開放の日《ブラッディ・バース》
マリナ・フォーリーブズ
・ノベルのリクエストをお願いします
「内容」
バグプロトコルに遭遇してピンチになり、猟兵として覚醒し初めてユーベルコードを使用する
「流れ」
1,クリアするとサブジョブが得られると言うユニーククエストの噂を聞き、
マリナはクランの皆を誘ってそのクエストへと向かう
2,噂はオブリビオンの罠でモブエネミーに混じったバグプロトコルにより
パーティーメンバーたちが真の姿を曝け出された上で遺伝子番号を焼却されていく
3,真の姿を見て一番仲の良かったフレンドが現実世界での知り合いであることに気づき、
その消えかかって行く姿にショックを受ける
4,思わず駆け寄ってフレンドが使用していた武器を握って振るとUCが発動
今まで何をしても効かなかったバグプロトコルが倒される
5,一人生き残ってギルドへ戻り報告すると組合員からバグプロトコルと
それに対応できる猟兵の力についての説明を受ける
6,今や生き甲斐となったこのGGOライフを守り、このような思いをするプレイヤーを減らすため
以降、マリナは猟兵として特別クエストを受けることになった
「設定」
キャラ:マリナ・フォーリーブス
銀髪、赤目、褐色肌の黒聖者。ヒーラー兼デバッファーの後衛職、
露出の多い限定衣装を着ていてキャラの見た目を気にするタイプのカジュアルプレイヤー
見た目に合わせた妖艶な感じのRPをしている
クラン:真夜中騎士団(ミッドナイツ)
深夜帯の時間にログインするプレイヤーが集まって作った小規模クラン
ノルマ無し、リアルの話題禁止、楽しく遊ぶがモットーだった
フレンド:クランマスターの聖剣士
真の姿が勤め先の清掃員のおじさんだった、現実でも知り合いで
嫌がらせで捨てられた私物を一緒に探してくれて以来、たまに愚痴を聞いてもらう仲だった
ユーベルコード:「スキルクロス・ハイテンション」
【欲望開放】と【アクセルコンボ】を組み合わせた独自の技能「【MAXハイテンション】」を使用する。技能レベルは「自分のレベル×10」。
黒聖者のスキルと聖剣士のスキルを融合させた独自技能
全身をグリードサインの光が覆い、目にも止まらぬ連続攻撃を叩き込む技
設定箇条書きだけですがよろしくお願いします
●不許和音
何にだって終わりは来る。
明けない夜がないように。どれだけ真夜中が永遠に続くのだと錯覚するのだとしても、夜は開けるのだ。明日が必ずやってくるように。
現実で抑圧されたストレス。
それを開放することのできるゲーム、それがゴッドゲームオンライン。
現実ではあいも変わらず執拗なハラスメントを受け続けている。
けれど、此処では、ゴッドゲームオンラインでは関係ない。
「すみません……こんな付き合わせてしまって」
「いいや、いいんだよ。おじさんが清掃の時に気がついてあげられていたのならばよかったのだけど」
満里奈は上司や同僚たちからの嫌がらせで私物を勝手に捨てられていた。
その失せ物を手伝ってくれている清掃員の……おじさんと言って差し支えのない職員と共に廃棄物の中を探っていた。
苦々しい出来事を、みっともない所を知られているからだろうか。
それ以来、満里奈は清掃員のおじさんと愚痴を語り合うようになっていた。
現実でも、縁となる場所はあったのだと理解することができた。
けれど、やはりどこか鬱屈としていたのだ。
あの華やかな色彩あふれるゴッドゲームオンラインを知っていると、どうしたって――。
●夜明け
「本当にユニーククエストなんてあるの?」
「本当よぉ。この間もクエストロビーで噂になっていたのよぉ」
マリナはゴッドゲームオンライン内で彼女が所属しているクラン『真夜中騎士団』のメンバーたちに語る。
彼女が語っていたユニークックエストとは、今もっぱら噂になっているサブジョブ獲得のためのキーアイテムがドロップするクエストである。
どうやら、彼女たちクランが活動する深夜帯でしか発生しないクエストである、ということをマリナは聞きつけてきたのだ。
「でも、サブジョブか……獲得してるやつがいるって聞いてはいたけど、本当だったんだな」
クランマスターである『聖剣士』が首をひねっている。
未だ彼は半信半疑であったようだ。けれど、こうしてサブジョブ獲得のためのクエストに付き合う人の良さがあったのだ。
「疑ってるのぉ?」
「そんなことはないけれどさ。サブジョブが手に入れられたら、パーティの幅も広がるしね」
「高難易度レイドクエストにも参加できる!」
「ああ、噂の『大将軍』ってジョブだって取れるかもしれないんだから!」
パーティメンバーたちは意気揚々としていた。
誰も彼もが抑圧された現実を抱えているのだろう。
それを忘れるように明るく振る舞っている。マリナは彼等の現実を知らない。彼等もまた満里奈の現実を知らない。
でも、それでいいのだ。
このゲームの中だけ自分たちは生きているということを実感できるのだ。
けれど、すぐに知ることになる。
この理想のゲームでさえ、『統制機構』は追ってくるのだと――。
●滅却
「な、なんでだ!? アバターが溶けて……!」
「い、嫌! どうして! どうして……!!」
マリナの目の前でパーティメンバーたちのアバターが暴かれ、『真の姿』がさらけ出されていく。
それは突然の出来事だった。
サブジョブという餌に引っかかった哀れなるプレイヤーたちは、次々とクエスト難易度に見合わぬ敵に倒され、『遺伝子番号』を滅却されていくのだ。
アバターとはにても似つかぬプレイヤーたちの姿があらわになっていく。
「逃げろ、君は!」
クランマスターの『聖剣士』さえも敵……バグプロトコルの前に崩れ落ちる。
アバターがさらけ出される。
『真の姿』。
知られてはならない『遺伝子番号』。
それが燃えていくのをマリナは見ただろう。そして、クランマスターの『真の姿』をも。
「なん、で……? おじさん!」
そこにあったのは清掃員のおじさんの姿だった。
共に失せ物を探してくれたおじさん。
愚痴を言い合ったおじさん。
その姿が、消えていく。
『遺伝子番号』を滅却されてしまったのだ。滅却された者の末路を満里奈は知っている。
人権を剥奪され、一生労働奴隷として生きていくしかなくなってしまうのだ。
駆け寄った。
けれど、何も間に合わない。彼女に出来たのは、クランマスターの手にしていた聖剣だけだった。
己の背に敵が迫っている。
どうして、こんな思いをしなければならないのか。
此処は自分たちの理想のゲームだ。なのに、此処にまで『統制機構』は迫っている。
生きたい。
いや、それ以上に。
マリナは、思ったのだ。許せないと。
こんな思いを強いる者を許してはおけない。こんな思いを他者にさせる訳にはいかない。
「スキルクロス・ハイテンション!」
叫ぶ。
それは己の渇望を開放し、加速する連続攻撃を組み合わせた絶技にして、ユーベルコード。
2つのジョブのスキルを融合させた独自技能。
グリードサインが全身を包み込み、敵を刹那の内に切り裂く。
「偽りを捨て、真の欲望を開放しましょお?」
血の十字が告げるは、|開放《ねがい》だった――。
成功
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