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ねえ知ってる?神さまの翼のはなし

#UDCアース

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#UDCアース


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 こんな怖いことになるなんて思わなかった、ほんのちょっとの好奇心と怖いもの見たさだけで本当になにかが起こるなんてあそこにいた皆は誰も思ってなかったのに。
 カタリと音が聞こえた気がして布団を被り直した。周りが見えないのは怖い、でも外が見えてしまうのももっと怖い。
 震えながら少女は自分を抱きしめた。そうしたところで、恐ろしいものの記憶は消えてしまいそうにない。
 そして、彼女たちが行ってしまったことの影響も、この世から消えてしまうことはなかった。

「緊急の案件です!UDCアースで邪神復活儀式が行われているようなのです!」
 邪神の復活、それも既に儀式が行われているとなると穏やかではない。本来ならばすぐに現場に踏み入って中止させなければならないような事態だが、どうにもそうはいかないらしい。

「今回の儀式はおまじないと称して広められたものを、女子中学生たちがおこなってしまったものなのです。まだ完全に遂行されてはいないようですが……その場に現れたUDCが儀式の続きを行い邪神を復活させようとしているようなのです」
 望んでおこなった儀式でないにせよ、完遂してしまえば大変なことになってしまう。そうなればおまじないだと思って儀式をおこなった少女たちもきっと無事ではすまないだろう。

「でも肝心なことはなにも……女子中学生たちが願いを叶えてくれる『神さまの翼』を呼ぶおまじないをした、というところまではわかっているのですが……」
 綿貫・小雨はそこで言葉を濁した。その様子から明確な場所がわかっていないことがありありと察せられる。

「おまじないをおこなった少女たちは家に引きこもってしまい、話を聞ける状況ではありません。そのためにどこでおまじないを行ったのかがわからないのです」
 おまじないをした少女は複数人いるが、みんな揃って恐ろしいものを見たと恐怖に震えて自宅の自分の部屋に引きこもってしまっているらしい。家族ともほとんど会話をしないようで、自分の口からは詳細を話してもいないようだ。

「周囲に聞き込みをしたり、どうにかして引きこもってしまった彼女たちに聞き出したりしておまじない……儀式をおこなった場所を特定してください」
 それでも彼女たちを見かけた人はいるだろうし、どこに出かけるか曖昧でも聞いた家族もいるだろう。少女たちが揃うといつも行く場所があるならば、それを教えてくれたりもするかもしれない。


ぬぬかぬれ
 はじめましての方ははじめまして、こんにちはぬぬかぬれです。
 今回のシナリオは「UDCアース」おまじないだと騙されておこなわれた邪神復活の儀式を食い止め、儀式によって現れたものを倒してください。

●1章 冒険
 知らず邪神復活の儀式をおこなってしまい恐ろしいものを見たと恐怖に震え引きこもってしまった少女たちからどこでおこなったのかを聞き出すなどして儀式の場所をつきとめてください。
 少女たちから直接でなくとも、恐慌状態で走り去る彼女たちがどこかから出てきたところを誰かが目撃しているかもしれません。共通の知り合いがどこに出かけるか聞いている可能性もあります。

 2章はおまじないをおこなう少女たちを再現する武装少女との戦闘、3章は儀式により現れた翼ある者とのボス戦になります。

 アドリブ禁止の場合は簡潔で構わないので明記してください。文字数が足りない場合はア禁などだとわかりやすいです。
 共闘は明記されていない限り行いません。
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第1章 冒険 『ひきこもりは知っている』

POW   :    壁越しに話しかける、強行突破で室内に侵入する等

SPD   :    こっそり侵入し情報を探す、周辺の人物に聞き込みを行う等

WIZ   :    興味を惹くようなものを用意する、手紙やメールを利用する等

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

あーらら。
うっかり藪蛇を突いちまったのかねぇ?
そりゃ軽い気持ちでやった結果がそうなったなら、引き籠るのもしょうがないよな。
そしてこんな事件だ、信じてもらえるかも怪しいだろ。
……だから、こういう時は専門家に任せときな。

『コミュ力』で急に引き籠るようになった少女たちの話を『情報収集』して、当事者になっちまった子のひきこもり場所を絞り込むよ。
そこから踏み込むなんて無粋な真似はしないさ、そこから先にモノを言うのは【超感覚探知】のテレパスさ。
望まぬ儀式を繰り広げた子を『鼓舞』して励ましつつ、儀式の詳細を聞き取るよ。
ついでにアタシら猟兵が解決するって事を伝えて安心させようかね?



 軽い気持ちでやったことが想像もできないような恐ろしい事態に発展したら、まだ年端も行かない女の子たちが引きこもってしまうのもしょうがない。
 藪をつついて蛇を出したような事態だが、出てくるのはきっともっとおぞましいなにかだ。そしてそれをどうにかするのが専門家……つまりは自分たちだと多喜はなんの変哲もない町を眺めながら歩く。幸い人通りは少なくない、話を聞くのは難しいことではないだろう。

「そういえば、最近引きこもっちゃう人とか多いらしくて……そういう話ってここらへんでもあるのかなって」

 買い物帰りだろう主婦に人好きのする笑顔で話しかけて世間話を色々とした後に、ふと気になったという様子で多喜が尋ねると困った顔をしてそうなのよと話しだした。
 曰く同じスーパーのパートをしている女性の娘が、急に引きこもってしまって変わりにシフトに出る事になったのだとか。そんな話を聞いていなかったからとても驚いたと頬に手をあてている。

 「ほらあそこ、カーテンがぴっちり閉まってるでしょう?」そう言って指し示された窓は、確かにカーテンが閉められていて昼だと言うのに妙に薄暗いように見える。電気をつけていないどころか、もしかしたら何かを窓際に置いてバリケードにでもしているのかもしれない。
 外からなにかが来るかもしれないと考えたら当然か、と考えつつ当たり障りのない会話をしてにこやかに別れた。しばらく歩いて見上げた窓は相変わらず光を感じさせず、人の気配もあまりしない。

 無理やり踏み込んだとしてもパニックにさせるだけ、テレパシーでも怖がらせてしまうかもしれないが不思議な存在が助けてくれると思えた方が今の状況なら安心できるかもしれない。

「悪いね、ちょっと繋がらせてもらったよ。怖がらなくていい、あたしは味方だよ」

 恐怖に混乱した思考が伝わってくる、そりゃ知らない人間の声が急に頭の中に聞こえてきたら怖いところもあるだろう。とりあえず落ち着くまで待つか、と考えたところで少し雰囲気が変わった。
 非日常への恐怖よりも、助けてくれるかもしれないという気持ちが買ったのだろう。藁にもすがる気持ちで、恐る恐るといった様子で少女は言葉を返してきた。

「……たすけてくれるの?」
「大丈夫、絶対に助けてあげるよ。でもそのためには話してもらわなきゃいけないことがあるんだ」

 多喜は窓の下の路上でバイクに腰を掛けて、恐ろしい経験を思い出したくない少女に根気強く話しかける。場所が分からなければ助けられるものも助けられない。勇気を出して言ってくれれば、絶対にそれに応えると。
 やがて少女はぽつぽつと自分がしたおまじないと、恐ろしい経験について話し出す。そしてそれを行った場所の話に行き着くと、助けられる目処がたったと多喜は安堵に短く息を吐いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ケイティ・ネクスト
 ねこですよろしくお願いしますにゃ。人間ごときが引きこもろうとも猫にとっては障子扉同然。
 ただの猫のふりして窓をかりかり引っ掻いて入れてくれアピールすればJCの可愛さを求める心はあっさり完堕ちするはず。入れて貰った後もただのぺろぺろしたりごろごろしたり膝の上で丸くなるなど人懐こい猫のふりし続ければ抱えた秘密なんて勝手に喋り出すものだにゃ。まあ、そういうUCなので。
 聞きたい事を聞き終わったら窓をかりかりして出たいアピール。最後までただの猫のふり…と、見せかけて。
「その望み、確かにネコが聞き入れた」
 最後に一言だけ喋って跳躍して消える。



 猫の姿であれば聞ける話も多いもの。井戸端会議の横をなんでもないような顔をして通り抜けて、話に出た目的の人物の家に音もなく歩み寄る。
 カーテンはしっかり閉められていて、外になにがあったとしても開くことはなさそうに見える。しかしそんなものは、猫のかわいさの前ではどうということはない。

「にゃあ」

 とびきり甘えた声を出してカリカリと窓を引っ掻く。しばらくして恐る恐るといった様子でカーテンを開けた部屋の主である少女はケイティの姿を見て安心したように小さく息を吐いた。
 しばらく考えた後「ねこちゃん、どうしたの?」と少しだけ窓が開く。それを見逃さずスルリと室内に侵入しても、咎められるようなことはなかった。猫はかわいいので。

 そのまま膝を占領しゴロゴロと喉を鳴らしてやれば、ぽつぽつと色々なことを話していく。誰にも言えないことでも猫には言えるということだ、可愛い猫ならばなおさらだろう。
 友達と軽い気持ちでおまじないしたこと、なにかわからないけどすごく怖いことが起こったこと、どうしていいかわからなくて今どうしようもなく不安なこと。

 涙を滲ませながらも、ケイティの温もりを膝に感じて安心しているのか泣き出すことはない。少しずつどこで何をしたのか話していくのを尻尾を揺らしながらしっかりと聞き取っていく。
 誰でもいいから話して楽になりたい気持ちもあるが、猫に話しても仕方がないと思っているところもあるのだろう。自分の膝の上にいるケイティが助けてくれるとは夢にも思っていない様子だった。

「誰か、助けてくれないかな……」

 それでもポツリと呟いた言葉を聞き届けて、それを気にもしていないように膝から降りる。名残惜しそうにねこちゃんと呼ぶ声を後ろにカリカリと窓を引っ掻けば、仕方がないと開けられた。
 やはり窓を開けるのは怖いのだろう。もしかしたら帰ってほしくないという気持ちもあるのかもしれない。しかし、ほんの僅かな隙間でも猫が通るのに問題なんて何もない。

 通り抜けてひょいとベランダの手すりに立つ。二度三度尻尾を揺らしてからゆっくりと振り向いて、もう一度にゃあと鳴いたケイティは目を細めた。

「その望み、確かにネコが聞き入れた」

 神は聞き届けたりはしないが、猫はしっかりと聞いている。そのまま一飛びにベランダから去った猫の姿を少女が探しても、町並みのどこにもケイティの柔らかな毛並みを見つけることが出来なかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティモシー・レンツ(サポート)
基本は『ポンコツ占い師』または『本体を偽るヤドリガミ』です。
カミヤドリも魔法のカードも、「Lv依存の枚数」でしか出ません。(基本的に数え間違えて、実際より少なく宣言します)
戦闘についてはそれなりですが、戦闘以外は若干ポンコツ風味です。(本体はLv組で出せない、UCの枚数宣言や集団戦は数え間違える、UCを使わない占いは言わずもがな)

探しものは疑似妖精(UC使用時)か占い(外れる)で頑張りますが、多くの場合は有効活用を思いつけずにマンパワーで探します。
猟兵としての体力は、可もなく不可もなく。
「本体が無事なら再生する」性質を忘れがちのため、普通の人と同じように危険は避けます。



 場所を探すならば占いの出番である。そう思ったティモシーは早速占って、儀式が行われた場所を探そうとした。探そうとはしたのだ。
 しかしどう考えてもこんなところでやったら即バレるだろうとか、そもそも女子中学生がこんなところに行くのか?と疑問を持ってしまうような場所ばかりが占いの結果として出るために当たっているとはとても思えない。

 ゆっくり目を閉じて息を吐く。今日は多分調子が悪い、もしかしたら占う対象との相性も良くないのかもしれない。だからこれは占いが外れたからこうするしか無いというわけではないのだ。
 誰にするでもない言い訳を心の中でしながら、ティモシーはもう一度占ったら当たるんじゃないかなと言う未練をぐっと飲みこんだ。当たるような気と同じくらいズルズルと繰り返しそうな気も少しばかりしていたのは気づかないことにする。

「当たれば一発だったんだけどなぁ」
 
 ぼやいても見つかるわけではないが、幸い相手は女子中学生。しかも仲間で集まる場所なのだからそれほど遠くに出かけたりしてはいないはず。歩き回って探すのが不可能ではないくらいの範囲だろう。
 とりあえず慌てて逃げるように走り去っていった女の子たちを見なかったかと聞いてみようか、そう思いながら住宅街を歩き出す。人はそれほど多くはないが話を聞けないほどではない。

 しばらく聞き込みをして、なんとなくこの辺りだろうという程度には場所は絞れたもののそれ以上は難しいとティモシーはもう一度考える。やはりここは占いで……とまで考えたところで儀式に使われた場所も探しものだと考えればと思い至った。
 ここまで場所が絞れているのだから疑似妖精に聞いたほうが占うよりも早いかもしれない。占う方が早い可能性もあるとは思いつつティモシーは妖精を呼び出した。

「探しものはどこかな」

 頭上をぐるりと旋回してから疑似妖精は飛び立った。その姿をティモシーが見送ってしばらく、それほど時間をかけずに疑似妖精が戻ってくる。しっかりと探しものの情報を携えて。
 その場所が占った場所と場所の中間にあることに気づいたティモシーは、もしかして当たっていたのでは?と思いつつも儀式が行われた場所を目指して歩き出した。

成功 🔵​🔵​🔴​

タカシ・セイヒ(サポート)
元アルダワの生徒異端児セイヒです
感心は魔術探求にありますが猟兵としての仕事を疎かには致しません
場を乱さず他の猟兵の皆さまと協力して事件の解決に従事して参ります
魔術師なのであまり前に出ての近接戦は得意ではありませんが魔術の撃ち合いや後方支援や援護等で皆さまのお役に立ちたいと思います
珍しい魔術や遺跡等には好奇心が先走りたまに暴走することもありますが出来るだけ自制して参ります
腕が四本も有りますので素早い作業等もお役に立てると思います
本業は魔術研究者なのでその知識をいかして対魔術や対魔獣でもお役に立つと思いますのでどうぞよろしくお願い致します。



 おまじないというのは魔術の初歩である。特殊な行為を行い、なにかしらの特別な見返りを求める。実際の魔術には程遠くはあるが、文字の勉強も最初は単語ですらない文字から始めるのだから初歩の初歩というのは間違いではないだろう。
 意外とそういったものに失われてしまったような古い魔術に関する足がかりがあることもあるのだが、今回のものにはそういった掘り出し物の期待はできそうではないとタカシは少しだけ残念に思う。

 人ならざるものを呼ぶ儀式というのにも魔術は確かに関わってくるが、一般人にでも簡単に使えるようにされているものではあまり新しい発見は望めないだろう。
 仕事のついでに新しい魔術を見ることが出来るかもしれないという期待を早々に諦めて、タカシは儀式が行われた場所を探すことだけを考えることにする。おまけがなくても仕事は仕事、やることは変わらないのだからなるべく早い方がいい。

「怪しい場所を探してくださいね」

 結晶獣を呼び出して周囲を偵察させ、ごく普通の人間にならわからないだろう儀式の残滓を探す。なにかを呼び出そうとするような大規模な儀式ならば、必ず何かしらの影響が残る。魔術に関しては本業なのだから、見つけられないわけがない。
 しばらくして結晶獣が戻ってくる。持って帰ってきた情報を見て大体の当たりをつけたら、後は足で探すだけ。魔術研究は机上だけのものではない、あるかわからない遺跡を探すよりもずっと楽だ。

「魔術遺跡もこれくらい簡単に見つかってほしいものなんですけどね」

 少し歩いただけで見つかった、まるで隠す気がない痕跡にタカシは軽く苦笑する。呼び出すことだけを考えて隠すことを全く考えていないのだろう。
 きちんと練り上げられている魔術儀式というにはお粗末で、それでも一般人の少女が行うにしては適さない。ただ簡単に行えて人を騙すためにできているような作りは全くもってよろしくない。

「UDCアースの魔術に興味があったんですけど、これじゃダメそうですね」

 望んだ結果を得られそうにないのは残念だが、仕事としては成果は十分。次は当たりを引けることを願って、タカシはその場を後にした。

成功 🔵​🔵​🔴​

リィンティア・アシャンティ(サポート)
「どうしましょうか……。聞いた話をもう一度思い出しながら考えてみましょう」

礼儀正しくほわほわと穏やかな雰囲気の妖精騎士
妖精のルノを連れている
依頼成功のため、しっかりとがんばります

探し物をするのなら、ルノの方が得意かもしれないので助けてもらいながら行動を
人から話を聞くのなら、歌や楽器演奏
それから、どんぐりりすさんの力を借りて楽しい雰囲気を作り出すのも良いかもしれません

自分の住む世界と似ていたり似ていなかったり
様々な文明や考え方があるのだなと感じています
なるべくその世界に合わせ、学びながら助けになることができれば良いなと思っています

アドリブや連携は歓迎
迷惑行為、公序良俗に反する行動はNGです



 町並みを見回してみても異変らしい異変は見られない。リィンティアはなんの被害も出ていない状況に少しだけほっとして、それから探すものの手がかりがなにもないことに困った顔をした。
 町はそれなりに広く、手がかりもないまま一人で探すのは出来なくはないが手間と時間がかかってしまう。なるべく早く解決したほうがいい状況ではあまり良いとも思えない。

「ルノ、探しものお願いできますか?怪しいところを見つけて欲しいんです」

 地上よりも空から探したほうが見つかるものも多いはず。妖精のルノに頼んだリィンティアは飛んでいくルノを見送ると、自分でもなにか出来ることはないかと歩き出した。
 幸いすぐに女の人が見つかり、話しかけることが出来た。服装や持ち物を見て近所に住んでいる人かもしれないとリィンティアは考えたが、どうやらそれは当たりだったようだ。

「あの、最近なにか変わったことはありませんでしたか?」
「変わったこと?そうねえ……」

 しばらく考えた後に女性が「気のせいかもしれないけど」と話してくれた内容によると、どうやら夜なのに学校から物音がしたことがあるらしい。部活で残っていた子供かもしれないと話していたが、リィンティアにはその話が少しだけ気になった。
 お礼を言って別れた後、タイミングを見計らったようにルノが戻ってくる。リィンティアの感じたなにかを裏付けるように、ルノが示した場所は物音がしたと言われている学校の周辺だった。

「ありがとうございますルノ、私も行って確認しますね」

 外から学校を覗いてみると、授業中なのか校庭で生徒がなにか体を動かしているのが見える。その姿はなにか危険なことが起こっているとは少しも見えない、ごく普通の日常風景といったところだ。
 そのままぐるりと学校の周りを回ると、他の建物と違ったどこか薄暗い雰囲気の建物が目に入った。リィンティアには見覚えのないものではあったが、それが今はあまり使われていないことは分かった。

「ここ、でしょうか」

 窓は高い位置にあって長を伺うことは難しそうだが、中を知る方法はなにも直接目で見ることだけではない。
 リィンティアが天啓の光を放つと、中で密かに進められていることが手に取るように感じられた。そうして理解する、こここそが探していた場所だと。

「見つけました」

 もう一度建物に向き直ったリィンティアがポツリと呟く。遠くの生徒の声が、日常が遠ざかったことを表しているように途切れ途切れに聞こえた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『武装少女』

POW   :    攻撃を開始します
【ショットガンによる銃撃】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    機銃掃射を開始します
【召喚した機関銃から一斉に銃撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    援軍を要請します
【近代的な装備の兵隊】の霊を召喚する。これは【銃剣】や【ナイフ】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:多磨羅つぐみ

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 第二体育館として建てられたその建物が、本来の用途である体育館として使われなくなって久しい。今ではすっかりと物置のような扱いになっているその場所には、部活に使う物の出し入れで生徒が文化祭近くになると訪れる以外ではほとんど人の出入りはなかった。

 それを利用して友人と秘密基地のように使う生徒も偶にはいたものの、鍵を預けられているのは基本的に教師が認めた生徒だけであったのでおかしなことはしないだろうと黙認されていたのだ。
 実際特別なにか悪いことをしようなどと、ここでおまじないをした生徒たちも思ってはいなかった。誰かにバレたらちょっと恥ずかしいから人の来ないところでやろうくらいのことしか考えていなかったのだから。

 今第二体育館にいる存在は、たしかに少女の姿をしているがこの学校の生徒ではない。中学生と言うには大人びているし、制服もこの学校のものとは違う。
 そしてなにより、この学校の生徒は誰も銃で武装などしていない。

 少女たちが途中で怖くなって投げ出したおまじないを完遂するために、それが意図的なものがそういった行動をするUDCなのかは分からないがどちらにせよ猟兵たちがするべきことは彼女たちを倒して儀式を止めることだ。
ケイティ・ネクスト
『ネコは見ている』『ネコの裁きは突然来る』『ネコの国はある』『どうぜ みんな ネコになる』『ネコと和解せよ』
 これらの看板を見た者は注意しなければならない。もし、その者がネコに対する害意を持つ者なら裁きが下るのだ。
「にゃぁ~ん」
 そしてネコの声を聞いたなら警戒せよ。機敏に飛び回るネコに近代兵器は悉く無力化される。
「んにゃぁ~ん……」
 そして、怒れるネコの声を聞いたのなら

 全てはもう手遅れ。

 いやまあ、動脈をさくっと切り裂いたり、急所にさくっと爪を突き立てたりするいつもの暗殺技。ちょっとUDCっぽくなってみましたにゃ。
「ネコはここにいます」



 ネコはいます。たとえそれが鍵のかかった場所であろうと、ネコが必要とされているのならばネコはいるのだ。なにせネコはそこらのUDCなんて目じゃないほどに神出鬼没で、ついでに形状不定なのだから。
 まあそんなことを考えてみたものの、UDCなんかとネコはぜんぜん違う。なにしろネコはすこぶる可愛いし、ネコのする悪いことなんて人間は全部かわいいで許してくれるし、そして何よりネコを愛するものを害することを良しとはしない。

 ケイティが一声鳴くと、なにかを囲んでいた武装少女たちが一斉にこちらを見た。おそらくあれが途中で投げ出されたおまじないだろう、ケイティはおまじないを根本からぐちゃぐちゃにしてやろうかと考えたがこちらを狙う銃口の数を見る限りそう上手くはいきそうになかった
 しかし上手くはいかないのはケイティだけではない。たとえ一斉に銃撃しようと、当たらなければなんの意味もない。そして高速で動き回る小さな的に当てられるほど、武装少女たちは目の前の敵に順応できていたわけではなかった。

 一斉に火を吹く銃口に見向きもせず、ケイティは壁を蹴って跳び回った。フレンドリーファイアを考えれば、相手は派手に動くことは出来ない。ならば思い切り動き回ってやらればいいのだ。
 方向転換しながら一人に狙いを定め、鋭い爪で思い切り首を斬り裂いた。血ではない何かが吹き出すのを横目に、他の武装少女の方に思い切り足で蹴り飛ばした。

 衝撃でぶれた機関銃から発射された弾が、しまいこまれ放置されてカビ臭くなっていた演劇用の大道具に着弾して複数の穴を開けて粉々にする。書き割りの背景はどの景色かも判別できない状態で床に散らばった。
 その派手な破壊音がなくなった後、自分たちが狙っていたはずのケイティの姿がどこにも見られないことに武装少女たちは気づく。それこそ本当に、ネコというものが神出鬼没であるかのように、影さえも見当たらない。

「ネコはここにいます」

 いつの間にか武装少女の背後に忍び寄っていたケイティの一撃で、狙われた武装少女は振り向くことなく崩れ落ちた。再び撃ち出された銃弾も、ケイティを捉えることは出来なかった。
 ネコと和解するつもりがこれっぽっちもないUDCには、それ相応のネコの裁きがくだるのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

グレナディン・サンライズ(サポート)
『ここはこの年寄りに任せてもらおうかね?』
『こう見えても、まだまだ衰えちゃいないよ』
年齢3桁の婆。
スペースシップワールド出身の元宇宙海賊。
主な武装はフォースセイバーとブラスター。
戦闘スタイルは基本的には前衛遊撃。敵を翻弄するような戦いを好む。
グルメではない酒好き。
年齢なりの経験を積んでいるので、冷静さと余裕をなくすことはない。
口調(あたし、あんた、だね、だよ、~かい?)



 武器を持ち並ぶ武装少女を見てグレナディンは拍子抜けと言わんばかりに鼻を鳴らした。他の世界に行ったところで、自分の知っている世界とあまり変わり映えはしないものだ。
 同じような外見同じような服装、そして同じような武装を持ったクローン兵との戦いなど、今までどれだけしてきたことか分からない。
 それがなにによって作られたかの違いはグレナディンにとってはさしたる問題ではなかった。倒す相手のことを知ったところでいいことはないと、長く生きてきた人生の経験から彼女は理解している。

 一斉に撃ち込まれた銃撃を躱すと、一気に距離を詰めてショットガンを構えた武装少女の懐に入り込み武器を蹴り上げる。そのまま他の武装少女を巻き込むように弾き飛ばすと、落とされたショットガンを手に取る。
 不自然なほどに使い込まれた様子のない新品同然のショットガンはグレナディンの手の中におさまっても違和感を主張し続けているが、使う分にはなんの問題もない。

「期待してなかったけど、そう悪くもないね」

 武装少女に照準を合わせて引き金を引く。グレナディンの有線接続型電脳に接続されたショットガンは武装少女のものとは段違いの威力で元の持ち主を撃ち抜いた。
 込められていた弾数を撃ち尽くすと、まだ残っていた武装少女めがけて弾がなくなったショットガンを投げつける。武装少女が反応しショットガンを撃ち落とすのを目眩ましに接近したグレナディンは赤く光るフォースセイバーで斬りつけた。

「戦場に出るには、ちょっと足りなかったみたいだね」

 斬り伏せた武装少女を光る刀身を手に見下ろして、グレナディンは辺りを見回した。改めて見てみると、ここはあまり戦いには向かない場所のように見える。

「こういうことは年寄りに任せておけばいいんだよ」
 
 静寂が訪れたために遠くから聞こえてくる微かな子供の声を聞きながら、グレナディンはかすかに笑った。一仕事を終えたからと軽く一杯いただくには、少しばかり時間が早そうだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ウルスラ・ロザーノ(サポート)
いつもテンション高いとは言われるなー、確かに誰に対してもフレンドリーな対応しようと心掛けとる
といっても銀誓館の学生時代から能力者をしてきたんでな
救えるもんはできるだけ救う、でも倒すべき敵は必ず討伐すべしっちゅー方針や

戦法はヒット&アウェイ型、戦場全体を広く利用して戦うで
基本は中距離
レーザービット射撃やナイフの蹴り込みで牽制しつつ、
エアシューズで、地上は高速で駆け回り、空中も地形とか足掛かりに利用して軽業のように跳ね回るよ
敵からの攻撃は、すべて見切って受け流したりの回避で凌ぐよ

攻め込む機会を見つけたら奇襲を仕掛けるで
一気に接近して、蹴撃やその斬撃波を叩き込む!
サッカーボールのシュートは必殺技や!



 体育館なんて懐かしいと目の前の光景に浸る暇もないとウルスラは武装少女を睨みつけた。作り物の学生が、本物の学生を苦しめるようなことをしているのは銀誓館で過ごした記憶がなかったとしても許せないことだ。
 しかしウルスラが許せないと思うのと同じように、相手も侵入してきた敵対者を許すつもりはないようだ。武装少女は不気味なほどに物静かだが、彼女たちが構えている武器がなにより雄弁にそれを語っていた。

 引き金を引かれるよりも早くウルスラは跳ぶように駆け出した。まるで重力などないかのように、床と壁の区別なく縦横無尽に駆け回る姿を機関銃で捉えることが出来ない武装少女とは対照的にウルスラは的確に蹴りでナイフを撃ち込んでいく。
 機関銃の銃弾が減ってきたことを確認すると、攻め込むチャンスだとばかりに一気に距離を詰めて反応しきれなかった武装少女を蹴りつける。受け身を取れなかった武装少女はそのまま他の武装少女を巻き込むようにして倒れ込んだ。

「儀式なんかより楽しいもん見せたるわ!」

 シャンと金属の音を響かせてウルスラは踊る。それが楽しくて仕方がないと言うかのように笑顔で、鳴っていない音楽すら聞こえてくるような動きで跳ねるように踊りタンバリンの音を響かせた。
 それが普通のダンスであったのなら、ただ楽しいだけのものだっただろう。しかしその動きの中で拳や蹴りを叩き込み、隙になるような動きすら回避や攻撃に使う無駄のない様子に武装少女は反応できずに倒れていく。

 銃弾を避けることすらダンスの一部であるかのようにするりと避け、お返しとばかりに機関銃を蹴り飛ばしてがら空きの体に拳を叩き込む。
 ウルスラが踊りに満足する頃には、立ち向かってくる相手は誰もいなくなっていた。

「もう終わり?案外あっけないなぁ」

 トントンとつま先で数度床を鳴らしてみても、武装少女が起き上がることはない。ウルスラはタンバリンを鳴らしながら、静まり返った体育館の床を踏みしめた。

成功 🔵​🔵​🔴​

五百崎・零(サポート)
※戦闘中はハイテンション
「死にたくない」と言いつつも、どんな状況でも楽しんで戦う。
武器は主に銃を使用し、近〜中距離で戦う。敵の間合いに入ることに躊躇いがない。
傷つけても傷つけられても「ヒャハハ」「キヒヒ」など、奇声をあげながら笑って戦闘を続行。
ずっと戦っていたいので、相手が自分より強いほど嬉しい。

ユーベルコードは指定のものをどれでも使用。
他の猟兵に迷惑をかけるような行動はしません。
その他おまかせします。



 自分もこんなところに来たことがあるのだろうかと零は一瞬だけ考えたが、思い出せないものに意識を向けるよりも目の前の戦いの方が重要だったのでそんなことはどうでもいいと無益な考えを即座に投げ捨てた。
 いま大事なのはずらりとならんだ武装少女が満足がいくような強敵かどうか。そしてその戦いが自分を十分に楽しませてくれるものかどうか。そのついでに頼まれごとも片付くのなら誰にも文句も言われないだろう。

 零は向けられたショットガンを眺めて薄く笑みを浮かべる。撃ち出された弾丸で傷を負うことも厭わずに突き進み、召喚式「アイン」に込めたなんの変哲もない弾丸挨拶代わりにを武装少女に撃ち込んだ。
 声も出さずにぐらりとゆれて倒れる姿に一瞬つまらなそうな顔をした零は、気を取り直すように次の武装少女に向かっていく。ショットガンの弾はかすっただけでも服をボロボロにする威力はあるが体に直接命中しなければ死ぬほどではない。

「ほら、もっとやれるだろ!来いよ!」

 眼前に迫ってきた銃弾を無理やり避けると、わずかに頬をえぐられて血が流れる。それを全く気にすることなく、零は笑みすら浮かべながら敵に突っ込んでいく。そうして数発弾丸を撃ち込んだ後、今までのものと異なる弾丸を取り出した。
 奇妙な弾丸を込めて召喚式「アイン」の引き金を引く。撃ち出された弾丸は武装少女に着弾することなく奇妙に歪み弾丸ではありえない形に肥大する。

「食事の時間だ!」

 傷から血が吸い出されるように召喚された悪魔に吸い込まれ、異形の悪魔がその存在感を色濃くする。そしてそのまま、蝿の王は撃ち出された弾丸のように武装少女に向かっていった。
 暴れまわる悪魔を横目に、近づいてきた武装少女にヘッドショットを決める。足元に薬莢を落としながら、零はどちらが悪いかわからないような惨状を眺めていた。
 
「……もうちょっと強くてもよかったな」
 
 手の甲で頬の血を拭って、零は脱力したようにその場にしゃがみこんだ。無くした血は少なくないが、まったく死を感じるほどではない。
 敵が強くないと思ったよりも戦いが早く終わってしまうのは困ったものだなと、今日の役目を終えた召喚式「アイン」を手で弄りながら、零はゆっくりと立ち上がった。

成功 🔵​🔵​🔴​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

他校の不審者とはねぇ……
っと、先におっぱじめてるお仲間さんがいたようだね?
そりゃ好都合、混乱をさらに大きくしようじゃないのさ。
ありったけのサイキックの『電撃』を元・第二体育館のコンセント伝いに注ぎ込んで、一度ブレーカーを落とそうじゃないか。
ついでにその余波で漏電させて、鉄骨やら金属部分をありったけに帯電させる。
そしてテレパスを最大限に展開したアタシが踏み込めば、そこはもう【超感覚領域】に早変わりさ。
お前らが邪教徒か眷属かは知らねぇが、踏み込んだ挨拶代わりに『衝撃波』の『範囲攻撃』で数人を吹っ飛ばせば、後は敵意の連鎖が始まるだろ。
援軍ともども痺れて消えちまえ!



 都市伝説というものは基本的に自分の学校の生徒だったとかそういうものじゃないのだろうか。目の前の存在は、どうしたってこの学校の生徒には見えない。なにせ制服が違うのだ。
 こういうのは自分の身近な元生徒だから怖いのであって、どこから来たかわからないようなやつならただの不審者ではないだろうか。少なくとも「この学校の生徒じゃないんだけど」からはじまる学生が関わる七不思議を多喜は思い出すことができなかった。

「しかし、随分派手にやったねぇ」

 弾痕や破壊跡を見る限り、もうここはこの件が片付いても今までのように使えはしないだろう。体育館を倉庫代わりとして置かれていたであろう演劇用の大道具は、見るも無惨な姿になってあたりに転がっている。
 その中に転がる釘を見つけた多喜は、ちょうどいいと目を細めた。どうせもう使えなくなる場所だ、自分だって多少派手にやったところで問題はないだろう。そう考え、一切遠慮のない電撃をコンセントに叩き込んだ。

 バチバチと派手に音を鳴らした電撃は、辛うじて生きていた電源をその破壊力で焼き切って天井の照明を割れたガラスごと降り注がせる。電圧に耐えられずブレーカーが落ちたというのに、未だバチバチとくすぶるように電気の音が響いていた。
 数人が照明の下敷きになった武装少女は、仲間を助けることも顔色を変えることもなく援軍を要請する。その声をかき消すようになるバチバチという音は、けして漏電だけのせいではなかった。

 ガラスを踏む乾いた音すら耳に届けなくなるほどの音の中、まるで多喜は自分こそがその電気の発生源であるかのように髪をなびかせながら立っていた。
 援軍に呼ばれた兵隊の霊が攻撃の姿勢を取るより早く、多喜と距離を詰めた数体が衝撃波により跡形もなく吹き飛んだ。それに反応して銃口を向ける姿に、狙い通りと口角を上げる。

「残念だけど、ここはもうあたしのテリトリーだ。援軍ともども痺れて消えちまえ!」

 その声とどちらが早かったのか。引き金を引く前にその敵意に反応した電撃が迸り、次々に死角から襲いかかる。目の前の敵を撃ち殺すことしか考えていなかったUDCたちは、それに対応することなど出来なかった。
 そこに再び静寂が戻ったのは、多喜に向けられる敵意が一切なくなった頃。つまりは彼女の敵が全て電撃に撃ち抜かれた後だった。

「あたしが一番派手だったかもな」

 燦々たる有様になった元第二体育館を見回して、多喜は少し困ったように笑みを浮かべる。それは敵に向けられるような挑発的なものではない、柔らかく気が抜けたものだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『翼ある者』

POW   :    ゲヘナの瘴気
【大きく開けた口】から【悪臭を伴う黒いブレス】を放ち、【麻痺毒】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    ゴモラの抱擁
【噛みつき攻撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【零距離からのブレス】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    バベルの訓戒
自身の【全身】から【まともに喋れなくなるほどの悪臭】を放出し、戦場内全ての【会話による意思疎通】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。

イラスト:純志

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠加々見・久慈彦です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 火薬や硝煙の匂いではなく、元々の使われていない建物独特のカビとホコリの匂いでもない。明らかに異質な臭気が猟兵たちの鼻をついた。
 それがまるでなにかの合図であったかのようにマネキンの残骸のように折り重なった武装少女たちの姿がかき消えるようになくなると、そこには異形の姿が確かな質量を持って存在していた。

 少女たちが行ったおまじないで呼ばれたものがそれだったのかは、もう誰にもわからない。少女たちに儀式を行わせた者の目的も不明なままで、不完全な儀式で呼び出されたそれは本来の狙いを果たすことも出来ないだろう。
 今この時に一つだけ確かなことは、目の前にいるUDCを打ち倒せば今回の事件は解決するだろうというシンプルな事実だけだった。
ケイティ・ネクスト
ふーん、ちょっと相性悪い感じ? 他の猫は近付きたがらないだろうし、魅了が通る相手にも見えないし……こっちも邪神をぶつけるかにゃ。
「淫靡な空より来たりて、果てなき欲望を胸に、猫は邪なる手を結ぶ……契約を果せ、触装蹂躙機! アスモデウスマキナッ!」
 コントロール触手を穴に繋げて、アスモデウスに戦わせるにゃ。こっちは淫欲と蹂躙の触手邪神。悪臭も麻痺もまともに機能しないにゃ。
「まあ、それは囮なんだけど」
 アスモデウスに暴れさせている間に急所を特定して飛び付き、伸ばした爪で一突き。
「血が出れば殺せる」
 生憎、こう見えて汚濁に塗れるのは慣れてる。



 すん、と鼻を一つひくつかせてからケイティはわかりやすく顔をしかめた。これだけひどい匂いをさせているところにはどんなネコもよっぽどのことがない限り寄り付かないだろう。
 様子を見て見る限りあまり理性的とも考えられない。受け止める情緒も備わってはなさそうなので、魅了の効きも悪そうだ。それでいて敵意ばかりは確かなのだから嫌になるとケイティは翼ある者を睨みつけた。

 目には目を歯には歯を、邪神には邪神を。アレが邪神と呼べるほどの存在かをケイティは知るつもりもない、こちらの方が強いのであればなんであれどうでもいいのだ。
 明らかに変化した雰囲気にケイティを見下ろしていた翼ある者が鉄の板をガラスでひっかくような奇声を発し、大きく口を開いた。その動作が終わるまで待つことなどしないケイティは素早く動き出すとある存在を呼び寄せるために声を上げる。

「淫靡な空より来たりて、果てなき欲望を胸に、猫は邪なる手を結ぶ……契約を果せ、触装蹂躙機! アスモデウスマキナッ!」

 体育館として作られた建物の天井すら低く思えるほどの異形の姿。明らかに自然のものではないそれは、のたうち動き回りまるで押し寄せる波のように翼ある者に襲いかかった。
 纏わりついてくる触手の塊を煩わしいと言わんばかりに、翼ある者が口を開き拘束する敵を排除せんと食らいつく。そのまま吐き出されたブレスは、確実にアスモデウスに命中した。したはずだった。

 零距離からのブレスを受けたかのように見えた蠢く触手は、なにもなかったかのようにそこに存在していた。異形の機体は翼ある者に絡まりその動きを封じる。
 耳障りな叫び声を上げて逃れようともがく異形の邪竜は、眼前ののたうつ邪神にもう一度食らいつく。しかしそれは使える唯一の武器を差し出してしまうのと変わらなかった。

「まあ、それは囮なんだけど」

 音もなく翼ある者に迫っていたケイティは、アスモデウスに食らいついたその頭に狙いをつけると濁った瞳を迷うことなく爪で一突きし迸る液体を浴びた。
 血というには汚れきったそれを浴びながら、ケイティは流れ出るものを眺めて口元を歪めた。どんなものでも構わない、血が出るのならば殺せるのだから。

「生憎、こう見えて汚濁に塗れるのは慣れてる」

 返り血濡れの体でケイティは汚濁にまみれた姿で、変わらずに金に輝きながらネコのように笑った。
 それはなにもおかしなことではない、なにしろ彼女はどうあったとしてもネコなのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

城田・紗希(サポート)
基本的には考えるより行動するタイプ。
でもウィザードミサイルや斬撃の軌跡ぐらいは考える。…脳筋じゃナイデスヨ?
暗器は隠しすぎたので、UC発動時にどこから何が出てくるか、術者も把握していない。

逆恨みで怒ってる?…気のせいデスヨ。UCの逆恨みじゃアルマイシ。
ちゃんと説明は聞いてマシタヨ?(地の文と目を合わせない)

戦闘は、範囲系ユーベルコードなら集中砲火、単体攻撃なら可能な限りの連続使用。
必要に応じて、カウンターでタイミングをずらしたり、鎧破壊で次の人を有利にしておく。

……防御?なんかこう、勘で!(第六感)
耐性……は、なんか色々!(覚えてない)



 ざっと敵を目視して見た限り、話が通じたりするようにも見えない。どう見てみても単純に倒すしかない相手だということに紗希はむしろ好都合だと紅時雨を持つ手に力を込めた。
 小細工が通用しないということは、逆に考えれば細かいことを気にせずに全力で攻撃すればいいということ。考えるよりも行動することを常とする紗希としてはそちらのほうがやりやすかった。

 翼ある者の濁った瞳が紗希を見つけると、生き物の鳴き声としてすら不自然な軋んだ声を上げた。地面に爪の当たる硬質な音を鳴らしながら向き直ると、乱雑に歯が並んだ口を開く。
 裂けてしまうほどに開いた口に危険を感じた紗希はなにをするか確認する前に飛び退いた。先程までいたところに黒いブレスが着弾し、酷い臭いを当たりに撒き散らす。

「これは……とっとと片付けるに限りますね!」

 次のブレスを吐かれる前に一撃叩き込まなければ、ブレスを直接食らわなくともいずれは悪臭でこちらがやられてしまうかもしれない。袖で鼻をふさぎながら速攻で決めることを決めた紗希は、割れたガラスを踏み鳴らしながら紅時雨を構える。
 今のところ飛ぶ素振りは見せないが、今の状態で狙うべきは行動範囲が広がるかもしれない翼だろう。明らかに薄い部分でもあるし、一刀で斬り伏せるのにも向いていそうだ。

 それ以上に紗希にとって都合がいいのは翼ある者の名前の通り、明らかに翼の部分が大きいことだった。細かいことを考えなくても思い切り斬りつければどうしたって翼に当たる。
 細かい策を考える分をすべて攻撃に向けられたほうが、威力も上がるに決まっている。攻撃は最大の防御なのだから、攻撃に全振りすることはなにも間違いではないのだ。

「変幻自在の不可避だよ!」

 噛みつくために迫ってきた牙を攻撃の勢いで無理やり反らし、がら空きになった翼を思い切り斬りつける。濁った体液を撒き散らしながら闇雲に攻撃してこようとする翼ある者から距離を取ると、紗希は紅時雨についた液体を振って飛ばした。
 切り裂かれた翼では、どうやってもここから逃れることは出来ないだろう。逃げる心配のない敵を猟兵たちが倒せない理由など紗希には思い当たらなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ティエル・ティエリエル(サポート)
◆キャラ特徴
ボクっ娘で天真爛漫、お転婆なフェアリーのお姫様です。
王家に伝わる細身のレイピアを使った空中からのヒット&アウェイで戦うのが得意な女の子です。
・冒険大好きお姫様
・珍しいものにも興味津々
・ノブレス・オブリージュの精神で弱者を放っておけないよ
・ドヤ顔がよく似合う
・困ったら動物さんに協力を!

◆戦闘方法
・背中の翅で羽ばたいて「空中戦」や「空中浮遊」で空から攻撃するよ
・レイピアに風を纏わせて「属性攻撃」でチクチクするよ
・対空攻撃が激しそうなら【ライオンライド】
・レイピアでの攻撃が効かない敵には【お姫様ビーム】でどかーんと攻撃



 自分の体など一呑みに出来そうな巨大な敵を前に、ティエルは一つも戦うことを躊躇することはなかった。勇敢なフェアリーのお姫様にとって、ドラゴン退治なんて恐れるに足らないのだ。
 たとえそれが自分の住んでいた世界にいるものとは全く違っていても、本当に姿の通りの存在なのかも今は大した問題ではなかった。目の前の敵を倒せば助けられる人々がいるのならば戦う理由は十分だ。

「ボクを捕まえられるかな?」

 高速で飛び回る小さなフェアリーを体の大きな翼ある者は捕まえられずに、食らいつき損ねて影を食らうように牙を鳴らした。
 まるで風そのものになったかのように近づいては遠ざかるティエルの攻撃に、翼ある者は軋んだ声を上げながら身を捩る。翼で打ち落とそうにも、尾で叩き落とそうにもティエルのスピードについていけずに空を切るだけだ。


 やがて業を煮やしたのかティエルの接近を防ごうと考えたのか、ジワと全身から淀んだオーラを発すると身を震わせて辺りに酷い悪臭を撒き散らしはじめた。
 さすがにその最中に突撃していくことは避けたティエルは慌てて距離を取る。濁った空気の向こうに見える翼ある者は、しばらくはこの悪臭を止める気はないように見えた。

 それならば、近づかなければいいだけだ。空を華麗に飛び回りレイピアで攻撃するのがティエルの全てではない。距離を取っただけで安心するなんて、体は大きくても大したことはないんだねとティエルは自信あふれる表情で目を細めた。
 近づけないなら近づかなければいいだけ。レイピアで攻撃できないのならば、それ以外の方法で攻撃すればいいだけだ。
 
「金魚さんお願い!一斉射撃だー☆」

 声に反応した金魚型飛空艇がティエルの前に空中を泳いでやってくる。その可愛らしい姿や掛け声には似つかわしくない攻撃用の艦載砲を構えると悪臭を放っている翼ある者目掛けて一斉射撃を開始する。
 突然の攻撃、そして強烈な破裂音と閃光に対応するために悪臭を撒き散らすことを中断して動き出した翼ある者目掛けて、待ってましたとばかりにティエルが風をまとい突撃する。

「ボクの攻撃、避けられないでしょ!」

 弾丸のように飛び込んだティエルを避けることが出来ずに、翼ある者の体が切り裂かれ体液が吹き出す。
 その汚れた液体すら、飛び回るフェアリーのお姫様に追いつくことは出来なかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニノン・トラゲット(サポート)
『容赦なんてしませんから!』
『アレ、試してみちゃいますね!』
未知とロマンとお祭りごとを愛してやまない、アルダワ魔法学園のいち学生です。
学生かつ魔法使いではありますが、どちらかと言えば猪突猛進でちょっと脳筋っぽいタイプ、「まとめてぶっ飛ばせばなんとかなります!」の心で広範囲への攻撃魔法を好んでぶっ放します。
一人称はひらがな表記の「わたし」、口調は誰に対しても「です、ます、ですよね?」といった感じのあまり堅苦しくない丁寧語です。
基本的にはいつも前向きで、ネガティブなことやセンチメンタルっぽいことはあまり口にしません。
その他の部分はマスターさんにお任せします!



 ニノンは杖を構えて目の前の未知の敵と相対した。きっともう一度アレが召喚されたとしたら、また別の姿になるではないだろうか。そう思うくらいどこか不安定で、不自然な姿で翼ある者はそこに存在していた。
 現実に存在しない現象を引き起こすのも魔法の一つではあるが、あれは学んで糧になるようなものでもなさそうだ。どちらかと言えば詳しく知ってしまったら最後、侵食されてしまうような不気味さがある。

 そうであるならば、やることは一つ。ぶっ飛ばす、それだけ。
 やることが決まれば後は行動あるのみ、簡単な話だ。幸いにしてこれが呼び出された時点でこの元体育館は廃棄の方向らしいので、周りを気にせずにぶっ倒してもなんの問題もない。

「容赦なんてしませんから!」

 耳障りな咆哮に負けないようにニノンは声を上げた。ふわふわの手と肉球でしっかりと杖を持つと、使うべき魔法は何かと頭の中で考えを巡らせる。
 一応建物の中だから、炎はやめておいた方がいいだろう。風の魔法も翼ある者の悪臭が毒のあるものなら無闇矢鱈に拡散するのもあまり良いこととは思えない。

 翼ある者の周りをぐるっと回るように移動して攻撃されないようにしつつ考えて、この場にふさわしい魔法を導き出す。
 そうしてふさわしい攻撃を決めたニノンは、一切戸惑うことなく杖を掲げると魔法を唱えた。翼ある者の巨体さえ凍りつかせるような、そんなとっておきの一撃を。

「エレメンタル・ファンタジア!氷の竜巻です!」

 氷の礫一つ一つが意思を持ったかのように翼ある者に襲いかかる。その激しい嵐の中では噛みつきもブレスも満足に反撃することは出来ず、鋭いつららとなった氷の礫が翼ある者に突き刺さった。
 それだけの威力の魔法だ、必死に制御をしてもニノンの方にも細かい礫が度々飛んでくる。それでも手を緩めずに、翼ある者が抵抗をやめるまでニノンは揺らぐことなく魔法を使い続けた。

 翼ある者から流れ出た体液と溶けた氷が混ざり合ってマーブル模様の水たまりを作る。その傍らで白い毛の表面をわずかに凍らせたニノンは、長く白い息を吐いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

やれやれ、学生のおまじないで出てくるにはちょっと格が高すぎないかい?
噂の元凶はそれが目的だったのかどうかは知らないけどさ、不完全にもほどがあるだろ。
それならさっさと、この世界から退場してもらおうかい!

臭いや雰囲気が変わったとしても、場所が変わってないなら十分に勝機はあるからね。
ブレスの予備動作になる噛みつき攻撃を、横合いからの『衝撃波』や『マヒ攻撃』の『電撃』であしらって躱し続けながら、弔いの聖句を唱えるよ。
さっきの少女たちとの戦いからこのかた、周りに電荷は溜まりっぱなしなんだ。
不完全なまま、最大出力の【黄泉送る檻】に捕らえられちまえ!



 現実に侵食してきたかのような歪な存在を見上げて多喜は思わず顔を歪めた。もしもおまじないを試した少女たちが最後までやってしまったらこんなものが出てきたのか、子供のおまじない相手にしては格が高すぎるんじゃないだろうか。
 これを呼び出すのが目的だったのかはもう多喜にも、目の前にいる翼ある者にもわからない。それでもこんな不安定で不完全で不自然な存在が、いつまでもこの世界に居座っているのがよくないことは明白だった。

「さっさと、この世界から退場してもらおうかい!」

 相手ももう余裕は無いのだろう。そもそもこの世界に呼びだされてもなにをするのかも決められてない、ただ暴れるしかない存在なのかもしれない。
 食らいつこうと迫ってきた頭を衝撃波で跳ね上げて、捕まえようと迫ってきた腕を電撃で弾きかえす。バチバチと鳴る電気の音を聞きながら多喜は密やかに聖句を唱える。

 こいつがどこの邪神に関係してるとか、そんなことは関係ない。生憎と倒す相手の信仰対象に配慮してやろうと思うほどに多喜は無差別に慈悲深くはなかったし、聞いても答えるとは思えなかった。
 それでも弔いの聖句は、この世にあってはならない存在相手であってもなにかの足しにはなるだろう。この世界からなにかを持っていくことは許しはしないが、手ぶらというのも憐れじゃないか。多喜は聖句を口にしながら、そんなことを微かに考えた。

「ashes to ashes,dust to dust,past to past...収束せよ、サイキネティック・プリズン!」

 展開したサイキックブラストが檻の形を取り、激しい電撃で翼ある者ものを締め付ける。もがけばもがくほど強くなる攻撃と拘束に、巨体はのたうち回り逃れようと激しく抵抗した。
 やがてその動きが弱々しくなり、ついには力なく床に崩れ落ちる。そしてその体が、崩れ落ちるように溶け出してただの汚水の水たまりになるのを見届けて多喜はやっと体の力を抜いた。

 この体育館はもう使い物にならない。大方下水管が破裂したとか、そうした理由をうまいことでっちあげて知らない一般人を納得させるのだろう。多喜にとってはもう関わることのないことだ。

「しかし、こう汚れると風呂にでも入りたくなるねぇ」

 酷い臭いも戦いによって汚れるのも仕方がないとはいえ、そのままでいたいかといえば話は別だ。
 多喜はもう動かない翼ある者の残滓にもう一度目をやってから、日の落ちかけた外の日差しの中へ歩みを進めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2023年12月07日


挿絵イラスト