獄地蔵が照れた。
 褒められて嬉しかったらしい。だからといってさらに重力を乗せてくるのは勘弁願いたい。
 慧は両目を細めた。
 覚悟を決め、限界の軛を解き放つ。

 ――リミッター解除。

「むむむ!」
 剣呑な気配を察した地獄地蔵が表情を変えた。
「何をするおつもりで?」
「いえ、これも修行だと思うことにしただけですよ」
 言葉は柔らかいが、その瞳は容赦無い。実際、慧の動きは極限まで集中力を高めた非常に隙の無いものだった。
「まずは、消火ですね」
 パァン、と地獄の炎が慧の繰り出す衝撃波によって次々と破裂する。
「なんの!」
 地獄地蔵は鬼火みたいにそれらを操った。
 だが、慧は気功法の応用で体に纏わせ、受け流すように躱しながら前へ跳躍した。接近戦ならこちらのものだ。
 相手は地蔵。
 どこからどう見ても小回りが利くようには見えなかったので――懐に潜り込み、功夫を乗せた一手を繰り出す。
「む!」
 とっさに地獄地蔵が身構えた。
 だが、それはフェイク。
 慧は片脚を軸にして体勢を変えながら掌を向ける。直後、地獄地蔵の身体を貫いたのは光り輝く掌から発した数多の気弾であった。
「ごふぅ! や、やられた……ッ」
「まだまだ、これからが本番ですよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

龍巳・咲花
ここが儀式場でござるな
如何な理由があれど世界を危機にさらす所業、見過ごすわけにはいかぬでござる!
それを成すがオブリビオンであれば猶の事でござろう!

7体のムシュマフの首を呼び炎や毒息で攻撃を仕掛け、高速移動で相手の地獄の炎を避けつつ、一定で来る超重力の間隔と具合を確かめるでござるよ
避けきれぬ攻撃はムシュマフの首に防いで貰うでござるな
超重力の法則を掴んだら一気に仕掛けるでござる!
拙者等に超重力を掛けるということは、拙者等の攻撃に|重み《威力》を乗せるも同義でござろう?
ムシュマフに噛みき巻付かせ、残りの首と拙者は地蔵の上へ飛び、超重力が来るタイミングでその重みを乗せた突撃と斬撃を叩き込むでござるよ!



「ようやくたどり着いたでござるよ……!」
 龍巳・咲花(バビロニア忍者・f37117)は幻影に彩られた目的地に凛と佇む。どこからか吹き込んだ一陣の風が頭巾の長布をはためかせた。
 不気味な嗤いを湛える地獄地蔵はくねくねと体を揺り動かしている。奇妙な踊りに合わせて灯る無数の炎は地獄を思わせるそれ。
「何しても無駄ァ! 儀式は成功するのだ。ハビタント・フォーミュラさまのご命令は完遂するゥ!」
「黙れ|悪党《オブリビオン》! 如何な理由があれど世界を危機に晒す所業、見過ごすわけにはいかぬでござる!」
 それが忍の定め、猟兵の使命。
 地獄地蔵の炎が渦巻くのと対峙して、咲花の眼前にも七つの首が現れた。

 炎を放つ首、毒息を吐く首、それに牙剥く首――!
 それらは戦場を高速で乱舞する。

「ぬう!」
 自らが操作する炎が首に躱され、目をみはる地獄地蔵。だがそれも序の口だ。炎を避けた首は立て縦横無尽に飛び交いながら攻撃を仕掛けた。
「ま、まずい――」
 地獄地蔵を七つの首で取り囲み、集中砲火を浴びせる。
 そうやって攻撃を続けながら咲花は何かを測っていた。何かを呟いている。まるで数を数えるみたいに。ムシュマフの首を盾代わりにして攻撃を凌ぎつつ、咲花は何かを掴んだように頷いた。
「なるほど、承知したでござる! ムシュマフよ、いくでござるよ!」 
「おほォ!?」
 ぎゅっと巻き付かれ、地獄地蔵は呻いた。
「は、離せ!」
 だが、ムシュマフはがっちりと噛み付いて離さない。
「とうッ!」
 咲花が残りの首を連れて跳躍したのは、次の重力増加が来る僅か数秒前。ちょうど敵の真上に躍りかかった瞬間にその時が訪れる。
「お主が掛けた超重力ごと、受け取るでござる!」
 重みを増したムシュマフの首が次々と地獄地蔵に突撃していった。最後は一刃の斬撃がその身を両断する。
 ぱっくりと割れた断面から透明な液体が噴き出ぼれ、悲鳴が轟いた。
「馬鹿なァ!」
「策士策に溺れるとは、こういうことでこざるな!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

酒井森・興和
懐かしいが歓迎出来ないねえ
あなた方もディスティニーサーガの影響も

時が経つほど分が悪くなる
地蔵が何か話す間も飛斬帽を構えUCを
【第六感と追跡、対空攻撃】で敵の進路を予測【おびき寄せ】待ち伏せ狙いの軌道で敵【切断】
敵は速い
相対速度で【カウンター】威力の上乗せ期待
重力には【怪力】と…気合いで抵抗
世界に否定されるあの結界の封印を思えば一時の体の重さ、やり過ごしてせよう

UCを繰りつつ間近を通るときは三砂で【重量攻撃】を撲ち当てる

>敵UC
ほう、夢魔らしい…
けど親しい人はほぼ土の下なのだよ
生者の様な幻には即攻撃で反応
主の土蜘蛛で父とも慕った興安嶺小父さんでもね
…今の僕は小父さんに似てきたな
憧れだったからねえ



 時が経つほど分が悪くなると理解しておきながらのんびりと事を行うような酒井森・興和(朱纏・f37018)ではなかった。
 相手が話し終えるのも待たず、構えた飛斬帽に炎を宿す。
 追笠というユーベルコードの起動を見極めるのは至難の業ゆえに――巨大化したそれが弾丸のようにかっ飛んで来たところへ待ち伏せ狙いの起動で擲ってやれば上々。
 なぜ動きを読まれたのだと言わんばかりに地獄地蔵が呻いた。
 種明かしとしてはこうだ。
 まず第六感で飛翔する敵の進路を予測し、わざとおびき寄せるようにして待ち伏せを狙う。
「あとは、出会い頭に切断してやるだけ」
 なにしろ超高速での正面衝突だからたまったものじゃない。
 あとは、両肩に圧し掛かる重力にどうして耐えられるのか不思議なのだろう。地獄地蔵はしきりに首を傾げている。
(「気合だよ」)
 重力対怪力、は拮抗中。
 興和は耐えた。
 耐えろ、と己に言い聞かせる。
 地獄地蔵の唸り声がする。
「しぶとい……!」
 悔しがる相手に教えてやろう。
「世界に否定されるあの結界の封印を思えばな、どうってことはないのだよ」
 すれ違いざまに叩き込む三砂が敵を裂いた。重い一撃は奥まで届き、抉るみたいに内容物を撒き散らす。
「ならばくらえ!」
 地獄地蔵が見せる幻覚は興和に感心のため息をつかせた。
「夢魔らしい技だな。さすが、生者のようだ」
 それこそが偽物である証であると言わんばかりに、飛斬帽の炎刃で千々に裂いて。懐かしい小父の顔を見て苦笑する。
 ……今の僕は小父さんに似て来たな。
「憧れだったからねえ」
 主の土蜘蛛であり、父のようにも慕った興安嶺という名の男。忘れ得ぬ記憶の中の面影との邂逅は興和に軍配が上がったのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

暗都・魎夜
【戦闘】
デスサガ空間、相変わらず凶悪な能力してやがるぜ
しかも使うやつが、こういうひたすら不幸振りまくタイプときたもんだ
儀式のこと抜きにしても、これ以上好き勝手はさせられねえ

「(誰何の声に)俺は通りすがりの能力者さ、覚えておきな!イグニッション!」

嫁やダチの裏切る幻覚はキツイけど、誤解とか喧嘩とか乗り越えて、今生きてるんだよ!

「心眼」で敵を見て「狂気耐性」で幻覚に耐える
「言っておくけどな、本物のみんなが俺を攻撃する時はその10倍はキツイのが飛んでくんだよ!」

UCで重力と幻による傷を回復
「リミッター解除」「全力魔法」「天候操作」のUCで焼き尽くす

「師匠が言ってたぜ、”仲間の絆は最強の武器”ってな」



 デスティニーサーガの幻影がどこかのダンジョンらしき光景となって暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)の周囲を塗り替える。
 相変わらず凶悪な能力だ。まさに相手の土俵で戦わされるのだから。呆れつつ、イグニッションカードを掲げる。
 地獄地蔵の目が釘付けになった。
「そのカードは……!」
 魎夜はにやりと笑いかける。
「俺は通りすがりの能力者さ、覚えておきな! イグニッション!」
 その拳に魔召機甲を纏い、襲い来る幻影に立ち向かう。
 なんてものを見せやがるんだ。
 永遠を誓ったはずの女に去られ、親友には最低な言葉を吐かれ。幻影は臨場感たっぷりに魎夜の心を痛めつける。聞こえるのは地獄地蔵の嘲笑だった。
 いつしかデスティニーサーガの世界にしとやかな雨が降る。魎夜を癒す雫の狭間で万色の稲妻が鳴り始めていた。
「……いな」
「ん? 何か言ったか」
「甘い、と言ったんだ。言っておくけどな、本物のみんなが俺を攻撃する時はその10倍はキツイのが飛んでくんだよ!」
 誤解だって喧嘩だって、そういうものを全て乗り越えてなお今があるのだと|お前《オブリビオン》は知るまい。
 愛しさはそれだけで存在できない。
 裏側には相応の傷や痛みがある。そんなことも分からないくせにしたり顔で不幸を振りまくような奴は、儀式のことを抜いたとしても好き勝手にさせてなどやるものか。

 魎夜の心眼は狂気耐性による補佐を受けて幻影の向こうに居る本体を捉えていた。ゲーム世界の幻ごと万色の稲妻で満たしてやれば、耳障りな悲鳴と呻きが迸る。
「や、やめッ……」
「いまさら?」
 ありとあらゆる色彩の稲妻が、それを操る魎夜の横顔を照らした。とっておきの言葉を冥途の土産に教えてやろう。
「師匠が言ってたぜ、“仲間の絆は最強の武器”ってな。思い出させてくれてありがとうよ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

霧崎・ヤマト
くっ!! なんて凄い重力なんだ!!
これが、オブリビオンの力……わかってたけど、こんなに凄いんだな……。
だけど!! 俺はもっと強くなるって、約束したんだ、行くぜ!!

あ、あれは……母さん?
母さんは、あのとき、死んでる。じゃあ、あれは……幻影?
久し振りに見る母さんの姿に泣き出しそうになるけど……俺はわかってる。あれは偽物。
だから、俺は……!!
新たに得たライトニングスピリットを放って、敵を倒す!!
ごめんね、母さん。幻影だってわかってるけど、2度もやられるなんて、いやだろ? でも、俺、もっともっと、強くなるから、空から見ててよ!
俺だって出来るってところ、見せるからさ。



 ――なんて、重いんだろう。
 霧崎・ヤマト(土蜘蛛の魔剣士・f42006)は刀を地面に突き立て、歯を食いしばった。デスティニーサーガのゲーム内世界の幻影を従えた地獄地蔵は面白がるみたいにほくそ笑む。
「潰れろ、潰れろ~」
「くっ!!
 さらに一段階、ヤマトにかかる重力が増した。
 目の奥はちかちかするし、頭はがんがんと痛む。相当な圧力がかかっているはずだが、ヤマトは決して膝を折らない。
「さすが、『|新《ネオ》・|最悪の最悪《タルタロス》」ってやつは凄ぇや……オブリビオンの強さはわかってたつもりだけど、それ以上――」
 だが、負けられない。
 強くなるんだ。
 あの日の約束を叶えるために。
 ヤマトが毅然と顔を上げたので、地獄地蔵は驚いた。
「なんだと?」
「行くぜ!!」
 地獄地蔵がとっさに攻撃を仕掛ける。
「させぬわ!」
 飛び散る粘液――ヤマトは幻覚が見せる母の姿に息を呑んだ。既に死んだはずの彼女はヤマトに目もくれず、他の誰かに向かって微笑みかけている。
 さしずめ、「あなたなんかいらないのよ」とでも言うみたいに。
「あ……」
 無意識のうちにヤマトの目が潤んだ。
「母さん――」
 伸ばしかけた指先を、しかし握り締めて拳に変える。
 わかっている。
 あれは偽物。
 久しぶりに見た母の姿は懐かしくて泣きたくなるくらいだったが、|だからこそ《・・・・・》溺れてはいけない。
「ごめんね、母さん」
 稲妻の翼を羽ばたかせ、一羽のスピリットバードとなったヤマトは幻影ごと地獄地蔵を貫いた。
「ば、かな……ッ」
 電流で焼き斬られた体を地獄地蔵は呆然と見下ろした。
 戦場を飛ぶ雷鳥は母の幻覚が消えるのを見届ける。これで二度目だった。ヤマトの心が切なさに締め付けられる。
「もっともっと、強くなるから」
 俺だって出来るってところ、これからいっぱい見せるから。
 ――だから、空から見ててよ。母さん。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年11月25日


挿絵イラスト