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大決戦! 芋煮 VS ハロウィン!!

#ケルベロスディバイド #お祭り2023 #ハロウィン #大祭祀ハロウィン #季節の魔法 #対デウスエクス用汎用芋煮決戦兵器『鍋太郎』

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#季節の魔法
#対デウスエクス用汎用芋煮決戦兵器『鍋太郎』


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●|異世界《ケルディバ》でも『ハロウィンの魔力』のシーズンが到来したよ
 ──ハロウィン。
 それは年に一度開かれる秋の収穫を祝う祭典で、夜は思い思いの仮装で楽しむお祭りである。今や日本でも定着したハロウィンだが、人々が盛り上がるイベントあるところにデウスエクスあり。ここ、ケルベロスディバイドでもイベント物がある際を狙ってデウスエクスが何かしらの行動を起こすと言うことで各決戦都市では相応の準備を備えている。
 地方の決戦都市、山形県山形市では秋は芋煮会のシーズンであるが、ハロウィンと重なれば『ハロウィン芋煮会』という新しいイベントが爆誕するまでの芋煮に並ならぬ情熱を注ぐ県民性である。芋煮を邪魔する奴はデウスエクスだろうがなんだろうがぶっ飛ばすという芋煮に賭ける情熱によりデウスエクスを迎え撃つ決戦兵器こそ、日本一の芋煮会とデカデカと描かれた大鍋……。その名も対デウスエクス用汎用芋煮決戦兵器『鍋太郎』。
 芋煮フェスティバルの日以外は会場の馬見ヶ崎川沿いで大鍋の姿で鎮座しているが、デウスエクスが襲来した折には決戦兵器として変形して迎撃する、まさに山形県民のアイデンティティたる守護神といった存在だ。

 ……だが、今回は違った。
 並大抵のデウスエクスならどうにかなったが、今回は格が違いすぎたのだ。

「地球の生きとし生けるものたちよ、お初にお目にかかる! オレサマの名は『大祭祀ハロウィン』! 宇宙連合軍デウスエクスを統べる『|十二剣神《グラディウス・トゥエルヴ》』の一柱だ!」
 電波ジャックされた放送はテレビのみならず、スマホやPCなどにもハッキングを行い大祭祀ハロウィンの禍々しい南瓜顔が人々の目の前に現れたのだ!

「オマエラの|グラビティ・チェイン《生存エネルギー》を狙う悪の侵略者として、最低限の矜持を通させて貰う。つまり、これは宣戦布告だ! これよりこのオレサマ自らが、多重分身による『全世界同時攻撃』を行う! オレサマの目的は、地球に『ハロウィンの楔』を打ち込む事! ハロウィン当日までに阻止できなければ、地球はオレサマの主星『真理の部屋ハロウィン』と融合し、あらゆる生命、そしてグラビティ・チェインは、その全てがハロウィンと化す……! その手始めに、ハロウィンらしい魔女の大釜な大鍋を頂こう!!」
 この宣言と同時に大祭祀ハロウィンが送り出した配下のデウスエクスが決戦都市山形市に顕現し、奇襲も同然で鍋太郎が迎撃する間もなく瞬く間に占領されてしまった!

 止められるか、特務機関|DIVIDE《ディバイド》!
 止められるか、六番目の猟兵達……!
 オレサマは、世界各地で待っている!
 勿論、大義はオマエラにある。正義の味方として、正々堂々止めに来い!
 ヒャ〜ッハッハッハァァァァ!!!!


●ハロウィンの準備が整うグリモアベースにて
「大変なの~! 『|十二剣神《グラディウス・トゥエルヴ》』の一柱、『大祭祀ハロウィン』が遂に本格的な地球侵略を始めたなの~!!」
 もちもちとした白饅頭な顔のナノナノ、ナノ・ナーノ(ナノナノなの・f41032)が慌ただしい様子で集まった猟兵たちの周りを飛び回る。

「このまま放っておいたら、地球は大祭祀ハロウィンの星と融合してしまうなの! そうなったら、地球は地球でなくなってハロウィンの主星そのものとなってしまうなの!!」
 詰まるところ、そうなってしまったらデウスエクスの侵略は成功となってしまってケルベロスディバイド世界はハロウィンの手に落ちてしまう。問題は、そのハロウィンは多重分身という反則技に等しい方法と各決戦都市に自らの配下を送り出すという多重侵略作戦を行っているということだ。

「ひとつの決戦都市をハロウィンの魔の手から開放しても駄目なの! 各方面に同時出現したハロウィンらをいくつか殲滅しないと、ハロウィン化は止まらないのなの! おまけにハロウィンの魔力が絶好調の最高潮になるハロウィン当日まで大祭祀ハロウィンをどうにかしないと、本当にまずいのなのー!」
 真剣な剣幕でそう語るナノであるが、猟兵にとってはそんな世界の滅亡を賭けた事案など毎度おなじみのこと。ハロウィンまで一週間僅かとしか無いが、それまである程の決戦都市解放と大祭祀ハロウィンを倒せば良いだけの話だ。

「そう言ってくれると頼もしいのなの。それじゃ皆にはボクが予知した決戦都市、山形市に急行して欲しいなの」
 ナノが語るには、既に山形市はハロウィン配下の強力なデウスエクスによって占領されたのこと。そうなれば|決戦配備《ポジション》による支援は望めず、例え配下のデウスエクスを倒せたとしても強大な大祭祀ハロウィン相手には苦戦を強いられるのは目に見えている。

「決戦配備は機能していないけど、まだ手は残っているのなの。日本一の芋煮会でお馴染みの大鍋を魔女の大釜にしようと奪われた山形市の決戦兵器……『鍋太郎』を奪い返すのなの。詳しいことは奪還してから分かると思うけど、それさえあれば大祭祀ハロウィンに一矢報いることは可能となるはずなの。それと山形市はハロウィン化がすっかり進行している真っ最中なの。簡単に言うと世界が『万物が存在する状態』へ変じてしまうことだけど、これに飲み込まれればいかに猟兵と言えども無事では済まないなの。そんなカオス極まりない状況を打破するには、こちらもハロウィンの仮装で『あらゆる世界の概念が同時に存在する状況』を作り出すことなの!!」
 ……ハロウィンの仮装はまだ分かるとして、果たして大人数の芋煮を一気に作れる大鍋が決戦兵器となるのか?
 そんな疑問を残しながらナノはぷっくりとしたお腹に描かれたハート模様を輝かせ、眩しい光が猟兵たちを飲み込んでいく。

「大変かもしれないけど、世界の危機に関わることなの。とにかく急いでハロウィンを倒してなのー」
 かくして一同は、デウスエクスに占領された決戦都市山形市へ赴くのであった……。


ノーマッド
 ドーモ、ノーマッドです。
 山形にハロウィン芋煮会ってあるのかですって?
 そんなものはない(横山漫画風の真顔となるY形県民)

●戦場解説
 ケルベロスディバイド世界の人々が危惧していた通り、ハロウィンのお祭りによって極大まで高められる『季節の魔力』……即ち『ハロウィンの魔力』を狙い、十二剣神『大祭祀ハロウィン』が行動を開始しました! 大祭祀ハロウィンは地球に『ハロウィンの楔』を打ち込み、この世界中を「ハロウィン化」させようとしているのです!
 ……ハロウィン化とは、簡単に言うと世界が「万物が存在する状態」へ変じてしまうことで、これに飲み込まれればいかに猟兵と言えども無事ではすみません……が、このカオスに耐え抜く手段がひとつだけ存在します。
 それは、仮装によって「あらゆる世界の概念が同時に存在する状況」を作り出すこと! ガチハロウィン・出身世界コーデ・地味ハロウィンなどなどのバラエティ豊かな仮装で戦場の「ハロウィン化」から身を守りつつ、ハロウィン配下のデウスエクスに制圧された決戦都市を奪還し、多重分身で世界各地に現れる大祭祀ハロウィンを撃破して、ケルベロスディバイド世界全てのハロウィン化を阻止しましょう!

 第一章はボス戦です。
 既にハロウィン配下の強力なデウスエクスが、ある決戦都市を占領しています!
 ですが、ハロウィン化してしまったこの街のどこかには、「決戦兵器」と呼ばれる「対デウスエクス用秘密武装」が秘匿されているといいます。
 都市の奪還に挑み、決戦兵器を回収しましょう!

 第二章はボス戦です。
 配下を討ち取られた『大祭祀ハロウィン』が、自らこの都市の「ハロウィン化」を続けるべく猟兵の前に現れます!
 相手はデウスエクスの大ボスの一人であるため、真っ向勝負では苦戦は必至ですが、こちらの手元には前章で回収した「決戦兵器」があります。
 特務機関DIVIDEの技術と研究の結晶であるこれを利用すれば、ハロウィンを撃破するチャンスもありそうです!

  よって、第二章プレイングボーナスは、『回収した決戦兵器を利用する』、となります。
 どのような性能や機能かは二章目の断章にて告知致しますので、ご了承のほどをよろしくお願いします。

 それでは、大祭祀ハロウィンの苛烈な侵略にも負けない熱いプレイングをお待ちします。
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第1章 ボス戦 『『ハロウィンの魔草少女』橙山・南瓜』

POW   :    ハロウィンボム
【ハロウィンの季節の魔力】から【作り出した特大のハロウィンボム】を放ち、敵及び周辺地形を爆発炎上させる。寿命を削ると、威力と範囲を増加可能。
SPD   :    ハロウィンキャレイジ
【南瓜の爆車】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【をハロウィンの魔力で満たし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    ハロウィンボムモドキ
偽物の【ハロウィンボムの夜空】を創造し、戦場上空に浮かべることで、【何度でも自爆できるハロウィンボムモドキ】による連続攻撃能力と超再生能力を得る。

イラスト:カノン

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠幻武・極です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

暗都・魎夜
【心情】
惑星ハロウィンってのは1週回って見たくはあるが、人の住んでる星をハロウィンにするってのは見過ごせねえな
俺が本物のハロウィンを教えてやるぜ!

【仮装】
「芋煮を食べに来た食通」ってことで、羽織袴の姿で参戦
羽織にはお椀を模した紋を入れる

【決戦配備】
メディック:一般市民の避難を依頼

【戦闘】
ハロウィンの魔力とか言われるとギャグっぽいが、要は今がフルに能力を発揮できるってことだな
面倒な相手だが、やるしかねえな

ハロウィンボムの爆発をUCで吸収
そのまま、「捨て身の一撃」で「カウンター」を放つ

ハロウィン、芋煮、どっちが上とか下とかねえ
どっちも楽しむのが本物のハロウィンだぜ!



「決戦都市がデウスエクスに陥落したと聞いていたが……」
 眩い煌めきのグリモアによる転送を経て、お椀を模した紋が刺繍された羽織袴の姿な暗都・魎夜(全てを壊し全てを繋ぐ・f35256)が決戦都市山形市に降り立った。どんな凄惨な有り様なのかと覚悟を決めていたのだが、いざ降り立ってみると風光明媚な馬見ヶ崎の河川敷堤防に植えられた桜並木はおどろおどろとした木々に置き換わっており、その周囲にはハロウィンを彩る大小様々なカボチャ飾りが髑髏を晒すかのように転がっている。

「デウスエクスとの戦いに決戦兵器の奪還もだが、逃げ遅れた一般市民の救助もやっておかないとな」
 芋煮会をやっていたと思われる鍋などが散乱する河川敷から視線を移して空を仰げば清々しい秋晴れの空とは到底言い難い赤紫とした色味となっており、これも『ハロウィンの楔』を各決戦都市に打ち込んで地球を主星『真理の部屋ハロウィン』と融合を果たさんとするハロウィン化によるものか。幸い魎夜はグリモア猟兵が提示した『万物が存在する状態』とされるハロウィン化に抗う|仮装《コスプレ》として、『芋煮を食べに来た食通』という姿だ。肌に纏わりつくような妖しい感触を覚えるが、生命の埒外たる存在である猟兵の自分でさえ気を緩めればハロウィン化されてしまうとの錯覚を覚えてしまうほどだ。
 ここまで完膚なきまで侵略されていれば望みは無いとしても、決戦配備がまだ機能を果たしている事に一縷の望みを託そうとしたその時……神経を逆撫でするような少女の嗤い声が魎夜の背後で聞こえたのであった。

『ざ~んね~で~した♪ もうこの決戦都市はハロウィンの楔が完全に打ち込む準備で、ハロウィン様に代わって私が占領しちゃったもんね~♪ キャハッ!』
 その声に思わず振り向いた魎夜の目に飛び込んできたのは、如何にもTrick or Treatとお菓子を強請って来そうな魔女っ子の姿。しかし、彼は即座に理解した。オブリビオン同様に吐き気を催す邪悪を放つ彼女こそ、この決戦都市を占領したデウスエクスであることを……。

『私は人呼んで、ハロウィンの魔草少女の橙山・南瓜。猟兵のお兄さんには説明不要だと思うけどぉ、この私が大祭祀ハロウィン様の信任を受けた|侵略者《デウスエクス》でぇ~す♪』
 何ともふざけた名乗りに魎夜の目が鋭く凄むが、このデウスエクスに一発殴りつけたいところを我慢してまず彼が今知りたいことを問いかける。

「……ひとつ聞きたい。ここに居た連中はどうした?」
『連中~? ああ、のんきそうにだっさい芋煮会ってのをやってた|人間《家畜》のことね♪ ハロウィン様のご命令で大きいお鍋を奪いに来たら大騒ぎしてウザかったけど、グラヴィティ・チェインを奪うのが目的じゃないからまだ殺してないよ?』
 果たしてこのデウスエクスの言葉を何処まで信じればいいのか分からないが、少なくとも嘘偽りを言っている様子ではない。無事であるのであれば、この魔草少女と名乗る|十二剣神《グラディウス・トゥエルヴ》が一柱、大祭祀ハロウィンの手先との戦火が及ばない場所にまで一刻も速い避難を……。

『……ってゆーか、お兄さんってもしかして鈍感? 人間はすぐそこに居るでしょ♪』
 そんな思わぬ言葉を聞き、魎夜はハッとする。
 河川敷に転がっているジャック・オー・ランタンを模したカボチャ細工。一見するとハロウィン定番の付き物で侵食するハロウィン空間によって発生した物かと今まで思っていたが……南瓜から告げられた言葉を理解した瞬間、彼は激しい怒りに燃え上がった。
 恨み辛み募らせ、何かを訴えていそうなカボチャ飾りこそ……この魔草少女の手によってハロウィン化された救出すべく人たちであったのだから。

『こうしておくとね、グラビティ・チェインがもっとも~っと高まるんだよ? 本当なら本星と融合を果たした際に奪ったお鍋でお祝いする材料なんだけど……少しぐらい私が摘み食いしちゃってもいいよね? 不届きな猟兵にケルベロスがやってきたから、やむを得ず巻き添えになっちゃったとか……私ってあったま良い~♪』
 拳をキツく握り締めながらワナワナと震え上がらせる魎夜を他所に、南瓜は飴玉を模したステッキを掲げて大気中に満ち溢れるハロウィンの季節の魔力を集約する。その上空にはカボチャのへた部分が導火線となったハロウィンボムが顕現され、ステッキを振り下げればそれに合わせてカボチャ爆弾が投下される。

(正直に言えば、惑星ハロウィンってのを一周回って見たい気持ちはあったが、人の住んでる星をこんな形でハロウィンにするってのは見過ごせねえな……。面倒な相手だが、やるしかねえか)
 落下しながら迫り来るハロウィンボムは、そんな魎夜の心境を見透かしているかのように不敵な笑みを浮かべているようであった。だが、彼はユーベルコードが発言する煌めきを宿した決意と共に睨み返した。

 ──俺が本物のハロウィンを教えてやるぜ!

 元人間のカボチャ細工を護るように両手を広げて仁王立ちした瞬間、バチバチと火花を散らしていた導火線は炸薬に引火して、耳を劈くような激しい爆発と共に発生した爆炎に魎夜は為す術もなく呑み込まれたのであった。

『キャハハ! バッカみたい♪ あんなムシケラを護るために自分を犠牲にするなんて……』
 デウスエクスとは重力に魂を引かれていない不死の超存在である。彼らは宇宙の根源たるグラビティ・チェインを奪いに長らく蹂躙し続けてきたからこそ、命の尊さという物など犬の餌にもならない下らないものだ。中にはそれを知って不死性を捨てて定命化する者も居るが、極稀でイレギュラーな存在でしかない。
 この南瓜はデウスエクスとしては真っ当な倫理観を持っているのだろうが、彼女は勝ち誇るあまりにあることを失念していた……。ユーベルコードに覚醒しデウスエクスに対抗する地獄の番犬『ケルベロス』と同じくユーベルコードを駆使する猟兵もまた地獄の猟犬であることを──!

「……ハロウィン、芋煮、どっちが上とか下とかねえ。どっちも楽しむのが本物のハロウィンだぜ!!」
 確かにハロウィンボムは爆発して、激しい爆風と爆炎が周囲を呑み込んだ。だが、それも一瞬の事でしか過ぎず、これらの爆轟は瞬く間に魎夜が放ったユーベルコード『レッドダイナマイト』によって吸収され形に消火されてしまう。更にはその熱を吸収した自らの身体を『太陽の爆弾』さながらに激しく燃えあがらせ、ハロウィンの|魔草少女《メスガキ》にキツいお仕置きのひとつでもを与えるべく捨て身の一撃さながらな怒りの一撃を繰り出した!!

『いったぁ~い! 女の子に手を上げるなんて……サイッテー!!』
「女の子だぁ? 無関係な人をこんな姿に変えさせておきながら……ふざけやがって!」
 思いもよらない反撃を受けた南瓜は「い~だ!」と赤い舌を突き出しながら侮蔑の意を示し、態勢を整えるべく奇怪な植物のツタに包まれている山形市街地へと撤退していく。それを追撃しようと駆け出した身を挺して護ってくれた命の恩人の後ろ姿を、物言わぬ元人間のカボチャ飾りたちは無事を祈りながら見送っているようでもあった。

成功 🔵​🔵​🔴​

御魂・神治
神治「――!!」(ファラオの仮装言うたやろ!包帯巻かれて棺桶入れられるって聞いてへんで!こんなんじゃ芋煮食えへんやないかい!)
天将『お似合いですよ』
神治「――!!!」(しかも棺桶は葬式で使うヤツの蓋に雑なツタンカーメンの絵描いたヤツやないか!)
天将『あまり動かないで下さい、触媒にするので』
神治「???」

天将
『決戦兵器の位置を【情報収集】にて特定』
『「仮装」を施した神治に【破魔】の【結界術】を展開、攻性ビーコン化、武神に搭載』
『決戦兵器を天人形態「武神」の【式神使い】オートパイロットで回収、ならびに配下へスカラベ型に模した爆龍符による「涅槃」の【爆撃】を応酬』
神治(うわこれ映画で見たヤツや!)



 芋煮会の|聖地《メッカ》、馬見ヶ崎河川敷公園に降り立った猟兵たちであったが、既にデウスエクスの手によって決戦都市山形市を完膚なきまでに占領済みであった。住民のほぼすべてはカボチャ細工に姿を変えられているという絶望的な状況を打破するための決戦兵器『鍋太郎』の姿も消えており、あるとすればカボチャのツルのような攻性植物でひしめき合う魔界さながらな形容となっている山形市内だろう。

「――!!」
 決戦都市の支援ビルは強靭なツルにより絡められ、仮にカボチャ細工となってしまうハロウィン化を免れた生存者が居たとしても満足な決戦支援を望めそうにもない。そんなハロウィンのジャングルを猟兵らがかき分けている一方で、何処かから何かを訴えているくぐもった叫び声が木霊した。

(ファラオの仮装言うたやろ! 包帯巻かれて棺桶入れられるって聞いてへんで! こんなんじゃ芋煮食えへんやないかい!)
 亜麻布でミイラさながらにぐるぐる巻きされているどころか、如何にも葬式用なお顔窓付きの桐平棺もとい棺桶に閉じ込められている御魂・神治(|除霊師《物理行使》・f28925)だ。

『たいへん良くお似合いですよ』
 ガタンガタンと揺らされる棺桶蓋に描かれた雑なツタンカーメンの絵を見下ろす形で、サポートAI的存在の人工式神『天将』は無機質な声色で無惨な姿となっている主を語りかける。それは戦場へと転送して送り出すグリモア猟兵も思わず大丈夫なのと心配するものであったが、もがもがと棺桶の中で暴れながら抗議する神治を他所に代理人たる天将がサムズアップしたためにこのまま送り出された次第である。
 とは言えこのままでは、大祭祀ハロウィン直属のデウスエクスにしてたった単騎で決戦都市山形市を制圧占領してしまったハロウィンの魔草少女『橙山・南瓜』の手で為す術もなくやられてしまうのが関の山。現に今もどこかで猟兵と激戦を繰り広げているのか、広域展開されたユーベルコードによってハロウィンボムの夜空が創造され、ハロウィンボムの流星が容赦なく決戦都市に爆撃を加えていた。
 だが、そうなる事は織り込みである。しぶしぶと転送するグリモア猟兵に対し、彼女はとある転送地点を名指しで指名し、繭さながらまでに巻かれた亜麻布によって身動きが取れない神治共々に転送されたのだ。

(てか、ここは何処なんや!?)
『実家の宮司跡継ぎを弟に押し付けても、アンタの力量なら霊場の神気ぐらい感じ取れるはずでしょう?』
 性悪極まりない天将の『本体』がこの場に存在しているようなけったいな物言いに思わずカチンと来た神治であったが、ぐうの音も出ないまでのポポスレ仕込みで完全論破なレスバであった。なので、ここは不本意ながらも深く深呼吸をして昂ぶった感情を一旦鎮めさせ、神経を研ぎ澄ませる。

(そうやな……この霊脈は鳥海山と出羽三山の月山によるもんか?)
『ご名答。両山の大物忌大神たる|倉稲魂命《ウカノミタマノミコト》と|月読命《ツクヨミノミコト》が祀られている鳥海月山両所宮です』
 そこは混迷極める羽州を統一を武力に頼らず、謀略・調略・説得・降伏勧告・敵陣営分裂などの知略により『羽州の狐』『虎将』と称えられる一方、無類の鮭好きから県内外から『鮭様』と今も呼び慕われている山形の繁栄の基礎を築いた仁君、|最上義光《もがみよしあき》公が最上家の崇敬社と定めた神社である。
 この霊場もハロウィン化は避けられていないのだが、心なしか神仏の加護あってのものか市街地と比べて進行が緩やかであった。

(この霊気を利用して結界を張り巡らせたんか。流石、わい自慢の式神や!)
『まったく、調子が良いこと。では、今からあまり動かないで下さい、触媒にするので』
(???)
 何のこっちゃとキョトンとする神治であったが、棺だけでも十分なハロウィン化を免れる神気は大祭祀ハロウィンの主星『真理の部屋ハロウィン』との融合を中和させる力へと増幅されながら儀式が進めれていく。

『──蔵王山、朝日連峰、所有権は福島県側ですが地理的には山形県側でもある西吾妻山などの霊脈と接続。これにより決戦兵器の位置を特定開始……』
 諸説あるが山形県が何故山形と呼ばれる理由に、山は出羽三山を初めとした山岳信仰が古くから厚い霊場を、形は神社の鳥居と母なる最上川を示しているというのがある。如何にハロウィン化の侵略が激しくとも、古くから護り続けてきた地球の神々による力は尚も健在である。

『更には武神を攻性ビーコン化させ、「仮装」を施した|棺《神治》に搭載。決戦兵器は天人形態「武神」をオートパイロットとすることで回収、ならびに配下へはスカラベ型に模した爆龍符による「涅槃」の爆撃による応酬を設定完了』
(うわこれ映画で見たヤツや!)
 聞くだけでも過剰とも言える魔改造の数々。これならばここから一歩も動かずに大祭祀ハロウィンをも打倒し、解放された山形市で本場芋煮の|御馳走《ごっつお》に与れるという完全計画。

『何を横着しようというのです。アンタ自らで、あのメスガキをわからせるのですよ?』
 ……だった。ふわりと棺桶が浮き上がる浮遊感に、「あっ、これは最後に爆発オチる奴や」と神治は理解してしまう。すると、雑なツタンカーメンが描かれた棺桶はレールガンの弾殻めいて急加速しながら射出され、鳥海月山両所宮を囲んでいた結界を音速の壁と共に突き破る。

『ああもう、切りがない……って、何よあれー!?』
 執拗な猟兵の追撃に苛立ちを隠せないハロウィンの魔草少女、橙山・南瓜。如何に強大なデウスエクスとは言え、こちらに向かって棺桶が物理法則もへったくれもない幾何学模様を描きながら超高速飛行をして来れば、誰だってそうなるしそう言ってしまう。

「もごもががーっ!!
(特別意訳:おんどれ、天将! 後でいてこましたるわー!!)」
 くぐもった叫びが完全なるハロウィン化をしつつある山形市街地の上空に響き渡りながら、着弾すると派手に爆発する護符がスカラベ型に姿を変えて南瓜へと容赦ない強襲を与えるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒木・摩那
山形のソウルアイテム、芋煮鍋を魔女釜にするなんて!
さすがはデウスエクスです。
山形県民の心を折りに来るとは、なんと恐ろしいことをするのでしょう。
しかし、そうは簡単にヤラセはしません。
大祭祀ハロウィンを倒して、おいしい芋煮をいただきます。

しかし、鍋が決戦兵器?
鍋といったら被るぐらいしか思いつかないんだけど……

まずは、仮装ですね。サイコロ次第!
32.アメリカンなバーガーショップ
いいですね! スマイル。

ヨーヨー『エクリプス』で戦います。
ボムは危ないですね。
そんな危険なボムを【念動力】で受け止めつつ、UC【獅子剛力】を発動。
ヨーヨーでぐるぐる巻きにして、魔草少女に送り返します。



「山形のソウルアイテム、芋煮鍋を魔女釜にするなんて! さすがはデウスエクスです。山形県民の心を折りに来るとは、なんと恐ろしいことをするのでしょう!」
 長く艷やかな黒髪を棚引かせ、50年代アメリカンな雰囲気を漂わせるとあるバーガー専門ダイナーの制服姿に仮装している黒木・摩那(冥界の迷い子・f06233)は超可変ヨーヨー『エクリプス』を握り締めながら、ハロウィンな攻性植物に覆い尽くされつつある山形市の市街地を走る。

『ふーん。アレってあんなに大事なモノだったんだ。なら、もっとも~っと絶望を味あわせて、奪えるグラビティ・チェインを増やさなくちゃ!』
 態勢を取り直したハロウィンの魔草少女にしてデウスエクス、橙山・南瓜はポップでハロウィンなステッキを振りかざし、デウスエクスの手によって陥落した決戦都市内部に渦巻くハロウィンの魔力から特大のハロウィンボムを再び作り出した。スマイルゼロ円なコスプレならこちらも笑ってやると言わんばかりにハロウィンボムは不敵な笑みを浮かべ、摩那の行く手を遮る形で落とされた。

『きゃはは♪ 万事休すだね。おねーさん?』
 本来であればここは路地であったのだろうが、カボチャなツタが複雑に絡み合えばどこぞの爆弾を置き合うボンバーなサバイバルマッチのテレビゲームさながら簡単に壊せそうにない。

「流石は敵地だけあって、相手の方が地の利に優れますか。しかし、そうは簡単にヤラセはしません。大祭祀ハロウィンを倒して、おいしい芋煮をいただきますとも!」
 姿はバーガーなアメリカンだが、胃袋は和で特に今日は芋煮の気分。こんなふざけたハロウィンの侵略を退けた後は、山形ご当地旨辛アイテムの|なんばん粉《一味唐辛子》をひと瓶まるごとふりかけた芋煮と締めの汗が吹き出してしまいそうな旨辛カレーうどん芋煮を食べることを既に摩那は決め込んでいる。食べ物の恨みはとても怖いことを、この魔草少女にわからせねば。

『ふふーんだ。ダサダサ芋煮なんてハロウィンのおしゃれさで爆発させちゃうもんねー♪ さん、にぃ、いっち……』
 ドッカーン!!
 ……と爆発するはずだったのだが、ハロウィンボムは未だにバチバチと導火線を燃やし続けているままで爆発が起こらなかった。

『ええ!? どうしてぇ!?』
「……言ったでしょう? そう簡単にヤラセはしません、と。さぁ、イタズラをされたからにはしっかりお返しをしてあげませんと」
 自らの念動力によって時間が静止したハロウィンボムに、謎金属で超頑丈な超可変ヨーヨー『エクリプス』の糸が捕縛する形でぐるぐると巻き付けられていく。

「接地、反転。アンカー作動……力場解放!」
 そして、エクリプスと自身を繋ぐ指先にユーベルコードの迸りを走らせて発露させた『|獅子剛力《ラ・フォルス》』により、宙に浮かぶハロウィンボムがハンマー投げさながらに軽々と振り回されてしまう。それをタイミング良くアンカーとなっているエクリプスの本体部分が離れれば、巨大なカボチャ爆弾は再びハロウィンの魔力を集めようと詠唱していた南瓜へと一直線に向かい……サイキッカーたる摩那の念力によって止められていた時の歯車が再び動き出すと、眩い光と耳を劈くような爆音が上空で炸裂したのであった。
 
『きゃああ~~!?』
 年相応な叫び声だが、相手はデウスエクスだ。自らが放った爆弾に因果応報なダメージをを与えたとしても、濃密なハロウィンの魔力で満ち溢れていてハロウィンの主星『真理の部屋ハロウィン』と融合しつつある中であれば中々としぶとい。だが、如何にデウスエクスが永遠不滅で不死な存在であろうとも、ユーベルコードを与え続けていけば一時的にとは言え『死』を与えることは出来る。
 確実に滅ぼせないのが何とも歯がゆい話であるが、今はハロウィン化を防ぐことが最優先事項である。一刻もそのキーパーソンとなる決戦兵器『鍋太郎』を発見して奪還せねばだ。

「しかし、鍋が決戦兵器? 鍋といったら被るぐらいしか思いつかないんだけど……」
 一体何故、大勢の人たちの胃袋を満たす芋煮を一気に作れる大鍋が決戦兵器なのか?
 深く考えれば考えるほど疑問は尽きないが、それは見つけてしまえばすべてが明らかとなる。芋煮を求める胃袋と尽きない好奇心を抑えながら、爆炎の盾に再び形勢を立て直そうと姿をくらましたデウスエクスの姿を追いかける摩那であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベティ・チェン
「決戦配備も、探すんだった、かな?」
全身に包帯巻いてミイラ仮装をしたシノビ、首を傾げた

「ジャマー、キャスター、スナイパー、メディック。この4つなら、誰でも使えそう?」
1つくらいは見つけてから行きたいなあとウロウロしながら移動

「全部キミが、持ってる?…勘違い、した」
「ドーモ、カボチャ=サン。ベティ、デス。キリステ・ゴーメン!」
マッハ11で飛行しつつ自分の身長ほどある大剣(偽神兵器)から敵目掛けて繰り返し炎の斬撃放つ
敵の攻撃は素の能力値で回避
「コトワザ。たくさん撃つと、実際当たりやすい。それに。草ならよく、燃える。ベイビー・サブミッション」

「お菓子も、芋煮も。どっちも早く、食べたい」



「決戦配備も、探すんだった、かな?」
 全身を包帯でぐるぐる巻きのミイラな仮装でハロウィン化を中和しているベティ・チェン(|迷子の犬ッコロ《ホームレスニンジャ》・f36698)は、まだ稼働が期待できる決戦配備ビルディングを見やった。
 真新しく白い亜麻布の包帯の隙間から覗かせる褐色の肌はエキゾチックさを感じさせるが、その胸は平均であった。元住民がハロウィンの魔草少女『橙山・南瓜』の手によって姿を変えられたカボチャ細工らは、そんな感想のひとつすら声も上げれずに只々見守ることしか出来ない。

『キャハハ♪ いくら探しても無駄無駄。ケルベロスが邪魔しないように、徹底的に制圧しちゃったもんねー♪』
 人類は持てる全ての力と叡智を結集させ、決戦都市という対デウスエクス用防衛機構を築き上げた。ユーベルコードをその心臓に打ち込まねば死を与えられない不死なる存在のデウスエクスであるが、それでもケルベロスならびに猟兵をを有利にさせる|決戦配備《ポジション》というものには煮え湯を飲まされ続けて来た。
 そうなれば、今回の寝耳に水な|超大物デウスエクス《大祭祀ハロウィン》のアンブッシュは実に理に叶ったものだ。何せハロウィンの当日までに持ち堪えられすれば奪われた決戦都市を通して『ハロウィンの楔』が地球に打ち込まれ、大祭祀ハロウィンの思惑通りに主星『真理の部屋ハロウィン』との融合という目的が成就されるのだ。

「全部キミが、持ってる? ……勘違い、した」
『そ・う・い・う・事♪ |私たち《デウスエクス》も何時までやられっ放しじゃないですもの』
 決戦配備は封じられ、それを操る住民さえもハロウィン化によってカボチャ細工に変えられてしまっている。更には最後の頼みの綱である決戦兵器『鍋太郎』も奪われたとなれば、確かに完膚なきまでの完全な侵略計画だ。尤も、それにはひとつだけ見落としている点があるのであるが……。

「そうだね……ボクもキミ達も。作られた、神だったんだ。それなら……仕方、ない。ドーモ、カボチャ=サン。ベティ、デス」
 南瓜が放ったハロウィンの爆車がカミカゼめいて爆発を繰り返しハロウィンの|魔力《アトモスフィア》に満ち溢れる奪われた決戦都市。微かな望みである決戦配備の支援が望めないと確信を得たベティは、包帯めいたメンポとマフラーめいた包帯の切れ端を棚引かせながら両掌を合わせる。人狼特有の狼めいた瞳孔の奥底にはユーベルコードの煌めきが光を放っている。

『ど、ドーモ……? って、引っ掛けようとしても無駄なんだからねー!』
 カボチャの爆車を踏み台にしながらロケットめいて跳躍してくるベティを迎撃すべく、南瓜はステッキを振って都市を覆い尽していた|攻性植物《カボチャ》のツタが風を切る音を奏でさせながらベディに襲いかかってくる。

「コトワザ。たくさん撃つと、実際当たりやすい。それに。草ならよく、燃える。ベイビー・サブミッション、イヤーッ!」
 だが、ユーベルコードによってマッハ11にまで超加速した上に、両手で握り締めているベティの身長ほどあるであろう毒すら捕食する大剣状の偽神兵器から噴き出す炎を前にすれば為す術もない。べティが育った世界であるサイバーザナドゥに伝わるコトワザに、『草木と大名は立てれば燃える』というモノもある。草木を燃すには立てかけるとよく燃えるので、大名のような権力者もおだて上げて先方を立てさえすれば良いものという意味だ。
 ベディのワザマエあればデウスエクスに先手を取られずに強襲を仕掛けることも出来ただろうが、住民の殆どがカボチャ細工と成り果てた現時点では決戦都市の決戦配備を機能させ得る|存在《キーパーソン》は決戦兵器の鍋太郎において他ならない。ならば、決戦支援ビルを封印しているツルを敢えて仕掛けさせ、後で控えている大祭祀ハロウィンとの決戦で有利に事を運べるようにしながら南瓜にも手痛い一撃を与える……まさに一石二鳥のアブハチトラズだ。

「え、え~っ!? 何で火の手が無いのに燃えてるのよ……キャーッ!」
 一陣の炎風と化したベティは確かな一撃の手応えを感じ、手頃なツタを掴んでブレーキを掛けながら華麗に着地する。

「お菓子も、芋煮も。どっちも早く、食べたい……」
 ベティがそう呟くと、食べざかり育ち盛りな年頃の人狼の腹の虫がしめやかに鳴いたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メディア・フィール
プレイング改変・アドリブOK
他PCとの絡みOK
POW選択

【氷炎魔拳】で味方を守りつつ、電波ジャックで混乱する山形市の中で、現在は人々から忘れ去られつつある方法を駆使して、それでも連絡手段を確保して決戦兵器である「鍋太郎」を手分けして探そうとします。
「スマホが使えないなら、紙に書いてスタンドアローンのコピー機で印刷して配るんだ!」
「ナビが使えないなら地図を読んで!」
「モールス信号、手旗信号、覚えている人は少ないけれど、使える手段はあるはずだ!」
「イベント用の巻を使うよ! 狼煙で合図を取り合うんだ!」
「最後は足だ! 連絡事項を教えて! 走るよ!」


五ヶ谷・グレン
アドリブ絡み歓迎

■心情
俺は人々の営みを言祝ぐハレの日の魔女の弟子にして日々移ろう日常を言祝ぐもの竃の魔女、五ヶ谷グレン。
魔女としてわからせてやらなければならないな
(仮装はアウトドア系の上に割烹着に携えた大釜に里芋のの世界に跨る芋煮スタイル)

■芋煮の季節
まずは下拵えだなぁ
UCで、用意した里芋に周りの人々の願いをハロウィンに染められた町並みと共に握り込み、
咲かせよう、今ここにあるべき季節、芋煮の季節を。

お嬢さんから来てくれたなら歓迎しよう、幾星霜彼方か知らないがダサいと感じる程懐かしい芋煮の魔力で、
今なら空にも手は届き花開く(偽の空を芋煮に)
この瞳にうつる心に芋煮を望む願いよ届け(相手の心にUC)



 ハロウィン化が著しい決戦都市山形市の中心街は『万物が存在する状態』と言っても過言ではなかった。空間は渦巻くように光が明滅し、まさしくそれは|混沌《カオス》そのもの。さながらここは地球ではなく、大祭祀ハロウィンの主星『真理の部屋ハロウィン』が既に融合を果たしたと錯覚を覚えてしまうものでもあった。

「この堀と石垣はお城のようだけど……結局ここまで生存者は居なかったか」
 『めでぃあ』と書かれたゼッケンが胸に貼られた体操服姿に仮装したメディア・フィール(人間の|姫《おうじ》武闘勇者・f37585)であったが、彼女は一縷の望みを託してあの手この手と生存者の探索に奔走していた。だが、結果は惨憺たるものであった。
 どんなに探しても見つかるのはカボチャ、カボチャ、カボチャ。大祭祀ハロウィン分身体の降臨が齎したハロウィン化は、生命の埒外たる猟兵にも害を及ぼすもの。
 ともなれば、ただの人間などは為す術もなくこのハロウィンのカオスに呑み込まれてしまう。自身も仮装をしていなければハロウィン化に対抗できず、このように惨めなカボチャなシャレコウベ姿となって野ざらしになっていたに違いない。

「まぁ、肩を落とすな。きっと何人かはシェルターにまで避難できたさ」
 自身の無力さを改めて実感し、奥歯をギリッと噛み締めながら拳を震わせるメディア。そんな彼女を慰めるように、アウトドア系の上に割烹着に携えた大釜に里芋の世界に跨る芋煮スタイルに扮した巨人の五ヶ谷・グレン(竈の魔女はだいたい筋力で解決する・f33563)の声が頭上から聞こえる。
 人類の不倶戴天の敵……デウスエクス。枯渇したグラビティ・チェインを狙ってこの地球に襲来した悪しき侵略者であるが、彼らの手によって陥落されればこのような凄惨たる光景となるとグレンは改めて実感した。ともなれば、その先鋒として魔法のようなユーベルコードを駆使してこの有様へと変えさせたハロウィンの魔草少女『橙山・南瓜』を何が何でも倒さねばならない。
 善かろうとも悪かろうとも魔女というは人を助けるものだと教えてくれた魔女の師匠の口癖を零し、周囲を改めて見渡すと何かを発見したようだ。

「あれは……城か?」
 カボチャのツルがイバラのように生い茂る生け垣を越えた、今は霞城公園と呼ばれる山形城跡地の中心部。何やら黒々とした鍋めいた色合いの天守がグレンの巨体から一望できる。まさかと思ったメディアは日々鍛えている跳躍力でグレンの肩まで跳ぶと、避難民捜索に持参してきた双眼鏡を構えて覗き込む。

「違うアレは……」
 カボチャのツタに絡まった白文字……それははっきりと『日本一の芋煮会』と描かれていた。

「鍋太郎だ!」
「あれが噂に名高い鍋太郎か。しかし巨人の俺が言うのもなんだが、この距離から雑に計算しても凄まじく巨大な大鍋だぞ?」
 まるで城と見間違うまでに巨大な決戦兵器の芋煮鍋、鍋太郎。いったい何千人、何万人分の腹を満たす芋煮が作れるのやら。

『あーあ、見つかっちゃった。ハロウィンの楔とハロウィン様本人を降臨させるために使う儀式の大釜が』
 この声はとふたりが振り返れば、ステッキを箒代わりにして浮遊している南瓜の姿がそこにあった。

「降臨? 大祭祀ハロウィンをか!?」
『そうよ、何かイモ臭い恰好な魔女のおじさん。ハロウィン化で成熟したグラビティ・チェインになった元人間のカボチャを煮詰めて煮詰めて、ハッピーハロウィーンってね♪ あのお鍋、突然動こうとしたから縛るのに手間取っちゃったもの。奪い取られたら、ハロウィン様に返す言葉もないから、ここであなた達もカボチャになりなさい!』
 混沌の空は瞬く間にハロウィンボムの夜空と化し、メラメラと目と口部分が炎で燃え上がっているハロウィンボムモドキの流星群が容赦なく降り注ぐ。幾重にも猟兵の攻撃を受けてもなお、ダメージの蓄積が見受けられない南瓜。これも骸の海から滲み出た過去たるオブリビオンではなく、不死たる存在のデウスエクスだからこそ。
 ハロウィンの魔草少女は決戦都市に充満するハロウィンの魔力から力を得ているのであれば、それを阻害すればこの完璧で究極な魔草少女をどうにかできるはずかも知れない。

「……なら、一か八かやってみるかァ! メディアさんは迎撃を頼む!!」
「うん、分かってる!」
 グレンがドスンと抱えていた釜を置くと、彼の肩を足場として体操服姿のメディアは更に高く跳躍する。

「熱を操れば、こういうことだってできるんだ!」
 ユーベルコードの迸りを拳に宿して振るうは『氷炎魔拳』。禍々しいハロウィンの空から爆撃されるハロウィンボムモドキが冷たく輝く氷の炎に呑み込まれ、周囲は冷ややかな晩秋の空気と化していく。

「いいねぇ、絶好の芋煮会日和の空気だ。俺は人々の営みを言祝ぐハレの日の魔女の弟子にして日々移ろう日常を言祝ぐもの竃の魔女、五ヶ谷グレン。魔女としてわからせてやらなければならないな……。咲かせよう、今ここにあるべき季節、芋煮の季節を」
 丁寧に皮が剥かれて下処理済みな用意した里芋を、ハロウィン化が現在進行形で侵食されているとしても残滓として残る周りの人々の願いをハロウィンに染められた町並みと共に握り込む。

「お嬢さんから来てくれたなら歓迎しよう。幾星霜彼方か知らないがダサいと感じる程懐かしい芋煮の魔力で、今なら空にも手は届き花開く」
 すると、大釜の中に展開された変幻する魔女術の力場によって、グレンの芋煮に対する想いがちからもちの力で容取られた種となって、それは地面に撒けば瞬く間に成長を遂げていく。
 里芋を触媒として発芽した木々は芋煮の想いを発しながらハロウィン化を中和する。その伝播力は上空に渦巻く混沌としたハロウィンの魔力だけに留まらず、ハロウィンボムの夜空を創造している南瓜にも及ぶのであった。

『……な、に、コレ……。ハロウィンの魔力じゃなく、別の魔力が私の頭の中に、入って……来てる!?』
 ユーベルコード『|ちからもち式ウィッチクラフト《力ずく魔女術序》』。万物が存在する状態となっていれば、そこを一時的にとは言え上書きしてしまえば良い。この僅かな瞬間だが、南瓜へのハロウィンの魔力供給は断たれ、ダサいだのとほざいた芋煮会の魔力とも言えるエネルギーが流れ込んでいる。

「この瞳にうつる心に芋煮を望む願いよ届け。さ、今がチャンスだ」
「これが芋煮会の風景、友人知人に家族団らんの一時……うぉおおおッ!!」
 それはメディアの中にも流入し、そんな幸せな一時を踏みにじったデウスエクスに対する激しい怒りが燃え上がる。身体から噴き上がる冷たく輝く氷の炎は更に勢いを増し、頭を抱えて困惑する南瓜めがけて拳が叩き込まれた。

『え……? やだやだやだ、死にたくない! ハロウィン様……ごめんなさーい!!』
 心臓にユーベルコードの波動が叩き込まれ、ピキピキと氷漬けされていく南瓜は悲痛な叫びを共に氷と化して無惨にも砕け散って消失してしまった。この惨状を作り出した魔草少女が遂に倒されたことでか、カボチャなツタな攻性植物が次第に枯れていき、決戦兵器鍋太郎に絡んでいたツタも程なく解けて行ったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『十二剣神『大祭祀ハロウィン』』

POW   :    そして世界はハロウィンと化す
【ハロウィン化した世界】を見せた対象全員に「【オマエのハロウィンを見せてみろ!】」と命令する。見せている間、命令を破った対象は【ハロウィンによる肉体変化に抗う力】が半減する。
SPD   :    トリック・オア・ハロウィン
【食べた者をハロウィン化する毒菓子】を給仕している間、戦場にいる食べた者をハロウィン化する毒菓子を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
WIZ   :    真理を識る大祭祀ハロウィンの視線
視界内の対象1体の精神を【真実の部屋ハロウィン】に追放する。精神が帰還するまで、対象の肉体は動けないが無敵になる。

イラスト:key-chang

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『ヒャ〜ッハッハッハァァァァ!!』
 単騎で決戦都市山形市を制圧させたデウスエクス『ハロウィンの魔草少女』である橙山・南瓜を殲滅した猟兵を嘲笑うかのような笑い声が、霞城公園内に留まらず決戦都市の郊外にまで轟いた。
 都市内に漂うハロウィンの魔力は薄れるどころか更に深みを増していき、まさに『万物が存在する状態』としか形容できない魔女の大釜がぶちまけられたかのようなカオスが渦巻き出す。

『やるじゃねぇか、猟兵とやら! だが! オレサマを倒さねぇと、この決戦都市にハロウィンの楔が完全に打ち込まれるのも時間の問題だぜェ? クソダセェ芋煮って奴もハロウィンにしてやるぜ、ヒャ〜ッハッハッハァァァァ!!』
 それは嗤い声と共に顕現した。
 冒涜的にまで禍々しいとしか言い表せれない巨大なジャック・オー・ランタンの怪物こそが、宇宙連合軍デウスエクスを統べる|十二剣神《グラディウス・トゥエルヴ》が一柱……その名も『大祭祀ハロウィン』!
 しかし彼自身はここにはおらず、遠い宇宙から何らかの方法を使って己の分身体を送り込んでいるに過ぎない。謂わば地球と大祭祀ハロウィンの主星『真理の部屋ハロウィン』が季節の魔力の力によって僅かな綻びが生じ、そのほんの隙間からハロウィンの幻影が送り込まれたようなものだ。
 それでも猟兵たちはその異様さが放つ重圧を前にして、オブリビオン・フォーミュラーに勝るとも劣らない圧倒的な力に挑まねばならない。そうでなければこの世界は大祭祀が下した宣戦布告通りに、あらゆる生命、そしてグラビティ・チェインは、その全てがハロウィンと化すしかないのだから。

 ──ソノ言葉、宣戦布告ト判断スル。

 猟兵らが覚悟を決めたその時、デウスエクス勢力から奪い返した日本一の芋煮鍋であり対デウスエクス用汎用芋煮決戦兵器である『鍋太郎』から無機質な音声が発する。

『アァン?』
 突然大鍋が喋りだせば、大祭祀ハロウィンとて顔を歪めさせながら訝しんで鍋太郎を見下ろしてしまう。

「再起動ヲ果タシタ当方ニ迎撃ノ用意アリ」
 ガキン! ガキン!
 おお……何と言うことだ。
 ただの大鍋かと思えた鍋太郎の鍋底に亀裂が走ると、そこから腕や脚が展開されたではないか!?
 万が一口に入れられても大丈夫なように食用油が潤滑剤として塗布された関節部を鳴らしながら、鍋太郎はこの場に居る者すべてに見守られながら鈍い光沢を放つ黒々とした装甲の鉄巨人が、今ここに立ち上がる!!

「貴様ノ|奇祭《ハロウィン》ハ侵略行為。決戦都市、並ビニ当機内蔵ノ対デウスエクス迎撃機構、準備完了! 各|番犬《ケルベロス》、|猟犬《イェーガー》トノユーザー仮登録、承認。|決戦配備《ポジション》|要請《コール》ニヨル支援プログラム、状況開始!」
 鍋太郎が芋煮大鍋形態から人型形態へと変形しを終え、その巨体は大祭祀ハロウィンと肩を並べるまでの威容を誇っていた。

『まさか鍋がロボットに変形するったァ、ヘソで茶を沸かしちまう話じゃねぇか!! だが、オレサマがやってのけてる世界のハロウィン化に耐えられるかァ? 耐えられねェのなら、元の大鍋に叩き直してやるぜ! ヒャ〜ッハッハッハァァァァ!!』
 仮装することでハロウィン化を中和している猟兵でさえも気を緩めば肉体がハロウィン化……即ち、抗う術もなくカボチャ飾りと化してしまった逃げ遅れた市民と同じ末路となってしまうかのような膨大な季節の魔力が大祭祀ハロウィンより迸る。
 このままだと頼みの綱である決戦兵器もハロウィン化していまうのは必定とならば、鍋太郎の支援の元で短期決戦で挑むしかない。
 かくして世界一の芋煮鍋ロボと猟兵の手によって、世界の命運を賭けた|死闘《ハロウィンパーティー》が今ここに繰り広げられるのである!!
黒木・摩那
おぉ、大鍋が巨大ロボに変形した!
さすがは決戦兵器。心強いですね。
鍋太郎と共に大祭祀ハロウィンを倒していきましょう。

鍋太郎にの攻撃の合間を縫いつつ、ヨーヨー『エクリプス』で戦います。
ヨーヨーを対キャバリア用に巨大化して【電撃】も籠めて、ぶん殴ります。

え? お菓子をくれるんですか??
こんなときにどうもありがとうございます。
ありがたくいただきます。

もっともUC【フリーダムブレイズ】で対策済みなんですけどね。
鍋太郎の分までおいしく平らげて、攻撃の手を緩めさせません。

もちろん芋煮は別腹ですよ。



「おぉ、大鍋が巨大ロボに変形した! さすがは決戦兵器。心強いですね」
 遂に正体を露わとさせた、見上げるまでに巨大な鉄巨人の決戦兵器。その名も『鍋太郎』。決戦兵器とは決戦都市防衛の要であり、文字通りの最後の砦。仮にそれがデウスエクスに知られてしまっては、真っ先に狙われてしまう対象となってしまうために大っぴらに存在を明かさせていない決戦都市が多い。
 ここ山形市もそうであり、歴代鍋太郎がただの大鍋であるのを逆手に取って決戦兵器として建造された当代の鍋太郎。普段はただの大鍋として鎮座しているが、いざとなれば決戦都市の守護神に変形している。その偽装は大祭祀ハロウィンとて見破れないまでであったのだが、それが仇となって『大鍋』として奪われてしまったのは否めない。

『しゃらくせぇ!!』
 完膚なきまでの侵略に勝ち誇ったかのように高笑いを上げていた大祭祀ハロウィンであったが、戦況を左右しかねない決戦兵器の登場に苛立ちの色を隠せきれていない。腕を振りあげ、眼下で自身の姿を見上げる摩那を始めとした各猟兵を纏めて一捻りしようと忌々しい唸り声を叫び上げる。
 だが、それも鍋太郎が受け止めしまえばそれまでのこと。彼が大祭祀ハロウィンを取り押さえている今こそが、絶好な攻撃のチャンスと言えよう。

「今デス。私ガデウスエクスヲ抑エテイル間ニ……!」
「言われなくても分かっていますとも!」
 摩那はスマートグラス『ガリレオ』のメガネポジションを人差し指で修正させながら、巨大で禍々しいジャック・オー・ランタンの侵略者を見上げる。レンズには数々の情報分析が表示され、概ねの距離を測距できればそれに見合った距離にまで一気に詰め寄っていく。だが、相手は分身体とは言え|十二剣神《グラディウス・トゥエルブ》の一柱だ。近づけば近づくほどに肌に纏わりつくかのようなハロウィンの魔力がユーベルコードを顕現させていった。

『おぉっと、挨拶代わりの菓子を振る舞ってなかったな! トリック・オア・ハロウィン! 美味しく喰らいやがれェ!!』
 大祭祀ハロウィンの周囲に次々と彩り豊かで多種多様なお菓子が創造され、それらは得体の知れない魅力さを放っていた。

「え? お菓子をくれるんですか??」
 そんなハロウィンらしいと言えばらしい反撃に虚を突かれた摩那だったが、彼女はある飴玉に思わず目が行ってしまい確信する。あれは未知なる辛さを秘めた赤黒さ放っている物であると。

「こんなときにどうもありがとうございます。ありがたくいただきます」
 経験的に、これを食べなければ何らかのデメリットが与えられるユーベルコードなのだろう。毒を食らわば皿までもと、距離を詰めるのを止めずに飴玉を掴み取ってパクリとそれを頬張った。その姿を確かに視た大祭祀ハロウィンは、勝利を確信したかのような高笑いを再びあげたのであった。

『ヒャ〜ッハッハッハァァァァ! ハイそうですかと食べるバカがここに居たぜェ!!』
 これらは食べた対象をハロウィン化させる毒菓子なのだが、摩那が頬張った飴玉とはいわゆる超激辛キャンディーでもあった。その辛さは実にハバネロを遥かに越える|辛度《しんど》3000倍!!
 口に含めた途端強烈な辛さが脳髄まで灼き尽くしてしまう、惑星ハロウィンの中でも最高度の辛さを誇る唐辛子を使ったに悶絶するが良い!

「くぅ~! このピリッと来る辛さが癖になってしまいますねぇ!!」
 ……とはならなかった。並みの猟兵であれば確かにハロウィンの思惑通りな結果となったのであろうが、この黒木・摩那は各世界の|調味料《辛さ》を収集するまでの辛党。辛さに強い耐性があれば、この宇宙的な辛さも摩那を唸らせるスパイスでしかなかったのであった。

「まだ無いのですか? それならハロウィンの流儀に従って、もっともっと頂戴するだけです」
 宇宙的な辛さを味わって薄っすらと汗ばんでいるせいか、若干血走った瞳の奥底にユーベルコードの煌めきが灯る。何であの超激辛キャンディーを頬張ってもピンピンしてるんだよと驚きの色を隠せきれないハロウィンであったが、突如その超激辛キャンディーを実際に頬張っているかのような強烈な辛さが口の中に突如として広がりだす。

『ギィヤアァァァァァ!! 辛ぇえええええッ!?』
 まるで火を吹くような辛さに悶絶し、鍋太郎との力比べに押され始めていく大祭祀ハロウィン。燃え盛る炎のオーラと共に発動したフリーダムブレイズが、ハロウィンの毒に加えて超激辛キャンディーの辛さもそっくりそのままお返しした次第である。

「トリック・オア・トリート! お菓子をくれなきゃ……倒すだけです!」
 あまりの辛さに言い返す余裕もない大祭祀ハロウィンとの距離を詰めきった摩那が、手にしていた超可変ヨーヨー『エクリプス』を投じる。紐を伝って彼女のサイキックパワーが対キャバリア用サイズにまで巨大化し、それに伴って生じた電流を帯びた巨大な質量が超激辛キャンディーの宇宙的な辛さに悶絶している大祭祀ハロウィンの顔面へと叩きつけられたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御魂・神治
ホンマ酷い仮装やったわ...ミイラはないで
天将『中途半端に包帯残すのやめてください、厨二病ですか』
残さな仮装判定無くなってまうやろ
この鉄巨人使ってあのバケモンどうにかせえって事――
天将『神治の精神の一時消失、肉体の剛性の異常上昇を確認』
天将『代理精神適用、五代前の先祖、対戦宜しくお願いします』

アホんだら、油断するからこうなるんや
ワシはどないすりゃええんや式神よぉ、神治は怪我でもしたんか?動かんぞ?
天将『決戦兵器で化物を倒す、今の状態なら乱暴に扱っても神治の体は傷付きません』
雑やのう...まあええわ
決戦兵器に憑き直して神治の体に【破魔】の【結界術】の【エネルギー充填】して掴んでどつき回したるわ



「ホンマ酷い仮装やったわ……ミイラはないで」
 ハロウィン配下のオブリビオンへのカミカゼは運良く果たせず、無惨にも墜落してしまった和棺桶からようやく神治は脱出を果たせた。ミイラ同然にぐるぐる巻きにさせられていた包帯は破損した棺桶の木片に身を捩らせながら擦り付けて切っており、今やその名残は申し訳ない程度に神治の顔へ巻かれている程度である。

『中途半端に包帯残すのやめてください、厨二病ですか』
「残さな仮装判定無くなってまうやろ」
 このような経緯となった元凶である天将がどこか残念そうに神治の周辺を飛び回っているが、ここはちゃんと術師と式神との関係をビシッと決めておくに限る。

『そうですか。すると、無実の罪で逮捕&収監されて地獄の日々を送ってきたA級囚人の仮装だと』
「何でそう発想が飛躍どころかワープするんやねん! そこは通りすがりの正体不明で男前な包帯男とかあるやろ!?」
 正直どっちもどっちなのであるが、そのようにやいのやいのと騒いでいればようやく超激辛キャンディーの辛さから持ち直した大祭祀ハロウィン。猟兵から受けた手痛い一撃を喰らってヒリヒリと痛む頬を抑えながら、機嫌がすこぶる悪い口ぶりでふたりを睨みつける。

『うるせェ! どっちでも良いだろうがッ! さっきのお返しに、まずはテメェからオネンネして貰うゼェ!!』
「はぁ? どっちでもええとか、聞き捨てならんな! この鉄巨人使ってあのバケモンどうにかせえって事――」
 神治が大祭祀ハロウィンと視線を合わせてしまった次の瞬間、彼の意識はぷつっと途切れてしまう。それもその筈で、大祭祀ハロウィンのユーベルコードによって神治の精神はハロウィンの主星『真理の部屋ハロウィン』へと放逐されてしまったのだ。
 こうなれば抗う術などなく、抜け殻となった肉体は朽ちることを許されずに異星との融合までこのまま転がり続ける……しかなかった。

『神治の精神の一時消失、肉体の剛性の異常上昇を確認。代理精神適用、五代前の先祖、対戦宜しくお願いします』
 先程までの不敬さは鳴りを潜め、天将は畏まった物言いで抜け殻となった神治に宿りし存在へと深々と頭を垂れる。

(アホんだら、油断するからこうなるんや)
『仰る通りです』
(先代の顔に泥を塗りおって……で、ワシはどないすりゃええんや、式神よぉ。神治は怪我でもしたんか? 指の先まで鉛のように重うなって動かんぞ?)
 そんな事も露知らず、まんまと術に引っかかった猟兵を嘲笑う大祭祀ハロウィンの嗤い声が響く中、淡々と両者は交信を続けていく。

『決戦兵器で化物を倒す。今の状態なら乱暴に扱っても神治の体は傷付きません』
(雑やのう……まあええわ。神治の精神が無事戻って来たら、身体に戻る前にちょいと頭ン中で他の先代らと席を並べた説教で手打ちしたる)
 何とも考えただけでも胃が痛くなってくる話であるが、そのようにと天将は傅いて交渉成立。いざという時にユーベルコードの顕現を任されていた|人工式神《AI》は憑依変化『御魂・甲式』の術式を展開し、再び力比べを始めようと大祭祀ハロウィンに迫りつつある鍋太郎へと第五代『御魂・神治』の魂を憑依させた。

『ヒャ〜ッハッハッハァァァァ!! どうした鍋野郎、急に背を向けやがって。さては……オレサマに太刀打ちできないと分かったかぁ?』
 鍋太郎は終始無言のまま挑発をシカトするが、流石にそうされればムカっとするのはデウスエクスとて同じこと。

『シカトこいてんじゃネェエエエッ!!』
 熱り立ったハロウィンが突如屈んだ鍋太郎の背後へと差し迫ったその時、突如鍋太郎は何かを掴んだ腕でハロウィンの顎先をパッカーンと打ち上げる。

『ッてぇじゃねぇか……あん? その手に持ってるのはもしや……』
 もしやも何も、それは意識がハロウィンの主星へと旅立ってしまった当代の御魂・神治において他ならない。大祭祀ハロウィンが与えたユーベルコードの副次作用に加えて、現在鍋太郎に憑依している五代目の魂が破魔の力を宿した霊気を元に申し訳ない程度の結界を握り締めている神治の身体に張り巡らさせている。
 つまり、それを鈍器代わりにしてどついて来たのだ。これには流石に悪の侵略者を自負する大祭祀ハロウィンでさえドン引きモノだ。

『ちょ、正気かよオメー!?』
(子孫が世話んなったな、今度は儂が相手や)
 物言わぬ鍋太郎を五代目の御霊が操り、理解力が追いつかない大祭祀ハロウィンの南瓜顔めがけてその子孫を武器にして再びぶん殴る。そのダメージでユーベルコードが解けて神治の意識は地球へと戻ってきたのであったが、反省部屋めいた空間に歴代の『御魂・神治』らから目覚めを許されずに厳しい説教を受ける羽目となったのは言うまでもなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メディア・フィール
プレイング改変・アドリブOK
他PCとの絡みOK
POW選択

クロムキャバリアで手に入れたロボ、『ネオン』に乗って芋煮鍋ロボを支援します。超級決戦ロボと比べれば、さながら主役機と量産型ほどの差がありますが、それでもハロウィン崩壊する山形市で【空中機動】(本来は飛べないので巨大ロボ用のワイヤーによるアクション)で縦横無尽に三次元戦闘を繰り広げることで大祭祀ハロウィンの行動を制限します。そしてその中で真理に気づくでしょう。芋煮というのはハロウィンの上位の概念であり、芋煮こそがハロウィンであったことに(山形市限定)。

「ハロウィンなんてない! ハロウィンすべてが芋煮だったんだ! ボクもお前も芋煮なんだ!」



『しゃらくせえええェ!!』
 執拗に自身を攻撃しては猟兵との連携攻撃を行ってくる決戦兵器『鍋太郎』。鬱陶しい限りではあるのだが、鍋に変形するだけあって強固な装甲に守られた鉄巨人に有効的な一打を与えきれない現状に大祭祀ハロウィンは苛立ちを露わにする。
 打撃が有効ではないとなればと、ハロウィンの瞳が妖しく輝いた。鍋太郎の意識を自らの主星『真実の部屋ハロウィン』への追放を図ろうとしたのだ。

「オノレ!」
 だが、鍋太郎は学習していた。うっかり大祭祀ハロウィンと視線を合わせてしまった猟兵が辿った末路を。視線を合わせまいと咄嗟に両腕で頭部を隠すが、そこがハロウィンの狙い目でもある。

『ヒャ〜ッハッハッハァァァァ! 掛かったなぁ!!』
 ガラ空きとなった部位目掛け、大祭祀ハロウィンの強靭なる|腕《かいな》の一振りが鍋太郎の関節部へと与えられる。

「グゥウウウウ!?」
『いくら装甲が硬かろうと、関節はちゃっちぃみてェだなァ?』
 防戦一方となった鍋太郎へ大祭祀ハロウィンは執拗に攻撃を与えているが、その背後から何者かが強襲する影が静止を図ろうした。

「そこまでだ、大祭祀ハロウィン!」
 メディアがクロムキャバリアの世界で得たクロムキャバリア『ネオン』である。鍋太郎と大祭祀ハロウィンはキャバリアの体高を優に越える巨体であるが、質量的に生身で戦うよりもこちらの方が確かな一打を与えれると判断を下したまで。機体の名を叫びながら指をパチンと鳴らせば、何処から出てきたネオンの姿はこんな事もあろうかとリペイントして道化師さながらとなっていた。これならば、ハロウィン化にも抗えよう。期待以上に遠距離まで伸ばすことが可能のRXS-Aロングレンジアーム・焔が、大祭祀ハロウィンの南瓜のヘタ状な頭頂部めがけて降された。

『ちっ、このオレサマに奇襲とは大したもんじゃねぇか。だが、オレサマの視界から逃げられるかなぁ!?』
 邪悪なるジャック・オー・ランタンの瞳が燃えるように輝きだし、メディアの精神を自らの主星へと送ろうとさせている。このままでは為す術もなく自らの意識は真実の部屋ハロウィンに旅立ってしまうと察知したメディアは周囲を見渡すと、ある物へと目が留まった。

「これだ! 鍋太郎、掴ませて貰うよ!!」
 残ったRXS-Aロングレンジアーム・焔を再び展開した先は、鍋太郎のボディで至るところに走っている装甲の切れ目であった。そこを掴んで一気に縮めさせれば、ワイヤーアクションめいた空中機動で大祭祀ハロウィンと視線を合わせること無くその横を高速で掠めていった。

『ちぃ! ちょこまかと!!』
 特大なユーベルコードを放ち続ける大祭祀ハロウィンであったが、自らの身体の動きを反映できるネオンならではの機動性に翻弄されてしまう。メディアの機転によって生まれた間隙を縫うように、鍋太郎は再びデウスエクスに挑みかかろうとした。
 そうすれば大祭祀ハロウィンの意識は鍋太郎に向けざるを得なく、その隙を突いてネオンによる蝶のように舞い蜂のように刺す一打が確実に与えられていく。そんな最中、メディアの胸中にある閃きが疾走った。

「そうか……そうだったんだ。芋煮というのはハロウィンの上位の概念であって、芋煮こそがハロウィン……」
『ハァ!? 何トチ狂った事を言ってるんだ、テメェ!!』
「イイエ、間違ッテイマセン。コノ決戦都市山形市ニオイテハ、今ヤハロウィン=芋煮会ナノデス!」
 日本人は外国から伝わった異文化を自らの文化としてアレンジするのを得意とする民族であるが、芋煮に並ならぬ情熱を注ぐ山形県民であればこうなろう。何せなにかと理由を付け、秋の行楽となれば河川敷のみならず山だろうが海だろうがお構いなしに芋煮会をするのだ。メディアが進化を促す宇宙線を浴びたかのような悟りは、あながち間違っていないだろう。

「ハロウィンなんてない! ハロウィンすべてが芋煮だったんだ! ボクもお前も芋煮なんだ!」
 昂ぶるメディアの感情に呼応してユーベルコードの高まりを感知したネオンがリミッターを解除し、機体全体を黄金一色に染め上げる力場が展開される。

『だから! 何だよ、その謎理論はよ!!』
「芋煮トハ芋煮デス。ソレヲ理解デキナイ侵略者ハ殲滅アルノミ!!」
 機体の限界を越えたことで暴風の域となった衝撃波……『闘龍衝破撃』を拳から放ったメディアに合わせるように、鍋太郎の胸部装甲が展開されて赤々と光りながら炎で燃える上がるタービン孔が露わとなる。これこそが鍋太郎の必殺技にして芋煮鍋形態での熱源。高音の域にまで達したタービン音と共に、それは放たれるのである。

「芋煮ファイヤー!!」
 その名を叫べば、解き放たれた炎の奔流がメディアのユーベルコードによって身動きを一時的に封じられた|十二剣神《グラディウス・トゥエルブ》の一柱を激しく呑み込んだのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

五ヶ谷・グレン
アドリブ絡み歓迎

■芋煮界
ポジション、いきてようとなかろうと宣言させてもらおう。
メディーック!
無理でもUCので心に直接呼び掛ける、
ハロウィン化を許すという事、
つまり、芋煮に鳥と牛と豚をぶち込みつきこんにゃくとしらたきと葛切を加え、里芋とじゃがいもとサツマイモまで味噌と醤油で作られるって事だ!
南瓜にされようと皆の想いは感じられる、
俺の魔眼でハロウィンが芋煮に必要なものになった瞬間に集めて、
創めるぞ鍋太郎芋煮会を。
そして、高まった芋煮の季節の魔力とUCで繋いでやろうハロウィンの心に、
俺がハロウィンに飛ばされたら鍋太郎、俺ごと引け!
そして奪うぞ定命と地球に根ざすことへの抵抗を、
支配ではなく帰属を高めろ


暗都・魎夜
【心情】
へえ、決戦配備には思ってた以上にぶっ飛んだ代物があるもんだ
ハロウィンパーティー、徹底的に盛り上げていくとするか!

「ハロウィンの大将、ここからがパーティーの本番だぜ? イグニッション!」
「俺のハロウィン、見せてやるぜ!」

【決戦配備】
クラッシャー
鍋太郎による攻撃支援を依頼

これが終わったら、芋煮会だ
よろしく頼むぜ!

【戦闘】
鍋太郎の攻撃で詠唱時間を稼ぎつつ「高速詠唱」
「リミッター解除」「召喚術」で宇宙ゴーストを暴れさせる

ハロウィンだったら、お化けが沢山いるもんだろ?
100体以上のゴーストの参戦だ
シルバーレイン流のハロウィンパーティー、楽しんでいってもらうぜ!



「へえ、決戦配備には思ってた以上にぶっ飛んだ代物があるもんだ」
 見てくれはただの大鍋であったはずの鍋太郎が人型に変形したのに加え、ロボットアニメさながらと放った特大火力の内蔵武器を前にすれば魎夜は思わず唸ってしまう。ほのかにカボチャがよく焼けたかのような香ばしい匂いが霞城公園内を漂うが、それも憤怒の形相で吠え立つ大祭祀ハロウィンの叫びが掻き消そう。

『ヒャ〜ッハッハッハァァァァ!! そんなモン、ちっとも熱くもねェぜェ!!』
「その割には随分と慌てふためいて、頭に付いた炎を必死に消そうとしたようだったが……」
 半ば呆れ顔となったグレンが指摘したのは、最大火力であろう芋煮ファイヤーの直撃を受けた大祭祀ハロウィンの頭部が|炎上《ファイヤーヘッド》していたということ。
 鍋太郎が見せた勇姿に視線が移ってしまっていてよく聞き取れていなかったが、「水、水、水!?」と叫んでいた気もする。とは言え、いくら悪の侵略者ながらに強がっていようとも確かなダメージを与えられたのは確かなことなようで、大祭祀ハロウィンは消耗して動きが鈍っているのは確かであった。
 しかし、相手は骸の海から滲み出た|過去《オブリビオン》ではなく、全世界同時に自らの分身体を直接送り込んだ|現実《デウスエクス》である。何かきっかけさえあればフォーミュラ級も前触れ無く際限なく湧き出るオブリビオンとは違い明確な本体が居る分マシなのだろうが、それでもこの強さだ。油断することなく最後まで押し通さねば、いくら仮装してハロウィン化を中和されていようとも一瞬の気の緩みでハロウィン化されてしまいそうな気迫を放つ|十二剣神《グラディウス・トゥエルブ》の一柱……それが大祭祀ハロウィン!

「いいぞ、鍋太郎! 芋煮ファイヤーをもう一発……」
「残念デスガ、今ノデエネルギーノ大半ヲ使ッテシマイマシタ。芋煮ファイヤー再発射ニハ、再チャージヲ要シマス」
「ああ……必殺技はこちら側の消耗してしまうからこそ必殺技、と」
 展開された胸部装甲から覗く発射孔が閉じられ、再発射までの再チャージ態勢に移行してしまう鍋太郎。これを逆転のチャンスと見た大祭祀ハロウィンは、再び勝ち誇った嗤いを上げた。

『とんだポンコツじゃねぇかよ! ここで一気に巻き返して、オメェらも地球もハロウィンにしてやるぜェ!! ヒャ〜ッハッハッハァァァァ!! 』
 万物全てをハロウィンに化する波動を放つ大祭祀ハロウィン。ここで鍋太郎を破壊されてしまえば抗う術を喪うも同然という絶体絶命の中、グエンはあることを思い出した。

「鍋太郎、鍋に変形しても再チャージは可能か?」
「可能デス。デスガ、当機ハ無防備トナリマス」
「それをどうにかするのが俺たちだろうがよ。ハロウィンの大将、ここからがパーティーの本番だぜ? |起動《イグニッション》!」
 全装備を収納した不思議なカード、イグニッションカード。ユーベルコードの顕現を示す煌めきと共に真紅のプロテクター姿へと瞬時に魎夜が|変身《仮装》すれば、彼の背後からはシルバーレインでは普遍的な宇宙ゴーストらは能力者の力となって『あらゆる世界の概念が同時に存在する状況』を呈していく。

『ちょこまかとウゼェ雑魚幽霊がぁ!!』
 その数はざっと百を越えるもので、大祭祀ハロウィンの周囲を縦横無尽と飛び回ってシルバーレイン流のハロウィンパーティーさながらな賑わいだ。

「これが終わったら、芋煮会だ。よろしく頼むぜ!」
「了解シマシタ。本場山形ノ芋煮ヲ御馳走シマストモ」
 鍋太郎の巨体が鍋形態へと代わり、エネルギー再充電優先モードへと移行する。

「さぁ、ここからは魔女の出番だ。一応ではあるが、メディック支援を要請する」
「承リマシタ。省エネデスガ、支援炊キ出シ機能始動」
 巨人であるグエンすらも見上げてしまうまでの大鍋であるが、そこは魔女の魔力でどうにかなるもの。ユーベルコードの高まりとともに中和されたハロウィンの魔力に宿る想いを食材の形にと変えていく。

「ハロウィン化を許すという事……つまり、芋煮に鳥と牛と豚をぶち込みつきこんにゃくとしらたきと葛切を加え、里芋とじゃがいもとサツマイモまで味噌と醤油で作られるって事だ!」
 それはハロウィン化されて生きたカボチャ飾りにと姿を変えられてしまった人々の想いである。やれ庄内の味噌と豚肉を使う芋煮は豚汁だ、やれ宮城の芋煮は具材と味付けがすき焼きだ、やれゴボウが入って無いだのコンニャクは手で千切った方が味が染み込むのだと煩い山形県民であるが、それも純粋に芋煮を心から愛しているからこそでもある。ある程度芋煮の形になっていれば文句を言いつつも食べるものだが、その姿がかけ離れていればそれはもはや芋煮と呼べる代物ではない。
 そのように大祭祀ハロウィンとその配下のデウスエクスがやってのけた所業をグエンは糾弾し、大鍋形態の鍋太郎に集まった人々の想いがイマジナリー芋煮を創り出す。

『こんな状況で呑気に芋煮会だァ? ふざけるのも大概に……な、なんだコレはッ!?』
 傍から見ればふざけた真似そのものだろうが、これで霞城公園に降臨してた大祭祀ハロウィンを中心に高まりつつあるハロウィンの魔力が中和ならびに浄化されてしまえば話は別だ。
 ユーベルコード、幸を言祝ぐ魔女の伝。運命を紡ぐ見えない魔女が紡いだ運命の糸によって山形市内に転がるカボチャ細工に変えられた人々の想いが今、ハロウィンの空気を芋煮会の空気に上書きさせたのだ。

「くぅ~、まるで本物の芋煮を作ってるみてぇじゃねぇか! 鍋太郎、そろそろ|攻撃支援《クラッシャー》を頼むぜ!」
 魎夜の鼻孔をくすぐったのは、食欲をそそらせる香ばしい醤油ベースな芋煮の香り。こうなればハロウィンの魔力も減少していく一方で、それを自らの力とする大祭祀ハロウィンの力は目に見えて衰えている。今が再び芋煮の力を示す時だ!

「……コレガ、私ガ護ル人々ノ想イ。ポジションクラッシャー、確カニ受理シマシタ。コノフザケタハロウィンヲ、皆サンノ想イト共ニ今必殺ノ……ダイナミック芋煮ファイヤー!!」
 再充電を完了させ、再び人型形態へと変形した鍋太郎。グエンがもたらした芋煮の魔力を血も通わぬ身体へと宿しながら、赤々と輝く発射孔を開かせる。そこから放たれるはただの熱線にあらず、ハロウィンもだが芋煮を楽しむ純粋な人々の輝きそのものだ。

『グィヤァアアアアアア!? このオレサマが、こんなものに……敗れるなど……ッ!』
 そうして遠く望む蔵王山にも届かんとばかりに放たれた一筋の光が、大祭祀ハロウィンを呑み込んでその身を崩壊させたのであった。


 かくして、決戦都市山形市に降臨して制圧までやってのけた大祭祀ハロウィン……その分身体は消滅した。これによって異常なまでに高まりを見せたハロウィンの魔力は平常数値にまで落ち着けば、ハロウィン化によってカボチャ細工に姿を変えられた人々は元の姿へと戻っていく。あれほどカオス極まりなかった赤黒とした空も、青く晴れ渡る秋晴れの空へと戻っていった。
 しかし、猟兵が苦心して倒した大祭祀ハロウィンの本体は今も健在であり、何より十二剣神の脅威は過ぎ去ったわけでない。何時また彼らが|グラビティ・チェイン《生存エネルギー》を奪いに新たな侵略が起こるか分からない恐怖に怯える日が続くが、少なくとも大祭祀ハロウィンの失敗で彼らは新たな手を講じる時間が出来よう。
 それならば、こちらもそれ相応に備えるだけ。今はその英気を養おうと決戦都市山形市をデウスエクスの手から解放させた猟兵たちは、一時の平和を享受して馬見ヶ崎河川敷で改めて開かれたハロウィン芋煮会に舌鼓を打っていた。

「皆サン、ドンドンオ代ワリシテ行ッテ下サイネ。日本一ノ芋煮会デ作ル芋煮ノ量ハ伊達デハアリマセン」
 そして、デウスエクスに奪われながらも猟兵たちと共に協力して撃破した決戦兵器鍋太郎は大鍋の姿で美味しい山形の芋煮を誇らしく作っていたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年11月01日


挿絵イラスト