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書物迷宮に眠るお宝

#アルダワ魔法学園

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#アルダワ魔法学園


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●お宝探しへの挑戦
 ねぇ、知ってる?
 地下迷宮に凄いお宝があるらしいよ?
 先生からは、危ないからって探索禁止令が出てるけど、勿論気になるよね?
 大丈夫だって。抜け道ならいっぱいあるから。
 みんなだって行ってるし、私達くらいの実力なら行けるって!
 だからさぁ、お宝探し、行ってみようよ!

●ダニエルの情報
「どーも。集まってくれて感謝っす」
 猟兵達の拠点、グリモアベース。その一角で女装をした青年、知念・ダニエル(多重人格者のサウンドソルジャー・f00007)が気怠そうに挨拶をする。人差し指を立てれば、そこに現れたのはグリモア。彼はグリモア猟兵である。
「早速っすけど、皆さんに依頼っす。担当して貰う場所は『アルダワ魔法学園』って所っす。今皆さんの目に映ってる、ここっす」
 アルダワ魔法学園。それは蒸気と魔法が発達した世界に存在する学園である。そこには災魔と戦う学生達が集い、共に生活を送っている。
「学園の下にアルダワっていう地下迷宮があるのはご存知で? 迷宮は幾つもあるっすけど、その一つにオブリビオン……いや、災魔でいいか。そいつが現れて悪さをしてる訳っすよ」
 アルダワ魔法学園では、オブリビオンは災魔と呼ばれている。近年、その災魔が凶暴化し、学生の手に負えなくなっている。
 災魔が迷宮のフロアボスとなると、その迷宮の内部は変化し、より危険な迷宮となってしまう。何としてもフロアボスになってしまった災魔は倒さなければならない。

 しかし、幸か不幸か、危険という言葉に敏感な学生達が集うこの学園では、その恐ろしさを楽しさに変えてしまう学生達が多々存在するのも事実である。
「危ないって言ってるのに……。何でも『凄いお宝が迷宮の奥にある』っていう情報が学園内に出回ったみたいで、やんちゃな学生達が変化した迷宮内に入り込んでるっすよ」
 上の人の言う事程、話を聞かないってヤツっすよ、とダニエルは腕組みをしながら頷く。
「既に何人もの学生が迷宮に潜ってるんで、それを完全に阻止は出来ないっす。このままだと学生達が災魔に殺される可能性が高いっすよ。だから皆さんには、大きな被害が出る前に、最速で迷宮を突破して欲しいっす」
 迷宮を突破する、とだけ聞けば簡単なように聞こえるが、決してそうではない事をダニエルは伝える。
「勿論ただの迷宮じゃないっす。天井も床も壁も、びっしり書物が埋め込まれているっす。何処も彼処も書物だらけっす」
 何だか歩きにくそうっすね、と付け足す。
「点々と光る本があるんで、迷宮自体は薄暗い感じっすかね。あと足元注意っす。トラップだらけっすから」
 書物故に崩れる壁、崩れる床、崩れる天井は当たり前。うかつに触れるのは危険そうだ。
「んー、でも迷宮って言うくらいっすし、隠し通路なんかあったりするっすかね?」
 危険を承知の上でトラップに挑むも良し、慎重に道を選ぶも良し。探索方法は猟兵達に任せる事になる。
 力技で押し切る事も良いし、速度を活かしてショートカットを試みたりする事も良いだろう。魔力に自信のある者なら、学生達の行動を読んで出し抜く事も可能かもしれない。
「学生達はお宝目当てで挑んでるっすから、彼らと出会ったらさっさと帰る様に伝えて下さいな。まぁ、聞くかどうか分かんないっすけど……」
 その点も抑えつつ、猟兵達には学生達よりも早く迷宮を突破しなければならない事を改めて話す。
「あ、そうそう。猟兵の事は『転校生』って事で学園には伝わってるんで、こそこそ隠れる必要はないっすよ。生徒として堂々と……いや、堂々は駄目か。気合を入れて迷宮に挑んで欲しいっす」

 んじゃそんな感じで、と、ダニエルがグリモアを利用してテレポートの準備を行う。
「俺は戦いに参加出来ないっすけど、代わりに応援とサポートだけはするんで。頑張って下さいっす」
 女装をした青年に見送られながら、今まさに、学園に眠る迷宮への挑戦が始まろうとしていた。


ののん
 第六猟兵のスタートおめでとうございます!

 初めまして、この度マスターになりました、ののんと申します。
 皆様の冒険のお手伝いを少しでも出来れば幸いです。
 楽しいものになりますよう精一杯努めますので、
 今後ともご縁がありましたら宜しくお願い致します。

 最初のシナリオとして、書物に囲まれた迷宮を用意させて頂きました。
 皆様のご参加とご活躍、お待ちしております。
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第1章 冒険 『冒険競争』

POW   :    力技で迷宮を攻略する

SPD   :    速度を活かして迷宮をショートカットする

WIZ   :    競争相手の生徒達の行動を読んで出し抜き先行する

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

紅庭・一茶
「お宝!お宝とは、なんとも心惹かれる響きです!
 ……は!いいえいいえ、紅庭は真の目的を果たすまで!」
紅庭は正面突破というのはとても向いてませんので、
持ち前の魔力とやらで出し抜いてさしあげましょう!
ふふふ。紅庭はこう見えて、100の時を生きております。
なので!子供心などなど、たーんとわかるのです!
「ふふふ!紅庭を見習ってもいいのですよ!いいえ、見習うべき!」

なんてなんて、言いますけれど!
学生を見かけたらお声がけ、怪我があらばユーべルコードです!
「早いうちに帰るがよいですよ!」
「紅庭は見ての通りの転校生です!」



甘い甘い匂いが迷宮に漂う。
 ただ甘いだけでなく、それは人の心をほっとさせる温かい香り。
「お宝! お宝とは、なんとも心惹かれる響きです!」
 その愛らしくはしゃぐ声を出した途端、はっと我に返る。
「……いいえいいえ、紅庭は真の目的を果たすまで!」

 小さな身体で書物迷宮に挑んだ紅庭・一茶(いばらゆめ・f01456)。
 流石に正面突破という行動は難しく、持ち前の魔法で迷宮を攻略する事にした。
「(ふふふ。紅庭はこう見えて、100の時を生きております。なので! 子供心などなど、たーんとわかるのです!)」
 外見とは裏腹にどっしりとした心構え。
 にっこりと笑えば、100年分(そう呼ぶにはまだまだ味が整ってないけれど)の魔法が彼の周囲を踊る。
 紅茶の魔法は幻想を創り、迷宮に迷い込んだ学生を映し出す。
 学生の幻想は一冊の書物を手に取っている。
 よくよく見てみれば、壁にある書物のうち、一冊だけ異なるものがぽつり。
「青色の表紙……これだけ錬金術の書物なのですね。この書物のある道が正解のようですね!」
 ならば簡単、その道を突き進むのみ!
「ふふふ、随分と簡単なトリックだったようですね! 紅庭には甘すぎるのですよ!」
 人差し指をくるくるり、砂糖を溶かすスプーンの様に回す。
 道が分かればこっちのもの。スキップ気分で道を進めば、自然と人の声も聞こえてくる。間違いなくアルダワ魔法学園の生徒だ。
「紅庭は見ての通りの転校生です! 早いうちに帰るがよいですよ!」
 いくら急ぐとは言え見放す訳にはいかない。
 彼の紡ぐ甘い『おとな』の言の葉に、学生達の怪我はみるみる治り、心は溶かされていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

霄・花雫
んー、とりあえずレッツショートカット!
上が空いてる所は乗り越えられそうだし、乗り越えられる場所はサクサクッと乗り越えてこっかなー。罠と敵には気を付けつつ、ね!
落とし穴とかの類はジャンプしちゃえば良いし、なるべく早く奥に向かわないと。

「ひゃー、壮観! 本だらけだー」

興味は尽きないから、周囲を見て回りながらちゃんと学生達も守ろうね。危なくなってたら助けてあげなきゃ。
怒られるの分かってるのについ好奇心! ってのはあるだもんねー、わかるよあたしもそうだもん。
でも、みんなが怪我したら困るからさ。



「ひゃー、壮観! 本だらけだー」
 小さな熱帯魚は飛び出す。
 本という海の中、飛び跳ねるように泳ぐのは霄・花雫(霄を凌ぐ花・f00523)。
「んー、とりあえずレッツショートカット!」
 空を跳ねる花雫。うっかり床の本が崩れても大丈夫。あたしは泳いているから。
「おっと……壁も崩れるんだった。気を付けなきゃね」
 床に散らばる本達を横目に、トントントン、と迷宮を進んでいく。

 まっすぐ進んでいくと、迷宮を攻略中の学生達の姿を見掛ける。
「んー? 確かあれって……」
 一人の学生が壁にある一冊の書物に手を伸ばしている。
「あっ、危ないよ!」
 空を泳ぐスピードをどんどんと増して、学生を庇う。
 どさりと降り掛かってきたのは壁の本達。罠の仕掛けとしてスイッチの役割になっていたようだ。
 間一髪、学生と花雫は怪我無く避ける事に成功する。
「あ、ありがとう……」
 突然の出来事に驚く学生。どういたしまして! と花雫はにっこり笑顔を見せる。
「この先はもっと危険だよ、お宝が気になるのは分かるけど……みんなが怪我したら困るからさ」
 その言葉に、どうしようか、と相談し始める学生達。
「その様子だと結構迷子になってるみたいだね。分かった、お宝がどうだったかはあたしが伝えるから!」
 だから早く戻るんだよ? と学生達を説得する花雫。
 それに学生達は頷くと、罠に気を付けながら元来た道へと帰っていった。

「怒られるの分かってるのについ好奇心! ってのはあるんだもんねー、わかるよあたしもそうだもん」
 そう呟くと再び、トントントン、と泳いで迷宮の奥へと進んでいくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルジャンテ・レラ
どこへ目を向けても書物、書物……
素晴らしい。
此処こそがお宝と言っても過言ではありませんね。
迂闊に触れないのは少々残念ですが。

速さを活かしてショートカットを試みましょう。
周囲に気を付けながら進み、
崩れる書物からすぐ身を躱せるように。
耳も澄ませて、生徒と思しき声や足音は聞き逃さないように意識を。

無事だったようですね。
この迷宮に惹かれる気持ちはわかりますが……
身を危険にさらす前にお帰りください。
ああ、ですが先に教えてもらえますか。
他にもまだ誰か、この奥にいるのでしょうか。
気になったことなども何かあれば聞かせていただきたい。

私より長く迷宮にいたはずですからね。
聞き出せる情報は得ておきましょう。



――素晴らしい。
 今、彼の心はその言葉で埋め尽くされる。
 アルジャンテ・レラ(風耀・f00799)にとってここ、書物迷宮とは宝庫に等しいものであった。
 迂闊に手を触れられない事だけは少々残念だけれど、それは仕方のない事。
 今回の目的は読書ではないのだから。

 アルジャンテは身のこなしを活かして迷宮を進んでいく。
 急ぐが、しかし焦らず周囲を気にしつつ。
 何処を向いても目に映る書物は、今はまだ我慢。

 罠のない場所を確認すると、腰を落として10秒間の集中に入る。
 こうしてみると、本当に書物しかないのだな、と改めて確認出来る。
 風の音もなく、ただただ、しぃんと恐ろしい程に静まり返っている。
 しかしその中で微かに聞こえたのは若い声。
 やっと耳にしたのは左の道から。目を細めればそこには学生の影が。
「そこですね」
 その鋭い弓矢は的確に的を射抜いた。
 天井から崩れ落ちそうになる書物を射る、射る。嗚呼、勿体無いな、と心の中で感じつつも。
 破れた頁がはらりと散りながら、学生の肩を撫でる。書物の波からは何とか逃れられたようだ。
 大丈夫ですか、と声を掛けながら学生達と合流したアルジャンテは、彼らに帰るよう促すと共に、迷宮についての質問も投げ掛ける。
「他にもまだ誰か、この奥にいるのでしょうか」
「たくさんいるよ、いろんなチームが競い合ってるからね」
「成程……他にも気付いた事はありますか?」
「悲鳴が聞こえるのもそうだけど……あぁ、俺、見たんだ! 本がなだれ込んで来るんじゃなくて、ふわふわ浮いているのを!」
「ふわふわと……?」
 そんな事があるのだろうか? 個人的にはとても興味深いが。
 ともかくアルジャンテは収集した情報を元に、学生達の救出と怪しそうな書物に目を通す事に勤しむのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クレイ・ギルベルン
宝ですか。いったい誰が言い出したのやら……
……まあ良いでしょう。お貸ししますよ、猫の手で良ければね

転倒防止に、自分で毛づくろい(ユーベルコード)はしっかりとやっておきます

とはいえあまり悠長に構えても居られません、
攻略は速度を重視すると致しましょう
人型の皆さんより背が低く、視点が地面に近い分、
足元の罠には気付きやすい筈です。もちろん回避します
ただ、明らかに色が違ったり、妙な出っ張りやへこみがあれば
慎重につついてみても良いですね……近道かも知れませんから

無根拠な情報に踊らされて、
自ら危険の前に身を晒すとは……
全く軽率にも程があります
怪我をしないうちにお帰りくださいね、生徒の皆さん



「宝ですか。いったい誰が言い出したのやら……」
 やれやれと葡萄色の猫が肩をすくめる。
「……まあ良いでしょう。お貸ししますよ、猫の手で良ければね」
 クレイ・ギルベルン(天蓋の・f04293)は腕を組むと、書物迷宮へと足を運んでいく。
 おっと、だけどその前に、とクレイは自分の毛づくろいを始める。
 これはのんびりしているのではない、歴としたユーベルコードである。

 彼もまた速度を重視した突破を試みる。
 小さい身体を活かし、床に仕掛けられた罠らしきものも軽々と突破してみせる。
 身軽に動き、ぐんぐんと奥へ進んでいくと、とある法則性に気付く。
「分かれ道のある場所、片方の壁に一冊だけ色が違う書物がありますね……」
 薄暗い迷宮とはいえ書物の背表紙なら見える。茶色の背表紙が並ぶ中、ぽつりとあるのは青色。
「……罠か、はたまた近道か」
 丁度手の届く場所に青色の書物がある事を確認すると、慎重に触れてみる事にした。
 すると、思った以上に書物が奥へと入り込んだ。瞬間、パズルが解けたかのように書物の壁が崩れていく。
 咄嗟の判断で避ける事に成功したクレイは後方へ飛ぶ。
 本当は驚いて鳥肌(もしかすると猫肌かもしれない)が立ったとは言えないが。
 彼は落ち着いて体勢を整えてみると、目の前には大きな通り穴が存在していた。
「普通の道よりも薄暗い……しかし奥に何かありますね。怪しいですが行ってみましょう」
 慎重に進むクレイ。ゴーグルの中に潜む猫の目も怪しく光る。
 奥へ奥へと進むと、新たな道がそこに現れた。
「ふむ、近道と呼ぶかどうかはともかく、新たな道は開けましたね」
 地図のないここでは近道など分からないが、知らない道に出られたのは幸運だろう。
 さて、誰かが怪我をしないうちに早く進もう。
 そう祈りつつ、猫の大冒険はまだまだ続いてゆく。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルジャンテ・レラ
ふむ。先程は有益な情報を得られました。
ふわふわと浮く本が災魔に関係する何かであることは間違いないでしょう。
しかしまだ大勢の生徒が残っているのが心配だ……
他の生徒より先に"ふわふわ"を発見する必要がありそうですね。

先程より広がった視野を活かして生徒を捜し、帰らせなくては。
・落ちた書物の内容にヒントがないか読む
・弓矢を用い敢えてトラップを発動させ、音を立てることにより
 生徒や"ふわふわ"を誘き寄せられないか
奥に足を進めながらも
今度はこの二点で状況を変えていけないか試してみましょうか。
……ただ読書がしたいわけではありませんよ。
此処が楽しい場に思えること自体は、まあ否定はしませんが。



「ふむ。先程は有益な情報を得られました」
 アルジャンテは歩きながら思考を巡らせていた。
 ふわふわと浮く本。それが災魔に関係する何かだろう。
 そう推測していると、とん、と足に落ちた書物が当たる。
「おっと、いくら敵地とはいえこれは失礼」
 拾い上げると、それは青色の本であった。一頁ぺらりとめくってみると、そこには錬金術に関するものが書かれていた。
「錬金術の本、という事ですか」
 時間を掛けて読みたい所だが、残念ながら急ぎの用事があるので断念する。
 軽く読んでみたものの、迷宮に関するものは特に載っていなかった。ぱたりと書物を閉じる。
「このバラバラに散らばっている書物を見るに、トラップで崩れた書物達、と言った所でしょうか」
青い書物を床に置くと、アルジャンテは大きく開いた道を進んで行く。

 少し開けた空間に、幾つもの分かれ道。
 さて、困りましたね、とアルジャンテが周囲を見渡すと、ふと目に入ったのは青い書物。
「……先程見たものと似ていますね」
 手を伸ばそうとしたが、ぴたりとその腕は止まる。
 そう、他の書物は茶色であるにも関わらず、青色の書物は一冊しか置いていないのだ。
「成程、もしかすると」
 元来た道を少し戻ると、アルジャンテは静かに弓を構える。
 しぃんと静まる中、集中力を掻き乱される事なく、彼は弓矢を放った。
 的を捉えた。それは青い書物。射抜かれたそれは書物と書物の奥へと入り込み、姿を消す。
 直後、雪崩の如く、壁が、天井が、床が、全てが崩れ去っていく。
 巨大な地響きの後、残った分かれ道は一つ。
「やはりトラップのスイッチでしたか」
 と、呟くと、後方からぼそりと人の声がこだまする。
「……なんかやっべー音したな。こっちの道やめとこうぜ」
 学生達を引き付ける事は出来なかったが、逆に戻るよう仕向ける事は出来たようだ。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『書物の魔物』

POW   :    魔書の記述
予め【状況に適したページを開き魔力を蓄える】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    ページカッター
レベル分の1秒で【刃に変えた自分のページ】を発射できる。
WIZ   :    ビブリオマジック
レベル×5本の【毒】属性の【インク魔法弾】を放つ。

イラスト:kokuzu

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


書物迷宮を抜けた先にあったのは広い部屋。
 派手なシャンデリアに壁一面の書物。これぞ本当の書物庫と呼んでいいだろう。
 しかし猟兵達は違和感を感じる。至って普通の部屋なのに、恐怖を感じるのだ。

 すると突然壁が動き出した。そう、『動き出した』のである。
 地震が起きた訳でもないのにガタガタと書物が震え始める。
 猟兵達が身構えた瞬間、書物の一冊がふわりと浮かぶ。
 書物がゆっくりと開くと、ぶわりと噴き出すは頁。
 それを合図に他の書物達も次々に浮かび、動き出し、頁を噴き出した。
 目の前は真っ白になる。しかしそれはただの紙ではない。敵の攻撃である。

 長年この迷宮に眠っていた書物達なのだろうか。
 迷宮の知識を蓄積してきた書物達は魔物――オブリビオンと化してしまった。

 書物の群れは今まさに猟兵達を切り刻もうと、襲い掛かって来る。
 猟兵達は飛び回る書物達に立ち向かい、先へ進まなくてはならない。
アルジャンテ・レラ
曲がりなりにも書物である以上、戦いづらいですね。
長引かせるのは本意ではありません。
――早く終わらせます。

敵に背を向けることのないよう立ち位置に注意。
注視して、インク魔法弾の軌道を推測し
可能な限り躱せる様にしたいですね。
攻撃目標は私を狙った敵、或いは最も傷ついている敵。

心苦しいですが、書物に効くのやはり炎でしょうか。
ガジェットを火炎放射器を模した形状に変化させて
炎で攻撃できないか試してみます。
ガジェットはやや不慣れなので、上手くいくかはわかりませんが。
「やっべー音」を聞きつければ、
他の生徒も遠ざかっていくでしょう。
派手にいきますよ。

なるべく通常の書物には被害を出さないよう気を付けていきます。



「曲がりなりにも書物である以上、戦いづらいですね」
 彼、アルジャンテ・レラ(風耀・f00799)にとって、愛する書物を自ら汚す事は不本意。
 ――早く終わらせます。
 彼のその決意は固かった。

 書物の群れは魚の様に空中を泳ぐ。アルジャンテの目はそれを逃さずマークする。
「心苦しいですが、書物に効くのやはり炎でしょうか」
 手に持つガジェットを火炎放射器に変形させ、狙いを定める。
 彼にとっては不慣れな武器ではあるが、ある程度の攻防は出来るだろう。

 書物の群れが頁を噴き出す。頁は一枚一枚が刃となり、雨の如く降り注ぐ。
「――今!」
 雨降る中、 対抗すべく発射される赤い炎。
 ごうごうと燃えるそれは頁を燃やし、火の粉の雨を作る。
 意思のある雨は風向きを変える。全てを焼き切る事は難しいが、手応えは確かにある。
 雨に濡れれば傷は増える。しかしその程度で引き下がるアルジャンテではない。
 愛する書物の為に彼は戦いを挑む。例え痛みを貰おうが、書物自体に罪などないのだから。
 派手に振り撒く炎。但しそれは魔物と化していない書物には決して当てはしない。
 その優しさがどんな結果を齎すのか。知るのは自分の信じる腕のみである。

成功 🔵​🔵​🔴​

紅庭・一茶
「こ、これは……絶対にお宝ではないですね!」
緊張でぎゅ、と手のひら握るも、次の瞬間には敵を睨み。
これはきっと皆で戦わなくてはいけませんっ、
つまり……紅庭もしっかり頑張らなくては!

「知識は基本的にはよいものです。きっと、きっと。
 暗い暗い迷宮の底にあるから駄目なのですよ!」
回復に回るもよいですが、最初のうちは攻撃あるのみ。
指先を向けて、ジャッジメント・クルセイド!
確実に削りたいので、命中力高めにお届けしましょう!

勿論、敵の攻撃にも備えましょう!
出来れば回避したいところですが、
攻撃を受けたなら邪魔にならない様に一度後ろへ。
「ううっ、本が嫌いになりそうです!」



飛び回る書物達に驚くものの、次の瞬間には敵と見なし睨み付ける。
「こ、これは……絶対にお宝ではないですね!」
 紅庭・一茶(いばらゆめ・f01456)のオレンジ色の瞳は戦う猟兵の目つきに変わる。
「……紅庭もしっかり頑張らなくては!」

 書物達が頁をペラペラとめくる。みるみるうちに空を覆うのは『黒』。
 真白な紙を彩る文字が具現化し、空中を踊っていたのだ。
 踊る文字達はくるりくるりと一茶の周囲を回ると、インクを飛び散らす様に爆発する。
「ひゃあっ!?」
 その黒は珈琲よりも黒く苦い。彼にはまだ苦すぎるものだ。
「ううっ、本が嫌いになりそうです!」
 だけども! と黒く滲んだ腕を伸ばし、指先が狙うのは文字ではなく書物の群れ。
「インクは、素敵なものを描いてくれるもの。何かを汚すものではないのです!」
 瞬間、白い光が書物を包み込む。輝く光は膨張し、光の柱を作った。
 光の柱が書物達を貫く。書物達は破れた頁を散らしながら消滅していく。
「知識は基本的にはよいものです。きっと、きっと。暗い暗い迷宮の底にあるから駄目なのですよ!」
 もうその思いは届かないけれど。来世があるならば、明るく楽しい物語を描いてくれると信じて。
 彼の放つ光は邪悪な書物達を圧倒させていく。

成功 🔵​🔵​🔴​

クレイ・ギルベルン
色々ありましたが、無事踏破出来ました。色々ありましたが……。
それで、これが例のお宝ですか。

かつては本当に宝とされた、叡智の結晶だったのだと
そう思うと、少しは……
「……いえ、昔はどうあれ今や魔物。
慈悲はありません。おいでなさい、私の戦士!」

ユーベルコードで召喚した戦士の霊に戦わせます。
槍の一突きで縫いとめて、頁を捲れないようにしてやりなさい。
炎攻撃も行使して、すべて灰燼に帰すのです!

書物たちに包囲されないよう注意しながら、戦士の傍で指示を与えます。
冷静に各個撃破を目標にしましょう。
炎攻撃が上手く通れば一網打尽に出来ましょうが、
あまり派手にやると我々も身動き取りづらくなりそうですからね。



「これが例のお宝ですか」
 色々ありましたが、とクレイ・ギルベルン(天蓋の・f04293)が目にしたのは書物の魔物達。
 かつては本当に宝とされた、叡智の結晶だったものだと思うと少し思う所はあるが。
「……いえ、昔はどうあれ今や魔物。慈悲はありません」
 書物達から溢れ出る『黒』を見やれば、戦闘からは逃れられない事を察知する。

「おいでなさい、私の戦士!」
 クレイの声に応じ、現れたのは黒い影。
 召喚された古代の戦士の霊は彼を守る様に立ち塞がる。
 空を覆う『黒』――具現化された文字達はインクをまき散らし爆発する。
 戦士の霊はその攻撃を受けながらも、槍を振るいインクを引き裂く。
「戦士よ、書物を狙うのです。そちらを攻撃すれば攻撃も止むはずです!」
 包囲されないよう周囲を見渡し、的確に指示を出すクレイ。
 狙うは各個撃破。戦士と共に文字達を掻い潜り、主である書物を見付ける。
「さぁ、槍の一突きで縫いとめて、頁を捲れないようにしてやりなさい」
 自らの指先を突き出すと同時に、戦士の槍も書物に向けて突き出す。
 貫かれた分厚い書物は、文字ではなく頁を吐き出す。
 しかしそれは攻撃ではなく、悲鳴。千切れた紙が宙を舞うと、書物と共に燃えて消え去っていった。
「貫いても頁を捲るとは、これはまた活きが良いですね……」
 さぁまだまだですよ、と戦士に話し掛けると、クレイ達は次の書物に向けて黒の世界を駆け巡った。

成功 🔵​🔵​🔴​

アイン・ローレンス
本がふわふわと浮かんでいるなんておとぎ話の世界みたい…
なんて暢気な事を言っている場合ではありませんね。
迷宮内に残っている子達もいるでしょうし、大変なことになる前に突破させていただきます!

本だったら濡れるのは嫌でしょうか。
「水霊の戯れ」を発動し攻撃を仕掛けます。
水流弾が当たればラッキーですが、外れても問題はありません。
敵の間をすり抜けて水溜りへと一直線。
エルフの運動能力を舐めないでくださいね?

周りに人がいなければ「エレメンタル・ファンタジア」を発動。
水の竜巻…ちょっと制御が難しいので私もどこに行くのか分かりません。
覚悟してくださいね?



本がふわふわと浮かんでいるなんて、おとぎ話の世界みたい。
 アイン・ローレンス(気の向くままに・f01107)がそう感じたのも束の間。
 泳ぐ書物の群れを見るものの、それは綺麗なものではない事を悟る。
 さて、大変な事になる前に突破しなければ!

「本だったら濡れるのは嫌でしょうか?」
 ふわりと手を広げれば、そこに召喚されたのは冷たい水の塊。
「行ってらっしゃい」
 優しく息を吹きかければ、水流弾は生きているかの如く動き始める。
 追尾するように動く弾から逃げるように泳ぐ書物の群れ。やはり濡れるのは嫌なのだろうか。
 しかし、泳ぐ書物からぶわりと吐き出された文字達によって、弾は弾かれ黒く濁る。
 インクと混じったそれは動く力を失い、床を濡らす。
「……いいえ、まだです」
 アインは地を蹴り、水流弾の落ちた場所へと駆け抜ける。
 インクを撒き散らす文字達は彼女を狙い道を妨害する。
「エルフの運動能力を舐めないでくださいね?」
 素早い身のこなしで攻撃を掻い潜るアイン。少し身体が黒く汚れても怯む事はない。

 実は彼女にとって、弾が当たらない事は予測している範囲内でもあった。
 濡れた床は水溜まりとなり、黒く濁っていた水もアインが辿り着いた瞬間、真白に輝き始める。
 水霊の宿る水溜まりは彼女を守る様に包み込む。
「さぁ、これからですよ」
 どれだけ汚されても、私と水霊は踊り続けるのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​

アイン・ローレンス
さぁ、これからですよ。
私と精霊の力、とくと味わうがいいです!

「エレメンタル・ファンタジア」で水の竜巻を発動。
ちょっと制御が難しいですが、これだけいたらどれかには命中するでしょう…。
攻撃直後の敵や傷ついている敵を狙ってみましょうか。
寧ろ敵と敵の間を狙ってみると上手くいく気もしますね。
試し打ちにお付き合いくださいな。覚悟は良いですか?

あなたたちの攻撃は先程見ました。
そう簡単に当てられると思わないで下さいね。
見切って見切って、見切ってみせます!…出来るだけ!



最初に部屋に訪れた時と比べれば、書物の群れは数を減らしていた。
 心なしか泳ぎ方がぎこちないものまで存在している。
「さぁ、これからですよ。私と精霊の力、とくと味わうがいいです!」
 アインが腕を伸ばし、大きく横に振ると、そこに現れたのは水柱。
 次第にそれはぐにゃりと曲がり、巨大な竜巻へと姿を変える。
 水霊も彼女に力を貸し、水の竜巻はどんどんと風力を増していく。
 書物達は具現化した文字を飛ばし、インクの雨を降らせる。
「その攻撃、もう当たりませんよ!」
 アインが水の竜巻を放つと、雨は竜巻へ吸い込まれていく。
 黒色を吸っても竜巻の水はもう濁らない。それは彼女の心の強さと比例していた。
 見事に敵の攻撃を撥ね除けた竜巻は、その風力を劣らせないまま書物の群れへと向かっていく。
 インクと頁を散らしながら竜巻へ引き寄せられる書物達。
 水の竜巻を敵の間を掻い潜った場所へと放った結果、書物達は次々と渦巻く水に侵食されていった。
 やはり水は苦手だったのか。黒いインクは抹消されていき、濡れた頁は力なく床に落ちていく。

 一冊の青い表紙の書物がびっしょりと濡れると、頁を吐き出す事すら出来ず、ぱたりと床に落ちて力尽きた。
 瞬間、他の書物達もバタバタと力を無くし、静かに燃えて消え去っていく。
「……あの本が元凶だったという事でしょうか?」
 動かない青の書物へと警戒しながら近付いてみる。やはりそれは錬金術に関する書物であった。
「これ、迷宮にあったものと同じですね」
 その確認が終わると同時に、書物は青い炎に包まれ、跡形もなく散っていった。


 途端に静まり返る書物庫。戦いは猟兵達の勝利で幕を閉じようとしていた矢先。
 部屋の奥から地響きが聞こえてくるのを、誰もが感じた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『錬金術ドラゴン』

POW   :    無敵の黄金
全身を【黄金に輝く石像】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD   :    ドラゴンブレス
【炎・氷・雷・毒などのブレス】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    アルケミックスラッシュ
【爪による斬撃】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に錬金術の魔法陣を刻み】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:V-7

👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


――黄金のドラゴン。
 それが猟兵達の見たものであった。
 眩しいほどに輝くドラゴンは地響きを立てながら、書物庫へと現れた。
 シャンデリアを破壊し、吼える。
 甲高い咆哮に猟兵達は耳を塞ぐ。

「……青い書物。錬金術の本に描かれていたものだ!」
 誰かがそう言った。そう、誰しもが見覚えのある姿だったのだ。
 迷宮を攻略する鍵ともなっていた青い書物。書物庫に到着してから襲ってきた書物の元締。
 それらに共通して書かれていたのは、このドラゴンの事だったようだ。

 錬金術ドラゴンは長い首を振って暴れる。
 まさに迷宮の宝。黄金の錬金術。
 猟兵達は最後の戦いに向けて、ドラゴンへ武器を向けるのだった。
影守・吾聞
うわー、ドラゴン!
ゲームのボスとしてはお約束だけど、リアルでみると迫力満点だね!
なーんて、はしゃいでる場合じゃないよね
学園のみんなを守るためにも、討伐しなきゃ!

自慢のSPD勝負に持ち込む
ルーンソードを構えつつ、敵に接近を試みるよ
放ってくるブレスは『野生の勘』で可能な限り回避
避けられないなら『武器受け』も併用してダメージを抑制

近接攻撃が当たる範囲まで近づいたら、俺のターンだ!
構えた剣で攻撃……すると思った?
剣は囮で本命はこっち、【ガチキマイラ】をお見舞いしてやる!
尻尾の先を変化させて、思いっきり齧り付くよ



「うわー、ドラゴン! ゲームのボスとしてはお約束だけど、リアルでみると迫力満点だね!」
 影守・吾聞(キマイラのバトルゲーマー・f00374)が驚いたのも最初のうち。
「なーんて、はしゃいでる場合じゃないよね。学園のみんなを守るためにも、討伐しなきゃ!」
 ここは自慢のスピード勝負へ。ルーンソードを構え、吾聞はドラゴンに向かって駆ける。

 真正面から向かってくる相手にドラゴンは首を伸ばし、口を開く。
 身体と同じ黄金の光をそこへ溜めると、放たれたのは雷撃のブレス。
 首を振って雷撃を広範囲へ広げ、猟兵達を複数巻き込もうとする。
 その動きを見た吾聞は、野生の勘で上へ飛び上がる。
「横一線に攻撃なら、縦に動けばいいよね」
 ゲームの基本さ、と吾聞は得意気に笑う。
 その身軽な動きで雷撃のブレスを掻い潜ると、目の前に現れたのは黄金の前足。
「よし、俺のターン! 剣で攻撃!」
 ……すると思った?
「なんてね、本命はこっち!」
 大きく縦に振るった剣をわざと外すと、その勢いで再び高く飛び上がる。
 くるくると回転しながら尻尾を変形させる。その姿はライオン。
 ライオンは吼えながらドラゴンの背へと噛み付く。刃が喰い込んだ黄金はみしりと亀裂を作った。

成功 🔵​🔵​🔴​

善知鳥・董子
魔法!金ぴか!ドラゴン!
いいわねこれぞ冒険譚!

みんなにこっそり付いて来たわ!
ちょっと遅れちゃったけど、アイツを倒すってなら助太刀するわね!

私は囮役を務めるわ!
大音声で歌ったり、視界を遮ったりして挑発して、ヘイトを集めてやるの!
うまくこっちを狙ってきたら、鬼ごっこの始まりよ!
私が逃げ回ってる隙に、みんなは攻撃をお願いね!
狙ってこなかったら……防御を捨ててガシャブレイドで斬りつけてやるわ!
私のこと、無視できなくしてあげましょ!

もし私がピンチになっても、そこから先が本番よ!
【相続ぎし七星伝説】を発動、6体の私の影が戦況を引き継ぐわ!
引き続き挑発するか攻勢に移るか、相手の弱り具合を見て決めましょ!



「魔法! 金ぴか! ドラゴン! いいわねこれぞ冒険譚!」
 黄金のドラゴンに目を輝かせる猟兵。善知鳥・董子(滝夜叉は歌う・f00618)のその一人だった。
「ちょっと遅れちゃったけど、アイツを倒すってなら助太刀するわね!」
 そう言い、董子は元気に立ち向かう。
 彼女が背負う役目は囮。
 ドラゴンの視界へ自ら入ると、腕を振って相手に自分の存在を知らしめる。
「ドラゴンさん! 私ならここよ! 掛かって来なさい!」
 大声で話し掛けると、ドラゴンは雷撃のブレスを放つ。
「ふふーん、その攻撃はお見通し! 鬼さんこちら!」
 燃えるツインテールを靡かせながら、小さな少女がドラゴンの周囲を駆け巡る。

 広範囲に攻撃するはずのドラゴンの吐息は、近くにいる彼女を狙う事で、後衛の猟兵達への被害を抑えた。
「さ、今のうちに。みんなは攻撃をお願いね!」
 素早い動きにぴょんぴょんと飛び跳ねる髪は兎の様。ドラゴンは見ず知らずのうちに翻弄されていた。
「あなたの攻撃がもし当たったとしても……まだまだ『私』はいるんだから!」
 だけど当たるものですか! と董子は腕を広げて走る速度を上げていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セゲル・スヴェアボルグ
無敵の黄金とやらがどの程度のものかは知らんが、
いくら硬くても動かないのであれば、ただの的であることに変わりはない。
むしろ此方も準備をする時間が十二分にとれるというわけだ。
狂飆の王で動きが止まったのなら、力溜めの後に怪力をもっての鎧無視攻撃。
俺の錨斧で特大の一発をくれてやる。
いや、動かないのであればその体が割れるまで、何度でも叩き込んでやろう。
雨垂れ石を穿つというには、少々荒々しいかもしれんが、このぐらいしなければあの出化物は屠れんだろうしな。



無敵の黄金とやらがどの程度のものかは知らんが、いくら硬くても動かないのであれば、ただの的であることに変わりはない。
 巨体のドラゴニアン、セゲル・スヴェアボルグ(ドラパラ・f00533)は冷静にドラゴンを分析していた。
「簡単な話だ」
 そう吐き捨て、ドラゴンの地響きにも負けぬ音を立てながら、セゲルは相手へ接近していく。
 彼の持つ錨斧【イースヴィーグ】が目に入れば、ドラゴンはぴたりと動きを止めた。
 それは決して戦意を喪失した訳ではない。みるみるうちにドラゴンの黄金は輝きを増していくのだ。
 ドラゴンの身体は黄金の石像へと変化していく。攻撃は止んだが、その皮膚はあらゆるものを無効化するものとなった。
「だからなんだ?」
 それは彼にとって計算通り、好都合だった。
「無理も通れば道理になる。その土手っ腹に風穴を開けてやろう!」
 ぐ、と錨斧を構えれば、強大な力を持ってドラゴンの腹部へ武器を叩き込んだ。
 彼の怪力は何であろうと砕く。いつだってそうだったのだ。
「何、その体が割れるまで、何度でも叩き込むだけだ」
 大きな音を響かせながらドラゴンの固い皮膚を砕く、砕く、砕く。
 石像の欠片はばらりばらりと砕け散り、無敵だと思われたドラゴンの輝く皮膚は無力に終わろうとしていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルベル・ノウフィル
アドリブ絡み歓迎

【WIZ】使用

「わあ、これは見事な黄金。美しゅうございますね」
道中は他の猟兵の後ろをついてきた
そろそろ何か役に立つことをしないと白い目で見られてしまうのでは?と危惧し、リザレクト・オブリビオンを使用
周囲に得意げに自慢
「ご覧ください、この立派な死霊たち。彼らには恐怖も痛みもございませんゆえ、皆様の盾といたしましょう」

自身は戦えない上に、傷を受けると死霊が消えてしまうので、さりげなーく後方に下がっていく
尻尾はまるまっており、ネクロオーブを握る手はぷるぷると震えている
(強がってるけど目の前で繰り広げられる戦いに怯えている)

死霊たちが倒されたら「あっ、僕の死霊が」と哀しそうな顔をする



「わあ、これは見事な黄金。美しゅうございますね」
 ルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)が礼儀正しい口調でドラゴンを褒める。
「しかしそれでも敵は敵。黄金を汚すのは心居た堪れないですが、仕方のない事ですよね」
 ここに辿り着くまでは他の猟兵達の後を追ってきていたルベル。
 さて、そろそろ何か役に立つ事をしないと。と、ネクロオーブを掲げる。
 すぅ、と暗くなった床から召喚されたのは、死霊騎士と死霊蛇竜。
「ご覧ください、この立派な死霊たち。彼らには恐怖も痛みもございませんゆえ、皆様の盾といたしましょう」
 腕を広げて彼らを紹介すると、一礼をしながら少年は後方へ下がる。
「さぁ、行ってらっしゃいませ」
 二体の死霊をドラゴンへと送り込む。今にもドラゴンの輝きに消えてしまいそうだが、動きが鈍る事はない。
 ルベルがネクロオーブを持つ手を、操り人形を操るかの如く動かす。

 よく見れば、その手は小刻みに震えていた。
 少年は怯えていた。目の前で起きている戦いに。
 丸まった尻尾は今にも千切れて何処かへ行ってしまいそう。
「……いえ、まだまだです」
 少年は表情は変える事無く死霊を操る。猟兵達の盾として援護に回らせる。
 しかし死霊の内の一人、死霊騎士がドラゴンのブレスによって消し去られてしまうと、
「あっ、僕の死霊が」
 思わず本心が口に出てしまうのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルジャンテ・レラ
やれやれ。
人間であれば鼓膜が破れていてもおかしくありませんでしたよ。
書庫では静かにしてほしいものです。
迷宮の最果てにあるものが真の宝だとは限りませんね……。

やはり先程の書物は無意味なものではなかったようで。
ドラゴンを実際に見るのは初めてですが
落ち着いて交戦するのみですよ。
――先ずは【集中】を。

あのブレス。
耐性を持ち合わせいない私には分の悪い攻撃ですね。
射程から離れるよう
ドラゴンからなるべく離れるように気を付けますが
致し方ない局面では身を固めて防御に徹します。

ある程度離れていようと視認はできています。
……有り難いやら、奴は図体も大きいですからね。
渾身の矢を射てみせますよ。



猟兵達の攻防によりドラゴンは確実に傷を負っていた。
 だがしかし倒れる様子はなく、未だひたすらに吼え続けている。
「やれやれ。人間であれば鼓膜が破れていてもおかしくありませんでしたよ。書庫では静かにしてほしいものです」
 アルジャンテ・レラ(風耀・f00799)は涼しい顔をしながらそう呟いた。
「ふむ、迷宮の最果てにあるものが真の宝だとは限りませんね……」
 彼らが宝物なら良かったのに、と周囲にある書物達を見渡す。
「いえ、宝ではなかったとはいえ、やはり先程の書物は無意味なものではなかったようですね」
 青い書物には黄金のドラゴンの事が書かれていた。それだけで自分達にとっては宝ではないのだろうか。

 アルジャンテはドラゴンを見詰め、集中を始める。
 矢先をドラゴンへと合わせ、確実に当てるように。

 10、9、8、7、6……。

 ブレスによる攻撃や攻撃を受けた事による咆哮で、ドラゴンは激しく動く。
 その輝きが眩しく感じる事もあるが、幸か不幸かドラゴンの巨体は狙いやすい。

 ……5、4、3、2、1。

 ――そこだ、発射。
 アルジャンテの鋭い弓矢が、戦う仲間を掻い潜り、ドラゴンの右目を射る。
 ドラゴンは首を大きく振りながら、再び吼える。ぱらりと黄金の欠片を、涙を流しながら。

成功 🔵​🔵​🔴​

クレイ・ギルベルン
あの書物の群れが宝と思ってしまいましたが、本命はこちらでしたか。
正念場ですね。参りましょう。

POWは私が不得意、ブレスの範囲攻撃は厄介…
ですので、WIZを活かしましょう。

「もう暫く踏ん張って下さい、いにしえの戦士」
「あなたの身体が保つ限り、我々の盾となるのです!」
戦士を前線に立たせ、爪の斬撃を敢えて受けさせます。
猟兵たちを庇いつつ、外れた際の敵の強化も阻止する狙いです。

私は距離を保ちつつ、挙動をつぶさに観察します。
範囲攻撃の前ぶれや
敵の能力上昇が視認出来るなら、周囲に警告しましょう。

誰も大きな怪我をせず、揃って戻りたいものですね…
…あ。ええと、学生の皆さんに示しがつきませんからね。こほん…



クレイ・ギルベルン(天蓋の・f04293)は古代の戦士の霊を召喚し、前線に立つよう指示を出す。
「あなたの身体が保つ限り、我々の盾となるのです!」
 戦士の霊は槍を構えて特攻していく。
 前線で戦う猟兵達と共に戦い、そして盾となり庇い続ける。
「もう暫く踏ん張って下さい、いにしえの戦士」
 爪による斬撃で吹き飛ばされる戦士の霊。
 壁に並んだ書物の下敷きとなるが、主の思いと繋がったのか、がらりと書物の中から姿を現す。
 戦士の霊は傷付きながらも、声を発さずただただ戦い続ける。

 クレイはドラゴンとの距離を保ちつつ戦場を観察していた。
 それは戦士の霊に指示を出す為だけではなく、他の猟兵達にも警告をする為だ。
「……雷撃、来ますよ!」
 猟兵達はその声を聞くと各自体勢を整え、戦士の霊は仁王立ちをして庇う体勢を取る。
「……いえ、足元に魔法陣がありますね。いにしえの戦士よ、魔法陣を消して下さい!」
 命令を下された戦士の霊は槍を魔法陣に向けると、槍の刃先に炎を宿し、それを力強く飛ばした。
 輝く床に突き刺さる槍。汚された魔法陣はその力を失い、徐々に輝きを失っていく。
「その調子です、そのまま皆さんのサポートを続けて下さい!」
 猟兵達を応援すると共に、クレイは戦士の霊を最後まで信じ続ける。

成功 🔵​🔵​🔴​

アイン・ローレンス
浮かぶ本に黄金のドラゴン。
これで囚われの姫君でもいたら本当におとぎ話ですね。
そんなに可愛らしいものでは無いのが問題ですが。

敵が無敵状態の時は攻撃は仕掛けず、素早く後ろに回り込み
弱点になりそうなところが無いか良く観察します。
本にも弱点なんかは書いてなかったでしょうか?

まあ色々と試してみましょう。
黄金だったら炎で溶けたりしませんかね。
「エレメンタル・ファンタジア」で炎の落雷を発動。
それだけ的が大きかったら当てやすくて助かります!

斬撃に当たるのも嫌ですが、魔方陣も厄介ですね…。
どうにか魔方陣を消すことは出来ないでしょうか。



浮かぶ本に黄金のドラゴン。
 これで囚われの姫君でもいたら本当におとぎ話なのに。
 アイン・ローレンス(気の向くままに・f01107)は少し残念そうにそう感じていた。
「……そんなに可愛らしいものでは無いのが問題ですが」
 暴れるドラゴンを目の前にし、自分の夢物語を虚しそうに捨て去る。

「黄金だったら炎で溶けるかもしれませんね」
 静かに手を広げ、指先をぐるりと回せば、ドラゴンの頭上に出来るのは暗雲。
「的が大きくて助かります。それでは……!」
 指先をすっと下げる。それと共に暗雲から流れ落ちたのは炎の落雷。
 燃える炎を宿したアインの雷撃はドラゴンの背へ直撃する。
 突き刺さる痛みにドラゴンはより一層輝き、咆哮をあげ暴れ出す。
「いえ、まだです!」
 暴れるドラゴンの爪を避けながら指先を動かすアイン。
 ドラゴンの輝きに目が眩みそうにもなるが、攻撃を止める事など考えはしない。

「――あれは」
 眩しさに目を細めていると、見えたのはドラゴンの足元にある魔法陣。
「どうにかあれを消すことは出来ないでしょうか」
 アインは指先をドラゴンの足元に向けると、魔法陣に向かって雷撃を撃ち落とす。
 抉れて燃えた床は魔法陣を破壊し、その輝きをも奪っていった。
「なるほど、これなら行けますね」
 方法が分かればこちらのもの。彼女の動く指先は、まるで指揮棒の振っている様にも見えた。

成功 🔵​🔵​🔴​

紅庭・一茶
「ド、ドラゴン!実物は初めてですよっ!
 これは確かにお宝ですけれど、
 暴れるお宝なんてミミックの類で十分なのですーー!」

ブレスが滅茶苦茶…危ない!
ですので、先に皆さんに被害が行かない様に警告を!
「皆さん!色々と危ないので、どうかたくさん下がって!」
その間の【時間稼ぎ】はお任せ下さいと、
ユーべルコードの詠唱を始めましょう。
複製した武器たちをドラゴンの周りで飛ばし、
紅庭も下がりつつ暫し翻弄して時間を稼ぎましたらば!
――一気に叩きます!【2回攻撃】ガンガンです!
反撃する気ならっ、いっそお口へ…召し上がれ!

「きみなんて、もう…砂糖菓子のようなものですから!」

(もし被害が行きましたらば、キュアします!)



「ド、ドラゴン! 実物は初めてですよっ!」
 黄金のドラゴンにかかれば、小さな身体である紅庭・一茶(いばらゆめ・f01456)を丸呑みする事など容易い事だろう。
「これは確かにお宝ですけれど、暴れるお宝なんてミミックの類で十分なのですーー!」
 雷撃のブレス攻撃にあたふたしながら逃げる一茶。
「皆さん! 色々と危ないので、どうかたくさん下がって!」
 逃げながら猟兵達に声を掛けつつ、ドラゴンとの距離を取った所で一茶はくるりと向きを変える。
「よ、よし……時間稼ぎはお任せ下さい!」
 武器であるsugar☆stickをぎゅっと握り締め、彼はユーベルコードの詠唱を始める。
「お砂糖はひとつ、」
 ぽん。
「ふたつ、」
 ぽん。
「みっつと、」
 ぽん。
「――たっくさん!」
 一茶が叫ぶと同時に召喚されたのは、たくさんのシュガースティック。
 甘い香りを漂わせながら、シュガースティックの群れはドラゴンへ向けて泳ぐ。
 ドラゴンは群れに向かって雷撃のブレスを放つ。
 しかし甘い甘い魚達は群れを解散させ散り散りばらばらに泳いでいく。
 まるでそれは水族館の大きな水槽を眺めている様にも見えた。
 ドラゴンは首を大きく振ってシュガースティック達を振り払う。いっその事噛み砕いてしまおう。そう告げるかのように大きな口を開いた瞬間。
「今です! いっそお口へ……召し上がれ!」
 一茶が両手を突き出した。シュガースティック達はドラゴンへ矛先を向けると、一斉に口の中へと突撃していく。
 それはきっと、錬金術でも作れない、甘い甘い味だったに違いない。
「きみなんて、もう……砂糖菓子のようなものですから!」
 口の中へ入っていったシュガースティックの群れは、ドラゴンの喉を、首を、突き破った。


 黄金のドラゴンは声にならない最後の咆哮をあげると、その輝きを徐々に失っていく。
 黄金かと思われた色はやがて灰色となり、ドラゴンを模した石となり、砂漠の砂の様に散っていった。
 突如生まれる静寂。暫く時間が経った後、猟兵達はやっと感じ始める。
 ――勝った、と。
 書物の迷宮を攻略し、書物の魔物を退け、錬金術により生まれたドラゴンを打ち倒した。
 あとは時間の問題。迷宮にいる学生達と共に、地上へ帰るだけだ。
 猟兵達は安堵のため息を漏らし、お互いに笑顔を浮かべ合うと、書物庫へ背を向けて去っていく。

 こうして猟兵達の戦いは幕を閉じる。
 しかし彼らの活躍は、まだ始まったばかりなのである。
 これは書物の一頁に過ぎない、『始まりの戦い』なのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2018年12月20日


挿絵イラスト