地獄のペンギンリゾート
●ビーチウォーボーイズ
「先日の銀河帝国攻略戦、本当にお疲れ様でした」
グリモアベースに集まった猟兵達に礼を述べるユーノ・ディエール(アレキサンドライト・f06261)は、困った表情で話を続けた。
「あの戦いで銀河皇帝は討たれ、遂にスペースシップワールドには平和が齎されたかというと、現状はそんな簡単な状況ではありません」
言うと共に背後のスクリーンに作戦概要を映す。確かに組織的な攻撃は無くなったが、今度は散らばった銀河帝国の残党群を相手にしなければならない。いわばこれまでと状況が逆転した訳だ。
「今回はゲリラ戦を展開している敵の元精鋭部隊、通称氷山部隊の残党が相手です」
背後には間の抜けた風景がスクリーンには映っている。白い砂浜、広大に広がる海、燦々と照り付ける太陽。
「……はい、敵はリゾート船に隠れています。これを誘い出し、掃討する事が目的です」
成程、ペンギンだけに海へ隠れているという訳か。確かに探すのが大変そうだ。
●スペースタイタニック
「氷山部隊は前回の戦いで転送装置の暴走によって行方が分からなくなっていました」
敵の旗艦に備え付けられた通称カニ装置は、猟兵達の活躍によって完膚無きまでに破壊されたが、最後に周辺の空間一帯をどこぞへ飛ばしていたらしい。
「どうやら転送装置の暴走時に、周辺の宇宙船のコアマシンの異常に巻き込まれて、このリゾート船内にワープさせられたみたいです」
カニ装置は生命体の転送は出来ない仕様だったが、宇宙船のワープ機能が何らかの影響を受け、飛ばされたと思われるそうだ。
「聞いた話によると、海岸で楽しんでいる一般人にガラの悪いペンギンが時折絡んできて、食べ物や金品を強奪している様なのです」
それは悪いペンギンだ。しかし船内にも警備部隊がいるのでは? と疑問が飛ぶ。
「それが船内の警備兵が現れると即座に海中へ姿を消して、その足取りが掴めない状態が続いています」
ユーノ曰く、かのペンギン達は大分慎重に行動している様で、予め殺気立っているとその気配を察知して中々姿を現さないらしい。海中探査も捗らず、事態はお手上げの様だった。
「今回の作戦で滞在するリゾート船はスペースタイタニックIII世号、巷で評判の宇宙世界最大の人工海水浴場を備えた豪華客船です」
氷山部隊にタイタニックとは随分と縁起の悪い……異世界の猟兵が独り言ちる。だがここはスペースシップワールド、あくまで杞憂に終わらせるべきだろうし、実際そんなに関係ない。
「猟兵の皆さんにはリゾートでバカンスを楽しむ一般人を装ってもらい、誘い出した氷山部隊のペンギン達を掃討してください」
その間は本当に、一般人として振舞ってくれて問題無いとユーノは言う。むしろ最初から臨戦態勢ではペンギン達に警戒される恐れがあるから、思いっきり羽目を外して構わないとの事だ。
「グリモアによる転送の都合上、私も海水浴場で待機します。戦闘には参加出来ませんが、装備の管理や飲食物やバカンス用の道具の手配など、細々とした事はこちらにお任せ下さい」
それではよろしくお願いしますと、金髪を揺らしてユーノは礼をした。
ブラツ
こんにちは、ブラツです。
敵はペンギン、残党狩りが目的です。
第一章はバカンス、ご用命があればユーノも姿を現します。
第二章は集団戦、おびき出されたペンギンを成敗してください。
第三章はボス戦、今回の首魁を倒してください。
作戦目的は非常にシンプルです。
また、海水浴場では水着等のレンタルも行っていますので、
必要であればプレイングに欲しい水着について、
その他ビーチレクリエーション用の道具類もお気軽にご記載ください。
可能な限り手配します。(但し未成年キャラの飲酒喫煙はNGです)
連携やアドリブが可であれば文頭に●をご記載頂ければ良き様に致します。
どうぞ、よろしくお願いいたします。
第1章 日常
『スペースビーチバケーション』
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POW : バーベキューとかスイカ割りとか、食べて遊んで楽しもう!
SPD : ビーチフラッグとかビーチバレーとか、スポーツで汗を流そう!
WIZ : ゆったり水面や砂浜でまったりタイム、のんびり過ごして癒されよう!
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
緋桜・美影
「わお、バカンスなんてとってもクレイジーでファンタスティック、俺ちゃん大盛り上がり」
【SPD】
●アドリブ&連携歓迎~。
・水辺でハッスル。自前のスリングショット水着(イェーガーカード参照)を着こんでアクティブに動き回る。
・具体的には水着コンテストとかあったら参加するし、無ければ踊ったり身体動かすの希望かな。俺ちゃんポールダンサーなのでそーゆうの得意得意。
・こーゆー恰好でいればナンパとかされたり人目をひくだろうけど、逆に怪しまれにくいだろう…なんて考えずに心底エンジョイするのが俺ちゃんですYO!
アズール・ネペンテス
【選択:WIZ】
せっかく得た平穏なんだ。偶には少女も息抜き『させて』やらんとな。
大体依頼終わったらある程度自由時間やってるけども…ただの休日とはまた違うし完全フリーの日があってもいいだろ?
俺(本体)は寝るが…まぁ何かあったらたたき起こされるだろう。
必要そうなものは用意したしゆっくり体を休めてくれ
(アドリブ歓迎
●健全舞踏祭
照り付ける灼熱の人工太陽は、あたかもその場が本物の真夏の海である事を錯覚させる。揺らめく陽炎と果ての無い水平線、海を知るものであれば塩の香りも相まって、そこが宇宙船の中である事すら忘れてしまうだろう。
(せっかく得た平穏なんだ。偶には少女も息抜き『させて』やらんとな)
アズール・ネペンテス(お宝ハンター・f13453)は依り代の少女へ肉体の主導権を明け渡し、自身は砂浜に突立てられたパラソルの下で静かに休息していた。まぁ何かあったらたたき起こされるだろう。ただの休日とはまた違うし、こんな完全フリーの日があってもいいだろ? と。何時も世話になっている少女への粋な計らいであった。
「とはいえ、うーん……何しましょう」
開放された少女の格好は普段着ている様な赤いトップスとデニム風のボトムス。シンプルながら鮮やかな色彩のタンキニは、均整の取れた肉体の魅力を更に際立たせていた。美しく拡がる水面に興奮を隠せず、きょろきょろと翡翠色の瞳で周りを見ながら一考、とりあえずご飯でも食べましょうか。遊ぶ前にはまず腹ごなしと、ビーチサンダルでパタパタと砂浜を駆けあがり、これも海らしい出店で焼きそばとジュースを買い上げた。
「えーと、どこか座れそうな場所……」
両手に焼きそばとジュースを持ったまま辺りを見渡すと、一際目立つ一角が目に入った。何やら特設のステージでイベントを行っているらしい。灰色の髪を揺らしながら、少女はそのステージへ向かった。幸い、空いてる椅子もあるし、座ってしばし鑑賞する事にしよう。
『それではエントリーナンバー4番、えーっと……ポールダンス世界チャンピオン、残党狩りの女、緋桜ぁぁぁぁ・美ぁぁぁぁ影ぇぇぇぇぇぇぇ!!!!』
会場では水着コンテストが催されていた。随分と大仰な肩書と共にステージへ現れたのは緋桜・美影(自称・ビルボードダンサー・f06880)だった。キレッキレの、最早細布を張り付けてるだけの様なスリングショットが余りにも眩しい。颯爽と参上すると共に会場のボルテージは最高潮に達し、色んな意味で達しそうな最前列のお客様は顔を真っ赤にしながら片腕を振り上げる。そして美影は司会からマイクを取り上げ一言。
「わお、お客さんも一杯。こんなバカンスなんてとってもクレイジーでファンタスティック、俺ちゃん大盛り上がりって奴?」
これも銀河帝国を討ち破って人々に余裕が出来たからだろうか、その一角の黒山の人だかりは、尋常じゃない盛り上がりを見せていた。
「今日は朝まで返さないぜベイビーちゃん達。それじゃ俺ちゃん得意の一曲」
え、ちょっとまってそんな聞いてない。まだ朝だよ。いいから、ノっとけば後は裏方が何とかするっしょ。
「俺ちゃんの魅力にたまげて腰抜かすなよ? カモォン!」
その一言と共に、ラテン調のノリの良い音楽が、スピーカーから爆音で掻き鳴らされた。
「わあ……凄い」
凄い、綺麗な、妖しげな、何というか、その。少女は目の前の一歩間違えれば健全ではなさそうな美影のダンスに面食らったが、観ている内に明るい、そのエネルギッシュな舞に心を奪われた。宙に線を描く様に振り乱される鮮やかな黒髪、勢いよく伸びる手足、くるくるとマイクスタンドをポールに見立てて回り、その度に表情やポーズが目まぐるしく変わる。いつの間にかその躍動感溢れる動きに見惚れ、何か力強い衝動が内から湧き上がる様な気持ちにさえなっていた。
「お客さんも楽しそう。いいなぁ……って」
あれ、最前列に……何か一際黒い塊が。それに何か、毛深い? 少女が不思議に思いよく目を凝らすと、その黒いモノ、アロハシャツを纏ったそれは、まぎれも無く、奴だった。
「ペンギン……」
おい姉ちゃん脱ーげーよ! ヘイそこの鳥類、ここは全年齢対象だぜ。寝言は鍵付きのお部屋で呟いときな! 最前列で品の無い応酬がちらちらと始まったが、それ以外は特に何も起こってはいない。
美影さんアレ気付いてるよね……まあいっか、ヤジは飛ばしてるけど悪さしてないなら。ご飯食べたら、今度は海に入ろう。
とりあえず頭の片隅にペンギンの事は置いておいて、少女は今を精一杯楽しむ事にした。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
鬼灯・こころ
独りでのんびりすごすよ。
船の中の海、か。
……海が泳ぐとこだなんて、考えたこともなかった。
ま、遊んでていいってことならのんびり待とう。
黒の大人っぽくてちょっと大胆な水着を選んで着る。
似合うだろ?
後はパラソルの下のビーチチェアで波の音でも聞きながらのんびり待つよ。
よく冷えた炭酸水を傍らに、本を読んだり昼寝でもしたり、さ。
……それにしても視線が気になるね。
一般人が見てるのかな。
気づいたら揶揄うようにウィンクひとつ。
あはは、これくらいで真っ赤になるなら、じろじろとは女の子を見ないことだぜ。
視線にはちゃんと気づいちゃうんだから、さ。
フィン・スターニス
●
残党を誘い出す為、のんびりと過ごせば良いのですね?
水着の事はよく分からないので、
サイズの合う物を適当に、
あるいは、貸出所の担当の方に選んで貰いましょう。
水着に着替えても、目隠しだけは外しません。
とるのは恥ずかしいのです。
その後は、砂浜で日除け傘の下、椅子に腰掛け、
飲み物を用意し、ゆったりと過ごしましょう。
楽しそうな人達を見ると、
皇帝を倒せたと、今更ながら実感できますね。
巳森・翠
…依頼でリゾートでバカンス、最高。
滅多にない機会、遠慮なく、全力で楽しませてもらう。
水着のレンタル、ビキニの派手じゃないのを適当に。
他の人達と思いきり、泳いだり遊んだり。
疲れたら適当な場所で昼寝、回復したら、また遊ぶ。
…食べ物も手配してくれるって、海の家みたいなの?
焼きそばとかかき氷とか、お腹空いたら色々食べてみたい。
ちゃんと食べないと、全力で遊べないし。
…仕事だって、忘れてない。たぶん。
一方、ステージから少し離れた静かな砂浜では、色取り取りのパラソルの下で休息を味わう者達がいた。
「船の中の海、か」
揺らめく水面を赤い瞳に映しながら、鬼灯・こころ(鬼灯・f01226)はゆったりとサマーベッドに身体を委ねた。海が泳ぐとこだなんて、考えた事もなかった。ま、遊んでていいってことならのんびり待とう。大胆な黒い水着が整ったラインを浮き彫りにしながら、身体をごろんと横に傾けた。平和な一時、先日までの狂騒が嘘の様。静かに響く並の音が心地よく、つい幾らでもうとうとと眠りこけてしまいそうだ。
一人でのんびりと休みたい、そう思っていたが、行き交う人の視線が嫌でも感じ取れる。一般人が見てるのかな? 不意に面を上げ、たまたま目と目が合った相手に軽くウインク。その色気溢れる仕草に、目が合った相手はたちまち顔を赤くしてその場を去っていった。
あはは、これくらいで真っ赤になるなら、じろじろとは女の子を見ないことだぜ。視線にはちゃんと気づいちゃうんだから、さ。まあ、命まで獲られるわけじゃあない。こういうのも偶にはいいかな、なんてね。こころは腕を伸ばして傍らの炭酸水を手に取る。気が付いたら大分減っていたが、もうしばらくは持つかな? 身体を起こして銀色に輝く髪をかき上げる。そのまま読み掛けの文庫本を手に取り、読書を再開。まあ、時間は幾らでもあるんだし、もう少しのんびりしていようかな。
「残党を誘い出す為、のんびりと過ごせば良いのですね」
水着を借りたフィン・スターニス(七彩龍の巫女・f00208)は係員にそう確認すると、ジュースを片手に静かなパラソルの元へと駆け寄った。読書に勤しんでいる先客の横で、フィンも大きく体を伸ばして、サマーベッドに腰掛ける。赤い縁取りがなされた白いワンピースが、幼い肉体を可愛らしく彩る。ただ一つ、紋様の描かれた目隠しだけは外さずに。取るのはちょっと、恥ずかしいから。
ゆっくりと深呼吸をして水面を見渡すと、これまでの宇宙の海での出来事を思いだした。戦車、戦闘機、化け物、銀河帝国の猛者達……辛い事もあった。それでも、その全てを乗り越えて、私はここにいる。あの戦争はもう終わったのだ。その証拠にほら、楽しそうに笑い声をあげる子供達や、砂浜を散歩する親子連れ。銀河皇帝は討たれた、私達は勝ったのだと改めてフィンは勝利を実感した。
「それにしても、本当に残党なんているのでしょうか」
海風に漆黒の髪を揺らしながら、ジュースを一口。照り付ける日差しをパラソルで防ぎ、改めて辺りを見渡す。こんなに平和なのに、どうしてそれを乱そうとするのか。別に皇帝もいないんだから、なんて思いもしたが、オブリビオンにそんな常識的な考えは通じない。彼らはそういうものなのだからと思い直す。ふと、フィンを呼ぶ声が聞こえた。声のする方を向けば、そこには仲間が一人。
「隣は空いてるか?」
巳森・翠(蛇紋射手・f14874)は契約通り、猟兵としてこの地へ赴任した。しかしそこは只の戦場ではない。依頼でリゾートでバカンス、最高、いや過酷な任務だ。滅多にない機会、遠慮なく、全力で楽しませてもら、いや勤めさせてもらおう。グレーの地味なビキニスタイルで現れた翠は了承を得て、かき氷を片手にフィンの隣へ座る。先程まではしゃいでいたのか、よく見れば水着も髪も俄かに濡れている。
「ペンギンは見つからない、つまり誘き出す為に私達は満喫しなければならない」
シャクシャクとかき氷を食べる翠をぼーっと眺めながら、フィンは質問した。
「そんな、焦って食べなくても……大分、満喫されているようですが」
その勢いに圧倒され、おどおどと聞き出すフィンに対し、緑色の瞳を煌めかせて翠は語る。
「いや、これまでは任務に勤しんでいた。先ずは沿岸部警戒の為バナナボートとやらで付近の哨戒を行ったぞ。更には付近の歩哨、出店の警備と食品衛生管理、水質の確認、我々にはやる事が多すぎる。流石に疲労したので、こうやって休息を貰ったのだ」
それってボートで遊んで食べ歩きして泳いでただけじゃあ……そこまで出かかってフィンは口を押える。
「しかし……本当にいい所だな、ここは」
一通りかき氷を食べ終えたフィンは腰に手を当て立ち上がり、水平線を見やる。年の割に張り出したボディラインが、地味な水着をもってしてもその魅力を隠しきれない。
「そうですね。本当に、平和になってよかった」
その言葉を聞いてフィンも頷く。きらきらと輝く水面は、猟兵達の功績を静かに讃えている様でもあった。
「では、私は任務に戻る。おやあそこに……」
ぶつぶつと呟きながら席を立った翠を目で追うフィン。その先には小柄な黒い影が。
「……あれって、もしかして」
不意にこころが、横からフィンに語り掛けた。
「……ええ、あれって」
ペンギン、ですよね。
そうか迷子か、取りあえず海の家へ行くか。
そんな声が遠目に聞こえた。いや、気のせいだろう。流石に気づくだろうし。
二人は再びサマーベッドに横になり、再び惰眠を貪り始めたのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
テン・オクトー
●WIZ
大きめサーフパンツを履き、ゴーグルをおでこにかけ、浮き輪をつけ、さらにペンギン型(絵)のフロートを持ちます。
ボクは寒い地方の遊牧民の出だから、海に入るの初めて!わくわくするなあ。うまく泳げないだろうからフロートを借りるよ。フロートに覆いかぶさって海をプカプカ。魚とかエビとかいるかなあ?あ、本物の海ではないのだっけ?なんだかはしゃいじゃいます。
ペンギン型のフロートなのは、ほら、ペンギン達に親近感持たれないかな?的な。
絡みアドリブ歓迎です。海で絡める方不在でしたらユーノさんお付き合いください。
響・夜姫
●連携・アドリブ・その他諸々OK
ペンギン。まさしく強敵と書いて友と呼ぶペンギン。
いきとったんかわれぇー。(ちょっと喜ぶ)
ナイス予知、ぐっじょぶ。
経費でバカンス。そしてバーベキュー。スイカ割り。
そしてペンギンとのふれあい。
すばらしい。てんごく。
「ユーノ。ユーノ。ペンギンを捕まえる道具とかある?」
これは是非とも捕獲してお土産に……え、だめ?
そんなわけでワンピース水着にパーカー姿でバーベキューに参加。
お肉を焼いて食べる。
魚も焼こう。マグロステーキ。
カニも焼こう。
※だいたい食べてる
「あ。ペンギン。お肉食べる?魚の方が良い?それともカニ?」
餌付け、できたらいいなぁ……。
ところでしるばーは元気?
ヘスティア・イクテュス
氷山部隊の残党ね、人に迷惑をかけるなんて
絶対見つけてまたもふもふして倒すわよ!
もふもふして倒すわよ!!
わたしは白いワンピースに麦わら帽子、サングラスで
ビーチベッドに寝転んで
砂浜でのんびり楽しむわ!
あっ、マンゴージュースも頂いていいかしら?
他の皆が楽しんでるのを見て平和ね~と楽しみながら
ユーノはどうかしら?楽しんでる?
なんていうかこんなに早くこの世界が平和になるなんて思わなかったわよね?
と同じ世界の人間として話を
「ユーノ。ユーノ。ペンギンを捕まえる道具とかある?」
海の家に偽装した猟兵の詰め所に、ひょっこりとパーカーを被った響・夜姫(真冬の月の夢・f11389)が現れた。その下の黒いワンピース水着の端々にフリルがあしらわれ、きょとんとした表情が可愛らしい。
「敵兵の鹵獲ですね! こんな事もあろうかと対艦用マグネトロンウェーブ発生装置を」
「いや、そういうのじゃなくて、もっとこう」
余り痛そうじゃないのがいい。あと分かり易いのが。
「そうよ! 痛いのはダメ。絶対見つけてまたもふもふして倒すわよ!」
もふもふして倒すわよ! 白いワンピース姿が眩しいヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長(自称)・f04572)もそこへ。氷山部隊の残党め、人に迷惑をかけるなんて許さないわと、今回の任務に息巻いている。
「そうですね……それでは、こういうのはどうでしょう?」
ユーノが取り出したそれは、巨大な大砲の様なものだった。
「デブリ掃除用の射出型投網です。少し重いですが、猟兵の皆さんならきっと大丈夫!」
お二人にトリガーは預けました。グッと親指を立てて二人へ物騒な形状の道具を渡す。
「これも……うん、ありがと」
どちらにせよ近付いて捕まえるよりは楽かと、念の為貰っておく。一旦それを物陰に置いて、二人は砂浜へと戻っていった。
「ペンギン。まさしく強敵と書いて友と呼ぶペンギン」
「ええ、絶対に捕まえてもふもふするわよ」
その前に英気を養わないと。ペンギンを捕まえんと目的を共にした二人は、漂う香りに引かれて砂浜のバーベキュー場に来ていた。ここには食べ物も飲み物もある。
そこでは既に、サーフパンツを履いたテン・オクトー(気弱な小さき猛獣・f03824)が野菜串と魚介串をむしゃむしゃと頬張っていた。
「あれ、夜姫さんもマグロステーキを食べに来たの?」
「マグロでステーキ、なんて甘美な響き」
ペンギンの事は忘れたかのように藍と紫の瞳を輝かせながら、肉汁滴る鉄板と金網の下へ向かう夜姫。大丈夫、今回の任務はえんじょいばけーしょんなのよ。
「皆してそんなに沢山食べようって、もう」
と言いながら、マンゴージュースを片手に、サマーベッドに腰かけて一休みするヘスティア。浅く被った麦わら帽子が飛ばない様に軽く押さえて、周りを見渡す。
どこもかしこも笑顔が溢れていた。あの戦いで勝ち取った日常、その平和な姿を藍色の瞳に焼き付けていると、仕事を終えたらしいユーノがバーベキュー場まで来た。
「お疲れ様です。ヘスティアさんはもう食べましたか?」
「頂いてるわ、ユーノ。なんていうか……こんなに早くこの世界が平和になるなんて思わなかったわよね?」
普段から水着みたいな恰好のユーノ。流石にブーツとグローブとヘッドセットは置いてきていたが、素足にビーチサンダルと、ユーノもエンジョイ勢と化している。
「フフ……本当に、今までの戦いがずっと昔の出来事だったみたい、ですね」
ヘスティアの隣に腰かけ、かの戦いに思いを馳せる。黒騎士、白騎士、ドクターオロチ、銀河皇帝……数多の強敵を屠り手にしたこの平和。常に死と隣り合わせの宇宙空間で生きる者達にとっては、平和な宇宙の海が帰ってきた事が、どれほど嬉しい事であろうか。
「ユーノさん! ボクは寒い地方の遊牧民の出だから、海に入るの初めて!」
二人が宇宙の思い出を語り終えた所にオクトーが来た。頭にはゴーグル、腰には浮き輪、ペンギンが描かれた身長よりも大きなのフロートを手にして立つ。
「オクトーさん、海には魔物が潜んでいると伺います。どうかお気をつけて!」
「うん、行ってくるよ!」
どうしてこの娘は一々物騒な物言いなんだろうと思いつつ、ユーノと共に手を振るヘスティアだった。
オクトーは初めての海水浴にわくわくしながら、フロートに覆いかぶさって海をプカプカと浮かんでいる。濡れるのは、ちょっと怖いな猫的に。潮風と日差しが心地よく、このまま浮いていれば丸まって眠ってしまいそうであった。
「……! ……!」
ふと喧騒が聞こえ、浜辺の方を見やるとユーノと夜姫がこちらを向いて何か騒いでいる。どうやら随分と自分は流されてしまったらしい。
「オクトーさん、後ろ! 後ろ!」
「テン、後方警戒」
「えっ?」
ようやく聞こえたその声に従い後ろを見るや、海面がこんもり盛り上がってオクトーに襲い掛からんとしていた。
「ええええええ!?!?!?」
否、海面を割って、『氷山丸』と船首に書かれた一隻の漁船めいた何かが、白波を立てて浜辺へ向かわんと海底より姿を現したのだ。
『若いチャンネーがフィーバーしとるって聞いたが、何じゃガキばかりではないか』
片眼を黒い眼帯で覆ったペンギンが船首にのたりと現れる。
『司令官、目の病気に触ります。とっとと船室へ引っ込んで下さい!』
『やかましいわカッパー! それにワシの事はキャプテンって呼べと何度言えば分かる!』
どうやら患っているらしい元司令官のキャプテン――ゴールドは、浜辺に、そして船に潜む配下達へ号令をかける。
『者共、時は満ちた! 今再び我等氷山部隊の』
『ソーレ突撃ー』
『YEAHHHH!!!!!!』
『ちょ、おま、それワシの……』
カッパーの号令一下、ざぶんと大波に紛れたペンギンがオクトーらへ襲い掛かる。オクトーは大波の勢いで浜辺に流され、そこに飛び出たペンギンの群れが追撃を重ねようと舞い降りた。
びっちゃびちゃになったオクトーへバスタオルを渡し、避難誘導とグリモア展開の為に戻るというユーノ。くしくしと濡れた毛並みを拭きながら、オクトーがペンギンの方へ振り向いた時。
「いきとったんかわれぇー」
満面の笑みでペンギンの前に現れた夜姫。何やら物騒な物も拵え、とっても嬉しそう。既に準備は整っているようだ。
「あ。ペンギン。お肉食べる? 魚の方が良い? それともカニ?」
餌付け、できたらいいなぁ……そんな不遜な事を考える夜姫が続けてペンギンへ質問した。
「ところでしるばーは元気?」
『『『『行方不明です!』』』』
随分と威勢だけは良いペンギン達。
かくして、戦いの火蓋が切って落とされた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『アイスバーグレンジャー』
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POW : フォーメーション『霜』
【冷凍ビーム】が命中した対象を爆破し、更に互いを【氷の鎖】で繋ぐ。
SPD : フォーメーション『霰』
【隊長ペンギンの特攻体当たり】が命中した対象に対し、高威力高命中の【隊員ペンギン達の連続体当たり】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ : フォーメーション『雹』
【隊員全員のパワーを合わせて巨大氷山】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
イラスト:ケーダ
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
緋桜・美影
「わお、ぺんぺんぺんぎん大行進♪俺ちゃんちょーっと味に興味ありますYO!」
●連携・アドリブOK~。
『見切り・第六感・聞き耳・フェイント・鎧無視攻撃・範囲攻撃・2回攻撃』
・まずは取り巻きを減らすことに集中。
・『ジャンプ』【スカイステッパー】でかく乱し、伸ばしたフックワイヤーをぶん回し前方に叩きつけて『範囲攻撃』
「わっほーい、俺ちゃんだーいなみっく!」
・至近戦では大開脚蹴りでの『2回攻撃』、ダガーでの『鎧無視攻撃』も併用。
・『視力』で攻撃を察知、『フェイント・見切り・逃げ足』フックシューター等で回避する。背後からの攻撃は『聞き耳・第六感』を使用。
「ぺんさんこちら~、手の鳴る方へ~♪」
アズール・ネペンテス
いやまぁ…残党居るって聞いてたけども。
せっかくの休暇ぐらい与えてやれよって思うので依り代の少女はそのまま休暇に入って貰うとして。現地人に協力してもらうか他の猟兵に超限定的な依り代になって貰って戦うとしよう。
んで敵の攻撃は集団戦からの連携による攻撃っぽいので【見切り】【残像】を使って回避しつつ普通に殴る。…今日武器持ってきてないからな。
威力不足なのはわかってるのでそこはUCで味方から借用して補強。
(アドリブ歓迎
●ペンギン・ストライク
逃げ惑う群衆を飛び越えて、緋桜・美影(自称・ビルボードダンサー・f06880)が砂浜に降り立つ。その周囲を先程まで観客を装っていたペンギンが取り囲み、ペンギンらしからぬ下卑た笑みを浮かべている。
『よう姉ちゃん、ここでオレ達と続きを楽しもうぜ』
ペペペと珍妙な鳴き声を上げじりじりと近寄るペンギンら。しかしその様子を一瞥した美影は、満面の笑みで下衆ペンギンに返すのだった。
「わお、ぺんぺんぺんぎん大行進♪ 俺ちゃんちょーっと味に興味ありますYO!」
『興味……え?』
味? 食べるの?
「YES」
どうしてだ、どうして猟兵はこうも可愛らしいペンギンとかを平気で食する文化があるのだ。僕達は、食用じゃない!
『ザッケンナゴルァ! クッチマウゾモルスァ!』
声を荒げ威嚇するペンギン。食われてなるものか、オレ達が喰らってやると一斉に美影へ飛び掛かった。
「いいねぇ元気で。嫌いじゃないよ♪」
しかし体当たりを仕掛けてきたペンギン達は、宙を舞う美影に容易く避けられる。【スカイステッパー】――華麗な空中ステップはペンギン達の追撃を許さない。
「わっほーい、俺ちゃんだーいなみっく!」
ショータイムかくや、長い黒髪をなびかせて空中で反転した美影は、左腕の『フックシューター』で一匹のペンギンを捕らえてブン回す。こんな事もあろうかと、装備をステージに隠していたのだ。
「いつもより多く回してまぁーすっ、てか?」
振り回されたペンギンはまるで鉄球の様に仲間のペンギン達へぶち当てられ、その勢いで他のペンギン達を思い切り吹き飛ばす。更にペンギンを中空で振り回した反動を使って着地した美影は、フックで引き寄せたペンギンを大きく振り上げた脚で蹴り飛ばし、一帯の制圧を瞬く間に完了した。
「もう終わりかい、ペンさん俺ちゃんを楽しませてくれないんですかー?」
パンパンと手を叩き挑発してくる美影に対して、グギギ……と嘴を悔しそうに鳴らすペンギン達。迂闊に近寄ればまたやられてしまうと一計を案じ、今度は取り囲んだ全方位から冷凍ビームを放ち始めた。汚い、ペンギン汚い。
「おいおい、そいつぁルール違反じゃないのか? 罰が当たるぞ」
それでも余裕を崩さない美影。ビームは最早命中する……しかしその眼前に、突如筋肉の壁が立ち塞がった。
「待たせたな……さて、仕事をするか」
筋肉の主はアズール・ネペンテス(お宝ハンター・f13453)だった。
「まぁ……残党居るって聞いてたけども。いいから、お前は休んでろ」
アズールはパラソルまで駆けてきた依り代の少女を、律儀にも休ませようと宥めていた。
「でも、私達は猟兵よ? オブリビオンが居たら戦わなくちゃ」
「それでも……普通の女だろう。今日くらい休め」
うーんと唸り、中々納得しようとしない。こんなだから、今日ぐらい休んで欲しいというのに。
「あとは俺が何とかするから……そうだな、あの人込みに向かって」
投げろ。大丈夫だ問題無い。アズールは少女を促し、無理矢理己を遠投させようとした。これには少女も面食らったが、その意志を無視するわけにもいかないし……
「……分かったわ、頑張ってね」
根負けした少女は、しぶしぶアズール(兜)をえいっと思いっきりブン投げた。
その屈強だが気弱そうな男は海で面白いステージがあると聞いてやって来たが、やたら煽情的な出し物の後にペンギンのショーが始まったと思ったら、それがオブリビオンだった。
『話には聞いていたけど、こんな時に遭遇するなんて……』
不意に目の前で子供が倒れていた。転んで親とはぐれたのか、座り込んで泣いている。そこに一匹のペンギンがぶっ飛んできた。
『あ、危ない……!』
男は勇気を振り絞り子供に覆い被さった。その時、不思議な事が起こった。
「その勇気に感動した。お前にしよう……大丈夫だ痛くも痒くも無いから」
気が付けばいつの間にか武骨な兜を被り……否、兜から被さり、飛んできたペンギンが吹き飛ばされていた。そしてその兜は、いきなり喋った。
「俺はアズール。本日限りだが、お前の力を貸してくれ」
有無を言わせないその迫力に呑まれる男。凄く……大胆です。ここに一日限りの猟兵が誕生した。
「その程度でどうにかしようなんてのは、虫が良すぎるんじゃないか?」
アズールは冷凍ビームを胸筋で弾き返すと、美影の方へ向き直り安否を尋ねた。
「残りは任せろ、それとすまないが……『力』をちょっと借りるぞ」
はいはいと手を振る美影。アズールは【接待者】の力で、そのまま美影の力を写し取った。これで十全、オブリビオンと戦う事が出来る。
「武器は無いが……何、この肉体がある。行くぞ」
ムキリとポージングでペンギンを威嚇、溢れるマッスルが邪悪なペンギンを後退りさせた。そして跳躍したアズールはペンギンらのもとへ飛び込んで、拳を思い切り地面に突き立てる。その威力が砂浜を揺らし、蟻地獄のようにペンギンを飲み込む。圧倒する筋肉に蹂躙されたペンギン達は、グェェと情けない声で鳴き、砂浜から首一つ出して埋められた。
「ほらな、罰が当たった」
その様子を見て美影がにたりと笑う。流石に筋肉は想定外だったけど。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
フィン・スターニス
ペンギンが釣れました?
ともあれ、早急に残党を倒しましょう。
まだ、バカンスを続けたいですし。
戦闘開始と伴に、第一災禍・赤の灼熱を発動。
周囲に展開し待機させ、
相手の動きに合わせて操作。
その動きを火球で妨害し、
行動を制限させ、そこを弓を使い狙撃して行きます。
隙があれば、火球を不意打ちで当てましょう。
火球を全て使いきれば、再度発動します。
敵が氷山を放ってきたら、
こちらも、全部の火球を束ね、
迎撃します。
巳森・翠
●
…あれ、迷子じゃなくて敵だったのか。
気付けていたらすぐに排除したのに、油断してた。
装備を整え次第、敵集団の側面へ回り込み、ユーベルコード使用の射撃開始。
先ずは味方前衛を狙おうとする敵個体を優先して撃ち抜く。
私が標的にならない間は援護射撃を続けて、敵に狙われ始めたら味方との十字砲火が可能な位置へ移動しつつ迎撃。
射撃系技能を駆使し、敵のフォーメーションの脆弱な部分に火力を集中。
楽しい仕事を邪魔してくれた罪は重い。
一匹も、逃がさない。
燦々と照り付ける人工太陽の下、揺らめく陽炎を背負って近づく者達がいた。
ペンギン、アイスバーグレンジャーと呼称されるその改造超力兵団はゆらり、ゆらりと浜辺へ上陸し、待ち構える猟兵達の前へと現れた。
「ペンギンが釣れました?」
フィン・スターニス(七彩龍の巫女・f00208)は倒したサマーベッドに隠れたまま、愛用の『宝弓【月風】』を手に眼前の脅威を見据える。
「そうだ。あれ、迷子じゃなくて敵だったのか」
気付けていたらすぐに排除したのに、と巳森・翠(蛇紋射手・f14874)も自動拳銃『Plunderer 330C』を構える。
「では……早急に倒しましょう。まだ、バカンスを続けたいですし」
言うが早く、フィンは己の封印――【第一災禍・赤の灼熱】を解き放つ。舞い上がる炎がここに、第二の戦端を開いた。
『……おいコバルト、なんか暑くないか』
『夏ですからね、アンバー』
『何を言うか、ここは船の中。それもいつものしみったれた漁船の中じゃなくて、超時空豪華客船タイタニック号の中だぞ』
ペタペタと歩きながら、アンバーと呼ばれたペンギンが文句を垂れる。
『時空? まあ密室ですからね。換気しないとね。おや……』
何やら視界の端々が赤い気がする。改造強化された超力ペンギン故、多少の異常には耐えられる強靭な体が災いしたか、周囲の異変に今更ながら気が付いた。
『アンバー、何だか目の前が赤くありま……せん……?』
そう言い返すコバルトが突如、ふらり、ぱたんとその場に倒れる。
『おいコバルト、お前熱中症じゃないのか。これはいかん、今すぐ海へ戻らねば』
海に戻……あれ、何か息苦しい。よく見たら陽炎じゃなくて、周りが炎に囲まれている……
『これってもしかして』
揺らめく影が悪夢を蘇らせる。何か似た様なのをエンペリウムから見た様な気が。
『猟へ……』
今更攻撃を察したアンバー、しかし皆まで言う前に瞬足の矢がその喉を穿つ。
「……随分と、気の抜けた連中ですね」
フィンは流れる様な所作で弓を降ろす。陽炎に紛れた炎でペンギンを酸欠状態にして、判断力を奪わせる。気を抜かせたのは元より自身の力。しかしこうもあっけないとは。
不意に緊張の糸が途切れたその時、空中より三つの影がフィンへ襲い掛かった。
『アンバー、コバルト……お前達の仇は!』
『俺達が討つ! いくぞアイアン、クローム!』
『俺達氷山部隊最速のペンギンストームについてこ』
パン、パン、パン。高速の乾いた銃声が砂浜に響いた。堕ちる鳥類、三つの影が一つになって。
「上から来るのは予想が付く。これだけ地上が暑ければな」
翠の三点バーストは正確に三匹のペンギンの急所を撃ち、更に【射殺す魔性の緑閃弾】――毒を込めた呪いの弾丸がペンギンを強く蝕んだ。
『ギギギ……』
『水……水……』
『早退させて……』
三者三様の呻き声がその威力を物語った。これで五匹、遠目にまだ幾らかのペンギンが疎らに近づく様子が見えた。
「思ったより湧いてますね……一旦、二手に分かれましょうか」
各個撃破では埒が明かない。ここは一つ、挟撃して敵を集結させようと提案するフィン。
「そうだな。手数が足りぬ分、纏めて仕留めた方が早い」
頷く翠は『FS-16V』の彩度を調整し、目立たない様速やかに移動を始めた。
「早いですね。では私も行きましょう」
黒い髪を棚引かせ、フィンも緑とは反対方向へ回り込む様に移動を開始した。
『ぐぬぬ……やりおるわ猟兵どもめ』
『ニッケル、焦ってはいけないわ。敵は少ない、こちらが散開して各個包囲すればきっと倒せる』
『そうは言うけどなぁ……そろそろ腹が減ってきたんだが』
『うむ、丁度おやつの時間なり』
帰ろうか、などとやる気が伺えないトークを繰り広げながら、ペンギン達は総勢8匹で横一列に広がって砂浜を行軍する。
これなら正面から攻撃されても最大火力で対抗出来る。自信満々に、されどだらだらと前進を続けるペンギンに、再び瞬足の矢が届いた。
『わっアブねっ!』
『敵襲! 三時の方角!』
『おやつの時間なり』
ぎゃあぎゃあと喚きながらくるりと右を向いたペンギンの前にはきりりと弓を構えたフィンの姿が。
『おいあの嬢ちゃんは放火魔の娘じゃ!』
『知ってるわ! 総員ダイヤモンド・フォーメーション!』
号令と共に横一列の陣形から2名ずつ頂点となった菱形の陣形に。そして中心にバチバチと冷ややかな紫電が奔る。
『皆の力を合わせれば、一つの氷は百万パワー!』
空気を揺らし、紫電が巨大な氷山を形成する。しかしそれを黙って見ているフィンではない。
「そんな物で……封印解除。赤色の魔力を糧とし、第一の災い、此処に発現せよ!」
問答無用、誰が放火魔ですか。再び放たれた25個の紅蓮の威力は、一塊になって空中の氷山へと迫る。
『皆、負けるな! 負けたらまた暑くなる!』
そんなのはもう嫌だ! 早く冷房の効いた部屋が欲しい! 邪念と執念がぶつかり合い、空間に灼熱の蒸気が舞い上がる。
「暑いのが嫌なら、直ちに涼しくしてやる」
こちらからはがら空きだぞ、と狙いを定める翠。ストックを伸ばしてがっちりと抱えられた自動拳銃が、甲高い炸裂音と共にペンギン達を横薙ぎに撃ち抜いた。
「血が抜ければ多少は冷えるだろう」
止めてください死んでしまいます。ペンギン達は観念したか、全てがその場に倒れ伏す。
硝煙を吹き消した翠が、それを見て呟いた。
「楽しい仕事を邪魔してくれた罪は重いぞ」
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
響・夜姫
しるばー行方不明か…なむなむ。暫しの黙祷。
「じゃあ、えーと。かっぱー。君、うちの子にならない?」
三食昼寝付き、おやつもあるよー、と誘惑。
オブリビオン。最後には、戦わなきゃだけど。
暫く一緒にいるくらいは…とか。
「ごーるどは…いいや。なんか色々と問題児っぽいし」
砲撃戦の時間だー。
砂浜から【誘導弾/範囲攻撃/2回攻撃/一斉発射】。
大丈夫、彼らは戦士。これくらいじゃ死なない。適度に弱らせ投網で捕獲だー。
冷凍ビームはサバーニャの【武器受け/オーラ防御】。
【踏みつけ】でサバーニャを足場にして、立体的に動いたり【地形の利用】で砂や海水を巻き上げて盾にしたりとかも。
全部終わったら、ペンギン達ともBBQしよう。
ヘスティア・イクテュス
出たわね!氷山部隊の残党!
今度こそ大人しく神妙にお縄になりなさい!
そしても大人しくもふもふされるならその罪許してあげなくもないわ!!
折角だから射出型投網を使って捕獲を試みるわ!
ダメだったらまぁ、ティターニアを噴かして直接!
一体捕まえたらこっちのもの!
さぁ、攻撃してみなさい、仲間ごと攻撃できるのならば!
あぁ、いいわねこのモフモフ感。温かくて柔らかい…
オブリビオンやめてうちの子にならないかしら?
戦闘…?あぁうん、ほら一体こう戦力を抑えてるってことでお願いします
●あぶない猟兵
『3分も立たずに20近い精鋭が無力化……だと……!?』
『はっ! もう帰りましょう司令官!』
だからキャプテンだと何度言えば……ゴールドは無事な片目をくしくしと擦りながら、迫りくる二つの影に目を見張る。
『敵襲だぞ! 誰かおらんのか!』
『はっ! 只今おやつの時間であります!』
いいから出せ! ゴールドの怒号が甲板に響く中、ペンギンを捕えんと目をギラつかせる二人の猟兵が氷山丸の前方に舞い降りた。
しるばー行方不明か……なむなむ。暫しの黙祷。響・夜姫(真冬の月の夢・f11389)は氷山丸に見当たらないシルバーを想い、両手を合わせた。浮遊する『サバーニャ』を足場代わりに水面に浮かび、甲板に立つゴールドとカッパーへ一言。
「えーと。かっぱー。君、うちの子にならない?」
「ちょっと待って、もふもふするのはあなただけじゃあ無いわ!」
背負った『ティターニア』から粒子を煌めかせ、空中に留まるヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長(自称)・f04572)がそこへ割り込む。
「今度こそ大人しく神妙にお縄になりなさい! 氷山部隊の残党!」
ビシィッとペンギンらへ指を差し、降伏勧告? を高らかに謳い上げるヘスティア。
「大人しくもふもふされるなら、その罪許してあげなくもないわ!!」
さり気なく拉致か強制略取を公言している気がするのですがお嬢様。いいのよ! 相手はオブリビオンよ!
「えー、こっちなら三食昼寝付き、おやつもあるよー」
対して甘いヴォイスで誘惑する夜姫。あ、ごーるどはいいや。なんか色々と問題児っぽいし。
このペンギンをわが手に(もふもふ)、二人の猛烈な勧誘を受けたカッパーは、矢張り空気の読めない戦慄の一言を返した。
『畏れながら申し上げます! 貧乳は認識対象外でございます!』
空気が、凍った。
「かっぱー、弁明の時間をあげようか?」
優しげな声色とは裏腹に、夜姫の全武装は照準を、氷山丸の艦橋ならぬ操縦台に向けている。
「……フフフ。海賊もどきがよくも、そんな大口を」
お嬢様いけません、お嬢様方は未だ成長期、可能性の塊でございます。しかし周囲に『フェアリー』を展開したヘスティアの耳には届かない。
『ご配慮誠に感謝の極み、だが断る!』
そうですか。それじゃー【フルバースト・マキシマム】の時間だー。両者から一斉に放たれた火線がオンボロ漁船めいた氷山丸に襲い掛かった。だがそれは海面に放たれたカッパーの冷凍ビームが、爆ぜた水面を凍らせて分厚い氷の壁を作り防ぐ。一瞬の攻防、そうだよ、こういうのでいいんだよ。
『……よし、そろそろだな』
ぼそりと、カッパーが呟く。腕から伸びた氷の鎖が、凍らせた海面を壁にして振り回し、群がる端末や浮遊砲台を薙ぎ払った。
『総員、おやつ終了! 戦闘再開!』
『YEAHHHH!!!!!!』
突如平甲板が垂直に開き、瞬く間にミサイルの様に無数のペンギンが飛び出した。
『さあお前達、さっさと砂浜を制圧するのだ!』
風を斬り裂き浜辺へ向かい飛翔するペンギン軍団。放置しては甚大な被害が出かねない。
「くっ……勝負はお預けよ! アベル、経路をナビゲート。スラスター最大!」
『承知しました。ショーの開演までに間に合わせましょう』
「……行くわよ、こっちのが早いんだから!」
ヘスティアは夜姫へ手を伸ばす。本当ならカッパーを成敗したい所だが、ここは猟兵の本分を優先すべきと心を殺して『ティンク・アベル』にエスコートを指示する。
「おのれ、かっぱー……この屈辱晴らさでおくべきか……」
その意志を理解した夜姫もヘスティアの腕を掴み、備え付けた5対の浮遊砲台でバランスを取って共に飛翔した。今はおやつが終わったペンギン達を、急いで止めなければ。
『夜姫様……対空砲火をお任せしてもよろしいでしょうか?』
「まかされたー。サバーニャ、4つ目までGO」
そしてふぁいや。ヘスティアの進行方向を奔った火線が、先を飛ぶペンギンを背後から急襲する。後ろを取られたペンギンなど恐るるに足りないわ。ぼとり、ぼとりと一羽ずつ落ちていく。
更に先行して砂浜に上陸しているペンギン達へ、宙を舞う十字架の洗礼が降り注いだ。トップアタック、着地と共に砂に足を取られてもたついているペンギン達へ、無慈悲な弾幕がその翼を穿っていく。
『流石ですお嬢様方、開演には余裕をもって間に合いました』
芝居がかった口調でアベルがエスコートの終了を告げる。
「当然よ、わたしはやるべき事は誤らないわ!」
「さんきゅー、あべる。それじゃ、えんとりー」
ふわりと、銀髪と青髪の少女が砂浜へ着地して。
「「それじゃあ始めるわ」よ」
両手に抱えた馬鹿でっかい射出機が火を噴いて、固まったペンギン達に抵抗の間を許す事無く、それらを一網打尽に捕えたのであった。
『ウウ……かくなる上は』
抱き締められて、もふもふ、もふもふ。
『許して……許して……』
抵抗も出来ず背後から組み伏せられ、もっふもふ、もふもふ。
『もうこっちに再就職します』
開き直った者もいる。もふもふ。
「全部終わったら、BBQしよう」
悲しいけどオブリビオンなのよね。もふもふとされながら一瞬それもいいか、と思いながらも踏みとどまるペンギン。
「あぁ、いいわねこのモフモフ感。温かくて柔らかい……」
オブリビオンやめてうちの子にならないかしら? 止められるんでしたら……
戦いは終わった。荒ぶるペンギンの群れは二人の少女に蹂躙され、最早戦う力を失った。
戦闘……? あぁうん、ほら一体こう戦力を抑えてるってことでお願いします。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
石動・彼方
遅れちゃったけど、戦いには間に合ったみたいね?
彼方、参戦するわ!
◉格闘で倒す
「可愛いからって容赦しないわよ、私…可愛いものをグチャグチャにするのが大好きだから♡」
『激痛耐性』で攻撃に耐えながら距離を詰めて『怪力』を伴った踵落としや、拳、膝蹴り、回し蹴りで容赦なくペンギンを薙ぎ倒していくわ。
「私と繋がりたいの?それは好都合!」
ビームを当てられて鎖で繋がれたら『怪力』で引き寄せて『グラップル』で捕まえて抱き締め、そのまま絞め殺す。
隙あらば【絶天頂】を決めて、首が何処かも分かんないけど頭ごと『怪力』で絞め潰してあげる。
「んっ、嘴が当たってちょっと気持ちいいかも…なんて、ね!」
◉アドリブ大歓迎
テン・オクトー
これが残党の御一行なんだね。賑やかそうだ。ペンギンだけあって可愛い感じの見た目だけど、チャンネーに惹かれて出てくるなんて助兵衛ペンギンじゃないか。ここにいる綺麗(だけど怒らすと怖い)チャンネーさん達にフルボッコされるといいよ!
ボクは氷山丸を壊しに行くよ!さっきは本当にビックリしたんだから!気持ちよくまったりしてたのにー!
POW
UCでドッカンバキバキ!武器でもガンガン叩き壊しちゃうよ。残党の根城潰しは大事だよね。
『霜』対策は【オーラ防御、盾受け】で防げるかな?
あ、あ、勢いあまって海に落ちる〜!?
タスケテ〜!
連携アドリブ歓迎です。
「これが残党の御一行なんだね。賑やかそうだ」
テン・オクトー(気弱な小さき猛獣・f03824)は目の前で蹂躙(もふもふ)されるペンギン達を見やり、溜め息をつく。ペンギンだけあって可愛い感じの見た目だけど、チャンネーに惹かれて出てくるなんて助兵衛ペンギンじゃないか。こっちは折角いい感じで気持ちよくまったりしてたのに!
「ボクは氷山丸を壊しに行く」
だが周囲ではバカンスが再開されてたり、ペンギンをもふもふしてたり、何だか悲しくなってきた。だがそこに、共に戦う同志が現れる。
「遅れちゃったけど、戦いには間に合った……みたい……ね?」
ふらりと現れきょろきょろと、ペンギンと戯れる猟兵を眺めながら、石動・彼方(狂愛・f13764)はオクトーに同意を求めた。
「うん……あそこに浮かんでるのがボスだよ」
「そう……」
敵は氷山丸に残っている。雑魚は殆ど退治された。だけどボスを倒さなかったら、どうせまたこんな事が起こる。
「よし……彼方、参戦するわ!」
気合を入れ直して彼方が水平線を睨む。ペンギン達との、本当の最終決戦だ。
『一体どういう事だ! 我が精鋭……ええと……沢山やられたぞ!』
『そうですね!』
氷山丸の甲板上では、二匹のペンギンが相変わらず呑気なやり取りを続けていた。
『ええい、このままでは氷山部隊の再興もままならぬ!』
ぶちりと眼帯を引き千切り、ゴールドが自ら前線に出ようと足を踏み出した。直ってたんだ。
『まあ……もういいんじゃないですか?』
だが、カッパーがそれをやんわりと止める。人工の潮風が羽毛を撫で、ふわりと毛が散った。
『何故だカッパー、またしてもお前はそんなふざけた事を』
『敵、来てます』
淡々とカッパーが告げる。ふらりとカッパーの足取りは船の舳先へ。
『もう、コアマシンも直ってますし。逃げちゃって下さい』
『仲間を置いてみすみす逃げろと言うのか、貴様!』
『皇帝もいないんだ。もう自由なんだよ、キャプテン』
ガツンと甲板に衝撃が走る。オクトーと彼方が動力船でここまで来たのだ。
「そこまでだよ、ゴールド!」
「可愛いからって、容赦しないわよ」
甲板に降り立った二人の猟兵がペンギンに告げる。これで戦いは終わりにすると。
『来たか……フム、これは愉しめそうだな』
カッパーはじろりと彼方を眺めて一言。これならば全力を出すに相応しい相手だと認める様に。
「そうなんだ。私も、可愛いものをグチャグチャにするのが大好きだから♡」
そんな不埒な言動を一蹴する彼方。その眼にドロドロとした怨念めいた何かが揺らめいた。
『待て、カッパー貴様!』
今、何て言った? そう尋ねようとしたゴールドへ、オクトーの容赦の無い【グラウンドクラッシャー】が襲い掛かる。その一撃が甲板を歪ませ、バチバチと放電が甲板を燃やし始めた。
「さっきは本当にビックリしたんだから! ここにいる綺麗(だけど怒らすと怖そうな)チャンネーさんにフルボッコされるといいよ!」
ブンブンと愛用の『フレイル』を振り回し、船体をヒャッハ―と破壊するオクトー。その威力は止まる事を知らない。
『止めろ! この船を直すのにどれだけ掛かったと……思っているッ!』
ゴールドが【フォーメーション『霜』】――凍てつく光をその手より放つ。その光はすんでの所で甲板を鎮火しつつ、オクトーの脚を凍てつかせた。
「冷た! そんなに大事だったら……何で人を襲ったりしたんだ。そうしなければ、誰もこんな戦いを望んでなんか……いないのに!」
気合を込めた足取りがかろうじで完全な凍結を防ぐ。そしてじゃらりと、フレイルを構えなおした。
『笑止、これは我らと貴様らの戦い、オブリビオンと猟兵の、戦いだろうがッ!』
再び両手より光を放つゴールド。その猛攻を『丸盾』で往なし、すんでの所で光条を見切る。
『そうだ、小さきもの。我らと貴様らは“そういう関係”なのだよ』
横からカッパーが口を挟む。彼方が蹴りを放つ度に揺れる甲板、こちらもずっと一進一退の攻防が続いている。これまでとは違う、異質な殺意が籠った一撃がカッパーを襲っていたのだ。
「私と繋がりたいの? それは好都合!」
距離を取ったカッパーから放たれた、凍てつく光が彼方に直撃する。全身を氷で覆われるが、されど納まらない昂ぶりが彼方を前へと押しやっていく。
『戦闘狂か……あるいは、同じ様な地獄を見たか?』
「ペンギンくんに何が、分かるっていうのかしら、ね!」
がっちりと互いを結んだ凍りの鎖を、彼方は強引に手繰り寄せる。ずるずると引き寄せられたカッパーを瞬速の左で殴打すると、怯んだ隙に飛び上がって【絶天頂】――両脚でカッパーの側頭部を挟み込み、頭蓋を甲板へ叩き付けた。そしてそのまま大腿部を押し付けてフォール。その猛威に、ヒクヒクと四肢を動かしカッパーは悶絶した。
「んっ、嘴が当たってちょっと気持ちい……嘴……?」
彼方は何やらぐにゃりとした感触を感じていた。ふと見下ろせば、何やら縮れたホースみたいな何かが。
『それは私の触覚だ』
更にカッパーの全身が縦に延びている。その形はペンギンでは無く、まるで人間の様であった。
『もうしばらくこのままでもいいが、いやこのままでいいです』
よく見ればペンギンだった頭は無く、にょっきりと歪な形状の顔面が見て取れる。
「な、何よ誰よ! 全然可愛くない!」
『カッパー、貴様一体……』
後ずさりした彼方の拘束から解放されたカッパーだった者は、ゆらりと立ち上がる。ひょろりとした長身、紳士然としたスーツ、そして何より奇怪な顔面が、最早ペンギンでは無い事を雄弁に物語る。
『そうです私がアビ星人です』
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第3章 ボス戦
『地獄宇宙人アビ星人』
|
POW : 宇宙地獄近接格闘術
単純で重い【宇宙マーシャルアーツ 】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : 宇宙地獄超次元殺法
【短距離テレポートを駆使した近接格闘術 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【超高速連続攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ : 宇宙地獄プラズマ弾
【掌から100,000,000℃の光弾 】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
イラスト:カス
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠砲撃怪獣・ガンドドン」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●燃える地獄
『ここにもう、用は無い』
アビ星人は氷山丸からテレポートし、瞬く間に砂浜へ現れた。
『改造ペンギンによる世界征服計画も上手くはいかなかった。ここまでという事だ』
猟兵らに蹂躙されるペンギン達を見やり、パチンと指を慣らす。その音と主にペンギン達は意識を失った。
『失敗作は早々に破棄すべきだ。ならばせめて、楽に殺してやろう』
改造でオブリビオンとして人並みの自我を持たされていれば、死を与えられる恐怖は何よりも苦痛だろう。故にそういった改造から解放したのだ。
『カッパー……貴様最初から、そうだったというのか!?』
ただゴールドだけは、最初から骸の海から生まれたモノには、それが通じない。同志と思っていた部下に欺かれ、仲間と思っていた兵達は紛い物だった。その真実に混乱するゴールドは、それでも尚本当を知る為にアビ星人を詰問する。
『私はペンギンを有効活用する為に銀河皇帝に使わされていた、いわば監視官だよ』
溜め息交じりに回答するアビ星人の態度に、悲しそうな表情を向けるゴールド。
『つまり我々は最初から、有りもしない存在を演じさせられていたとでも……』
『……最早このアイスバーグレンジャーに用は無い。早々に立ち去れ』
これ以上語る事は無いと面倒くさそうに手で追い払うアビ星人。
『……早く行くんだ! 死にたいのか、キャプテン!』
ギロリと、潰れた様な目玉でゴールドを威嚇する。これより此処は地獄となる。用済みのペンギンはこの場から居なくなれと言わんばかりに。
『カッパー……最後に教えてくれ。ワシの……部隊は』
『利用するだけのつもりだったが、それでも退屈しない部隊だったよ』
そうか。そう呟いたゴールドは、力なく舵輪を回す。くるりと戦場に背を向けて、氷山丸は水平線に向かい進み始めた。
『……待たせたな猟兵、さあ地獄を始めようか』
それを見送ったアビ星人は淡々と、猟兵達へ宣戦を布告した。
石動・彼方
なに、コイツ…つまり可愛いペンギンを操ってたのはこのキモ星人だったわけ?
ふーん、まぁいいわ…キモいのをぐちゃぐちゃにするのも大好きだから…
◉肉弾戦
「貴方も格闘技を使うみたいね…なら私と勝負しなさいよ!」
『激痛耐性』で打撃に耐えながら『怪力』を伴うボディブロウや踵落とし、回し蹴りで攻め立て、酸きあらば『グラップル』で掴み極技に移行、腕や脚を『怪力』で粉砕していく。
「身体が壊れるのって、気持ちいいでしょ?」
トドメは【絶天頂】をお見舞い、頭…だか分かんないけど兎に角頭っぽいのを『グラップル』で挟んで叩きつけ、太ももで締め上げ『怪力』で壊し尽くす。
「私のお股の中で死んじゃうの、幸せだよね?」
※アドリブ
フィン・スターニス
●
そちらにも事情はあるのでしょう。
ですが、それとこれとは別の問題。
貴方を倒す。ただそれだけです。
薙刀と格闘を組合せた近接戦闘を中心に攻撃を行います。
武器での攻撃をフェイントに、
格闘で急所を狙い、衝撃波を内部へと叩き込みましょう。
態勢を崩す等で隙ができれば、八極封陣を発動。
その力を一時的に封じます。
敵からの攻撃は、第六感を頼りに、
回避を優先し、タイミングが合うならカウンターで迎撃します。
「なに、コイツ……つまり可愛いペンギンを操ってたのはこのキモ星人だったわけ?」
石動・彼方(狂愛・f13764)は忌々し気にアビ星人を睨み、じりじりと間合いを詰める。可愛いペンギンをグチャグチャにするつもりが、最後に出て来た気色悪いコレのせいで台無しだ。
『失礼な女だ。これでも私はアビ星人ベストメンズセレクションに選ばれた実績のある』
「ああ……もう、いい」
私、キモいのをぐちゃぐちゃにするのも大好きだから。『色香漂う鍛え上げられた肉体』をばねの様に弾ませ、彼方は風の様にアビ星人へ吶喊した。
『フン……阿婆擦れめ、急いては事を仕損じるぞ』
その暴風をスラリと躱し、長い脚を彼方の足元へ掛ける。よろめく彼方、しかし崩れた体勢の勢いを使って、右脚で強烈な踵落としをアビ星人の肩口へ落とした。その姿は蠱惑的な舞踏の様、しかしアビ星人はそれすらも見切っていた。
『もう一つ……私はアビ星格闘技世界チャンピョンなのだよ』
間の抜けた称号を口にし、振り下ろされた剛脚を拳で払う。その一撃は重く、振り下ろされた拳圧だけで砂浜に巨大なクレーターが穿たれた。
「痛ッ……フフ、そんなに私と勝負したい、の?」
殴りつけられた右脚のふくらはぎがジンジンと痛む。だが、この位余裕で耐えられるわ。足元の砂を払って、彼方は両腕を大きく開く。
『これを耐えたか、流石猟兵……!』
瞬間、『薙刀【白霧】』の白刃がアビ星人の喉元を狙った。フィン・スターニス(七彩龍の巫女・f00208)が二人の間隙を縫い、必殺の一撃で斬り付けたのだ。
「そちらにも事情はあるのでしょう……ですが、それとこれとは別の問題」
間一髪、直撃を避けたアビ星人に再び刃を突き付けるフィン。その瞳にはお前を倒すと強い意志を湛えて。
『そんなにあのペンギン共が気になるか? あの改造は失敗だったのだ。アレらは最早アイスバーグレンジャーでは無くなった』
嘲笑う様に返すアビ星人、その声色には些かの憐憫すら感じさせない。
「ならば後は貴方を倒す。ただそれだけです」
砂塵を巻き上げて跳躍したフィン。薙刀でそっ首を狙うと思いきや、不意に袖へ仕込んだ『流星魔鎚』がアビ星人の顔面を狙う。
『……暗器使いか、見た目によらず小賢しい娘よ!』
殺意を纏った魔石の一撃は、しかし空間を跳んだアビ星人に躱される。そしてその姿は突如フィンの背後に現れた。
「そう……来るでしょうね!」
焦る事無く、背後へ振り回された薙刀がアビ星人の肌を掠める。その技が尽きた刹那に畳みかける様に、フィンの【八極封陣】が放たれた。その異能が空間を揺らし、照り付ける空が翳りを見せた。
「四天方陣、動きを封ず」
四大属性の護符がアビ星人の周囲を囲み。
「三獄破刃、力を封ず」
三属性の刃がアビ星人の獅子を穿つ。
「一心皆尽、心を封ず」
終いの闇が槍と成りアビ星人の喉元へ迫るが、寸での所でその一撃は空を裂いた。テレポート……陣の組終わりまで掛かる時間が、最後の一手まで届かなかった故の回避。
『恐るべき猟兵の力、私でなければ避けられなかったぞ……』
「それじゃあこれは、どうかしら!」
アビ星人が姿を現した直後、飛び掛かった彼方の【絶天頂】がアビ星人の側頭部を挟み込み、ぐるんと回って痛烈な一撃を与えた。
「身体が壊れるのって、気持ちいいでしょ? 私のお股で死んじゃいなさい」
『そうだな、ここが砂地でなければ天にも昇っていただろうよ』
一瞬、締め付けで硬直した彼方の脇腹に宇宙マーシャルアーツの痛打が炸裂した。解ける拘束、その隙にアビ星人は虚空へと逃れた。
「逃げた……それでも」
封陣も彼方さんの一撃も効いている筈。フィンは手応えを確信し、地獄宇宙人の襲来に備える。
この船をあんな奴の勝手にはさせないと、強く誓って。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ヘスティア・イクテュス
かわいくない!チェンジで!!
ええっと…つまりこのペンギンたちは改造されたペンギンで本当はオブリビオンじゃなくて今その改造で作られた自我から解放された…ってことでいいのかしら…?
…つまりお持ち帰りOK?
冗談(1割)は置いといて
船長を逃がして自身は殿を務める…
船員の鏡ね。敵だけど好きよ?貴方みたいな人
プラズマ弾がちょっと船内で使う技じゃないんだけど!!?
躱して船内に当たるとまずいから
他の猟兵への攻撃の際にドローンによる全力バリアで防御
盾役に務めるわよ
UCを使用中は動けないけど
解除すれば動けるわよね?
さて、氷山丸は何処へ…ね…
(上記考えが合ってたらペンギン一体お持ち帰りします)
アズール・ネペンテス
…黒幕いたのか。
まぁ何というかわかりやすいがペンギンも哀れではある。
オブリビオンに対して基本同情はしないが今回ばかりは同情せざるを得ねぇなこれ。
とりあえず…筋肉の餌食になって貰うか。と思ったが
ペンギン共に比べると流石に力借りても一般人を依り代にして戦うのはきつすぎるから今度は逆に俺が猟兵を依り代に力貸すか。
相手見る限り相手の技は厄介なの多そうだし相手も同じことでやり返されるとは思わんだろうしな。まして味方の猟兵も自分が相手の技をぶっ放すとも思わんだろ
(アドリブ歓迎
巳森・翠
> 地獄のペンギンリゾート 第3章
●
強そうな奴が出てきたな。
地獄を始めるというなら、何の遠慮も要らなそうだ。
呪詛を満載したユーベルコードで敵を撃ち抜く。
敵を射程内に捉えつつ、味方前衛や他の射手の邪魔にならないよう位置取り。
敵の近接格闘術の動きが止まる隙を狙う。
奴が味方を狙って技を繰り出そうとするときは勿論、私を狙ってきた瞬間も良い機会。
拳でも脚でも打撃に使ってきた部位を掴んで、零距離射撃を叩き込んでやる。
先の銀河帝国との戦争は相当な地獄だったと聞いてる。
地獄と言われる状況、今後のためにも少しは体験しておきたいな。
そしてアビ星人はヘスティア・イクテュス(SkyFish団船長(自称)・f04572)の目の前に現れた。
『やあ』
「か、かわいくない! チェンジで!!」
『傷つくな……これでも子供の頃は天使の様な悪魔の笑顔だと』
有無を言わさず『ミスティルテイン』の連弾がアビ星人を襲う。面食らったのも無理はない。しかし先程の戦いで負った傷がアビ星人の動きを幾分か緩慢にしている。
『中々痛いじゃないか……』
肌を灼く光条を一つずつ避けながら、それでも一歩ずつヘスティアへと間合いを詰めるアビ星人。表情の見えない暗い顔が、不気味さをより際立たせ、慄いたヘスティアは引きながらトリガーを弾き続ける。
「何で、ペンギン達にあんな事したのよ!」
『それは銀河皇帝の指示だ。私の本意では無い。だから逃がしたのだ、ゴールドは』
それで殿を務めている訳か。見た目によらず心根はそこまで腐っていないのかもしれない。
「船長を逃がして自身は殿を務める……船員の鏡ね。敵だけど好きよ? 貴方みたいな人」
『お褒めに預かり光栄だ。では死ね』
何でこうも緩急が激しいのよ! こいつは! 振るわれる剛腕を『ガーディアン』のバリアで躱しながら、致命の間合いをかろうじで避ける。
「アベル! 何かいい案はないの!?」
『残念ながら今はありませんね……ですが』
時期に勝機は訪れるでしょう。その言葉と共に緑色の閃光がアビ星人の側頭を掠めた。
強そうな奴だ。放たれた【射殺す魔性の緑閃弾】の硝煙を吹き消しながら、眼前のアビ星人を見据える巳森・翠(蛇紋射手・f14874)は滑らかな手つきでマガジンを入れ替える。
「地獄を始めるというなら、何の遠慮も要らなそうだ」
ありったけの殺意を装填した『Plunderer 330C』を構え、再びアビ星人を銃口に捉えた翠は、不意に姿を消したアビ星人に困惑した。
『私をお探しか?』
背後から声がした。アビ星人の空間跳躍。先程までの間合いなぞ地獄宇宙人にとっては、瞬きする間に詰められる程度の浅い距離。
『中々面白い弾丸を使うようだが、私を倒したければ無重力弾でも持ってこい』
アレは中々痛いと、訳の分からない事を口走りながら目にも止まらぬ早業で拳の連撃を抜き放つ。その痛打をもろに喰らい吹き飛ばされる翠。幸い柔らかな砂地がその衝撃を和らげるが、これで距離のアドバンテージは無きにも等しい。ならば零距離で……戦術を組みなおす翠の元へ、再び何者かの声が聞こえた。
「力が欲しいか。今日だけならばくれてやろうか?」
振り向くとそこには、兜を被った筋骨隆々の大男が、両腕を組んで佇んでいた。
アズール・ネペンテス(お宝ハンター・f13453)はこの先の戦いは一般人の身体には荷が重いと踏んでいた。いつもの少女ならまだしも、実戦経験皆無の依り代では、あの相手に最後まで立ち回れるか危うい。
「筋肉の餌食にしてやりたい所だったが……流石にな。それで、どうする?」
アズールは翠に伺う。猟兵の肉体ならば、一時的とはいえアズールの力を十全に発揮する事も叶うだろう。望むならば力を貸そうと。
「先の銀河帝国との戦争は相当な地獄だったと聞いてる。今後のためにも少しは体験しておきたいな」
地獄と言われるこの状況を。それに、アズールの力にも興味があった。
「契約成立だ。ご苦労だったな筋肉、さらばだ筋肉」
翠の同意を聞くと共に、筋肉男の手でその兜を翠に被せる。瞬間、フラッシュバックする歴戦の記憶。かの戦争、白騎士へ一矢を報いたその奇策も。そして立ち去る筋肉男。
「……成程、確かに地獄だ」
だが今はあの時ほどじゃあない。いくぞ、と翠に言葉をかけて駆け出すアズール。あの時と同じ、力が無ければ奪えばいい。
アビ星人は吹き飛ばした翠を再び見つけるや、その手に巨大な火球を形成した。
『安心しろ、いきなりこの船を壊したら私だって危うい』
だから死ぬのはお前達だけだと言い放ち、大気を揺らすその火球を勢いよく放り投げる。プラズマ化した大気を巻き込んで、その一撃が翠へと迫った。
「おい……一発だけ耐えられるか?」
アズールの質問に静かに頷く翠。どんなに熱くて痛くとも、一度くらいなら何とか耐えて見せる。ギリリと奥歯を噛み締めその衝撃に備えた時、蒼い光が翠の前へと舞い降りた。
「ちょっと、その火球は船内で使っていい技じゃないんだけど!!??」
ヘスティアが【衛星ガーディアンズ】を纏い火球の前に立ち塞がる。スペースノイドならばその攻撃が齎す被害を想像出来ない訳が無い。障壁の向こうは真空の宇宙、万が一こんな所に大穴を開けられたら、大勢が命を失いかねない。故にそれを全て受け切ると。それが大勢の命を預かる船長たる人の務め。きっとお父様だってそうしていたはず……!
「丁度いい……その技、盗らせてもらうぜ?」
幸い直撃を避けたアズールが【略奪者】――再現された火球をそのままアビ星人へと投げ返す。プラズマに巻き込まれた大気が再び歪み、地獄宇宙人の鼻先を灼熱で焦がした。
『何と……これすらも奪うか。ならば』
再び虚空を跳んだアビ星人は火球を避け、その灼熱は海面で霧散する。そして地獄宇宙人はアズールの――翠の背後から容赦なく襲い掛かった。しかし。
「二度も同じ手を喰らうか」
翠は手にした拳銃で背後を撃ち抜く。この距離ならば外すものかと、全ての弾丸をフルオートで乱射。鳴り響く乾いた銃声と共に、容赦の無い鉛玉の嵐がアビ星人の瀟洒なスーツを穴だらけにした。
『小娘が……この短期間で、見切ったか』
「そうよ、猟兵に同じ攻撃は二度も通じないわ」
顔面より変な色の血を吐き咳込むアビ星人に、紫電を纏ったヘスティアがライフルを突き付ける。
「これで終わりよ……最後に一つだけ」
銃把を握る手に力が籠る。これで地獄を終わりにする、だが、どうしても確かめねばならない事がある。
「あのペンギンは今やオブリビオンじゃなくて、普通のペンギンなの?」
つまりお持ち帰りOK? 随分と呑気な質問に、傍らのアズールも思う所があったのかぼそりと呟いた。
「まあ、あのペンギン共には同情せざるを得ないよな……今回ばかりは」
灼熱地獄のやり合いの中でも、それすら凌駕する猟兵のぶっ飛んだ思考に、地獄宇宙人はごぽりと血を吐きながら静かに嗤った。
『ハッ……そんなに欲しければ、神様に尋ねてみると言い』
星が応えてくれるかもしれんぞ。胡乱な答えと共に、アビ星人は再び姿を消した。
この僅かで取り戻された体力と隙が、地獄宇宙人を逃がした。
だがその命脈もあと僅か、決戦の時は近い。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
響・夜姫
「かっぱー。ぺんぎんじゃなかった…騙された」
私が許さん、貴様を許さん、断じて許さん。
かっぱー、絶対許さない。これも全部アビ星人ってやつの仕業なんだ。
…って、言いたいけど。
「なんでごーるどを逃がしたの」
どうして、ペンギン達を解放なんて。
皆で大人しく楽しく、焼肉食べたりできなかった?
答えろ…!(銃を突きつける)
地面を【踏みつけ/ダッシュ】で移動しながら【スナイパー/誘導弾/2回攻撃】、華焔。
今回は拳銃メイン、動き回りながら乱れ撃つ機動射撃戦。
サバーニャは【オーラ防御/武器受け】をメインに。
対象外の恨みも載せよう。
「ところで、ごーるどは巨乳派?」
残りはごーるどだけ。
…私のとこにくればよかったのに。
テン・オクトー
ペンギン司令官にアビ星人…彼等にも色々あるんだね。(よく分からないけど哀愁を感じてみたり)何はともあれ目の前のアビ星人さんは敵で、守らなくてはいけないのはこのスペースタイタニック。気持ちを入れ替えていくよ!
SPD:UCで蜃気楼を作るガジェット装置を喚ぶ。次元殺法回避に使用。
初めて使うからうまくいくかな?この場にはあたたかい砂浜、そして冷やっこい海。ガジェット装置でボクの蜃気楼をあちこちで発生させ、敵の攻撃を回避。可能なら蜃気楼でボクの存在を惑わして隙を見て武器攻撃するよ!
おっと、この船に被害が出ないように気をつけて動かないとね。
連携アドリブ歓迎です。
何度目かの空間跳躍。血を撒き散らしながら降り立ったそこで、アビ星人は頭に冷たい金属を突き付けられる。
「かっぱー。ぺんぎんじゃなかった……騙された」
『そうだ。私はアビ星人だ』
転移を予測していたのか、偶然か。響・夜姫(真冬の月の夢・f11389)はか細い声でアビ星人に尋ねる。
「なんで、ごーるどを逃がしたの?」
トリガーに掛かる指の震えが止まらない。何故、あのような事をしたのだ。何故、銀河皇帝は倒れたのに戦わなければならないのだ。
どうして、ペンギン達を解放なんて。皆で大人しく楽しく、焼肉食べたりできなかった? しかし少女の一途な思いは、沈黙を持って返される。
「……答えろ!」
銃把を締め付けるか細い手が小刻みに振動する。夜姫の叫びを代弁するかの様に、ガチガチとフレームが音を響かせ。
『……どうにもあのキャプテンは、随分と人望があるようで』
いや、ペン望か? この段に及び尚も嘲るアビ星人は、それでも起死回生の一手を探る。
『教えて欲しければ、力尽くで聞いてみるがいい……!』
叫ぶと共に殴りつけられた砂浜が抉れる。ぐらりと揺れた地面に体勢を崩された夜姫が、舞い上がる砂塵を手で払いながら逃げたアビ星人を目で追った。
私が許さん、貴様を許さん、断じて許さん。放たれた怒りが、最後の戦いの幕を開いた。
ぼとりと落ちる血を眺め、砂塵に紛れたアビ星人はもう一人の猟兵に気付く。
「色々、あるんだね」
テン・オクトー(気弱な小さき猛獣・f03824)は背後に呼び出した――【ガジェットショータイム】の扇風機めいた異様な機械を従え、アビ星人を見据える。
「でも、守らなくちゃならないのはこのスペースタイタニック……だから、往くよ」
じゃらりと垂らした『フレイル』を大きく振りかぶり頭上で回す。これでどこから攻撃されても即座に動ける……筈。
『分かっているならば、話は早い』
不意に姿を消す――空間転移でオクトーの死角を狙い、アビ星人は無慈悲な足刀を振り下ろした。しかしそれが斬り裂いたのは、何もない空間。
「そこじゃないよ」
声はそこかしこから。ガジェットが生成した蜃気楼に紛れ、オクトーは着々とアビ星人を追い詰める。
「もう、止めてもいいんだ。でも」
オブリビオンは、倒さなきゃ。獣の、猟兵の本能がその想いを許さない。姿の見えないオクトーに対してアビ星人は空間跳躍で対抗するが、体力の低下している今では十全な戦いが出来る状況では無かった。
ぼとりと三度、血が垂れる。もう持たない。ボロボロのスーツを脱ぎ捨て、屈強そうな肉体を曝け出したアビ星人は、惑わしの空間の中で最後の一撃を喰らわさんと必殺の構えを取る。
しかしそこに現れたのはケットシーの戦士では無く、幼き戦闘人形だった。
「これも、全部アビ星人ってやつの仕業なんだ」
『何を今更……』
「だからかっぱー、絶対許さない」
鈍く煌めく白と黒が、その【華焔】を眼前の地獄へ突き立てる。火薬の爆ぜる音が揺らめく影に呑み込まれ、一つ、二つと砂浜へ汚れた染みを撒き散らした。ゆらりと、黒い地獄は尚も前へと進み、揺れる銀の間近へと迫る。
「ごーるど……私のとこにくればよかったのに」
主の危険を察知した10の十字架が即座に、銀と地獄との間に割って入る。そして地獄が放った渾身の一撃が、十字架と、蜃気楼と、辺りを包む有象無象を吹き飛ばす。その衝撃に二つの影は再び分たれた。
最後の一撃を放ったアビ星人は、その場で大の字に倒れ込む。もう立ち上がる事も無理だ。そんな今際の際、しつこく食い下がる猟兵が再び目の前に来た。その姿を見たアビ星人は、夜姫が漏らしたあの言葉に、弱弱しく返答した。
『ゴールドは、純粋なオブリビオンだ。お前達、猟兵と共に歩める訳など……無かろう』
「だから、逃がしたの?」
『あっちでまたどやされては、敵わんからな』
更なる夜姫の問いにアビ星人が答える。眼前に突き付けられた『マガツ』と『ダルク』は健在。少しでも指を弾けば目の前のアビ星人は今度こそ息絶えるだろう。だから最後に、もう一つだけ。
「ところで、ごーるどは巨乳派?」
『キャプテンはホモだ』
『ちょっと待てェェェェェェ!!!!!!』
何故だ、何故アンタがここにいる。アビ星人の前にはいつの間にかゴールドが、氷山部隊の司令官だったペンギンがいた。
『カッパー貴様、何勝手な事を』
「ごーるど」
ちょいちょいと手招きする夜姫。まさかの再会に謎の笑みが止まらない。いや、だからどうして。
『勝手なのは、アンタだ……折角いい感じで終わる所を』
『良くないわ! ホモENDなぞワシは認めん!』
「ごーるど」
ちょいちょいと手招きする夜姫。もうそんなアビ星人掘っとけよ、いや放っとけよと言わんばかりに。
「ごーるどは、巨乳派?」
『ワシはオブリビオン派じゃ!』
何だつまんねぇ。
「それじゃ、改宗しよ?」
「大変だ―!」
無謀な提案をする夜姫を尻目に、オクトーがいきなり猛ダッシュで駆け寄ってきた。
「ひょ、氷山丸がいつの間にかこっちに……あれ?」
息を切らせながら、這い寄る危機を伝えて直ぐに、いない筈のペンギンが目の前にいる事に気付いた。
「どうして?」
「知らない」
『スイマセン徘徊癖が……』
『帰るよ! 帰ればいいんだろ! 畜生!』
その畜生は本当に悔しそうに氷山丸へ戻っていった。最後に、カッパーだったアビ星人を見て。
『……これまでの任務、ご苦労だった。もう休め』
『……全くだ!』
いきなり大声で返すアビ星人。そしてゆっくりと溶ける様に、その姿は消えていった。
それに合わせる様に、ゴールドを乗せた氷山丸もそそくさとワープする。
「終わったね」
「うん。あとは……」
消えた二つを見やる二人。そして残ったペンギン、どうしよう。まあいいか。
遂にスペースタイタニックIII世号は氷山に沈められる事も無く、恐るべき地獄をも退けて、無事の航海を続けられる運びとなった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴