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蝶よ花よと愛されて

#サクラミラージュ #魔書

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#魔書


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●作家というものにとって
「ふむ。どうやら、ある女流作家の未発表作品が発見されるようだよ」
 グリモアベースに集った猟兵たちへと向け、雅楽沫・まほろは唐突に語りかけた。未発表作品が「発見された」のではなく「発見される」――その表現は、これがまほろの予知であることを示唆していた。
 しかし、ううん。と、うなる声。
「どうも厄介なことに、その作品は『魔書』と化している――ああ、そうだ。魔書というのは、強すぎる情念によって魔術的成長をとげたものでね」
 まほろは指先に蝶をたわむれさせながら、常と変わらぬようすで話を続けた。
「困ったことに、それは幻朧桜の霊力もなしに、書物自ら影朧を呼び寄せて溜めこんでしまうのだよ」
 そんな――影朧を溜めこんだ――作品が無力な市民の手に渡り、開かれようものならば。
 そこから先は、皆まで語られる必要もない。猟兵として覚醒した者たちにとって、それは想像に易いことなのだから。
「未発表作品は、桜に囲まれた小さな庵で発見される。時刻は夜といったところだろうか。作家が生きていたころは夜桜をたのしむ一般人の出入りもあったようだが、今となっては神隠しが起こると噂される場所だよ」
 あるいは、噂となる神隠しさえも魔書のせいであるかもしれない。
 なぜならば、魔書というものは、
「影朧だけに飽き足らず、猟兵までをも内側に取りこもうとする悪食でね」
 すう、と。糸のような目が薄らと開いた。
「作家というものにとって著作物は我が子も同然だが、読者になりうる者まで食わせるとは、いささかしつけがなっていない。諸君らは、この未発表作品に踊らされたふりをしながら、溜めこまれた影朧を退治しておくれ」
 そうして、それから。ちょいと灸でも据えてやってきてくれないか。影朧を呼び寄せるだけの情念が、この魔書の中には宿っているはずだから――。


うたかた
●うたかたです。
 まずは、オープニングに目を通していただき、ありがとうございます。
 このシナリオでは、見つけだした『魔書』の中へと入り込み、筋書きどおりの役を演じながら、溜まった影朧を倒す必要があります。
 未発表作品を『魔書』たらしめた情念があるかぎり、影朧は無尽蔵に湧き続けるでしょう。影朧の殲滅をしながら、強い情念の根源を見つけだし、解消してください。

●第一章『冒険』
 時刻は夜です。神隠しが起きると噂される庵の周辺を調べましょう。
 不吉な噂はあれど、庵周辺の桜が見事であることから、夜桜見物に訪れる地元民もいるようす。
 あるいは、生前の女流作家に関する情報や、未発表作品がしまわれた場所の目星を付けることができるかもしれません。

●第二章『集団戦』
 低級影朧たちとの集団戦闘です。皆さんが想像する物語の役を演じながら、影朧を倒しましょう。
 この未発表作品は『甘酸っぱい男女の初恋を描いた短編集』となっています。
 身分差の恋に悩んだり、じれじれとした両片想いをしてみたり、ご自身のキャラクターの配役であれば、自由に決めていただいてかまいません。
 基本はモブがお相手となりますので、おひとりさまでも大丈夫です。プレイヤーさま同士でお誘い合わせの際は、はぐれることがありませんよう、プレイングにご留意ください。

●第三章『集団戦』
 未発表作品を『魔書』へと化した強い情念。その根源をつきとめ、情念を解消させるべく尽力しながら、影朧を殲滅してください。
 もちろん、与えられた役を演じることも、お忘れなく。
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第1章 冒険 『夜櫻に消えた人々』

POW   :    狭い所であっても気合や、その他の方法で潜入して情報を収集する。

SPD   :    フットワークを駆使して、広範囲に渡って人々への聞き込みに回る。

WIZ   :    人当たりの良さを駆使して、周囲の人々から情報を教えてもらう。

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

藤原・桔梗
【心情】
猟兵すら取り込んでしまうとは、思っていた以上に魔書というものは危険なのですね
さすがにそんなものを放っておくことはできません
巫女の端くれとして、そのようなものは封印しないといけませんね

【行動】
桜の花を眺めながら、「コミュ力」「優しさ」を生かして町の人々から噂を聞き出す
「この季節でもこうした景色が見られるのは、サクラミラージュならではですね」
「こうした方がいたという話を聞いたのですが、何かご存じないでしょうか?」

「幸運」にも頼りつつ、魔書の場所を探って当たりを付けたら、そこを調査

男女の初恋、ですか
桔梗にはあまり経験はないですが、どのように描かれるのかは興味がありますね



 宵闇に灯る明かりがごとく、夜の中に浮かびあがる桜木。その木立を縫うようにして歩きながら、藤原・桔梗(ふじわら・ききょう・f10098)は、ほうと感嘆の息をこぼした。
「冬枯れの季節でも、こうした景色が見られるのは、サクラミラージュならではですね」
 爛漫と咲き誇る桜に手を伸ばし、指先でやわらかな花弁を愛でるように撫でる。
 まるで花を慈しむかのようなその姿は、ひどくやさしげで、はかなげで。ここの桜を愛する地元住民たちにとって、非常に良い印象を与えたようだった。夜桜を楽しんでいたらしい仲睦まじげな老夫婦が、桔梗へと声をかける。
「お嬢さんも夜桜を見にいらしたの?」
「はい。用事がてらではありますが」
 老婦人の問いかけに桔梗が微笑めば「それはよいことだ」と、老紳士が目を細めた。
「近ごろは物騒な噂が立ってはいるが、サキヨさんの庵はここらではいっとう桜がうつくしく咲くのだよ」
「……サキヨさん、ですか?」
「ここの桜を愛した女流作家よ」
 と、再び老婦人。
「もう亡くなってしまったのだけれど、私たちが桜を見られるよう庵を開放してくださっていたの」
 サキヨという、その女流作家の一生は恋多きものであったと、老夫婦は語った。そのせいか、彼女はしばしば自身の原稿を折りたたみ、まるで恋文のように封筒へしまっていたらしい、とも。
「結局、サキヨさんは独身でいらしたのだけれどね」
 そうして、老婦人は孫娘でも見るかのようなまなざしで、桔梗に微笑んだ。
「お嬢さんには、いい人はいるのかしら」
「こら、おまえ。あまり野暮なことを聞くものではないよ」
「いいえ。どうかお気遣いなく」
 老夫妻と他愛のない会話を続けながら、桔梗はふと思う。
 男女の色恋沙汰に経験はあまりないけれど、たとえば自分がそのように描かれるとしたら、どのような物語となるのだろう――と。

成功 🔵​🔵​🔴​

蘇・穎
調査ですって。
調査するの?
さあ、どうしようかしら。
聞き出すって面倒だわ。縛られたくもないし。
そうね、だったら、いつもどおりでいいんじゃないかしら?
いつもどおり?
ええ、ただ、見て回るの。
そうね、それがいいわね。どうせ、誰にも気付かれないもの。
それに……情念のこもった本も、読んでみたいわ。

(上記のような内容を内心で一人で会話しながら、誰にも見られず、物質も透過される状態で、周囲の人々を眺めたり、会話を聞いたりします。魔書に興味があるので、風に音を運ばせたりして積極的に情報を集めます)



 夜風に散る花びらにまぎれ、蘇・穎(すー・いん・f40191)はひらりふわりと桜林を漂う。夜桜見物に訪れていた人々をながめ、彼らの交わす杯と言葉の間をすり抜けて、しかし、あわや接触しそうになった酒瓶は彼女の身体をすり抜ける。
 元来実体がないなどというわけではないが、自身のユーベルコヲドによって透過し飛翔能力を得た彼女を気にかける者はそこにいなかった。
 ――調査ですって。
 と、蘇は胸のうちで、ぽつりと語りかける。すると、たちまちに同じ思考から、ぽつりと言葉が返った。
 ――調査するの?
 ――さあ、どうしようかしら。
 あるいは、彼女の胸のうちを視ることのできる者がいたのならば、まるでもうひとりの自分自身と語り合っているかのように思ったかもしれない。だがやはり、そこにはそのような者はおらず、蘇の胸中はおろかその姿にさえ気づかないのだ。
 周囲からの干渉を受けることもなく、ただただその存在は花びらを引き連れ漂う。それであれば、彼女の思考を妨げるものすらあるはずもなく。
 ――聞き出すって面倒だわ。縛られたくもないし。
 ――そうね。だったら、いつもどおりでいいんじゃないかしら?
 ――いつもどおり?
 蘇が疑問を抱けば、すぐに思考の答えは返る。
 ――ええ。ただ、見て回るの。
 ああ、と思う。そうねそれがいいわね、と。
 だって、今もこれからも、きっとどうせ誰にも気づかれない。わざわざ聞いて回らなくとも、そこに耳があると知らない人々は勝手にこぼすものなのだから。ほら、今だって。
「それにしたって、サキヨさんの作品へ対する情念は本当にすごかったんですよ」
「いくら恋が多くとも、あれじゃあ独り身になるのも無理はない。もっとも、俺たち編集者の目から見た彼女には悔いなどなさそうだったがなあ」
 ふわりと、グリモアベースで聞いた『魔書』という存在のことが蘇の頭に浮かんだ。
 ――……情念のこもった本、わたし、読んでみたいわ。
「情念」と、「魔書」と、断片的な音を乗せ、人々に空耳でも聞かせるかのように蘇は風を操る。次第に、サキヨの執筆作品について交わされる言葉が増えてゆく。
 そして、おそらく生前サキヨの担当をしていたのだろう編集者がぽつり。
「いっとう情熱を傾けていらしたあの原稿、今も庵にしまわれた葛籠のどれかに入っているんでしょうかねえ」

成功 🔵​🔵​🔴​

箒星・仄々
魔書とは剣呑ですね
被害が広がる前に解決しましょう

それにしても魔書へ変じるとは
果たしてどんな情念故なのか
興味が惹かれますね

竪琴をぽろろんと爪弾きながら
庵の周辺を散策します
夜桜見物をまずは楽しみます

作家さんはどんな思いで
この風景をご覧になっていたのでしょうか

旋律に乗せて
周囲にいるであろう夜行性の動物さん達へ
優しく呼びかけお尋ねします
梟さん鼠さん猫さんとかでしょうか

神隠しに関して何か気づいたこととか
ありますかホウ
女流作家さんについて
知っていることを教えてもらえますかチュウ
好きだった人のこととか
言ってませんでしたかニャア

ありがとうございました!
お礼として更に曲を演奏しましたら
庵へと向かいます



 すっかりと、夜も更けてきたころだった。高く昇った満月が桜の梢にかかり、その光で周囲を淡く浮かびあがらせるころ。ほんのりと光を放って見える桜をまぶしげに仰ぎながら、ちいさな影が竪琴を爪弾いた。
 その指運びは軽やかに、けれど旋律は夜の静寂を際立たせる。箒星・仄々(ほうきぼし・ほのぼの・f07689)は自身の腕に抱えた竪琴を鳴らしながら、大きな瞳で夜桜を見つめていた。思いを馳せるのは、この桜林を愛していただろう今は亡き女流作家。
「サキヨさんはどんな思いで、この桜をご覧になっていたのでしょうか」
 答えが返らぬことなど重々承知していても、儚くも、命を燃やしてまばゆくかがやくかのような夜桜に、故人を思う。
 けれど、否、だからこそ――答えがないとわかっているからこそ、仄々は竪琴をやさしく爪弾き続けるのだ。夜に活動する、この林の住民たちへと向けて。

 神隠しに関して何か気づいたこととかありますかホウ。
 女流作家さんについて知っていることを教えてもらえますかチュウ。
 好きだった人のこととか言ってませんでしたかニャア。

 旋律に織り交ぜられた仄々の問いかけへ、最初に応えたのはフクロウだった。
『神隠しは、いつだってこんな満月の夜に起きておりましたホウ。人目を忍んで庵に入ったきり、彼らは二度と出てくることはありませんでしたホウ』
 次いで、応えたのはネズミだった。
『サキヨさんはとてもやさしいニンゲンだったでチュウ。いつも桜を見あげては、だれかに誓いを立てているようだったでチュウ』
 そうして最後。桜の枝の上、一匹の猫がかがやく瞳を瞬かせた。
『恋多きヒトだったとニンゲンたちは言うけれど、あのヒトは生涯番を変えることのないオオカミたちと同じ目をしていたニャア。桜を見つめては、よくサクヤさまとこぼしていたニャア。サキヨさんの心には、ずっとそのニンゲンがいたのに違いないニャア』
 動物たちからもたらされる情報に耳を傾けていた仄々は、やがて太陽のようにまばゆい笑みを浮かべた。
「教えてくださり、ありがとうございました! 月が沈んでしまう前に、私も庵へと向かってみます!」
 けれど。ですが。その前に。
「まずは皆さんへのお礼を奏でさせてください」
 竪琴に張った弦へと再び指を滑らせて、仄々は林の動物たちへ感謝の曲を奏でる。それは寝静まろうとするものたちへのララバイであり、これから目覚めだすものたちへのコールでもあった。

 ――さあ、役者と舞台は整った。これより先は、初恋を巡る物語のはじまり。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『燐火蝶』

POW   :    灼熱飛舞
【ヒラヒラ舞い飛びながら炎】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    翅翼火光
【炎の翅から放たれた光】が命中した対象を燃やす。放たれた【蒼白い】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ   :    蝶蝶怪火
レベル×1個の【蝶の姿をした焦熱】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。

イラスト:芽蕗ハジメ

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 庵へと足を踏み入れたのなら、そこには色とりどりの葛籠が転がっていた。
 何者かが部屋を荒らしたのだろうか。それとも、生前の女流作家が「なにか」をさがして庵中をひっくり返していたのだろうか。今となっては、それを知るすべなどない。
 けれど、猟兵たちはすぐに気づくのだ。大切に使い古された文机。そのうえに置かれた、一通の封筒から飛び出した原稿用紙の束に。
 猟兵たちはその原稿用紙の束に触れ、そして、またたく間に、吸いこまれる。未発表作品――『魔書』と化した――「初恋」の物語の中へ。
蘇・穎
恋ですって。
苦手な分野ね。
ええ、わたし、理解できないわ。
恋をされる側を演じればいいのよ。
片思いをされる側を?
ええ、そうすれば相手をする必要はないわ。
では、そうしましょう。……ああ、いやだわ。執着の糸が煩わしいわ。
顔に出してはいけないわ。
でも、とても不愉快なの。恋情なんて、縛鎖も同然だわ。
苛立ちは、攻撃に変えてしまえばいいのよ。
ああ……そうね。ぶつけてもいい相手がいるのよね。

(上記のような内容を内心で一人で会話しながら、片思いされる貴人女性の役を演じつつ、UCのつむじ風で攻撃し、炎も翅も蝶ごと花と変えます)



 ――恋。恋ですって。
 ――苦手な分野ね。
 ――わたし、理解できないわ。恋だなんて。
 『魔書』へと吸いこまれた先。豪奢な屋敷の手入れされた庭にたたずみながら、蘇は大輪の牡丹をながめていた。
 恋なんて、わからない。それがどんな感情で、一体全体何がよくて抱くものなのか、理解ができない。
 だけれど、ここでは男女間の「初恋」というものを演じなくてはならない。そうしなければ、物語の中から無事に出てこられるかどうかもわからないという。
 ――面倒ね。
 ――厄介だわ。
 密かに嘆息をした蘇のもとへ、あわただしく駆け寄ってくる足音がした。ちらと視線を向けると、庭師だろうか、泥にまみれた男が日傘を差しかけてきた。
「このような天気の日には日傘をお使いください! お嬢様の肌が焼けてしまったらどうするのですか!」
 わずか、頬を染めて日傘を渡そうとしてくる庭師の姿に、蘇は気がついた。
 ――そうだわ。わたし、恋をされる側なのだわ。
 ――片思いをされる側だということ?
 ――ええ。だって、この男の視線からは執着を感じるもの。
 蘇が知る由などないのだが、それはまるで、あつらえられたかのように。彼女は、身分違いの恋をした男の物語にいたのだ。
「傘をありがとう。もうさがってちょうだい」
「はい! お嬢様、失礼いたします!」
 汚れないようにだろうか。持ち手をハンカチで包まれていた日傘を受け取り、蘇は努めて令嬢らしく振る舞った。庭師の男は、犬のようにわかりやすく顔をかがやかせ、その場から走り去ってゆく。
 しかし、男の視線だけは蘇から離れることがなかった。庭の花をながめて気でもまぎらわせようとしても、どこへ行っても追いかけてくる男の視線が、ひどく、煩わしい。
 ――とても不愉快だわ。恋情なんて、こんなの縛鎖も同然だわ。
 気づかれていないつもりなのだろう。男の熱い視線が、蘇には粘着質な糸のように感じられてならない。それは蝶を絡め取らんとする蜘蛛の糸のようだ。とても、いらいらする。
 すると、自身の内側から声がした。
 ――苛立ちは、攻撃に変えてしまえばいいのよ。
 蘇の唇が、薄く弧を描いた。ああ、そう。そうだったわ。
 ――ここには、苛立ちをぶつけてもいい相手がいるのよね。
 よく手入れされた庭を舞う『燐火蝶』の群れを一瞥する。指先から生み出されたつむじ風は、それらを切り刻み、蝶の翅を、炎を、うつくしい花々へと変えてゆく。
 もとは影朧だった花々は、風に乗って舞い踊る。ひらりひらりと降り注ぐそれらに手を差し伸べながら、日傘を差した蘇は胸のうちで呟いた。
 きれいね。ええ、そうね。と。

大成功 🔵​🔵​🔵​

藤原・桔梗
【設定】
サクラミラージュのような世界、ということもありますし、身分違いの恋に悩んでみましょう
設定:メイド
・主である青年の優しさに絆されて恋心を抱いてしまった
・青年には婚約者がいる

『わたしはどうすればよいのでしょう。こんな想い、抱いていることを知られてしまったら……』
『あの方にこの想いを伝えたい。だけど、こんな想い、許されるはずもありません』
『それでも、わたしはあのお方をお慕いしています』

【戦闘】
UCを用いて、影朧たちには舞台装置になってもらいます

募る思いが焔のようにくすぶっている、という感じですね

「結界術」で自分の身は守りながら、「恐怖を与える」UCで操らせていただきましょうか



 『魔書』に吸いこまれた桔梗は、屋敷で働くメイドだった。屋敷のメイドたちの話を聞いた分では、桔梗は病気がちな令息――若様と呼ばれている――の世話をしているメイドであるらしい。
 昨夜は若様がひどい熱を出して、桔梗は夜通し看病をしていた。もうじきに彼は婚約者であるご令嬢と結婚するのだから、桔梗はその体調をより気にかけねばならない立場だ。けれど、
「若様! なぜ、お庭に出ていらっしゃるのですか!」
 食後の薬を病床の主のもとへ運ぶ最中、桔梗は窓の外を見やって仰天した。今ごろ、ベッドで横になっているはずの彼が、寝間着に羽織という軽装で庭に出ているのである。
 屋敷を飛び出して駆け寄れば、桔梗が仕える青年は振り返っておだやかに笑った。
「ああ、おまえ。昨夜はずいぶんと世話になったね。おまえにはいつも苦労をかけてしまってすまない」
「若様が謝られるようなことではございません! それよりも、早くお部屋へお戻りください。そのようなお召し物で、また熱が出ては大変です!」
 切羽詰まったようすを演じて『登場人物』を説得する桔梗の視界には、ちらほらと『燐火蝶』の姿が映っている。さてどうやってあれらを倒しながら、この「メイドの初恋」を演じ切ったものかと思考を巡らせかけたとき、青年が一輪の花を差し出した。
 紫色をしたその花は、桔梗もよく知る花だ。
「キキョウの花が……おまえと同じ名前の花が、きれいに咲いているのが部屋から見えたんだ。いつもよくしてくれるおまえに、礼をしたくてね」
「若様……そんな、わたしは当たり前のことを……」
「わかっているよ。おまえが使用人としてよくしてくれているのだということは。だが、私はこんな身体だ。ほとんど主人らしいことをしてやれない」
 だから、心ばかりだが、これくらいの礼くらいはさせておくれ。微笑んで桔梗に花を握らせる青年の手は、ひどく冷たい。風に当たって冷えたのだろう。
 その手を温めるというわけではないのだが、桔梗は九頭竜が放つ思念によって影朧たちを操った。渡されたキキョウの花を握りしめながら、メイドである『桔梗』の胸に積もってゆく恋慕を表現する――『燐火蝶』の灯す炎によって。
 ――ああ、わたしはどうすればよいのでしょう。こんな想いを抱いていること、若様に知られてしまったら……?
 ――今、この瞬間にでも、若様にこの想いを伝えたい。だけど、こんな想い、メイドである私に許されるはずもありません。
 けれど、ああ、それでもなお。
 ――わたしは、あなた様をお慕いしています。
 渦巻く炎の中、キキョウの花を胸に抱く。そのかたわらで、我が身を焦がすように蝶が火中へと飛びこんでいった。

成功 🔵​🔵​🔴​

箒星・仄々
お二人には
せめて物語の中だけでも
幸せな結末を贈りたいです

ともあれ
まずは燐火蝶さんを海へと導きましょう

おや、ここは
幼馴染の同級生同士の初恋の物語のようです
私はその男の子役です

仲良しのお友達同士が
長じて段々と互いに恋心を自覚

意識してしまう故のぎこちなさ

相手を拒否したり
男友達、女友達同士から
好意があるのではと揶揄されて
真っ赤になって否定したり
でもついつい相手を目で追ってしまって
見つめ合ったりとか

平穏な日常故の中で
距離が縮まったり離れたりしながら
Xmasにはようやく告白の時が

うーん演じる私もドキドキします

そんな甘酸っぱい初恋物語を
ミュージカルアレンジ

私も含めて登場人物達が
音楽に合わせて踊りながらセリフを歌いますよ〜♪

切ない気持ちや相手への想いを歌い上げれば
歌と旋律が響き渡ると共に
鎮火の状態異常力が物語の世界中に広がって
放たれた炎や燐火蝶さん自身を鎮火して
倒して行きます

本の世界に炎はNGです

物語が終わる頃には全ての炎は消えて暗転
鎮魂の演奏のみが響き渡るでしょう

さて
まだ影朧さんはおられるようですが…



 まるでスポットライトが落ちるかのように、ふたりの人物が暗闇の中で照らし出される。ひとりは学生服を身にまとった仄々、もうひとりは同じ学級なのだろう髪の長い女生徒。
 これがどういった初恋の物語であるのか、仄々は不思議とすぐに理解した。学友に囲まれていた女生徒が、仄々の視線に気づいて、どこか気まずそうに目を伏せる。
 ――ああ。今の自分たちは幼馴染みで、互いに相手への気持ちを自覚したばかりの男女なのだ。
 どこからか、バイオリンの音色が聞こえてくる。仄々は旋律に合わせ、その手を大きく広げた。
「もうずっと、もうずっと、あなたと私は共にいました」
 高らかに歌いあげるのは、登場人物としての『仄々』の気持ち。友達としての仲の良さが長じて変化した、恋心。
「もうずっと、もうずっと、私はあなたと友達だったの」
 応えるように幼馴染みもまた自身の胸を押さえて歌う。それはさながら、ミュージカルのように。
「ですが、いつからでしょう」
「いつからだったのかしら」
 ――あなたの声を聞き、姿を見るだけで、こんなにも胸が高鳴るようになったのは。
 ふたりが声をそろえて歌いきるや否や、たちまちに周囲の学友たちも歌いだす。
「あら、あなたたち、一体どんな関係なのかしら」
「視線が合えば目をそらし、手が触れ合えば頬を染めて」
「おまえたち、きっと好き合っているのだろう」
 学友たちの揶揄。それに乗じるかのように、燐火蝶がひらりと舞った。火の粉が舞台となる教室へ落ち、炎が燃え広がってゆく。
 炎の中、幼馴染みは顔を真っ赤にしては自らの気持ちを否定して、仄々もまた彼女はただの友達だと歌う。けれど、そんなものは、今この場所では嘘偽り。なぜなら、ここは初恋の物語の中。『魔書』の、本の中なのだから。
「本の世界に炎はNGです」
 にじり寄る炎と燐火蝶の姿を一瞥し、仄々はぽつりとこぼす。そして、今度は一段と声を張りあげて胸にこみあげる切ない想いを歌った。自身の踊りで踏んだステップさえも音楽に仕立て上げ、奏でる物悲しげな旋律で炎を鎮火してゆく。
「今年のクリスマスには、雪が降るそうです。その日、私は彼女と一緒に雪を見たい。ただの幼馴染みではなく、恋人として」
 旋律とともに炎が消えてゆくと、世界には白雪が降り始めた。
 いつしか、はやし立てていた学友たちは退場し、仄々は舞台となる公園で幼馴染みとふたりきり見つめ合っていた。すべては演技であるはずなのに、胸は不思議と高鳴っている。その想いさえも歌にこめ、仄々は愛を歌った。
「どうか、私とお付き合いしてくれませんか。私は、ほかの誰よりも、あなたが好きなのです」
 すると幼馴染みは両手で顔を覆っては涙を浮かべ――。

 しんしんと降る白い雪が、燐火蝶の翅の火を徐々に弱らせ、舞台もまた暗くなってゆく。幼馴染み同士の初恋を描ききった物語は、ここで終幕を迎える。
 最後の燐火蝶が消える間際、仄々は鎮魂の演奏が流れる中で一礼をしてみせ、ちらと薄目を開ける。

 ――さてはて。まだ影朧さんはおられるようですが……。

大成功 🔵​🔵​🔵​


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※トミーウォーカーからのお知らせ
 ここからはトミーウォーカーの「相原きさ」が代筆します。完成までハイペースで執筆しますので、どうぞご参加をお願いします!
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ウルスラ・ロザーノ(サポート)
いつもテンション高いとは言われるなー、確かに誰に対してもフレンドリーな対応しようと心掛けとる
といっても銀誓館の学生時代から能力者をしてきたんでな
救えるもんはできるだけ救う、でも倒すべき敵は必ず討伐すべしっちゅー方針や

戦法はヒット&アウェイ型、戦場全体を広く利用して戦うで
基本は中距離
レーザービット射撃やナイフの蹴り込みで牽制しつつ、
エアシューズで、地上は高速で駆け回り、空中も地形とか足掛かりに利用して軽業のように跳ね回るよ
敵からの攻撃は、すべて見切って受け流したりの回避で凌ぐよ

攻め込む機会を見つけたら奇襲を仕掛けるで
一気に接近して、蹴撃やその斬撃波を叩き込む!
サッカーボールのシュートは必殺技や!



 ウルスラ・ロザーノ(鈴振り燕・f35438)は、無事、影朧のいる本の中に吸い込まれ……。
「やあ、君。いつも元気そうだね」
 なにやら、学生帽に時代を感じる制服、コートに身を包んだ少年に声をかけられた。

 ――どきんっ!!

 感じたことのない胸の高鳴り、気持ち、思いが一気によみがえってくる。
(「な、なんやの、これっーー!!」)
 ウルスラは、細かいことを気にせず、この地にやってきた。悪さする影朧達を滅せば、それでいいと思っていたのだが……実際は、この中で初恋をする男女を演じなければ、いけないのだ。
 恐らくこれは、影朧と魔書が織りなす罠の一つだろう。
 だが、ウルスラにとっては、ゴーストや敵を倒すことを目的として、戦いまくっていたため、そんな気持ちになることはあまりなかった……。

 つまり、初心……なのだ。

「良かったら、僕と一緒にカフェーでもいかないかい?」
「…………」
「君……?」
「そんなん、あかんわあああーーーーっ!!」
 どーんと、赤面したウルスラが少年をどんと突き飛ばした。
「いや、わかっとるよ、こういうのもあるって! けど! でもな、ボクにも心の準備っつーもんがあるのよぉーっ!!」
 思わず、畳みかけるように……慣れた手つきでその、回避困難な連続蹴りを見事に決め、三日月型の衝撃波を見せている。
「せやかて、気持ちは嬉しいねんけど…………あれ?」
 先ほどの少年は、もういない。あるのは、消えていく燐火蝶だけ。
「えっと……もう倒したんか?」
 結果良ければ、全てよし! そう思い直したウルスラは。
「さ、次いこかっ!!」
 スカートの埃を軽く払って、次の戦いに向かうことにした。
 ちょっぴり、頬を染めて。

成功 🔵​🔵​🔴​

雪白・咲
初恋の物語、ですか。
また随分と懐かしい話ですね。

舞台は洞窟。
此処とにいるのは私の彼の二人だけ。
互いに背中を任せて剣を持ち、周囲を飛び交う燐火蝶を相手にする。

これまでいつも一緒に剣の修行に励んできた。
彼の動きは見ずとも分かる。

彼の死角を私が補う。
私の死角を彼が補う。

気付けば、周りに蝶はいない。

これでようやく準備が整った。
ここからが本当の始まり。

この洞窟から出られるのは|一人《独り》だけ。

彼が私の刺客となる。
私が彼の刺客となる。

そんな|蠱毒《孤独》の物語。



「初恋の物語、ですか。また随分と懐かしい話ですね」
 懐かしそうに瞳を細めながら、雪白・咲(剣仙・f42310)が降り立つそこは、洞窟だった。
「相手も分かっているようですね。そして……あなたも」
 咲の背に誰かの背が当たる。
 彼の唇が開きかけた、そのときを狙って燐火蝶が襲い掛かってきた。
「そう……彼の声を聴かせてくれないのですね」
 少し拗ねた声色で、咲もまた動く。相手はオブリビオン。倒すべき相手なのだ。
 ヒラヒラ舞い飛びながら炎を、灼熱飛舞を放つ燐火蝶を恨めしそうに睨みつけながら、愛用している無銘の霊刀、打刀を振るう。

 これまでいつも一緒に剣の修行に励んできた。
 彼の動きは、見ずとも分かる。

 彼の死角を私が補う。
 私の死角を彼が補う。

 どのくらい戦っていただろうか。
 できれば、このまま過ごしていたいと願うのは、私の我儘、だろうか。

 気が付けば、周りにいたはずのあれほどの多くいた燐火蝶は、その姿を消していた。

 そして、二人は互いに向かい合う。
 唇が動く。終わったねと。
「ええ、少し時間をかけてしまいましたか」
 敵がいなくなれば、恋愛小説であれば、二人だけの甘い時間が始まるはず……なのに。

 二人はその手に持つ刀を鞘にしまうことはしなかった。

 これでようやく準備が整った。
 ここからが本当の始まり。

「この洞窟から出られるのは|一人《独り》だけ」

 彼が嗤っているように見えた。まるでわかっていると言わんばかりに。

 彼が私の刺客となる。
 私が彼の刺客となる。

「始めましょうか」

 ――そんな|蠱毒《孤独》の物語を。

 二人の刀の煌めきが交差した。
 生き残れるのは、果たして……?

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『誘花の影朧』

POW   :    気まぐれな落花
【舞い散る花】に触れた対象の【戦う意思】を奪ったり、逆に与えたりできる。
SPD   :    花あそび
【花の香り】が命中した生命体・無機物・自然現象は、レベル秒間、無意識に友好的な行動を行う(抵抗は可能)。
WIZ   :    花檻のたわむれ
レベルm半径内を【所構わずに咲く花】で覆い、[所構わずに咲く花]に触れた敵から【攻撃力】を吸収する。

イラスト:すずや

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 それぞれに与えられた役割と共に、猟兵達はそれぞれ、相手と対峙していた。
 『魔書』はまだ、力を持っている。
 あの机の上にある原稿用紙だろうか?
 吸い込んだのなら、それが原因だろうが……聡明な猟兵達は違うと答えを返していた。
 そこにはいない。
 もっと違う場所……例えば、そう。

 ――机から見える先に咲く、色とりどりの花。

 気が付けば、猟兵達は、その花の幻に包まれ、新たな物語の中に取り込まれていた。
 物語はクライマックスを迎えている。
 果たして、与えられた役割で、願う結末を紡いでいくのか、それとも。

 この|終わり《終焉》を告げるのだろうか?
 
印旛院・ラビニア(サポート)
・境遇的なものもあり、思考や嗜好は成人男性のものです(恥ずかしい境遇なので自分からは喋らない)
・基本的にはヘタレで気弱、慎重な面がありますが、物事がうまくいったり周りに煽てられるとイキり散らかして墓穴を掘ることもあります
・なんだかんだで人がいいので困っている人につい手を差し伸べたりしちゃいます
・やり込みゲーマーで現状を学ぶ【学習力】と自分のプレイに【チューニング】できる応用力が武器

 UCは指定した物をどれでも使用し、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。えっちな展開はコメディ目であれば許容
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



「えっと……これどういう状況?」
 思わず、印旛院・ラビニア(エタらない人(仮)・f42058)は呟いた。
 目の前には、何故か可愛らしい少女がいた。
「そっか……あの事故で記憶を失っているんだね。ボクは君の恋人だよ」
 目の前の少女がそう呟く。
「いや、そもそも僕には、恋人なんて本当にいないし」
 なんで、女の子の恋人……もしかして、ラビニアの本当の性別を理解して、出てきている……のか?
「興味もないからっ!!」
 そう声を張り上げるラビニアの手を、少女はそっと握り返す。
「大丈夫。怖がらないで……ボク、ホントは男だから」
「えっ……もしかして、君……」
 最後まで言えなかった、目の前の少女……いや、少年は、男の娘だったのだ!!
「そんな物語、求めてないから――っ!!」
 再び、手を握ろうとする男の娘の手を跳ね除け、反射的にスキルクロス・リユニオンを発動させて。
「きゃああああああ!!!」
 あっという間に、男の娘をぶっ飛ばして……誘花の影朧の一部を刈り取ったのだった。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

早乙女・カリン(サポート)
私がアスリートアースのプロバトロワシューター早乙女カリンよ👾

バトロワシューターらしく基本は銃火器を使った中遠距離戦闘を得意とするわ!!

少し本気になった時は体内に蓄積された電気でビリビリ痺れさせちゃうぞ⚡️👾⚡️

戦闘以外でもカリンはゲーム実況なんかで活躍してる人気ストリーマー様ですのでー👾
どんな依頼や案件もNG無しでいっぱい参加出来ちゃいます👾💕

今ならお好きなユーベルコードも使いたい放題だから、プロの力が必要になったらいつでも声かけてね!



「私、演じるとかは得意分野外なんだけどね……」
 早乙女・カリン(PREDATOR Ⅵ・f37832)は、状況を把握するために、ゴーグルをつけて、辺りを見渡した。
「……?」
 とたんに、周りが急に戦場へと変わった。
「えっと……?」
「ほら、ぼーっとするな! 敵が来るぞ!!」
「あ、了解」
 そこにカリンの肩を掴み、そのまま物陰に潜む。そこにいたのは、サクラミラージュの武器で武装した軍服の青年がいた。辺りからは、銃撃戦の音が鳴り響いていた。
「全く、今は戦っている最中なんだぞ。……だが、君が無事でよかった」
「え、ちょっ……!!」
 突然抱きしめられた。
「あれ、これ、戦場……だよね? えっと、どういう……こと……!?」
 はっきり言って、カリンにとっては、困惑する状況だ。敵を倒さねばならない気がするが、青年に抱きしめられたら、それもできない。気づけば、先ほどの銃撃戦の音も聞こえなくなっている。
「このまま、君を連れてこの場から離れたい。そうすれば……」
「そ、それはダメーーっ!!」
 思わず、ライトニングフォーミュラを放って、青年は消滅した。いや、恐らくアレは幻影。
「……あ、あれ? 終わったの……?」
 カリンの傍にあった誘花の影朧が燃え尽き、消え去っていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

藤原・桔梗
【心情】
身分違いの恋愛
届かない想い
全ての恋愛が成就するとは限りません
でも、恋愛の成就だけが幸福な結末でもないのでしょう

『わたしはあなたを想った』
『たとえあなたと結ばれなくても、この想いはわたしの宝物』
『あなたの幸せな姿を見ることが、わたしにとっても喜びなのです』

【戦闘】
そのように紡がれた物語を悪用しようという輩がいるのなら、きっちり枯らさなくてはいけませんね

「結界術」で身を守りつつ、「恐怖を与える」UCで攻撃
この場にある悪しき情念を「浄化」していきましょう

誰かを愛する、幸せを願う、その気持ちはとても美しく大事なもの
それをを汚し、貶めようというのなら、桔梗が相手となりましょう



 メイドとしての自分。そして、相手は病気がちとはいえ、屋敷を持つほどの令息なのだ。所詮、メイドの身分である自分の恋心を胸に、この恋愛を進めることはできない。
 それが、この時代における、自分の立ち位置でもあった。
 だからこそ……。

 その桔梗の想いを、若様への手紙へと昇華していく。

『わたしは、あなたを想っていました』
 とぎれとぎれの紙面に万年筆を走らせる。ときおり、そのインクが滲むのは、うっかり開けてしまった外からの雨なのだろうということにした。
『たとえあなたと結ばれなくても、この想いはわたしの宝物』
 思わず、胸を抑え、その藍色の瞳を閉じる。
『あなたの幸せな姿を見ることが、わたしにとっても喜びなのです』
 封をして、その手紙の傍に自分の名前と同じ花を添えた。これで十分。
 若様に思ってもらえた、それだけで十分。
「全ての恋愛が成就するとは限りません。でも、恋愛の成就だけが幸福な結末でもないのでしょう」
 でもと、桔梗はここから去るための鞄を手に、外に出た。
 向かうのはあの花が咲く庭だ。
「そのように紡がれた物語を悪用しようという輩がいるのなら、きっちり枯らさなくてはいけませんね」
 いつ咲いたのか分からぬ、その誘花の影朧。
 鞄を置いて、その手を翳した。
「桔梗に力を……!」
 |九頭竜の狂気《クトリュウノキョウキ》でもって、4体のUDC「九頭竜」を召還し、敵の力を落としたうえで、桔梗はその花に浄化を施した。
「誰かを愛する、幸せを願う……その気持ちはとても美しく大事なもの。それをを汚し、貶めようというのなら」
 召還した九頭竜達が、桔梗の後ろで嫌な花を睨みつける。
「桔梗が相手となりましょう」
 浄化が更に進み、そして。

 後に残ったのは……若様の部屋に飾られた桔梗が、儚く散っていったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

風雷堂・顕吉(サポート)
アドリブ連携可

約100年前、ダークセイヴァーの人類敗北以来、ヴァンパイアとの死闘を細々と繰り広げてきたダンピール、それが俺だ。
ヴァンパイアを狩るため、あるいは次に狩るべきヴァンパイアの手掛かりを得るためにここにいる。
【世界知識】ダークセイヴァー世界の大抵のヴァンパイア相手ならそれがどのような血族かは知っているし、知らなくとも【情報収集】の伝手はある。
それ以外の世界については物珍しそうに振る舞うことになる。すぐに慣れるだろう。
ダークセイヴァーとスペースシップワールド以外の世界は日差しが強すぎるので、サングラスを着用する。

戦闘は剣士の動きだ。
次に参加する猟兵が戦いやすい状況を作ることも多い。



「ここは日差しが強すぎる」
 サングラスで目元を覆いながら、風雷堂・顕吉(吸血鬼ヴァンパイア狩人ハンター・f03119)は、静かにそう告げた。
「さて……話によると物語の役割を演じなければならぬとか」
 そうはいっても、顕吉は色恋沙汰には、興味がない。ただただ、ヴァンパイアを狩り、オブリビオンを狩り続けてきただけだ。
「素敵な人……」
「あの逞しい体で抱きしめられたいわ……」
 そんな彼だが、その美貌は女性を引き付けるには十分整っていた。だからこそ、顕吉は心の中で少々面倒くささと煩わしさを感じていた。
「残念ながら、俺には想い人がいる。帰ってくれないか」
 嘘も方便とはこのことだろう。ちなみに借りがあったり顔見知りの相手はいるが、そんな相手はいない。
 目の前の相手がいなくなれればいいのだ。
 顕吉の意図通り、女性らは残念そうにその場を去っていく。
 また彼らが来る前に、顕吉は目的の庭へとたどり着いた。
「人を惑わす花はこれか……今すぐ消えろ」
 剣刃一閃。愛用の刀で原因である花を切り刻み、その場を浄化していったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ベルト・ラムバルド(サポート)
ハイカラさんのクロムキャバリア ×今は 宇宙騎士!

普段の口調は私、君、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?

騎士道精神を胸にキャバリア《パロメデス》に乗って戦うぞ
弱きを助け強きを挫く誇り高き光明の暗黒騎士だ!
でも実はお調子者でおっちょこちょいな奴だ!いわゆる残念なイケメンだ!
生身でも戦えるけどあんまし強くないかも…?でもタフな奴!

基本はキャバリアの乗って戦うぞ!
キャバリアに乗れない時は…なんとか生身で頑張って戦うぞ!
時々コミュ力で知り合った異世界の人やモノ?を召喚したりするんだ!

仲の良い想い人がいるけどぞんざいな扱い方をされてるけどめげないぞ!頑張れ!



 到着したとたん、ベルト・ラムバルド(自称、光明の暗黒騎士・f36452)は、目を擦った。
「……嘘、だろう?」
 なぜなら、そこに想い人が立っており、麗しげに振り返ったのだ。
 しかも、僅かに微笑んで。
「いや、まさか……そんなことはないはずっ!!」
 ベルトは思わず頭を抱えた。いつもぞんざいな態度をとられているのに、目の前にいるあの人は、ベルトの理想を完全に形にしていた。
「……理想を、形に……」
 そこで、ベルトは気づく。目の前にいる愛しき相手は、想い人は……。
「……偽物か」
 残念過ぎるが、かといってそのままにするわけにはいかない。
「言っておくが、生身で戦うのはいささか、その……自信がないんだがな」
 道具の奥底に眠っていたオーラ・サーベルを取り出し、そのまま切り裂いた。
 切り裂くと同時に、その存在は真っ二つに切れて、消えていった。
「た、助かった。血とか出たらどうしようかと思った」
 けれど、まだ終わらない。幻影を見せる効力はまだ消えていない。
「……ここか」
 ベルトは、庭にたどり着いた。そこに咲いている花は、数えるほど。
「悪いな。お前らには消えてもらうぞ」
 そう一言告げて、オーラ・ブラストで最期の止めを刺したのだった。

 こうして、猟兵達の活躍により、様々な物語を見せ、人々を襲う事件は幕を閉じた。
 ここで綴られた物語は、それぞれの猟兵の胸の中に。
 そのままゆっくりと朽ちていく……小さな書斎に残されていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2024年05月08日


挿絵イラスト