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大祭祀ハロウィン襲来〜VS黒ギャル

#ケルベロスディバイド #お祭り2023 #ハロウィン #大祭祀ハロウィン #季節の魔法

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#季節の魔法


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●大祭祀ハロウィン
「……とうとう、この世界に気付きやがったか! 六番目の猟兵……36世界最大のイレギュラー!」
 じりと滾る衝動に、吼えるものがある。
「このオレサマがいれば、例え鴻鈞道人やライトブリンガーといえど、オブリビオンは近づけねえ。だが、あいつら猟兵はダメだ。ハラぁくくって戦うしかねえ!」
 彼のものの名は『大祭祀ハロウィン』。
「他の十二剣神共が、猟兵の存在を知ってどう動くかは未知数だが……オレサマも、生き残る為には何だってやるぜ!」
 にい、と凶奔の笑みを浮かべる。
「さあ『|神が如き者共《デウスエクス》』よ、俺の|小剣《グラディウス》と『季節の魔力』をやろう! 地球に行って、掻き回しに掻き回して来い! 頼んだぜヒャッハァァァァ!!!!」
 高らかな哄笑を受けて不敵な笑みで応えたのは、褐色肌を鎧に包んだ娘だった。

●仮装ですって。
「異装祭があるそうだね?」
 蟲籠を大切そうに抱え、秋津・なみ(人型の黒燐蟲・f37237)が不思議そうに首を傾げて問う。
 問われた側の猟兵たちは、なんとも言えない表情だ。
「うんまあ……|異装祭《コスプレ》か」
「そこはせめて仮装と言ってほしい……」
 確かに、異なる装いに間違いはないが。
 何が違うのかなあとやはり不思議そうな顔で呟き、それから優しく蟲籠を撫でた。
「ええと……けるでばという世界のことは知っているね?」
 たどたどしい発音でグリモア猟兵が説明するところでは。
 ケルベロスディバイド世界の人々が危惧していた、ハロウィンの祭りによって極大まで高められる『季節の魔力』……即ち『ハロウィンの魔力』を狙い、十二剣神『大祭祀ハロウィン』が行動を開始した。
 大祭祀ハロウィンは地球に『ハロウィンの楔』を打ち込み、この世界中を「ハロウィン化」させようとしているのだ。
「はろういん化というのは、簡単に言うと、世界が「万物が存在する状態」へ変じてしまうことで、これに飲み込まれれば、いかに猟兵と言えども無事ではすまないだろうね。だけど、この混沌に耐え抜く手段がひとつだけ存在するんだ。それは、仮装によって「あらゆる世界の概念が同時に存在する状況」を作り出すこと」
 言ってから、
「猟兵もおぶりびおんも混沌だよねえ」
「うーん否定できない」
 それはさておき。
「みんなには、ぎゃるになってもらうよ」
「なんて?」
「ぎゃる」
 どういうこと?
 心から訝しげな目を向けられ、グリモア猟兵はからりと応えた。
「まずは、大祭祀はろういんの命を受けて決戦都市を攻め落とすために現れたでうすえくすの軍団と、はろういん化しつつある都市内部で戦うことになる。都市には決戦配備ぽじしょんが完備されているので、これを利用すれば戦いを優位に運べそうなんだ」
「うん」
「そのでうすえくすが、ぎゃるなんだ。で、これは黒ぎゃるにしようとしてくる」
「なんで?」
 相対することとなる敵は、『クロギャルーンの拡散者』という。
 デウスエクス『エインヘリアル』の一派であるこれは、フリディッシュというエインヘリアルが独自開発した「生物の心身を年齢・性別問わず淫らな黒ギャル女子に変えるルーン」の力を周囲に拡散する能力に長ける。
 戦闘能力は低いが、問題なのはそこではない。
「黒ギャル化かあ……」
 またそんな混沌な。
 かなり濃い目の属性に頭を抱える猟兵たちへ、なみはこくりと首を傾げて告げる。
「なのでね、みんなには黒以外のぎゃるで対抗してほしい。ぎゃるでなくてもいいけど、最低限何かしらの格好はしてね」
「黒以外のギャルって何だろうね」
 そもそもギャルの定義とは?
 しとやかな八重桜の着物を丁寧に着込んだなみは少しの間思案して、
「私の時代には……うーん……なんだかきらきらした人たちのことを、そう呼んでいた気がするよ。だから、確固たる意志をもって装えば、それはそうと言えるんじゃないかな」
 まあとりあえず強引にでも主張すれば通りそうな気がする。
 それらを倒したあとに待つのは、自らこの都市の「ハロウィン化」を続けるべく猟兵の前に現れる『大祭祀ハロウィン』。
  相手はデウスエクスの大ボスのひとりであるため、真っ向勝負では苦戦は必至だが、決戦配備ポジションの利用が可能である。これを駆使して、勝機を手繰り寄せるのだ。
「大祭祀はろういんはぎゃるにしてこないから安心してね。あと……もし不適切なことになったら、それは報告書には書かれないからそこも安心してほしい」
「お気遣いありがとうございます」
 全年齢対象なのでね。
 まあ気楽にね、と自身も気楽に笑い、
「楽しく仮初の姿を装うのは、呪術儀式にもある。うん、このような悪辣な企みは賑わいにふさわしくない。だから、頼んだよ」
 どこか鋭さを含んだ笑みで告げ、それから猟兵たちを送り出した。


鈴木リョウジ
 こんにちは、鈴木です。
 今回お届けするのは、黒ギャル。

●大祭祀ハロウィン襲来
 ケルベロスディバイド世界の人々が危惧していた通り、ハロウィンのお祭りによって極大まで高められる『季節の魔力』……即ち『ハロウィンの魔力』を狙い、十二剣神『大祭祀ハロウィン』が行動を開始しました。
 大祭祀ハロウィンは地球に『ハロウィンの楔』を打ち込み、この世界中を「ハロウィン化」させようとしています。
 ハロウィン化とは、簡単に言うと世界が「万物が存在する状態」へ変じてしまうことで、これに飲み込まれればいかに猟兵と言えども無事ではすみませんが、このカオスに耐え抜く唯一の手段が、仮装によって「あらゆる世界の概念が同時に存在する状況」を作り出すことです。
 決戦都市を攻め落とそうと現れたデウスエクスの軍団と、ハロウィン化しつつある都市内部で戦います。都市には|決戦配備《ポジション》が完備されているので、これを利用すれば戦いを優位に運べそうです。
 仮装をすることで「ハロウィン化」から身を守りつつ、ハロウィンの尖兵として送り込まれてきたデウスエクス軍団を蹴散らし、多重分身で世界各地に現れる大祭祀ハロウィンを撃破して、ケルベロスディバイド世界すべてのハロウィン化を阻止してください。
 第1章・第2章とも、|決戦配備《ポジション》を使用する場合は、プレイングで指定してください。略称で構いません。
 |決戦配備《ポジション》については、ケルベロスディバイド世界の説明をご参照ください。

●仮装について
 必ず、何かしらの仮装をしてください。
 仮装の内容については、それっぽいアクセサリーなどをつけるだけから、全身仮装することまで、「仮装している」と宣言すればそのとおりに扱います。
 また、ギャルの定義については、姫ギャルやネオギャルなどから、騎士ギャルや|宇宙《スペース》ギャルなどまで、「これがギャルだ」と宣言すればそのとおりに扱います。
 自分でもよく分かっていなくても問題ありません。
 なお、ギャルとは若年の女性を指す言葉ですが、年齢・性別は不問です。

●お願い
 全章通してえっちな描写はありません。
 露出度が高い程度では問題ありませんが、明らかに性的な格好・行為とみなせる場合はマスタリングの対象となります。
 また、攻撃を受けること、負けることを前提としたプレイングは受理しません。

 それでは、よろしくお願いいたします。
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第1章 集団戦 『クロギャルーンの拡散者』

POW   :    クロギャルーン歌唱
【黒ギャル女子になる事の素晴らしさ】の主張を込めて歌う事で、レベルm半径内の敵全てに【心身の急速な黒ギャル女子化】の状態異常を与える。
SPD   :    クロギャルーン爆弾
【スマホ】からレベル個の【高速で動き回る派手にデコられた人形爆弾】を召喚する。[高速で動き回る派手にデコられた人形爆弾]は誰かが触れると爆発し、【心身の急速な黒ギャル女子化】の状態異常を与える。
WIZ   :    クロギャルーン濃霧
レベルm半径内に【派手な色合いの霧】を放出し、味方に治癒を、敵に【心身の急速な黒ギャル女子化】の状態異常、全員に興奮作用を与える。

イラスト:もりさわともひろ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ギャルギャルしい。
 大祭祀ハロウィンが「頼んだぜヒャッハァァァァ!!!!」したあと。

「でもさー、ぶっちゃけダルくね?」
「それな」
 黒ギャルエインヘリヤルたちはダベっていた。
「っつかウチらシブハロ行きてんだけど」
「今年ないらしいよ」
「マ?」
「マ」
「えー……ガッツリ楽しんで美味しくいただきたかったのに」
「ブクロどうよ」
「ブクロは埼玉じゃんよ」
「出たブクロ差別」
「お前らーそろそろ真面目にやれー」
「「「「「うぇーい」」」」」
「黒ギャル仲間ふやすぞー」
「いや|都市《まち》落とすのが目的だべ」
レティス・シェパード
(アドリブ・連携可)
ぎゃ…る…??
い、いやそんな…ウチには縁遠い概念で、なりきるなんてとても…
…きらきらした人、確固たる意志で装う人をギャルと呼ぶ。そういう話でしたよね?
それならば…よ、よーし…!
お待たせしました!私の仮装はディアンドル、
この衣装は農家の女性の服装が源流だと聞きます。
つまり…|農《ノ》ギャル!
畑を耕し、収穫の喜びを分かち合う…
そんなギャルとしてこの混沌に対峙します!

三属性の魔力で状態異常力を強化、これで黒ギャル化に少しは耐性ができるはず。
歌唱に対して『アルムリ』を介して音の<属性攻撃>魔法、
逆相音をぶつけてかき消します!
その隙に『クラッシャー』の決戦配備で砲撃をお願いします!


イェルク・ローガー
アニーちゃん(f26832)と

黒ギャル…それは、伝説のなんかアレ…(曖昧)
あ、うん知ってる知ってる、知ってるけどギャルの文化って色々あるしさあ?
つまり俺のこの姉ギャルスタイルもギャルなのである!
やめてドン引きしないでアニーちゃんも距離取らないでお願いだからマジで(早口)
ま、黒ギャルなんかより超つよつよギャルってことだ!

まずはチェン剣ぶん回して突撃するぞ。
歌は聞かないようにする…ったって限度はあるからな、ちょいグロいけど上半身、できれば喉を狙って歌うのを妨害するか。
アニーちゃんのお茶を楽しんだりはしねぇだろうし、それも合わせて動きを鈍くすることぐらいはできるだろ。


アニタ・エヴァーフィールド
イーさん(f34004)と

た す け て

ギャル!?ギャルって何!?
私ギャルの格好なんか無理っていうかやだやだやだー!!(以上回想)

地雷系ギャルですって…
ふ…いいわ、今の私に怖いものはないわ…イーさんあとで覚悟しなさい…

紅茶の時間で動きを鈍らせ鎧砕きで防御力を削ぎながら、属性を与えた魔法剣で2回攻撃をして、確実にダメージを与えられるよう頑張るわ
ギャルだってお茶をするでしょう?
たまにはこういうお茶もいいものよ
攻撃は時計を盾にして受け止めたり、避けられないなら覚悟を決めて、オーラ防御で身を守りながらランスチャージで突破を試みるの

このジャラジャラした鎖、本当に邪魔だわ
私を縛るのは、私の時計だけで充分よ



 決戦都市にて。
「ぎゃ……る……??」
 レティス・シェパード(迷える子羊系ドール・f09189)は、集まっている黒ギャル……正確には『クロギャルーンの拡散者』たちを見て息を呑んだ。
 両サイドで結んだ金髪。褐色の肌。丈の短いスカート。篭手で操作するのは難しそうなスマホ。誰からともなく話し出すと、同時多発的にワイワイと脈絡なく盛り上がる集団。
「い、いやそんな……ウチには縁遠い概念で、なりきるなんてとても……」
 辺境で二人暮しをしていたレティスには、知識として知っていても、そんな派手なことには親しみがない。
 逃げるように視線を彷徨わせた先、アニタ・エヴァーフィールド(さまよいゆくこころ・f26832)は、凄絶な表情をしていた。

 た  す  け  て

 何も言っていないのに、とてもとても雄弁に訴えている。
 普段から自信なさげにおどおどしている彼女であるが、そんなレベルではない。
 何故彼女がそんなことになっているかというと。
「ギャル!? ギャルって何!? 私ギャルの格好なんか無理っていうかやだやだやだー!!」
 以上、回想終わり。
 そんな強めに抵抗した彼女の服装は、いつものワンピースではない。
「地雷系ギャルですって……」
 なにやら鎖がついたり黒かったり白かったり、普段の彼女であれば絶対にしない格好だった。かろうじて、鎖に繋がれた時計がいつもどおりと言えるだろうか。
「ふ……いいわ、今の私に怖いものはないわ……イーさんあとで覚悟しなさい……」
 呪詛を向けられたイェルク・ローガー(何れ還る場所・f34004)は、何やら玄人っぽい表情で眼を細めた。
「黒ギャル……それは、伝説のなんかアレ……」
 至極曖昧な概念に、黒ギャル軍団は唇を尖らせる。
「うちらのこと知らねーんじゃんよ」
「あ、うん知ってる知ってる、知ってるけどギャルの文化って色々あるしさあ?」
 一口にギャルと言っても、その種類は多種多様に渡る。たとえば黒ギャルひとつとっても、その黒さやメイクによっても違うという。
 筋骨隆々のイェルクが、親指を立てて自身をビシリと指した。
「つまり俺のこの姉ギャルスタイルもギャルなのである!」
 タイトなギャル服にギッチギチの筋肉を詰め込んだその姿はまさに異様。
 さしもの黒ギャル軍団も、これには何を言っていいか分からない。あと彼に同行したアニタも、ジリジリあとずさって距離を取り「私このヒトとは関係ありません」といった様子だ。
「やめてドン引きしないでアニーちゃんも距離取らないでお願いだからマジで」
 早口で懇願するも視線をそらされる始末。ふ、まあいいさ。
「ま、黒ギャルなんかより超つよつよギャルってことだ!」
 ガシッとポーズを取るが、どう見てもギャルではない。いやこれもギャルなのか?
 自信満々に胸を張る不審人物を見ていいのか見ないほうがいいのか悩み、レティスはうん、とうなずく。
「……きらきらした人、確固たる意志で装う人をギャルと呼ぶ。そういう話でしたよね?」
 それならば……よ、よーし……!
 覚悟を決めて、少々のお着替えタイム。
 改めてレティスが身にまとうのは、袖の短いブラウスの上に着けた袖のない|胴衣《ボディス》とふんわりしたスカート。
「お待たせしました! 私の仮装はディアンドル、この衣装は農家の女性の服装が源流だと聞きます。つまり……|農《ノ》ギャル!」
「「「「「|農《ノ》ギャル???」」」」」
 声が一斉に揃った。
 そして、黒ギャルたちのなかからざわめきが立つ。
「いやうち聞いたことあるわ、ギャルやりながら農業やってるギャルのことっしょ」
「何で知ってんだよやべーな」
「こないだ食ったヤツから聞いた」
「んだよ、ガチ生産性高ぇギャルじゃん」
 ギャル認定は問題ないようです。
 三属性の魔力を用いて状態異常力を強化しながら、レティスは黒ギャル軍団をまっすぐに見据える。
 これで黒ギャル化に少しは耐性ができるはず。
「畑を耕し、収穫の喜びを分かち合う……そんなギャルとしてこの混沌に対峙します!」
「俺はアリだと思うぜ」
 悲壮な覚悟にウンウンと首肯し、イェルクが巨大なチェーンソー剣を豪快に振るって、クロギャルーンの拡散者へと攻撃を仕掛けた。
「歌は聞かないようにする……ったって限度はあるからな」
 ちょいグロいけど上半身、できれば喉を狙って歌うのを妨害するか。
 狙いを定めた刃は、しかし細腕の操るメイスに防がれる。
「ギャルってのはそれぐらいじゃ止められないのさ!」
 ギィンと鈍い音をさせて刃を弾き、クロギャルーンの拡散者はんん、んっん。とわざとらしく咳払いして息を吸う。
 ────……♪
 軽薄な外見からは想像もつかないほど透きとおる声が旋律を紡ぎ、空気を震わせた。
 それは同時に、耳にした者の心を震わせ、ざわめかせる。
 黒ギャル女子いいよ、トシとか男女とか関係ないよ、なんなら男が黒ギャル女子になったら背徳感ヤバいよ。とかそんな感じの主張ではあったが。
 あ、ちょっと黒ギャルいいかも……と心が揺れ始めたその時、凛と響く鐘の音があった。
 レティスの手にする|小さな鐘《アルムリ》は、決して大きな音を立てていないのに、聞く者の心に波を立てる。同時に、逆相音をぶつけて黒ギャル化を促す歌をかき消す。
 人数を増やせばと黒ギャル軍団の合唱が始まると、柔らかくたゆたう緋色の流れがゆるり敵を包んだ。見ればアニタが、手にするティポットから薫り高い紅茶をカップに注いでいた。
「ギャルだってお茶をするでしょう? たまにはこういうお茶もいいものよ」
「こっ……の!」
 さあどうぞと給仕しても、素直に受け取るはずがなく。
 鈍った動きでかろうじてスマホを操作すると、派手に|装飾さ《デコら》れた人形が周囲に現れた。
 本来であれば高速で移動し襲いかかるこの人形爆弾は、行動を阻害されたクロギャルーンの拡散者にはうまく操ることができず、ぎくしゃくとした動きで猟兵たちへと襲いかかる。
 触れれば爆発すると言えども、触れるより前に破壊され、ついでに黒ギャル軍団のなかへ放り込まれて誘爆を引き起こした。
「砲撃をお願いします!」
 レティスの合図とともに、どこからか地響きに似た音が聞こえる。
「え、ちょ、待っ……?」
「うちらヤバくね?」
 うろたえるエインヘリヤルたちが避けることはかなわず、幾重にも繰り出される砲撃が、狙い違わず敵を撃つ。ドォン、ドドンと重い砲撃もあれば、ザガザガと素早く連発される砲撃もまじり、地面が軋んだ。
 途端に巻き上がる土煙のなか、
「マジあんたらふざけんなよ……!」
 メイスを構えて飛び出したクロギャルーンの拡散者の攻撃を、アニタは時計を掲げて防ぎ、レティスが素早く振るったケインソードの一撃が貫く。
 黒ギャルが倒れ臥すのと同時に、鎖の音が鳴った。
「このジャラジャラした鎖、本当に邪魔だわ」
 私を縛るのは、私の時計だけで充分よ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【POW判定】

ミニスカートなボディコンを着てジュリ扇を持った姿…所謂「お立ち台ギャル」の仮装をするよ♪
ちょっと前に知り合った人がいうには、「ナウなヤングにバカウケ」だって★
…ネタが古い?えっそうなの?

UCは「クローネちゃんのキラキラなお友達★」を使用★
【召喚術】でクローネちゃんと同じお立ち台ギャルに仮装したヴァルキュリアちゃん達を呼び出すよ♪
皆で【ダンス】しながら戦うよ♪
相手のUCは【呪詛耐性】【狂気耐性】で耐えようとするね♪

ポジションはスナイパーを要請♪
こっちが前衛をやるから、射撃支援をよろしくね♪


藍沢・織姫
何故か知らないけど、デウスエクス、特にエインヘリアルは絶対許しちゃいけない気がするのです。覚えていないけど昔すごく強い恨みを持っていたような…。まあそれはどうでもいいですね。

さて、仮装すればいいとの事なので。
ハロウィンらしく黒猫の着ぐるみを着てみましょう。自前の翼を出せば黒ウィングキャットです!
なにせ黒ギャルより黒猫の方が黒い!!と自分を奮い立たせてユーベルコードで対抗しつつ敵を攻撃します。なんなら黒猫ギャルとしてパワーアップ出来ないかな…?
決戦配備は…ジャマーのバイオガスで爆弾の進行方向を狂わせて同士討ちを誘発させてみましょうか。


白瀧・テテ
大祭祀ハロウィンとか言うカボチャは煮物にしていいの?私はカボチャケーキでもいいよ!(食欲旺盛)

今度の敵は黒ギャルなの!?だったら私は白ギャルね!ん?赤ギャルかな?う〜ん、貴女はどっちだと思う?
よく分からないけど、女子こーせーの制服を着ればいいのね!

ポジションはクラッシャー!【技能∶破魔、元気】でガンガンいくよー!
【髪の手(Pow)】で黒ギャルちゃん達を捕まえたりポイポイしたりするよ!その辺にある飾りのカボチャを投げるのもいいかもね。【フェイント】も使えるかな。

黒ギャルちゃん達の歌は耳を塞いで【祈り、浄化】するよ!



 爆発と砲撃の衝撃が吹き払われ、クロギャルーンの拡散者たちはむき出しの敵意を猟兵たちへと向ける。
「マジ信じらんね、いきなりブッパする?」
「お前らほんと許さんかんな!」
 迫力に欠ける宣戦布告を真正面から受けて、クローネ・マックローネ(快楽至上主義な死霊術士・f05148)がふふんと笑う。
「クローネちゃんが受けて立つのだ★」
 ハロウィンの飾りとして用意された巨大なカボチャの上に立つ彼女の姿、ミニスカートなボディコンを着てジュリ扇を持った姿……所謂「お立ち台ギャル」であった。
「ちょっと前に知り合った人がいうには、「ナウなヤングにバカウケ」だって★」
 バチッとポーズをキメてみせるが、黒ギャル軍団の反応は今ひとつだ。
 あれ? と不思議そうな彼女に、黒ギャルのひとりがこそこそっと耳打ちする。……ふんふんなるほど。
「……ネタが古い? えっそうなの?」
「ちょっとうちらの世代じゃないかなあ」
 とはいえ、黒ギャルたちは啖呵をきったわりに攻撃的な態度を見せない。どちらかというと、友好的ですらある。
 なんか様子がおかしいな?
「あのヒトマジヤバくね? 黒黒の黒じゃん」
「ガチだわ……黒ギャルオブ黒ギャルじゃんな」
「じゃああたしらの仲間じゃん?」
「や、でも猟兵だよ? 敵だべ」
 小さく(でもない)聞こえてくる会話の内容から察するに、黒い肌を持つブラックタールであるクローネを黒ギャル認定したようだ。
 そんなやる気があるんだかないんだかな敵を睥睨し、藍沢・織姫(炎の歌姫・f03959)はふっと息を吐く。
「何故か知らないけど、デウスエクス、特にエインヘリアルは絶対許しちゃいけない気がするのです。覚えていないけど昔すごく強い恨みを持っていたような……。まあそれはどうでもいいですね」
 それは、遠い記憶。遠く遠く……思い出せないほどに遠く、なのに確かに心に燃えている感情。心のどこかでうごめくその情動の正体をつかめず、さりとて急いては求めず。
 さて、仮装すればいいとの事なので。
 織姫が着込んだのは、ハロウィンらしく黒猫の着ぐるみ。全身あますところなく黒いその姿で、自前の翼を出せば黒ウィングキャットです!
 真っ黒な格好の織姫を前にした黒ギャルたちは、ざわ……ざわざわ……と低くどよめいた。
「やっべ、超黒いじゃん」
「や、でも黒ギャルじゃなくね?」
「フリディッシュ様、OKくれっかな」
 おっとこれは予想外の反応だぞ。
 そう、彼女の格好は黒い。なにせ黒ギャルより黒猫の方が黒い!!
 それは自身を奮い立たせるためであったが、黒ギャルたちにも影響があった。
「大祭祀ハロウィンとか言うカボチャは煮物にしていいの? 私はカボチャケーキでもいいよ!」
 ちょっと空気感の違う白瀧・テテ(ヤドリガミの闇医者・f25201)は、黒ギャル軍団を見て、こっくり首を傾げた。
「今度の敵は黒ギャルなの!? だったら私は白ギャルね! ん? 赤ギャルかな? う〜ん、貴女はどっちだと思う?」
 よく分からないけど、女子こーせーの制服を着ればいいのね!
 じゃーん! とキラッキラの白赤ギャルスタイルのテテに、黒ギャルたちは、しかし態度を急変させた。
「こいつだけ黒くねーぞ!」
「徹底的に黒くしてやれー!」
「メイクもバッチリしてやんよ!」
「あれー!?」
 今にも襲いかかりそうな勢いのクロギャルーンの拡散者から手にするメイスやスマホで指されて、|疑問《なんで》と|抗議《なんで》の悲鳴を上げる。
 黒い肌のクローネと黒猫の織姫は真っ黒なのに対し、テテはあまりにも白すぎた。
「どっちにしたって、あたしらの仲間じゃないならそうするだけさ!」
「お前ら全員黒ギャルにすっからな!」
 独特な喧嘩腰に、クローネがぱんっと手を叩いて声を上げる。
「キラキラしてる子達を紹介するね♪ クローネちゃんのキラキラなお友達★」
 彼女と同じお立ち台ギャルの仮装をした、漆黒の肌を持つ色っぽいヴァルキュリアがずらりと現れた。おっこいつも攻撃してくんのか? と身構えたクロギャルーンの拡散者の前で、クローネはヴァルキュリアとともに踊りだした。
 それはなんとも言えない味わい深いダンスで、つい自分も混ざりたくなるような、見ているだけで充分なような。
 つられたノリのいいクロギャルーンの拡散者が、自身も踊りながら歌い出す。もちろん歌うのは、黒ギャル化はいいぞといった内容だ。
 気持ちよく歌う黒ギャルへとクローネはにっこりと笑いかけ、
「ハイそこまでー♪」
「うわー!!」
 ビシビシっと攻撃を放って倒す。倒されたクロギャルーンの拡散者は、心なしか楽しそうだ。
 歌の効力を受けた織姫の身体から炎のオーラが燃え盛り、
(「なんなら黒猫ギャルとしてパワーアップ出来ないかな……?」)
 少しだけ期待してみたが、特にそういったことはなく。
 しかし、彼女を同じ黒ギャル仲間かもしれないと認識してしまったクロギャルーンの拡散者たちの動きはやや鈍く、勢いがない。
 それは「黒ギャルオブ黒ギャル」と称賛されたクローネに対しても同様で、
 他方、白っぽく赤っぽいために「お前も黒ギャルにしてやる!」と意気込み躍起になって狙われるテテ。
 耳を塞ぎながら豊かな髪を操り、黒ギャルを捕まえては投げたり振り回したりしていく。
「ちょっと、どこ掴んでんの!?」
「う、動けない……!」
 抵抗も抗議も絡め取られては放り出されるクロギャルーンの拡散者を、猟兵たち以外にも、そこここに潜み戦況を仰いでいる狙撃手が狙い撃つ。倒すほどの一撃ではないが、ダメージを与えもしくは行動を妨害するだけの威力があった。
 狙撃を受け、次はどこから狙われるかと疑心暗鬼になっていく敵へ織姫がとどめを刺し、返す手で他の敵へも攻撃を繰り出す。
「まだまだいくよー!」
 エインヘリヤルだけでなく手近な飾りのカボチャなども掴んでは投げつけていくテテに、クロギャルーンの拡散者たちは手こずっていた。
「近付かなきゃいいってことじゃんね!」
 猟兵たちから距離を取り、構えるスマホがルーンを刻む。召喚された何体ものデコ人形爆弾が猟兵たちへと飛びかかるが、テテの髪が叩き落とし、あるいはどこからか放たれる狙撃に撃ち落とされた。
「ぐぬぬぬぬ……!」
「まだ打ち止めじゃないぞ!」
 負け惜しみじみた威勢とともに、再度スマホを操作する。
 次々と現れる人形爆弾が襲いかかるのは、同じ人形爆弾であったり、操者であるクロギャルーンの拡散者へだった。
「え、何で!?」
「何が起きてんの!?」
 信じがたいと状況に声を上げるクロギャルーンの拡散者たちは気付いていない。ジャマーのバイオガスの効果で正確な判断が阻害され、爆弾の進行方向を狂わせて同士討ちが誘発されているのだ。
 つかの間生まれる隙をつき、クローネとヴァルキュリアたちは踊りながら攻撃を仕掛ける。
 最後の仕上げとばかりに叩き込まれる砲撃と猟兵たちによって、クロギャルーンの拡散者たちは殲滅されていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『十二剣神『大祭祀ハロウィン』』

POW   :    そして世界はハロウィンと化す
【ハロウィン化した世界】を見せた対象全員に「【オマエのハロウィンを見せてみろ!】」と命令する。見せている間、命令を破った対象は【ハロウィンによる肉体変化に抗う力】が半減する。
SPD   :    トリック・オア・ハロウィン
【食べた者をハロウィン化する毒菓子】を給仕している間、戦場にいる食べた者をハロウィン化する毒菓子を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
WIZ   :    真理を識る大祭祀ハロウィンの視線
視界内の対象1体の精神を【真実の部屋ハロウィン】に追放する。精神が帰還するまで、対象の肉体は動けないが無敵になる。

イラスト:key-chang

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ハロウィン大決戦
 猟兵たちが駆けつけた先には、かの強大な存在が待ち構えていた。
 不敵な笑みを浮かべて、しかし油断せずに。
「来ると思っていたぜ、猟兵ども! あの|神が如き者共《デウスエクス》はやられちまったようだが、まあアイツらにどうにかできるとは思っちゃいねえ!」
 ひとしきり哄笑し、
「アイツら、黒ギャル仲間になりそうなヤツとか黒ギャルっぽいヤツにはさっさとなびいて仲間にしちまおうとするからな! まあなんとなくそうなるとは思ったぜ!」
「ああ、やっぱり……」
 目的間違えちゃうんだねえ。
「だがこのオレサマは違う!! さあ、おっ始めようぜ!!」
白瀧・テテ
やったー! カボチャが来たぞぅ!
飛んで火に入る夏の虫!

切り分けは私に任せて!
何等分にすればいい? ここにいる人達の分でわけちゃうよ? ザ・入刀!【妖剣解放(SPD)、斬撃波】

あっれ、硬い!?
電子レンジしてから切った方がいい?
でもここは戦場……誰か火! 火持ってない?
待ってろ私のパンプキンスープ! パンプキンケーキ!

オマエのハロウィンを見せてみろ!? 私どう見てもギャルのコスプレしてっしょ! あっ、私よく幽霊に間違えられるから幽霊でもいいよ! ドロドロドロ〜オバケだぞ〜怖いんだぞぉ!


藍沢・織姫
|英霊《エインヘリアル》も|万聖節《ハロウィン》も、侵略者どもに相応しい名ではありません!

さて、ハロウィンの起源や定義には諸説あるようですが。
一つ確実に言えるのは「ただし大祭祀ハロウィン、てめーはダメだ」ってとこですかね。
私のハロウィンは…月並みですがやはり、年に一度の特別な時期だからこそ楽しいもの!こんな着ぐるみとか、年がら年中は着られません。
ただどんちゃん騒ぎするだけではなく、敬うべき先祖や故人を知っている人にとっては更に特別な意味が有る事でしょう。
人々の命と暮らしを脅かすデウスエクスの企み、焼き払います!

…あ、気づいてるとは思いますが地球ハロウィン化計画は既に頓挫済みですよー


クローネ・マックローネ
NGなし、絡みOK、アドリブ歓迎
【SPD判定】

引き続きミニスカートなボディコンを着てジュリ扇を持った姿…所謂「お立ち台ギャル」の仮装をするよ♪
さっき「ネタが古い」と言われたのが正直ショックだよ…★

UCは「ワタシの空飛ぶドラゴニアンちゃん達」を使用★
クローネちゃんと同じ、「お立ち台ギャル」の仮装をしたドラゴニアンちゃん達を【召喚術】で呼びだすよ♪
皆でお菓子を食べながら【集団戦術】で攻めるね♪
敵のUCによるハロウィン化は【呪詛耐性】【狂気耐性】で耐えようとするね♪
ポジションはメディックを要請♪
毒菓子によるハロウィン化を可能な限り回復・抑制してもらうよ♪



 づ、と禍々しくも重い空気が満ちる。
 これが、これこそが十二剣神『大祭祀ハロウィン』。
 対峙する猟兵たちは、あまりにも強大な存在に畏怖を覚
「やったー! カボチャが来たぞぅ! 飛んで火に入る夏の虫!」
 もとい、いつもどおりでした。
 キャッキャと喜ぶテテの反応に、大祭祀ハロウィンは別の理由で声を荒げた。
「少しは怖がるとか形だけでもしろよイレギュラーどもがよぉ!」
「わーこわーい」
「よくできましたぜクソが!」
 棒読みの悲鳴に、ぎぢぎぢと軋るような音をその声に含ませ吐き捨てる。
 一方、ボリュームたっぷりのふわふわなジュリ扇で口元を隠し、よよよと泣き暮れるクローネ。
「さっき「ネタが古い」と言われたのが正直ショックだよ……★」
 黒ギャルだって、今のギャル界隈から見たらちょっと旬は過ぎているのに……。
 すらりとした彼女のスタイルにタイトでミニスカートなボディコンファッションは、時代的な古さを感じさせない。
 とはいえ、「お立ち台ギャルです★」と言われたら、「あ、ちょっと古いですね……」と思ってしまう。
 だが、そういった|仮装《服装》を受け入れるのもまたハロウィンだ。決して、何物かに強いられあるいは奪われるものではない。
「|英霊《エインヘリアル》も|万聖節《ハロウィン》も、侵略者どもに相応しい名ではありません!」
 自らが携えている、|英霊《einherjar》の名を冠した巨大で強大な鉄塊剣をじらりと抜き払い、織姫が災いなるものへその切っ先を向けた。
「切り分けは私に任せて!」
 テテもまた素早く抜刀し、大祭祀ハロウィンへと跳躍する。
「何等分にすればいい? ここにいる人達の分でわけちゃうよ? ザ・入刀!」
 素早く振り抜いた斬撃による衝撃波が襲いかかるが、十二剣神は嘲弄を崩さない。
 今まさに衝撃が届くその時、ギィン!! と硬質な音が響いた。
「あっれ、硬い!?」
「ヒャハハハハ!! その程度でこのオレサマが傷つけられるかよ!」
 驚愕するテテに、哄笑が浴びせられる。
 己の一撃が通らなかった焦燥に唇を引き結び、それから彼女が口にしたのは、
「電子レンジしてから切った方がいい? でもここは戦場……誰か火! 火持ってない?」
「切り分けるって、オレサマを食うのぉ!?」
 パカーンと口を開いて驚愕する大祭祀ハロウィンに、何がおかしいのかきょとんとするテテ。
「待ってろ私のパンプキンスープ! パンプキンケーキ!」
「しかも原型留めないタイプの加工かよ! 食べ物以外を食べちゃいけませんって教わらなかったのか!?」
 世のなかには、「非食用でも実体がなくても、存在するなら食べられる」くらいの理屈で食べようとする人もいるからね。
 他の猟兵もそうなのかと疑惑の視線を向けると、否定のリアクションを返された。よかった。いやよくない。
「これでも食ってろ、文字通りな!」
 ばっと放り投げるように撒かれたのは、かわいらしいラッピングが施されたお菓子の包みだ。
「ここはカワイイドラゴニアンちゃん達に頑張ってもらうね」
 クローネがひらりジュリ扇を翻すと、幾人もの漆黒の肌を持つ人派の女性ドラゴニアンが現れて、包みを受けとめる。
 もちろん、それがただのお菓子であるはずがない。分かっていても、拒絶はできない。受け入れなければ行動を阻害されてしまうのだから。
 大祭祀ハロウィンがニタニタと笑いながら眺めるなか、ドラゴニアンたちと一緒に、お菓子を頬張った。
「うーん、美味しい♪」
 ニコニコ笑顔でそう口にする彼女を、内側から毒が侵しはじめる。毒とはすなわち|ハロウィン《混沌》だ。
 呪詛や狂気への耐性をもって制そうとするが、彼女自身の力では限度がある。治癒を受けながら、ドラゴニアンたちの支援を受けて大祭祀ハロウィンへと攻撃を仕掛ける。
「ハッ、勢いだけはいいじゃねえか! さあ、【オマエのハロウィンを見せてみろ!】」
 その|問いかけ《ユーベルコード》に応えたのは、テテだった。
「オマエのハロウィンを見せてみろ!? 私どう見てもギャルのコスプレしてっしょ! あっ、私よく幽霊に間違えられるから幽霊でもいいよ! ドロドロドロ〜オバケだぞ〜怖いんだぞぉ!」
「いやお前は少し黙ってろ!」
 静かに!! と身振り手振りで黙らせられついでにお菓子の包みも投げ渡された。
「さて、ハロウィンの起源や定義には諸説あるようですが」
 降り注ぐお菓子を鉄塊剣で切り払い、織姫は十二剣神を見据える。
「一つ確実に言えるのは「ただし大祭祀ハロウィン、てめーはダメだ」ってとこですかね」
 ビタッ。と大祭祀ハロウィンの動きが止まり、心なしかその真っ黒なバックベタを背負っているように見えた。
「私のハロウィンは……月並みですがやはり、年に一度の特別な時期だからこそ楽しいもの! こんな着ぐるみとか、年がら年中は着られません。ただどんちゃん騒ぎするだけではなく、敬うべき先祖や故人を知っている人にとっては更に特別な意味が有る事でしょう」
 ごうと織姫の身から炎が噴き上がる。その炎を滾らせ、まっすぐに敵を見た。
「人々の命と暮らしを脅かすデウスエクスの企み、焼き払います!」
 堂々一喝、奔流となった炎が十二剣神を包み込み燃え上がらせる。
「ガアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!!」
 苦鳴じみた咆哮が炎のなかで悶え、しかし力づくでその勢いを抑え込む。
 焦臭を放つ相手に、織姫は得物を構えて告げる。
「……あ、気づいてるとは思いますが地球ハロウィン化計画は既に頓挫済みですよー」
「だとしてもだ!!」
 歯噛みし大祭祀ハロウィンが吼えた。
「オレサマが諦めねえ限りそれは可能なんだよ!!」
「そんな、俺が起きた時間が朝だ、みたいな」
「うるせえ!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レティス・シェパード
(アドリブ・連携可)
あれが十二剣神…!猟兵の力を以てしても滅ぼしきれないデウスエクス、その統括…!
…何故ハロウィンなのかは分かりませんが…
放っておくことのできない脅威なのは間違いなささうですね…!

相手は強大な十二剣神、出し惜しみなく一気にいきましょう、【炉心過熱・魔力循環】!
強化した<学習力>で大祭祀の視界範囲および死角となる箇所を推測、
決戦配備『ディフェンダー』の障壁やバリケードが作り出す陰も利用して接近。
意識外から意識外へ、神出鬼没のトリックです!
きらきらした人も行事も己の意志あって初めて輝くもの、強制されるものではないのです!
障壁越しに『ハダル』に籠めた<全力魔法>を叩きつけます!


アニタ・エヴァーフィールド
ハロウィン?
そうね…今のこの時代にあっては、恐ろしいものを畏れつつも受け入れることだと思うわ
辱めたり貶めたりするのではなく、新しい時代のひとつの形として定義しなおす…
だから、あなたは、ハロウィンじゃない

鎧をまとって戦うのは少し苦手だけど…たまにはこういうこともしないとね
鎧砕きで防御力を削ぎながら、属性を与えた魔法剣で2回攻撃をして、確実にダメージを与えられるよう頑張るわ
でも私は強くないからイーさんのお手伝いね
攻撃は時計を盾のようにして受け止めたり、避けられないようなら覚悟を決めて、オーラ防御で身を守りながらランスチャージで突破を試みるわ
あなたは、私たちに、負ける。害為す悪とはそういうものよ


イェルク・ローガー
ハイハイハロウィンなーハロウィン。
ハロウィンてのはこれだよ(おもちゃを取り出して)
盆供養みたいなもんなんだろ。
なら、チャチなことだって楽しみたい、喜ばせたいって思うことなんじゃねえの?
みんな楽しく過ごすのをご先祖さんも望んでらあな。

さて戦闘だ、せっかくだから俺も|仮装《変形》してみるかね。
盾役買ってくれてるアニーちゃんを支援するように砲撃するさ!
ついでにクラッシャーの砲撃もお願いしたいな。花火は盛大なほうがいいってもんさ。
攻撃はうまいこと受けないように避けるしかねえな。
なぁに、少しくらい化粧するのが色男ってもんだ。

ところでアニーちゃん、今度こっそり俺だけにコスプ
あ、いやなんでもないです。ハイ。



「ふざけやがって……!! この程度でオレサマを止められると思ったのか!! |猟兵《イレギュラー》!!」
 炎に灼かれ、なお猛り狂う大祭祀ハロウィンの姿に、レティスは息を呑んだ。
「あれが十二剣神……! 猟兵の力を以てしても滅ぼしきれないデウスエクス、その統括……!」
 一見粗暴な素振りも、軽薄な口振りも、決して侮る理由にはならない。しかし、まったく手のうちようがないわけでもない。
「……何故ハロウィンなのかは分かりませんが……放っておくことのできない脅威なのは間違いなさそうですね……!」
 ぎゅ、と長杖を掴む手に力がこもるのを見て、大祭祀ハロウィンがいっそうに哄笑する。
「何故ハロウィンなのかは分からない、と言ったか!? 季節の魔力ってのはそういうもんさ! 季節のイベントを楽しむほどに高まる! ああそうだ、ハロウィンだ! 【オマエのハロウィンを見せてみろ!】」
 |嘲弄まじりの問い《ユーベルコード》を受け、ウサギ時計を手に、ハロウィン? と反芻するアニタ。
「そうね……今のこの時代にあっては、恐ろしいものを畏れつつも受け入れることだと思うわ」
 当初は畏れられていただろうが、今では独自の受け止め方で受け入れられている。
 辱めたり貶めたりするのではなく、新しい時代のひとつの形として定義しなおす……。
「だから、あなたは、ハロウィンじゃない」
 そうでしょう? 大祭祀ハロウィンから目を離さずに、別へ問う。問いを受けたイェルクは、
「ハイハイハロウィンなーハロウィン」
 隠しをあれこれと探り、おもちゃを取り出して告げた。
「ハロウィンてのはこれだよ」
「あぁ?」
「盆供養みたいなもんなんだろ。なら、チャチなことだって楽しみたい、喜ばせたいって思うことなんじゃねえの? みんな楽しく過ごすのをご先祖さんも望んでらあな」
 な、とウインクしてみせると、レティスは頷いて応えた。
「相手は強大な十二剣神、出し惜しみなく一気にいきましょう、|炉心過熱・魔力循環《ラエティティア・スーパーヒーター》!」
 レティスのサイキックエナジーが宿る魔導蒸気炉心、その魔力生成速度を高めながら駆け出す。
「ハッ、ならどうするってんだ!」
 嘲笑とともに、大祭祀ハロウィンの力が増す。凶なる視線が猟兵を捕えようとするが、決戦都市の構造物などを把握し、敵の視界範囲および死角となる箇所を推測して、素早く陰に隠れるレティスを見定められない。
 |決戦配備《ディフェンダー》への要請で、次々と現れる障壁やバリケードが作り出す陰も利用して敵へと接近していく彼女をかろうじて、時々は見失いながら、おお速い巧い、とイェルクが口笛を吹く。
「さて戦闘だ、せっかくだから俺も|仮装《変形》してみるかね」
 笑う長駆がぎしりと軋んだかと思うと、彼のもうひとつの姿である|飛空艇《ガレオン》へと変形し浮遊する。その上で軽快にとんっと踏み込み跳躍するアニタの身を、鎧が包んでいった。
「鎧をまとって戦うのは少し苦手だけど……たまにはこういうこともしないとね」
 魔法剣を構えて敵へと立ち向かうその姿に普段の怯えた様子はなく、凛と立つ|魔法騎士《アリスナイト》のそれであり。
 ともに戦う仲間があればこそ、騎士たる者のその覚悟は揺らがない。
「アニーちゃん、支援するぜ! そっちのレディもな!」
 |決戦配備《クラッシャー》の支援を携え、イェルクの砲撃が大祭祀ハロウィンへと、あるいは周囲へと降り注ぐ。
 砲撃だけでは大祭祀ハロウィンを倒すには足りないが、決戦都市の構造物を阻塞へ変えるには充分だ。そしてそれらは敵の視線を遮り、レティスの行動を優位にし続けた。
 人影が見えたと判じて攻撃を仕掛ければ、それはアニタの強力な防御力によって防がれ、反撃を放たれる。
「意識外から意識外へ、神出鬼没のトリックです!」
 意識が逸れた隙を突いて攻撃を放つレティスに、十二剣神が吐き捨てる。
「チッ、チョロチョロと鬱陶しいヤツだ! おとなしく捕まっときゃいいものを!」
「そうね。おとなしく倒れてくれるかしら」
 歯噛みする大祭祀ハロウィンのすぐそばで、低く落とした声が吐く。はっと見やれば、アニタが剣を掲げていた。
 いつの間に? いや、あのすばしっこく動き回る猟兵に気を取られすぎていた。あの飛空艇にもだ。
「あなたは、私たちに、負ける。害為す悪とはそういうものよ」
 一息に振り下ろした剣閃が、十二剣神を斬り払う。
 まずい。大祭祀ハロウィンがそう思うよりも早く、レティスは得物を掴む手に力と魔力を込めた。
「きらきらした人も行事も己の意志あって初めて輝くもの、強制されるものではないのです!」
 大喝とともに、全身全霊の力を込めて戦槌を、そしてそこに籠めた全力魔法を叩きつける!!
「ギ、」
 ひどく鈍く重く、割れ鐘のような不協和音が弾けた。
 ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!
 大音声が空気を裂き、立ちのぼる土煙を震わせる。
 それを散らすかにざあっと風が吹いたかと、十二剣神の姿は消えていた。
 ああ終わったか、と安堵の溜息をついた時。
「ところでアニーちゃん、今度こっそり俺だけにコスプ」
 そろっと耳打ちしたイェルクが目の当たりにしたアニタの表情は、好意的とは到底言い難く、そしておおよそ女の子がしていいものではない。
 あまりの形相に、言葉を断ち切った。
「あ、いやなんでもないです。ハイ」
 ともあれ、ハロウィンの危機は防がれたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年11月08日


挿絵イラスト