貴方色の一皿~橙の約束
銀誓館のお膝元鎌倉、ハロウィンイベント中の商店街。
「「あ」」
ばったりと顔を合わせたのは、胡・麟星(きりん座・f36862)と冬霧・椿(白姫・f35440)。
「麟星さん!」
声をかける椿は満開の笑顔。向かい合う麟星はほっとしたような様子を見せていた、その理由は。
「……そのお店、行くの……?」
椿が持っていたリーフレット。開かれているページを見て同じお店が目当てと気付いたからだろう。
「はい、ご一緒していいです?」
「うん・……実は、少し不安……だったの。初めて……行くところ、だったから」
向かったのはスイーツが評判のカフェ。
「ハロウィンスペシャル……?」
メニューを見て二人が首を傾げたのは、その言葉以外説明が無いから。店員さんに聞いた所では、色を一つ指定するとそれに沿ったメニューが出てくるそうで。
「椿はそれにします!」
「私も……」
二人が指定した色は、南瓜のオレンジ。
「麟星さんの翼のリュック可愛いです、ストールも綺麗です」
「ありがとう……あなたは、うさぎさん、ね……」
仮装について話しているうちに届いたのは、大きめのガラスポットに満たされた明るいオレンジと様々な果物。
「……ティーパンチ」
オレンジ香る紅茶にはフォークも添えられていて、果物も食べられるようになっている。オレンジにマンゴー、パパイヤ、メロンに黄桃。小さめカットの果物はほんのり甘くて紅茶とよく合っていた。
『お待たせ致しました』
やがて届いたスイーツは小さなカップにスポンジやクリームが幾層にも重なったデザート。
『ゴシュアです。スペインのデザートで、バスク語で美味しいや甘いという意味です』
本来はカスタードとホワイトチョコ入りの生クリーム、スポンジを重ねカラメルを上にかけたものだが、ハロウィンという事で南瓜ペーストが加えられ全体がオレンジ色のグラデーション。
「これも綺麗、です」
「……そうね……」
ふわりとしたスポンジとクリームの味わいはとても柔らかで、ティーパンチと合わせるとどちらも引き立て合うようで。
「美味しい……」
「おいしいですね」
堪能した二人は店を出ると、ゆっくり歩きだす。見上げた空は夕焼けのオレンジ色、もう一つあったねと笑い合うのも楽しい。
「よければ……また、今度……この世界の、素敵な場所とか……案内、してくれたら……嬉しい、わ」
「はい、またお出かけしましょう!」
それは二人だけの小さな約束。
成功
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