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恐怖! 迷宮の怪物鮫

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 猟兵が集まったことを確認したワン・イーナ(シンギュラリティ・f30274)は、資料をモニターに映しながら説明を始める。

「今回の依頼はゴッドゲームオンライン(以下GGO)のあるクエストだ。やり込みプレイヤー向けの高難易度レイド……多数のプレイヤーが同時参加する形式のクエストが、バグプロトコルって言うオブリビオンに乗っ取られた。これを解決してもらいたい」

 モニターに表示されるクエスト紹介文。添付されているスクリーンショットには、クエストで挑むダンジョンの様子が写っている。古代建造物をイメージしたらしい遺跡風のダンジョンで、壁面が濡れていたり、天井のヒビから水が流れ落ちていたり、水気の多さが印象に残る。

「ここが、皆に挑んでもらうダンジョンになる。正式名称はあるが、プレイヤーの間じゃ『鮫迷宮』の俗称で通っているのでその名で呼ぶとするぜ。鮫迷宮のボスや通常エネミーはバグプロトコルに乗っ取られ、今じゃ攻略不能の超凶悪な罠と化している。俺達猟兵でもキツイだろう」

 ゲームであるゆえにこの世界は数値とプログラムが力だ。単純にステータスをバグを起こすほど上げられでもすれば、猟兵の規格外の力とて通りが悪くなるだろう。

「予知によると丁度このクエストに挑む廃人プレイヤーたちがいる。皆にはこのプレイヤーにコッソリと混ざってクエストに挑み、プレイヤーが死なないよう適宜フォローを入れつつ、協力してクリアしてくれ」

 バグプロトコルにやられたプレイヤーは|遺伝子番号《ジーンアカウント》を焼却され、人権を喪失する。だが彼あるいは彼女らの力が無ければクリアは困難を極める。猟兵には、プレイヤーがやられないようにする立ち回りが求められる。

「肝心のダンジョンに関してだが、まずは遺跡の門番……という設定の、ボス仕様竜牙兵を倒す必要がある。強力な物理攻撃や炎の範囲攻撃、カウンターや消えない炎という状態異常でこっちを一気に倒してくる。物理と炎の対策をすれば戦いやすくなるだろう」

 ステータスは魔法も使える戦士タイプ。ボス仕様なため強化されているらしいが、単独なことと対策が取りやすいこともあって突破は難しくない。バグプロトコル化しても変化が乏しいのは、プレイヤーたちを引き込むためか。

「内部は壁が鏡だらけのダンジョンで、迷いやすい。なにせ、鏡そのものが敵だからな。バグミラーって名前らしいぞ。こいつらを破壊し尽くすと出口が出現する。バグミラーは打撃に弱く、直接的な攻撃手段は持たないが、敵モンスターを召喚する。1mくらいの鮫モンスターを次々と呼び出すから、時間をかけると消耗が嵩む」

 知らなければ手こずるが、分かればどうとでもなるタイプのギミックだ。通常のゲームならネタバレを控えて楽しむところだが、バグプロトコル相手ではそうも言ってられない。

「鏡の迷路を抜けるとボス部屋に出る。巨大な広間で、中央まで行くとボス戦の開始。床が田の字に区切られ、水路が生まれ、プレイヤーは4隅の足場で戦う。ボスは巨大な鮫で、本来は水路だけを移動するんだが……バグプロトコル化した影響で、床、壁、天井すら泳ぐようになっている」

 プレイヤーや猟兵が水に落ちても、ダメージを受けるとか死亡するなどといったことは無いが、動きの制限される水上・水中では、十分な対応を取れずにやられてしまう。

「そこで俺達の出番だ。飛ぶなり泳ぐなり作るなり、フォローするんだ。そうすりゃどうにかなる。ンで、ボス鮫の攻撃だがまずは噛み付く。コイツは当たった部位を捕食し、対象のステータスを得て強化される厄介なスキルだ。また鮫モンスターを大量に召喚して縄張りを作り、強化を得ることもする。さらに、ワープ能力持ちだ。奇襲能力が高く、ステータスを強化し続ける面倒なボスだな」

 時間をかけるほどプレイヤー側が不利になる、高難易度に相応しいボスだ。バグプロトコル化しているため、相応しいどころか理不尽になっているが。

「情報は以上だ。準備ができたら言ってくれ、送り出すぜ」


松六
 松六です。ゴッドゲームオンラインでのお話となります。
 第一章はボス戦。武人風の骸骨戦士です。正面から殴り合うと厳しい強さですが、このボスはまだゲームを逸脱していません。ただしバグプロトコル化はしているので、プレイヤーが倒されるとアウトです。
 第二章は集団敵。ダンジョン内に大量に配置された鏡の振りをした敵を破壊してください。敵は動きませんが、鮫モンスターを召喚してきます。この鮫モンスターもバグプロトコルです。
 第三章はボス戦。巨大な鮫がボスです。部屋内を自由自在に移動して攻撃してきます。召喚された鮫モンスターはボスを倒すと消滅します。

 プレイングボーナスの例……GGOプレイヤーを援護する。

 以上です。皆さまの冒険が楽しいものでありますように。
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第1章 ボス戦 『竜牙兵・指揮官』

POW   :    竜王の武威
【闘気を帯びた武器】が命中した敵を【返し刀】で追撃する。また、敵のあらゆる攻撃を[返し刀]で受け止め[闘気を帯びた武器]で反撃する。
SPD   :    竜王の呼気
【闘気を帯びた武器】から、戦場全体に「敵味方を識別する【荒ぶる炎の渦】」を放ち、ダメージと【消えない炎】の状態異常を与える。
WIZ   :    竜王の爪牙
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【闘気の刃】で包囲攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠アッティラ・ドラゴンロードです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●恐怖! 骸骨の兵士!
 GGOの廃人プレイヤーたちと、それに紛れて参加した猟兵たちは、俗に『鮫迷宮』と呼称されているレイドクエストの入り口に到達した。
 大滝に隠れ、岸壁に埋まった巨大な遺跡は、大きさに相応しい大扉を備えている。
 そして、扉の正面には道を阻む仁王立ちの竜牙兵がいる。プレイヤーたちが近づくと、伽藍洞の眼に光が灯り、闘志と殺気を放ちながら斧槍を構えた。
 まずは、この門番を倒さなければならない!
四軒屋・綴
※なんでも歓迎
鮫か……
しかし鮫ゲーというのは存外少ないものだな、何故なのだそこの|同行者《プレイヤー》さんッ!

ともあれユーベルコードを発動しヒーロー形態へッ!防御力を強化し門番にアタックだッ!!

長柄、薙刀の類いか?と来れば対処は決まっているッ!
すなわち初撃に勢いよく突っ込み受け止めるッ!『ミスティバリア』での手の平を向けた防御姿勢からそのまま相手の武器を掴み連撃を不発にッ!!
武器を掴んだ状態ならヘイトは味方に向かわないだろう、ここから頭突きと肘の近接短打と【生命力吸収】で削っていくぞッ!!
しかしここはオンライン、つまり協力プレイだ、『プレイヤー』の動向に合わせて相手を拘束、仕上げは任せたッ!!



「鮫か……」

 鮫。軟骨魚綱板鰓亜綱に属する魚類のうち、鰓裂(エラのこと)が体の側面に開くものの総称。主に映画では様々な性質の怪物として登場することが多く、人気の生き物である。

「しかし鮫ゲーというのは存外少ないものだな、何故なのだそこの|同行者《プレイヤー》さんッ!」

 ゲーム作品において鮫を主軸に置いたものは、鮫そのものの知名度に反し少ない。その疑問を四軒屋・綴(|大騒動蒸煙活劇《ダイナミックスチームパンク》・f08164)は、前振りなく近くのGGOプレイヤーへ投げつけた。

「うえっ!? さ、さあ……お前わかる?」

 突如質問を剛速球で叩きつけられた騎士風プレイヤーは、フレンドである隣の射手風プレイヤーにパスを渡す。

「被るからじゃないか。どう弄ろうとも鮫ゲーとなれば、鮫に襲われるか、鮫になって襲うか、という作風になりやすいと考える。似たようなゲームしか作れなければ、先は短い。個人的にはもっと鮫ゲー増えてほしいんだがな……」

 心の底から残念そうに「鮫……」と呟くフレンドに、若干引きつつも騎士風プレイヤーは綴へ「らしいです」と告げた。
 熱い思いを受けたからか説明に納得したのか、綴は「ありがとうッ!」と礼をする。
 ともあれ、やり取りをしてる間に門番の竜牙兵のところまで着いていたようだ。緩いムードは一転して引き締まり、戦いの空気が満ちていく。
 竜牙兵が武器を低く構え、片足を引く。闘気が目に見えて溜まっていく様は、矢を番え弓引き絞る如く。

「長柄、薙刀の類いか? と来れば対処は決まっているッ!」

 他のプレイヤーたちが各々のポジションへ動く間に、綴はユーベルコードを発動。

「来たれマイボディッ! |蒸騎構築《ジョークアップ》ッ!」

 具現化プログラムで構築した合体用ボディが、ガチャンガチャン鳴りながら綴と一体化。蒸気機関車を思わせる人型ロボット風に変形し、両足揃えて背はピンと、視線は正面に向けて帽子の鍔を指でつまみ、右手を前に出して指さし確認のポーズ。仕上げに蒸気を豪快に噴出。

「勇・蒸・連・結ッ! ジョウキングッ!!」

 突然の変形にプレイヤーたちは吃驚しつつも受け入れている。一部はスクリーンショットを撮っている者も。
 ヒーロー形態に合体変形を終えた綴は、竜牙兵へ突進。

「対処とはすなわちッ! 初撃に勢いよく突っ込み受け止めるッ! ミスティバリアァアアッ!」

 綴は手の平から蒸気状のオーラを発し、そのままガツンと竜牙兵にぶつかる。攻撃の起こりを潰された敵は行動に一拍の遅れが生じ、その隙を突いて綴は武器の柄を掴んで連撃を封じた。力比べ状態となった両者は、武器を中心に睨み合う。
 押しも引きもならない拮抗状態に持ち込めた綴は、そのまま頭突きをぶちかます。同じことを判断したのか、竜牙兵も同様に頭を叩きつけてくる。大槌を打ち合わせたかのような音を響かせ、衝撃で互いの頭がわずかに弾かれた。

(硬いッ!)

 ボス仕様というだけあって、竜牙兵の頑強さはかなりのものだ。防御力強化と生命力吸収により綴も被ダメージは微々たるものだが、削り合いでは分が悪いか。

「しかしここはオンラインッ!」

 協力プレイが醍醐味と、言外の声に応えるようにプレイヤーたちは準備を終えている。

「回復と支援マシマシだ!」
「デバフの通り悪いな、耐性厚めか?」

 味方を強く、相手を弱く。ダメージを計算して回復を行い、ステータスやスキルを推測する。廃人と称されるだけはある、即興とは思えないチームワーク。

「仕上げは任せたッ!!」

 綴は敵の拘束とヘイト稼ぎに集中した。火力職のプレイヤーたちは射線を被らせないように注意して位置を取り、各々のスキルを使用する。

「装甲ガン捨てロマン火力サイコー!」
「攻撃回数で稼ぐしかねえか」

 耐性を抜き、あるいはその上からでも多大なダメージを与えられた竜牙兵は、眼光を明滅させて怯む。しかし、そのまま押し込まれることを良しとせず、闘気と炎を全身から発して周囲を追い散らす。
 綴もミスティバリアで防御しながら一度後退し、仕切り直す。

「効いているようだな、何度でも抑え込んでみせようッ!」

 構える綴に対し、竜牙兵も斧槍を回転させながら構えた。緒戦は優勢、このまま被害無く勝ちたいところである。

成功 🔵​🔵​🔴​

御堂・伽藍
アドリブ、即席連携歓迎

はじめの いっぽ?
チュートリアル、という物か…

地形を利用
水地属性の魔力を増幅
先制高速詠唱早業UC発動

水地雷属性を攻撃、防御、状態異常力に付与

残像陽動フェイント忍び足でゆるゆると接敵

射程に入り次第念動怪力水地雷属性衝撃波誘導弾UC
フェイント二回攻撃追撃を交え範囲ごと薙ぎ払う
武器落とし鎧無視部位破壊
無数のすてぜにを撃ち込み次第に武器に纏わせ武器破壊を狙う
そのまま本体にも打撃

敵の攻撃を落ち着いて見切り
残像陽動フェイント迷彩忍び足ダンス等で回避

窮地の仲間は積極的にかばい援護射撃追撃

さいしょの てき
少々不自然に手強いな…並の者なら

鎮め沈め骸の海へ
さようなら
さようなら
御然らば
御然らば



 御堂・伽藍(がらんどう・f33020)は地形から水と地の属性を見出し、魔力を増幅しつつ敵である竜牙兵を観察する。

「はじめの いっぽ? チュートリアル、という物か……」

 この先の敵の性質を語る、という意味では確かにチュートリアルかもしれない。複雑なギミック等ではなく、シンプルにスペックで押してくる、という点で。

「きって、むすぶ。わけて、まぜる」

 霞のように揺れる語りでありながら、詠唱は圧縮されているかのように速く。

「時の刃が切り分けし渾沌の魔力、転輪せり」

 トリニティ・エンハンス|十二刻《ジュウニコク》。水、地、雷属性を攻撃、防御、状態異常力に満遍なく注ぎ、強化する。
 そして、伽藍はゆるゆると静かに敵へ接近していく。
 プレイヤーからの遠距離攻撃で意識がそちらへ向いている竜牙兵は、ステルス状態の伽藍に気付けない。するりと射程まで近づいた彼女は、多彩な属性を交えた連続攻撃を六腕から放った。強力な念動、水地雷の属性を付与した衝撃波と誘導弾。避けにくい範囲ごと薙ぎ払う面の連撃。

「ふむ……」

 思ったよりも竜牙兵は堅牢であった。十分なダメージは出ているが、想定より低い。また、二撃目は斧槍で切り払い、打ち落とし、受け止められてしまった。
 そして、攻撃すれば当然ヘイトが溜まる。竜牙兵は伽藍を認識すると、闘気を纏った斧槍を横薙ぎに振るう。
 断頭台のギロチンのように首目がけて迫る刃を、伽藍は身を引いて踊るように回避。続く上段からの振り下ろしを、風に乗った木の葉を思わせるサイドステップで避ける。

「あの術師、近距離でやりあってやがる……」

 称賛混じりの、プレイヤーたちからの視線を伽藍は意に介さず、傷ついた宝石や削れた貨幣を取り出し斧槍に向けて放つ。竜牙兵は武器で防御するが、構うことなく無数のすてぜにを撃ち込み続ける。

「さいしょの、てき」

 防がれ切り払われたすてぜにが、斧槍に纏わりつき、覆っていく。竜牙兵が異常に気付いた時にはもう遅い。

「少々不自然に手強いな……並の者なら」

 取りついた宝石財宝が、ついに斧槍を圧し砕いた。武器を失った竜牙兵は怯み、片膝を着く。
 伽藍は再びの連続攻撃を実行して、今度は防がれることなく、三種の魔力で煌めく全てを雨霰の如く叩きこむのだった。

 鎮め沈め骸の海へ
 さようなら
 さようなら
 御然らば
 御然らば

成功 🔵​🔵​🔴​

コウタ・ニイロ
鮫迷宮とはまた珍妙な……
けどやるべきことはいつも通り
クエストクリアを目指して進むだけだ

最初の敵は分かりやすいタイプ
なるべく周りのプレイヤーも守りたいな
それなら攻撃を妨害しつつ戦うのがいいかも
猟兵パワーの使い時だ

敵を狙って発動するのは黒燐蟲の弾丸
思いっきりぶっ飛ばしてやる
一度発動したら、敵と俺の間に着弾地点を挟むように戦おう
敵の飛ばしてくる攻撃も黒燐蟲たちに打ち落とさせる作戦だ
ついでに敵を誘い込めたらなお美味しいな

危険なプレイヤーがいたら積極的に助けにいく
大丈夫か?
あの蟲たちを盾にしな
多少は役立つはずだぜ
……ん?あれもバグなんじゃないかって?
バグはバグでも蟲のほうだから安心しとけ
案外可愛いだろ?



「鮫迷宮とはまた珍妙な……」

 俗称が広まるということは、それだけインパクトがあるということで。鮫とつけるほど鮫推しのダンジョンなのだろうけど、なぜ鮫なのか。

「けどやるべきことはいつも通り、クエストクリアを目指して進むだけだ」

 謎の追及は考察や推理が好きなプレイヤー勢に任せると、エンジョイ勢のGGOプレイヤー猟兵、コウタ・ニイロ(足元の蔓・f41814)は隠れながら最初の関門へ向かった。
 すでに数人の猟兵および多数のプレイヤーと戦い続けている竜牙兵は、その体力を三分の一ほど削られており、鎧にも傷やヒビが表れてきている。
 その様を、コウタは観察しながら戦術を組み立てていく。

「最初の敵は分かりやすいタイプ……」

 現状は味方側が優勢だが、さすがに高難易度だけはあり消耗しているプレイヤーも数人いる。竜牙兵の威力を鑑みればあまり被弾はすべきではないだろう。
 敵の攻撃を妨害しつつ戦えば、周りのプレイヤーも守れるはずだ。

「猟兵パワーの使い時だ」

 コウタの影、身に纏う黒衣から闇が滲み湧く。徐々に体積を増やしていく闇は蠢く黒燐蟲の群れであり、主の意に従って塊を形成する。コウタは腕を伸ばし手の平を竜牙兵へ向けた。

「思いっきりぶっ飛ばしてやる。行け!」

 手を銃身にして黒燐蟲の弾丸が射出。竜牙兵は反射的に斧槍で切り払うが、水に刃を通すように黒燐蟲は二つに分かれ、何の問題もなく炸裂した。さらに爆破範囲内に黒燐蟲の群れが現れ、敵に継続ダメージを与え続ける。
 竜牙兵は鬱陶しいと斧槍を振り回して蟲たちを払おうとするが、変幻自在の群れが相手では上手くいかない。ならば、と武器に闘気を纏い、手近なプレイヤーへ攻撃すると同時に離脱を図る。
 だが、しがみつく黒燐蟲によって行動に遅れが生じ、その隙をコウタに突かれて二発目の黒燐蟲の弾丸が迫る。出鼻を挫かれることとなり、竜牙兵は再び蟲の群れに捕らわれた。

「大丈夫か?」

 妨害が機能しているうちに、コウタは狙われていた軽戦士風のプレイヤーに駆け寄った。

「あ、ああ、助かった。ありがとう」

 安堵の息を吐いた軽戦士風プレイヤーは、すぐさま手持ちの回復アイテムを使用しながら、礼を告げた。

「あの蟲たちを盾にしな。多少は役立つはずだぜ」
「わかった……見たこと無いが、アレもバグじゃないのか?」

 冷静になったからだろうか、怪訝な表情で黒燐蟲について問うプレイヤーに、コウタは大丈夫だと笑って答える。

「バグはバグでも蟲のほうだから安心しとけ。案外可愛いだろ?」
「……黒いせいかゴ……いやなんでもない。結構可愛いんじゃないかな!」

 別の意味で気になりだしたプレイヤーだったが、集中が途切れそうだったため気にしないことにした。
 感性は人それぞれである。まあ、よく見ると可愛い、のかもしれない。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミリア・ペイン
実際にゲームの中に入るなんて…少し楽しみかも、なんてね
腹話術でもして他のpcと親睦でも深めてみる?
「キラクニイコーゼヨロシクナー」

《WIZ》【黒き怨恨の炎】
PTプレイでは連携が物を言う筈よね
前、後衛の陣形やスキルの打ち所等、ある程度打ち合わておきましょ
私は後衛から仲間の援護を重視

「…力を合わせて頑張りましょうね

先ずは【高速詠唱】からの【2回攻撃】で炎を多数展開、兎に角手数を増やす
敵の攻撃タイミングに合わせて炎で【結界術】を作り、闘気の刃から範囲内の味方を防御
腕や鎧等、【部位破壊】可能な場所があれば狙って弱体化を試み

攻めに転じる局面があれば暴力に依る【除霊】で炎を纏めて叩き込んでやるわ



 実際にゲームの中に入る日が来る、とは予想もしていなかったミリア・ペイン(死者の足音・f22149)。UDCアースのサブカルチャーで描かれるような世界は、わくわくするものがある。
 なので、近くのプレイヤーと親睦を深めてみようかと、『ク―ちゃん』と名前をつけたお手製のクマのぬいぐるみを使い、ミリアは腹話術にて会話を試みることにした。

「キラクニイコーゼヨロシクナー」
「お? おう、よろしく。面白いアイテムだな、手作り?」

 ゲームの中とは便利なもので、不気味なぬいぐるみも腹話術も『そういうもの』で受け入れられるようだ。

「そう、手作り。たまに勝手に動くのよ」
「へぇ、良い腕してる……ん? え?」

 オカルトも実装されているそうだが、本物の霊はどう扱われるのだろうか。ミリアはふと、そんなことを思った。
 プレイヤーたちと親睦を深めつつ、彼女は打ち合わせも行った。陣形、配置、各スキルの打ち所や要所の行動、カバーや回復のタイミング。連携とは事前準備の結実であるが、どこまで詰めておくかは匙加減が難しいものだ。あとは、竜牙兵とぶつかってみるまでわからない。

「……力を合わせて頑張りましょうね」
「ああ、行くぞ!」
「まあやれるじゃろ、楽勝さ」

 士気は高い。竜牙兵とエンカウントした瞬間に、各々が前後衛に分かれて陣形を組む。
 ミリアは後衛から仲間の援護を重視して動く。ユーベルコード【|黒き怨恨の炎《クロキエンコンノホノオ》】の高速二回詠唱により、悪霊の魂の炎を多数生み出す。手数を増やして対応幅を広げるという選択であるが、その行動の是非はすぐさま表れることとなる。
 竜牙兵が斧槍の石突で地面を突くと、無数の闘気の刃が生成され、上空に射出。各プレイヤーに向けて、複雑な軌道を描きながら飛翔突撃してきたのだ。

「任せて」

 ミリアが炎を操作し結界を形成。範囲内の仲間を守り、闘気の刃を焼き払う。結界内のプレイヤーは、その間に可能な限りの遠距離攻撃を放つ。
 狙いはヒビの入った右腕。斧槍を保持しているその腕は、今までの戦闘でヒビが大きくなってきている。プレイヤーたちの攻撃にミリアも炎を混ぜて、一点集中で破壊する。

「よし、砕けた!」

 短時間の火力集中は、狙い通り竜牙兵の右腕を粉砕した。重々しい音を立てて斧槍が転がり、敵が|片膝を着く《ダウン》。
 今が好機と、範囲攻撃で抑え込まれていた前衛が大技をぶっぱなしに行く。防御と回復に手を回していた後衛もリソースを火力へ注ぐ。
 ミリアも残った悪霊の魂の炎を纏め上げ、合体させて巨大な怨霊の業火に変えた。

「ほら……聞こえるでしょ? 亡者があなたを求める声が」

 それを、暴力に依る除霊にて、もとい拳で殴り投げる如く。皆と並んで竜牙兵へ全力盛大に叩きこむのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
サメと聞いて参加したよ!

初っ端からボス仕様の敵が出てきてる時点で確かに高難易度レイドだよねー
けど、グリモア猟兵が敵の情報を教えてくれたんだから利用しない手はない!
ウィーリィくんを後ろに乗せたまま宇宙バイクで戦場に駆けつけて【援護射撃】【制圧射撃】でGGOプレイヤーを援護し、プレイヤーたちが体勢を立て直す時間を稼ぐ
次にプレイヤーたちに「攻撃のチャンスを作るから五分…ううん、三分だけ時間ちょうだい!」と呼びかける
ボクたちは報酬を横取りしに来たんじゃなくてプレイヤーたちを援護するために来たんだからね
ウィーリィくんが敵の相手をしている間にバイクを【操縦】して敵の周りを走り回りながら【早業】【ロープワーク】で敵の武器ごと縛り上げて返し刀を使えなくする事でUCを封じる
そこへ【M.E.G】で敵の頭上から体当たり!
弱らせたところでプレイヤーたちに呼びかける
「三分経過!さぁみんな、反撃の時間だよ!」


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
根本的な問題はゲームじゃなくてその外の現実世界にある気がするけど、俺達が介入出来るのは今の所ゲームの世界だけ。
それでも、戦い続けていればいつかはGGOの人達をオブリビオンの手から解放出来るかも知れない。

そんな訳で、シャーリーの宇宙バイクに乗せてもらい戦闘中のところへエントリー。
そのまま【ジャンプ】で飛び降りてプレイヤーへの攻撃を鉄鍋の【盾受け】で【かばう】。
「大丈夫か? 助太刀に来たぜ!」
そしてシャーリーが敵の周囲にロープを張り巡らせている間、俺はプレイヤーたちと協力して竜牙兵の足止めに専念する。
「攻撃は直接当てなくていいから、一緒に奴の注意を逸らしてくれ!」
竜牙兵の攻撃を【見切り】ながら【軽業】と【フェイント】で回避し、【カウンター】の【部位破壊】で腕を狙って竜牙兵がUCを使えない様にする。
シャーリーの準備が整ったら巻き込まれない様にプレイヤー達に一旦退くよう指示し、竜牙兵が束縛されたところでプレイヤー達に攻撃の合図を送り、俺も同時に【神火の竈】で強火の業火を食らわせる。


メイティナ・ヴァーンフォルカ
【フカヒレスープはとても美味しいらしいですよ】
今それ言う事ですかクソゲー神様よぉぉぉ!
看板を見て突っ込みを入れる裕士だが敵に対する警戒はしている

【敵のUCは私のUCで書き換えて無効化します】
俺はプレイヤー達をサポートしながら前線に立つ!
作戦を立てて敵と対峙する

【もう一つの終断!】
心眼で敵が炎の渦を戦場に放つタイミングでカースチープウェポンで空間を切りUCを発動して消えない炎の起源を書き換える

ぶっ放す!
裕士は周りを見て弾道計算しながらクイックドロウで素早く鎧破壊属性攻撃の弾丸を放ち攻撃

壊れるなんて思ってねえよ!天誅ぅぅぅ!
裕士がUCの効果でクレセント・スラッシャーを発動して敵の鎧の関節部分を攻撃


古戸・琴子
※アドリブ連携OK
ふむ。ここがGGOとやらか。
ゲームに負けただけで人権を失うとはのう。
わらわ達が倒れれば、参加したプレイヤー全員が終わり。
剣呑な事じゃ。気を引き締めてかからねばな。

なに? プレイヤーはプレイヤーでも、この『鮫迷宮』に潜っているのは、揃って歴戦とな?
なるほど。ではこの際、頼るとするかのう。

わらわはプレイヤー達と足並みを揃えよう。
後衛のバッファーとして結界術で味方の防御力を上げるつもりじゃ。

敵UCによる物理的なダメージは致し方あるまい。
すぐさま浦安奉安舞で回復して、同時に再行動を促す。
これを繰り返せば、手数で勝るこちらが有利。
有効打は任せたのじゃ!



 猟兵とプレイヤーたちの果敢なアタックによって竜牙兵の体力は大半が失われている。右腕を損失したため、残った左腕で斧槍を掴むものの、眼孔の光は弱弱しく明滅していた。
 しかし、追い詰められた時こそ恐ろしいのだ。竜牙兵は最期の大暴れとばかりに、闘気を解放してより暴力的な攻撃を始めた。プレイヤーの誰かが叫ぶ、発狂モードか!? と。嵐を思わせる暴虐が、下がり損ねたプレイヤーを襲いかけた、その時。

「サメと聞いて参加したよ!」

 マスケット型の熱線銃シューティングスターを撃ちまくり、サメ型宇宙バイクに乗ったシャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)。

「大丈夫か? 助太刀に来たぜ!」

 同じバイクの後部に乗ったウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)。パーティー名【かまぼこ】の二人が、竜牙兵の攻撃をカットしてプレイヤーの窮地を救ったのだ。
 竜牙兵の追撃を、ジャンプしてバイクから飛び降りたウィーリィが鉄鍋で受け、弾き、防ぐ。その間に、シャーリーがプレイヤーたちへ呼びかける。

「攻撃のチャンスを作るから五分……ううん、三分だけ時間ちょうだい!」
「三分だな……わかった!」
「三時間でも五時間でも稼いでみせるぜ」

 考える時間も惜しいということもあるが、【かまぼこ】の二人が報酬の横取りではなく、援護に来たんだとプレイヤーたちは信じた。体勢を急ぎ整え、準備する。
 シャーリーとウィーリィは互いに笑みを交わすと、それぞれの役目を果たすべく動く。宇宙バイクを再び走らせながら、シャーリーはサメさんバッグからロープを取り出す。竜牙兵の周りを走行しながら、目にも止まらぬ早業のロープワークで仕込みをしていく。

「攻撃は直接当てなくていいから、一緒に奴の注意を逸らしてくれ!」

 ウィーリィはプレイヤーたちに呼びかけながら、敵の足止めをすべく斧槍の一撃を受けていなす。鉄鍋と湾曲した刃が擦れ合って火花が散り、返しの打撃が柄で迎撃される。
 息つく暇の無い猛攻は、スタミナの概念が無い竜牙兵の強みだ。一対一では、ウィーリィも疲労しただろう。しかし、他のプレイヤーたちの回復に強化、妨害に射撃、盾役の挑発により、敵の攻撃は分散している。
 そして、猟兵は二人だけではない。

【フカヒレスープはとても美味しいらしいですよ】
「今それ言う事ですかクソゲー神様よぉぉぉ!」

 鷲の覆面を着けた少女姿の神メイティナ・ヴァーンフォルカ(狂人と勘違いされた神がクソゲーハンターとなる話・f41948)が掲げた看板に、律儀にツッコミを入れるのはこちらも仮面を着けたガンマン風の男、裕士。闘気の刃を避けながらツッコミという、器用なことをやっておりプレイヤーから注目を密かに浴びていた。

「で、時間を稼げばいいんだな?」
【敵のUCは私のUCで書き換えて無効化します】

 【かまぼこ】の二人の言葉を受けて、作戦を素早く組み立てる。やることが定まっているのなら、行動は速い。裕士が牽制として先端にナイフを取り付けた銃、神刃銃を撃ちつつ、竜牙兵が他のプレイヤーを狙うようなら、それを阻むように武器を撃って逸らした。
 時間稼ぎされていることを鬱陶しいと感じたのか、竜牙兵は斧槍を掌で回転させ、頭上に持ち上げる。刃は火を纏い、すぐに荒ぶる消えない炎の渦を作り出す。周囲を焼き払う範囲攻撃で一掃するつもりなのだ。
 その思惑を、心眼で察していたメイティナが機先を制する。

【|もう一つの終断!《アナザー・フォース》】

 彼女が、バールやレンガに呪石などで作った武器カースチープウェポンで空間を切れば、消えない炎の起源が書き換わり無効化。
 攻撃を消された竜牙兵が晒した隙を、裕士が突く。

「ぶっ放す!」

 誤射をしないよう弾道計算しながら、もう一丁の銃、月光神銃を高速で抜き撃ち。二丁の銃から鎧破壊属性弾を撃ちまくりつつ接近。

「壊れるなんて思ってねえよ! 天誅ぅぅぅ!」

 気合一閃。裕士が放った三日月を刻む|極超音速蹴り《クレセント・スラッシャー》が、左足の鎧ごと関節部分を粉砕。残留する衝撃波を足場に跳躍し、返しの刃がくる前に裕士は射程から離脱した。
 これで一分。
 後衛にも猟兵はいる。古戸・琴子(桜雲・f10805)もその一人。

「ここのプレイヤーたちは揃って歴戦と聞いていたが、なるほどのう」

 その言に違いなし、と彼女は納得する。こうして並んで戦ってわかる、猟兵にも引けを取らない動き。
 ゲームであろうとリアルに近しく、多くの修羅場を越えてきた証。

「ではこの際、頼るとするかのう」

 力を貸し、背を預けるに値するなら、足並みを揃えようと琴子は桜とともに舞う。闇に舞う桜が描かれた紐扇、宵桜を手に舞う度に、桜吹雪の結界が形成される。
 竜牙兵が射出した無数の闘気の刃が、幾何学模様を描き貫かんとプレイヤー目がけて降るも、桜結界に阻まれて砕け、あるいは逸れる。
 それでも余波や衝撃で通るダメージは、琴子の舞踊が癒す。

「春の淡雪の消ゆるが如く 朝凪の海の波立たぬが如く 悩む病を迅く速やけく癒し直し給へ」

 |浦安奉安舞《ウラヤスホウアンマイ》。清らかな神楽舞の奉納によって生まれる桜吹雪は、皆を回復し、再行動を促す。繰り返すほどに手数が増え、プレイヤーたちの準備が万全を越えて盤石になっていく。
 縁の下、強固な土台があればこそ、積み上げるものの力は増す。

「有効打は任せたのじゃ!」

 これにて二分。
 バイクを走らせていたシャーリーは、想定以上に上手く行ったことを喜んでいた。猟兵とプレイヤーの連携は、十分な仕込みをする時間を稼いだからだ。
 彼女はバイクの前輪を持ち上げると同時に、後部からロケット噴射。さながらシャトルの打ち上げの如く、上空へ真っすぐ飛び上がった。それに伴い手にしているロープも引っ張られていき、張り巡らされた策が成る。

「史上最大の凶暴すぎる一撃、受け止める覚悟はある?」

 空気を引き裂く音とともに、ロープが幾重にも絡んで竜牙兵を武器ごと縛り上げた。敵は必死に藻掻くが、解ける気配はなくその時間もない。
 |M.E.G《マキシマム・エクストリーム・グラビティショック》。上空で反転したシャーリーが、重力すら味方につけて急降下。強烈過ぎる一撃が竜牙兵を襲い、どうにもならずダウンさせる。
 勢いを制御して離れつつ、シャーリーが叫ぶ。

「三分経過! さぁみんな、反撃の時間だよ!」

 ウィーリィの指示で一旦退いていたプレイヤーたちが、一斉同時に攻撃を行った。各々が出せる最大火力をここぞとばかりにぶっ放していく。無論、ウィーリィもそれに混ざって|神火の竈《プロメテウス・レンジ》を叩きこむ。

「人類で最初に火を手にした人間はこう叫んだ!! 『我こそは料理人なりィィイイイーーーッッ』」

 強火の業火が包丁から迸り、三枚おろしからの丸焼き。
 オーバーキル気味の連続攻撃を無防備な状態で喰らった竜牙兵は、跡形も無く消え去るしかなかった。
 そして、門番が斃れると同時に、ダンジョンの大扉が重い物を引き摺る音を鳴らしながら開いていく。その先は、まさに鮫の開かれた顎のような暗闇が待ち受けていた。
 攻略は、まだ始まったばかりである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ただの鏡のフリしたバグミラー』

POW   :    バグプロトコル・ミラーメイズ
戦場全体に、【バグプロトコルを召喚する鏡 】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
SPD   :    バグプロトコル・ミラーメイズ
戦場全体に、【バグプロトコルを召喚する鏡 】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
WIZ   :    バグプロトコル・ミラーメイズ
戦場全体に、【バグプロトコルを召喚する鏡 】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●恐怖! 鏡から襲いかかる鮫!
 門番を打破した猟兵とプレイヤーが進んだ先に待ち受けていたのは、水浸しの床と、両面に鏡が配置された壁で構成された迷路であった。
 迷路の奥からは、1mほどの鮫モンスターが空中を泳ぎながら次々に現れる。急いで攻略しなければ、鮫で埋め尽くされてしまう!
メイティナ・ヴァーンフォルカ
【裕士、後ろは任せます】
ああ、でもバロワを思い出す光景だな…見える分マシだけど
裕士と背中合わせになるようにする
(バロワ(バロンワークス)…アクションゲームだが何故かゾンビゲームのように全方向から見えない敵が襲って来るクソゲー)

【天誅です】
フカヒレにしてやらぁぁぁぁぁ!
裕士が出てきた鮫に素早く呪殺弾を放ち攻撃する
私はカースチープウェポンから斬撃波を素早く放ち鮫を切り裂いた
私達は心眼を発動して敵の動きを見ている

【もう一つの終断!】
ナイスだ、クソゲー神!天誅ぅぅぅ!
私は鏡の起源を書き換えて召喚出来なくしてからUCの効果で裕士がUCクレセント・スラッシャーを発動して鮫を攻撃しながら鏡に攻撃して破壊した



 鏡が並ぶ迷路は水の不規則な反射する光で煌めき、万華鏡に入り込んでしまったかのような、惑える美しさがあった。もしもこの輝きに目が眩めば、その者はたちまち鮫の餌となってしまうのだろう。

【裕士、後ろは任せます】
「ああ、でもバロワを思い出す光景だな……」

 メイティナ・ヴァーンフォルカ(狂人と勘違いされた神がクソゲーハンターとなる話・f41948)と裕士にとっては、忌々しいような笑いがこみ上げるような奥底の記憶が蘇るものであったようだが。
 背中合わせになりながら、裕士の脳裏をひっかく映像。クソゲーと称される、定義は様々だがおおよそマトモに遊べないゲームに分類された、バロワことバロンワークス。

「見える分マシだけど」

 なぜ見えない敵が全方向から襲ってくるのか。アクションさせろよ。仮面で見えない彼の表情は、きっと虚無。
 などと懐かしさに耽っていると、血に飢えた鮫モンスターの群れが我先に突っ込んできた。ノコギリのような鋭い歯を見せつけて、空中を泳ぎ四方から来る。

「フカヒレにしてやらぁぁぁぁぁ!」

 裕士の早撃ちが戦闘の鮫モンスターに風穴を開けた。月光神銃と神刃銃の二丁から呪殺弾が次々と放たれ、七面鳥撃ちの如く敵を撃ち落としていく。

【天誅です】

 メイティナが無造作にカースチープウェポンを振ると、斬撃が空を飛び鮫モンスターを切り裂いた。二度、三度と放ち敵の接近を許さない。
 二人の心眼は対処すべき敵を見逃さない。優先すべき目標から順に排除していけば、まるで結界を張っているかのように、一定の距離から鮫モンスターの侵攻を遮断していた。
 しかし、いくら鮫モンスターを倒しても|鏡《バグミラー》を壊さなければ群れは尽きず、鏡に意識を向けると鮫に食われかねない。厄介な相手だが、クソゲー慣れした二人にはこの程度、障害足り得ない。

【|もう一つの終断!《アナザー・フォース》】

 一息分の隙を見出したメイティナの斬撃が、鏡の起源を書き換え召喚を封じる。

「ナイスだ、クソゲー神! 天誅ぅぅぅ!」

 群れの補給が滞った隙間を、裕士の|極超音速蹴り《クレセント・スラッシャー》がさらにこじ開け広げてみせる。三日月の軌跡を残す蹴りが鏡を粉砕し、残留する衝撃波が鮫モンスターの進みを阻む。
 一度食い破れば、あとは引き裂くだけ。付近の鏡を鮫モンスターごと殲滅するまで、二人の大暴れは続いた。
 ちなみにフカヒレはドロップした。

成功 🔵​🔵​🔴​

四軒屋・綴
※なんでも歓迎
ふーむ、つまり鮫というモチーフは最適化され過ぎた生きる化石であるが故に拡張性に乏しい訳か、なるほど。
等と言っている間に来たなフライング・シャーク・フロム・ミラー・イン・ザ・ラビリンスッ!…探せば映画でありそうだな。

B級は雑に|鑑賞《対処》させて貰おうッ!左腕に装着した『アームズジョーク』を盾変わりに用いつつ『シュートケムール』『アッツィーコウル』の一斉発射で鮫集団を叩き落とし空いた右手で手近な鮫を掴んで鏡に叩きつけるッ!ポイント二倍でお得だなッ!
背後は割りきって|同行者《プレイヤー》に任せたぞッ!|声かけ《チャット》も欠かさず…ボイチャが主流か?ユーベルコードで支援だッ!



 鏡を壊すにあたり、全員が入り口からでは効率が悪いので、接敵に注意しつつある程度手分けして行動することとなり。四軒屋・綴(|大騒動蒸煙活劇《ダイナミックスチームパンク》・f08164)は、最初に会話した二人組プレイヤーと組むこととなった。

「ふーむ、つまり鮫というモチーフは最適化され過ぎた生きる化石であるが故に拡張性に乏しい訳か、なるほど」
「まさに鮫の生態そのもの。完成されていることは、問題でもある」
「なんか鮫で盛り上がってる……」

 綴と射手風プレイヤーが鮫トークで弾む横を、騎士風プレイヤーが若干引きつつも並び行く珍妙(?)なパーティー。
 それが目に付いたのか、噂をすれば影か、偶然なのか、話に釣られるように鮫モンスターの空飛ぶ群れがお出ましである。

「等と言っている間に来たなフライング・シャーク・フロム・ミラー・イン・ザ・ラビリンスッ! ……探せば映画でありそうだな」
「ゲームは乏しいが、鮫映画の可能性は広く深い。きっとあるはずだ」

 え、鮫映画ってそんなに作られてるの、と思わず顔を向ける騎士風プレイヤー。緊張感が霧散していくのは、果たして良いのか悪いのか。
 とはいえ、そこは歴戦の廃人プレイヤーと猟兵。軽口を続けつつ装備はすでに構えられて、態勢は整っている。

「B級は雑に|鑑賞《対処》させて貰おうッ! アームズジョークッ!」

 綴の背部に搭載されている蒸気機関車型サブジェネレータを分離、左腕に装着して盾のように構える。

「前方確認、よしッ! シュートケムール、アッツィーコウル、一斉発射ッ!」

 右手で指さし確認の後、アームズジョークの兵装が同時に攻撃を開始した。|黒煙型衝撃弾の連射《シュートケムール》が鮫モンスターの群れ先端を滅多撃ちにて足止めし、渋滞が起きたところに|石炭型榴弾の投射《アッツィーコウル》が纏めて焼き払う。
 群れの端にいたために、衝撃で吹き飛ばされながらも死ななかった鮫モンスターが、綴のもとまで跳ねながら転がってきた。綴は空いている右手で掴みやすそうな尾を掴むと、丁度いいとばかりに手近な鏡へ叩きつける。

「ポイント二倍でお得だなッ!」
「何のポイント!?」
「入れ食い大安売り鮫セール、ポイント二倍!」
「だから何の!?」

 鮫モンスターの体力が尽きるまで振り回し、声にもならないモンスターたちの悲痛な叫びをBGMに鏡を打ち壊しつつ、弾幕で群れを駆除する。
 綴の背後ではプレイヤーたちが敵の対応を行っていた。射手風プレイヤーの遠距離攻撃で鮫モンスターを蹴散らし、撃ち漏らしと鏡を騎士風プレイヤーが討つ。手慣れた連携である。

「後ろは任せたぞッ! |声かけ《チャット》……はボイチャが主流か?」
「テキストでも問題ないけど、声のが早いし、手は塞がらないからまあボイチャが主流だな」
「なるほど、ありがとうッ! 一度回復を挟むぞ、|安・心・列・車《アシストレイン》ッ!」

 綴の全身から蒸気状のナノマシン群が噴出。それに触れたプレイヤー二人は高速治療を受けて、礼を告げる。
 そして、綴たち三人は息を合わせた連携を維持したまま、付近の鮫モンスターと鏡を全て倒していった。

成功 🔵​🔵​🔴​

御堂・伽藍
アドリブ、即席連携歓迎

あねさま いってた
『地形が敵なら、敵ごと打ち倒してしまえ!』
リミッター解除

念動怪力闇空属性衝撃波データ攻撃破壊工作地形破壊UC
フェイント二回攻撃追撃を交え範囲ごと薙ぎ払う
無数の重力球を放ち破壊し平らげる

敵の攻撃を落ち着いて見切り
残像陽動フェイント忍び足等で躱し
カウンターで上記の攻撃を更に撒き散らす

窮地の仲間は積極的にかばい援護射撃追撃

ぐらびとーん くらすたー
硝子は縦にひび割れて
げーむ? でーた?
砕いてしまえばただの文字

残像陽動フェイント忍び足でゆるゆると進む

まくひき みせじまい
鎮め沈め骸の海へ

さようなら
さようなら
御然らば
御然らば



 ばしゃばしゃ音を鳴らし、ゆらゆら迷路を歩く御堂・伽藍(がらんどう・f33020)は、通路の向こうから退いてきたらしきプレイヤーたちと遭遇する。
 曰く、数が多すぎたから立て直すために一度退いた、とのこと。

「あねさま いってた。『地形が敵なら、敵ごと打ち倒してしまえ!』って」
「スゲー脳筋理論じゃん……」

 わかりやすいけどさ、とプレイヤーの一人が引き攣った笑いを浮かべる。
 そんな話をしているうちに、鮫モンスターの群れがやってきた。狂ったように血に飢えて、暴れながら迫ってくる。
 けれど伽藍は散歩でも行くような気楽さで、一歩前に出た。声をかけようとしたプレイヤーは、何とも言い難い雰囲気に圧されて口を閉じる。

「偉大なる鉄人の名に於いて!」

 かちり、と制限が外れた。彼女の腹部にエネルギーが集まり出す。光を呑みこみ逃さぬゆえに、黒く見える重力の力だ。
 危機感か、ただの飢えか、鮫モンスターは真っすぐに伽藍へと牙を向ける。だが、彼女の六腕が多様な属性を秘めた攻撃を放ち、迎撃する。
 念動で潰す、衝撃波で潰す、重力球で潰す。応戦しているうちに、腹部の重力子塊は大きくなっていく。
 重力で空間が軋む音は、まるで|鏡《バグミラー》の悲鳴のよう。|大口径重力子砲《ワンセブングラビトン》の光を喰らう暗黒は、全て飲み込む鮫の顎を連想してしまう。
 そして、ついにそれは放たれた。

「ぐらびとーん くらすたー」

 硝子は縦にひび割れて。

「げーむ? でーた?」

 砕いてしまえばただの文字。

「なんつー威力……」

 高重力の手から逃れる術は無く、範囲内の全ての敵が圧し潰された。あとはただ、壊れた地形が残るだけだ。
 伽藍はプレイヤーたちに優雅な挨拶の仕草を見せて、ふたたびゆるゆると歩みを進める。

 まくひき みせじまい
 鎮め沈め骸の海へ

 さようなら
 さようなら
 御然らば
 御然らば

成功 🔵​🔵​🔴​

ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
サメ肉って臭み(アンモニア臭)があるから処理とか加工が面倒なんだよな。
ま、どっちにしろ料理してる余裕はなさそうだけどな。

シャーリーやと協力して迷宮を攻略する。
鏡はシャーリーに任せ、俺は他プレイヤーと一緒に出て来た鮫を引き受ける。
いちいち相手するのも面倒だからシャーリーとタイミングを合わせてある程度鮫が出現させたところで【飢牙炎牙】でまとめて一掃し、先を急ぐ。
仕留め損なった鮫は【斬撃波】の【二回攻撃】で三枚におろす。

この先の鏡からも鮫は次々と出現しているんだろうから、迷宮が鮫で埋め尽くされる前に先を急ぐ。


シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
鏡の迷宮!
キラキラしていて綺麗だねっ
…って見惚れてる余裕はなさそうだね

鮫はウィーリィくんに任せてボクは周りの鏡をブラスターの【クイックドロウ】【乱れ撃ち】と【ワールドタイフーン】で片っ端から砕いて増援が出てくるのを防ぐ
協力プレイで迷宮をクリアだよ!

迷宮自体は【宝探し】でボスまでの道則を導き出す事で突破するよ
ここがゲームの世界ならボスの居場所にはお宝があるはずだからねっ



 八方から爆発音や破壊音が反響し、多くの鏡が今も割られている迷路。同時に、行き止まりや外れの通路も判明しては|地図描き《マッピング》が趣味のプレイヤーたちによって記録されていて、迷路そのものの攻略も進められている。
 そして、シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)とウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)の二人組パーティー【かまぼこ】および、数人のプレイヤーが一緒になって調査を進めている通路は、行き止まりなども無く、今のところ外れではないようだ。

「ここがゲームの世界ならボスの居場所にはお宝があるはずだからねっ」

 とはシャーリーの言であり、宝があるならその場所まで行けるらしい。事実、彼女の冒険と宝探しの勘の導きは、現状正しい道を選び続けている。
 鮫モンスターへの警戒と対処はウィーリィとプレイヤーたちに任されており、鏡はシャーリーが砕く采配だ。砕けた鏡は目印の代わりでもあり、壊れていない鏡がある場所が、未開拓の道というわけだ。

「鏡の迷宮! キラキラしていて綺麗だねっ」

 シャーリーの言葉通り、鏡と水が互いに光を反射し合うことで、幻想的で煌びやかな光景を作り出していた。ここがダンジョンで、鏡が敵でなければ観光エリアになっていたかもしれない。
 一方、ウィーリィの関心は鮫にあるようだ。

「サメ肉って臭み(アンモニア臭)があるから処理とか加工が面倒なんだよな」

 鮫はアンモニアを尿素に変えて溜め込んでいるが、死亡すると尿素が分解されてアンモニアに戻ってしまう。鮫肉に臭みが発生するのはこのためで、食するなら鮮度が重要となる。
 料理人であるウィーリィにとっては扱える食材だが、通常とは異なる手法が求められるために悩みが出るものだ。それはそれとして、鮫は美味いらしいので、腕がなる。
 まあ、ゲームデータである鮫モンスターがドロップする食材が、通常の鮫と同じかはまだわからない。

「ま、どっちにしろ料理してる余裕はなさそうだけどな」
「……って見惚れてる余裕はなさそうだね」

 【かまぼこ】の二人は同時に気付く。水中のように空を泳ぎ、凶暴な鮫モンスターの群れが奥から湧き出てはこちらに向かってきていた。
 敵が湧いた瞬間に全員が戦闘状態に切り替わる。盾役を務めるプレイヤーが前線に立ち、バックアップがシャーリーの防御も兼ねて下がった。
 鮫モンスターの群れが一直線に突っ込んでくるが、ウィーリィは即座に攻撃はせず、纏まった数が射程内に入るのを待つ。突出した数匹をプレイヤーの遠距離攻撃が討ち、団子になるよう調整。

「喰らい尽くせ、炎の顎!」

 タイミングを見計らってウィーリィは|飢龍炎牙《グリード・ブレイズ》を放った。大包丁から龍の姿の紅蓮の炎が飛び出し、鮫モンスターを逆に貪っていく。丸焦げどころか塵も残さない大火力で一掃した後は、ポツポツと残った敵を斬撃波で三枚おろし。

「シャーリー!」
「任された!」

 シューティングスターの早撃ち連射で周囲の鏡を砕いていたシャーリーは、敵が殲滅された空白でワールド・タイフーンを発動する。

「さぁ、世界サメ大戦の勃発だよ!」

 サメ型のエネルギーの刃が大量に放出され、幾何学模様を描きながら次々に鏡へ食らいついていく。
 鮫モンスターを召喚する|鏡《バグミラー》がサメに襲われるという珍しい絵面。気持ちいいくらい盛大に大量の鏡が砕かれ、飛び散る破片が光を浴びて美しく輝く。
 【かまぼこ】とそれを補佐するプレイヤーの協力プレイは、見事に攻略を進めていった。
 そして、全ての鏡が破壊されるとほぼ同時に迷路の出口へ辿り着き、ついに、最奥のボス部屋の扉が開かれる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『突然』の『サメ』

POW   :    噛み付く
噛み付きが命中した部位を捕食し、【対象のステータス】を得る。
SPD   :    仲間を呼ぶ
【突然】大量の【サメ】を降らせる事で、戦場全体が【鮫の縄張り】と同じ環境に変化する。[鮫の縄張り]に適応した者の行動成功率が上昇する。
WIZ   :    どこでもシャーク
【鼻先】で長さ1万÷レベルmの洞穴を掘ると、終点が「同じ世界の任意の場所」に繋がるワープゲートになる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠フカヒレ・フォルネウスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●恐怖! 迷宮の怪物鮫
 ボスの部屋は一見すれば何もない、巨大な立方体の空間であった。猟兵とプレイヤーたちは警戒しつつ部屋の中央まで進むと、ガコン、という音が鳴り、ギミックが作動する。
 歯車の稼働音とともにゆっくり、床が変形する。四つの足場を残し、田の字を模るように水路が作られ、そこへ大量の水が流れ込む。
 そして、どこからともなく鮫の背ビレが現れる。それは水路を移動しているが、まるで水中のように壁や天井まで泳ぎ始め、このクエストがバグプロトコルに乗っ取られていることを示すと、威圧するように飛び跳ねて姿を見せた。
 キャバリアをも吞みそうな、この超巨大鮫を討伐するのだ!
四軒屋・綴
※なんでも歓迎
メガロドン…という訳でもないのだろうが、そういうサイズ感だなッ!

さて飛ぶぞ諸君ッ!!ユーベルコードを発動し飛行ユニットと合体ッ!同行者を小脇に抱えて飛翔ッ!!

映画で予習は終えているッ!壁や天井、視界の効かない中を鮫が泳ぐのなら頼るのは『ロレンチーニ器官』、生体電流を感知しているのだろう…という訳でサンダーッ!!無差別放電で引き摺り出してやろうッ!

そして|同行者《プレイヤー》さんに教えて貰ったぞッ!鮫の形状を取る以上その攻撃は|単純な《完成された》突撃に限られるッ!飛行ユニットとの分離で回避、地上からのアッパーと上方から飛行ユニットの突撃、同行者と息を合わせ挟み撃ちを叩き込むッ!!



「メガロドン……という訳でもないのだろうが、そういうサイズ感だなッ!」

 遥か昔に存在した古代鮫メガロドン。その体長は15m以上はあったという。ボス鮫の大きさは、それを思わせるほどの迫力がある。
 その巨体に脅威を感じつつも、四軒屋・綴(|大騒動蒸煙活劇《ダイナミックスチームパンク》・f08164)の姿勢と意思は揺るがない。

「こうして相対すると迫力がある。映画に出演した気分だ」
「喜んでる場合か」

 同行しているプレイヤーの方も、緊張も緩みも無い。射手風はスクリーンショットを撮りまくり、騎士風がツッコミをいれている。
 あの巨体は攻撃を当てるのは簡単かもしれないが、避けるのは苦労するだろう。下手にダメージを負うと敵が強化されてしまう。
 回避重視の戦いをしたいが、そうすると攻撃頻度が落ちて長期戦になりかねない。集中力が落ちたところに痛撃をもらう可能性が高まる。厄介なボスだ。
 しかし、ここには猟兵がいる。

「さて飛ぶぞ諸君ッ!! |風・雷・列・車《フライトレイン》ッ!!」
「わかった」
「え? え?」

 どこからともなく聞こえてくるエンジン音。徐々に大きくなるそれは、綴がユーベルコードで呼び出した飛行ユニットである。飛行ユニットは綴の背中へ舞い降りて、ガッキィンと|連結《がったい》した。
 もはや以心伝心と化した射手風プレイヤー。置いてけぼりの騎士風プレイヤー。二人を小脇に抱え、蒸気を噴出して綴は空を飛ぶ。

「映画で予習は終えているッ! 壁や天井、視界の効かない中を鮫が泳ぐのなら頼るのは『ロレンチーニ器官』、生体電流を感知しているのだろう」

 鮫の頭部に存在するロレンチーニ器官は、生物の極めて微弱な電流すら感知する感覚器官であり、隠れた獲物を捕らえるのに使われている。このダンジョンで出現した鮫モンスターは、空中など行動範囲こそ拡張されていたが、生態や行動はバグプロトコル化しても本物の鮫に近しいままだった。
 ならば、このボス鮫も同様に生態から逸脱した機能は少ないと綴は予測したのである。

「という訳でサンダーッ!! 無差別放電で引き摺り出してやろうッ!」

 飛行ユニットから電撃が広範囲に放たれた。ボス鮫に当たったとしても微々たる威力だが、感知を乱すことはできる。見当違いの場所に当たっても、攪乱として十分である。
 そして、敵は狙い通り壁の中から頭を出した。直接見なければ獲物の場所がわからないからだ。さらに怒っているのか興奮した様子である。ボス鮫は綴たちの姿を見つけると、一度潜って助走距離を稼ぐ。

「そして|同行者《プレイヤー》さんに教えて貰ったぞッ! 鮫の形状を取る以上その攻撃は……」

 透過するように壁を抜けて跳び上がり襲いかかるボス鮫。ロケットのように真っすぐ、ギロチンのように鋸の歯が並ぶ赤い口腔が怪獣のように押し迫る。

「……|単純な《完成された》突撃に限られるッ!」

 襲撃してくる位置、攻撃のタイミングがわかっているならば脅威であっても危機では無く、綴は飛行ユニットを分離して上下に分かれて回避。鮫の顎は虚空を噛む。
 落下して腹に潜り込んだ綴は、腰部の推進機を全力稼働。圧縮蒸気と轟音を響かせて、プレイヤーたちと上方へ全速発進。
 上空に逃れた飛行ユニットは速度を殺さずターンして、猛禽のように急降下。

「叩き込むッ!!」
「全弾発射だ」
「滅茶苦茶かよ!」

 鉄拳のアッパー、ありったけの射撃、全力の斬撃、急降下突撃。
 腹と背から挟み撃ちされたボス鮫は、骨まで届き軋むダメージに苦悶の悲鳴を上げながら弾き飛ばされ、慌てて水中に逃げ込むのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
ラスボスはバグプロトコル化してすっかりチートな能力持ってるみたいだけど、残念だけどボクたちには頼もしいプレイヤーのみんながついている
チートにはチームで対抗だよ!
行こう、みんな!

鮫が水上や天井、床や壁を泳げるといっても飛び道具を持っていない以上ボクたちを襲うためには近くに出現しなくちゃいけない
だからプレイヤーたちには足場の一つに陣取って互いの死角を補い合いながらボスを待ち受けてもらい、ウィーリィくんが囮になっている間に【水泳】【息止め】で水中に潜り【早業】【罠使い】【ロープワーク】で足場の周りに捕縛用のワイヤートラップを仕掛けておく
準備が終わったら水上に戻り、ウィーリィくんに合図を送った後プレイヤーたちと一緒にボスを迎え撃つ
【索敵】で周囲を警戒してボスが出現したらプレイヤーたちに知らせると同時に【クイックドロウ】【乱れ撃ち】で集中攻撃!
ボスが水中から奇襲を仕掛けようとして罠にかかったら攻撃のチャンス!
身動きできない間に【ラスト・チェーンソー】で致命的ダメージを与えるよ!


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
いくら俺が料理人だからってあいつは【料理】する気にならないな。
討伐対象だ。
原型留めないくらい切り刻んでやるから覚悟しな!

シャーリーが罠を仕掛けている間、俺は囮役として奴の相手をする。
【足場習熟】と【ジャンプ】【軽業】で足場を飛び移りながら奴を誘き寄せ、大包丁での【斬撃波】でダメージを与えていく。
奴が噛みつこうとしたら【盾受け】【シールドバッシュ】で盾代わりの鉄鍋を奴の鼻面に叩きつけて撃退する。
シャーリーの準備が済んだら彼女と一緒にプレイヤー達と合流。奴を迎え撃つ。
他プレイヤーが襲われそうになったら【早業】で割って入って【ジャストガード】で鉄鍋を奴の口の中に突っ込んで【かばう】。
そして奴が罠にかかった隙を見逃さずシャーリーのUCとタイミングを合わせて【料理の鉄刃】を【二回攻撃】で叩き込む!(ワイヤーを切らない様に注意)



 ダメージを負って水に逃げ込んだボス鮫は、警戒しつつも猟兵とプレイヤーを威嚇するように背ビレを出して泳いでいる。ただの獲物ではないと認めたらしい。
 しかし、【かまぼこ】とプレイヤーたちは威嚇されて怯えるような精神はしていない。

「ラスボスはバグプロトコル化してすっかりチートな能力持ってるみたいだけど、残念だけどボクたちには頼もしいプレイヤーのみんながついている」

 シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)は振り返り、エメラルドの海のような瞳で歴戦のプレイヤーたちを見た。

「チートにはチームで対抗だよ! 行こう、みんな!」
「「「応!!」」」

 力強い返事に、彼女も笑みを見せる。
 士気を高めたところで、ボス鮫に有効打を与える策を考えねばならない。具体的には引きずり出す手段と、攻撃を当てるまで動きを止める手段の二つ。
 それについてはいい考えがある【かまぼこ】の二人は、プレイヤーたちに相談し、修正を加えて実行に移す。
 手始めに行動するのはウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)。大包丁を振るって斬撃を飛ばし、ボス鮫の背ビレを斬りつける。
 攻撃されたボス鮫はウィーリィに意識を向けると、全身で水を叩き高速で泳ぎ始めた。

「いくら俺が料理人だからって、あいつは料理する気にならないな」

 討伐対象だ。敵の突撃を軽やかなジャンプで足場を移り回避したウィーリィはそう宣言する。
 挑発されたボス鮫は憤り、まんまと乗せられて|囮《ウィーリィ》を追う。プレイヤーからの強化を受けたウィーリィは、驚異的な身体能力で噛みつきを避け、返しの大包丁で切りつけるが、やはり外皮は硬く手応えは浅い。

「思った通り硬い。けど、原型留めないくらい切り刻んでやるから覚悟しな!」

 微々たるダメージ。それでも繰り返されれば鬱陶しく感じるらしい。ボス鮫はウィーリィに夢中だ。
 別の足場、様子を見ていたプレイヤーがシャーリーに今だと告げる。それを受けた彼女は頷いて、もう一度命綱を確認してからワイヤー片手に水中へ潜った。
 時間をかけては敵が気づくかもしれない。シャーリーは水中とは思えない手捌きでワイヤートラップを製作すると、足場の周りに仕掛けて張り巡らせていく。
 着々とギロチンが持ち上がっていることに気付かないボス鮫は、横から上から下からウィーリィを襲っている。

「よっほっ! どうした、鈍いぜ!」

 表情こそ余裕だが、疲労の蓄積は積み上がりつつある。しかし、そろそろ仕上がるはずとボス鮫を引きつけ続ける。プレイヤーもタイミングを見計らって強化を掛け直す。

「ッ! こっちに来るぞ!」
「バフでヘイト取り過ぎたか!?」

 たまたま目に入ったのだろうか、それとも支援役から潰すことにしたのか、ボス鮫はウィーリィからプレイヤーたちへターゲットを変えた。
 急転換して猛烈な勢いで泳ぐボス鮫。盾役が前に出て、防御の構えをとる。大顎を目一杯開き飛びかかる敵。

「てめぇは、こっち!!」

 その鼻面に、ウィーリィの鉄鍋が叩きつけられた。
 ジャストタイミングでのシールドバッシュは、ボス鮫を押し返すには十分な力を発揮した。弾かれた敵は水中へ落下、再び泳ぎ始める。

「……ふぅ、助かったぜ」

 ウィーリィは支援役のプレイヤーへ礼を言う。プレイヤーも片手を上げて返す。転送・転移系のスキルでウィーリィを戻すことで、かばうことに間に合わせたのだ。
 そして、シャーリーも準備が終わる。あとは敵を誘うだけと、優れた肺活量で水中に留まる彼女は、命綱を軽く引っ張って合図を送り、引き揚げてもらった。

「準備できたよ。あとは相手がかかるのを待つだけだね!」

 プレイヤーたちを含め、布陣する位置を調整する。攻撃を誘うほか、集中攻撃できる位置に出てもらわねばならないからだ。

「くるよ!」

 周囲を警戒していたシャーリーが声を上げる。索敵に優れた彼女の肌感覚が、姿の見えないボス鮫をビリビリと感じている。
 ボス鮫は一呑みにしてやるとばかりに、深く潜ってから急上昇。ロケットの打ち上げのように加速して、水面が近づいた瞬間。

「掛かった!」

 その身に食い込むワイヤートラップ。顎を開けずヒレも動かず、足場に落ちる姿は俎上の魚そのもの。

「チャンス! 一斉攻撃っ!!」

 ワイヤーに当てないよう注意しながら全員が全力攻撃を行う。刃が閃き矢玉が飛び魔法が放たれボス鮫の体力をがりがり抉っていく。

「邪魔する敵は、喰らいマックス!」
「研ぎ澄まされた刃と技に、料理出来ないものはない!」

 シャーリーが掲げたフォースカトラスがラスト・チェーンソーに変形してぶん回される。ボス鮫のエラに食い込んだ回転する刃は、身体を削りながら致命的なまでに噛み裂く。
 ウィーリィの振るう|料理の鉄刃《ブレイドワーク・オブ・アイアンシェフ》が、ボス鮫の骨肉を断ち。熟練の技巧で大包丁を瞬く間に返し、刀身に血脂を残さない斬撃で刻みつける。
 度重なる致命的ダメージを受けて、ボス鮫は藻掻いて暴れる。その馬鹿力ゆえか、あるいはゲームシステムとしての仕様か、無理矢理ワイヤーを千切ったボス鮫は、慌てて潜行する。
 逃げられはしたものの、ボス鮫に蓄積したダメージは重く、体力は半分を下回っている。まだ油断ならないが、策が上手く行ったことを、【かまぼこ】の二人とプレイヤーたちは喜び合うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メイティナ・ヴァーンフォルカ
【まずは鮫を引きずり出しましょう】
水だから電撃か?
裕士が銃を取り出しながら言う

【降って来る鮫を何とかしましょう、もう一つの終断!】
心眼で敵の動きを見ながらUCの効果でUCもう一つの終断を発動して自分達の方へ降って来る鮫を消す

全員痺れろ!
それと同時に裕士が素早く電撃属性の呪殺弾と弾幕を推力移動しながら放つ
この時周りのプレイヤーを配慮して放ちます

【歌え、私の名の元に!】
UCを発動して星導覚醒の光を放ち戦場を歌劇場に変化させて自身と裕士やプレイヤー達を強化する

【本体、出てきなさい】
心眼と気配感知で敵を見つけてから私は電撃属性の斬撃波を素早く本体に放ち痺れさせた所に隙を見てプレイヤー達も攻撃を仕掛けた



 怒りのままに襲いかかってきていたボス鮫は、さすがにダメージを受け過ぎたと感じたのだろうか、今は泳ぎ回りながらこちらの隙を探っているようだ。

【まずは鮫を引きずり出しましょう】

 どうにか釣らないと話にならない。メイティナ・ヴァーンフォルカ(狂人と勘違いされた神がクソゲーハンターとなる話・f41948)は裕士へ看板を見せる。

「水だから電撃か?」

 わかってる、と言いたげな態度で裕士は銃を取り出した。メイティナの安直な……という視線を無視して、電撃属性を込めた弾丸をボス鮫に撃つ。
 牽制と挑発の数発が背ビレに当たると、様子を見ていたボス鮫が反応して動いた。尾ビレを持ち上げて水面を叩くと、床に幾つもの影が映る。
 影を不審に思ったプレイヤーが天井を見上げ、叫んだ。

「さ、鮫だーっ!?」

 3~4mほどの鮫が、雨のように降ってきていた。しかも、空中で身を捻り、近くの猟兵やプレイヤーに向かって。
 さらに遠すぎて届かない鮫は水中に潜り、フィールドを鮫の縄張りに変えてボス鮫を強化している。

【降って来る鮫を何とかしましょう、|もう一つの終断《アナザー・フォース》!】

 看板を片手に保持したまま起源を上書きする斬撃でメイティナと裕士に降る鮫を消し去り、一先ずの安全を確保。時間をかけるのは良くないと判断し、星導シューズで空を蹴って裕士が跳ぶ。

「全員痺れろ!」

 二丁の銃から電撃弾をばら撒き、鮫の群れを減らしながらボス鮫を探す。また、プレイヤーに降りかかろうとしている鮫を撃ち抜き、援護する。

【歌え、私の名の元に!】

 その間にメイティナが|星導覚醒・破滅の歌劇場《ステラ・バースト・カタストロフオペラ》を発動。鮫の縄張りを歌劇場に塗り替えて、星導覚醒の光で自分たちとプレイヤーたちを強化する。

「見つけたぜ」
【本体、出てきなさい】

 群れに紛れて襲いかかろうとしていたボス鮫を、気配と心眼で見つけだしたメイティナと裕士。分からないからこそ奇襲は効果があり、先に見つかってしまえば無謀な攻撃にしかならない。
 飛び出して来たボス鮫の牙を避けて、電撃属性の伴った斬撃と銃弾で滅多打ちにする。ボスだけあって高い耐性があるが、無効化ではないなら問題ないと二人はゴリ押し。
 結果、見事ボス鮫は|痺れた《マヒ》。

「今だ、やれ!」

 裕士の声に続いて、プレイヤーたちが攻撃を仕掛けていく。
 痺れが取れるまでの短い間に、ボス鮫は強化された数多の攻撃を浴び続けることになり、残り少ない体力は風前の灯にまで減るのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

コウタ・ニイロ
っとと、ダンジョン探索は遅れちまったな
ボス戦はしっかり参加しねーと
んで……鮫だ
本当に鮫だ

他プレイヤーが危険なら黒鎖で積極的に引っ張りあげる
足場がいるなら【蟲使い】で黒燐蟲を集めて作るか
見た目はちょっとアレだが死ぬよりマシだろ?
大丈夫、暴れたりしないから

俺も蟲の足場に乗りつつ戦う
仲間を呼ぶなら仲間ごとUCで攻撃だ
【マヒ攻撃】をくれてやる
満足に泳げねぇならお前らだって鮫の縄張りに適応出来てないのも同じ
溺れとけ
……鮫の縄張りってなんなんだろうな

テンションが上がればグリード・サインも輝く
そういえば鮫が出てくる変な映画があるらしい
統制機構にゃ流通してないだろうな
変な映画の擬似体験と考えると悪くねぇ経験だ



「っとと、ダンジョン探索は遅れちまったな、ボス戦はしっかり参加しねーと」

 廃人ガチ勢はさすがに速い、と思いつつコウタ・ニイロ(足元の蔓・f41814)はどうにか追いついた。
 状況を理解するべく、警戒しつつも落ち着いて周囲を見渡す。足場、水路、プレイヤーと猟兵。

「んで……鮫だ」

 サイズこそ桁違いだが……。

「本当に鮫だ」

 何がここまで鮫を推させるのだろう。そんな疑問が脳に押し寄せる。
 だが今はそれどころではないと、脳内から問いを追い払い、クライマックスらしき状況に乗っていくべく準備する。
 ボス鮫の体力は残り僅か。だからだろうか、血気盛んに顎を開き、鮫の群れを降らせて近づかせず、暴れ回っている。窮鼠ならぬ窮鮫は恐ろしい。
 まずは、鮫の群れと縄張りの対処が必要だ。

「仲間を呼ぶなら仲間ごと攻撃だ。吹き飛びな!」

 コウタの全身から|黒い嵐《ストーム》が吹き荒れる。暴風の如き黒い魔力は敵のみを襲う。水面も味方も無風、凪いだまま、鮫だけを巻き取り、痺れさす。

「満足に泳げねぇならお前らだって鮫の縄張りに適応出来てないのも同じ、溺れとけ……鮫の縄張りってなんなんだろうな」

 曖昧な表現の|強化《バフ》は判断しづらい。細かいことは思考の隅に押し込んで、あとはボス鮫だけだ。
 先の攻撃のマヒと、周囲に浮かぶ多くの鮫で動きが鈍い今が好機。しかし、水上、それもやや遠し。

「足場がいるなら……黒燐蟲を集めて作るか」

 アリの中には、集まって自らの体を筏にして川を渡る種がいるという。そこから発想したかはわからないが、コウタは異端の黒衣から這い出る蟲たちを水面に集めて足場とした。
 少々揺れるが、走っても問題はなさそうだ。コウタは蟲の足場に乗りながら、プレイヤーたちに声をかける。

「見た目はちょっとアレだが死ぬよりマシだろ? 大丈夫、暴れたりしないから。行こうぜ」
「ま、まあ、チャンスを捨てるわけにはいかないし」
「うぉぉ……なんか、ぞわぞわしてきた」

 リアリティに凝っているのも困りもの。とはいえ歴戦の廃人プレイヤー、立ち止まりはしない。
 黒燐蟲によって作られる黒い橋を駆ける。コウタのテンションが上がるにつれ、グリード・サインが輝いていく。先端が刃のようになっている黒い鎖に魔力を通して操り、構える姿は獲物を前にした毒蛇の様。
 プレイヤーたちがトドメの攻撃を放つと同時に、コウタも黒鎖を振るう。撓り、捻じれ、飛翔する刃はついにボス鮫の頭蓋を貫くのであった。
 ボス鮫が斃れる。抵抗するように身をよじり、けれど力無く腹を見せて水に浮くと、水路の水が抜け始めて部屋が元の形に戻り出した。プレイヤーたちが歓声を上げて、モーションやパーティーアイテムで勝利を各々祝う中、コウタも上機嫌に報酬とドロップを確認する。
 その途中で、そういえば、と彼は思い出す。鮫が出てくる変な映画があるらしいことを、道中耳にしたこと。

「統制機構にゃ流通してないだろうな。変な映画の擬似体験と考えると悪くねぇ経験だ」

 映画に出演した気分だ、とより機嫌を良くする。
 疑似体験はゲームの醍醐味、命賭けだったとはいえ、なかなか楽しかったな、とコウタは帰還するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年11月29日


挿絵イラスト