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Plamotion Rebuild ACE

#アスリートアース #その他スポーツ #プラクト #五月雨模型店

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●君が思い描き、君が作って、君が戦う
『プラモーション・アクト』――通称『プラクト』。
 それはプラスチックホビーを作り上げ、自身の動きをトレースさせ、時に内部に再現されたコンソールを操作して競うホビースポーツである。
 思い描いた理想の形を作り上げるというのならば、たしかに『プラクト』は心・技・体を兼ね備えたスポーツ。

 プラスチックホビーを作り上げ、フィールドに投入し自分自身で動かす。
 想像を育む心、想像を形にする技術と、想像を動かす体。
 そのいずれもが欠けてはならない。どれか一つでも欠けたのならば、きっと勝利は得られないだろうから。

 第二回世界大会、『ワールド・ビルディング・カップ』――『WBC』。
 チーム『五月雨模型店』は初戦をジャイアントキリング……前回大会覇者『無敵雷人』を見事に降して二回戦へと駒を進めていた。
 そして、次なる二回戦の相手は……『無敵艦隊オーデュボン』であるはずだった。
『無敵艦隊オーデュボン』はドイツ代表であり、『WBC』が始まる前に『五月雨模型店』へと練習試合を挑んできたチームでもあったのだ。
 このチームの『超人皇帝』と渾名されるエースアスリートは『無敵雷人』、『エイル』に比肩する実力を持っていたのだ。
 その輝かしい戦績を顧みれば、彼を擁する『無敵艦隊オーデュボン』は容易く一回戦を勝ち抜くはずだったのだ。
「あーっと! ここに来てまさかの大番狂わせ! 今年の『WBC』は大嵐の模様! なんと、『無敵艦隊オーデュボン』、敗北――!」
 アナウンサーの声が会場に響き渡る。

 その言葉に『五月雨模型店』のアスリートたちは目を見開く。
「あいつらが負けた……!?」
『アイン』と呼ばれる少女が目を見開く。
 どうやら『超人皇帝』と呼ばれるアスリートが世界大会に参加できなかったのが敗因に思えたが、そうではない。
『アイン』たちは一度『超人皇帝』ぬきの『無敵艦隊オーデュボン』と戦っているのだ。あまりにも苛烈なる艦隊機動と鋼鉄のホビーによる堅牢なる戦い方。
 その分厚い壁めいた戦力を容易く打ち破ることのできるチームなど多くはない。
 だと言うのに。
「一回戦第ニ試合を勝ち抜いたのは、『オーバード』! 前年日本代表チームの一角が大番狂わせ! やりました! 二回戦第一試合は、日本チーム同士の戦い!」
 アナウンサーの興奮しきりな声に『アイン』たちは顔をしかめる。

 そう、自分たちのホビーは一回戦の苛烈なる試合ですべてボロボロだったのだ。外装のほとんどが使い物にならない。
 二回戦に間に合わせることができるかどうかシビアなタイミングだった――。

●第二回戦
「それでは、『WBC』第二回戦のご説明をさせていただきます!」
 なんか興奮してんなーってグリモアベースに集まった猟兵たちは思った。
 そう、彼等が見ているのはリクルートスーツに身を包んで眼鏡をかけたナイアルテ・ブーゾヴァ(神月円明・f25860)の事件の概要を説明する姿だった。
 いや、今アスリートアースの『プラクト』競技は世界大会の真っ最中である。
 ダークリーガーの暗躍があるのはわかるが、自分たちが『五月雨模型店』に肩入れしていいのかどうかと猟兵たちは難しい顔をしていた。

 スポーツである以上、フェアであるべきだ。
 自分たちという戦力が後付で『五月雨模型店』に参加するのはどうにもフェアじゃないような気がしたのだ。
「いえ、ご安心ください。第二回戦は双方のチームのホビーの損傷具合を顧みて、変則マッチになっているのです」
 つまり?
 ナイアルテはドヤった。君がドヤ顔するところじゃないよね?

「二回戦は、観客の皆さんもその場でプラスチックホビーを作成し、自分の応援するチームに参戦できる会場一体型の試合なのです」
 なるほど。
 一回戦で損壊激しいチームの戦力を応援してくれる観客から募る、ということなのか。
 それならば自分たちが出る幕ではない。
 ファン、サポーターたちを引き付ける魅力もまたアスリートの力の一端であるからだ。
 しかし、ナイアルテは頭を振る。
「いいえ、相手は『オーバード』、ダークリーガー『草津・アサヒ』率いるダーク化アスリート『獄道レーサー』。そう、地上げ宜しく、『WBC』を行っているスタジアムの観客席にいるサポーターたちは、すでに『草津・アサヒ』によってダーク化されて埋め尽くしてるのです!」
 そう、観客はすべて『五月雨模型店』の敵。
 圧倒的な……それこそ万単位の観客が全て『五月雨模型店』の敵となってフィールドにホビーを投入してくるのだ。

 それに加えて彼等のホビーは一回戦の激戦で損壊が激しい。
 彼等は己のホビーを改修しはじめているようであるが……間に合うかどうかはわからない。そこに加えてダークリーガーの根回しによる観客席がすべて敵という状況。
「こんなのフェアじゃありません! ならば、私達の出番です! そうじゃあありませんか!」
 くわっ!
 ナイアルテの薄紅色の瞳が爛々と輝き、眼鏡が頭良さそうにクイッと持ち上げられる。いや、言っていることはちっとも頭良さそうには思えないが、猟兵たちは概ね同意するはずだ。するよね?

「急ぎ、『WBC』スタジアムに向かい、観客席に紛れ込んで私達の『プラクト』魂っていうのを見せつけてやりましょう!」
 ナイアルテはいつになくやる気である。
 あ、一応捕捉しておくが、グリモア猟兵なので転移を維持するために彼女は参加できない。
 そう、ダークリーガー『草津・アサヒ』、同じく日本代表のチーム『オーバード』は彼女に乗っ取られた。
 そして、スポーツマンシップの欠片もない根回しによって観客席のすべてが敵となった『五月雨模型店』に味方し、圧倒的不利な試合を覆さなければならない。
 ナイアルテが柏手を打つ。
 ぱん! と乾いた音が響いて、彼女はご唱和ください、とグリモアベースに宣言する。

「さあ、皆さんご一緒に!『レッツ・アクト』――!」


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はアスリートアースにある未だ公式競技化されていないスポーツ『プラクト』の世界大会『ワールド・ビルディング・カップ』――『WBC』の二回戦。
 二回戦は変則試合で、観客席のファン、サポーターたちが応援するチームに飛び入り参加できるというアスリート、ファンのタッグマッチとなっております。
 ですが、ダークリーガーの策略に寄って観客席の全てがダークリーガー『草津・アサヒ』の率いるチーム『オーバード』のダーク化サポーターとなっています。
『五月雨模型店』を救うついでに、彼等のダーク化もすくいましょう。

 ※『プラクト』は正式には『プラモーション・アクト』と呼ばれるホビースポーツです。
 フィールド内に自作したプラスチックホビーを投入し、アスリートの動きをトレースする『モーション』タイプと、操縦席を作り込んで操作する『マニューバ』タイプが存在しています。
 主に『モーション』タイプはロボットや美少女プラモデル。『マニューバ』タイプは、カーモデルやミリタリーモデルとなっております。

●第一章
 すでに試合は開始前から始まっています。
 観客席に紛れ込んで、皆さんのホビーの最終調整を行いましょう。
 チーム『五月雨模型店』のメンバーたちのホビーの修繕や改修を手伝ってもいいかもしれません。

●第二章
 集団戦です。
 試合開始と同時に観客席からフィールドに投入される無数の『インセクトボーガー』と呼ばれるモーターホビーは、『獄道レーサー』の力に寄ってさらに凶悪になっています。
 これを撃退しましょう。

●第三章
 ボス戦です。
 試合はさらに佳境へと向かいます。
 チーム『オーバード』のダークリーガー『草津・アサヒ』との決戦になります。
 彼女の操るホビーは、『鉄球バスター』のテニスプレイヤーカスタムです。人型美少女プラモデルですが、そのしなやかさと剛腕でもって鉄球をテニスラケットで打ち込んできます。
 速射性も威力も『鉄球バスター』以上です。

 それでは、新たなるスポーツ競技『プラクト』を巡るダークリーガーと戦う皆さんの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 冒険 『その他スポーツを練習しよう』

POW   :    体当たりで果敢にチャレンジする

SPD   :    器用にコツを掴みながら練習する

WIZ   :    ルールや戦術の理解を深める

イラスト:十姉妹

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「間に合うか!?」
「泣き言いってんじゃねー! やるっきゃねーだろ!」
『ドライ』の焦る言葉に『アイン』は叫ぶ。
 そうだ。やるしかない。やっても負けるかもしれないが、やらなければ勝負の土俵にすら立てない。だから、今も懸命に自分たちはプラスチックホビーの修繕と改修に勤しんでいる。
 スタジアムの観客席からどれだけ自分たちに味方してくれるサポーターがいるかわからない以上、彼等を戦力の当てにすることはできない。
 結局最後は自分たちがやらねばならないのだ。
「で、でで、でも……こ、こここのままじゃ」
『フィーア』が焦ったように工具を取り落としてしまう。
 わからないでもない。彼等のホビーは一回戦の激しい戦いで損壊している。フレームは幸いに傷んではいなかったが、装甲の殆どがダメになっていた。

 救いといえば、彼女たちのホビーは同一シリーズで統一されていたことである。
 アニメ『憂国学徒兵』シリーズ。
 その劇中に登場する『セラフィム』と呼ばれる人型戦術兵器のプラモデルを使用しているのだ。
 世界大会に合わせて彼等それぞれの特性に合わせたカスタマイズを施してきたのだが、それらの全てが『無敵雷人』との戦いで破壊されてしまっている。
「塗料も赤と青しかありませんでした。どうやら相手チームの妨害かと」
『ツヴァイ』の苦々しい言葉に『アイン』は頭を振る。
 上等だ、と。
 むしろ、燃える、とさえ彼女は瞳を爛々と輝かせながら作業に没頭していく。
 逆境こそが己達を高めてくれる。自分たちが見てきた物語はいつだってそうだったのだ。順調ではなかった。向かい風ばかりだったが、それでも前に進むことを教えてくれた。
「どうにもならねーもんはしかたねーだろ! 諦めるより早く手を動かせばいい。もがいてもがいて、それでもダメならむしろスッキリするだろーが!」
 苛烈な言葉は誰に似たのか。
 乾いた唇を舌でしめらせながら『アイン』はスタジアムの巨大にモニターに刻々と減っていく試合開始までの残り時間を睨む。
 猶予はない。

「やるぜ、みんな! たとえ、観客席のみんな全てが敵でも!」
「ええ、やりましょう。そうですとも何のために戦うのかと問われたのならば」
「俺たちは誰かのために戦いたいと思っている!」
「は、はい! そうです。『戦いに際しては心に平和を』――!」
イリスフィーナ・シェフィールド
戦いとは戦うまえから始まっている……とはいえ場外戦術にも程ってものがありますでしょう。
助っ人としてお手伝いいたしましょう。

わたくしはいつもの自分を模した作成済みホビーを使いますので
主に五月雨模型店の皆様のお手伝いに回りましょう。
分身にも手伝ってもらえば二倍ですわ。

塗料とか補修材料が現地調達難しいなら他の世界から持っていけないでしょうか。
似通ったUCDアースに一旦向かってホビーや塗料など持っていけるなら。
規格とか試すのはタダですし、買うのはタダじゃないですが。
悪を倒すのにケチ臭いこというのはなしです。

駄目なら後はわたくしがひとっ飛びして離れた場所に買ってくる手もありますけども。



 場外戦術が過ぎる。
「戦うとは戦う前から始まっている……とは言え、程ってものがありますでしょう」
 イリスフィーナ・シェフィールド(女神様の巫女兼スーパーヒロイン・f39772)は『プラクト』世界大会の第二回戦の形式を聞いた時、それはそれで良いものだと思ったのだ。
 アスリートの行う試合は応戦する者たち……サポーターたちもまた競技者の一人に数えられるものである。
 それは良い。
 だが、そこに根回しをしておいて、観客全てを味方につける、というのはあまりにもやりすぎなことであったのだ。
「助っ人としてお手伝い致しましょう」
 イリスフィーナは『WBC』の開催スタジアムの観客席に紛れ込んで、己の作成しておいたホビーを手に取る。

 それは彼女の姿を模した美少女プラモ。
 見事なプロポーションを表現した彼女のホビーは、こと『プラクト』の『モーション』タイプでは無類の強さと美しさを発揮する。
「とは言え、『五月雨模型店』の皆様の手が足りない様子。ここは――シンメトリカル・ブランチですわ!」
 ユーベルコードに輝くイリスフィーナの瞳。
 冷静であり冷酷な自分が分身として現れる。
「戦力差は圧倒的。冷静に考えて、彼等のホビーの修繕が間に合わなければ……」
「そのために呼んだのです。さあ、時間はありませんよ」
 そう言ってイリスフィーナは冷静なもう一人のイリスフィーナを引っ張って『五月雨模型店』のメンバーたちの元へと急ぐのだ。

「イリスフィーナのねーちゃん! 来てくれたのか……って、えええええ!? 二人いるけど!?」
 二人に分身したイリスフィーナの姿に『アイン』と呼ばれる少女が目をむく。
 そっくりすぎる。
 双子って言われても信じるが、双子以上にそっくりそのままなのである。纏う雰囲気が違うだけではあるが。
「お気になさらず。補修材料をも調達してまいりましたわ」
 それはアスリートアースと似通った世界からイリスフィーナが自費で持ち込んだ材料だった。
「助かります。どうにも材料が足りておりませんでしたので」
『ツヴァイ』の言葉にイリスフィーナは頷く。
「規格など試すのはタダです。買うのはタダじゃないですが」
「悪を倒すのにケチ臭いこと言うのはなしです」
 冷静なもう一人のイリスフィーナに、イリスフィーナ本人がぺちっと突っ込む。
 確かにダークリーガーのやり方はフェアじゃない。あくどい、と言われたらその通りなのだろう。

 だからこそ、これを打倒さなければなならないとイリスフィーナは思うのだ。
「ともかく助かった!イリスフィーナお姉さん!」
「は、はははい、とっても! パーツの調整入ります!」
『ドライ』と『フィーア』が手分けして装甲パーツの処理に入っている。冷静なイリスフィーナがすぐさまフォローに入っている。
 コンプレさっさーを用意して、電源まで確保しているのだ。
「次は」
「さすが冷静なわたくし! 冷静ですわね。なら、わたくしはひとっ飛びしてたりない材料を調達してまいりますわ!」
 イリスフィーナはそう言って、『五月雨模型店』のサポートを十全に行うべく、文字通り二人分の働きを見せるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん

陰海月がチケット取れないーとか言ってましたが…なるほど?
私達の機体は持ち込んでありますしー、修繕手伝いましょう。

陰海月も器用ですからねー。
私もヤスリがけとかできますしねー。何やればいいでしょうかー?とたずねつつやりますねー。


陰海月「ぷきゅ!」
マイ工具(おじーちゃんからのプレゼント)持ち込んで、修繕の手伝い!
パーツ取りに使って、半端になったプラモも持ち込んでるよ!



 巨大なクラゲ『陰海月』がシクシクと泣いていた。
 何故泣いているのかと問いかけると、どうやら楽しみにしていたアスリートアースの世界大会『WBC』の二回戦、その第一試合のチケットが発売となった瞬間にソールドアウトになってしまったというのだ。
 つまり、瞬殺。
 回線の調子が悪かったとか、そんなタイムラグなど一切言い訳にできないくらいに一瞬でチケットが完売していたのだ。
 それも第一試合だけ。
 そこに不可解なひっかかりを感じながらも馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)たちは『陰海月』を次の第ニ試合はまだチケットが取れるのだから、と慰めたのだ。

 そんな事実があったからこそ、今回の事件のことのあらましを聞いた時、腑に落ちる思いであった。
「ははぁ……なるほど?」
 こういうことか。
『疾き者』は、第二回戦が変則的な試合仕様になっていることを知る。
 観客席の応援……つまり、サポータを巻き込んだ乱入戦というわけだ。
 これによって最後の選手とも言われるサポーターをフィールドに参加させることによって、アスリートとしての資質を問おうというのが、この形式の狙いであったのだろう。

 確かに通常の試合であったのならば、たしかにうなずけるところであった。
 だが。
「チケットを買い占め、配下ダーク化アスリートたちを観客席に仕込むとは」
 言ってしまえば、出来レースみたいなものだ。
『五月雨模型店』は戦い前から敗北に向かう道へと走らされているのである。しかも、機体の損壊を補修する材料や暇すら多く与えられていない。
「ならば、私達がすべきことは唯一つ」
『疾き者』は即座に『五月雨模型店』のメンバーたちの元へ駆け込んで、『陰海月』と共にユーベルコードの輝きを放つ。
「うお、まぶしっ」
『アイン』がゲーミングカラーに輝く『陰海月』に目を覆う。

 翳鏡虫霓(カゲニテヤサシクヒカルゲーミングクラゲ)。
 それは優しく光る癒やし空間。
 治療即ち、修繕に関わる全ての物事が強化される空間へと早変わりしたのだ。
「ぷきゅ~きゅきゅ~!」
「ヤスリがけを手伝ってくださるのですか?」
『ツヴァイ』の言葉に『陰海月』が頷く。
『疾き者』も同じように頷く。手には棒ヤスリとスポンジヤスリ、さらには板に貼り付けた紙やすりまで、番手までしっかり揃えているのだ。
 こういう細かいプラスチックホビーの出来栄えが戦闘力に影響を及ぼすのだ。
 手を抜くことはならない。

「こちらは私がやっておきます。他に何かやってほしいことはありましょうかー?」
「では! こちらのパーツの整形をお願いできますか!」
『ドライ』の言葉に『疾き者』は頷く。
 どうやら四人のメンバーたちは、共通規格のフレームを使っているため、時間短縮を兼ねて同一の機体を四つ作り上げるつもりなのだろう。
 なるほど、たしかにそれであれば、この限られた時間で補修と改修を行うことができる。
 後は己たちのスタイルにあった武装を、というわけだ。
「わかりました。『陰海月』もお手伝いしますからね」
「ぷきゅ!」
『陰海月』がマイ工具を入れたボックスと共に改造に使わなかったパーツの入ったジャンクボックスを『五月雨模型店』の面々の前に置く。

 使えるパーツがあったのならば、ここから使ってもらいたいのだろう。
「ありがとうな! 本当助かる! これなら……間に合う!」
『アイン』たちが『陰海月』から手渡されたジャンクボックスを覗き込み、己たちの必要とするパーツを習得していく。
 その様子を見やり『疾き者』は満足そうに頷くが、しかし頭を振る。
 そう、戦いはここからだ。
 どれだけ完成度を高められるか。それが、ダークリーガー率いるチーム『オーバード』との決戦に影響を及ぼすのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

チェスカー・アーマライト
(前回買った記念Tシャツ着用)
クソッ、どうりでチケットが取れなかった訳だ
だが、それなら同じ様に締め出し食らった『五月雨模型店のファン』がまだ近くにいるんじゃねーか?
一回戦であんなデケェ勝ち星上げたチームだ
次の試合も見てえって連中は大勢いるハズだぜ
片っ端から声かけて、そいつらと一緒に会場へ乗り込む
|人海戦術《マンパワー》だ
材料調達、パーツ成形、塗装
役割分担して作業を手伝う
ここが正念場だ、やるぞ!

いつもの飴を子供らにやる
連中を動かしたのはお前らだぜ
みんな揃いも揃って、ブチ上がる様な熱い試合が見たくて堪らねーのさ

ミニタイガーなら気にすんな
前は壊さなかったからな
損耗した配線替えるだけで済んださ



 第二回WBC開催記念Tシャツを着込んだ女性はスタジアムの外で苛立つように舌打ちした。
 そう、チェスカー・アーマライト(〝錆鴉〟あるいは〝ブッ放し屋〟・f32456)である。見た目と所作はおっかないが優しい女性である。
『五月雨模型店』のメンバーである少年少女たちはそれを知っているが、何も知らないスタジアムに入れなかった人々はちょっとビクついていた。
「クソッ、どうりでチケットが取れなかった訳だ」
 ビキビキとこめかみに血管が浮かび上がっていた。
 正直言って、怖い。めちゃくちゃ怖い。ダフ屋も迂闊に近づけない。
 第ニ試合ならあるよーって小声でささやくばかりであった。チェスカーが転売は絶対に許さないウーマンであったのなら、きっと成敗されていたことであろう。

 そう、彼女は今まさに第一試合、『五月雨模型店』と『オーバード』の試合が見たくて此処まで来たのだ。
 だが、チケットは即完売。
 オンライン予約も窓口予約分も全部である。
 正直言って異常な事態であった。そこにダークリーガーが絡んでいるというのならば、納得できる出来事であった。
「小癪なことをしてくれるじゃあねぇかよ……」
 ビキッ、ビキッ、とチェスカーは怒髪天を衝く勢いで腸が煮えくり返っていた。
 確かに彼女の怒りは尤もなことだった。
 けれど同時に彼女は思い至る。自分の感じる怒りと同じように、『五月雨模型店』のサポーターたちもまた同様なのではないかと。

「なら話は、はえーな」
 にやり、とチェスカーは獰猛に笑う。
 観客席全てが敵となった状況の『五月雨模型店』。けれど、場外には未だ己と同じように彼女たちを応援する者たちがいるのならば。
 チェスカーはスタジアムの警備員すら巻き込んで、その瞳をユーベルコードに輝かせる。
 サポーターが場外の選手だというのならば!
「いっちょ見せてやろうじゃねーか、『五月雨模型店』のサポーター魂ってやつをよ!」
 どんな大波も、最初は些細な小波から始まる。
 最初の波がどれだけ小さな、それこそ一人の声であったとしても。それに呼応するようにして、人々はスタジアムの中へとなだれ込む。

「な、何、何!? なんだ!?」
『アイン』はその様子に振り返る。
 作業中であったが、スタジアムの観客席の入り口に人々が殺到しているのだ。その先頭に立つのがチェスカーだった。
「チェスカーねーちゃん!? な、何してんだよ!?」
「あー? お前らのサポーターだろうがよ、見ての通り!」
「え、ええええ!?」
 どこにこれだけの数がいたのかと彼女たちは思った。
 だが、チェスカーは振り返って思う。第一回戦。前回大会覇者の『エイル』とあれだけの試合をして、大金星を上げたチームなのだ。
 虜にならなかった者などいないだろう。
 そして、次なる試合を見たいと思う心も止めようはずがない。警備をしていた者たちだってそうだ。

 誰もが願った。
 これがスポーツであるというのならば、フェアでなければならないと。
「ここが正念場だ、やるぞ!」
 歓声が響き渡る。
 戸惑う『五月雨模型店』の面々たちにチェスカーはいつもの飴を差し出す。
「連中を動かしたのはお前らだぜ。みんな揃いも揃って、ブチ上がる様な試合がみたくてたまらねーのさ」
「みんな……」
「行こーぜ、『アイン』」
「でも、『ミニタイガー』は……」
「心配御無用ってな」
 チェスカーは前回のダークリーガーとの戦いでの消耗が少なかったことから、ほぼ万全な『ミニタイガー』を示して見せる。
 そして、獰猛に笑う。
『アイン』も同じように笑っていた。ぶちあげようぜ、と――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神代・凶津
ふっ、お困りのようだな。アインの嬢ちゃん。
「…皆さん、お久しぶりです。」
『五月雨模型店』のピンチに駆け付けたぜッ!
俺の『デスメタルヘラクレス』(ブラックメタリックのやたらトゲトゲしたインセクト・ボーガー)は完璧に調整済みよッ!
「…『五月雨模型店』の皆さんのホビーの修繕と改修を手伝います。」

にしても派手にぶっ壊れてんな。…あのユーベルコードならもしかしたら。
アインの嬢ちゃん達、壊れた外装やパーツを貸してみな。

それを相棒の膝に乗せて…頼んだぜ相棒ッ!
「…このパーツに再び、立ち上がる力を。」
【巫女の膝枕】パワーでパーツに自動回復と戦闘力強化を付与して再び使えるようにしてやるぜッ!


【アドリブ歓迎】



 スタジアムの外から猟兵と共になだれ込んでくる『五月雨模型店』のサポーターたち。
 彼等の手を駆りながら、『五月雨模型店』の少年少女たちは着実に自分たちのホビーを改修、修繕し始めていた。
 このペースなら間に合う、かもしれない。
 けれど、それでも細かい作業や時間の掛かる作業というものは存在するのである。
 その最たるものが接着時間である。
 塗装の乾燥時間だってかかる。兎にも角にも時間がいくら在っても足りる、ということはないのだ。
 最高を目指すことは当然である。
 だが、時には妥協というものも必要なのである。
 これがいい、と言えたのならば最高だろう。だが、これでいい、と決断することも必要だったのだ。

「……どう考えても時間が足りませんね」
「諦めんなよ! やれるだけのことはやらねーとな!」
『ツヴァイ』の言葉に『アイン』が吠える。
 彼女の言葉に、カカカと歯の打ち合わされる音と共に神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)の笑い声が響く。
『ふっ、お困りのようだなッ。『アイン』の嬢ちゃんッ!』
「あ、あんたは……!」
 彼の赤い鬼面の姿、そして共にある相棒たる巫女、桜の姿に『アイン』たちの顔が明るくなる。
「……皆さん、お久しぶりです」
 一礼する桜。
 彼等は『五月雨模型店』の面々がピンチと聞いて駆けつけてきたのだ。

『俺の『デスメタルヘラクレス』は完璧に調整済みよッ!』
 だから、と凶津は己のブラックメタリックに刺々しいスパイクをカスタムした『インセクトボーガー』を示す。
 自分たちのホビーは調整する必要がない。
 ならば、『五月雨模型店』の面々のホビーの改修と修繕を手伝おうとやってきたのだ。
「……『五月雨模型店』の皆さんをお手伝いしますね」
 桜が視線を向けたのは、第一回戦で激しい消耗を受けた彼等のホビーだった。
 フレームは無事であったが、しかし、それで何もしないで良いというわけではなかった。
 あちこちに歪みなどが生まれているはずだ。

 だが、比較的無事である、ということで後回しにされていたのを桜は見逃さなかった。
『おッ、相棒も目が利くようになってきたじゃねーかッ!』
「……毎晩あれだけ付き合わされれば、嫌でも」
『『アイン』の嬢ちゃん達、フレームを貸してみな』
「え、あ、どうするんだ……?」
『相棒の膝に乗せて……と、頼んだぜ、相棒ッ!』
 桜が頷く。
 四つの機体、そのフレームが桜の膝射の上に乗せられる。それは小さな子どもたちを膝枕であやすような所作であった。

 しかし、それは彼女のユーベルコード。
 巫女の膝枕(ミコノヒザマクラ)によって10分間という次巻を掛けることに寄って浄化作用の在る霊力がフレームに流し込まれていくのだ。
 そして、彼女の言葉はフレームにさえ染み込んでいくのだ。
「……あなたに再び、立ち上がる力を」
 それは輝く光と共にフレームのひずみや、見えぬクラックを修繕していくのだ。さらに自己回復と戦闘能力強化が付与されていくのだ。
『これでフレームの修繕は済んだなッ!』
「……ええ、この子たちも言っています」
 まだ戦えると。
 誰かのために、と。その声が桜は聞こえたような気がして、微笑みながら四つの機体フレームを『アイン』たちに手渡すのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カタリナ・ヴィッカース
●WIZ

はぁい、お久しぶりです
あれから巣に籠もって、持ち帰った財宝を作りに作って充実した毎日を送られて頂きましたわ
その恩返しとして…保存用に取っていたキットや余ったパテなどのお裾分けに参りました

…何か企んでそうな笑顔ですって?
いやですわ、別に借りを作って黒教に染まりそうな無垢な少年少女の心を虜にする玩具予約の永続優先権なんて求めてなんていませんよ?(言葉とは裏腹に禍々しく浮かび上がる後光なグリード・サイン
そんなに警戒されては仕方ありません
貴方達を喪えば私も困るのは事実ですから、今回は貸し借りは無しで
それと今後とも信用してくれる為に特別サービスもしておきましょうか

『ブラック・グリード』でダークリーガーサポーターを全員とは言わずに少人数だけ、人混みに紛れて棘が刺さった程度のダメージを与えてドレインエネルギーを頂きます
それを元に一丸となったダークリーガーサポーターに不和を来す洗脳を施しますが…この程度のドレインエネルギーだけですと暗示程度でしょうか?
既に試合は始まっているのなら問題ないですよね



「本当に時間が足りないな!」
「接着の時間、塗装の時間……これだけ皆さんが手伝ってくださっているというのに……!」
『五月雨模型店』のメンバー、『ドライ』と『ツヴァイ』が呻く。
 巨大モニターに刻まれた残り時間。
 それは刻一刻と終わりへと近づけさせていく。止まらない。止めようがない。
 残酷であるが、これもまたスポーツの宿命である。
 ルールがあって、その範囲でもって戦う。そこにフェア精神というものがあるからこそ、スポーツは生命の取り合いではなく、勝敗でもって決着を見せるのだ。

 とは言え、ダークリーガーのやり方は悪辣だった。
 変則的な試合形式を逆手に取るようにして観客席の全てを己の配下であるダーク化アスリートたちで埋め尽くしたのだ。
 だが、猟兵によって扇動された場外の『五月雨模型店』のサポーターたちがなだれ込んできたのだ。
 その中にカタリナ・ヴィッカース(新人PL狩り黒教ダンジョンマスター・f42043)もいたのだ。
「はぁい、お久しぶりです」
「あんたは!」
『アイン』は目を見開く。
 以前『五月雨模型店』に訪れた5人の猟兵の一人。
 なんだか残念美人というか、美少女プラモを山程買って帰った特需じみたお客様! そう、カタリナである。

 あ、性癖破壊ダンジョンマスターってことは、この際、少し脇に置いておくことにしよう。話ややこしくなるからね。
「あれから巣ごもりで財宝を作りに作って充実した毎日を送らせて頂いた恩返し、というわけです」
 カタリナが持ち込んだのは、しこたま買い込んだ上に改造しまくって、それはもういろんなパーツが余ったボックスと、さらにはマテリアルであるパテや瞬着や塗料であった。
 このドラゴンプロトコル、大ハマリしておる。
「こ、こんなに……!?」
「はい、お裾分けです」
 にこり、と微笑む顔が怪しい。怪しすぎる。
 具体的に言うなら何か企んでそう。

「……いやですわ、そんな真剣な顔で見つめて」
 きゃっ! ってカタリナがしなを作る姿を『ドライ』は、いや、それはない、頭を振る。
「別に借りを作って黒教に染まりそうな無垢な少年少女の心を虜にする玩具の予約永続優先権なんて求めていませんよ?」
 全部言うじゃん。
「いや、俺たちでは、そういうの決める権限ないので……店長に直談判してくれると助かるかな!」
「そうなのですか? いえ、そんなそんな求めていないので」
 にこり。
 でも、後光のように爛々と輝くグリード・サインが禍々しい。
 いやでも、めちゃくちゃ警戒されているのは何ていうか、カタリナの本意ではない。
 彼女は彼女なりにちゃんと考えて行動しているのだ。
 そう、『五月雨模型店』のメンバーである彼等がダーク化アスリートになるのは、カタリナも困る。

「損得勘定無しの誠意であるのは疑って欲しくはありませんね?」
 だから、と彼女は黒の光線を解き放つ。
 それはただの光として放たれるが、しかし、観客席のいくつかに当たる。そう、それこそがブラック・グリード。
 命中した敵チーム『オーバード』のサポーターたちに命中した光は棘が刺さった程度の痛みを彼等に与えたが、特に不調を訴えるほどのものではなかった。
 すぐに気にもとめなくなる程度の痛み。
 そう、それはドレインエネルギーを得るための方策。
「ふふ、これでサポーターが一丸となって行動した時に、僅かな不調であれど彼等の行動には不和が生まれることでしょう」
 にこり、とカタリナは笑む。

 そう、彼女の目的は敵チームサポーターの妨害。
 確かに彼等は熱狂している。ダーク化もしている。だが、その強さは一丸となっているということ。
 どこかが歯抜けのように足並みが揃わなければどうなるかなど言うまでもない。
「すでに試合は始まっているのですよね? なら」
 これはすでに前哨戦なのだ。
 敵チームが観客席を全て買い占めたのもまた前哨戦なら、こうして彼等に不和を齎すために細工を施すのもまた戦いの一端。
「よもや卑怯とは言いませんよね?」
 なんて、とっても悪いお姉さんの顔をしながらカタリナな黒の光線をちょいちょい放ち、エネルギーを拝借しながら、サポーターの一部に不和を齎す洗脳を施していくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

『五月雨模型店』のみなさま、特に店長さん、逃げてー……。
って、あれ?いつもの叫びがこないですね?

ステラさんどうしたんで……って。え?え!?

リクエスト!?
ステラさんがわたしにリクエストですか!?

ついにわたしの魂が届いたんですね!
もちろんよろこんで全力全開全身全霊で演奏させていただきますよ!

あれ?
ステラさんと『五月雨模型店』のみなさまには試合後なんですか?
なるほど。今は試合準備のためにモチベをあげるBGMってことで……。

ちがう?
周りのみなさまをわたしの演奏に惹きこむんですか?
わかりました、集中するためなんですね!

それでは観客のみなさまにわたしの演奏している姿をお見せしましょう!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
パッセンジャー様(仮)は負けるわ
エイル様(仮)は負けるわ
どうなってるんですかこの世界
いえ、曰く『夢のような世界』ならそんな|可能性《未来》もあり得ますか
ええ、
エイル様の香りがしますが、叫びは緊急時に省略です!

もちろん『五月雨模型店』の皆様のフォローに参ります
店主様の不在というのなら全力で助力しましょう
ルクス様、ルクス様ー
ちょっと演奏で周りを沈め……静かにさせてください
ええ、もう全力でコンサートしていいですよ
五月雨模型店の皆様と私は試合が終わったらゆっくり聞きますので
後で!後でです!ステイ!

さて、何なりとお申し付けください
この超有能メイドに不可能という文字はありませんので



 いつもの叫びが来る、とルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は身構えていた。
 いつものことだから、というのもあるが、この世界アスリートアースにおいては共に転移したステラ・タタリクス(紫苑・f33899)が大変にご就寝している『五月雨模型店』の店長がいるからである。
 逃げて。
 本当に逃げて。
『五月雨模型店』のみなさま、特に店長さん、逃げてー! と思っていたのである。

 だが、その彼女の予想に反してステラは静かだった。
 なにか考えているような様子に、ルクスはとても戸惑った。いつも叫んでいる人が叫んでいない。
 これだけでどれだけの異常事態であるかが伺えるだろう。嫌だな、その判断材料。だが、ルクスはステラの様子に違和感しか覚えていない。
「どうなってるんですか、この世界」
 ステラがぽつりと呟く。
 確かに、と思わないでもない。だが、此処が『ゆめのようなせかい』なら、たしかにこの様な事態も怒りうるのではないかとステラは思う。

『無敵艦隊オーデュボン』。
 その『エース』たる『超人皇帝』が試合に参加していなかったとは言え、敗北を喫する。それ自体はありえなくないことであったが、ステラにとっては、あまりにも不可解であったのだ。
『超人皇帝』が彼女の思うところの存在であったというのならば、何故世界大会を欠席しているのか。そこに思い当たる事柄があったかもしれない。
「ええ、『エイル』様の香りがしますが、叫びは緊急時にて省略させて頂いております!」
「えぇ……ステラさん、そういう気遣いできたんですね」
「できるメイドですから、ええ」
 ドヤ。
 ドヤるところじゃないんだけどなぁってルクスは思ったが、黙っておくことにした。余計なこと言ったらまた面倒なことになるからだ。

「行きますよ、ルクス様。『五月雨模型店』の皆様のフォローに!」
「あ、はい」
 そこは普通なんだ、とルクスはステラにしては珍しく行動原理が『主人様』ではないことに驚きを隠せずスタジアムに入っていく。
 すでに他の猟兵に寄って場外の『五月雨模型店』のサポーターたちが殺到している。それに紛れる形で彼女たちもまた場内に入ってきていたのだ。
「ふむ、店長様不在というのならば、全力で助力せねばなりませんね、ルクス様……」
 だが、ステラは観客席からのダーク化アスリートたちによる『五月雨模型店』へのブーイングに眉根をしかめる。

 確かにサポーターは場外の選手である。
 だが、これは流石に『五月雨模型店』のメンバーたちの集中力を喪わせるものだ。
 看過できない。
「どうぞ演奏で周りを沈め…‥いえ、静かにさせてください。ええ、もう全力でコンサートいていいですよ」
「はいはい……!? え!? え!?」
 ルクスは、お手伝いですね、はいはいくらいのテンションで頷いたが、あまりの言葉にびっくり仰天である。
「リクエスト!? ステラさんがわたしにリクエストですか!?」
 ついにこの日が来たのだとルクスは感激した。
 長いこと演奏を拒否られていたのに。ここに来てツンデレ。デレた! とルクスは大張り切りである。

「いいですとも! もちろんよろこんで! 全力全開全身全霊で演奏させていただきますよ!」
「はいはい。『五月雨模型店』の皆様と私は試合後にゆっくり聞きますので」
「え、今じゃなのですか?」
「後で! 後です!」
 びしゃっとステラが言い放つ。
 これは絶対あとで逃げるフラグである。
「そうなんですか? なるほど。なら、今は試合準備のために盛り上がるBGMをと思ったのですが……」
「あとで!」
「わかりましたよぅ……周りの皆さんに聞きいっておもらうんですよね。なら、わたし、がんばりますよ!」
 ルクスはそう言って観客席へと躍り出る。
 死人が出るやつだな、となんとなくステラは思ったが、観客席から響く悲鳴と演奏のアンサンブルに背を向ける。

「さて、なんなりとお申し付けください、皆様。この超有能メイドに不可能という文字はありませんので」
「じゃあ、こっちのパーツ整形しといて! 三面図こっち!」
『アイン』の言葉にステラは、喜んで、とカーテシーを決め、その背後から『ステラさーん! わたしの有志をみてくださいねー!』とルクスの声が響くが、微笑んでスルーするのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
【サージェさんと】

観客席からの援軍あり?
そういうことなら『フィーア』さん率いる『五月雨』に助力しないと!

え?五月雨のリーダーは『アイン』さん?
いいのいいの。『フィーア』さん可愛いから!

だから噛んですぐ噛んでわたしを噛ん……痛いの。

『希』ちゃん、わたしの『憂国学徒兵』は任せるね。
わたしは『フィーア』さんと『五月雨』のみんなのホビー看るから!

2回戦まで時間はないけど、【モーター・プリパラタ】全開で行けば、
修理とか改修とかいけるはず!

みんなのホビーの修理と改修を手伝ったら、次は……。
さ、『フィーア』さん、今回数も大事だから、『幻影』機能を強化しようねー♪

えへへへへ……噛み噛みイリュージョンー♪


サージェ・ライト
【理緒さんと】
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、胸が大きくて忍べてないとかそんなことはないのですが
今日は忍ばない方向で行きたいと思います!
ええ、目立って敵を引き付ける囮役ですね
どうやって存在感を出していくかは課題ですがどうにかなるでしょう

それよりも菜医愛流帝ファンクラブ副会長!
リクルートスーツ姿のナイアルテさんについて語ろう……あるぇ!?
今日の理緒さんも荒ぶっておられる……
いやあの人最近この世界でまともだったことないのでは??
仕方ありません
チョコ肌たゆんパイと白いシャツとスーツのマリアージュについては後日にして
【かげぶんしんの術】でしゅばばっと増えまして
人海クノイチでサポートしますね!



 決まり文句、というのは大切なものである。
 それは始まりを知らせるものであるし、またその人物がやってきたという合図でもある。味方には希望を、敵には絶望を。
 そういう意味では決まり文句を持つ者は強烈な個でもって他者を圧倒するのだ。
「お呼びとあらば参じましょう。私はクノイチ、胸が大きくてしのべてないとかそんなことないのですが、今日は忍ばない方向で行きたいと思います!」
 びっしゃーん!! と……あ、いやサウンドエフェクト間違えたな。
 たゆゆん!! と参上、サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)である。突如として場内に現れたクノイチ。
 そのたゆっとした揺れる二つに誰もが釘付けとなる。わけではなかった。
「うん、わかった」
 思った以上に塩な『アイン』。それもそのはずである。
 だって、今は『WBC』の第二回戦。その変則的な試合仕様によって彼女たちは今、破損したホビーの修繕に勤しんでいるのである。

 サージェはそんな『アイン』たちの様子に、自分が目立って囮になろうと思っていたのだが、自らの存在感をどう出していくのか悩んでいた。
 自分がクノイチであるがゆえに忍んでいるということは、どうあっても注目をひきつけられない運命。だが、壊せ、その運命! と言わんばかりにサージェはなんとかして目立とうとしたのだが。
 まあ、お約束だよね。
 もうすでに目立ってるし。
 たゆたゆしておいて目立たぬ訳がないし、存在感がないとかそんなの嘘に決まってんじゃん! というあれである。
『アイン』たち『五月雨模型店』のメンバーたちは、ある種慣れっこであった。
 もう何回もこういうやり取りをしてきたかのような安定した安心感。

 そして!

「『フィーア』さん率いる『五月雨模型店』に協力しちゃうよー!」
 なだれ込んできた場外の『五月雨模型店』サポーターたちと共に菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)はしっかり煽っている。
「いや、『アイン』ってこじゃないのか? チームリーダーは?」
「いいのいいの。『フィーア』さん可愛いから!」
「ひ、ひょええ……! な、なななんで、いまそういうこというんですかぁ!?」
『フィーア』の恐縮しきりな声が響く。
 だが、理緒はそんな彼女のかみまくった言葉にこそ燃える……いや、萌えるのである!
「今の見た! 噛んだ。可愛いね。噛んで噛んで噛んでわたしを噛ん……」
 で、と言い切ろうとした瞬間、サージェの突っ込みが飛ぶ。
「流石にこれ以上はマズイと思いまして。理緒さんの荒ぶりようが世界に中継されてますよ!?」
「……痛いの」
「それよりもですね、『菜医愛流帝』について語りましょう! リクルートスーツ姿は珍しくありませんか! 来年の猟兵コレクションへの伏線ですか! それとも今年参加しようとして参加できなかったネタの使いまわしですか!」
 どっちだっていいでしょ!
 サージェは荒ぶっている。
 だが、それ以上に理緒のほうが荒ぶっていたのだ。
「えへへへ……噛み噛みイリュージョンー♪」

 理緒は早速『フィーア』につきっきりで『セラフィム』への後付機能として『幻影』装置を取り付けているのだ。
「えええ?! 急に!?」
「だって、『フィーア』さんと言えば『幻影』の二つ名でしょ。なら、この機能装置がついてないのは、名前に偽り在りでしょ! だからね!」
 理緒はしれっと『フィーア』の機体に装置を組み込んでいく。
 確かに時間はない。
 けれど、理緒の瞳がユーベルコードに輝いている。
 没頭し続けること。それによってあらゆる生命活動は後回しにしてもよいものとする、みたいな反則じみたユーベルコードによって理緒は時間が押している状況にあって『フィーア』の『セラフィム』に幻影機能を取り付けてみせたのだ。
 正直言って、すんごい。

「いいですか、チョコ肌たゆんパイと白いシャツとスーツのマリアージュについては後日また語ろうと思いますが!」
 そんな超有能な理緒の端でサージェがしていたのは人海戦術による布教であった。
 どこか遠く、具体的には後方でグリモア猟兵の悲鳴が聞こえた気がしたが、後方にいるので届かないものとする。
 そう、かげぶんしんの術(イッパイフエルクノイチ)に寄る人海戦術によってサージェはあっという間に人数的な不利、そして修繕改修に掛ける手間を削減しているのである。
 伊達にクノイチしていない。
 布教にかけて人数とは圧倒的有利なアドバンテージに他ならない。

 こうしてスタジアムは徐々に『五月雨模型店』、『オーバード』、そして『菜医愛流帝』という三つ巴になっていく……わけではないが、徐々に『オーバード』の勢力をサージェは取り込みつつ削り取っていくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ニィナ・アンエノン
うーん、皆諦めてないね!
寧ろ燃えてる、青春だね☆
そんな皆ににぃなちゃんから愛の差し入れ♡
時間が惜しいだろうけど、軽食くらいは摂って少しは【エネルギー充填】しなきゃ。
あ、そのカスタードまんはにぃなちゃんのだぞ☆
休んでる暇なんて無いって顔だけど、ちゃんとその辺も考えてるよ。
休んでる間ににぃなちゃんの執事AI、ピット君に分析してもらっちゃおうって事☆
今まで参加したプラクトや試合の事もにぃなちゃんと一緒に学んでるから、皆のプラモの情報から色々シミュレーションして直しきれてない所とかバランスの良し悪しとか教えてくれるよ。
問題点が見つかったら今度は人間の番!
皆の【早業】で、ベストな仕上がりに持って行こう!



『WBC』第二回戦。
 確かに『五月雨模型店』の状況はお世辞にもよろしいとは言い難い。
 変則的な試合形式によって、第二回戦は観客席のサポーターたちも戦力に加えられる。それは一見すればフェアな試合のように思えたが、しかし、ダークリーガーによってダーク化されたアスリートたちで埋め尽くされているのだ。
 圧倒的な戦力差。
 対する『五月雨模型店』はたったの四人。
 対する観客席のサポーターの数は実に万を超える。

 どれだけ彼等が実力を持つアスリートであったとしても、数の暴力の前には膝を折るしかなかっただろう。
 けれど。
「まだ時間はあるよな!」
「ええ、皆さんが駆けつけてくれました」
「ならば! 俺たちが諦めるのはまだまだ早いというわけだ!!」
「が、がんばりましょう! 皆さんが私達の為にと言ってくださるのなら!」
 彼等の言葉に迸る様な熱気を感じて、ニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)はにっこり頷く。
「うーん、皆諦めてないね! 寧ろ燃えてる、青春だね☆」
 ニィナはそんな彼等のことが好きだった。
 諦めないこと。
 不屈であること。
 一生懸命であること。

 それをニィナは知っている。
『ドライ』が以前、プラクとの練習に付き合ってくれたときもそうだった。
 彼はいつだって真剣だった。
 だから、ニィナはそんな彼等のことが好きなのだ。
「はい、そんな皆ににぃなちゃんからの愛の差し入れ♥」
 そう言ってニィナが差し出すのは数々の軽食。
 どれも美味しそうだ、と思えるものであったが、しかし彼等はそんな時間が惜しいとばかりに作業に熱中している

「ほら、こっち見て♥」
「もがっ!?」
 そんな『ドライ』にニィナは柔らかな肉まんを押し付ける。もがもがしている『ドライ』の顔が赤いのは、ニィナの顔が近いからだろう。
「ごくっ、んっ、ニィナお姉さん、ふざけている場合では!」
「だめだめ。時間がおしいかもだけど、軽食くらいは摂って少しはエネルギー充填しなきゃ☆」
「じゃあ、これもらい!」
「それはにぃなちゃんのカスタードまんだぞ☆」
「早いもの勝ちー!」
 そんな和気藹々とした雰囲気は、時として試合前とは思えな位ほどにリラックスしたものであった。
 先程までの余裕の無さは消えている。

 そう、たしかに緊張状態を保つことは肝要である。しかし、同時にリラックスして力を抜くこともまた大切なことなのだ。
 ニィナはそれを彼等に与えたかったのだ。
 その僅かな時間にサポートAI端末 ピット・パーン(サポートエーアイタンマツ・ピット・パーン)が彼等の組み上げている機体『セラフィム』をサーチする。
 今まで一緒に戦ってきた試合。
 それらの経験を元にシュミレートし、彼等の操作技術、そして製作技術の穴や苦手な所を洗い出すのだ。
「『ドライ』くんは、どうしても攻めが大雑把になりがちだぞ☆ そうやって切迫した状況になるとすぐに焦っちゃう。だから、おっきな声でごまかそうってしちゃう☆」
「そ、それは……」
 そうかもしれない、と『ドライ』が小さくなる。
「でも、思いっきりがよくて勢いがすごいのも、にぃなちゃんしってるんだぞ☆ だから、ね? にぃなちゃんと一緒にがんばろっ」
 ニィナは微笑む。
 良いところも悪いところも、ひっくるめて一人のアスリートなのだ。
 弱点を知ったのならば、それを克服することもカバーすることもできる。それを示すようにニィナは『ドライ』の機体をクリンナップし、その性能をベストな仕上がりへと、じっくりと調整するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーシア・ロクス
2P「これ……決勝前に競技用じゃなくて兵器転用プラモが出てくるとか、
謎の組織に会場が乗っ取られて闇の大会が始まったりしない?大丈夫?」
3P「わたしが言うのもなんですけど、ゲームのやりすぎでは?」
そ、そんな事言ってる場合じゃないですよ!

わたし達の機体は持ち込みですし、お手伝いですね!という訳で!
2P「久々な気がする!」
3P「【マルチプレイ:ユーシアシスターズ】!」

お使いクエストは勇者のたしなみ!(※諸説あり)三人がかりで色々お手伝いします!
2P「持ち込み可ならキマフューからどーんと資材を導入しちゃうっすよー」
3P「確かにアイテム扱いなら『どうぐぶくろ』にはいくらでも入りますからね……」



「これ……流れ的に結晶前に競技用じゃなくて兵器転用プラモが出てくるとか、謎の組織に会場が乗っ取られて闇の大会が始まったりしない? 大丈夫?」
 ユーシア・ロクス(まっさらゆうしゃ・f26126)の2Pが思わず首を傾げる。
 確かにありそうな展開である。
 というか、あるんじゃない、そういうの? と思ってしまうのは彼女たちが猟兵であるからだ。
 ダークリーガーが世界大会という舞台において何も仕掛けてこないはずがないのだ。
 今回の第二回戦だってそうだ。
 変則的な試合形式。
 観客席のサポーターさえも戦力としてカウントされるというマッチング。
 そして、全てのチケットが買い抑えられたという事実。

 どれもが2Pの言葉を裏付けるするダークリーガーの暗躍を示唆するものであったからだ。
「わたしが言うのもなんですけど、ゲームのやりすぎでは?」
 3Pの言葉にユーシアは、いや本当にそうだよって思った。
 だが、今はそんなことをやっている場合ではないのだ。
 状況は逼迫している。『五月雨模型店』は一回戦での消耗が激しかったのだ。
 それもそのはずだ。第一回戦が前回大会の優勝者であったのだから。辛くも勝利を収めた彼等のホビーはどれもが損壊激しいものであった。
 ここから修繕して二回戦に間に合わせるのは至難の業だったのだ。
「そんなこと言ってる場合じゃないですよね! お手伝いしないと!」
 ユーシアの機体は万全な状態だ。
 持ち込んだ『アイゼンケーファー』は今から調整し直す必要がない。ならば、手の足りない『五月雨模型店』のメンバーたちの機体を調整すべきなのだ。

「久々な気がするね!」
「いきますよ、マルチプレイ:ユーシアシスターズ(ロクスシスターズジャネトハイッテハナラナイ)!」
 瞬間、ユーシアとはカラーの違うユーシアたちが現れる。
 それは彼女に内在する2Pと3Pを出現されるユーベルコードであった。
「お使いクエストは勇者のたしなみ!」
「諸説あります!」
「三人がかりでお手伝いしちゃいますよ!」
 その言葉に『五月雨模型店』の面々の顔が明るくなる……が、次の瞬間に一部カラーの違う全く同じ顔のユーシアに度肝を抜かれるのだ。

「ありが……ってええええ!? 増えてる!?」」
「ふふふ、これが勇者のたしなみです!」
「そ、そういうものなのか!?」
「持ち込んだ資材も投入しましょう! こちらのパーツは使えそうですか?」
 2Pが持ち込んだパーツの資材。
 どれもが材料不足であった『五月雨模型店』にはありがたい申し出だった。とは言え、これはキマイラフューチャー、他世界の資材である。
 どこまで流用できるかわからないが、ぶっつけ本番である。
「こちらのパーツの加工は任せてください。武装は皆さんそれぞれ違うんですよね?」
 3Pは即座に4人の機体が、同一企画フレームを使っているためにパーツを同一にすることで作業を簡略化しようとしていることを見て取るのだ。

 そして、違いは武装。
 それぞれの特性に合わせて武装をカスタムする意図を見抜いて3Pは作業の工程を提案していくのだ。
「『アイン』さんは突撃仕様、『ツヴァイ』さんが汎用性、『ドライ』さんが砲撃で、『フィーア』さんが撹乱仕様ですね」
 理解し、最適なカスタム武装の制作工程を示し、彼等はそれを受けて着々と戦うための準備を整えていくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
私も力になりましょう
予備の塗料やパーツを持ってきたわ
『弧月』は調整済みだから遠慮なく使って
水晶花に覆われた『弧月』のパーツなら
装甲の装飾にカスタマイズできるんじゃないかしら

観客参加型の試合だなんて驚いたけれど
正直に言うと、胸が躍るような気持ちがしているの
それに此処にはきっと『フュンフ・ラーズグリーズ』も来ている筈
彼なら一緒に戦ってくれると信じているわ



 風吹いている、と薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は思った。
『WBC』の観客席。
 そこはダーク化アスリートたち一色だった。
 けれど、猟兵の先導によって場外に締め出された『五月雨模型店』のサポーターたちがなだれ込んでいる。それによって場内の雰囲気は一変した。
 誰も彼もが敵意の視線を『五月雨模型店』に向けていたが、それだけではないのだと静漓は実感することができた。
 だから、風が吹いていると感じたのだ。
「私も力になりましょう」
 ふわりと、風に乗るようにして彼女は『五月雨模型店』たちの作業の場に降り立つ。

「静漓ねーちゃん、助かるぜ!」
『アイン』の闘志みなぎる瞳を見て静漓は頷く。
 自身のプラスチックホビーである『孤月』は調整済みである。完璧な状態にしてあるから、後は彼女たちの機体を手伝うだけでいい。
「ねえ、『アイン』、一つ提案があるのだけれど」
「何? なんか良い案ある?」
「ええ、私の『孤月』のパーツ……使えないかしら?」
 装飾にしても良いし、と静漓は水晶花の如きクリアパーツを差し出す。本来であれば、それは装甲パーツに使われるようなものであったが、『アイン』たちは何かひらめいたように手を打つ。

「これ、あれに使えないか?」
「ええ、あれに使えます。きっと!」
「うむ! 早速組み込むとしよう。工程はかさむが……」
「な、なななんとかなりますよ!」
 彼等の言葉に静漓は首を傾げる。何に使うというのだろう。これも彼等なりの創意工夫というやつなのだろうか?
 もしも、自分がそのアイデアの一助になっていられたのならば、それは喜ばしいことだと思う。風が頬を撫でた。優しく、けれど強く、背中を押すような風を感じて静漓は振り返る。

 視線を感じて彼女は見上げた。
「あれは、あの子は……」
 うさぎのきぐるみが巨大モニターの上に立っていた。
 見下ろすような姿。
 それは『邪悪ラビット』と言われるダークリーガーの姿であり、静漓にとってはよく知る者のガワとも言うべききぐるみだったのだ。
「『フュンフ・ラーズグリーズ』……」
「うん」
 さらにもう一度振り返ると、静漓の背に隠れるようにして『邪悪ラビット』の中身とも言うべき『フュンフ・ラーズグリーズ』が彼女の裾を握って立っていた。

「来てくれたのね」
「うん。いいのかなって思ったけれど。しあわせなゆめをみているような気持ちだけれど、それでも」
「ええ、わかっているわ。あなたも同じなのよね」
 うん、と頷く『フュンフ・ラーズグリーズ』。泣きべそかいていた少年の顔は笑顔に変わる。
 正直に言えば、静漓は心が踊る思いであった。最初は観客が参加する試合形式だなんて、と驚いた。けれど、自分も彼等と一緒に戦うことができる。この舞台で、と思ったのだ。
 それはとても良いことのように思えた。
 そして、同時に風が強く、強く舞い上がるように感じられたのは、きっと。
「あなたなら一緒に戦ってくれると信じていたわ」
 だから、一緒にいきましょう、と静漓が差し伸べた手こそが、祈りへと変わるように、願いとなって此処に結実するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

わーわーいいぞーやっちゃえー!
と群衆の熱気に当てられて残虐ショーを観戦…しちゃだめだった
だめだっけ?

●物体X
んもーみんなボロボロじゃないかー
それじゃショーが盛り上がらないでしょー
と五月雨模型店メンバーを手伝おう
じゃじゃーん!ここにバラバラXくんがありまーす
//ここから説明セリフ//
なんと彼にはプラスチック粒子化合の特殊流体金属素材が使われている
この人の意志や取り込んだ人間の遺志に反応するVBA流体金属粒子の出所は…あー…長い!めんどい!以下略!
//ここまで説明セリフ//
そう!これを纏わせることでキミたちのプラクトがキミたちの意志で自在に修復したり勝手に動いたりするよ!



 観客を巻き込んだ変則試合。
 それが『WBC』の第二回戦の形式であった。それは本来であれば、あり得ない形式であったが、両チームのプラスチックホビーの損壊具合を顧みての仕様変更。
 だが、それは同時にダークリーガーの罠でもあったのだ。
 観客席にあるのは全てダーク化アスリートたち。
 チケットを全て買い抑え、万単位の観客の全てを己が戦力とするための策略。
 それはまるで容赦のない残虐ショーじみたものであった。
「わーわーいいぞーやっちゃえー!」
 観客たちの熱気に当てられるようにしてロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)はいつのまにか観客席に紛れ込んでいた。

 会場のボルテージは最高潮。
 誰も彼もがこれから行われる一方的な、数の蹂躙によって行われる試合とも言い難い蹂躙を前に高揚していたのだろう。
 それにロニは当てられていたのだが、まあ、なんていうかダメだってことを思い出したのである。
「だめだめ、こうしてる場合じゃなかったんだった!」
 いっけない、てへぺろ。
 そんな感じロニは『五月雨模型店』の作業場へと降り立つ。
 どこを見ても損壊したパーツを修繕したりで忙しそうである。

「んもーみんなのホビーがボロボロじゃないかー」
「しょーがねーだろ! 一回戦の『無敵雷人』がクソ強かったんだから! 寧ろ、フレームが無事だったのが幸運だよ!」
『アイン』の言葉にロニは頷く。
 確かに、と。でも、それじゃあ、このショーというか試合が盛り上がらない。こういうのは条件がフェアであるからこそ楽しいのだ。
 ならこそ、ロニは懐から、なんとも聞き覚えのあるサウンドエフェクトと共に何かを取り出す。
 テレレレンとかそんな感じの音と共に取り出したのは……
「VBA流体金属粒子~!」
「なにそれ!?」
「というか、大丈夫です!? 権利的に!」
「危ないような気がするが!!」
「ひえっ」
 そう、色々危ないあれ!
「明言してなければセーフ! まあ、聞きなって、ボーイ・アンド・ガールズ!」

 説明しよう!
 VBA流体金属粒子とは!
 ロニのプラスチックホビーという名前を借りた金属装甲を有する『バラバラX』に使われている特殊な金属粒子である。
 これをプラスチック粒子化合の特殊流体金属素材に変換することによって、人の意志を取り込んだ人間の意志に反応したりするのである。
 そんでもあと、こうえーとえーと、なんこう長々と、つらつらと長い説明をロニがしているのだが、その話まだかかる? くらいの感じで『アイン』たちは自分たちの作業に戻っていた。
 まるでラジオ!
 耳障りにならない程度に聞き流せるくらいの作業BGM! そんな具合で彼等はロニの説明が終わるまで手を動かしていたのだ。
「まだまだ説明は続くけど、めんどう! 以下略!」
「最初からそれにすりゃよかったのに」
「様式美っていうでしょ! そう、これを君たちの機体の装甲に吹き付けることで、キミたちのホビーがキミたちの意志で自在に修復したり勝手に動いたりするよ!」

 それはもうホビーって言えるのかな!? と誰もが突っ込んだが、幸いにして突っ込む時間すら惜しかったのだ――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
疾駆する神発動

うん?フュンフいねーのかフュンフは?
「やっぱり気になるー?」

まあいい!僕のダリ○バルデの整備…って|おめー《メルクリウスのプラクト》にすりかわってるじゃねーか!?
「メルシー使ってくれなきゃやだもーん☆」
あーもうしょうがねー!五月雨模型店の連中助けるぞ!

つーわけでイケメンの僕が助けに来てやったぞありがたく思いやがれ!

ようは外装とか色々傷ついてこのままじゃ間に合わない…?
2分26秒以内でなんとかしてやる方法があるが……敵のプラクトも修復されるる可能性が高い…それでもやるか?

…そうか。フェアを望むなら上等だ!
UC発動

傷ついたプラクトを修復させる

後は調整だ!やるぞ!
「任せてー☆」



 体高5m級の戦術兵器、キャバリア。
 その神機たる『メルクリウス』の内部、そのアポロンソウルより放たれた治療型ナノマシンが粒子となって会場に降り注ぐ。
 それだけでは特に効果を齎すものではなかった。
 ただ戦場全ての、傷を持つものを癒やす力の依代として顕然しただけだったのだ。
「うん?『フュンフ』いねーのか?『フュンフ』は?」
 キョロキョロと『メルクリウス』のコクピットハッチを開き、カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は周囲を見回す。
 彼が探しているのは『フュンフ』と呼ばれる存在である。

 そして、巨大モニターの上に『邪悪ラビット』のきぐるみが放置されているのを発見する。中身はいない。
 どこに、と思えばどうやら『五月雨模型店』の作業場にいるようである。
「ん? あいつ『五月雨模型店』につくってのか?」
『やっぱり気になるー?」
「そりゃあな。でもまあ、いい。いるんならいるで構わないさ。僕の……って、おめー!? なんだこれ!?」
 カシムは自分が作ったプラスチックホビーで参戦する気満々だったのだが、いつのまにか降り立ったキャバリアの姿が消え、己の手元にあったホビーが『メルクリウス』にすり替わってるのだ。
「どういうつもりだ、『メルシー』!!」
『やだー! メルシー使ってくれなきゃやだもーん☆』

 やだやだって駄々をこねる『メルシー』にカシムは時間が惜しいとばかりにうなだれる。
 ここで問答しても時間の無駄だと経験からわかっているのだ。
「あーもーしょうがねー! 連中を助ける間だけだぞ!」
『わーい!』
「やっかましー! ちょっと静かにしてくんねーかな!?」
『アイン』が切羽詰まった状況故に余裕がないのだろう。叫ぶ。しかし、カシムはその叫びを受け止め、余裕綽々で前髪を跳ね上げるのだ。
「イケメンの僕が助けに来てやったんだぞ、ありがたく思いやがれ!」
「ありがたいけど、なんか腹立つな!」
「イケメンだからな!」
 そういう意味じゃない! みたいなやり取りをギャンギャンやるカシムと『アイン』の二人。

 その遠慮のないやり取りは、他のメンバーたちをほっこりさせたことだろう。
「こっちはいそがしーの! 色々と間に合わないんだってば!
「あーね。そういうことか。なんとかなるぞ」
「なんとかなるんですか!?」
「ああ、だが、敵のホビーも修復されちまう可能性がある」
 そう、カシムが会場に降り立つ前に撒いた粒子。あれこそが、その起点となるものだったのだ。
 あらゆる傷を修復してしまうということは、敵の傷ついたホビーも此処で直してしまうということである。

 それはリスクだ。
 だが、その言葉を聞いた『五月雨模型店』のメンバーは即答した。
「だからなんだってんだよ。どっちも万全の状態でやりあえるってことだろ!」
「なら、迷っている暇はありません!」
「……そうか。尋ねるまでもなかったってことか! なら、上等!」
 きらめくユーベルコード。
 それはスタジアムにある全てのホビーのアスリート当人すらも気が付かぬほどの微細なクラックまでも修復し、完璧な状態へと直していく。
「後悔すんなよ?」
「する前から後悔なんてしねーよ! あんがとな!」
『アイン』の屈託のない笑顔を見て、カシムはやれやれと頭を振る。修復したとは言え、一から製造しているカスタム武装の類にまでは影響を及ぼせない。
 ここからの調整は、本当に彼女たち次第である。

「最後まで気を抜くなよ! やるぞ!」
 おう! とカシムの呼びかけに答えるメンバーたちの威勢のよい言葉に自然と釣られるようにして彼もまた笑うのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
大変な様だな!
補修もしつつ諸々も足りない……けれども、やるしかない
という訳で、自分の組むプラモとそれに使うジャンクパーツ
後は自分の使う塗料と自分の使う工具を持って彼等の前で優雅に組み立てよう
テーブルも自前、|発電機《模造神器》でコンプレッサーを動かしエアブラシも使用可能!
屋外でも優雅にプラモ作りが出来るセット!
凄い!
外でプラモ作るのはどうなんだとは思うけど!
ふふふ、自慢しに来ただけ

さあ若者よ、有り物で工夫するのだ!
ピンチはチャンスだ!
眼の前の安易な救済手段に縋るのか!
違うでしょ!

あ、私は今回は普通に入門用ロボキットのディティールアップをするから…
襟を詰めたり、延長したり…
試合までに乾くかな…



「大変な様だな!」
 ばーん、と『五月雨模型店』のメンバーたちの前に現れたのは、月夜・玲(頂の探究者・f01605)であった。
 派手に登場である。
 彼女を見上げるようにしていたのは、玲が巨大モニターの上に立っていたからである。
 直ぐ側に『邪悪ラビット』のきぐるみの脱ぎ捨てられた後があったのが、ちょい気になる絵図であったけど、まあ、なんていうか、登場は派手だった。
 彼女が手にしていたコンテナボックスと共に、しゅたっと降り立つ。無論、ヒーロー着地である。絶対膝痛めるあれだよなぁって思ったが、誰も突っ込まなかった。

「玲ねーちゃん、手伝ってくれるのか!」
「補修もしつつ諸々も足りない……けれども、やるしかない」
 そんなところだね、と玲はコンテナボックスの取っ手を握りしめる。
 そう状況は逼迫している。
『五月雨模型店』のメンバーが苦戦するのもわかる。観客の全てが敵。
 猟兵が先導して場内にチケットを買い占められて、締め出された『五月雨模型店』のサポーターたちがなだれ込んできたとしても、万単位の敵サポーターを相手にするのは絶望的な状況でしかない。
 だが、玲たちが来てくれるのならば百人力だと思ったのだろう。
 もしかしたら作業を手伝ってくれるのかも! とちょっとだけ『アイン』は淡い期待をしていたのだ。

 だが。

「テーブルも自前、|発電機《模造神器》でコンプレッサーも自前! エアブラシも完備! 野外で優雅にプラモ作りができるセット!」
 お値段は?
 あ、今そういうやつじゃない? だが、それはともかくとして凄い設備である。
 彼女の手にしたコンテナボックスが一気に展開して野外でのプラモ作成スペースへと早変わりしてしまうのだ。
 あまりにも見事なコンテナボックスセット。
 ほしい。
 そういうのほしい! という思いが形になったかのようなセットであった。
「す、すごい……です」
「いくら掛けたんだろうか!」
「子供が買える金額じゃないし、お正月のお年玉何年分か突っ込んでも無理かなっていう値段であることだけはお伝えしておこうかな!」
 え、で、手伝ってくれるの?

「ふふふ、自慢しに来ただけ!」
「ええ……」
『五月雨模型店』のメンバーは皆思った。
 此処まで来たなら手伝ってくれてもいいんじゃないかと。だが、玲の瞳がくわっと開く。
「さあ若者よ、有り物で工夫するのだ! ピンチはチャンスだ! 目の前の安易な救済手段にすがるのか!」
 確かにうなずけるところであった。
 確かに猟兵たちの手助けは必要であったが、しかし、それで本当にいいのかと玲は一石を投じたのだ。
 自らの道は自らで切り開く。
 それが王道にして正道! ならば!

「違うでしょ!」
 そう、玲の大人げない大人なホビーライフセットはたしかに羨むものであった。そんなの絶対欲しいやつじゃんってなるやつであった!
 だがしかし!
 無い物ねだりなど愚の骨頂! 無いのならば! 工夫で持って、持つものを凌駕するのが持たざるものの特権!
 故に!
「……確かに。甘えすぎてもいけないよ! わかるよ、それは! だったら!」
 ばーん! と完成した自らのホビーを『アイン』たちは玲の前に示す。

 赤と青の装甲を持つ四機の『セラフィム』。
 それはどこかで玲が見たような気がするけど、まあ、気の所為かってなるデザインであったが、たしかに完成した機体であった。
 それぞれが見たことのない武装をしている。
「できたんだぜ、ねーちゃん! 私達で!」
 その姿を見て玲は若者の急成長ぶりを目の当たりにする。うんうんと深く頷く。
 
 だが、一つだけ問題があった。
「……間に合うかな」
 そう、玲は普通に入門用ロボットのディティールアップにプロポーション変更をしていたのだ。
 問題は唯一。
 そう、試合開始までに乾燥が間に合うのかどうか! それだけなのである――!!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『獄道レーサー』

POW   :    ヘルアクセル
自身が操縦する【戦場に適した乗り物 】の【速度】と【馬力】を増強する。
SPD   :    インフェルノドライブ
【戦場に適した乗り物 】を操縦中、自身と[戦場に適した乗り物 ]は地形からの激突ダメージを受けず、攻撃時に敵のあらゆる防護を無視する。
WIZ   :    ハデスチャージ
【自身が操縦する戦場に適した乗り物が竜巻 】を纏いレベル×100km/hで疾走する。【合体させた同じ乗り物】に誰かを乗せると轢殺ダメージ2倍。

イラスト:key-chang

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●そして鐘が鳴る
「それでは試合開始と参りましょう! 時間制限無し、参加者制限なし! まったなし!」
 フィールドにアナウンサーの声が響き渡る。
 そう、『プラクト』とは人数制限のない、敵を殲滅しつくすまで最後の一騎まで戦い続けるバトルロワイヤル方式。
 敵を全て倒すか、己達が倒され尽くすか。
 そのどちらかでしか勝敗が決しない。
 そういう意味では敵チーム『オーバード』の戦力は万単位。観客席のほとんど全てが敵であるといっても過言ではない。

 だが、猟兵の先導によってスタジアムの外に締め出されていた『五月雨模型店』のサポーターたちがなだれ込み、わずかに戦力が上がる。
 そして、『アイン』たち『五月雨模型店』のメンバーは、猟兵の助力と自らの地力でもって、この難局を乗り切り、それぞれの機体とカスタム武装を手にしていたのだ。
「私が切り開く!」
 彼女たちの機体は全てが同一の姿をしていた。
 時間がないということもあって、赤と青の装甲を共通パーツとして作成し、纏っているのだ。だが、武装が違う。
「――『セラフィム』!」
『ツヴァイ』の言葉と共に四期の『セラフィム』がフィールドを疾駆する。
 彼女の機体は、アサルトライフルと積層可変シールドを有する汎用性を突き詰めた機体。ともに戦う者たちの中核にあって、指揮を担う装備だった。

「みんなが俺たちのために力を尽くしてくれた! なら、今度は俺たちが皆のために戦う番だ!」
 吠えるようにして『ドライ』の機体が長大な方針を持つ銃身を掲げる。
 スナイパーライフルのような砲身を持つ大出力の砲。
 火力支援を行う姿は、たしかに『轟響』と渾名される彼の機体にぴったりだった。

 そして、『フィーア』の『セラフィム』が戦場に飛び出した瞬間、彼女の機体が無数に分裂する。
 それは搭載された『幻影』装置によって生み出された、無数の分身たち。それによって彼女は敵を撹乱しきるのだろう。
「い、いいいきます! 敵は、ててきはこっちで引き付けますから! 開幕直後の!」
 彼女の言葉と共に四期の『セラフィム』に共通搭載されている武装……クリアパーツを流用して作り出された無数の子機……そう、『クリスタルビット』が戦場に弾幕として乱舞する。
 それは本来の使い方ではなかった。
 味方するホビーの前面にシールドとして配置された無数の『クリスタルビット』。
 敵を打ち倒すためではなく、味方を一人でも長くフィールドにて留めさせるための使い方。彼等は編み出したのだ。本来そうではないと言われるのだとしても、それが彼等の導き出した答えだった。

 迫るは万の敵。
『インセクトボーガー』と呼ばれる圧倒的なトルクを持ったモーターホビー。
 突進力の凄まじさ、装甲の堅さは言うに及ばず。
「虚仮威しを! やってしまいなさい!」
『オーバード』のダークリーガー『草津・アサヒ』が叫ぶ。
 その号令に呼応するようにして『獄道レーサー』と会場にある観客席からダーク化アスリートたちが一斉に『インセクトボーガー』をフィールドに投げ放つ。

 その圧倒的な戦力を前に猟兵たちは不足無しと己のホビーを投入し、高らかに言うのだ。
『レッツ・アクト――!!』
カタリナ・ヴィッカース
●WIZ

『ヴァンガイ』が世に送り出した美プラシリーズ『エンジェル』…
けしからん衣装でメカを纏った…いえ、気高き精神の戦乙女達が高次生命体に戦い挑むという設定には胸を打たれました
始めは私の趣向で改造致しましたが、巣に戻った後にその後考えたのです
もしこの子達が黒教の使徒となったら…と
ええ、そうです
気高くも無垢なる存在ほどより黒く染まるもの
ご覧致しましょう…悪堕ちしたエンジェル改めフォーリン・エンジェル
堕天使風に魔改造致しました性癖破壊美プラ『ルシフェル』を

フヒッ、グヒヒ…あらやだ
立体映像化されてつい変な笑いが
予めサポーターに与えた洗脳は性癖ダイレクトな洗脳です
けしからんそうでKENZENなルシフェルの姿に見惚れて自陣の応援が途切れるでしょうが、ここでもうひと押し

【ダンジョン・マスター・プロトコル】発動
呼び出されるモンスターはルシフェルを元に様々な性癖を付与させた七つの大罪をテーマにした堕天使達です
人間の|欲望《性癖》は他者の|欲望《性癖》
さぁ、子ども達
欲望による進化を魅せ、不和を与えるのです



 欲望とは即ち成長させる促進剤のようなものである。
 植物が日を求めて高く幹を成長させるように、陽の光を多く手に入れられるように樹冠を形成するように。
 多くを手に入れたいと願うことは生命として正しいことであった。
 停滞などくそくらえである。
 変わらないことが美徳であることなど、変化を恐れる者の戯言でしかない。
 つまり、どういうことなのかというと。

「フヒッ、グヒヒ……」
 なんかこう、大変顔に似つかわしい笑い声が響いていた。
『プラクト』の操縦パーティション。
 その中にてカタリナ・ヴィッカース(新人PL狩り黒教ダンジョンマスター・f42043)はなんとも言えない顔をしていた。
 そう、彼女が手繰るプラスチックホビーは、所謂美少女プラモ、『美プラ』。巨大企業『ヴァンガイ』が世に繰り出した圧倒的性癖破壊プラモデル。
 その『エンジェル』を在庫諸共しこたま買い漁ったカタリナは、一時期転売屋の類のそれではないかと疑問視されていたが、実際には違う。
 己の溢れ出る欲望。

 あらゆる『美プラ』を手中に収めたいという欲求がとめどなく溢れて止まらなかったのだ。
 何せ彼女はドラゴンプロトコル。
 ゴッドゲームオンラインではゲームマスターであるが、竜としての名前を持つのならば、財宝という名の『美プラ』を溜め込むのもまた道理であった。
「……カタリナねーちゃんさあ」
「……あらやだ」
 カタリナは『アイン』の言葉に思わず漏れ出た変な笑い声をごまかすように、えへ、と可愛らしくごまかす。それでごまかせるのは付き合いの浅い人達だけだぞ! そんな風に『アイン』は思っていたが、しかし、それ以上に衝撃だったのがカタリナのプラスチックホビーであった。

「な、な、なー!?」
 そう、カタリナの駆るモーションタイプのホビー。
 名を『エンジェル』。
 いや、その清純精錬潔癖たる名前にふさわしくない魔改造!
 確かにカタリナはけしからん衣装でメカを纏った……あいや、気高き精神の戦乙女達が高次元生命体に戦いを挑むという設定に胸打たれた。
 カタリナは己の欲望のままに自身の趣味嗜好をふんだんに盛り込んだ改造でもって『エンジェル』をフォーリンさせたのである。
 だがしかし、『五月雨模型店』での経験の後、彼女はふと巣で思ったのだ。

『もしこの子が黒教の信徒だったのなら……』

 と!
 そう、彼女はドラゴンプロトコルの組合員である。だが、それは世を忍ぶ姿。本性はどっちかってーと欲望丸出しの黒聖者寄り!
「なんだその格好ー!?」
 それは大変にフレッシュカラーの多い改造の施された……それこそ巨大モニターに写していいのか? ギリギリじゃね? な攻め攻めな改造だったのである。
「気高くも無垢なる存在ほどより黒く染まるもの」
「り、理屈にあってないぞ!?」
「ご覧に入れましょう……悪堕ちしたエンジェル改め、『フォーリン・エンジェル堕天使風に魔改造致しました……」
「今、魔改造って言った!」
「性癖破壊美プラ『ルシフェル』を!」

 そう、ここに降臨するは堕天よりも罪深き奈落に落ちし天使の姿。
 それはもう大変の健全な……いや、逆の意味で健全なスタイルのカタリナのホビーであった!
 どことなーくカタリナに似ているというか、見事なプロポーションが再現されているように思える。
「さあ、我が教義に触れし者たちよ!」
 その言葉と共に明滅する後光。
 それはグリード・サイン。カタリナが戦いの準備を始める前に放っていた黒い光線に当たって洗脳されていた『オーバード』側のサポーターたちが一気に動き出す。
「な、なに……!?」
『獄道レーサー』たちが目をむく。
 彼女たちが放った『インセクトボーガー』は確かに圧倒的なトルクと突進能力を持つ強烈なホビーだ。
 それを彼女たちが竜巻を纏って突進させるのだから、その威力たるや凄まじいものとなる。

 だが、それは彼女たちの連携が取れていればの話だ。
「な、何をする! 何故隊列を乱し……というか、なんでこっちに向かってくる!?」
「欲望を開放するために。正しき欲望の発露のために」
「ええ、そのとおりです。さあ、参りますよ。ダンジョンマスター・プロトコル!」
 カタリナの瞳がユーベルコードに輝く。
 それは彼女の持つトリリオン……ゴッドゲームオンライン内部で使われる通貨を一気に消費し、『ルシフェル』の翼の内側から生み出される無数のモンスターたち。
 そいう、彼女は様々な性癖を付与させた七つの大罪をテーマに美プラを魔改造しているのである。

「人間の|欲望《性癖》は他者の|欲望《性癖》。さぁ、子供たち」
 にこり、とカタリナは微笑む。
 フィールドに浮かぶ天使の翼は黒く染まり切っている。カタリナが染めきったのだ。故に彼女の洗脳と合わせた『オーバード』のダーク化アスリートたちの一部は、一気に反乱を起こすように『獄道レーサー』たちの連携を突き崩し、カタリナの駆る『ルシフェル』へと迫る『インセクトボーガー』を蹴散らす。
「え、えぇ……そういうのってアリなんだ?」
「欲望に寄る進化。それこそがこの『ルシフェル』が魅せる魁、その明星たる輝き! この光に魅せられしものたちよ、不和を与えるのです」
 なんかもっともらしいので、しれっとごまかされた気がするなぁって思いながら『アイン』はしかし、頼もしくもノリノリなカタリナの姿に、まいっか! と納得するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
引き続き『疾き者』にて

使う機体は『機動宇宙騎兵』のもの。モーションタイプですからね、霹靂と一緒に操作しつつ。

倒し尽くすというのならば、このUCですねー。
ランナー削って作られた『ミニ漆黒風』は…数が増えてますねー?
ですが、今はそれでよいのです。相手も数が多いですから…。
これまでの戦闘知識により、その『インセクトボーガー』の進路を予測、そこへUCつきの『ミニ漆黒風』を投げていきましょうねー。


霹靂「クエッ」
騎馬部分のモーション担当。負けられない!見切って避けるし、跳躍もする!
陰海月「ぷーきゅ!」
ポンポン持って応援!



 万を超える敵は星の海にて見た満天の星と同じであるように思えただろう。
 ダーク化アスリート『獄道レーサー』たちが投げ放つプラスチックホビー『インセクトボーガー』は圧倒的な装甲とトルクによって凄まじい突進力を生み出すホビーであった。
 そのチャージはあまりにも苛烈すぎて、プラスチックホビーの装甲など容易く砕いてしまう。
 それが万単位で襲い来るのだ。
「クエッ!」
 だが、勇ましき嘶きを上げるは、ヒポグリフの『霹靂』であった。
「ええ、どれだけ満点の星全てが敵であるのだとしても」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』は『機動宇宙騎兵』がまたがるヒポグリフ型のホビーと共に迫りくる万の『インセクトボーガー』の前に立ちふさがる。
 透明なクリスタルビットのシールドが前面に展開されているが、多くを防ぐことはできないだろう。
「あの『インセクトボーガー』の突進力は……!」
「ええ、わかっておりますとも。この水晶の盾は万が一の保険程度に」
『ツヴァイ』の言葉に『疾き者』は頷く。

 過信してはならない。
 結局、己達が作ったホビーを信じるしか無い。けれど、それは過ぎれば驕りとなり、足元を掬われる要因となるだろう。
 そして、『疾き者』は、そうした驕りから最も遠い。
「倒し尽くすというのならば……さて、参りましょうかー」
 その言葉と共に瞳がユーベルコードに輝き、駆る『機動宇宙騎兵』のアイセンサーがきらめく。
 四悪霊・風(シアクリョウガヒトリ・トノムラヨシツナ)。
 それは握り込んだ武器、漆黒の旋風じみた棒手裏剣。だが、それは実際に『疾き者』が戦いの場で使う等身大のものである。
「ぷーきゅ!」
『陰海月』がポンポンを揺らして応援している。

 その様子を微笑ましく思いながら『疾き者』は、『機動宇宙騎兵』の装甲の下から取り出された無数のランナーを削って作り出された棒手裏剣を解き放つ。
「な、なんだこの数!?」
「全部一つ一つ削っての手作りだ! 効くぜ、それは!」
『アイン』の言葉通りだった。
『機動宇宙騎兵』の放った棒手裏剣は、狙い違わず、『獄道レーサー』達が放った『インセクトボーガー』の装甲を貫く。

「ばかな! こちらの装甲は……!」
「ええ、たしかに衝撃に耐えうるために強靭な素材を使っているのでしたね。ですが、物理の話です。こちらが投げ放つ棒手裏剣の加速。そして、あなた方のホビーの加速。どちらも凄まじい速度で激突すれば……」
 そう、より鋭い方が力を作用させ、一点で貫く。
 つまり、どれだけ強靭な装甲とて、『インセクトボーガー』という車体を駆動させるためには装甲はある程度薄くなっている。

 その一点を貫く棒手裏剣の一撃は、致命的な箇所……即ち。
「そのホビーに内蔵されたユーベルコード発生装置を貫くのでしてー」
『機動宇宙騎兵』の眼前に満点の星々がさ幹ダレるようにして爆発する。
「『インセクトボーガー』、たしかに良いホビーですがーその動きは直線的すぎるのでしてー」
 これまでの戦闘経験。
『インセクトボーガー』との戦いは初めてではない。
 故に、その特性を見極めた無数の一撃は、『インセクトボーガー』を確実に貫き、二度と瞬くことのない星へと変えるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニィナ・アンエノン
やったね、皆間に合ったみたい!
それどころか新しい武器まで……うん、頑張ったね!
にぃなちゃんも負けてらんない、派手にやっちゃおう!
そんな訳でにぃなちゃんのプラモデルにライダースーツ着せて、更に前に作ったリトルテンプテーションに乗せるぞ☆
バイクも装備扱いで良いよね、多分!
プラモになってもバイクに乗ったにぃなちゃんは止められない。
インセクトボーガーを引き付けながら走り回るぞ!
後は上手くフィールドの隅っこにでも追い込んで貰おうかな。
テンプテーションを変形させて移動力を下げてでも装甲を5倍にしたら準備完了。
狭い場所でこっちを狙わせて敵の機動力を封じるよ。
後は火力支援要請!
出番だよー、ドライ君♡



『五月雨模型店』のメンバーたちは苦境に立たされていた。
 観客席の全てが敵。
 そして、資材も時間も足りない中、なんとか猟兵たちの助けを得て彼等はやりとげたのだ。
「やったね、皆間に合ったみたい!」
 ニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)は彼等のプラスチックホビー『セラフィム』が同じ装甲の色、形をしながら、しかして仕上がりきった姿を見て喜びに胸がふるえた。
 逆境にさえ負けず立ち向かう。
 どれだけフェアじゃない勝負を挑まれても逃げること無く立ち向かう勇気。
 それを示した彼等にこそニィナは負けていられないとばかりに胸を踊らせるのだ。

「ニィナねーちゃんたちのおかげさ。今度は私達が!」
 助ける番だ、と言うように『アイン』たちの機体が万を超える『インセクトボーガー』の群れへと突っ込んでいく。
「負けらんない、派手にやっちゃおう!」
 ニィナの姿をもした美少女プラモがライダースーツを纏ってフィールドに降り立つ。
 さらに以前作った宇宙バイクのプラモデルを駆り、戦場たるフィールドを疾駆するのだ。その勢いは凄まじい。
「にぃなちゃんとバイクはすぐには止めらんないぞ☆」
 そう、彼女がバイクにまたがれば、彼女のトップスピードを捉えられるものはなく、そして彼女を止められる者も存在しない。
「ニィナお姉さんを止められるのは赤信号だけだな!」
『ドライ』の言葉にニィナは、そういこと、と笑って迫る『インセクトボーガー』の群れを引き付ける。

 走り回る『リトルテンプテーション』を見事に乗りこなせるのは、彼女のホビーがモーションタイプであるが故。そして、宇宙バイクのホビーは、マニューバタイプとして設定しているため、彼女の運転技術が十全に発揮されているのだ。
「こいつ、速い……!」
「しかもちょこまかと!」
 如何にダーク化アスリート『獄道レーサー』たちが彼女に追いすがろうとしても、(インセクトボーガー』はその突進力故に直線的な動きしかできない。
 蛇行運転が可能であり、小回りの効くニィナを捉えることなどできはしないのだ。
 だが、敵は万に等しい群れ。

 彼女を鳥加工用にして『インセクトボーガー』が迫る。
「やーん、絶体絶命☆」
 でもね、とニィナの瞳がユーベルコードに輝く。
『リトルテンプテーション』が変形し、二足歩行型ロボットとなってニィナモデルの美少女プラモを内部に取り込むのだ。
「今更装甲を厚くしたところで!」
 迫る『インセクトボーガー』たちの突進。
 だが、その突撃をニィナは強靭な装甲で受け止め続ける。

 彼女が『インセクトボーガー』を引き込んだのは狭い谷間。一直線に並んだがゆえに『インセクトボーガー』たちは彼女が狙ったのは自分たちの機動性を損なうためのものだと思ったのだ。
 だが、違う。
「出番だよー『ドライ』君♥」
 その言葉と共にニィナの機体の後方から一騎の『セラフィム』が飛び込む。
 それは砲戦仕様の機体。
 長大な砲身を持つブラスターじみた銃口を向け、光湛えて放つ一条は、一直線にならった『インセクトボーガー』の尽くを吹き飛ばすのだ。
「間に合ったな! ヒヤヒヤものだったぞ!」
「でも、間に合ってくれたもんね☆ あとでヨシヨシしてあげるね♥」
「て、照れくさいんだが!」
 でも、嫌とは言わないんだー☆ とニィナは笑って見事な連携を果たして迫る万の敵を退けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神代・凶津
敵は万単位…へっ、面白れぇじゃねえか。『五月雨模型店』の勝利への|道《ロード》は俺達と『デスメタルヘラクレス』が斬り開いてやるぜッ!
レッツ・アクトッ!!

敵共は同じインセクトボーガー。だが俺のデスメタルヘラクレスは前回より更なる強化を施し、パワー&ディフェンスが飛躍的に向上よッ!全部蹴散らしてやるぜッ!

と、敵が竜巻を纏いスピードを上げやがったッ!?このままじゃ他のサポーター達がなぎ払われちまうッ!
ならこっちも必殺技よッ!【エンハンスサクラストーム】ッ!

どんだけスピード上げようが戦場全体に桜吹雪を発生させ、蹴散らしてやるぜッ!更には味方の強化というオマケ付きよッ!


【アドリブ歓迎】



 迫るは万の軍勢。
 大量の『インセクトボーガー』が疾駆する姿は夜空を切り裂く流星群のようだった。高トルクによる突進能力に加え、駆動する六輪によって、その車体は凄まじい威力と共に『五月雨模型店』のメンバーやサポーターたちに迫る。
 水晶の盾となった『クリスタルビット』とは言え、幾度も攻撃を叩き込まれれば撃破されることも時間の問題だった。
「敵の数が多い!」
『アイン』が駆る『セラフィム』が手にした大型突撃槍を振るい『インセクトボーガー』を弾き飛ばす。

 じりじりと数に寄って追い込まれていくことは必定だった。
 だが、神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)は鬼面をカタカタと揺らして笑う。怯えているわけではない。
 そこにあった感情は楽しげなものだった。
『敵は万単位……見える輝きは全て敵ってことか……へっ、おもしれぇじゃえかッ!』
「……窮地であると思いますが」
 相棒である桜の冷静な声が響く。
 だが、凶津は己の中に湧き上がる感情に従う。
 なぜなら、己が駆るホビーもまた『獄道レーサー』たちと同じ『インセクトボーガー』であるからだ。

 同じホビー同士。
 本来の遊び方になっただけのことだ。それに、と凶津は黒いメタリックカラーに塗装された己のホビーを見やる。
「『五月雨模型店』の勝利への|道《ロード》は俺たちと『デスメタルヘラクレス』が切り開いてやるぜッ! レッツ・アクトッ!!」
 戦場に飛び込む漆黒の流星。
 それが『デスメタルヘラクレス』であった。
「同じ『インセクトボーガー』! ならば、相手にとって不足はないが、この物量をどうする!」
『獄道レーサー』たちが放つ『インセクトボーガー』が一斉に『デスメタルヘラクレス』を取り囲む。

「私は右をやる!」
『まかせなっ、左はこっちが抑えてやんよッ!』
『アイン』の『セラフィム』と凶津の『デスメタルヘラクレス』が弾けるようにしてフィールドを疾駆する。
 きらめくユーベルコードの輝き。
 凶津は頼もしいと思った。同時に己の『デスメタルヘラクレス』が以前とは異なることを示すように『獄道レーサー』の放った『インセクトボーガー』と激突する。
「このカスタマイズ……! パワーとディフェンスさえもこちらを越えているだと!?」
『あたぼーよ! 前より今日! 今日より明日ってやつよ! 全部蹴散らしてやるぜッ!』
「この程度で!」
『獄道レーサー』たちの瞳がユーベルコードに輝く。
『インセクトボーガー』が纏うは竜巻。
 さらにスピードの上がった『インセクトボーガー』が『デスメタルヘラクレス』を取り囲むようにして旋回し続ける。

 空気の刃が生み出され、『デスメタルヘラクレス』の装甲が削られていく。
 いや、この程度なら、と凶津は思った。問題ない、と。
 だが。
「……他のサポーターさんたちが」
 桜の声に我に帰る。
 そうだ、自分たちだけが戦っているのではない。如何に『クリスタルビット』の盾があるとしてもいつまでもサポーターたちが防げるものではない。
『なら、こっちも必殺技よッ! 派手に行くぜ、相棒ッ!』
「……祓い清めます」
 きらめく鬼面の眼窩。
 ユーベルコードの輝き。
 戦場にみちるは浄化の力宿す霊力の桜吹雪。
 それは竜巻に乗って『インセクトボーガー』を吹き飛ばし、さらには味方である『五月雨模型店』のサポーターたちのホビーに『クリスタルビット』と共に桜吹雪の魔力を纏わせることによって、その能力を強化するのだ。

『どんだけスピードをあげようが、戦場に散る桜吹雪を躱しきれるかよッ!』
 それに、と凶津はサポーターたちを長く戦場で戦う事ができるようにサポートするのだ。攻撃だけではない。
 共に戦うからこそ、サポーターというのだと示すように――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

チェスカー・アーマライト
……開戦前の根回しに、|軍団《ウン万人》単位のチーム戦、いよいよもって戦争じみてきたな
その戦争ですら、部隊が損耗すりゃ撤退するってのによ

倒しても倒してもキリが無ぇ
こー言うのが意外と精神的に来る
慣れてねー奴は特にな
あたしが連れて来た以上、サポーター連中のフォローはあたしがするさ
複数人で二重に円陣を組む
円の外側は比較的装甲の厚い奴ら
内側には射撃に自信のある奴らを置く
とにかく弾幕張って敵を寄せ付けない、簡単な迎撃網だ
まずは生き残る事、それだけを考えろ
数さえ減らさなきゃ勝ち目は見えてくる
円の内側は即席のセーフゾーンにもなる
小まめに交代して休憩しとけよ
アイン!
お前も中で一息ついてけ、まだまだ先は長ぇぞ!



「……開戦前の根回しに|軍団《ウン万人》単位のチーム戦、いよいよもって戦争じみてきたな」
 チェスカー・アーマライト(〝錆鴉〟あるいは〝ブッ放し屋〟・f32456)にとって、『WBC』の第二回戦の変則マッチは寧ろ馴染み深いものであったかもしれない。
 報酬と興奮をこそ己は戦場に求める。
 けれど、『プラクト』はそうではなかった。仮初めの戦場。人死にのでない戦場など戦場であるとは言えなかったかも知れない。
 それでも彼女は知っている。
 己の全てを注ぎ込み、戦う者たちの真摯さを。
 故に、敵チーム『オーバード』のやり方は、戦争の非常さを知るがゆえにうなずけるところもあったが、スポーツである場に則るのならばうなずけるものではなかった。

『ミニタイガー』が『五月雨模型店』のサポーターたちのホビーと共に迫りくる『インセクトボーガー』を防ぐ。
 爆発が起こる。
 爆風がフィールドに走り、衝撃が機体を揺らす。
「まったく倒しても倒してもキリが無ぇ」
 本物のせんそうでさえ、部隊が消耗すれば撤退するというのに、『インセクトボーガー』を放つ『獄道レーサー』たちは消耗や損耗など知ったことではないと言わんばかりに突っ込んでくるのだ。
 それが恐ろしいまでの突進力を持っていることは言うまでもない。
「チェスカーねーちゃん!」
 大型突撃槍を振るいながら、敵の戦線を突破してきた『アイン』の『セラフィム』が『ミニタイガー』にふれる。

 直接回線を繋いでの通信。
 つまり、敵に知られたくないことを伝えようとしているのだろう。
「なんだ、『アイン』。こっちはそれどころじゃねえんだが」
 そう、チェスカーは己が焚き付けた『五月雨模型店』のサポーターたちの面倒を見なければならなかった。
 倒してもキリのない波状攻撃というのは精神的に追い詰められるものだった。
 特に戦争慣れしていなアスリートアースの者たちであれば尚更。その面倒をみる。それが己の流儀であり、信条であったのだ。
「だからだよ、チェスカーねーちゃん。私が敵の戦列を突き崩す。まさか『エース』が突っ込んでくるとは思わねーだろ。だから」
「こいつらのことを守れってんだろ?」
「そういうこと!」
「ならよ、『アイン』、お前は一端休みな」
 チェスカーの言葉に『アイン』は頭を振る。そんな悠長に時間を掛けられないと言いたのだろう。

 だが、サポーターたちのホビーが『アイン』の『セラフィム』を取り囲むようにして円形をくみ、射撃と防御の二段構えの壁を作り出すのだ。
「でも!」
「先はまだまだ長ぇぞ! 敵は万単位だ。これ『プラクト』のルールだってんなら、最後の一騎まで倒しきらないとならねーだろうが!」
 その言葉にサポーターたちも頷く。
『エース』たる彼女を消耗させまいと必死に戦ってくれているのだ。
「応えてやりな。それが『エース』の仕事ってもんだ。だから、まずは生き残ること、それだけを考えろ」
 チェスカーは笑う。
 こちらの数を減らさぬための円陣。それによって、敵は打倒され、けれど、こちらの数は減らないという精神的重圧を敵に与えるのだ。

「お前らが出した答えだ、これが」
 誰かのために戦うということ。
 あの『クリスタルビット』が攻撃の弾幕ではなく、味方を守るための防御として使われたのが彼女たちの答えなのだ。
 なら。
 十分に円陣の内側で休んだ『エース』が羽ばたく。
 光の翼を放ちながら、手にした突撃槍を構え、『インセクトボーガー』の群れを蹴散らしていくのだ。
 それを見送って、チェスカーはサポーターたちに激を飛ばす。
「ここが踏ん張りどころだ、行くぞ――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

わ、五月雨のみなさますごいですね。
気合いが漲ってる感じがします!

スタジアムには五月雨サポーターの方もいらっしゃいましたし、
完全アウェイではなくなったのも大きいですね。

それではわたしもステラさんに続きますよー!
……ラムネさえあれば、ある程度のシリアスにもついて行けますからね!

かもん、【ソナーレ】!

って、わ、2回連続の演奏許可なんて、はじめてじゃないですか!?
いよいよステラさんのデレも本格的になってき……ゴメンナサイ。

で、でも今回も許可は出ていますし、思いっきり行きますよー!

そ・し・て!
今回はにゅーあいてむもお披露目です!
【PA-Acoustics】で演奏を最大増幅していきますよー!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
やはりセラフィムには人の|赤《悪性》と|青《善性》は良く似合う
その間を揺れ動く良心……いえこの場合は悩みに悩んだその|激情《気持ち》かもしれませんが
だからこそあの|プラクト《セラフィム》は強い

皆様に比べれば頼りないセラフィムですが
全力でサポートしましょう
行きますよクリムゾンリッパー(赤いセラフィムリッパーを構え)
レッツ・アクト、です!
あ、ルクス様ついてきてます?
シリアスなくてもいいですよ?

フィーア様のクリスタルビットを利用して
私のクリムゾンビットから攻撃させましょう
ええ、防御が迎撃手段を得たら最強です
この盾を死守します
ルクス様は他の皆様に混じって攻撃を
ええ、演奏してもいいですから!



 戦場に瞬くは星。
 その明滅は人の心を示しているように思えたのだ。
「やはり『セラフィム』には人の|赤《悪性》と|青《善性》はよく似合う」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)は戦場を駆け抜けていく光の翼を見る。
 それは『アイン』の駆る『セラフィム』の後ろ姿だった。
 大型突撃槍を構えた機体は迫りくる『獄道レーサー』が放つ『インセクトボーガー』を尽く蹴散らしていく。
 止まらない。
 止められるわけがない。
 彼女は魁。人の前に立ち、迫りくる万の矢を前にしても立ち止まらぬ者。故に、彼女は『エース』と呼ばれたのだ。

 人には良心がある。
 誰の心にも悪性と善性があるからこそ、ゆらぐ。悩み、折れたのだとしても、再び立上r打つ良さを持っている。
 だからこそ、とステラは思うのだ。
「あの|『プラクト』《セラフィム》は強い」
 己の赤い『クリムゾンリッパー』がフィールドに飛び込む。
「わ、『五月雨模型店』のみなさますごいですね。気合がみなぎってる感じがします!」
 ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は『ソナーレ』と共に並び立つ。
 演奏によって動く『プラクト』。
 それはキーボードを叩くことで操縦する一風変わった機能を持っているが、『マニューバ』タイプの範疇に入っていた。

 ルクスは見た。
 確かに敵は万単位の軍勢。
 けれど、『五月雨模型店』のメンバーだけではなく、サポーターたちもまた場外から乱入している。
 完全なアウェイではない。
 万に届かなくたって、それでもかけがえのない味方であることは言うまでもない。
 だからこそ、ステラは万感の思いを込めて叫ぶのだ。
「レッツ・アクトです!」
 あ、とステラはそこで同じ操縦パーティションの近くにいるルクスを見やる。
 なんか雰囲気シリアスだが蕁麻疹の方は大丈夫かな、と。
「ふ、ステラさん。ラムネさえあれば、ある程度のシリアスにもついていけますからね!」
 まあ、シリアスであるというのならばシリアスである。
 けれど、これはスポーツなのだ。

 人の生き死にがあるわけではない。
 全ては仮初。
 けれど、だからこそ心を打ち込むことができる。
 共に戦う事ができる。
「そうですか。シリアスでなくてもいいのですが……」
「お二人共、『クリスタルビット』のシールドを活用してください」
『ツヴァイ』の『セラフィム』が二人の機体の横につける。
 彼女の機体は指揮能力を持っているのだろう。戦場たるフィールドを駆け抜け、サポーターたちが脱落しないように動いているようだった。
 水晶の如き飛翔体。
『クリスタルビット』は本来は弾幕兵器である。
 それを彼女たちは味方を守るシールドとして使っている。本来の使いかたではないことをステラたちは知っていただろう。

 これが彼女たちの答え。
 誰かを守るために、という思いを受けてステラはルクスと共にフィールドを駆け抜ける。
「お任せください。このメイドに不可能ということはございません。皆様の守りがあるのならば!」
 きらめくユーベルコードの輝き。
 ステラが叫ぶ。
「いきなさい、クリムゾンビット!!」
 真紅の『クリムゾンビット』が一斉に飛翔する。迫りくる『インセクトボーガー』を取り囲み、レーザー攻撃でもって次々と万の軍勢を突き崩していくのだ。
「ルクス様も!」
「はーい! 演奏しても?」
「ええ、いいですから!」
「わ、二回連続の演奏許可なんて初めてじゃないですか!?」
「いつだって強引に演奏するじゃないですか!」
「うふふ、いよいよステラさんのデレも本格的になって……」
 じとっとした視線がルクスに刺さる。
 それは本当にデレなのかと『ツヴァイ』は訝しんだ。だが、そんなこと言ってられない。敵の軍勢はまだまだいるのだ。

「……ゴメンナサイ。で、でも、今回も許可を得ていますから! 思いっきり行きますよ!」
 その言葉と共に『ソナーレ』の機体から演奏増幅アンプが展開する。
 アイセンサーが輝く。
「そ・し・て! にゅーあいてむのお披露目です! 増幅アンプ確認ヨシッ! ――Canon(カノン)!!」
 吹き荒れるは不協和音。
 しかし、それは増幅されたアンプより放たれることに寄って指向性を持って放出される。
 そう、迫る敵は前面。
 味方は後方。
 所謂、置き砲台。ルクスの演奏は前線に投入されることによって、その演奏を敵にだけ届けるのだ。
 今までであればできなかった。
 けれど、彼女が今回機体に導入した増幅アンプによって、それができるようになったのだ。

「相変わらず凄まじいですね」
「ええ、使い方さえ間違えなければ、ですね。さあ『ツヴァイ』様、どうかこちらはおまかせを。指揮のご負担はこちらで軽減させていただきます。それでは」
 いってらっしゃいませ、とステラは『ツヴァイ』の『セラフィム』を見送るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
【サージェさんと】

サージェさん、『希』ちゃん、また虫だって。(ハイライト家出)

なんで虫なんだろうね?(かっくん
どうして虫なんだろうね?(かっくん
この世界はどうしても虫を流行らせたいのかな?(かっくん
ならもう世界ごと消しちゃってもいいんじゃないかな?(かっくん

『おねーちゃん、落ち着いて!? それ『フィーア』さんもいなくなっちゃうよ!?』

噛み噛みプリンセスがいなくなる!?
そんなことはさせない! 噛み姫はわたしが虫から護る!

『希』ちゃんが整備してくれた『憂国学徒兵』も絶好調だし、虫相手に慈悲などなし!
サージェさん、いっしょしてくれるよね?(圧
(攻撃防御を10倍で)撃ちまくれー!


サージェ・ライト
【理緒さんと】
おおー! 五月雨模型店のセラフィムがカッコイイ!
いつかあの凶悪なセラフィム・エイルも再現できるかもですねー
それはそれとして今日もトラメちゃん(トラ型プラクト)は絶好調!
(戦闘前に顔をくしくしと洗って毛繕い)
さぁ理緒さんいきま……ひぃぃぃぃ!?
理緒さんのハイライト帰ってきてください!?(祈り)

いや、むしろ噛みは虫の特性……アッハイダマリマス
いえ、その圧イラナイデス

【威風堂々】といきましょう!
フフ、プラクト中は忍ばなくて良いので楽ですね!
というわけで猫が虫とか鳥とかネズミとかを狩るがごとく
トラメちゃんゴーです!全力だー!
どちらかというと理緒さんの火力が凶悪なので回避しないとね?!



『アイン』の駆る『セラフィム』が振るう大型突撃槍から放出される高エネルギーが敵陣を切り裂いていく。
 そして、切り開かれた敵陣を打ちのめすように『ドライ』の砲撃が迸る。
 その光景は確かに『エース』の働きであると言えたことだろう。
 彼等はもうダークホースでもなんでもない。
 今大会の優勝候補と言って差し支えないほどの実力を発揮していたのだ。
「おおー!『五月雨模型店』の『セラフィム』がカッコイイ!」
 サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は、彼等の活躍を見て想起するものがあった。
 あの赤いキャバリア。『セラフィム・エイル』の鬼気迫る力だ。もしかしたのならば、彼等はあの機体に近しいほどの力を再現できるかもしれないとさえ思えたのだ。

 けれど、サージェは、その日が来ないだろうとも思った。
 あれは世界を滅ぼすほどの力だった。
 彼女たちは何かを攻撃するのではなく、誰かを守るための力を欲したのだ。ならば、あの様な力は求めないだろうし、手を伸ばすこともないだろう。
 周囲に飛ぶ嘗ての弾幕兵器である『クリスタルビット』は今や防衛兵器であるシールドとなってフィールドにある『五月雨模型店』のサポーターたちを守っているのだから。
「それはそれとして今日も『トラメ』ちゃんは絶好調ですよ!」
 サージェは自身のホビーが勝手に顔をくしくしと洗うように毛づくろいしているさまを見て、はーん! と喜ぶ。
 メカでも可愛い。
 うちの子が一番!
 それはホビーであろうとペットであろうと変わらないことだった。
「さぁ、理緒さんいきま……」
 そして、サージェはバディである菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)と共に敵チーム『オーバード』に立ち向かおうとして表情を凍りつかせた。

「なんで虫なんだろうね?」
 カクン、とくびが揺れている。
「どうして虫なんだろうね?」
 その瞳は光がなかった。真っ黒だった。あ、いや、琥珀色だったが、闇さえ吸い込みそうなほどに、こう、ドロッとしていた。
「小世界はどうしても虫を流行らせたいのかな?」
 また首が揺れる。
 彼女は、虫が嫌いなのだ。そして、迫る大軍勢は万単位にして『インセクトボーガー』……つまり、昆虫モチーフのホビーを手繰るのである。
 言ってしまえば、彼女の見たくないものが群体じみた動きで迫ってきているのだ。
 もうやってられない。
 どうしてみんなそんなに虫がいいのだろうか。
 本当に疑問だったのだ。
「ならもう世界ごと消しちゃってもいいんじゃないかな?」
 明らかに敵のムーヴである。

『おねーちゃん、落ち着いて!?』
「そ、そうですよ、理緒さん! ハイライト戻ってください! っていか、ひぃぃぃ!? なんかドロっとした目の色してるぅ!!」
 サポートAIとサージェがたしなめる。
 だが、それでも理緒が身にまとう雰囲気は変わらない。あまりにもあんまりなオーラを放つ理緒は本当に世界の敵になりそうだった。
 それほどまでにダメだろうか、虫。
「だめに決まってるじゃない」
 だから、と理緒は己の機体を前に進ませる。
 虫がいるなら滅ぼせば良いじゃない。そんな具合である。

『おねーちゃん、それ『フィーア』さんもいなくなっちゃうよ!?』
 サポートAI『希』の言葉に理緒は割れを取り戻す。まだハイライトは戻っていないが、しかしドロドロした色は少しだけ澄んできたように思える。思えるだけかもしんないけど。
「……噛み噛みプリンセスがいなくなる!?」
「ななななんで、そんな変な渾名つけるんですかあ!?」
『フィーア』の悲鳴が聞こえる。
 理緒の瞳に光が戻る。ハイライトが帰ってきたのが『フィーア』の噛んだ声っていうのは、なんていうか、その……理緒さんさぁってなるあれである。
「そんなことさせない! 噛み姫はわたしが虫から護る!」
「むしろ、噛みは虫の特性ではないで……アッハイダマリマス」
 サージェの言葉に『希』が通信をシャットダウンするし、理緒のゆらっとした振り返る動きが怖かった。

「虫に慈悲などなし! サージェさん、いっしょしてくれるよね?」
 すんごい圧であった。
 答えは、「はい」か「イエス」のどちらかでしかないといわんばかりであった。
「アッハイ」
 その圧力がなければなぁって思ったけど、口には出さなかった。
「威風堂々(シノベテナイクノイチ)と参りましょう! フフ、『プラクト』中は忍ばなくて良いので楽ですね!」
『トラメ』ちゃんゴー! とサージェは戦場を駆け抜けていく。
 だが、みんな冷静だった。
「いや、忍べてないよ」
『普段から存在感しかないよ』
「え、ええっと……スタイルよくていいなぁってお、思います!」
 そんな総ツッコミにサージェは背中からフレンドリーファイアされて、ちょっとへこんだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユーシア・ロクス
3P「ふっ、数を集めれば勝てると思ったら大間違いですよ!行きなさいわたし!出撃です!」
ユーシア・ロクス、『アイゼンケーファー』(プラクト)いきまーす!
2P「わたしとアルミィ先生も忘れるなっすよー!」

さて!状況的に多勢に無勢ですが……こういう時は早速UCです!
会場に「なんか樹海っぽい迷路」を創って敵集団を分断です!
直線以外のカーブや曲がり角の存在、そもそもフィールドを狭くして互いに好き勝手速度を出せない状況を相手に押し付けます!

そして速度が落ちた相手にブーストで突っ込んで『リボルビングパイル』!相手が纏まっている状態なら『クラスターミサイル』!全弾持って行ってください!

2P「あの…わたしは…?」



 数的優位というのは、戦場において勝敗を分かつ大きな要因となるだろう。
 それは言うまでもない。
 それこそ万単位の敵が迫るのならば大げさではなく、数こそが物を言う展開になるはず――だった。
「ふっ、数を集めれば勝てると思ったら大間違いですよ!」
 ユーシア・ロクス(まっさらゆうしゃ・f26126)の3Pは不敵に笑う。
「行きなさいわたし! 出撃です!」
「ユーシア・ロクス、『アイゼンケーファー』いきまーす!」
 その言葉にユーシアは己が作り上げた『アイゼンケーファー』を模したプラスチックホビーと共にフィールドに降り立つ。

 センサーには敵の存在を知らしめる明滅が埋め尽くしている。
 それほどまでに敵チーム『オーバード』のダーク化アスリートたちの操る『インセクトボーガー』の数は圧倒的だったのだ。
「たった一騎増えた程度で!」
「あの! わたしとアルミィ先生も忘れるなっすよー!」
 2Pが、わあきゃあ言っているがユーシアにはそれにかまっている余裕はなかった。
 状況は多勢に無勢。
 万単位で己たちに迫ってきているのだ。確かに『五月雨模型店』のメンバーたちと、そのサポーターたちも善戦しているが、数的優位の前にいつかはすり潰されてしまうだろう。
 それをさせぬと、こうしてユーシアたち猟兵が駆けつけているのだ。
「こういうときは!」
 そう、ユーベルコードである。
 
 ユーシアのプレイ日記~ダンジョンRPG1~(チズガウマッテナイヤリナオシ)。
 それは戦場に広がる樹海。
『インセクトボーガー』は、その特性上、一直線に走ることしかできない。突進力と引き換えに旋回能力が極端に低いのだ。 
 ぶつかることがホビーとしての本来の使い方であるがゆえに、旋回する必要がそもそもないのだ。曲がるときはぶつかった時、その拍子でしかない。
 ならばこそ、ユーシアの展開したユーベルコードの樹海は迷宮となって自分ではコントロールできない機動しか描けない『インセクトボーガー』を閉じ込めるのだ。
「この程度の壁など、こちらの突進で破壊して……」
「できないですよ! 好き勝手にさせないために貴方達を此処に閉じ込めたのですから!」
 そう、数的優位を誇るのならば、敵チームが好き勝手に動けない状況を押し付けるまで。それがユーシアの打ち出した数的優位を覆す方策だったのだ。

「破壊できない!?」
『インセクトボーガー』の突進力を持ってしても破壊できない迷宮の壁。
 そう、この迷宮を踏破しなければ、『獄道レーサー』はユーシアへと迫ることさえできないのだ。
「分断させて頂きました! そして!」
 ユーシアの駆る『アイゼンケーファー』が迷宮に飛び込み、迷路に迷い込んだ『インセクトボーガー』を『リボルビングパイル』の一撃で持って破壊する。
 さらに渋滞を起こすように迷宮内部で団子状態になっている敵を見れば、『クラスターミサイル』の一撃で持って一網打尽にしてみせるのだ。
「全弾持って行ってください!」
「助かったぜ! 敵の分断がうまくいっている!」
『アイン』の言葉にユーシアは『アイゼンケーファー』のマニュピレーターの親指を立てて合図を出す。

「次は、右翼の分断を願えますか」
「お任せください!」
『ツヴァイ』が戦場を俯瞰し、敵の動きを察知しユーシアに分断作戦を依頼する。その言葉に後押しされるようにユーシアは『アイゼンケーファー』と共に再びユーベルコードを発露するのだ。
 彼女の動きが敵の万単位の軍勢の動きを乱し、その連携をなきものとしていく。
「あの……わたしは……?」
 その様子に2Pは、何もすることがなくて、ぽつねんと立ち尽くすしかないのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
『アイン』『ツヴァイ』『ドライ』『フィーア』、そして『フュンフ・ラーズグリーズ』
彼等が同じフィールドに立つ姿はどこか眩しく見える
どれほど敵が多くても何も怖くはない
あなた達と一緒に戦えるなら立ち向かえるわ

とはいえ、これだけ大群だとすぐ囲まれてしまうわね
『フェンフ』に背中を預けましょう
私と『弧月』は彼の背後を守るわ
一人じゃないって、こういうことよ

【邪視の瞳】で悪魔の瞳を召喚
湧き上がるパワーで相手の機体を跳ね除けるわ
見抜いた弱点を狙って渾身の一撃を叩き込んであげる



 戦場を疾駆する四機の『セラフィム』。
 装甲の赤と青が入り交じることなく、そこに存在している。
 悪性と善性。
 人がそれを持つが故に生まれる良心。それを体現するように『五月雨模型店』のメンバーたちが操る『セラフィム』は万の軍勢を前にしても立ち止まることはなかった。
『ツヴァイ』の手繰る指揮能力に長けた機体が戦場を俯瞰し、猟兵達と連携しながら『五月雨模型店』のサポーターたちのホビーを欠けることなく守り通す戦術を選択している。
 さらに『ドライ』が砲撃を行って敵の進撃の勢いを削ぎ落とす。
『フィーア』は最も敵の層が分厚い場所へと飛び込んで『幻影』装置の機能を使って撹乱し続け、敵の目を引き付け続けている。

 そして、薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)は見た。
 あの輝きを。
 羽ばたくようにして『アイン』の『セラフィム』が光の翼を発揮しながら、手にした大型突撃槍を振るって矢のように敵陣を切り裂くのを。
「眩しいわ」
 彼女はそう思った。
『アイン』、『ツヴァイ』、『ドライ』、『フィーア』。
 彼女たちが戦う姿を見て、そして同じフィールドに立つ姿はどこか眩しいものであり、またかけがえのないものであると彼女は思えてならなかったのだ。
 それはきっと、彼女の傍らにいる『フュンフ・ラーズグリーズ』にも同じものであったことだろう。

 亜麻色の髪が風に揺れている。
 操縦パーティションの中に風は吹き込まない。けれど、風を感じるのだ。
「……怖くはない?」
「何も怖くないよ。僕は」
「そう、私もそうよ。あなた達と一緒に戦えるなら、きっと万の軍勢にだって立ち向かえるわ」
 静漓のプラスチックホビー、悪魔型の『孤月』と『フュンフ・ラーズグリーズ』が急いで作った木人じみたシンプルな人型のロボットホビーを一斉に取り囲む敵チーム『オーバード』の『獄道レーサー』が操る『インセクトボーガー』たち。
『フュンフ・ラーズグリーズ』の操るホビーは、きっと『無敵雷人』、『エイル』の機体に寄せたのだろう。つるんとした姿を見て、よほど好きなのだと静漓は思った。

 大群が迫る中、『孤月』が『フュンフ・ラーズグリーズ』のホビーに背を合わせる。
「どうするっていうの?」
「あなたの背中を私が護るわ。ひとりじゃないって、こういうことよ」
 その言葉に黒い瞳が星を映すように揺らめいたのを静漓は隣り合ったパーティションの向こう側に見た。
 あの子があんな顔をするとは思わなかった。
 けれど、静漓はそれでいいと思ったのだ。泣きべそかいていたあの子が、けれど涙をこぼすこと無くまっすぐにこちらを見ている。
 もう、あの子は道を違えることはないと理解した。

「行くわ、『フュンフ・ラーズグリーズ』。私の背中は――」
「僕が護るよ、静漓」
 その言葉と共に迫りくる『インセクトボーガー』を打ち倒す『フュンフ・ラーズグリーズ』の機体。
 爆発が起こり、互いの機体を護るようにして動き始める。
『孤月』の瞳が煌めき、邪視の瞳(ジャシノヒトミ)へと変貌する。
 それは『インセクトボーガー』の弱点である駆動部を見つめる。
「そこが弱点、というわけね」
 邪視の瞳(ジャシノヒトミ)は軍勢迫るがゆえに己の『孤月』のパワーが跳ね上がっていくのを感じる。

『インセクトボーガー』は確かに強烈な突進力を持っている。だが、それは直線的なものであり、真正面から激突することで力を発揮するものだ。
 ならば、横から……それも、その突進力を発揮するための車輪を穿てばどうなるかなどいうまでもない。
 振り抜いた拳の一撃がまるで、そう……ボクシング的に言うのならば、フックのように弧を描いて『インセクトボーガー』に叩き込まれ、その車体を跳ね上げて爆散する。
「それ、僕もできるよ!」
 静漓を手本にするようにして『フュンフ・ラーズグリーズ』もまた木人じみたホビーの拳を奮って『インセクトボーガー』を撃破していく。
「いいわ、上手」
「えへ」
 静漓は己の背中を彼に任せ、迫りくる敵の大群を蹴散らし続けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
真打ちは遅れてやってくる!
そう!具体的には後ろの方で引き撃ちしながらやってくる!
決して諸々乾いていないとかそんなんじゃあない事も、ないアルヨ

【高速演算】起動
なるべく敵から離れて、最低限の可動で射撃ポーズ
斬撃の力をライフルに込めて、狙撃していこう
乾燥中は激しく動けない!
最新のキットなのに、旧キットみたいな射撃ポーズで後方から撃って撃って撃ちまくる

インセクトボーガーは低重心で高トルク!
なら狙うのはインセクトボーガーの進路上
機体に当てるんじゃなくて眼の前に置いて、衝撃波で「吹き飛ばし」てひっくり返す!

ええい、近寄るな近寄るな!
塗料が付くぞ、部品が引っ付くぞ!
乾く前のプラモの儚さを見たいのか!



『WBC』第二回戦の戦況はやはり万単位の軍勢を繰り出す『オーバード』に傾いている。
 それもそのはずだ。
『プラクト』は殲滅戦。
 最後の一騎が倒されなければ、敵チームを打倒したことにはならない。
 そういう意味では万の軍勢でもって『五月雨模型店』を圧殺しようとした『オーバード』の戦略は正しいものであると言えるだろう。
 そのやり方が間違っていると言うだけの話ではあるのだ。
「これだけやっても突き崩せない!」
「数が膨大になれば、それを管理するための指揮は煩雑になろうというもの……ですが、その隙がないです」
『アイン』と『ツヴァイ』は己の駆る『セラフィム』でもってどうにか『オーバード』の隙を見出そうとしていた。

 だが、圧倒的な軍勢を前にして彼女たちはその隙を突くことができないでいた。
 攻めあぐねている、と言ってもいい。
 その膠着しかけた戦況は、どうあがいても『オーバード』に傾く運命であったのだ。
「真打ちは遅れてやってくる!」
 放たれるビームの光条。
 その一撃が『インセクトボーガー』を貫き、爆散させる。
「どこからだ!? 一体……」
『獄道レーサー』たちは次々と己達の駆る『インセクトボーガー』を打ち貫く射撃に周囲を見回す。

 彼女たちのホビーは低重心である。
 大地に張り付くようにして走り抜けるホビーであるがゆえに、射撃が当たりづらいのだ。なのに、こうも正確に打ち込んでくるとは……。
「一体どこだ……!」
「……!? あ、あれは!?」
『オーバード』の『獄道レーサー』たちも、『五月雨模型店』のメンバーたちも、その姿をみやり目を見開く。
 そこにあったのは、月夜・玲(頂の探究者・f01605)の操るホビーが寝そべるようにしてライフルを構える姿であった。
 伏せたようなスタイル。
 それは低重心のホビーである『インセクトボーガー』に対する有効な狙撃態勢であった。
 だが、なんで?

 そう、いつもの彼女なら派手に双剣を振るったり機動力を活かして縦横無尽に駆け抜けているところだ。
 けれど、それをしない。
 何故?
「決して諸々乾いていないとかそんなんじゃあないことも、ないアルヨ」
 どっちアルヨ?
 いや、これ絶対乾いてないな!? 
 まるで旧キットである。プロポーションを変更したことによる弊害。
 プラ板を挟み込ませたり、襟を詰めたり、顎を引けるように変更したりで、あちこちガタガタなのである。
 本来ならばしっかり乾燥させればそういうこともないのであろうが、玲はこういうホビーに対して手を抜けない質なのだろう。 
 よせばいいのにエポキシパテやらなんやらの乾燥しづらいマテリアルをドライヤーなどで強制的に乾燥させたりで時短していたのだ。

 となればそう、諸々スケジュールが破綻してくるというものである。
「まだ乾燥中じゃないの、それ!?」
『アイン』の言葉に玲は、しーっ! と指を立てる。
「バレるでしょ!」
「え、いや、だって……」
「いーから、『インセクトボーガー』は低重心で高トルクなのが、あのスピード出しても安定しているミソなんだから!」
 故に寝そべっての狙撃。
 敵の攻撃目標にならないように目立たないこと。
 そして安定してライフルを撃つことができるということ。

 これが玲の導き出した最適解!
「……それなら別に、プロポーション変更しなくてもよかったのでは……?」
「それは言わぬが花! やりたくなったんだから仕方ない!」
 そぉい! と玲が引き金を引く。
 だが、その射撃に対応してくる『獄道レーサー』たちの姿も見受けられる。
「ならさぁ!」
 高速演算(コウソクエンザン)によって敵『インセクトボーガー』の軌道を予測する。確かにこちらの狙撃も直線的だ。
 回避される可能性だってある。
 けれど、と玲はユーベルコードに寄って、敵の進路方向に射撃を打ち込むことに寄って直撃ではなく、衝撃波でもって車体をひっくり返してみせたのだ。

「ええい、近寄るな近寄るな! 塗料がつくぞ、部品が引っ付くぞ! 乾く前のプラモの儚さを見たいのか!」
 指紋とかついたら最悪だもんね。
 いや、今はそういうことじゃないのだが、しかし、玲は未だ乾燥していない未完のホビーでありながら『インセクトボーガー』を圧倒するのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イリスフィーナ・シェフィールド
敵が七分で陸が三分……いえ十分といっていいでしょうかね、これですと。
まぁ狙いを付ける必要がなくて楽ですわね、向かってくる方は皆打ち砕けばよろしいのですし。

指定コードで真の姿に変身(イラスト参照)して巨大氷柱を何本も撃ち出して攻撃。
凍らせて敵機体を追撃で砕きながら地面も氷結させて後続をスリップさせやすくいたします。
増強された速度と馬力が仇になってコントロールを失って横転したり
壁に激突したりするのを横目に皆凍らせて追撃で木っ端微塵に砕いていきます
ダーク化されて自分たちの意志とは言えないかもしれませんが
スポーツマンシップの欠片も無い方々に容赦は不要ですわ、皆塵にして差し上げましょう。



 ダークリーガー『草津・アサヒ』に率いられた『オーバード』の戦力は万単位の軍勢であった。
 観客席の全てが敵。
 ダーク化アスリート『獄道レーサー』たちによって買い占められたチケットは、確かに『五月雨模型店』を窮地に追い込んでいた。
 場外からなだれこんできた『五月雨模型店』のサポーターたちの力があっても、それでもなお覆し難い戦力差。
「敵が七分で陸が三分……いえ、十分といってもいいでしょうかね、これですと」
 イリスフィーナ・シェフィールド(女神様の巫女兼スーパーヒロイン・f39772)はあまりの戦力差に思わずそう呟いていた。
 だが、彼女の表情は不敵そのものだった。
 そう、彼女にとって数的優位などいくらでも覆せるものであった。

「確かに圧倒的。ですが、狙いをつける必要がなくて楽であるとも言えますわね」
 つまり、向かってくる者を全て打倒してしまえばいい。
 ただそれだけのことだとイリスフィーナは断じる。
 あまりにも直線的な考え方であったが、このような逼迫した状況であるのならば、むしろそのように考えられた方が精神的にもよかったのかもしれない。
「ならば、吹けよ氷雪、降り注げ氷柱!」
 イリスフィーナを模したプラスチックホビーの瞳がユーベルコードに輝く。
 狙いを付ける必要はなく。
 そして、敵はこちらに突撃してきているのだ。

 ならばこそ、敵の高トルクを逆手に取る。
 高いトルクは、その車輪がしっかりと大地との間に摩擦を生み出すことによって生まれるものである。もしも、その大地が摩擦を生み出さぬものであったのならば……そう、スタックするのである。
「アイシクル・レインですわっ!」
 放たれる氷柱が次々と大地に打ち付けられ、凍らせていく。
 大地は凍てつき、『インセクトボーガー』の車輪が空転するのだ。空転すれば高トルクであるがゆえに車体を安定させようと空回り続ける車輪はスリップを生み出し、味方であるはずの『インセクトボーガー』同士で激突し、爆発するのだ。
「なっ……路面が!」
「高トルクが仇となりましたわね! その隙に!」
 雪女の如き風貌となったイリスフィーナのプラスチックホビーが巨大な氷柱を掲げる。

「ダーク化されたあなた方に自らの意志などないのかもしれません。ですが、スポーツマンシップの欠片もない方々に容赦は不要ですわ」
 イリスフィーナは微笑む。
 それがせめてもの慈悲であるというように、観客席の全てを埋め尽くしてでも相手チームのサポーターを場外に締め出したやり方、その悪辣さを貫くように氷柱を叩きつける。
 爆発が連鎖的に巻き起こり、彼女の生み出した氷雪が溶けていく。
 だが、その溶けた端からもイリスフィーナのユーベルコードは凍結させていくのだ。
「皆塵にして差し上げましょう」
 そこからのイリスフィーナは雑、と言われても仕方のない攻撃を盛大に行っていた。
 乱舞するような氷柱。
 その全てが迫りくる『インセクトボーガー』の大群に叩きつけられ、その尽くを爆発の中に飲み込ませていくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

流体金属の鎧を取り払った姿
ふくよかで柔らかな印象すら与えた丸みの下に秘されていたそれは幾何的で均一な曲線と鋭角を為す直線で構成されて、兵器の無骨さというよりも生きとし生けるものへの悪意を宿すかのような禍々しさを見る者に想起させる…
殺意を縒り合わせるように全身を荷電粒子砲を繋ぎ合わせて構成された歪な人型を露わにしたその姿は――異質―――

●以上!UC『神論』を利用したバラバラXくんネイキッドの強制解説をブース隅っこでヒソヒソやって終わり!

今日は流体金属ワイヤーでのエネルギー伝達に難があるから分離しないまま手加減無しの全身砲台モードでいくよー!
目標の指示は当然【第六感】で!



 子供の屁理屈じみた設定、とも取れる。
 何が、というとロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)が作り上げたプラスチックホビー『バラバラX』の設定である。
「流体金属の鎧を取り払った姿」
 え、急に始まった何か。
 それは巨大モニターをジャックして流れ始める謎のプロモーションムーヴィー。
 言うまでもない。
 ロニがジャックして流しているのだ。
「な、なんだあの映像!? お、おい何をしている! 止めないか!」
「と、止められません! こちらからのコントロールを受け付けていないのです!」
 慌てふためく運営委員たち。

 それもそのはずである。
 神性であるロニがジャックしているのだから、人の身たる彼等がどうこうできようはずもない。
「ふくよかで柔らかな印象すら与えた丸みの下にひされたそれは幾何学的で均一な曲線と鋭角を為す直線で構成されて、兵器の無骨さというよりも生きとし生けるものへの悪意を宿すかのような禍々しさを見る者に想起させる……」
 あ、このナレーション、ロニ本人であろうか。
 なんか声の雰囲気が違ったのでわからなかったが、きっとそうであろう。
「なーにやってんだ、あいつ……」
『アイン』たちは半ば呆れていたが、しかしロニがやっていることなので、デタラメもいいところなのだと理解しているのだ。

「殺意を縒り合わせるように全身を荷電粒子砲を繋ぎ合わせて構成された歪な人型を露わにしたその姿は――異質―――」
 そこまで語り終えたロニは神妙な顔をくずして笑う。
「以上! これが『バラバラX』くんネイキッドの解説だよ!」
 ぶつん! と巨大モニタージャックが解かれたのか、試合の様子を中継する映像に切り替わる。
 運営委員たちにとっては、幸いであったが、これから始まるスポンサーからの追求になんて原因を説明していいかわからない困惑に満ちた時間が待っているのだが、それはまた別の話である。
 そう、ロニが何故こんなことをしたのかというと、神論(ゴッドクィブル)によって『獄道レーサー』たちが操る『インセクトボーガー』の攻撃力を極端に引き下げるユーベルコードのための前提条件であったのだ。

 つまり、すでにロニによる時間遡行は行われており、理不尽なまでの映像ジャックという世界改変さえも終わっているのだ。
「突進力が落ちている……!? パワーダウンだと!?」
「出力は変わらないのに突撃ダメージが通らない!」
「な、なんだ……どうなってんだ?」
「アハハハ! 神に同じ技は二度も通じない! これすでに常識! あ、まあキミたちにとっては一度目だけれどね!」
 ロニは笑いながら『バラバラXネイキッド』と共に加減のない全身砲台とも言える光条の一撃をハリネズミのように解き放つ。
 その光条はたしかに強靭な装甲をもっていても攻撃力を引き下げられた『インセクトボーガー』たちを容易く貫き、その機体を爆散させる。
「さあ、敵の攻撃力は下がっているよ! みんなーせいだいにやっちゃおうねー!」
 さらに『五月雨模型店』のサポーターたちと共にロニはフィールドを飛び回り、『オーバード』の戦力を大きく削り取るのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『草津・アサヒ』

POW   :    テニスは爆炎だ
【爆炎テニス】に覚醒して【テンション】に比例した【火力を宿す選手】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    テニスは爆弾だ
自身に【任意に大爆発を起こす火の玉】をまとい、高速移動と【火の玉ストレート】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    テニスは爆殺だ
対象の攻撃を軽減する【全身炎熱エネルギー・プレイヤー】に変身しつつ、【何かに接触する度に大爆発するテニスボール】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:ソファ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠別府・トモエです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「なんでよ! なんでこうなるのよ!!」
 ダークリーガー『草津・アサヒ』は試合の戦況が一向にこちらに傾かぬことに苛立つ。
 万単位のサポーター、もといダーク化アスリートたちは次々と『五月雨模型店』と、そのサポーター、猟兵たちによって打倒されていく。
 万を超える軍勢である。
 なのに、尽くが役に立たない。
 なんで、と彼女は心底思ったことだろう。去年だってそうだったのだ。日本代表として出場した第一回『WBC』。そこで彼女は敗北を喫したのだ。
 圧倒的な戦力を有しておきながら、たった一人のチーム『無敵雷人』によって初戦で敗退してしまっていた。。
 あの屈辱を忘れたことはなかったのだ。
 だからこそ、真っ向からぶつかって『無敵雷人』に勝利した『五月雨模型店』が許せなかった。
 何をしてでも彼女たちを妥当しなければならなかった。
 万策を用いたはずだった。隙などなかった。
 資材を抑え、チケットを買い占め、己の配下でスタジアムを満たした。なのに。
「なのに、どうしてまだあんたたちは!」
 怒り狂う感情を炎に帰るようにして『鉄球バスター』のテニスプレイヤーカスタムを駆る『草津・アサヒ』は凄まじい炎の必殺サーブをフィールドへと隕石の如き叩き込む。

 凄まじい爆風が吹き荒れ、『五月雨模型店』のサポーターたちが吹き飛ばされる。
 残すは猟兵と『五月雨模型店』のメンバーたちのみ。
「許せない。私が倒すはずだったのに! この私が! その称賛を得るはずだったのに! それを横からかっさらったあんたたちなんか!」
 嘗て戦った『鉄球バスター』以上の速射性と威力を兼ね備えた必殺スマッシュが、『草津・アサヒ』の怒りを体現するように猟兵たちのホビーに降り注ぐ――。
馬県・義透
引き続き『疾き者』で『機動宇宙騎兵』だが

陰海月「ぷっきゅ!」

…陰海月語を翻訳します…

そっか、悔しいんだね。悔しかったんだね。
でも!このやり方は間違ってるから!
横からじゃないもん。真正面から打ち勝った彼らだから!!
(あと、チケット買い占め許さない!)
だからぼくは、おじーちゃんに代わってもらって、ここにいるんだ!

光珠をぽいぽい投げていくよ!
これなら、テニスボールにぶつかって爆発に巻き込まれてもいいし…『鉄球バスター』には、四天霊障(極彩色)での押し潰し!軽減しても、この極彩色の呪いは軽減できないでしょ!


霹靂「クエ…クエ?」
チケットの恨み入ってない?



 炎が渦巻いている。
 それはダークリーガー『草津・アサヒ』の操るホビー『鉄球バスター』テニスプレイヤーカスタムが放つ炎であり、また同時に彼女自身の心の内側より溢れる嫉妬の炎でもあった。
 そう、彼女は怒り狂っている。
 自身が得られるはずであった称賛を『五月雨模型店』が受けていることを。
「私だって勝てる算段はあったのよ! 勝てるはずだった! それを、順番が違っただけで!」
 こうも明暗が分かれるのかと彼女は怒り狂う。
 打ち込まれる爆炎の如き鉄球の一撃が雨あられのように降り注ぐ。
 従来のサッカープレイヤータイプの『鉄球バスター』とは異なり、打ち込む鉄球は小さくなっているが速射性に優れ、またしかし『草津・アサヒ』の力に寄って、その威力はサッカーボール並の鉄球以上に威力となって降り注いでいるのだ。

 苛烈なる構成に『アイン』たちは防戦一方だった。
「あんたは……そうか、全部自分のためなんだな。だから」
「そうよ! アスリートなんて全員そうでしょう! 自分のため! 称賛は全て私のもの! そこまでエゴイスティックじゃなければ!」
 偽物だというように叩き込まれる鉄球の爆炎。
 その爆炎を受け止めながら『機動宇宙騎兵』が飛び込む。
 鉄球の爆炎を受けながら、霊障で受け止めるが、熱波はプラ装甲を溶かしていく。
 角飾りも、鎧も、すべからく熱波を前に溶け出している。

 だが、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)の一柱『疾き者』は止まらない。
『陰海月』が作った大切なホビーだ。
「ですが、だからこそ、ここで退いてはならぬことがわかるのですよー」
 そう、退いてはならない。
 目の前の『草津・アサヒ』の言い分、そのエゴを肯定することになる。
 故に。

「ぷっきゅ!」
『陰海月』は思う。
『草津・アサヒ』の口惜しさを。悔しさを、悔恨を。
 己にではない降り注ぐ称賛の光を妬ましく思う心を。
 それでも間違っているのだ。
 悔しくて、悔しくてたまらなくても、やり方を間違えれば、その熱量さえも間違った形にしかならない。
 故に『陰海月』は四悪霊・『虹』(ゲーミングカゲクラゲノツヨサヲミヨ)によって『疾き者』と合体する。
「私のほうがすごいのよ! だから! 横入りするような連中は!!」
 違う! と『陰海月』は叫ぶ。

 その言葉ならぬ言葉は、しかし『草津・アサヒ』に届くだろう。
 彼等は、『五月雨模型店」は横入りじゃない。真正面から戦って、勝ち取ったのだ。 だからこそ、己は此処にいる。
『疾き者』と合体し、此処にいる。
「だからぼくは、おじーちゃんに代わってもらって、ここにいるんだ!」
 あと、チケット買い占めは許さない!
『霹靂』はそっちのほうが私怨入ってない? と思ったが、しかし『陰海月』は止まらない。
 投げ放つ光珠と『草津・アサヒ』の放つ爆炎の鉄球が激突し、爆発を巻き起こす。
 苛烈なる打ち合い。
 それが見せるは、圧倒的な熱量。
 互いに勝利に手を伸ばさんとする熱量だけで『陰海月』は戦っているのだ。
 負けない。
 絶対に勝つんだ、という思いと思いとが激突し、凄まじい熱波を互いのホビーに浴びせる。

 投げ放たれる極彩色の呪詛が鉄球を弾き返し、更には『草津・アサヒ』の操るホビーをおも侵食していくのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イリスフィーナ・シェフィールド
ふむ、対戦相手を決めるくじ運が悪かったですわね。
でも称賛が欲しかったのなら無敵雷神を倒した
五月雨模型店の皆様を真正面から倒せばよかったのでは。
今回のような手段で勝っても誰も褒め称えてはくれないと思いますが。

無敵雷神に勝ちたかったというなら個人的に勝負を挑めばよろしかったでしょう。
五月雨模型店の皆様に戦えなかった怒りをぶつけるなどお門違いも甚だしいですわ。

……ここまで言えば怒り心頭でしょうか。
全力でこられるとよろしいですわ、真正面から打ち砕いて負けを認めさせます。

指定コードで必殺スマッシュと真っ向勝負。
野球ボールサイズの球ですが投げに限定されてないので速射するため蹴っても殴っても投げてもOK。



「誰もこの私を認めないというのなら、認めさせてやるまでよ! 本当の称賛を浴びるのは、この私だったのだと!」
 ダークリーガー『草津・アサヒ』の咆哮と共に『鉄球バスター』テニスプレイヤーカスタムのフレームが軋みを上げる。
 それほどまでの裂帛たる気合。
 確かにそれだけの実力が在ったのならば、たしかに『無敵雷人』との試合もさぞや燃え上がるものとなったはずだろう。
 けれど、運命というのは覆すことのできないものであったのかもしれない。
 試合の順番が違ったというだけで、それはまるでボタンの掛け違いのように彼女を歪ませてしまったのだ。

 歪んだ力は、歪んだ結果を生み出す。
 確かに人の心は流動的だ。
 心変わりだってあるだろう。変化するということは即ち成長でもあるからだ。
 だからこそ、とイリスフィーナ・シェフィールド(女神様の巫女兼スーパーヒロイン・f39772)は思う。
「称賛がほしかったのなら『無敵雷人』を倒した『五月雨模型店』の皆さまを正面切って倒せば良かったのです」
 だが、『草津・アサヒ』はそうしなかった。
 コネクションも、財力も、配下も、戦う前からの根回しも、全て己の実力のうちだと語ったのだ。
 故に歪む。

 どうしようもないほどの勝利、称賛への執着は、彼女の生き方さえ歪めてしまうのだ。
「今回のような手段で勝利を得たとて、誰も褒め称えてはくれないと思うのですが」
「結果が全てでしょう! どんな綺麗事を言っても、敗者には慰めの言葉しかない。そんなこと、この私が許せるわけもない! だから!」
 放たれる鉄球のスマッシュ。
 その苛烈さは凄まじいの一言に尽きるものであった。
 だが、イリスフィーナは認められぬ者への憐憫を籠めた瞳を向ける。
「ならば、何故あなたは『無敵雷人』その人に個人的にでも戦いを挑まなかったのですか。貴方は結局、お門違いな怒りに身を燃やしているだけに過ぎないのですわ」
「この私を謗るなど!!」
 怒り心頭と共に放たれるスマッシュは猛烈な勢いと共にイリスフィーナのホビーを襲う。

 熱波が荒び、衣装が溶け落ち、または燃える。
 あが、それでもオーラによって生み出した球をイリスフィーナは投げ放つ。
 それは心を燃やして生まれたオーラによる炎をまとい、嫉妬と怒りにまみれた「草津・アサヒ』の必殺スマッシュと激突する。
「これが必殺魔球、レイジングスピリット・オン・ファイヤーですわっ!」
 それは『草津・アサヒ』が仕掛けた場外戦法でもなんでもない。
 ただの真っ向勝負。

 己の全身全霊を賭けた一球は、狂える炎と激突して最後にはオーラと鉄球だけが残る。
「私の炎が消えた……!?」
「なるほど、わたくしの心を燃やす炎と同格……それほどでしたか……ですが、勝負分かつのは!」
 そう、最後に勝負を決めるのは、結局プレイヤーの気持ちである。
「心なのですわっ!」
 勝利する。
 それに向かって手を伸ばした者こそが、弛みない練磨の果に称賛を得るのだ。
 イリスフィーナは飛び込み、オーラの球へと拳を叩き込み、鉄球毎『草津・アサヒ』のホビーへとその一撃を届かせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カタリナ・ヴィッカース
●SPD

まぁ、何と猛々しい勝利を求める欲望の炎!
ええ、分かっています
ここまであらゆる万策を尽くしたのですもの
狂気を秘めた欲望の叫びほど進化を求める魂の叫びにおいて他なりません

ですが、行き過ぎた進化は滅びと紙一重
刹那的な欲望ほど身を滅ぼすものです
私のけしからん美プラでよくそんな言葉を言える、ですか?

何を仰います
私のルキフェルに魅せられ、新たな境地の扉を開く者が出ればそれで良いのです
性癖が一般化されれば、ゆくゆくは私の想像を超える新たな美プラシリーズが…フ、フフヒッヒ…

しかしながら、私はテニスという物のルールは理解しても残念ながら貴女の足元に及ばないのは事実
ですので、こちらも勝つ為に手段を選ばなくとも卑怯ではないですよね?

【ステータスオープン!】
何をしたか?
貴女の過去を視覚化させたまでです
名のある選手ほど、メディアの報道や匿名掲示板やSNSでの情報が豊富ですから助かりましたわ

えぇっと…ありました
『わたしの将来の夢』
小学校時代に書かれた|作文《黒歴史》のようですね
では、この場で朗読致しましょう



 燃え盛る炎の色は、見る者によってその色を変えたことだろう。
 それほどまでにダークリーガー『草津・アサヒ』の持つ勝利への執着、渇望というものは強烈なものだった。
 猟兵たちの攻勢を受けてなお、彼女は吹き荒れる炎と共に己のホビー、『鉄球バスター』テニスプレイヤーカスタムを手繰る。
 人型のプラスチックホビーであるが、その打ち出される鉄球の威力は正しく破格。
 本来ならばサッカープレイヤーを模したものが多いのだが、『草津・アサヒ』の操るホビーは美少女プラモデルとコラボレーションしたかのような造形をしていた。

 それ故に、カタリナ・ヴィッカース(新人PL狩り黒教ダンジョンマスター・f42043)の瞳がギラリと輝く。
「まぁ、なんと猛々しい勝利を求める欲望の炎!」
「そうよ! 私が求めるのは勝利にして称賛! 私が浴びるはずだった称賛を掠め取った『五月雨模型店』なんてものはね! この炎で燃やし尽くしてあげるわ!」
 まるで火の玉のような速度で持ってフィールドを自在に駆け抜ける『草津・アサヒ』のホビー。
 その上、爆炎纏う鉄球をサーブしてくるのだからたまったものではない。
 それほどまでに苛烈な攻勢を受けながらカタリナは深く頷いた。

「ええ、わかっています。ここまであらゆる万策を尽くしたのですもの。狂気を秘めた欲望の叫びほど進化を求める魂の叫びにおいてほかなりません」
「何を言っているのよ、あんたは!」
 炸裂する火の玉スマッシュ。
 その一撃を躱しながらカタリナは己の駆る『ルシフェル』と共に戦場を舞う。
 もう戦っているというより、己の生み出した性癖破壊美プラを巨大モニターを通してスタジアムのダーク化アスリートや中継している動画配信サービスを視聴している世界中の人々に届けているだけなのかもしれない。
「ですが、行き過ぎた進化は滅びと紙一重。刹那的な欲望ほど身を滅ぼすものです」
 いや、マジでこの人、誰が誰に言っているのだろうと思わないでもない。
「いや、本当だよな……」
『アイン』はそう思った。心から。
 カタリナは本当に刹那的な欲望をこそ尊ぶのではないかと思ったのだ。

 冷静になったら負け、という言葉もある。
 そう、情熱はあっつい内にぶっ叩くものである。 故に、カタリナは自信満々に唱えるのだ。
「故に、私は告げましょう! あなたの欲望を肯定するのだと!」
「そのホビーでどの口が言うのよ!」
「何をおっしゃいます」
 カタリナは慈愛に満ちた瞳を『草津・アサヒ』に向ける。
 なんかぬるっとした視線だった。違和感を覚えたのは『アイン』たち『五月雨模型店』のメンバーであった。
 なんか、やな予感がする。

「私の『ルシフェル』に魅せられ、新たな境地の扉を開く者が出れば、それで良し。良いですか。良い言葉を授けましょう」
 微笑むカタリナに皆黙った。
 なんか静かに聞くところだと思ったのだ。いや、それは間違いであるが。
「『性癖は知られたのならば、一般性癖』です」
「――は?」
 みんなそんな顔をしていた。
 よもや、世界大会で何を口走ってるんだろう、という顔である。

「わかりませんか? はるか昔。有史以来人類が辿ってきた道は、どれもが最初がありました。どんなことにも最初は奇異なる視線を向けられるものです。ですが、その性癖を受けて目覚めたのならば、その性癖は特別ではなく、普遍なるものへと変わるのです!」
 即ち!
 原液カルピスがどんだけ濃ゆくても!
 水で薄めれば飲み干せないほどではないものに変わるように!
 性癖だって広く知れ渡れば一般性癖に変わるのだ! 暴論が過ぎる。

「な、なにをいってんのあんた……?」
「その戸惑いの隙に、ステータスオープン!」
 瞬間、カタリナの瞳がユーベルコードに輝く。
 一体全体何が起こったのか理解できなかっただろう。
「な、何? 何が起こったの?」
「ふっ……巨大モニターを御覧ください」
 カタリナが示す先にあったのは、『草津・アサヒ』の過去。
 そう、彼女能ユーベルコードは『草津・アサヒ』の個人情報を開示したのだ。それは過去。つまり!

「そ、それは!」
「『わたしの将来の夢』」
「あー! あー! あー!! あ、あんた何してくれてんのよ!」
「いえねぇ、私感動しました。これだけ勝利への欲求を抱えていながら、あなたにお可愛らしい時代があったのですね。麗しい家族愛ですこと」
 にまにましながらカタリナは一枚の作文用紙をちらつかせる。
 それどころか、朗読したはじめたのだ。
『草津・アサヒ』の将来の夢。
 多分恐らく、幼稚園児時代のものであろう。それはたどたどしい筆跡で書かれていたのだ。
「や、やめ……!」
「へえ、へぇ、『パパのお嫁さん』ですか。これはまあ、また随分お可愛らしい|作文《黒歴史》ですこと」
「あー! あー!!!」
 なんて、カタリナは微笑み、慈愛の瞳で持って黒歴史発掘という心的ダメージを『草津・アサヒ』に与え、打ちのめすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

薄翅・静漓
『WBC』前大会日本代表『草津・アサヒ』
プラクトPVや雑誌で見て知っているわ
すごい選手との試合に、ドキドキしてる
思わず瞳を輝かせてごめんなさいね
プラクトが好きな私には、彼女も憧れの選手なのよ

サポーター対決には決着がついたわ
ならば私は選手同士の戦いを見守りたい気持ちよ
飛んでくるボールを空中浮遊と結界術で避けつつ
自作の応援手旗を降り、エールと共に【応援の翼】を送りたいと思うわ
けれどこれは私のやりたい事
『フェンフ』あなたにもやりたい事があれば応援するわ
あなたの背中にも光の翼があるはずだから

みんな、がんばって
最後まで楽しんでいきましょう



 迫る炎のスマッシュ。
 その一撃は苛烈にして強烈だった。
『鉄球バスター』と呼ばれるホビーのテニスプレイヤーカスタム。『オーバード』、暁の歌と言われた前回大会にも出場したチームの『エース』。
 それが『草津・アサヒ』だ。
「あれが……」
 薄翅・静漓(水月の巫女・f40688)はあまり表情の動かぬ猟兵だ。
 虚ろな眼差しに冷たい声を持つ女性。けれど、彼女はこのアスリートアースに訪れるとどこか違う印象を与える。
「知っているわ。『プラクト』PVや雑誌で見ているから」
「だったらなんだというのよ! この私を笑うというの! 初戦敗退の日本代表と!!」
 怒り狂うようにして『草津・アサヒ』の必殺スマッシュが炎と共に鉄球を打ち放つ。

 その一撃を前にして静漓は頭を振りながら己のホビー『孤月』の両腕を交錯させる。
 受けきれるかわからない。
 彼女が『草津・アサヒ』のことを知っているのならば、それは無謀に思えたことだろう。彼女は腐っても日本代表の一角。
 強烈なる爆炎じみた一撃こそが彼女の最大の持ち味。
「静漓ねーちゃん、ダメだッ! それは受けては!」
「間に合うか、『クリスタルビット』!」
『孤月』の眼前に集結する水晶の如き子機『クリスタルビット』が盾となって『草津・アサヒ』の必殺スマッシュを受け止める。
 だが、吹き荒れる炎は『クリスタルビット』をも溶解させて『孤月』へと迫る。
 静漓が提供したことによって生まれた『クリスタルビット』であっても、『草津・アサヒ』の一撃は止められなかった。

 凄まじい爆発が巻き起こる。
 爆炎が消えた時、そこに『孤月』は立っていた。無傷だった。
「『フュンフ・ラーズグリーズ』……あなた」
「これは僕のしたいことだ。だから」
 気に留めなくていいというように『フュンフ・ラーズグリーズ』のホビーが『孤月』を守っていた。
 木人のようなホビーの表面が溶解している。ひび割れていく。
「私は、あなたを知っている」
「だったらなんだというのよ!」
「私にとって、あなたもまた憧れの選手なのよ」
「――……ッ!」
 その言葉に『草津・アサヒ』は言葉に詰まる。
 まっすぐに向けられた言葉に彼女は戸惑うようでも在った。己の怒りに冷水を浴びせかけられるような、そんな言葉だったのだ。

「お前の相手は私達だろうが!」
 突撃槍を構えた『アイン』の『セラフィム』が『草津・アサヒ』の『鉄球バスター』と鍔迫り合いをする。
 ラケットと突撃槍が交錯し、火花を散らす。
 そんな彼女たちをみやり、静漓は『孤月』と共に旗を掲げる。
 それは応援旗であった。
 そう、それは彼女の偽りのない気持ちだった。自分は今胸が高鳴っている。間違いようのないほどに、それは確かなことだった。

 サポーター同士の戦いは決着がついた。
 ならば、今自分は見守りたいと思ったのだ。彼女たちの戦いの行く末を。
 応援の翼は彼女たちに届く。
 光の翼を得た四機の『セラフィム』が『草津・アサヒ』を追い込んでいくのを見た。
 そして。
「『フュンフ・ラーズグリーズ』、あなたにもやりたいことがあれば応援するわ。あなたがあなたになるために。あなたが何をしたいのか。あなたはもうわかっているはずよ」
 静漓は告げる。
 溶解した装甲を持つ木人じみたホビーが立ち上がる。亀裂が大きくなっていく。
 静漓のユーベルコードが輝く。

「僕は」
「ええ、あなたは、飛べるはずよ。あなたの背中にも光の翼があるはずだから」
 だから、と静漓は彼の背中を押す。
 木人の装甲が砕ける。
 吹き荒れるは青い炎。否。青い装甲。その下にあったのは、別の機体。
「――|『熾盛』《セラフィム》ッ!」
 砕けた装甲と青い炎を振り払って、青い『セラフィム』が飛び立つ。光の翼を羽ばたかせ、静漓の言葉に導かれるように。
「みんな、がんばって。最後まで楽しんでいきましょう」
 そう、しあわせなゆめをみる。そして、夢は醒めるのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニィナ・アンエノン
いやー、相手は多かったけど意外と何とかなったみたい!
にぃなちゃんとドライ君との連携もけっこー上手く行ってたよね。
ほらほら、カメラに向かって仲良しアピールしよう☆
とか言ってたら対戦相手の子、大分お冠だね。
勝負を決めに行こうか!

またバイクが変形するけど今回はロボットじゃないよ。
あくまでバイクのままスピードアップ!
まずは追いかけっこだね!
さぁ、にぃなちゃんの【操縦】するバイクにそのストレートを当てられるかな?
こっちに攻撃を引き付けて、良い所に誘い込んで動きを鈍らせて砲撃してもらう……なんてさっきと同じ手じゃ面白くないし、きっと読まれてる。
相手が砲撃に注意を向けた瞬間、トップスピードで突撃しちゃうぞ☆



 万を超える軍勢との戦いは終始忙しないものだった。
 ニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)を模した美少女プラモがまたがる宇宙バイク『ミニテンプテーションカスタム』がフィールドを疾駆している。
 その目立つ姿で敵サポーターの目を引きつけ、『ドライ』が高出力の砲撃でもって一掃する。それは単純な戦法であったが、しかし『プラクト』というホビースポーツの勝利条件が敵の殲滅である以上、ニィナを追い掛けないわけにはいかず。
 さりとて彼女を捉えることができない。
 そこに『ドライ』の砲撃が打ち込まれれば、どれだけ数の優位があるのだとしても一網打尽にされてしまうのは必定とも言えた。
「いやー、相手は多かったけど意外となんとかなったみたい!」
「ああ、ニィナお姉さんのおかげだ!」
「んふー☆ そうだよね、連携けっこーうまく行ってたよね」
 ニィナの言葉に『ドライ』が頷く。

 そう、彼とは特訓と試合を経て、連携が上手にできるようになっていたのだ。
 如何に数が多いのだとしても俄仕込みの連携に負けるワケがないのだ。
「ほらほら、カメラに向かってこっち見て☆」
「ええっ!? 今試合中……!」
「いいじゃん☆ ほら、もっとくっついて☆ なかよしなかよし☆」
「待って! 待って! これ中継されているんだが!?」
「『ドライ』くんとにぃなちゃんの仲だから硬いこといいっこなし☆」
 操縦パーティションをまたいでニィナが『ドライ』を抱き寄せてカメラ目線でピースピースと仲良しアピールをしていると、炎纏う鉄球が打ち込まれる。
 それは膨大な熱量を持って二人のホビーのあいだに衝撃並を生み出す。
「試合中に何をやってんのよ、あんたたちは!」
 怒り狂うダークリーガー『草津・アサヒ』は己のホビー『鉄球バスター』テニスプレイヤーカスタムが打ち込んだ鉄球の一撃を、いちゃつきながらもしっかり回避していた二人を睨めつける。
「あ、いや、これは!」
「ふふーん、にぃなちゃんと『ドライ』くんの仲良し具合に嫉妬しちゃったかな☆」
「そういうこといってんじゃないわよ!」
 煽りに煽るニィナ。
 だが、無自覚である。『ドライ』を抱き寄せたまま笑っている。
「お冠だね☆」
「それはそうだが!」
「勝負を決めに行こうか☆」

 そういってニィナは『ミニテンプテーション』を変形させる。
 だが、それは彼女の美少女プラモに合体してロボットになるのではなく、あくまで宇宙バイクとしての性能を引き上げる変形であった。
「ちょこまかと逃げ回って!」
 放たれ続ける爆炎纏う鉄球のスマッシュ。
 爆発が巻き起こる中、ニィナはしかし、一撃も貰わず爆風の最中を走り抜ける。
「あたんないよ☆ 追い掛けっ子は得意かな?」
「そのつもりはないわよ!」
 打ち込まれる鉄球を華麗にスピンターンでもって逃げ回るニィナ。
『草津・アサヒ』は理解していた。ニィナが己を引き付け、『ドライ』の砲撃でトドメをさすつもりなのだと。

 だが、それは正しくない。
 ニィナはあくまで己で決着をつけようとしている。それにさっきと同じ手では面白くもなんともない。きっと読まれていると理解しているからこそ、ニィナの『ミニテンプテーション』が唸りを上げるようにしてエンジンを回転させ加速する。
「砲撃じゃない!?」
「それはそうだ! ニィナお姉さんは!」
「そうだよ☆ トップスピードで☆」
 ぶつかっちゃうぞ、とニィナの突進が『草津・アサヒ』の『鉄球バスター』を弾き飛ばすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

チェスカー・アーマライト
ミニタイガーの|機体構成《アセン》は無敵艦隊オーデュボン戦の時と同じ
手持ちのビーム銃と、エネルギー弾を打ち出す主砲
ポリマーフレーム装甲は厚みと傾斜で防御力を底上げ
天使核のサブ動力も安定してる
初めに比べて継戦能力はかなり上がった

ルール上、時間制限は無いんだったな
テメーのようになりふり構わず勝ちに行くなら、テメーが息切れするまで防御に徹しちまえばいい
だがよ、んな事したって一つも楽しくねーんだな、これが
言ったろ、あたしはテンションがブチ上がるような試合が見てーのさ
UC発動
四脚を|固定《グリップ》して主砲を構える
オーデュボンの女騎士にブッ放した特大の一撃だ
敵討ちにゃ、うってつけだろ?



『ミニタイガー』はごきげんだった。
 少なくともチェスカー・アーマライト(〝錆鴉〟あるいは〝ブッ放し屋〟・f32456)にはそう思えた。
 機体のカスタムは『無敵艦隊オーデュボン』と試合をした時のままだ。
 手持ちのビーム銃とエネルギー弾を打ち出す主砲を支えるジェネレーターとして天使核を搭載しているのだ。
 さらにポリマーフレームの装甲は厚みを持っていてもサブ動力が補助に回っているお陰で問題なく稼働する。
 正直に行って『プラクト』を始めたての頃からすれば、相当に練度が上がっていると言っても良い。チェスカー自身も『ミニタイガー』もまた成長しているのだ。
 損壊という名の消耗は、そのままにしているのならば、ただ壊れたという結果しか生み出さない。

 けれど、壊れる度に。
 戦う度に改修を重ねてきた『ミニタイガー』は小さくともかけがえのないチェスカーの戦友だったのだ。
「そんな鈍重な機体で! 私の必殺スマッシュを!」
 ダークリーガー『草津・アサヒ』の操る『鉄球バスター』テニスプレイヤーカスタム」が爆炎纏う鉄球を打ち込む。
 確かにチェスカーの機体では躱すことはできないだろう。
 だが、ポリマーフレームの装甲には傾斜がつけられている。そもそも戦車めいた『ミニタイガー』に対砲撃の備えがないわけがない。
 つけられた傾斜によって装甲は歪むが致命打にはなりえない。
『草津・アサヒ』の必殺スマッシュをうまく受け流すようにして弾きながらチェスカーは飛び込む。

「生意気に私の必殺スマッシュを弾く!」
「ハッ……! 今のがそうかよ!」
 機体の衝撃をダイレクトの感じながらチェスカーは笑う。凶悪な笑みは、それだけで相対するものにプレッシャーを与えるだろう。
『草津・アサヒ』は必殺スマッシュで仕留められなかったばかりか、もっと打ってこいと言わんばかりに突進してくる『ミニタイガー』の重圧に後退りする。
「ルール上、時間制限は無いんだったな。たしかにな、テメーのようになりふり構わず勝ちにいくなら……」
『草津・アサヒ』の戦法は正しい。
 けれど、チェスカーは笑う。

「ならよ、テメーが息切れするまで防御に徹しちまえばいい」
「そんなこと!」
 だが、事実でもある。『草津・アサヒ』はこれまで幾度も必殺スマッシュを打ち込んでいる。多大な体力を消耗しているだろう。なのになおも打ち込むのは勝利への執念故であった。
「だがよ、んなコトしたって一つも楽しかねーんだよな、これが! なあ、そうだろ、チェスカーねーちゃん!」
「そういうことだよ!」
 チェスカーの言葉に『アイン』の『セラフィム』が『草津・アサヒ』のホビーと鍔迫り合う。
 ラケットと突撃槍が火花を散らす。
 彼女の言葉にチェスカーは笑う。
 その通りだと。

「なんでここまでするのよ、あんたは! ただのサポーターでしょう!」
「言ったろ、あたしはテンションがブチ上がるような試合が見てーのさ」
 つまり、と『ミニタイガー』がユーベルコードに輝く。
 主砲が直結する内部動力源を得て、機体が変形していく。
 四脚が大地にバンカーを打ち込んで固定する。構えられた主砲が輝く。
 それは嘗て『無敵艦隊オーデュボン』の鋼鉄の騎士に叩き込んだ一撃だった。
「まさか……!」
「そうさ、あの女騎士にぶっ放した特大の一撃だ。敵討ちにゃ、うってつけだろ?」
 スパークする電流。
 その砲撃の一撃は極大の光条が解き放たれる。己の機体の電装が焼き切れるが構わない。放たれたのなら、確実にそれは『草津・アサヒ』のホビーにダメージを与える。
 凄まじいまでの威力は、フィールドに風を呼び込むようだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルクス・アルブス
【ステルク】

勝ちたかった相手を倒されちゃって悔しいのは解りますし、
ならば五月雨のみなさまを、と思ったのでしょうけど、その方法がよくないですね。

だって裏技使って勝っても勝ったことにならないですよ。
それに今見たら、普通に戦ってもいい勝負できたんじゃないですか?

せっかく頑張ってきたのに、もったいなくないです?

まぁでも、悪いことする子にお仕置きも勇者の務め!
音楽の可能性を見せつけて……え?

演奏したら駄目なんですか!?
あ、でも歌はいいんです?ならピアノの弾き語痛ぁ!?

わ、わかりましたよぅ。
ステラさんと五月雨のみなさまには終わってから、聴いてもらうことにします!

そのためにもいまは!カンパネラでふっとべー!


ステラ・タタリクス
【ステルク】
貴女の想いは真実でしょう
ですが
貴女では勝てません
『戦いに際しては心に平和を』
戦いで求めるのは、勝利ではなくその先にあるモノ
勝利を求めている時点でエイル様(仮)には勝てないのです
いかに力が強大であろうとも
それを使う|者の心《良心》が行く末を決める
それこそが人の在り方なのですから

と、長々と語りましたがルクス様生きてますかー?
演奏したい?
敵が1人なので許可しません
はい、おすわり
そこで応援歌だけ歌うように

さて、クリムゾンリッパーいきますよ!
【クリムゾンウイング突撃】!
まがりなりにもセラフィムなのです
その程度の火力で止められると思わないでいただきたいですね!
ルクス様も突撃しましょうハリアップ



 極大なるエネルギーの光条がダークリーガー『草津・アサヒ』の『鉄球バスター』テニスプレイヤーカスタムを吹き飛ばす。
 凄まじい熱波が生み出され、フィールド内部の空気が膨張していく。
 膨張した空気はフィールドの外で冷やされ急激に収束していく。それがフィールドの外からの大気の流入となって風を呼び込んでいた。
 故に『草津・アサヒ』は己の頬を撫でる風に戸惑うようでもあった。
 己の苛烈なる怒りは何故なのかなど問うまでもない。
「勝ちたかった相手を倒さちゃって悔しかったんですね」
 ルクス・アルブス(『魔女』に憧れる『出禁勇者(光属性)』・f32689)は彼女に理解を示す。
 自分が、と。
 屈辱的な敗北を得て、必ずや雪辱をと思っていたのだろう。

 わからないでもない。
 だから、その仇敵とも言うべき存在を打倒した『五月雨模型店』にやり場のない怒りをぶつけようとしたのだ。
「その方法がよくないです。だって、裏技使って勝っても、勝ったことにならないですよ」
 ずっとそうやって生きていくのならば、それは抱えなければならないものだ。
 精算することもできず、昇華することもできず、ただ抱えることしかできない事柄に怒りは代わってしまう。
「貴女の想いは真実でしょう。ですが、貴女では勝てません」
「なんでよ! 私には力があるでしょう! 何もかもねじ伏せる力が! それが!!」
 ステラ・タタリクス(紫苑・f33899)の言葉に『鉄球バスター』テニスプレイヤーカスタムが立ち上がる。

 まだ倒れない。
 凄まじい執念。勝利への執着。
 それがあるからこそ、ルクスは彼女が普通に戦っても日本代表に選ばれる程のアスリートなのだと理解できる。
 別にこんな卑怯な手を使わなくても『五月雨模型店』と良い試合ができたのではないかと思うのだ。
 けれど、『草津・アサヒ』が執着したのは勝利だ。
 良い試合がしたいわけではない。己が勝ったという確固たる事実がほしかっただけなのだ。故に、なりふり構わなかった。

「『戦いに際しては心に平和を』」
「何よそれ!『憂国学徒兵』きどりってわけなの!!」
「いいえ、戦いで求めるのは、勝利ではなくその先にあるモノ。戦いを求めている時点では勝てないのです。如何に力が強大であろうとも」
「知ったような口を聞いてくれて!!」
 膨れ上がる爆炎と共に打ち込まれる必殺スマッシュ。
 鉄球が熱と共にルクスとステラを襲う。
 けれど、それでも、ステラは告げるのだ。
「それを使う|者の心《良心》が行く末を決めるのです。それこそが人のあり方なのですから!」
 ステラの赤い『クリムゾンリッパー』がフィールドを走る。
 背面から展開した真紅の光の翼が一気にビームを放ちながら噴射し、空を飛ぶ。
 それに合わせるように青い閃光じみた機体が『草津・アサヒ』の操るホビーへと迫る。
 青い『セラフィム』。
 それは『フュンフ・ラーズグリーズ』が操っていた木人じみたホビーの中から飛び出したホビーだった。

「そうですよ、せっかく頑張ってきたのに、もったいないです!」
 ルクスの言葉を受けるように青い『セラフィム』が、その拳を『鉄球バスター』へと叩き込む。
「こ、の!」
 払うラケットの一撃を受けて青い『セラフィム』が吹き飛ばされる。
「悪いことする子にはお仕置きするのが勇者の務め! 音楽の可能性を見せつけて……」
「ルクス様? ダメですよ?」
「え、なんでですか!? さっきはリクエストまでしてくれたじゃないですかあ!!」
「敵が一人なので許可しません」
「なんで!? なんでです!? その理屈はどうして!?」
「ルクス様の演奏に観客が一人なんていうのは、それはもったいないことでありましょう? はい、論破。そこで応援歌だけ歌うように」
「じゃあ、弾き語りぃ痛ぁ!?」
 操縦パーティションを乗り越えて、スリッパが飛ぶ。

 ルクスは涙目であったが、仕方ない
「わかりましたよぅ……試合が終わってから聞いてもらいますから!」
「それはご遠慮致します」
「ごちゃごちゃと!」
 炸裂する必殺スマッシュを青い『セラフィム』が展開したクリスタルビットでもって受け止め、受け流す。
「そういうものなんだよ。世界は渾沌としている。ごちゃごちゃのないまぜになっているんだ。だから!」
『フュンフ・ラーズグリーズ』の操る青いホビーとステラの赤い『クリムゾンリッパー』が交錯するようにして『草津・アサヒ』の操るホビーへと肉薄する。

「まがりなりにも『セラフィム』なのです。その程度で止められるとは思わないでいただきたいですね!」
「ええい、絶対あとで聞いてもらいますから! ぶっとべー!」
 ルクスの操る『ソナーレ』の一撃が『草津・アサヒ』のホビーをかちあげ、交錯した二機の『セラフィム』の放つ光が十字を刻み込むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
【サージェさんと】

情熱が間違った方向にいっちゃってるねー。

『アサヒ』さん、よく見て!
サージェさんなんて、これで忍んでる努力してるんだよ?
しかも忍べてるつもりなんだよ!

努力していても、それが必ず実るとは限らないんだよ!

え?論点が違う?そっかー。

ま、なんにしても『無敵雷人』に勝った五月雨のみんなに、
真っ向から勝とうとしない時点で、あなたはすでに負けてるよ。

わからない?
勝利を|かっさらう《盗む》のが関の山ってこと。

そんな気持ちで五月雨のみんなに挑むのは一万年早い!

さぁ、サージェさん、トラメちゃんオーバーロードだよ!
フィリングウェーブでエネルギー充填するから、灼熱の爪にで鉄球なんて溶かしちゃえー!


サージェ・ライト
【理緒さんと】
唐突なクノイチに対するフレンドリーファイアDis?!
ちゃんと忍んでますし!?ちょっとクノイチに対して失礼ではないでしょーか!!
まぁ正しくない努力はあっさり自分を裏切りますけどねー

正しいことが全てでも無いですが
正しくないことがまかり通るほど勝負の世界は甘くないのです
揺れ動く心の中ですっと通る1本の筋
人、それを信条と言う
貴女の信条がどんなものか
私のトラメちゃんが試してあげましょう!

というわけでトラメちゃんごー!
理緒さんからのバフもらって
【電光石火】です!
ふっ、トラメちゃんをただのにゃんこと侮ったうぬが不覚よ
いえ、私が操縦していない時のアイドル時は
猫仕草AIが働くので猫なんですけどね



 交錯する光。
 それはダークリーガー『草津・アサヒ』のホビー『鉄球バスター』テニスプレイヤーカスタムの躯体を切り裂くものだった。
 強靭でありながら、しなやかな動きを可能とする素材故に彼女のホビーは頑強そのものだったが、しかし追い詰められている。
 光条の一撃、交錯する攻撃。
 それらが徐々に集約されていく。その結果は言うまでもなく……。
「私が負ける……!? この私が!? そんなこと……あってはならないのよ! 今度こそ私は勝利を!!」
 吹き荒れる炎。
 それは勝利への執着。
『草津・アサヒ』が求めるのは勝利だった。

 それ以外はいらない。
 勝利の後にこそ称賛がある。その喝采を浴びるためだけに彼女は邁進してきたのだ。
 だからこそ、それが非ぬ方角であることを菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は言う。
「情熱が間違った方向にいっちゃってるねー。よくみて、『草津・アサヒ』さん!」
 理緒が示した先にいたのは、サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)であった。
 え、私!? とサージェは目を丸くする。
 急にパスが来た。
「サージェさんなんて、これで忍んでる努力してるんだよ? しかも忍べてるつもりなんだよ!」
 たゆんたゆんしている。
 何が、とは明言しないが、しているのである!!
 これで忍ことができるとか本当無理な話である。
「ええええっ!? 唐突なクノイチに対するフレンドリーファイア・ディス!? ちゃんと忍んでますし!?」 
 理緒の行動にサージェは憤慨した。
 あんまりにもあんまりである。
 ちょっとクノイチ界隈に失礼ではないかとサージェは思ったのだ。いやまあ、その実忍んでないクノイチのほうが、その、って感じではあるが、しかしサージェは憤慨したのである。

「……たしかに」
「そうでしょう!?」
「そうでしょう!? っておかしくないですか!?」
「努力していても、それが必ず実るとは限らないんだよ! とっても実ってるけど!!」
 何が実っているとかは明言しない。しつこいが!
 その言葉に『草津・アサヒ』はたじろぐ。揺らいでいるのだ。
 これまで自分がしてきたこと。
 それが間違った努力ではないのかと。
「で、でも論点が違うじゃない!」
「そっかー。ま、何にしても『無敵雷人』に勝った『五月雨模型店』のみんなに、真っ向から勝負しない時点で、あなたはすでに負けているよ」
 理緒の言葉にサージェは、それよりも自分へのフォローはないのかと恨みがましい視線を送るが、理緒はスルーした。

「正しいことが全てでもないですけど……正しくないことがまり通るほど勝負の世界は甘くないのです。揺れ動く心のなかでするっと通る一本の筋。人、それを信条と言うのです!」
「そんなの私が勝利する以上に……!」
 必要なことなど無い、と必殺スマッシュが唸りを上げる。
 爆炎と共に叩き込まれる鉄球が衝撃波を生み出し、フィールドに存在する敵を寄せ付けない。
 だが、しかし理緒の着たから放たれるはフィリングウェーブ。
 自身の機体のエネルギーをサージェの『トラメ』へと充填しているのだ。

「貴女の信条が勝利を求めることであるのならば、私の『トラメ』ちゃんが試してあげましょう!」
 オーバーロードされるようにエネルギーが『トラメ』の躯体に満ちていく。
 輝く光と共にサージェは駆け抜ける。
『トラメ』の咆哮が轟き、理緒は叫ぶ。
「あなたのやったことは勝利を|かっさらう《盗む》のが関の山だったってこと。それはあなたが求めたことじゃないでしょ! そんな気持ちで『五月雨模型店』の皆に挑むのは一万年速い! だから! サージェさん、『トラメ』ちゃん!」
 理緒のユーベルコードに寄って凄まじいエネルギーを得た『トラメ』のサーマルネイルの一閃が振り下ろされる。

「電光石火(イカズチノゴトキスルドイザンゲキ)! ふっ、『トラメ』ちゃんをただのにゃんこと侮ったうぬが不覚よ」
 なんかそれっぽい感じに言っているが、それはクノイチ的セリフというより、どっちかというと……。
「なんかそれ、武将っぽいよね」
「にゃんと!」
 そんなやり取りと共になんとも締まらぬ一撃をサージェは『草津・アサヒ』のホビーへと叩き込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
気付いたらもう決戦じゃねーか!?
「色々整備しすぎたね☆」

…まぁ…お前の気持ちもわからんでもない
僕だって活躍してこう…TOP画面に躍り出たいとかそういう名誉欲もあるしな
だがまぁ…こういうのはそういうのがよくある場所でもあるだろ?
だから楽しいんだろうが?


取り合えず…やるとするかってか何で美少女フィギュアなんだよこれ!?
「だって相手に合わせなきゃ☆」
仕方ねー!それでもあれはいけるよな!
「勿論☆」
UC発動
【情報収集・視力・戦闘知識】
アサヒの動きと戦い方を分析
【属性攻撃・迷彩】
光水属性を付与して光学迷彩で隠れ
【弾幕・念動力・空中戦・二回攻撃・切断】
超高速で飛び回り念動光弾で動きを止めて鎌剣で切り刻む!



「って、うぉい!? 気づいたらもう決戦じゃねーか!?」
 カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は、己のホビーにあれもこれもと整備を一生懸命であったために完全に試合に出遅れていた。
『色々整備しすぎたね☆』
『メルシー』の言葉に、完全にやっちまったとカシムは頭を抱える。
 とは言え、調整は完璧。
 おのれの『メルクリウス』は完璧に『プラクト』に順応している。

「私の勝利のために! すべての力を使うのは!!」
 当然であると怒り狂うようにしてダークリーガー『草津・アサヒ』が叫んでいる。
 彼女の操る『鉄球バスター』テニスプレイヤーカスタムは猟兵達との戦いでボロボロだ。だが、ボロボロであってもなお、彼女は戦うことをやめない。
 それは勝利への執念。
 おのれが喝采を浴びるために必要なことを理解しているがゆえに、止められず、止まることのできない彼女の妄執であた。
「……まあ、わからなんでもない」
 カシムも活躍したいと思う。
 皆の前で称賛されたいという欲求がまったくないのかと問われれば、そうではないと言えるだろう。
 一端の名誉欲だってある。
 承認されたいという気持ちだってある。

 けれど、その気持を否定はできない。
 誰だって持っているものだ。持っていない、という者は、正しく己を知らぬものであろう。己を知らぬものが、己を知ったつもりで動けば必ず失敗する。
 そういうものだ。
 そして、このアスリートアースは、いつだって称賛される機械に恵まれているのだ。
 故に。
「だから、楽しんだろうが?」
「称賛されぬ者の苦しみなんて理解したいとも思わないわよ!!」
 カシムは、彼女の言葉に己のホビーを投入しようとして気が付く。

「……っておおおい!!? なんで『メルクリウス』が美少女フィギュアになってんだよ、これ!?」
『だって相手に合わせなきゃ☆』
「そういう問題かこれ!? どうなってんだ!」
『メルシーだと思って大切にしてね☆ それはそれとして、そっちばかりにかまけてても許さないぞ☆』
 複雑な乙女心。
「言ってる場合か! しかたねー! それでもやれるんだろ!」
『勿論☆』
 投入された美少女フィギュア……つまるところ、『メルシー』の瞳がユーベルコードに輝く。

「何、この光……?!」
「加速装置起動……『メルクリウス』、いやさ、『メルシー』、お前の力を見せて見ろ……!」
 その言葉とともに『メルシー』がフィールドからかき消える。
 それを『草津・アサヒ』は目で追うことができなかった。
 凄まじい速度で飛翔する彼女は、一気に光学迷彩を纏って姿をくらまし、弾幕と空中戦、さらには鎌剣による斬撃で持って一気に『草津・アサヒ』を追い込んでくのだ。
 それは必殺スマッシュを放つ隙すら与えない二段構え。
「この速さ……!」
「そういうこった! 必殺スマッシュは打たせねー!」
 カシムは、己の心にある欲求を否定しない。
 それは生きることを否定することだからだ。たとえ、他者が己のことを顕示欲にまみれた、と言おうとも己は己であることを止めない。
 
 そうあるべきと言われたから生きているのではない。
 己がそう生きると決めたからこそ、今こうして生きているのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神代・凶津
はっはっはっ、ホビー使いなのに漫画やアニメは良く見てこなかったらしいなッ!
資材を抑え、チケットを買い占め、己の配下でスタジアムを満たす…どう考えたってやられ役三下キャラのムーヴだぜッ!勝てる試合も勝てる訳がねえッ!
後は、努力友情勝利で主人公に負けるのがお似合いってもんよッ!

…って煽ったらブチ切れて大爆発を起こす火の玉を纏い高速移動を始めやがった!?
ならこっちも…相棒ッ!
「…転身ッ!」

雷神霊装で雷を纏ったデスメタルヘラクレスで応戦よッ!
引き上げたスピードと反応速度で敵の攻撃を見切りつつ、懐に入って強力な突撃攻撃で怯ませてやる。
その隙に決めな、|チーム『五月雨模型店』《主人公》ッ!


【アドリブ歓迎】



「なんでよ……! なんで私がここまで追い込まれているのよ!」
 ダークリーガー『草津・アサヒ』は幻視した。
 いや、想起したと言っても良い。彼女に迫る猟兵たちの戦いぶりは、過去にありし第一回『WBC』において初戦で対戦した『無敵雷人』のそれを思わせるものであったからだ。
 強烈だった。
 たった一人で膨大な戦力を誇る『オーバード』を打倒するどころか、そのままの勢いで優勝してしまったのだ。
 鮮烈だった。
 あまりにも眩しかった。
 称賛に照らされ、輝く姿。
 あれこそが己の求めるものだと思ったのだ。だから――。

『ハッハッハッ! ホビー使いなのに漫画やアニメは良く見てこなかったらしいなッ!』
 その声に『草津・アサヒ』は眦を釣り上げる。
 どういうことだと、彼女が睨みつけるはブラックメタリックの装甲を持つ『インセクトボーガー』、『デスメタルヘラクレス』が一直線に『鉄球バスター』テニスプレイヤーカスタム』に突っ込んでくる姿だった。
「何よ! そのくらい!」
 テニスラケットで突進を受け止める。
 火花が散る。フレーム同士が軋む音が聞こえる。
 だが、神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)は笑う。鬼面をカタカタと揺らして笑うのだ。

『資材を抑え、チケットを買い占め、己の配下でスタジアムを満たす……どう考えたって、やられ役の三下ムーヴだぜッ!』
「この私を三下!?」
『そうだろうがよッ! そんなやり方するやつが王道を歩けるわけもない! 正道ですらないんだからなッ! 勝てる試合も勝てる訳がねえッ!』
 弾かれる『デスメタルヘラクレス』。
 だが、瞬時に車輪が猛烈に回転し大地を掴んだ瞬間『鉄球バスター』テニスプレイヤーカスタムを吹き飛ばす。

「アアアッ! このっ、おっ!」
「……それが努力友情勝利の法則です」
『おッ、相棒のほうがよくわかってんじゃねえかッ! 毎晩毎晩遅くまで店長達と鑑賞会につき合わせてるからなッ!』
「……それは秘密です」
 その言葉に桜は鬼面の下で赤くなる。
 思いの他、アニメが面白かったのかも知れない。だからこそ、彼女の言葉は『草津・アサヒ』の逆鱗に触れる。
「アニメがなんだっていうのよ!!」
 吹き荒れる怒りの炎と共に爆炎上げる鉄球が打ち込まれる。さらにこれまでの猟兵との戦いで消耗していたとは思えぬほどの速度で『鉄球バスター』テニスプレイヤーカスタムが迫るのだ。

 まさに怒髪天を衝くかのようなすさまじいオーラを纏って『草津・アサヒ』は『デスメタルヘラクレス』の装甲をひしゃげさせる。
『やるじゃねぇかッ! ハハハハッ! これだから『プラクト』はやめらんねぇよなぁッ! 相棒ッ!!』
「……転身ッ!!」
 瞬間、二人のユーベルコードが重なる。
 凶津と桜、二人の力を一つにすることで生み出される雷撃纏う礼装。
 それがひしゃげた『デスメタルヘラクレス』の装甲を塞ぐようにして覆われ、刹那の瞬間に『鉄球バスター』テニスプレイヤーカスタムと交錯する。

「見え、なかった……!? この私が!?」
『ハッ! そりゃそうだ。何せ、これは俺と相棒二人分の力なんだからなッ!』
「……ぶちかまします、というやつです。さあ、皆さん!」
 桜の言葉と共に『五月雨模型店』の『セラフィム』がいっきに『草津・アサヒ』へと殺到する。
 打ち込まれる砲撃、斬撃、銃撃。
 それらを抜けるようにして『デスメタルヘラクレス』が一直線に『草津・アサヒ』のホビーへと激突する。
 テニスラケットを折れ曲がらせながら『デスメタルヘラクレス』は、そのすさまじい突進でもって彼女を吹き飛ばすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーシア・ロクス
だったら!真っ向勝負で決着をつけますよ!
…って、必殺スマッシュ連打とかずるいです!(ゲームにはよくあるし爆発には触れない)

…こうなったらUCを使用、リズムに乗っていきますよ!相手のテニスボールへはクラスターミサイルをポン♪ポン♪ポン♪……ってぶつけ誘爆させ、更にガトリングで牽制しながら突撃、そのままリボルビングパイルどーん!
と見せかけてキャンセル!プラズマホーンでかちあげて……ミサイル全弾発射でフィニッシュです!



2P「…ねえわたし?勝てる算段はあった…って、この作戦、元々は対エイルさん用だった、とか…?」
3P「いえ、準備の手間を考えれば“いつ対戦するかわからない相手”に使えるような手では……」



 猟兵のホビーの一撃に寄って折れ曲がったテニスラケットを反対側に折り曲げてもとに戻しながら『鉄球バスター』テニスプレイヤーカスタムを操るダークリーガー『草津・アサヒ』は咆哮する。
 怒りだ。
 怒りばかりが彼女の中に渦巻いている。
 己が得るはずだった称賛。
 それを横から掠め取った者たちに対してもそうであるが、それ以上に己の道を阻む猟兵たちに対する怒りが苛立ちとなって炎に変わるのだ。

「この私を! この私の道を邪魔だてするばかりか、謗るなんて許さない!!」
 膨れ上がる爆炎を前にユーシア・ロクス(まっさらゆうしゃ・f26126)の操るホビー『アイゼンケーファー』の装甲が揺れる。
 それほどまでの熱波なのだ。
 これだけの力を持っていながら、それでも真っ向勝負ではなく場外戦術でもってこちらを攻め立てたのだ。
 ならばこそ、ユーシアは宣言するのだ。
「だったら! 真っ向勝負で決着をつけますよ!」
「ほざくわね! この必殺スマッシュを受けてから言いなさいよ!!」
 放たれる爆炎もたらす必殺スマッシュの連打。
 まるで隕石、流星群のように打ち込まれる鉄球は、全てが必殺の領域に達していた。

 爆発が巻き起こるフィールドの中を『アイゼンケーファー』はまるで踊るように躱していく。
「必殺スマッシュ連打はずるくないですか!?」
「だったら何よ! 勝てば私は、称賛されるのよ! そのためには!」
 腕が引きちぎれようが、砕けようが彼女はラケットを振るうだろう。そんな気概がユーシアの肌を震わせる。
 けれど、それでもユーシアはステップを踏む。
 操縦パーティションの中で、リズムに乗っているのだ。何故か戦場にBGMが流れている。それはポップな雰囲気であり、『草津・アサヒ』の怒りにはそぐわぬ音であった。

「なによ、この音!?」
「ふふん、これがリズムゲームってものです! ポン♪ ポン♪ ポン♪」
 クラスターミサイルを放ちながら『アイゼンケーファー』が迫る鉄球を相殺しながらガトリングガンを放つ。
 それらのすべての動作はユーシアのプレイ日記~リズムゲーム2日目(リミックス・ミンナノリズムワールド)によるものだった。
 BGMのリズムに乗って行った全ての行動が強化されている。
 そして、リズムを外した場合は、全ての行動が弱体化される。

 その法則は戦場たるフィールドにある者たち全てに適応されるのだ。
 即ち、『草津・アサヒ』にも、だ。
「いきなり、こんなことをやれって…‥!」
「できるのが一流アスリートってものです!」 
 振りかぶったリボルビングパイルの一撃が振り抜かれ……いや、それを直前でキャンセルしてユーシアは『アイゼンケーファー』でもってターンステップさせる。
「なっ……!?」
「プラズマホーン!」
 頭部が振りかぶられ、『鉄球バスター』テニスプレイヤーカスタムを打ち上げる。
 その一撃で態勢が崩れ、ユーシアの瞳が輝く。

 その最中ユーシアの2Pと3Pは思う。
『草津・アサヒ』は『無敵雷人』に勝てる算段があった、といった。
 もしかしたら、この『五月雨模型店』に行った作戦は元々は『エイル』対策だったのかもしれないと。
 だが、3Pは頭を振る。
 この手間を考えたのならば、いつ対戦するか分からない相手に使える手ではない。
「いっぱい考えている暇なんてないですよ! だから!」
 ユーシアは振りかぶった一撃を叩き込み、クラスターミサイルのコンテナハッチが開く。
 瞬間、盛大なミサイルの尾が惹かれるようにして『草津・アサヒ』のホビーを爆炎の中へと押し込むのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロニ・グィー
アドリブ・連携・絡み歓迎!

あ、さっきUC間違えてた!
まあこのままいこっと!

●ピンチのとき時間は巻き戻り
●|友情・努力・勝利《屁理屈・世界改変・時間遡行》!
くっバラバラXくんのバラバラアタックをするのにはコアとそれに接続する流体金属ワイヤードエネルギーラインが必須
けど今は流体金属を分配しちゃってラインが接続できな…あれ?あるじゃん!コアとワイヤー!

ありがとう!みんなの自分のエネルギーを使ってくれって声…ちゃんと|聞こえたよ《聞こえてない》!
とみんなのホビーに施した流体金属を介してコアエネルギーを奪…もとい元気を分けてもらおう!

みんなの力を借りて…いっけーーーーっ!!
これが本当のチームプレイだよ!



 友情。
 努力。
 勝利。
 それはスポーツ漫画やエンタメにおいては誰もが心に抱くものであった。
 だからこそ、多くの人々に受け入れられる。
 アスリートアースにおいても例外ではなかった。故に『五月雨模型店』のメンバーたちの戦いに人々は熱狂するのだろう。
 友と共に在ること。
 己を練磨する弛まない努力。
 そして、得られるかわからぬ勝利に邁進する精神力。

 そうしたものがあるからこそ『五月雨模型店』の面々は、いつだって前に進んでいるのだ。
「勝利しか見ていないから、他のことがおろそかになっちまうんだろう!」
『アイン』の言葉に苛立つようにダークリーガー『草津・アサヒ』は顔を歪める。
 怒りに任せて振るったテニスラケットが軋む。
 打ち込む鉄球は苛烈さを増していく。
 着弾した瞬間にフィールドに爆炎が上がっていく。猛烈な熱波を受けながら彼等はなおを戦っている。
「|友情・努力・勝利《屁理屈・世界改変・時間遡行》!」
 神論(ゴッドクィブル)持ち出すロニ・グィー(神のバーバリアン・f19016)は正しく理不尽の極みであった。
 間違いでも間違いではないって、そのまま押し通してしまえば、なんとかなるのが神性であるが故であろうか。いや、そんなことはないはずなのだが、それはまあ、さておき。

「わけのわからないことばっかり言って!」
「いやー、参った参った。時間遡行って大変なんだけど……くっ『バラバラX』くんのバラバラアタックするには、コアとそれに接続する流体金属ワイヤードエネルギーラインが必須!」
「急にどうした!」
「何か始まりましたね」
「いや、なんていうか、あれはいつも通りじゃないのか?」
「わ、わわかりませんけど、ぴ、ピンチなのでは!?」
『五月雨模型店』の面々が突如始まったロニのピンチ……のような何かに動揺する。

 けれど、ロニは大仰に手を広げ、拳を握りしめる。
「けど今は流体金属を分配しちゃってラインが接続できな……」
「おい、こっち見たぞ」
「よくわかりませんが、嫌な予感がします」
「……あるじゃん! コアとワイヤー!」
 にっこり笑ってロニは四機の『セラフィム』から当然みたく分配していた流体金属粒子をラインにして、その内部に在ったエネルギーを根こそぎ奪っていくのだ。
「ありがとう! みんなの自分のエネルギーを使ってくれって声……ちゃんと聞こえたよ!」
 聞こえてない。
 言ってない。
 何急にしてくれてんだ、という言葉とともに四機の『セラフィム』から流体金属粒子が抜けて『バラバラX』へと収束していく。

「みんなのホビーを介してエネルギーを奪……もとい元気を分けてもらってからのー!」
「むちゃくちゃするな、アイツ!?」
「な、なによこのプレッシャー!?」
 放たれる『草津・アサヒ』の必殺スマッシュ。
 だが、それよりも強大な太陽のようにきらめく膨大なエネルギーがロニの『バラバラX』より放たれる。
「みんなの力を借りて……いっけ――っ!!」
 これが本当のチームプレイだ! というようにロニは強奪……分けてもらったパワーでもって『草津・アサヒ』のホビーを爆炎よりも強大な灼熱でもって打ちのめすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
え、チケット買い占めたんだ…
ええ…
こわ…え?買い占めたの???
ええ…
うん、努力は凄いと思う!
いやうん、だって資金力も力だからね
出来るならそれは勝つ為の努力だし!
まあ、普通にドン引きだけど…

【蒼嵐大系】起動
機体を竜巻で覆い乾か…もといカモフラージュ
移動しながら、サーベルで『斬撃波』と蒼き竜巻を飛ばして攻撃
流石に鉄球バスター相手に撃ち合いはキツいな…
だから敵の感知を誤魔化し、遠距離攻撃で狙撃型と誤魔化しながら一気に接近して意表を突こう
近付いたらサーベル二刀流、『薙ぎ払い』と『串刺し』!
そして即離脱!

さっきまで狙撃に徹してたのも全てこの為なのだよ
決して乾いていないとかそんなんじゃあないアルヨ



 猟兵の一撃を受けて吹き飛ぶダークリーガー『草津・アサヒ』の操る『鉄球バスター』テニスプレイヤーカスタム。
 テニスラケットを杖のようにして立ち上がる程の執念は未だ彼女の胸の内側に燃え盛っているようだった。
 負けられない。
 何をおいても負けられない。
 負けないということは勝利する、ということだ。
「だから、私が勝つのよ! チケットもダーク化アスリートたちも! 全部! 私の力! これだけの力を持っているのだから!」
 だから、勝利して然るべきだと叫ぶ。

 その声を後方から聞いた月夜・玲(頂の探究者・f01605)はちょっとドン引きしていた。
「え、チケット買い占めたんだ……」
 えぇ……こわ、と玲は顔をひきつらせていた。
「こわ……え? 買い占めたの???」
 マジで言ってる? と思わず玲は二度聞いた。まあ、答えは爆炎まとう鉄球だったけれど。
「えぇ……うん、努力は凄いと思う!」
 いやまあ、だって資金力も力であるからだ。勝つために何もかも厭わぬという姿勢は大したものである。
 実行できるために資金をつぎ込むのならば、それもまた勝つための努力であると言えただろう。
 まあ、普通にドン引きしているけど。

「だったら何よ! あんたもお説教ってわけ!?」
「いいや、別に?」
 玲は頭を振る。
 別に説教したくて此処まで来たわけではない。玲は試合をしにきたのだ。遊びにきたのだ。このホビースポーツを。
 ただそれだけなのだ。
 だから、厳密に言えば玲にとって勝利とは過程でしかない。
 勝利が終着点であるというのならば、『草津・アサヒ』の言葉は正しかったのかも知れない。

「遊びに来たんだよ、私は。ついでに勝ったら気分いいなってだけ」
 流石に『鉄球バスター』から打ち込まれる爆炎まとう必殺スマッシュの連打は厳しい。
 蒼嵐大系(ストーム・システム)たる蒼き竜巻でもって己のホビーを覆い隠しながら鉄球の直撃を受けぬようにフィールドを駆け抜けているが、いつまで持つかわからない。
 正直に言ってキツイ。
 だからこそ、玲は此処まで布石を打ってきたのだ。

 そう、前腹姿勢による狙撃。
 それをするためのホビーであると示してきたのだ。まあ、実際は色々接着が乾いていなかったり、塗装がそのっていうあれであったが。
 だがしかし、それが今活きている。
『草津・アサヒ』は玲のホビーが遠距離型だと理解している。
 ならばこそ、この蒼き竜巻は己の目を欺くためのものであり、距離を稼ぐ目的であるのだと。
「そう思うよね!」
「無駄よ!何も見えない、聞こえない、匂いもないっていうのなら、熱源感知はできるでしょう! 爆炎であぶり出せば!」
『草津・アサヒ』の必殺スマッシュの乱打によって燃え盛るフィールド。
 その渦中に玲のホビーが棒立ちになっている。
 竜巻による大気の流れと熱波。
 熱と風。
 これによって玲のホビーは漸く接着と塗装が完全に固定される。

 だが、遅い。
「もらったわよ!」
 打ち下ろされるスマッシュの一撃を玲はサーベル二刀流でもって受け止める。
「な……!?」
「意表を突かれたでしょ! さっきまで狙撃に徹していたのも全てはこのためなのだよ!」
 本当にそうかな。
 そうじゃないけど、まあ、そういうことにしておこう。
 だが、テニスラケットの一撃が玲のサーベルを弾き飛ばす。宙を舞う二つのサーベル。
 それを空中で握りしめた機体があった。

「借りるよ」
 それは『フュンフ・ラーズグリーズ』の駆る青い『|セラフィム《熾盛》』であった。
 空中で握りしめたサーベルを振るい『草津・アサヒ』のホビーを切り裂く。
 そして、そのまま手にしたサーベルを再び空中に投げ放つ。
 其処に居たのは玲のホビーだった。
「レンタル料取るからね」
「えっ!?」
 驚愕する『フュンフ・ラーズグリーズ』を他所に玲は笑いながら、手にしたサーベルの二刀でもって『草津・アサヒ』のホビーの頭部を薙ぎ払い、突き出す一撃で持って胸部のユーベルコード発生装置を貫く。

 破壊された機体が傾ぎ、巨大モニターに『五月雨模型店』の勝利を告げるファンファーレが響き渡るのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年11月25日
宿敵 『草津・アサヒ』 を撃破!


挿絵イラスト