国士無双と南蛮軍
「事件発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
グリモアベースに招かれた猟兵達の前で、グリモア猟兵のリミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「封神武侠界で乱を起こしていた『韓信大将軍』が、大規模な攻勢を開始しました」
韓信は全ての人仙を封印する究極神器『封人台』の起動を企み、多数のオブリビオンに『神器』を与え、封神武侠界の侵略を進めてきた。だが、彼は数多いる「三国時代の英雄達」のオブリビオンの中にもなお、自身の主たりうる覇王を見つけ出すことはできなかったようだ。
「このままでは目的が達成できないと悟った韓信は、方針を変更しました。『封人台』の起動を諦め、どこか他の世界にいるオブリビオン・フォーミュラにこれを渡す事にしたのです」
そのために韓信は【Q】『|南蛮来往道《なんばんらいおうどう》』を発動し、かつて殲神封神大戦の際に出現した超次元の渦「南蛮門」を再び人界に固定した。門の向こう側にある「南蛮仙界」からは、「南蛮王」と呼ばれる恐るべき魔獣の群れが次々と現れようとしている。
「殲神封神大戦で三皇『神農』と共に討伐された『兀突骨』も、南蛮仙界の南蛮王の1体でした。あれと同じレベルの魔獣の群れが南蛮門より引きずり出されれば、人界を一挙に攻め落とすことも可能でしょう」
それだけでも放置できぬ事態だが、韓信にとって南蛮王の群れは『封人台』を他世界に転送するまでの時間稼ぎである。全ての人仙を封印するという究極の神器がオブリビオン・フォーミュラの手に渡れば、どのように悪用されるか分かったものではない。事をなされる前に一刻も早く韓信大将軍を討ち取らなければ。
「韓信の元に向かうためにはまず、南蛮門周辺の守備についている、配下の強力なオブリビオン――『劉備・オルケストリス』を倒さなければなりません」
彼女はかの三国時代の英傑劉備――ではなく、その名を騙る租界の人狼マフィアにしてコンキスタドールである。
奔放かつ能天気な性格で、韓信の配下になったのは「自分の関羽、張飛になりそうな人物を探すため」だという。主君探しをしていた韓信とは共感するところもあったのだろうか。
「劉備・オルケストリスは韓信から神器を与えられており、通常の攻撃手段に加えて【水銀の渦】を戦場全体に発生させます」
この水銀は彼女の戦闘力を強化した上で、敵には内臓破壊によるダメージを与え続けるため注意が必要になる。
劉備・オルケストリス本人は租界のコンキスタドールらしく異界のテクノロジーを用いた攻撃手段が豊富で、普通の人界の武将や仙人とは違った対処方が求められるだろう。
「劉備・オルケストリスを撃破したら、次は南蛮門から出てこようとしている南蛮王の対処をお願いします」
南蛮王はあまりにも強力な魔獣の群れで、これが門より溢れればいかに猟兵と言えども対処のしようはない。
今回の依頼で全てを倒す必要はない。溢れ出ようとする南蛮王の群れをどうにか門の向こうに押し返し、人界の蹂躙を防ぐことだ。南蛮門を開いた韓信さえ倒せれば、敵軍の流出も止まる。
「敵軍を押し戻した先にある南蛮仙界に、韓信はいます」
彼自身は神器をひとつも装備していないが、卓越した軍略によって「必ず先制攻撃してくる」上、配下としてオブリビオン化した虎の大軍勢を率いており、通常のユーベルコードと同時に軍勢による包囲攻撃も仕掛けてくる。中国史上においても指折りの名将に数えられる英傑だけあって、油断ならない強敵だ。
「12月27日までに韓信を撃破できれば、封人台が他世界のオブリビオン・フォーミュラの手に渡ることを阻止できます。どうか、皆様の力をお貸し下さい」
説明を終えたリミティアは手のひらの上にグリモアを浮かべ、封神武侠界は南蛮門周辺へと猟兵達を送り出す。
再び訪れた人界滅亡の危機を阻止し。究極神器が悪しき者の手に渡ることを防ぐ。この戦いの成否は、封神武侠界以外の世界にも関わるだろう。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」
戌
こんにちは、戌です。
今回の依頼は封神武侠界にて『韓信大将軍』との決戦です。
1章は南蛮門を守護する『劉備・オルケストリス』との戦闘です。
劉備の名は騙りですが実力は相応にあり、韓信から与えられた神器【水銀の渦】と通常のユーベルコードによる同時攻撃を仕掛けてきます。それぞれ注意して対処して下さい。
2章では南蛮門より溢れ出そうとする「南蛮王」の群れに対処します。
南蛮王は一体一体が殲神封神大戦で出てきた「兀突骨」のように強力な魔獣で、全て倒そうとするとキリがないでしょう。人界の蹂躙を防ぐため、門の向こうに敵軍を押し返すことに専念して下さい。
3章は『韓信大将軍』との決戦です。
彼はオブリビオン化した虎の群れを軍勢として率いており、ユーベルコードによる先制攻撃と同時に大軍勢による包囲攻撃も仕掛けてきます。本人の戦闘能力も優秀ですが、配下に神器を与え、強大な存在にする力は並ならぬものがあります。全力で挑むべき強敵でしょう。
この決戦シナリオを合計「20回」成功すれば、完全に韓信大将軍を滅ぼすことができます。
ただし12月27日(水)までに韓信を撃破できなかった場合、韓信は【Q】『|南蛮来往道《なんばんらいおうどう》』によって、どこか他世界のオブリビオン・フォーミュラに『封人台』を渡してしまいます。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『🌗劉備・オルケストリス』
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POW : 真滅獣身
自身の【理性 】を代償に【猟兵絶対殺す魔導鎧】を創造する。[猟兵絶対殺す魔導鎧]の効果や威力は、代償により自身が負うリスクに比例する。
SPD : 超・桃園の誓い
非戦闘行為に没頭している間、自身の【開催する宴の参加者 】が【自分の同志になる事を受け入れない限り】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
WIZ : 超・三国志
【三国英雄っぽいなにかの怨霊 】と合体し、攻撃力を増加する【神の加護を受けたダイナマイト】と、レベルm以内の敵を自動追尾する【聖なる手榴弾】が使用可能になる。
イラスト:たけ姫
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠白石・明日香」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
山吹・慧
しかし随分大掛かりな作戦ですね。
さすがは韓信大将軍といった所でしょうか。
いや、感心している場合ではありませんね、
急がなければ。
……今のは駄洒落ではありませんよ?
そして相手は三国志ファンのオブリビオンですか。
なんというか、かの劉備を騙るなら、もうちょっと
徹底した方が良いかと思いますね。
水銀の渦は、【気功法】で高めた【オーラ防御】を
展開した上でエンジェリックウィングで飛翔して
【空中機動】突破していきます。
敵の放つダイナマイトや手榴弾は【衝撃波】で
【吹き飛ばし】ましょう。
そして、光の【羽を飛ばす】【目潰し】を仕掛けて怯ませてから
【天勁・散華】を放ちます。
「しかし随分大掛かりな作戦ですね。さすがは韓信大将軍といった所でしょうか」
南蛮門を開いて大量の南蛮王達を呼び寄せ、一挙に人界を侵略するとともに『封人台』を他世界に転送する。主君にふさわしき英傑を見つけられなかった『韓信大将軍』が打った新たな一手は、山吹・慧(人間の玄武拳士・f35371)を唸らせる妙手だった。
「いや、感心している場合ではありませんね、急がなければ。……今のは駄洒落ではありませんよ?」
図らずも「韓信」と「感心」がかかってしまったのを訂正しつつ、彼は南蛮門が開かれた地に急行する。現地では今にも門の向こうから魔獣の群れが溢れ出さんとしており、その手前では1体のオブリビオンが猟兵達を待ち構えるように立っている。
「そして相手は三国志ファンのオブリビオンですか」
「ただのファンじゃないよ! あたしこそが劉備!」
そのオブリビオン――『劉備・オルケストリス』は堂々と名乗りを上げるが、彼女の正体は租界のマフィアにしてコンキスタドール。つまりは元々この世界の住人ですらなく、三国時代の英雄の名を騙って悪事を働く不届き者である。
「なんというか、かの劉備を騙るなら、もうちょっと徹底した方が良いかと思いますね」
「ムッ、うるさいなあ。いじわる言うなら配下にしてあげない!」
呆れ調子で呟く慧に対して、オルケストリスは眉を釣り上げ【超・三国志】を発動。三国英雄っぽいなにかの怨霊と合体し、バスケットの中からダイナマイトと手榴弾を取り出す。使用する武器まで近代兵器な辺り、それで本気で劉備の真似をしているつもりなのだろうか。
「いでよ【水銀の渦】!」
しかし、この劉備もどきが韓信に認められた配下であることは事実。かの大将軍より与えられた水銀の神器が、戦場を渦巻いて毒素を撒き散らす。あまり長時間ここにいると、猟兵でも内蔵に深刻なダメージを負うことになるだろう。
「のんびり戦っている暇はありませんね」
慧は気功法で高めたオーラを身に纏い、水銀の吸引を防いだうえでエンジェリックウイングを展開。光の翼の飛翔力で一気に渦を突破していく。この後にも南蛮王達の相手や韓信本人との戦いが控えているのだ。英雄の名を騙る悪党ぐらいは早々に片付けてしまわねば。
「とりゃーっ!」
気の抜ける掛け声とともにダイナマイトや手榴弾を投げつける劉備・オルケストリス。火力に加えて追尾性能まである厄介な攻撃だが、慧は自らも衝撃波を放ってこれを吹き飛ばす。標的から逸らされた爆発物はあらぬ所で爆音と爆炎を撒き散らし、大地に無為な破壊痕を刻んだ。
「お返しです」
「きゃっ!?」
さらにエンジェリックウイングから飛ばされた光の羽が、オルケストリスの目を眩ませる。彼女が一瞬怯んだ直後にはもう、慧は【天勁・散華】の構えを取っていた。掌に集束された気功の力が、多数の聖なる気弾となって放たれる。
「この一手……避けられますか?」
「やばっ……うぎゃっ!!!」
劉備・オルケストリスは慌てて飛び退いたが、百を超える気弾全てを回避することはできなかった。気に込められた聖属性が肌を焼き、衝撃と激痛が全身に走る。たまらず彼女は英雄らしからぬ悲鳴を上げて吹き飛ばされるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
儀水・芽亜
韓信大将軍も厄介な。取り返しが付かなくなる前に対処しましょう。
有機水銀はいうまでもなく猛毒。かの始皇帝の正体でもありましたね。
「オーラ防御」に「毒耐性」「浄化」で、何とか防ぎます。
さて、私は後の先をとらせてもらいますよ。
魔導鎧の攻撃を「見切り」かわし、「カウンター」で「武器に魔法をまとう」裁断鋏の、目覚めの時間を一撃。強化だろうと状態異常だろうと、このユーベルコードは全てを解除します。
『猟兵絶対殺す魔導鎧』? 夢でも見ていましたか? そんなものはどこにもありませんよ。
相手が取り乱している間に速攻を仕掛けましょう。
「切断」で「部位破壊」。即死しないといいですね?
死んだ方がましかもしれませんが。
「韓信大将軍も厄介な。取り返しが付かなくなる前に対処しましょう」
究極神器『封人台』がオブリビオン・フォーミュラの手に渡る事も、南蛮王の大群が人界を席巻する事も、未曾有の惨事を世界にもたらす。これを阻止するために儀水・芽亜(共に見る希望の夢/『|夢可有郷《ザナドゥ》』・f35644)は至急、南蛮門の開かれた地に向かった。
「キミも強そうだね! でもココは通せないんだ、ごめんね!」
門の周辺を警備するのは『劉備・オルケストリス』。かの三国時代の英傑の名を語るコンキスタドールは、韓信より与えられた【水銀の渦】を展開している。ノリは軽そうな少女だが、任された持ち場を離れるつもりはなさそうだ。
「有機水銀はいうまでもなく猛毒。かの始皇帝の正体でもありましたね」
芽亜は身に纏うオーラに毒を浄化する効果を与え、持ち前の耐性も活かしてなんとか水銀の渦を防ぐ。類似の事象を見た経験が役立ったか、対策に怠りはないようだ。これを見た劉備・オルケストリスも「へえ、やるね!」と感心の声を上げる。
「ホントなら張飛か関羽に勧誘したいけど……ブチ殺させてもらうよ!」
彼女は【真滅獣身】を発動し、自らの理性を代償に魔導鎧を身に付ける。その鎧から発せられる禍々しいパワーは、猟兵を絶対に殺すという意志の具現化。もはや言葉も忘れ、文字通り殺意の塊となって、獣の如き勢いで襲い掛かる。
「さて、私は後の先をとらせてもらいますよ」
これに対して、芽亜は殺意に気圧されることなく敵の動きを見切り、裁断鋏『Gemeinde』によるカウンターを狙う。
頬を掠めるギリギリで攻撃を躱し、二振の軍刀を組み合わせた大鋏から【目覚めの時間】の一撃を見舞う。その刃に籠められた虚無の魔法はあらゆる神秘を滅し、雲散霧消させる力を持っていた。
「強化だろうと状態異常だろうと、このユーベルコードは全てを解除します」
しゃきん、と鋏が交差する音が鳴った直後、劉備・オルケストリスの着ていた魔導鎧はバラバラに切り裂かれ、消滅した。バフ・デバフの解除に特化した技であるため肉体的なダメージは与えられないが、これで彼女のステータスは全て元通りとなった。
「あ、あれ? あたしの『猟兵絶対殺す魔導鎧』は?」
「夢でも見ていましたか? そんなものはどこにもありませんよ」
魔導鎧の喪失と共に劉備・オルケストリスは理性を取り戻すが、状況を把握できずに取り乱している。この隙に芽亜は速攻を仕掛け、今度は【目覚めの時間】ではなく対象を真っ二つにせんと鋏を振るった。銀の雨が降る時代から戦いの一線を翔け抜けてきた彼女の斬撃は、言うまでもなく鋭い切れ味を誇る。
「即死しないといいですね? 死んだ方がましかもしれませんが」
「いっ……いっぎゃぁぁぁぁぁぁいッ!!!!?!」
じょきん。と、さっきよりも鈍い鋏の音が響くと、オルケストリスの片腕が地面に落ちた。直後、滑らかな断面より吹き出す鮮血――首を刈られるのは防ぐほどの実力はあるようだが、それはより大きな苦痛をもたらす結果となった。
大成功
🔵🔵🔵
皐・芽衣
騙りはいかんじゃろ。
また言うまでもなく、韓信やお主の企みも罪じゃ。
【断獄】。裁きの時間じゃ!
その怨霊も騙りなんじゃろ? 嘘はいかんぞ!
それは「三国英雄でもない、適当な怨霊」じゃ。
化けの皮を剥がされて、そのUCはどこまで効果があるんじゃろな?
水銀の渦は厄介じゃが、言っても金属じゃからな。
[電撃]の[マヒ攻撃]はよく通すじゃろ。身に纏うと良い的じゃ。
戦場の水銀も、必要なら[毒耐性・激痛耐性]で耐えるが
電撃で磁気を帯びさせ、磁力でまとめれば
吸わないよう避けるのも容易くなるじゃろ。
安全なところを[見切り]、マヒの隙に
地上での[ダッシュ]や[空中機動]で近づいて[串刺し]。
英傑の夢は、ここで終わりじゃ!
「や、やっぱ猟兵って強い……でも、この劉備様が負けるはずないもんね!」
「騙りはいかんじゃろ」
手負いとなりながらも負けん気を発揮する『劉備・オルケストリス』を、ぴしゃりと鋭い口調で糾弾するのは皐・芽衣(金色一角のメイメイ・f35724)。公正を旨とする|獬豸《カイチ》の瑞獣であり、理が通らぬ悪党に裁きを与えることを生業とする。その彼女から見れば、偉人の名を勝手に騙るのは明らかな不正である。
「また言うまでもなく、韓信やお主の企みも罪じゃ。裁きの時間じゃ!」
その宣言と共に【断獄】が発動され、戦場は裁きの場と化す。これより敵味方全ての嘘は禁止され、不正や偽計の類も封じられる。咎人の力は弱まり、断罪者の力は増すこの空間において、もっとも力を発揮できるのは言うまでもなく彼女自身だ。
「むむむ……チビのくせにえらそーに! 三国英雄のみんな、あたしに力を!」
負けじとオルケストリスも【超・三国志】を発動し、なにかの怨霊と合体する。本人曰く、この霊は三国時代に活躍した英傑だと言うが、召喚した本人が劉備の名を騙るコンキスタドールであるように、こちらの真偽も相当に怪しい。
「その怨霊も騙りなんじゃろ? 嘘はいかんぞ! それは『三国英雄でもない、適当な怨霊』じゃ」
そして芽衣の【断獄】はこのような虚偽も決して見逃さない。偃月刀「鉅角」を突きつけて威圧すると、怨霊は怯えたようにぶるりと身を震わせた。まことの英雄の霊であればこれしきの事では怯むまい。やはり嘘であったかと彼女は確信を持つ。
「化けの皮を剥がされて、そのユーベルコードはどこまで効果があるんじゃろな?」
「むむむむむ~……! よくもっ!」
怨霊の力に頼れなくなった劉備・オルケストリスは、韓信大将軍から下賜された【水銀の渦】を戦場に発生させる。
自在に形を変えて使用者の戦闘力を強化し、敵対者にはじわじわと内蔵破壊ダメージを与える猛毒の水銀。これ自体は一切の嘘を含まないため、【断獄】で禁じられもしない。
「これならどうだっ!」
「確かに厄介じゃが、言っても金属じゃからな。電撃はよく通すじゃろ」
吠えるオルケストリスに対して芽衣は落ち着いたまま、頭部の角より稲光を放つ。水銀に磁気を帯びさせることで渦の流れをコントロールする作戦だ。電流に伴う磁力が水銀の毒気を彼女の元より遠ざけ、敵までの活路を作り上げる。
「身に纏うと良い的じゃ」
「ぎゃぴっ!?」
芽衣はさらに電撃を放って、敵の装備する水銀に感電させる。金属の性質を逆手に取られた劉備・オルケストリスはマヒし、一時的に身体が動かなくなる――この隙に獬豸の瑞獣は息を止め、持ち前の耐性を頼りにして、比較的安全なところを走り抜けた。
「や、ヤバ……」
もしもオルケストリスの身体が満足に動けば、ダイナマイトや手榴弾で迎撃もできただろう。しかしこの状態では、空を駆けるように軽やかに水銀の渦の狭間を抜ける、芽衣の足を止める術はない。あっという間に距離を詰めてきた、彼女の攻撃を防ぐ手立ても。
「英傑の夢は、ここで終わりじゃ!」
「ひ……うぎゃぁっ!?!」
嘘まみれの英雄譚に引導を渡すように、鉅角の矛先が咎人を串刺しにする。腹から背中まで突き抜ける鋭い痛みに、劉備・オルケストリスはたまらず悲鳴を上げ、傷口からは鮮血がほとばしった。コンキスタドールとしては相応の実力者とはいえ、かの獬豸の前で騙りを押し通せるとは、傲りが過ぎたようだ――。
大成功
🔵🔵🔵
ブリュンヒルデ・ブラウアメル
鎧を幾ら身に纏おうとも、我はその守りを撃ち貫くだけだ
ヴァルキリーの翼を広げ飛翔
奴の『猟兵絶対殺す魔導鎧』の効果範囲から退避し、UCを起動
あらゆるこの世の条理を"貫く"羽の弾丸を撃ち出し、魔導鎧の効果を貫き攻撃
始皇帝の水銀についてはブラウグラムの白と黒を起動させ『内蔵破壊によるダメージを受けた時間軸』を破却
時間軸破却による『ダメージの破壊』によって回復するぞ
さぁ、コンキスタドールよ…貴様に終焉を叩きつけてやろう
蒼き翼を広げ、羽の弾丸の弾幕を張って蜂の巣にしてやろうではないか
「いったぁい……もう許さないし。キミら絶対殺す……!」
予想を超える猟兵の強さに劣勢となった『劉備・オルケストリス』は、戦況を覆すべく【真滅獣身】を発動。自らの理性を代償にして、猟兵を殺すためだけに創造した魔導鎧を身に纏う。その形態はヒトからかけ離れた野獣の如き荒々しさを誇り、ただ存在するだけでも強烈な殺意で他者を威圧する。
「鎧を幾ら身に纏おうとも、我はその守りを撃ち貫くだけだ」
だが、ブリュンヒルデ・ブラウアメル(蒼翼羽剣ブラウグラムの元首『剣帝』・f38903)はその圧にも屈さず、毅然とした態度で彼女の前に立ちはだかった。その手に携えしは「蒼翼羽剣ブラウグラム」。さる都市国家の名を冠した、終焉そのものを打ち砕く刃だ。
「ウオオオオオオオッ!!!」
獣そのものの雄叫びを上げて、猛然と牙を剥く劉備・オルケストリス。その標的となったブリュンヒルデは背中から蒼きヴァルキリーウイングを広げ、『猟兵絶対殺す魔導鎧』の効果範囲から退避する。手榴弾やダイナマイトの爆風も届かない高度まで飛翔すれば、ひとまずの安全は確保されよう。
「終焉を破壊せよ、我が蒼き翼! 森羅万象、遍く理を貫く羽の魔弾。其に宿る無にして無限の回転を以て、その終焉に終焉を!」
もちろん逃げ回るだけではなく、彼女は【蒼翼の終焉破壊・無にして無限たる回転の羽弾】による反撃へと転じる。
ヴァルキリーウイングより放たれる羽の弾丸は、限りなく物理的に存在してない状態の回転を宿し、あらゆるこの世の条理を貫く。猟兵を殺すために創造された鎧であれ、撃ち抜けない存在ではなかった。
「ギャウッ……ヨクモオオオオオッ!!」
羽弾を喰らった劉備・オルケストリスは怒りの咆哮を轟かせ、今度は【水銀の渦】による全体攻撃を仕掛けてきた。
戦場全体に広がる猛毒の水銀は、吸引した生物の内蔵に深刻なダメージを与える。猟兵でも場合によっては命を落としかねない危険な神器だ。
「ブラウグラムよ、汝の力を示せ!」
そこでブリュンヒルデは愛剣の「白き翼」と「黒き翼」の力を起動。「内蔵破壊によるダメージを受けた」という時間軸を破却することで、その事象を無かったことにする。それはダメージの概念を破壊することで自らを回復させる、独特の治療法だった。
「さぁ、コンキスタドールよ……貴様に終焉を叩きつけてやろう」
水銀の渦を克服したブリュンヒルデは再び蒼翼を広げ、弾幕を張って敵を蜂の巣にせんとする。加速・減速・軌道変更まで自在な羽の弾丸から、劉備・オルケストリスが逃げる術はなく。ご自慢の鎧が瞬く間に穴だらけになっていく。
「いだっ、いだだだ……や、やっぱりキミ、あたしの関羽になる気とか……ぎゃうっ!!」
鎧の破壊により理性も取り戻したようだが、今更すぎる命乞いじみた提案が耳を貸されるはずもなく。水銀の渦を束ねて身を守りながら、逃げ惑うオルケストリスの悲鳴が響き渡る。その姿はとても三国の英雄の振る舞いとは思えぬ、無様なものであった――。
大成功
🔵🔵🔵
黒城・魅夜
韓信に劉備ですか…
真贋は別としてもその名を名乗るものとまみえるのは
戦場に生きるものにとって興が湧きますね
それにしても「怨霊」の癖に「神」の加護や「聖なる」手榴弾などと
それでも怨霊ですか情けない
悪霊であることに誇りを持つ私を見習いなさい不心得者
と、傷口を抉る精神攻撃のような舌鋒をもって相手の動揺を誘いつつ
鎖を放ってデコイとし手榴弾を追尾させ回避
同時にその鎖が放つ衝撃波は範囲攻撃となって水銀の渦を迎撃します
さらに呪詛を満たした結界を張ってダイナマイトを封じ込めましょう
気づきませんか、この場所を
そう、ここは夷陵
劉備が最大の敗戦を喫した場所です
無論私の見せる悪夢ですが
真の劉備と同じ目に遭い滅びなさい
「韓信に劉備ですか……真贋は別としてもその名を名乗るものとまみえるのは、戦場に生きるものにとって興が湧きますね」
恐るべき軍才から国士無双と謳われた、漢の大将軍・韓信。言わずと知れた三国志の主役である、蜀の皇帝・劉備。
中国史を学んだ人間なら必ず耳にすることになる英傑の名を、一時に二人も聞くことになれば、黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)も高揚を感じる様子だった。
「ふふふ……だったら見せてあげるよ、あたしの超・三国志を!」
もっとも今眼の前にいる『劉備・オルケストリス』は、外見や出自からして明らかな騙りだが。それでも英傑の偽称を止める気はないようで、三国英雄っぽい怨霊と合体して得意げになっている。ふざけた態度のコンキスタドールだ。
「くらえ、神の加護を受けたダイナマイトを! ついでに聖なる手榴弾も!」
劉備・オルケストリスはバスケットの中から大量の爆発物を取り出し、ぽいぽいと魅夜めがけて投げつける。三国志らしさは欠片もないが、高い爆発力に加えて追尾性能まで付与されたユーベルコードだ。油断すれば猟兵でも危うい。
「それにしても『怨霊』の癖に『神』の加護や『聖なる』手榴弾などと、それでも怨霊ですか情けない。悪霊であることに誇りを持つ私を見習いなさい不心得者」
『ウッ……?!』
しかし魅夜の癇に障ったのは、怨霊の力を借りながら聖属性の力を振るうという矛盾点であった。傷口を抉るような舌鋒の鋭さをもって精神攻撃を仕掛けると、オルケストリスに宿る怨霊が動揺する。堂々と悪霊として振る舞う彼女に霊としての格で気圧されたのだろうか。
「隙を見せましたね」
すかさず魅夜は「呪いと絆」の鎖をデコイとして放ち、手榴弾を追尾させて爆発を回避する。同時にその鎖が発する衝撃波は戦場に漂う【水銀の渦】を散らし、毒素によるダメージを防いでいた。神器とはいえ殲神封神大戦で見たものと同じ、対策は万全である。
「くっ、この……!」
唇を噛みながら劉備・オルケストリスが投げたダイナマイトは、呪詛を満たした結界を張って封じ込める。凄まじい爆音が轟くものの、爆風や衝撃が外に漏れることはない。完全に敵の攻撃を凌ぎきった魅夜は「残念でしたね」と微笑みつつ、今度は自らのユーベルコードを開帳した。
「気づきませんか、この場所を」
「えっ? ここって、まさか……?!」
劉備・オルケストリスが戦いに夢中になっている間に、周囲の地形は一変していた。炎上する大地、逃げ惑う兵士、ひらひらと空を舞うは真紅の胡蝶――ここは魅夜の【滅びの日、最期に舞うもの、紅き翅】が生み出した悪夢の中だ。
「そう、ここは夷陵。劉備が最大の敗戦を喫した場所です」
最大の腹心である関羽・張飛の弔い合戦を兼ねて、呉に侵攻した劉備率いる蜀軍は、この戦いで多くの将兵を喪い、三国統一の夢を事実上断たれた。まさしく「劉備」にとっては最悪の悪夢が、実態と見紛うほどのリアリティを以ってオルケストリスの精神を侵蝕する。
「真の劉備と同じ目に遭い滅びなさい」
「ひっ……熱いっ!? いやぁぁッ?!!」
大軍を焼き尽くすほどの凄まじい大火に巻き込まれ、火達磨になる劉備・オルケストリス。無論これらも全て夢なのだが、悪夢を操る悪霊である魅夜のもたらすそれは、命に関わるほどの精神ダメージを与える。甲高い悲鳴を上げて、実在しない炎と敵兵から逃げ惑うニセ劉備を、彼女は艷やかな笑みで見下ろしていた――。
大成功
🔵🔵🔵
葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と
劉備と言っても別人だから似ても似つかないのも当然か
厄介な敵だけど緒戦だし此処は
「鎧袖一触で押し勝てたら良いなって」
陸井とはこう軽く話すけど勿論油断は絶対しない
見た目に反して圧も凄く強いしね
水銀の渦はオーラ防御や継戦能力、激痛・毒耐性など
全てを駆使し
蟲にも攪乱と目くらましを頼み
避け堪え、耐えて敵に肉薄する
「こんなコトくらいで怖気づくものか!」
陸井とならどんな時どんな間合いだって連携出来る
相棒が作ってくれた僅かな隙を生かし
白燐剣光大神楽詠唱
「怨霊も一緒に固めてやる!」
敵にダメージを与え縫い留める間に
俺の相棒の乾坤一擲の切断技が入る!
「徳も知略もない偽物に負けはしないさ」
凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と
必ず韓信の元にたどり着いて阻止する
まずは劉備…と名乗る敵だ
時人はちょっと緊張してるのも分かるからな
肩の力を抜かせるためにも、軽口をたたきつつ
「勿論、俺達なら絶対できるよ」
まずは水銀の渦の対処だな
武器受け、覚悟、見切りを使用して相棒と突破する
「これ位で、折れるわけにはいかないな」
打ち合わせなんかしてなくても相棒の事ならわかる
突破したらすぐに銃撃で牽制して敵の隙を作るよ
「さぁ、まずはこっちの相手をしてもらおうか」
相棒が縫い留めてくれたら今度は俺の番だ
「俺は、護る為に…仲間を、この世界を」
【戦文字「切裂弾」】を使用し連射する
「時人の言う通りだ。お前には歴史が足りないよ」
「必ず韓信の元にたどり着いて阻止する。まずは劉備……と名乗る敵だ」
殲神封神大戦から暗躍の時を経て、ついに大規模な攻勢を開始した『韓信大将軍』。その野望を挫かんとやって来た凶月・陸井(我護る故に我在り・f35296)の前に立ちはだかるのは『劉備・オルケストリス』。容姿・性別・格好どれをとっても劉備本人ではないどころか、封神武侠界の出身ですらなさそうだ。
「劉備と言っても別人だから似ても似つかないのも当然か」
自分の学んだ歴史上のイメージとはまったく違う姿の相手に、葛城・時人(光望護花・f35294)も少し戸惑ったようだが気は抜かない。情報によるとヤツの正体は租界のマフィアにしてコンキスタドール。しかもあの韓信にも認められたのなら間違いなく厄介な敵だ――さりとて、緒戦で躓くわけにもいかない。
「鎧袖一触で押し勝てたら良いなって」
「勿論、俺達なら絶対できるよ」
軽口を言いつつも時人がやや緊張しているのを察した陸井は、肩の力を抜かせるために軽口を返しつつ笑う。勿論、そうは言っても二人とも油断は絶対にしない。華やかな少女の見た目に反して、相手は尋常ではない圧を発していた。
「二人かあ……関羽と張飛にちょうどいいかな? まずは実力を見せてもらわないとね!」
劉備・オルケストリスはそう言って、韓信に授けられた神器【水銀の渦】を使用する。たちまち戦場全体へと広がる大量の水銀は使用者の戦闘力を強化する一方、敵を内蔵から破壊する猛毒でもある。これを突破できなければ、彼女に近付くことさえ困難である。
「まずは水銀の渦の対処だな」
「ああ!」
二人の猟兵はそろって駆け出すと、各々の持つ技能を駆使して【水銀の渦】の突破を図る。陸井は短刀銃『護身』で水銀の飛沫を切り払い、時人はオーラと耐性で毒素のダメージを軽減する。そして「白羽蟲笛」の音色で呼び出された白燐蟲「ククルカン」の群れが、戦場に散らばって撹乱を行う。
「こんなコトくらいで怖気づくものか!」
「これ位で、折れるわけにはいかないな」
「むうっ、やるじゃないの!」
劉備・オルケストリスが蟲の目眩ましを振り払った時には、二人はもう至近距離まで肉迫していた。水銀の渦を避け堪えた彼らにさしたるダメージはなく、沸き立つ闘志は燃え上がる炎の如し。この程度の試練なら、学生時代から何度も超えてきたと言わんばかりの表情だ。
「面白い、だったらこれで……!」
劉備・オルケストリスは【超・三国志】を発動し、三国英雄っぽい何かの怨霊と合体しつつバスケットをまさぐる。
その中から出てくるのは大量のダイナマイトや手榴弾。もう少し劉備らしい武器は無かったのかと聞きたくなるが、威力のほどは間違いない。
「さぁ、まずはこっちの相手をしてもらおうか」
「あっ?!」
だが。オルケストリスがそれを放り投げるよりも一瞬早く、陸井の銃撃がヒットする。手の中から弾かれた手榴弾は高々と宙を舞い、あらぬ所で爆風と破片を撒き散らした。近距離とはいえ見事な早業と精度だが、今のはただの牽制に過ぎない。
(打ち合わせなんかしてなくても相棒の事ならわかる)
(陸井とならどんな時どんな間合いだって連携出来る)
相棒が作りだした僅かな隙を活かし、攻勢をかけるのは時人。撹乱に使った蟲達を呼び戻し、手元で一振りの光剣に変化させる。発動せしは【白燐剣光大神楽】――剣舞の如き太刀筋より放たれる衝撃波が、偽りの英傑に襲い掛かる。
「穿ち、奪い、縫い留めろ! ククルカン!」
「うぎゃっ?!!」
凄まじい閃光と身体を切り裂く衝撃に、劉備・オルケストリスはたまらず目を閉じて悲鳴を上げた。ダメージもさることながら、このユーベルコードには一時的に対象の動きを封じる効果がある。束ねあげた|白燐蟲《ククルカン》の霊力が、敵の全てを縫い留めるのだ。
「怨霊も一緒に固めてやる!」
「やばッ……う、動けない?!」
やはり僅かな間ではあるが、劉備・オルケストリスが完全に無抵抗な状態になる。相棒が作ってくれたこの好機を、もう一人は決して見逃さない。まるで最初から綿密に相談されていたかのような完璧なタイミングで、陸井の短刀銃が戦文字を描いた。
「俺は、護る為に……仲間を、この世界を」
揺るぎない誓いの宣告と共に、乾坤一擲の【戦文字「切裂弾」】を付与した弾丸を連射する。外しようのない距離で放たれたそれらは全て的中し、超常的な切れ味をもって敵を切り刻んだ。「うぎゃぁぁッ!!」とひときわ甲高い悲鳴と共に、真っ赤な血飛沫が戦場に散る。
「徳も知略もない偽物に負けはしないさ」
真の三国英雄たる劉備に比べれば、この女は実力でも格でも及ばない。恐るるに足らずと時人は白燐光剣を振るい、オルケストリスをさらに攻め立てた。白燐蟲の霊気により取り憑いていた怨霊が浄化され、爆発物を詰めたバスケットも地面に落ちる。
「時人の言う通りだ。お前には歴史が足りないよ」
「ぐ、ぐぬぬッ……好き放題いって……ッ!!」
直後に陸井も短刀銃のリロードを終え、至近距離から銃弾を食らわせる。この完璧に息のあった連携こそが、彼らの積み重ねてきた「歴史」そのものだ。所詮は英雄の名を騙るだけのコンキスタドールに、この重みに対抗しうるものがあるはずもなく。屈辱に歯噛みしながらも、オルケストリスは窮地に追い込まれていた――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
劉・涼鈴
いよいよ決戦だ! いっくぞー!!
門番の自称劉備……一番めんどくさい神器を持ってるなぁ
気功爆裂! 身体に纏う【覇気】が身を護る! ま、神器相手にはないよりマシって程度だけど
劉家の旗! でっかい軍旗ってやつだ! こいつを【怪力】で思いっ切りぶん回して風を起こして、水銀を【吹っ飛ばす】!
ついでに投げつけられるダイナマイトやら手榴弾も【受け流して】爆発する前に押し返すぞ! むぉー!!
渦状では埒が明かないから水銀を集中してきたら……知ってるぞ! 水銀は電気をよく通すんだ! 漫画で見たことある!
凝縮した【覇気】が稲妻化! ばりばりー!!
【功夫】の身のこなしで踏み込んで【劉家奥義・獅電掌】!!
おりゃー!!
「いよいよ決戦だ! いっくぞー!!」
かの『韓信大将軍』と決着をつける時がついにやって来たと知るや、勇ましく飛び出していったのは劉・涼鈴(鉄拳公主・f08865)。南蛮王による人界の蹂躙も、究極神器『封人台』の転送もさせはしない。その小柄な体には溢れんばかりの気迫が漲っていた。
「ふんっ……ここから先に進みたくば、この劉備様を倒してからにしてもらうわよ!」
そんな彼女の前に立ちはだかるのは『劉備・オルケストリス』。かの三国時代の英雄の名は騙りだが、持ち場を離れて逃げ出すほどの恥知らずでもないらしい。満身創痍ながらも毅然と立つ彼女の周りには、きらきら輝く【水銀の渦】が渦巻いていた。
「門番の自称劉備……一番めんどくさい神器を持ってるなぁ」
あの水銀は使用者の力を高めるだけでなく、戦場にいる全ての生物を蝕む猛毒だ。そのことを知っている涼鈴は顔をしかめるが、ここで臆して近寄れないようでは劉家拳伝承者の名折れである。面倒だと分かっているなら、当然対策も練られているわけだ。
「気功爆裂!」
高度に練り上げられた気功を身体に纏い、水銀の渦を防ぐ鎧とする。正直、これでも神器相手にはないよりはマシという程度だが、対策はこれだけではない。紅い覇気に包まれた彼女の手には、大きく【劉】の一文字が刺繍された旗が握られていた。
「そ、その旗は……?!」
「劉家の旗! でっかい軍旗ってやつだ!」
敵に威圧感を、味方に頼もしさを感じさせるその旗を、涼鈴は思いっ切りぶん回して風を起こす。ぶおんぶおんと吹き荒ぶ烈風は水銀の渦を吹き飛ばし、毒素のない安全地帯を作り上げた。この力技には劉備・オルケストリスも驚かざるを得ない。
「この劉備様の前で【劉】の旗なんて……ナマイキ!」
彼女は【超・三国志】を発動して攻撃を仕掛けるが、投げつけたダイナマイトやら手榴弾も劉家の旗が起こす風に吹き流され、爆発する前に押し返されてしまう。遠距離からの投擲物や広範囲に拡散させた水銀では、軽すぎてダメージを与えられない様子だ。
「くっ、だったらこうすれば!」
このままでは埒が明かないと悟った劉備・オルケストリスは水銀を自分の周りに集中させて、戦闘力の強化を図る。
質量を増した水銀であれば風に流されることなく攻撃も届くだろう。しかし、それは涼鈴の狙った展開でもあった。
「知ってるぞ! 水銀は電気をよく通すんだ! 漫画で見たことある!」
涼鈴はぱっと旗を手放すと、功夫の身のこなしで肉弾戦の間合いに踏み込む。その掌に凝縮された覇気が稲妻化し、ばりばりと雷鳴を発した。厄介な神器による妨害を排除し、敵に直接攻撃を叩き込むチャンスを待っていたのは彼女のほうだったのだ。
「劉家奥義・獅電掌!! おりゃー!!」
「ヤバっ……うぎゃーーーっ!!!!?」
掌から直に叩き込まれる、超高圧電流と化した覇気の一撃。それは水銀を伝って劉備・オルケストリスに絶大なダメージを与え、全身の神経を麻痺させた。喉が裂けんばかりの絶叫と共に、彼女の身体はゆっくり崩れ落ちていき――。
「残念……あたしにも、キミたちみたいな関羽や張飛が、ほしかったわ……」
その言葉を最期に、偉大なる三国時代の英雄の名を騙ったコンキスタドールは、無念そうに骸の海に還っていった。
彼女が倒れた先には、南蛮仙界に繋がる巨大な超次元の渦――「南蛮門」がある。ここからが本番だと言うように、その門は禍々しい気配を放っていた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『『南蛮王』を撃退せよ』
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POW : 苛烈に攻め立て、南蛮王の軍勢を後退させる
SPD : 超強大な魔獣の僅かな隙や弱点を突く
WIZ : 計略で敵の動きを誘導する
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
南蛮門の守護を任されていた『劉備・オルケストリス』を撃破した猟兵達は、いよいよ門のすぐ近くまで接近する。
韓信大将軍の【Q】により人界に固定されたそれは、特殊な仙界に通じる超次元の渦であり。その奥からは禍々しい魔獣の群れが今まさに溢れ出ようとしていた。
『ウオオォォォォォォ――!!!!』
封神武侠界の歴史では、三国時代の末期に孟獲、木鹿大王、兀突骨といった名だたる「南蛮王」達が諸葛孔明の策略によって討伐され、南蛮門ごと封印されたという。三国志演義の南蛮編に登場した人物らは、この世界ではみな強大な魔獣だったということだ。それも、かの伝説的軍師が智謀を尽くして封じねばならぬレベルの。
南蛮門の封印が解かれた今、現状を放置すれば南蛮王の軍勢は人界に溢れかえり、民と国々を蹂躙するであろう。
事が中華全土に広がってしまった後では、いくら猟兵でも対処しようがない。今ここで門の奥に押し返さなければ。
門の外に出てくるのさえ防げれば、全てを倒す必要がないことだけは幸いか。
ことの元凶たる韓信も、南蛮門の向こう側――南蛮仙界にいる。
人界の蹂躙を阻止し、騒乱に決着をつけるため、猟兵達は恐るべき南蛮王の軍勢と対峙した。
皐・芽衣
我が出身世界、蹂躙させはせんぞ。
今すぐ押し返してやろう!
偃月刀「鉅角」に飾った【宝貝「雷公羊毛」】からの[電撃]による
[マヒ攻撃・範囲攻撃]で、門から広がらないようにするか。
そして、そのまま動けぬ隙に[ダッシュ]や[空中機動]で近づき、
偃月刀の[ぶん回し・なぎ払い・吹き飛ばし]や
[ランスチャージ]で門の奥へ飛ばす。
まだ向かってくるなら、攻撃を[見切り]避け、
反撃の[なぎ払い]で[部位破壊]。足を潰してやろう。
偃月刀の間合いの内側まで来るなら、[功夫]の足技で[部位破壊]。
弱っている奴は[串刺し]でトドメをさし、
[投擲]して、門を塞ぐ遮蔽物として積ませてもらおうかの。
引き返すなら、今のうちじゃ!
「我が出身世界、蹂躙させはせんぞ」
人ならずともこの世界で生まれ育った者として、芽衣も封神武侠界には特別な思い入れがある。その気持ちは南蛮門より現れる大量の「南蛮王」の軍を見ても萎えることはなかったし、危難に直面した闘志はより激しく燃え上がった。
「今すぐ押し返してやろう!」
彼女が偃月刀「鉅角」を振りかざすと、矛を飾る羊毛がバチバチと帯電する。これぞ【宝貝「雷公羊毛」】、雷電を操る仙術兵器がひとつである。雷雲の如く貯めこまれた電力は解き放たれれば無数の雷となり、南蛮軍に降り注いだ。
『グオオォォォォォォォッ!!!!?』
門を出るなり雷光に迎えられた南蛮王たちは絶叫し、感電により動けなくなった彼らの巨体で後続の侵攻が詰まる。
敵軍をマヒさせて門から広がらないようにするのが芽衣の狙いだった。そして、そのまま動けぬ隙に空中をダッシュして敵に近付いていく。
「これ以上はまかり通らぬ!」
小柄な全身に秘められた筋力とバネを総動員して、身の丈に優る偃月刀をぶん回し、突撃する。なぎ倒された南蛮王どもは「グオォッ!?」とまた叫んで、門の向こうまで吹き飛ばされた。数々の戦を戦い抜いた瑞獣の霊威と武勇は、南蛮の魔獣にもゆめ劣るものではない。
『グ……ガオオオオッ!!!』
「まだ向かってくるつもりか!」
だが敵も三国の英傑に負けず劣らぬ、名だたる魔獣ばかりである。一度押し返された程度では諦めず、牙や爪を振りかざして襲い掛かってきた。中には炎の吐息や氷の鱗など、妖術めいた力を宿す魔獣もおり、封印されていたのも至極当然と思わせる様相だった。
「とうっ!」
『ギャォッ?!』
しかし芽衣には魔獣どもにはない知恵と技術がある。冷静に敵の攻撃を見切って躱し、反撃のなぎ払いで足を潰す。偃月刀の間合いの内側まで来た輩には、功夫を積んだ足技で爪牙をへし折る。どのような距離でも彼女の「神羊拳」に死角はなく、多勢を相手にまったく引けを取らなかった。
「覚悟せよ!」
『ゴギャァッ!!!?』
まさに獅子奮迅の戦いぶりで、弱った敵に偃月刀を突き立てる芽衣。心の臓を串刺しにされた魔獣はひときわ大きな咆哮を上げて、ぐったりと動かなくなった。その亡骸を彼女はぶんぶんと矛先に刺したまま振り回して、南蛮門のほうに投げつける。
「引き返すなら、今のうちじゃ!」
どうと音を立てて落下した亡骸は、すでに倒された他の魔獣どもと同じ場所に積み重なり、門を塞ぐ遮蔽物となる。
同時に、その多数の骸はこれから門をくぐろうとする魔獣に大きな威圧感を与えるだろう。先に進みたくば命を落とす覚悟をせよと、獬豸の瑞獣が発する気迫は並々ならぬものであった――。
大成功
🔵🔵🔵
儀水・芽亜
現れましたか、南蛮門。まだ南蛮王が現れていないだけ幸いです。
とにかく、本格的に動き出す前に、南蛮王たちを抑え込みましょう。
「楽器演奏」「歌唱」「全力魔法」深睡眠の「属性攻撃」「範囲攻撃」「マヒ攻撃」で、ヒュプノヴォイス。
どれだけ強大な存在でも、眠りに就いてしまえば脅威たり得ません。
起きないように深く眠らせました。今のうちに寝転ぶ南蛮王たちの間をすり抜けて、南蛮仙界の奥へと進みます。
私が前進するにつれてヒュプノヴォイスの範囲も奥へ移動していきますから、行く手には眠れる南蛮王たちが群れをなしているはず。
韓信大将軍はいずこでしょうか? 私はこんな怪しげな場所には長居したくないのですが。
「現れましたか、南蛮門。まだ南蛮王が現れていないだけ幸いです」
目前で渦巻く巨大な異次元への「門」を、芽亜はじっと睨みつける。すでに南蛮門は開かれてしまったが、魔獣どもの全てがこちらに出てきた訳では無い。取り返しの付かない事態になる前に阻止できるかは、まさに今ここが正念場と言えるだろう。
「とにかく、本格的に動き出す前に、南蛮王たちを抑え込みましょう」
門の向こう側より続々と現れる魔獣の群れ。奴らこそ三国志の伝説に語られる「南蛮王」たちだ。あれを1体1体倒すのは骨が折れるどころの話ではないが――武勇だけが敵を制する術ではない。この状況で彼女が身に着けたものは、首掛け式の蒸気機関式スピーカー、アリアデバイス『ムジカ・マキナ』だった。
「さあ、眠りの幕に包まれ、意識を手放しましょう。甘美な微睡みの縁ほど魅惑的なものはこの世にありません」
開幕の挨拶とともに、芽亜は【ヒュプノヴォイス】を発動。デバイスによって拡散される大音量を戦場に響かせる。
これを聞いた魔獣たちは、たちまち深い眠りへと誘われ、足が止まる。眠気に抗おうにも耐えられないほどの強烈な睡魔が襲い掛かってきた。
「どれだけ強大な存在でも、眠りに就いてしまえば脅威たり得ません」
『グ……ウゥ……Zzz……』
このユーベルコードは可聴範囲にいる敵や反響物が多いほど威力が上昇するため、今回のように大軍を相手取る状況ではもっとも有効となる。やがて南蛮王は彼女の周りで続々と膝を屈すると、ぐうぐうといびきをかいて眠りこけた。
(起きないように深く眠らせました)
今にうちに芽亜は寝転ぶ南蛮王たちの間をすり抜けて、南蛮仙界の奥へと進む。アリアデバイスの機能はオンにしたままなので、彼女が前進するにつれて【ヒュプノヴォイス】の範囲も移動していく。つまり、まだ門の奥で控えていた南蛮王も眠りの対象となるのだ。
『オォォ……グゥ』『ウガァ……Zzz』
侵入者に気付いて襲ってきた連中も、彼女のもとに近付くと猫のように熟睡する。極めて強靭な肉体と旺盛な生命力を持つ南蛮王も、こうした搦め手には弱いようだ。だからこそ、かの諸葛孔明も討伐ではなく知略をもって彼らを封印することを選んだのかもしれない。
「韓信大将軍はいずこでしょうか? 私はこんな怪しげな場所には長居したくないのですが」
此度の騒乱の元凶を探して南蛮仙界を進む、芽亜の行く手には眠れる南蛮王が群れをなしている。今のところ目を覚ます気配はないものの、【ヒュプノヴォイス】の睡眠状態が永続するものではないことは彼女自身よく把握していた。
一刻も早く事件を解決し、さっさと人界に帰還するために、彼女はしっかりと武器を握りしめ、眠りの歌を響かせたまま、敵将・韓信の元に迫るのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
山吹・慧
これはまた凄まじい軍勢ですね……。
これほどの魔獣の群れを見るのは初めてかもしれません……。
ですが、相手があの三国志の南蛮王達とあれば胸が熱くなるのも事実。
この一戦も糧となるでしょう。
エンジェリックウィングの光の【羽を飛ばす】事で
敵群の注意をこちらに引き付けていきます。
敵の攻撃は【残像】による【フェイント】で攪乱して【集中力】で回避。
回避困難な攻撃は【ジャストガード】からの【受け流し】で対応。
そして敵が集まってきたところで【震脚】を放って
まとめて【吹き飛ばし】、そのまま【功夫】と
【グラップル】による近接攻撃で一気に押し込んでいきましょう。
「これはまた凄まじい軍勢ですね……。これほどの魔獣の群れを見るのは初めてかもしれません……」
南蛮門より現れる「南蛮王」の軍勢を目にして、感心したように呟いたのは慧。彼の故郷にも妖獣というゴーストがいたが、それともまた異質な風格を感じる、1体1体が尋常ならざる獣。油断すれば喰われるという緊張感を感じる。
「ですが、相手があの三国志の南蛮王達とあれば胸が熱くなるのも事実。この一戦も糧となるでしょう」
演義で語られる内容とは大分異なるようだが、それでも貴重な手合わせの機会には違いあるまい。危難もまた自らの変えるべく、彼はエンジェリックウイングを広げて羽を飛ばす。すると、光の羽に気付いた敵軍はすぐさま彼のもとに押し寄せてきた。
『ウオオォォォオオォォォ―――!!!』
獰猛極まる咆哮とともに、牙を剥く南蛮王の群れ。その生態は全身が凶器同然であり、荒々しい殺意に満ちている。
慧は光の翼から残像によるフェイントをかけ、敵の狙いが定まらないように撹乱しながら飛び回る。南蛮王のほうが体躯で勝る分、速度と機敏さではこちらに分がある。
(それでも、油断はできませんね)
回避に集中力を切らしてはいけない。避けきれない攻撃は長剣でガードし、最小限のダメージで受け流す。人狼騎士団で鍛えた技と、練り上げた功夫の見せ所だ。一秒一瞬ごとに訪れる死線を潜り抜け、多勢の敵にも見事に対応する。
「そろそろですね……」
回避と防御に徹しながら、慧は南蛮王たちが自分の元に集まってくるように仕向けていた。そして完全に獣の群れに取り囲まれる寸前、空から降り立つと力強く地面を踏みしめる。中国武術などでよく見られる【震脚】の動作――だが玄武拳士にして宿星武侠である彼が行うそれは、空間まで震撼するほどの衝撃波を放つ。
「爆ぜてください」
『グ、ウオオォッ?!!!』
まんまと誘き寄せられた魔獣の群れが、まとめて南蛮門の方角に吹き飛ばされていく。彼らが体勢を立て直す間もなく、慧はそのまま功夫とグラップルによる近接攻撃を仕掛けた。全身に闘気を漲らせ、発剄手袋「浄黒」を装着した彼もまた、五体全てが武器と呼ぶにふさわしい猛者だ。
「このまま一気に押し込んでいきましょう」
掌底とともに放たれる浄化の波動や、闘気で強化された打撃や投げ技が、巨大な魔獣を門の奥へと追いやっていく。
その武練は三国時代やそれ以前の、封神武侠界の名だたる武将や武術家にも見劣りしないだろう。かの南蛮王の軍勢を相手取って一歩も退かないのだから。
『グオッ、グガァァッ!!!』
南蛮仙界に押し戻された魔獣どもは明らかに不満げな様子で吠えるが、この「門番」を越えられる者はなかなかいない。南蛮王による人界蹂躙の危機は今のところ完全に押さえ込まれており、戦いは猟兵優勢のまま推移していた――。
大成功
🔵🔵🔵
黒城・魅夜
史実に則れば|七縦七擒《しちしょうしちきん》と言うところなのでしょうが
私は諸葛公のように慈悲深くはありません
私に牙を剥き爪を立てようとしたものはことごとく血の海に沈むのみ
結界を張りオーラを使って光を乱反射させ
敵の目をくらませると同時に私の姿を残像として無数に投影
さらに誘惑の呪詛を振り撒き獣どもを虚像に誘います
相手は獣、嗅覚にも優れているでしょうが
匂いを消すのではなくその逆
我が身を切り裂き血を噴出して戦場全体を覆う霧と化せば
血の匂いで塗り込められた戦場から私の本体を判別はできないでしょう
さて、もう5秒が経過しましたね
滅びの時です
山のような獣どもの死体そのものが門とやらをふさぐ堰となるでしょう
「史実に則れば|七縦七擒《しちしょうしちきん》と言うところなのでしょうが、私は諸葛公のように慈悲深くはありません」
三国時代の逸話に曰く、諸葛孔明は戦で捕らえた将を七度まで逃がし、度量を示すことで完全に心服させたという。
だが魅夜にそんな真似をする気は無かったし、また出来るはずもないほど事態は逼迫している。南蛮門より溢れ出んとする大量の魔獣を、一匹一匹捕らえては服従させる暇などあるものか。
『ガオオオオォォォッ!!!』
対する「南蛮王」のほうも、説得はおろか話が通じそうな気配すら皆無である。演義で描かれた武将像とは異なり、獰猛な獣そのものである彼らは、門を開け放った韓信の意を汲むまでもなく、暴威を以って人界を蹂躙する気だった。
「来なさい、獣ども」
魅夜は周囲に結界を張り、オーラを使って光を乱反射させ、敵の目をくらませると同時に自分の姿を残像として無数に投影する。さらに誘惑の呪詛を振り撒けば、南蛮王たちの目は彼女の姿に釘付けとなるだろう。獣の唸り声がより一層大きくなった。
『ウオオォォォオオォォォーーー!!』
孟獲、木鹿大王、兀突骨といった名だたる王と同格の魔獣の群れ。これを正攻法で全滅させるのは猟兵でも骨が折れるだろう。しかし彼女は優雅な笑みを浮かべたまま――南蛮王の爪牙にかかる前に、自らの武器で身体を切り裂いた。
(相手は獣、嗅覚にも優れているでしょうが、匂いを消すのではなくその逆)
鎖を時計回りに舞わして嵐を巻き起こし、我が身から噴出する血を霧状に広げれば、血の匂いで塗り込められた戦場から魅夜の本体を判別するのは極めて難しくなる。血霧の中に浮か虚像はどれも、誘うように妖しく微笑んでいた。
『グオォッ……ォオ?』『グルルッ……?』
南蛮王たちは目についた虚像に噛み付いては、手応えのなさに困惑する。視覚と嗅覚のふたつを封じられていては、やはりまともな索敵はできないようだ。しかし血や虚像自体に敵を害する効果はなく、この状況はあくまで時間稼ぎにしかならないはずだが――。
「さて、もう5秒が経過しましたね。滅びの時です」
血の霧を散布した時から、魅夜はすでに【冥府に刻め時の針、残されし刻は呪いの証】を発動していた。それは小さな時計の針を模した呪詛の形をとって、痛みもなく敵の内部に潜り込む。そして5秒後の確実にして完全な滅亡を約束するのだ。
「数えよ汝が滅びの時を、悔い慄け残されし刻に」
『グ……ァ……!!?』
"時間切れ"となった南蛮王たちは前触れもなく突然死を迎え、その遺骸は南蛮門の前に遺される。山のような獣どもの死体は門を塞ぐ堰となり、後続の群れが人界に進出するのを阻む役割を果たすだろう。全てを思惑通りに運んだ悪夢の魔性は、霧と結界の中央から一歩も動かぬまま、その光景を眺めていた――。
大成功
🔵🔵🔵
凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と
これが南蛮門か
中からは今にも溢れかえりそうな
世界に終焉をもたらす質量と
その者達が発する鳴き声が
軍勢の気配が伝わってくる
だけどそれで怯んだりしない
「一刻も早く、って所だな。行こう」
時人に作戦を説明したら
【戦文字「重縛鎖」】を使用
戸口まで溢れてきている者たちを縛り上げ
戸口で詰まらせてそれ以上出させないように
「悪いが、大人しく順番待ちしてもらおうか」
このまま何もしなければ
後ろからの圧倒的質量で破られるだろう
だけど、俺には最高の相棒が居てくれる
押し返すのは相棒の仕事だ
「思いっきりやってくれ、時人」
重縛鎖を念入りに重ね掛けして
今度は韓信を倒す為に共に前へ
「あぁ、もうすぐだ」
葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と
これが溢れ出すとこの世界が終わる
はっきりそう分かる喚き声というか何かが
門前で不快な重奏轟音を響かせている
絶対に諦めはしないよ
陸井の立案に頷いて
「勝機は十二分!やろう!」
落ち着いて並び、南蛮王どもが
顔を出して来たところで
全力全開で白燐大拡散砲を詠唱
相棒が顔をだすモノらを縛ると同時に
俺のククルカンたちが門へ全速で突撃する
絶対外に出すものか!
裂帛の気合と高速・多重詠唱で可能な限り
連続で蟲の群れを送り出す
一匹一匹は小さいけど大群になると
「水銀宮殿もほぼ破壊出来たしね!」
怪我の心配はない
通常攻撃で倒せるものは倒し押し返しつつ
陸井とただ前へ
「また一つ越えて…韓信まであと一歩!」
「これが南蛮門か」
今、陸井の眼の前にある巨大な渦の中からは、今にも溢れかえりそうな世界に終焉をもたらす質量と、その者達が発する鳴き声が――軍勢の気配が伝わってくる。軍勢を構成するものの名は「南蛮王」、かの諸葛孔明が封じたという、恐るべき魔獣たちである。
「今にも決壊しそうな雰囲気だ」
これが溢れ出すとこの世界が終わる。はっきりそう分かる喚き声というか何かが、門前で不快な重奏轟音を響かせているのを時人も聞いた。それは決して大げさな表現でなく、門の向こう側にいる奴らが全てこちら側に来てしまえば、その蹂躙を止めることは誰にもできない。
「一刻も早く、って所だな。行こう」
「もちろん。絶対に諦めはしないよ」
未曾有の危機を前にしても二人は怯まず、逆に闘志と使命感を燃やした。ここで奴らを食い止め、元凶である韓信に刃を突き立てられる可能性があるのは自分たち猟兵だけなのだから。そのための力も、大軍に抗する策も立ててきた。
「……という訳だ。どうだ?」
「勝機は十二分! やろう!」
陸井が立案した作戦を説明すると、時人は即座に頷き、南蛮門の前に並び立つ。余分な緊張のない落ち着いた顔だ。
門の奥から発せられる威圧感はより大きくなり――ついに南蛮王どもが顔を出して来る。その瞬間、ふたりは同時にユーベルコードの詠唱を紡いだ。
『グオオォォォ……ォォオッ?!』
「悪いが、大人しく順番待ちしてもらおうか」
人界に踏み出さんとする南蛮王の足を止めたのは、陸井の【戦文字「重縛鎖」】だった。書道使いである彼の印した文字は分裂して戦場に広がってゆき、言霊の鎖となって敵を縛り上げる。まずは先頭の連中を戸口で詰まらせてしまえば、それ以上後から出てこれないだろう。
『グルルッ! ガァッ!!』『ウオオォッ!!』
とはいえ、いくら重縛鎖の戦文字が頑丈でも、このまま何もしなければ後ろからの圧倒的質量で破られるのは目に見えていた。獰猛なる南蛮王の軍勢に後退という考えはなく、ただ闇雲に暴れて束縛を引き千切らんとする。ただの蛮勇という言葉では片付けられない力が、それには伴っていた。
(だけど、俺には最高の相棒が居てくれる)
陸井は鎖の補強に専念しながら、その後の仕事を相棒に託す。彼の力ならば、南蛮王の軍勢も押し返せると信じて。
その信頼に応えるために、時人は全力でユーベルコードを紡ぐ。その詠唱に合わせて白燐蟲「ククルカン」の群れが大量に集まり、まるで天の川が地上に現出したような光景を作り上げた。
「思いっきりやってくれ、時人」
「ああ! ククルカン敵を討て!」
発動した【白燐大拡散砲】は白光の奔流となって、門前に縛られた南蛮王どもに全速で突撃する。その勢いは津波の如く、膨大な出力で敵軍を後退させる。呑み込まれた魔獣の『ウオオオォォォッ?!!』という驚きの叫びが、その中から聞こえてきた。
「絶対外に出すものか!」
時人は裂帛の気合で詠唱を練り続け、可能な限り連続で蟲の群れを送り出す。純白の毛に包まれた翼を羽ばたかせながら、小さな蛇型の蟲たちが南蛮王どもに牙を剥く。一匹一匹は小さくとも、大群になった時の威力は御覧の通りだ。昨年の殲神封神大戦においても、それは証明されている。
「水銀宮殿もほぼ破壊出来たしね!」
『グギャオオッ!』『ガアアッ!』
止まる気配のない白燐大拡散砲の放出を受け、一時は溢れかけていた魔獣の群れが門の向こうに押し返されていく。
それに合わせて、時人と陸井は前進する。敵軍が一歩後ろに下がれば彼らは一歩前に。二歩下がれば二歩前に。この調子で南蛮王を解放した韓信の元まで、逆侵攻をかけるつもりだ。
『グ、グオオォォォォォ……ッ!!』
「悪いが、お前達には何もさせない」
白燐蟲の奔流に抗い逆襲しようとする南蛮王に、陸井は重縛鎖を念入りに重ね掛けする。押し返しの役を相棒に任せた以上、拘束の仕事を怠るつもりはない。今だ魔獣どもと彼らの間には距離があり、爪牙の間合いには届かなかった。
「お前達の居場所に戻れ!」
『ウガァァァァ―――ッ!!!』
怪我の心配をせずにいられる分、時人は攻撃に全霊を注ぐ。蟲の攻撃で倒せるものは倒しつつ、白燐大拡散砲で死骸ごと敵軍を押し流す。断末魔の絶叫と共に奴らの気配は遠ざかってゆき、やがて完全に門の向こうに見えなくなった。仮にまた白光の河を越えて戻ってこようとも、戦文字で封じられた門はそうそう簡単に破れまい。
「また一つ越えて……韓信まであと一歩!」
「あぁ、もうすぐだ」
南蛮王の押し返しに成功したふたりは、その足で門を抜け南蛮仙界へ。魔獣どもの封印地であるこの空間の最奥に、かの韓信大将軍がいるのだ。門前で戦った自称劉備や南蛮王よりもさらに強大な敵の予感に、なおさら心が奮い立つ。
陸井と時人は互いの顔を見合わせ、頷きあう。互いの気持ちを察するにはそれだけで十分だった。いざ此度の元凶を討つために、彼らはただ前へ、前へとひた走る――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ブリュンヒルデ・ブラウアメル
では『純粋生命力』を素材とした『生命武器』を城壁都市として作り上げ、南蛮王を食い止めていくぞ
しかし、何という魔獣だろうか……エンドブレイカー世界でも、ここまでの魔獣は中々見ないぞ
それが群れを成して世界に広がろうとしているのか……なんという『|悲劇の終焉《エンディング》』だ
ならばいいだろう、我が蒼翼にかけて――その終焉を打ち砕く!
スカートの裏地から取り出したサイキ・紫電の銃器を構え、無限成長の紫電を放射
痺れさせた後に再び『生命武器』を作成し南蛮王を南蛮門の向こうへと押し返していくぞ
「では、南蛮王を食い止めていくぞ」
そう言ってブリュンヒルデはおもむろに南蛮門の手前に立つと、【蒼翼の終焉破壊・純粋なる生命の力たる武装】を発動し、純粋な生命力を素材とした『生命武器』を創造し、それを組み合わせることで即席の城壁都市を作り上げる。ユーベルコードによる急拵えとはいえ、その堅固さは並の石壁を上回る。
『ウオオオォォォーーーッ!!!』
その城壁に押し寄せるのは、南蛮門より溢れ出た魔獣の群れだ。彼ら「南蛮王」もまた尋常ならざる生命力と屈強な肉体を誇る怪物であり、純粋な膂力と爪牙の鋭さで城壁を削る。即座に崩れることはなかったものの、その衝撃は都市を揺らすほどのものだった。
「しかし、何という魔獣だろうか……エンドブレイカー世界でも、ここまでの魔獣は中々見ないぞ」
城壁都市の頂点に立ち、戦況を睥睨するブリュンヒルデも、この南蛮王たちの蛮勇ぶりには驚嘆を禁じえなかった。
彼女の故郷は都市国家の外に一歩出れば、数多のモンスターが跋扈する危険な世界でもある。それを基準にしても、南蛮王の強大さは並々ならぬものだ。
「それが群れを成して世界に広がろうとしているのか……なんという『|悲劇の終焉《エンディング》』だ」
エンドブレイカーとしてのブリュンヒルデの直感は、この魔獣の群れが南蛮門より人界全土に広がり、国と民を蹂躙する未来をはっきりと"視て"いた。これは1つの地方や国家に留まるものではない。封神武侠界そのものの存亡に関わる危機だ。
「ならばいいだろう、我が蒼翼にかけて――その終焉を打ち砕く!」
悲劇のエンディングを目にすれば、挑まずにはいられぬのがエンドブレイカーの性。ブリュンヒルデは勇ましくスカートを翻し、その裏地から「サイキ・紫電の銃器」を取り出した。この魔銃が放つ紫電は、無限に成長を続けながら敵を討つのだ。
「食らえ!」
『グオオォォォッ!!?』
轟音と共に放射された紫電が、城門を攻める南蛮王どもに降り注ぐ。最初のうちは大したことがなくとも、無限成長する電流はやがて頑強な魔獣をも痺れさせる威力となる。諦めという言葉を知らぬエンドブレイカーには、相性最高の武器と言えるだろう。
「今だ!」
南蛮王の動きが痺れて止まれば、ブリュンヒルデは再び『生命武器』を作成し、敵を門の向こうへ押し返していく。
敵軍が1メートル後ろに下がれば、彼女はその1メートルぶん新たな城壁を築く。徐々にではあるが確実に、魔獣どもは後退を余儀なくされていた。
『グウウウゥゥゥ……!』
不満げな唸り声を上げる南蛮王。彼らの視線は城壁に立つブリュンヒルデに向けられるが、彼女は決して怯まない。
凛々しく、堂々と、勇敢に。蒼き翼を以て終焉を破壊するブラウグラムの元首は、断固として自らの防衛線を譲りはしなかった――。
大成功
🔵🔵🔵
劉・涼鈴
むぉー!! 怪獣がいっぱいだ!!
南蛮! 殲神封神大戦に出てきた兀突骨のいたトコだね! なんでか神農と合体してたけど!
すげーつよいやつ! でも知ってるぞ! 南蛮の藤甲軍は火に弱いんだ! 諸葛亮が言ってた!!
気功爆裂! 【気功法】で身体を巡る【覇気】が燃え盛る!!!
極まった【功夫】の体捌き(軽業)で怪獣の懐に潜り込んで、【気合い】を入れたフルパワーの【劉家奥義・祝融禍焔掌】!!!!
闘気の炎が藤甲の身体を焼き尽くす!!
炎は燃え広がって次々に怪獣を襲うぞ!!
怯んだところを【怪力】でぶん殴ってぶっ飛ばす!!!
どりゃああああああ!!!
「むぉー!! 怪獣がいっぱいだ!!」
番人を撃破して南蛮門の前までやって来た涼鈴が目にしたのは、門の向こうから出てくる大量の魔獣の群れだった。
どれも人界の獣とは異質にして異形。相対するだけで感じる凄まじい気迫と殺気。これぞ南蛮仙界に封じられていた「南蛮王」である。
「南蛮! 殲神封神大戦に出てきた兀突骨のいたトコだね! なんでか神農と合体してたけど!」
昨年頭にあった戦争の記憶が蘇る。あの時の「兀突骨」の力はどこまでが本来のものだったか判断が難しいが、極めて強大な魔獣には違いなかった。今、目の前にいる魔獣たちが全てあれと同格だと言うなら――油断してはいけない。
「すげーつよいやつ! でも知ってるぞ! 南蛮の藤甲軍は火に弱いんだ! 諸葛亮が言ってた!!」
それは涼鈴が以前、三国志に関する書籍から得た知識。或いはそれは、かつて南蛮王を南蛮界に封じた諸葛孔明が、いつか封印が解かれた時に備えて遺したヒントだったのかもしれない。なるほど確かに、魔獣どもの中には藤の蔓で編んだ鎧のようなものを纏っている者もいる。
「気功爆裂!」
涼鈴が気合を入れると、身体を巡る覇気が炎のように燃え上がる。彼女はそれを纏ったまま爆発的な速度で南蛮王の群れに突っ込んでいく。この若さで凄まじい気と、それを制御する気功法の練度だ。敵軍の強さを理解していながら、まったく臆していない。
『ガオオオオッ!!!』
自ら近寄ってきた小さな獲物に、南蛮王どもは容赦なく牙を剥く。その体躯と膂力から繰り出される攻撃は小娘一匹を踏み潰すなど造作もないと見られたが――涼鈴は極まった功夫の体捌きで軽やかに身を躱し、敵の懐に潜り込んだ。
「劉家奥義・祝融禍焔掌!!!!」
そこから叩き込むのは気合いを入れたフルパワーの一撃。闘気充溢した掌打が南蛮王の巨体を突き上げた瞬間、放たれた闘気が真っ赤な炎となって藤甲の身体を焼き焦がす。これぞ敵手を内側から爆破する、劉家に伝わる絶技である。
「燃え尽きろ!」
『グギャオオオォォォォォッ!!!?!』
伝承通り炎に弱かった南蛮王はたちまち全身燃え上がり、最後は爆発四散して絶命する。それだけに留まらず、戦場に飛び散った火は燃え広がって次々に他の魔獣を襲う。これほどの規模の火計となれば、もはや砂を浴びせたくらいでは鎮火できまい。
『ウオオッ?!』『ガアァッ!!』
魔獣と言えども火を忌避する性質は変わらぬのか、炎に巻かれた南蛮王の叫びがあちこちで上がる。軍勢そのものが浮き足立ち、進撃が止まったところを見逃さず、涼鈴は片端からぶん殴って、南蛮門の向こう側へぶっ飛ばしていく。
「どりゃああああああ!!!」
『ゴギャッ!?』『グガァッ!!』『ギャウッ?!』
雄叫びを上げ、炎の覇気を纏って暴れまわる涼鈴は、今この場においてもっとも強大なる「小さな怪獣」であった。
その勇猛さの前に南蛮王の軍勢は後退を余儀なくされ、やがて炎から逃げるように南蛮仙界へと撤退していく。伝説の魔獣どもによる人界蹂躙の危機は、かくして阻止されたのである――。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『韓信大将軍』
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POW : 楽浪郡勇士集結
レベル×1体の【神器で武装した楽浪郡の勇士(異世界人)】を召喚する。[神器で武装した楽浪郡の勇士(異世界人)]は【他世界】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD : 南蛮魔獣集結
自身の【召喚した、南蛮界の魔獣の軍勢】に【背水の陣】を宿し、攻撃力と吹き飛ばし力を最大9倍まで強化する(敗北や死の危機に比例する)。
WIZ : 三国武将集結
【偉大なる三国時代の武将達】の霊を召喚する。これは【生前に得意とした武器】や【韓信大将軍に与えられた『神器』】で攻撃する能力を持つ。
イラスト:瑞木いとせ
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
南蛮門より溢れ出んとした「南蛮王」の群れを押し返した猟兵達は、そのまま門をくぐり南蛮仙界内部に突入する。
ここも仙界の一種ではあるのだろうが、通常とは異なる気で満ちた空間。その最深部にて待ち受けるのは、虎の群れに囲まれた一人の武将だった。
「来たか、猟兵よ! 策を練り、兵を配したが、やはり相まみえる事になると思っていたぞ!」
この武将こそ、封神武侠界の歴史にその名を轟かせる『韓信大将軍』。
卓越した軍才から「国士無双」の異名で称えられ、また恐れられた稀代の名将。それが今、猟兵達の眼の前にいる。
「我が天運、すでに尽きたり。されど、最期の目論見だけは果たさせてもらおう」
オブリビオンとなって主君とすべき英傑を探しながらも、ついに見出すことの叶わなかった韓信。
彼はすでに、ここで猟兵に討たれる覚悟を決めている。だが、その前に『封人台』だけは他世界へ飛ばすつもりだ。
全ての人仙を封印するという究極神器が、もし何処ぞのオブリビオン・フォーミュラの手に渡れば、今回以上の大事件を引き起こすだろう。
「征け、虎よ。封人台の転送儀式が完了するまで、あと暫くの時を稼ぐのだ」
韓信が号令を発すると、虎の大軍勢が彼の意に従って動き出す。
獰猛な野生の獣でさえ、彼の軍才にかかれば兵として手足の如く動かせる。そしてオブリビオン化した虎の精強さは速度・膂力どれを取っても並みの武将以上だ。
韓信はこの他にも数々の配下を召喚し、神器を授けて先制攻撃を仕掛けてくる。
その軍略の先手を取ることはまず不可能であり、また彼自身の武才も侮れるものではない。
国士無双の名にふさわしい、封神武侠界屈指の強敵だ。
だが、それでも。ここで負けられぬ理由が猟兵達にはある。
「さあ、死合おうぞ! 貴公らの武勇をもって、見事この韓信の首、討ち取ってみせよ!」
南蛮門より始まった人界の命運を巡る戦いは、ここにクライマックスを迎え――決戦の火蓋が切って落とされた。
山吹・慧
なるほど、これはまさに戦争ですね。
まさかあの韓信大将軍と戦争をする事になるとは……。
わからないものですね。
さすがにこれ程の軍勢はまともに相手などできませんね。
向かってくる敵群に炸裂弾をばら撒いて、
爆発と光による【目潰し】で混乱を誘いましょう。
そして、その混乱に乗じてブラッククロークの
【迷彩】による姿隠しで敵陣をすり抜けていきます。
それでも寄ってくる敵は【グラップル】で捕まえて、
敵が密集している箇所にブン投げて【吹き飛ばし】てやります。
韓信がこちらの射程に入ったならば【宿星天剣戟】で
敵群を飛び越えて【残像】で攪乱してから
【リミッター解除】した攻撃を放ちましょう。
「なるほど、これはまさに戦争ですね」
眼前に対峙する1人の武将、そして彼の周りに展開された虎の大群を見て、慧は感嘆を込めて呟いた。ただ群れで蹂躙するだけの南蛮王たちとは異なり、統率の取れた集団は正しく軍団であり、戦争と呼ぶにふさわしい規模であった。
「まさかあの韓信大将軍と戦争をする事になるとは……。わからないものですね」
オブリビオンとはいえ相手は中国史上に名高き名将。それと知勇を尽くして戦うことになるとは、若い頃の自分には流石に想像できなかっただろう。負けられぬ戦いとは理解していても、一人の武人として心が熱くなるのは否めない。
「いざ往かん、我が南蛮軍よ!」
韓信は虎の群れに【南蛮魔獣集結】により召喚した南蛮界の魔獣を加えて、総攻撃を開始される。彼らにとって本拠地である南蛮仙界にまで猟兵の侵入を許した、この状況はまさに背水の陣。どこにも退路がないと分かっているがゆえに、士気も闘争心も旺盛であった。
「さすがにこれ程の軍勢はまともに相手などできませんね」
先程の南蛮王の群れとは明らかに動きが違う。将の有無の違いを見せつけられた慧は、搦め手による突破を図った。
外套のポケットから取り出し、敵軍に向かってばら撒くのは炸裂弾。その爆発音と閃光は、鋭敏な獣の五感を惑わすのに最適だろう。
『ギャッ!!?』
激しい光に目を眩まされ、爆音で鼓膜を潰された魔獣どもは、にわかに悲鳴を上げて動揺する。その混乱に乗じて、慧は「ブラック・クローク」に施された姿隠しの魔術を頼りに、敵陣の内部に潜りこんだ。息を潜めて気配を殺せば、この外套の迷彩を見破れる者はそうはいない。
「ここは通して貰いましょう」
『ガルゥッ?!』『オォォ……ギャッ?!』
それでも脇を通ろうとすれば気がつく敵もいるが、そいつらは彼のグラップルの餌食だ。異能の域にまで高められた武術は、人よりも遥かに大きな獣を捕まえて投げ飛ばすこともできるのだ。無造作にブン投げられた虎は味方が密集している箇所に落下し、ボウリングの球とピンがぶつかって弾けるように混乱を拡大させた。
「韓信大将軍、お覚悟」
「突破されたか。それでこそだ!」
かくして敵将を射程に捉える所まで来れば、慧は隠密を解除して【宿星天剣戟】を発動。エンジェリックウィングで獣の群れを飛び越え、宿星剣を抜いてこちらに向かってくる武侠の青年を、韓信も全力で迎え撃つべく大剣を構えた。
「全力で参ります」
「ほう、疾いな……!」
ユーベルコードによる飛翔と加速は、幾つもの残像を生じて敵を撹乱する。ほんの一瞬でも韓信がそれに惑わされれば、慧は好機を逃さず接近する。心身のリミッターを外し、ただ全力で、かの名将の首を取ることだけを考えて――。
「そこです」
「ぐっ……見事!」
初太刀をあえて大剣に受けさせ、体勢崩れたところに二撃目を。慧の心技体全てを込めた連撃はしかと韓信を捉え、鎧の隙間から鮮血が散る。この時代にもまだこれほどの英傑がいたかと、かの大将軍は口元を笑みに歪めるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
儀水・芽亜
一頭の羊に率いられた百頭の狼の群は、一頭の狼に率いられた羊の群に敗れると言います。韓信大将軍が直卒する虎の軍勢となれば、どれほどの精強さでしょう。
ですが退くわけには参りません。この世界を守るため、討滅いたします。
まずは軍勢を押さえます。「歌唱」「範囲攻撃」「催眠術」「マヒ攻撃」で、虎と魔獣の混合軍を眠らせましょう。
十分に眠らせたら、「全力魔法」「結界術」深睡眠の「属性攻撃」「範囲攻撃」でサイコフィールド展開!
さあ、一騎打ちです、韓信大将軍!
裁断鋏で「武器受け」しつつ、「フェイント」を織り交ぜた「カウンター」で「部位破壊」。
しかし、真の名将は首から上が無事なら十分というもの。油断はいたしません。
「一頭の羊に率いられた百頭の狼の群は、一頭の狼に率いられた羊の群に敗れると言います。韓信大将軍が直卒する虎の軍勢となれば、どれほどの精強さでしょう」
今、目の前にいる大軍勢の脅威を、芽亜は正しく認識していた。先程戦った南蛮王の大群のほうが、まだ容易いように感じられる。戦争における将器の差とはそれほどまでに大きく、ましてや相手は軍略にかけては天下無双の名将だ。
「ですが退くわけには参りません。この世界を守るため、討滅いたします」
「そう、その意気だ。ここに来て怖気づくような輩に取れるほど、私の首も安くはないぞ!」
彼女の戦意が揺らがぬのを見た『韓信大将軍』は、痛快な笑みを浮かべて剣を掲げる。それが号令だったのだろう、【南蛮魔獣集結】により召喚された魔獣と虎の軍勢が、教練された精兵の如き統率で前進する。ここは彼らにとっての背水の陣――退路なき軍勢は平時の何倍もの力を発揮するのだ。
「まずは軍勢を押さえます」
この虎と魔獣の混合軍に対抗するために、芽亜は今一度音楽とナイトメアの力に頼る。南蛮門より溢れた魔獣どもも眠らせた、魔性の歌唱――インカムとアリアデバイスの出力を最大にすれば、この規模の軍勢にも歌声を届けられる。
「さあ、沈みなさい、穏やかな夢の世界に」
『ゥ……ガゥ……』『グゥ……Zzz……』
武勇においては猛将に匹敵する獣も、やはり精神的な攻撃には弱かったか。彼女に近付いた者から1頭、また1頭とまどろみに誘われ、歩みが止まる。元々の士気が影響しているのか、先程に比べればずっと浅い眠りに過ぎないが――それでも術を使う猶予を得られれば十分だ。
「私の世界で勝手はさせません」
獣の軍勢を足止めした後、芽亜は戦場全体に【サイコフィールド】を展開。鴇色の陽炎を纏ったドーム状の結界で戦場全体を覆い、敵により強烈な睡魔をもたらす。このフィールドは夢の力を開放した彼女の領域であり、夢と現の境、あるいは混じり合う幻の如き空間であった。
「なんと、なんと! これほどの妖術は仙界でもなかなかお目にかかれぬぞ!」
韓信大将軍その人はまだしも、有象無象の虎や魔獣がこの睡魔に耐えられるはずがない。サイコフィールドの範囲内にいた軍勢は一匹残らず活動を停止し、立っている敵はただ1人のみとなる。自軍を無力化されてなお愉快げに笑う、この戦場における最強の将が。
「さあ、一騎打ちです、韓信大将軍!」
「受けて立とう、異世界の猟兵よ!」
堂々勝負を挑んだ能力者の女に、勇猛果敢に斬りかかる韓信。油断ならぬ敵と認めたからこそ小細工は一切抜きだ。
軍略家のみならず武将としても優れた彼の斬撃を、芽亜は裁断鋏『Gemeinde』の刃で受け止め、切り返す。通常の刀剣とは異なる武器形状を活かしたフェイントは、敵から見れば攻撃の予測が難しく。歴戦の猛者とて初見で無意識に対処することはできない。
「まずは腕ひとつ!」
「ぬうッ!!」
防御に思考を費やさせる刹那の隙を、彼女は見逃さなかった。じょきんと鋏の音が鳴り、韓信の腕から鮮血が散る。
腕甲ごと腱を断つほどの深い傷だ。まだ繋がってはいるが、その腕はもう満足には動かないだろう。戦闘力の低下は避けられぬはず。
「しかし、真の名将は首から上が無事なら十分というもの。油断はいたしません」
一度は上手くいったからといって、次も上手くいくとは限らない。完全に敵の生命を断つまで、芽亜は一瞬たりとも気を緩めまいとする。追撃をかけるよりも慎重に、再び防御とカウンターの構えを取る彼女を見て、韓信は笑った。
「汝のような英傑にそこまで警戒されるとは、悪いくない気分だ」
片手で大剣を構え直し、重心を下げる。傷の痛みなどおくびにも出さないが、決してダメージが無いわけではない。
国士無双の名将とて人の子なれば、再び骸の海に還せぬはずはない。腕より滴り落ちる血こそ、その証明だった――。
大成功
🔵🔵🔵
黒城・魅夜
見逃してほしいですか?
では私の股を四つん這いになってくぐってみたらどうです、ふふ
……本当にやろうとしたらセクハラとして滅ぼしますが
魔獣たちの攻撃力が増大しようとも当たらなければ意味はありません
範囲攻撃の結界に呪詛を満たし
空間自体を泥のように重くして動きを鈍化させ
併せて殺気により恐怖を与えて足を竦ませたところを
ロープワークで鎖を飛ばし獣たちを絡め取っていきましょう
残るは貴方だけです
衝撃波を撃ちつつ間合いを詰めUCを発動
世界そのものを歪め封人台を巻き込み
「存在しなかった」因果に取り込んで消去します
自らの野望が潰える様子を眺めつつ絶望のうちに滅びなさい
ふふ、匹夫の勇? それはあなた自身のことでしたね
「見逃してほしいですか? では私の股を四つん這いになってくぐってみたらどうです、ふふ」
「歴史に名を残すのも考えものだな。そんな話まで伝わっているとは」
若い頃、韓信は同郷の無頼漢に侮辱された時、剣を取るのではなく無言でその男の股をくぐったと言う。大志を抱く者は些細な恥辱を受けても耐え忍び、争いを避けるべきという故事だが――それをネタにして魅夜にからかわれると、当の本人は流石に苦笑を浮かべた。
「……本当にやろうとしたらセクハラとして滅ぼしますが」
「やらんよ。あの時とは事情が違う……我が大願成す時は今なのだから」
韓信はすでにここで死ぬ覚悟を決めている。後は、何処かにいる異世界のオブリビオン・フォーミュラに、究極神器『封人台』を託すのみ。たとえ天運尽きたるとも、国士無双と綽名された男が、己の命運を人の手に渡すはずがない。
「進め、我が南蛮軍! 封じられし汝らが、功を得し時は今ぞ!」
『オオオォォォォォォォッ!!!』
韓信の号令一下、【南蛮魔獣集結】により召喚された魔獣と虎の軍勢が進撃する。知能も言葉も持たぬ獣の群れでさえも、大将軍の軍才は意のままに従わせるのだ。配下の力を十全以上に発揮させる、この才覚こそ彼のもっとも恐ろしい力と言えた。
「魔獣たちの攻撃力が増大しようとも当たらなければ意味はありません」
背水の陣の覚悟で向かってくる南蛮魔獣軍に対して、魅夜は結界を張って迎え入れる。その内部は呪詛で満たされ、空気――いや、空間自体が泥のように重い。泥濘や水中に身を沈めた時のように、魔獣どもの動きは著しく鈍化した。
「貴方達も死に急ぐのですか?」
『グ、グルルッ……?!』
併せて魅夜が殺気を放つと、まるで蛇に睨まれた蛙の如く、魔獣どもの足が竦んだ。相手はいずれも獰猛な虎や南蛮の怪物ばかりだというのに、だ。動きを止められたのは一瞬の事とはいえ、真なる魔性が発する本気の殺意が、いかに凄まじいものかが分かる。
「大人しくしていなさい」
『グギャッ?!』『グルルッ!』
この隙に魅夜は「呪いと絆」の鎖を投げ縄のように飛ばし、結界内にいる魔獣を次々に絡め取っていく。南蛮門前の戦いと同じで、全ての敵にとどめを刺す必要はない。頭である大将さえ仕留めれば、そのカリスマで束ねられた軍勢は自然に瓦解するのだから。
「残るは貴方だけです」
「面白い!」
邪魔者の拘束を終えた魅夜は、直ちに大将に攻撃を仕掛ける。かざした手のひらから放たれる衝撃波は、韓信の振るう大剣によって打ち払われた。軍勢を率いるだけが能ではなく、個の武勇も並のオブリビオンとは比較にならないか。
「森羅万象我が意のままにひれ伏さん、悪夢の名のもとに滅びゆけ」
ならば魅夜は衝撃波を牽制にして距離を詰め、【舞い狂え悪夢、崩壊せよ世の理】を発動する。このユーベルコードは真の姿――概念存在に変化した自らの身体をもって万物事象を侵食し、世界そのものを歪める御業。その標的となったのは韓信と、彼の「大願」たる封人台であった。
「自らの野望が潰える様子を眺めつつ絶望のうちに滅びなさい」
「ぬぅッ……いかん!」
魅夜の狙いを察した韓信は始めて焦りを顔に見せ、咄嗟に封人台を吹き飛ばして遠ざける。だが、その代償に彼自身はユーベルコードの範囲から逃れられず、概念侵略による時空・物理法則・因果律の完全破壊に巻き込まれてしまう。
「ぐッ、おぉぉ……これは、なんと奇っ怪な……!!」
「ふふ、匹夫の勇? それはあなた自身のことでしたね」
まるで最初から「存在しなかった」ように、因果の歪みは韓信を消去せんとする。苦痛なき破滅の感覚に呻く彼を、魅夜は艶やかなる魔性の笑みで見下ろしていた。いかに国士無双と謳われた名将だろうと、彼女は自分達猟兵の勝利を微塵も疑っていなかった――。
大成功
🔵🔵🔵
ブリュンヒルデ・ブラウアメル
我が名はエンドブレイカーが一人、ブリュンヒルデ・ブラウアメル
貴様の齎す終焉を破壊する者だ
ブラウグラムの黒白の翼を起動し、先制攻撃を行う『時間軸』そのものを破却
更に包囲攻撃に対しては『サイキ・紫電の銃器』に黒白の翼を乗せ、時間軸を飛び越えた無限成長の紫電を放射して軍勢を壊滅させて対応
このまま、UC起動だ
いかなる南蛮王の群れであろうと、背水の陣を敷かれようとも――
それらによって紡がれる『|終焉《エンディング》』――未来を破壊する
エンドブレイカーの能力の本質をUCとしたUC、故に悲劇の終焉を齎す事象である限り、我を倒す事は出来ん!
そのままブラウグラムを振るい『韓信大将軍』を袈裟切りにする
「我が名はエンドブレイカーが一人、ブリュンヒルデ・ブラウアメル。貴様の齎す終焉を破壊する者だ」
中国史にその名を刻んだ大将軍を前に、ブリュンヒルデは自らも名乗りを上げる。眼前には無数の大軍勢が立ちはだかるが、瞳に宿る決意は濁らない。封神武侠界の破滅、封人台の転送――二つの悲劇のエンディングの元凶を破壊し、世に平穏を取り戻すのだ。
「終焉を破壊する者か。異世界には斯様な者もいるのだな!」
相手にとって不足なしと、韓信もまた意気揚々と自らの軍勢を動かす。【南蛮魔獣集結】により召喚した南蛮魔獣の群れに、猛虎の群れを加えた大軍だ。撤退を知らぬ背水の陣の覚悟をもって、彼らは主君の敵を撃滅せんと咆哮する。
「ブラウグラムよ、汝の力を……」
「その技は、我が臣下との戦いで見せて貰ったぞ!」
ブリュンヒルデはブラウグラムの黒白の翼を起動し、先制攻撃を行う『時間軸』そのものを破却せんとしたが、韓信はそれよりも先に伏兵を配置し、包囲を完了させていた。国士無双の軍略が相手では、時を操る異能をもってしても、機先を制することは難しい。
「流石だな……来い!」
『ウオォォォォッ!!』
そのまま包囲攻撃を仕掛けてくる南蛮魔獣と虎の軍勢を、ブリュンヒルデは「サイキ」で迎え撃つ。紫電の銃器に黒白の翼の力を乗せれば、放たれる弾丸は時間軸を飛び越えてあっという間に成長を遂げ――雷雲の只中に突っ込んだような紫電の放射が、敵軍を焼き焦がした。
「終焉を破壊せよ、我が蒼き翼! 我が終焉破壊の基礎を罪深き刃とする事を以て、その終焉に終焉を!」
そのままブリュンヒルデは【蒼翼の終焉破壊・終焉破壊の基礎たる我が瞳】を発動。エンドブレイカーの能力の本質である「|終焉《エンディング》」を破壊する力をユーベルコードに昇華させ、我が身に起こりうる全ての悲劇を予測し、回避する。
「いかなる南蛮王の群れであろうと、背水の陣を敷かれようとも――それらによって紡がれる『|終焉《エンディング》』――未来を破壊する。故に悲劇の終焉を齎す事象である限り、我を倒す事は出来ん!」
成長する紫電を超えてきた魔獣の牙を、疾風の如く飛びかかる虎の爪を、蒼翼のエンドブレイカーは尽く回避する。
此度の全ての終焉の元凶は、眼の前に。本能に衝き動かされるがまま軍の狭間を突破し、愛剣を手に戦場を駆ける。まるで彼女自身が、悲劇を断ち切るひと振りの剣であるように。
「今ここに、終焉を破壊する!」
「ッ……!!」
乾坤一擲の意志と共に振り下ろされたブラウグラムの蒼刃が、韓信を袈裟懸けに斬り伏せる。真っ赤な血飛沫が南蛮の大地を濡らし、堪えたうめき声が微かに漏れる。人界や仙界のみならず他世界にまで災厄をもたらさんとした、かの大将軍の|野望《エンディング》は、大きく崩れ始めていた。
大成功
🔵🔵🔵
劉・涼鈴
韓信! 最終決戦だ!!
虎の群れを前にしても呼吸は乱さない!
鍛え上げた【功夫】で方天戟を巧みに操り、次々に襲い来る爪牙を【受け流し】て、【カウンター】を叩き込む!
その間に召喚……三国時代の武将っつったらお前だよなぁ!!! 呂布!!!
お前をぶっ倒して!! 韓信もぶちのめして!!
私が! 真の!! 三國無双に!!! 天下無双になってやる!!!!
劉家に伝わる型と呼吸法――【劉家神髄・西王母呼吸法】!!
さらに【気合い】を入れて大人の姿に変身!!
行ッくぞぉおおおおおお!!!!
神器なんてチャチなオモチャ使ってないで、戟で勝負だ!!
【挑発】で武人としてのプライドを刺激して「神器を使えるけど使う気がしない」状態へ持ち込む!
それはもちろん、確実に勝つため――なんかじゃない!! 神器なんて不純物を除いた、真っ向勝負がしたいから!!
極まった【心眼】と勝負勘(野生の勘)で【見切り】、重い戟(重量攻撃)を【怪力】で軽々と振り回し、真っ向から激烈にぶちかまし合う!!
うおおおおお!! 私がァ!! 最強だぁああ!!!
「韓信! 最終決戦だ!!」
封神武侠界に乱を起こした元凶に、堂々と戦いを挑むのは涼鈴。その全身から迸る覇気は健在どころか勢いを増しており、南蛮王との戦いで見せた気功法の効果がまだ続いていると分かる。その気の練り込みようには韓信もほうと感心の声を上げたほどだった。
「強いな。戦でなければ手合わせ願ったかもしれん」
猟兵たちの強さを承知するからこそ、彼は軍略に一切手を抜かない。その一挙一動に合わせて虎の群れが手足の如く戦場を駆け、たちまち標的を包囲する。その一頭一頭が備える爪や牙は、そこいらの刀剣よりも遥かに鋭利で強靭だ。
「どこからでもかかってこい!」
獰猛な虎の群れを前にしても、涼鈴は呼吸を乱さない。鍛え上げた功夫で「覇王方天戟」を巧みに操り、次々に襲い来る爪牙を受け流し、斬る、突く、薙ぐのカウンターを叩き込んでいく。小柄な体躯に見合わぬ身体能力から繰り出される重量武器の攻撃は、どれも破壊力抜群だ。
「やはり獣の群れではどうにもならんな」
一騎当千の奮闘を見せつけられた韓信だが、その表情に動揺はない。彼が率いる軍団は猛獣のみに非ず、【三国武将集結】により召喚した偉大なる三国時代の武将たちの霊魂までもが彼には付き従う。その中の一人が、にやりと笑みを浮かべて前に進み出た。
「……三国時代の武将っつったらお前だよなぁ!!! 呂布!!!」
その容貌と武具を見れば、相手が何者かは一目で分かる。三国時代――いやさ中国史上において最強の武将の一人に挙げられる猛将、呂布。剛勇をもって後漢末期の乱世を駆けた稀代の豪傑を前にして、涼鈴は凄まじい大声で吼えた。
「お前をぶっ倒して!! 韓信もぶちのめして!! 私が! 真の!! 三國無双に!!! 天下無双になってやる!!!!」
今こそ劉家拳の力を、そして己の最強を天下に知らしめる時が来た。劉家に伝わる型と呼吸法により、少女は自らの気を極限にまで高め、全身に気合を漲らせる。すると彼女の肉体は急激に成長し、背丈も手足もすらりと伸びた大人の肢体へと変身を遂げた。
「行ッくぞぉおおおおおお!!!!」
その咆哮、獅子吼の如し。裂帛の気迫のみで虎の群れを怯ませ、涼鈴は一目散に戦場を駆ける。その瞳に映っている相手は呂布ただ一人――かの猛将は涼鈴の得物が自分と同じ「方天戟」だと知るや、面白そうに口の端を釣り上げた。
「神器なんてチャチなオモチャ使ってないで、戟で勝負だ!!」
『応とも』
韓信のユーベルコードで召喚された武将は、全員何らかの神器を与えられている。しかし、武人としてのプライドを刺激されては、それを使えても使う気はしないだろう。もちろん、涼鈴が呂布を挑発したのは確実に勝つためなどではない。神器という不純物を除いた、真っ向勝負がしたいからだ。
「ふぅぅぅ――!!」
『せいッ!!』
闘気の火花を散らしながら、涼鈴と呂布の戟が激突する。大人への成長分を含めてもなお、体格では呂布が勝るが、涼鈴には【劉家神髄・西王母呼吸法】により極まった心眼と勝負勘がある。ここ一番の大勝負にあたって研ぎ澄まされた彼女の武のセンスは、かの豪傑の技を見切り、互角に打ち合っていた。
『なかなかやる……!』
「まだまだァ!!」
人間離れした怪力で重い戟を軽々と振り回し、真っ向から激烈にぶちかまし合う両者。この戦いに割って入れる者は誰もいない。あの韓信ですら黙って見守ることしかできなかった。世界の命運すらも今この時間だけは関係ない、純粋なる武と武の激突が、ここにある。
「うおおおおお!!」
何十合、何百合、刃を交わしただろうか。永遠のようであり、あるいは一瞬のようにも感じられる戦いの中、涼鈴はついに勝機を直感した。考えるのではなく、ただ心が感じたままに戟を振るう。己の功夫と気功の全てを――全身全霊を籠めて。
「私がァ!! 最強だぁああ!!!」
乾坤一擲の咆哮とともに放たれたその一撃は、かの業物「方天画戟」もろとも、呂布の首を真っ二つに叩き斬った。
落ちていく首が笑っている。まるで「次は負けん」と言うように、不敵に。三國無双の男に正面から勝利を収めた少女は、次の瞬間にはもう新たな敵に向かって走り出している。
「韓信、覚悟ォッ!!」
「これは、想像以上か……!」
豪傑の血で濡れた覇王方天戟が弧を描き、真紅の光が閃く。勇壮なる"最強"の一撃を受けたのは国士無双――韓信。
感嘆と驚嘆、ふたつの意味を込めた言葉が彼の口から溢れ、一拍遅れて鮮血が噴き出す。熾烈を極めし南蛮仙界での戦いも、いよいよ終わりの足音が聞こえ始めていた――。
大成功
🔵🔵🔵
皐・芽衣
国士無双。相手にとって不足なしじゃ。
その目論見ごと、打ち砕いてみせようかの!
きっと、良いやり方は沢山あるんじゃろうが……
計略は他の者に任せて、わしはわしの出来ることをしようかの。
正面突破じゃ!【神羊拳・器械套路『雷霆万鈞』】、
先手を取ったくらいで止められるかの?
偃月刀をぶん回しなぎ払い、宝貝から電撃を飛ばしつつ、ダッシュ。
虎どもの相手を一々している暇はない。
範囲攻撃の電撃でマヒした虎を[見切り]、マヒの隙に背を踏み走る。
攻撃できぬようにしてしまえば、虎の群れも敷物と変わらんな!
[地形の利用]や軽功での[空中機動]を交えつつ、
最短ルートを[見切り]韓信大将軍の元へ[切り込み]。
我こそは皐・芽衣!参る!
[雷霆万鈞]は一騎打ちこそが本領。
打ち合いの最中でも、距離を取っても電撃のタイミングは自在じゃ。
マヒさせ動きを止め、偃月刀で討ち取ってくれる。
虎どもも、近づいてくるなら電撃の範囲攻撃でマヒさせてやろう。
この戦いには割り込ませんぞ。
恐ろしい策じゃったが、また見事な腕じゃったが、ここまでじゃ!
「国士無双。相手にとって不足なしじゃ」
封神分教会の歴史に名を刻んだ英傑のことは、無論芽衣もよく知っている。漢王朝の祖、劉邦の下で辣腕を振るい、数々の戦果を打ち立てて天下統一への道を切り拓いた男は、新たに仕えるべき主君を見いだせず、この人界に大乱と、後々の禍根を遺そうとしている。
「その目論見ごと、打ち砕いてみせようかの!」
「さて、そう安々と打ち破られはせぬぞ。私もこの一戦に賭けているのでな!」
堂々と気炎を上げる芽衣に対して、韓信は笑いながら配下を指揮する。獰猛な虎の大群に加えて【南蛮魔獣集結】により召喚された魔獣の軍勢が、雄叫びを上げて動き出す。ただの獣の群れとは思えない統率をもって、猟兵を包囲殲滅する腹積もりだ。
「きっと、良いやり方は沢山あるんじゃろうが……計略は他の者に任せて、わしはわしの出来ることをしようかの」
四方八方から迫る大軍を見回しながら、芽衣は偃月刀「鉅角」を構える。知恵を巡らせ策を弄しても、その方面で自分があの韓信に敵うとは思っていない。であればここで成す事は単純明快――「正面突破じゃ!」と勇ましく吼えて、獬豸の瑞獣は走りだした。
「神羊拳・器械套路『雷霆万鈞』、先手を取ったくらいで止められるかの?」
『グギャオッ?!』『ガルルッ!?』
南蛮王を相手取った時と同じように、小柄な体躯で豪快に偃月刀をぶん回し、宝貝「雷公羊毛」から電撃を飛ばす。
武術と宝貝の力を組み合わせた【雷霆万鈞】という彼女の独自技能だ。弦月の軌跡がなぎ払った獣どもに、金の稲妻が浴びせられる。その威力は個々で振るう時よりも大幅に上昇していた。
(虎どもの相手を一々している暇はない)
芽衣が目指す相手はあくまで敵将・韓信のみだ。前方にいる虎や魔獣は宝貝の電撃を受けて一時的にマヒしている。
彼女はその連中の背中にひょいと飛び乗ると、踏みつけにしながら戦場を駆け抜ける。いちいち邪魔者を倒したり、包囲の脆いところを突くよりも、これが敵将までの最短ルートだ。
「攻撃できぬようにしてしまえば、虎の群れも敷物と変わらんな!」
『グエッ?!』
もちろん、乗騎としての訓練もされていない猛獣を足場に、このような曲芸じみた走破ができるのは、軽功の鍛錬の賜物である。不安定な背中の上でもバランスを崩さず、羽毛のような軽やかさで虎から虎へと飛び移る。その様は天女の如く美しく、なおかつ獅子の如く勇ましい。
「我こそは皐・芽衣! 参る!」
「受けて立とう!」
そのまま一気に敵将の元へ切り込んだ芽衣は、虎の背から飛びかかるように偃月刀を切り下ろす。対する韓信も歴戦の猛者であり、巨大な両手剣で斬撃をいなしつつカウンターまで仕掛けてくる。ここからは軍勢や計略の力ではない、一対一の武勇の勝負だ。
「皐家の偃月刀『鉅角』と我が宝貝『雷公羊毛』、とくと味わうがよいぞ!」
【雷霆万鈞】は一騎打ちこそが本領。打ち合いの最中でも、間合いを取っても、宝貝より放たれる電撃のタイミングは自由自在。自身の隙を埋めるもよし、敵への追撃に用いるもよしと、元々の武芸の業前をさらに高めている。真っ向勝負に勝算ありとみたのも、それだけ自分の技に自信を持つがゆえだ。
「むう、この私でさえまるで見覚えのない武術とは……!」
既存の体系の型に囚われない未知の武技には、さしもの韓信も攻めあぐねるようで、攻撃を凌ぐので手一杯となる。
見かねた虎の群れのうち、マヒの解けたものが助太刀しようと近付いてくるが――芽衣は周囲に電撃を拡散させて、彼らを再びマヒさせる。
『グ、ガッ……』
「この戦いには割り込ませんぞ」
戦の最中とはいえ真剣勝負に無粋な横槍は無用。雷神の化身の如く稲妻をまき散らしながら、丁々発止の打ち合いを繰り広げる芽衣。彼女の武勇は本日一番の冴えを見せており、一合交わすたびにより研ぎ澄まされていくようだった。
「恐ろしい策じゃったが、また見事な腕じゃったが、ここまでじゃ!」
そうして遂に、芽衣の偃月刀は韓信の大剣をかち上げ、決定的な隙を作り出す。間髪入れず、雷公羊毛に蓄えられた全ての電力が解き放たれ、眼前の敵を貫いた。誰の目にも明らかな、決定的な一撃――それを受けた国士無双の男は、口の端に血を滲ませながら笑った。
「汝も、見事であった」
ふらつきながらも膝を突くことは良しとせず、剣を支えにして立つ。この戦い、すでに逆転の機は皆無に近いことを彼が一番よく分かっているだろう。それでも、己の最期の軍略たる『封人台』転送を果たすために、この男は己の命を燃やし尽くす覚悟でいた。
大成功
🔵🔵🔵
凶月・陸井
相棒の時人(f35294)と
本丸を抑えて終わり、としたい所だが
簡単に阻止はさせてくれないな
時人の言う通り流石の韓信だ
「だからこそ、俺達も正面からお相手しよう」
「あぁ、だけど、分の悪い戦いはいつもだからな」
相棒と言葉を交しつつ起動して真の姿に
分は悪くとも、想定通りに一手が打てれば行けるはずだ
「大丈夫だ。相手の思い通りに行かせなければいいからな」
まずは敵の攻撃への対処だけど
南蛮魔獣集結を誘発させられれば良しだ
強化された獣たちの津波が押し寄せてくるだろうが
最初の一撃は危機に瀕していない分最大ではないから
基本は回避して対処し、攻撃可能になれば相棒の独壇場だ
「どれだけの大群だろうと、時人が道を作れる」
時人が敵を吹き飛ばしたら今度は俺の番だ
【水遁「水刃手裏剣」】を使用
ただの手裏剣としてではなく能力者として
真の姿で戦うものとして、集中してイメージ
眼前の強大な敵を一撃で屠り、消し飛ばす力を
何時かあの過去に見えた、あの水刃手裏剣を
自身の身よりも巨大な刃を生み出して投げつける
「この一撃、食らって貰おうか」
葛城・時人
相棒の陸井(f35296)と
流石は俺たちの世界でも国士無双と謳われた大将軍
この期でも目的は果たすと宣言する
「その意気やよし!」
敬意は表したい
ただ
「『神器』持ちと戦うのは少し分が悪いか?」
同じく能力者の真の姿で立つ相棒に問う
返答はいつも通り落ち着いたもの
見立ても同じだ
「OK…全力全開」
武器を合わせてから
「数には数で!」
起動し真の姿を解放し大人の姿で真っ向から相対し
躊躇わず門と同じ白燐大拡散砲を詠唱
どれだけ吹き飛ばしが来たとしても
元々戦場全体に広がる|白燐蟲《ククルカン》の大群飛翔
「全部やれるかどうか試してみるといい!」
言いながら高速唱・多重詠唱で幾度でも繰り出す
限界を超えても技能の限界突破も継戦能力もある
血を吐いても攻撃されても断じて詠唱は止めない
「消えて!無くなれ!」
慣れてる裂帛の気合で放つのが一番いい感じだ
突撃する俺の蟲は傷も癒す!
韓信、お前の呼び出すモノとどちらが強いか!
勝てると信じ、陸井のUCが飛ぶ事を信じて
いや疑いなんて微塵もないさ
「猟兵が!俺の相棒が!貴様に引導を渡す!必ず!」
「流石は俺たちの世界でも国士無双と謳われた大将軍。この期でも目的は果たすと宣言する」
状況的には逆転困難な所まで追い詰められながらも、なお諦める様子のない敵将を前に、時人は感嘆を言葉にする。
相手はオブリビオンであり、決して和解の余地はない。それでも、英傑の名に恥じぬ覚悟には「その意気やよし!」と敬意を表したい。
「本丸を抑えて終わり、としたい所だが。簡単に阻止はさせてくれないな」
時人の言う通り流石の韓信だと、陸井も相手を油断ならない強敵として認める。最後の最後まで気を引き締めなければ、何かが起きかねない脅威があの男にはある。歴史においても韓信はその軍才をもって、驚くべき戦果を幾度も挙げているのだから。
「だからこそ、俺達も正面からお相手しよう」
「貴様の計画はここで完全に叩き潰す!」
「面白い。では私も、最後まで意地汚く足掻くとするか!」
イグニッションカードを構える二人の能力者を、韓信は残された全軍で迎え撃つ。猛虎の群れと【南蛮魔獣集結】により召喚された魔獣の軍勢が、南蛮仙界を揺るがすような咆哮を上げて吶喊する。本来なら人に従う性質ではない獣の群れを、このように完璧に統率できるのも、彼のカリスマ性によるものだろう。
「『神器』持ちと戦うのは少し分が悪いか?」
「あぁ、だけど、分の悪い戦いはいつもだからな」
迫る敵を見据えながら時人が尋ねれば、陸井はいつも通りの落ち着いた調子で返答する。二人の見立ては一致しており、策はすでに立ててある。分は悪くとも、想定通りに一手が打てれば行けるはずだ。国士無双の伝説を、今日ここで自分達が覆す。
「大丈夫だ。相手の思い通りに行かせなければいいからな」
「OK……全力全開」
二人は言葉を交わしながらイグニッションカードを起動して、真の姿に変身する。能力者としての全盛時の肉体に、手に馴染んだ詠唱兵器。互いの武器を合わせて目配せしあうと、いざ押し寄せる獣たちの津波に真っ向から相対する。
(まずは南蛮魔獣集結を誘発させられたのは良しだ)
あの獣どもは敗北や死の危険に比例して攻撃力が強化される。まさに「背水の陣」を体現したユーベルコードだが、陣を敷いて迎え撃つのではなく、先手を取って襲い掛かる初撃については、まだ最大の効果を発揮できないと陸井は読んでいた。そこに僅かではあるが付け入る隙がある。
『ウオォォォォォォッ!!!』
怒涛の勢いで迫る獣どもの猛攻。虎の爪を、魔獣の牙を、風のように躱す時人と陸井。一体一体が尋常ではないが、過去にも妖獣と戦ってきた彼らなら凌げない事はない。全神経を集中して回避に徹しながら、反撃に転じるチャンスを待つ。
「どれだけの大群だろうと、時人が道を作れる」
「数には数で!」
攻撃可能になれば相棒の独壇場だと、陸井の口元に笑みが浮かび。それに応えるように時人は【白燐大拡散砲】を詠唱する。南蛮門でも披露した、あの膨大な|白燐蟲《ククルカン》による光の河が再び顕現し――眼前の獣の群れに叩きつけられた。
「全部やれるかどうか試してみるといい!」
『グ、オオォォォォッ!!!?!』
戦場全体に広がる白燐蟲の大群は、魔獣の攻撃で吹き飛ばされても止まる気配を見せない。純白の翼を羽ばたかせ、恐れを知らずに敵にぶつかっていき、軍勢を押し返そうとする。一匹あたりの力では流石に敵わないが、その分数では圧倒的優位だ。
「消えて! 無くなれ!」
時人は吠えるように叫びながら詠唱を繰り返し、幾度でもユーベルコードを継続する。限界を超えるのは慣れているとばかりに、学生時代から口になじんだ台詞と共に、裂帛の気合で放つ【白燐大拡散砲】。その火力は南蛮軍の攻勢を上回りつつあった。
「突撃する俺の蟲は傷も癒す! 韓信、お前の呼び出すモノとどちらが強いか!」
「勝負ということか。受けて立とう!」
血を吐いても獣の攻撃を受けても、断じて詠唱を止めない時人。その覚悟を見た韓信も全軍総攻撃をもって応じる。
窮地に立たされるほど強くなるのが背水の陣の南蛮軍だ。一方で白燐蟲には自軍の味方を回復させる力がある。押しては押し返されの拮抗状態はなかなか崩れない。
「任せたぞ、時人」
だが、この状況でも陸井は相棒の勝利を疑っておらず、彼が敵軍を吹き飛ばした時に備えて術の準備を行っている。
使用するのは【水遁「水刃手裏剣」】。ただの手裏剣としてではなく能力者として、真の姿で戦うものとして、集中して水流を練り上げる。イメージするのは眼前の強大な敵を一撃で屠り、消し飛ばす力だ。
(勝てる。いや疑いなんて微塵もないさ)
そして時人もまた、陸井のユーベルコードがこの戦いに決着を付けてくれると信じていた。自分の役目は、敵将までの道をこじ開けること。その後のことは全て相棒に託して、ただこの瞬間、目の前の敵を吹き飛ばすことだけに全霊を注ぎ込む。
「猟兵が! 俺の相棒が! 貴様に引導を渡す! 必ず!」
肉体を凌駕する魂の叫びが、白燐蟲たちを駆り立てる。尽きることなき白光は、ついに魔獣と虎の群れを呑み込み、彼方へと押し流した。まっすぐに伸びた大河の上に、もはや遮る者はない――この瞬間、まさに最高のタイミングで、相棒が動く。
「この一撃、食らって貰おうか」
極限まで極まった水遁の術は、何時かあの過去に見えた、あの水刃手裏剣を再現する。自身の身よりも巨大な刃を、陸井は渾身の力で投げ放った。白燐の河の上を滑るように、水刃は唸りを上げて標的めがけてまっすぐに飛んでいく。
「――……!!!」
韓信は咄嗟に防御の構えを取る。しかし練達の能力者が全力を籠めた水刃手裏剣は、いかなる名将にも受け止めきれるものではなく――構えた大剣もろとも、彼の体は真っ二つに切断された。泣き別れとなった上半身がゆっくりと崩れ落ち、両の眼がかっと見開かれる。
「……ここまでか。我が大願成就せず……されど見事であった、猟兵たちよ!」
最期の瞬間、韓信は心から猟兵達の武勇と勝利を讃え、配下の虎や魔獣や武将とともに、虚空に消え去っていった。
後に残されたのは究極神器『封人台』。封神武侠界のみならず、他世界にまで騒乱の火種を残さんとした、国士無双の野望はここに挫かれる事となる。
まだ、彼奴に復活の余力が残されているのであれば、国士無双は再び立ち上がってくるだろう。
しかし、この戦いを制した猟兵達の心に恐れはない。勝利の報せを携えて、一同は揚々と南蛮界より帰還する――。
大成功
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