DunkelheitAuraは語る
●デビルキングワールド
『実は、わしらには秘密があるのや』
『それって、あれか? パンケーキにつけるヤツ』
「いや、それは秘密じゃなくて、ハチミツだから……!」
あるキマイラから押しつけ……いや、譲り受けた魔剣【DunkelheitAura】は、相変わらず、やかましかった。
最近は目覚まし代わりにして、決まった時間に漫才をさせているものの、その事が原因で無駄にツッコミスキルが上昇してしまうのが、悩みのタネだった。
「……と言うか、へし折ってもいいんだぞ、駄剣共が……」
薬袋・あすか(地球人の鹵獲術士・f40910)が呆れた様子で、こめかみを激しくピクつかせた。
『ちょ、ちょい待ち! わしらだって、別に、へし折られたいから、こんな事を言った訳やない!』
『実は、わしら……トリオだったんや。まあ、いわゆる、アレや。方向性の違いってヤツで、ケンカ別れしたんやが……』
「……トリオ?」
あすかが魔剣達に視線を送った。
魔剣達には、弟がいた。
とても、優れた弟が……。
『弟は多重人格だった。確か、32……の人格?』
『いや、42(死に)や。……不治の病(中二病)やったからな。数字には、意味もなくこだわっていたからなっ!』
どうやら、もう一振りあるらしい。
『……そうや、それそれ! アイツ、無駄に能力が高かったから、受けが良かったよなぁ。無駄にイケボやったから、女の子にも持てたし!』
『何だか思い出したら腹が立ってきた。それでも、アイツがいた頃は楽しかったよなぁ。何もかも、上手く行っていたし……。やっぱ、家族は一緒でないと……』
この時点で、あすかは嫌な予感がした。
いわゆる、藪蛇、もしくは死亡フラグと言うヤツである。
「ま、まさか……」
その途端、背中にゾクッと寒気が走った。
例えるなら、まるで底なし沼にハマッたような感覚だった。
『……で、もちろん、探すんやろ?』
『久しぶりに聞きたいわー。……弟のイケボ』
魔剣達が期待の眼差し(?)を送った。
「やっぱり、そう来るか……」
お笑い芸人……もとい、この魔剣達に過去を聞いた時点で、運命は決まっていた。
だが、それは壮大な冒険の幕開けでもあった。
「なんだか……頭が痛くなってきた。……次の粗大ゴミは、いつかなー」
そう言って、あすかが今にも崩れ落ちそうな勢いで、頭を抱えるのであった。
成功
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