ルイーグ・ソイル
ごく平和に、出店を回って祭りを楽しみ、真っ赤なりんご飴が最後にお気に入りになるような食べ歩きをお願いします。赤い色に少し過去を思い出しかけますが、結局思い出せないまま終わります。(過去に辛い経験があり、グールドライバーになった設定を持っています。)
※グールドライバーの「刻印」はデコルテにあります(そのため、基本的には隠しています)。
あまりシリアスになりすぎない程度に織り込んでいただければと思います。宜しくお願い致します!
暗い世界でも、こんなときばかりは賑やかになるものだ。色々な出店も出て、普段よりも大分華やかになっている。
祭りに赴いたものの、夜になればもう少し冷えるかも……と身構えていたルイーグは思いの外過ごしやすい気温に胸を撫で下ろした。
「でもあったかいものが美味しいのは間違いないっすね」
先ほど買った湯気のたつレモネードをふーふーと冷ましながら口にして、賑やかな声のする出店を見て回る。
揚げたての芋を串に刺したものは塩気がきいていて美味しいし、肉と野菜を挟んだ簡単なサンドイッチも具だくさんで大満足だ。
串焼きを頬張りながら、そろそろ甘いものでもと辺りを見回す。ふと、ランプに照らされてつやつやと光るたくさん並んだ赤い色が目に止まった。
その色になんとなく、喉につっかえるような感覚を覚えて思わず近づく。近くによってよく見れば、それは飴をまとった丸いリンゴだった。
「……赤い」
「なんだ兄ちゃん、りんご飴ははじめてか?」
「え?あ、はい!そうっすね!」
かけられた声に先ほどまで考えていたことをすっかり忘れたルイーグは改めてりんご飴を眺めた。
きれいに飴がけされたりんごは少し大きいがいかにもみずみずしく美味しそうに見える。甘いものはこれがいいかもしれない。
「よし、おじさんこれ一つ!」
「お、いいね!どれにする?」
「おまかせするっす!」
差し出されたりんご飴を受け取って一口……そこではじめて、どうやって食べたらいいのだろうと考える。
「一思いにガブッといくんだよ!」
「ガブッとっすか?」
言われるままにかぶりつけば、固い飴の感触の後にさくりとしたりんごを感じる。果汁が口いっぱいに広がり、ルイーグは目を見開いた。
パリパリの飴の甘さに酸味のあるりんごはとても合っている。そう思いながら屋台の店主に目を向けると、どうだと言うように頷かれた。
「いいっすね、りんご飴!」
この祭りだって前なら開けなかったものだ。きっと自分のように知らない味に出会う人がこの祭りにはたくさんいるだろう。
もう一口、パキリと飴が音を立てるりんご飴をかじりながらルイーグは祭りの中をゆっくり歩く。横を楽しそうな子供たちが駆けていった。
少なくともまた来年、こんな風にりんご飴が食べられるのはきっといいことだろう。
そんなことを考えながらランプの下で見るかじりかけのりんご飴は、割れた飴が光を反射してキラキラと輝いていた。
成功
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