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コーラルバザーの受難

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 コーラルバザー。
 砂漠の片隅に存在する、交易で栄えし海の街だ。
 船便が出ており、交通の便も良い。
 拠点となる大都市と比べれば小規模ではあるが、非戦闘エリアであるゆえに辺境でクエストを進めるプレイヤー達の憩いの場となっている。

 装備を整える者。
 材料を購入し、生産に励む者。
 全体チャットでパーティーメンバーを募集する者。
 広場で演奏を行う者。

 露店の並ぶバザーは今日も、PCとNPCの垣根を越えて賑わいを見せている――はずだった。


「こちら、グリモアベースに集う皆様は手練れ揃いと伺っております。緊急クエストを受注していただけますでしょうか」
 ユーリカ・スペクター(f41790)と名乗った|組合員《ギルドスタッフ》の説明によると、どうやらバグプロトコル絡みの事件であるらしい。

 GGOのゲーム内には複数の「街」があり、プレイヤー達が拠点としたり、アイテムを売買したり、イベントを楽しんだりすることが可能だ。
 今回、そのうちの一つ『コーラルバザー』がバグプロトコルによって破壊・占拠されてしまったという。
「現在は生活するNPCは不在、一般PCも危険ゆえに近付くことはできません。皆様にはバグプロトコルの討伐と、街の復興をお願いしたいのです」

 成すべきことをまとめると。
 バグで破壊された街を訪れ、たむろしているバグプロトコルの群れを一掃し。
 素材を集めて街を復興。
 そして住民NPC達が戻ってきたなら、ちょっとしたお願い事を聴いたり修復のやり残しを片付けて、元の活気ある街の姿に近付ける。

「以上が大まかなクエストの流れです。討伐も勿論ですが、その後の復興作業もなかなか厄介かもしれません。「建築」や「アイテム合成」のシステムで、建物の再生は容易です。……しかし、とある大事なものだけは新たに材料を集めなければ修復できないのです」
 ユーリカが語るところによれば、本来のコーラルバザーは他所と相互にテレポート移動が可能な街だったのだが。
「テレポート座標確認用クリスタルが、敵に壊されてしまったのです」
 その修復のためには街と同エリアに存在する『クリスタルの谷』に向かい、大量のクリスタルを集めてくる必要があるという。
「素材の採掘ポイントにはモンスターが徘徊しています。どうにか敵をいなして、クリスタルを採取してきてください」

 これは、あくまでゲームの話。
 されど、一つの営みの終焉を止める話。
「それでは、どうぞよろしくお願いします。皆様、ご武運を」


藤影有
 お世話になっております。藤影有です。

 第一章【集団戦】、第二章【冒険パート】、第二章【日常パート】です。

●戦闘について
 破壊された街での戦闘になります。
 石造りの建築物が壊され、瓦礫が戦場に散らばっている状態です。
 何かしら戦闘に活用できるやもしれません。

●冒険パートについて
 『クリスタルの谷』に移動しての素材集めです。
 クリスタルは谷の内壁から採取するほか、特定のモンスターを殴ることでも得られます。
 街の復興に繋げるには大量のクリスタルが必要になるので、大量に&効率よく集める工夫があるといいでしょう。

●日常パートについて
 元の外観を取り戻したコーラルバザーにNPC達が戻ってきます。
 NPCは猟兵達が街を復興してくれたことを認識しています。

 彼らと交流し、困り事を解決したり、復興のやり残しを片付けたりしてあげてください。
 街が活気を取り戻せば、きっとPC達も早期に戻ってくることでしょう。

●プレイングについて
 受付開始・〆切予定等はMSページやタグをご確認いただけますと幸いです。

 それでは、どうぞよろしくお願い致します。
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第1章 集団戦 『ジェットソード』

POW   :    ソードアンドビーム
【原始的な形状の剣】が命中した敵を【宝石からの魔力光線】で追撃する。また、敵のあらゆる攻撃を[宝石からの魔力光線]で受け止め[原始的な形状の剣]で反撃する。
SPD   :    バグプロテクター
【弱点の宝石を覆うバグの塊】を召喚装着し、無敵になる。ただし視覚外からの攻撃は回避不能となり、防御力も適用されない。
WIZ   :    超高速斬り
速度マッハ5.0以上の【斬撃】で攻撃する。軌跡にはしばらく【宝石色の輝き】が残り、追撃や足場代わりに利用できる。

イラスト:V-7

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●Monster Killing
 その光景は、架空の世界の出来事と割り切るにはあまりにも無惨だった。

 瓦礫の山、ぼろぼろの天幕、乾いた血の跡。
 廃墟の中を二足歩行の化け物が闊歩する。
 手にした剣を意気揚々と振り回しながら。

 ジェットソード。
 GGOに元から存在するこのモンスターの弱点は、胸部の宝玉だ。
 幸い、バグプロトコル化してなお、弱点部位の位置は変わっていないらしい。

「……グゥ?」
 一体がこちらに気付けば、群れの全てがこちらを睨め付ける。
 さあ、討伐と奪還の時だ。
ベロニカ・サインボード
ゲームの世界といえど、人々と町があるのね
じゃあその生活を取り戻さないとね

ふむ…ただでさえ頑丈な体躯。バグで武装して弱点を隠したか
私のフォースオーラ『ワーニン・フォレスト』でも力押しは難しいけど…
前衛は私がやるわ、策がある

胸の宝石を守る『バグの塊』を、『ワーニン・フォレスト』で殴る
そして『塊』の裏側から、鉄の看板を伸ばして宝石を砕く
塊の裏側は、装着してる本人は視認できない、だから防げない
周りからも何をしてるかわからないから、対策は困難

相性有利な相手でよかった、といった所か


ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
他の猟兵と協力して行動するわね。

それにしても破壊された石造りの建物の町。
あら、楽しそうな戦場じゃない…障害物多数の市街地なんて狙撃手にとっての天国よ。

ということで敵から十分に距離を取って物陰に。
[迷彩]姿で[目立たない]ように隠れるわ。
そして10秒集中してユーベルコード【千里眼撃ち】
「狙い撃ちよ」
相手が気づかないように側面から[誘導弾]。[スナイパー]もつけて外さないわ。

一度射撃したらすぐに姿を隠す。
気づかれそうなら狙撃位置を変更。また次のポイントから狙い撃ち。

相手が音を上げるまで続けてあげるわ。




 ゲームの世界といえど、そこには確かに営みがある。
 舞台として用意された街と人々のみならず、集うプレイヤーキャラクター達も含めたものだ。
「その生活、取り戻さないとね」
 静かに、されど果敢に。ベロニカ・サインボード(f35983)は敵の前に進み出た。
 刹那、ジェットソードが襲い来る。
「ガアァァ!」
 剣を振り上げての突進。プログラム通りの動きを読み切るのは、ベロニカにとっては容易いもので。
「貰った!」
 悠々と敵の懐に潜り込み、弱点部位たる胸の宝石に一撃を叩き込んだ――はずだった。
 手応えがない。
 敵の巨躯を蹴って間合いを取り、攻撃した箇所を見てみれば。
「……何よ、これ」
 宝石部分を守るように、展開されるはバグの塊。
 モザイク状のそれが盾となり、敵の正面からは弱点を突くことが叶わない。
「ひどいチートじゃない。でも、それなら」
 反撃の一閃を回避して、ベロニカは構えを取る。
 兎の女性に敵視を向けるジェットソード――それでいい。
(「今よ!」)
 敵がベロニカに追撃を加えることは、できなかった。
 胸の宝石が砕かれ、モンスターの身体が霧散してしまったゆえだ。
 弱点部位を見事に貫いたのは敵の背後から放たれた、ヴィオレッタ・エーデルシュタイン(f03706)の千里眼撃ちであった。

(「まずは一体。それにしても、私にとっては都合のいい戦場ね」)
 瓦礫の山に身を隠しつつ、ヴィオレッタは次の射撃に備えて集中する。
 破壊された、石造りの建物|だったもの《・・・・・》はそこら中に積みあがっている。
 障害物だらけのここは、言わば狙撃手にとっての天国だ。
 加えて、前衛を担ってくれる仲間と出会えたのも僥倖であった。
 自身が敵に位置を悟られぬよう気を付けさえすれば、後は撃ち放題なのだから。
 5、4、3――。
 狙いを付けるは、ジェットソードの胸の側面。
 敵視はまるでこちらに向けられていない。ゆえに、心置きなく撃てばいい。
 ――2、1、0。
「狙い撃ちよ」
 狙撃手の娘の呟きよりも、放った矢弾の方が速い。
 また一体、バグプロトコルを仕留めることに成功した。
 さて、次の獲物は。
 ヴィオレッタが戦場を見渡すと。
(「あら、そろそろここにいてはまずいかしら」)
 視界外よりの攻撃を感知し不審に思ったのか、残敵が辺りを警戒する素振りを見せている。
 しばし、狙撃は中断しよう。敵のヘイトを集めてしまってはまずい。
(「移動先は……ああ、あの位置からなら、より広くを見渡せるでしょうね」)
 目星は付けた。
 敵に見つからぬよう、けれど早急に次のポイントまで向かわなければ。

(「ん、もう一人いるって気付かれたかな」)
 ベロニカもまた、敵が周囲を気にする様子に気付いていた。
 仲間の狙撃により、正面以外からの攻撃なら通るとわかった。
 ならば、自分にも打つ手はある。むしろ相性有利と言ってもいい。
(「ヘイト集めついでに片付けてやるわ」)
 ターゲットは余所見をしている一体だ。
「どこを見ているの? アンタ達の相手は私よ!」
 突き出すはワーニン・フォレストの腕。鋭利な爪が敵の弱点を守るモザイクに触れ。
 そして、ユーベルコードが発動する。
「伸びろ看板!」
 金属音と共に、鉄の看板が敵の胸を貫いた。
 看板の出所はバグ塊の裏側だ。防御などできはしない。
 どうっと倒れた敵の向こう側、音もなく駆け抜けて、移動先に身を隠すヴィオレッタの姿が見えた。
 視線のみで頷き合う、前衛と後衛の猟兵。
 即席ながらバランスのいいパーティだ。
 さあ、戦闘を続行しよう。
 全てのバグを潰すまで。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

葉月・静夏
ここはゲームの中らしいけれど……そうとは思えないくらい良くできているよね。しかもグリモア猟兵の転移で直接来ちゃったから、イマイチゲーム内に来たという実感がないね……何かゲーム内ということを感じられることはあるのかな?

まずはオブリビオンを倒さないとね。
敵を見つけ次第突撃して接近戦を仕掛けていくよ。
攻撃は主に右拳でパンチ一発から【勇猛夏敢】に繋いでいくよ。これなら右の攻撃が当たればそのまま追撃に、防がれても反撃を受け止めて反撃できるはずね。
大多数の状況でも、【鉄壁】の打たれ強さで耐えながら、一体ずつ攻撃していくよ。

この世界のオブリビオンとはどんな戦いができるかな?楽しみだね。




 グリモアでの転移先、降り立った地面は固かった。
「ここがゲームの中なの? あまり実感がないね」
 陽光の眩さも、吹き抜ける風の涼やかさも。
 葉月・静夏(f40839)がこれまで渡り歩いてきた、数々の世界と変わらない。
 転移早々にエンカウントした|オブリビオン《バグプロトコル》から感じ取れる敵意も、然り。
「ッ! ガウッ!!」
 静夏の存在を認識した途端、ジェットソードは容赦なく襲い来る。
 刃の横薙ぎ。それをひょいと躱して、女は右の拳を構え。
「こうして――」
 叩く。
 まずはジャブ。頬を強かに撃たれた敵が、ぐらりと体勢を崩したところへ。
「――こうっ!」
 炎を纏わせた左の正拳突きを繰り出し、弱点部位を深々と穿つ。
 ぱりんと軽い音を残し、ジェットソードは地に伏せるより前に霧散していく。
 倒した敵がいた箇所には、弱点たる胸のそれに似た宝石が綺麗な形で落ちていた。
「なるほど、ドロップアイテム。……ん?」
 続いて、ちゃりんと金貨が鳴るような音とともに静夏の目の前にウインドウが開き。
「ふーん。本当にモンスター退治でお金を得られるんだ」
 『トリリオン(T)』と記された欄内にて数字がカウントアップしてゆく。
 体感は現実と相違ない世界だが、観察する意思さえあればシステムをその目で捉えられるようだ。
「経験値欄もあるね。ここの敵を全部倒したら、どれくらい稼げるのかな」
 じりじりとにじり寄ってくるバグプロトコルの群れに臆した風もなく、女は楽し気に笑んだ。
 鉄壁の打たれ強さにて攻撃を耐えつつ、撃破は一体ずつ確実に。
 戦術は既に彼女の頭の中にある。
「さあ、戦いを続けよう」

 己が拳を振り上げて、一体撃破。また一体。
 魔力光の飛び交う戦場に、勝利のサウンドエフェクトが響き続ける。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カーバンクル・スカルン
拠点防衛イベント失敗からの後始末ってとこか。軟弱だねぇ?
規模は違えど、今まで別の場所で敵の襲撃を幾度となく阻止し続けてる私達が見本を見せてやろうじゃない?

【断罪変形】で機械仕掛けのワニと合体し、剣ごとバグプロトコルに右手の顎で噛みつく。そして手首の機構を起動させて急速回転しつつ、辺りの瓦礫に消えるまで叩きつけていきましょう。弱点を一撃で噛み砕ければ最高だが、他の部位は攻撃を食らってもダメージを一切受けない、なんてことはあるまいて。

宝石からの光線でこっちの動きを押し留めてくるようなら、視界外の側面から大回りさせてきた車輪で轢き飛ばす。大将軍全員がダイカタナばっかり使うと思うな?




 戦場と化した街を一瞥し、カーバンクル・スカルン(f12355)は思考する。
(「大方、拠点防衛イベント失敗からの後始末ってとこか?」)
 軟弱。それが、彼女が抱いた感想であった。
 実際に街が占拠されるまでの経緯はわからない。
 けれど、この世界に降り立つプレイヤー達が安易にここに立ち入れないことは理解できる。
 バグプロトコルに敗れたが最後、|遺伝子番号《ジーンアカウント》を焼却されてしまうから。
 ゲーム内のみならず、社会的な死まで許容などできはしない。
 ――ゆえに、カーバンクルのような力ある者の助けが必要なのだ。
「見本を見せてやろうじゃない?」
 喉の奥で笑うカーバンクルに、ジェットソードの凶刃が迫る。
 が、彼女は回避の素振りは見せない。
 プログラムされた動きで振るわれる剣など、恐るるに足らず。
「Code:Execution,approved」
 断罪変形、発動。
 機械仕掛けの鰐と合体すれば、カーバンクルの身体は元の二倍の大きさの機人と成る。
 右手の大顎で剣ごと、敵の腕を噛み砕けば。
「ギャアアァァ!!」
 耳障りな悲鳴を上げたジェットソードは、胸の宝石から魔力光線を放って足掻く。
「……あら、一撃で仕留めてあげた方が良かった?」
 その声はきっと、敵の耳には届かなかっただろう。
 なにしろ、視界外から回り込ませた車輪にて、遠くへ轢き飛ばした後だったから。
 どさり。
 地に叩きつけられたジェットソードは、落下の衝撃で宝石を砕かれ霧散していった。
 一瞥して撃破を確認し、カーバンクルは残敵に向き直る。
「大将軍全員がダイカタナばっかり使うと思うな?」
 鰐の大顎にて敵を捕らえ、瓦礫に叩きつけ屠ってゆく様は、さながら|狂戦士《バーサーカー》のよう。
 この世界でのみ大将軍を自称する娘の実態は、おそらく彼女のみぞ知る。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ルナ・キャロット
参加しました!よろしくお願いします!(マクロ挨拶)
緊急クエストなら報酬美味しそうですね。いっぱいT稼ぐために頑張ります。

小さい体を活かして瓦礫に隠れながら接近
瓦礫を足場に大ジャンプして上から大剣で思い切り先制攻撃します。
そのまま宝玉に向かって双剣のアクセルコンボを決めて、最後は大剣溜め切りで止めです!コンボが決まればきっと倒せるはずです…。
1匹ずつ減らしていきます!

剣がきたら頑張ってパリィを狙いますが光線はどうにもなりません!
瓦礫を立てにガン逃げしますよ!兎は逃げ足が早いんです!




 :《参加しました!》《よろしくお願いします!》
 瓦礫に小柄な身を隠しつつ、マクロで挨拶をするルナ・キャロット(f41791)であったが。
(「チャット、全然返って来ない。……本当に一般のプレイヤーさん、いないんですね」)
 いつもなら少なくとも、一人や二人は返信してくれるものだ。
 閑散ぶりを実感し、ルナは改めてこのクエストが緊急かつ特殊なものと実感する。
 早急にバグプロトコルを倒し、このエリアの賑わいを取り戻さなくてはならない。
 それに。
(「緊急クエストってことは、報酬も美味しそうですものね!」)
 ちらりと物陰から様子を伺えば、ちょうど群れからやや離れた敵が一体。
 狙いを付け、瓦礫を足場に高く跳躍し。
「いっぱいT稼ぐために頑張ります!」
 ルナは軽々と大剣を振り下ろし、華麗な先制攻撃を決めた。
「……ガッ!!」
 敵に反撃の隙は与えない。すかさず双剣に持ち替えて、胸の宝石に向かってアクセルコンボを叩き込み。
「これで、止めです!」
 再び大剣に切り替え、コンボ数によって超火力と化した溜め斬りをぶち当てる。
 怒涛の連続攻撃に弱点部位を砕かれたジェットソードは成す術もなく討伐され、ルナのステータス画面のトリリオンの数値がカウントアップを始めるのだった。
(「わ、Tのドロップ多っ!」)
 喜びも束の間、ルナは自身に向けられているヘイトを感知する。
「っ、まずい!」
 全力ダッシュ&ハイド。彼女が通り過ぎた箇所を魔法光線が嘗める。
 瓦礫を盾にひたすら敵襲を回避しながら、ルナは次の一手を考える。
 敵の光線に対しては分が悪い。しかし、剣攻撃が相手なら十分に渡り合えるはず。
 ならば、次のターゲットは。
「目の前のあなた、です!」
 行く先に立ちふさがる、剣を構えた一体だ。
 
 兎の少女が戦場を跳ぶたび、ジェットソードは一体ずつ消えてゆく。
 全て倒し終えた時、さてさてTはどれくらい稼げているだろう?

大成功 🔵​🔵​🔵​

夏目・晴夜
リュカさんf02586と

素晴らしい、架空の世界とは思えませんね
あちこち見て回りたいところですが…
まずは一仕事こなしますか

バグによって無敵になるとは!
典型的なクソゲーみたいでウケますね、リュカさん!
まあ、ハレルヤの敵ではないです
『喰う幸福』による高速移動で敵の死角へ回り込み
妖刀にて素早く【串刺し】て、着実に仕留めて参りたく

片っ端から敵の目を妖刀で【目潰し】し、
視覚そのものを奪うというのも楽しそうですね!
そうすればリュカさんが仕留めてくれますし、あわよくば褒めてもらえますから
ええ、そうでしょう!凄いですよね、このハレルヤは
敵前なので他へ意識は向けないつもりですけど、もっと褒めて下さってもいいですよ


リュカ・エンキアンサス
晴夜お兄さんf00145と

本当だね。折角のゲーム世界だから、あとでゆっくり見て回りたい
にしても…どのゲームにも、うん、バグってあるんだ
(ガチ)ゲーマーであり、UDCのあらゆるくそゲーをクリアすることを楽しみにしてる身としては
腕が鳴る

というわけで、うっきうきで出かけます
お兄さんが派手に動き回ってくれてるから、その隙に
瓦礫を利用して身を隠し、灯り木で弱点を狙い撃ちして制圧していくのが基本
自分に近い敵から倒します
適宜声をかけてお兄さんをほめておきます
お兄さん凄いー。かっこいいー。頑張ってー(超棒読み
お兄さんのことは基本信用してるのでほっときますが、敵の数が多かったり危なそうなら足止め等援護射撃を行う




 陽の光、大地の匂い、風の音。
 どれ一つとっても、転移先のここが仮想空間だとは思えなくて。
「素晴らしい、架空の世界とは思えませんね」
 夏目・晴夜(f00145)が零した感嘆の声に、リュカ・エンキアンサス(f02586)は頷いて同意する。
「本当だね。折角のゲーム世界だから、あとでゆっくり見て回りたい」
「ええ、あちこち行きたいところですが……」
 まずはエンカウントしたバグプロトコルどもを片付けなくてはならない。
「一仕事、こなしますか」
「うん。前衛は任せたよ、晴夜お兄さん」
 勝手知ったる間柄、各々の得意な|陣形《フォーメーション》で。
 いざ、戦闘開始!

 イニシアチブを取ったのは、ユーベルコードで速度を上げた晴夜であった。
「残さず食べて差し上げます」
 暗色の怨念を纏い、敵の死角へと回り込み。妖刀での突きを素早く繰り出して、敵の弱点部位を見事に串刺しにした――はずだった。
「……は?」
 刀の切っ先がモザイクめいた何かに阻まれていた。
 ノーダメージらしきジェットソードの反撃を後ろに跳んで躱しつつ、晴夜は舌打ちする。
「弱点が突けない。アレですか? 無敵バグですか!? まったく典型的なクソゲーですね、リュカさん!」
 苛立ち半分、呆れ半分の晴夜の声は、瓦礫の山の裏側に身を潜めていたリュカにしっかり届いていたが。
(「バグ。やっぱりあるんだ。まあ、バグプロトコルって呼ばれてるぐらいだしね」)
 戦場の様子を伺う青年の瞳は、何故だかキラッキラに輝いていた。
 実はリュカ、ガチゲーマーかつクソゲーハンターという一面を持つ。
 ゆえに、此度の状況はむしろ心が躍るものであった。
(「設定ミス系の無敵バグに近いかな。となると」)
 対処すべきはシナリオが破綻したADVでも、自機が動かぬACTでも、やたらCPUの思考速度だけが速いSLGでもない。
 敵に正攻法が通らぬというだけで、必ず裏をかいて倒す方法はあるはずだ。
(「うん。|まともな攻撃《・・・・・・》で倒そうとしなければ……」)
 アサルトライフルの銃口を敵群に向けて、リュカは晴夜に視線を送る。
 それをしっかり受け止めて。
「攻略法が見えましたか、リュカさん。なら、こいつらはもう敵ではないですねえ!」
 晴夜は自らの行動を決めた。
 放つは再びの、高速移動からの刀での攻撃。されど、狙うは弱点部位でなく。
「片っ端から潰してあげますよ!」
 ジェットソードの目であった。
 刺し、薙ぎ、斬撃波を飛ばし。晴夜は敵の視覚を奪ってゆく。
 こうなれば敵はもう、晴夜に攻撃を当てることはままならず。
「お兄さん凄いー。かっこいいー。頑張ってー。……さてと」
 リュカの狙撃の格好の的でしかない。
「……星よ、力を、祈りを砕け」
 灯り木より放たれしは、あらゆる装甲や幻想を打ち破る星の弾丸。
 それは、バグによる無敵状態すらも例外ではない。
 胸の宝石を易々と砕かれ、ジェットソードは断末魔の声すら残さず霧散する。
 リュカが各個撃破してゆく間にも、賞賛の声に気を良くした晴夜が次々と敵の目を潰し続け――。

 程なくして、バグプロトコルの群れは一掃されたのだった。
「晴夜お兄さん凄かったねー」
「ええ、そうでしょうそうでしょう。もっと褒めてくださってもいいのですよ? ほら、遠慮せずに」
「うん。凄い凄い。本当助かったー」
「ええ、凄いですよね、このハレルヤは!」
 ドヤァと胸を張る晴夜に、リュカは惜しみない(棒読みの)賛辞を贈る。
 もっとも、助かったのは事実だ。
 スムーズな攻略が叶ったのは、二人の連携あってこそだったから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『特殊素材を探せ』

POW   :    素材を持っていそうなモンスターを片っ端から狩る

SPD   :    ダンジョンのわかりにくい場所を探す

WIZ   :    街のNPCが語った情報から、素材の在処に目星を付ける

イラスト:ハルにん

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●Resource Gathering
 【クリスタルの谷】
 大地より噴き出した魔力が地表付近で結晶化し、幻想的な光景を作り上げている裂谷。
 この地で採取できるクリスタルは各種魔導機械の動力のほか、特に良質なものは魔道具の素材としても用いられる。
 奥深くまで降りる程に質の良い結晶が入手可能となるが、同時に巣食うモンスターも強豪揃いとなるため採取にも相応の戦闘能力が求められる。

 * * *

 テレポートの座標確認には、特に質の良いクリスタルを大量に合成した巨大なものが使われている。
 修復する場合も必要素材は変わらない。
 谷の奥深くで採取したものでなければ、用が足りないのだ。

 ゆえに猟兵達は此処へ来た。
 目の前に広がる光景は、煌めく一面の水晶の壁。
 採集ポイントは目視でわかる。光の反射とはまた別種の、きらきらと輝くエフェクトの地点だ。
 効率よく巡っていけば、素材は自然と集まるだろう。

 問題は、侵入者に敵対的なモンスターだ。
 強さの面で言えば猟兵の敵ではないが、奴らはこちらの存在を認識し次第襲ってくる。
 牽制するか、見つからぬように工夫して素材を集めるか――あるいは、狩ることで素材のドロップを狙うか。
 モンスターは複数種が棲息しているが、精霊やゴーレム種を狙えばクリスタルの入手が見込めるだろう。

 収集方法は各々に一任されている。
 コーラルバザーに元の賑わいを取り戻すべく、いざ行かん。
ルナ・キャロット
ベロニカ様(f35983)とptを組みます

GGOのことなら任せてください!よろしくお願いします!
(可愛い兎のお姉様が居たのでpt誘っちゃいましたふへへ…もふもふ…)

見たことないスキルですね?便利ですすごいです!
案内に従って効率的に採取していきます。

ふふふ任せてください!お守りしますよ!
次元斬で全部吸引してまとめちゃいます!周りの反応がなくなるまで全部吸い込んで敵の塊にしちゃいますよ!
そのまま動けない敵相手に大剣の溜め斬りで一網打尽ですっ!
(きれいに倒せたらドヤ顔兎)
あ、ありがとうございます!ふへへ……っ。
(褒められたらニヤニヤが止まらなくなる兎)


ベロニカ・サインボード
ルナ(f41791)とパーティーを組む

さっきの戦闘でも見かけた彼女、熟練のプレイヤーか…協力するのが得策ね
彼女も猟兵のようだけど、その辺の話はまた後で。よろしく、ルナ

採集ポイントは決まってるのか。壁を砕いても意味はないのかもね
だったらこの近辺の案内板を作るわ。青い点が採集ポイント、赤いのが敵よ
近い青点から順番に巡って行きましょう

|赤い点《モンスター》が増えてきたわね…防衛は頼むわね、ルナ
モンスター達は『ワーニン・フォレスト』の敵じゃあないが、ルナは気合入ってるみたいだし…範囲殲滅なら彼女の方が得意そう

見込み以上の活躍ね、ルナ!
その調子でよろしく(ドヤ顔にウィンクを返す)




 兎パーティが谷を行く。
「採集ポイントは決まってるのか。そうなると、壁を砕いても意味はない?」
「はい。素材は特定のポイントじゃないと採れないんです。リアルな世界だけれど、その辺りはしっかりゲームなんですよねえ」
「なるほどね。やっぱり詳しい子がいると頼もしいわ。改めてよろしく、ルナ」
「こ、こちらこそです! ベロニカ様!」
 先の戦闘で互いを認識した二人は此度、組んで行動することにしたのだ。
 ちなみに、パーティに誘ったのはルナからだったりする。
(「可愛い兎のお姉様……。ふへへ……もふもふ……」)
 とろけるルナの様子を知ってか知らずか、ベロニカは冷静に状況を整理して収集の段取りを付ける。
「【道案内/失せ物探し/情報収集】 ――よし、この近辺の案内板を作ったわ。青い点が採集ポイント、赤いのが敵よ」
「へ? わぁ、マップがすごくわかりやすくなってる! 見たことないスキルですね? 便利ですすごいです!」
 ベロニカのユーベルコードの効果にはしゃぐルナ。
 バグプロトコルと渡り合えていた点からして、ルナ自身も猟兵であるはずだが。
(「……その話は落ち着いてからでいいわね」)
 まずは|目的達成《クエストクリア》が優先と結論付けて。
「近い青点から順番に巡って行きましょう」
「は、はい! お供します、ベロニカ様!」
 ベロニカがルナを促す形で、奥へと進んでいくのだった。

 最初の数ヶ所での素材採集は恙なく終わったが。
(「|赤い点《モンスター》が増えてきたわね」)
 問題はここからだ。
 次の採集ポイントに接近すれば、付近を巡回するモンスターの一群に確実に気付かれてしまう。
 ここはパーティプレイの強みを生かすべき時だろう。
「ルナ、防衛を任せていい?」
「ふふふ、任せてください! お守りしますよ!」
 範囲殲滅の手段を持つルナがモンスターを受け持ち、ベロニカが素材を確保する。
 互いの役割を確認して。
「じゃあ、行くわよ!」
 まず、ベロニカが駆け出した。
 採集ポイントに到達する直前、モンスター達――どうやらストーンゴーレム種だ――に感知されてしまうが。
「あなた達の相手は私です! まとめ狩りしちゃいますから!」
 ルナが間に割って入り、ぶんと大剣を一振りして。
 発動せしは、次元斬。
「「「オ、オ、オォォォ……!!」」」
 斬撃の軌跡に発生した次元断層が、ゴーレムどもを引き寄せて。
 ぶつかり、砕け、また積み重なり、あっという間に一塊。
 エンカウントしたグループ全てを一か所に纏めたところで。
「一網打尽ですっ!」
 溜め切りをお見舞いし、止め。
 一切のダメージを負うことなく、ルナはモンスターを殲滅したのだった。
「見込み以上の活躍ね、ルナ!」
「ふええっ!?」
 背後から掛けられた声に、ルナは驚きぴょいっと跳び上がる。
 振り返れば、がっつりと素材を確保したベロニカが微笑んでいた。
「は、はい! 殲滅完了です! ベロニカ様!」
「うん。この先もその調子でよろしくね!」
 ドヤァと得意げに胸を張った少女に贈られるは、精悍な兎お姉様のウインク。
 ルナのハートがトゥンクと鳴った――かもしれない。
「あ、あ、ありがとうございます! ふへへ……っ」
「ちょっと、大丈夫? ほら、次行くわよ」
 兎パーティは先を急ぐ。
 揃いの尻尾をふわふわ揺らして。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
他の猟兵と協力して行動するわね。
あら、あまり力づくでなくてもできるお仕事は大歓迎よ。

ということでスニークミッションの開始。
[目立たない]ように[迷彩]衣装を身に着けつつ、[聞き耳]全開で敵の居場所を把握して回避。[忍び足]も駆使してこっそり移動しては素材を確保よ。
それでも気づかれそうになったらユーベルコード【インヴィジブル・イグジスト】
”貴方には視えない”
透明化して動きを止めてそっとやり過ごすわ。

もしピンチに陥った猟兵がいれば物陰から弓で牽制してフォローしてあげるわね。
「狙撃手のお仕事よ」


葉月・静夏
キラキラしていて綺麗な場所ね。ここは何となくゲームっぽいかも?
集めるクリスタルは色々なことに使われるみたいね。需要が多いなら色々なプレイヤーが行き来していたりするのかも。
武装に頼らない私には不要……【どこでも流しそうめん】の動力になったりするのかな?

探索よりも戦闘のほうが得意だから、モンスターからのドロップを狙っていくよ。
攻撃力重視の【重力夏の祝福】を使い見つけたモンスターをどんどん倒していくよ!
あまり強くないみたいだから、数の不利とか気にせずどんどん仕掛けていくよ。
攻撃するときに大きな声を出したりすれば、他のモンスターも寄ってきたりしないかな?

頑張ってたくさん集めよう!




「キラキラしていて綺麗な場所ね」
 谷の奥へ繋がる道にて、静夏はほうと感嘆の溜息をつく。
 ここまでの道中もクリスタルで彩られていたが、深きところの闇をも照らす魔力光は圧巻の一言だ。
「素材としての需要も高いようだけれど、プレイヤーの行き来は無かったわね」
 静夏の言葉に、同行していたヴィオレッタが頷く。
「コーラルバザー破壊の影響ね。入口にいた鉱夫NPCの話そのままみたい」
 ――海の街がやられちまったお陰で、こっちも商売上がったりだ!
 クリスタルの谷から最も近い非戦闘エリアがコーラルバザーだ。
 手軽な回復や補充が不可能な現状、他所からわざわざ此処まで足を延ばすプレイヤーはいないのだろう。
「……頑張ってたくさんクリスタルを集めよう、ヴィオレッタちゃん」
「そうね。私としては、力づくでなくてもできるお仕事は大歓迎だし」
 採集ポイントを回るか、あるいはモンスターを狙うか。
 相談し、作戦をまとめて。
 いざ、奥へ。

 静夏が前を歩き、ヴィオレッタが後を追う。
 二人はモンスターとの戦闘を行うことで合意した。
 余裕があればヴィオレッタが採集ポイントを調べるが、基本的にはドロップを狙っていく方針だ。
(「魔導機械の動力になるクリスタルか。私自身は武装に頼らないから必要は無さそうだけれど」)
 自分の持つ『どこでも流しそうめん』の動力としても使えるのだろうか、などと。
 思案する静夏の視界の端で|何か《・・》が蠢いた。
「っ! あれ、いきなり大物見つけちゃった?」
 鈍い音とともに立ち上がるは、クリスタルの身体を持つゴーレムであった。
 見れば、行く手にも同種と思しきゴーレムどもが鎮座している。
 モンスターの強さは猟兵には及ばないと聴く。ならば、一体との戦闘ついでに複数を釣り出せば――。
「――ふっ!」
 息を深く吸い、気合と共に踏み込んで、一歩で接敵。
 重力夏の祝福を以て己を強化した静夏の一撃が、ゴーレムの巨躯を打ち砕く。
 すると、上手く敵視を集めることに成功したようで、他の個体も集まってくる。
 敵視を向けられていないヴィオレッタが狙撃にて敵を牽制し、すかさず間合いを詰めた静夏が近接攻撃で打ち砕く。
 二人がかりなら、複数体の殲滅もそう時間はかからない。
「これで今のグループは倒しきれたかな?」
「ええ、この調子なら順調に集まりそう。ほら」
 インヴィジブル・イグジストを解き、静夏の前に姿を現したヴィオレッタの手には透き通ったクリスタルが。
「静夏さんが敵の注意を引き付けてくれたから、採取に集中できたのよ」
 顔を見合わせ、微笑む二人。
 ゴーレムからのドロップもなかなかの量だ。
 この調子ならば、順調に|目的達成《クエストクリア》が叶うことだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カーバンクル・スカルン
逃げられたり手に余るほど集まられたりする前にさっさと狩るとしますかね。

狭い場所でも動きやすいように機械仕掛けのワニとの合体は解除して、【クリスタライズ】を発動しながら谷の採取ポイントを回りつつ、出会した精霊やゴーレムを金切鋸で狩っていくとしましょう。この鋸が私のダイカタナよー、誰にも見えてないだろうけど。

とはいえ調子に乗って取りすぎないように気をつけないと。重戦士みたいに重量無視して何でも持てるわけじゃないし、持てる量自体に限度もあるしねー。




 十八番たる機械仕掛けの鰐との合体は解除して、カーバンクルは慎重に谷の奥地に繋がる細い道を進んでいく。
 岩陰に身を隠しつつ、先の様子を伺うと。
 まず、採集ポイントが目に止まる。しかしながら、すぐ近くには複数体のモンスターが巡回しているようだ。
(「|大地の精霊《アースエレメント》……とでも呼べばいいかしら。クリスタルを持ってそうだけど、ちょっと数が多いわね」)
 逃げられてしまったり、囲まれて手間取るような事態は避けたい。
 二兎は追わず、確実に行こう。
(「まずは採集ポイントからにしましょうか」)
 クリスタライズを発動し、カーバンクルはそっと物陰から踏み出した。

 己の持てる量を想定しつつ、時にユーベルコードを解除して息を整えて。カーバンクルは手際よくクリスタルを採取してゆく。
 採取一回分は、重量制限には程遠い。
 必要量も考えると、どれだけの採集ポイントを回ればよいものか――。
(「モンスター狩りも並行した方が効率良さそうか。この辺りのポイントは周り終わったし」)
 戦闘に切り替えても問題無いと判断し、カーバンクルは携えた金切鋸を構えて。
(「この鋸が私のダイカタナよー! ……なーんて」)
 クリスタライズはそのままに、精霊型モンスターを両断する。
 何者に斬られたのか。それ以前に、己が身に何が起きたのか。モンスターはきっと理解できなかっただろう。
 精霊が霧散した後には、採取したそれと同様の良質なクリスタルが転がっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夏目・晴夜
リュカさんf02586と
ハレルヤとしては、奥へズンズン進んで狩りまくるのが最も効率的かと思うのですがダメなんですか?

はい、倒した方が早いですとも
よし倒しましょう!

という訳で、遭遇したモンスターを只管に狩っていきます
リュカさんが散らしただけのやつも妖刀で仕留めていきますが、
これはしっかり褒めてもらわねば割に合わない気がしてきました
周りのことを宜しくする前に、このハレルヤに何か言う事ありません?

いいですねえ、勝負しますか
勝負するなら当然リュカさんもモンスターを一緒に狩ってくれますよね
そんな、それは不公平です!
まあ、ハレルヤは余りにも至高ゆえにある意味不公平な存在なのでウィンウィンとも言えますがね!


リュカ・エンキアンサス
晴夜お兄さんf00145と

うん、つまりは、
これはゲームだ
だからさ、倒すのは楽だけど採取しようって話で、
どうやって採取するかっていうと…
……あれ、倒した方が早いか
よし、倒そう

灯り木で敵を散らして奥へ進む
なんか適当に散らすだけで細かい処理はお兄さんに任せる
採掘ってさ、すっごくゲーム的だよね!
あ、お兄さん、周りのことは宜しくね
お兄さん頼りになってとても…そう、なんかいいよ(雑誉

とはいえさすがに危険を感じたら撃って倒すけど、
それ以外は採掘専念
お兄さん、どっちが大きいの取れるか勝負しよう
不公平?聞こえんなあ

……あーうん。
お兄さんのそういうとこ、本気で凄いと思うよ
いや、褒めてな…まあ誉めてるか、うん




 この世界は、これから成すべき作業はゲームだ。
 ゆえに、如何に動けばより効率良くこなせるだろうか。
「だからさ、倒すのは楽だけど採取しようって話で、どうやって採取するかっていうと……」
 ゲーマー視点から投げかけたリュカの問いであったが。
「ハレルヤとしては、奥へズンズン進んで狩りまくるのが最も効率的かと思うのですがダメなんですか?」
 晴夜の返答は即断即決、どストレートな結論であった。
 ――ダメなんですか?
 ――ダメなんですか?
 ――ダメなんですか?
 水晶の壁に反響する相棒の声、曇りなき眼。
 無下にはできない。
「……うん、倒した方が早いか。よし、倒そう」
「はい、倒した方が早いですとも!」
 よし、倒しましょう。えいえいおー!
 ハイテンションとローテンション。青年二人は連れ立って、谷の奥へと進んでゆく。

 銃撃音に続き、コウモリ型モンスターが弾け飛んだ。
「大物は任せたよ、晴夜お兄さん」
「ええ、このハレルヤにお任せあれ!」
 飛び出した晴夜の先には、クリスタルゴーレム。
 未だ残っていた雑魚を散らして、返す刀でゴーレムを一閃し。
 追わせた傷口を深々と抉って亀裂を広げ、止め。
「ふう。まあ、ハレルヤに掛かればこんなものですね」
「こっちも採掘完了。ドロップ確認して次行こうか」
「そ・の・ま・え・に。リュカさん? このハレルヤに何か言う事ありません?」
「……そうだね、お兄さん。お兄さん頼りになってとても……そう、なんかいいよ。すごくいい」
「そうでしょう! もっと褒めてくだs」
「すごくかっこいい。すごいすごーい」
 リュカは(棒読みではあれど)賞賛を惜しまない。
 晴夜が周囲のモンスターに気を配ってくれるゆえに、採掘に専念できるのは事実だから。
「で、すごいお兄さん。せっかくのゲーム世界だし、俺と勝負する気ない?」
「というと?」
「どっちが大きいクリスタル取れるか」
 二人の視線の間でばちりと火花が散った、気がした。
「ふ、ふふ……いいですねえ、やりますか! なら、当然リュカさんもモンスターを一緒に狩ってくれますよね」
「いや、俺は採掘専門だから」
「そんな、それは不公平――いえ、ハレルヤは余りにも至高ゆえにある意味不公平な存在。なので、それくらいでウィンウィンでしょうかね!」
「……お兄さんのそういうとこ、本気で凄いと思うよ」
「その通り! ハレルヤは至高で究極で完全無欠最強以下略」
「いや、ちょっと。誉めてな……いや、誉めてるか。うん」

 勝負の行方は二人のみぞ知る。
 なお、勝負がつくまでに集めたクリスタルは、それはそれは膨大な量であったとか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『街での交流』

POW   :    色んな人に積極的に話しかけてみる

SPD   :    裏通りにいる怪しい奴に話しかけてみる

WIZ   :    いかにも重要そうなNPCに話しかけてみる

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●Subquest
【コーラルバザー】
 砂漠の片隅に存在する、交易で栄えし海の街。
 発展の切欠は、漂着した『東方』の商船により齎された血赤珊瑚の装飾品であったと伝えられる。

 * * *

 広場に浮かぶは、コーラルバザーの座標を示す巨大なクリスタル。
 建築物の修繕完了とテレポート網復旧の報は瞬く間に広がって、まずはNPC達が次々と街に戻って来る。
 皆、天幕の設置は手慣れたものだ。元々の住民か、此処に出店する常連であるのだろう。
 少しずつ、少しずつ。|市場《バザー》は本来の形を取り戻してゆく。
 しかし。

 人々の様子を観察するか、あるいはマップ画面を開いて見てみよう。
 困り顔、思案顔。もしくはアイコンの色の変化。
 何やら力を貸して欲しいことがあるらしい。
 誰に声を掛けてみてもいい。
 もしくは困り事の原因であろう復興過程の残滓を先んじて見つけ、片付けてもいい。

 この街には、冒険者にしかできないことがたくさんある。
ベロニカ・サインボード
ルナ(f41791)と

宿のクエスト、おしまい。
ルナが戦闘してくれたおかげで、とっても採集が捗ったわ。ありがとう

いや、『ワーニン・フォレスト』は|霊鬼《グリム》じゃなくてフォースオーラ…売ってないってば、私だけの能力よ

で、報酬は…宿屋の再開と、一泊無料?せっかくだから2人で泊まりましょうか

のんびりルナと話でも
猟兵ってのは異世界に行ける能力者で…私もアリスラビリンスって世界から来てるわ

(ああ…ルナは『そういう人』か…アリスにも時々いるし、構わないけど)

『ワーニン・フォレスト』は射程が短いけど、私と彼女の間にルナを挟むくらいは問題ないわ。モフサンドって言うんだっけ?

ま、功労者はねぎらわないとね


ルナ・キャロット
ベロニカ様(f35983)と
宿屋NPCのクエストアイコンを見て飛びつきます!
お使い地獄ですがこれをクリアすれば報酬で…ぐへへ

ベロニカ様のグリムのお陰でとっても捗りました。便利だし、可愛いし!私も欲しいです!

報酬は1泊無料、計画通りです!
一緒に泊まっていきましょう!HPも回復しますしね!(兎姉様といちゃいちゃしたいだけ兎)

のんびりくつろぎながらフォースオーラのことやベロニカ様のことを聞いちゃいます。
猟兵ってことはアバターじゃないんですか!ガチケモなんですか!
ほ、本物のもふもふ!堪能させてください!オーラもだして挟んでくださいー!(興奮兎)
んへへへ……これが天国……。そのまま甘えちゃいます!




 コーラルバザーの某宿屋一階にて。
 楽しかしまし、兎のコンビ。
「ルナのおかげで、とっても採集が捗ったわ。ありがとう」
「いえいえ! ベロニカ様の|霊鬼《グリム》のお陰です!」
 ――宿を再開しようにも、材料が足りなくて食事が出せない。
 モンスター討伐を首尾よくこなして諸々の必要素材を集め、二人はサクッとクエストクリアし。
「いや、『ワーニン・フォレスト』は|霊鬼《グリム》じゃなくて……」
「便利だし、可愛いし! 私も欲しいです! って、|霊鬼《グリム》じゃないってことは店売り装備……なわけないですよね。あ、もしかして高難度クエストの報しゅ」
「売ってないし、報酬でもないってば。私だけの能力よ」
 ただいま、宿の主に報告完了直後。そしてこの会話のドッジボールである。
 わいわい、ぴょいぴょい。何やかんや会話が弾んでいたところに。
「仲良きことは美しきことですなぁ。いやあ、本当に助かりましたぞ!」
 宿の主たるNPCが、目を細めて二人に声掛けた。
 報酬のトリリオンとは別に、ベロニカとルナを一泊無料にしたいとの申し出である。
「え、本当に!? ベロニカさん。せっかくですし、一緒に泊まっていきましょうよ! HPも回復しますし! ね?」
 ぐいぐい押せ押せでベロニカを誘うルナ。
 実はこの一泊無料を期待して、宿のクエストを受けたのはここだけの話。
「……そうね。いい機会だわ。二人で泊まりましょうか」
 一方、ベロニカは快諾する。
 ルナに押されたわけでなく、彼女には彼女の思惑あってのことだ。
 そう、言葉を交わすいい機会だから。
 此度の相棒となった少女は、猟兵という存在にどれだけの理解があるのだろうか。

「――ということなの。猟兵ってのは異世界に行ける能力者。私もアリスラビリンスって世界から来てるわ」
 通された二階の部屋にて。のんびりとお茶を啜りながら、ベロニカはルナに猟兵について説く。
 バグプロトコルに対しても引けを取ることなく戦ってみせていたルナであったが。
「それが猟兵……ってことはアバターじゃないんですか! ガチケモなんですか!?」
 どうやらこの少女には、これといった自覚は無かったらしい。
 というか、ベロニカの説明を受けた今も怪しいようで。
「ほ、本物のもふもふ! 堪能させてください!」
 返答はベッドに飛び乗りつつのジャンピング土下座。それはそれは綺麗な姿勢であった。
(「ああ……なるほどね。ルナは『そういう人』か……」)
 そして流石のベロニカも察した。色々と察した。
 なお、アリスにも何故だかそっち系が時々現れるので、まあ慣れたものではある。
「オーラもだして挟んでくださいー!」
「問題ないわ。モフサンドって言うんだっけ?」
「…………へ?」
 興奮のあまりだだ漏れたルナの欲望は、あっさりとベロニカに掬い取られて。
「これでいい?」
 もふっ。
 片側にベロニカ、逆側に『ワーニン・フォレスト』。
 兎と狼が、ルナを優しくサンドイッチ。
「ふ、ふへ、ふへへへへ……んへへへ……これが天国……天国がここに……」
「ルナ。とろけてる、とろけてる」
 首を傾げる『ワーニン・フォレスト』に、ベロニカは目配せして「続けて」のサイン。
 この世界やルナ自身のことも、おいおい聴いてみたいところではあるが。
(「ま、功労者は労わないとね」)
 もう少しだけこのまま、めいっぱいのもふもふを。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
他の猟兵と協力して行動するわね。

邪魔者もかたづいたことだし、復興の手伝いでもしましょうか。

住民の話を聞き、崩れているガレキをユーベルコード【クォンタムハンド】で遠隔操作。ポイポイ片付けるわ。
「で、これはどこにどければ良いのかしら?」

私自身はガレキに触れずにいるけど、指し示してやっている感はちゃんと出しておきましょうか。


カーバンクル・スカルン
何もないところから大量の資材を取り出して再建していくのは流石アイテムボックスのあるゲーム、って感じだね。……ゲームじゃないのに似たような容量の鞄を持ってる猟兵さんもいるけど、そこは触れない方針で。

とりあえずあちこちに復活したクエストを1個1個受けていって達成して、名前を売っていくとしましょう。こういうゲームって良い評判が広まった方が何かとお得そうだし、修復作業はあちこちでやり慣れているしね?

しかし直接見ずともこういうウインドウにアイコンが表示されてるってのは分かりやすくてありがたいねぇ。しかも常に携帯できて嵩張らない、ってのも高ポイントだし。




(「流石アイテムボックスのあるゲーム、って感じだね」)
 クエスト巡りの最中、カーバンクルは足を止めて復興までのことを思い返す。
 集めた大量の資材を取り出し、あるいはその場にあるものを使って。
 『建築』や『アイテム合成』のシステムを駆使すれば、あっという間に求める物が生成される。
 瓦礫で埋め尽くされていた光景は、今やすっかり“街並み”だ。
 なるほど、GGOとはこういう世界なのかと少女は得心し、マップを開く。
 ウインドウには色が変わったアイコンが未だ点在している。まだまだやれることはありそうだ。
「わかりやすくてありがたいねぇ」
 地図もアイテムも嵩張らない。
 フットワークは軽いまま、カーバンクルは次のクエスト地点へ。

 そこには先客がいた。
「あら、あなた。戦場でお見かけした……わよね。少し知恵を貸していただけるかしら」
 ヴィオレッタである。
 カーバンクルが話を聴くに、ヴィオレッタが進行中のクエスト内容は街に残った瓦礫の除去だ。
 戦闘時にバグプロトコルに崩され、素材としての使用も不可能となった瓦礫が未だ街のあちこちに落ちているという。
 それをユーベルコードの量子結合の手を駆使し、運んでは集め。既に粗方の除去には成功したらしいのだが。
「問題はね。これ、どこにどければ良いと思う?」
 ひとまず、一か所に集めた瓦礫をどうしたものかと悩んでいたのだ。
「街の外に出すことはできるわ。でも、そのまま放置はどうかと思うの。これだけの量だし」
「それはそうね。通行の妨げになるかもだし、見栄えもよくないか。うーん、何かに再利用できれば……あ」
 そこで、カーバンクルが閃いた。
 再利用。『建築』『アイテム合成』――システムを通せずとも、ユーベルコードで他の物に再構築できれば?
「ちょっと一欠片、貰うわね」
 石材には違いない。例えばこれを武器として使うとしたら?
 意図を強く思い浮かべて、ユーベルコードに託した結果……。
「はい、出来上がり! とりあえずの措置だけど。ええと、この+3は強化の数値か何か?」
 瓦礫の欠片は『スリング用ストーン+3 *10(投擲)』として新たな生を受けた。
「! これは、商品として扱えるのではないでしょうか?」
 遠距離武器を熟知した狙撃手であるヴィオレッタには、カーバンクルの生成したアイテムの価値が見出せた。
 原始的でありつつも、確かな威力を誇る――それが、投石だ。
 もしかしたら、サブ武器としての一定の需要が見込めるかもしれない。
「引き続き私が瓦礫を集めますので、あなたにアイテムの作成をお願いしてもいいですか?」
 街の問題を片付け、かつ新たな商材を齎したとなれば、いわゆる名声にも繋がる可能性がある。
 こういったゲームでは後々に影響するやもと、カーバンクルは目算ののち。
「ん、任せて。……さっき助けた武器屋に、後で声掛けてみようかな」
 ヴィオレッタの申し出を承諾し、共にクエストをこなすのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

葉月・静夏
クリスタルが直って、復興も始まってひとまず一安心、かな。
とはいえまだまだ人手がいるみたいね。戦闘以外でのこの世界での体験にも興味があるから、何か手伝ってみよう。

せっかくゲームの中にいるのだから、マップのアイコンで困った人を探してみるよ。何人か話しかけて、自分にあった仕事で、更にこの街のことが知れるようなことができるといいね。海の街だから港で探すといいかな。
私は手先が不器用だから、器用さが必要なものはやめておくね。
得意なのはやっぱり【怪力】が活かせることになるのかな。
泳げるから海に落ちる危険性がある仕事も大丈夫だね。

この街ではどんな体験ができるかな?




 転送網たるクリスタルも修復され、あちこちで復興も始まって。
(「ひとまず一安心、かな」)
 静夏はほっと息をつく。
 戦場と化していたところから人が集まりつつある状態にまで、街は活気を取り戻していたから。
 しかし、これで終わりではない。
「やっぱり。まだまだ人手がいるみたいね」
 試しにマップを開いてみれば、未だ多数のクエストの存在が見て取れる。
 救いの手を求めている人々が街にたくさんいるのだ。
「うん、何か手伝ってみよう」
 GGO世界での戦闘以外の体験にも興味があったところだ。
 何より、自分が積み重ねてきた力が誰かの生活を守ることに繋がるなら――。

「これで全部ですか?」
「おう! もう少しで第二便が来るはずだ。続けて頼むな!」
 静夏が選んだのは、港での貨物搬入クエストであった。
 大量の積荷を指定の場所まで、なるべく早く運び入れてゆく。
 腕力に自信がある静夏にはうってつけの仕事だ。
(「万一、海に落ちたとしても泳げるしね」)
 木箱をいくつも積み上げてひょいと持ち上げ、軽々と運んでいく静夏。
 その姿には、港で働く海の男達も感心した様子だ。
「そこの姉ちゃん、すげえな。なあ、仕事の後にでも力比べしてくれよ!」
「あ、ずりぃぞアニキ! 挑戦はオレが先だろ!?」
 声を掛けて来る皆に笑顔を向けつつ、指定された倉庫に辿り着いた静夏は荷を下ろし。踵を返そうとして――。
「あれ? いつの間に」
 倉庫入口付近に我が者顔で陣取った猫がいることに気付いた。
 丸々と太った白猫だ。ここにいては貨物搬入の妨げになってしまうかもしれない。
 何より、もしも荷が倒れてきたりしたら危険だ。
「ちょっとごめんね。君も運ばせて」
「うにゃ?」
 ひょいと腋に手を入れて抱き上げれば、猫はみょーんと伸びる伸びる。
 創られた世界の存在のはずだが、猫は普通に猫であった。
「ふふ、あったかいね」
「にゃあ」
 潮風が静夏の頬を撫でる。
 煌めく海からはまだ見ぬ冒険の香りがした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夏目・晴夜
リュカさんf02586と
困り顔のNPCへ話しかけにいきましょう
何かしら依頼されてから解決する方が褒められやすいですからね
早速ですがそこの御方、何かお困りでしょうか!

成る程、余計な瓦礫とかの撤去作業ですか
はい余裕です
ニッキーくん、あとはよろしく頼みます

というわけで、撤去作業は戦闘特化のからくり人形にやらせます
具体的に言うならば、ニッキーくんの怪力で粉砕する事で片付けさせつつリュカさんの作業に茶々を入れます

好きにしていいとは太っ腹ですねえ
えだまめ(白柴人形)のような純白なんかもオススメですよ
あと、壁にはハレルヤを称えるメッセージをデカデカと書いておいてください
意識お高めのラーメン屋みたいな感じで!


リュカ・エンキアンサス
晴夜お兄さんf00145と

んー。お兄さんはどうする…って、聞くまでもないか
はいはい。NPCとの交渉とかは任せるね
キャパ超えそうな依頼を受けそうになったら止めるけど、
大丈夫だと思う


……
ところでお兄さん
ニッキー君にすべてやらせるのなら、その誉めはニッキーさんに渡されるべきでは?
少なくとも手伝ってる俺はそう思います
ニッキーさんはえらい
えだまめさんはかわいい
お兄さんももっと頑張って

それから…あっ
お店の修復だって
好きにしていいらしいから…折角だから好きにしてみようか
俺は黄色と紫の縞々がいいと思う(センスが悪い
お兄さんは?
知ってるよ
UDCで見た壁の落書きみたいなやつね
晴夜参上!!とか書くんでしょう
了解




 開いたマップ画面とにらめっこしながらリュカは思案する。
 現在地近辺だけでも、複数のクエストが出ているようだ。
 さて、どこから手を付けたものだろう。
「んー。お兄さんはどうす……あれ」
 いない。
 いったい何処へいったのか。
「そこの御方、何かお困りでしょうか!」
 いた。
 張りのある声が晴夜の居場所を伝えてくれる――どうやら、人混みの向こう側だ。
「成る程、余計な瓦礫とかの撤去作業ですか。はい、この晴夜にかかれば余裕です。お任せあれ!」
 リュカが合流した時には、既に晴夜はNPCと話を付けてクエストを受注していた。
「交渉してくれたのは、まあ助かったよ。この内容ならキャパ超えることもなさそうだし」
「ええ、晴夜ですから! もっと褒めてくださっても」
「うん、すごいよ。すごい。きっと瓦礫の撤去も軽くこなしちゃうんだろうなー」
「勿論ですとも!」

 リュカの想定通り、撤去作業は難なくクリアできた。
 晴夜の操るからくり人形・ニッキーくんが瓦礫を粉砕し、片付けに大きく貢献したゆえであるが。
「お兄さんさ」
「何でしょう。もしかして、もっと褒めてくだs」
「いや。ニッキーさんにすべてやらせたんなら、誉めはニッキーさんに渡されるべきではと思って」
 少なくとも、傍で手伝いつつ働きぶりを見ていたリュカはそう思った。
「……」
「……」
「さて、こちらの修復はどうしたものでしょう」
「思いっきり話逸らしたね?」
 クエストはまだ続いている。
 瓦礫撤去の次は、とある店舗の外観修復だ。
 再建の際にペイントが取れてしまった石造りの壁を、好きに塗って欲しいとのことである。
「いっそ、えだまめのように真っ白にするのもありですかね」
 名を呼ばれて反応したのか、晴夜の隣で白柴人形が首を傾げる。
「えだまめさんは可愛いね」
「リュカさん。ハレルヤは」
「ニッキーさんはえらかった」
「ハ・レ・ル・ヤ・は」
「お兄さんはもっと頑張って」
 塩対応? いいえ、いつも通りです。
 むぅっとする晴夜、壁をじっと見つめるリュカ。
 何やかんやで平和なひと時である。
「黄色と紫の縞々がいいかな」
 リュカの口から、なかなかにエキセントリックな案が飛び出した。
 止める者はいない。むしろ、それだけでは終わらない。
 何故なら、ここには晴夜もいるからだ!
「お兄さんはどうする?」
「ハレルヤを称えるメッセージをデカデカと書いておいてください! 意識お高めのラーメン屋みたいな感じで!」
 むっとしていてもなお、晴夜は晴夜である。
 ちなみに、やはり止める者はいない。
 何故なら、リュカも割と乗っかるタイプだからだ!
「UDCアースで見た壁の落書きみたいなやつだよね。 ……『晴夜参上!』とかでいい?」
 ばっと振り向いた晴夜は、とてもいい笑顔をしていた。
 ついさっき膨れた晴夜がもう笑った。
「最高じゃないですか。こう、はみ出さんばかりにデカデカとお願いしますよ!」
「了解」

 かくして彩られた壁は、後にスクリーンショット撮影の名所になったとか何とか。

 * * *

●Flavor Text
【コーラルバザー】
 砂漠の片隅に存在する、交易で栄えし海の街。
 発展の切欠は、漂着した『東方』の商船により齎された血赤珊瑚の装飾品であったと伝えられる。

 モンスターの襲撃により一度は壊滅したと思われたが、勇敢なる冒険者達の活躍により復興。
 街に集う者の背を、今日も潮風が優しく押す。

 ――Quest Complete!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年11月20日


挿絵イラスト