5
気高く咲き、おぞましく歪む

#エンドブレイカー! #戦後 #ギガンティア

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#エンドブレイカー!
🔒
#戦後
🔒
#ギガンティア


0




 お庭の草むしりのお手伝いをしたら、おじさんが小さな鉢植えのバラをくれた。
 頑張って育てたらわたしがすごいって言ったあのアーチみたいに、きれいなバラが咲くんだって!

 毎日お水をあげて、一生懸命お世話したら小さなつぼみがついたの!早く咲かないかなぁ。
 きれいに咲くのが早く見たいね!ねぇ、妖精さんもそう思うよね?

「エリクシルが歪めて叶えた願いによって、新たなギガンティアが発生してしまいました!」
 新しく生み出されたギガンティアはまるでバラで出来た迷宮のように、棘付きの枝が絡み合い血のように赤いバラが咲き乱れている。

「女の子の願いは、育てているバラが早く咲くこと。エリクシルが歪めなければ、遠くない未来に白くて小さいバラが咲くはずだったのです。」
 それが今はおぞましい血を啜るバラの迷宮として歪んだ形を取らされている。

「みなさんにはこのギガンティアが不安定なうちにエリクシルを倒し、ギガンティアを破壊していただきたいのです!」
 生み出されてしまったとはいえ、まだギガンティアは確固たる存在として確立しているわけではないようで、今ならまだ破壊することもできそうだ。

「ギガンティア内部には蘇生されたマスカレイドが待ち受けていて戦いになることが予想されます」
 幸いというかなんというか、床はかなりの重さや戦いに耐えられそうな作りになっている。
 しかし床と違い、壁は全て棘だらけのバラの枝が絡み合ったようになっていて触れるだけでも怪我の危険が伴う。しかし、それは敵も同じ、うまく利用することができれば優位に立ち回れるかもしれない。

「見事に踏破して、少女のささやかな願いを歪めたエリクシルを倒してください!」


ぬぬかぬれ
 はじめましての方ははじめまして、こんにちはぬぬかぬれです。
 今回のシナリオは「エンドブレイカー!」歪められた願いから生み出されたギガンティアを踏破しエリクシルを倒すことで破壊してください。

●1章 集団戦『ワスプポッド』
 複数のワスプポッドとそれらが放つ殺人蜂との戦闘です。
 戦場となる迷宮は棘のある植物が絡み合った壁で区切られていますが、戦闘できないほど狭いというわけではありません。
 壁を利用するなり無視して戦うなり、それぞれの猟兵が得意とする方法で戦ってください。

 2章はタイニー・エリクシルとのボス戦になります。

 アドリブ禁止の場合は簡潔で構わないので明記してください。文字数が足りない場合はア禁などだとわかりやすいです。
 共闘は明記されていない限り行いません。
7




第1章 集団戦 『ワスプポッド』

POW   :    蜂毒刺し
【赤い爪】が命中した部位に【強化蜂毒】を流し込み、部位を爆破、もしくはレベル秒間操作する(抵抗は可能)。
SPD   :    ワスプスウォーム
【体に出来た殺人蜂の巣】から、戦場全体に「敵味方を識別する【殺人蜂】」を放ち、ダメージと【猛毒】の状態異常を与える。
WIZ   :    ワスプハニー
【蜂蜜】を纏わせた対象1体に「攻撃力強化」「装甲強化」「敵対者に【空腹】を誘発する効果」を付与する。

イラスト:KANtarou

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

サツキ・ウカガミ
相変わらず、エリクシルはろくな事をしないね。
すぐに倒しに行くから、首を洗って待ってるといいよ!

さて、ワスプポッドか。殺人蜂は厄介だけど、
このギガンティアで火を放つのも勇気がいるし……地道に狩ろうかな。
【影魔人の術・餓者髑髏】を召喚。
今日は蜂を狩り放題だよ、餓者髑髏!

飛んでくる殺人蜂の対処は魔人の攻撃に任せて、ボクは
蜂の来る方角の[情報収集]や[気配関知]で敵位置を[索敵]。
敵位置をつかんだら、術の物質透過能力での壁抜けを活かして
[不意打ち]で[なぎ払い・急所突き]して数を減らしていこう。
敵攻撃は[見切り]で避けたり、壁抜けで防御。
万一食らったら[毒耐性]で耐える!

蜂には、ボクは止められないよ!



 絡み合った蔦によって作られた壁はびっしりと棘が生えていて、迂闊に手をつくだけでも危険に見える。そこに咲いているバラもどこか人工物のような違和感があって、見た目だけなら美しいはずなのに毒々しくサツキの目には映った。
 本当なら咲くはずのバラはきっときれいなものだっただろう。毒々しくしさなんて感じられずうっかり棘が刺さってしまっても酷い怪我なんてしない、ごく普通のかわいらしいバラを思い浮かべたサツキは目の前の光景との違いに思わず眉をひそめる。

「相変わらず、エリクシルはろくな事をしないね」

 この刺々しいギガンティアも、耳障りな蜂の羽の音も、利用されてしまった子供の小さな夢も、本当になにもかもがろくでもない。こんな場所は早くなくしてしまうに限ると、サツキは蜂の羽音目指して駆け出した。
 サツキの姿を見つけたワスプポッドが侵入者を撃退するべく殺人蜂をけしかける。まるで蜂の巣を叩いたかのような、という例えがまさに相応しいほどの轟音ともいうべき羽音と襲いかかってくる巨大な蜂の群れを目前にしてサツキは臆することなく真っ直ぐに睨みつけた。

 例えエリクシルによって作られたまがい物であっても、植物で作られたギガンティアの中で火を放つのは勇気がいる。燃え広がって敵ごとなんてことになってしまっては洒落にならない。
 そうなれば選ぶ手段は一つ。まるで洪水のように押し寄せてくる殺人蜂を地道に狩る、単純で一番効率のいい方法だ。サツキはそのために呼び出す存在を思い浮かべて影に視線を向ける。

「今日は蜂を狩り放題だよ、餓者髑髏!」

 足元の影が沸き立つように波打って、迫ってきた殺人蜂を巨大な骨の手が影の中から這い上がるついでとばかりに叩き潰した。影の黒がだんだんと色を変え、見上げるほどの餓者髑髏が悪夢のように姿を表した。
 殺人蜂がどれだけ纏わりついた所で影の魔人の体にはなんの変化も与られない。サツキはそれを確認することなく素早く敵の位置を確認すると、棘だらけの壁に文字通り飛び込んだ。

 サツキを見失ったワスプポッドの横の壁から飛び出すと、光の軌道を残して数度振り抜かれた濫觴が守るように飛んでいた蜂ごとワスプポッドと殺人蜂の巣を一刀両断した。
 反撃を最小限の動きで躱しながら舞うように蜂を斬り伏せ、手薄になったワスプポッドにサツキが迫った。最後の反撃とばかりに向かってきた殺人蜂の針が白い手の甲に薄っすらと赤い線を引くもののそれ以上サツキを傷つけることは出来ず斬られて落ちる。

「かすった程度の毒がボクに効くと思った?蜂には、ボクは止められないよ!」

 深々と突き刺さった忍刀にワスプポッドが甲高い悲鳴を上げる。それが静かになった後には耳障りな蜂の羽音も影の魔人も存在せず、ただサツキが刀をおさめる音だけがかすかに響いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

楳・暁君
……俺も花は好きだ。だからこのように歪められてしまった花を見るのはとても悲しいし、少女のことを思うと胸が痛む。

だから、少女の為にも、咲くはずだったバラの為にも……行くか、戦いに。

あの爪は当たると厄介なことになりそうだ。ならば……【天地無双剣】で迎え撃とう。野太刀を使い返し刀による【武器受け】をし、【なぎ払い】をした後突きで反撃していこうか。
他の蜂たちの妨害もあるだろうが、そこは【激痛耐性】で耐えるとしよう。恐れずに、飛び込もうか。

……花に惹かれ蜂が来るのは本来自然な事だが、マスカレイドとあらば容赦はできない。すまないが、倒させてもらおう。



 作り物のように足元に転がる原色の赤に艶めくバラの花弁を躊躇なく踏みつけて、暁君はあからさまに顔をしかめた。
 暁君は花を嫌う質ではなく、ごく普通の花ならば愛でることだってある程度に花は好きである。もしもこれが少女が育てて咲かせたバラだったとしたら、微笑んできれいだと言えたことだろう。

 しかし今目の前で咲いているバラは、少女の願いが歪められたことの象徴のようなものだ。ごく普通に咲くはずだったバラが、歪められて毒々しい花弁をつけているのを見るのはいい気分にはならない。
 暁君は歪められた願いや少女の思いに胸を痛めたが、その感情は彼の戦う理由にもなった。ものギガンティアさえ破壊することが出来るのならば、少女が咲いてほしいと願ったバラはきっときれいに咲くことだろう。

「行くか、戦いに」

 耳障りな羽音は姿が見えない状態でも聞こえていた。花に蜂は常ではある、本来ならば刺されるからといって過剰に排除してしまえば花のためにもならない。
 だが今回は違う。そもそもこのギガンティアが自然に反しているのだから、花に寄る蜂にだけ思いやりを見せるというのも不自然だろう。

 四本の脚で地面を蹴ると、音の聞こえた方に駆け出していく。聞こえた音からして少ない数ではなさそうだが、目的は本体を叩くこと。周りの蜂は端から眼中にない。
 突撃されたように現れた暁君に蜂たちが威嚇するように羽音を高くする。次々に襲い掛かってくる蜂に見向きもせずに暁君は真っ直ぐワスプポッドに飛び込むように突っ込んだ。

「すまないが、倒させてもらおう」

 野太刀を槍のように構えて放った神速の突きは、それを防ごうと遮った手のひらに突き刺さった。痛みからか苛立ちからか高い声を上げて力任せにそれを引き抜きそのまま爪を振りかぶったワスプポッドから距離を取る。
 武器で受け、返し刀で薙ぎ払うと避けきれなかった蜂の巣が切り飛ばされて暁君の足元に転がった。それを容赦なく踏み潰すと、もう一度突きの構えを取った。

 飛び交う蜂によってつけられた傷は、暁君に確実な痛みをもたらしているはずだった。しかしそれに全く怯むことなく、目の前の敵を倒すことだけに専念している姿からは痛みは感じられなかった。
 痛みを感じないわけではない。だが暁君は激しい痛みの中にあっても、戦うためには耐えなければならないことをよく知っていた。

「悪いが、これで終わりだ」

 横薙ぎに振られた野太刀がワスプポッドを切り裂き、羽音よりも高い悲鳴がギガンティアの静寂を揺らした。崩れ落ちた体はもう動くことはなく、まるで木から落ちた蜂の巣のように崩れている。
 巣を失って右往左往する蜂を横目に一つ息を吐いた暁君の目に、すぐ横に咲いた造花のようなバラが目に入る。それを握りつぶすようにしてワスプポッドの上に撒くと、蜂の羽音を後にして暁君は歩を進めた。

成功 🔵​🔵​🔴​

カトリーヌ・クレマン
猟兵になるとゴッドゲームオンラインの世界から出られる、知ってはいたけど、実際に体感すると感慨深いわね。
向こうでも蜜蜂からは蜂蜜や蜜蝋を採ってたから蜂は知ってるけど殺人蜂は厄介ね。
蜂防護スーツの代わりにヤドリギの織姫を使って蜂に対抗するわ。
本当だったら生木に火を付けて煙を起こして蜂を燻して怯ませるんだけど、ここで火を使うのは確かに不味そうね。
植物の槍や生命の実で地道に対処していくわね。
アドリブ連携他何でも大歓迎よ。
どんどん動かしてね。



 ゴッドゲームオンラインの外の世界があることも、自分の生まれ育ったゲームの中から他の世界に行けるということも少し前までは考えもしなかった。そんなことを考えながらカトリーヌは作り物のようなバラを指先で撫でた。
 農業系のクエストを担当していたノンプレイヤーキャラクターとしては、バラだけでなく花というもの全般はそれなりに見慣れた馴染みのあるものだ。それがこうも違和感を持って存在しているというのはどうにも居心地が悪いような気分になる。

 もちろん農業系のクエストに関わっていたカトリーヌはそれに関係している養蜂も生産系のクエストをしていないプレイヤーよりは詳しいつもりだった。しかしそれはあくまで蜜蜂相手の話で、殺人蜂となると話は別になる。
 ごく普通の蜜蜂相手なら煙で燻す方法も考えられるけれど、殺人蜂にどれだけ効果があるものか。そうでなくとも開けている農場と違うこの場所では燻されるのは自分も、ということもあるかもしれない。

「ほんと、殺人蜂は厄介ね」

 自分の体をヤドリギで編んだローブで包み、羽音の発生する場所へ足を踏み入れる。襲いかかってくる巨大な蜂を植物の槍で地道に排除しながら、蜂の発生源であるワスプポッドに一歩ずつ近づいていく。
 もうすぐという所で一匹の蜂に攻撃を防がれて、カトリーヌは歩みを止めた。明らかに一匹だけ他の蜂とは耐久力が違う、そう思ったときにその蜂に纏わりつく小さな蜜蜂が目に入った。おそらくこれが原因だろう。

「蜜蜂もいるなんて、でもその蜜蜂の蜜はお断りよ!」

 強力になった蜂の攻撃で微かについた傷を生命の実で回復しながら植物の槍で羽を貫くと、強化された蜂でも耐えられなかったらしく力なく落ちていく。
 その隙を見逃さなかったカトリーヌは一気に距離を詰めて、ワスプポッドに植物の槍を複数回突き刺した。一撃で足りないとしても、倒せるまでやればいいこと。農業という根気強い作業を繰り返してきたカトリーヌはそれくらいどうということはなかった。

 ゆっくりと倒れたワスプポッドを見下ろして、カトリーヌはわずかに体の力を抜いた。元々冒険者でもなかった自分がこうして違う世界で戦っていることは、理解していてもどうにも感慨深い。
 今後はこういったことに慣れていくのだろうか、違う世界に行くことが当たり前になるのだろうか。そんなことを考えながらも、今はとりあえず蜂が転がっていないところに行きたいとカトリーヌはその場を離れることにした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鼎・弥和
アドリブ/連携可

「この壁、植物でできてるんだね」
(第六感で何かをひらめく)
「みゅーちゃん、この壁食べられる?」
(頷くみゅーちゃん。弥和の肩から壁に飛び移ると、棘をものともせず猛然と植物を食べ始める)
「みゅーちゃんすっごーい!」
(どこからともなく蜂蜜塗れの殺人蜂が飛来。みゅーちゃんを攻撃しようとする。弥和は第六感で察知)
「ダメー!」
(高速詠唱+無酸素詠唱でプリンセスロッドから衝撃波を放つ)
「みんなお願い!」(UC発動。時空侵略クリーチャーがワプスポッドを攻撃、弥和はエネルギー弾で援護)
ふとみゅーちゃんを見ると、迷宮の奥まで続く大きな穴を開けていた。その分体は巨大化している。
「いっぱい食べたね☆」



 無数の茨が絡み合うギガンティアの壁を眺めながら、弥和はふわふわと何処か現実みのない様子で歩を進める。どこまでも続いていく壁の棘のない部分を指でそっと撫でながら軽く首を傾げた。
 植物としてはなんだかおかしい気もするがアリスラビリンスで見かけた植物はもっとずっとおかしかったような気がする。それを考えれば、これもきっと植物なのだろう。事実は分からないが弥和はそうすることにした。

「みゅーちゃん、この壁食べられる?」

 ふと思いついたことを肩の蛞蝓の影、みゅーちゃんに言ってみると頷くような動きをしてぴょんと肩から飛び降りた。地面に落っこちると慌てて弥和が手を差し出すも、みゅーちゃんは床に降り立つことなく棘だらけの壁に張り付いた。
 しょりしょりと音を立てて棘をもろともせずに壁を食べだしたみゅーちゃんを見て弥和が嬉しそうに拍手をした。壁を食べた先になにがあるかは分からないが、トゲトゲのものを食べられるだけですごい。

「みゅーちゃんすっごーい!」

 少しだけ貫通した穴から少し聞き慣れない音がしたような気がしないでもなかったが、弥和は拍手をしてみゅーちゃんを褒めることに一生懸命だったのでとくに気にもとめなかった。
 そのまま人一人が通れるくらいの範囲を這い回りながら少しずつ食べ続けていると、当然のように食べた分大きくなった体に堪えられずに薄くなった部分がバタンと向こう側に倒れた。

 その音に反応したのか突然現れた見知らぬ存在に反応したのか、壁の向こう側にいたワスプポッドの殺人蜂たちが一斉にみゅーちゃんに襲いかかる。
 それを察知した弥和は慌てて壁の向こうに足を踏み入れると「ダメー!」とみゅーちゃんを守ることだけを考えてプリンセスロッドから衝撃波を放つ。

「みんなお願い!」

 衝撃波では追い払うことしか出来ないことを悟った弥和はロッドを掲げて時空侵略クリーチャーを呼び出した。うねる触手は殺人蜂の針をもろともせずに叩き落しワスプポッドに迫っていく。
 弥和も応援するようにエネルギーで応戦し、必死になってワスプポッドと蜂の群れを撃退した。杖を握って息を吐き、そう言えばとみゅーちゃんを探す。
 
 少し視線を巡らせればより巨大になって壁を食べるみゅーちゃんが目に入る。どうやら壁の先にも通路があるようだ、大きくなればなるほど食べる速度も早いらしい。

「いっぱい食べたね☆」

 弥和は細かいことを気にせずに大きくなったみゅーちゃんを見てニッコリと笑みを浮かべた。もう蜂の羽音は壁の向こうから聞こえてくることはなさそうだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ジナイーダ・オルロワ
【アドリブ・連携歓迎】

戦争が終結しても、その世界の脅威全てが消えるわけではないのよね……。
子供の願いに付け入って悲劇をもたらそうという非道、止めなければなりません。

あの敵とは以前の依頼でも戦いましたが、状況が違います。油断せず行きましょう。
まずは殺人蜂を爪で【なぎ払い】ながら接近。
処理しきれない攻撃は【激痛耐性】で耐え、格闘戦の間合いまで一気に詰めます。

毒爪の攻撃を【見切り】、自分の爪で【受け流し】、【部位破壊】狙いの【引き裂き】。
蜂の巣を叩き落し、破壊して戦力を削減。【急所突き】で【体勢を崩し】たら、渾身のタックルを仕掛けます。
思い切り【吹き飛ばし】、棘だらけの壁に叩きつけてあげましょう!



 戦争が集結してもその世界がすべて何事も起こらないほど平和になるわけではない。今まさにこのギガンティアを作っているエリクシルのような脅威はこの世界に確かに残って人々に危害を与え続けているのだ。
 わかってはいたことだけれど、こうして子供の願いを歪めて悲劇をもたらそうとしているところを目にしてしまえばジナイーダも苦々しく顔をしかめることを止めることは出来なかった。

 どの世界であっても、子供のささやかな願いを踏みにじることは許されることではない。一見は美しいもののどこか毒々しい色のバラを横目に眺めて、ジナイーダは盾を握る手に力を込めた。
 絡み合った棘の壁の向こうからは微かに蜂の羽音が聞こえる。かつて戦った敵と同じではあるものの、その時とは状況も場所も異なっている。油断することは出来ないと踏みしめるようにゆっくりと足を進めた。

 曲がり角に足を踏み入れると、突然姿を表した敵の姿に蜂たちが警戒するかのような羽音を立てる。その羽音ごとジナイーダは己の爪でなぎ払い、蜂を生み出すように放ってくるワスプポッド目掛けて歩を進めた。
 突き刺さる針は耐えられないものではない。際限なく現れる蜂をいちいち倒しているよりも、大元を絶ってしまうのが一番効率的だ。戦場でも補給がなくなれば舞台を維持することはできなくなるのだから。

「悪いけれど、私って頑丈なのよ」
 
 迫るワスプポッドの赤い毒の爪を同じ爪で受け流し、躱した勢いで体の巣を切り裂き壁に叩きつける。蜂の巣は粉々に砕け散り、中の蜂も同じように叩きつけられて落ちていく。
 ワスプポッドがわずかに見せた隙をジナイーダは見逃さず、空いた胴体に思い切り爪を突き立てた。避けられずそれを食らって後ろによろけるのを確認する前に、足に力を込めぐっと姿勢を低くする。
 
「クマと蜂なら、どちらが勝つかは明白じゃないかしら!」

 全体重をのせた渾身のタックルをもろに食らったワスプポッドは、踏みとどまることも出来ず棘だらけの壁に激突ししばらくもがいた後動かなくなった。
 昆虫標本かのように棘に貫かれて固定された姿をしっかり確認して、ジナイーダは辺りを見回した。ふと気づいて足元に転がっていた蜂の巣を念のためにしっかりと踏み潰してからそっと体の力を抜く。

 これで終わりではないものの、囚われてしまった子供を助けるための足がかりにはなったはずだ。まだ続く茨の通路を眺めて、ジナイーダは本来咲くはずだったバラの色を思い浮かべた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『タイニー・エリクシル』

POW   :    蜜の味
【額の宝石】を解放し、戦場の敵全員の【勝機】を奪って不幸を与え、自身に「奪った総量に応じた幸運」を付与する。
SPD   :    真の願いは内に秘め
戦場内に「ルール:【静寂】」を宣言し、違反者を【赤い結晶の檻】に閉じ込める。敵味方に公平なルールなら威力強化。
WIZ   :    星の砂子
【エリクシルの翅】からレベル個の【星の粒】を射出する。射出後も個々の威力を【光度】で調節でき、低威力ほど視認困難。

イラスト:すずや

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠仲佐・衣吹です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 花でできた舞台上に宝石のような妖精が佇んでいる。それだけなら、物語のように美しいものだっただろう。
 しかし実際に猟兵たちの目に映るのは、おぞましく歪められ歪に咲く真っ赤なバラとそうあれと願いを歪めたエリクシルだ。

 そしてよく見れば茨に閉ざされた壁の向こう側、エリクシルの立つ場所がステージであるならば舞台裏であるその場所に小さなバラの植木鉢を抱えた子供の姿を見つけることが出来るだろう。
 悪夢の中、固く目を閉ざした子供に声を届けることが出来るのならば戦場は猟兵に優位になるかもしれない。

 もちろん、倒せるだけの力があるのならば速攻でエリクシルを打ち倒してしまうのも子供のためには間違いではない。
 なんにせよ、こんな悪夢は目を覚まして忘れてしまうにこしたことはないのだから。
鼎・弥和
「わぁ、きれい・・・ってきゃあ!」
(範囲攻撃+衝撃波で星の粒を吹き飛ばし、霊的防護で星の粒への防御を固める)
「どーしよー・・・あのキラキラがジャマしてくる」
(みゅーちゃんが何かに気づく)
「あっ!あのハネからキラキラが出てるんだ!だったらみんなお願い!」
(召喚術でみゅーちゃんの同族を敵の真上に呼び出す。粘液を出しながら這い回る『蛞蝓の影』の群れ)
(『蛞蝓の影』を振り落とそうと必死の敵。だが弥和はそれが気に入らない)
「この子たちキモくないもん!」(UC発動)
(召喚された軟体生物の群れが敵の翅に強酸性の粘液を飛ばす。飛行能力を欠いた敵に弥和が魔力を溜めたエネルギー弾を叩きこむ)



 キラキラと輝く妖精のような姿に弥和は思わず目を輝かせた。外見だけなら害などないように見えるタイニー・エリクシルは近づくことなく距離を取ったまま空中に静止するように佇んでいた。
 まるで道端で野良猫を見つけて側に寄ってしまうように子供らしくタイニー・エリクシルに近づいた弥和だったが、周囲にチラチラと輝く光の粒があることに気がついて足を止めた。

「わぁ、きれい・・・ってきゃあ!」

 手を伸ばして触れてみると、まるで静電気でも起こったかのように指先に鋭い痛みが走った。それに驚いて弥和が数歩後ずさると、それを見ていたタイニー・エリクシルがシャラシャラとガラスの鳴るような音をさせながら翅を羽ばたかせる。
 その翅から溢れ出すように射出された光の粒子、星の粒がよりいっそう弥和とタイニー・エリクシルとの間を阻むように輝いた。突然のことに目を瞬かせた弥和は、星の粒が攻撃であるということは理解したもののこのままでは阻まれて近づくことが難しいと考えて杖をしっかりと握る。

「どーしよー・・・あのキラキラがジャマしてくる」

 衝撃波で星の粒を吹き飛ばしても次々と増えてしまって焼け石に水にしかならない。防御は出来ているものの、このままでは近づくことも出来ない。どうしようかと考えていると肩に乗ったみゅーちゃんがなにか伝えたいようにむにむにと動き、それになにかを感じた弥和はタイニー・エリクシルに目を向ける。

「あっ!あのハネからキラキラが出てるんだ!だったらみんなお願い!」

 タイニー・エリクシルの頭上からボトボトと落ちてくるように召喚された蛞蝓の影は数匹が振り払われたものの数の多さでタイニー・エリクシルにまとわりついた。
 まるで服についた虫を振り払うような動きで床に叩きつけられる蛞蝓の影を見て弥和は怒りで杖を握る手を震わせた。敵から見れば害のある存在だとしても弥和にとってはかわいい友達であることに変わりはない。

「いじめないで!この子たちキモくないもん!」

 怒りのままに弥和が放ったエネルギー弾は蛞蝓の影に意識を向けていたタイニー・エリクシルに命中しまとわりついていた蛞蝓の影ごと吹き飛ばした。
 タイニー・エリクシルから剥がれて放物線を描くように吹き飛んで床に落ちた蛞蝓の影に弥和は慌てて駆け寄ってぎゅっと抱きしめた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ジナイーダ・オルロワ
【アドリブ歓迎】
あれがエリクシル。なんだか妖精みたいね。
あんな姿なら子供が騙されるのも納得です。
確実に倒して、これ以上の狼藉を止めましょう。

ユーベルコードで周囲に冷気と吹雪を展開し、行動妨害で敵の強化の相殺を試みます。
吹雪で悪化した視界は【寒冷適応】と【嗅覚】で補い、ショットガン「ベネトナシュ」で射撃。
小さな的は散弾の面制圧で捕らえましょう。
被弾で【体勢を崩し】たところに、間合いを詰めて【零距離射撃】。
全弾直撃させて最大限のダメージを与えます。

本性が知れている以上、油断も手加減もしてあげません。
貴方の悪だくみもここまでです!



 花の迷宮の奥に佇むその姿はまるで絵本に出てくる妖精のようだ、というのがタイニー・エリクシルを見たジナイーダの印象だった。それはけして好意的なものではない、この姿ならば子供を騙すことが出来るだろうという不快を伴う納得感に他ならない。
 眼前にいる者の正体は絵本に出てくる子供に寄り添う妖精などという可愛らしいものではなく、子供を騙しその願いを歪めて歪な花の迷宮を生み出した張本人であり倒すべき敵であるということをジナイーダは改めて強く認識した。

「きれいな花には毒だけど、偽りの花には相応しいわ」

 すっと周囲の温度が低くなり、ジナイーダの体が氷雪の鎧で覆われる。吹き出した風が冷気を帯びて吹雪になり、あっという間に空間は極寒の吹雪でつま先ほどの距離ですら視認が難しいほどに白が溢れ出していった。
 ジナイーダの視界も白く染まり、タイニー・エリクシルの姿が見えなくなる。しかし寒さに適応した嗅覚で風に乗った異質な香りを認識して、存在を感じた場所に顔を向けると吹雪の向こうに微かに紫色に光るものが見えた。

 氷の飛礫が不幸にもジナイーダに襲いかかるが、氷雪の鎧の表面を舐めるように後方に吹き飛んでいくだけで小さなジナイーダの体にはおろか毛皮に傷をつけることもできない。
 冷たい風がジナイーダのまつ毛をパリパリと凍りつかせ、吐いた息が白い氷の粒になってタイニー・エリクシルの宝石とは異なる色に光を反射して輝いた。まるで極寒の戦場を思わせる環境ではあるものの、北極熊の毛皮はものともしない。

「本性が知れている以上、油断も手加減もしてあげません」

 視界が悪いながらも狙いを定めジナイーダはショットガンであるベネトナシュの引き金を引く。散弾は吹雪の壁を突き抜けて幸運にも吹雪を逃れていたタイニー・エリクシルに命中した。
 不自然に無風だったために不幸にも威力の減衰がされなかった弾丸の衝撃に体勢を崩すタイニー・エリクシルの目の前に、吹雪と同じ白い姿が現れた。

「貴方の悪だくみもここまでです!」

 タイニー・エリクシルにベネトナシュの銃口を押し付けるようにして、ジナイーダは引き金を引いた。撃ち出された散弾全てを食らって、偽りの妖精は宝石のような破片を宙に散らしながら落下する。
 ジナイーダが吐き出した白い息は重厚から立ち上る煙のように細く長く流れて、迷宮の空気に溶けるように消えていく。棘だらけの壁の白く凍りついた赤い花びらが、それを合図にしたかのように砕けて散っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サツキ・ウカガミ
さて、エリクシル退治の時間だね。
さっさとこのギガンティアを壊しちゃわないとね。
さて、エリクシルの向こう側に茨、そして女の子……
女の子に声もかけたいし、とりあえず距離を詰めようかな。

——刀を持ったボクが近づいたら、牽制したくなるよね?
攻撃の意思を[気配関知]して、【瞳術『忍夜皐曲者』・鏡魔眼】。
自傷を強制させた隙に[ダッシュ]で距離をつめて
[居合、二回攻撃・なぎ払い]で花の舞台から吹き飛ばす。

茨の壁へ近づいたら、エリクシルの動きを
[情報収集]し[斬撃波]で狙い撃ちし、
反撃を[見切り、武器受け]しつつ、女の子へ語りかける。
ボクは、キミが大切に育てた綺麗なバラを見てみたいよ。
お願い、目を覚まして!



 バラの舞台に妖精、それだけならば夢のある展開だ。しかし現実に起こっていることは悪夢にほかならない。サツキにできることは、その悪夢を一刻も早く終わらせることだけだ。
 刀を手に相対するサツキに警戒するようにタイニー・エリクシルが宝石のような翅を震わせ、警戒をあらわに迎撃の体制を取る。牽制しようとする動きを察知したサツキは、それを待っていたとばかりに瞳に力を込めた。

「ねぇ、キミの敵は誰かな?」

 鏡が光を反射するようにサツキの瞳が輝くと、タイニー・エリクシルの射出した星の粒がまるで最初からそうするつもりであったかのように放った本人に向かう方向を反転して殺到していく。
 見た目だけならば光り輝く宝石の妖精にも見えるものの、実際はサツキに向けて放たれた攻撃をその身に受けたもの。突然のことに全く予想していなかったのだろうタイニー・エリクシルは自らが射出した星の粒から逃れるように身を捩らせてもがくように羽ばたいた。

 その隙を見逃さず、サツキは一跳びで距離を詰めタイニー・エリクシルの懐に潜り込むようにして一気に刀を抜き放つ。居合の一撃は体勢を崩した体を斬りつける勢いで吹き飛ばすと、舞台のように広がる円形の足場から茨の壁に叩きつけた。
 それを確認することなくサツキは正面の茨の壁に走る。絡み合った茨の隙間からわずかに見える少女めがけて駆け寄ると、身を乗り出すようにして少女に話しかける。

「お願い、目を覚まして!」

 それを妨害するようにタイニー・エリクシルの星の粒が迫ってくるのを反撃の衝撃波で押し返し、牽制するように斬りつけて距離を取る。少女に声を届かせるのに、邪魔をされるわけにはいかない。
 迫ってきたタイニー・エリクシルの攻撃を見切って、もう一度吹き飛ばすように排除するとサツキは茨の向こうの少女に向き直って精一杯の気持ちを込めて声をかけた。

 きっとこの女の子の咲かせるはずだったバラは、こんな風に棘でなにもかもを傷つけるようなものでなく作り物のような花を咲かせることもない。
 咲いた花を見た人が笑顔になってしまうな、そんな花であるはずだ。だからこそこんな悪夢から早く抜け出して、歪められていない本当にこの子が見たかっただろう咲かせる花を。

「ボクは、キミが大切に育てた綺麗なバラを見てみたいよ」
 
 少女の瞳は閉じたまま、それでも植木鉢を抱きしめる手に力がこもったような気がしてサツキは祈るようにもう一度「目を覚まして」と少女に向けて語りかけた。
 その声に反応するように、鈍く軋むような音を発しながら歪なギガンティアが小さく揺れた。それに合わせて、高く暗い天井から赤いバラの花びらが瓦礫のように降り注いでくる。それは確かにサツキの声が少女に届いた証明だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カトリーヌ・クレマン
願いを歪んだ形で叶えて人に危害をもたらす魔物、外の世界にはいろいろな魔物がいるのね。
わたしは農業が本業で植物の知識があるからもう少しで自力で花が咲くことを何とか伝えてあげられないかやってみるわ。
その為にも、目の前の敵を倒さないといけないわね。
スーパーライフベリーで攻生植物を生やして攻撃してもらうわ。
わたしも草刈り鎌で攻生植物たちの援護をするわ。
引き続きアドリブ連携その他大歓迎だからどんどん動かしてね。
その方が面白いから。



 世界が違えば脅威も違う。カトリーヌはバグプロトコルとはまた違うエリクシルという人間の脅威を目の当たりにして、世界が変わっても危険というのは変わらないのかもしれないと感じてしまった。
 あんな宝石の妖精のような見た目でも人の願いを歪んだ形で叶えて危害をもたらすのだから、どの世界でも見た目で判断しては痛い目を見るのも変わらないようだ。

 農家として設定されたNPCとしても花を咲かせたいという望みを歪めることは良しとは出来ない。元々いた世界の植物が自分と同じプログラム上の存在だとしても、育てて実を結ばせた時間は本物であるとカトリーヌはよく知っていた。
 だからこそ少女がバラを咲かせるためにしていたであろう努力も、楽しみにしていた感情もよく分かる。それが歪められて他者を傷つけるために使われているのだとしたら、それを止めなければと思うのも当然だった。

「それに、花が咲くのも教えてあげたい」

 農業系クエストでは植物の育て方を教えるだけでなく、収穫時期や生育情報を教えることもある。もう少しで花が咲くというのを伝えるのも、カトリーヌにとってはごく普通の当たり前に行われることで特別なことはなにもない。
 それでも、その言葉がエリクシルに囚われてしまったあの女の子の希望になるとしたら、出来る限りのことをして伝えてあげたい。

「その為にも、目の前の敵を倒さないといけないわね」

 足場にスーパーライフベリーを植えるとたちまち攻性植物が育ちはじめ、中に浮かぶタイニー・エリクシルに向けて一斉に攻撃を開始する。
 額の宝石が怪しく光ると、それに呼応するようにたまたま崩れてきた植物の壁がまるで行く手を遮るようにタイニー・エリクシルと攻性植物の間に積み上がった。それをカトリーヌが草刈り鎌で刈り取るように切り開くと、再び攻性植物は勢いを増して絡み合うようにしてタイニー・エリクシルへ向かっていった。

 攻性植物がタイニー・エリクシルに届いたのを見てカトリーヌは草刈り鎌を手に少女が囚われているところまで走る。行く手を阻む障害物を刈り取り、退けて踏み越えて前へ進んだ。
 そうしてやっとたどり着いて、なにを言えばいいのかと頭を巡らせる。難しい言葉を使わずにしっかりと伝わる言葉を、拙くても精一杯伝えられるように。

「あなたの花は咲くわ!絶対に!」

 腕に抱かれたバラの花の蕾はすでに柔らかくほころびかけている。それをこの少女が見られるように。そう願ったカトリーヌの思いは、たしかに届いたようだった。
 ギガンティアが大きく揺れる。悪夢の目覚めはもうすぐそこまで来ていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

響納・リズ(サポート)
「ごきげんよう、皆様。どうぞ、よろしくお願いいたしますわ」
おしとやかな雰囲気で、敵であろうとも相手を想い、寄り添うような考えを持っています(ただし、相手が極悪人であれば、問答無用で倒します)。
基本、判定や戦いにおいてはWIZを使用し、その時の状況によって、スキルを使用します。
戦いでは、主に白薔薇の嵐を使い、救援がメインの時は回復系のUCを使用します。
自分よりも年下の子や可愛らしい動物には、保護したい意欲が高く、綺麗なモノやぬいぐるみを見ると、ついつい、そっちに向かってしまうことも。
どちらかというと、そっと陰で皆さんを支える立場を取ろうとします。
アドリブ、絡みは大歓迎で、エッチなのはNGです



 たとえ見た目が可愛らしくても、その所業が可愛いとは言えないものであるのなら可愛らしい見た目が許せないものに見えてくることもあるものだ。
 その見た目と甘言で子供を惑わせて利用しているエリクシルであるのならば、どれほど見た目が可憐な妖精のように見えたとしても許すことはできないだろう。騙されたのが純粋な少女であるのならば尚の事である。

 リズはパラパラと細かい石のかけらが落ちてくるのを羽で軽く払いながら光の粒子を撒き散らすタイニー・エリクシルと対峙する。星の粒はチカチカと瞬きながらその存在を主張し、近づくことを拒むかのように不可視の壁としてリズの前に立ちふさがった。
 スッとリズが手に持ったルナティック・クリスタを掲げると、その存在がまるでほどけるように白いバラの花びらに姿を変え戦場に舞い踊った。それは星の粒にぶつかるたびに激しい閃光を巻き起こし、星よりも強く輝きを放つ。

「薔薇というのは、このような花ですのよ」

 光に目がくらんだタイニー・エリクシルの眼前で、リズがゆっくりと細い指を動かし手を開く。そこに握られていた柔らかく白いバラの花びらはまるで意志があるかのように悍ましい敵対者に襲いかかった。
 偽りで固められた宝石の輝きを持つ翅は切り裂かれ、星の粒ではない砕け散る輝石の輝きを放ちながら飛ぶ力を失いゆっくりと高度を下げていく。

 そこに星の粒を撃墜した白い花びらが集まり、偽りの愛らしさをまとった歪な妖精の姿を覆い隠す。すべての花びらが散った後に残ったのはリズの手の中に戻ってきたルナティック・クリスタと、本当に星の粒になったかのように輝きながら空気に溶けていくタイニー・エリクシルであったものだけだった。
 それを見届けることなく、崩れ落ちていくギガンティアの中をリズは駆け抜ける。ここにいる理由はエリクシルの打倒だけではない、助けるべき相手がいるのだから。

 しっかりと植木鉢を抱きしめている少女をそっと抱き上げて、リズはやっとひと心地付いたように深く息をした。
 偽りで咲いた花はあるべき姿に戻り、本来花開くべきものが美しく咲く未来を思い浮かべそれを守れたことに安堵しながらリズは柔らかく微笑む。

「きっと、きれいな薔薇が咲きますわね」

 そっと撫でた小さな薔薇の蕾はしっかりと息づき、かすかにほころんでいた。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2024年01月28日


挿絵イラスト